JP2016149967A - 容器入りの肉そぼろ風チルド食品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チルド食品に求められる好適な微生物耐性を有し、かつ肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感を有するためそのままでも美味しく手軽に食べることができる容器入りの肉そぼろ風チルド食品を提供すること。【解決手段】本発明の容器入りの肉そぼろ風チルド食品は、粒状の大豆加工品素材に調味液を含有させたものであり、容器内に非密閉状態で収容されている。粒状の大豆加工品素材は、大豆たんぱく質含有原料と、大豆たんぱく質含有原料と乾燥質量換算で同量またはそれよりも少量のおからとの混合物を組織化して得られる。調味液は酢酸を含み、pHが3.0以上6.0以下である。当該食品における水分量は、50質量%以上80質量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、容器入りの肉そぼろ風チルド食品及びその製造方法に関するものである。
近年、健康に対する関心は高まりつつあり、できるだけ健康によい食品を摂取しようとする人々が確実に増えている。このような状況のもと、牛乳等の動物性脂肪や動物性蛋白質を含む食品に代わるものとして、植物性脂肪や植物性蛋白質を含む食品の価値が見直されてきている。
植物性たんぱく質のなかでも特に大豆たんぱく質には、コレステロール値を低下させる効果が見出されており、それゆえ大豆たんぱく質を主成分とする大豆加工食品への関心が高まっている。また、風味の点でも豆乳に代表されるように大豆成分が有する特有の風味やコクなどが、大豆加工食品の健康的なイメージに寄与する一因になっている。
ここで、大豆たんぱく質やおからを配合した大豆加工食品としては、例えば以下に挙げるように従来から各種のものが提案されている(例えば、特許文献1〜8を参照)。特許文献1には、粉末状大豆たんぱく、油脂及び水を含む食品生地中におからを多量に含んだ食物繊維含有食品に関する技術が開示されている。特許文献2には、おからから大豆の持つたんぱく質を損なわせることなく、動物性肉食品の風味及び食感を有する大豆食品を製造する方法に関する技術が開示されている。特許文献3には、大豆たんぱく原料を含む組織化原料に加水して加圧加熱下に押し出して蛋白組織化物を製造する方法において、組織化原料に還元糖及び有機酸を添加して食感を改良する技術が開示されている。特許文献4には、大豆たんぱく原料、カルシウム及び水をエクストルーダーにより加熱、加圧下に反応させダイより押し出すたんぱく食品の製造方法に関する技術が開示されている。特許文献5には、粒状大豆たんぱくにクエン酸を添加することで風味及び食感を改良した蛋白組織化物に関する技術が開示されている。特許文献6には、大豆たんぱく、ゲル化剤、凝固剤及び水を含み加熱してゲル化される大豆タンパク加工食品用組成物であって、畜肉に酷似した肉加工食品の代用品に関する技術が開示されている。特許文献7には、大豆たんぱく質分離物を肉増量剤として使用するにあたり水和たんぱく質顆粒を形成する製造方法に関する技術が開示されている。特許文献8には、大豆たんぱく、油脂及びでんぷんを主体とする原料を二軸型エクストルーダーで加圧・加熱し、高密多層構造を有する大豆たんぱく素材を製造する方法に関する技術が開示されている。
特開2007−82531号公報 特昭開62−11069号公報 国際公開WO2013/047644号公報 特開平6−165644号公報 特開昭56−58460号公報 国際公開WO2007/013146号公報 特開平5−260900号公報 特開平1−55865号公報
ところで、従来、大豆たんぱく質やおからを配合した大豆加工食品は、肉使用加工食品の嵩増し、保形性向上、ドリップ防止などの用途で利用されてきた。しかしながら、この種の大豆加工食品は、あくまで食肉使用食品の一部として添加する用途が主体であったため、当該食品自体をそのまま食べる用途には必ずしも適していない。
そして上述の背景から、大豆加工食品自体が食肉のような食べ応えのある食感を有し、そのまま食べても美味しく、様々な調味を施すことができ、かつ、大豆特有の風味も感じられるような大豆加工食品の開発が求められている。また、即食性があって手軽な「チルド食品」の形態で上記品質を満足した食品を提供することも、現代の食生活におけるニーズとして存在する。そして本発明者らは、このような大豆加工チルド食品として、粒状の食肉を調味液で味付けして汁気が少なくなるまで加熱処理した「肉そぼろ」のような食品を新規かつ具体的に実現したいと考えている。また、できれば上記の新規大豆加工チルド食品を非密閉容器内に収容した製品形態で実現したいとも考えている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、チルド食品に求められる好適な微生物耐性を有し、かつ肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感を有するためそのままでも美味しく手軽に食べることができる容器入りの肉そぼろ風チルド食品を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の優れた容器入りの肉そぼろ風チルド食品を確実にかつ効率よく製造することができる方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、所望とする大豆加工チルド食品を得るにあたり、素材として使用する大豆たんぱく質の選定が重要であると予測し、鋭意検討を重ねた結果、大豆たんぱく質含有原料とおからとの混合物を組織化して得られる粒状の大豆加工品素材が好適であることを新規に知見した。また、この素材を用いて上記の所望とする品質を実現するためには、上記混合物中におけるおからの比率(質量比)、調味液の成分やpH、食品の含水量などのファクターの適性化が重要であることも新規に知見した。そして、本発明者らは上記の知見に基づいてさらに鋭意研究を進めることにより、最終的に下記の発明を完成させるに至ったのである。
上記の課題を解決するための手段[1]〜[8]を以下に列挙する。
[1]大豆たんぱく質含有原料及び前記大豆たんぱく質含有原料と乾燥質量換算で同量またはそれよりも少量のおからの混合物を組織化して得られる粒状の大豆加工品素材に、酢酸を含むpHが3.0以上6.0以下の調味液を含有させてなり、水分量が50質量%以上80質量%以下である肉そぼろ風のチルド食品であって、容器内に非密閉状態で収容されていることを特徴とする容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[2]前記混合物中における前記おからの質量比が、乾燥質量換算で10質量%以上40質量%以下であることを特徴とする手段1に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[3]前記混合物中における前記おからの質量比が、乾燥質量換算で20質量%以上30質量%以下であるとともに、食品中に0.05質量%以上0.20質量%以下のカルシウムが含有されていることを特徴とする手段1に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[4]油脂の含有量が3.0質量%以下であることを特徴とする手段1乃至3のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[5]前記大豆たんぱく質含有原料が脱脂大豆であることを特徴とする手段1乃至4のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[6]前記容器が、通気性を有する容器であることを特徴とする手段1乃至5のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[7]前記容器が、発泡樹脂製の蓋付き容器であることを特徴とする手段1乃至6のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
[8]手段1乃至7のいずれか1項に記載の食品の製造方法であって、前記粒状の大豆加工品素材と、加熱された前記調味液とを常圧下で混ぜ合わせて所定時間保持することで、前記素材に前記調味液を浸透させる調味工程と、調味された前記素材を前記容器に非密閉状態で充填する充填工程と、前記容器内に充填された状態の前記素材を殺菌する殺菌工程とを含むことを特徴とする容器入りの肉そぼろ風チルド食品の製造方法。
以上詳述したように、請求項1〜7に記載の発明によると、チルド食品に求められる好適な微生物耐性を有し、かつ肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感を有するためそのままでも美味しく手軽に食べることができる容器入りの肉そぼろ風チルド食品を提供することができる。また、請求項8に記載の発明によると、上記の優れた容器入りの肉そぼろ風チルド食品を確実にかつ効率よく製造することができる方法を提供することができる。
本発明の容器入りの肉そぼろ風チルド食品を具体化した実施形態における評価試験1の結果を示す表1。 同じく評価試験2の結果を示す表2。 同じく評価試験3の結果を示す表3。
以下、本発明の容器入りの肉そぼろ風チルド食品及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明の容器入りの肉そぼろ風チルド食品は、粒状の大豆加工品素材に調味液を含有させてなるものである。本発明において「肉そぼろ」とは、粒状の食肉(鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉等の畜肉、魚肉、エビ肉など)を調味液で味付けして汁気が少なくなるまで炒った食品であって、そのまま食べることができるものを指している。また、本発明において「肉そぼろ風」の食品とは、食肉以外の素材(大豆加工品素材)を主体として用いているにもかかわらず、食肉を用いて調理した肉そぼろに近い風味、香味、食感を有する食品のことを意味している。
本発明における上記食品は「チルド食品」の製品形態として提供される。ここで「チルド食品」とは、製造してから販売するまで凍結寸前の温度(例えば0℃〜10℃)で冷蔵管理する食品のことを指している。チルド食品の特徴としては、加熱調理等を要せずにすぐに食べることが可能なため(即ち即食性があるため)手軽である点や、冷凍食品と比較して鮮度が保持されやすい点、などがある。なお、チルド食品の場合、一般的に高温殺菌は行われず低温殺菌が行われる。
本発明の肉そぼろ風チルド食品では、大豆たんぱく質含有原料とおからとの混合物を組織化して得たものを、粒状の大豆加工品素材として使用している。
本発明において「粒状の大豆加工品素材」とは、大豆たんぱく質含有原料を主体とする原料を組織化し、成形及び乾燥することにより粒状に仕上げた、いわゆる「粒状大豆たんぱく質」のことを指す。上記「粒状大豆たんぱく質」には、粒の大きさと色とによりビーフタイプ、ポークタイプ、チキンタイプなどの市販品があり、本発明ではいずれも使用することができる。ちなみに、5訂食品成分表では、粒状大豆たんぱく質のたんぱく質割合は46.3%とされている。
本発明において使用する「大豆たんぱく質含有原料」とは、大豆から調製される大豆たんぱく質を含有する原料を意味する。例えば、脱脂大豆、大豆粉、豆乳粉末、脱脂豆乳粉末、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白などから選択される一種以上を使用することができる。さらには、脱脂大豆、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白などのたんぱく質を乾燥質量中で40質量%以上含むものの一種以上を選択することがより好ましい。さらにたんぱく質を乾燥質量中で40質量%〜60質量%程度含むものの一種以上を選択することが好ましく、特に脱脂大豆を選択することが好ましい。
本発明の粒状の大豆加工品素材は、緻密で繊維感のある肉様組織に近い組織化物であって、例えば、組織化工程、成形工程及び乾燥工程を経て得ることができる。ちなみに、上記粒状の大豆加工品素材の製造時に用いられる組織化手段としては、従来の粒状大豆たんぱく質の分野で公知の組織化手段が使用可能であり、例えば典型的には二軸エクストルーダー等が使用される。また、例えば二軸エクストルーダー等が使用される場合の各種の製造条件も公知の範囲で適宜選択される。また、成形手段や乾燥手段も公知のものが適宜使用される。
本発明に使用する「おから」とは、丸大豆から豆腐や豆乳などを製造したり、脱脂大豆から分離大豆蛋白を製造したりする際に副産物(搾りかす)として生じる不溶性繊維を主体とする素材のことをいい、本発明では含水タイプ、粉末タイプのいずれの形態も使用することができる。ちなみに、5訂食品成分表では、おからのたんぱく質割合は、大豆たんぱく質含有原料のたんぱく質割合よりもかなり低く、乾燥質量換算で24.1%とされている。
本発明における粒状の大豆加工品素材は、大豆たんぱく質含有原料のみ、おからのみを組織化して得られるものではなく、両者の混合物を組織化して得られる。その理由は、いずれか単独で使用した場合には、肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感を実現することができないからである。また、大豆たんぱく質含有原料の単用ではなくおからとの併用とすることにより、風味の向上が期待できるとともに、消費者に対して健康的な食品であるというイメージを与えることができるからである。
上記混合物中において、おからは、乾燥質量換算で大豆たんぱく質含有原料と同量またはそれよりも少量配合されている。即ち、おからの配合量が大豆たんぱく質含有原料よりも多くなると、保形性が悪化して粒形状を維持できず、調味時に崩れやすくなる。また、調味時に崩れず粒形状を維持できたとしても、弾力性のある食肉の食感とは全く異なるものになってしまう。
具体的にいうと、上記混合物中におけるおからの質量比は、上述のとおり乾燥質量換算で1質量%以上50質量%以下の範囲内とする必要があるが、好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲内とすることがよい。この範囲内であると、本発明の肉そぼろ風チルド食品に、肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感をバランスよく付与することができるからである。ここで、おからの質量比が10質量%未満であると、大豆たんぱく質含有原料の占める割合が大きくなる結果、大豆特有の風味が強くなり、肉そぼろに近い好適な風味が付与されにくくなる。逆に40質量%超であると、肉そぼろに近い好適な風味、香味を付与することができるものの、保形性の低下に伴い食肉よりも柔らかい食感となってしまう。
なお、上記混合物中におけるおからの質量比の最適範囲は、上述のとおり乾燥質量換算で20質量%以上30質量%以下である。この範囲内であると、本発明の肉そぼろ風チルド食品に、肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感をバランスよく確実に付与することができるからである。
本発明の肉そぼろ風チルド食品において調味液は、粒状の大豆加工品素材に含ませることで、それに風味や香味を付与する役割を果たしている。このような調味液を構成しうる成分としては、例えば、旨味成分、塩味成分、甘味成分、酸味成分などがあり、具体的には食塩、糖類、発酵調味料類、有機酸類、エキス類などが挙げられる。
本発明において使用される調味液は、有機酸類の一種である酢酸を少なくとも含む酸性調味液とする必要があり、そのpHについては3.0以上6.0以下の範囲内に設定される。その理由は、調味液のpHをこの範囲内に設定することで、本発明の肉そぼろ風チルド食品に、好適な風味、香味、食感を付与しつつ好適な品質保持性も付与しやすくなるからである。また、酢酸は有機酸のなかでも制菌力が高いため、微生物を制御して品質保持性を付与する際に好適だからである。pHが3.0未満であると、品質保持性には優れるものの酸味が強くなりすぎてしまい、風味、香味、食感のバランスが悪くなってしまう。逆にpHが6.0超であると、酸味が気にならなくなる反面、品質保持性が低下してしまい、別に保存料などを添加する必要が生じる。ここで、調味液のpHは3.2以上5.0以下が好ましく、3.5以上3.9以下がより好ましい。なお、この範囲内において、調味液のpHの値を下げると硬くてしまった食感となり、pHの値を上げると柔らかい食感となる傾向がある。
本発明において使用される調味液において、酢酸は主として食酢に由来するものである。食酢としては、例えば、穀物酢、米酢、米黒酢、りんご酢、醸造アルコールを原料に製造される醸造酢や、合成酢等が挙げられる。これらの食酢は、単独で用いてもよいほか、2種以上併用してもよい。ここで、本発明の調味液における酢酸濃度は、例えば0.1質量%以上1.0質量%以下に設定され、好ましくは0.2質量%以上0.6質量%以下に設定される。
上記の調味液には、酢酸以外の有機酸(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸など)が含まれていてもよい。また、上記の調味液に配合されうる糖類としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、水あめ、異性化糖、転化糖、キシリトール、ソルビトール、パラチノース等といった甘味料がある。同様に発酵調味料類の好適例としては醤油やみりん等がある。醤油の具体例としては、濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油等がある。エキス類としては、肉エキス、魚介エキス、酵母エキス、野菜エキス等がある。
調味液に配合されうるその他の成分としては、香料、香辛料(ニンニク、唐辛子、胡椒、山椒等)、酒類(日本酒、紹興酒、焼酎、ワイン等)、増粘剤(グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、モナトウガム、トラガントガム等)、油脂(大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ひまわり油、米油、綿実油、パーム油、オリーブ油、ヤシ油、落花生油、ごま油等)などがある。ただし、油脂についてはもともと大豆に多く含まれているため、積極的に配合しなくてもよい。
本発明の肉そぼろ風チルド食品における必須成分ではないが、粒状の大豆加工品素材中におけるおからの質量比が比較的多いときには、保形性の低下による問題を解消するべく、食品中に所定量のカルシウムを含有させておくことがよい。特には、カルシウムを含む調味液を用意し、これを粒状の大豆加工品素材と混ぜ合わせて浸透させることにより、食品中に所定量のカルシウムを含有させることがよい。具体的には、おからの質量比が20質量%以上30質量%以下であるときには、食品中に0.05質量%以上0.20質量%以下のカルシウムが含有されていることが好ましい。その理由は、カルシウム含有量がこの範囲内であると、粒状の大豆加工品素材を引き締める効果により保形性が向上し、食肉に近い弾力性のある食感を確実に付与することができるからである。ここで、カルシウム含有量が0.20質量%超になると、えぐ味や苦み等といった雑味が出るため風味が低下する傾向があることに加え、引き締め効果が強くなりすぎて食感も低下する傾向がある。なお、カルシウム含有量は、0.08質量%以上0.16質量%以下であることがより好適である。おからの質量比が比較的少ないときには、保形性の面で問題が生じにくいため、食品中にカルシウムを含有させておく必要はない。
食品中のカルシウムは、例えば、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム等に由来するが、なかでも乳酸カルシウムに由来するものであることがよい。
本発明の肉そぼろ風チルド食品の水分量は、保形性及び食感の観点から50質量%以上80質量%以下とする必要があり、好ましくは60質量%以上70質量%以下、特に好ましくは62質量%以上66質量%以下である。水分量が少なすぎると、パサついた感じとなり肉そぼろの食感から遠ざかってしまうおそれがある。水分量が多すぎると、べたついた食感となるほか、柔らかくて保形性に劣ったものとなるおそれがある。
本発明の肉そぼろ風チルド食品は油脂を含んでいてもよく、このような油脂の大部分は粒状の大豆加工品素材に由来するものである。当該食品中の油脂含有量は特に限定されないが、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上1.5質量%以下程度であることがさらに好ましい。その理由は、通常茹でた大豆の油脂含有量は9質量%前後、豆腐の油脂含有量は3.0質量%〜4.0質量%程度であるため、低カロリーで健康的なイメージの食品とするには、油脂含有量をそれ以下に設定すべきだからである。ただし、油脂含有量があまりに少ないと、コクが少なくなり食肉の食感から遠ざかってしまうおそれがある。
本発明の肉そぼろ風チルド食品は、通気性を有する容器内に非密閉状態で収容されている。その点において、通気性を有しない容器内に密閉的に収容されている缶詰やレトルト食品とは製品形態が異なっている。密閉性容器の場合、開封に手間が掛かり即食性に劣るばかりでなく、容器の金属臭が食品に移りやすいというデメリットがあるが、通気性容器には基本的にそのようなデメリットがない。
本発明における容器としては、非密閉状態が保持できれば特に限定されず種々のものが使用可能であるが、例えば発泡樹脂製の蓋付き容器などが好適であり、具体的には発泡ポリスチレン製の蓋付き納豆容器などを挙げることができる。ここで、上記のような納豆容器を使用する理由は、容器内が好気的環境となるので嫌気性菌であるボツリヌス菌をケアしなくてもよく、制菌の労力が少なくて済むというメリットがあるからである。また、納豆容器は従来から使用実績もあることに加え、そのまま食器としても活用できるため即食を行うにあたり好都合だからである。
次に本発明の容器入りの肉そぼろ風チルド食品の製造方法について説明する。この製造方法では、まず、粒状の大豆加工品素材と、加熱された調味液とを常圧下で混ぜ合わせて所定時間保持することで、素材に調味液を浸透させる調味工程を行う。次に、調味された素材を容器に非密閉状態で充填する充填工程を行う。そして、容器内に充填された状態の素材を殺菌する殺菌工程を行う。以上の工程を経て、容器入りの肉そぼろ風チルド食品を製造することができる。
この製造方法の調味工程では、釜の中で大豆を蒸煮するときのような一般的な加熱処理方法ではなく、熱した調味液に常圧下で素材を浸漬させて加熱処理する方法を採用している。常圧でも釜で加温すると、素材の自重と熱とでたんぱく変性を起こし、物性をうまくコントロールすることができない。その点、上記の調味工程によると、素材の自重がかかりにくく、加熱温度もそれほど高くする必要がないので、たんぱく変性を防ぐことができる。よって、物性を比較的容易にコントロールすることができ、所望とする肉そぼろの食感を食品に付与しやすくなるからである。
この場合、調味料は65℃以上に加温されることがよく、素材と混ぜ合わせたうえで30分以上保持されることがよい。即ち、この工程では、65℃30分以上と同等の加熱負荷をかけるようにする。殺菌工程は充填工程後に行われ、例えば60℃〜70℃程度かつ60分程度の加熱条件とする。その後、得られた製品をチルド温度に冷やして保存する。
以下、本実施形態の容器入りの肉そぼろ風チルド食品(以下「大豆そぼろ製品」とも呼ぶ。)及びその製造方法をより具体化した実施例を示す。
<試験1>
試験1では、粒状の大豆加工品素材の原料混合物として、大豆たんぱく質含有原料とおからとの好適な配合比率(乾燥質量換算)、食品中の水分量を比較検討するための評価試験の結果を表1に示す(図1参照)。
まず、表1に示す原料配合量に従い、大豆たんぱく質含有原料である脱脂大豆と、おから粉末とをいろいろな比率で配合して原料混合物を作製し、粒状の大豆加工品素材のサンプルを何種類か作製した(試験例1〜8)。具体的には、公知の二軸エクストルーダーを用い、高温・高圧条件下(100℃〜200℃、1kg/cm〜100kg/cm)にて原料混合物の混練・溶融を行い、ダイから押し出すことにより、原料混合物を肉様に組織化させた。このような組織化工程の後、公知の条件で成形工程及び乾燥工程を行い、直径1mm〜5mm程度の粒状の大豆加工品素材を得た。
なお、ここでは粒状の大豆加工品素材に対するおからの質量比(W/W、乾燥質量換算)を、0質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%の8段階に設定した。具体的にいうと、試験例1では脱脂大豆1000kgとおから粉末0kgとを配合し、試験例2では脱脂大豆900kgとおから粉末100kgとを配合し、試験例3では脱脂大豆800kgとおから粉末200kgとを配合し、試験例4では脱脂大豆700kgとおから粉末300kgとを配合し、試験例5では脱脂大豆600kgとおから粉末400kgとを配合し、試験例6では脱脂大豆500kgとおから粉末500kgとを配合し、試験例7では脱脂大豆400kgとおから粉末600kgとを配合し、試験例8では脱脂大豆300kgとおから粉末700kgとを配合し、各々合計で1000kgとした。
一方、表1に示す原料配合量に従い、高酸度醸造酢24kg、果糖ぶどう糖液糖96kg、食塩48kg、淡口醤油12kg、グリシン6kg、水814kgを配合し、合計で1000kgの調味液を作製した。ちなみに、この調味液における酢酸濃度%(W/W)は0.40質量%、pHは3.7、塩分(NA)は5.0%であった。
そして、粒状の大豆加工品素材と調味液とを用いて、以下のような手順で大豆そぼろ製品を製造した。まず、粒状の大豆加工品素材を釜のような調理用器具内に収容した後、その調理用器具内に95℃に加熱された調味液を注ぎ込んだ。そして、常圧下で粒状の大豆加工品素材と調味液とを混ぜ合わせて所定時間保持(ここでは30分保持)した。これにより、素材に調味液を浸透させて素材に味を付けた(調味工程)。次に充填工程を行い、調味された素材を所定の容器に非密閉状態で充填した。具体的には、従来公知の発泡ポリスチレン製の蓋付き納豆容器を流用し、調味された素材を従来公知の充填機を用いて上記の納豆容器内に充填した。なお、このとき容器本体に対して蓋を完全にシールせず、通気性を保持するようにした。次に、従来公知の加熱装置を用いて殺菌工程を行い、容器内に充填された状態の素材を60℃〜70℃、60分の条件で殺菌した。殺菌工程の後、容器内に充填された素材をチルド温度に冷却して保管を行った。以上の工程を経て、容器入りの大豆そぼろ製品のサンプルを8種類得た。
表1には、試験例1〜8について、「素材に対する調味液量%(W/W、混合加熱前)」、「大豆そぼろ製品の水分量%(W/W)」、「大豆そぼろ製品のカルシウム量%(W/W)」、「大豆そぼろ製品の油脂量%(W/W)」、「大豆そぼろ製品のpH」、「大豆そぼろ製品の塩分量%(W/W)(NA)」を測定した結果が記されている。その結果、素材に対する調味液量は150質量%〜230質量%となり、おからの配合量が多くなるほど高い値を示した。大豆そぼろ製品の水分量は61質量%〜70質量%となり、おからの配合量が多くなるほど高い値を示した。大豆そぼろ製品のカルシウム量はいずれも0質量%であった。大豆そぼろ製品の油脂量は1.20質量%〜1.41質量%となり、おからの配合量が多くなるほど高い値を示した。大豆そぼろ製品のpHはいずれも4.8であった。大豆そぼろ製品の酸度は4.2〜4.7となり、おからの配合量が少なくなるほど高い値を示した。
この試験1では、各試験例のサンプルの「肉様の食感」、「大豆特有の風味」、「保形性」及び「調味液の浸透性」の各項目について5段階(5:好ましい、4:やや好ましい、3:ふつう、2:やや好ましくない、1:好ましくない)で評価するとともに、「その他、香味、食感の特徴」についても評価した。そして、これらの評価結果に基づいて5段階で「総合評価」を行った。
表1に示すように、「肉様の食感」及び「保形性」に関しては、おから粉末の配合量が多くなるほど悪化する傾向があることが認められた。逆に、「大豆特有の風味」及び「調味液の浸透性」に関しては、おから粉末の配合量が少なくなるほど好適化する傾向があることが認められた。
「その他、香味、食感の特徴」に関していうと、例えば、おから粉末を全く含まない試験例1(比較例1)のサンプルでは、肉様の食感は感じられるが、大豆特有の風味が強いという特徴があった。また、おから粉末を比較的多く含む試験例7、8(比較例2、3)のサンプルでは、いずれも食感、保形性の点で問題があった。即ち、これらのサンプルでは、脱脂大豆よりもおから粉末を多く含むことから、保形性が悪化して粒形状を維持できず、調味時に崩れやすかった。また、粒形状を維持できたとしても、弾力性のある食肉の食感とは全く異なっていた。とりわけこの傾向は試験例8のサンプルにおいて顕著であり、製品として使用できないものとなった。従って、これらのサンプルでは総合評価が「2以下」となり、低い評価となった。
これに対して、比較的少量のおから粉末を含む試験例2のサンプルでは、肉様の食感が感じられたことに加え、風味が改善する傾向も一応見られたため、総合評価が「3」となった。また、脱脂大豆と同量のおから粉末を含む試験例6のサンプルでは、風味は好ましいが食感及び保形性が劣るものとなったため、総合評価が「3」となった。その点、適量のおから粉末を含む試験例3〜5のサンプルでは、好適な風味、香味、食感のバランスがよかったため、総合評価が「4以上」となった。なかでも、試験例4の総合評価が最も高く、「5」となった。以上の結果から、上記混合物中におけるおから粉末の質量比(乾燥質量換算)の好適範囲は10質量%〜50質量%であり、最適範囲は20質量%〜30質量%であることが実証された。
<試験2>
試験2では、調味液のpHの好適値を比較検討するための評価試験の結果を表2に示す(図2参照)。
まず、粒状の大豆加工品素材に対するおからの質量比(乾燥質量換算)を30質量%に設定した上記原料混合物を用い、上記試験1の方法に準じて粒状の大豆加工品素材を作製した。一方、表2に示す原料配合量に従い、高酸度醸造酢、果糖ぶどう糖液糖、食塩、淡口醤油、グリシン及び水を配合し、複数種類の調味液を作製した。ここでは、高酸度醸造酢の配合量を、36kg、32kg、28kg、24kg、20kg、16kg、12kgの7段階に設定した。また、水の配合量については、各々の調味液が合計で1000kgとなるように適宜設定した。
得られた7種類の調味液を測定したところ、試験例9では酢酸濃度0.59質量%かつpH3.5、試験例10では酢酸濃度0.53質量%かつpH3.6、試験例11では酢酸濃度0.46質量%かつpH3.7、試験例12では酢酸濃度0.40質量%かつpH3.7、試験例13では酢酸濃度0.33質量%かつpH3.8、試験例14では酢酸濃度0.26質量%かつpH3.8、試験例15では酢酸濃度0.20質量%かつpH3.9であった。
そして、粒状の大豆加工品素材と上記の調味液とを用いるとともに、上記試験1の手順(調味・充填・殺菌工程後にチルド保管)に準じて、容器入りの大豆そぼろ製品を7種類製造した。
表2には、試験例9〜15のサンプルについて各種測定を行ったところ、素材に対する調味液量は160質量%〜180質量%となり、調味液における高酸度醸造酢の配合量が多くなる(即ち調味液のpHが高くなる)ほど低い値を示した。大豆そぼろ製品の酢酸濃度は0.13質量%〜0.35質量%となり、調味液における高酸度醸造酢の配合量が多くなるほど高い値を示した。また、大豆そぼろ製品の水分量は64質量%、カルシウム量は0質量%、油脂量は1.29質量%であった。
この試験2でも、各試験例のサンプルの「肉様の食感」、「大豆特有の風味」、「保形性」、「調味液の浸透性」及び「風味」の各項目について5段階(5:好ましい、4:やや好ましい、3:ふつう、2:やや好ましくない、1:好ましくない)で評価するとともに、「その他、香味、食感の特徴」についても評価した。そして、これらの評価結果に基づいて5段階で「総合評価」を行った。
表2に示すように、「肉様の食感」についてはいずれも「4以上」の高評価であったが、酢酸濃度が最も高くてpHが最も低い試験例9について評価が「5」となった。「大豆特有の風味」及び「保形性」に関しては特に差異は認められず、いずれも評価が「5」となった。「調味液の浸透性」に関しても特に差異は認められず、いずれも評価が「4」となった。「大豆特有の風味」に関しては、酢酸濃度が低くなるほど好適化する傾向があることが認められた。
「その他、香味、食感の特徴」に関していうと、試験例12、13のサンプルではわずかに酸味を感じる程度であり、試験例10、11のサンプルではやや酸味を感じる程度であった。従って、試験例12、13のサンプルでは総合評価が「5」となり、試験例10、11のサンプルでは総合評価が「4」となった。試験例10〜13よりも酢酸濃度が高い試験例9のサンプルでは、やや食感が好ましくなる傾向がみられたが、酸味が他のものよりも強く感じられたため、総合評価では「3」となった。一方、試験例10〜13よりも酢酸濃度が低い試験例14、15のサンプルでは、酸味はあまり気にならないものの、品質保持面でやや問題があった。従って、試験例14のサンプルでは総合評価が「4」となり、試験例15のサンプルでは総合評価が「3」となった。
本発明では調味液のpHは3.0〜6.0の範囲内に設定すべきであるが、例えばpHを3.5〜3.9といった好適範囲内に設定することで、大豆そぼろ製品に好ましい風味、香味、食感を付与できることが実証された。また、pHを3.9よりも低くすることで、好適な品質保持性を付与できることも実証された。ちなみに表2にて具体的に挙げていないが、各試験例のサンプルを2週間以上チルド保管した後、微生物の発生状況等を目視観察した。その結果、いずれの試験区においても腐敗の原因となる微生物の増殖は認められず、変色等の品質劣化も認められなかったことから、各試験例のサンプルがチルド食品に求められる好適な微生物耐性を備えていることがわかった。
<試験3>
試験3では、カルシウムの好適量を比較検討するための評価試験の結果を表3に示す(図3参照)。
まず、粒状の大豆加工品素材に対するおからの質量比(乾燥質量換算)を30質量%に設定した上記原料混合物を用い、上記試験1の方法に準じて粒状の大豆加工品素材を作製した。一方、表3に示す原料配合量に従い、高酸度醸造酢、果糖ぶどう糖液糖、食塩、淡口醤油、グリシン、乳酸カルシウム(カルシウム含有料13%)及び水を配合し、複数種類の調味液を作製した。ここでは、乳酸カルシウムの配合量を0kg、5kg、10kg、15kg、20kg、30kg、40kg、50kgの8段階に設定した。また、水の配合量については、各々の調味液が合計で1000kgとなるように適宜設定した。
得られた8種類の調味液を測定したところ、試験例16ではカルシウム量0質量%かつpH3.7、試験例17ではカルシウム量0.07質量%かつpH3.7、試験例18ではカルシウム量0.13質量%かつpH3.7、試験例19ではカルシウム量0.20質量%かつpH3.7、試験例20ではカルシウム量0.26質量%かつpH3.7、試験例21ではカルシウム量0.4質量%かつpH3.8、試験例22ではカルシウム量0.5質量%かつpH3.8、試験例23ではカルシウム量0.7質量%かつpH3.8であった。
そして、粒状の大豆加工品素材と上記の調味液とを用いるとともに、上記試験1の手順(調味・充填・殺菌工程後にチルド保管)に準じて、容器入りの大豆そぼろ製品を8種類製造した。
表3には、試験例16〜23のサンプルについて各種測定を行ったところ、大豆そぼろ製品のカルシウム量は0.0質量%〜0.4質量%となった。なお、素材に対する調味液量は170質量%であり、大豆そぼろ製品の水分量は64質量%、油脂量は1.29質量%、酢酸濃度は0.25質量%であった。
この試験3でも、各試験例のサンプルの「肉様の食感」、「大豆特有の風味」、「保形性」、「調味液の浸透性」及び「風味」の各項目について5段階(5:好ましい、4:やや好ましい、3:ふつう、2:やや好ましくない、1:好ましくない)で評価するとともに、「その他、香味、食感の特徴」についても評価した。そして、これらの評価結果に基づいて5段階で「総合評価」を行った。
表3に示すように、「肉様の食感」については全ての試験区のサンプルで「4以上」の高評価となり、とりわけ試験区18〜21のサンプルについて評価が「5」となった。「大豆特有の風味」及び「保形性」に関しては特に差異は認められず、いずれも評価が「5」となった。「調味液の浸透性」に関しても特に差異は認められず、いずれも評価が「4」となった。一方、「風味」に関しては、カルシウム量が多くなりすぎると悪化する傾向があることが認められた。
「その他、香味、食感の特徴」に関していうと、カルシウム量がゼロまたは極めて少量(0.04質量%)の試験例16、17のサンプルでは、食感、風味、香味のバランスがよく、総合評価が「5」となった。また、試験例18、19(カルシウム量が0.08質量%〜0.12質量%)のサンプルでは、試験例16、17よりもさらに食感が好適化する傾向が見られた。従って、総合評価が「5」となったが、実際上は「5+」と言いうるものであった。試験例20(カルシウム量が0.16質量%)のサンプルでは、風味面でわずかに雑味が出はじめるものの、食感が試験例16、17よりも好適化する傾向が見られたため、総合評価が「5」となった。一方、それら試験区よりもカルシウム量を多く(0.25質量%)した試験例21のサンプルでは、食感は好ましい傾向にあるが風味面で課題が出てきたため、総合評価が「4」となった。カルシウム量をさらに多く(0.3質量%)した試験例22のサンプルでは、風味面ばかりでなく食感も低下する傾向があり、総合評価が「4」となった。カルシウム量を最も多く(0.4質量%)した試験例23のサンプルでは、食感が低下する傾向があることに加え、風味面で雑味が出てきたため、総合評価が「3」となった。
このような結果から、粒状の大豆加工品素材中におけるおからの質量比が比較的多いときには、大豆そぼろ製品中のカルシウム含有量は0質量%〜0.16質量%程度であることが好適であり、さらには0.08質量%〜0.12質量%程度であることがより好適であることが実証された。
<結論>
以上の結果を総合すると、本実施形態の上記実施例の容器入りの肉そぼろ風チルド食品によれば、チルド食品に求められる好適な微生物耐性を有し、かつ肉そぼろに近い好適な風味、香味、食感を有するためそのままでも美味しく手軽に食べることができる容器入りの肉そぼろ風チルド食品を提供することができる。また、本実施形態の製造方法によると、上記の優れた容器入りの肉そぼろ風チルド食品を確実にかつ効率よく製造することができる。なお、本発明は上記実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更してもよい。

Claims (8)

  1. 大豆たんぱく質含有原料及び前記大豆たんぱく質含有原料と乾燥質量換算で同量またはそれよりも少量のおからの混合物を組織化して得られる粒状の大豆加工品素材に、酢酸を含むpHが3.0以上6.0以下の調味液を含有させてなり、水分量が50質量%以上80質量%以下である肉そぼろ風のチルド食品であって、容器内に非密閉状態で収容されていることを特徴とする容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  2. 前記混合物中における前記おからの質量比が、乾燥質量換算で10質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  3. 前記混合物中における前記おからの質量比が、乾燥質量換算で20質量%以上30質量%以下であるとともに、食品中に0.05質量%以上0.20質量%以下のカルシウムが含有されていることを特徴とする請求項1に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  4. 油脂の含有量が3.0質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  5. 前記大豆たんぱく質含有原料が脱脂大豆であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  6. 前記容器が、通気性を有する容器であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  7. 前記容器が、発泡樹脂製の蓋付き容器であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の容器入りの肉そぼろ風チルド食品。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の食品の製造方法であって、
    前記粒状の大豆加工品素材と、加熱された前記調味液とを常圧下で混ぜ合わせて所定時間保持することで、前記素材に前記調味液を浸透させる調味工程と、
    調味された前記素材を前記容器に非密閉状態で充填する充填工程と、
    前記容器内に充填された状態の前記素材を殺菌する殺菌工程と
    を含むことを特徴とする容器入りの肉そぼろ風チルド食品の製造方法。
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