以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の半導体装置の実装構造を示す断面図である。
図1に示す半導体装置の実装構造801は、半導体装置101と、基板807と、放熱部材808とを備える。
基板807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板807は絶縁性の材料よりなる。基板807には図示しない配線パターンが形成されている。基板807には、複数の孔809が形成されている。放熱部材808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材808は、図示しない支持部材によって基板807に対し固定されている。半導体装置101は、基板807に実装されている。本実施形態において半導体装置101は、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置101は、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの用途に用いられる。
図2は、本発明の第1実施形態の半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図3は、本発明の第1実施形態の半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図4は、図2のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図4の領域Vの部分拡大図である。なお、図1は、図2のI−I線に沿う断面に相当する。図4においては理解の便宜上、各構成を模式化して示している。
これらの図に示す半導体装置101は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、放熱層6と、封止樹脂部7と、ワイヤ8と、を備える。図2においては、放熱層6を点線で示し、封止樹脂部7を仮想線で示している。
封止樹脂部7は、複数の第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3と、半導体チップ41,42と、受動部品チップ43と、を覆っている。封止樹脂部7は、たとえば、黒色のエポキシ樹脂よりなる。図3、図4に示すように、封止樹脂部7は、樹脂主面71と、樹脂底面72と、樹脂側面73と、を有する。
樹脂主面71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面73は、xy平面視において半導体チップ41,42および受動部品チップ43を囲む形状である。樹脂側面73は、樹脂主面71と樹脂底面72とにつながる。
図4によく表れているように、封止樹脂部7には凹部75が形成されている。凹部75は樹脂底面72から凹む。凹部75は、凹部底面751および凹部側面752を有する。凹部底面751はxy平面に沿う形状である。図5に示すように、本実施形態において、凹部底面751は微細な凹凸形状が形成された凹凸面である。封止樹脂部7に対しブラスト処理(後述)を施すことにより、凹部底面751は凹凸面になる。凹部底面751の高低差は、たとえば、0.1μm〜1μmである。
凹部側面752は、凹部底面751および樹脂底面72につながる。凹部側面752は、方向zに対し傾斜するテーパ状である。凹部側面752は、方向z2にいくにつれ、xy平面視において凹部底面751から遠ざかるように、方向zに対し傾斜している。
図2に示すように、半導体チップ41,42および受動部品チップ43は平面視矩形状を呈する。半導体チップ41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップである。半導体チップ42は、コントロールICなどのLSIチップである。受動部品チップ43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図2〜4に示す第1電極部1、第2電極部2、および、第3電極部3は、いずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図2の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部1はそれぞれ、ダイパッド部11(図1、図2、図4参照)と、接続部12(図1、図2参照)と、ワイヤボンディング部13(図1、図2参照)と、リード14(図1〜図3参照)と、を含む。複数の第1電極部1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部11には半導体チップ41が配置されている。図4に示すように、ダイパッド部11と半導体チップ41との間には、接合層991が介在している。接合層991は、導電性材料よりなる。このような導電性材料は、たとえばハンダもしくは銀ペーストである。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層991としてハンダを用いると、半導体チップ41からダイパッド部11に熱を効率よく伝えることができる。複数のダイパッド部11はいずれも、凹部底面751から露出している。
各ダイパッド部11は、ダイパッド主面111とダイパッド裏面112とを有する。ダイパッド主面111は方向z1を向き、ダイパッド裏面112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面111およびダイパッド裏面112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面111には、半導体チップ41が配置されている。ダイパッド主面111と半導体チップ41との間には接合層991が介在している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751に対し、ダイパッド部11の厚さ方向(方向z)において、同位置に位置している。ダイパッド裏面112は、凹部底面751よりも、凹部75が開口する方向側に位置していてもよい。図5に示すように、本実施形態において、ダイパッド裏面112は、微細な凹凸形状が形成された凹凸面である。ダイパッド部11に対しブラスト処理(後述)を施すことにより、ダイパッド裏面112は凹凸面になる。ダイパッド裏面112の高低差(凹部の頂部と底部との高低差)は、たとえば、0.01〜1μmである。
図2に示すように、各接続部12は、ダイパッド部11とワイヤボンディング部13との間に位置し且つダイパッド部11とワイヤボンディング部13とにつながる。図1に示すように、接続部12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部12は、ダイパッド部11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図1、図2に示す各ワイヤボンディング部13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部13は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部13と一の半導体チップ41とが導通している。リード14は、ワイヤボンディング部13につながる。各リード14は方向yに沿って延びる。リード14は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード14は挿入実装用のものである。図1に示すように、半導体装置101の基板807への実装時において、リード14は折れ曲げられ、孔809に挿入される。リード14を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。
図2に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部2はそれぞれ、ワイヤボンディング部23と、リード24と、を含む。複数の第2電極部2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部23は、方向zにおいて、ダイパッド部11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部23と一の半導体チップ41とが導通している。リード24は、ワイヤボンディング部23につながる。各リード24は方向yに沿って延びる。リード24は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード24は挿入実装用のものである。図示しないが、リード14と同様に、半導体装置101の基板807への実装時においてリード24は孔809に挿入される。
図1、図2に示す第3電極部3は、複数の制御用ダイパッド部31と、複数のリード32とを含む。制御用ダイパッド部31およびリード32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部31には、半導体チップ42もしくは受動部品チップ43が配置されている。制御用ダイパッド部31と半導体チップ42との間、および、制御用ダイパッド部31と受動部品チップ43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部31の裏面は、放熱層6と対向していなくても良いし、露出していなくても良い。
各リード32は、封止樹脂部7の樹脂側面73から突出する部位を有する。本実施形態にてリード32は挿入実装用のものである。図1に示すように、半導体装置101の基板807への実装時においてリード32は孔809に挿入される。リード14に関して述べたように、リード32を基板807に固定するために、孔809にハンダ層810が充填されている。一のリード32と一の半導体チップ42とには、ワイヤ8がボンディングされている。これにより、一のリード32と一の半導体チップ42とが導通している。また、ワイヤ8は、一の半導体チップ42と一の受動部品チップ43とにもボンディングされている。
放熱層6は、絶縁性であり、図4に示すように、封止樹脂部7における凹部75に配置されている。放熱層6は、凹部側面752に囲まれている。本実施形態において、放熱層6は、xy平面に沿う板状である。放熱層6は、半導体チップ41が搭載される複数のダイパッド部11のいずれにも直接接している。より具体的には、放熱層6は、複数のダイパッド部11におけるダイパッド裏面112に直接接している。放熱層6は、凹部底面751にも直接接している。一方、放熱層6は、凹部側面752(の少なくとも一部)からは離間している。本実施形態においては、放熱層6は、樹脂底面72から突出している部位を有する。
放熱層6は、半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101の外部に放出するために、設けられている。半導体チップ41にて発生した熱を速やかに半導体装置101の外部に放出するには、放熱層6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良い。好ましくは、放熱層6は、封止樹脂部7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きい材料よりなる。放熱層6は、複数のダイパッド部11のいずれにも正対している。図3に示すように、放熱層6は、xy平面視(放熱層6の厚さ方向視)において、各ダイパッド部11の全体に重なる。
放熱層6は、放熱シート(もしくは高熱伝導シート)と称されるものである。放熱層6は弾性層69を含む。弾性層69は絶縁性の材料よりなる。本実施形態においては、放熱層6は、弾性層69のみからなる。弾性層69は、凹部75が開口している方向(方向z2)に露出している。図3に示すように、弾性層69は、放熱層6の厚さ方向z視(xy平面視)において、複数のダイパッド部11のいずれにも重なる。弾性層69は、ヤング率の比較的小さい材料よりなる層である。弾性層69のヤング率は、封止樹脂部7のヤング率よりも小さいことが好ましい。このような放熱層6は、たとえば、熱硬化性の樹脂シートが硬化する前の、比較的軟らかいシートである。弾性層69は、たとえば、エポキシ系の樹脂よりなる。弾性層69は、シリコーンゴムよりなっていてもよい。本実施形態とは異なり、放熱層6は、基材と、基材の両面に塗布された粘着層と、を備える構成であってもよい。この場合、粘着層が弾性層を構成する。本実施形態と異なり、放熱層6は、絶縁性のペーストを凹部75に塗布することにより形成されていてもよい。
図3、図4に示すように、放熱層6は放熱層主面61と放熱層裏面62と放熱層側面63とを有する。放熱層主面61は方向z1を向く。放熱層主面61は、xy平面視において、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112と、凹部底面751とに重なる。放熱層主面61は、ダイパッド裏面112および凹部底面751に直接接する。図5を参照して上述したように、ダイパッド裏面112および凹部底面751はいずれも凹凸面であるから、ダイパッド裏面112および凹部底面751に直接接する放熱層主面61も、凹凸面となっている。放熱層裏面62は放熱層主面61の向く方向とは反対方向である方向z2を向く。放熱層裏面62は封止樹脂部7に覆われておらず、封止樹脂部7から露出している。放熱層側面63は、放熱層6の厚さ方向である方向zに垂直である方向を向く。放熱層側面63は凹部側面752(の少なくとも一部)から離間している。これは、後述するように、封止樹脂部7を形成後凹部75に放熱層6としての放熱シートをはめ込みやすくするためである。本実施形態では、放熱層6は弾性層69のみからなるため、放熱層主面61、放熱層裏面62、および放熱層側面63はいずれも、弾性層69によって構成されている。
図10は、半導体装置101が基板807(図1参照)に実装された際の断面図を示している。同図に示すように、半導体装置101が基板807に実装された状態において、放熱層6は放熱部材808に直接接する。そして、放熱層6の放熱層裏面62は、凹部底面751の位置する側に放熱部材808によって押し付けられる。これにより、放熱層6は弾性変形し、放熱層6と凹部側面752との隙間がなくなり、放熱層6は凹部側面752に直接接している。
次に、半導体装置101の製造方法について説明する。製造方法の説明にて用いる図では、上述と同一の構成については、同一の符号を付している。
まず、図6に示すように、複数のダイパッド部11,31を含むリードフレーム300と、複数の半導体チップ41,42と、受動部品チップ43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップ41を複数のダイパッド部11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップ42および受動部品チップ43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部31のいずれか一つに配置する。次に、同図に示すように、ワイヤ8を各半導体チップ41,42等にボンディングする。
次に、図7、図8に示すように、封止樹脂部7を形成する。図7に示すように、封止樹脂部7は、金型881を用いたモールド成型により形成する。同図に示すように、金型881で複数のダイパッド部11などを押さえつける。次に、金型881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、図8に示すように、金型881を複数のダイパッド部11などから取り外す。これにより、封止樹脂部7を形成できる。封止樹脂部7を形成する工程においては、複数のダイパッド部11を露出させる凹部75を封止樹脂部7に形成する。樹脂硬化後に金型881を封止樹脂部7から抜けやすくするために、凹部75における凹部側面752は上述のようなテーパ状となっている。
封止樹脂部7を形成した後は、ダイパッド部11を覆う薄い樹脂バリが形成されることがある。この樹脂バリを除去するために複数のダイパッド部11に対してブラスト処理を施す(図示略)。ブラスト処理とは、珪砂等のような非金属粒や金属粒を高速度で噴きつけ、表面を粗化する方法である。これにより、各ダイパッド部11のダイパッド裏面112および封止樹脂部7の凹部底面751は、図5に示したように、微細な凹凸形状が形成された凹凸面となる。
次に、図9に示すように、封止樹脂部7の凹部75に放熱層6を形成する。より具体的には、凹部75に、放熱層6としての放熱シートをはめ込む。封止樹脂部7に凹部75が形成されているのは、各ダイパッド部11に対する放熱シートの位置決めを容易にできる点において好ましい。放熱シートの表面は、比較的粘性を有するため、放熱シート自体が、凹部底面751およびダイパッド裏面112に接合する。
次に、図6に示したリードフレーム300を適宜切断することにより、図2等に示した半導体装置101が製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置101において、放熱層6は弾性層69を含む。弾性層69は、凹部75が開口する方向(方向z2)に露出している。また、弾性層69は、xy平面視において、複数のダイパッド部11のいずれにも重なる。このような構成によると、図10に示したように、半導体装置101が基板807に実装される際、弾性層69は、凹部底面751の位置する側に放熱部材808によって押し付けられる。そのため弾性層69は弾性変形し、放熱部材808に密着する。弾性層69と放熱部材808とを密着させることができると、弾性層69と放熱部材808との間に、放熱用のグリースを介在させる必要がなくなる。よって、半導体装置101を基板807に実装するたびに、放熱用のグリースを放熱部材808等に塗布する必要がなくなる。したがって、半導体装置101を基板807に対し、より効率よく実装することが可能となる。
半導体装置101は、背景技術の項で述べた放熱板を備えない。そのため、放熱板に要するコストを削減できる。更に、放熱板の厚さ分だけ、半導体装置101の厚さを薄くすることができる。
半導体装置101においては、図10に示したように、封止樹脂部7は、樹脂底面72を有する。凹部75は、樹脂底面72から凹んでいる。放熱層6は、樹脂底面72よりも突出している部位を有する。このような構成によると、放熱層6が弾性変形したとしても、放熱部材808が樹脂底面72に接触しにくい。そのため、放熱層6を放熱部材808に確実に密着させることができる。
半導体装置101が基板807(図1参照)に実装された状態において、放熱層6は弾性変形し、放熱層6と凹部側面752との隙間がなくなり、放熱層6は凹部側面752に直接接している。このような構成によると、放熱層6としての放熱シートを凹部75に配置しやすくするために放熱層6と凹部側面752とを隙間を介して離間させつつも、半導体装置101が基板807に実装された状態においては、放熱層6を凹部側面752に密着させることができる。放熱層6を凹部側面752に密着させることができると、ダイパッド部11から封止樹脂部7に伝わった熱を、凹部底面751および放熱層6を経由させて、放熱部材808に伝えることができる。これは、半導体装置101の放熱性の向上に適する。
半導体装置101においては、複数のダイパッド部11はそれぞれ、放熱層6が直接接するダイパッド裏面112を有する。図5に示したように、ダイパッド裏面112は凹凸面である。このような構成によると、ダイパッド裏面112と放熱層6との接合面積を大きくすることができる。ダイパッド裏面112と放熱層6との接合面積を大きくすることができると、ダイパッド裏面112と放熱層6とがより強固に接合するから、放熱層6がダイパッド裏面112から剥離しにくくなる。また、ダイパッド裏面112と放熱層6との接合面積が大きくなると、半導体チップ41からダイパッド部11に伝わった熱を、ダイパッド部11から放熱層6に伝えやすくなる。そのため、半導体チップ41にて発生した熱を、放熱層6を経由させて半導体装置101の外部(本実施形態においては、放熱部材808)に、より効率的に伝えることができる。このような半導体装置101は放熱性に優れているといえる。以上より、本実施形態によると、放熱層6が剥離しにくく且つ放熱性に優れた半導体装置101が提供される。
半導体装置101においては、図5に示したように、凹部底面751は、放熱層6が直接接しており、且つ、凹凸面である。このような構成によると、放熱層6と封止樹脂部7との接合面積を大きくすることができる。放熱層6と封止樹脂部7との接合面積を大きくできると、放熱層6が封止樹脂部7から剥離することを抑制できる。
半導体装置101の製造工程では、ダイパッド裏面112に対しブラスト処理を施す工程と同時に、封止樹脂部7に対しブラスト処理を施す。このような構成によると、ダイパッド裏面112に凹凸形状の部位を形成するのとは別に、封止樹脂部7の凹部底面751に凹凸形状の部位を形成する必要がない。このような構成は、半導体装置の製造の効率化を図るのに適する。
<第2実施形態>
図11〜図22を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図11は、本発明の第2実施形態の半導体装置の実装構造を示す断面図である。
図11に示す半導体装置の実装構造A801は、半導体装置A100と、基板A807と、放熱部材A808とを備える。
基板A807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板A807は絶縁性の材料よりなる。基板A807には図示しない配線パターンが形成されている。基板には、複数の孔A809が形成されている。放熱部材A808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材A808は、図示しない支持部材によって基板A807に対し固定されている。半導体装置A100は、基板A807に実装されている。本実施形態において半導体装置A100は、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置A100は、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの用途に用いられる。
図12は、本発明の第2実施形態の半導体装置のリードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図13は、本発明の第2実施形態の半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図14は、図12のXIV−XIV線に沿う断面図である。図15は、図12のXV−XV線に沿う断面図である。
これらの図に示す半導体装置A100は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。図12では、封止樹脂部A7を省略し、2点鎖線で示している。
図13〜図15に示す封止樹脂部A7は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を覆っている。封止樹脂部A7は、絶縁性の樹脂よりなる。このような絶縁性の樹脂としては、たとえば、黒色のエポキシ樹脂が挙げられる。図14、図15に示すように、封止樹脂部A7は、樹脂主面A71と、樹脂底面A72と、樹脂側面A73と、を有する。
樹脂主面A71は、方向z1を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂底面A72は、方向z1とは反対側の方向z2を向き、且つ、xy平面に沿う平坦な面である。樹脂側面A73は、xy平面視において半導体チップA41,A42および受動部品チップA43を囲む形状である。樹脂側面A73は、樹脂主面A71および樹脂底面A72につながる。
本実施形態において封止樹脂部A7は複数の中間部A75を含む。中間部A75については後述する。
図12に示すように、半導体チップA41,A42および受動部品チップA43は平面視矩形状を呈する。半導体チップA41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップである。半導体チップA42は、コントロールICなどのLSIチップである。受動部品チップA43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図12〜図15に示す第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3はいずれも導電性を有する。すなわち、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3はいずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図12の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部A1はそれぞれ、ダイパッド部A11(図11〜図14参照)と、接続部A12(図11、図12参照)と、ワイヤボンディング部A13(図11、図12参照)と、リードA14(図11、図12参照)と、を含む。複数の第1電極部A1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部A11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部A11には半導体チップA41が配置されている。より具体的には、ダイパッド部A11に発熱しやすい半導体チップA41が接合されている。
各ダイパッド部A11は、ダイパッド主面A111とダイパッド裏面A112とを有する。ダイパッド主面A111は方向z1を向き、ダイパッド裏面A112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面A111およびダイパッド裏面A112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面A111には、半導体チップA41が配置されている。より具体的には、ダイパッド主面A111には、半導体チップA41が接合されている。ダイパッド主面A111と半導体チップA41との間には接合層A991(後述)が介在している。
図11,図12に示すように、各接続部A12は、ダイパッド部A11とワイヤボンディング部A13との間に位置し且つダイパッド部A11とワイヤボンディング部A13とにつながる。接続部A12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部A12は、ダイパッド部A11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図11,図12、図15に示す各ワイヤボンディング部A13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部A13は、方向zにおいて、ダイパッド部A11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部A13と一の半導体チップA41とには、ワイヤA8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部A13と一の半導体チップA41とが導通している。リードA14は、ワイヤボンディング部A13につながる。各リードA14は方向yに沿って延びる。各リードA14は、封止樹脂部A7の樹脂側面A73から突出する部位を有する。本実施形態にてリードA14は挿入実装用のものである。図11に示すように、半導体装置A100の基板A807への実装時において、リードA14は折れ曲げられ、孔A809に挿入される。リードA14を基板A807に固定するために、孔A809にハンダ層A810が充填されている。
図12に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部A2はそれぞれ、ワイヤボンディング部A23と、リードA24と、を含む。複数の第2電極部A2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部A23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部A23は、方向zにおいて、ダイパッド部A11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部A23と一の半導体チップA41とには、ワイヤA8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部A23と一の半導体チップA41とが導通している。リードA24は、ワイヤボンディング部A23につながる。各リードA24は方向yに沿って延びる。各リードA24は、封止樹脂部A7の樹脂側面A73から突出する部位を有する。本実施形態にてリードA24は挿入実装用のものである。図示しないが、リードA14と同様に、半導体装置A100の基板A807への実装時においてリードA24は孔A809に挿入される。
図11、図12に示す第3電極部A3は、複数の制御用ダイパッド部A31と、複数のリードA32とを含む。制御用ダイパッド部A31およびリードA32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部A31には、半導体チップA42もしくは受動部品チップA43が配置されている。制御用ダイパッド部A31と半導体チップA42との間、および、制御用ダイパッド部A31と受動部品チップA43との間には、接合層(図示略)が介在している。制御用ダイパッド部A31の裏面は、放熱板A6と対向していなくてもよいし、露出していなくてもよい。
各リードA32は、封止樹脂部A7の樹脂側面A73から突出する部位を有する。本実施形態にてリードA32は挿入実装用のものである。図11に示すように、半導体装置A100の基板A807への実装時においてリードA32は孔A809に挿入される。リードA14に関して述べたように、リードA32を基板A807に固定するために、孔A809にハンダ層A810が充填されている。一のリードA32と一の半導体チップA42とには、ワイヤA8がボンディングされている。これにより、一のリードA32と一の半導体チップA42とが導通している。また、ワイヤA8は、一の半導体チップA42と一の受動部品チップA43とにもボンディングされている。
図14、図15に示すように、接合層A991は、ダイパッド部A11と半導体チップA41との間に介在している。接合層A991は、ダイパッド部A11に半導体チップA41を接合している。接合層A991は、たとえば導電材料よりなる。このような導電材料としては、銀ペーストもしくはハンダが挙げられる。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層A991としてハンダを用いると、半導体チップA41からダイパッド部A11に熱を効率よく伝えることができる。接合層A991は、導電性材料よりなるのではなく、絶縁性材料よりなっていてもよい。
図13〜図15に示すように、放熱板A6はダイパッド部A11に正対している。本実施形態において放熱板A6は、xy平面に沿う板状である。放熱板A6はダイパッド部A11に対し離間している。放熱板A6はダイパッド部A11に対し固定されている。放熱板A6とダイパッド部A11との間に上述の中間部A75が介在している。放熱板A6とダイパッド部A11とのいずれにも中間部A75は直接接している。そのため、放熱板A6とダイパッド部A11とは、封止樹脂部A7によって接合されている。中間部A75は封止樹脂部A7の一部分であるから、中間部A75を構成する材料と、封止樹脂部A7のうち半導体チップA41,A42を覆う部位を構成する材料とは同一である。放熱板A6は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。
放熱板A6は、半導体チップA41にて発生した熱を速やかに半導体装置A100の外部に放出するために、設けられている。半導体チップA41にて発生した熱を速やかに半導体装置A100の外部に放出するには、放熱板A6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良い。好ましくは、放熱板A6は、封止樹脂部A7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きい材料よりなる。更に好ましくは、放熱板A6は、ダイパッド部A11を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きい材料よりなる。放熱板A6は、たとえば、導電性材料よりなる。このような導電性材料は、たとえば、アルミニウム、銅、銅合金、もしくは、鉄である。放熱板A6は、アルミニウムに銀メッキがされたものであってもよい。一方、放熱板A6は、絶縁性材料よりなっていてもよい。このような絶縁性材料としては、たとえば、セラミックが挙げられる。このようなセラミックは、たとえば、アルミナ、窒化アルミニウム、もしくは、窒化ケイ素である。本実施形態において放熱板A6は導電性材料よりなる。
放熱板A6とダイパッド部A11との離間距離(すなわち中間部A75の厚さ)は、たとえば、20〜200μmであることが好ましい。放熱板A6とダイパッド部A11との離間距離が小さすぎると、複数のダイパッド部A11が放熱板A6を経由して導通するおそれが高まる。一方、放熱板A6とダイパッド部A11との離間距離が大きすぎると、半導体チップA41にて発生した熱の放熱板A6への伝導が中間部A75に遮られ、半導体チップA41にて発生した熱が放熱板A6から半導体チップA41に伝わりにくくなる。
図12に示すように、放熱板A6は、xy平面視において、各ダイパッド部A11の全体に重なる。半導体装置A100は、一つの放熱板A6のみを備えるが、半導体装置A100が複数の放熱板を備えていてもよい。半導体装置A100が複数の放熱板を備える場合、各放熱板は、xy平面視において、複数のダイパッド部A11のいずれか一つに重なる。
放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61は、ダイパッド部A11のダイパッド裏面A112に正対している。放熱板主面A61は、ダイパッド部A11に対し離間している。放熱板主面A61とダイパッド部A11との間に上述の中間部A75が介在している。放熱板主面A61とダイパッド部A11とのいずれにも中間部A75は直接接している。本実施形態において放熱板主面A61は平坦である。放熱板主面A61が平坦ではなく、凹凸形状の部位を有していてもよい。当該凹凸形状の部位を、中間部A75に臨む位置に配置してもよい。放熱板裏面A62は、放熱板主面A61の向く側とは反対側を向く。放熱板裏面A62の向く方向と同一方向を、樹脂底面A72が向く。放熱板裏面A62は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。本実施形態においては、放熱板裏面A62は、樹脂底面A72と面一となっている。図11に示すように、半導体装置A100の使用時にて放熱板裏面A62は、放熱部材A808に正対(本実施形態においては当接)させられる。放熱板側面A63は平坦であり、放熱板裏面A62から直立している。放熱板側面A63の全体は封止樹脂部A7に覆われている。
図13〜図15に示すように、放熱板A6は脱落防止部A691を含む。脱落防止部A691は、放熱板A6が封止樹脂部A7から脱落(脱離)することを防止するために設けられている。脱落防止部A691は、ダイパッド部A11の厚さ方向z視(xy平面視)において、放熱板裏面A62からはみ出ている。脱落防止部A691は、封止樹脂部A7よりも、放熱板主面A61の向く方向の側に位置する。すなわち、脱落防止部A691の方向z2側に、封止樹脂部A7の一部分が位置している。本実施形態において、脱落防止部A691は、放熱板側面A63から方向zに直交する方向に突出している形状である。
次に、半導体装置A100の製造方法について説明する。以下では、上述と同一もしくは類似の構成については、同一の符号を付し、適宜説明を省略している。
まず、図16に示すように、複数のダイパッド部A11,A31を含むリードフレームA300と、複数の半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップA41を複数のダイパッド部A11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップA42および受動部品チップA43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部A31のいずれか一つに配置する。次に、同図に示すように、ワイヤA8を各半導体チップA41,A42等にボンディングする。
次に、図17、図18に示す第1金型A881および第2金型A882を用意する。第1金型A881および第2金型A882を用いて、封止樹脂部A7を形成する。
まず、第1金型A881に放熱板A6を配置する。次に、第1金型A881の縁に、リードフレームA300を載せる(図18参照)。第1金型A881の縁にリードフレームA300が載せられた状態において、放熱板A6とダイパッド部A11との間には隙間が形成されている。
次に、図19、図20に示すように、第1金型A881と第2金型A882とによって、放熱板A6と、ダイパッド部A11、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、およびワイヤA8などを囲む。次に、第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する。第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する時点においては、放熱板A6とダイパッド部A11とは接着されていない状態である。
第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入した後に、当該樹脂材を硬化させる。樹脂材が硬化することにより、図21、図22に示す封止樹脂部A7が形成される。また、樹脂材が硬化することにより、放熱板A6およびダイパッド部A11が接合される。次に、図21、図22に示すように、第1金型A881および第2金型A882を封止樹脂部A7から取り外す。
次に、図16に示したリードフレームA300を適宜切断することにより、図12等に示した半導体装置A100が製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置A100の製造工程では、封止樹脂部A7を形成する工程において、封止樹脂部A7によって放熱板A6およびダイパッド部A11を接合する。このような構成によると、放熱板A6とダイパッド部A11とを、封止樹脂部A7とは別の接合層を介して接合する必要がない。そのため、放熱板A6とダイパッド部A11とを接合するための接合層に要するコストを削減できる。また、本実施形態の構成によると、封止樹脂部A7を形成するのと同時に、放熱板A6とダイパッド部A11とを接合できる。そのため、封止樹脂部A7を形成する工程とは別に放熱板A6とダイパッド部A11とを接合することが、必要ない。したがって、半導体装置の製造の効率化を図ることができる。以上より、半導体装置A100の製造方法によると、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
<第2実施形態の第1変形例>
図23〜図26を用いて、本発明の第2実施形態の第1変形例について説明する。
図23は、本発明の第2実施形態の第1変形例の半導体装置を示す断面図である。図24は、本発明の第2実施形態の第1変形例の半導体装置を示す断面図である。
これらの図に示す半導体装置A101は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6を除き、半導体装置A101における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A100における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61は、半導体装置A100におけるものと同様であるから説明を省略する。放熱板裏面A62は、放熱板主面A61の向く側とは反対側を向く。放熱板裏面A62は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。本変形例においては、放熱板A6は、樹脂底面A72よりも、放熱板裏面A62の向く方向(方向z2)の側に突出している部位を有する。そのため、放熱板裏面A62は、樹脂底面A72よりも方向z2側に位置している。半導体装置A101の使用時にて放熱板裏面A62は、放熱部材A808に当接させられる。放熱板側面A63は平坦であり、放熱板裏面A62から直立している。放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7に覆われており、放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7から露出している。なお、本変形例とは異なり、放熱板側面A63の全体が封止樹脂部A7に覆われていてもよい。
上記した点を除き、放熱板A6の具体的構成は、半導体装置A100におけるものと同様であるから、説明を省略する。
次に、半導体装置A101の製造方法について説明する。
まず、半導体装置A100に関して述べたのと同様の工程を経ることにより、図16に示す製品を製造する。
次に、図25、図26に示す第1金型A881および第2金型A882を用意する。第1金型A881および第2金型A882を用いて、封止樹脂部A7を形成する。本変形例において第1金型A881には、凹部A885が形成されている。凹部A885の平面視の大きさは、放熱板A6の平面視の大きさよりわずかに大きい程度である。
まず、第1金型A881に放熱板A6を配置する。本変形例においては、放熱板A6を第1金型A881における凹部A885に配置する(図26参照)。次に、第1金型A881の縁に、リードフレームA300を載せる。第1金型A881の縁にリードフレームA300が載せられた状態において、放熱板A6とダイパッド部A11との間には隙間が形成されている。次に、第1金型A881と第2金型A882とによって、放熱板A6と、ダイパッド部A11、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、およびワイヤA8などを囲む。次に、第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する。第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する時点においては、放熱板A6とダイパッド部A11とは接着されていない状態である。
第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入した後に、当該樹脂材を硬化させる。樹脂材が硬化することにより、封止樹脂部A7が形成される。また、樹脂材が硬化することにより、放熱板A6およびダイパッド部A11が接合される。次に、第1金型A881および第2金型A882を封止樹脂部A7から取り外す。
次に、半導体装置A100に関して説明したのと同様に、リードフレームA300を適宜切断することにより、半導体装置A101が製造される。
次に、本変形例の作用効果について説明する。
半導体装置A101の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
半導体装置A101においては、放熱板A6は、樹脂底面A72よりも、放熱板裏面A62の向く方向(方向z2)の側に突出している部位を有する。そのため、放熱板裏面A62は、樹脂底面A72よりも方向z2側に位置している。このような構成によると、放熱部材A808が樹脂底面A72に接触しにくいから、放熱板A6の放熱板裏面A62を放熱部材A808に当接させやすい。そのため、半導体チップA41から放熱板A6に伝わった熱を、放熱部材A808に効率よく伝えることができる。
半導体装置A101を製造するには、上述のように、凹部A885が形成された第1金型A881を用いる。凹部A885に放熱板A6が配置されるため、第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する際に、樹脂材の流れによって放熱板A6が上記空間内にて移動してしまうことを防止できる。よって、本変形例によると、所望の位置に放熱板A6を正確に配置することができる。
<第2実施形態の第2変形例>
図27、図28を用いて、本発明の第2実施形態の第2変形例について説明する。
図27は、本発明の第2実施形態の第2変形例の半導体装置を示す断面図である。図28は、本発明の第2実施形態の第2変形例の半導体装置を示す断面図である。
これらの図に示す半導体装置A102は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6を除き、半導体装置A102における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A100における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
本変形例の放熱板A6は、断面形状が半導体装置A100における放熱板A6と異なる。放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61および放熱板裏面A62は、半導体装置A100における構成と同様であるから説明を省略する。放熱板側面A63は曲面状である。放熱板側面A63の全体は封止樹脂部A7に覆われている。
上記した点を除き、放熱板A6の具体的構成は、半導体装置A100におけるものと同様であるから、説明を省略する。
次に、本変形例の作用効果について説明する。
半導体装置A102の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
<第2実施形態の第3変形例>
図29、図30を用いて、本発明の第2実施形態の第3変形例について説明する。
図29は、本発明の第2実施形態の第3変形例の半導体装置を示す断面図である。図30は、本発明の第2実施形態の第3変形例の半導体装置を示す断面図である。
これらの図に示す半導体装置A103は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6を除き、半導体装置A103における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A102における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61は、半導体装置A102におけるものと同様であるから説明を省略する。放熱板裏面A62は、放熱板主面A61の向く側とは反対側を向く。放熱板裏面A62は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。本変形例においては、放熱板A6は、樹脂底面A72よりも、放熱板裏面A62の向く方向(方向z2)の側に突出している部位を有する。そのため、放熱板裏面A62は、樹脂底面A72よりも方向z2側に位置している。半導体装置A103の使用時にて放熱板裏面A62は、放熱部材A808に当接させられる。放熱板側面A63は曲面状である。放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7に覆われており、放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7から露出している。なお、本変形例とは異なり、放熱板側面A63の全体が封止樹脂部A7に覆われていてもよい。
上記した点を除き、放熱板6の具体的構成は、半導体装置A102におけるものと同様であるから、説明を省略する。
半導体装置A103を製造するには、半導体装置A101を製造する際に用いたのと同様の、凹部A885が形成された第1金型A881を用いるとよい。
次に、本変形例の作用効果について説明する。
半導体装置A103の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
半導体装置A103によると、半導体装置A101に関して述べたのと同様の理由により、半導体チップA41から放熱板A6に伝わった熱を、放熱部材A808に効率よく伝えることができる。
半導体装置A103によると、半導体装置A101に関して述べたのと同様の理由により、所望の位置に放熱板A6を正確に配置することができる。
<第2実施形態の第4変形例>
図31、図32を用いて、本発明の第2実施形態の第4変形例について説明する。
図31は、本発明の第2実施形態の第4変形例の半導体装置を示す断面図である。図32は、本発明の第2実施形態の第4変形例の半導体装置を示す断面図である。
これらの図に示す半導体装置A104は、複数のスペーサA799を更に備える点において、半導体装置A100と異なる。各スペーサA799は、ダイパッド部A11と放熱板A6との間に介在している。各スペーサA799は、ダイパッド部A11と放熱板A6とに直接接している。各スペーサA799は、絶縁性の材料よりなる。本変形例において各スペーサA799は立方体状であるが、スペーサA799は、球状、棒状、などの他の形状であってもよい。スペーサA799は封止樹脂部A7における中間部A75に覆われている。本変形例によると、スペーサA799がダイパッド部A11と放熱板A6との離間距離を規定する。そのため、ダイパッド部A11の放熱板A6に対する位置決めをより正確に行うことができる。
スペーサA799を備える構成を、半導体装置A101,A102,A103のいずれかに適用してもよい。
<第3実施形態>
図33〜図36を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
図33は、本発明の第3実施形態の半導体装置を示す断面図である。図34は、本発明の第3実施形態の半導体装置を示す断面図である。
これらの図に示す半導体装置A200は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6および封止樹脂部A7を除き、半導体装置A200における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A100における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
本実施形態において封止樹脂部A7は、上述の中間部A75を含まない点を除き、半導体装置A100における構成と同様である。
放熱板A6はダイパッド部A11に正対している。本実施形態において放熱板A6は、xy平面に沿う板状である。放熱板A6はダイパッド部A11に直接接している。放熱板A6は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。
放熱板A6は、半導体チップA41にて発生した熱を速やかに半導体装置A200の外部に放出するために、設けられている。半導体チップA41にて発生した熱を速やかに半導体装置A200の外部に放出するには、放熱板A6を構成する材料の熱伝導率は大きければ大きいほど良い。好ましくは、放熱板A6は、封止樹脂部A7を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きい材料よりなる。更に好ましくは、放熱板A6は、ダイパッド部A11を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が大きい材料よりなる。本実施形態において放熱板A6は、絶縁性材料よりなっていてもよい。このような絶縁性材料としては、たとえば、セラミックが挙げられる。このようなセラミックは、たとえば、アルミナ、窒化アルミニウム、もしくは、窒化ケイ素である。
放熱板A6は、xy平面視において、各ダイパッド部A11の全体に重なる(図13参照)。半導体装置A200は、一つの放熱板A6のみを備えるが、半導体装置A200が複数の放熱板を備えていてもよい。半導体装置A200が複数の放熱板を備える場合、各放熱板は、xy平面視において、複数のダイパッド部A11のいずれか一つに重なる。
放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61は、ダイパッド部A11のダイパッド裏面A112に正対している。放熱板主面A61はダイパッド裏面A112に直接接している。本実施形態において放熱板主面A61は平坦である。放熱板裏面A62および放熱板側面A63は、半導体装置A100におけるものと同様であるから、説明を省略する。
放熱板A6は脱落防止部A691を含む。脱落防止部A691は、半導体装置A100におけるものと同様であるから、説明を省略する。
次に、半導体装置A200の製造方法について説明する。
まず、半導体装置A100に関して述べたのと同様の工程を経ることにより、図16に示す製品を製造する。
次に、図35、図36に示す第1金型A881および第2金型A882を用意する。第1金型A881および第2金型A882を用いて、封止樹脂部A7を形成する。
まず、第1金型A881に放熱板A6を配置する。次に、第1金型A881の縁に、リードフレームA300を載せる。第1金型A881の縁にリードフレームA300が載せられた状態において、放熱板A6とダイパッド部A11とは直接接している。次に、第1金型A881と第2金型A882とによって、放熱板A6と、ダイパッド部A11、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、およびワイヤA8などを囲む(図示略)。次に、第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する。第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入する時点においては、放熱板A6とダイパッド部A11とは接着されていない状態である。
第1金型A881および第2金型A882によって囲まれた空間に樹脂材を注入した後に、当該樹脂材を硬化させる。樹脂材が硬化することにより、封止樹脂部A7が形成される。また、樹脂材が硬化することにより、放熱板A6およびダイパッド部A11が接合される。次に、第1金型A881および第2金型A882を封止樹脂部A7から取り外す。
次に、半導体装置A100に関して説明したのと同様に、リードフレームA300を適宜切断することにより、半導体装置A200が製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置A200の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
<第3実施形態の第1変形例>
図37、図38を用いて、本発明の第3実施形態の第1変形例について説明する。
図37は、本発明の第3実施形態の第1変形例の半導体装置を示す断面図である。図38は、本発明の第3実施形態の第1変形例の半導体装置を示す断面図である。
半導体装置A201は、半導体装置A200の構成と、半導体装置A101の構成とを組み合わせたものに相当する。より具体的には次のとおりである。
半導体装置A201は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6を除き、半導体装置A201における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A200における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61は、半導体装置A200におけるものと同様であるから説明を省略する。放熱板裏面A62は、放熱板主面A61の向く側とは反対側を向く。放熱板裏面A62は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。本変形例においては、放熱板A6は、樹脂底面A72よりも、放熱板裏面A62の向く方向(方向z2)の側に突出している部位を有する。そのため、放熱板裏面A62は、樹脂底面A72よりも方向z2側に位置している。半導体装置A201の使用時にて放熱板裏面A62は、放熱部材A808に当接させられる。放熱板側面A63は平坦であり、放熱板裏面A62から直立している。放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7に覆われており、放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7から露出している。なお、本変形例とは異なり、放熱板側面A63の全体が封止樹脂部A7に覆われていてもよい。
上記した点を除き、放熱板A6の具体的構成は、半導体装置A200におけるものと同様であるから、説明を省略する。
半導体装置A201を製造するには、半導体装置A101を製造するのと同様に製造すればよい。
次に、本変形例の作用効果について説明する。
半導体装置A201の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
半導体装置A201によると、半導体装置A101に関して述べたのと同様の理由により、半導体チップA41から放熱板A6に伝わった熱を、放熱部材A808に効率よく伝えることができる。
半導体装置A201によると、半導体装置A101に関して述べたのと同様の理由により、所望の位置に放熱板A6を正確に配置することができる。
<第3実施形態の第2変形例>
図39、図40を用いて、本発明の第3実施形態の第2変形例について説明する。
図39は、本発明の第3実施形態の第2変形例の半導体装置を示す断面図である。図40は、本発明の第3実施形態の第2変形例の半導体装置を示す断面図である。
半導体装置A202は、半導体装置A200の構成と、半導体装置A102の構成とを組み合わせたものに相当する。より具体的には次のとおりである。
半導体装置A202は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6を除き、半導体装置A202における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A200における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
本変形例の放熱板A6は、断面形状が半導体装置A200における放熱板A6と異なる。放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61および放熱板裏面A62は、半導体装置A200における構成と同様であるから説明を省略する。放熱板側面A63は曲面状である。放熱板側面A63の全体は封止樹脂部A7に覆われている。
上記した点を除き、放熱板A6の具体的構成は、半導体装置A200におけるものと同様であるから、説明を省略する。
次に、本変形例の作用効果について説明する。
半導体装置A202の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
<第3実施形態の第3変形例>
図41、図42を用いて、本発明の第3実施形態の第3変形例について説明する。
図41は、本発明の第3実施形態の第3変形例の半導体装置を示す断面図である。図42は、本発明の第3実施形態の第3変形例の半導体装置を示す断面図である。
半導体装置A203は、半導体装置A200の構成と、半導体装置A103の構成とを組み合わせたものに相当する。より具体的には次のとおりである。
半導体装置A203は、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3と、半導体チップA41,A42と、受動部品チップA43と、放熱板A6と、封止樹脂部A7と、複数のワイヤA8と、接合層A991と、を備える。放熱板A6を除き、半導体装置A203における、第1電極部A1、第2電極部A2、および第3電極部A3、半導体チップA41,A42、受動部品チップA43、封止樹脂部A7、複数のワイヤA8、および接合層A991の各構成は、半導体装置A202における各構成とそれぞれ同様であるから、図示および説明を省略する。
放熱板A6は、放熱板主面A61と放熱板裏面A62と放熱板側面A63とを有する。放熱板主面A61は、半導体装置A202におけるものと同様であるから説明を省略する。放熱板裏面A62は、放熱板主面A61の向く側とは反対側を向く。放熱板裏面A62は封止樹脂部A7の樹脂底面A72から露出している。本変形例においては、放熱板A6は、樹脂底面A72よりも、放熱板裏面A62の向く方向(方向z2)の側に突出している部位を有する。そのため、放熱板裏面A62は、樹脂底面A72よりも方向z2側に位置している。半導体装置A203の使用時にて放熱板裏面A62は、放熱部材A808に当接させられる。放熱板側面A63は曲面状である。放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7に覆われており、放熱板側面A63の一部は封止樹脂部A7から露出している。なお、本変形例とは異なり、放熱板側面A63の全体が封止樹脂部A7に覆われていてもよい。
上記した点を除き、放熱板A6の具体的構成は、半導体装置A202におけるものと同様であるから、説明を省略する。
半導体装置A203を製造するには、半導体装置A201を製造する際に用いたのと同様の、凹部A885が形成された第1金型A881を用いるとよい。
次に、本変形例の作用効果について説明する。
半導体装置A203の製造方法によると、半導体装置A100に関して述べたのと同様の理由により、製造コストを削減でき、且つ、製造の効率化を図ることができる。
半導体装置A203によると、半導体装置A101に関して述べたのと同様の理由により、半導体チップA41から放熱板A6に伝わった熱を、放熱部材A808に効率よく伝えることができる。
半導体装置A203によると、半導体装置A101に関して述べたのと同様の理由により、所望の位置に放熱板A6を正確に配置することができる。
<第3実施形態の第4変形例>
図43、図44を用いて、本発明の第3実施形態の第4変形例について説明する。
図43は、本発明の第3実施形態の第4変形例の半導体装置を示す断面図である。図44は、本発明の第3実施形態の第4変形例の半導体装置を示す断面図である。
これらの図に示す半導体装置A204は、放熱板A6が凹凸形状の凹凸部A68や溝を含む点において、半導体装置A200と異なり、その他の点は半導体装置A200と同様である。このような構成によると、ダイパッド部A11と放熱部材A808(図11参照)との沿面距離を大きくすることができる。これにより、ダイパッド部A11と放熱部材A808との間の耐湿性が低下したり導通する不具合を抑制できる。
本変形例の構成を、半導体装置A201,A202,A203のいずれかに適用してもよい。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
[付記1]
半導体チップと、放熱板と、ダイパッド部を含むリードフレームと、を用意する工程、
上記ダイパッド部に上記半導体チップを接合する工程、
上記放熱板を上記ダイパッド部に正対させる工程、ならびに、
上記半導体チップと上記放熱板と上記ダイパッド部とを覆う封止樹脂部を形成する工程、を備え、
上記封止樹脂部を形成する工程においては、上記封止樹脂部によって上記放熱板および上記ダイパッド部を接合する、半導体装置の製造方法。
[付記2]
上記ダイパッド部は、ダイパッド主面およびダイパッド裏面を有し、
上記半導体チップを接合する工程においては、上記半導体チップを上記ダイパッド主面に接合し、
上記ダイパッド部に正対させる工程においては、上記放熱板を上記ダイパッド裏面に正対させる、付記1に記載の半導体装置の製造方法。
[付記3]
上記封止樹脂部を形成する工程においては、上記放熱板を上記封止樹脂部から露出させる、付記2に記載の半導体装置の製造方法。
[付記4]
第1金型および第2金型を用意する工程を更に備え、
上記封止樹脂部を形成する工程は、
上記第1金型と上記第2金型とによって、上記放熱板と上記ダイパッド部と上記半導体チップを囲む工程、および
上記囲む工程の後に、上記第1金型と上記第2金型とに囲まれた空間に樹脂材を注入する工程、を含み、
上記樹脂材を注入する時点においては、上記放熱板と上記ダイパッド部とは接着されていない状態である、付記1ないし付記3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[付記5]
上記第1金型には凹部が形成されており、
上記封止樹脂部を形成する工程は、上記囲む工程の前に、上記凹部に上記放熱板を配置する工程を含む、付記4に記載の半導体装置の製造方法。
[付記6]
ダイパッド部と、
上記ダイパッド部に接合された半導体チップと、
上記ダイパッド部から離間している放熱板と、
上記ダイパッド部、上記半導体チップ、および上記放熱板の少なくとも上記半導体チップ側を覆う封止樹脂部と、を備え、
上記封止樹脂部は、上記放熱板および上記ダイパッド部の間に介在する中間部を含み、上記中間部は、上記放熱板および上記ダイパッド部のいずれにも直接接する、半導体装置。
[付記7]
ダイパッド部と、
上記ダイパッド部に接合された半導体チップと、
上記ダイパッド部に直接接する放熱板と、
上記ダイパッド部、上記半導体チップ、および上記放熱板の少なくとも上記半導体チップ側を覆う封止樹脂部と、を備える、半導体装置。
[付記8]
上記ダイパッド部は、ダイパッド主面およびダイパッド裏面を有し、
上記半導体チップは、上記ダイパッド主面に接合され、
上記放熱板は、上記ダイパッド裏面に正対している放熱板主面を有する、付記6または付記7に記載の半導体装置。
[付記9]
上記放熱板は、上記放熱板主面とは反対側を向く放熱板裏面を有し、上記放熱板裏面は、上記封止樹脂部から露出している、付記8に記載の半導体装置。
[付記10]
上記封止樹脂部は、上記放熱板裏面の向く方向と同一方向を向く樹脂底面を有し、
上記放熱板は、上記樹脂底面よりも、上記放熱板裏面の向く方向の側に突出している部位を有する、付記9に記載の半導体装置。
[付記11]
上記放熱板は、上記ダイパッド部の厚さ方向視において、上記放熱板裏面からはみ出る脱落防止部を含み、
上記脱落防止部は、上記封止樹脂部よりも、上記放熱板主面の向く方向の側に位置する、付記9または付記10に記載の半導体装置。
[付記12]
上記放熱板は、上記放熱板裏面から直立する放熱板側面を有する、付記9ないし付記11のいずれかに記載の半導体装置。
[付記13]
上記放熱板は、導電性材料よりなる、付記6ないし付記12のいずれかに記載の半導体装置。
[付記14]
上記導電性材料は、アルミニウム、銅、銅合金、もしくは、鉄である、付記13に記載の半導体装置。
[付記15]
上記ダイパッド部および上記放熱板との間に介在するスペーサを更に備え、
上記スペーサは、絶縁性材料よりなる、付記13または付記14に記載の半導体装置。[付記16]
上記放熱板は、絶縁性材料よりなる、付記6ないし付記12のいずれかに記載の半導体装置。
[付記17]
上記絶縁性材料は、セラミックである、付記16に記載の半導体装置。
[付記18]
上記セラミックは、アルミナ、窒化アルミニウム、もしくは窒化ケイ素である、付記17に記載の半導体装置。
[付記19]
上記放熱板は、その放熱板主面の周辺部に、凹凸形状を呈する凹凸部または溝を含む、付記17または付記18に記載の半導体装置。
[付記20]
上記半導体チップおよび上記ダイパッド部の間に介在し且つ上記半導体チップおよび上記ダイパッド部を接合する接合層を更に備える、付記6ないし付記19のいずれかに記載の半導体装置。
[付記21]
付記6ないし付記20のいずれかに記載の半導体装置と、
上記半導体装置が実装された基板と、
上記基板に対し固定され且つ上記放熱板に正対する放熱部材と、を備える、半導体装置の実装構造。
[付記22]
上記半導体チップはパワーチップであり、
上記パワーチップを制御するLSIチップを更に備え、
上記パワーチップが搭載された上記ダイパッド部の裏面側に、上記放熱板が配置されている、付記6ないし付記20のいずれかに記載のIPM用の半導体装置。
<第4実施形態>
図45〜図53を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。
図45は、本実施形態にかかる半導体装置の実装構造の断面図である。
図45に示す半導体装置の実装構造B801は、半導体装置B101と、基板B807と、放熱部材B808とを備える。
基板B807は、複数の電子部品が実装されるものである。基板B807は絶縁性の材料よりなる。基板B807には図示しない配線パターンが形成されている。基板B807には、複数の孔B809が形成されている。放熱部材B808は、熱伝導率の比較的大きな材料、たとえば、アルミニウムなどの金属よりなる。放熱部材B808は、図示しない支持部材によって基板B807に対し固定されている。半導体装置B101は、基板B807に実装されている。本実施形態において半導体装置B101は、IPM(Intelligent Power Module)と称される製品である。半導体装置B101は、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの用途に用いられる。
図46は、本発明の第4実施形態の半導体装置リードを折り曲げる前の平面図(一部構成省略)である。図47は、本発明の第4実施形態の半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図48は、図46のXLVIII−XLVIII線に沿う断面図である。図49は、図48の領域XLIXの部分拡大図である。
これらの図に示す半導体装置B101は、第1電極部B1と、第2電極部B2と、第3電極部B3と、半導体チップB41,B42と、受動部品チップB43と、第1封止樹脂部B6と、第2封止樹脂部B7と、複数のワイヤB8と、接合層B991と、を備える。図46においては、第1封止樹脂部B6を省略し、第1封止樹脂部B6を2点鎖線で示している。図45の半導体装置は、図46のXLV−XLV線に沿う断面図に相当する。
図46に示すように、半導体チップB41,B42および受動部品チップB43は平面視矩形状を呈する。半導体チップB41は、たとえば、IGBT,MOS,ダイオードなどのパワーチップである。半導体チップB42は、コントロールICなどのLSIチップである。受動部品チップB43は、たとえば、抵抗もしくはコンデンサなどの受動部品である。
図45〜図48に示す、第1電極部B1、第2電極部B2、および、第3電極部B3は、いずれも導電性を有する。すなわち、第1電極部B1、第2電極部B2、および、第3電極部B3はいずれも導電性材料よりなる。このような導電性材料としては、たとえば銅が挙げられる。なお、図46の右下に記載の電極部はグランド接続される。
複数(本実施形態では4つ)の第1電極部B1はそれぞれ、ダイパッド部B11(図45〜図48参照)と、接続部B12(図45、図46参照)と、ワイヤボンディング部B13(図45、図46参照)と、リードB14(図45、図46参照)と、を含む。複数の第1電極部B1は、方向xにおいて互いに離間している。
各ダイパッド部B11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部B11には半導体チップB41が配置されている。
各ダイパッド部B11は、ダイパッド主面B111とダイパッド裏面B112とダイパッド側面B113とを有する。ダイパッド主面B111は方向z1を向き、ダイパッド裏面B112は方向z2を向く。すなわちダイパッド主面B111およびダイパッド裏面B112は互いに反対側を向く。ダイパッド主面B111には、半導体チップB41が配置されている。ダイパッド主面B111と半導体チップB41との間には接合層B991(後述)が介在している。図49に示すように、ダイパッド裏面B112は、凹凸形状の部位を有する。ダイパッド裏面B112における凹凸形状の部位の高低差(頂部と底部との高低差)は、たとえば、0.01〜1μmである。本実施形態において、ダイパッド裏面B112は、微細な凹凸形状が形成された凹凸面である。ダイパッド部B11に対しブラスト処理(後述)を施すことにより、ダイパッド裏面B112は凹凸形状になる。ダイパッド裏面B112は全面が凹凸形状であってもよいし、ダイパッド裏面B112の一部が凹凸形状であってもよい。図48に示すように、ダイパッド側面B113は、ダイパッド部B11の厚さ方向(方向z)に交差する方向を向く。互いに隣接する2つのダイパッド部B11におけるダイパッド側面B113は、互いに対向する部位を有する。
図45,図46に示すように、各接続部B12は、各ダイパッド部B11と各ワイヤボンディング部B13との間に各々位置し且つダイパッド部B11とワイヤボンディング部B13とにつながる。接続部B12は、xy平面に傾斜する面に沿う形状である。接続部B12は、ダイパッド部B11から離間するにつれ方向z1に向かうようにxy平面に対し傾斜している。
図45,図46に示す各ワイヤボンディング部B13はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部B13は、方向zにおいて、ダイパッド部B11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部B13と一の半導体チップB41とには、ワイヤB8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部B13と一の半導体チップB41とが導通している。リードB14は、ワイヤボンディング部B13につながる。各リードB14は方向yに沿って延びる。本実施形態にてリードB14は挿入実装用のものである。図45に示すように、半導体装置B101の基板B807への実装時において、リードB14は折れ曲げられ、孔B809に挿入される。リードB14を基板B807に固定するために、孔B809にハンダ層B810が充填されている。
図46に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第2電極部B2はそれぞれ、ワイヤボンディング部B23と、リードB24と、を含む。複数の第2電極部B2は、方向xにおいて互いに離間している。
各ワイヤボンディング部B23はxy平面に沿う形状である。各ワイヤボンディング部B23は、方向zにおいて、ダイパッド部B11よりも方向z1側に位置する。一のワイヤボンディング部B23と一の半導体チップB41とには、ワイヤB8がボンディングされている。これにより、一のワイヤボンディング部B23と一の半導体チップB41とが導通している。リードB24は、ワイヤボンディング部B23につながる。各リードB24は方向yに沿って延びる。本実施形態にてリードB24は挿入実装用のものである。図示しないが、リードB14と同様に、半導体装置B101の基板B807への実装時においてリードB24は孔B809に挿入される。
図45、図46に示す第3電極部B3は、複数の制御用ダイパッド部B31と、複数のリードB32とを含む。制御用ダイパッド部B31およびリードB32はいずれも、方向zにおいて同じ位置に配置されている。各制御用ダイパッド部B31には、半導体チップB42もしくは受動部品チップB43が配置されている。制御用ダイパッド部B31と半導体チップB42との間、および、制御用ダイパッド部B31と受動部品チップB43との間には、接合層(図示略)が介在している。
本実施形態にてリードB32は挿入実装用のものである。図45に示すように、半導体装置B101の基板B807への実装時においてリードB32は孔B809に挿入される。リードB14に関して述べたように、リードB32を基板B807に固定するために、孔B809にハンダ層B810が充填されている。一のリードB32と一の半導体チップB42とには、ワイヤB8がボンディングされている。これにより、一のリードB32と一の半導体チップB42とが導通している。また、ワイヤB8は、一の半導体チップB42と一の受動部品チップB43とにもボンディングされている。
図48に示すように、接合層B991は、ダイパッド部B11と半導体チップB41との間に介在している。接合層B991は、たとえば導電材料よりなる。このような導電材料としては、銀ペーストもしくはハンダが挙げられる。ハンダは熱伝導率が比較的大きい。接合層B991としてハンダを用いると、半導体チップB41からダイパッド部B11に熱を効率よく伝えることができる。接合層B991は、導電材料よりなるのではなく、絶縁材料よりなっていてもよい。
図45、図48等に示す第1封止樹脂部B6は、半導体チップB41,B42と、受動部品チップB43と、第1電極部B1、第2電極部B2、および、第3電極部B3と、接合層B991と、ワイヤB8と、を覆っている。より具体的には、第1封止樹脂部B6は、第1電極部B1におけるダイパッド部B11と、接続部B12と、ワイヤボンディング部B13と、ワイヤボンディング部B23と、制御用ダイパッド部B31と、を覆っている。更に具体的には、第1封止樹脂部B6は、ダイパッド部B11におけるダイパッド主面B111とダイパッド側面B113とを覆っている。第1封止樹脂部B6は、リードB14の一部と、リードB24の一部と、リードB32の一部と、を覆っている。リードB14、リードB24、およびリードB32はいずれも、第1封止樹脂部B6から突出している部位を有する。第1封止樹脂部B6から、ダイパッド部B11におけるダイパッド裏面B112が露出している。
第1封止樹脂部B6は、絶縁性の樹脂よりなる。このような樹脂としては、たとえば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ポッティング、コンポジットが挙げられる。第1封止樹脂部B6の熱伝導率は、第2封止樹脂部B7の熱伝導率よりも小さいことが好ましい。第1封止樹脂部B6の熱伝導率は、たとえば、0.1〜1W/mKである。第1封止樹脂部B6は熱膨張しにくい方が好ましい。半導体装置B101を使用している際に第1封止樹脂部B6が熱膨張すると、ワイヤB8と半導体チップB41との断線や、ワイヤB8とワイヤボンディング部B13との断線が生じるおそれがあるからである。
図48に示すように、第1封止樹脂部B6は、樹脂主面B61と、樹脂側面B62と、第1樹脂面B63と、を有する。
樹脂主面B61は、ダイパッド主面B111の向く方向と同一方向(すなわち方向z1)を向く。樹脂主面B61は平坦である。樹脂側面B62は、半導体チップB41,B42および受動部品チップB43を囲んでいる。樹脂側面B62は、樹脂主面B61と鈍角をなすように、樹脂主面B61に対し傾斜している。第1樹脂面B63は、ダイパッド裏面B112の向く方向と同一方向(すなわち方向z2)を向く。本実施形態において、第1樹脂面B63は、ダイパッド裏面B112と面一となっている。図49に示すように、第1樹脂面B63は、凹凸形状の部位を有する。第1樹脂面B63における凹凸形状の部位の高低差は、たとえば、0.1〜1μmである。
図45、図48等に示す第2封止樹脂部B7は、ダイパッド部B11を覆っている。より具体的には、第2封止樹脂部B7は、ダイパッド裏面B112を覆っている。第2封止樹脂部B7は、ダイパッド裏面B112に直接接している。本実施形態においては更に、第2封止樹脂部B7は、複数のダイパッド裏面B112の各々の全体に直接接している。図49に示すように、第2封止樹脂部B7は、ダイパッド裏面B112における凹凸形状の部位に、直接接している。第2封止樹脂部B7は、第1樹脂面B63に直接接している。ダイパッド部B11の厚さ方向z視において、第2封止樹脂部B7が占める領域内に、各ダイパッド部B11が配置されている。
第2封止樹脂部B7は、絶縁性の樹脂よりなる。このような樹脂としては、たとえば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ポッティング、コンポジットが挙げられる。第2封止樹脂部B7の熱伝導率は、第1封止樹脂部B6の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。第2封止樹脂部B7の熱伝導率は、たとえば、2〜5W/mKである。なお、本実施形態とは異なり、第2封止樹脂部B7を構成する材料は、第1封止樹脂部B6を構成する材料と同一の材料であってもよい。
図48に示すように、第2封止樹脂部B7は、樹脂底面B71と、樹脂壁面B72と、第2樹脂面B73と、を有する。
樹脂底面B71は、ダイパッド裏面B112の向く方向と同一方向(すなわち方向z2)を向く。樹脂底面B71は、ダイパッド裏面B112の向く側に露出している。樹脂底面B71は、ダイパッド部B11の厚さ方向z視において、ダイパッド部B11に重なっている。図47に示すように、そして、本実施形態においては、樹脂底面B71は、方向z視においてダイパッド部B11からはみ出た部位を有する。樹脂底面B71は、平坦である。半導体装置B101が基板B807に実装された状態において、樹脂底面B71は放熱部材B808に正対する。樹脂底面B71は、ダイパッド裏面B112に対し、100〜250μm離間している。樹脂底面B71とダイパッド裏面B112との離間距離が100μm以上であることは、複数のダイパッド部B11どうしが第2封止樹脂部B7を経由して導通することを防止できる点において好ましい。また、樹脂底面B71とダイパッド裏面B112との離間距離が250μm以下であると、ダイパッド部B11から樹脂底面B71を経由して半導体チップB41にて発生した熱を、半導体装置B101の外部に放出しやすい点において好ましい。
樹脂壁面B72は、方向z視において、半導体チップB41,B42および受動部品チップB43を囲む形状である。樹脂壁面B72は、樹脂底面B71と鈍角をなすように、樹脂底面B71に対し傾斜している。図48、図49に示すように、第2樹脂面B73は、第1樹脂面B63およびダイパッド裏面B112に直接接している。本実施形態においては、第1樹脂面B63およびダイパッド裏面B112は凹凸形状の部位を有するため、第2樹脂面B73も、凹凸形状の部位を有している。
図48に示すように、複数の低熱膨張フィラーB811は、第1封止樹脂部B6に散在している。各低熱膨張フィラーB811を構成する材料の熱膨張率は、第1封止樹脂部B6を構成する材料の熱膨張率よりも小さい。各低熱膨張フィラーB811を構成する材料の熱膨張率は、たとえば、5〜100ppm/℃である。各低熱膨張フィラーB811を構成する材料としては、たとえば、二酸化ケイ素が挙げられる。低熱膨張フィラーB811は球形状であることが好ましい。低熱膨張フィラーB811が球形状であると、低熱膨張フィラーB811に尖った部分が無いので、低熱膨張フィラーB811が半導体チップB41,B42、ないし、受動部品チップB43に傷を付けることを防止できる。
図48に示すように、複数の放熱フィラーB812は、第2封止樹脂部B7に散在している。各放熱フィラーB812を構成する材料の熱伝導率は、第2封止樹脂部B7を構成する材料の熱伝導率よりも大きい。本実施形態において放熱フィラーB812は、破砕フィラーである。破砕フィラーは、たとえば、アルミナ、二酸化ケイ素、窒化ホウ素よりなる。破砕フィラーは、材料を砕いたままのフィラーであり、破砕フィラーには角があるため、破砕フィラーを含有する樹脂の表面には凹凸が生じやすいとともに、球状フィラーよりも熱伝導性が良くなる。一方、球状フィラーは、砕いた材料を溶融して丸く加工した球形のフィラーであり、球状フィラーを含有する樹脂の表面は、破砕フィラーを含有する樹脂の表面よりは滑らかとなる。
次に、半導体装置B101の製造方法について説明する。以下では、上述と同一もしくは類似の構成については、同一の符号を付し、適宜説明を省略している。
まず、図50に示すように、複数のダイパッド部B11,B31を含むリードフレームB300と、複数の半導体チップB41,B42と、受動部品チップB43とを用意する。次に、同図に示すように、接合層(図示略)を介して、各半導体チップB41を複数のダイパッド部B11のいずれか一つに配置する。同様に、各半導体チップB42および受動部品チップB43を、接合層(図示略)を介して、複数の制御用ダイパッド部B31のいずれか一つに配置する。次に、同図に示すように、ワイヤB8を各半導体チップB41,B42等にボンディングする。
次に、図51、図52に示すように、第1封止樹脂部B6を形成する。第1封止樹脂部B6は、図51に示すように、第1金型B881を用いたトランスファモールド法により形成する。同図に示すように、第1金型B881でリードフレームB300を押さえつける。次に、第1金型B881内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、図52に示すように第1金型B881をリードフレームB300などから取り外す。これにより、第1封止樹脂部B6を形成できる。
第1封止樹脂部B6を形成する際、図52おける下側の第1金型B881の平坦な面は、ダイパッド裏面B112に当接している。そのため、第1封止樹脂部B6には、ダイパッド裏面B112と面一となっている第1樹脂面B63が形成される。一方、同図における上側の第1金型B881が第1封止樹脂部B6から抜けやすくするべく、同図における上側の第1金型B881は逆テーパ状となっている。そのため、樹脂側面B62は、上述のように樹脂主面B61に対し傾斜している。
なお、第1封止樹脂部B6に低熱膨張フィラーB811が散在している構成の半導体装置B101を得るには、第1封止樹脂部B6を形成するための樹脂材に、低熱膨張フィラーB811を混入させておくとよい。
第1封止樹脂部B6を形成した後は、ダイパッド部B11を覆う薄い樹脂バリが形成されることがある。この樹脂バリを除去するために複数のダイパッド部B11に対してブラスト処理を施す(図示略)。ブラスト処理とは、珪砂等のような非金属粒や金属粒を高速度で噴きつけ、表面を粗化する方法である。これにより、各ダイパッド部B11のダイパッド裏面B112および第1封止樹脂部B6の第1樹脂面B63は、図49に示したように、微細な凹凸形状が形成された凹凸面となる。
次に、第2封止樹脂部B7を形成する。第2封止樹脂部B7は、図53に示すように、第2金型B884を用いたトランスファモールド法により形成する。同図に示すように、第2金型B884内に樹脂材を注入し、当該樹脂材を硬化させる。当該樹脂材が硬化すると、第2金型B884をリードフレームB300などから取り外す。これにより、第2封止樹脂部B7を形成できる。
第2封止樹脂部B7を形成する際、図53における下側の第2金型B884が第2封止樹脂部B7から抜けやすくするべく、図53における下側の第2金型B884は逆テーパ状となっている。そのため、樹脂壁面B72は、上述のように樹脂底面B71に対し傾斜している。
なお、第2封止樹脂部B7に放熱フィラーB812が散在している構成の半導体装置B101を得るには、第2封止樹脂部B7を形成するための樹脂材に、放熱フィラーB812を混入させておくとよい。
次に、図50に示したリードフレームB300を適宜切断することにより、図46等に示した半導体装置B101が製造される。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置B101においては、ダイパッド裏面B112は、第2封止樹脂部B7が直接接する凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、ダイパッド裏面B112と第2封止樹脂部B7との接合面積を大きくすることができる。ダイパッド裏面B112と第2封止樹脂部B7との接合面積を大きくすることができると、ダイパッド裏面B112と第2封止樹脂部B7とがより強固に接合するから、第2封止樹脂部B7がダイパッド裏面B112から剥離しにくくなる。また、ダイパッド裏面B112と第2封止樹脂部B7との接合面積が大きくなると、半導体チップB41からダイパッド部B11に伝わった熱を、ダイパッド部B11から第2封止樹脂部B7に伝えやすくなる。そのため、半導体チップB41にて発生した熱を、樹脂底面B71を経由させて半導体装置B101の外部(本実施形態においては、放熱部材B808)に、より効率的に伝えることができる。このような半導体装置B101は放熱性に優れているといえる。以上より、本実施形態によると、第2封止樹脂部B7が剥離しにくく且つ放熱性に優れた半導体装置B101が提供される。
半導体装置B101においては、第2封止樹脂部B7を構成する材料は、第1封止樹脂部B6を構成する材料の熱伝導率よりも大きい。このような構成によると、半導体チップB41にて発生した熱を第1封止樹脂部B6に伝わりにくくするとともに、半導体チップB41にて発生した熱をダイパッド部B11および第2封止樹脂部B7を経由させて、半導体装置B101の外部により伝えやすくことができる。すなわち、本実施形態によると、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B101の外部に伝えることができる。
半導体装置B101においては、第1封止樹脂部B6は第1樹脂面B63を有する。第1樹脂面B63は、第2封止樹脂部B7が直接接する。また第1樹脂面B63は、凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、第2封止樹脂部B7と第1封止樹脂部B6との接合面積を大きくすることができる。第2封止樹脂部B7と第1封止樹脂部B6との接合面積を大きくできると、第2封止樹脂部B7が第1封止樹脂部B6から剥離することを抑制できる。
半導体装置B101は、複数の放熱フィラーB812を備える。各放熱フィラーB812を構成する材料の熱伝導率は、第2封止樹脂部B7を構成する樹脂材料の熱伝導率よりも大きい。このような構成によっても、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B101の外部に伝えることができる。
半導体装置B101においては、各放熱フィラーB812は、破砕フィラーである。破砕フィラーは球形フィラーに比べて熱伝導率が大きいことが多い。そのため、本実施形態によると、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B101の外部に伝えることができる。なお、第2封止樹脂部B7は半導体チップB41に接していないため、第2封止樹脂部B7に散在している破砕フィラーが、半導体チップB41に接触しない。そのため、半導体チップB41が破砕フィラーによって傷つけられるおそれを回避できる。
半導体装置B101の製造工程においては、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する。また、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程においては、ダイパッド裏面B112に対しブラスト処理を施す。ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程は、第1封止樹脂部B6を形成する工程の後に行い、第2封止樹脂部B7を形成する工程は、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程の後に行う。このような構成によると、ブラスト処理を行う時、半導体チップB41は第1封止樹脂部B6に覆われている。そのため、ブラスト処理を行うためにダイパッド裏面B112に対し噴きつける非金属粒や金属粒は、半導体チップB41に衝突せずに、第1封止樹脂部B6ないしダイパッド部B11に衝突する。よって、ブラスト処理を行う際に半導体チップB41に非金属粒や金属粒が衝突することにより半導体チップB41が損傷することを、防止できる。同様の理由により、ブラスト処理を行う際に半導体チップB42、受動部品チップB43、およびワイヤB8が損傷することを、防止できる。
半導体装置B101を製造工程では、ダイパッド裏面B112に対しブラスト処理を施す工程と同時に、第1封止樹脂部B6に対しブラスト処理を施す。このような構成によると、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成するのとは別途、第1封止樹脂部B6の第1樹脂面B63に凹凸形状の部位を形成する必要がない。よって、このような構成は、半導体装置の製造の効率化を図るのに適する。
<第5実施形態>
図54、図55を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。
図54は、本発明の第5実施形態の半導体装置のリードを折り曲げる前の底面図である。図55は、図54のLV−LV線に沿う断面図である。
これらの図に示す半導体装置B102は、第1電極部B1、第2電極部B2、および、第3電極部B3と、半導体チップB41,B42と、受動部品チップB43と、第1封止樹脂部B6と、第2封止樹脂部B7と、複数のワイヤB8と、接合層B991と、を備える。第1封止樹脂部B6と第2封止樹脂部B7とを除き、半導体装置B102における、第1電極部B1、第2電極部B2、および、第3電極部B3、半導体チップB41,B42、受動部品チップB43、複数のワイヤB8、および接合層B991の各構成は、上述の半導体装置B101と同様であるから、説明を省略する。
第1封止樹脂部B6は、複数の突出部B65を更に含む点を除き、上述の半導体装置B101における構成と同様である。各突出部B65は、第1樹脂面B63から突出する形状である。各突出部B65は、円柱形状であってもよいし四角柱形状であってもよい。各突出部B65は、第2封止樹脂部B7に食い込んでいる。本実施形態においては、各突出部B65は、第2封止樹脂部B7を貫通している。そのため、各突出部B65は、樹脂底面B71から露出している。各突出部B65は、樹脂底面B71と面一である面を有する。なお、各突出部B65は第2封止樹脂部B7を貫通している必要は必ずしもない。
第2封止樹脂部B7は、突出部B65が食い込んでいる点を除き、上述の半導体装置B101における構成と同様であるから、説明を省略する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置B102においては、ダイパッド裏面B112は、第2封止樹脂部B7が直接接する凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、第2封止樹脂部B7が剥離しにくく且つ放熱性に優れた半導体装置B102が提供される。
半導体装置B102においては、第1封止樹脂部B6は、第2封止樹脂部B7に食い込む突出部B65を含む。このような構成によると、突出部B65と第2封止樹脂部B7との接合面積と同程度の面積だけ、半導体装置B101における第1封止樹脂部B6と第2封止樹脂部B7との接合面積を大きくすることができる。よって、第2封止樹脂部B7と第1封止樹脂部B6とをより強固に接合でき、第2封止樹脂部B7が剥離することを防止できる。
半導体装置B102においては、第2封止樹脂部B7を構成する材料は、第1封止樹脂部B6を構成する材料の熱伝導率よりも大きい。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B102の外部に伝えることができる。
半導体装置B102においては、第1封止樹脂部B6は第1樹脂面B63を有する。第1樹脂面B63は、第2封止樹脂部B7が直接接する。また第1樹脂面B63は、凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、第2封止樹脂部B7が第1封止樹脂部B6から剥離することを抑制できる。
半導体装置B102は、複数の放熱フィラーB812を備える。各放熱フィラーB812を構成する材料の熱伝導率は、第2封止樹脂部B7を構成する材料の熱伝導率よりも大きい。このような構成によっても、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B102の外部に伝えることができる。
半導体装置B102においては、各放熱フィラーB812は、破砕フィラーである。破砕フィラーは球形フィラーに比べて熱伝導率が大きいことが多い。そのため、本実施形態によると、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B102の外部に伝えることができる。なお、第2封止樹脂部B7は半導体チップB41に接していないため、第2封止樹脂部B7に散在している破砕フィラーが、半導体チップB41に接触しない。そのため、半導体チップB41が破砕フィラーに傷つけられるおそれを回避できる。
図示しないが、半導体装置B102の製造工程においては、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する。また、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程においては、ダイパッド裏面B112に対しブラスト処理を施す。ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程は、第1封止樹脂部B6を形成する工程の後に行い、第2封止樹脂部B7を形成する工程は、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程の後に行う。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、ブラスト処理を行う際に半導体チップB41に非金属粒や金属粒が衝突することにより半導体チップB41が損傷することを、防止できる。同様の理由により、ブラスト処理を行う際に半導体チップB42、受動部品チップB43、およびワイヤB8が損傷することを、防止できる。
図示しないが、半導体装置B102を製造工程では、ダイパッド裏面B112に対しブラスト処理を施す工程と同時に、第1封止樹脂部B6に対しブラスト処理を施す。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、半導体装置の製造の効率化を図ることができる。
<第6実施形態>
図56、図57を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。
図56は、本発明の第6実施形態の半導体装置を示す断面図である。図57は、図56の領域LVIIの部分拡大図である。
これらの図に示す半導体装置B103は、第1電極部B1、第2電極部B2、および、第3電極部B3と、半導体チップB41,B42と、受動部品チップB43と、第1封止樹脂部B6と、第2封止樹脂部B7と、複数のワイヤB8と、接合層B991と、を備える。第1電極部B1と第1封止樹脂部B6と第2封止樹脂部B7とを除き、半導体装置B103における、第2電極部B2および第3電極部B3、半導体チップB41,B42、受動部品チップB43、複数のワイヤB8、および接合層B991の各構成は、上述の半導体装置B101と同様であるから説明を省略する。第2電極部B2および第3電極部B3と、半導体チップB42と、受動部品チップB43と、ワイヤB8と、についての図示は省略している。
複数の第1電極部B1はそれぞれ、ダイパッド部B11と、接続部B12と、ワイヤボンディング部B13と、リードB14と、を含む。接続部B12、ワイヤボンディング部B13、およびリードB14の各構成は、上述の半導体装置B101における構成と同様であるから、説明および図示を省略する。
各ダイパッド部B11は、xy平面に沿う板状である。ダイパッド部B11には半導体チップB41が配置されている。
各ダイパッド部B11は、ダイパッド主面B111とダイパッド裏面B112とダイパッド側面B113とを有する。ダイパッド主面B111およびダイパッド裏面B112は上述の半導体装置B101における構成と同様であるから、説明を省略する。
ダイパッド側面B113は、ダイパッド部B11の厚さ方向(方向z)に交差する方向を向く。互いに隣接する2つのダイパッド部B11におけるダイパッド側面B113は、互いに対向する部位を有する。図57に示すように、本実施形態において、ダイパッド側面B113は、微細な凹凸形状の部位を有する。ダイパッド側面B113における凹凸形状の部位は、ダイパッド裏面B112につながっている。ダイパッド側面B113のうちダイパッド主面B111側の領域は、第1封止樹脂部B6に覆われている。ダイパッド側面B113のうちダイパッド主面B111側の領域は、第1封止樹脂部B6に直接接する。一方、ダイパッド側面B113のうちダイパッド裏面B112側の領域は、第2封止樹脂部B7に覆われている。ダイパッド側面B113のうちダイパッド裏面B112側の領域は、第2封止樹脂部B7に直接接する。ダイパッド側面B113における凹凸形状の部位は、ダイパッド側面B113のうちの第2封止樹脂部B7に直接接する領域である。ダイパッド側面B113における凹凸形状の部位の高低差は、たとえば、0.01〜1μmである。ダイパッド部B11に対しブラスト処理(上述)を施すことにより、ダイパッド側面B113に凹凸形状の部位が形成される。
第1封止樹脂部B6における第1樹脂面B63は、方向zにおいて、ダイパッド主面B111およびダイパッド裏面B112との間に位置している。この点を除き、第1封止樹脂部B6は上述の半導体装置B101における構成と同様であるから、説明を省略する。
第2封止樹脂部B7における第2樹脂面B73は、方向zにおいて、ダイパッド主面B111およびダイパッド裏面B112との間に位置している。この点を除き、第2封止樹脂部B7は上述の半導体装置B101における構成と同様であるから、説明を省略する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
半導体装置B103においては、ダイパッド側面B113は、第2封止樹脂部B7と直接接する凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、第2封止樹脂部B7とダイパッド部B11との接合面積を大きくでき、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、放熱性の向上、および、第2封止樹脂部B7の剥離の防止、を図ることができる。
半導体装置B103においては、ダイパッド裏面B112は、第2封止樹脂部B7が直接接する凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、第2封止樹脂部B7が剥離しにくく且つ放熱性に優れた半導体装置B103が提供される。
半導体装置B103においては、第2封止樹脂部B7を構成する材料は、第1封止樹脂部B6を構成する材料の熱伝導率よりも大きい。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B103の外部に伝えることができる。
半導体装置B103においては、第1封止樹脂部B6は第1樹脂面B63を有する。第1樹脂面B63は、第2封止樹脂部B7が直接接する。また第1樹脂面B63は、凹凸形状の部位を有する。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、第2封止樹脂部B7が第1封止樹脂部B6から剥離することを抑制できる。
半導体装置B103は、複数の放熱フィラーB812を備える。各放熱フィラーB812を構成する材料の熱伝導率は、第2封止樹脂部B7を構成する樹脂材料の熱伝導率よりも大きい。このような構成によっても、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B103の外部に伝えることができる。
半導体装置B103においては、各放熱フィラーB812は、破砕フィラーである。破砕フィラーは球形フィラーに比べて熱伝導率が大きいことが多い。そのため、本実施形態によると、半導体チップB41にて発生した熱を、より効率的に半導体装置B103の外部に伝えることができる。なお、第2封止樹脂部B7は半導体チップB41に接していないため、第2封止樹脂部B7に散在している破砕フィラーが、半導体チップB41に接触しない。そのため、半導体チップB41が破砕フィラーによって傷つけられるおそれを回避できる。
図示しないが、半導体装置B103の製造工程においては、ダイパッド裏面B112およびダイパッド側面B113に凹凸形状の部位を形成する。また、ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程においては、ダイパッド裏面B112およびダイパッド側面B113に対しブラスト処理を施す。ダイパッド裏面B112に凹凸形状の部位を形成する工程は、第1封止樹脂部B6を形成する工程の後に行い、第2封止樹脂部B7を形成する工程は、ダイパッド裏面B112およびダイパッド側面B113に凹凸形状の部位を形成する工程の後に行う。このような構成によると、第4実施形態で述べたのと同様の理由により、ブラスト処理を行う際に半導体チップB41に非金属粒や金属粒が衝突することにより半導体チップB41が損傷することを、防止できる。同様の理由により、ブラスト処理を行う際に半導体チップB42、受動部品チップB43、およびワイヤB8が損傷することを、防止できる。
半導体装置B103における構成を、半導体装置B102の構成と組み合わせてもよい。
ダイパッド裏面B112に凹凸形状を形成するのはブラスト処理をするのに限られず、リードフレームB300を形成する際にダイパッド裏面B112に凹凸形状を形成しておいてもよい。また、第1樹脂面B63や第2樹脂面B73を形成する金型B811の表面に凹凸を形成するようにしてもよい。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
[付記23]
互いに反対側を向くダイパッド主面およびダイパッド裏面を有する、導電性のダイパッド部と、
上記ダイパッド主面に配置された半導体チップと、
上記ダイパッド主面および上記半導体チップを覆う第1封止樹脂部と、
上記第1封止樹脂部に直接接する第2封止樹脂部と、を備え、
上記第2封止樹脂部は、上記ダイパッド裏面の向く側に露出している樹脂底面を有し、上記樹脂底面は、上記ダイパッド部の厚さ方向視において上記ダイパッド部と重なり、上記ダイパッド裏面は、上記第2封止樹脂部が直接接する凹凸形状の部位を有する、半導体装置。
[付記24]
上記第2封止樹脂部を構成する材料の熱伝導率は、上記第1封止樹脂部を構成する材料の熱伝導率よりも大きい、付記23に記載の半導体装置。
[付記25]
上記第2封止樹脂部に散在している複数の放熱フィラーを更に備え、
上記各放熱フィラーは、破砕フィラーである、付記23または付記24に記載の半導体装置。
[付記26]
上記破砕フィラーは、アルミナ、二酸化ケイ素、もしくは、窒化ホウ素よりなる、付記25に記載の半導体装置。
[付記27]
上記第1封止樹脂部に散在している複数の低熱膨張フィラーを更に備え、
上記各低熱膨張フィラーは、球状フィラーである、付記23ないし付記26のいずれかに記載の半導体装置。
[付記28]
上記第1封止樹脂部は、上記第2封止樹脂部が直接接する第1樹脂面を有し、上記第1樹脂面は、凹凸形状の部位を有する、付記23ないし付記27のいずれかに記載の半導体装置。
[付記29]
上記第1樹脂面は、上記ダイパッド裏面と面一である、付記28に記載の半導体装置。[付記30]
上記第1樹脂面は、上記ダイパッド部の厚さ方向において、上記ダイパッド裏面と上記ダイパッド主面との間に位置する、付記28に記載の半導体装置。
[付記31]
上記第1封止樹脂部は、上記第2封止樹脂部に食い込む突出部を含む、付記23ないし付記30のいずれかに記載の半導体装置。
[付記32]
上記第2封止樹脂部は、上記ダイパッド部の厚さ方向視において、上記ダイパッド部の全体に重なる、付記23ないし付記31のいずれかに記載の半導体装置。
[付記33]
上記第1封止樹脂部は、上記ダイパッド主面の向く方向と同一方向を向く樹脂主面を有し、上記樹脂主面は、上記ダイパッド部の厚さ方向視において、上記ダイパッド部に重なる、付記23ないし付記32のいずれかに記載の半導体装置。
[付記34]
上記第1封止樹脂部は、上記半導体チップを囲む樹脂側面を有し、上記樹脂側面は、上記樹脂主面と鈍角をなすように上記樹脂主面に対し傾斜している、付記33に記載の半導体装置。
[付記35]
上記樹脂底面は、上記ダイパッド裏面に対し、100〜250μm離間している、付記23ないし付記34のいずれかに記載の半導体装置。
[付記36]
上記第2封止樹脂部の熱伝導率は、2〜5W/mKである、付記35に記載の半導体装置。
[付記37]
上記第2封止樹脂部は、上記ダイパッド部の厚さ方向視において上記ダイパッド部を囲む形状の樹脂壁面を有し、上記樹脂壁面は、上記樹脂底面に対し鈍角をなすように上記樹脂底面に対し傾斜している、付記23ないし付記36のいずれかに記載の半導体装置。
[付記38]
付記23ないし付記37のいずれかに記載の半導体装置と、 上記半導体装置が実装された基板と、
上記樹脂底面に正対する放熱部材と、を備える、半導体装置の実装構造。
[付記39]
半導体チップと、ダイパッド主面およびダイパッド裏面を有するダイパッド部を用意し、
上記ダイパッド主面に上記半導体チップを配置し、
上記ダイパッド主面および上記半導体チップを覆う第1封止樹脂部を形成し、
上記ダイパッド裏面に凹凸形状の部位を形成し、
上記ダイパッド裏面における上記凹凸形状の部位を覆う第2封止樹脂部を形成する、各工程を備える、半導体装置の製造方法。
[付記40]
上記凹凸形状の部位を形成する工程においては、上記ダイパッド裏面に対しブラスト処理を施す、付記39に記載の半導体装置の製造方法。
[付記41]
上記ダイパッド裏面に対しブラスト処理を施す工程と同時に、上記第1封止樹脂部に対しブラスト処理を施す工程を更に備える、付記40に記載の半導体装置の製造方法。
[付記42]
発熱部を有するパワーチップと、
上記パワーチップを制御するLSIチップと、を備え、
上記パワーチップおよび上記LSIチップを樹脂封止したパワー用半導体装置において、
上記パワーチップおよび上記LSIチップを覆う第1封止樹脂部と、
上記第1封止樹脂部に直接接する第2封止樹脂部と、を備え、
上記第1封止樹脂部と上記第2封止樹脂部とが接する面に、外部に露出する面よりも粗い凹凸部を有する、パワー用半導体装置。