JP2017082236A - ポリブタジエンゴムの製造方法 - Google Patents

ポリブタジエンゴムの製造方法 Download PDF

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拓郎 櫻井
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Abstract

【課題】低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えることができる、ポリブタジエンゴムの製造方法の提供。【解決手段】不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合し、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得る第1工程と、前記活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンを反応させる第2工程と、前記第2工程で得られるシロキサンを反応させたポリブタジエン鎖に、式(1)で表される化合物を反応させる第3工程とを備えるポリブタジエンゴムの製造方法。好ましくは、前記活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端の一部をハロゲン含有カップリング剤と反応させる工程を更に備える、ポリプタジエンゴムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブタジエンゴムの製造方法に関し、より詳しくは、低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えることのできるポリブタジエンゴムを製造するための方法に関する。また、本発明は、この製造方法により得られるポリブタジエンゴム、該ポリブタジエンゴムを含有するゴム組成物およびこれを用いたゴム架橋物およびタイヤにも関する。
近年、自動車用のタイヤには、環境問題および資源問題から低燃費性が強く求められる。充填剤としてシリカを配合したゴム組成物の架橋物は、カーボンブラックを配合したゴム組成物の架橋物に比べて、低発熱性に優れるため、タイヤを構成した場合の転がり抵抗が小さくなる。そのため、シリカを配合したゴム組成物の架橋物を用いてタイヤを構成することにより、低燃費性に優れたタイヤを得ることができる。
しかし、従来のゴムにシリカを配合しても、ゴムとシリカとの親和性が不十分であるため、これらは分離しやすく、そのため、このことに起因して、架橋前のゴム組成物の加工性が悪く、また、これを架橋して得られるゴム架橋物の低発熱性が不十分となる。
そこで、ゴムとシリカとの親和性を改良すべく、たとえば、特許文献1や特許文献2などに開示されるような種々のシランカップリング剤を、ゴム組成物に添加することが提案されている。しかし、シランカップリング剤を扱うには高度な加工技術が必要であり、また、シランカップリング剤が高価なことから配合量が多くなると、タイヤの製造コストが高くなるという問題がある。
このような問題を解決するために、たとえば、特許文献3や特許文献4などに開示されるように、溶液重合法によりゴム重合体を得る際に、重合体鎖の活性末端に変性剤を反応させることにより、ゴム自体にシリカとの親和性を持たせる技術が検討されている。しかしながら、近年の自動車用のタイヤへの低燃費性および耐摩耗性への要求の高まりから、さらに低発熱性に優れ、しかも耐摩耗性にも優れるゴム架橋物を与えることができるゴムが望まれている。
特開2011−46640号公報 特開2012−17291号公報 特開2003−171418号公報 国際公開第2014/050341号
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えることができる、ポリブタジエンゴムを製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、活性末端を有するポリブタジエン鎖に、変性剤として、シロキサンを反応させ、次いで、シロキサンを反応させたポリブタジエン鎖に、変性剤として、8位が3級アミン構造含有基で置換された1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン構造を有する化合物を反応させることにより得られるポリブタジエンゴムによれば、低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合し、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得る第1工程と、前記活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンを反応させる第2工程と、前記第2工程で得られるシロキサンを反応させたポリブタジエン鎖に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させる第3工程とを備えるポリブタジエンゴムの製造方法が提供される。
Figure 2017082236
(一般式(1)中、Xはヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。rは0〜2の整数である。)
本発明の製造方法において、前記シロキサンとして、下記一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンを用いることが好ましい。
Figure 2017082236
(一般式(2)中、R〜R11は、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは0〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数であり、m+n+kは1以上である。)
本発明の製造方法は、前記活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端の一部を、ハロゲン含有カップリング剤と反応させる工程をさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、上記の製造方法により得られるポリブタジエンゴムが提供される。
また、本発明によれば、ポリブタジエンゴムを5重量%以上の割合で含有するゴム成分と、シリカとを含有し、前記ゴム成分100重量部に対する、シリカの含有量が10〜200重量部であるゴム組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含むベーストレッドまたはサイドウォールを備えるタイヤが提供される。
本発明によれば、低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えることができるポリブタジエンゴム、該ポリブタジエンゴムを含有するゴム組成物、該ゴム組成物を架橋してなり、低発熱性、および耐摩耗性に優れたゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤを提供することができる。
<ポリブタジエンゴムの製造方法>
本発明のポリブタジエンゴムの製造方法は、
不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合し、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得る第1工程と、
前記活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンを反応させる第2工程と、
前記第2工程で得られるシロキサンを反応させたポリブタジエン鎖に、後述する一般式(1)で表される化合物を反応させる第3工程とを備える。
<第1工程>
本発明の製造方法の第1工程は、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合し、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得る工程である。
本発明の製造方法の第1工程においては、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得るために用いる単量体として、1,3−ブタジエンを主として含むものを用いるものであり、通常、実質的に1,3−ブタジエンのみからなるものを用いるものである。すなわち、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得るために用いる単量体中における、通常、1,3−ブタジエンの割合を100重量%とするものである。その一方で、本発明の作用効果を阻害しない範囲であれば、1,3−ブタジエン以外の単量体を使用してもよく、この場合における、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得るために用いる単量体中における、1,3−ブタジエン以外の単量体の割合は、好ましくは(5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。すなわち、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得るために用いる単量体中における、1,3−ブタジエンの含有割合は、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。
1,3−ブタジエン以外の単量体としては、1,3−ブタジエンと共重合可能な化合物であればよく、特に限定されないが、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどの共役ジエン化合物;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ジエチルアミノメチルスチレン、ジエチルアミノエチルスチレン、シアノエチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの鎖状オレフィン化合物;シクロペンテン、2−ノルボルネンなどの環状オレフィン化合物;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドなどのその他の(メタ)アクリル酸誘導体;などが挙げられる。
重合に用いる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。これらの不活性溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不活性溶媒の使用量は、特に限定されないが、1,3−ブタジエンを含む単量体濃度が、たとえば1〜50重量%となる量であり、好ましくは10〜40重量%となる量である。
重合に用いる重合開始剤としては、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合させて、活性末端を有するポリブタジエン鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤を挙げることができる。有機アルカリ金属化合物としては、たとえば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、たとえば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、たとえば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく用いられ、有機モノリチウム化合物がより好ましく用いられ、n−ブチルリチウムが特に好ましく用いられる。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの2級アミン化合物と反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機アルカリ金属アミド化合物としては、たとえば、有機アルカリ金属化合物に、2級アミン化合物を反応させたものなどが挙げられ、具体的には、下記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2017082236
一般式(3)中、Mはアルカリ金属原子を表し、R12、R13は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基の保護基、または加水分解して水酸基を生じうる基を表し、R12およびR13は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成してもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。
アルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数3〜12のシクロアルキル基がより好ましい。このようなシクロアルキル基としては、たとえば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などが挙げられる。
アリール基としては、特に限定されないが、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。このようなアリール基としては、たとえば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、特に限定されないが、炭素数7〜13のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜9のアラルキル基がより好ましい。このようなアラルキル基としては、たとえば、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アミノ基の保護基としては、特に限定されず、アミノ基の保護基として作用する基であればよいが、たとえば、アルキルシリル基などが挙げられる。このようなアルキルシリル基としては、たとえば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、エチルメチルフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。
なお、R12、および/またはR13がアミノ基の保護基である場合には、アミノ基の保護基が外れることにより、得られるポリブタジエンゴムを形成する重合体鎖の一方の末端において、後述する一般式(5)におけるR14および/またはR15が水素原子である構造を導入することができる。
加水分解して水酸基を生じうる基としては、特に限定されず、たとえば、酸などの存在下で加水分解することで、水酸基を生成する基であればよいが、たとえば、アルコキシアルキル基、エポキシ基を含有する基などが挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、プロポキシエチル基などが挙げられる。
また、エポキシ基を含有する基としては、たとえば下記一般式(4)で表される基などが挙げられる。
−Z−Z−E (4)
一般式(4)中、Zは炭素数1〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子または酸素原子であり、Eはグリシジル基である。
また、R12およびR13は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、この場合における、R12およびR13と、これと結合する窒素原子とで形成される構造の具体例としては、アゼチジン環(R12およびR13が、プロピレン基)、ピロリジン環(R12およびR13が、ブチレン基)、ピペリジン環(R12およびR13が、ペンチレン基)、ヘキサメチレンイミン環(R12およびR13が、ヘキシレン基)などが挙げられる。
12およびR13が互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成する場合、環構造は、4〜8員環構造であることが好ましい。
また、一般式(3)中、Mはアルカリ金属原子であり、このようなアルカリ金属原子としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子などが挙げられるが、これらの中でも、重合活性の観点より、リチウム原子が好ましい。
本発明の製造方法の第1工程において、重合開始剤として、上記一般式(3)で表される化合物を用いた場合、有機アルカリ金属アミド化合物を形成するアミン構造が、重合体鎖の重合開始末端に結合した状態で残存することとなる。そのため、重合開始剤として、上記一般式(3)で表される化合物を用いると、得られるポリブタジエンゴムを形成する重合体鎖の一方の末端に、下記一般式(5)で表される構造が導入される。
Figure 2017082236
一般式(5)中、R14、R15は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基の保護基、または加水分解して水酸基を生じうる基を表し、R14およびR15は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成してもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。
14、R15となりうるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基の保護基、または加水分解して水酸基を生じうる基としては、一般式(3)におけるR12、R13と同じものを挙げることができ、また、R14およびR15は互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成する場合にも、一般式(3)におけるR12、R13と同じものとすることができる。
なお、R14、R15となりうる水素原子は、アミノ基の保護基が外れることにより、導入される。
本発明の製造方法において、重合開始剤として、有機アルカリ金属アミド化合物を用いた場合、得られるポリブタジエンゴムを、一方の末端にアミン構造を有し、かつ、他方の末端に変性剤に由来する特定の構造を有するものとすることができる。そして、この場合には、このようなアミン構造の効果により、得られるポリブタジエンゴムを用いたゴム架橋物の低発熱性および耐摩耗性をより高めることができる。
重合開始剤としての有機アルカリ金属アミド化合物を重合系に添加する方法としては、特に限定されず、予め、有機アルカリ金属化合物に、2級アミン化合物を反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物を得て、これを1,3−ブタジエンを含む単量体と混合して、重合反応を進行させる方法を採用することができる。あるいは、有機アルカリ金属化合物と、2級アミン化合物とを別々に重合系に添加し、これらを1,3−ブタジエンを含む単量体と混合することで、重合系において、有機アルカリ金属アミド化合物を生成させることで、重合反応を進行させる方法を採用してもよい。反応温度等の反応条件は、特に限定されるものではなく、たとえば、目的とする重合反応条件に従えばよい。
2級アミン化合物の使用量は、目的とする重合開始剤の添加量に応じて決定すればよいが、有機アルカリ金属化合物1ミリモル当り、通常0.01〜1.5ミリモル、好ましくは0.1〜1.2ミリモル、より好ましくは0.5〜1.0ミリモルの範囲である。
重合開始剤の使用量は、目的とするポリブタジエン鎖の分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常1〜50ミリモル、好ましくは1.5〜20ミリモル、より好ましくは2〜15ミリモルの範囲である。
重合温度は、通常−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などのいずれの様式をも採用できる。
また、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合するにあたり、得られるポリブタジエン鎖における1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量を調節するために、不活性有機溶媒に極性化合物を添加してもよい。極性化合物としては、たとえば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1モルに対して、好ましくは100モル以下、より好ましくは10モル以下である。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有するポリブタジエン鎖における1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量は、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは3〜80重量%、特に好ましくは5〜70重量%である。1,3−ブタジエン単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有するポリブタジエン鎖は、全単量体単位中、1,3−ブタジエン単位が、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。
本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有するポリブタジエン鎖の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、100,000〜1,000,000が好ましく、150,000〜700,000がより好ましく、150,000〜500,000が特に好ましい。活性末端を有するポリブタジエン鎖の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性と耐摩耗性とのバランスが良好なものとすることができる。
また、本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有するポリブタジエン鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、好ましくは1.0〜3.0であり、より好ましくは1.0〜2.5である。活性末端を有するポリブタジエン鎖の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、ポリブタジエンゴムの製造が容易となる。
<第2工程>
本発明の製造方法の第2工程は、第1工程にて得られた活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンを反応させる工程である。
本発明の製造方法の第2工程で用いるシロキサンとしては、シロキサン構造(−Si−O−)を主鎖として有するものであればよく、特に限定されないが、側鎖に有機基を有するオルガノシロキサンが好ましく、下記一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンがより好ましい。
なお、本発明の製造方法の第2工程において、シロキサンは、第1工程にて得られた活性末端を有するポリブタジエン鎖を変性させるための変性剤として作用する。
Figure 2017082236
一般式(2)中、R〜R11は、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは0〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数であり、m+n+kは1以上である。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、一般式(2)中のR〜R11、XおよびXを構成し得る炭素数1〜6のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、たとえば、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
また、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得る炭素数1〜5のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
さらに、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得るエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、たとえば、下記一般式(6)で表される基が挙げられる。
−Z−Z−E (6)
一般式(6)中、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
一般式(6)で表される基としては、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数1〜3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
また、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、XおよびXとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、Xとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。さらに、XおよびXが炭素数1〜6のアルキル基であり、Xがエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることがより好ましい。
また、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(7)で表される基が好ましい。
Figure 2017082236
一般式(7)中、tは2〜20の整数であり、Xは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R16は水素原子またはメチル基であり、Xは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Xが炭素数3のアルキレン基であり、R16が水素原子であり、かつ、Xがメトキシ基であるものが好ましい。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは0〜200の整数、好ましくは20〜150の整数、より好ましくは30〜120の整数である。mが200以下であると、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサン自体の製造がより容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いもより容易となる。
また、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜130の整数である。m、nおよびkの合計数は1以上であり、1〜400であることが好ましく、20〜300であることがより好ましく、30〜250であることが特に好ましい。m、nおよびkの合計数が1以上であると、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンと活性末端を有するポリブタジエン鎖との反応が進行し易く、さらに、m、nおよびkの合計数が400以下であると、一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
本発明の製造方法の第2工程における、シロキサンの使用量は、上述した第1工程において重合に使用した重合開始剤1モルに対して、シロキサン中のシロキサン構造(−Si−O−)の繰り返し単位数に換算して、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.2〜5モルである。シロキサンの使用量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
シロキサンと活性末端を有するポリブタジエン鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した第1工程において用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得るための重合に用いた重合溶液に、シロキサンを添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、シロキサンは、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。反応温度は、特に限定されないが、通常0〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常1分〜1時間である。
活性末端を有するポリブタジエン鎖を含有する溶液に、シロキサンを添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有するポリブタジエン鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有するポリブタジエン鎖を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液にシロキサンを添加することが望ましい。シロキサンの添加をこのように行なうことにより、活性末端を有するポリブタジエン鎖と重合系中に含まれる不純物などとの副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
本発明の製造方法の第2工程によれば、上述した第1工程にて得られた活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端に、変性剤としてのシロキサンを反応させることで、少なくとも一部のポリブタジエン鎖は、シロキサン構造中のケイ素原子とポリブタジエン鎖の活性末端との間に新たな結合を形成し、ポリブタジエン鎖の末端に、シロキサン構造が導入されるとともに、シロキサン構造中の酸素原子と、ポリブタジエン鎖の活性末端を形成していた金属原子との間で、−O(Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、または、ランタン系列金属原子)で表される活性末端が形成されることとなる。なお、本発明の製造方法の第2工程により得られる、反応後のポリブタジエン鎖は、重合体鎖末端に、シロキサンによる変性構造が導入されたものを含むものであるが、これ以外にも、シロキサンによる変性がされていない未変性のポリブタジエン鎖を含むものであってもよい。
<第3工程>
本発明の製造方法の第3工程は、第2工程で得られるシロキサンを反応させたポリブタジエン鎖に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させる工程である。
Figure 2017082236
一般式(1)中、Xはヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。rは0〜2の整数である。
なお、本発明の製造方法の第3工程において用いる、シロキサンを反応させたポリブタジエン鎖とは、上述した第2工程を経たものであればよく、そのため、このようなシロキサンを反応させたポリブタジエン鎖には、シロキサンによる変性構造が導入された活性末端を有するポリブタジエン鎖を含んでいればよく、シロキサンによる変性がされていない未変性の活性末端を有するポリブタジエン鎖をも含み得るものである。さらには、シロキサンによる変性構造が導入された活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端が加水分解され、活性末端が水酸基に変換された、シロキサンによる変性構造が導入されたポリブタジエン鎖をも含み得るものである。以下、第3工程の説明において、シロキサンを反応させたポリブタジエン鎖を、適宜、「ポリブタジエン鎖」と略記する。
一般式(1)において、Xはヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表す。Xとなりうるヒドロカルビルオキシ基としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基などのアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルコキシ基およびアリーロキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基およびエトキシ基が特に好ましい。また、Xとなりうるハロゲン基としては、特に限定されないが、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、これらのなかでも、クロロ基が好ましい。また、Xは水酸基であってもよく、この水酸基は、ヒドロカルビルオキシ基やハロゲン基であったものが加水分解されて水酸基となったものであってもよい。
一般式(1)において、r(すなわち、一般式(1)においてXで表される基の数)は、0〜2の整数であり、rが2であることが好ましい。一般式(1)におけるrが2である場合において、一般式(1)で表される化合物1分子中に2個含まれるXで表される基は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
一般式(1)において、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。Rとなりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基およびアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。また、Rで表される炭化水素基は、炭化水素基以外の置換基を有していてもよく、その置換基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロカルビルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基などのカルボニル基含有基や、エポキシ基、オキシ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン基などを挙げることができる。なお、一般式(1)におけるrが0である場合において、一般式(1)で表される化合物1分子中に2個含まれる、Rで表される基は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに結合して環構造を形成して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。また、これらが環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。RおよびRが互いに結合しない場合に、RおよびRとなりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基およびアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。また、RおよびRが互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成する場合に、RおよびRが結合してなる2価の炭化水素基としては、特に限定されないが、n−ブチレン基(一般式(1)において、これらが結合する窒素原子とともに1−ピロリジン基を形成する場合)、n−ペンチレン基(1−ピペリジン基を形成する場合)などのアルキレン基や、ブタジエニレン基(1−ピロール基を形成する場合)などが挙げられる。
なお、RおよびRが互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成する場合、環構造としては、4〜8員環構造が好ましい。
また、RおよびRで表される炭化水素基は、環構造形成の有無に関わらず、炭化水素基以外の置換基を有していてもよく、その置換基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロカルビルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基などのカルボニル基含有基や、エポキシ基、オキシ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン基などを挙げることができる。さらに、RおよびRは互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成する場合には、その環構造を形成する原子として、炭素原子およびこれらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子が含まれていてもよく、そのようなヘテロ原子の例として、窒素原子や酸素原子を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物として、特に好ましいものとして、RおよびRで表される炭化水素基が互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに、ピペラジン環構造を形成しているものが挙げられる。より具体的には、下記一般式(8)で表される化合物が特に好ましい。一般式(1)で表される化合物として、このような構造を有するものを用いることにより、得られるゴム架橋物を特に低発熱性および耐摩耗性に優れたものとすることができる。
Figure 2017082236
一般式(8)中、X、R、およびrは、いずれも、一般式(1)におけるものと同じものを表し、R17は炭化水素基を表す。
一般式(8)におけるR17は、炭化水素基を表す。R17となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;などが挙げられる。これらのなかでも、アルキル基およびアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジエトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジエチル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2−メトキシ−2−メチル−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンなどが挙げられる。これら一般式(1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、ポリブタジエン鎖の活性末端1モルに対する一般式(1)で表される化合物の量として、0.1〜10.0モルであることが好ましく、0.2〜5.0モルであることがより好ましく、0.3〜2.0モルであることが特に好ましい。このような量で、一般式(1)で表される化合物を用いることにより、得られるポリブタジエンゴムが、特に低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えるものとなる。
なお、通常、一般式(1)で表される化合物は、ポリブタジエン鎖と反応する場合には、次のようにして反応が進行すると考えられる。すなわち、まず、一般式(1)で表される化合物が、活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端と反応する場合の第1の反応形態を例示すると、1段階目の反応として、一般式(1)で表される化合物中の8員環構造における酸素−ケイ素結合が開裂して、そのケイ素原子がポリブタジエン鎖の活性末端との間に新たに結合を形成し、酸素原子は活性末端の対イオンと塩構造(なお、この塩構造は、重合反応停止時に重合反応停止剤などに由来するプロトンと反応して水酸基を生じるものである)を形成する。さらに、一般式(1)で表される化合物が、ヒドロカルビルオキシ基を有する場合(一般式(1)におけるrが1または2である場合)には、そのヒドロカルビルオキシ基とポリブタジエン鎖の活性末端が反応して、ヒドロカルビルオキシ基が結合していたケイ素原子から脱離し、さらに、そのケイ素原子とポリブタジエン鎖の活性末端との間に新たに結合が生じる。
あるいは、第2の反応形態として、1段階目の反応において、一般式(1)で表される化合物中の8員環構造における酸素−ケイ素結合が開裂することなく、ケイ素原子に結合している、Xが脱離することで、そのケイ素原子がポリブタジエン鎖の活性末端との間に新たに結合を形成する。さらに、一般式(1)で表される化合物が、ヒドロカルビルオキシ基を有する場合(一般式(1)におけるrが2である場合)には、そのヒドロカルビルオキシ基とポリブタジエン鎖の活性末端が反応して、ヒドロカルビルオキシ基が結合していたケイ素原子から脱離し、さらに、そのケイ素原子とポリブタジエン鎖の活性末端との間に新たに結合が生じる。
また、一般式(1)で表される化合物が、活性末端が水酸基に変換された、シロキサンによる変性構造が導入されたポリブタジエン鎖と反応する場合の反応形態を例示すると、一般式(1)におけるXとシロキサンによる変性構造が導入されたポリブタジエン鎖の水酸基とが反応して、Xと水酸基の水素原子とがそれぞれ脱離することで、ポリブタジエン鎖と一般式(1)で表される化合物との間に新たに結合が生じる。
一般式(1)で表される化合物とポリブタジエン鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した第1工程および第2工程において用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、上述した第2工程において、活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンを反応させるために用いた反応溶液に、一般式(1)で表される化合物を添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、一般式(1)で表される化合物は、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加してもよい。反応温度は、特に限定されないが、通常0〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常1分〜1時間である。
ポリブタジエン鎖を含有する溶液に、一般式(1)で表される化合物を添加する時期は、上述した第2工程においてシロキサンを添加した後であれば、特に限定されないが、上述した第2工程と同様に、重合反応が完結しておらず、ポリブタジエン鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、ポリブタジエン鎖を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に一般式(1)で表される化合物を添加することが望ましい。一般式(1)で表される化合物の添加をこのように行なうことにより、ポリブタジエン鎖と重合系中に含まれる不純物などとの副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
なお、本発明の製造方法の第2工程および第3工程において、活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンおよび一般式(1)で表される化合物を反応させる前の状態のとき、シロキサンのみを反応させた後であって、一般式(1)で表される化合物を反応させる前の状態のとき(すなわち、第2工程の後であって、第3工程の前)、あるいは、シロキサンおよび一般式(1)で表される化合物のいずれも反応させた後において、活性末端を有するポリブタジエン鎖が残存している状態のとき(すなわち、第3工程の後)に、本発明の効果を阻害しない範囲で、活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端の一部を、従来から通常使用されているカップリング剤や変性剤などを重合系内に添加して、カップリングや変性を行ってもよい。
特に、本発明においては、活性末端を有するポリブタジエン鎖に対して、活性末端の一部を、ハロゲン含有カップリング剤と反応させることが好ましく、ハロゲン含有カップリング剤と反応させることで、ポリブタジエンゴムを、ホットフロー性(凝固クラムの互着のし難さ)により優れたものとすることができる。なお、ホットフロー性は、凝固クラムの互着のし難さを表す指標であり、ホットフロー性により優れることにより、スチームストリッピングなどにより、重合体溶液からポリブタジエンゴムを回収する際に、ポリブタジエンゴムの凝固クラムが互着してしまうことをより適切に防止できるものである。その結果として、凝固クラムが互着し、凝固クラムが肥大化することによる不具合、たとえば、凝固クラムの凝固槽の壁面や攪拌翼への付着、凝固クラム移送配管における詰まりの発生をより適切に防止することができる。
ハロゲン含有カップリング剤としては、ハロゲン原子を含有し、カップリング剤として作用する化合物であればよく、特に限定されないが、ポリブタジエンゴムのホットフロー性をより高めることができるという観点より、ハロゲン化錫、ハロゲン化珪素、または下記一般式(9)で表される化合物が好適であり、これらの中でも、下記一般式(9)で表される化合物が特に好適である。
Figure 2017082236
一般式(9)中、R18は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、X、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン基を表し、M、Mは、それぞれ独立して、珪素原子または錫原子を表す。
ハロゲン化錫としては、四塩化錫、トリフェニルモノクロロ錫などが挙げられ、四塩化錫が好ましい。また、ハロゲン化珪素としては、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、トリフェノキシクロロシラン、メチルトリフェノキシシラン、ジフェノキシジクロロシランなどが挙げられ、四塩化ケイ素が好ましい。
また、一般式(9)中、R18は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、R18となりうる炭化水素基としては、特に限定されないが、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、4−メチル−2,2−ペンチレン基、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン基などが挙げられる。これらのなかでも、1,2−エチレン基および1,6−ヘキシレン基が好ましい。また、X、Xとなりうるハロゲン基としては、特に限定されないが、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、これらのなかでも、クロロ基が好ましい。さらに、M、Mは、それぞれ独立して、珪素原子または錫原子であるが、珪素原子であることが好ましい。
一般式(9)で表される化合物の具体例としては、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどが挙げられる。
本発明の製造方法において、ハロゲン含有カップリング剤の使用量は、特に限定されないが、活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端1モルに対する量として、0.001〜0.2モルであることが好ましく、0.005〜0.1モルであることがより好ましく、0.01〜0.05モルであることが特に好ましい。このような量で、ハロゲン含有カップリング剤を用いることで、ポリブタジエンゴムのホットフロー性をより高めることができる。
ハロゲン含有カップリング剤と活性末端を有するポリブタジエン鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した第1工程から第3工程において用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、活性末端を有するポリブタジエン鎖が溶解している反応溶液に、ハロゲン含有カップリング剤を添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、ハロゲン含有カップリング剤は、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加してもよい。反応温度は、特に限定されないが、通常0〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常1分〜1時間である。
そして、本発明の製造方法においては、上記第3工程において、ポリブタジエン鎖に、一般式(1)で表される化合物を反応させた後(第3工程の後に、カップリング剤や変性剤などによりカップリングや変性を行った場合には、カップリングや変性を行った後)は、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
ポリブタジエン鎖の活性末端を失活させた後、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを反応溶液に添加し、その後、直接乾燥またはスチームストリッピングなどにより反応溶液から重合溶媒を分離して、ポリブタジエンゴムを回収する。なお、反応溶液から重合溶媒を分離する前に、重合溶液に伸展油を混合し、ポリブタジエンゴムを油展ゴムとして回収してもよい。
ポリブタジエンゴムを油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、ポリブタジエンゴム100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部である。
このようにして本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムは、上述した第2工程において、変性剤として、シロキサンを用いて反応を行い、次いで、上述した第3工程において、変性剤として、一般式(1)で表される化合物を用いて反応を行うことにより、得られるものである。そのため、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムは、重合体鎖末端に、シロキサンによる変性構造および一般式(1)で表される化合物による変性構造が導入されたものを含むものであるが、このようなもの以外にも、重合体鎖末端に、シロキサンによる変性構造のみが導入されたものや、重合体鎖末端に、一般式(1)で表される化合物による変性構造のみが導入されたもの、さらには、いずれの変性構造も導入されていないものなどを含有するものであってもよい。また、本発明の製造方法において、前記活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端の一部を、ハロゲン含有カップリング剤と反応させる工程を含めた場合には、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムは、ハロゲン含有カップリング剤の一部を介したカップリング構造が導入されたものを含有するものであってもよい。特に、本発明においては、得られるゴム架橋物の低発熱性および耐摩耗性をより高めるという観点より、ポリブタジエンゴムを構成する、全重合体中における、シロキサンによる変性構造および一般式(1)で表される化合物による変性構造が導入されたものと、一般式(1)で表される化合物による変性構造のみが導入されたものとの合計の含有割合(すなわち、少なくとも、一般式(1)で表される化合物による変性構造が導入されたものの含有割合)が、10重量%以上であるものが好ましく、20重量%以上であるものがより好ましい。なお、上限は、特に限定されない。
また、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムのカップリング率は、特に限定されないが、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。カップリング率が上記範囲であると、ポリブタジエンゴムを、ホットフロー性により優れたものとすることができ、また、得られるゴム架橋物の機械的強度および耐摩耗性を良好にバランスさせることができる。なお、カップリング率は、シロキサンおよび一般式(1)で表される化合物、ならびに、必要に応じて用いられるカップリング剤やその他の変性剤と反応させる前の活性末端を有するポリブタジエン鎖のピークトップ分子量の1.8倍以上の分子量を有する重合体分子の、最終的に得られたポリブタジエンゴムの全量に対する重量分率であり、このときの分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりポリスチレン換算分子量として求めるものとする。
また、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値で、好ましくは100,000〜3,000,000、より好ましくは150,000〜2,000,000、特に好ましくは200,000〜1,500,000である。ポリブタジエンゴムの重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、ポリブタジエンゴムへのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物の加工性をより高めることができ、さらには、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。ポリブタジエンゴムの分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜90、特に好ましくは35〜80である。なお、ポリブタジエンゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
このようにして本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムは、充填剤および架橋剤などの配合剤を添加した上で、種々の用途に好適に用いることができる。特に、充填剤としてシリカを配合した場合に、低発熱性、および耐摩耗性に優れたゴム架橋物を与えることができるゴム組成物を与える。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述した本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムを5重量%以上の割合で含有するゴム成分と、シリカとを含有し、ゴム成分100重量部に対する、シリカの含有量が10〜200重量部である、ポリブタジエンゴムの組成物である。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m/g、より好ましくは80〜220m/gである。また、シリカのpHは、pH5〜10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物中におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物の低発熱性および耐摩耗性をより向上させることができる。
本発明のゴム組成物には、低発熱性をより向上させるという観点より、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、種々のシランカップリング剤を用いることができるが、本発明においては、スルフィド系、メルカプト系、保護化メルカプト系(例えば、カルボニルチオ基を持つもの)、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、またはクロロ系のシランカップリング剤を好適に用いることができる。例えば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。また、Momentive社製のNXT−Z45、エポニックデグッサ社製のVP Si363なども用いることができる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
なお、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)やポリブタジエンゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、ワックスなどの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した本発明の製造方法によって得られるポリブタジエンゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、高シス−ポリブタジエンゴム、低シス−ポリブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどが挙げられる。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の5重量%以上を占めることが好ましく、5〜100重量%を占めることがより好ましく、10〜100重量%を占めることがさらに好ましい。このような割合で、本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムをゴム成分中に含めることにより、低発熱性と耐摩耗性とが向上されたゴム架橋物を得ることができる。
また、本発明のゴム組成物には、ゴム成分以外に樹脂を配合してもよい。樹脂を配合することにより、ゴム組成物に粘着性を付与させたり、ゴム組成物中の充填剤の分散性を高めることができる。その結果、得られるゴム架橋物のウエットグリップ性や耐摩耗性の向上が期待できる。また、可塑剤と同様な効果として、ゴム組成物の加工性を向上させることもできる。樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、インデン系樹脂、インデンを含有するC9系樹脂、α−メチルスチレン・インデン共重合体樹脂、クマロン−インデン樹脂、ファルネセン系樹脂、ポリリモネン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、変性されていたり、水素添加されていたりするものであってもよい。これらの樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。樹脂の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは25重量部以下である。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く配合剤と本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムを含むゴム成分とを混練後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く配合剤と本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムを含むゴム成分との混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の製造方法により得られるポリブタジエンゴムを用いて得られるものであるため、低発熱性および耐摩耗性に優れるものである。そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。特に、本発明のゴム架橋物は、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、およびスタッドレスタイヤなどの各種タイヤにおいて、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、およびビード部などのタイヤ各部位に好適に用いることができ、低発熱性および耐摩耗性に優れるものであるため、各種タイヤのベーストレッド用およびサイドウォール用として、特に好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔重量平均分子量、カップリング率〕
重量平均分子量(Mw)、およびカップリング率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の分子量に基づくチャートを得て、得られたチャートに基づいて求めた。ゲルパーミエーションクロマトグラフィの具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製ポリスチレン系カラム、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結した。
検出器:示差屈折計
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
なお、カップリング率については、上記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより得られた溶出曲線において、全溶出面積に対する、分子量の最も小さいピークが示すピークトップ分子量の1.8倍以上のピークトップ分子量を有するピーク部分の面積比を、ポリブタジエン鎖のカップリング率の値とした。
〔ビニル結合含有量〕
ビニル結合含有量は、H−NMRにより測定した。
〔ホットフロー性(凝固クラムの互着性)〕
ホットフロー性については、ポリブタジエンゴムのベール約7gに対し、ラバープロセスアナライザRPA−2000(アルファテクノロジーズ社製)を用い、動的歪み10%、0.1Hzの条件で108℃におけるせん断弾性率G’を測定することにより評価した。このせん断弾性率G’の値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいほど、凝固クラムが互着しにくく、凝固時の操業性が安定することを意味する。
〔ゴム架橋物の低発熱性〕
ゴム架橋物の低発熱性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、レオメトリックス社製ARESを用い、動的歪み2.5%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。
〔ゴム架橋物の耐摩耗性〕
ゴム架橋物の耐摩耗性については、上島製作所社製FPS摩耗試験機を用い、荷重1kgf、スリップ率3%にて測定した。この特性については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が大きいものほど、耐摩耗性に優れる。
〔実施例1〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン800g、1,3−ブタジエン120gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム1.00mmolを加え、80℃で重合を開始した。90分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン(一般式(9)で表される化合物)0.04mmolを添加し、10分間反応させた。次いで、下記式(10)で表されるポリオルガノシロキサン0.32g(ポリオルガノシロキサン中のシロキサン構造(−Si−O−)の繰り返し単位数に換算して、使用したn−ブチルリチウムの1.1倍モルに相当する量)を添加し、30分間反応させた。次いで、2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン(一般式(1)で表される化合物)1.00mmolを添加し、10分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、ポリブタジエンゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、ポリブタジエンゴム100部に対して0.15部添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状のポリブタジエンゴムを得た。得られた実施例1のポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は520,000、カップリング率は60.5%、ビニル結合含有量は9.3重量%であった。また、得られた実施例1のポリブタジエンゴムについて、上記方法に従って、ホットフロー性の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017082236
〔実施例2〕
1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンを添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作して、固形状のポリブタジエンゴムを得た。得られた実施例2のポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は455,000、カップリング率は55.2%、ビニル結合含有量は9.2重量%であった。また、得られた実施例2のポリブタジエンゴムについて、上記方法に従って、ホットフロー性の測定を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタンを添加しなかった以外は、実施例2と同様に操作して、固形状のポリブタジエンゴムを得た。得られた比較例1のポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は460,000、カップリング率は55.0%、ビニル結合含有量は9.0重量%であった。また、得られた比較例1のポリブタジエンゴムについて、上記方法に従って、ホットフロー性の測定を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物およびゴム架橋物の製造と評価〕
容積250mlのバンバリーミキサー中で、実施例1のポリブタジエンゴム70部、および天然ゴム30部を30秒間素練りし、次いでシリカ(商品名「Zeosil 1115MP」、ローディア社製)30部、シランカップリング剤:ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(商品名「Si69」、デグッサ社製)2.4部を添加して、80℃を開始温度として1.5分間混練後、シリカ(商品名「Zeosil 1115MP」、ローディア社製)10部、カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製)10部、プロセスオイル(商品名「フッコール エラミック30」、新日本石油社製)5部、酸化亜鉛2部、ステアリン酸2部、老化防止剤(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部、およびパラフィンワックス1部を添加し、2.5分混練して、バンバリーミキサーからゴム混練物を排出させた。混練終了時のゴム混練物の温度は150℃であった。ゴム混練物を、室温まで冷却した後、再度バンバリーミキサー中で、3分間混練した後、バンバリーミキサーからゴム混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られたゴム混練物に、硫黄1.5、および架橋促進剤[N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS−P」、大内新興化学工業社製)0.9部と、1,3−ジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)0.4部との混合物]1.3部を混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。このゴム組成物を、150℃で20分間プレス架橋して、ゴム架橋物の試験片を作製し、この試験片について、上記方法にしたがって、低発熱性および耐摩耗性の評価を行なった。
また、実施例2、比較例1のポリブタジエンゴムについても、それぞれ、同様にして、ゴム組成物およびゴム架橋物の試験片を作製し、これらの試験片について、上記方法にしたがって、低発熱性および耐摩耗性の評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2017082236
表1から判るように、本発明の製造方法によって得られる、ポリブタジエンゴム(実施例1,2)を用いて得られたゴム架橋物は、シロキサンのみで変性させたポリブタジエンゴム(比較例1)を用いて得られたゴム架橋物よりも、低発熱性および耐摩耗性に優れる。
また、表1から判るように、ハロゲン含有カップリング剤による反応を行ったポリブタジエンゴム(実施例1)は、ハロゲン含有カップリング剤による反応を行わなかったポリブタジエンゴム(実施例2)と比較して、ホットフロー性(凝固クラムの互着のし難さ)に優れたものとなった。

Claims (9)

  1. 不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、1,3−ブタジエンを含む単量体を重合し、活性末端を有するポリブタジエン鎖を得る第1工程と、
    前記活性末端を有するポリブタジエン鎖に、シロキサンを反応させる第2工程と、
    前記第2工程で得られるシロキサンを反応させたポリブタジエン鎖に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させる第3工程とを備えるポリブタジエンゴムの製造方法。
    Figure 2017082236
    (一般式(1)中、Xはヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン基および水酸基から選択される官能基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに結合して、これらが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよく、該環構造を形成する場合には、これらが結合する窒素原子に加えて、これらが結合する窒素原子以外のヘテロ原子とともに環構造を形成していてもよい。rは0〜2の整数である。)
  2. 前記シロキサンが、下記一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサンである請求項1に記載のポリブタジエンゴムの製造方法。
    Figure 2017082236
    (一般式(2)中、R〜R11は、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは0〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数であり、m+n+kは1以上である。)
  3. 前記活性末端を有するポリブタジエン鎖の活性末端の一部を、ハロゲン含有カップリング剤と反応させる工程をさらに備える請求項1または2に記載のポリブタジエンゴムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブタジエンゴム。
  5. 請求項4に記載のポリブタジエンゴムを5重量%以上の割合で含有するゴム成分と、シリカとを含有し、前記ゴム成分100重量部に対する、シリカの含有量が10〜200重量部であるゴム組成物。
  6. 架橋剤をさらに含有する請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 請求項6に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  8. 請求項7に記載のゴム架橋物を含むベーストレッドを備えるタイヤ。
  9. 請求項7に記載のゴム架橋物を含むサイドウォールを備えるタイヤ。
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