JP2014208805A - 変性共役ジエン系ゴムの製造方法 - Google Patents

変性共役ジエン系ゴムの製造方法 Download PDF

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里志 姉崎
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Abstract

【課題】ウェットグリップ性及び低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性が向上されたゴム架橋物を与える変性共役ジエン系ゴムの製造方法の提供。【解決手段】不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、一般式(1)で表される化合物を、該活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの比率となる使用量で反応させる第2工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法。(R1はC1〜20のアルキル基又はC6〜18のアリール基;A1,A2は各々独立して、C1〜15のヒドロカルビルオキシ基)前記活性末端を有する共役ジエン重合体は、共役ジエン単量体単位50〜100重量%及び芳香族ビニル単量体単位0〜50重量%含む。【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系ゴムの製造方法に関し、より詳しくは、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性が向上されたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムを製造するための方法に関する。また、本発明は、この製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴム、該変性共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物およびそのゴム架橋物にも関する。
近年、環境問題や資源問題から、自動車用のタイヤにも低発熱性が強く求められており、さらに耐久性の面からは優れた耐摩耗性が求められている。シリカを配合したゴム組成物から得られるタイヤは、通常使用されるカーボンブラックを配合したゴム組成物から得られるタイヤに比べて低発熱性に優れるため、これを用いることにより低燃費なタイヤを製造することができる。
このようなゴム組成物においては、ゴムとシリカとの親和性を高めるために、ゴムの重合活性末端等に変性剤を反応させることにより、シリカに対する親和性の高い官能基を導入する技術が知られている。
たとえば、特許文献1には、共役ジエン系重合体の活性末端に、脱離可能な官能基で保護されたアミノ基とヒドロカルビルオキシ基とを含有するシラン化合物からなる変性剤を反応させることにより得られた変性共役ジエン系重合体を含有するタイヤ用のゴム組成物が開示されている。しかしながら、この特許文献1の技術は、低発熱性および耐摩耗性を向上させることを目的とするものではあるが、耐摩耗性が必ずしも十分でなく、そのため、耐摩耗性のさらなる改善が望まれていた。
特開2009−287020号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性が向上されたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムを製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために、共役ジエン系重合体の活性末端を変性させるための変性剤の種類と、変性反応を行う際の変性剤の使用量とについて鋭意検討を行った結果、変性剤として、1−アザ−2−シラシクロペンタン構造を有する化合物を用い、これを活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、該活性末端1モルに対して、1.0〜3.0モルの比率となる使用量で反応させることで、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性が向上されたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、下記一般式(1)で表される化合物を、該活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの比率となる使用量で反応させる第2工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
Figure 2014208805
(上記一般式(1)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、A,Aは、それぞれ独立して、炭素数1〜15のヒドロカルビルオキシ基である。)
本発明の製造方法においては、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体が、共役ジエン単量体単位50〜100重量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50重量%を含むものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかの製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムが提供される。
さらに、本発明によれば、上記変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなるゴム組成物が提供される。
本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有してなるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明によれば、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性が向上されたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴム、該変性共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物、該ゴム組成物を架橋してなる、ウェットグリップ性および低発熱性が良好であり、耐摩耗性が向上されたゴム架橋物、および、該ゴム架橋物を含んでなるタイヤを提供することができる。
<変性共役ジエン系ゴムの製造方法>
本発明の変性共役ジエン系ゴムの製造方法は、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、後述する一般式(1)で表される化合物を、該活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの比率となる使用量で反応させる第2工程と、を備える。
<第1工程>
まず、本発明の製造方法における第1工程について説明する。本発明の製造方法における第1工程は、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。
第1工程において、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るために、重合に用いる共役ジエン化合物としては、特に限定されず、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、および1,3−シクロヘキサジエンなどを挙げることができる。これらのなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンおよび1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、およびイソプレンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の製造方法においては、第1工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体として、共役ジエン化合物に加えて、芳香族ビニル化合物を共重合してなるものであってもよい。芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、およびジメチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、および4−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。なお。これらの芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体単位50〜100重量%を含むものが好ましく、55〜100重量%を含むものが特に好ましく、また、芳香族ビニル単量体単位0〜50重量%を含むものが好ましく、0〜45重量%を含むものが特に好ましい。
また、本発明の製造方法においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体は、本発明の目的を損なわない範囲において、所望により、共役ジエン化合物、および芳香族ビニル化合物に加えて、これら以外の他の単量体を含有する単量体を共重合してなるものであってもよい。他の単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などを挙げることができる。これらの単量体は、活性末端を有する共役ジエン系重合体中に、単量体単位として、10重量%以下とするのが好ましく、5重量%以下とするのがより好ましい。
本発明の製造方法の第1工程において用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。これらの不活性溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、たとえば、1〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%となる量である。
重合開始剤としては、上述した各単量体を重合させることにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、目的とする重合体の分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常、1〜50ミリモル、好ましくは1.5〜20ミリモル、より好ましくは2〜15ミリモルの範囲である。
本発明の製造方法の第1工程における、重合温度は、通常、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などのいずれの様式をも採用できるが、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させる場合は、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
本発明の製造方法において、活性末端を有する共役ジエン系重合体が、2種以上の単量体単位から構成されている場合、その結合様式は、たとえば、ブロック状、テーパー状、ランダム状など種々の結合様式とすることができるが、ランダム状の結合様式であることが好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
また、本発明の製造方法においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性有機溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.01〜10モルである。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
以上のようにして、本発明の製造方法における第1工程によれば、共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量は、好ましくは1〜90モル%であり、より好ましくは5〜85モル%である。ビニル結合量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCとも言う)により検出されるピークトップ分子量は、ポリスチレン換算の値として、10,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜850,000であることがより好ましく、100,000〜700,000であることが特に好ましい。なお、共役ジエン系重合体のピークが複数認められる場合は、GPCにより検出される共役ジエン系重合体に由来する、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体のピークトップ分子量とする。活性末端を有する共役ジエン系重合体のピークトップ分子量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、好ましくは1.0〜1.5、より好ましくは1.0〜1.4、特に好ましくは1.0〜1.3である。この分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
<第2工程>
次いで、本発明の製造方法における第2工程について説明する。本発明の製造方法における第2工程は、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、下記一般式(1)で表される化合物を、該活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの比率となる使用量で反応させることにより、変性共役ジエン系ゴムを得る工程である。なお、「となる使用量で反応させる」とは、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一部を反応させる意図をもって使用することを意味する。
Figure 2014208805
(上記一般式(1)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、A,Aは、それぞれ独立して、炭素数1〜15のヒドロカルビルオキシ基である。)
本発明の製造方法においては、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより、共役ジエン系重合体を改質し、シリカなどの充填剤に対する親和性を改良することができ、これにより、耐摩耗性に優れ、かつ、低発熱性およびウェットグリップ性を備えたゴム架橋物を与えることのできるものとすることができる。
上記一般式(1)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基である。
また、上記一般式(1)において、A,Aは、それぞれ独立して、炭素数1〜15のヒドロカルビルオキシ基であり、炭素数1〜10のヒドロカルビルオキシ基であることが好ましく、炭素数1〜6のヒドロカルビルオキシ基であることが特に好ましい。炭素数1〜15のヒドロカルビルオキシ基としては、たとえば、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルケニロキシ基、炭素数6〜12のアリーロキシ基、炭素数7〜13のアラルコキシ基等が挙げられるが、後述するスチームストリッピングでの加水分解により水酸基への置換が容易であるという点より、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、およびtert−ブトキシ基などが挙げられる。
また、本発明の製造方法においては、第2工程における、上記一般式(1)で表される化合物の使用量は、上述した第1工程において得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し、1.0〜3.0モルの割合とする。ここで、本発明の製造方法においては、上記一般式(1)で表される化合物は、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に反応することで、変性剤として作用するものである。一方、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体中に含まれる活性末端の数は、通常、第1工程において重合に使用した重合開始剤の量により決まるものであり、たとえば、重合開始剤を1モル使用した場合には、活性末端の数も1モル程度となる。また、後述するように、活性末端に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させる前に、活性末端の一部を不活性化した場合は、活性末端を有する共役ジエン系重合体中に含まれる活性末端の数は、残余の活性末端の数を意図するものである。これに対し、本発明の製造方法においては、このような活性末端を有する共役ジエン系重合体中に含まれる活性末端の数を考慮し、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し、1.0〜3.0モルの割合とするものである。すなわち、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体中に含まれる活性末端と当モル量か、あるいは、それ以上3倍モル量以下とするものである。
そして、このような本発明の製造方法によれば、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を上記範囲とすることにより、第2工程により得られる変性共役ジエン系ゴム中において、変性共役ジエン系ゴムに取り込まれた上記一般式(1)で表される化合物由来のヒドロカルビルオキシ基の割合を比較的高くすることができ、その結果、ゴム架橋物とした場合に、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性を向上させることができるものと考えられる。
なお、通常、上記一般式(1)で表される化合物は、活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端と反応する場合には、次のようにして反応が進行すると考えられる。すなわち、まず、1段階目の反応とし、上記一般式(1)中の5員環構造がN−Si間で開裂することで、1個目の活性末端と反応し、次いで、2段階目の反応として、ヒドロカルビルオキシ基が脱離することで、2個目の活性末端と反応し、さらに、3段階目の反応として、もう一つのヒドロカルビルオキシ基が脱離することで、3個目の活性末端と反応することとなると考えられる。これに対し、本発明の製造方法によれば、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を、共役ジエン系重合体中に含まれる活性末端の数に対して、十分な量(具体的には、共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し、1.0〜3.0モルの割合となる量)とすることで、このような2段階目の反応および3段階目の反応まで進行してしまう割合を低くすることができ、これにより、変性共役ジエン系ゴムに取り込まれた上記一般式(1)で表される化合物由来のヒドロカルビルオキシ基の割合を比較的高くすることができるものと考えられる。
特に、ヒドロカルビルオキシ基は、変性共役ジエン系ゴムについてスチームスチームストリッピングを行った際に、加水分解により水酸基に置換されると考えられ、このような水酸基が存在することにより、シリカなどの充填剤に対する親和性を大きく改善することができるものと考えられる。そして、本発明の製造方法によれば、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し、1.0〜3.0モルの割合とすることで、シリカなどの充填剤に対する親和性を大きく改善することができ、これにより、ゴム架橋物とした場合に、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性を向上させることができるものと考えられる。なお、変性反応後の変性共役ジエン系ゴム中に導入された、上記一般式(1)で表される化合物中における、2個以上の活性末端と反応した化合物の割合は、たとえば、変性共役ジエン系ゴムについてGPC測定を行い、2分岐以上のカップリング率を測定することにより求めることができる。すなわち、カップリング率が低いほど、変性共役ジエン系ゴムに取り込まれた上記一般式(1)で表される化合物由来のヒドロカルビルオキシ基の残存率が高く、シリカなどの充填剤に対する親和性の改善度合が高いものと考えられる。なお、本発明の製造方法においては、上記一般式(1)で表される化合物の使用量は、上述した第1工程において得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し、1.0〜3.0モルの割合とすればよいが、ヒドロカルビルオキシ基の残存率をより高められるという点より、好ましくは1.0〜2.5モル、より好ましくは1.1〜2.0モルの割合である。上記一般式(1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明で用いる上記一般式(1)で表される化合物は、たとえば、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物とを反応させて反応混合物を得て、得られた反応混合物について、蒸留中に発生するアルコールを留去しながら蒸留を行うことにより得ることができる。
Figure 2014208805
(上記一般式(2)中、Rは、上記一般式(1)と同様である。)
Figure 2014208805
(上記一般式(3)中、A,Aは上記一般式(1)と同様であり、Aは炭素数1〜15のヒドロカルビルオキシ基であり、Xはハロゲン原子である。)
上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(3)で表される化合物を反応させる際における、これらの配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点より、上記一般式(3)で表される化合物1モルに対する、上記一般式(2)で表される化合物の割合が、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは0.8〜8モルである。また、反応温度は、特に限定されないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜200℃、さらに好ましくは80〜160℃であり、反応時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは1〜10時間である。
なお、上記一般式(2)で表される化合物と、上記一般式(3)で表される化合物との反応は、無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
また、蒸留の条件としては、特に制限はないが、環化反応を促進するため、発生するアルコールを留去しながら蒸留することが望ましく、特に、発生するアルコールを留去し易くするために減圧下にて行うことが好ましい。蒸留を行う際における、蒸留塔上部の温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは150〜180℃であり、また、圧力は、好ましくは0.1〜4.0kPa、より好ましくは0.2〜2.0kPaである。なお、蒸留の際には、反応性を向上させるために、触媒として塩基性化合物または酸性化合物を加えてもよい。
本発明の製造方法の第2工程において、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させる方法としては、特に限定されないが、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体と、上記一般式(1)で表される化合物とを、これらを溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した共役ジエン系重合体の重合に用いる溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体を、その重合に用いた重合溶液のままの状態とし、ここに上記一般式(1)で表される化合物を添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、上記一般式(1)で表される化合物は、上述した重合に用いる不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。第2工程における反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜120℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、1分〜1時間である。
活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液に、上記一般式(1)で表される化合物を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に上記一般式(1)で表される化合物を添加することが望ましい。上記一般式(1)で表される化合物の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体と重合系中に含まれる不純物等との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
なお、活性末端を有する共役ジエン系重合体に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させる前に、本発明の効果を阻害しない範囲で、共役ジエン系重合体の活性末端の一部を、従来から通常使用されているカップリング剤や変性剤などを重合系内に添加して、不活性化してもよい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させた後に、未反応の活性末端が残存している場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールまたは水等の、重合停止剤を重合溶液に添加して、未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
以上のようにして得られる変性共役ジエン系ゴムの溶液には、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、所望により、伸展油を配合して、油展ゴムとしてもよい。伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系及びナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸等が挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、変性共役ジエン系ゴム100重量部に対して、通常5〜100重量部である。
そして、このようにして得られた変性反応後の変性共役ジエン系ゴムは、スチームストリッピングにより、溶媒を除去することにより、反応混合物から分離することで、固形状の変性共役ジエン系ゴムを得ることができる。また、この際においては、スチームストリッピングにより、上述したように、変性反応後の変性共役ジエン系ゴム中に導入された、上記一般式(1)で表される化合物由来のヒドロカルビルオキシ基が、水酸基に置換されると考えられる。
本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、通常、1,000〜3,000,000、好ましくは10,000〜2,000,000、より好ましくは100,000〜1,500,000の範囲である。変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、変性共役ジエン系ゴムへのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物は加工性に優れたものとなる。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0、特に好ましくは1.0〜3.0である。変性共役ジエン系ゴムの分子量分布を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性により優れたものとなる。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)も、特に限定されないが、通常、20〜200、好ましくは30〜150の範囲である。変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなる。なお、変性共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
このようにして得られた変性共役ジエン系ゴムは、充填剤および架橋剤などの配合剤を添加した上で、種々の用途に好適に用いることができる。特に、充填剤としてシリカを配合した場合に、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性を向上させることができるゴム架橋物を得るために好適に用いられるゴム組成物を与える。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述した本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなる組成物である。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m/g、より好ましくは80〜220m/g、特に好ましくは100〜170m/gである。また、シリカのpHは、5〜10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物の耐摩耗性および低発熱性が優れたものとなる。
本発明のゴム組成物には、低発熱性をさらに改良するという観点より、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、たとえば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
なお、本発明の変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)や変性共役ジエン系ゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄などの含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した本発明の製造方法によって得られる変性共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい。)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、およびアクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した変性共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、および溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムをゴム成分中に含めることにより、低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を得ることができる。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分と変性共役ジエン系ゴムとを混練後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く成分と変性共役ジエン系ゴムとの混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるものであるため、ウェットグリップ性および低発熱性を良好に保ちながら、耐摩耗性が向上されたものである。特に、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、変性剤として、上記一般式(1)で表される化合物を用い、かつ、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの範囲とすることにより得られたものであるため、上述したように、シリカなどの充填剤に対する親和性が高いものである。したがって、このような本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを用いて得られる、本発明のゴム架橋物は、ウェットグリップ性および低発熱性が良好であり、かつ、耐摩耗性に特に優れたものとなる。
そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。とりわけ、本発明のゴム架橋物は、ウェットグリップ性および低発熱性が良好であり、かつ、耐摩耗性に優れることから、タイヤの材料、特に低燃費タイヤの材料として好適に用いることができ、トレッド用途に最適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔ゴムの分子量、カップリング率〕
ゴムの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計(東ソー社製、商品名「RI−8220」)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
カップリング率については、得られたチャートより、全溶出面積に対する、分子量の最も小さい重合体に由来するピークが示すピークトップ分子量の1.9倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、変性共役ジエン系ゴムの2分岐以上のカップリング率として示した。
〔ゴムのミクロ構造、ゴムの変性〕
ゴムのミクロ構造、ゴムの変性は、H−NMRにより測定した。
測定器:JEOL社製、商品名「JNM−ECA−400WB」
測定溶媒:重クロロホルム
〔低発熱性〕
長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmとした試験片について、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、製品名「ARES」)を用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定した。この特性については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、ゴム架橋物をタイヤに用いた際の低発熱性に優れる。
〔耐摩耗性〕
外径50mm、内径15mm、厚さ10mmとした試験片について、摩耗試験機(上島製作所社製、FPS摩耗試験機)を用い、荷重1kgf、スリップ率15%で測定した。この特性については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、耐摩耗性に優れる。
〔実施例1〕
〔変性ブタジエンゴム1の製造〕
窒素雰囲気下、オートクレーブに、シクロヘキサン800部、1,3−ブタジエン120部、およびテトラメチルエチレンジアミン0.164部を仕込んだ後、n−ブチルリチウム0.051部を添加し、60℃で重合を開始した。60分間重合反応を継続し、重合転化率が95%〜100%の範囲になったことを確認してから、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン(上記一般式(1)において、R=Ph(Ph=フェニル基、以下同じ)、A,A=OCH)0.163部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.0モルとなる量)を添加し、60℃で30分間反応させた後、重合停止剤としてメタノール0.064部を添加して重合体を含有する溶液を得た。
そして、得られた重合体100部に対して、老化防止剤として2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1520」)0.15部を、上記にて得られた重合体を含有する溶液に添加した後、スチームストリッピングにより、溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の変性ブタジエンゴム1を得た。
得られた変性ブタジエンゴム1は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が337,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.16であった。また、この変性ブタジエンゴム1のブタジエン単位中のビニル結合含有量は78.4モル%であった。さらに、この変性ブタジエンゴム1について、H−NMR測定したところ、ゴム中に取り込まれたメトキシ基が消失していることが確認されたことから、メトキシ基の代わりに水酸基が導入されたと推測される。
〔ゴム組成物、およびゴム架橋物の調製〕
次に、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、上記にて得られた変性ブタジエンゴム1 100部を30秒素練りし、次いでシリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1115MP」)50部、プロセスオイル(新日本石油社製、商品名「アロマックス T−DAE」)20部、およびシランカップリング剤:ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si69」)6.0部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練後、シリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1115MP」)25部、酸化亜鉛3部、ステアリン酸2部および老化防止剤としてのN−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアン(大内新興社製、商品名「ノクラック6C」)2部を添加し、さらに2.5分間混練し、ミキサーから混練物を排出させた。混練終了時の混練物の温度は150℃であった。そして、得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度ブラベンダータイプミキサー中で、110℃を開始温度として3分間混練した後、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られた混練物と、硫黄1.4部、架橋促進剤としてのN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーNS−P」1.2部、および同じく架橋促進剤としてのジフェニルグアニジン(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーD」)1.2部を混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。そして、得られたゴム組成物を、160℃で25分間プレス架橋することで、ゴム架橋物を得て、得られたゴム架橋物(試験片)について、低発熱性、および耐摩耗性の評価を行なった。結果を表1に示す。なお、表1中においては、耐摩耗性および低発熱性の評価結果は、後述する比較例1の結果を、それぞれ100とした場合における比率で示した。
〔実施例2〕
〔変性ブタジエンゴム2の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンの使用量を0.164部から0.245部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.5モルとなる量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム2の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム2は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が271,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.10であった。また、この変性ブタジエンゴム2のブタジエン単位中のビニル結合含有量は80.2モル%であった。さらに、この変性ブタジエンゴム2について、H−NMR測定したところ、ゴム中に取り込まれたメトキシ基が消失していることが確認されたことから、メトキシ基の代わりに水酸基が導入されたと推測される。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム2を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
〔変性ブタジエンゴム3の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン0.164部の代わりに、2,2−ジエトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン(上記一般式(1)において、R=Ph、A,A=OC)0.302部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.5モルとなる量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム3の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム3は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が250,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.07であった。また、この変性ブタジエンゴム3のブタジエン単位中のビニル結合含有量は79.8モル%であった。さらに、この変性ブタジエンゴム3について、H−NMR測定したところ、ゴム中に取り込まれたエトキシ基が消失していることが確認されたことから、エトキシ基の代わりに水酸基が導入されたと推測される。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム3を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
〔変性ブタジエンゴム4の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン0.164部の代わりに、2,2−ジプロポキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン(上記一般式(1)において、R=Ph、A,A=OC)0.335部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.5モルとなる量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム4の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム4は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が259,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.06であった。また、この変性ブタジエンゴム4のブタジエン単位中のビニル結合含有量は78.9モル%であった。さらに、この変性ブタジエンゴム4について、H−NMRを測定したところ、ゴム中に取り込まれたプロポキシ基が消失していることが確認されたことから、プロポキシ基の代わりに水酸基が導入されたと推測される。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム4を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
〔変性ブタジエンゴム5の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン0.164部の代わりに、2,2−ジメトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン(上記一般式(1)において、R=C、A,A=OCH)0.244部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.5モルとなる量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム5の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム5は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が341,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.17であった。また、この変性ブタジエンゴム5のブタジエン単位中のビニル結合含有量は79.1モル%であった。さらに、この変性ブタジエンゴム5について、H−NMR測定したところ、ゴム中に取り込まれたメトキシ基が消失していることが確認されたことから、メトキシ基の代わりに水酸基が導入されたと推測される。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム5を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
〔変性ブタジエンゴム6の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン0.164部の代わりに、2,2−ジエトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン(上記一般式(1)において、R=C、A,A=OC)0.277部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.5モルとなる量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム6の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム6は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が352,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.14であった。また、この変性ブタジエンゴム6のブタジエン単位中のビニル結合含有量は78.8モル%であった。さらに、この変性ブタジエンゴム6について、H−NMR測定したところ、ゴム中に取り込まれたエトキシ基が消失していることが確認されたことから、エトキシ基の代わりに水酸基が導入されたと推測される。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム6を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
〔変性ブタジエンゴム7の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンの使用量を0.164部から0.058部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、0.33モルとなる量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム7の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム7は、GPC測定において、量平均分子量(Mw)が433,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.17であった。また、この変性ブタジエンゴム7のブタジエン単位中のビニル結合含有量は81.2モル%であった。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム7を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
〔変性ブタジエンゴム8の製造〕
2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン0.164部の代わりに、N−フェニル−ピロリドン0.146部(共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、1.14モルとなる量)を用いた以外は、実施例1と同様にして、変性ブタジエンゴム8の製造を行った。得られた変性ブタジエンゴム8は、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が254,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.09であった。また、この変性ブタジエンゴム8のブタジエン単位中のビニル結合含有量は80.1モル%であった。
次いで、変性ブタジエンゴム1の代わりに、上記にて得られた変性ブタジエンゴム8を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014208805
表1より、変性共役ジエン系ゴムを合成する際に、変性剤として、上記一般式(1)で表される化合物を用い、かつ、上記一般式(1)で表される化合物の使用量を、共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの範囲とした場合には、得られた変性共役ジエン系ゴムを用いて得られたゴム架橋物は、いずれも、低発熱性が良好であり、かつ、耐摩耗性に優れるものであった(実施例1〜6)。
一方、変性共役ジエン系ゴムを合成する際に、変性剤として、上記一般式(1)で表される化合物を用いたものの、使用量が少なすぎる場合には、得られるゴム架橋物は、低発熱性および耐摩耗性に劣る結果となった(比較例1)。
さらに、変性共役ジエン系ゴムを合成する際に、変性剤として、上記一般式(1)で表される化合物に代えて、N−フェニル−ピロリドンを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、低発熱性に極めて劣る結果となった(比較例2)。
なお、上記一般式(1)で表される化合物として、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタンを用い、かつ、使用量を変化させた実施例1,2、比較例1において、得られた変性ブタジエンゴムについて、GPC測定により、2分岐以上のカップリング率を測定したところ、実施例1では、カップリング率=29.2%、実施例2では、カップリング率=13.0%、比較例1では、カップリング率=35.1%であり、実施例1,2によれば、比較例1と比較して、カップリング率が低減されており、さらに、実施例1と実施例2では、実施例2の方が、カップリング率が低減されていることが確認された。

Claims (7)

  1. 不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、
    前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、下記一般式(1)で表される化合物を、該活性末端1モルに対し1.0〜3.0モルの比率となる使用量で反応させる第2工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
    Figure 2014208805
    (上記一般式(1)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、A,Aは、それぞれ独立して、炭素数1〜15のヒドロカルビルオキシ基である。)
  2. 前記活性末端を有する共役ジエン系重合体が、共役ジエン単量体単位50〜100重量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50重量%を含む請求項1に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られる共役ジエン系ゴム。
  4. 請求項3に記載の変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなるゴム組成物。
  5. 架橋剤をさらに含有してなる請求項4に記載のゴム組成物。
  6. 請求項5に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  7. 請求項6に記載のゴム架橋物を含んでなるタイヤ。
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