JP2017039928A - 反射防止膜形成用組成物、反射防止膜およびその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非晶質中空シリカ微細粒子4およびエポキシ基を有するシラン化合物を含む反射防止膜3形成用組成物。更に好ましくは、多官能アルコキシシラン化合物を含む反射防止膜3形成用組成物。その上、硬化触媒として、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを含むことが好ましい、反射防止膜3形成用組成物。
【選択図】図1
Description
ハードコート剤には、メラミン樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等の有機系ハードコート剤、シラン化合物系等のシリコーン系ハードコート剤および金属酸化物系等の無機系ハードコート剤などが含まれ、この3種に大きく分類されている。
本発明の前記組成物を用いて形成された単層の膜は、優れた反射防止機能および塗膜強度を有する膜とすることができる。
また、微粒子や、防汚剤を配合することにより、さらに、増強した防眩性や、防汚性を有する膜とすることができる。
本発明の反射防止膜形成用組成物は、中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物を含む。
中空シリカゾルは、水、有機溶媒またはそれらの混合物中に分散させた中空シリカ微細粒子を含むものを意味する。
本発明に用いるエポキシ基を有するシラン化合物は、下記一般式(1)または(2)で表され、シロキサン結合による無機架橋を形成するアルコキシシラン部位と、有機架橋を形成するエポキシ基を有する。
前記エポキシ基を有するシラン化合物は、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
中空シリカゾルの固形分の配合比が20未満である場合、不十分な低屈折率となり好適な反射防止機能が得られなく、80を超える場合、形成される反射防止膜の強度が低下するため好ましくない。
また、これにより、シロキサン結合による無機架橋が増大し、反射防止膜の強度の向上を図ることもできる。
硬化触媒としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、チタニウムトリスアセチルアセトナート等のアセチルアセトン金属キレート化合物;金属アルコキシド化合物;過塩素酸塩化合物が挙げられる。これら中で、アセチルアセトン金属キレート化合物が好ましく、特に、アルミニウムトリスアセチルアセトナートが好適に用いられる。
少なくとも1種の中空シリカゾルを溶媒中で撹拌下混合させ、室温以下の温度に調節した。その温度を保ちながら、エポキシ基を有するシラン化合物またはエポキシ基を有するシラン化合物と多官能アルコキシシラン化合物の混合物を滴下する。次いで、この混合液を昇温させ、撹拌後、揮発性溶媒、硬化触媒を添加して、反射防止膜形成用組成物を得る。
本発明は、前記のごとき反射防止膜形成用組成物を物品の基材上に形成されたハードコート膜または物品の基材上に塗布し、加熱乾燥させることにより形成された反射防止膜を提供する。
ハードコート膜は、メラミン樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、シラン化合物系および金属酸化物系ハードコート剤ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される少なくとも1種のハードコート剤を物品の基材上に塗布し、加熱乾燥またはエネルギー線を照射して形成される。中でもハードコート剤として、アクリル樹脂系、シラン化合物系が好ましい。
ハードコート膜は、単層または積層体であり得る。
前記の各種ハードコート剤は、1種だけでなく2種以上を混合して使用してもよい。
さらに、ハードコート膜の膜厚は、目的とする機能により決定される。その膜厚は、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μm、さらにより好ましくは1.5〜10μmであり、2〜5μmが最も好ましい。反射率を低減させるために、ハードコート層と反射防止膜層との間に、高屈折率層を設けてもよい。
ハードコート剤の一例として、シラン化合物系ハードコート剤の調製を示す。
少なくとも1種の中空シリカゾルを溶媒中で撹拌下混合させ、室温以下の温度に調節した。その温度を保ちながら、少なくとも1種のアルコキシシラン化合物を滴下する。その後、溶液温度を昇温させ撹拌する。次に、硬化触媒を添加して、ハードコート剤を調製した。
また、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シラン化合物および金属酸化物よりなる他のハードコート剤も、常法により調製できる。
本願のハードコート膜は、前記ハードコート剤から単層または積層体のハードコート膜を形成させることにより作製され、その形成方法は、物品表面の基材上に少なくとも1種の前記ハードコート剤を塗布し塗膜を形成する工程、該塗膜から揮発性溶媒を揮発させ乾燥させる工程、および該塗膜を硬化し硬化層を形成する工程をこの順序にて含む。
また、ハードコート膜は、物品表面の基材および/または反射防止膜との間に少なくとも1種の中間層または膜を含んでもよい。
中間層または膜としては、特に限定されるものではなく、ハードコート膜、接着層等いずれのものも含む。
本発明は、前記の反射防止膜形成用組成物を用いる反射防止膜の形成方法であって、ハードコート膜または物品表面の基材上に該反射防止膜形成用組成物を単層で形成させることを特徴とする。本発明によれば、反射防止膜は、前記のハードコート膜もしくは高屈折率層または物品表面の基材上に前記反射防止用組成物を塗布し塗膜を形成する工程、該塗膜から揮発性溶媒を揮発させ乾燥させる工程、および該塗膜を硬化し硬化層を形成する工程をこの順序にて含むことにより、前記反射防止用組成物から形成する。
これにより、物品表面の基材上、または物品表面の基材上に形成されたハードコート膜もしくは高屈折率層上に形成された、本発明の反射防止膜形成用組成物の硬化体である、反射防止膜を得ることができる。
また、物品本来の表面基材に加えて、その表面がハードコート剤などの各種の処理により予め表面処理された表面基材も、物品の表面基材に含まれる。
反射防止膜の屈折率としては、1.30以上であって、好ましくは1.45以下、より好ましくは1.40以下、さらにより好ましくは1.35以下である。反射防止膜の屈折率の範囲として、1.30〜1.45、より好ましくは1.30〜1.40、さらにより好ましくは1.30〜1.35が好ましい。
(反射防止膜形成用組成物1の調製)
2L容のビーカー中で、撹拌下、中空コロイダルシリカゾル(商品名:スルーリア 4110、日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度 20%)73.2g(7.32質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)200g(20質量部)、0.02N 塩酸 20g(2質量部)を混合し、室温で撹拌した。ここへ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)10.6g(1.06質量部)、メチルトリエトキシシラン(MTES)19.9g(1.99質量部)の混合物を室温下で1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を50℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。冷却後に、さらに、アルミニウムトリスアセチルアセトナート 2.4g(0.24質量部)、IPA 673.9g(67.39質量部)を加えて、反射防止膜形成用組成物1 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.35であった。
2L容のビーカー中で、水分散コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス O、日産化学工業株式会社製、固形分濃度 20%)158g(15.8質量部)、メタノール分散コロイダルシリカゾル(商品名:メタノールシリカゾル、日産化学工業株式会社製、固形分濃度 30%)260g(26質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)115g(11.5質量部)を混合し、溶液温度を0〜25℃に調節した。その温度を保ちながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)238g(23.8質量部)を1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を30℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。溶液温度を25℃以下まで冷却後にアルミニウムトリスアセチルアセトナート 9.6g(0.96質量部)、アセチルアセトン 69.3g(6.93質量部)、ブチルセロソルブ 25g(2.5質量部)、PGME 125.1g(12.51質量部)を添加して、ハードコート剤 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.50であった。
次に、プライマー処理を行ったポリカーボネート板またはポリカーボネートレンズを上記のハードコート剤に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げてハードコート剤を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間予備乾燥を行った。
基材をオーブンから取り出し、室温まで冷却後に上記で得られた反射防止膜形成用組成物1に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げて反射防止膜形成用組成物1を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間の予備乾燥を行った後に、120℃オーブン内で30分間加熱して硬化させた。形成されたハードコート膜および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100nmであった。
反射防止膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、反射防止膜中で、中空シリカは均一に分散していた。
前記実施例1において、反射防止膜形成用組成物1を下記で調製した反射防止膜形成用組成物2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の反射防止膜を形成した。形成されたハードコート膜および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100nmであった。
2L容のビーカー中で、撹拌下、中空コロイダルシリカゾル(商品名:スルーリア 4110、日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度 20%)78.0g(7.80質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)200g(20質量部)、0.02N 塩酸 20g(2質量部)を混合し、室温で撹拌した。ここへ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)10.6g(1.06質量部)、テトラエトキシシラン(TEOS)26.0g(2.60質量部)の混合物を室温下で1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を50℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。冷却後に、さらに、アルミニウムトリスアセチルアセトナート 2.4g(0.24質量部)、IPA 663.0g(66.3質量部)を加えて、反射防止膜形成用組成物2 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.35であった。
前記実施例1において、ハードコート層の上に下記で調製した高屈折率組成物を用いて高屈折率層を形成し、その上に反射防止膜形成用組成物1を用いて低屈折率層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の反射防止膜を形成した。形成されたハードコート膜、高屈折率層および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μm、100μmおよび100nmであった。
2L容のビーカー中で、メタノール分散酸化チタンゾル(商品名:サンコロイドHT−R305M7、日産化学工業株式会社製、固形分濃度 30%)33g(3.3質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)100g(10質量部)、酸性水20g(2質量部)を混合し、溶液温度を0〜25℃に調節した。その温度を保ちながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)25.4g(2.54質量部)とテトラエトキシシラン7.3g(0.73質量部)の混合物を1時間かけて滴下した。その後、溶液温度を30℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌した。溶液温度を25℃以下まで冷却後にアルミニウムトリスアセチルアセトナート 2.4g(0.24質量部)、イソプロピルアルコール(IPA)812g(81.2質量部)を添加して、高屈折率組成物 1kg(100質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.60であった。高屈折率層の上に形成する低屈折率層は反射防止膜形成用組成物1を用いた。
前記実施例1において、反射防止膜形成用組成物1を下記で調製した防眩性反射防止膜形成用組成物1に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の防眩性反射防止膜を形成した。形成されたハードコート膜および防眩性反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100〜150nmであった。
一次粒子径 40nmの結晶性中空シリカ粒子(商品名:XG40、グランデックス株式会社製)0.9g(0.09質量部)をIPA 90g(9質量部)に分散させた。この分散液を実施例1で調製した反射防止膜形成用組成物1 1kg(100質量部)に加え、30分間混合し防眩性反射防止膜形成用組成物1を調製した。
この実施例で使用した結晶性中空シリカ粒子は数個から十数個が凝集して二次凝集物を形成している。前記二次凝集物の大きさは300〜500nmであった。
(反射防止膜形成用組成物3の調製)
2L容のビーカー中で、撹拌下、中空コロイダルシリカゾル(商品名:スルーリア4320、日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度 20%)148.2g(14.82質量部)、ペンタエリスリトールトリアクリラート(商品名:アロニックスM−306、東亞合成株式会社製)13.1g(1.31質量部)、メチルイソブチルケトン(MIBK)1337.4g(133.74質量部)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン 1.4g(0.14質量部)を混合し、エポキシ基を有するシラン化合物を含まない反射防止膜形成用組成物3 1.5kg(150質量部)を調製した。塗膜形成後の屈折率は1.33であった。
次に、プライマー処理を行ったポリカーボネート板またはポリカーボネートレンズを実施例1で得られたハードコート剤に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げてハードコート剤を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間の予備乾燥を行った後に、120℃オーブン内で30分間加熱して硬化させた。
基材をオーブンから取り出し、室温まで冷却後に上記で得られた反射防止膜形成用組成物3に浸漬し、5mm/秒の速度で引き上げて反射防止膜形成用組成物3を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で5分間の予備乾燥を行った後に、高圧水銀ランプ下で500mJ/cm2の紫外光を照射して硬化させた。形成されたハードコート膜および反射防止膜の膜厚は、各々、3.2μmおよび100nmであった。
一次粒子径 100nmの結晶性中空シリカ粒子(商品名:XG100、グランデックス株式会社製)を用いる以外は、実施例4と同様にして、反射防止膜を形成した。
この実施例で使用した結晶性中空シリカ粒子は数個から十数個が凝集して二次凝集物を形成している。前記二次凝集物の大きさは600〜800nmであった。
プライマー処理を行ったポリカーボネート板またはポリカーボネートレンズを実施例1で得られたハードコート剤に浸漬し、2.5mm/秒の速度で引き上げてハードコート剤を塗布した。次いで、80℃のクリーンオーブン内で10分間予備乾燥を行った後に、120℃オーブン内で30分間加熱して硬化させ、ハードコート膜を形成した。形成されたハードコート膜の膜厚は、3.2μmであった。
実施例1〜4および比較例1〜3で形成した測定サンプルについて、以下の試験方法によりその性能を評価した。
測定サンプルの裏面をサンドペーパーで数回擦り、艶消しの黒色塗料を塗布した後、波長400〜700nmで光の入射角5゜の片面の反射率を分光光度計(型番:U−3310、(株)日立製作所製)を用いて測定し、測定範囲内での最小反射率(%)を反射率として用いた。
ヘーズメーター(型番:NDH−2000、日本電色工業(株)製)を用いて、常法により反射防止膜の全光線透過率(%)を測定した。
表面性測定機(型番:TYPE14DR、新東科学(株)製)のスチールウールホルダーに#0000のスチールウールを固定し、200gの荷重をかけて、低屈折率層表面上を10回往復摩擦した(以下、スチールウール擦傷試験という)。
塗膜の耐磨耗性の評価を行うため、レンズの耐摩耗性評価方法として一般的なBayer摩耗試験を実施した。
Bayer試験機(COLTS Labratories社製)を用いてレンズの面の擦傷の受けやすさを測定した。試験機に、上記にて作製したレンズサンプルとISO規格のCR−39レンズとをセットして、摩耗剤(商品名:Kryptonite B、COLTS Labratories社製)500gを投入した。600回の往復動作の後、レンズサンプルおよびCR―39を取り出し、ヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定には、BYKガードナー・ヘイズ-ガード プラスを用いた。ヘイズ値を測定後、次の計算式により、Bayer試験の値R(Bayer比)を算出した。
防眩性評価
基材上に作成した反射防止膜にルーバーなしの蛍光灯拡散光を映し、表面のギラツキを以下の基準で評価した。
ほとんどギラツキが見られない:優
わずかにギラツキがある:良
目で識別できるサイズのギラツキがある:不可
2 ハードコート膜
3 反射防止膜
4 中空シリカ微細粒子
5 高屈折率層
6 結晶性中空シリカ粒子
7 防眩性反射防止膜
Claims (8)
- 中空シリカゾルおよびエポキシ基を有するシラン化合物を含む反射防止膜形成用組成物。
- さらに、多官能アルコキシシラン化合物を含む請求項1記載の反射防止膜形成用組成物。
- 該エポキシ基を有するシラン化合物が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される請求項1または2記載の反射防止膜形成用組成物。
- さらに、硬化触媒として、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを含む、請求項1〜3いずれかに記載の反射防止膜形成用組成物。
- 物品表面の基材上、または物品表面の基材上に形成されたハードコート膜上に形成された、請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜形成用組成物の硬化体である、反射防止膜。
- ハードコート膜が、メラミン樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、シラン化合物系および金属酸化物系ハードコート剤ならびにそれらの組合せよりなる群から選択される少なくとも1種のハードコート剤により形成された請求項5記載の反射防止膜。
- 請求項6に記載の反射防止膜を含む物品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜形成用組成物を用いる、反射防止膜の形成方法であって、
ハードコート膜または物品表面の基材上に該反射防止膜形成用組成物を単層または複数層で形成させることを特徴とする該方法。
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