JP2017039928A - 反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードコート膜上においても優れた反射防止作用および塗膜強度を付与する反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法、ならびにそれを用いた物品の提供。
【解決手段】非晶質中空シリカ微細粒子4およびエポキシ基を有するシラン化合物を含む反射防止膜3形成用組成物。更に好ましくは、多官能アルコキシシラン化合物を含む反射防止膜3形成用組成物。その上、硬化触媒として、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを含むことが好ましい、反射防止膜3形成用組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物を含む反射防止膜形成用組成物、反射防止膜、およびその形成方法、ならびにそれを用いた物品に関する。
従来、プラスチックなどの化成品の表面を傷や汚れなどから保護するためにハードコート剤による処理が広く行われてきている。
ハードコート剤には、メラミン樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等の有機系ハードコート剤、シラン化合物系等のシリコーン系ハードコート剤および金属酸化物系等の無機系ハードコート剤などが含まれ、この3種に大きく分類されている。
近年、テレビ、携帯電話、ゲーム機などの画像表示装置や、メガネ、サングラス、ゴーグル、光学フィルターなどの光学物品、クリーンエネルギーを生成する太陽電池パネルなどの普及に伴い、透明材料について、その表面への前記ハードコート剤処理によるハードコート膜の形成に加えて、反射防止膜形成による反射防止作用などの光学特性の付与等がますます要求されている。一般的な反射防止膜は蒸着やスパッタリングで形成されており、より安価なウェットコーティングによる反射防止膜の需要も高まっている。
また、反射防止膜は、低反射率を実現するための低い塗膜屈折率を有することに加えて、耐擦傷性や耐磨耗性等の塗膜強度を有することが求められる。近年では、内部に空隙を有するシリカ微粒子を低屈折率材料として、マトリックス材料中に分散させて得られるコーティング膜形成塗料を塗布、硬化させることによって低屈折率の透明被膜を形成する技術が知られている(特許文献1、2および3、非特許文献1参照)。
特開2012−137636号公報 特開2003−292831号公報 国際公開WO2013/061428
粉砕No.56,p.42−47(2013)
しかしながら、透明な化成品について、表面を傷や汚れから保護するハードコート膜上に容易に適用でき、かつ優れた反射防止作用および塗膜強度を付与する反射防止膜形成用組成物は現在まだ提供されていない。
そこで、本発明は、ハードコート膜上においても優れた反射防止作用および塗膜強度を付与する反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法、ならびにそれを用いた物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解消すべく鋭意検討した結果、中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物をその組成物に配合することにより、物品に優れた反射防止作用および塗膜強度を付与することが可能な反射防止膜形成用組成物を提供できることを見出して本発明を完成した。
本発明は、以下に示すような中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物の加水分解縮合物を含む反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法、ならびにそれを用いた物品に関する。
本発明の反射防止膜形成用組成物は、中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物を含むことを特徴とする。
本発明の前記組成物を用いて形成された単層の膜は、優れた反射防止機能および塗膜強度を有する膜とすることができる。
また、微粒子や、防汚剤を配合することにより、さらに、増強した防眩性や、防汚性を有する膜とすることができる。
この膜を形成させた物品は、物品表面のハードコート処理後においても、反射防止機能や、防眩性、防汚性を容易に付与でき、有用なものである。
本発明によれば、優れた反射防止作用および膜強度を付与する反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法、ならびにそれを用いた物品を提供できる。
図1は、物品表面(基材)上に単層で形成された、反射防止作用を有する本願発明の反射防止膜の模式図である。 図2は、物品表面(基材)上に複層で形成された、反射防止作用を有する本願発明の反射防止膜の模式図である。 図3は、物品表面(基材)上に単層で形成された防眩性反射防止作用を有する本願発明の防眩性反射防止膜の模式図である。
<反射防止膜形成用組成物>
本発明の反射防止膜形成用組成物は、中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物を含む。
<中空シリカゾル>
中空シリカゾルは、水、有機溶媒またはそれらの混合物中に分散させた中空シリカ微細粒子を含むものを意味する。
中空シリカ微細粒子は、その内部に空隙を有し、かつ低屈折率を有するシリカ(SiO)非晶質粒子である。
中空シリカ微細粒子の一次粒子径は、好ましくは、10〜100nm、より好ましくは20〜90nm、さらにより好ましくは30〜80nmである。中空シリカの一次粒子径が10nm未満である場合、十分な反射防止機能が得られなく、100nmを超える場合、薄膜での膜厚制御が困難になり好ましくない。
中空シリカ微細粒子は、中空シリカゾル100質量部に対し、固形物として、1〜70質量部、好ましくは10〜60質量部で存在し得る。中空シリカ微細粒子が1質量部未満である場合、中空シリカゾル分散溶媒の比率が高いために処方上の溶媒組成が制限されるおそれがあり、70質量部を超える場合、中空シリカゾルの保存安定性の観点より好ましくない。
中空シリカゾルは、反射防止膜形成用組成物100質量部に対し、固形物の中空シリカ微細粒子として、0.5〜10質量部、好ましくは1〜3質量部で存在し得る。中空シリカ微細粒子が0.5質量部未満である場合、不十分な低屈折率となり好適な反射防止機能が得られないおそれがあり、5質量部を超える場合、薄膜の形成制御の観点より好ましくない。
また、これらの中空シリカゾルおよび中空シリカ微細粒子は各々、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の反射防止膜形成用組成物は、中空シリカゾル中に含有される中空シリカ微細粒子を用いることにより、透過率が高い反射防止膜を形成できる。
<エポキシ基を有するシラン化合物>
本発明に用いるエポキシ基を有するシラン化合物は、下記一般式(1)または(2)で表され、シロキサン結合による無機架橋を形成するアルコキシシラン部位と、有機架橋を形成するエポキシ基を有する。
Figure 2017039928
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルコシキ基または飽和炭化水素基、RおよびRは各々、独立して炭素数1〜4の飽和炭化水素基を表し、pおよびqは各々、独立して1〜10の整数を表す];または
Figure 2017039928
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルコシキ基または飽和炭化水素基、RおよびRは各々、独立して炭素数1〜4の飽和炭化水素基を表し、rは1〜10の整数を表す]
エポキシ基を有するシラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。中でも3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
前記エポキシ基を有するシラン化合物は、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で使用する非晶質中空シリカ微細粒子は、その表面の反応性が高く、エポキシ基を有するシラン化合物と反応するため、塗膜中で一次粒子の形態で分散しやすく、均質な膜を形成することができる。
エポキシ基を有するシラン化合物は、反射防止膜形成用組成物100質量部に対し、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部で存在し得る。エポキシ基を有するシラン化合物が0.3質量部未満である場合、十分な塗膜強度を得られないおそれがあり、5質量部を超える場合、不十分な低屈折率となり好適な反射防止機能が得られず好ましくない。
中空シリカゾルとエポキシ基を有するシラン化合物との配合比(質量)は、それらの特性に依存するが、一般的には、固形分(中空シリカ微細粒子およびエポキシ基を有するシラン化合物)として、20:80〜80:20、好ましくは30:70〜70:30であり、35:65〜65:35がより好ましく、40:60〜60:40がさらに好ましい。50:50〜60:40が最も好ましい。
中空シリカゾルの固形分の配合比が20未満である場合、不十分な低屈折率となり好適な反射防止機能が得られなく、80を超える場合、形成される反射防止膜の強度が低下するため好ましくない。
通常、中空シリカゾルの固形分の配合比が50を超えると、膜強度が低下すると考えられているが、本発明においては、エポキシ基を有するシラン化合物とシリカ表面との反応により、さらに高い配合比でも十分な強度を保つことができる。一方、中空シリカの配合比を高くすることができるため、より一層屈折率を低下させることができ、その結果、反射防止機能を増強することができる。
また、本発明の反射防止膜形成用組成物には、前記のエポキシ基を有するシラン化合物に加えて、所望により、多官能アルコキシシラン化合物を併用することで、エポキシ基を有するシラン化合物のみを使用する場合と比較して反射防止膜の屈折率を低く設計することが可能である。
また、これにより、シロキサン結合による無機架橋が増大し、反射防止膜の強度の向上を図ることもできる。
多官能アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましい。前記多官能アルコキシシラン化合物は、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
多官能アルコキシシラン化合物は、反射防止膜形成用組成物100質量部に対し、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部で存在させ得る。多官能アルコキシシラン化合物が0.3質量部未満である場合、塗膜の屈折率が十分に低くならないおそれがあり、5質量部を超える場合、塗膜にクラック等の外観不良が発生するおそれがあるため好ましくない。
また、本発明の反射防止膜形成用組成物には、硬化触媒を添加し得る。
硬化触媒としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、チタニウムトリスアセチルアセトナート等のアセチルアセトン金属キレート化合物;金属アルコキシド化合物;過塩素酸塩化合物が挙げられる。これら中で、アセチルアセトン金属キレート化合物が好ましく、特に、アルミニウムトリスアセチルアセトナートが好適に用いられる。
硬化触媒の配合量は、使用される中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物に依存して、適宜決定されるが、典型的には、反射防止膜形成用組成物中の固形分100質量部に対し、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは3〜10質量部で存在させ得る。硬化触媒が1質量部未満である場合、膜硬化が生じないおそれがあり、15質量部を超える場合、硬化触媒が析出するおそれがあるため好ましくない。
本発明の反射防止膜形成用組成物は防眩性を有するが、さらに、所望により、結晶性シリカ粒子の二次凝集体を添加することで、反射防止膜の表面に微細な凹凸を形成し、表面反射のギラつきを抑制する防眩性を増強することができる。防眩性を増強する結晶性シリカ粒子としては反射防止膜の屈折率を低く抑え、かつ効果的に入射光を散乱させる観点から、結晶性中空シリカ粒子が好適である。結晶性中空シリカ粒子は、その内部に空隙を有し、かつ低屈折率を有するシリカ(SiO)結晶性粒子を意味する。このような結晶性中空シリカ粒子は、ナノバルーンシリカと呼ばれ、例えば、炭酸カルシウムのコア粒子にゾル−ゲル法でシリカコーティングを行い、酸処理によりコア粒子を溶解させて中空のシリカ粒子を製造することができる。このようにして得られた結晶性中空シリカ粒子は、その表面のシラン化合物に対する反応性が乏しく、通常、数個〜十数個が凝集して二次凝集物を形成する。
また、本発明の反射防止膜形成用組成物において、中空シリカ粒子を用いることにより、透過率が高い反射防止膜を形成できる。
結晶性中空シリカ粒子の一次粒子径は、好ましくは、20〜100nm、より好ましくは30〜80nmである。結晶性中空シリカ粒子の一次粒子径が20nm未満である場合、十分な防眩性が得られないおそれがあり、100nmを超える場合、結晶性中空シリカ粒子二次凝集物の分散安定性が低下し、二次凝集物が大きくなり低屈折率層の表面粗度およびヘイズ値が上昇するので、好ましくない。
結晶性中空シリカ粒子は、反射防止膜形成用組成物中の固形分100質量部に対し、0.5〜10質量部、好ましくは1〜5質量部で存在し得る。結晶性中空シリカ粒子が0.5質量部未満である場合、反射防止膜において十分に増強した防眩性が得られなく、10質量部を超える場合、反射防止膜のヘイズ値が高まり、光の透過性が低下するおそれがあり好ましくない。
さらに、本発明の反射防止膜形成用組成物に、所望により、塗布性をより向上させる目的で界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
前記界面活性剤の配合量は、反射防止膜形成用組成物の塗布性を考慮して適宜決定されるが、典型的には、反射防止膜形成用組成物中の固形分100質量部に対し、好ましくは0.001〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部で存在させ得る。界面活性剤が0.001質量部未満である場合、塗布性が生じないおそれがあり、2質量部を超える場合、反射防止膜の密着性が低下するおそれがあるため好ましくない。
さらに、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、所望により、反射防止膜形成用組成物にアンチブロッキング剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
また、前記の硬化触媒、非晶質中空シリカ微細粒子、結晶性中空シリカ粒子の二次凝集物、界面活性剤および添加剤等は、各々、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
<反射防止膜形成用組成物の製造例>
少なくとも1種の中空シリカゾルを溶媒中で撹拌下混合させ、室温以下の温度に調節した。その温度を保ちながら、エポキシ基を有するシラン化合物またはエポキシ基を有するシラン化合物と多官能アルコキシシラン化合物の混合物を滴下する。次いで、この混合液を昇温させ、撹拌後、揮発性溶媒、硬化触媒を添加して、反射防止膜形成用組成物を得る。
揮発性溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などが挙げられる。これらの中で、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。これらの揮発性溶媒は、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
揮発性溶媒は、反射防止膜形成用組成物100質量部に対し、90〜99質量部、好ましくは95〜98質量部で存在し得る。
<反射防止膜>
本発明は、前記のごとき反射防止膜形成用組成物を物品の基材上に形成されたハードコート膜または物品の基材上に塗布し、加熱乾燥させることにより形成された反射防止膜を提供する。
<ハードコート膜>
ハードコート膜は、メラミン樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、シラン化合物系および金属酸化物系ハードコート剤ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される少なくとも1種のハードコート剤を物品の基材上に塗布し、加熱乾燥またはエネルギー線を照射して形成される。中でもハードコート剤として、アクリル樹脂系、シラン化合物系が好ましい。
ハードコート膜は、単層または積層体であり得る。
メラミン樹脂系ハードコート剤としては、水溶性型、水分散型および溶剤型のものなどが挙げられる。
ウレタン樹脂系ハードコート剤としては、水分散型、溶剤型および二液硬化型のものなどが挙げられる。
アクリル樹脂系ハードコート剤としては、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートおよび有機−無機ハイブリッド型のものなどが挙げられる。
シラン化合物系ハードコート剤としては、ゾル−ゲル型、有機−無機ハイブリッド型のものなどが挙げられる。
金属酸化物系ハードコート剤としては、ゾル−ゲル型およびスパッタリングや各種蒸着法により形成されるものなどが挙げられる。
前記の各種ハードコート剤は、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
本願発明の反射防止膜形成用組成物により形成される反射防止膜は、これらのハードコート剤により形成されたいずれのハードコート膜上にも直接形成し得るが、両膜の接着性や、加工性のため、好ましくはアクリル樹脂系およびシラン化合物系ハードコート剤、より好ましくは、シラン化合物系ハードコート剤により形成されたハードコート膜上に直接形成される。
ハードコート剤は任意の塗膜屈折率を付与するものを使用できるが、反射防止性能の観点から、得られるハードコート膜は、反射防止膜の屈折率よりも高く、かつその屈折率の差が大きい程好ましい。ハードコート膜の塗膜屈折率として、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.50以上、さらにより好ましくは1.55以上であって、1.75以下である。ハードコート膜の屈折率の範囲として、1.45〜1.75、より好ましくは1.50〜1.75、さらにより好ましくは1.55〜1.75が好ましい。
さらに、ハードコート膜の膜厚は、目的とする機能により決定される。その膜厚は、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μm、さらにより好ましくは1.5〜10μmであり、2〜5μmが最も好ましい。反射率を低減させるために、ハードコート層と反射防止膜層との間に、高屈折率層を設けてもよい。
<ハードコート剤の調製例>
ハードコート剤の一例として、シラン化合物系ハードコート剤の調製を示す。
少なくとも1種の中空シリカゾルを溶媒中で撹拌下混合させ、室温以下の温度に調節した。その温度を保ちながら、少なくとも1種のアルコキシシラン化合物を滴下する。その後、溶液温度を昇温させ撹拌する。次に、硬化触媒を添加して、ハードコート剤を調製した。
また、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シラン化合物および金属酸化物よりなる他のハードコート剤も、常法により調製できる。
さらに、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、所望により、ハードコート剤にアンチブロッキング剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
<ハードコート膜の形成方法>
本願のハードコート膜は、前記ハードコート剤から単層または積層体のハードコート膜を形成させることにより作製され、その形成方法は、物品表面の基材上に少なくとも1種の前記ハードコート剤を塗布し塗膜を形成する工程、該塗膜から揮発性溶媒を揮発させ乾燥させる工程、および該塗膜を硬化し硬化層を形成する工程をこの順序にて含む。
また、ハードコート膜は、物品表面の基材および/または反射防止膜との間に少なくとも1種の中間層または膜を含んでもよい。
中間層または膜としては、特に限定されるものではなく、ハードコート膜、接着層等いずれのものも含む。
<反射防止膜の形成方法>
本発明は、前記の反射防止膜形成用組成物を用いる反射防止膜の形成方法であって、ハードコート膜または物品表面の基材上に該反射防止膜形成用組成物を単層で形成させることを特徴とする。本発明によれば、反射防止膜は、前記のハードコート膜もしくは高屈折率層または物品表面の基材上に前記反射防止用組成物を塗布し塗膜を形成する工程、該塗膜から揮発性溶媒を揮発させ乾燥させる工程、および該塗膜を硬化し硬化層を形成する工程をこの順序にて含むことにより、前記反射防止用組成物から形成する。
これにより、物品表面の基材上、または物品表面の基材上に形成されたハードコート膜もしくは高屈折率層上に形成された、本発明の反射防止膜形成用組成物の硬化体である、反射防止膜を得ることができる。
本発明の物品は、液晶などの画像表示装置や、メガネ、サングラス、ゴーグル、光学フィルターなどの光学物品や、太陽電池パネルなどを含み、本願発明の反射防止用組成物をその表面の基材に適用可能な物品を意味する。
また、物品本来の表面基材に加えて、その表面がハードコート剤などの各種の処理により予め表面処理された表面基材も、物品の表面基材に含まれる。
物品表面の基材としては、ガラス等の透明な無機系基材および透明なプラスチック系基材の成形品、板またはフィルム等が挙げられ、透明なプラスチック系基材等の透明な無機系基材の成形品または板が特に好ましい。
無機系基材としては、透明な無機系基材であれば特に制限はないが、ソーダ石灰ガラス、鉛ソーダ石灰ガラス、鉛カリガラス、石英ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。
プラスチック系基材としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート等のポリエステル系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリラート等のアクリル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー等の透明ポリマーからなる成形品またはフィルムが挙げられる。
また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなる成形品またはフィルムが挙げられる。
さらに、プラスチック系基材としては、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなる成形品またはフィルム等が挙げられる。
該基材上に塗布する方法として、ディップコート、ロールコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート、グラビアコート等の一般的な方法が使用できる。
また、形成された反射防止膜の屈折率は、前記のように、ハードコート膜や物品の表面基材等の屈折率に対応させて決定され、反射防止性能の観点から、ハードコート膜等より低く、かつその屈折率との差が大きい程好ましい。
反射防止膜の屈折率としては、1.30以上であって、好ましくは1.45以下、より好ましくは1.40以下、さらにより好ましくは1.35以下である。反射防止膜の屈折率の範囲として、1.30〜1.45、より好ましくは1.30〜1.40、さらにより好ましくは1.30〜1.35が好ましい。
さらに、反射防止膜の膜厚は、目的とする屈折率に対応させて決定されるが、好ましくは50〜200nm、より好ましくは60〜150nm、さらにより好ましくは70〜130nmであり、80〜120nmが最も好ましい。
以下に、調製例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら調製例および実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(反射防止膜形成用組成物1の調製)
2L容のビーカー中で、撹拌下、中空コロイダルシリカゾル(商品名:スルーリア 4110、日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度 20%)73.2g(7.32質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)200g(20質量部)、0.02N 塩酸 20g(2質量部)を混合し、室温で撹拌した。ここへ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)10.6g(1.06質量部)、メチルトリエトキシシラン(MTES)19.9g(1.99質量部)の混合物を室温下で1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を50℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。冷却後に、さらに、アルミニウムトリスアセチルアセトナート 2.4g(0.24質量部)、IPA 673.9g(67.39質量部)を加えて、反射防止膜形成用組成物1 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.35であった。
次に、反射防止膜を形成するに際して、物品基材上のハードコートを形成するため、以下のハードコート剤を調製した。
(ハードコート剤の調製)
2L容のビーカー中で、水分散コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス O、日産化学工業株式会社製、固形分濃度 20%)158g(15.8質量部)、メタノール分散コロイダルシリカゾル(商品名:メタノールシリカゾル、日産化学工業株式会社製、固形分濃度 30%)260g(26質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)115g(11.5質量部)を混合し、溶液温度を0〜25℃に調節した。その温度を保ちながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)238g(23.8質量部)を1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を30℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。溶液温度を25℃以下まで冷却後にアルミニウムトリスアセチルアセトナート 9.6g(0.96質量部)、アセチルアセトン 69.3g(6.93質量部)、ブチルセロソルブ 25g(2.5質量部)、PGME 125.1g(12.51質量部)を添加して、ハードコート剤 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.50であった。
(反射防止膜の形成)
次に、プライマー処理を行ったポリカーボネート板またはポリカーボネートレンズを上記のハードコート剤に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げてハードコート剤を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間予備乾燥を行った。
基材をオーブンから取り出し、室温まで冷却後に上記で得られた反射防止膜形成用組成物1に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げて反射防止膜形成用組成物1を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間の予備乾燥を行った後に、120℃オーブン内で30分間加熱して硬化させた。形成されたハードコート膜および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100nmであった。
反射防止膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、反射防止膜中で、中空シリカは均一に分散していた。
<実施例2>
前記実施例1において、反射防止膜形成用組成物1を下記で調製した反射防止膜形成用組成物2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の反射防止膜を形成した。形成されたハードコート膜および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100nmであった。
(反射防止膜形成用組成物2の調製)
2L容のビーカー中で、撹拌下、中空コロイダルシリカゾル(商品名:スルーリア 4110、日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度 20%)78.0g(7.80質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)200g(20質量部)、0.02N 塩酸 20g(2質量部)を混合し、室温で撹拌した。ここへ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)10.6g(1.06質量部)、テトラエトキシシラン(TEOS)26.0g(2.60質量部)の混合物を室温下で1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を50℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。冷却後に、さらに、アルミニウムトリスアセチルアセトナート 2.4g(0.24質量部)、IPA 663.0g(66.3質量部)を加えて、反射防止膜形成用組成物2 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.35であった。
<実施例3>
前記実施例1において、ハードコート層の上に下記で調製した高屈折率組成物を用いて高屈折率層を形成し、その上に反射防止膜形成用組成物1を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の反射防止膜を形成した。形成されたハードコート膜、高屈折率層および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μm、100μmおよび100nmであった。
(高屈折率組成物の調製)
2L容のビーカー中で、メタノール分散酸化チタンゾル(商品名:サンコロイドHT−R305M7、日産化学工業株式会社製、固形分濃度 30%)33g(3.3質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)100g(10質量部)、酸性水20g(2質量部)を混合し、溶液温度を0〜25℃に調節した。その温度を保ちながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)25.4g(2.54質量部)とテトラエトキシシラン7.3g(0.73質量部)の混合物を1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を30℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。溶液温度を25℃以下まで冷却後にアルミニウムトリスアセチルアセトナート 2.4g(0.24質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)812g(81.2質量部)を添加して、高屈折率組成物 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.60であった。高屈折率層の上に形成する低屈折率層は反射防止膜形成用組成物1を用いた。
<実施例4>
前記実施例1において、反射防止膜形成用組成物1を下記で調製した防眩性反射防止膜形成用組成物1に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の防眩性反射防止膜を形成した。形成されたハードコート膜および防眩性反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100〜150nmであった。
(防眩性反射防止膜形成用組成物1の調製)
一次粒子径 40nmの結晶性中空シリカ粒子(商品名:XG40、グランデックス株式会社製)0.9g(0.09質量部)をIPA 90g(9質量部)に分散させた。この分散液を実施例1で調製した反射防止膜形成用組成物1 1kg(100質量部)に加え、30分間混合し防眩性反射防止膜形成用組成物1を調製した。
この実施例で使用した結晶性中空シリカ粒子は数個から十数個が凝集して二次凝集物を形成している。前記二次凝集物の大きさは300〜500nmであった。
<比較例1>
(反射防止膜形成用組成物3の調製)
2L容のビーカー中で、撹拌下、中空コロイダルシリカゾル(商品名:スルーリア4320、日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度 20%)148.2g(14.82質量部)、ペンタエリスリトールトリアクリラート(商品名:アロニックスM−306、東亞合成株式会社製)13.1g(1.31質量部)、メチルイソブチルケトン(MIBK)1337.4g(133.74質量部)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン 1.4g(0.14質量部)を混合し、エポキシ基を有するシラン化合物を含まない反射防止膜形成用組成物3 1.5kg(150質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.33であった。
(反射防止膜の形成)
次に、プライマー処理を行ったポリカーボネート板またはポリカーボネートレンズを実施例1で得られたハードコート剤に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げてハードコート剤を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間の予備乾燥を行った後に、120℃オーブン内で30分間加熱して硬化させた。
基材をオーブンから取り出し、室温まで冷却後に上記で得られた反射防止膜形成用組成物3に浸漬し、5mm/秒の速度で引き上げて反射防止膜形成用組成物3を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で5分間の予備乾燥を行った後に、高圧水銀ランプ下で500mJ/cmの紫外光を照射して硬化させた。形成されたハードコート膜および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100nmであった。
<比較例2>
一次粒子径 100nmの結晶性中空シリカ粒子(商品名:XG100、グランデックス株式会社製)を用いる以外は、実施例4と同様にして、反射防止膜を形成した。
この実施例で使用した結晶性中空シリカ粒子は数個から十数個が凝集して二次凝集物を形成している。前記二次凝集物の大きさは600〜800nmであった。
<比較例3>
プライマー処理を行ったポリカーボネート板またはポリカーボネートレンズを実施例1で得られたハードコート剤に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げてハードコート剤を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間予備乾燥を行った後に、120℃オーブン内で30分間加熱して硬化させ、ハードコート膜を形成した。形成されたハードコート膜の膜厚は、3.2μmであった。
(反射防止膜の評価)
実施例1〜4および比較例1〜3で形成した測定サンプルについて、以下の試験方法によりその性能を評価した。
<反射率測定>
測定サンプルの裏面をサンドペーパーで数回擦り、艶消しの黒色塗料を塗布した後、波長400〜700nmで光の入射角5゜の片面の反射率を分光光度計(型番:U−3310、(株)日立製作所製)を用いて測定し、測定範囲内での最小反射率(%)を反射率として用いた。
<全光線透過率>
ヘーズメーター(型番:NDH−2000、日本電色工業(株)製)を用いて、常法により反射防止膜の全光線透過率(%)を測定した。
<塗膜の耐擦傷性試験>
表面性測定機(型番:TYPE14DR、新東科学(株)製)のスチールウールホルダーに#0000のスチールウールを固定し、200gの荷重をかけて、低屈折率層表面上を10回往復摩擦した(以下、スチールウール擦傷試験という)。
<Bayer摩耗試験>
塗膜の耐磨耗性の評価を行うため、レンズの耐摩耗性評価方法として一般的なBayer摩耗試験を実施した。
Bayer試験機(COLTS Labratories社製)を用いてレンズの面の擦傷の受けやすさを測定した。試験機に、上記にて作製したレンズサンプルとISO規格のCR−39レンズとをセットして、摩耗剤(商品名:Kryptonite B、COLTS Labratories社製)500gを投入した。600回の往復動作の後、レンズサンプルおよびCR―39を取り出し、ヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定には、BYKガードナー・ヘイズ-ガード プラスを用いた。ヘイズ値を測定後、次の計算式により、Bayer試験の値R(Bayer比)を算出した。
Figure 2017039928
ここで、Dstdは試験後のCR−39のヘイズ値から試験前のCR−39のヘイズ値を引いた値、Dtestは試験前のレンズサンプルのヘイズ値から試験前のレンズサンプルのヘイズ値を引いた値を示す。Bayer比が高いほど、耐摩耗性に優れる。
<防眩性測定>
防眩性評価
基材上に作成した反射防止膜にルーバーなしの蛍光灯拡散光を映し、表面のギラツキを以下の基準で評価した。
ほとんどギラツキが見られない:優
わずかにギラツキがある:良
目で識別できるサイズのギラツキがある:不可
形成した反射防止膜等の評価結果を表1に示す。
Figure 2017039928
本発明によれば、優れた反射防止作用および塗膜強度を付与する反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法、ならびにそれを用いた物品を提供できる。
1 基材
2 ハードコート膜
3 反射防止膜
4 中空シリカ微細粒子
5 高屈折率層
6 結晶性中空シリカ粒子
7 防眩性反射防止膜

Claims (8)

  1. 中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物を含む反射防止膜形成用組成物。
  2. さらに、多官能アルコキシシラン化合物を含む請求項1記載の反射防止膜形成用組成物。
  3. 該エポキシ基を有するシラン化合物が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される請求項1または2記載の反射防止膜形成用組成物。
  4. さらに、硬化触媒として、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを含む、請求項1〜3いずれかに記載の反射防止膜形成用組成物。
  5. 物品表面の基材上、または物品表面の基材上に形成されたハードコート膜上に形成された、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜形成用組成物の硬化体である、反射防止膜。
  6. ハードコート膜が、メラミン樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、シラン化合物系および金属酸化物系ハードコート剤ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される少なくとも1種のハードコート剤により形成された請求項5記載の反射防止膜。
  7. 請求項6に記載の反射防止膜を含む物品。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜形成用組成物を用いる、反射防止膜の形成方法であって、
    ハードコート膜または物品表面の基材上に該反射防止膜形成用組成物を単層または複数層で形成させることを特徴とする該方法。
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