JP2021187951A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定共役ジエン系ゴムの含有量が35質量%以上であり特定ブタジエンゴムの含有量が15質量%以上のゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含有し、特定共役ジエン系ゴムが、イソプレン単位を含有するブロック(A)とブタジエン単位を含有するブロック(B)とを備え、末端にシロキサン化合物による変性構造を備え、(A)及び(B)の少なくとも一方にシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有し、(A)のMwが1,000〜30,000であり、全体のMwが50,000〜5,000,000であり、全体の芳香族ビニル含有量が30〜45質量%であり、全体のビニル結合含有量が15〜35質量%であり、特定ブタジエンゴムが、ガラス転移温度が−85℃以下である、タイヤ用ゴム組成物。
【選択図】図1
Description
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考にタイヤ用ゴム組成物を調製し、タイヤにしたときの転がり抵抗温度依存性及びウェット性能を評価したところ、昨今求められているレベルを必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
なお、以下、タイヤにしたときの、転がり抵抗温度依存性、ウェット性能を、単に、転がり抵抗温度依存性、ウェット性能とも言う。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
上記ゴム成分が、特定共役ジエン系ゴムと、特定ブタジエンゴムとを含有し、
上記ゴム成分中、上記特定共役ジエン系ゴムの含有量が35質量%以上であり、上記特定ブタジエンゴムの含有量が15質量%以上であり、
上記特定共役ジエン系ゴムが、
イソプレン単量体単位を含有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを備えるとともに、少なくとも1つの末端にシロキサン化合物による変性構造を備える、共役ジエン系ゴムであって、
上記重合体ブロック(A)及び上記重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有し、
上記重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲であり、全体の重量平均分子量(Mw)が50,000〜5,000,000の範囲であり、
全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が、30〜45質量%であり、
全体のビニル結合含有量が、15〜35質量%である、共役ジエン系ゴムであり、
上記特定ブタジエンゴムが、ガラス転移温度が−85℃以下のブタジエンゴムであり、
上記シリカの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、50〜150質量部であり、
上記シランカップリング剤の含有量が、上記シリカの含有量に対して、3〜30質量%である、タイヤ用ゴム組成物。
(2) 上記特定共役ジエン系ゴムの芳香族ビニル単量体単位含有量が、35〜45質量%である、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記特定ブタジエンゴムが、少なくとも1つの末端にヘテロ原子を含む変性基を有する、上記(1)又は(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 上記シリカが、CTAB吸着比表面積が190m2/g以上のシリカである特定シリカを20質量部以上含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(5) さらに、後述する一般式(I)で表されるアルキルトリエトキシシランを含有し、
上記アルキルトリエトキシシランの含有量が、上記シリカの含有量に対して、2.0〜15.0質量%である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(6) さらに、重量平均分子量が3,000以上の液状ジエン系ゴムを含有し、
上記液状ジエン系ゴムの含有量が、上記シリカの含有量に対して、1.0〜15.0質量%である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(7) 上記液状ジエン系ゴムが、後述する一般式(II)で表されるシラン化合物に由来する官能基を有する、上記(6)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(8) さらに、軟化点が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有し、
上記熱可塑性樹脂の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、1〜20質量部である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(9) 上記(1)〜(8)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造された、タイヤ。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物に含有される各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、
ゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含有し、
上記ゴム成分が、特定共役ジエン系ゴムと、特定ブタジエンゴムとを含有し、
上記ゴム成分中、上記特定共役ジエン系ゴムの含有量が35質量%以上であり、上記ブタジエンゴムの含有量が15質量%以上であり、
上記特定共役ジエン系ゴムが、
イソプレン単量体単位を含有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを備えるとともに、少なくとも1つの末端にシロキサン化合物による変性構造を備える、共役ジエン系ゴムであって、
上記重合体ブロック(A)および上記重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有し、
上記重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲であり、上記共役ジエン系ゴムの全体の重量平均分子量(Mw)が50,000〜5,000,000の範囲であり、
芳香族ビニル単量体単位含有量が、30〜45質量%であり、
ビニル結合含有量が、15〜35質量%である、共役ジエン系ゴムであり、
上記特定ブタジエンゴムが、ガラス転移温度が−85℃以下のブタジエンゴムであり、
上記シリカの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、50〜150質量部であり、
上記シランカップリング剤の含有量が、上記シリカの含有量に対して、3〜30質量%である、タイヤ用ゴム組成物である。
本発明の組成物に含有されるゴム成分は、特定共役ジエン系ゴムと、特定ブタジエンゴムとを含有する。
ここで、上記ゴム成分中、上記特定共役ジエン系ゴムの含有量は35質量%以上であり、上記特定ブタジエンゴムの含有量は15質量%以上である。
上記ゴム成分は、上記特定共役ジエン系ゴム及び上記特定ブタジエンゴムのいずれにも該当しないゴム成分(その他のゴム成分)を含有してもよい。
上記ゴム成分は、固体状であることが好ましい。
上述のとおり、ゴム成分は特定共役ジエン系ゴムを含有する。
上記特定共役ジエン系ゴムは、
イソプレン単量体単位を含有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを備えるとともに、少なくとも1つの末端にシロキサン化合物による変性構造を備える、共役ジエン系ゴムであって、
上記重合体ブロック(A)及び上記重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有し、
上記重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲であり、全体の重量平均分子量(Mw)が50,000〜5,000,000の範囲であり、
全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が、30〜45質量%であり、
全体のビニル結合含有量が、15〜35質量%である、共役ジエン系ゴムである。
なお、特定共役ジエン系ゴムは、全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が30〜45質量%であるため、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)の少なくとも一方は芳香族ビニル単量体単位を含有する。
重合体ブロック(A)は、イソプレン単量体単位を含有するもの(好ましくは、イソプレン単量体単位を主成分とするもの)であればよく、特に限定されず、イソプレン単量体単位のみからなるものであってよいし、あるいは、イソプレン単量体単位と、イソプレン単量体単位以外の単量体単位とからなるものであってもよい。この場合における、イソプレン単量体単位以外の単量体単位としては、芳香族ビニル単量体単位が好適に挙げられ、本発明の重合体ブロック(A)は、イソプレン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位をも含有するものであることが好ましい。
重合体ブロック(A)中における、イソプレン単量体単位の含有量(イソプレン単量体単位含有量)は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、イソプレン単量体単位含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは99質量%以下である。重合体ブロック(A)中のイソプレン単量体単位含有量を上記範囲とすることにより、共役ジエン系ゴムにシリカなどの配合剤を配合した場合に、共役ジエン系ゴムとシリカなどの配合剤との親和性をより高めることができ、これにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性により優れたものとすることができる。
重合体ブロック(A)における、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量は、3〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。なお、本明細書中において、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量とは、イソプレン単量体単位中の、1,2−構造を有するイソプレン単量体単位および3,4−構造を有するイソプレン単量体単位の合計量を指すものとする。
芳香族ビニル単量体単位を形成するための芳香族ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ジエチルアミノメチルスチレン、ジエチルアミノエチルスチレン、シアノエチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレンが好ましい。重合体ブロック(A)中における、芳香族ビニル単量体単位(例えば、スチレン単量体単位)の含有量(芳香族ビニル単量体単位含有量)(例えば、スチレン単量体単位含有量)は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、芳香族ビニル単量体単位含有量の下限は、特に限定されないが、好ましくは1質量%以上である。
また、特定共役ジエン系ゴムは、重合体ブロック(A)及び後述する重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有するものである。以下においては、重合体ブロック(A)に、このようなシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位が含有されている場合を例示して説明するが、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位は、重合体ブロック(A)および後述する重合体ブロック(B)の少なくとも一方に含有されていればよいため、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位が、後述する重合体ブロック(B)に含有されている場合には、重合体ブロック(A)には、必ずしも含有されている必要はない。
シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を形成するための、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物としては、シリカに対して相互作用可能な官能基と、ビニル基を含有する化合物であればよく、特に限定されない。ここで、シリカに対して相互作用可能な官能基とは、該官能基とシリカ表面との間で共有結合を形成するか、または、共有結合よりも弱い分子間力(たとえば、イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等)を形成することが可能な官能基である。このようなシリカに対して相互作用可能な官能基としては、特に限定されないが、窒素原子含有官能基、ケイ素原子含有官能基、酸素原子含有官能基などが挙げられ、これらの中でも、シリカとの相互作用が高いという観点より、ケイ素原子含有官能基が好ましい。
シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の好ましい態様としての、ケイ素原子含有官能基を含有するビニル化合物としては、たとえば、下記一般式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基などが挙げられる。アルケンジイル基としては、ビニレン基、エチレン−1,1−ジイル基などが挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。アリーレン基とアルキレン基とが結合した基としては、フェニレン基とメチレン基とが結合した基、フェニレン基とエチレン基とが結合した基などが挙げられる。X1がヒドロカルビレン基である場合には、X1は、アリーレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。
R1およびR2を構成し得るヒドロカルビル基が、置換基を有する場合には、置換基としてヒドロカルビルオキシ基を有するヒドロカルビル基などが挙げられ、置換基としてヒドロカルビルオキシ基を有するヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;フェノキシメチル基などのアリールオキシアルキル基;などが挙げられる。
R1およびR2は、アルキル基であるか、あるいは、R1とR2とは互いに結合してアルキレン基となっていることが好ましく、R1およびR2は、アルキル基であることがより好ましく、R1およびR2は、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましい。
X2、X3およびX4を構成し得るヒドロカルビル基が、置換基を有する場合には、置換基としてヒドロカルビルオキシ基を有するヒドロカルビル基などが挙げられ、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基などが挙げられる。
重合体ブロック(A)中における、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位の含有量は、特に限定されず、重合体ブロック(A)を構成する全単量体単位に対する含有量が、好ましくは0.01〜20質量%の範囲、より好ましくは0.02〜2質量%の範囲、特に0.05〜1質量%の範囲となるように調整することが好ましい。シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位の含有量を上記範囲とすることにより、ロールに対する付着の抑制効果、ならびに低発熱性、および操縦安定性の向上効果をより顕著なものとすることできる。
また、重合体ブロック(A)は、イソプレン単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、およびシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。このようなその他の単量体単位を構成するその他の化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの鎖状オレフィン化合物;シクロペンテン、2−ノルボルネンなどの環状オレフィン化合物;1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン化合物;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン化合物;などが挙げられる。重合体ブロック(A)中における、その他の単量体単位の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜30,000の範囲であり、好ましくは1,500〜20,000の範囲であり、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、ロールに対する付着の抑制効果、ならびに低発熱性、および操縦安定性の向上効果が得られなくなる。一方、重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、得られるゴム架橋物の低発熱性が低下してしまう。
また、重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましい。重合体ブロック(A)の分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造がより容易となる。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によりポリスチレン換算の値として求めることができる。
重合体ブロック(B)は、1,3−ブタジエン単量体単位を含有するもの(好ましくは、1,3−ブタジエン単量体単位を主成分とするもの)であればよく、特に限定されず、1,3−ブタジエン単量体単位のみからなるものであってよいし、あるいは、1,3−ブタジエン単量体単位と、1,3−ブタジエン単量体単位以外の単量体単位とからなるものであってもよい。この場合における、1,3−ブタジエン単量体単位以外の単量体単位としては、芳香族ビニル単量体単位が好適に挙げられ、本発明の重合体ブロック(B)は、1,3−ブタジエン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位をも含有するものであることが好ましい。
重合体ブロック(B)中における、1,3−ブタジエン単量体単位の含有量(1,3−ブタジエン単量体単位含有量)は、好ましくは55〜65質量%であり、より好ましくは55〜63質量%、さらに好ましくは55〜60質量%である。重合体ブロック(B)中の1,3−ブタジエン単量体単位含有量を上記範囲とすることにより、共役ジエン系ゴムの製造がより容易となる。
重合体ブロック(B)における、1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%である。重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。
芳香族ビニル単量体単位を形成するための芳香族ビニル化合物としては、上述した重合体ブロック(A)の説明において例示したものを用いることができ、上述した芳香族ビニル化合物の中でも、スチレンが好ましい。重合体ブロック(B)の芳香族ビニル単量体単位含有量は、好ましくは35〜45質量%、より好ましくは40〜45質量%である。
また、特定共役ジエン系ゴムは、上述した重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有するものであるが、特定共役ジエン系ゴムにおいては、このようなシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位が、重合体ブロック(A)のみに含有される態様、重合体ブロック(B)のみに含有される態様、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の両方に含有される態様のいずれであってもよい。特定共役ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、少なくとも重合体ブロック(B)がシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有するのが好ましい。
シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を形成するための、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物としては、上述した重合体ブロック(A)の説明において例示したものを用いることができ、上述した重合体ブロック(A)の説明において好ましいものとして例示したものを好適に用いることができる。
重合体ブロック(B)中における、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位の含有量は、特に限定されず、重合体ブロック(B)を構成する全単量体単位に対する含有量が、好ましくは0.01〜20質量%の範囲、より好ましくは0.02〜2質量%の範囲、特に0.05〜1質量%の範囲となるように調整することが好ましい。
また、重合体ブロック(B)は、1,3−ブタジエン単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、およびシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよい。このようなその他の単量体単位を構成するその他の化合物としては、上述した重合体ブロック(A)において例示された化合物(ただし、1,3−ブタジエンを除く)と同様のものに加え、イソプレンを用いることができる。重合体ブロック(B)中における、その他の単量体単位の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。
特定共役ジエン系ゴム中における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との質量比(重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)が複数存在する場合は、それぞれの合計質量を基準とした質量比)は、(重合体ブロック(A)の質量)/(重合体ブロック(B)の質量)で、0.001〜0.2であることが好ましく、0.005〜0.1であることがより好ましく、0.01〜0.05であることが特に好ましい。重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との質量比を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を、ウェットグリップ性と低発熱性とのバランスが良好なものとすることができる。
特定共役ジエン系ゴム全体の1,3−ブタジエン単量体単位の含有量(1,3−ブタジエン単量体単位含有量)は、特に限定されず、本発明の効果がより優れる理由から、55〜65質量%であることが好ましく、55〜63質量%であることがより好ましく、55〜60質量%であることがさらに好ましい。ここで、特定共役ジエン系ゴム全体の1,3−ブタジエン単量体単位含有量とは、特定共役ジエン系ゴムを構成する全単量体単位に対する1,3−ブタジエン単量体単位の含有量を指す。
上述のとおり、特定共役ジエン系ゴム全体の芳香族ビニル単量体単位の含有量(芳香族ビニル単量体単位含有量)は、30〜45質量%である。ここで、特定共役ジエン系ゴム全体の芳香族ビニル単量体単位含有量とは、特定共役ジエン系ゴムを構成する全単量体単位に対する芳香族ビニル単量体単位の含有量を指す。
特定共役ジエン系ゴム全体の芳香族ビニル単量体単位含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、35〜45質量%であることが好ましく、40〜45質量%であることがより好ましい。
特定共役ジエン系ゴム全体における、上述したシリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位の含有量(例えば、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン単量体単位含有量)は、特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.02〜2質量%であることがより好ましく、0.05〜1質量%であることがさらに好ましい。
特定共役ジエン系ゴム全体における、共役ジエン単量体単位中(たとえば、イソプレン単量体単位および1,3−ブタジエン単量体単位)のビニル結合含有量(以下、単に「特定共役ジエン系ゴム全体のビニル結合含有量」とも言う)は、15〜35質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、20〜25質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることがより好ましい。特定共役ジエン系ゴム全体のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。
上述のとおり、特定共役ジエン系ゴムは、少なくとも1つの末端にシロキサン化合物による変性構造を備える。なお、シロキサン化合物による変性構造は、その他の変性剤による変性構造を介して導入されていてもよい。
シロキサン化合物としては、シロキサン構造(−Si−O−)を主鎖として有するものであればよく、特に限定されないが、側鎖に有機基を有するオルガノシロキサンが好ましく、下記一般式(4)で表されるポリオルガノシロキサンがより好ましい。
特定共役ジエン系ゴム全体の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜5,000,000の範囲であり、好ましくは75,000〜3,000,000の範囲であり、より好ましくは100,000〜1,000,000の範囲である。特定共役ジエン系ゴム全体の重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、このような共役ジエン系ゴムを含むゴム組成物へのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物の加工性をより高めることができ、さらには、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
また、特定共役ジエン系ゴム全体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる全体の分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、特定共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜90、特に好ましくは35〜80である。なお、共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
特定共役ジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは20〜−110℃であり、より好ましくは10〜−70℃である。特定共役ジエン系ゴムのガラス転移温度は、たとえば、共役ジエン系ゴム中の芳香族ビニル単量体単位含有量、および共役ジエン単量体単位部分におけるビニル結合含有量を調節することによって、適宜調節することができる。
特定共役ジエン系ゴムは、たとえば、不活性溶媒中で、イソプレンを含む単量体(a)を、重合開始剤により重合し、活性末端を有する重合体ブロック(A)を形成させる工程(工程A)と、
得られた活性末端を有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエンを含む単量体(b)とを、混合して重合反応を継続させ、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を備える、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程(工程B)と、
得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端にシロキサン化合物を反応させる工程(工程C)とを経て製造することができる。
<単量体(a)>
重合体ブロック(A)を形成するための単量体(a)としては、イソプレンを含有するものであればよく、形成する重合体ブロック(A)の単量体組成(上述した単量体組成)に応じた単量体を用いればよい。たとえば、重合体ブロック(A)をイソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位からなるものとする場合には、単量体(a)としては、イソプレンおよび芳香族ビニル化合物を含有するものとすればよい。また、重合体ブロック(A)を、イソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位に加えて、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を有するものとする場合には、単量体(a)を、イソプレンおよび芳香族ビニル化合物に加えて、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物を含有するものとすればよい。
重合体ブロック(A)を形成するために、イソプレンを含む単量体(a)の重合に用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタンイソペンタン、n−ヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、n−へプタンなどの鎖状または分岐状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物;などが挙げられる。これらの不活性溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不活性溶媒の使用量は、特に限定されないが、単量体濃度が、たとえば1〜80質量%となる量であり、好ましくは5〜50質量%となる量である。
重合体ブロック(A)を形成するために用いられる重合開始剤としては、イソプレンを含む単量体(a)を重合させて、活性末端を有する重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤を挙げることができる。有機アルカリ金属化合物としては、たとえば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンとの反応物、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエンとジビニルベンゼンとの反応物、n−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物との反応物などの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;有機ルビジウム化合物;有機セシウム化合物などが挙げられる。その他にも、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミド等が挙げられる。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている公知の有機アルカリ金属化合物も使用することができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、イソプレンを含む単量体(a)100g当り、好ましくは4〜250ミリモル、より好ましくは6〜200ミリモル、特に好ましくは10〜70ミリモルの範囲である。
イソプレンを含む単量体(a)を重合する際における重合温度は、好ましくは−80〜+150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。また、重合体ブロック(A)を共重合体鎖とする場合における結合様式としては、たとえば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。
また、単量体(a)を重合するにあたり、重合体ブロック(A)におけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、たとえば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1モルに対して、0.01〜30モルが好ましく、0.05〜10モルがより好ましい。極性化合物の使用量が上記範囲内にあると、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、しかも、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。また、上記範囲内で極性化合物の使用量を増加させることで、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を増加させることができる。
次いで、イソプレンを含む単量体(a)を重合することにより得られた、活性末端を有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエンを含む単量体(b)とを、混合して重合反応を継続させることにより、重合体ブロック(B)を重合体ブロック(A)と一続きに形成することができ、これにより、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を備える、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。なお、形成された重合体ブロック(B)は、活性末端を有するものとなり、一方、重合体ブロック(A)からは、活性末端が消失する。
重合体ブロック(B)を形成するための単量体(b)としては、1,3−ブタジエンを含有するものであればよく、形成する重合体ブロック(B)の単量体組成(上述した単量体組成)に応じた単量体を用いればよい。たとえば、重合体ブロック(B)を1,3−ブタジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位からなるものとする場合には、単量体(b)としては、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル化合物を含有するものとすればよい。また、重合体ブロック(B)を、1,3−ブタジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位に加えて、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を有するものとする場合には、単量体(b)を、1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル化合物に加えて、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物を含有するものとすればよい。
なお、特定共役ジエン系ゴムは、上述した重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有するものである。そのため、上記製造方法においては、重合体ブロック(A)を形成するために用いられるイソプレンを含む単量体(a)、および、重合体ブロック(B)を形成するために用いられる1,3−ブタジエンを含む単量体(b)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物を含有させればよい。
重合体ブロック(B)を形成するために、1,3−ブタジエンを含む単量体(b)の重合に用いられる不活性溶媒としては、特に限定されず、上述した不活性溶媒と同様のものを用いることができる。
重合体ブロック(B)を形成する際における、活性末端を有する重合体ブロック(A)の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、1,3−ブタジエンを含む単量体(b)100g当り、好ましくは0.1〜5ミリモル、より好ましくは0.15〜2ミリモル、さらに好ましくは0.2〜1.5ミリモルの範囲である。
重合体ブロック(A)と1,3−ブタジエンを含む単量体(b)との混合方法は、特に限定されず、1,3−ブタジエンを含む単量体(b)の溶液中に活性末端を有する重合体ブロック(A)を加えてもよいし、活性末端を有する重合体ブロック(A)の溶液中に1,3−ブタジエンを含む単量体(b)を加えてもよい。重合の制御の観点より、1,3−ブタジエンを含む単量体(b)の溶液中に活性末端を有する重合体ブロック(A)を加える方法が好ましい。
1,3−ブタジエンを含む単量体(b)を重合する際における重合温度は、好ましくは−80〜+150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。重合体ブロック(B)を共重合体鎖とする場合には、結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
重合体ブロック(B)を共重合体鎖とする場合の各単量体の結合様式は、たとえば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。これらの中でも、ランダム状が好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合体ブロック(A)におけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節時と同様に、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。ただし、重合体ブロック(A)の調製時に、不活性溶媒に、重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するのに十分な量の極性化合物を添加している場合は、新たに極性化合物を添加しなくてもよい。ビニル結合含有量を調節するために用いられる極性化合物としては、上述した極性化合物と同様のものを用いることができる。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、初めの重合反応(1つ目の重合体ブロック(A)を形成するための重合反応)に使用した重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.01〜100モル、より好ましくは0.1〜30モルの範囲で調節すればよい。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易で、あり、かつ、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
このようにして、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。本発明においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖は、生産性の観点より、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)で構成され、かつ、重合体ブロック(B)の末端が活性末端であることが好ましいが、重合体ブロック(A)を複数有するものとしてもよいし、その他の重合体ブロックを有するものとしてもよい。たとえば、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)などの、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖が挙げられる。この場合には、重合体ブロック(B)に続いて形成された重合体ブロック(A)の末端に、活性末端が形成されることとなる。共役ジエン系重合体鎖の活性末端側に重合体ブロック(A)を形成させる場合、イソプレンの使用量は、初めの重合反応(1つ目の重合体ブロック(A)を形成するための重合反応)に使用した重合開始剤1モルに対して、10〜100モルであることが好ましく、15〜70モルであることがより好ましく、20〜35モルであることが特に好ましい。
次いで、得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端にシロキサン化合物を反応させることで、共役ジエン系重合体鎖の末端にシロキサン化合物による変性構造が導入する。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と、シロキサン化合物とを反応させる際における、シロキサン化合物の使用量は、初めの重合反応(1つ目の重合体ブロック(A)を形成するための重合反応)に使用した重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.1〜5モルである。シロキサン化合物の使用量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。なお、シロキサン構造(−Si−O−)当たりのモル数を上記範囲とすることが好ましい。
シロキサン化合物と活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した重合反応において用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得るための重合に用いた重合溶液に、シロキサン化合物を添加する方法が簡便であり好ましい。さらに、この際においては、シロキサン化合物は、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。反応温度は、特に限定されないが、通常0〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常1分〜1時間である。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、シロキサン化合物を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液にシロキサン化合物を添加することが望ましい。シロキサン化合物の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物などとの副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。なお、得られるゴム組成物の加工性をより高めるため、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、シロキサン化合物を添加し、反応させた後に、さらに有機金属化合物を混合してもよく、これにより、得られるゴム組成物の加工性を高めることができる(コンパウンド・ムーニーを低く抑えることができる。)。また、この際においては、有機金属化合物を混合した後、シロキサン化合物をさらに追加添加し、さらに反応させてもよい。有機金属化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物などが挙げられる。
また、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、シロキサン化合物を反応させる前の状態のとき、あるいは、シロキサン化合物を反応させた後において、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖が残存している状態のときに、本発明の効果を阻害しない範囲で、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端の一部を、従来から通常使用されているカップリング剤などを重合系内に添加して、カップリングを行ってもよい。
そして、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、シロキサン化合物を反応させた後は、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端を失活させた後、シロキサン化合物による変性構造を末端に有する共役ジエン系ゴムの溶液に、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを反応溶液に添加し、その後、直接乾燥またはスチームストリッピングなどにより反応溶液から重合溶媒を分離して、固形状の、シロキサン化合物による変性構造を末端に有する共役ジエン系ゴムを回収する。さらに、所望により、伸展油を配合して、共役ジエン系ゴムを油展ゴムとしてもよい。伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、共役ジエン系ゴム100質量部に対して、通常5〜100質量部である。
上述のとおり、ゴム成分中の特定共役ジエン系ゴムの含有量は35質量%以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、40〜85質量%であることが好ましく、45〜80質量%であることがより好ましい。
上述のとおり、ゴム成分は特定ブタジエンゴムを含有する。
上記特定ブタジエンゴムは、ガラス転移温度が−85℃以下のブタジエンゴムである。
上述のとおり、特定ブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)は−85℃以下である。
上記Tgは、本発明の効果がより優れる理由から、−90℃以下であることが好ましい。上記Tgの下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、−150℃以上であることが好ましく、−120℃以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出したものとする。
特定ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50,000〜5,000,000であることが好ましく、75,000〜3,000,000であることがより好ましく、100,000〜1,000,000であることがさらに好ましい。
特定ブタジエンゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、変性されたブタジエンゴムであることが好ましく、少なくとも1つの末端にヘテロ原子を含む変性基を有する変性ブタジエンゴムであることがより好ましい。変性基は特に制限されないが、例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、ヒドロカルビルオキシシリル基等が挙げられる。変性基の位置は主鎖(側鎖)でも末端でも構わない。
なお、特定ブタジエンゴムのミクロ構造(シス−1,4−結合、トランス−1,4−結合、ビニル結合)は特に制限されない。
特定ブタジエンゴムの1つの好適な態様として、本発明の効果がより優れる理由から、少なくとも1つの末端にヘテロ原子を含む変性基を有する変性ブタジエンゴムであるのが好ましく、シス−1,4−結合の含有量が75モル%以上のブタジエン重合体の活性末端を少なくともヒドロカルビルオキシシラン化合物により変性してなる変性ブタジエン重合体(特定変性ブタジエンゴム)が挙げられる。上記特定変性ブタジエンゴムとしては、例えば、国際公開第2018/135530号の段落[0017]〜段落[0023]に記載のとおりであり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
上述のとおり、ゴム成分中の特定ブタジエンゴムの含有量は15質量%以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、20質量%以上であることが好ましい。ゴム成分中の特定ブタジエンゴムの含有量の上限は、本発明の効果がより優れる理由から、65質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
ゴム成分中の上述した特定共役ジエン系ゴムの含有量に対する上述した特定ブタジエンゴムの含有量の割合(特定ブタジエンゴム/特定共役ジエン系ゴム)は、本発明の効果がより優れる理由から、10〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることがさらに好ましい。
上記ゴム成分は、上述した特定共役ジエン系ゴム及び上述した特定ブタジエンゴムのいずれにも該当しないゴム成分(その他のゴム成分)を含有してもよい。
そのようなその他のゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、上述した特定ブタジエンゴム以外のブタジエンゴム(BR)、上述した特定共役ジエン系ゴム以外のスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、上述した特定共役ジエン系ゴム以外のスチレンブタジエンゴム(SBR)であることが好ましい。
その他のゴム成分の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50,000〜5,000,000であることが好ましく、75,000〜3,000,000であることがより好ましく、100,000〜1,000,000であることがさらに好ましい。
ゴム成分中のその他のゴム成分の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物に含有されるシリカは特に制限されないが、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、湿式シリカが好ましい。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
本発明の組成物において、シリカの含有量は、上述したゴム成分100質量部に対して、50〜150質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、60〜100質量部であることが好ましい。
上記シリカは、本発明の効果がより優れる理由から、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)吸着比表面積が190m2/g以上のシリカ(特定シリカ)を20質量部以上含むのが好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、特定シリカを50〜150質量部含むのが好ましく、60〜100質量部含むのがより好ましい。
特定シリカのCTAB吸着比表面積の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、300m2/g以下であることが好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物に含有されるシランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、下記一般式(S)で表される化合物であることが好ましい。
(CnH2n+1O)3−Si−CmH2m−S−CO−CkH2k+1 一般式(S)
一般式(S)中、nは1〜3の整数を表し、mは1〜5の整数(好ましくは、2〜4の整数)を表し、kは1〜15の整数(好ましくは、5〜10の整数)を表す。
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は、上述したシリカの含有量(特定シリカを含む全てのシリカの合計の含有量)に対して、3〜30質量%である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5〜20質量%であることが好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(任意成分)を含有することができる。
そのような成分としては、例えば、シリカ以外の充填剤(例えば、カーボンブラック)、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、プロセスオイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m2/gであることが好ましく、70〜150m2/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したゴム成分100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、下記一般式(I)で表されるアルキルトリエトキシシラン(以下、「特定アルキルトリエトキシシラン」とも言う)を含有するのが好ましい。
上記炭素数7〜20のアルキル基としては、具体的には、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、オクチル基、ノニル基が好ましい。
本発明の組成物において、特定アルキルトリエトキシシランの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量(特定シリカを含む全てのシリカの合計の含有量)に対して、2.0〜15.0質量%であることが好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、熱可塑性樹脂を含有するのが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、ロジン樹脂等の天然樹脂、石油系樹脂、石炭系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、テルペン樹脂が好ましく、テルペン樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、水添リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂(特に芳香族変性テルペン樹脂)の軟化点は、本発明の効果がより優れる理由から、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。上記軟化点の上限は、本発明の効果がより優れる理由から、170℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
ここで、軟化点は、JIS K2207:1996に準拠して測定された軟化点である。
本発明の組成物において、熱可塑性樹脂(特に芳香族変性テルペン樹脂)の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したゴム成分100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、2〜15質量部であることがさらに好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、液状ジエン系ゴムを含有するのが好ましい。液状ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、液状SBR又は液状BRであることが好ましく、液状BRであることがより好ましい。
上記液状ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、下記一般式(II)で表されるシラン化合物に由来する官能基を有するのが好ましい。
上記液状ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果がより優れる理由から、3,000以上100,000未満であることが好ましく、5,000以上80,000未満であることがより好ましい。
本発明の組成物において、液状ジエン系ゴムの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したシリカの含有量(特定シリカを含む全てのシリカの合計の含有量)に対して、1.0〜15.0質量%であることが好ましく、5.0〜10.0質量%であることがより好ましい。
本発明のタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造されたタイヤである。本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッド(キャップトレッド)に用いた(配置した)空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
以下のとおり、特定共役ジエン系ゴム1を製造した。
窒素置換された800ml容器に、シクロヘキサン140.89、およびテトラメチルエチレンジアミン3.0mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム30.0mmolを添加した。次いで、イソプレン113.6g、およびスチレン9.2gをゆっくりと添加し、50℃の容器内で120分反応させることにより、活性末端を有する重合体ブロック(A)を得た。この重合体ブロック(A)の、重量平均分子量(Mw)は6,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.10、スチレン単量体単位含有量は7.5質量%、イソプレン単量体単位含有量は92.5質量%、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量は7.0質量%であった。
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン6400g、テトラメチルエチレンジアミン2.95mmol、1,3−ブタジエン585g、スチレン615g、およびビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン(上記一般式(1)において、X1=化学的な単結合、X2及びX3=ジエチルアミノ基、X4=メチル基である化合物)0.95gを仕込んだ後、n−ブチルリチウムを7.01mmol加え、上記活性末端を有する重合体ブロック(A)をリチウム原子含有量に換算して0.51mmol加え、40℃で重合を開始した。重合開始10分後に、1,3−ブタジエン300gを60分間かけて連続的に添加した。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認した。このようにして、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)を備える、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得た。
次いで、下記式(9)で表されるポリオルガノシロキサンを、−Si−O−繰り返し単位の含有量が7.15mmolとなるように添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤としてイルガノックス1520L(BASF社製)を共役ジエン系ゴム100質量部に対して0.20質量部、及び、伸展油(商品名「アロマックスT−DAE」、JX日鉱日石エネルギー社製)を共役ジエン系ゴム100質量部に対して15.0質量部、添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の共役ジエン系ゴムを得た。
したがって、得られた共役ジエン系ゴムは上述した特定共役ジエン系ゴムに該当する。
得られた共役ジエン系ゴムを特定共役ジエン系ゴム1とも言う。
工程Bにおいて、テトラメチルエチレンジアミンの量を0.71mmol、1,3−ブタジエンの量を763g、スチレンの量を28.7gに変更した点以外は上述した特定共役ジエン系ゴム1の製造と同様の手順に従って共役ジエン系ゴムを製造した。
得られた共役ジエン系ゴムを比較共役ジエン系ゴムとも言う。
下記表1に示す成分を、同表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表1に示す成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて140℃付近に温度を上げてから、5分間混合した後に放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄及び加硫促進剤を混合し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
なお、ゴム成分が油展品である場合、質量部はゴムの正味の量(オイルを除いた量)を表す。
得られたタイヤ用ゴム組成物について下記のとおり評価を行った。
得られたタイヤ用ゴム組成物(未加硫)を金型(15cm×15cm×0.2cm)中で、160℃で40分間プレス加硫して加硫ゴムシートを作製した。
得られた加硫ゴムシートについて、JISK6394:2007に準じ、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度10℃の条件でtanδを測定した(tanδ(10℃))。また、同様に、温度40℃の条件でtanδを測定した(tanδ(40℃))。そして、下記パラメータを求めた。なお、tanδ(10℃)とtanδ(40℃)が同じ値である場合、下記パラメータは1とする。
パラメータ=(tanδ(10℃)とtanδ(40℃)のうち小さい方)/(tanδ(10℃)とtanδ(40℃)のうち大きい方)
結果を表1に示す。なお、結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が大きい程、tanδ(10℃)とtanδ(40℃)の差が小さく、転がり抵抗温度依存性が小さいことを意味する。100超であることが好ましい。
上述した転がり抵抗温度依存性と同様に、温度0℃の条件でtanδを測定した(tanδ(0℃))。
結果を表1に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が大きい程、ウェット性能に優れることを意味する。103以上であることが好ましい。
・特定共役ジエン系ゴム1:上述のとおり製造した特定共役ジエン系ゴム1(上述のとおり、特定共役ジエン系ゴム1は上述した特定共役ジエン系ゴムに該当する)
・比較共役ジエン系ゴム:上述のとおり製造した比較共役ジエン系ゴム(上述のとおり、比較共役ジエン系ゴムは上述した特定共役ジエン系ゴムに該当しない)
・ゴム成分1:末端にポリオルガノシロキサン基を有し、イソプレンブロックを有する、溶液重合スチレンブタジエンゴム。(油展品(SBR100質量部に対して油展オイル25質量部を含む。)、スチレン単量体単位含有量:43質量%、ビニル結合含有量:30質量%、重量平均分子量:650,000、Tg:−26℃、日本ゼオン社製)(ゴム成分1は、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有しないため、上述した特定共役ジエン系ゴムに該当しない)
・BR1220:Nipol BR1220(ブタジエンゴム、重量平均分子量:46万、ガラス転移温度:−106℃、日本ゼオン社製)(BR1220はガラス転移温度が−85℃以下のブタジエンゴムであるため、上述した特定ブタジエンゴムに該当する)
・BR1261:末端にヘテロ原子を含む変性基を有する変性ブタジエンゴム(重量平均分子量:49万、ガラス転移温度:−93℃)(BR1261はガラス転移温度が−85℃以下の変性ブタジエンゴムであるため、上述した特定ブタジエンゴムに該当する)
・特定変性ブタジエンゴム1:JSR社製BR54(特定変性ブタジエンゴム1は上述した特定ブタジエンゴム及び上述した特定変性ブタジエンゴムに該当する)
・NS612:日本ゼオン社製NS612(溶液重合SBR、スチレン単量体単位含有量:15質量%、ビニル結合含有量:31質量%、重量平均分子量:440,000、Tg−61℃)(NS612は、上述した特定共役ジエン系ゴムに該当しない)
・7000GR:ULTRASIL 7000GR(シリカ、CTAB吸着比表面積:160m2/g、Evonik社製)
・9100GR:ULTRASIL 9100GR(シリカ、CTAB吸着比表面積:200m2/g、Evonik社製)
・N339:ショウブラックN339(カーボンブラック、キャボットジャパン社製)
・NXT:上述した一般式(S)で表されるシランカップリング剤(ここで、上述した一般式(S)中、n=2、m=3、k=7である。)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日油社製)
・老化防止剤:オゾノン6C(精工化学社製)
・プロセスオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・アルキルシラン:オクチルトリエトキシシラン(KBE−3083、信越化学工業社製)(アルキルシランは上述した特定アルキルトリエトキシシランに該当する)
・熱可塑性樹脂:ヤスハラケミカル社製YSレジンTO125(芳香族変性テルペン樹脂、軟化点:125℃)
・変性LBR:以下のとおり製造した変性液状ジエン系ゴム
十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、ヘキサン1200g及びn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)22gを仕込み、50℃に昇温した後、攪拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン1460gを逐次添加して、1時間重合した。その後メタノールを添加して重合反応を停止させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に水を添加して攪拌し、水で重合体溶液を洗浄した。攪拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液を70℃で24時間真空乾燥することにより、未変性液状ジエン系ゴムを得た。
続いて、容量1Lのオートクレーブ中に、得られた未変性液状ジエン系ゴム700gを仕込み、60℃で3時間攪拌しながら窒素脱気をした。1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン1.0gと(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン25gを添加し、105℃で8時間反応させて、変性液状ジエン系ゴムを得た。得られた変性液状ジエン系ゴムの重量平均分子量は55,000であった。得られた変性液状ジエン系ゴムは、上述した一般式(II)で表されるシラン化合物に由来する官能基を有する液状BRである。
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%、鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤(CZ):大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
・加硫促進剤(DPG):1,3−ジフェニルグアニジン(ソクシノールD−G、住友化学工業社製)
実施例1と実施例2との対比(シリカとして7000GRを使用し、特定ブタジエンゴムとしてBR1220を使用した態様同士の対比)から、ゴム成分中の特定共役ジエン系ゴムの含有量が50質量%以上である実施例1は、より優れたウェット性能を示した。
実施例1と実施例3と実施例4との対比(シリカとして7000GRを使用し、ゴム成分中の特定共役ジエン系ゴムの含有量が75質量%である態様同士の対比)から、特定ブタジエンゴムが少なくとも1つの末端にヘテロ原子を含む変性基を有するブタジエンゴムである実施例3及び実施例4は、転がり抵抗温度依存性がより小さく、且つ、より優れたウェット性能を示した。なかでも、特定ブタジエンゴムが上述した特定変性ブタジエンゴムである実施例4は、転がり抵抗温度依存性がさらに小さかった。
実施例4と実施例5との対比(シリカの種類のみが異なる態様同士の対比)から、シリカが上述した特定シリカを20質量部以上含む実施例5は、より優れたウェット性能を示した。
また、実施例5と実施例6との対比(アルキルシランの有無のみが異なる態様同士の対比)から、特定アルキルトリエトキシシランを含有する実施例6は、より優れたウェット性能を示した。
また、実施例5と実施例7との対比(変性LBRの有無のみが異なる態様同士の対比)から、液状ジエン系ゴムを含有する実施例7は、転がり抵抗温度依存性がより小さく、且つ、より優れたウェット性能を示した。
また、実施例5と実施例8との対比(熱可塑性樹脂の有無のみが異なる態様同士の対比)から、熱可塑性樹脂を含有する実施例8は、転がり抵抗温度依存性がより小さく、且つ、より優れたウェット性能を示した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (9)
- ゴム成分と、シリカと、シランカップリング剤とを含有し、
前記ゴム成分が、特定共役ジエン系ゴムと、特定ブタジエンゴムとを含有し、
前記ゴム成分中、前記特定共役ジエン系ゴムの含有量が35質量%以上であり、前記特定ブタジエンゴムの含有量が15質量%以上であり、
前記特定共役ジエン系ゴムが、
イソプレン単量体単位を含有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン単量体単位を含有する重合体ブロック(B)とを備えるとともに、少なくとも1つの末端にシロキサン化合物による変性構造を備える、共役ジエン系ゴムであって、
前記重合体ブロック(A)及び前記重合体ブロック(B)の少なくとも一方に、シリカに対して相互作用可能な官能基を含有するビニル化合物の単位を含有し、
前記重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲であり、全体の重量平均分子量(Mw)が50,000〜5,000,000の範囲であり、
全体の芳香族ビニル単量体単位含有量が、30〜45質量%であり、
全体のビニル結合含有量が、15〜35質量%である、共役ジエン系ゴムであり、
前記特定ブタジエンゴムが、ガラス転移温度が−85℃以下のブタジエンゴムであり、
前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、50〜150質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカの含有量に対して、3〜30質量%である、タイヤ用ゴム組成物。 - 前記特定共役ジエン系ゴムの芳香族ビニル単量体単位含有量が、35〜45質量%である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記特定ブタジエンゴムが、少なくとも1つの末端にヘテロ原子を含む変性基を有する変性ブタジエンゴムである、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカが、CTAB吸着比表面積が190m2/g以上のシリカである特定シリカを20質量部以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- さらに、重量平均分子量が3,000以上の液状ジエン系ゴムを含有し、
前記液状ジエン系ゴムの含有量が、前記シリカの含有量に対して、1.0〜15.0質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。 - さらに、軟化点が50℃以上の熱可塑性樹脂を含有し、
前記熱可塑性樹脂の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、1〜20質量部である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造された、タイヤ。
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