JP2018172593A - 油展変性共役ジエン系ゴムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低発熱性およびウエットグリップ性にバランス良く優れ、高い引張強度を有するゴム架橋物を与えることのできる油展変性共役ジエン系ゴムを提供すること。【解決手段】一方の末端にイソプレン単量体単位を80重量%以上含有するイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させてなる変性共役ジエン系ゴムに、伸展油を配合してなる油展変性共役ジエン系ゴムであって、前記油展変性共役ジエン系ゴムの重合体鎖中における、前記イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である油展変性共役ジエン系ゴムを提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、油展変性共役ジエン系ゴムおよびその製造方法に関し、より詳しくは、低発熱性およびウエットグリップ性にバランス良く優れ、高い引張強度を有するゴム架橋物を与えることのできる油展変性共役ジエン系ゴムおよびその製造方法に関する。
近年、自動車用のタイヤには、環境問題および資源問題から低燃費性が強く求められる一方で、安全性の面から優れたウエットグリップ性が求められている。充填剤としてシリカを配合したゴム組成物の架橋物は、カーボンブラックを配合したゴム組成物の架橋物に比べて、低発熱性に優れるため、タイヤを構成した場合の転がり抵抗が小さくなる。そのため、シリカを配合したゴム組成物の架橋物を用いてタイヤを構成することにより、低燃費性に優れたタイヤを得ることができる。
このような低燃費なタイヤを与えるために用いられる共役ジエン系ゴムとして、特許文献1には、共役ジエン系重合体鎖の一端にイソプレンブロックを有し、他端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、特定のハロゲン化スズ化合物を反応させて得られる共役ジエン系ゴムが開示されている。また、特許文献2には、共役ジエン系重合体鎖の一端にイソプレンブロックを有し、他端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、特定の変性剤を反応させることにより生じる3以上の共役ジエン系重合体鎖が結合してなる構造体を所定量以上含有する変性共役ジエン系ゴムが開示されている。
しかしながら、近年の自動車用タイヤに対する要求性能の高まりを鑑みると、今後新しく開発されるタイヤには、低発熱性、およびウエットグリップ性がより一層高められていることに加え、高い強度を備えていることが望まれている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、低発熱性およびウエットグリップ性にバランス良く優れ、しかも高い引張強度を有するゴム架橋物を与えることのできる油展変性共役ジエン系ゴムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく検討を行ったところ、一方の末端に、特定のイソプレン含有ブロックを特定の割合で含有し、かつ、他方の末端が変性剤で変性された変性共役ジエン系ゴムに、伸展油を配合してなる油展変性共役ジエン系ゴムによれば、高い引張強度を実現しながら、低発熱性およびウエットグリップ性がバランス良く優れたゴム架橋物を与えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、一方の末端にイソプレン単量体単位を80重量%以上含有するイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を、変性剤と反応させてなる変性共役ジエン系ゴムに、伸展油を配合してなる油展変性共役ジエン系ゴムであって、
前記油展変性共役ジエン系ゴムの重合体鎖中における、前記イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である油展変性共役ジエン系ゴムが提供される。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムにおいて、前記変性剤が、−Si−O−構造を有するものであることが好ましい。
前記油展変性共役ジエン系ゴムの重合体鎖中における、前記イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である油展変性共役ジエン系ゴムが提供される。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムにおいて、前記変性剤が、−Si−O−構造を有するものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを製造する方法であって、
不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、イソプレンを含む単量体を重合し、イソプレン単量体単位を80重量%以上含有する、活性末端を有するイソプレン含有ブロックを得る工程と、
前記活性末端を有するイソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエンを含む単量体と、を混合して重合反応を継続させ、1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン含有ブロックを、イソプレン含有ブロックと一続きに形成させることにより、一方の末端にイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程と、
前記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることで、変性共役ジエン系ゴムの溶液を得る工程と、
前記変性共役ジエン系ゴムの溶液に、伸展油を配合する工程とを備える油展変性共役ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、イソプレンを含む単量体を重合し、イソプレン単量体単位を80重量%以上含有する、活性末端を有するイソプレン含有ブロックを得る工程と、
前記活性末端を有するイソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエンを含む単量体と、を混合して重合反応を継続させ、1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン含有ブロックを、イソプレン含有ブロックと一続きに形成させることにより、一方の末端にイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程と、
前記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることで、変性共役ジエン系ゴムの溶液を得る工程と、
前記変性共役ジエン系ゴムの溶液に、伸展油を配合する工程とを備える油展変性共役ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなるゴム組成物が提供される。
本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記いずれかに記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記いずれかに記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明によれば、低発熱性およびウエットグリップ性にバランス良く優れ、高い引張強度を有するゴム架橋物を与えることのできる油展変性共役ジエン系ゴムを提供することができる。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムは、一方の末端にイソプレン単量体単位を80重量%以上含有するイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を、変性剤と反応させてなる変性共役ジエン系ゴムに、伸展油を配合してなり、
油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である、変性共役ジエン系ゴムの油展ゴムである。
油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である、変性共役ジエン系ゴムの油展ゴムである。
<共役ジエン系重合体鎖>
本発明で用いる変性共役ジエン系ゴムを得るために用いられる、共役ジエン系重合体鎖は、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖であって、少なくとも一方の末端に、イソプレン単量体単位を80重量%以上含有するイソプレン含有ブロックを備え、かつ、他方の末端に活性末端を有するものである。
本発明で用いる変性共役ジエン系ゴムを得るために用いられる、共役ジエン系重合体鎖は、共役ジエン単量体単位を含んでなる重合体鎖であって、少なくとも一方の末端に、イソプレン単量体単位を80重量%以上含有するイソプレン含有ブロックを備え、かつ、他方の末端に活性末端を有するものである。
共役ジエン系重合体鎖中のイソプレン含有ブロックは、イソプレン単量体単位を80重量%以上含有するものであればよく、特に限定されないが、イソプレン含有ブロックは、イソプレン単量体単位のみからなるものであってよく、あるいは、イソプレン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位を含有するものであってもよい。イソプレン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位をも含有するものである場合における、イソプレン単量体単位の含有割合は、イソプレン含有ブロック中、好ましくは80〜99重量%、より好ましくは85〜97重量%、さらに好ましくは89〜95重量%であり、芳香族ビニル単量体単位の含有割合は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜11重量%である。イソプレン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との含有割合が上記範囲内にあると、油展変性共役ジエン系ゴムにシリカを配合した場合に、油展変性共役ジエン系ゴムとシリカとの親和性が良好となり、これを用いて得られるゴム架橋物を、低発熱性、およびウエットグリップ性により優れたものとすることができる。
芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、または4−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。なお、これらの芳香族ビニル単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、イソプレン含有ブロックには、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、所望により、イソプレン単量体単位、またはイソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外に、さらに、その他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸などの不飽和力ルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。これらのその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。イソプレン含有ブロック中における、その他の単量体単位の含有割合は、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、共役ジエン系重合体鎖中に含まれるイソプレン含有ブロックは、不活性溶媒中、イソプレンを含む単量体を、重合開始剤により重合することにより形成される。イソプレン含有ブロックは、活性末端を有するものとなる。
イソプレン含有ブロックを形成するために、イソプレンを含む単量体の重合に用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであって、重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。その具体例としては、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、好ましくは1〜80重量%となる量であり、より好ましくは10〜50重量%となる量である。
イソプレン含有ブロックを形成するために用いられる重合開始剤としては、イソプレンを含む単量体を重合させて、活性末端を有する重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物および有機アルカリ土類金属化合物、ならびにランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、たとえば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機力リウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、たとえば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸力ルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、たとえば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、および有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物を用いることが好ましく、n−ブチルリチウムを用いることがより好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、重合に用いる単量体100g当り、好ましくは4〜250mmol、より好ましくは6〜200mmol、特に好ましくは10〜70mmolの範囲である。
重合温度は、好ましくは−80〜+150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。また、結合様式としては、たとえば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。
また、イソプレン含有ブロックにおけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、および2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、第三級アミンが好ましく、その中でも、重合開始剤の金属とキレート構造を形成し得るものがより好ましく、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、およびテトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、0.01〜30molが好ましく、0.05〜10molがより好ましい。極性化合物の使用量が上記範囲内にあると、イソプレン含有ブロックに含まれるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、しかも、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。また、上記範囲内で極性化合物の使用量を増加させることで、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を増加させることができる。
イソプレン含有ブロックにおけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量は、1〜90重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。なお、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量とは、イソプレン単量体単位中の、1,2−構造を有するイソプレン単量体単位および3,4−構造を有するイソプレン単量体単位の合計量の割合を指す。
イソプレン含有ブロックの分子量は、特に限定されず、最終的に得られる油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合(イソプレン含有ブロックの占める割合)が0.6〜1.9重量%の範囲となるような分子量とすればよいが、イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値として、1,000〜15,000であることが好ましく、1,500〜10,000であることがより好ましく、2,000〜8,000であることがさらに好ましい。イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
また、本発明で用いる変性共役ジエン系ゴムを得るために用いられる、共役ジエン系重合体鎖は、上述したイソプレン含有ブロック以外の部分として、1,3−ブタジエン単量体単位を含む重合体鎖を有するものであることが好ましい。以下、イソプレン含有ブロック以外の部分としての、1,3−ブタジエン単量体単位を含む重合体鎖を、ブタジエン含有ブロックとし、イソプレン含有ブロック以外の部分を、ブタジエン含有ブロックで構成する場合を例示して説明する。
ブタジエン含有ブロックは、特に限定されないが、ブタジエン含有ブロック中、1,3−ブタジエン単量体単位を50重量%以上含有していることが好ましく、1,3−ブタジエン単量体単位のみからなるものであってよいし、あるいは、1,3−ブタジエン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位を含有するものであってもよい。1,3−ブタジエン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位をも含有するものである場合における、これらの重量比(1,3−ブタジエン単量体単位:芳香族ビニル単量体単位)は、99:1〜50:50が好ましく、90:10〜55:45がより好ましく、85:15〜55:45が特に好ましい。1,3−ブタジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との重量比が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。
ブタジエン含有ブロックを得るために用いる芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、上述したイソプレン含有ブロックにおいて例示した芳香族ビニル単量体を同様に用いることができ、これらの中でも、スチレンが好ましい。
また、ブタジエン含有ブロックには、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、所望により、1,3−ブタジエン単量体単位、または1,3−ブタジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外に、さらに、その他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、上述したイソプレン含有ブロックにおいて例示された化合物(ただし、1,3−ブタジエンを除く)を同様に用いることができる。ブタジエン含有ブロック中における、その他の単量体単位の含有割合は、50重量%未満であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることがさらに好ましい。また、ブタジエン含有ブロックを形成するためのその他の単量体として、イソプレンを用いることもできるが、その含有割合は50重量%未満とする。
本発明において、共役ジエン系重合体鎖中のブタジエン含有ブロックは、上述した活性末端を有するイソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエンを含む単量体と、を混合して重合反応を継続させることにより、イソプレン含有ブロックと一続きに形成される。形成されたブタジエン含有ブロックは、活性末端を有するものとなる。一方、イソプレン含有ブロックは活性末端が消失する。
ブタジエン含有ブロックを形成するために、イソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエンを含む単量体との重合に用いられる不活性溶媒としては、特に限定されず、上述したイソプレン含有ブロックの調製に用いられる不活性溶媒と同様のものを用いることができる。
ブタジエン含有ブロックを形成する際における、活性末端を有するイソプレン含有ブロックの使用量は、最終的に得られる油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合(イソプレン含有ブロックの占める割合)が0.6〜1.9重量%の範囲となるような量とすればよいが、1,3−ブタジエンを含む単量体100g当り、好ましくは0.1〜5mmol、より好ましくは0.15〜2mmol、さらに好ましくは0.2〜1.5mmolの範囲である。
活性末端を有するイソプレン含有ブロックと1,3−ブタジエンを含む単量体との混合方法は、特に限定されず、1,3−ブタジエンを含む単量体の溶液中に活性末端を有するイソプレン含有ブロックを加えてもよいし、活性末端を有するイソプレン含有ブロックの溶液中に1,3−ブタジエンを含む単量体を加えてもよい。これらの中でも、重合の制御の観点より、1,3−ブタジエンを含む単量体の溶液中に活性末端を有するイソプレン含有ブロックを加える方法が好ましい。
1,3−ブタジエンを含む単量体を重合するにおける重合温度は、好ましくは−80〜+150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。ブタジエン含有ブロックを共重合体鎖とする場合には、結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
ブタジエン含有ブロックを共重合体鎖とする場合の各単量体の結合様式は、たとえば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。これらの中でも、ランダム状が好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。なお、ブタジエン含有ブロックを、1,3−ブタジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位を含有し、かつ、これらの結合様式がランダム状のものとする場合、重合系内において、1,3−ブタジエンと芳香族ビニル単量体との合計量に対する芳香族ビニル単量体の比率が高くなりすぎないように、1,3−ブタジエンまたは1,3−ブタジエンと芳香族ビニル単量体とを、連続的または断続的に重合系内に供給して重合することが好ましい。
また、本発明においては、ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、イソプレン含有ブロックにおけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節時と同様に、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。ただし、イソプレン含有ブロックの調製時に、不活性溶媒に、ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するのに十分な量の極性化合物を添加している場合は、新たに極性化合物を添加しなくてもよい。ビニル結合含有量を調節するために用いられる極性化合物についての具体例は、上述のイソプレン含有ブロックの調製に用いられる極性化合物と同様である。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1mo1に対して、好ましくは0.01〜100mol、より好ましくは0.1〜30mo1の範囲で調節すればよい。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量(すなわちイソプレン含有ブロック以外の部分におけるビニル結合含有量)は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜70重量%である。ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物をより低発熱性に優れたものとすることができる。
このようにして、一方の末端にイソプレン含有ブロックを有し、他方の末端が活性末端である共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。
このようにして得られる共役ジエン系重合体鎖は、一方の末端にイソプレン含有ブロックを有し、共役ジエン単量体単位を主構造単位としていれば、特に限定されないが、共役ジエン系重合体鎖中、共役ジエン単量体単位を50重量%以上含有していることが好ましく、共役ジエン単量体単位に加えて、芳香族ビニル単量体単位をも含有するものである場合、これらの重量比(共役ジエン単量体単位:芳香族ビニル単量体単位)は、99:1〜50:50が好ましく、90:10〜55:45がより好ましく、85:15〜55:45が特に好ましい。
共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値で、好ましくは100,000〜1,000,000であり、より好ましくは200,000〜900,000であり、さらに好ましくは300,000〜800,000である。共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内とすることにより、加工性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物を、引張強度がより向上されたものとすることができる。
共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましく、1.0〜2.2であることが特に好ましい。活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。
共役ジエン系重合体鎖における共役ジエン単量体単位中の好ましいビニル結合含有量は、ブタジエン含有ブロックにおける1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量と同じである。
<変性共役ジエン系ゴム、油展変性共役ジエン系ゴム>
本発明で用いる変性共役ジエン系ゴムは、上述した共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、変性剤を反応させることにより、共役ジエン系重合体鎖を変性させることで得ることができる。
本発明で用いる変性共役ジエン系ゴムは、上述した共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、変性剤を反応させることにより、共役ジエン系重合体鎖を変性させることで得ることができる。
変性反応に用いる変性剤としては、シリカに対する親和性をより高めることができ、これにより低発熱性をより高めることができるという観点より、−Si−O−構造を有するものを好適に用いることができる。
このような変性剤の具体例としては、たとえば、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)エタンなどのアルコキシシラン;などを挙げることができる。これらの中でも、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンを用いることにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性により優れたものとすることができる。
上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、一般式(1)中のR1〜R8、X1およびX4を構成し得る炭素数1〜6のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、たとえば、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2およびX4を構成し得る炭素数1〜5のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
さらに、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2およびX4を構成し得るエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、たとえば、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
−Z1−Z2−E (2)
上記一般式(2)中、Z1は、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Z2はメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
−Z1−Z2−E (2)
上記一般式(2)中、Z1は、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Z2はメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
上記一般式(2)で表される基としては、Z2が酸素原子であるものが好ましく、Z2が酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Z1が炭素数1〜3のアルキレン基であり、Z2が酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1およびX4としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、X2としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。さらに、X1およびX4が炭素数1〜6のアルキル基であり、X2がエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることがより好ましい。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X3、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(3)で表される基が好ましい。
上記一般式(3)中、tは2〜20の整数であり、X5は炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R9は水素原子またはメチル基であり、X6は炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、X5が炭素数3のアルキレン基であり、R9が水素原子であり、かつ、X6がメトキシ基であるものが好ましい。
上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは3〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120の整数である。mが3以上であると、変性共役ジエン系ゴムのシリカに対する親和性をより高めることができ、これにより、得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。また、mが200以下であると、ポリオルガノシロキサン自体の製造がより容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いもより容易となる。
また、上記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜130の整数である。m、nおよびkの合計数は、3〜400であることが好ましく、20〜300であることがより好ましく、30〜250であることが特に好ましい。m、nおよびkの合計数が上記範囲内にあると、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンと活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖との反応が進行し易くなるとともに、ポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になり、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
変性剤の使用量は、重合に使用した重合開始剤1モルに対して、変性剤中の共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基(たとえば、エポキシ基、アルコキシ基等)に換算して、0.1〜1の範囲となる量であり、0.2〜0.9の範囲となる量であることが好ましく、0.3〜0.8の範囲となる量であることがより好ましい。変性剤の使用量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。変性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明においては、変性共役ジエン系ゴムを得る際においては、共役ジエン系重合体鎖に、上述した変性剤を反応させる前に、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合停止剤や、上述した変性剤以外の重合末端変性剤およびカップリング剤などを重合系内に添加して、共役ジエン系重合体鎖の活性末端の一部を不活性化したものであってもよい。
このとき用いられる重合末端変性剤およびカップリング剤としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、およびN−メチル−ε−カプロラクタムなどのN−置換環状アミド類;1,3−ジメチルエチレン尿素、および1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンなどのN−置換環状尿素類;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのN−置換アミノケトン類;ジフェニルメタンジイソシアネート、および2,4−トリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのN,N−ジ置換アミノアルキルメタクリルアミド類;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類;ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのN−置換カルボジイミド類;N−エチルエチリデンイミン、N−メチルベンジリデンイミンなどのシッフ塩基類;4−ビニルピリジンなどのピリジル基含有ビニル化合物;四塩化錫、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどのハロゲン化金属化合物;などが挙げられる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを反応させる際、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、変性剤などを添加することが好ましく、反応を良好に制御する観点から、変性剤などを不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することがより好ましい。その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。
上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを添加する時期は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体鎖における重合反応が完結しておらず、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に変性剤などを添加することが望ましい。変性剤およびカップリング剤の添加をこのようなタイミングで行なうことにより、共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを反応させるときの条件としては、温度が、たとえば、0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、それぞれの反応時間が、例えば、1分〜120分、好ましくは2分〜60分の範囲である。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤などを反応させた後は、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端を失活させた後、得られた変性共役ジエン系ゴムの溶液に、伸展油を配合し、その後、直接乾燥またはスチームストリッピングなどにより溶液から溶媒を分離することで、油展変性共役ジエン系ゴムを回収することができる。また、所望により、伸展油を配合する前、あるいは、伸展油を配合した後の、変性共役ジエン系ゴムの溶液に、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを添加してもよい。
この際に用いる伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油の配合量は、変性共役ジエン系ゴム100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは7〜60重量部、さらに好ましくは10〜50重量部である。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムは、油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合(イソプレンブロックが占める割合)が0.6〜1.9重量%であり、好ましくは0.7〜1.8重量%、より好ましくは1.1〜1.7重量%である。本発明によれば、イソプレン含有ブロックの含有割合を上記範囲とすることで、このような油展変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるゴム架橋物を、低発熱性およびウエットグリップ性が高度にバランスされ、しかも、高い引張強度を有するものとすることができるものである。特に、本発明者等が、油展変性共役ジエン系ゴムについて検討を行ったところ、イソプレン含有ブロックを含有させることで、高い引張強度を実現しながら、低発熱性およびウエットグリップ性を向上させることができること、および、イソプレン含有ブロックが占める割合を上記特定の範囲とすることにより、低発熱性およびウエットグリップ性を高度にバランスさせながら向上させることができることを見出したものである。イソプレン含有ブロックの含有割合が低すぎると、得られるゴム架橋物は、低発熱性およびウエットグリップ性に劣るものとなってしまい、イソプレン含有ブロックの含有割合が高すぎると、低発熱性が不十分なものとなってしまう。
なお、油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合の測定方法は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって、イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量(Mp)、および油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量(Mp)を、ポリスチレン換算の値として求め、これらの結果より、下記式に従って求めることができる。
イソプレン含有ブロックの含有割合(重量%)=(イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量/油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量)×100
イソプレン含有ブロックの含有割合(重量%)=(イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量/油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量)×100
なお、本発明の油展変性共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系重合体鎖と、上述した変性剤やカップリング剤とを反応させることにより得られるものであるが、共役ジエン系重合体鎖と、変性剤やカップリング剤との反応により、2以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体をも含み得るものである。すなわち、1つの共役ジエン系重合体鎖の末端に変性剤が結合してなる構造体に加えて、2つの共役ジエン系重合体鎖が変性剤やカップリング剤を介して結合してなる構造体、さらには、3つ以上の共役ジエン系重合体鎖が変性剤やカップリング剤を介して結合してなる構造体をも含み得るものである。そのため、イソプレン含有ブロックの含有割合を算出する際には、このような点を考慮して算出することが望ましい。具体的には、油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量としては、1つの共役ジエン系重合体鎖の末端に変性剤が結合してなる構造体由来のピークトップ分子量の値(たとえば、複数検出されるピークのうち、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量の値)を採用し、この値と、イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量とから、イソプレン含有ブロックの含有割合を算出する方法が簡便であり、好適である。
また、本発明の油展変性共役ジエン系ゴムにおける、2以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。2以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の割合が上記範囲内にあると、製造時における凝固性、および乾燥性が良好となり、さらには、油展変性共役ジエン系ゴムにシリカを配合したときに、ゴム組成物の加工性をより高めることができ、さらには、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。なお、最終的に得られる油展変性共役ジエン系ゴムの全量に対する、2以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している構造体の割合(重量分率)を、カップリング率とする。カップリング率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(ポリスチレン換算)により測定することができる。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定により得られたチャートより、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の1.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、カップリング率とする。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値として、50,000〜500,000であることが好ましく、100,000〜450,000であることがより好ましく、150,000〜450,000であることがさらに好ましい。油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量(Mp)を上記範囲内とすることにより、加工性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物を、引張強度がより向上されたものとすることができる。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値で、好ましくは100,000〜1,000,000、より好ましくは200,000〜900,000であり、さらに好ましくは300,000〜800,000である。油展変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、加工性を良好なものとしながら、得られるゴム架橋物を、引張強度がより向上されたものとすることができる。
本発明の油展変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。油展変性共役ジエン系ゴムの分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、本発明の油展変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜90、特に好ましくは35〜80である。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述した本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなる組成物である。
本発明のゴム組成物は、上述した本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなる組成物である。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m2/g、より好ましくは80〜220m2/g、特に好ましくは100〜170m2/gである。また、シリカのpHは、pH5〜10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物のウエットグリップ性および低発熱性をより向上させることができる。
本発明のゴム組成物には、低発熱性をより向上させるという観点より、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
なお、本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)や油展変性共役ジエン系ゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、例えば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、相溶化剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した本発明の油展変性共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した本発明の油展変性共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、本発明の油展変性共役ジエン系ゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、本発明の油展変性共役ジエン系ゴムをゴム成分中に含めることにより、低発熱性とウエットグリップ性とが向上されたゴム架橋物を得ることができる。
また、本発明のゴム組成物には、ゴム成分以外に樹脂を配合してもよい。樹脂を配合することにより、ゴム組成物に粘着性を付与させたり、ゴム組成物中の充填剤の分散性を高めることができる。その結果、得られるゴム架橋物のウエットグリップ性や耐摩耗性の向上が期待できる。また、可塑剤と同様な効果として、ゴム組成物の加工性を向上させることもできる。樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、インデン系樹脂、インデンを含有するC9系樹脂、α−メチルスチレン・インデン共重合体樹脂、クマロン−インデン樹脂、ファルネセン系樹脂、ポリリモネン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、変性されていたり、水素添加されていたりするものであってもよい。これらの樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。樹脂の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは25重量部以下である。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分と油展変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分とを混練後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く成分とゴム成分との混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の油展変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるものであるため、低発熱性およびウエットグリップ性にバランス良く優れ、しかも高い引張強度を有するものである。そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。特に、本発明のゴム架橋物は、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、およびスタッドレスタイヤなどの各種タイヤにおいて、トレッド、カーカス、サイドウォール、およびビード部などのタイヤ各部位に好適に用いることができ、特に低発熱性に優れるので、低燃費タイヤのトレッド用として、特に好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔ピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率〕
ピークトップ分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、およびカップリング率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、得られたチャートに基づいて求めた。ゲルパーミエーションクロマトグラフィの具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
なお、油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量は、上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量の値を用いた。
カップリング率については、上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の1.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、共役ジエン系重合体鎖のカップリング率の値とした。
ピークトップ分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、およびカップリング率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、得られたチャートに基づいて求めた。ゲルパーミエーションクロマトグラフィの具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
なお、油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量は、上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量の値を用いた。
カップリング率については、上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の1.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、共役ジエン系重合体鎖のカップリング率の値とした。
〔ミクロ構造〕
イソプレン単量体単位含有量、芳香族ビニル単量体単位含有量、およびビニル結合含有量は、1H−NMRにより測定した。
イソプレン単量体単位含有量、芳香族ビニル単量体単位含有量、およびビニル結合含有量は、1H−NMRにより測定した。
〔ゴム架橋物の低発熱性〕
ゴム架橋物の低発熱性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、TAインスツルメント社製ARES‐G2を用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例3の測定値をそれぞれ100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。
ゴム架橋物の低発熱性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、TAインスツルメント社製ARES‐G2を用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例3の測定値をそれぞれ100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。
〔ゴム架橋物のウエットグリップ性〕
ゴム架橋物のウエットグリップ性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、TAインスツルメント社製ARES‐G2を用い、動的歪み0.5%、10Hzの条件で0℃におけるtanδの値を測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例3の測定値をそれぞれ100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、ウエットグリップ性に優れる。
ゴム架橋物のウエットグリップ性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、TAインスツルメント社製ARES‐G2を用い、動的歪み0.5%、10Hzの条件で0℃におけるtanδの値を測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例3の測定値をそれぞれ100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、ウエットグリップ性に優れる。
〔ゴム架橋物の引張強度〕
引張強度については、JIS K6301に従って、引張試験を行い、300%伸張時の応力を測定した。この特性については、比較例3の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、引張強度に優れる。
引張強度については、JIS K6301に従って、引張試験を行い、300%伸張時の応力を測定した。この特性については、比較例3の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、引張強度に優れる。
〔実施例1〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン10.7g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.31mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.1mmolを添加した。次いで、イソプレン4.26g、およびスチレン0.35gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックAを得た。得られたイソプレン含有ブロックAのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン10.7g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.31mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.1mmolを添加した。次いで、イソプレン4.26g、およびスチレン0.35gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックAを得た。得られたイソプレン含有ブロックAのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
次に、攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン2.2mmol、1,3−ブタジエン228.0g、およびスチレン252.0gを仕込んだ後、上記にて得られたイソプレン含有ブロックAを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン120gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は70℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、下記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.26mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.45倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、変性共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。
次いで、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴムを含有する溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、BASF社製)を、変性共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部、および伸展油(商品名「アロマックスT−DAE」、JX日鉱日石エネルギー社製)を、変性共役ジエン系ゴム100部に対して25部、それぞれ添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の油展変性共役ジエン系ゴム1を得た。得られた油展変性共役ジエン系ゴム1のピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率、スチレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。さらに、下記式にて算出される油展変性共役ジエン系ゴム1の重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合を表1に併せて示した。
イソプレン含有ブロックの含有割合(重量%)=(イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量/油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量)×100
イソプレン含有ブロックの含有割合(重量%)=(イソプレン含有ブロックのピークトップ分子量/油展変性共役ジエン系ゴムを構成する重合体鎖のピークトップ分子量)×100
〔実施例2〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン12.3g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.33mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.3mmolを添加した。次いで、イソプレン4.88g、およびスチレン0.40gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックBを得た。得られたイソプレン含有ブロックBのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン12.3g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.33mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.3mmolを添加した。次いで、イソプレン4.88g、およびスチレン0.40gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックBを得た。得られたイソプレン含有ブロックBのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
次いで、イソプレン含有ブロックAに代えて、上記にて得られたイソプレン含有ブロックBを使用したこと、テトラメチルエチレンジアミンの配合量を2.2mmolから2.6mmolに変更したこと、および、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンの配合量を1.26mmolから1.35mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.45倍モルに相当)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、重合操作、老化防止剤および伸展油の添加を行い、溶媒を除去することで、油展変性共役ジエン系ゴム2を得た。得られた油展変性共役ジエン系ゴム2のピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率、スチレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量、ならびに、油展変性共役ジエン系ゴム2の重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合を表1に示す。
〔実施例3〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン22.2g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.31mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.1mmolを添加した。次いで、イソプレン8.80g、およびスチレン0.71gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックCを得た。得られたイソプレン含有ブロックCのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン22.2g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.31mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.1mmolを添加した。次いで、イソプレン8.80g、およびスチレン0.71gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックCを得た。得られたイソプレン含有ブロックCのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
次いで、イソプレン含有ブロックAに代えて、上記にて得られたイソプレン含有ブロックCを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、重合操作、老化防止剤および伸展油の添加を行い、溶媒を除去することで、油展変性共役ジエン系ゴム3を得た。得られた油展変性共役ジエン系ゴム3のピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率、スチレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量、ならびに、油展変性共役ジエン系ゴム3の重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合を表1に示す。
〔実施例4〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン25.9g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.30mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.0mmolを添加した。次いで、イソプレン10.27g、およびスチレン0.83gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックDを得た。得られたイソプレン含有ブロックDのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン25.9g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.30mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.0mmolを添加した。次いで、イソプレン10.27g、およびスチレン0.83gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックDを得た。得られたイソプレン含有ブロックDのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
次いで、イソプレン含有ブロックAに代えて、上記にて得られたイソプレン含有ブロックDを使用したこと、テトラメチルエチレンジアミンの配合量を2.2mmolから2.3mmolに変更したこと、および、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンの配合量を1.26mmolから1.23mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.45倍モルに相当)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、重合操作、老化防止剤および伸展油の添加を行い、溶媒を除去することで、油展変性共役ジエン系ゴム4を得た。得られた油展変性共役ジエン系ゴム4のピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率、スチレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量、ならびに、油展変性共役ジエン系ゴム4の重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合を表1に示す。
〔比較例1〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン2.3mmol、1,3−ブタジエン228.0g、およびスチレン252.0gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム2.8mmolを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン120gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は70℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.13mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.45倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、変性共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン4000g、テトラメチルエチレンジアミン2.3mmol、1,3−ブタジエン228.0g、およびスチレン252.0gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム2.8mmolを全量加え、40℃で重合を開始した。重合を開始してから10分経過後、1,3−ブタジエン120gを60分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は70℃であった。連続添加終了後、さらに20分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記式(4)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基の含有量が1.13mmol(使用したn−ブチルリチウムの0.45倍モルに相当)となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。次いで、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、変性共役ジエン系ゴムを含有する溶液を得た。
次いで、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴムを含有する溶液に、老化防止剤(商品名「イルガノックス1520L」、BASF社製)を、変性共役ジエン系ゴム100部に対して0.15部、および伸展油(商品名「アロマックスT−DAE」、JX日鉱日石エネルギー社製)を、変性共役ジエン系ゴム100部に対して25部、それぞれ添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の油展変性共役ジエン系ゴム5を得た。得られた油展変性共役ジエン系ゴム5のピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率、スチレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量、ならびに、油展変性共役ジエン系ゴム5の重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合を表1に示す。
〔比較例2〕
窒素置換された200mlアンプル瓶に、シクロヘキサン45.1g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.31mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.1mmolを添加した。次いで、イソプレン17.89g、およびスチレン1.45gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックEを得た。得られたイソプレン含有ブロックEのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
窒素置換された200mlアンプル瓶に、シクロヘキサン45.1g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.31mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム3.1mmolを添加した。次いで、イソプレン17.89g、およびスチレン1.45gをゆっくりと添加し、アンプル瓶内の温度を50℃とし、50℃で重合を開始し、120分間反応を継続することで、イソプレン含有ブロックEを得た。得られたイソプレン含有ブロックEのピークトップ分子量、イソプレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量を表1に示す。
次いで、イソプレン含有ブロックAに代えて、上記にて得られたイソプレン含有ブロックEを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、重合操作、老化防止剤および伸展油の添加を行い、溶媒を除去することで、油展変性共役ジエン系ゴム6を得た。得られた油展変性共役ジエン系ゴム6のピークトップ分子量、重量平均分子量、カップリング率、スチレン単量体単位含有量、およびビニル結合含有量、ならびに、油展変性共役ジエン系ゴム6の重合体鎖中における、イソプレン含有ブロックの含有割合を表1に示す。
〔実施例5〕
容積250mlのバンバリーミキサーを用いて、実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部、およびブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製)30部を素練りした。次いで、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ソルベイ社製、窒素吸着比表面積(BET法):163m2/g)50部、シランカップリング剤としてのビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(商品名「Si69」、エボニック社製)6部、および伸展油(商品名「T−DAE」、JX日鉱日石エネルギー社製)10部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練した。次いで、得られた混練物に、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ソルベイ社製)25部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、ADEKA社製)2部、および老化防止剤としてのN−フェニル−N’− (1,3−ジメチルブチル) −p−フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、2.5分間混練して、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。なお、この際におけるバンバリーミキサーでの混練は、混練スピードを制御することで、ミキサー内の混練物の温度(混練温度)を、混練開始後、150℃に到達した時点で、混練物の温度(混練温度)が150℃に保たれる条件とした。
容積250mlのバンバリーミキサーを用いて、実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部、およびブタジエンゴム(商品名「Nipol BR1220」、日本ゼオン社製)30部を素練りした。次いで、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ソルベイ社製、窒素吸着比表面積(BET法):163m2/g)50部、シランカップリング剤としてのビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(商品名「Si69」、エボニック社製)6部、および伸展油(商品名「T−DAE」、JX日鉱日石エネルギー社製)10部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練した。次いで、得られた混練物に、シリカ(商品名「Zeosil 1165MP」、ソルベイ社製)25部、酸化亜鉛(亜鉛華1号)3部、ステアリン酸(商品名「SA−300」、ADEKA社製)2部、および老化防止剤としてのN−フェニル−N’− (1,3−ジメチルブチル) −p−フェニレンジアミン(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、2.5分間混練して、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。なお、この際におけるバンバリーミキサーでの混練は、混練スピードを制御することで、ミキサー内の混練物の温度(混練温度)を、混練開始後、150℃に到達した時点で、混練物の温度(混練温度)が150℃に保たれる条件とした。
次いで、混練により得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度バンバリーミキサー中で、3分間混練した後、バンバリーミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールを用いて、得られた混練物に、硫黄1.5部、架橋促進剤としてのN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ−G」、大内新興化学工業社製)1.8部、および、架橋促進剤としての1,3−ジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.5部を配合し、混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。
そして、得られたゴム組成物を、160℃で20分間プレス架橋してゴム架橋物の試験片を作製し、このゴム架橋物の試験片について、上記方法に従って、低発熱性、ウエットグリップ性、および引張強度の評価を行った。結果を表2に示す。
そして、得られたゴム組成物を、160℃で20分間プレス架橋してゴム架橋物の試験片を作製し、このゴム架橋物の試験片について、上記方法に従って、低発熱性、ウエットグリップ性、および引張強度の評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例6〕
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、実施例2で得られた油展変性共役ジエン系ゴム2 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、実施例2で得られた油展変性共役ジエン系ゴム2 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例7〕
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、実施例3で得られた油展変性共役ジエン系ゴム3 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、実施例3で得られた油展変性共役ジエン系ゴム3 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例8〕
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、実施例4で得られた油展変性共役ジエン系ゴム4 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、実施例4で得られた油展変性共役ジエン系ゴム4 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、比較例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム5 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、比較例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム5 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、比較例2で得られた油展変性共役ジエン系ゴム6 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で得られた油展変性共役ジエン系ゴム1 87.5部の代わりに、比較例2で得られた油展変性共役ジエン系ゴム6 87.5部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片の作製を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
表1、表2に示すように、イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である油展変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、イソプレン含有ブロックを含有しない場合(比較例1、3)と比較して、低発熱性およびウエットグリップ性にバランス良く優れ、高い引張強度を有するものであった(実施例1〜8)。
一方、イソプレン含有ブロックの含有割合が、1.9重量%超である油展変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、低発熱性の改善効果が低いものであった(比較例2、4)。
一方、イソプレン含有ブロックの含有割合が、1.9重量%超である油展変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、低発熱性の改善効果が低いものであった(比較例2、4)。
Claims (7)
- 一方の末端にイソプレン単量体単位を80重量%以上含有するイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を、変性剤と反応させてなる変性共役ジエン系ゴムに、伸展油を配合してなる油展変性共役ジエン系ゴムであって、
前記油展変性共役ジエン系ゴムの重合体鎖中における、前記イソプレン含有ブロックの含有割合が0.6〜1.9重量%である油展変性共役ジエン系ゴム。 - 前記変性剤が、−Si−O−構造を有する請求項1に記載の油展変性共役ジエン系ゴム。
- 請求項1または2に記載の油展変性共役ジエン系ゴムを製造する方法であって、
不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、イソプレンを含む単量体を重合し、イソプレン単量体単位を80重量%以上含有する、活性末端を有するイソプレン含有ブロックを得る工程と、
前記活性末端を有するイソプレン含有ブロックと、1,3−ブタジエンを含む単量体と、を混合して重合反応を継続させ、1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン含有ブロックを、イソプレン含有ブロックと一続きに形成させることにより、一方の末端にイソプレン含有ブロックを備え、他方の末端に活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程と、
前記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、変性剤を反応させることで、変性共役ジエン系ゴムの溶液を得る工程と、
前記変性共役ジエン系ゴムの溶液に、伸展油を配合する工程とを備える油展変性共役ジエン系ゴムの製造方法。 - 請求項1または2に記載の油展変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなるゴム組成物。
- 架橋剤をさらに含有する請求項4に記載のゴム組成物。
- 請求項5に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
- 請求項6に記載のゴム架橋物を含んでなるタイヤ。
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