JP2017037303A - トナーバインダー、トナー及び結晶性樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
一般に、電子写真方式では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成した後、トナーを用いて潜像を現像し、トナー画像を形成する。そのトナー画像を紙等の記録媒体上に転写した後、加熱等の方法で定着する。
また、装置は定着部に加熱体を有するため、装置内で温度が上昇することから、トナーは、装置内でブロッキングしないことが要求される。
また、トナー画像を熱ロール定着方式により定着する場合には定着時に熱ロールと溶融状態のトナーとが直接接触するが、このとき熱ロール上に移行したトナーが次に送られてくる転写紙等を汚す、いわゆるホットオフセット現象が発生するため、耐ホットオフセット性が要求されるのが前提である。したがって、耐ホットオフセット性を維持しつつ、低温定着性を発現させる必要があり、より広いワーキングレンジ、例えば定着温度幅が50℃以上を有するトナーが要求されるようになってきている。
また、脂肪族ジオールを含有したアルコール成分と芳香族ジカルボン酸を含有したカルボン酸成分からなるポリエステル樹脂成分及びスチレン系樹脂成分を含む複合樹脂を結晶性樹脂として利用したトナーも提案されている(例えば特許文献2)。しかし、この方法では、低温定着性に優れ、得られる画像の光沢性にも優れたトナーを得ることができるものの、トナーの耐熱保存性、帯電安定性については不十分である。
すなわち、本発明は、結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを構成原料として含んでなる縮重合セグメント(X)及びビニル系単量体(M)を重合させて得られる付加重合セグメント(Y)とを構成セグメントとして分子内に含む結晶性樹脂(P)、並びに非結晶性樹脂(R)を含有することを特徴とするトナーバインダー;このトナーバインダーと着色剤を含有するトナー;並びに、結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを反応させて得られる縮重合セグメント(X)、及びビニル系単量体(M)を重合させて得られる付加重合セグメント(Y)を構成セグメントとして分子内に含むことを特徴とする結晶性樹脂(P)である。
また、本発明の結晶性樹脂は、非結晶性樹脂(R)と組み合わせてトナーバインダーとすることにより、耐ホットオフセット性と低温定着性を高度に両立しつつ、耐熱保存性、帯電安定性を向上させる効果がある。
なお、本発明における「結晶性」とは示差走査熱量計(DSC)測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを意味する。この測定は、例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]を用いて行うことができ、昇温過程における昇温速度は、例えば20℃/分とすることができる。
ジオールとしては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
また、同様の観点から直鎖型脂肪族ジオールが分岐型脂肪族ジオールより好ましい。
なお、本発明において、カルボキシル基、スルホニル基、スルファミル基及びホスホニル基は、それぞれそれらの塩基も含む。
ジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など)、及び炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸など)等の脂肪族ジカルボン酸、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。また、これらの酸無水物、又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
同様の観点から直鎖型脂肪族ジカルボン酸が分岐型脂肪族ジカルボン酸より好ましい。また、後述する付加重合セグメント(Y)の形成の観点から、ラジカル重合性二重結合を(A)中に導入することができるため、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸を併用することも好ましい。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
有機ポリイソシアネート(B)としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
不飽和アルコールとしては、炭素数2〜8の脂肪族不飽和モノオール(ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール等)、炭素数2〜8の脂肪族不飽和ジオール(2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブテンジオール、1−プロペン−1,2−ジオール、2−ヘプテン−1,7−ジオール、3−ヘプテン−1,7−ジオール、2−ヘキセン−1、6−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、1−ペンテン−1,5−ジオール又は2−ペンテン−1,5−ジオール等)等が挙げられる。
(1)(A)及び(C)の混合物と(B)を反応させる方法
(2)(A)と(B)を、末端がイソシアネート基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
(C)が不飽和カルボン酸(無水物や低級アルキルエステルも含む)の場合:
(3)(A)と(B)を、末端が水酸基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
(1)(A)、(C)、(D)の混合物と有機ポリイソシアネート(B)を反応させる方法
(2)(A)、(B)、(D)を、末端がイソシアネート基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
(C)が不飽和カルボン酸(無水物や低級アルキルエステルも含む)の場合:
(3)(A)、(B)、(D)を、末端が水酸基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
ビニル系単量体(M)としては、以下の単量体(m1)〜(m9)等が挙げられる。
(m11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:例えば、以下の(m111)と(m111)が挙げられる。
(m111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(m112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(m2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
例えば、(m61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(m62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(m63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、(m64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体などが挙げられる。
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(m63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(m64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
例えば、(m91)重合性二重結合を有する炭素数2〜24のエステル、(m92)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル、(m93)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン、(m94)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物などが挙げられる。
(m91)重合性二重結合を有する炭素数2〜24のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(m94)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、及びアゾビスシアノ吉草酸)、及び有機過酸化物系重合開始剤〔例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジクミルパーオキサイド〕等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、及び2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジクミルパーオキサイドである。
ラジカル重合開始剤の使用量は、ビニル系単量体(モノマー)の全量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは0.1〜6重量%である。
この結晶性樹脂(P)を合成する方法としては、次の(1)と(2)の方法が挙げられる。
(2)縮重合セグメント(X)と、別途重合して合成した付加重合セグメント(Y)を結合させる方法。結合させる方法としては、脱水反応、結合剤(例えば多価イソシアネート、多価エポキシ、ラジカル重合開始剤等)による反応等が挙げられる。
有機溶剤としては、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族炭化水素溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等);エーテル溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等);ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール及びトリフルオロエタノール等);アミド溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物溶剤(N−メチルピロリドン等)並びにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
ここで、ビニル系単量体(M)であって、結晶性ポリエステル(A)の構成原料であるカルボン酸成分(y)は、重量比(X)/(Y)を計算する際には、(X)の構成原料として計算する。
非結晶性樹脂(R)としては、非結晶性であれば特に限定されないが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、更に好ましくは、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であり、特に好ましくは、ポリエステル樹脂及びビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である。
ポリエポキシドの具体例としては、芳香族ポリエポキシ化合物及び脂肪族ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族ポリエポキシ化合物としては、多価フェノールのグリシジルエーテル体、芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン及びアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族ポリエポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル及びグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体等も挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリアミンとしては、鎖状脂肪族ポリアミン、これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体及び環状脂肪族ポリアミン等が挙げられる。
重量比(P)/(R)が2/98未満では低温定着性が不良となり、50/50を超えると耐ホットオフセット性が不良となる。2/98〜50/50の範囲で耐ホットオフセット性と低温定着性が両立しえるので、本発明の結晶性樹脂(P)を非結晶性樹脂(R)に添加させることが有益である。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
〔結晶性ポリエステル(A−1)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、エチレングリコール396部、アジピン酸799部、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で冷却して取り出し、結晶性ポリエステル(A−1)を得た。
(A−1)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は100モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は100モル%である。また、Mnは1,000である。
〔結晶性ポリエステル(A−2)の合成〕
製造例1において、エチレングリコール396部、アジピン酸799部を1,6−ヘキサンジオール435部、セバシン酸684部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、結晶性ポリエステル(A−2)を得た。
(A−2)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は100モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は100モル%である。また、Mnは3,000である。
〔結晶性ポリエステル(A−3)の合成〕
製造例1において、エチレングリコール396部、アジピン酸799部を1,12−ドデカンジオール541部、ドデカン二酸504部、テレフタル酸40部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、結晶性ポリエステル(A−3)を得た。
(A−3)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は100モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は90モル%である。また、Mnは4,000である。
〔結晶性ポリエステル(A−4)の合成〕
製造例1において、エチレングリコール396部、アジピン酸799部を1,4−ブタンジオール215部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物261部、ドデカン二酸514部、テレフタル酸79部、フマル酸37部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、結晶性ポリエステル(A−4)を得た。
(A−4)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は75モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は74モル%である。また、Mnは6,000である。
〔縮重合セグメント(X−1)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−1)409部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート35部、及びHDI92部を入れ、100℃で窒素気流下に8時間反応させ、縮重合セグメント(X−1)を得た。
〔縮重合セグメント(X−2)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−1)441部、及びHDI59部を入れ、100℃で窒素気流下に8時間反応させた後、無水マレイン酸17部を入れ、さらに3時間反応させ、縮重合セグメント(X−2)を得た。
〔縮重合セグメント(X−3)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−2)457部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(分子量:131)(D−1)12部、及びメチルエチルケトン(MEK)500部を入れ、80℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にHDI31部を入れ、80℃で7時間反応させた後、無水マレイン酸12部を入れ、120℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、縮重合セグメント(X−3)を得た。
〔縮重合セグメント(X−4)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−2)461部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(分子量:226)(D−2)13部、及びMEK500部を入れ、80℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にHDI26部を入れ、80℃で7時間反応させた後、無水マレイン酸10部を入れ、120℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、縮重合セグメント(X−4)を得た。
〔縮重合セグメント(X−5)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−3)465部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(分子量:144)(D−3)5部、及びIPDI30部を入れ、100℃で窒素気流下に12時間反応させた後、無水マレイン酸3部を入れ、さらに3時間反応させ、縮重合セグメント(X−5)を得た。
〔縮重合セグメント(X−6)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−4)490部、及びMDI10部を入れ、80℃で窒素気流下に8時間反応させ、縮重合セグメント(X−6)を得た。
〔結晶性樹脂(P−1)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を入れ、窒素置換後170℃に昇温して十分溶解し、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液を、3時間で滴下して重合した。170℃で30分間保持した後キシレンを留去して、結晶性樹脂(P−1)を得た。
(P−1)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は100モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は0モル%である。
〔結晶性樹脂(P−2)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−2)300部、及びキシレン600部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン73部、メタクリル酸21部、n−ブチルアクリレート6部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート4部、及びキシレン20部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−2)を得た。
(P−2)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は75モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は25モル%である。
〔結晶性樹脂(P−3)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−3)300部、及びキシレン600部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン78部、メタクリル酸4部、n−ブチルアクリレート18部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート4部、及びキシレン20部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−3)を得た。
(P−3)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は80モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は5モル%である。
〔結晶性樹脂(P−4)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−4)320部、及びキシレン640部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン36部、n−ブチルアクリレート44部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート3部、及びキシレン30部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−4)を得た。
(P−4)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は50モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は0モル%である。
〔結晶性樹脂(P−5)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−5)200部、及びキシレン500部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン186部、アクリル酸14部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート8部、及びキシレン100部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−5)を得た。
(P−5)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は90モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は10モル%である。
〔結晶性樹脂(P−6)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−6)360部、及びキシレン720部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン12部、メチルメタクリレート28部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート2部、及びキシレン8部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−6)を得た。
(P−6)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は30モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は0モル%である。
〔比較の結晶性樹脂(P’−1)〕
何ら変性しない結晶性ポリエステル(A−1)を、比較の結晶性樹脂(P’−1)とした。
〔比較の結晶性樹脂(P’−2)〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−1)441部、及びHDI59部を入れ、100℃で窒素気流下に8時間反応させ、比較の結晶性樹脂(P’−2)を得た。
〔比較の結晶性樹脂(P’−3)〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール248部、1,4−ブタンジオール81部、及びテレフタル酸398部を入れ、160℃に加熱し、スチレン154部、アクリル酸15部、及びジクミルパーオキサイド9部の混合溶液を、1時間で滴下して重合した。160℃で1時間保持した後、2−エチルヘキサン酸錫4部を加えて、210℃に昇温し8時間反応させ、さらに8kPaの減圧下に反応させ、酸価が16になった時点で冷却して取り出し、比較の結晶性樹脂(P’−3)を得た。
〔比較の結晶性樹脂(P’−4)〕
何ら変性しない縮重合セグメント(X−6)を、そのまま比較の結晶性樹脂(P’−4)とした。
〔非結晶性樹脂(R−1、ポリエステル樹脂)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,2−プロピレングリコール522部、テレフタル酸468部、アジピン酸90部、安息香酸20部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、170℃で加圧下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、生成する水を留去しながら12時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、軟化点が130℃になった時点で冷却して取り出し、高軟化点の非結晶性樹脂(r−1)を得た。
別の反応槽中に、1,2−プロピレングリコール458部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物40部、テレフタル酸493部、アジピン酸6部、安息香酸70部、無水トリメリット酸46部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、170℃で加圧下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、生成する水を留去しながら12時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、軟化点が105℃になった時点で常圧に戻し、180℃に冷却した。次いで、無水トリメリット酸14部加え1時間反応させた後、冷却して取り出し、低軟化点の非結晶性樹脂(r−2)を得た。
得られた(r−1)と(r−2)の重量比(r−1)/(r−2)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業製FM10B]にて均一化し、非結晶性樹脂(R−1)を得た。
〔非結晶性樹脂(R−2、ビニル樹脂)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、キシレン320部を入れ、窒素置換後、185℃まで昇温した。次いで、スチレン240部、n−ブチルメタクリレート60部、メチルメタアクリレート92部、アクリル酸8部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1部、及びキシレン140部の混合溶液を、3時間で滴下して重合した。185℃で1時間保持した後キシレンを留去して、非結晶性樹脂(R−2)を得た。
上記実施例、比較例及び製造例で得られた結晶性樹脂(P−1)〜(P−6)、比較の結晶性樹脂(P’−1)〜(P’−4)、非結晶性樹脂(R−1)、(R−2)を、表4の配合比(重量部)に従い配合し、本発明のトナーバインダー、及び比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。
まず、カーボンブラックMA−100[三菱化学製]8部、カルナバワックス5部、荷電制御剤[「T−77」保土谷化学製]1部を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[池貝製PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業製MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)〜(T−6)、及び比較のトナー(T’−1)〜(T’−5)を得た。
低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
トナーを紙面上に0.85mg/cm2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/秒、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。この測定条件では、一般に120℃以下が好ましい。
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。この測定条件では、一般に12%以上が好ましい。
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。この測定条件では、一般に180℃以上が好ましい。
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100ml)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。
○:33以上
△:25以上33未満
×:25未満
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿する。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×20分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
○:0.7以上
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはH以上が必要とされる。
○:H以上
△:B〜F
×:2B以下
一方、本発明の結晶性樹脂(P)を含有しない比較例1で得た比較のトナー(T’−1)は低温定着性が著しく不良であり、光沢性、流動性、耐熱保存性も不良であった。
また、本発明の結晶性樹脂(P)の代わりに(A)を用いた比較例2で得た比較のトナー(T’−2)は、いずれの性能評価項目も不良であり、セグメント(X)は含むがセグメント(Y)を含まない樹脂を用いた比較例3で得た比較のトナー(T’−3)は、低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、帯電安定性が不良であった。
また、セグメント(Y)は含むがセグメント(X)を含まない樹脂〔(A)と(Y)で構成された樹脂〕を用いた比較例4で得た比較のトナー(T’−4)は、低温定着性と光沢性は改善できているが、流動性、耐熱保存性、帯電安定性が不良であった。
また、セグメント(X)を含むがセグメント(Y)を含まない結晶性樹脂を用いた比較例5で得た比較のトナー(T’−5)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、流動性、帯電安定性が不良であった。
Claims (14)
- 結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを構成原料として含んでなる 縮重合セグメント(X)、及びビニル系単量体(M)を構成原料とする付加重合セグメント(Y)とを構成セグメントとして分子内に含む結晶性樹脂(P)、並びに非結晶性樹脂(R)を含有することを特徴とするトナーバインダー。
- 結晶性ポリエステル(A)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するアルコール成分(x)と、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)を含有するカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性ポリエステルである請求項1に記載のトナーバインダー。
- 結晶性ポリエステル(A)の数平均分子量が、800〜8,000である請求項1又は2に記載のトナーバインダー。
- アルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量がアルコール成分(x)の総モル数に基づいて80〜100モル%である請求項2又は3に記載のトナーバインダー。
- カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量がカルボン酸成分(y)の総モル数に基づいて80〜100モル%である請求項2〜4のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 付加重合セグメント(Y)がビニル系単量体(M)としてスチレンを含んでなり、スチレンの含有量がビニル系単量体(M)の総モル数に基づいて40〜100モル%である請求項1〜5のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 付加重合セグメント(Y)がビニル系単量体(M)として(メタ)アクリル酸を含んでなり、(メタ)アクリル酸の含有量がビニル系単量体(M)の総モル数に基づいて5〜30モル%である請求項1〜5のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 縮重合セグメント(X)と付加重合セグメント(Y)の重量比(X)/(Y)が50/50〜95/5である請求項1〜7のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 縮重合セグメント(X)が、結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)以外に、更に数平均分子量が700以下のジオール(D)を構成原料として含んでなる 縮重合セグメントである請求項1〜8のいずれかに記載のトナーバインダー。
- ジオール(D)が、分子内にカルボキシル基もしくはその塩及び/又はスルホニル基もしくはその塩を有するジオールである請求項9に記載のトナーバインダー。
- 非結晶性樹脂(R)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1〜10のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(P)と非結晶性樹脂(R)の重量比(P)/(R)が2/98〜50/50である請求項1〜11のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜12のいずれかに記載のトナーバインダーと着色剤を含有するトナー。
- 結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを構成原料とする縮重合セグメント(X)、及びビニル系単量体(M)を構成原料とする付加重合セグメント(Y)を構成セグメントとして分子内に含むトナー用結晶性樹脂(P)。
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