JP7339580B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェット性能および耐摩耗性を両立させるタイヤ用ゴム組成物に関する。
サマータイヤには、ウェット性能に優れると同時に耐摩耗性が良好なことが求められる。またモータースポーツ向け高性能タイヤにも、雨の降り始めで路面に埃や油汚れが浮いていたり、水量が減ってきて排気ガスや自動車の機械オイル由来の油膜が路面に浮いているような、特異な状況でもウェット性能能が高いことが求められている。ウェット性能を高くするため、タイヤ用ゴム組成物にシリカを多く配合する場合があるが、ゴム組成物の粘度が高くなり加工性が低下したり、シリカの分散性が低下し、所期のウェット性能が得られないことがある。
このため、特許文献1は、特殊な変性スチレンブタジエンゴムおよびシリカを配合したタイヤ用ゴム組成物を記載する。しかし、変性スチレンブタジエンゴムにシリカを多量に配合するとゴム硬度が高くなり、加速通過音などのロードノイズが大きくなる傾向がある。ロードノイズを悪化させずにウェット性能を改良するため例えばゴム組成物のガラス転移温度を高くすると、耐摩耗性が悪化するという課題がある。このように、ウェット性能および耐摩耗性を高いバランスで両立させるタイヤ用ゴム組成物は、未だ開発されていない。
特開2009-161778号公報
本発明の目的は、ウェット性能および耐摩耗性を両立させるタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のゴム組成物は、アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを30~65質量%含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを150質量部以上配合したタイヤ用ゴム組成物であって、前記シリカのCTAB吸着比表面積が150~250m 2 /gであり、前記変性スチレンブタジエンゴムをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときの分子量分布曲線が単峰形を有し、かつその分子量分布(PDI)が1.7未満、前記タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度が-50℃より高いことを特徴とする。
本発明のタイヤ用ゴム組成物によれば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときの分子量分布曲線が単峰形でその分子量分布(PDI)が1.7未満であるアルコキシシリル基を有するジエン系ゴムおよびシリカを含み、ガラス転移温度を-50℃より高くしたので、ウェット性能および耐摩耗性を高いレベルで両立させることができる。
本明細書は、本発明のタイヤ用ゴム組成物と共に、別のタイヤ用ゴム組成物の発明を記載する。別のタイヤ用ゴム組成物はサマータイヤに好適に用いることができる。このタイヤ用ゴム組成物は、前記ジエン系ゴムに、シリカを30~180質量部配合するとよい。また、20℃におけるゴム硬度が55以上であるとよい。さらに、炭素数7~20のアルキル基を有するアルキルトリエトキシシランを、前記シリカ量に対し0.1~20質量部配合するとよい。
タイヤ用ゴム組成物は、シランカップリング剤を、前記シリカ量に対し2~20質量%配合するとよく、前記シランカップリング剤が、下記平均組成式(1)または一般式(2)で表されるとよい。
(A)(B)(C)(D)(R1)SiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基を表し、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
(C2p+1)(C2p+1O)3-t-Si-C2q-S-C(O)-C2r+1 (2)
(式(2)中、pは1~3の整数、qは1~3の整数、rは1~15の整数、tは0~2の整数を表す。)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は高性能タイヤまたはレースタイヤ用に好適に用いることができる。このタイヤ用ゴム組成物は、前記変性スチレンブタジエンゴムを30~65質量%含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを150質量部以上配合すると共に、前記シリカのCTAB吸着比表面積が150~250m2/gである。さらに、オイル、液状ポリマーおよび熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1つの可塑剤を、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、合計で40~150質量部配合するとよい。このとき、芳香族変性テルペン樹脂を、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、15質量部以上配合するとよい。
上述したタイヤ用ゴム組成物は、タイヤのトレッド部を好適に構成することができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物でトレッド部を構成したタイヤは、ウェット性能および耐摩耗性を両立させることができる。
タイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムに、アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを含有する。この変性スチレンブタジエンゴムは、アルコキシシリル基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときの分子量分布曲線が単峰形であり、かつその分子量分布(PDI)が1.7未満であることを特徴とする。このような変性スチレンブタジエンゴムを含有することにより、シリカの分散性を向上させ、ウェット性能および耐摩耗性を高いレベルで兼備することができる。
変性スチレンブタジエンゴムが有するアルコキシシリル基として、例えば炭素数1~10のアルコキシを含むアルコキシシリル基を挙げることができる。炭素数の異なるアルコキシを2つ又は3つ有してもよいし、単数または2つのアルキルを有してもよい。アルコキシシリル基として、例えばメトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、イソプロポキシシリル基、ブトキシシリル基、等を挙げることができる。変性スチレンブタジエンゴムがアルコキシシリル基を有することによりシリカとの親和性を高くし、その分散性を向上することができる。
変性スチレンブタジエンゴムは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときの分子量分布曲線が単峰形を有し、かつその分子量分布(PDI)が1.7未満である。変性スチレンブタジエンゴムの分子量分布曲線が単峰形であると、分子の均一性が高くなり、ジエン系ゴム中に均質に分配、分散されシリカとの親和性をより高くすることができる。分子量分布(PDI)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)であり、分子量分布(PDI)が1.7未満であると、分子量分布曲線が単峰形であることと同様に、分子の均一性が高くなり、ジエン系ゴム中に均質に分配、分散されシリカとの親和性をより高くすることができる。分子量分布(PDI)は、より好ましくは1.0以上1.7未満、さらに好ましくは1.1~1.6であるとよい。このような変性スチレンブタジエンゴムは、好ましくは連続式重合で得ることができる。
本明細書において、変性スチレンブタジエンゴムをゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、その分子量分布曲線、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定するとき、例えば以下の条件を挙げることができる。
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC-8020]
カラム:東ソー社製GMH-HR-H(2本直列接続)
測定温度:40℃
キャリアガス:ヘリウム
流量:5mmol/L
試料:10mgを10mLのTHFに溶解
注入量:10μL
検出器:検出器:示差屈折率計(RI-8020)
アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムは、ジエン系ゴム100質量%中30~90質量%、好ましくは35~85質量%、より好ましくは40~80質量%含有する。アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを30質量%以上含有することにより、シリカの分散性を向上することができる。また90質量%以下含有することにより、耐摩耗性を確保することができる。
タイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム以外に他のジエン系ゴムを含有することができる。他のジエン系ゴムとして、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、未変性のスチレンブタジエンゴム、上述した変性スチレンブタジエンゴムを除く変性スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、等を挙げることができる。これらジエン系ゴムは、1つ以上の官能基で変性されていてもよい。官能基の種類は、特に限定されるものではないが、例えばエポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シリル基、アルコキシシリル基、アミド基、オキシシリル基、シラノール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、カルボニル基、アルデヒド基、等が挙げられる。他のジエン系ゴムは、ジエン系ゴム100質量%中10~70質量%、好ましくは15~65質量%、より好ましくは20~60質量%含有するとよい。
好適な他のジエン系ゴムとして、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムが挙げられる。天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴム(ただし、上述したアルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを除く。)は、通常タイヤ用ゴム組成物に用いられるものであれば特に制限されるものではない。天然ゴムを配合することにより、タイヤの耐摩耗性を確保することができる。また、ブタジエンゴムを配合することにより、タイヤの耐摩耗性を確保することができる。更に、スチレンブタジエンゴムを配合することにより、タイヤのウェットグリップ性を確保することができる。
タイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部にシリカを30質量部以上配合する。シリカを配合することにより、ウェット性能を向上することができる。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。またシリカの表面をシランカップリング剤により表面処理が施された表面処理シリカを使用してもよい。
タイヤ用ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましく、シリカの分散性を良好にすることができる。シランカップリング剤は、通常シリカと共に配合する種類を用いることができる。シランカップリング剤は、シリカ量の好ましくは5~15質量%、より好ましくは8~12質量%を配合するとよい。
タイヤ用ゴム組成物は、シリカ以外の他の無機充填材として、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを任意に配合することができる。これら他の無機充填剤は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カーボンブラックは、ジエン系ゴム100質量部に、好ましくは5~100質量部、より好ましくは5~80質量部配合することができる。カーボンブラックを5質量部以上配合することにより、タイヤ耐久性を確保することができる。また剛性を確保し転がり抵抗を小さくすることができる。カーボンブラックを100質量部以下にすることにより、ウェット性能を確保することができる。カーボンブラックは、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
タイヤ用ゴム組成物は、そのガラス転移温度が-50℃より高い。ガラス転移温度を-50℃より高くすることにより、ウェット性能を確保することができる。ガラス転移温度は、好ましくは-47℃以上-15℃以下、より好ましくは-45℃以上-17℃以下であるとよい。タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度として求めることができる。
タイヤ用ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は一般的な方法で混練してタイヤ用ゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
サマータイヤ用ゴム組成物
本発明の課題を解決し、かつサマータイヤのトレッド部を構成するのに好適なタイヤ用ゴム組成物(以下、「サマータイヤ用ゴム組成物」ということがある。)は、アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを好ましくは30~180質量部、より好ましくは30~150質量部、さらに好ましくは40~140質量部配合するとよい。シリカを30質量部以上配合することにより、ウェット性能を確保することができる。また、180質量部以下配合することにより、耐摩耗性の低下を抑制することができる。
サマータイヤ用ゴム組成物は、炭素数7~20のアルキル基を有するアルキルトリエトキシシランを、シリカ量に対し好ましくは0.1~20質量部配合するとよい。アルキルトリエトキシシランを配合することにより、シリカの分散性をより良好にすることができる。アルキルトリエトキシシランは、好ましくはシリカ量に対し0.1~20質量部、より好ましくは0.5~15質量部配合するとよい。アルキルトリエトキシシランを0.1質量部以上配合することにより、シリカの分散性をより良好にすることができる。また20質量部以下にすることにより、耐摩耗性がより良好になり好ましい。
炭素数7~20のアルキル基としては、例えばヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。これらのうち、ジエン系ゴムとの相溶性の観点から、炭素数8~10のアルキル基がさらに好ましく、オクチル基、ノニル基がさらに好ましい。
サマータイヤ用ゴム組成物は、下記平均組成式(1)または下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤を、シリカ量に対し好ましくは2~20質量%配合するとよい。
(A)(B)(C)(D)(R1)SiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基を表し、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
(C2p+1)(C2p+1O)3-t-Si-C2q-S-C(O)-C2r+1 (2)
(式(2)中、pは1~3の整数、qは1~3の整数、rは1~15の整数、tは0~2の整数を表す。)
前記平均組成式(1)または一般式(2)で表されるシランカップリング剤を配合することにより、シリカの分散性をより良好にすることができる。前記平均組成式(1)または一般式(2)で表されるシランカップリング剤は、好ましくはシリカ量に対し2~20質量%、より好ましくは3~17質量%配合するとよい。前記平均組成式(1)または一般式(2)で表されるシランカップリング剤を2質量%以上配合することにより、シリカの分散性をより良好にすることができる。また20質量%以下にすることにより、耐摩耗性がより良好になり好ましい。
上記式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。なかでも、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
*-(CH-S-(CH-* (3)
上記式(3)中、nは1~10の整数を表し、なかでも、2~4の整数であることが好ましい。xは1~6の整数を表し、なかでも、2~4の整数であることが好ましい。また、*は、結合位置を示す。
上記式(3)で表される基の具体例としては、例えば、*-CH-S-CH-*、*-C-S-C-*、*-C-S-C-*、*-C-S-C-*、*-CH-S-CH-*、*-C4-S-C4-*、*-C-S-C-*、*-C-S-C-*などが挙げられる。
上記式(1)中、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などのアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中、Cは加水分解性基を表し、その具体例としては、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、下記式(4)で表される基であることが好ましい。
*-OR (4)
上記式(4)中、Rは炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数6~10のアラルキル基(アリールアルキル基)または炭素数2~10のアルケニル基を表し、なかでも、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。炭素数1~20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基などが挙げられる。上記炭素数6~10のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。上記炭素数2~10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ペンテニル基などが挙げられる。
上記式(4)中、*は、結合位置を示す。
上記式(1)中、Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。なかでも、下記式(5)で表される基であることが好ましい。
*-(CH-SH (5)
上記式(5)中、mは1~10の整数を表し、なかでも、1~5の整数であることが好ましい。上記式(5)中、*は、結合位置を示す。
上記式(5)で表される基の具体例としては、例えば*-CHSH、*-CSH、*-CSH、*-CSH、*-C10SH、*-C12SH、*-C14SH、*-C16SH、*-C18SH、*-C1020SHが挙げられる。
上記平均組成式(1)中、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。炭素数1~4の1価の炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、等が挙げられる。
上記平均組成式(1)中、a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。
上記平均組成式(1)中、aは、本発明の効果が向上するという理由から、0<a≦0.50であることが好ましい。bは、本発明の効果が向上するという理由から、0<bであることが好ましく、0.10≦b≦0.89であることがより好ましい。また、cは、本発明の効果が向上するという理由から、1.2≦c≦2.0であることが好ましい。さらに、dは、本発明の効果が向上するという理由から、0.1≦d≦0.8であることが好ましい。
平均組成式(1)で表される硫黄含有シランカップリング剤(ポリシロキサン)およびその製造方法は、例えば国際公開WO2014/002750号パンフレットに開示され、公知である。
上記一般式(2)中、シリカとの親和性が高く、タイヤ用ゴム組成物中におけるシリカの分散性が良好となる点でpは2~3であることが好ましく、2であることがより好ましい。qは、同様の理由で2~3であることが好ましく、3であることがより好ましい。rは、タイヤ用ゴム組成物の混練時のスコーチタイムが良好となる点で5~10が好ましく、6~9がより好ましく、7がさらに好ましい。tは0~2の整数を表し、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。このようなシランカップリング剤は、公知の方法により製造することができ、例えば国際公開WO99/09036号パンフレットに記載された方法が挙げられる。市販品としては、モメンティブ(Momentive Performance Material)社のNXTシラン等が例示される。
サマータイヤ用ゴム組成物は、その20℃におけるゴム硬度が、好ましくは55以上、より好ましくは57~80であるとよい。サマータイヤ用ゴム組成物のゴム硬度を55以上にすることにより、耐摩耗性がより良好になり好ましい。本明細書において、ゴム組成物のゴム硬度は、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定するゴムの硬さをいう。
高性能タイヤまたはレースタイヤ用ゴム組成物
本発明の課題を解決し、かつ高性能タイヤおよびレースタイヤのトレッド部を構成するのに好適なタイヤ用ゴム組成物(以下、「高性能タイヤまたはレースタイヤ用ゴム組成物」ということがある。)は、上述した変性スチレンブタジエンゴムを30~65質量%含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを150質量部以上配合するとよい。
高性能タイヤまたはレースタイヤ用ゴム組成物において、ジエン系ゴム100質量%中、変性スチレンブタジエンゴムを好ましくは30~65質量%、より好ましくは40~55質量%含有するとよい。変性スチレンブタジエンゴムが30質量%以上であると耐摩耗性を改良することができる。また変性スチレンブタジエンゴムが65質量%以下であるとウェット性能を維持、向上することができる。
高性能タイヤまたはレースタイヤ用ゴム組成物中のシリカは、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは150質量部以上、より好ましくは160~180質量部配合するとよい。シリカを150質量部以上にすることにより、ウェット性能をより良好にするため好ましい。なお、シリカを多量に配合すると、ゴム組成物の粘度が高くなり加工性が低下するが、本発明では、上述した変性スチレンブタジエンゴムを含むため、粘度が高くなるのを抑制し加工性を良化することができる。
シリカのCTAB吸着比表面積は、好ましくは150~250m/g、より好ましくは160~200m/gであるとよい。CTAB吸着比表面積を150m/g以上にすることにより、ウェット性能をより良好にすることができる。また、250m/g以下にすることにより、シリカの良好な分散性を維持すると共に、ゴム組成物の粘度の増加を抑制することができる。本明細書において、シリカのCTAB吸着比表面積は、JIS K6217-3に準拠して、測定するものとする。
高性能タイヤまたはレースタイヤ用ゴム組成物は、オイル、液状ポリマーおよび熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1つの可塑剤を配合するとよく、ウェット性能および加工性をより良好にすることができる。これら可塑剤の合計は、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは40~150質量部、より好ましくは50~120質量部配合するとよい。可塑剤の合計を40質量部以上にすることにより、ウェット性能および加工性をより良好にすることができる。また、可塑剤の合計を150質量部以下にすることにより、耐摩耗性を確保することができる。
オイルとして、例えば、やし油のような植物油;パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイルのような鉱物油系炭化水素およびこれらの水素添加物等が挙げられる。より具体的に、パラフィンオイル、ポリブテンオイル、ポリイソプレンオイル、ポリブタジエンオイル、アロマオイル等が例示される。
液状ポリマーとして、例えば液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン等の液状ジエン系ゴム、液状ポリα-オレフィンや、液状エチレンプロピレン共重合体および液状エチレンブチレン共重合体等の液状エチレンα-オレフィン共重合体、が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、タイヤ用ゴム組成物に通常配合されるものであればよく、例えばテルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水酸基が結合している水添石油樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル系樹脂およびそのアルキル変性体、ポリオール変性もしくはアルキルフェノール変性のキシレン樹脂およびノボラック型フェノール樹脂、クマロン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂として、軟化点120℃以上の炭化水素樹脂が好ましく用いられ、なかでも芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
芳香族変性テルペン樹脂は、テルペンと芳香族化合物とを重合することにより得られる。テルペンとしては、例えばα-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネンなどが例示される。芳香族化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデンなどが例示される。なかでも芳香族変性テルペン樹脂としてスチレン変性テルペン樹脂が好ましい。このような芳香族変性テルペン樹脂は、ジエン系ゴムとの相溶性が良好であるため、ゴム組成物の動的粘弾性を改質し、ウェットグリップ性能および発熱性を改良することができる。
芳香族変性テルペン樹脂は、ジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20~30質量部配合するとよい。芳香族変性テルペン樹脂を15質量部以上配合することにより、ウェット性能をより優れたものにすることができる。
また、芳香族変性テルペン樹脂の軟化点は、好ましくは60℃~150℃、より好ましくは80℃~130℃にするとよい。芳香族変性テルペン樹脂の軟化点を60℃以上にするとウェット性能がより向上する。芳香族変性テルペン樹脂の軟化点を150℃以下にすることにより転がり抵抗が大きくなるのを抑制する。
上述したタイヤ用ゴム組成物は、好ましくはタイヤトレッド用ゴム組成物であり、タイヤのトレッド部を好適に構成することができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物でトレッド部を構成したタイヤは、ウェット性能および耐摩耗性を両立させることができる。なお、タイヤは、空気入りタイヤ、非空気式タイヤのいずれでもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
サマータイヤ用ゴム組成物
表3に示す配合剤を共通配合とし、表1,2に示す配合からなるタイヤ用ゴム組成物(実施例1~10、標準例1、比較例1~4)を、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練りした後、ミキサーから放出して室温冷却した。これを上述した1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入し、硫黄および加硫促進剤を加えて混合することにより、タイヤ用ゴム組成物を調製した。また表3に記載した配合剤の配合量は、表1,2に記載したジエン系ゴム100質量部に対する質量部で示した。
また得られたタイヤ用ゴム組成物を使用して、ゴム硬度、耐摩耗性、ウェット性能および加速通過音を以下の方法により評価した。
ゴム硬度
得られたタイヤ用ゴム組成物を使用して、所定形状の金型中で、160℃、20分間加硫して加硫ゴムシートを作製し、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。
耐摩耗性
上記で得られた加硫ゴムシートについて、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を用いて、JIS K6264-2:2005に準拠し、付加力4.0kg/cm3(=39N)、スリップ率30%、摩耗試験時間4分、試験温度を室温の条件で摩耗試験を行い、摩耗質量を測定した。得られた結果は、標準例1の値を100とする指数とし、表1~2の「耐摩耗性」の欄に示した。この指数が大きいほど、耐摩耗性が優れることを意味し、96以上であれば従来レベルであるものとする。
ウェット性能
JIS K6394に準拠し、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を使用して、0℃における損失正接tanδ(tanδ(0℃))を求めた。得られた結果は、標準例1の値を100とする指数とし、表1~2の「ウェット性能」の欄に示した。この指数が大きいほど、ウェット性能が優れることを意味する。
加速通過音
タイヤの加速通過音は、保安基準に定められる加速騒音測定法による実車での計測により判定した。得られた結果は、標準例1の値を100とする指数とし、表1~2の「加速通過音」の欄に示した。この指数が小さいほど、加速通過音が優れることを意味する。
Figure 0007339580000001
Figure 0007339580000002
Figure 0007339580000003
表1~3において、使用した原材料の種類は、以下の通りである。
・変性SBR-1:アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NS560、ガラス転移温度が-32℃、GPCで測定したときの分子量分布曲線が二峰形で、その分子量分布(PDI)が1.5。
・変性SBR-2:アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴム、重合例1で製造したゴム、ガラス転移温度が-31℃、GPCで測定したときの分子量分布曲線が単峰形で、その分子量分布(PDI)が1.3。
・変性SBR-3:アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NS540、ガラス転移温度が-29℃、GPCで測定したときの分子量分布曲線が二峰形で、その分子量分布(PDI)が1.9。
・NR:天然ゴム、TSR20、ガラス転移温度が-65℃
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220、ガラス転移温度が-105℃
・シリカ-1:Solvay社製ZEOSIL 1165MP
・カーボンブラック-1:東海カーボン社製シースト7HM N234
・カップリング剤-1:Evonik Degussa社製Si69、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・カップリング剤-2:一般式(1)の平均組成式で表されるポリシロキサンを含むシランカップリング剤、信越化学工業社製、平均組成式(-C-S-C-)0.071(-C170.571(-OC1.50(-CSH)0.286SiO0.75で表されるポリシロキサン
・カップリング剤-3:一般式(2)で表されるシランカップリング剤、モメンティブ社製NXTシラン、次式により表される。
(CHCHO)-Si-C-S-C(O)-C12CH
・アルキルシラン:オクチルトリエトキシシラン、信越化学工業製KBE‐3083
・アロマオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:Korea Kumho Petrochemical社製6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤-1:大内新興化学社製ノクセラーCZ-G
・加硫促進剤-2:住友化学社製ソクシノールD-G
[製造例1] 変性開始剤の製造
真空乾燥させた、4Lのステンレス鋼製の圧力容器を2つ準備した。第1の圧力容器に、シクロヘキサン6,922g、下記化学式(i)で表される化合物85g、およびテトラメチルエチレンジアミン60gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、第2の圧力容器に、液状の2.0Mのn-ブチルリチウム180gおよびシクロヘキサン6,926gを投入し、第2反応溶液を製造した。この際、化学式(i)で表される化合物、n-ブチルリチウム、およびテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力を7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて、連続式反応器内に、第1連続式チャンネルを介して第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルを介して第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。この際、連続式反応器の温度は-10℃に維持し、内部圧力は背圧レギュレータ(backpressure regulator)を用いて3barに維持し、反応器内での滞留時間は10分以内となるように調節した。反応を終了し、変性開始剤を得た。
Figure 0007339580000004
[重合例1] 変性SBR-2の重合方法
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n‐ヘキサンにスチレンが60質量%で溶解されたスチレン溶液を6.5kg/h(スチレン換算で62.4mol/h)、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60質量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を7.7kg/h(1,3‐ブタジエン換算で85.4mol/h)、n‐ヘキサンを47.0kg/h、n‐ヘキサンに1,2‐ブタジエンが2.0質量%で溶解された1,2‐ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が10質量%で溶解された溶液を50.0g/h、下記製造例1で製造された変性開始剤を400.0g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は55℃になるように維持し、重合転換率が41%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
次に、第2反応器に、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60質量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を2.3kg/h(1,3‐ブタジエン換算で25.5mol/h)の速度で注入した。この際、第2反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が95%以上となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
前記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として、N-(3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリメトキシシリル)-N-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミンが溶解された溶液(溶媒:n-ヘキサン)を連続的に第3反応器に投入した[変性剤:act.Li(重合開始剤)=1:1mol]。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30質量%で溶解されたIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体[変性SBR-2]を製造した。
表1,2から明らかなようにサマータイヤに好適な実施例1~10のタイヤ用ゴム組成物は、耐摩耗性およびウェット性能に優れることが確認された。また、サマータイヤに求められる加速通過音にも優れる。
比較例1のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-3)の分子量分布曲線が二峰形で分子量分布(PDI)が1.7より大きいので、ウェット性能が劣る。また、加速通過音も大きい。
比較例2のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-2)が90質量%を超えるので、耐摩耗性が劣る。
比較例3のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-2)が30質量%未満なので、加速通過音が大きい。
比較例4のタイヤ用ゴム組成物は、シリカが30質量部未満なので、ウェット性能が劣る。
高性能タイヤまたはレースタイヤ用ゴム組成物
表6に示す配合剤を共通配合とし、表4,5に示す配合からなるタイヤ用ゴム組成物(実施例11~20、標準例2、比較例5~8)を、硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練りした後、ミキサーから放出して室温冷却した。これを上述した1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに投入し、硫黄および加硫促進剤を加えて混合することにより、タイヤ用ゴム組成物を調製した。また表6に記載した配合剤の配合量は、表4,5に記載したジエン系ゴム100質量部に対する質量部で示した。
また得られたタイヤ用ゴム組成物を使用して、加工性(ムーニー粘度)、耐摩耗性、ウェット性能および加工性(ムーニー粘度)を以下の方法により評価した。
耐摩耗性
上記で得られた加硫ゴムシートについて、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を用いて、JIS K6264-2:2005に準拠し、付加力4.0kg/cm3(=39N)、スリップ率30%、摩耗試験時間4分、試験温度を室温の条件で摩耗試験を行い、摩耗質量を測定した。得られた結果は、標準例2の値を100とする指数とし、表4~5の「耐摩耗性」の欄に示した。この指数が大きいほど、耐摩耗性が優れることを意味し、101以上であれば従来レベルであるものとする。
ウェット性能
得られたゴム組成物を使用して、所定形状の金型中で、160℃、20分間加硫して加硫ゴムシートを作製し、JIS K6394:2007に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件で、tanδ(0℃)を測定した。得られた結果は、標準例2の値を100とする指数とし、表4~5の「ウェット性能」の欄に示した。この指数が大きいほど、ウェット性能が優れることを意味する。
加工性(ムーニー粘度)
得られたゴム組成物のムーニー粘度をJIS K6300-1に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件で測定した。得られた結果は、それぞれの逆数を算出し、標準例1の値を100とする指数とし、表4~5の「加工性」の欄に示した。この指数が大きいほど、加工性が優れることを意味する。
Figure 0007339580000005
Figure 0007339580000006
Figure 0007339580000007
表4~6において、使用した原材料の種類は、以下の通りである。
・変性SBR-2:アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴム、上記変性SBR-2に同じ、ガラス転移温度が-31℃、GPCで測定したときの分子量分布曲線が単峰形で、その分子量分布(PDI)が1.3。
・変性SBR-3:アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製NS540、ガラス転移温度が-29℃、GPCで測定したときの分子量分布曲線が二峰形で、その分子量分布(PDI)が1.9。
・変性SBR-4:ヒドロキシ基を有するスチレンブタジエンゴム、旭化成社製タフデンE581、ガラス転移温度が-31℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したときの分子量分布曲線が単峰形で、その分子量分布(PDI)が2.3。
・変性SBR-5:アルコキシシリル基を有するスチレンブタジエンゴム、下記重合例2で製造したゴム、ガラス転移温度が-53℃、GPCで測定したときの分子量分布曲線が単峰形で、その分子量分布(PDI)が1.5。
・シリカ-1:Solvay社製ZEOSIL 1165MP、CTAB吸着比表面積が160m/g
・シリカ-2:Solvay社製Premium 200MP、CTAB吸着比表面積が200m/g
・シリカ-3:Solvay社製ZEOSIL 1085MP、CTAB吸着比表面積が80m/g
・カーボンブラック-2:東海カーボン社製シースト9M NSA=150m/g
・カップリング剤-1:Evonik Degussa社製Si69、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル社製TO-85
・アロマオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤:フレキシス社製サントフレックス6PPD
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロンOT-20
・加硫促進剤-1:大内新興化学社製ノクセラーCZ-G
・加硫促進剤-2:フレキシス製Perkacit DPG
[重合例2] 変性SBR-5の重合方法
上述した重合例1において、n‐ヘキサンにスチレンが60質量%で溶解されたスチレン溶液を4.6kg/h(スチレン換算で44.2mol/h)、n‐ヘキサンに1,3‐ブタジエンが60質量%で溶解された1,3‐ブタジエン溶液を11.5kg/h(1,3‐ブタジエン換算で127.6mol/h)、極性添加剤として、n‐ヘキサンにN,N,N‘,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が10質量%で溶解された溶液を40.0g/hで、第1反応器に連続的に投入したことを除き、前記重合例1と同様に行って、変性共役ジエン系重合体(変性SBR-5)を製造した[カップリング剤:act.Li(重合開始剤)=1:1mol]。
表4,5から明らかなように高性能タイヤまたはレースタイヤタイヤに好適な実施例11~20のタイヤ用ゴム組成物は、ウェット性能および耐摩耗性に優れることが確認された。また、高性能タイヤやレースタイヤタイヤに求められる加工性も良好である。
比較例5のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-2)が30質量%未満なので、耐摩耗性を改良することができない。
比較例6のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-2)が90質量%を超えるので、ウェット性能が劣る。また、加工性も悪化する。
比較例7のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-5)の分子量分布(PDI)が1.7より大きいので、ウェット性能が劣る。
比較例8のタイヤ用ゴム組成物は、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR-3)の分子量分布曲線が二峰形で分子量分布(PDI)が1.7より大きいので、耐摩耗性が劣る。
本開示は、以下の発明を包含する。
発明[1] アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを30~90質量%含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを30質量部以上配合したタイヤ用ゴム組成物であって、前記変性スチレンブタジエンゴムをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときの分子量分布曲線が単峰形を有し、かつその分子量分布(PDI)が1.7未満、前記タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度が-50℃より高いことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
発明[2] 前記ジエン系ゴム100質量部に、シリカを30~180質量部配合したことを特徴とする発明[1]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
発明[3] 20℃におけるゴム硬度が55以上であることを特徴とする発明[2]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
発明[4] 炭素数7~20のアルキル基を有するアルキルトリエトキシシランを、前記シリカ量に対し0.1~20質量部配合したことを特徴とする発明[2]または[3]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
発明[5] シランカップリング剤を、前記シリカ量に対し2~20質量%配合し、前記シランカップリング剤が、下記平均組成式(1)または下記一般式(2)で表されることを特徴とする発明[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(A)(B)(C)(D)(R1)SiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基を表し、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
(C2p+1)(C2p+1O)3-t-Si-C2q-S-C(O)-C2r+1 (2)
(式(2)中、pは1~3の整数、qは1~3の整数、rは1~15の整数、tは0~2の整数を表す。)
発明[6] 前記変性スチレンブタジエンゴムを30~65質量%含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを150質量部以上配合したことを特徴とする発明[1]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
発明[7] 前記シリカのCTAB吸着比表面積が150~250m/gであることを特徴とする発明[6]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
発明[8] オイル、液状ポリマーおよび熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1つの可塑剤を、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、合計で40~150質量部配合したことを特徴とする発明[6]または[7]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
発明[9] 芳香族変性テルペン樹脂を、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、15質量部以上配合したことを特徴とする発明[8]に記載のタイヤ用ゴム組成物。

Claims (4)

  1. アルコキシシリル基を有する変性スチレンブタジエンゴムを30~65質量%含むジエン系ゴム100質量部に、シリカを150質量部以上配合したタイヤ用ゴム組成物であって、前記シリカのCTAB吸着比表面積が150~250m 2 /gであり、前記変性スチレンブタジエンゴムをゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したときの分子量分布曲線が単峰形を有し、かつその分子量分布(PDI)が1.7未満、前記タイヤ用ゴム組成物のガラス転移温度が-50℃より高いことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. シランカップリング剤を、前記シリカ量に対し2~20質量%配合し、前記シランカップリング剤が、下記平均組成式(1)または下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
    (A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
    (式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5~10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基を表し、R1は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、a~eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
    (Cp2p+1)t(Cp2p+1O)3-t-Si-Cq2q-S-C(O)-Cr2r+1 (2)
    (式(2)中、pは1~3の整数、qは1~3の整数、rは1~15の整数、tは0~2の整数を表す。)
  3. オイル、液状ポリマーおよび熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも1つの可塑剤を、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、合計で40~150質量部配合したことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 芳香族変性テルペン樹脂を、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、15質量部以上配合したことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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