JP2017114758A - ジルコニア焼結体及びその用途 - Google Patents

ジルコニア焼結体及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2017114758A
JP2017114758A JP2016124429A JP2016124429A JP2017114758A JP 2017114758 A JP2017114758 A JP 2017114758A JP 2016124429 A JP2016124429 A JP 2016124429A JP 2016124429 A JP2016124429 A JP 2016124429A JP 2017114758 A JP2017114758 A JP 2017114758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sintered body
zirconia
zirconia sintered
colored
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016124429A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6884998B2 (ja
Inventor
仁士 永山
Hitoshi Nagayama
仁士 永山
武志 伊藤
Takeshi Ito
武志 伊藤
直樹 篠崎
Naoki Shinozaki
直樹 篠崎
山内 正一
Shoichi Yamauchi
正一 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Publication of JP2017114758A publication Critical patent/JP2017114758A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6884998B2 publication Critical patent/JP6884998B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B28WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
    • B28BSHAPING CLAY OR OTHER CERAMIC COMPOSITIONS; SHAPING SLAG; SHAPING MIXTURES CONTAINING CEMENTITIOUS MATERIAL, e.g. PLASTER
    • B28B1/00Producing shaped prefabricated articles from the material
    • B28B1/24Producing shaped prefabricated articles from the material by injection moulding
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/16Making multilayered or multicoloured articles
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/01Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics
    • C04B35/48Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics based on zirconium or hafnium oxides, zirconates, zircon or hafnates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B37/00Joining burned ceramic articles with other burned ceramic articles or other articles by heating

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

【課題】
2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体であって、高級感を呈する審美性を有し、なおかつ、部材として使用するに十分な強度を有したジルコニア焼結体を提供する。
【解決手段】
第一のジルコニア焼結体と第二のジルコニア焼結体を含むジルコニア焼結体であって、第一のジルコニア焼結体がCe、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群のいずれか1種以上のランタノイドを含有するジルコニア焼結体であり、該第二のジルコニア焼結体が少なくとも酸化アルミニウムを含有するジルコニア焼結体であり、該第一のジルコニア焼結体と該第二のジルコニア焼結体とが粒界を形成し、該粒界が隙間及び色滲みを有さないことを特徴とするジルコニア焼結体。
【選択図】 図12

Description

本発明は、異なる色調を有するジルコニアが焼結により接合したジルコニア焼結体に関する。より詳細には、異なる色調を有するジルコニアが焼結により接合したジルコニア焼結体であって、一方のジルコニアが他方のジルコニアに模様を形成しているジルコニア焼結体に関する。
高靱性及び高強度であることに加えて光沢感を有することから、ジルコニア焼結体は高級感を呈する部材とすることができる。そのため、ジルコニア焼結体は、例えば、高級時計部品や装飾品など、各種部材として利用されている。高級感を呈する部材であるにもかかわらず、ジルコニア焼結体の色調は単色である。さらに、通常、色調の異なるジルコニアは焼結挙動が互いに異なる。そのため、色調の異なるジルコニアを同時に焼結した場合、割れや亀裂、ひずみ等が生じ、欠陥のないジルコニア焼結体を得ることはできなかった。そのため、2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体、及び、これからなる部材を得ることはできなかった。
ジルコニア焼結体を用いた2以上の異なる色調を有する部材とするため、ジルコニア焼結体と、ジルコニア焼結体以外の材料であって当該ジルコニア焼結体と異なる色調を有するもの、とを組合せた部材が検討されている(例えば、特許文献1及び2)。しかしながら、これらの部材は、材料間の質感が大きく異なる。そのため、得られた部材はセラミックスのみからなる部材の意匠性とは異なる意匠性を示すものであり、特にジルコニア焼結体特有の高級感を損ねるものであった。
また、接着材等の中間層を介して2以上のセラミックスを接合したセラミックス接合体が従来から知られている。しかしながら、セラミックス接合体は中間層を起点とした破壊が生じやすい。そのため、高靱性及び高強度を特徴とするジルコニア焼結体においては、中間層を介した接合体とすることは好ましくない。
一方、特許文献3では、2つの色調の異なるジルコニア成形体を焼結することにより得られたジルコニア焼結体が報告されている。特許文献3では、FeCrNiスピネルを含むジルコニア粉末の成形体と、CoAlを含むジルコニア粉末の成形体とを焼結することにより得られたジルコニア焼結体、が開示されている。
特開2011−191321号公報 特許4370361号 特開平08−081255号公報
特許文献3で開示された焼結体はジルコニア焼結体からなるものである。これは部材間の質感の相違がない。しかしながら、当該焼結体は、異なる色調を有するジルコニア焼結体の間に目視できる「色の移行帯域」を有する。このような色の移行帯域は「色滲み」として視認される。色滲みによってジルコニア焼結体同士の境界が不明確となる。その結果、ジルコニア焼結体とジルコニア焼結体とが接している部分、特に一方のジルコニア焼結体で形成される模様、が不明確になる。このような不明確な模様はジルコニア焼結体の高級感をさらに損なう印象を与える。
特許文献3では色の移行帯域を有さないジルコニア焼結体も開示されている。しかしながら、当該ジルコニア焼結体は、焼結が十分に進行していないために、ジルコニア焼結体同士の境界に隙間を有するものであった。特許文献3における色の移行帯域を有さないジルコニア焼結体は、当該隙間のために色が移行していないに過ぎなかった。当該隙間は、いずれのジルコニア焼結体とも異なる色調として視認され、部材としての審美性を低下させる。これに加え、ジルコニア焼結体同士の境界に存在する隙間は破壊の起点となる。そのため、この様なジルコニア焼結体は、著しく機械的強度が弱く、部材として壊れやすいものであった。
さらに、特許文献3で開示された焼結体は、色滲みや隙間が部材の審美性に影響しない程度まで模様を大きくする必要がある。そのため、特許文献3で開示された焼結体は微細な模様を有する焼結体とすることができない。
本発明は、これらの問題を解決し、2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体であって、高級感を呈する審美性を有し、なおかつ、部材として使用するに十分な強度を有したジルコニア焼結体を提供することを目的とする。特に、本発明は、ピンク、オレンジ、ラベンダーその他の着色を呈するジルコニア焼結体と、他の色調を呈するジルコニア焼結体とからなる多色ジルコニア焼結体であって、高級感を呈する審美性を有し、なおかつ、部材として使用するに十分な強度を有したジルコニア焼結体を提供することを別の目的とする。
本発明者らは、2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体、特に2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体であって、一方のジルコニアが他方のジルコニアの表面に模様として形成されているジルコニア焼結体について検討した。
その結果、少なくとも一方の成形体がランタノイドを含有するジルコニア成形体と他のジルコニア成形体とを同時に焼結することで、2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体を得られることを見出した。更には、この様なジルコニア焼結体は、ジルコニア焼結体とジルコニア焼結体とがその接合面として粒界を形成し、なおかつ、当該界面が色滲み及び隙間を有さないことと見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 第一のジルコニア焼結体と第二のジルコニア焼結体を含むジルコニア焼結体であって、第一のジルコニア焼結体がCe、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群のいずれか1種以上のランタノイドを含有するジルコニア焼結体であり、該第二のジルコニア焼結体が少なくとも酸化アルミニウムを含有するジルコニア焼結体であり、該第一のジルコニア焼結体と該第二のジルコニア焼結体とが粒界を形成し、該粒界が隙間及び色滲みを有さないことを特徴とするジルコニア焼結体。
[2] 前記第一のジルコニア焼結体と前記第二のジルコニア焼結体のいずれか一方のジルコニア焼結体が、他方のジルコニア焼結体の表面に模様を形成している上記[1]に記載のジルコニア焼結体。
[3] 相対密度が99.5%以上である上記[1]又は[2]のいずれかに記載のジルコニア焼結体。
[4] 前記第一のジルコニア焼結体が含有するランタノイドが、Ce、Pr、Nd及びErからなる群のいずれか1種以上である上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のジルコニア焼結体。
[5] 前記第一のジルコニア焼結体が含有するランタノイドの含有量が、0.1重量%以上6重量%以下である上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のジルコニア焼結体。
[6] 前記第一のジルコニア焼結体が、アルミナを含む上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のジルコニア焼結体。
[7] 前記第一のジルコニア焼結体が、アルミナを第一のジルコニア焼結体中のジルコニアに対して1重量%以下含有する上記[6]に記載のジルコニア焼結体。
[8] 前記第二のジルコニア焼結体が、酸化アルミニウムを0.25重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする上記[1]乃至[7]のいずれかに記載のジルコニア焼結体。
[9] Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群から選ばれるいずれか1種以上のランタノイドを含有するジルコニア粉末、又は、酸化アルミニウムを含有するジルコニア粉末のいずれか一方のジルコニア粉末を成形し一次成形体を得る一次成形工程、一次成形工程以下の成形温度で該一次成形体上に他方のジルコニア粉末を成形して二次成形体を得る二次成形工程、該二次成形体を1300℃以上で焼成し予備焼結体を得る焼結工程、及び、該予備焼結体を1250℃以上1650℃以下、100MPa以上250MPa以下で熱間静水圧プレス処理する熱間静水圧プレス処理工程、を含む上記[1]乃至[8]のいずれかに記載のジルコニア焼結体の製造方法。
[10] 前記二次成形工程における成形が射出成形である上記[9]に記載の製造方法。
[11] 上記[1]乃至[8]のいずれかに記載のジルコニア焼結体を含む部材。
本発明により、2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体であって、高級感を呈する審美性を有し、なおかつ、部材として使用するに十分な強度を有したジルコニア焼結体を提供することできる。また、本発明により、2以上の異なる色調を有するジルコニア焼結体であって、ジルコニア焼結体間に色滲みや隙間を有さないものを提供することができる。さらに、本発明により、高級感を有した部材を提供することができる。
実施例1のピンク色/白色ジルコニア焼結体の反射電子像(図中スケールは50μm) 界面に隙間を有する多色ジルコニア焼結体の反射電子像(図中スケールは50μm) 色滲みを有する多色ジルコニア焼結体の光学顕微鏡写真(図中スケールは50μm) EPMAの定量点分析により移行領域の測定を示す模式図 実施例2のオレンジ色/白色ジルコニア焼結体の反射電子像(図中スケールは50μm) 本発明の多色ジルコニア焼結体からなる時計用ベゼルリングの一例を示す模式図 本発明の多色ジルコニア焼結体からなる時計用文字盤の一例を示す模式図 本発明の多色ジルコニア焼結体からなるブレスレットの一例を示す模式図 本発明の多色ジルコニア焼結体からなる筐体の一例を示す模式図 本発明の多色ジルコニア焼結体からなる携帯電話用カバーの一例を示す模式図 本発明の多色ジルコニア焼結体からなる円板状焼結体の一例を示す模式図 実施例4の赤色/白色ジルコニア焼結体の外観写真(a:真上からの写真 、b:真横からの写真) 比較例1のセラミックス造形品の界面の(a)光学顕微鏡写真、及び(b)SEM写真(図中スケールは20μm) 比較例2のセラミックス造形品の界面のSEM写真(図中スケールは20μm) 比較例3のセラミックス造形品の(a)外観写真、及び(b)拡大図 比較例3のセラミックス造形品の隙間を有する界面の光学顕微鏡写真 比較例3のセラミックス造形品の色滲みを有する界面の光学顕微鏡写真
以下、本発明のジルコニア焼結体について説明する。
本発明のジルコニア焼結体は、第一のジルコニア焼結体と第二のジルコニア焼結体を含むジルコニア焼結体(以下、「多色ジルコニア焼結体」ともいう。)である。第一のジルコニア焼結体(以下、「淡色焼結体」ともいう。)と第二のジルコニア焼結体(以下、「薄色焼結体」ともいう。)は、互いに異なる色調を有するジルコニア焼結体である。本発明の多色ジルコニア焼結体は、ランタノイドを着色材として含有する淡色焼結体と、薄色焼結体を含むこと、好ましくは実質的に淡色焼結体と薄色焼結体とからなることで、はじめてジルコニア焼結体のみからなり、なおかつ、高級感を呈する審美性を有する部材とすることができる。
本発明の多色ジルコニア焼結体において、淡色焼結体と薄色焼結体とは粒界を形成している。これにより両焼結体が接合している。さらには、淡色焼結体と薄色焼結体とは、焼結することで形成された粒界(以下、「界面」ともいう。)を有している。界面が焼結していることにより、該界面が亀裂やひずみなどの欠陥を有さない接合面となる。これにより、界面が破壊の起点とならなくなる。そのため、本発明の多色ジルコニア焼結体は、ジルコニア焼結体本来の強度が求められる部材としても使用することができる。
淡色焼結体と薄色焼結体とが焼結することで、これらが連続したひとつのジルコニア焼結体となる。そのため、本発明の多色ジルコニア焼結体は、淡色焼結体の結晶粒子同士が焼結した構造、及び、薄色焼結体の結晶粒子同士が焼結した構造に加え、淡色焼結体の結晶粒子と薄色焼結体の結晶粒子とが焼結した結晶粒子構造を有した粒子構造を含む。
従って、本発明の多色ジルコニア焼結体は、このような粒子構造を有さないジルコニア複合体やジルコニア接合体とは異なる。ジルコニア複合体やジルコニア接合体は、淡色焼結体の結晶粒子同士が焼結した構造、及び、薄色焼結体の結晶粒子同士が焼結した構造のみからなる。ジルコニア複合体として、例えば、淡色焼結体と薄色焼結体とを別々に焼結した後、これらを組合せて得られたジルコニア複合体を挙げることができる。ジルコニア接合体として、淡色焼結体と薄色焼結体とが接着層その他の中間層を介して一体化されたジルコニア接合体を挙げることができる。さらに、ジルコニア複合体やジルコニア接合体をHIP処理した場合であっても、濃色焼結体の結晶粒子とが焼結した結晶粒子構造を有した粒子構造を含まれない。HIP処理は、淡色焼結体と濃色焼結体のそれぞれに含まれる開気孔を排除して個々の焼結体の緻密化が進行するのみであり、淡色焼結体と濃色焼結体との間を焼結することができないためである。このように、ジルコニア複合体等HIP処理しても、個々の焼結体の収縮による物理的な嵌合が強くなるだけである。
本発明における界面は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」とする。)などの電子顕微鏡観察により得られる電子像又は光学顕微鏡による観察から確認することができる。淡色焼結体と薄色焼結体とは異なる色調を有する。そのため、光学顕微鏡観察において、色調の変化している部分をもって界面を確認することができる。また、淡色焼結体と薄色焼結体は少なくとも着色成分が異なる。着色成分の相違により、電子像が異なる色調を呈するため、電子像において色調が変化している部分をもって界面を確認することができる。
図1は本発明の多色ジルコニア焼結体のSEM観察により得られた反射電子像の一例を示す図である。図1において、(1)の領域は薄色焼結体、(2)の領域は淡色焼結体である。図1より、反射電子像における色調の違いから(1)及び(2)の領域の境界部分である界面(3)を確認することができる(例えば、図1中の破線丸印)。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、淡色焼結体と薄色焼結体が焼結により接合している。さらに、淡色焼結体又は薄色焼結体の何れか一方のジルコニア焼結体が凹部を有し、他方のジルコニア焼結体が凸部を有しており、当該凹部と凸部とが組み合わさるように、淡色焼結体と薄色焼結体とが積層して接合していることが好ましい。このようなジルコニア焼結体同士の組み合わせにより、段差や隙間のない模様を本発明の多色ジルコニア焼結体の表面に形成することができる。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、この様に淡色焼結体と薄色焼結体が界面を有しており、なおかつ、該界面は隙間を有さない。これにより、本発明の多色ジルコニア焼結体が、ジルコニア焼結体のみから作り出される審美性を呈し、本発明の多色ジルコニア焼結体をより高級感のある印象を与える部材とすることができる。これに加え、界面に隙間がないことにより、界面を起点とする破壊が生じにくくなるため、ジルコニア焼結体本来の機械的特性が損なわれることがない。
本発明において、隙間とは、淡色焼結体と薄色焼結体との接合面である界面及びその近傍に形成した空隙であって、光学顕微鏡観察や倍率500倍以下のSEM観察により得られる二次電子像又は反射電子像の少なくともいずれかの電子像(以下、これらをまとめて単に「電子像」ともいう。)により確認できるものである。
本発明の多色ジルコニア焼結体は倍率500倍超のSEM観察により得られる二次電子像や反射電子像により確認できる空隙などの微細な空隙を含まないことが好ましい。しかしながら、各種部材として本発明の多色ジルコニア焼結体を使用する場合、倍率500倍超のSEM観察や透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」とする。)観察により得られる電子像において、観察される空隙を有していてもよい。このような微細な空隙は、実質的に視認される部材の審美性に影響を及ぼさない。
図1において、反射電子像における色調の違いから(1)及び(2)の領域の境界部分である界面(3)を確認することができる(例えば、図1中の破線丸印)。さらに、図1で確認された界面は連続的な界面であり、当該界面の中に空隙が確認されない。一方、図2は、界面に隙間を有する多色ジルコニア焼結体を、倍率500倍でSEM観察して得られた反射電子像を示す図である。図2中、(4)は着色剤を含有しないジルコニア焼結体、及び、(5)は着色剤を含有するジルコニア焼結体(以下、「着色ジルコニア焼結体」ともいう。)である。両者の間の界面は連続的に形成された界面ではなく、部分的に形成された界面である(図2中、破線丸部)。さらに、当該界面の一部は剥離して、隙間が形成されていることが確認できる(図2中、矢印部)。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、淡色焼結体と薄色焼結体とが界面を有しており、なおかつ、該界面に色滲みを有さない。これにより、淡色焼結体と薄色焼結体の境界が明確となるため、本発明の多色ジルコニア焼結体を明確な模様を有する部材とすることができる。さらには、一方のジルコニア焼結体により形成される模様を、微細な模様とすることができる。
色滲みとは、淡色焼結体の色調と、薄色焼結体の色調とが混合した色調を呈する部分であって、目視又は光学顕微鏡で観察されるものである。さらに、界面の色滲みとは、淡色焼結体又は薄色焼結体のいずれか一方のジルコニア焼結体において観察される、他方のジルコニア焼結体の色調を含む界面及び界面近傍の領域(以下、「移行領域」ともいう。)であって、目視又は光学顕微鏡で観察されるものである。本発明においては、界面の色滲みとは、淡色焼結体又は薄色焼結体の少なくともいずれかの焼結体において観察される、他方の焼結体の色調を含む界面及び界面近傍の領域であって、目視又は光学顕微鏡で観察されるものを特に意味する。界面の色滲みの有無は、目視又は、例えば、倍率10〜100倍の光学顕微鏡で多色ジルコニア焼結体を観察することで、確認することができる。
図3は色滲みを有する多色ジルコニア焼結体の一例を示す光学顕微鏡写真である。図3において、(4)の領域は着色剤を含有しないジルコニア焼結体、(5)の領域は着色ジルコニア焼結体である。図3より、(4)及び(5)の領域の境界部分がぼやけており界面付近が不鮮明になっている(例えば、図3中の破線四角部)。このような多色ジルコニア焼結体は界面付近の色滲みを有することが確認できる。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、目視又は光学顕微鏡で観察できない移行領域を有していてもよい。目視又は光学顕微鏡で観察できない移行領域は、本発明の多色ジルコニア焼結体を各種部材として使用した際の審美性に実質的な影響を与えない。
目視又は光学顕微鏡で観察できない移行領域として、淡色焼結体又は薄色焼結体のいずれか一方のジルコニア焼結体の領域であって、一方のジルコニア焼結体に含まれる着色成分を含む他方のジルコニア焼結体の領域を挙げることができる。
移行領域に含まれる着色成分は、3重量%以下、更には2.5重量%以下、また更には2重量%以下であれば、色滲みとはならない。ここで、移行領域の有無及び着成分の含有量は、界面から一定距離の着色焼結体の領域の電子線マイクロアナライザの定量点分析(以下、「EPMA分析」とする。)により得られる全元素の重量に対する着色成分の有無及び重量割合である。
図4はEPMA分析により移行領域の測定を示す模式図である。図4において、(1)は薄色焼結体の領域、(2)は淡色焼結体の領域、及び(3)は界面である。さらに、(6)は界面から一定距離にある薄色焼結体の領域、及び(7)は当該(6)領域を中心として形成した直径10μmの円である。EPMA分析では、当該(7)に含まれる全元素を分析し、着色成分が含まれる場合、当該領域は移行領域となる。本発明においては、界面からの距離が異なる複数点の領域(図4中(6)に相当する領域)についてEPMA分析を行い、界面からの最大距離に相当する着色成分を含む領域を、試料における各着色成分の移行領域とした。
移行領域は着色成分が含まれる界面からの最大距離に相当する領域であり、界面から200μm以内の領域、更には150μm以内の領域、また更には100μm以内の領域を挙げることができ、特に界面から200μm以内の他方の焼結体の領域、更には150μm以内の他方の焼結体の領域、また更には100μm以内の他方の焼結体の領域を挙げることができる。
移行領域が上記の範囲の領域及び着色剤の量であれば、本発明の多色ジルコニア焼結体を部材として使用する際の審美性に与える色滲みを有さない。
移行領域に含まれる着色成分としては、ランタノイド元素を挙げることができ、更にはCe、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群の少なくともいずれかを挙げることができる。
例えば、本発明の多色ジルコニア焼結体に含まれる薄色焼結体は、移行領域が界面から100μm以内の領域であり、当該領域に淡色焼結体が含有するランタノイドと同じ種類のランタノイドを1重量%以下、更には0.6重量%以下、また更には0.3重量%以下含むが、移行領域を超える薄色焼結体の領域には淡色焼結体が含有するランタノイドと同じ種類のランタノイドを含まないことを挙げることができる。この場合、ランタノイドの移行領域は界面から100μm以内の領域となる。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、淡色焼結体と薄色焼結体のいずれか一方のジルコニア焼結体が、他方のジルコニア焼結体の表面に模様を形成していることが好ましい。模様は、淡色焼結体と薄色焼結体との界面、淡色焼結体及び薄色焼結体が同一の表面に露出することで形成される。本発明の多色ジルコニア焼結体は、従来と比べてより微細な模様を形成することができる。これより、更に意匠性が高くなるだけでなく、より広い用途で使用される部材となる多色ジルコニア焼結体を提供することができる。
本発明において、模様とは、淡色焼結体又は薄色焼結体のいずれか一方のジルコニア焼結体の一部に形成された、他方のジルコニア焼結体による線図、図形又はこれらの組合せである。具体的な線図として実線、破線、波線などの線形、数字や文字などを例示することができ、図形として丸状、多面体形状などの幾何学的形状などを例示することができる。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、淡色焼結体と薄色焼結体との界面、淡色焼結体及び薄色焼結体が同一表面に露出して模様を形成していればよく、淡色焼結体の表面に薄色焼結体が模様を形成していてもよく、一方、薄色焼結体の表面に淡色焼結体が模様を形成してもよい。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、従来の多色ジルコニア焼結体で得られていた大きさの模様を形成すことができる。これに加え、本発明の多色ジルコニア焼結体は従来よりも微細な範囲であっても明確な模様を形成することができる。模様は、例えば、1cm以下の領域、更には1mm以下の領域、また更には0.5mm以下の領域、また更には0.05mm以下の領域、また更には0.005mm以下の領域であれば明確に形成することができる。さらに、本発明の多色ジルコニア焼結体が有する模様として、例えば、150μm程度の太さの線からなる線図や、150μm程度の間隔の線図や図形、直径1mm以下、更には直径0.5mm以下の図形を挙げることができる。
本発明の多色ジルコニア焼結体、及び、これが有する模様の形状は任意であるが、例えば、本発明の多色ジルコニア焼結体の形状及び模様の一例を図6乃至図11に示す。
例えば、図6は時計用ベゼルリングの形状を有し、当該ベゼルリング表面にする多色ジルコニア焼結体の模式図である。左図は正面図、中図は側面図、及び右図は背面図である。正面図は、ベゼルリング表面が淡色焼結体からなり(図6左図中(2))、該表面上に薄色焼結体からなるアラビア数字の形状の模様(図6左図中(1))を有することを示している。側面図は、当該多色ジルコニア焼結体は、アラビア数字の形状の凸部を有する薄色焼結体上に、当該アラビア数字と同じ形状の凹部を有する淡色焼結体が積層していることを示している(図6中図)。また、薄色焼結体は中空部を有するリング状の形状をしており、薄色焼結体と淡色焼結体とが積層している(図6右図)。
また、例えば、図7は時計用文字盤の形状を有する多色ジルコニア焼結体の模式図である。左図は正面図、及び右図は背面図である。図7において円板状の形状からなる焼結体であり、表面が淡色焼結体からなる。当該焼結体の表面に、アナログ時計の1時〜12時の各時刻に相当する部分の線図、並びに、3、6、9及び12のアラビア数字の形状の模様を有する形状の薄色焼結体を有することを示している。また、薄色焼結体は円板状であり、薄色焼結体と淡色焼結体とが積層している(図7右図)。
図8乃至図11は、それぞれブレスレットの形状、筐体の形状、及び携帯電話用カバーの形状、円板状の形状を有する多色ジルコニア焼結体を示す模式図である。
図6乃至図11で例示したように、本発明の多色ジルコニア焼結体は、淡色焼結体と薄色焼結体を含むジルコニア焼結体であって、淡色焼結体と薄色焼結体との凹凸部が積層して界面を形成するように焼結してなり、なおかつ、凹凸部が積層した部分の断面が同一表面に露出した構造を有することで、模様を有するジルコニア焼結体とすることができる。
さらに、淡色焼結体と薄色焼結体との凹凸部を任意の形状及び大きさとすることで、任意の形状及び大きさの模様を表現することができる。
淡色焼結体と薄色焼結体とが焼結により接合しているため、本発明の多色ジルコニア焼結体は高い密度を有する。本発明の多色ジルコニア焼結体の相対密度は99.5%以上、更には99.7%以上であることを挙げることができる。相対密度が99.5%以上であることで、界面に隙間がないことはもちろん、界面以外の部分における欠陥も少なくなる。これにより、本発明の多色ジルコニア焼結体の機械的強度がより高くなりやすい。
なお、ジルコニア複合体やジルコニア接合体は、異なるジルコニア焼結体を焼結後に組み合わせたものである。そのため、これらを構成するジルコニア焼結体の相対密度がそれぞれ99.5%以上であったとしても、ジルコニア複合体やジルコニア接合体としての相対密度が99.5%以上とはならない。
本発明において、多色ジルコニア焼結体の相対密度は以下の(1)式から求めることができる。
相対密度(%) = 多色ジルコニア焼結体の実測密度(g/cm)/多色ジルコニア焼結体の理論密度(g/cm)×100 ・・・(1)
多色ジルコニア焼結体の実測密度(焼結体密度)はアルキメデス法により求めることができる。
さらに、多色ジルコニア焼結体の理論密度は、淡色焼結体及び薄色焼結体の各密度及び体積比により以下の式から算出することができる。
M =(Ma・X+Mb・Y)/(X+Y)・・・(1’)
上記式において、Mは多色ジルコニア焼結体の理論密度(g/cm)、Maは淡色焼結体の理論密度(g/cm)、Mbは薄色焼結体の理論密度(g/cm)、Xは多色ジルコニア焼結体の体積に対する淡色焼結体の体積比、及び、Yは多色ジルコニア焼結体の体積に対する薄色焼結体の体積比である。
(1’)式中、Ma及びMbは、淡色焼結体及び薄色焼結体の組成により異なる。Ma及びMbは各焼結体を構成する化合物の理論密度及びこれら化合物の重量割合から求めればよい。また、ランタノイド元素は安定化剤としてジルコニアに固溶するが、計算上、ランタノイド酸化物の理論密度を使用すればよい。各焼結体を構成する化合物の理論密度として、例えば、以下のものが挙げられる。
3mol%イットリア含有ジルコニア :6.09g/cm
酸化プラセオジム :7.07g/cm
酸化ネオジウム :7.24g/cm
酸化エルビウム :8.64g/cm
酸化セリウム :7.22g/cm
酸化アルミニウム :3.98g/cm
(1’)式中、Xは、多色ジルコニア焼結体の重量に対する淡色焼結体の重量割合にMaを掛けて求まる体積比であり、Yは多色ジルコニア焼結体の重量に対する薄色焼結体の重量割合にMbを掛けて求まる体積比である。
淡色焼結体及び薄色焼結体は、2mol%以上6mol%以下、更には2.5mol%以上4mol%以下、また更には2.5mol%以上3.5mol%以下、また更には2.8mol%以上3.2mol%以下の安定化剤を含むことが好ましい。上記の範囲の安定化剤を含むことで、これらのジルコニア焼結体が、結晶構造が正方晶からなるジルコニア焼結体となる。これにより、高い機械的強度を有する焼結体となる。
安定化剤は、イットリア、カルシア、マグネシア、スカンジア及びランタノイドからなる群から選ばれる少なくとも1種、更にはイットリアを挙げることができる。
本発明の多色ジルコニア焼結体に含まれる淡色焼結体は、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群のいずれか1種以上のランタノイド(以下、「着色ランタノイド」ともいう。)を含有するジルコニア焼結体である。これにより、焼結体が淡い色調を有するジルコニア焼結体となる。
淡色焼結体の呈色は所望の色調であればよく、例えば、L表色系おけるLが55以上であることが例示できる。
本発明において着色ランタノイドは、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群のいずれか1種以上のランタノイド、更にはEr、Pr、Ce及びNdからなる群から選ばれるいずれか1種以上のランタノイドが好ましい。例えば、エルビウム(Er)を含有することでピンク色ジルコニア焼結体、プラセオジム(Pr)を含有することでオレンジ色ジルコニア焼結体、セリウム(Ce)を含有することで赤色ジルコニア焼結体、及び、ネオジム(Nd)を含有することでラベンダー色ジルコニア焼結体となる。
着色ランタノイドの含有量は、淡色焼結体のジルコニアに固溶する量を含有していればよく、更には淡色焼結体の重量に対して、着色ランタノイドが0.1重量%以上6重量%以下、更には0.3重量%以上3.5重量%以下であればよく、0.5重量%以上2.5重量%以下であることが好ましい。
淡色焼結体は、着色ランタノイドに加えてアルミナを含んでいてもよい。この場合、淡色焼結体に含まれるアルミナは淡色焼結体のジルコニアに対して1重量%以下、更には0.5重量%以下、また、更には0.3重量%以下、また更には0.25重量%以下であり、かつ、薄色焼結体のアルミナ含有量より少ない量であればよい。1重量%超のアルミナを含有すると、呈色が薄くなりすぎる。
淡色焼結体は、淡い色調を呈することが好ましいため、着色剤が実質的に着色ランタノイドのみであることが好ましく、スピネル構造を有する複合酸化物を含まないことが好ましい。
淡色焼結体がピンク色を呈する場合、その呈色はL=65以上85以下、a=0以上15以下、及び、b=−10以上0以下であること、更にはL=70以上85以下、a=2以上12以下、b*=−8以上−0.5以下であることが好ましい。
淡色焼結体がオレンジ色を呈する場合、その呈色はL=55以上80以下、a=0以上20以下、及び、b=30以上65以下であること、更にはL=60以上75以下、a=3以上18以下、及び、b=35以上65以下であることが好ましい。
淡色焼結体がラベンダー色を呈する場合、その呈色はL=55以上80以下、a=3以上15以下、及び、b=−15以上−3以下であること、更にはL=60以上80以下、a=5以上15以下、及び、b=−11以上−5以下であることが好ましい。
淡色焼結体が赤色を呈する場合、その呈色はL=20以上60以下、a=30以上60以下、及び、b=25以上60以下であること、更にはL=20以上60以下、a=35以上60以下、及び、b=30以上60以下であることが好ましい。
本発明の多色ジルコニア焼結体に含まれる薄色焼結体は、少なくとも酸化アルミニウム(アルミナ)を含有するジルコニア焼結体である。これにより、焼結体が白系統の色調を有するジルコニア焼結体となる。
薄色焼結体の呈色は所望の色調であればよく、L表色系おけるLが55以上であることが例示できる。
薄色焼結体は、酸化アルミニウム(アルミナ)を含有する。アルミナを含有することで、ジルコニア結晶粒子の間にアルミナ粒子が分散する。これにより、ジルコニア本来の透明性が抑制され、明確な白色を呈するジルコニア焼結体となる。さらに薄色焼結体が安定化剤及びアルミナのみを含むことで、焼結時に隙間及び色滲みのない界面の形成が促進されやすくなる。
アルミナの含有量は、薄色焼結体重量に対するアルミナ重量として0.25重量%以上20重量%以下、更には1重量%以上15重量%以下、また更には5重量%以上10重量%以下であることが好ましい。この範囲のアルミナを含有することで、薄色焼結体の色調がより鮮明な白色となる。さらにアルミナの含有量が上記の範囲であれば、アルミナ粒子に阻害されることなくジルコニアの焼結が進行する。多色ジルコニア焼結体において淡色焼結体がアルミナを含有する場合、薄色焼結体のアルミナ含有量は上記の範囲であり、なおかつ、淡色焼結体のアルミナ含有量より多ければよい。
薄色焼結体の呈色はL表色系におけるL、a及びb(以下、それぞれを単に「L」、「a」及び「b」ともいう。)が、L=85以上100以下、a=−2以上2以下、及び、b=−2以上3.0以下であること、更にはL=85以上95以下、a=−1以上−0.5以下、及び、b=0以上1.5以下であること、また更にはL=85以上93以下、a=−1以上−0.4以下、及び、b=0.5以上1.3以下であることが好ましい。明度Lが85以上であり、なおかつ、a及びbがどちらもゼロ付近であることで、鮮明な純白色を呈する焼結体となる。これにより淡色焼結体と組合せることで、より審美性の高い部材とすることができる。
薄色焼結体はアルミナのみを含有することが好ましいが、淡色焼結体と異なる色調を呈する焼結体であれば、アルミナ以外に着色剤を含有していてもよい。薄色焼結体が含有する着色剤としては、着色ランタノイドであって淡色焼結体に含有されるものとは異なる種類のランタノイドを挙げることができる。なお、薄色焼結体は淡色焼結体よりも薄い色調を呈することが好ましいため、スピネル構造を有する複合酸化物を含まないことが好ましい。
次に、本発明の多色ジルコニア焼結体の製造方法を説明する。
本発明の多色ジルコニア焼結体は、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群から選ばれるいずれか1種以上のランタノイドを含有するジルコニア粉末、又は、少なくとも酸化アルミニウムを含有するジルコニア粉末のいずれか一方のジルコニア粉末を成形し一次成形体を得る一次成形工程、一次成形工程以下の成形温度で該一次成形体上に他方のジルコニア粉末を成形して二次成形体を得る二次成形工程、該二次成形体を1300℃以上で焼成し予備焼結体を得る焼結工程、及び、該予備焼結体を1250℃以上1650℃以下、100MPa以上250MPa以下で熱間静水圧プレス処理する熱間静水圧プレス処理工程、を含む製造方法により製造することができる。
一次成形工程では、一次成形体を得る。一次成形体は、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群から選ばれるいずれか1種以上のランタノイド(着色ランタノイド)を含有するジルコニア粉末(以下、「淡色粉末」ともいう。)を成形した成形体(以下、「淡色成形体」ともいう。)、又は、少なくとも酸化アルミニウムを含有するジルコニア粉末(以下、「薄色粉末」ともいう。)を成形した成形体(以下、「薄色成形体」ともいう。)のいずれかである。
一次成形工程における成形方法は任意である。成形方法としてプレス成形、冷間静水圧プレス、鋳込み成形、シート成形及び射出成形の群からなるいずれか1以上の成形方法を挙げることができる。任意形状の成形体が得られやすくなるため、成形方法は鋳込み成形又は射出成形の少なくともいずれかであることが好ましい。さらに、より複雑かつ微細な形状の成形体が得られやすいため、成形方法は射出成形であることがより好ましい。一次成形体は、凹凸部を有する形状であることが好ましい。一次成形体が凹凸部を有する形状であることで、淡色成形体及び薄色成形体が互いに凹凸部を被覆した構造を有する二次成形体が得られる。
二次成形工程では、淡色成形体又は薄色成形体のいずれか一方の成形体からなる一次成形体の上に、他方の粉末を成形した成形体を作製する。これにより、一次成形体と二次成形体とが積層した成形体、特に淡色成形体及び薄色成形体が互いの凹凸部を被覆し合うように積層した二次成形体が得られる。
二次成形工程における成形温度(以下、「二次成形温度」ともいう。)を、一次成形工程における成形温度(以下、「一次成形温度」ともいう。)以下とする。二次成形温度が一次成形温度より高い場合、二次成形時に一次成形体の形状に歪みや、崩れなどが生じやすくなる。この場合、凸部などの一次成形体の微細な形状を歪んだ状態で含む二次成形体が得られる。このような二次成形体を焼結すると、得られる多色ジルコニア焼結体が、形状の歪みに起因した色滲みを有する焼結体となる。
一次成形及び二次成形を有する一般的な成形方法、特に一次成形及び二次成形を有する鋳込み成形や射出成形では、二次成形時の熱により一次成形体の温度が上昇する。これにより、二次成形工程の温度が上昇する。従って、一次成形及び二次成形において成形温度を制御しない場合は、通常、二次成形温度が一次成形温度を超える。これに対し、本発明における二次成形温度は一次成形温度以下、更には一次成形温度未満である。二次成形温度が一次成形温度以下であること、すなわち、一次成形温度が二次成形温度以上であることにより、模様の流れ及びこれによる色滲みが生じなくなる。このようにして得られる二次成形体を焼結させることで、界面に隙間及び色滲みを有さない多色ジルコニア焼結体が得られる。なお、模様の流れとは、例えば一次成形体の凸部など、一次成形体の形状が二次成形体の成形により変形することを挙げられる。
二次成形工程においては、一次成形温度と二次成形温度の差が大きくなるほど、歪んだ形状を含まない二次成形体がより得られやすくなる。一次成形温度は、二次成形温度より3℃以上、更には5℃以上、また更には10℃以上、また更には20℃以上、また更には30℃以上であることが挙げられる。しかしながら、本発明の製造方法においては、二次成形温度が一次成形温度よりも低く、なおかつ、その差が3〜30℃、更には3〜20℃、また更には3〜10℃、また更には5〜10℃と小さくとも、歪んだ形状を含まない二次成形体を再現よく得ることができる。
一次成形温度及び二次成形温度は、成形体の型(以下、「成形型」ともいう。)の温度により制御してもよい。すなわち、成形工程では、一次成形の成形型の温度を二次成形の成形型の温度以上、更には3℃以上、また更には5℃以上、また更には10℃以上、また更には20℃以上、また更には30℃以上とすることで二次成形温度を一次成形温度以下とすることができる。
二次成形工程における成形方法は、一次成形温度と二次成形温度が上記の関係を満たせば、プレス成形、冷間静水圧プレス、鋳込み成形、シート成形及び射出成形からなる群のいずれか1以上の成形方法であればよい。任意形状の成形体が得られやすくなるため、成形方法は鋳込み成形又は射出成形の少なくともいずれかであることが好ましい。さらに、より複雑かつ微細な形状の成形体が再現よく得られやすいため、二次成形工程における成形は射出成形であることがより好ましい。
射出成形における射出圧力は50MPa以上150MPa以下、更には70MPa以上130MPa以下であることが例示できる。
一次成形工程、二次成形工程(以下、「成形工程」ともいう。)に供する淡色粉末は、着色ランタノイドを含有するジルコニア粉末であり、更には着色ランタノイド粉末とジルコニア粉末との混合粉末であればよい。
淡色粉末は、BET比表面積が7〜20m/g、更には7.5〜15m/gであること好ましい。この範囲のBET比表面積とすることで、淡色成形体が、アルミナを含有する薄色成形体と同様な焼結挙動を有しやすくなる。
ジルコニア粉末としては3mol%のイットリアを含むジルコニア粉末を挙げることができる。
淡色粉末がアルミナを含有する場合、アルミナは着色ランタノイドより少なくする必要がある。淡色粉末に含まれるアルミナは淡色粉末中のジルコニアに対して1重量%以下、更には0.5重量%以下、また更には0.3重量%以下、また更には0.25重量%以下であればよい。
着色ランタノイドの含有量は、淡色粉末の重量に対して0.1重量%以上6重量%以下、更には0.3重量%以上3.5重量%以下であればよい。
これらの粉末とジルコニア粉末が均一に混合されれば混合方法は任意である。混合方法として湿式混合、更にはボールミルあるいはビーズミルであることが好ましい。具体的な混合方法として、ボールミルで24時間以上、混合することが挙げられる。
成形工程に供する薄色粉末は、少なくともアルミナを含有するジルコニア粉末であり、アルミナ粉末とジルコニア粉末との混合粉末であればよい。
アルミナの含有量は、薄色粉末の重量に対してアルミナの重量が0.25重量%以上20重量%以下、更には1重量%以上20重量%以下、また更には5重量%以上10重量%以下であればよい。また、アルミナ粉末としては、純度99%以上、更には純度99.5%以上のアルミナ粉末を挙げることができる。
ジルコニア粉末は3mol%のイットリアを含むジルコニア粉末を挙げることができる。
成形工程では、粉末の流動性を改善するため、淡色粉末又は薄色粉末の少なくともいずれかは、有機バインダーを含むことが好ましい。
有機バインダーを含む場合、各ジルコニア粉末中の有機バインダーの含有量は25〜65容量%、更には35〜60容量%を挙げることができる。
有機バインダーとしては、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス及び可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
ジルコニア粉末と有機バインダーとが均一に混合できれば、その混合方法は任意である。混合方法として加熱混練や湿式混合を例示することができる。
淡色成形体と薄色成形体とは焼結収縮強度が一致していることが好ましい。これにより、収縮量の差に由来する歪みが生じず、両者がより強固に接合した状態で成形体を焼結することができる。
焼成工程では、二次成形体を焼成することでこれを仮焼結し、予備焼結体を得る。
焼成工程において、焼成温度は1300℃以上、更には1350℃以上である。焼成温度が1300℃未満であると、HIP処理工程において焼結体が緻密化しなくなる。焼成温度は必要以上に高くする必要がなく、1300℃以上1550℃以下、更には1350℃以上1500℃以下、また更には1350℃以上1450℃以下を挙げることができる。
焼成雰囲気は大気中、不活性雰囲気又は真空のいずれでもよく、大気中又は不活性雰囲気の少なくともいずれかであること好ましく、大気中であることがより好ましい。上記の焼成温度及び焼成雰囲気は任意の組合せを適用することができる。焼成工程は、成形体に対して外的な力を加えずに単に加熱することにより焼結する方法である、常圧焼結であることが好ましい。
焼成時間は焼成温度により異なるが、1時間以上、更には2時間以上であることが好ましい。焼成時間が1時間以上であることで、焼成工程において隙間の除去が促進する。一方、焼成時間は5時間以下、更には3時間以下であればよい。
なお、有機バインダーを含むジルコニア粉末から成形体を作製した場合、焼成処理を行う前に脱脂処理を行ない、成形体から有機バインダー除去する。
脱脂処理における焼成温度は400℃以上600℃以下であればよい。また、脱脂処理の雰囲気は、大気中、不活性ガス雰囲気中及び酸化性ガス雰囲気中の群から選ばれるいずれかの雰囲気であればよい。
本発明の製造方法では、予備焼結体をHIP処理する。これにより、界面の色滲みを抑制したまま、界面の隙間の排除が促進されて予備焼結体が焼結され、本発明の多色ジルコニア焼結体が得られる。
HIP処理において、HIP温度は1200℃以上、更には1250℃以上、また更には1300℃以上、また更には1350℃以上を挙げることができる。緻密化が進行すれば、HIP温度は必要以上に高くする必要がなく、HIP処理温度が焼成温度よりも低いこと、更にはHIP処理温度が焼成温度よりも30℃以上低いことが好ましい。HIP温度として1650℃以下、更には1450℃以下を挙げることができる。
HIP圧力は50MPa以上、更には100MPa以上、また更には140MPa以上であることが挙げられる。通常のHIP処理装置を使用したHIP処理では、HIP圧力は250MPa以下、更には180MPa以下となる。
HIP処理の雰囲気は不活性雰囲気又は弱還元雰囲気のいずれかであればよく、窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気の少なくともいずれかを挙げることができ、アルゴン雰囲気であることが好ましい。上記のHIP温度、HIP圧力及び雰囲気、並びのその上下限の値は任意の組合せとすることができる。
HIP処理の際に、二次成形体を配置する容器は、カーボン製の容器であることが好ましい。これにより、アルゴン雰囲気中でのHIP処理においても、二次成形体の近傍の弱還元雰囲気とすることができる。
HIP処理後、必要に応じて、得られたHIP処理体を酸化雰囲気下で焼成してもよい。焼成温条件は、大気中、600℃以上1000℃以下で1から5時間を挙げることができる。
本発明の製造方法により、界面に色滲み及び隙間のない多色ジルコニア焼結体を得ることができる。
さらに、本発明の製造方法においては、得られた多色ジルコニア焼結体を各種部材とするための、加工工程又は研磨工程の少なくともいずれか(以下、「後処理工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
加工工程は、HIP処理で得られた多色ジルコニア焼結体を所望の形状に加工する。加工方法は任意の方法を使用することができる。加工方法は一般的な切削加工であればよく、例えば、旋盤加工、平面研削、R研削及びNC加工(numerical control machining)からなる群のいずれか1種以上を挙げることができる。淡色焼結体及び薄色焼結体の界面を露出させるように表面を加工すること、更には淡色焼結体と薄色焼結体との凹凸部が積層して形成された界面が表面に露出するように表面を加工することで、淡色焼結体と薄色焼結体との界面、淡色焼結体及び薄色焼結体が同一表面で模様を形成する多色ジルコニア焼結体とすることができる。
研磨工程は、HIP処理で得られた多色ジルコニア焼結体又はまたはこれを加工処理したものを研磨する。これにより、光沢をより強くすることができ、本発明の多色ジルコニア焼結体の高級感がより強調される。研磨方法は任意であるが、バレル研磨又はR研磨の少なくともいずれかを例示することができる。
本発明の製造方法では、一次成形工程、二次成形工程、焼成工程、HIP処理工程及び後処理工程において、上記の各条件の任意の組み合わせであってもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
(焼結体密度、及び相対密度)
多色ジルコニア焼結体の実測密度(焼結体密度)はアルキメデス法により測定した。得られた実測密度と理論密度から、多色ジルコニア焼結体の相対密度を求めた。多色ジルコニア焼結体の理論密度は、(1’)式から算出した。なお、算出された実施例及び比較例の多色ジルコニア焼結体の理論密度は表2に示した。
(比表面積)
窒素吸着によるBET比表面積を測定し、粉末試料の比表面積とした。測定には一般的な比表面積測定装置(QUANTA CHROME製)を使用した。
(光学顕微鏡観察)
光学顕微鏡(装置名:MM−800、ニコン製)又は三眼ズーム式実体顕微鏡(装置名:AR−372ZH、アームシステム株式会社製)を使用し焼結体試料の界面を観察した。光学顕微鏡観察では、界面における隙間の有無及び色滲みの有無を観察した。
(SEM観察)
SEM(装置名:JSM−5400、日本電子製)を使用し焼結体試料の界面を観察した。SEM観察では、倍率を500倍として、界面における隙間の有無を観察した。
(EPMAによる元素定量分析)
波長分散型電子線マイクロアナライザー(EPMA)(装置名:EPMA1610、島津製作所製)を使用して、焼結体試料におけるランタノイド着色焼結体の界面近傍の点分析を行なった。測定条件は以下のとおりである。
加速電圧 :15KV
照射電流 :100nA
分析範囲 :φ10μm
測定は、界面から白色焼結体の距離を30μm、50μm、100μm、130μm、170μm及び200μmのいずれかで行い、着色成分が確認された領域であって、界面から最も遠い距離における測定領域を移行領域とした。
(L表色系による色調)
JISZ8722に準拠し、焼結体試料の色調を測定した。測定には一般的な色差計(装置名:カラーアナライザーTC−1800MK−II、東京電色社製)を用いた。測定条件は以下のとおりである。
光源 :D65光源
視野角 :2°
焼結体試料は厚さ1mm、直径20mmの円板状の形状として、両面を研磨したものを用いた。
(機械強度試験)
多色ジルコニア焼結体試料の機械的強度として、ISO14368−3に準じた剛球落下試験による衝撃強度を測定した。すなわち、SUS製の板の上に多色ジルコニア焼結体試料を配置した。その後、ランタノイド着色焼結体と濃色焼結体との界面近傍に、多色ジルコニア焼結体試料から5cmの高さから重さ16gの鉄球を落下させ、多色ジルコニア焼結体のクラック、亀裂、割れその他破壊の有無を確認した。その後、5cm間隔で鉄球の落下開始位置(以下、「落球位置」ともいう。)を高くして、同様の測定を行った。多色ジルコニア焼結体に破壊が確認された落球位置(cm)をもって、多色ジルコニア焼結体試料の衝撃強度とした。
実施例1
ピンク色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体とからなるピンク色/白色ジルコニア焼結体を作製した。
(ピンク色ジルコニア原料の調製)
3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末中のイットリア及びジルコニアの合計重量に対するエルビウムの重量が2重量%となるように、BET比表面積が8m/gであり、アルミナを0.25重量%含有する3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YSE、東ソー株式会社製)に、酸化エルビウム粉末(商品名:酸化エルビウム、信越化学製)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥してピンク色ジルコニア粉末を得た。
得られたピンク色ジルコニア粉末にアクリルバインダーを混合し、これをピンク色ジルコニア原料とした。ピンク色ジルコニア原料中のピンク色ジルコニア粉末の含有量は45容積%であった。
(白色ジルコニア原料の調製)
3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末中のイットリア及びジルコニアの合計重量に対する酸化アルミニウムの重量が5重量%となるように、BET比表面積が8m/gである3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YS、東ソー株式会社製)に、市販の高純度酸化アルミニウム粉末(純度:99.9%以上、平均粒径0.3μm)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥して白色ジルコニア粉末を得た。
得られた白色ジルコニア粉末にアクリルバインダーを混合し、これを白色ジルコニア原料とした。白色ジルコニア原料中の白色ジルコニア粉末の含有量は45容積%であった。
(成形体の作製)
白色ジルコニア原料を射出成形により、凸部を有するベゼルリング状の白色ジルコニア成形体を得た。射出成形の圧力は100MPaとした。
次に、得られた白色ジルコニア成形体の上に、ピンク色ジルコニア原料を射出成形した。射出成形の圧力を100MPaとし、なおかつ、成形型の温度は、白色ジルコニア原料の射出成形温度より5℃低くした。これにより、白色ジルコニア成形体上にピンク色ジルコニア成形体が積層した形状で両者が接合した成形体を得た。
得られた成形体は、大気中、昇温速度2.0℃/h、脱脂温度450℃、及び脱脂時間4時間で脱脂処理した。
(焼成及びHIP処理)
脱脂処理後の成形体を、大気中、昇温速度100℃/h、焼成温度1450℃、及び焼結時間2時間で焼成することで予備焼結体を得た。
得られた予備焼結体をアルミナ製容器に配置した後、純度99.9%のアルゴンガスの雰囲気下で、HIP温度1400℃、HIP圧力150MPa、及び保持時間1時間でHIP処理することにより、HIP処理体を得た。当該HIP処理体を本実施例のピンク色/白色ジルコニア焼結体とした。本実施例の評価結果を表1に示す。
得られたピンク色/白色ジルコニア焼結体はピンク色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体の体積比が59:41であり、当該ピンク色/白色ジルコニア焼結体の相対密度は99.9%であった。
(部材加工)
白色ジルコニア焼結体の凸部が鮮明に確認されるまで、本実施例のピンク色/白色ジルコニア焼結体のピンク色ジルコニア焼結体側の表面を加工した。これにより、本実施例のピンク色/白色ジルコニア焼結体を、ピンク色ジルコニア焼結体の表面に白色ジルコニア焼結体からなる模様を有するベゼルリングとした。表面加工後のベゼルリングを研磨処理することで、本実施例のピンク色/白色ジルコニア焼結体からなり、強い光沢感を有するベゼルリングを得た。
当該ベゼルリングは、ピンク色ジルコニア焼結体からなる表面を有し、なおかつ、当該表面上に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有しており、ピンク色ジルコニア焼結体と白色焼結体との界面、ピンク色ジルコニア焼結体及び白色焼結体が同一表面に露出して模様を形成していた。
また、当該ベゼルリングの界面を目視にて確認した。その結果、界面の白色がぼやけることなく、当該界面は色滲みがないことが確認できた。また、EPMAによる界面の元素定量分析を行った結果、界面から30μm、50μm、100μm、及び200μmの白色焼結体の領域でエルビウム元素は確認されず、着色成分の白色焼結体側への滲みがないことを確認できた。
さらに、当該ベゼルリングの界面を光学顕微鏡及びSEM観察で観察した。SEM観察により得られた反射電子像を図1に示す。ピンク色ジルコニアと白色ジルコニアとが焼結して界面を形成していること、当該界面において隙間が生じていないこと、及び、結合層がないことが確認できた(図1中破線丸部)。
さらに、得られたベゼルリングの機械強度試験を行った。85cmの高さから鉄球を落下させても亀裂や割れが生じなかった。これより、本実施例のピンク色/白色ジルコニア焼結体は、衝撃強度が85cm以上であり、高い強度を有していることが確認できた。
実施例2
オレンジ色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体とからなるオレンジ色/白色ジルコニア焼結体を作製した。
すなわち、プラセオジム重量が1重量%となるように、BET比表面積が8m/gであり、アルミナを0.25重量%含有する3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YSE、東ソー株式会社製)に、酸化プラセオジム粉末(商品名:酸化プラセオジム、信越化学製)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥してオレンジ色ジルコニア粉末を得た。
ピンク色ジルコニア粉末の代わりに当該オレンジ色ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で、成形、焼成、HIP処理して本実施例のオレンジ色/白色ジルコニア焼結体を得た。本実施例の評価結果を表1に示す。
得られたオレンジ色/白色ジルコニア焼結体はオレンジ色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体の体積比が59:41であり、当該オレンジ色/白色ジルコニア焼結体の相対密度は99.9%であった。
次に、実施例1と同様な方法で、得られたオレンジ色/白色ジルコニア焼結体を加工及び研磨処理し、本実施例のオレンジ色/白色ジルコニア焼結体からなり、強い光沢感を有するベゼルリングを得た。
当該ベゼルリングは、オレンジ色ジルコニア焼結体からなる表面を有し、なおかつ、当該表面上に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有しており、オレンジ色ジルコニア焼結体と白色焼結体との界面、オレンジ色ジルコニア焼結体及び白色焼結体が同一表面に露出して模様を形成していた。
当該ベゼルリングの界面を目視にて確認した。その結果、界面の白色がぼやけることなく、当該界面は色滲みがないことが確認できた。
また、EPMAによる界面の元素定量分析を行った結果、界面から30μm、50μm、100μm、及び200μmの白色焼結体の領域でプラセオジム元素は確認されず、着色成分の白色焼結体側への滲みがないことを確認できた。
さらに、当該ベゼルリングの界面を光学顕微鏡及びSEM観察で観察した。SEM観察により得られた反射電子像を図5に示す。オレンジ色ジルコニアと白色ジルコニアとが焼結して界面を形成していること、当該界面において隙間が生じていないこと、及び、結合層がないことが確認できた(図5中破線丸部)。
さらに、得られたベゼルリングの機械強度試験を行った。85cmの高さから鉄球を落下させても亀裂や割れが生じなかった。これより、本実施例のオレンジ色/白色ジルコニア焼結体は、衝撃強度が85cm以上であり、高い強度を有していることが確認できた。
実施例3
ラベンダー色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体からなる円板状のラベンダー色/白色ジルコニア焼結体を作製した。
(原料の調製)
ネオジウム重量が2重量%となるように、BET比表面積が8m/gであり、アルミナを0.25重量%含有する3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YSE、東ソー株式会社製)に、酸化ネオジウム粉末(商品名:酸化ネオジウム、信越化学製)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥してラベンダー色ジルコニア粉末を得た。得られたラベンダー色ジルコニア粉末をラベンダー色ジルコニア原料とし、なおかつ、実施例1と同様な方法で得られた白色ジルコニア粉末を白色ジルコニア原料とした。
(成形体の作製)
白色ジルコニア原料を室温で一軸プレス成形することにより、凸形状の一次成形体を得た。得られた一次成形体上にラベンダー色ジルコニア粉末を充填し、一次成形体及びラベンダー色ジルコニア粉末を同時に一軸プレス成形した。一軸プレス後の成形体を冷間静水圧プレス(CIP)処理することで二次成形体を得た。CIP処理の圧力は200MPaとし、成形温度は室温以下とした。
(焼成及びHIP処理)
得られた二次成形体を使用したこと以外は実施例1と同様な方法により、本実施例のラベンダー色/白色ジルコニア焼結体を得た。
(部材加工)
白色ジルコニア焼結体の凸部が鮮明に確認されるまで、本実施例のラベンダー色/白色ジルコニア焼結体のラベンダー色ジルコニア焼結体側の表面を加工した。これにより、本実施例のラベンダー色/白色ジルコニア焼結体を、ラベンダー色ジルコニア焼結体の表面に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有する円板状ジルコニア焼結体とした。表面加工後の円板状ジルコニア焼結体を研磨処理することで、本実施例のラベンダー色/白色ジルコニア焼結体からなり、強い光沢感を有する円板状ジルコニア焼結体を得た。得られた円板状ジルコニア焼結体は、直径16mm、及び、厚み2.5mmであり、模様の幅は3mmであった。本実施例の評価結果を表1に示す。
当該円板状ジルコニア焼結体は、ラベンダー色ジルコニア焼結体からなる表面を有し、なおかつ、当該表面上に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有しており、ラベンダー色ジルコニア焼結体と白色焼結体との界面、ラベンダー色ジルコニア焼結体及び白色焼結体が同一表面に露出して模様を形成していた。
当該円板状ジルコニア焼結体の界面を目視にて確認した。その結果、界面の白色がぼやけることなく、当該界面は色滲みがないことが確認できた。
さらに、当該円板状ジルコニア焼結体の界面を光学顕微鏡及びSEM観察で観察した。その結果、ラベンダー色ジルコニアと白色ジルコニアとが焼結して界面を形成していること、当該界面に隙間が生じていないこと、及び、結合層がないことが確認できた。
実施例4
赤色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体からなる円板状の赤色/白色ジルコニア焼結体を作製した。
(原料の調製)
酸化セリウム重量が1重量%となるように、BET比表面積が8m/gである3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YS、東ソー株式会社製)に、試薬グレードの酸化セリウム粉末(純度99.9%以上)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥して赤色用ジルコニア粉末を得た。
得られた赤色用ジルコニア粉末を赤色ジルコニア原料とし、なおかつ、実施例1と同様な方法で得られた白色ジルコニア粉末を白色ジルコニア原料とした。
ラベンダー色ジルコニア粉末の代わりに当該赤色用ジルコニア粉末を使用したこと、及び、HIP処理時に通気性のあるカーボン容器を用いた以外は実施例3と同様な方法で、成形、焼成、HIP処理して本実施例の赤色/白色ジルコニア焼結体を得た。
さらに、得られた赤色/白色ジルコニア焼結体を実施例3と同様に加工し、直径16mm、及び、厚み2.5mmであり、模様の幅は3mmの円板状ジルコニア焼結体を得た。本実施例の評価結果を表1に示す。
当該円板状ジルコニア焼結体は、赤色ジルコニア焼結体からなる表面を有し、なおかつ、当該表面上に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有していた。本実施例の赤色/白色ジルコニア焼結体の外観写真を図12に示す。図12(a)からも明らかなように、本実施例の赤色/白色ジルコニア焼結体は、赤色ジルコニア焼結体と白色焼結体との界面、赤色ジルコニア焼結体及び白色焼結体が同一表面に露出して形成された模様を有する。さらに、図12(b)から明らかなように、本実施例の赤色/白色ジルコニア焼結体は赤色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体が積層した構造であった。図12(a)及び(b)より、白色ジルコニア焼結体の凸部と、赤色ジルコニア焼結体の凹部とが表面に露出するように加工された形状であることで、模様が同一表面に形成されていることが確認できた。
当該円板状ジルコニア焼結体の界面を目視にて確認した。その結果、界面の白色がぼやけることなく、当該界面は色滲みがないことが確認できた。
また、EPMAによる界面の元素定量分析を行った結果、界面から30μm、50μm、100μm及び200μmの白色焼結体の領域でセリウム元素は確認されず、着色成分の白色焼結体側への滲みがないことを確認できた。
さらに、当該円板状ジルコニア焼結体の界面を光学顕微鏡及びSEM観察で観察した。その結果、赤色ジルコニアと白色ジルコニアとが焼結して界面を形成していること、当該界面に隙間が生じていないこと、及び、結合層がないことが確認できた。
実施例5
ピンク色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体とからなるピンク色/白色ジルコニア焼結体を作製した。
(白色ジルコニア原料の調製)
3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末中のイットリア及びジルコニアの合計重量に対する酸化アルミニウムの重量が10重量%となるように、BET比表面積が8m/gである3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YS、東ソー株式会社製)に、市販の高純度酸化アルミニウム粉末(純度:99.9%以上、平均粒径0.3μm)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥して白色ジルコニア粉末を得た。
得られた白色用ジルコニア粉末を白色ジルコニア原料とし、なおかつ、実施例1と同様な方法で得られたピンク色ジルコニア粉末をピンク色ジルコニア原料とした。
白色ジルコニア粉末の代わりに当該白色用ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で、成形、焼成、HIP処理して本実施例のピンク色/白色ジルコニア焼結体を得た。
さらに、得られたピンク色/白色ジルコニア焼結体を実施例3と同様に加工し、直径16mm、及び、厚み2.5mmであり、模様の幅は3mmの円板状ジルコニア焼結体を得た。本実施例の評価結果を表1に示す。当該円板状ジルコニア焼結体は、ピンク色ジルコニア焼結体からなる表面を有し、なおかつ、当該表面上に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有しており、ピンク色ジルコニア焼結体と白色焼結体との界面、ピンク色ジルコニア焼結体及び白色焼結体が同一表面に露出して模様を形成していた。
当該円板状ジルコニア焼結体の界面を目視にて確認した。その結果、界面の白色がぼやけることなく、当該界面は色滲みがないことが確認できた。また、EPMAによる界面の元素定量分析を行った結果、界面から30μm、50μm、100μm及び200μmの白色焼結体の領域でエルビウム元素は確認されず、着色成分の白色焼結体側への滲みがないことを確認できた。
さらに、当該円板状ジルコニア焼結体の界面を光学顕微鏡及びSEM観察で観察した。その結果、ピンク色ジルコニアと白色ジルコニアとが焼結して界面を形成していること、当該界面に隙間が生じていないこと、及び、結合層がないことが確認できた。
実施例6
オレンジ色ジルコニア焼結体と白色ジルコニア焼結体とからなるオレンジ色/白色ジルコニア焼結体を作製した。
(白色ジルコニア原料の調製)
3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末中のイットリア及びジルコニアの合計重量に対する酸化アルミニウムの重量が10重量%となるように、BET比表面積が8m/gである3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末(商品名:TZ−3YS、東ソー株式会社製)に、市販の高純度酸化アルミニウム粉末(純度:99.9%以上、平均粒径0.3μm)を添加した。
添加後、直径10mmのジルコニア製ボールを使用して、エタノール溶媒中、24時間ボールミルでこれらの粉末を混合した。混合後の粉末を乾燥して白色ジルコニア粉末を得た。
得られた白色用ジルコニア粉末を白色ジルコニア原料とし、なおかつ、実施例2と同様な方法で得られたオレンジ色ジルコニア粉末をオレンジ色ジルコニア原料とした。白色ジルコニア粉末の代わりに当該白色用ジルコニア粉末を使用したこと以外は実施例2と同様な方法で、成形、焼成、HIP処理して本実施例のオレンジ色/白色ジルコニア焼結体を得た。
さらに、得られたオレンジ色/白色ジルコニア焼結体を実施例3と同様に加工し、直径16mm、及び、厚み2.5mmであり、模様の幅は3mmの円板状ジルコニア焼結体を得た。本実施例の評価結果を表1に示す。
当該円板状ジルコニア焼結体は、オレンジ色ジルコニア焼結体からなる表面を有し、なおかつ、当該表面上に、白色ジルコニア焼結体からなる模様を有しており、オレンジ色ジルコニア焼結体と白色焼結体の界面、オレンジ色ジルコニア焼結体及び白色焼結体が同一表面に露出して模様を形成していた。
当該円板状ジルコニア焼結体の界面を目視にて確認した。その結果、界面の白色がぼやけることなく、当該界面は色滲みがないことが確認できた。
また、EPMAによる界面の元素定量分析を行った結果、界面から30μm、50μm、100μm及び200μmの白色焼結体の領域でプラセオジム元素は確認されず、着色成分の白色焼結体側への滲みがないことを確認できた。
さらに、当該円板状ジルコニア焼結体の界面を光学顕微鏡及びSEM観察で観察した。その結果、オレンジ色ジルコニアと白色ジルコニアとが焼結して界面を形成していること、当該界面に隙間が生じていないこと、及び、結合層がないことが確認できた。
Figure 2017114758
比較例1
特許文献3に記載された方法に準じて、多色セラミックス造形品を作製した。
1000gの3mol%イットリア安定化ジルコニア粉末、発色物質、アクリル系バインダーを混合して2種類の組成物を得た。発色物質として20gのFeCrNiスピネルを用いた組成物を黒色ジルコニア原料とし、発色物質として14gのCoAlを用いた組成物を青色ジルコニア原料とした。
射出成形により、青色ジルコニア原料を凸部を有するベゼルリング状の青色ジルコニア成形体とした後、黒色ジルコニア原料を100MPaの圧力をかけて当該青色ジルコニア成形体の上に射出成形した。これにより、青色ジルコニア成形体上に黒色ジルコニア成形体が積層した形状で両者が接合した成形体を得た。
得られた成形体を脱脂処理した後、大気中、昇温速度100℃/h、焼成温度1500℃、焼結時間を20分で焼成することで本比較例の多色セラミック造形品を得た。得られたセラミックス造形品の相対密度は99.8%であり、高い密度を有することが確認できた。
本比較例の多色セラミック造形品は、黒色ジルコニア焼結体と青色ジルコニア焼結体との界面が確認できるまで表面加工し、当該界面を光学顕微鏡及びSEMで観察した。光学顕微鏡の観察結果を図13(a)に示した。図13(a)より、黒色ジルコニア焼結体と、青色ジルコニア焼結体の間に隙間が生じていることが確認できた(図13(a)矢印部)。当該隙間のSEM観察図を図13(b)に示した。当該隙間は40μm以上の幅を有することが確認できた。
比較例2
焼成時間を2時間としたこと以外は比較例1と同様な方法で本比較例の多色セラミック造形品を作製し、黒色ジルコニア焼結体と青色ジルコニア焼結体との界面をSEMで確認した。結果を図14に示す。
図14より、黒色ジルコニア焼結体と、青色ジルコニア焼結体の間に40μmを超える隙間が生じていることが確認できた。また、目視による観察により、界面の青色のぼやけが確認され、当該界面は色滲みがあることが確認できた。
比較例3
焼成時間を4時間としたこと以外は比較例1と同様な方法で本比較例の多色セラミック造形品を作製した。図15に得られた多色セラミック造形品の外観を示し、黒色ジルコニア焼結体と青色ジルコニア焼結体との界面の光学顕微鏡写真を図16乃至17示す。
図15(a)は多色セラミック造形品の外観、及び図15(b)は図15(a)の破線四角部の拡大図である。図15(a)より、外観において黒色ジルコニア焼結体と、青色ジルコニア焼結体の間異に、黒色及び青色とは異なる色調があることが目視で確認できた(図15(a)矢印部)。図15(b)より、略直方体形状で幅の異なる線図が5本あることが確認でき、なおかつ、黒色及び青色とは異なる色調の部分は隙間であることが確認できる(図15(b) 矢印部)。
幅0.2mm及び長さ3mmである最も細い略直方体形状の線図は(図15(b) 破線丸部)他の線図とは明らかに異なる色調となっており、色滲みにより模様が不鮮明になっていた。これに加え、幅0.3mm〜3mmである他の線図全てにおいて、界面付近は色滲みがあることが確認できた。
また、図16は本比較例の多色ジルコニア造形品の他の部分の光学顕微鏡写真である。図16より、黒色ジルコニア焼結体と、青色ジルコニア焼結体の間に隙間が生じていることが確認できた(図16中 矢印部)。また、図17より、本比較例の多色セラミック造形品は界面を確認することができたが、界面自体が幅を持ち、色滲みが生じていることが確認できる(図17中 破線四角部)。これより、本比較例のセラミック造形物は、界面に隙間及び色滲みの両方を有することが確認できた。
比較例1乃至3の結果より、焼成時間による制御では、明確な界面は不十分な焼結により形成されており、隙間及び色滲みの両方を有するものであることが確認でき、更には焼結が進行すると色滲みにより界面が不明確になることが確認できた。
本発明のジルコニア焼結体は、時計部品、装飾物品、携帯機器部品、車載部品、高級日用部品等に広く利用することができる。特に、本発明のジルコニア焼結体は、時計バンド、ベゼル、文字盤、時計ケースなどの時計部品、ブローチ、ネクタイピン、ハンドバッグ金具、腕輪などの装飾部品、携帯電子機器筐体、ライターケース、化粧品ケース、携帯電話ケース、イヤホンハウジングなどの外装部品、並びに、ナイフ、調理器具などの日用品をはじめ、各種製品のロゴマーク等にも利用することができる。
(1)・・・薄色焼結体
(2)・・・淡色焼結体
(3)・・・界面
(4)・・・着色剤を含有しないジルコニア焼結体
(5)・・・着色ジルコニア焼結体
(6)・・・界面から一定距離にある薄色焼結体の領域
(7)・・・界面から一定距離にある淡色焼結体の領域を中心として形成した直径10μmの円

Claims (11)

  1. 第一のジルコニア焼結体と第二のジルコニア焼結体を含むジルコニア焼結体であって、第一のジルコニア焼結体がCe、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群のいずれか1種以上のランタノイドを含有するジルコニア焼結体であり、該第二のジルコニア焼結体が少なくとも酸化アルミニウムを含有するジルコニア焼結体であり、該第一のジルコニア焼結体と該第二のジルコニア焼結体とが粒界を形成し、該粒界が隙間及び色滲みを有さないことを特徴とするジルコニア焼結体。
  2. 前記第一のジルコニア焼結体と前記第二のジルコニア焼結体のいずれか一方のジルコニア焼結体が、他方のジルコニア焼結体の表面に模様を形成している請求項1に記載のジルコニア焼結体。
  3. 相対密度が99.5%以上である請求項1又は2のいずれかに記載のジルコニア焼結体。
  4. 前記第一のジルコニア焼結体が含有するランタノイドが、Ce、Pr、Nd及びErからなる群のいずれか1種以上である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  5. 前記第一のジルコニア焼結体が含有するランタノイドの含有量が、0.1重量%以上6重量%以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  6. 前記第一のジルコニア焼結体が、アルミナを含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  7. 前記第一のジルコニア焼結体が、アルミナを第一のジルコニア焼結体中のジルコニアに対して1重量%以下含有する請求項6に記載のジルコニア焼結体。
  8. 前記第二のジルコニア焼結体が、酸化アルミニウムを0.25重量%以上20重量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
  9. Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、Ho、Er,Yb及びGdからなる群から選ばれるいずれか1種以上のランタノイドを含有するジルコニア粉末、又は、酸化アルミニウムを含有するジルコニア粉末のいずれか一方のジルコニア粉末を成形し一次成形体を得る一次成形工程、一次成形工程以下の成形温度で該一次成形体上に他方のジルコニア粉末を成形して二次成形体を得る二次成形工程、該二次成形体を1300℃以上で焼成し予備焼結体を得る焼結工程、及び、該予備焼結体を1250℃以上1650℃以下、100MPa以上250MPa以下で熱間静水圧プレス処理する熱間静水圧プレス処理工程、を含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  10. 前記二次成形工程における成形が射出成形である請求項9に記載の製造方法。
  11. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体を含む部材。
JP2016124429A 2015-06-25 2016-06-23 ジルコニア焼結体及びその用途 Active JP6884998B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015127471 2015-06-25
JP2015127471 2015-06-25
JP2015245991 2015-12-17
JP2015245991 2015-12-17

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021004347A Division JP7120340B2 (ja) 2015-06-25 2021-01-14 ジルコニア焼結体及びその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017114758A true JP2017114758A (ja) 2017-06-29
JP6884998B2 JP6884998B2 (ja) 2021-06-09

Family

ID=57585814

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016124429A Active JP6884998B2 (ja) 2015-06-25 2016-06-23 ジルコニア焼結体及びその用途
JP2021004347A Active JP7120340B2 (ja) 2015-06-25 2021-01-14 ジルコニア焼結体及びその用途

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021004347A Active JP7120340B2 (ja) 2015-06-25 2021-01-14 ジルコニア焼結体及びその用途

Country Status (2)

Country Link
JP (2) JP6884998B2 (ja)
WO (1) WO2016208668A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019178046A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 東ソー株式会社 セラミックス接合体の製造方法
WO2020039924A1 (ja) * 2018-08-20 2020-02-27 東ソー株式会社 ジルコニア焼結体及びその製造方法
WO2020196505A1 (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 東ソー株式会社 ジルコニア焼結体及びその製造方法
JP2023014974A (ja) * 2021-07-19 2023-01-31 コマディール・エス アー サーメット及び/又はセラミックス製の多色の物品及びその製造方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110041070B (zh) * 2018-07-02 2022-03-25 深圳陶陶科技有限公司 流纹多色陶瓷及其制备方法和应用
US11548825B2 (en) 2019-03-04 2023-01-10 Tosoh Corporation Zirconia layered body
EP4009116A1 (fr) * 2020-12-03 2022-06-08 Comadur S.A. Article en cermet et/ou ceramique et son procédé de fabrication

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0833650A (ja) * 1994-07-21 1996-02-06 Shinagawa Refract Co Ltd 歯列矯正用ブラケット及びその製造方法
JP2006208898A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc 樹脂成形複合体及び電子写真画像形成装置のカートリッジ
JP2011020872A (ja) * 2009-07-14 2011-02-03 Tosoh Corp オレンジ色ジルコニア焼結体
JP2014012615A (ja) * 2012-07-04 2014-01-23 Tosoh Corp セラミックス接合体の製造方法および装飾部材
JP2014218389A (ja) * 2013-05-02 2014-11-20 クラレノリタケデンタル株式会社 ジルコニア焼結体、ジルコニア組成物及びジルコニア仮焼体、並びに歯科用補綴物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105849064B (zh) * 2013-12-27 2019-05-31 东曹株式会社 氧化锆烧结体及其用途

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0833650A (ja) * 1994-07-21 1996-02-06 Shinagawa Refract Co Ltd 歯列矯正用ブラケット及びその製造方法
JP2006208898A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Canon Inc 樹脂成形複合体及び電子写真画像形成装置のカートリッジ
JP2011020872A (ja) * 2009-07-14 2011-02-03 Tosoh Corp オレンジ色ジルコニア焼結体
JP2014012615A (ja) * 2012-07-04 2014-01-23 Tosoh Corp セラミックス接合体の製造方法および装飾部材
JP2014218389A (ja) * 2013-05-02 2014-11-20 クラレノリタケデンタル株式会社 ジルコニア焼結体、ジルコニア組成物及びジルコニア仮焼体、並びに歯科用補綴物

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019178046A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 東ソー株式会社 セラミックス接合体の製造方法
JP7292009B2 (ja) 2018-03-30 2023-06-16 東ソー株式会社 セラミックス接合体の製造方法
WO2020039924A1 (ja) * 2018-08-20 2020-02-27 東ソー株式会社 ジルコニア焼結体及びその製造方法
US20210403387A1 (en) * 2018-08-20 2021-12-30 Tosoh Corporation Zirconia sintered body and method for producing the same
WO2020196505A1 (ja) * 2019-03-26 2020-10-01 東ソー株式会社 ジルコニア焼結体及びその製造方法
CN113631531A (zh) * 2019-03-26 2021-11-09 东曹株式会社 氧化锆烧结体及其制造方法
JP2023014974A (ja) * 2021-07-19 2023-01-31 コマディール・エス アー サーメット及び/又はセラミックス製の多色の物品及びその製造方法
JP7334291B2 (ja) 2021-07-19 2023-08-28 コマディール・エス アー サーメット及び/又はセラミックス製の多色の物品及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7120340B2 (ja) 2022-08-17
JP6884998B2 (ja) 2021-06-09
JP2021063009A (ja) 2021-04-22
WO2016208668A1 (ja) 2016-12-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7120340B2 (ja) ジルコニア焼結体及びその用途
WO2015099048A1 (ja) ジルコニア焼結体及びその用途
JP5708050B2 (ja) 赤色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法
CN107922272B (zh) 红色氧化锆烧结体及其制造方法
US9174877B2 (en) Colored translucent zirconia sintered body, its production process and its use
JP5991050B2 (ja) セラミックス接合体の製造方法および装飾部材
JP6492631B2 (ja) ジルコニア焼結体及びその用途
JP5387189B2 (ja) 灰色ジルコニア焼結体及びその製造方法
JP5864421B2 (ja) 装飾部品用材料
US10315958B2 (en) CeO2-stabilized ZrO2 ceramics for dental applications
US20230052915A1 (en) Production method for machinable zirconia composite sintered body, raw material composition for machinable zirconia composite sintered body, and machinable zirconia composite pre-sintered body
JP6672765B2 (ja) ジルコニア焼結体及びその用途
CN107148407A (zh) 氧化锆组合物、氧化锆预烧体和氧化锆烧结体、以及齿科用制品
JP6816558B2 (ja) 淡灰色ジルコニア焼結体及びその製造方法
JP6672766B2 (ja) ジルコニア焼結体及びその用途
JP6492632B2 (ja) ジルコニア焼結体及びその用途
JP2013014471A (ja) 透光性セラミックス接合体及びその製造方法
JP2015054801A (ja) ジルコニア焼結体並びにその用途
JP6657765B2 (ja) 黒色ジルコニア焼結体及びその用途
CN216946785U (zh) 烧结体、刻度盘、窗构件、装饰、通信及电子设备用部件
JP2018080064A (ja) オレンジ色ジルコニア焼結体及びその製造方法
JP2015000832A (ja) セラミックス接合体の製造方法および装飾部材
KR20230052287A (ko) 유리 세라믹스 블랭크의 제조 방법, 유리 세라믹스 블랭크
KR101383586B1 (ko) 골드 칼라 세라믹 소결체 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190515

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200609

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210426

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6884998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151