JP7020423B2 - 変性共役ジエン系ゴムの製造方法 - Google Patents

変性共役ジエン系ゴムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、変性共役ジエン系ゴムの製造方法に関し、より詳しくは、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムを製造するための方法に関する。また、本発明は、この製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴム、該変性共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物およびそのゴム架橋物にも関する。
近年、環境問題や資源問題から、自動車用のタイヤにも低発熱性が強く求められており、さらに安全性の面からは優れたウエットグリップ性が求められている。シリカを配合したゴム組成物から得られるタイヤは、通常使用されるカーボンブラックを配合したゴム組成物から得られるタイヤに比べて低発熱性に優れるため、これを用いることにより低燃費なタイヤを製造することができる。しかしその一方で、通常使用されているゴムにシリカを配合しても、シリカとの親和性に劣るため、分離が発生しやすく、結果として、低発熱性およびウエットグリップ性を向上させることができないという課題があった。
このような課題に対し、ゴムとシリカとの親和性を高めるために、ゴムの重合活性末端等に変性剤を反応させることにより、シリカに対する親和性の高い官能基を導入する技術が知られている。
たとえば、特許文献1には、共役ジエン系重合体の活性末端に、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどの、保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物を反応させることにより、共役ジエン系重合体とシリカとの親和性を高める試みが行われている。この特許文献1の技術では、得られる共役ジエン系重合体は、シリカに対する親和性がある程度向上したものとなるものの、シリカを配合した際におけるシリカの分散性が必ずしも十分でなく、そのため、ウエットグリップ性および低発熱性の向上効果も限定的なものであった。
特開2004-67982号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムを製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために、共役ジエン系重合体の活性末端を変性させるための変性剤ついて鋭意検討を行った結果、変性剤として、環状のシロキサン構造を有するとともに、保護アミノ基含有有機基を備えた特定のシラン化合物を用い、これを活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に反応させることにより得られる変性共役ジエン系ゴムが、シリカなどの充填剤を良好に分散可能であり、これにより、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、不活性溶媒中で、重合開始剤として有機活性金属化合物を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させる第2工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
Figure 0007020423000001
(上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、Rは、任意の有機基、水素原子または水酸基であり、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基であり、mは1~30の整数、nは0~29の整数であり、m+nは3~30である。)
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007020423000002
(上記一般式(2)中、R、R~Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基であり、Xは、アルコキシ基含有有機基またはエポキシ基含有有機基であり、mは1~29の整数、pは1~29の整数、qは0~28の整数であり、m+p+qは3~30である。)
前記一般式(2)で表される化合物中における、保護アミノ基含有有機基と、アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基との含有割合が、「保護アミノ基含有有機基/(アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基)」のモル比率で、0.1~10であることが好ましい。
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物が、前記保護アミノ基含有有機基として、下記一般式(3)、下記一般式(4)、または下記一般式(5)で表される基を含有するものであることが好ましい。
Figure 0007020423000003
(上記一般式(3)中、R~R10は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、eは1~12の整数である。fは1~12の整数である。)
Figure 0007020423000004
(上記一般式(4)中、R11~R16は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、gは1~12の整数である。)
Figure 0007020423000005
(上記一般式(5)中、R17、R18は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、hは1~12の整数である。)
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物の使用量が、重合開始剤としての前記有機活性金属1モルに対して、0.01~30モルであることが好ましく、0.1~5モルであることがより好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかの製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムが提供される。
さらに、本発明によれば、上記変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10~200重量部を含有してなるゴム組成物が提供される。
本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有してなるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明によれば、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴム、該変性共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物、該ゴム組成物を架橋してなる、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたゴム架橋物、および、該ゴム架橋物を含んでなるタイヤを提供することができる。
<変性共役ジエン系ゴムの製造方法>
本発明の変性共役ジエン系ゴムの製造方法は、不活性溶媒中で、重合開始剤として有機活性金属化合物を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、後述する一般式(1)で表される化合物を反応させる第2工程と、を備える。
<第1工程>
まず、本発明の製造方法における第1工程について説明する。本発明の製造方法における第1工程は、不活性溶媒中で、重合開始剤として有機活性金属化合物を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。
第1工程において、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るために、重合に用いる共役ジエン化合物としては、特に限定されず、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、および1,3-シクロヘキサジエンなどを挙げることができる。これらのなかでも、1,3-ブタジエン、イソプレンおよび1,3-ペンタジエンが好ましく、1,3-ブタジエン、およびイソプレンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の製造方法においては、第1工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体として、共役ジエン化合物に加えて、芳香族ビニル化合物を共重合してなるものであってもよい。芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、たとえば、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、およびジメチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができる。これらのなかでも、スチレン、α-メチルスチレン、および4-メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。なお。これらの芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体単位50~100重量%を含むものが好ましく、55~100重量%を含むものが特に好ましく、また、芳香族ビニル単量体単位0~50重量%を含むものが好ましく、0~45重量%を含むものが特に好ましい。
また、本発明の製造方法においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体は、本発明の目的を損なわない範囲において、所望により、共役ジエン化合物に加えて、芳香族ビニル化合物以外の他の単量体を含有する単量体を共重合してなるものであってもよい。他の単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β-不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン;などを挙げることができる。これらの単量体は、活性末端を有する共役ジエン系重合体中に、単量体単位として、10重量%以下とするのが好ましく、5重量%以下とするのがより好ましい。
本発明の製造方法の第1工程において用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2-ブテン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。これらの不活性溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、たとえば、1~50重量%であり、好ましくは10~40重量%となる量である。
重合開始剤として用いる有機活性金属化合物としては、共役ジエン化合物を含む単量体を重合させて、活性末端を有する共役ジエン系重合体を与えることができるものであれば、特に限定されないが、その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4-ジリチオブタン、1,4-ジリチオ-2-エチルシクロヘキサン、1,3,5-トリリチオベンゼン、1,3,5-トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、ジ-n-ブチルマグネシウム、ジ-n-ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ-t-ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ-t-ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく、n-ブチルリチウムが特に好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤としての有機活性金属化合物の使用量は、目的とする重合体の分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常、1~50ミリモル、好ましくは1.5~20ミリモル、より好ましくは2~15ミリモルの範囲である。
本発明の製造方法の第1工程における、重合温度は、通常、-80~+150℃、好ましくは0~100℃、より好ましくは30~90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などのいずれの様式をも採用できるが、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させる場合は、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
本発明の製造方法において、活性末端を有する共役ジエン系重合体が、2種以上の単量体単位から構成されている場合、その結合様式は、たとえば、ブロック状、テーパー状、ランダム状など種々の結合様式とすることができるが、ランダム状の結合様式であることが好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
また、本発明の製造方法においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性有機溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2-ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤として用いる有機活性金属化合物1モルに対して、好ましくは0.001~100モル、より好ましくは0.01~10モルである。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
以上のようにして、本発明の製造方法における第1工程によれば、共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量は、好ましくは1~90モル%であり、より好ましくは5~85モル%である。ビニル結合量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCとも言う)により検出されるピークトップ分子量は、ポリスチレン換算の値として、10,000~1,000,000であることが好ましく、50,000~850,000であることがより好ましく、100,000~700,000であることが特に好ましい。なお、共役ジエン系重合体のピークが複数認められる場合は、GPCにより検出される共役ジエン系重合体に由来する、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量を、活性末端を有する共役ジエン系重合体のピークトップ分子量とする。活性末端を有する共役ジエン系重合体のピークトップ分子量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、好ましくは1.0~1.5、より好ましくは1.0~1.4、特に好ましくは1.0~1.3である。この分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
<第2工程>
次いで、本発明の製造方法における第2工程について説明する。本発明の製造方法における第2工程は、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより、変性共役ジエン系ゴムを得る工程である。
Figure 0007020423000006
(上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、Rは、任意の有機基、水素原子または水酸基であり、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基であり、mは1~30の整数、nは0~29の整数であり、m+nは3~30である。)
本発明の製造方法においては、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させることにより、共役ジエン系ゴムを改質し、シリカなどの充填剤に対する親和性を改良し、シリカなどの充填剤を配合した際における、シリカなどの充填剤の分散性を高めることができ、これにより、低発熱性およびウエットグリップ性を備えたゴム架橋物を与えることのできるものとすることができる。
上記一般式(1)中、mは1~30の整数であり、好ましくは1~20の整数、より好ましくは1~10の整数である。nは0~29の整数であり、好ましくは0~20の整数、より好ましくは0~10の整数である。また、m+nは3~30であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。
上記一般式(1)中、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基(以下、単に「保護アミノ基含有有機基」とも言う。)である。保護アミノ基含有有機基としては、アミノ基に保護基が導入された構造であればよく、特に限定されないが、第1級アミノ基(すなわち、-NH)の2つの水素原子を、アミノ基の保護基として作用する基で置換された構造を有する保護アミノ基を含有する基であることが好ましい。このような保護基としては、特に限定されないが、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に対して不活性な構造を導入できるものであることが好ましく、このような保護基としては、たとえば、ヒドロカルビル基またはシリル基などが挙げられ、シリル基が好ましい。また、保護基としては、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に対して不活性な構造を導入できるものであることに加え、酸や塩基を用いる方法や、加水分解反応などにより脱保護可能なものであることがより好ましい。そして、保護基が、脱保護可能なものである場合には、保護アミノ基含有有機基は、保護基が脱保護することで、第1級アミノ基または第2級アミノ基を含有するものとなり、これにより、主としてシリカなどの充填剤との親和性をより高めることができると考えられる。
このような保護アミノ基含有有機基としては、たとえば、下記一般式(3)、下記一般式(4)、または下記一般式(5)で表される基などが好適に挙げられる。なお、上記一般式(1)中、mが2以上の場合、Xは複数存在することとなるが、複数の保護アミノ基含有有機基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
Figure 0007020423000007
(上記一般式(3)中、R~R10は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。eは1~12の整数であり、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~4の整数である。fは1~12の整数であり、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~4の整数である。)
Figure 0007020423000008
(上記一般式(4)中、R11~R16は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。gは1~12の整数であり、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~4の整数である。)
Figure 0007020423000009
(上記一般式(5)中、R17、R18は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。hは1~12の整数であり、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~4の整数である。)
なお、上記一般式(3)で表される基中において、-SiR-(CH-SiR10-で表される基が、保護基として作用するものである。同様に、上記一般式(4)で表される基中において、-SiR111213で表される基、および-SiR141516で表される基が、保護基として作用するものであり、上記一般式(5)で表される基中において、R17で表される基、およびR18で表される基が、保護基として作用するものである。
保護アミノ基含有有機基としては、保護基として良好に作用し、しかも、脱保護反応も良好に行えるという点より、保護基としてシリル基を有するものが好ましく、上記式(3)で表される基、および上記式(4)で表される基が好ましい。
保護アミノ基含有有機基を構成する保護アミノ基の具体例としては、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(トリエチルシリル)アミノ基、ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基、ビス(ジメチルフェニルシリル)アミノ基、ビス(t-ブチルジメチルシリル)アミノ基、ビス(t-ブチルジフェニルシリル)アミノ基、2,2,5,5-テトラメチル-1,2,5-アザジシロリジン基、ビス(ジ-t-ブチルメチルシリル)アミノ基、ビス(ジ-t-ブチルイソブチルシリル)アミノ基などが挙げられる。
上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、好ましくは1価炭化水素基である。1価炭化水素基としては、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。Rは、任意の有機基、水素原子または水酸基であり、任意の有機基としては、アルコキシ基含有有機基、エポキシ基含有有機基、または1価炭化水素基などである。なお、上記一般式(1)中、nが2以上の場合、Rは複数存在することとなるが、複数のRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(1)で表される化合物としては、共役ジエン系ゴムの改質効果、具体的には、シリカなどの充填剤に対する親和性を改良し、シリカなどの充填剤を配合した際における、シリカなどの充填剤の分散性を高める効果が高く、これにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性およびウエットグリップ性により優れたものとすることができるという点より、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007020423000010
(上記一般式(2)中、R、R~Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基であり、Xは、アルコキシ基含有有機基またはエポキシ基含有有機基であり、mは1~29の整数、pは1~29の整数、qは0~28の整数であり、m+p+qは3~30である。)
上記一般式(2)中、mは1~29の整数であり、好ましくは1~20の整数、より好ましくは1~10の整数である。pは1~29の整数であり、好ましくは1~20の整数、より好ましくは1~10の整数であり、qは0~28の整数であり、好ましくは0~20の整数、より好ましくは0~10の整数であり、特に好ましくは0である。また、m+p+qは3~30であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。
上記一般式(2)中、Xは、上記一般式(1)と同様であり、好ましい態様についても、上記一般式(1)と同様である。
また、上記一般式(2)中、Xは、アルコキシ基含有有機基またはエポキシ基含有有機基であり、アルコキシ基含有有機基であることが好ましい。なお、上記一般式(2)中、pが2以上の場合、Xは複数存在することとなるが、複数のXは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
アルコキシ基含有有機基としては、アルコキシ基を含有する基であればよく、特に限定されないが、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基や、アルコキシシリル基などが挙げられるが、得られる変性共役ジエン系ゴムにおける、2分岐以上のカップリング率を向上させることができ、これにより、ウエットグリップ性および低発熱性をより向上させることができるという点より、アルコキシシリル基を含有するものが好ましい。なお、アルコキシ基含有有機基は、通常、活性末端を有する共役ジエン系重合体と結合する結合サイトとして作用すると考えられる。
アルコキシシリル基含有有機基としては、アルコキシシリル基を含有する基であればよく、特に限定されないが、アルコキシシリル基として、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基のいずれを含有するものであってもよく、たとえば、下記一般式(6)で表される基が挙げられる。
Figure 0007020423000011
上記一般式(6)中、R19は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基であり、好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、R20は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリロキシ基、またはハロゲン原子である。jは1~20の整数であり、好ましくは2~15の整数、より好ましくは3~10の整数であり、kは1~3の整数である。なお、kが2または3である場合、R19は、複数存在することとなるが、複数のR19は互いに同じであっても異なっていてもよい。同様に、kが1である場合、R20は、複数存在することとなるが、複数のR20は互いに同じであっても異なっていてもよい。
アルコキシシリル基含有有機基に含まれるアルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基などのジアルコキシアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基、メトキシジエチルシリル基、エトキシジエチルシリル基などのモノアルコキシジアルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、重合体用変性剤としての効果、たとえば、重合体用変性剤として用いた場合に、重合体と、シリカなどの充填剤との親和性を高めることができ、これにより各種特性の向上効果が高いという観点より、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基がより好ましい。
また、エポキシ基含有有機基としては、エポキシ基を含有する有機基であればよく、特に限定されないが、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2-(3,4-エポキシノルボルニル)エチル基、2-(3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシル)-2-メチルエチル基等のエポキシシクロアルキルアルキル基;4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも、グリシドキシアルキル基が好ましく、3-グリシドキシプロピル基が特に好ましい。
また、R、R~Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、好ましくは1価炭化水素基である。1価炭化水素基としては、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
なお、上記一般式(2)で表される化合物中、保護アミノ基含有有機基と、アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基との含有割合は、特に限定されないが、「保護アミノ基含有有機基/(アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基)」のモル比率で、好ましくは0.1~10.0であり、より好ましくは0.2~5.0、さらに好ましくは0.25~4.0であり、特に好ましくは0.5~1.5である。保護アミノ基含有有機基と、アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基との含有割合を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物のウエットグリップ性および低発熱性をより適切に高めることができる。
また、上記一般式(1)で表される化合物としては、互いに異なる構造を有する化合物が複数混合されたものを用いてもよい。すなわち、たとえば、m=2、m+n=4である化合物と、m=2、m+n=5である化合物が混合されたものを用いてもよいし、あるいは、m=2、m+n=4であり、Xが異なる2以上の化合物が混合されたものを用いてもよい。さらには、m=2、m+n=4であり、Xが異なる2以上の化合物と、m=2、m+n=5であり、Xが異なる2以上の化合物とが混合されたものを用いてもよい。
また、本発明の製造方法においては、第2工程における、上記一般式(1)で表される化合物の使用量は、上述した第1工程において用いた重合開始剤としての有機活性金属化合物中の金属原子1モルに対して、0.01~30モルの割合とすることが好ましく、0.05~5モルの割合とすることがより好ましく、0.1~3モルの割合とすることがさらに好ましい。上記一般式(1)で表される化合物の使用量を上記範囲とすることにより、第2工程により得られる変性共役ジエン系ゴム中において、変性共役ジエン系ゴムに取り込まれた上記一般式(1)で表される化合物の割合を適切なものとすることができ、これにより、ゴム架橋物とした場合に、ウエットグリップ性および低発熱性をより適切に向上させることができる。
本発明においては、変性共役ジエン系ゴムを製造する際に用いる変性剤として、上記一般式(1)に示すように、-Si-O-で表される繰り返し単位からなる環状の主鎖構造を有する化合物を用いるものである。本発明によれば、このような-Si-O-で表される繰り返し単位からなる環状の主鎖構造を有する化合物を用いることにより、変性剤により導入した変性構造の導入効果、すなわち、上述した保護アミノ基含有有機基による効果を十分なものとすることができるものである。そして、これにより、シリカなどの充填剤に対する親和性の向上効果をより十分なものとすることができ、その結果として、得られるゴム架橋物を、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたものとすることができるものである。
本発明の製造方法の第2工程において、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させる方法としては、特に限定されないが、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体と、上記一般式(1)で表される化合物とを、これらを溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した共役ジエン系重合体の重合に用いる溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、上述した第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体を、その重合に用いた重合溶液のままの状態とし、ここに上記一般式(1)で表される化合物を添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、上記一般式(1)で表される化合物は、上述した重合に用いる不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1~50重量%の範囲とすることが好ましい。第2工程における反応温度は、特に限定されないが、通常、0~120℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、1分~1時間である。
活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液に、上記一般式(1)で表される化合物を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300~50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に上記一般式(1)で表される化合物を添加することが望ましい。上記一般式(1)で表される化合物の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体と重合系中に含まれる不純物等との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
なお、活性末端を有する共役ジエン系重合体に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させる前に、本発明の効果を阻害しない範囲で、共役ジエン系重合体の活性末端の一部を、従来から通常使用されているカップリング剤や変性剤などを重合系内に添加して、不活性化してもよい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体に、上記一般式(1)で表される化合物を反応させた後に、未反応の活性末端が残存している場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールまたは水等の、重合停止剤を重合溶液に添加して、未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
以上のようにして得られる変性共役ジエン系ゴムの溶液には、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、所望により、伸展油を配合して、油展ゴムとしてもよい。伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系及びナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸等が挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、変性共役ジエン系ゴム100重量部に対して、通常5~100重量部である。
そして、このようにして得られた変性反応後の変性共役ジエン系ゴムは、スチームストリッピングにより、溶媒を除去することにより、反応混合物から分離することで、固形状の変性共役ジエン系ゴムを得ることができる。また、この際においては、スチームストリッピングにより、上述したように、変性反応後の変性共役ジエン系ゴム中に導入された、上記一般式(1)で表される化合物由来の保護アミノ基含有有機基中の、保護基が加水分解により脱保護することで、第1級アミノ基または第2級アミノ基が生成するものと考えられる。
本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、上記一般式(1)で表される化合物、またはカップリング剤を介した2分岐以上のカップリング構造を形成している構造体を含有していることが好ましく、変性共役ジエン系ゴムは、上記一般式(1)で表される化合物2分岐以上のカップリング構造を形成している構造体の含有割合(カップリング率)は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。2分岐以上のカップリング構造を形成している構造体の含有割合が上記範囲にあると、ウエットグリップ性および低発熱性の向上効果がより顕著なものとなるため、好ましい。
本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、通常、1,000~3,000,000、好ましくは10,000~2,000,000、より好ましくは100,000~1,500,000の範囲である。変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、変性共役ジエン系ゴムへのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物は加工性に優れたものとなる。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、好ましくは1.0~5.0、特に好ましくは1.0~3.0である。変性共役ジエン系ゴムの分子量分布を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性により優れたものとなる。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)も、特に限定されないが、通常、20~200、好ましくは30~150の範囲である。変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなる。なお、変性共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
このようにして得られた変性共役ジエン系ゴムは、充填剤および架橋剤などの配合剤を添加した上で、種々の用途に好適に用いることができる。特に、充填剤としてシリカを配合した場合に、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたゴム架橋物を得るために好適に用いられるゴム組成物を与える。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述した本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10~200重量部を含有してなる組成物である。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン-シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037-81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50~300m/g、より好ましくは80~220m/g、特に好ましくは100~170m/gである。また、シリカのpHは、5~10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、10~200重量部であり、好ましくは30~150重量部、より好ましくは50~100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物のウエットグリップ性および低発熱性が優れたものとなる。
本発明のゴム組成物には、低発熱性をさらに改良するという観点より、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、たとえば、ビニルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-オクタチオ-1-プロピル-トリエトキシシラン、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロル)テトラスルフィド、γ-トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1~30重量部、より好ましくは1~15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
なお、本発明の変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)や変性共役ジエン系ゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄などの含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1~15重量部、より好ましくは0.5~5重量部、特に好ましくは1~4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1~15重量部、より好ましくは0.5~5重量部、特に好ましくは1~4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05~20重量部、特に好ましくは0.5~15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した本発明の製造方法によって得られる変性共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン-ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス-BR、低シスBRであってもよい。また、1,2-ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい。)、スチレン-イソプレン共重合ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム、およびアクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した変性共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、および溶液重合スチレン-ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の10~100重量%を占めることが好ましく、50~100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムをゴム成分中に含めることにより、低発熱性およびウエットグリップ性に優れたゴム架橋物を得ることができる。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分と変性共役ジエン系ゴムとを混練後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く成分と変性共役ジエン系ゴムとの混練温度は、好ましくは80~200℃、より好ましくは120~180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒~30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10~200℃、好ましくは25~120℃である。架橋温度は、通常、100~200℃、好ましくは130~190℃であり、架橋時間は、通常、1分~24時間、好ましくは2分~12時間、特に好ましくは3分~6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるものであるため、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたものである。特に、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、変性剤として、上記一般式(1)で表される化合物を用いることにより得られたものであるため、上述したように、シリカなどの充填剤に対する親和性が高く、しかも、シリカなどの充填剤を良好に分散させることができるものである。したがって、このような本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを用いて得られる、本発明のゴム架橋物は、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたものとなる。
そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。とりわけ、本発明のゴム架橋物は、ウエットグリップ性および低発熱性に優れることから、タイヤの材料、特に低燃費タイヤの材料として好適に用いることができ、トレッド用途に最適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔変性共役ジエン系ゴムの分子量、カップリング率〕
ゴムの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めた。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC-8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH-HR-H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計(東ソー社製、商品名「RI-8220」)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
カップリング率については、得られたチャートより、全溶出面積に対する、分子量の最も小さい重合体に由来するピークが示すピークトップ分子量の1.9倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、変性共役ジエン系ゴムの2分岐以上のカップリング率(2分岐以上の分岐構造体の含有割合)とした。
〔低発熱性〕
長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmとした試験片について、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、製品名「ARES」)を用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定した。このtanδの値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、低発熱性に優れる。
〔ウエットグリップ性〕
長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmとした試験片について、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、製品名「ARES」)を用い、動的歪み0.5%、10Hzの条件で0℃におけるtanδを測定した。このtanδの値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、ウエットグリップ性に優れる。
〔実施例1〕
〔変性剤1の製造〕
反応器に下記式(7)で表されるメチルハイドロジェンシクロシロキサン31.8gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら40℃まで加温した。
Figure 0007020423000012
次いで、白金-1,3-ジビニル-1,3-ジメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(Pt濃度0.17wt%)を1.3g添加し、1-アリル-2,2’,5,5’-テトラメチル-(1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン)52.8gを反応温度40~75℃に保つように滴下した。滴下終了後に70~75℃で攪拌を1時間継続した後、反応液を0.5g採取し、アルカリ分解ガス発生法(残存したSi-H基をKOHのエタノール/水溶液によって分解し、発生した水素ガスの体積から反応率を計算する)により反応率が約50%であることを確認した。次に、5-ヘキセニルトリメトキシシラン74.8gを反応温度70~80℃に保つように滴下した。滴下終了後、白金-1,3-ジビニル-1,3-ジメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(Pt濃度0.17wt%)を0.4g添加し、80℃で攪拌を1時間継続した。反応液を0.5g採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応が完結したことを確認した。反応液を減圧下で155℃に加熱して3時間低沸分を溜去したのち、下記式(8)で表される変性剤1を134.3g得た。なお、下記式(8)で表される構造はH-NMRによっても確認された。そして、得られた変性剤1について、25℃においてウベローデ型粘度管を使用してJIS-Z-8803に沿って粘度を測定したところ、230mm/sであった。
Figure 0007020423000013
〔変性共役ジエン系ゴム1の製造〕
窒素雰囲気下、オートクレーブに、シクロヘキサン800部、1,3-ブタジエン94.8部、スチレン25.2部、およびテトラメチルエチレンジアミン0.187部を仕込んだ後、n-ブチルリチウム0.045部を添加し、60℃で重合を開始した。60分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、上記にて得られた変性剤1(上記式(8)で表される化合物)1.35部(n-ブチルリチウムの使用量に対して、1.50倍モル)を添加し、30分間反応させた後、重合停止剤としてメタノール0.064部を添加して、共役ジエン系重合体を含有する溶液を得た。そして、得られた重合体成分100部に対して、老化防止剤として2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1520」)0.15部を溶液に添加した後、スチームストリッピングにより、溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の変性共役ジエン系ゴム1を得た。得られた変性共役ジエン系ゴム1の重量平均分子量(Mw)は478,000であり、また、2分岐以上のカップリング率は、38.3重量%であった。
〔ゴム組成物およびゴム架橋物の製造〕
容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム1 100部を30秒素練りし、次いでシリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1165MP」)50部、プロセスオイル(新日本石油社製、商品名「アロマックス T-DAE」)20部、およびシランカップリング剤:ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si69」)6.0部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練後、シリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1165MP」)25部、酸化亜鉛3部、ステアリン酸2部および老化防止剤:N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(大内新興社製、商品名「ノクラック6C」)2部を添加し、更に2.5分間混練し、ミキサーから混練物を排出させた。混錬終了時の混練物の温度は150℃であった。そして、得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度ブラベンダータイプミキサー中で、110℃を開始温度として2分間混練した後、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られた混練物に、硫黄1.40部、架橋促進剤:N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS-P」、大内新興化学工業社製)1.2部、およびジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.2部を加えてこれらを混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。
次いで、得られたゴム組成物を、160℃で20分間プレス架橋して、ゴム架橋物の試験片を作製し、この試験片について、低発熱性およびウエットグリップ性の評価を行なった。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
〔変性剤2の製造〕
1-アリル-2,2’,5,5’-テトラメチル-(1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン)に代えて、N-アリル-N,N-ビス(トリメチルシリル)アミン53.3gを用いた以外は、実施例1と同様にして、下記式(9)で表される変性剤2を得た。なお、下記式(9)で表される構造はH-NMRによっても確認された。そして、得られた変性剤2について、25℃においてウベローデ型粘度管を使用してJIS-Z-8803に沿って粘度を測定したところ、300mm/sであった。
Figure 0007020423000014
〔変性共役ジエン系ゴム2の製造〕
変性剤1 1.35部に代えて、上記にて得られた変性剤2(上記式(9)で表される化合物)1.35部(n-ブチルリチウムの使用量に対して、1.50倍モル)を使用した以外は、実施例1と同様に操作して、固形状の変性共役ジエン系ゴム2を得た。得られた変性共役ジエン系ゴム2の重量平均分子量(Mw)は528,000であり、また、2分岐以上のカップリング率は、42.9重量%であった。
〔ゴム組成物およびゴム架橋物の製造〕
そして、変性共役ジエン系ゴム1 100部に代えて、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム2 100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
〔変性共役ジエン系ゴム3の製造〕
変性剤1 1.35部に代えて、下記式(10)に示す変性剤3 0.384部(n-ブチルリチウムの使用量に対して、1.50倍モル)を使用した以外は、実施例1と同様に操作して、固形状の変性共役ジエン系ゴム3を得た。得られた変性共役ジエン系ゴム3の重量平均分子量(Mw)は316,000であり、また、2分岐以上のカップリング率は、1.6重量%であった。
Figure 0007020423000015
〔ゴム組成物およびゴム架橋物の製造〕
そして、変性共役ジエン系ゴム1 100部に代えて、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム3 100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
〔変性共役ジエン系ゴム4の製造〕
変性剤1 1.35部に代えて、下記式(11)に示す変性剤4 0.329部(n-ブチルリチウムの使用量に対して、1.50倍モル)を使用した以外は、実施例1と同様に操作して、固形状の変性共役ジエン系ゴム4を得た。得られた変性共役ジエン系ゴム4の重量平均分子量(Mw)は456,000であり、また、2分岐以上のカップリング率は、37.8重量%であった。
Figure 0007020423000016
〔ゴム組成物およびゴム架橋物の製造〕
そして、変性共役ジエン系ゴム1 100部に代えて、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム4 100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007020423000017
表1より、変性共役ジエン系ゴムを合成する際に、変性剤として、上記一般式(1)で表される化合物を用いた場合には、得られた変性共役ジエン系ゴムを用いて得られたゴム架橋物は、いずれも、ウエットグリップ性および低発熱性に優れたものであった(実施例1,2)。
一方、変性共役ジエン系ゴムを合成する際に、変性剤として、-Si-O-で表される繰り返し単位からなる環状の主鎖構造を有する化合物を用いた場合でも、保護アミノ基含有有機基を有しないものを用いた場合には、得られるゴム架橋物はウエットグリップ性および低発熱性に劣るものであった(比較例1)。
また、変性共役ジエン系ゴムを合成する際に、変性剤として、保護アミノ基含有有機基を有するものの、-Si-O-で表される繰り返し単位からなる環状の主鎖構造を有さないものを用いた場合にも、得られるゴム架橋物はウエットグリップ性および低発熱性に劣るものであった(比較例2)。

Claims (10)

  1. 不活性溶媒中で、重合開始剤として有機活性金属化合物を用いて、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第1工程と、
    前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させる第2工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
    Figure 0007020423000018
    (上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、Rは、任意の有機基、水素原子または水酸基であり、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基であり、mは1~30の整数、nは0~29の整数であり、m+nは3~30であり、前記任意の有機基は、アルコキシ基含有有機基、エポキシ基含有有機基、または1価炭化水素基である。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
    Figure 0007020423000019
    (上記一般式(2)中、R、R~Rは、それぞれ独立して、1価炭化水素基、水素原子または水酸基であり、Xは、保護基により保護された第1級アミノ基を含む保護アミノ基含有有機基であり、Xは、アルコキシ基含有有機基またはエポキシ基含有有機基であり、mは1~29の整数、pは1~29の整数、qは0~28の整数であり、m+p+qは3~30である。)
  3. 前記一般式(2)で表される化合物中における、保護アミノ基含有有機基と、アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基との含有割合が、「保護アミノ基含有有機基/(アルコキシ基含有有機基および/またはエポキシ基含有有機基)」のモル比率で、0.1~10である請求項2に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物が、前記保護アミノ基含有有機基として、下記一般式(3)、下記一般式(4)、または下記一般式(5)で表される基を含有する請求項1~3のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
    Figure 0007020423000020
    (上記一般式(3)中、R~R10は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、eは1~12の整数である。fは1~12の整数である。)
    Figure 0007020423000021
    (上記一般式(4)中、R11~R16は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、gは1~12の整数である。)
    Figure 0007020423000022
    (上記一般式(5)中、R17、R18は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~12のアリール基であり、hは1~12の整数である。)
  5. 前記一般式(1)で表される化合物の使用量が、重合開始剤としての前記有機活性金属化合物中の金属原子1モルに対して、0.01~30モルである請求項1~4のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴム。
  7. 請求項6に記載の変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10~200重量部を含有してなるゴム組成物。
  8. 架橋剤をさらに含有してなる請求項7に記載のゴム組成物。
  9. 請求項8に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  10. 請求項9に記載のゴム架橋物を含んでなるタイヤ。
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