JP2016011334A - 変性共役ジエン系ゴムの組成物 - Google Patents

変性共役ジエン系ゴムの組成物 Download PDF

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碧 杉山
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Abstract

【課題】加工性に優れ、かつ、低発熱性に優れた自動車用タイヤを与えることのできるゴム組成物の提供。
【解決手段】一方の末端がイソプレン単量体単位80〜95重量%及び芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含むイソプレン含有ブロックであり、他方の末端が活性末端である共役ジエン系重合体鎖に、下記一般式(1)で表される変性剤を反応させることにより得られる共役ジエン系ゴムと、シリカと、硫黄原子を含有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物。
Figure 2016011334

【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物、ゴム架橋物、およびタイヤに関し、より詳細には、加工性に優れ、かつ、低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることのできるゴム組成物、ならびに、このゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、およびこのゴム架橋物を含むタイヤに関する。
近年、環境問題および資源の問題から、自動車用のタイヤには低発熱性が強く求められている。充填剤としてシリカを配合したゴム組成物を用いて得られるタイヤは、従来使用されているカーボンブラックを配合したゴム組成物を用いて得られるタイヤに比べて、低発熱性が向上しているため、より低燃費性タイヤとすることができる。
このような低燃費タイヤを与えるために用いられる共役ジエン系ゴムとして、特許文献1には、共役ジエン系重合体鎖の一端にイソプレンブロックを有し、他端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、特定のハロゲン化スズ化合物を反応させて得られる共役ジエン系ゴムが開示されている。
特表2003−531257号公報
しかしながら、近年の自動車用タイヤに対する要求性能の高まりを鑑みると、今後新しく開発されるタイヤには、これらの特許文献に具体的に記載された共役ジエン系ゴムを用いて得られるタイヤに比べ、より一層の低発熱性に優れたタイヤを製造できる共役ジエン系ゴムが望まれている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工性に優れ、かつ、低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることのできるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、一端にイソプレン含有ブロックを有し、他端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と、特定の変性剤とを反応させることにより得られる共役ジエン系ゴムに、シリカ、および硫黄原子を含有するシランカップリング剤を配合することにより得られるゴム組成物が、加工性に優れ、しかも、低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、一方の末端がイソプレン単量体単位80〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含むイソプレン含有ブロックであり、他方の末端が活性末端である共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることにより得られる共役ジエン系ゴムと、シリカと、硫黄原子を含有するシランカップリング剤とを含有することを特徴とするゴム組成物が提供される。
本発明のゴム組成物において、前記変性剤がエポキシ基およびアルコキシ基から選択される少なくとも一つの基を含有するものであることが好ましく、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンであることがより好ましい。
Figure 2016011334
(上記一般式(1)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、複数あるXは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
本発明のゴム組成物において、前記シランカップリング剤が、1分子中に硫黄原子を1〜3個含有するものであることが好ましい。
本発明のゴム組成物において、前記共役ジエン系重合体鎖におけるイソプレン含有ブロック以外の部分におけるビニル結合含有量が5〜90重量%であることが好ましい。
本発明のゴム組成物において、前記共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対する、前記シリカの含有量が、10〜200重量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、前記共役ジエン系ゴムと、前記シリカと、前記シランカップリング剤とを140〜170℃で混練することにより得られたものであることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有することが好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかに記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明によれば、加工性に優れ、かつ、低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることのできるゴム組成物、該ゴム組成物を架橋してなり、低発熱性に優れたゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、一方の末端がイソプレン単量体単位80〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含むイソプレン含有ブロックであり、他方の末端が活性末端である共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることにより得られる共役ジエン系ゴムと、
シリカと、
硫黄原子を含有するシランカップリング剤と、を含有する性共役ジエン系ゴムの組成物である。
<共役ジエン系ゴム>
まず、本発明で用いる共役ジエン系ゴムについて、説明する。
本発明で用いる共役ジエン系ゴムは、一方の末端がイソプレン単量体単位80〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含むイソプレン含有ブロックであり、他方の末端が活性末端である共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることにより得られるものである。
本発明で用いる共役ジエン系ゴムに含有される構造体を形成するのに用いられる共役ジエン系重合体鎖は、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖であって、少なくとも一方の末端がイソプレン単量体単位80〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含むイソプレン含有ブロックであり、他方の末端が活性末端であれば、特に限定されない。
[イソプレン含有ブロック]
共役ジエン系重合体鎖中のイソプレン含有ブロックは、イソプレン単量体単位80〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含んでいれば特に限定されず、イソプレン単量体単位85〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜15重量%を含んでいることが好ましく、イソプレン単量体単位89〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜11重量%を含んでいることがより好ましい。イソプレン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との含有割合が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムにシリカを配合した場合に、共役ジエン系ゴムとシリカとの親和性が良好となり、これを用いて得られるゴム架橋物を、低発熱性、およびウエットグリップ性に優れたものとすることができる。
イソプレン含有ブロックに含まれる芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、または4−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。なお、これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソプレン含有ブロックは、イソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位のみからなるものであることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、所望により、イソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外に、さらに、その他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸などの不飽和力ルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。これらのその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。イソプレン含有ブロック中における、その他の単量体単位の含有割合は、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、共役ジエン系重合体鎖中のイソプレン含有ブロックは、不活性溶媒中、イソプレン、芳香族ビニル単量体、および必要に応じて加えられるその他の単量体を含む単量体混合物を、重合開始剤により重合することにより形成される。イソプレン含有ブロックは、活性末端を有するものとなる。
イソプレン含有ブロックを形成するために、イソプレンおよび芳香族ビニル単量体、および必要に応じて加えられるその他の単量体を含む単量体混合物の重合に用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであって、重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。その具体例としては、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、好ましくは1〜80重量%となる量であり、より好ましくは10〜50重量%となる量である。
イソプレン含有ブロックを形成するために用いられる重合開始剤としては、イソプレンおよび芳香族ビニル単量体、および必要に応じて加えられるその他の単量体を含む単量体混合物を重合させて、活性末端を有する重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物および有機アルカリ土類金属化合物、ならびにランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、たとえば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機力リウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、たとえば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸力ルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、たとえば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、および有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物を用いることが好ましく、n−ブチルリチウムを用いることがより好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、単量体混合物100g当り、好ましくは4〜250mmol、より好ましくは6〜200mmol、特に好ましくは10〜70mmolの範囲である。
単量体混合物を重合するにおける重合温度は、好ましくは−80〜+150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。また、結合様式としては、たとえば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。
また、イソプレン含有ブロックにおけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、および2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、第三級アミンが好ましく、その中でも、重合開始剤の金属とキレート構造を形成し得るものがより好ましく、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、およびテトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、0.01〜30molが好ましく、0.05〜10molがより好ましい。極性化合物の使用量が上記範囲内にあると、イソプレン含有ブロックに含まれるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、しかも、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。また、上記範囲内で極性化合物の使用量を増加させることで、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を増加させることができる。
イソプレン含有ブロックにおけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量は、5〜90重量%が好ましく、5〜80重量%がより好ましい。イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。なお、本明細書中において、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量とは、イソプレン単量体単位中の、1,2−構造を有するイソプレン単量体単位および3,4−構造を有するイソプレン単量体単位の合計量の割合を指すものとする。
イソプレン含有ブロックの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値として、500〜15,000であることが好ましく、1,000〜12,000であることがより好ましく、1,500〜10,000であることが特に好ましい。イソプレン含有ブロックの重量平均分子量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、イソプレン含有ブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましい。イソプレン含有ブロックの分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造がより容易となる。
[イソプレン含有ブロック以外の部分]
また、本発明で用いる共役ジエン系ゴムに含有される構造体を形成するのに用いられる共役ジエン系重合体鎖は、上述したイソプレン含有ブロック以外の部分として、1,3−ブタジエンの単独重合体鎖または1,3−ブタジエンと芳香族ビニル単量体との共重合体鎖を有するもの(以下、「ブタジエン含有ブロック」とする。)であることが好ましい。以下においては、イソプレン含有ブロック以外の部分を、ブタジエン含有ブロックで構成する場合を例示して説明する。
ブタジエン含有ブロックにおける、1,3−ブタジエン単位と芳香族ビニル単量体単位との重量比(1,3−ブタジエン単位:芳香族ビニル単量体単位)は、100:0〜50:50が好ましく、90:10〜55:45がより好ましく、85:15〜55:45が特に好ましい1,3−ブタジエン単位と芳香族ビニル単量体単位との重量比が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。
また、ブタジエン含有ブロックを得るために用いる芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、上述したイソプレン含有ブロックにおいて例示した芳香族ビニル単量体を同様に用いることができ、これらの中でも、スチレンが好ましい。
共役ジエン系重合体鎖中におけるブタジエン含有ブロックは、1,3−ブタジエン単位のみ、または1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単量体単位のみからなるものであることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、所望により、1,3−ブタジエン単位および芳香族ビニル単量体単位以外に、さらに、その他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、上述したイソプレン含有ブロックにおいて例示された化合物(ただし、1,3−ブタジエンを除く)を同様に用いることができる。また、ブタジエン含有ブロックにおいては、その他の単量体としてイソプレンを用いることもできる。ブタジエン含有ブロック中における、その他の単量体単位の含有割合は、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、共役ジエン系重合体鎖中のブタジエン含有ブロックは、上述した活性末端を有するイソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物と、を混合して重合反応を継続させることにより、イソプレン含有ブロックと一続きに形成される。形成されたブタジエン含有ブロックは、活性末端を有するものとなる。
ブタジエン含有ブロックを形成するために、イソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物との重合に用いられる不活性溶媒としては、特に限定されず、上述したイソプレン含有ブロックの調製に用いられる不活性溶媒と同様のものを用いることができる。
ブタジエン含有ブロックを形成する際における、活性末端を有するイソプレン含有ブロックの使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物100g当り、好ましくは0.1〜5mmol、より好ましくは0.15〜2mmol、さらに好ましくは0.2〜1.5mmolの範囲である。
イソプレン含有ブロックと1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物との混合方法は、特に限定されず、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物の溶液中に活性末端を有するイソプレン含有ブロックを加えてもよいし、活性末端を有するイソプレン含有ブロックの溶液中に1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を加えてもよい。重合の制御の観点より、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物の溶液中に活性末端を有するイソプレン含有ブロックを加える方法が好ましい。
1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を重合するにおける重合温度は、好ましくは−80〜+150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。ブタジエン含有ブロックを共重合体鎖とする場合には、結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
ブタジエン含有ブロックを共重合体鎖とする場合の各単量体の結合様式は、たとえば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。これらの中でも、ランダム状が好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。なお、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体の結合様式をランダム状にする場合、重合系内において、1,3−ブタジエンと芳香族ビニル単量体との合計量に対する芳香族ビニル単量体の比率が高くなりすぎないように、1,3−ブタジエンまたは1,3−ブタジエンと芳香族ビニル単量体とを、連続的または断続的に重合系内に供給して重合することが好ましい。
また、本発明においては、ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、イソプレン含有ブロックにおけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節時と同様に、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。ただし、イソプレン含有ブロックの調製時に、不活性溶媒に、ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するのに十分な量の極性化合物を添加している場合は、新たに極性化合物を添加しなくてもよい。ビニル結合含有量を調節するために用いられる極性化合物についての具体例は、上述のイソプレン含有ブロックの調製に用いられる極性化合物と同様である。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1mo1に対して、好ましくは0.01〜100mol、より好ましくは0.1〜30mo1の範囲で調節すればよい。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量(すなわちイソプレン含有ブロック以外の部分におけるビニル結合含有量)、は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜70重量%である。ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物をより低発熱性に優れたものとすることができる。
このようにして、一方の末端にイソプレン含有ブロックを有し、他方の末端が、ブタジエン含有ブロックからなり、かつ、活性末端である共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。
共役ジエン系重合体鎖におけるイソプレン含有ブロックとブタジエン含有ブロックとの重量比は、(イソプレン含有ブロックの重量)/(ブタジエン含有ブロックの重量)で、0.001〜0.1であることが好ましく、0.003〜0.070であることがより好ましく、0.005〜0.05であることが特に好ましい。イソプレン含有ブロックとブタジエン含有ブロックとの重量比を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を、強度と低発熱性とのバランスが良好なものとすることができる。
共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値で、好ましくは100,000〜1,000,000であり、より好ましくは150,000〜700,000であり、さらに好ましくは150,000〜500,000である。共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を、強度と低発熱性とのバランスが良好なものとすることができる。
共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましく、1.0〜2.2であることが特に好ましい。活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。
[変性反応]
本発明で用いる共役ジエン系ゴムは、以上のようにして得られる共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、変性剤を反応させることにより、共役ジエン系重合体鎖を変性させることで得ることができる。
変性反応に用いる変性剤としては、上述した共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有するものであればよく、特に限定されないが、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基として、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を有するものが好ましい。また、このような変性剤としては、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を、1分子中に3以上有するものが好ましく、このような変性剤を使用することにより、共役ジエン系ゴムのシリカに対する親和性をより高めることができ、これにより得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。
このような変性剤の具体例としては、たとえば、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)エタンなどのアルコキシシラン;などを挙げることができる。これらの中でも、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンを用いることにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性により優れたものとすることができる。
Figure 2016011334
上記一般式(1)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、複数あるXは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。
上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、一般式(1)中のR〜R、XおよびXを構成し得る炭素数1〜6のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、たとえば、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得る炭素数1〜5のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、共役ジエン系重合体鎖の活性末端との反応性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
さらに、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得るエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、たとえば、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
−Z−Z−E (2)
上記一般式(2)中、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
上記一般式(2)で表される基としては、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数1〜3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、XおよびXとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、Xとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。さらに、XおよびXが炭素数1〜6のアルキル基であり、Xがエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(3)で表される基が好ましい。
Figure 2016011334
上記一般式(3)中、tは2〜20の整数であり、Pは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Qは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Pが炭素数3のアルキレン基であり、Rが水素原子であり、かつ、Qがメトキシ基であるものが好ましい。
上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは3〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120の整数である。mが3以上であると、変性により得られる共役ジエン系ゴムのシリカに対する親和性をより高めることができ、これにより、得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。また、mが200以下であると、ポリオルガノシロキサン自体の製造がより容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いもより容易となる。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜130の整数である。m、nおよびkの合計数は、3〜400であることが好ましく、20〜300であることがより好ましく、30〜250であることが特に好ましい。m、nおよびkの合計数が上記範囲内にあると、ポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
なお、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基が共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のエポキシ基が開環することにより、エポキシ基が開環した部分の炭素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との結合が形成されると考えられる。また、ポリオルガノシロキサン中のアルコキシ基が共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のアルコキシ基が脱離することにより、脱離したアルコキシ基が結合していたポリオルガノシロキサンにおけるケイ素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との結合が形成されると考えられる。
変性剤の使用量は、重合に使用した重合開始剤1molに対する変性剤中のエポキシ基およびアルコキシ基の合計mol数の比が0.1〜1の範囲となる量であり、0.2〜0.9の範囲となる量であることが好ましく、0.3〜0.8の範囲となる量であることがより好ましい。変性剤の使用量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。変性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明においては、本発明で用いる共役ジエン系ゴムを得る際に、共役ジエン系重合体鎖に、上述した変性剤を反応させる前に、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合停止剤、上述した変性剤以外の重合末端変性剤およびカップリング剤などを重合系内に添加して、共役ジエン系重合体鎖の活性末端の一部を不活性化したものであってもよい。
このとき用いられる重合末端変性剤およびカップリング剤としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、およびN−メチル−ε−カプロラクタムなどのN−置換環状アミド類;1,3−ジメチルエチレン尿素、および1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンなどのN−置換環状尿素類;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのN−置換アミノケトン類;ジフェニルメタンジイソシアネート、および2,4−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのN,N−ジ置換アミノアルキルメタクリルアミド類;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類;ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのN−置換カルボジイミド類;N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミンなどのシッフ塩基類;4−ビニルピリジンなどのピリジル基含有ビニル化合物;四塩化錫、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどのハロゲン化金属化合物;などが挙げられる。これらの中でも、本発明で用いる共役ジエン系ゴムは、ハロゲン化金属化合物をカップリング剤として併用して得られるものであることが好ましく、1分子中に5以上のケイ素−ハロゲン原子結合を有するハロゲン化ケイ素化合物をカップリング剤として併用して得られるものであることがより好ましく、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンを用いることが特に好ましい。1分子中に5以上のケイ素−ハロゲン原子結合を有するハロゲン化ケイ素化合物をカップリング剤として併用することにより、共役ジエン系ゴムを高分岐構造を有するものとすることができ、これにより得られるゴム架橋物をタイヤとして用いた場合に、操縦安定性に優れたものとすることができる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを反応させる際、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、変性剤などを添加することが好ましく、反応を良好に制御する観点から、変性剤などを不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することがより好ましい。その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。
上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを添加する時期は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体鎖における重合反応が完結しておらず、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に変性剤などを添加することが望ましい。変性剤およびカップリングの添加をこのようなタイミングで行なうことにより、共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを反応させるときの条件としては、温度が、たとえば、0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、それぞれの反応時間が、例えば、1分〜120分、好ましくは2分〜60分の範囲である。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを反応させた後は、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端を失活させた後、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを重合溶液に添加し、その後、直接乾燥またはスチームストリッピングなどにより重合溶液から重合溶媒を分離して、共役ジエン系ゴムを回収する。なお、重合溶液から重合溶媒を分離する前に、重合溶液に伸展油を混合し、共役ジエン系ゴ
ムを油展ゴムとして回収してもよい。
共役ジエン系ゴムを油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、共役ジエン系ゴム100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部である。
また、本発明で用いる共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系重合体鎖と、上述した変性剤とを反応させることにより生じる、3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体を、5〜40重量%含有していることが好ましく、5〜30重量%含有していることがより好ましく、10〜25重量%含有していることが特に好ましい。3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の割合が上記範囲内にあると、製造時における凝固性、および乾燥性が良好となり、さらには、共役ジエン系ゴムにシリカを配合したときに、ゴム組成物の加工性をより高めることができ、さらには、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。なお、最終的に得られ
た共役ジエン系ゴムの全量に対する、3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の割合(重量分率)を、共役ジエン系重合体鎖の3分岐以上のカップリング率として表す。これは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(ポリスチレン換算)により測定することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定により得られたチャートより、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の2.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、共役ジエン系重合体鎖の3分岐以上のカップリング率とする。
本発明で用いる共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値で、好ましくは100,000〜3,000,000、より好ましくは150,000〜2,000,000、特に好ましくは200,000〜1,5000,000である。共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、共役ジエン系ゴムへのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物の加工性をより高めることができ、さらには、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
本発明で用いる共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。共役ジエン系ゴムの分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、本発明で用いる共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜90、特に好ましくは35〜80である。なお、共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
<シリカ>
本発明のゴム組成物は、上述した共役ジエン系ゴムに、シリカ、および後述する硫黄原子を含有するシランカップリング剤を配合してなるものである。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m/g、より好ましくは80〜220m/g、特に好ましくは100〜170m/gである。また、シリカのpHは、pH5〜10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部であり、より好ましくは30〜150重量部、さらに好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性をより高めることができる。
なお、上述した共役ジエン系ゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)や共役ジエン系ゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
<硫黄原子を含有するシランカップリング剤>
本発明のゴム組成物は、上述した共役ジエン系ゴム、およびシリカに加えて、硫黄原子を含有するシランカップリング剤を含有する。
硫黄原子を含有するシランカップリング剤としては、特に限定されず、硫黄原子を含有し、かつシランカップリング剤として作用する化合物であれば何でもよい。硫黄原子を含有するシランカップリング剤の具体例としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。硫黄原子を含有するシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができるという点より、1分子中に硫黄原子を1〜3個含有するものが好ましく、1分子中に硫黄原子を1個のみ有するものが特に好ましい。
本発明のゴム組成物における硫黄原子を含有するシランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した本発明の製造方法によって得られる共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、上述した共役ジエン系ゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、上述した共役ジエン系ゴムをゴム成分中に含めることにより、ゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分、具体的には、シリカおよび硫黄原子を含有するシランカップリング剤と、共役ジエン系ゴムと、必要に応じて配合される添加剤とをミキサーなどで混練し、次いで、得られた混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。この際において、本発明では、熱に不安定な成分を除く成分、すなわち、シリカおよび硫黄原子を含有するシランカップリング剤と、共役ジエン系ゴムと、必要に応じて配合される添加剤とを混練する際の混練温度を、好ましくは100〜200℃、より好ましくは140〜170℃、さらに好ましくは150〜170℃、特に好ましくは160〜170℃に設定する。
本発明によれば、混練温度をこのように比較的高い温度範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができるものである。その一方で、混練温度をこのように比較的高い温度範囲とすると、配合物中の成分、たとえば、シランカップリング剤などが反応してしまい、これにより得られるゴム組成物の粘度が高くなってしまい、加工性が低下してしまう場合がある。これに対し、本発明によれば、上述した特定の共役ジエン系ゴムを用い、これに、シランカップリング剤として、硫黄原子を含有するものを用いることにより、このように比較的高い温度で混練した場合でも、粘度上昇を適切に抑えることができ、これにより、得られるゴム組成物を加工性に優れたものとしながら、ゴム架橋物とした場合における低発熱性の向上を可能とするものである。特に、このような効果は、硫黄原子を含有するシランカップリング剤の中でも、1分子中に硫黄原子を1〜3個含有するシランカップリング剤を用いることにより、より顕著なものとすることができる。
なお、本発明において、熱に不安定な成分を除く成分、すなわち、シリカおよび硫黄原子を含有するシランカップリング剤と、共役ジエン系ゴムと、必要に応じて配合される添加剤とを混練する際の混練温度を、上記温度範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、たとえば、上記各成分を混練した場合には、ミキサーの温度を所定の温度に設定した場合でも、混練により発生する摩擦力等により、混練物の温度上昇が発生する場合が多い。そのため、本発明においては、このように混練により発生する摩擦力等による温度上昇を加味した上で、混練物の温度が一定なものとなるように、ミキサーの回転数等を調整することにより、混練時の温度を上記範囲に制御することが望ましい。なお、この場合における混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、このようにして得られた混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
また、本発明のゴム組成物は、たとえば、架橋してタイヤとして用いることができる他、耐衝撃性ポリスチレンなどの樹脂強化用ゴムなどとして用いることができる。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を用いて得られるものであるため、低発熱性に優れるものである。そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。特に、本発明のゴム架橋物は、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、およびスタッドレスタイヤなどの各種タイヤにおいて、トレッド、カーカス、サイドウォール、およびビード部などのタイヤ各部位に好適に用いることができ、特に低発熱性に優れるので、低燃費タイヤのトレッド用として、特に好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔重量平均分子量、分子量分布、カップリング率〕
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、およびカップリング率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、得られたチャートに基づいて求めた。ゲルパーミエーションクロマトグラフィの具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
なお、カップリング率については、上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の2.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、共役ジエン系重合体鎖のカップリング率の値とした。
〔芳香族ビニル単量体単位含有量、ビニル結合量〕
芳香族ビニル単量体単位含有量、およびビニル結合量は、H−NMRにより測定した。
〔ゴム組成物の加工性〕
ゴム組成物のムーニー粘度(コンパウンドムーニー)を、JIS K6300に従って測定し(単位は〔ML1+4、100℃〕)、得られたムーニー粘度に基づいて加工性を評価した。ムーニー粘度が低いほど、加工性に優れると判断できる。
〔ゴム架橋物の低発熱性〕
ゴム組成物を、160℃、15分間プレス架橋することで、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を得た。そして、得られた試験片について、レオメトリックス社製ARESを用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定することにより、低発熱性の評価を行った。このtanδの値については、表1〜3ごとに、比較例1、比較例3、比較例8の測定値をそれぞれ100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。なお、表1〜3においては、共役ジエン系ゴム中のスチレン単位の含有量が、ほぼ同水準にあるもの同士をまとめて示している。
〔製造例1〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン35g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.32mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.2mmolを添加した。次いで、イソプレン14.8g、およびスチレン1.2gをゆっくりと添加し、50℃のアンプル瓶内で120分反応させることにより、イソプレン含有ブロックを得た。このイソプレン含有ブロックの重量平均分子量(Mw)0.85万、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、スチレン単位含有量は7.5%、イソプレン単位含有量は92.5%、ビニル結合含有量は10.3%であった。
次に、攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン1.5mmol、1,3−ブタジエン228.0g、およびスチレン252.0gを仕込んだ後、上記にて得られたイソプレン含有ブロックを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン120gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は70℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、下記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.06mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部、および伸展油(商品名「アロマックスT−DAE」、新日本石油社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して25部、それぞれ添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴム(I)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(I)の重量平均分子量(Mw)は71.4万、分子量分布(Mw/Mn)は1.43、カップリング率は23.8%であり、スチレン単位含有量は41.7%、ビニル結合含有量は29.6%であった。イソプレン含有ブロック中のイソプレン単量体単位の含有割合、共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表1に示す。
Figure 2016011334
〔製造例2〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン1.6mmol、1,3−ブタジエン228.0g、およびスチレン252.0gを仕込んだ後、ブチルリチウム2.9mmolを加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン120gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は70℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が0.95mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20重量パーセント濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部添加、および伸展油(商品名「アロマックスT−DAE」、新日本石油社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して25部、それぞれ添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、共役ジエン系ゴム(II)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(II)の重量平均分子量(Mw)は70.8万、分子量分布(Mw/Mn)は1.39、カップリング率は19.5%であり、スチレン単位含有量は41.8%、ビニル結合含有量は30.3%であった。共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表1に示す。
〔製造例3〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン35g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.49mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム4.9mmolを添加した。次いで、イソプレン7.3g、およびスチレン0.6gをゆっくりと添加し、50℃のアンプル瓶内で120分反応させることにより、イソプレン含有ブロックを得た。このイソプレン含有ブロックの重量平均分子量(Mw)0.28万、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、スチレン単位含有量は8.0%、イソプレン単位含有量は92.0%、ビニル結合含有量は12.5%であった。
次に、攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン6.5mmol、1,3−ブタジエン306.6g、およびスチレン113.4gを仕込んだ後、上記にて得られたイソプレン含有ブロックを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン167.4g、およびスチレン12.6gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は60℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.63mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴム(III)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(III)の重量平均分子量(Mw)は42.5万、分子量分布(Mw/Mn)は1.38、カップリング率は23.2%であり、スチレン単位含有量は20.9%、ビニル結合含有量は62.1%であった。イソプレン含有ブロック中のイソプレン単量体単位の含有割合、共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表2に示す。
〔製造例4〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン6.4mmol、1,3−ブタジエン306.6g、およびスチレン113.4gを仕込んだ後、ブチルリチウム4.5mmolを加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン167.4g、およびスチレン12.6gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は60℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.49mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20重量パーセント濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴム(IV)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(IV)の重量平均分子量(Mw)は44.9万、分子量分布(Mw/Mn)は1.37、カップリング率は20.8%であり、スチレン単位含有量は21.1%、ビニル結合含有量は62.6%であった。共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表2に示す。
〔製造例5〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン35g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.49mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム4.9mmolを添加した。次いで、イソプレン6.1g、およびスチレン1.8gをゆっくりと添加し、50℃のアンプル瓶内で120分反応させることにより、イソプレン含有ブロックを得た。このイソプレン含有ブロックの重量平均分子量(Mw)は0.26万、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、スチレン単位含有量は22.8%、イソプレン単位含有量は77.2%、およびビニル結合含有量は12.0%であった。
次に、攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン6.5mmol、1,3−ブタジエン306.6g、およびスチレン113.4gを仕込んだ後、上記にて得られたイソプレン含有ブロックを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン167.4g、およびスチレン12.6gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は60℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.63mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴム(V)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(V)の重量平均分子量(Mw)は44.9万、分子量分布(Mw/Mn)は1.37、カップリング率は22.8%であり、スチレン単位含有量は21.2%、ビニル結合含有量は62.5%であった。イソプレン含有ブロック中のイソプレン単量体単位の含有割合、共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表2に示す。
〔製造例6〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン35g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.49mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム4.9mmolを添加した。次いで、イソプレン7.1g、およびスチレン0.8gをゆっくりと添加し、50℃のアンプル瓶内で120分反応させることにより、イソプレン含有ブロックを得た。このイソプレン含有ブロックの重量平均分子量(Mw)は0.27万、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、スチレン単位含有量は10.9%、イソプレン単位含有量は89.1%、ビニル結合含有量は11.8%であった。
次に、攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン1.0mmol、1,3−ブタジエン340.2g、およびスチレン79.8gを仕込んだ後、上記にて得られたイソプレン含有ブロックを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン170.1g、およびスチレン9.9gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は60℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.63mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴム(VI)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(VI)の重量平均分子量(Mw)は44.3万、分子量分布(Mw/Mn)は1.41、カップリング率は24.9%であり、スチレン単位含有量は15.0%、ビニル結合含有量は30.4%であった。イソプレン含有ブロック中のイソプレン単量体単位の含有割合、共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表3に示す。
〔製造例7〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン1.3mmol、1,3−ブタジエン340.2g、およびスチレン79.8gを仕込んだ後、ブチルリチウム4.5mmolを加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン170.1g、およびスチレン9.9gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は60℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.49mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当)となるように、20重量パーセント濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴム(VII)を得た。得られた共役ジエン系ゴム(VII)の重量平均分子量(Mw)は45.9万、分子量分布(Mw/Mn)は1.38、カップリング率は21.2%であり、スチレン単位含有量は14.9%、ビニル結合含有量は29.4%であった。共役ジエン系ゴムのスチレン単量体単位含有量、共役ジエン系ゴムのビニル結合含有量の測定結果を表3に示す。
〔実施例1〕
容積250mlのバンバリーミキサーを用いて、製造例1で得られた共役ジエン系ゴム(I)87.5部、およびブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製)30部を素練りした。次いで、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ローディア社製、窒素吸着比表面積(BET法):163m/g)50部、シランカップリング剤としてのビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(商品名「Si69」、デグッサ社製、硫黄原子数:4)6部、および伸展油(商品名「T−DAE」、JX 日鉱日石エネルギー社製)10部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練した。次いで、得られた混練物に、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ローディア社製)25部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、ADEKA社製)2部、および老化防止剤としてのN−フェニル−N’− (1,3−ジメチルブチル) −p−フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、2.5分間混練して、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。なお、この際におけるバンバリーミキサーでの混練は、混練スピードを制御することで、ミキサー内の混練物の温度(混練温度)を、混練開始後、150℃に到達した時点で、混練物の温度(混練温度)が150℃に保たれるような条件とした。
そして、混練により得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度バンバリーミキサー中で、3分間混練した後、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールを用いて、得られた混練物と、硫黄1.5部、架橋促進剤としてのN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ−G」、大内新興化学工業社製)1.8部、および、架橋促進剤としてのジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.5部を混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。
得られたゴム組成物を用いて、ゴム組成物の加工性およびゴム架橋物の低発熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2,3〕
バンバリーミキサーでの混練を行う際における混練温度を、それぞれ160℃(実施例2)、および170℃(実施例3)とした以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド6部の代わりに、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(商品名「A−LINK599」、モメンティブ社製、硫黄原子数:1)6部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〜7〕
バンバリーミキサーでの混練を行う際における混練温度を、それぞれ140℃(実施例5)、160℃(実施例6)、および170℃(実施例7)とした以外は、実施例4と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
製造例1で得られた共役ジエン系ゴム(I)87.5部の代わりに、製造例2で得られた共役ジエン系ゴム(II)87.5部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド6部の代わりに、ビニルトリエトキシシラン(商品名「Dynasylan6498」、デグッサジャパン社製、硫黄原子数を含有しないシランカップリング剤)6部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016011334
<実施例1〜7、比較例1,2の評価>
実施例1〜7、比較例1,2においては、ゴム架橋物の低発熱性における、tanδの値を、比較例1の測定値を100とする指数で示した。
表1に示すように、本発明所定の共役ジエン系ゴムに、シリカおよび硫黄原子を含有するシランカップリング剤を配合してなるゴム組成物は、コンパウンドムーニーが低く、ゴム組成物としての加工性に優れ、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも優れる結果となった(実施例1〜7)。
一方、共役ジエン系ゴムとして、イソプレン含有ブロックを含有しないものを用いた場合には、コンパウンドムーニーが高くなり、ゴム組成物としての加工性に劣り、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも劣る結果となった(比較例1)。
また、シランカップリング剤として、硫黄原子を含有しないものを用いた場合には、コンパウンドムーニーが高くなり、ゴム組成物としての加工性に劣り、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも劣る結果となった(比較例2)。
〔実施例8〕
容積250mlのバンバリーミキサーを用いて、製造例3で得られた共役ジエン系ゴム(III)70部、およびブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製)30部を素練りした。次いで、シリカ(商品名「7000GR」、デグッサ社製、窒素吸着比表面積(BET法):170m/g)50部、シランカップリング剤としてのビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(商品名「Si69」、デグッサ社製、硫黄原子数:4)6部、および伸展油(商品名「T−DAE」、JX 日鉱日石エネルギー社製)25部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練した。次いで、得られた混練物に、シリカ(商品名「7000GR」、デグッサ社製)25部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)2.5部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、ADEKA社製)2部、および老化防止剤としてのN−フェニル−N’− (1,3−ジメチルブチル) −p−フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、2.5分間混練して、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。なお、この際におけるバンバリーミキサーでの混練は、混練スピードを制御することで、ミキサー内の混練物の温度(混練温度)を、混練開始後、150℃に到達した時点で、混練物の温度(混練温度)が150℃に保たれるような条件とした。
そして、混練により得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度バンバリーミキサー中で、3分間混練した後、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールを用いて、得られた混練物と、硫黄1.5部、架橋促進剤としてのN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ−G」、大内新興化学工業社製)1.7部、および、架橋促進剤としてのジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)2.0部を混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。
得られたゴム組成物を用いて、ゴム組成物の加工性およびゴム架橋物の低発熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例9〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド6部の代わりに、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(商品名「A−LINK599」、モメンティブ社製、硫黄原子数:1)6部を使用した以外は、実施例8と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
製造例3で得られた共役ジエン系ゴム(III)70部の代わりに、製造例4で得られた共役ジエン系ゴム(IV)70部を使用した以外は、実施例8と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
容積250mlのバンバリーミキサーを用いて、製造例4で得られた共役ジエン系ゴム(IV)70部、およびブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製)30部を素練りした。次いで、シリカ(商品名「Zeosil Premium 200MP」、ローディア社製、窒素吸着比表面積(BET法):215m/g)46.6部、シランカップリング剤としてのビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(商品名「Si69」、デグッサ社製、硫黄原子数:4)9部、および伸展油(商品名「T−DAE」、JX 日鉱日石エネルギー社製)20部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練した。次いで、得られた混練物に、シリカ(商品名「Zeosil Premium 200MP」、ローディア社製)23.3部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、ADEKA社製)2部、および老化防止剤としてのN−フェニル−N’− (1,3−ジメチルブチル) −p−フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、2.5分間混練して、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。なお、この際におけるバンバリーミキサーでの混練は、混練スピードを制御することで、ミキサー内の混練物の温度(混練温度)を、混練開始後、150℃に到達した時点で、混練物の温度(混練温度)が150℃に保たれるような条件とした。
そして、混練により得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度バンバリーミキサー中で、3分間混練した後、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールを用いて、得られた混練物と、硫黄1.9部、架橋促進剤としてのN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ−G」、大内新興化学工業社製)1.7部、および、架橋促進剤としてのジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.7部を混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。
得られたゴム組成物を用いて、ゴム組成物の加工性およびゴム架橋物の低発熱性の評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド9部の代わりに、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(商品名「A−LINK599」、モメンティブ社製、硫黄原子数:1)9部を使用した以外は、比較例4と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例6〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド9部の代わりに、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル) ジスルフィド(商品名「Si75」、デグッサ社製、硫黄原子数:2)9部を使用した以外は、比較例4と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例7〕
製造例3で得られた共役ジエン系ゴム(III)70部の代わりに、製造例5で得られた共役ジエン系ゴム(V)70部を使用するとともに、シリカとして、シリカ(商品名「7000GR」、デグッサ社製)50部および25部に代えて、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ローディア社製)50部および25部を使用した以外は、実施例8と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2016011334
<実施例8,9、比較例3〜7の評価>
実施例8,9、比較例3〜7においては、ゴム架橋物の低発熱性における、tanδの値を、比較例3の測定値を100とする指数で示した。
表2に示すように、本発明所定の共役ジエン系ゴムに、シリカおよび硫黄原子を含有するシランカップリング剤を配合してなるゴム組成物は、コンパウンドムーニーが低く、ゴム組成物としての加工性に優れ、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも優れる結果となった(実施例8,9)。
一方、共役ジエン系ゴムとして、イソプレン含有ブロックを含有しないものを用いた場合には、コンパウンドムーニーが高くなり、ゴム組成物としての加工性に劣り、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも劣る結果となった(比較例3〜6)。
さらに、共役ジエン系ゴムとして、イソプレン含有ブロックを含有するものの、イソプレン単位の含有割合が本発明所定の範囲外のものを用いた場合には、ゴム架橋物とした場合における低発熱性に劣る結果となった(比較例7)。
〔実施例10〕
製造例5で得られた共役ジエン系ゴム(V)70部の代わりに、製造例6で得られた共役ジエン系ゴム(VI)70部を使用した以外は、比較例7と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例11〕
シランカップリング剤として、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド6部の代わりに、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(商品名「A−LINK599」、モメンティブ社製、硫黄原子数:1)6部を使用した以外は、実施例10と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例8〕
製造例6で得られた共役ジエン系ゴム(VI)70部の代わりに、製造例7で得られた共役ジエン系ゴム(VII)70部を使用した以外は、実施例10と同様にして、ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2016011334
<実施例10,11、比較例8の評価>
実施例10,11、比較例8においては、ゴム架橋物の低発熱性における、tanδの値を、比較例8の測定値を100とする指数で示した。
表3に示すように、本発明所定の共役ジエン系ゴムに、シリカおよび硫黄原子を含有するシランカップリング剤を配合してなるゴム組成物は、コンパウンドムーニーが低く、ゴム組成物としての加工性に優れ、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも優れる結果となった(実施例10,11)。
一方、共役ジエン系ゴムとして、イソプレン含有ブロックを含有しないものを用いた場合には、コンパウンドムーニーが高くなり、ゴム組成物としての加工性に劣り、また、ゴム架橋物とした場合における低発熱性にも劣る結果となった(比較例8)。

Claims (10)

  1. 一方の末端がイソプレン単量体単位80〜95重量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20重量%を含むイソプレン含有ブロックであり、他方の末端が活性末端である共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることにより得られる共役ジエン系ゴムと、
    シリカと、
    硫黄原子を含有するシランカップリング剤とを含有することを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記変性剤がエポキシ基およびアルコキシ基から選択される少なくとも一つの基を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記変性剤が下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
    Figure 2016011334
    (上記一般式(1)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、複数あるXは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
  4. 前記シランカップリング剤が、1分子中に硫黄原子を1〜3個含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記共役ジエン系重合体鎖におけるイソプレン含有ブロック以外の部分におけるビニル結合含有量が5〜90重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対する、前記シリカの含有量が、10〜200重量部である請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 前記共役ジエン系ゴムと、前記シリカと、前記シランカップリング剤とを140〜170℃で混練することにより得られたものである請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 架橋剤をさらに含有する請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 請求項8に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  10. 請求項9に記載のゴム架橋物を含んでなるタイヤ。
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