JP2016118754A - 印刷物および照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過光により画像を知覚させる場合と、反射光で画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を得ることができる印刷物およびこれを備えた照明装置を提供する。【解決手段】印刷物10は、基板としての光拡散板100と積層クリア層101とカラー層106と調光層107とを備える。調光層107は、透過する光の光量を調整する機能を有し、積層クリア層101の上方であって、カラー層106の上に配置されている。調光層107は、カラー層106の表面に対し、平面視での面積比で2〜50%を被覆するように形成されている。調光層107は、具体的に、網点状に形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、印刷物および照明装置に関し、特に立体印刷における画像品質の向上に係る技術に関する。
印刷された画像が立体的に知覚できるようにした印刷物が種々開発されている(特許文献1〜5)。例えば、媒体上に印刷された画像の上にレンチキュラーレンズを形成したものや(特許文献1)、透明樹脂からなるクリア層により凹凸を形成し、その上または下に形成した画像を立体的に知覚できるようにしたもの(特許文献2,3)などがある。
また、媒体上に部分的に白色反射層を設け、その上に画像を印刷することで、白色反射層を設けた個所と設けていない箇所との視覚効果の差異により立体的に知覚できるようにしたものなどもある(特許文献4,5)。
ところで、印刷物のオモテ面から光を照射し、その反射光により看者に画像を知覚させる形態に加え、媒体の裏面から光を入射させ、透過した光により看者に画像を知覚させるといった形態のものも開発されている。
特開2001−255606号公報 特開2010−76365号公報 特開2013−230625号公報 特開平05−131799号公報 特開2008−87287号公報 特開2014−203671号公報
しかしながら、立体的に知覚できるようにするためにクリア層を複数層形成した場合には、媒体の裏面から照射した光が色味を帯びてしまうという問題が生じる。例えば、白色で表現したい箇所にあっては、複数のクリア層が積層された箇所において黄色濁りを生じる。
このような透過光での色味を帯びるという問題は、透過光により画像を知覚する場合における画像品質を低下させる原因となる。
本発明は、このような問題の解決を図ろうとなされたものであって、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光で画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を得ることができる印刷物およびこれを備えた照明装置を提供することを目的とする。
本発明に一態様に係る印刷物は、基板と、積層クリア層と、調光層と、を備える。
基板は、光透過性を有する。
積層クリア層は、光透過性のクリア要素層が複数積層されてなり、基板の一方の主面(一主面)の上方に配置されている。
調光層は、透過する光の光量を調整する機能を有し、積層クリア層の上方および複数積層されてなるクリア層の層間の少なくとも一方に配置されている。
本態様における調光層は、複数の光反射性粒子を有し、その下地となる層の表面の一部を覆って設けられている。複数の光反射性粒子は、それぞれが粒状をしており、表面が光反射性を有する。そして、調光層は、平面視において、下地となる層の表面に対し、面積比で2〜50%を覆っている。
上記態様に係る印刷物では、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光で画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を実現することができる。
本発明の実施の形態1に係る照明装置1の外観を示す模式斜視図である。 照明装置1が備える印刷物10の構成を示す模式断面図である。 (a)は、印刷物10に対して裏面10bから入射した光の進行について示す模式図であり、(b)は、比較例1に係る印刷物90に対して裏面90bから入射した光の進行について示す模式図であり、(c)は、比較例2に係る印刷物91に対してオモテ面91aから入射した光の進行について示す模式図である。 (a)は、印刷物10の構成を示す模式断面図であり、(b)は、調光層107とその下地となるカラー層106の一部を示す模式平面図であり、(c)は、調光層107およびカラー層106を平面視した模式平面図である。 照明装置1の使用例を示す模式図である。 印刷物10の製造方法の概略を示す工程図である。 本発明の実施の形態2に係る印刷物30の構成を示す模式断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態3に係る印刷物40の構成を示す模式断面図であり、(b)は、変形例に係る印刷物45の構成を示す模式断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態4に係る印刷物50の構成を示す模式断面図であり、(b)は、印刷物50に対して裏面から入射した光の進行について示す模式図であり、(c)は、印刷物50に対してオモテ面から入射した光の進行について示す模式図である。 本発明の実施の形態5に係る印刷物60の構成を示す模式断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態6に係る印刷物70の構成を示す模式断面図であり、(b)は、本発明の実施の形態7に係る印刷物80の構成を示す模式断面図である。 (a)は、印刷物70に対して裏面から光を照射した状態についての縦断面での断面画像であり、(b)は、印刷物80に対して裏面から光を照射した状態についての縦断面での断面画像であり、(c)は、印刷物70に対して裏面から光を照射した状態についての横断面での断面画像であり、(d)は、印刷物80に対して裏面から光を照射した状態についての横断面での断面画像である。 (a)は、印刷物70に対して裏面から光を照射した状態について真上から撮影した画像であり、(b)は、印刷物80に対して裏面から光を照射した状態について真上から撮影した画像であり、(c)は、印刷物70に対して裏面から光を照射した状態について斜め上から撮影した画像であり、(d)は、印刷物80に対して裏面から光を照射した状態について斜め上から撮影した画像である。 (a)〜(o)は、調光層の濃度を2〜30%の範囲で変化させた場合の、光の透過状態を示す図である。 (a)〜(g)は、調光層の濃度を40〜100%の範囲で変化させた場合の、光の透過状態を示す図である。
[本発明の各態様]
本発明に一態様に係る印刷物は、基板と、積層クリア層と、調光層と、を備える。
基板は、光透過性を有する。
積層クリア層は、光透過性のクリア要素層が複数積層されてなり、基板の一方の主面(一主面)の上方に配置されている。なお、本明細書において、「上方に配置」とは、下地となる層の上に直に配置する場合と、下地となる層の上に他の層を介して配置する場合と、の両場合を含む。
調光層は、透過する光の光量を調整する機能を有し、積層クリア層の上方および複数積層されてなるクリア層の層間の少なくとも一方に配置されている。
本態様における調光層は、複数の光反射性粒子を有し、その下地となる層の表面の一部を覆って設けられている。複数の光反射性粒子は、それぞれが粒状をしており、表面が光反射性を有する。そして、調光層は、平面視において、下地となる層の表面に対し、面積比で2〜50%を覆っている。
上記態様に係る印刷物では、調光層が下地となる層の表面に対し、面積比で2〜50%の範囲(「2〜50%の濃度」と記載する場合がある。)で覆うよう設けられているので、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光で画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を実現することができる。
なお、上記態様に係る印刷物では、調光層を積層クリア層の上方に配置する態様を採用する場合には、例えば、黒色(暗さ)や奥行き感を強調するなどの画像の高い品質を得る上でも効果を奏する。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、調光層が網点状に設けられている。このような構成を採用する場合にも、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光で画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を実現することができる。
なお、「網点」とは、印刷において、下地の表面上に対し、小さな点のパターン(ドットパターン)で層を形成することをいい、隣り合うドット同士が繋がった場合も含む。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、さらにカラー層を備える構成とすることができる。カラー層は、1色または複数色を以って基板の一主面に沿った方向に形成され、基板の一主面の上方に配置されている。
このように、カラー層を備える構成を採用する態様では、表現力豊かな画像を看者に知覚させることができる。また、調光層を備えることにより、特に透過光により知覚させる場合に、優れた色再現性を実現することができる。
本発明の一態様(仮に、「第1の態様」とする。)に係る印刷物では、上記構成において、カラー層が積層クリア層の上面を被覆するように配置されており、調光層が、カラー層の上面の一部と、積層クリア層およびカラー層の側面の一部を被覆するように配置されている。このように、調光層を積層クリア層およびカラー層の上の一部を被覆するように配置することで、基板の裏面(他方の主面)に光を入射させ、積層クリア層を透過させた場合においても、光が色味を帯びる(例えば、黄色濁り)ことを抑制することができる。
従って、カラー層で構成された画像を看者が知覚するに際して、反射光による場合と透過光による場合との両場合で高い画像品質を確保することができる。特に、画像において、白色や淡色での表現をしようとする場合になどには、画像品質の向上を図るという観点から効果的である。
なお、第1の態様においては、調光層の上に更に薄い層厚のクリア層を加えることによって、透明感のある画像を再現することも可能となる。
本発明の一態様(仮に、「第2の態様」とする。)に係る印刷物では、上記構成において、調光層が積層クリア層の上面および側面の各一部を被覆するように配置されており、カラー層が調光層の上面を被覆するように配置されている。このように、調光層を、積層クリア層の上の一部を被覆し、且つ、カラー層の下に配置する態様では、基板の裏面(他方の主面)から光を照射して透過光により看者に画像を知覚させる場合に、積層クリア層での光の乱反射による色調への影響を抑制することができる。なお、積層クリア層での透過光の乱反射は、例えば、各クリア要素層の上側あるいは下側の表面の凹凸などにより生じるものと考えられる。
従って、本発明の第2の態様に係る印刷物においても、カラー層で構成された画像を看者が知覚する場合と、反射光による場合と透過光による場合と、の両場合で高い画像品質を確保することができる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、さらに保護層を備える。保護層は、光透過性を有し、積層構造上面を被覆するように配置されている(印刷物の最上面に保護層が配置されている)。このように、積層構造の再上面に保護層を配置する態様では、積層クリア層の配置によって疑似的なエンボス加工を施すことで、画像を知覚した看者が印刷物の表面に手を触れた場合にあっても、調光層やクリア要素層などの保護層の下に配置される層を保護することができる。また、カラー層を備える態様にあっては、保護層の種類を選ぶことによって、カラー層などの色褪せを防ぐことなども可能となる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、保護層がマット処理を施されている。例えば、表面に凹凸を形成することで実現することができる。このように、保護層の表面にマット処理(艶消し処理)を施す態様では、当該マット処理を施した領域と施していない領域とで、画像の質感を変えることができる。例えば、光沢のある金属表面などを画像で表現しようとする領域についてはマット処理を施さず、グロス調としておき、表面がザラザラとした物を画像で表現しようとする領域についてはマット処理を施すなどが可能である。
本発明の一態様(仮に、「第3の態様」とする。)に係る印刷物では、上記構成において、第2調光層を備える。第2調光層は、上記一主面と積層クリア層との間に配置され、透過する光の光量を調整する機能を有する。そして、第2調光層も、それぞれの表面が光反射特性を有し、それぞれ粒状をした複数の光反射性粒子を有してなる。第2調光層は、平面視において、その下地となる層の表面に対し、面積比で2〜50%の範囲で覆うよう設けられている。
なお、透過光を完全に遮光しようとする領域に関しては、例えば、100%の濃度で反射層(白色層)を形成することで対応できる。
このように、基板の一主面と積層クリア層との間に、第2調光層を配置する場合には、反射光により看者が画像を知覚する場合に、上方から入射した光の一部が第2調光層で反射される。このため、上方から入射した光に対する反射光の光量割合を増加させることができる。
従って、第3の態様に係る印刷物では、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光で画像を知覚させる場合と、の両場合で更に画像品質の向上を図ることができる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、下地となる層の表面を第2調光層が被覆する比率(濃度)は、下地となる層の表面を調光層が被覆する比率(濃度)よりも高い。これにより、第2調光層における光反射機能を確実に得ることができる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、積層クリア層および調光層よりも上方には、光透過性のクリア要素層が複数積層されてなる第2積層クリア層が配置されている。このように第2積層クリア層を配置することにより、画像における色調をより強調することができる。特に、カラー層を備える態様では、カラー層における濃色部分の色をより強調することができ、さらに高い質感を実現することができる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、カラー層が複数のカラー要素層が積層されてなる積層体である。このようにカラー層を多層構造とすることにより、画像の質感を高めることができる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、下地となる層の表面を調光層が被覆する比率(濃度)が面積比で25〜35%の範囲で調整されている。この濃度範囲とすることにより、透過光により画像を看者が視認する場合と、反射光により画像を看者が視認する場合と、の両場合でのより高い印刷品質を確保することができる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、調光層において、調光層に含まれる光反射粒子が白色顔料からなる。このような構成とすることにより、例えば、インクジェット装置を用いUV(紫外線)硬化インクを滴下して調光層を形成することができ、容易に形成することができる。なお、下地となる層に対するインクの親液性を考慮して、下地となる層の表面に予めプライマーを塗布しておくこともできる。
本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、調光層の層厚が0.010〜0.030mmの範囲である。調光層の層厚を上記範囲に規定することにより、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光により画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を確保することができる。
なお、本発明の一態様に係る印刷物では、上記構成において、基板として、樹脂またはガラスからなる基板を採用することができる。
本発明の一態様に係る照明装置は、上記の何れかの態様に係る印刷物と、光源を備える。光源は、印刷物における基板の他方の主面に光を照射可能に配置されている。これにより、上記効果をそのまま得ることができる。
本発明の一態様に係る照明装置では、上記構成において、光源と印刷物との間の光の経路中には、導光板が配置されており、印刷物の基板として導光板上に配置される光拡散板を採用している。このように、光拡散板を兼用することにより、光拡散板の上に別途の基板を載置する場合と比べて、光の減衰を抑えることができるとともに、製造コストの低減を図る上でも優位である。
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参酌しながら説明する。
なお、以下の説明に係る実施の形態は、本発明の構成上の特徴および当該構成上の特徴から奏される作用効果を分かりやすく説明するための例として用いるものであって、本発明は、その本質的な特徴部分を除き、以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
[実施の形態1]
1.照明装置1の概略構成
本実施の形態に係る照明装置1の概略構成を、図1を用い説明する。
図1に示すように、バックライト20と印刷物10とを有し構成されている。照明装置1には、この他にドライバー回路なども備えるが、図示を省略している。
印刷物10は、その一方の主面(オモテ面)10aに疑似的なエンボス処理(インクエンボス処理)が施されている。
バックライト20は、光源としてのLED21を備えるものであって、導光板22の端面に対向配置されている(エッジライト方式)。導光板22のZ軸方向上面には、印刷物10が密着する状態で載置されている。導光板23のZ軸方向下面およびLED21が対向しない端面は、反射板23で覆われている。
2.印刷物10の概略構成
印刷物10の概略構成について、図2を用い説明する。図2は、図1のA部を拡大した模式断面図である。
図2に示すように、基板としての光拡散板100をベースに形成されており、一方の主面(オモテ面)10aにインクエンボス処理が施されている。一方、裏面10bは、導光板22に対して密着する状態で配置される(図1を参照)。ここで、光拡散板100は、アクリル樹脂から構成されており、表面をマット調とすることで光拡散性能が付与されている。
光拡散板100のZ軸方向上面には、複数の凸部10d1,10d2,・・が形成され、隣り合う凸部10d1,10d2,・・間が凹部10c,・・となっている。凸部10d1,10d2,・・の領域では、光拡散板100の上面にクリア要素層102〜105が積層されている。複数のクリア要素層102〜105の積層体を積層クリア層101と呼ぶことにする。
積層クリア層101の上面および側面を被覆するように、カラー層106が積層されている。図では、カラー層106を模式的に図示しているが、詳細には、C(青;シアン)、M(赤;マゼンダ)、Y(黄;イエロー)、K(黒;キープレート)の4色のインクをフルカラー印刷して形成されている。なお、インクは、UV硬化型のものが用いられ、インクジェット装置を用い塗布されている。
カラー層106の上面を被覆するように、調光層107が形成されている。調光層107は、凹部10cにおける光拡散板100の表面も被覆するように形成されている。調光層107については、UV硬化型のインクを用い網点で形成されており、インクの塗布には、インクジェット装置が用いられている。なお、調光層107の形成に際しては、下地となる層に対するインクの親液性を考慮して、予め下地となる層の表面にプライマーを塗布しておくこともできる。
印刷物10においては、LED21の点灯時には裏面10bからオモテ面10aに向けて光L1が透過し、LED21の消灯時にはオモテ面10aから入射した光L2が反射することで、看者の側へと出射される。
なお、図2に示すように、本実施の形態では、クリア要素層102〜105が、ともに台形状の断面形状をしており、Z軸方向下側から順にピラミッド状に積層されている。
しかし、各層の断面形状については、これに限定されるものではなく、一部の層が上下の層と同じ断面サイズを有していてもよいし、全ての層が同じ断面サイズを有する形態とすることもできる。
ただし、図2に示すようにピラミッド状に積層することによって、カラー層106を積層クリア層101の側面にも形成することができ、看者が視認し得る全領域に万遍なく画像を形成することができる。
また、各層の上角部分に丸みをもたせることにより、看者が視認する画像の品質を向上させることができる。
3.印刷物10に入射した光の進行と、調光層107が果たす役割
印刷物10に入射した光の進行と、調光層107が果たす役割について、図3を用い説明する。図3は、(a)が本実施の形態の場合、(b)、(c)が比較例の場合を示す。
図3(a)に示すように、印刷物10に対しては、LED21の点灯時においては裏面10bより入射した光L1が、カラー層106および調光層107を透過して出射する(出射光L3)。一方、LED21の消灯時においては、オモテ面10aより入射した光L2が、カラー層106よりもZ軸方向下方の界面などで反射し、反射光がカラー層106および調光層107を透過して出射する(出射光L3)。
ここで、調光層107は、層を透過する光の一部を遮光する機能を有する。そして、一部の光については、そのまま透過させる。本実施の形態に係る調光層107は、網点状に形成されており、光の透過光量と反射光量とのバランスをとる働きをする。具体的な構成については、後述する。
また、印刷物10では、凸部10d1,10d2を形成するために、積層クリア層101を形成しているが、特に透過光においては、黄色濁りを生じた光が出射しやすい傾向にある。
しかしながら、本実施の形態に係る印刷物10では、カラー層106の上に調光層107を形成しているので、積層クリア層101に起因する黄色濁りを抑制することができ、透過光により画像を知覚させる場合にも、カラー層106を透過して出射される光L3での色再現性に優れる。特に、カラー層106が淡色を中心とするものである場合には、その色再現性という観点から優れる。
図3(b)に示すように、基板900の上に、積層クリア層901、カラー層906が順に積層され、カラー層906のZ軸方向上側に調光層を備えない構成の印刷物90を想定する。印刷物90に対し、その裏面90bから光L1を入射させ、印刷物90を透過して光L4が出射する場合において、積層クリア層901の透過に起因して、黄色濁りを生じることになる。なお、図示を省略しているが、反射光により画像を認識する場合にも黄色濁りを生じるものと考えられるが、透過光による場合に比べて、その度合いは軽い。この原因については詳しくは解明されていないが、発明者は、反射光の場合には積層クリア層の上部での反射が存在し、その場合には光が通過するクリア要素層間の界面が少ないのに対し、透過光については、積層クリア層における全てのクリア要素層間の界面を通過することによる光の屈折などにより一部の波長域の吸収が大きいことに起因するものであると考察した。
よって、図3(b)に示す比較例1の場合、透過光と反射光とで患者が知覚する画像の色合いが違ったものとなる。即ち、特に透過光により看者に画像を知覚させる場合の画像品質の低下を招いてしまうことが考えられる。
さらに、図3(c)に示すように、紙などの媒体を基板910として用い、その上に、白色反射層917、積層クリア層911、カラー層916を順に形成してなる印刷物91を想定する。このような構成の印刷物91に対してZ軸方向上方より入射した光L5は、白色反射層917で光量の大部分が反射され、カラー層916を透過してオモテ面91aより出射される(光L6)。この比較例2の形態では、透過光による画像の知覚は意図していないために、白色反射層917の機能として上方より入射した光L5をできるだけ反射させることにある。このため、比較例2の印刷物91に対して裏面より光を照射しても、殆ど透過せず、透過光による画像を看者は知覚できない。即ち、光反射を目的として設けられた白色反射層917は、Z軸方向上方よりの光だけでなく、Z軸方向下方よりの光についても同様に反射することとなる。
4.各層の厚みと調光層107の構成
(各層の厚み)
図4(a)を用い、本実施の形態で一例として採用した各層の層厚について説明する。
図4(a)に示すように、本実施の形態に係る印刷物10においては、積層クリア層101の総厚tCAが0.08mm程度である。そして、積層クリア層101を構成するクリア要素層102〜105の各層厚tC1が0.02mm程度である。なお、本実施の形態では、4層のクリア要素層102〜105の積層体として積層クリア層101を構成しているが、表現しようとする画像に応じて積層層数を変化させることもできる。また、各クリア要素層の層厚については、互いに同一である必要は必ずしもなく、異なっていてもよい。
カラー層106の上に形成される調光層107の層厚tVLは、0.010〜0.030mmの範囲、より望ましくは、0.010〜0.020mmの範囲(例えば、0.020mm)である。なお、調光層107の層厚tVLについては、透過光量および積層クリア層の厚みなどとの関係で適宜決めることができる。
次に、図4(b)に示すように、本実施の形態に係る調光層107は、下地となるカラー層106の表面に対し、網点状に形成されている。そして、調光層107は、白色顔料を含み構成されている。なお、調光層107には、白色粒子の他に、樹脂成分も含むものと考えられ、当該樹脂成分によりカラー層106の表面に接合されている。樹脂成分の具体例としては、例えば、エポキシ系樹脂材料、ウレタン系樹脂材料、ポリエステル系樹脂材料などを採用することができる。
調光層107において、白色粒子は凝集せず、分散された状態にある。
図4(b)、(c)に示すように、調光層107は、カラー層106の表面に一部を被覆する状態で形成されており(網点状に形成)、カラー層106の表面に対し、面積比で2〜50%の範囲内で被覆するよう調整されている。カラー層106の表面に対する調光層107の被覆比率については、面積比で20〜30%の範囲内とすることが、より望ましい。例えば、本実施の形態では、面積比で30%としている。
5.適用例
本実施の形態に係る印刷物10およびこれを備える照明装置1の適用例について、図5を用い説明する。
図5に示すように、通路80の両側に配された側壁800,801には、模様が形成されている。また、両側壁800,801の下部には、複数の照明装置1が埋め込まれている。照明装置1は、上記の構成を有し、LED21の点灯時には、光L3を出射するようになっている。
図5に示すように、照明装置1の模様(画像および凹凸)は、それ以外の両側壁800,801の模様(画像および凹凸)と略同一になっている。即ち、LED21の点灯時においても、LED21の消灯時においても、通路80を通る人は、あたかも側壁800,801の一部領域が光っているように感じ、また、LED21の消灯時においては照明装置1の存在を意識しにくいようになっている。
なお、本適用例では、照明装置1における印刷物10の表面模様を、両側壁800,801の表面模様と合致させることとしたが、必ずしも合致させる必要はない。例えば、照明装置における印刷物の表面に絵画を形成しておくことなどもできる。LEDの消灯時には単に壁に掛けられた絵画と認識させ、またLEDの点灯時には、バックライトに照らされた絵画とすることもできる。
6.印刷物10の製造方法
印刷物10の製造方法について、図6を用い説明する。
(1)撮像およびスキャン
図6に示すように、印刷対象となる参照対象表面部を撮像およびスキャンする(図6のステップS1)。具体的には、再現しようとする対象物の表面部を、例えば、CCDカメラやCMOSカメラなどを撮像するとともに、表面の凹凸をレーザ変位計測装置などを用いて計測する。このとき、撮像した箇所と凹凸を計測した箇所との対応付けを行っておく。
(2)カラーデータおよび凸データの取得
図6に示すように、撮像およびスキャンして得られたデータから、箇所ごとにCMYKの4色と凸部の高さ(凸データ)を算出してメモリなどに格納する(図6のステップS2)。
(3)印刷
(3−1)クリア要素層の積層
光拡散板(基板)100の上面に対し、上記メモリから凸データを順次読み出し、クリアインクを塗布・乾燥させてクリア要素層を積層して行く(図6のステップS31)。ここで、上記では、積層クリア層101を4層のクリア要素層102〜105で構成することとしたが、積層数については、凸データに応じて変化させるものとする。
(3−2)カラー層の形成
上記メモリからカラーデータを順次読み出し、積層形成された積層クリア層101の上面および側面を被覆するように、カラー層106を形成する(図6のステップS32)。カラー層106の形成は、例えば、インクジェット装置を用いて各色の顔料を含むUV(紫外線)硬化型インクを塗布し、UV照射を行って硬化させることでなされる。
なお、より鮮やかな色を表現しようとする場合には、2層以上のカラー層を形成することで対応できる。
(3−3)調光層の形成
次に、カラー層106上および光拡散板100の露出面上を被覆するように、調光層107を形成する(図6のステップS33)。調光層107の形成には、例えば、白色顔料(例えば、酸化チタン)からなる白色粒子を含むUV硬化型インクを、インクジェット装置を用い塗布し、UV照射により硬化させることでなされる。なお、上記のように、下地となる層に対するインクの親液性を考慮して、予め下地となる層の表面にプライマーを塗布しておくことも可能である。
以上のようにして印刷(図6のステップS3)が終了し、印刷物10が完成する。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る印刷物30の構成について、図7を用い説明する。なお、図7は、上記実施の形態1における図3(a)に対応するものであって、印刷物30における他の構成については、上記実施の形態1と同様とすることができる。
図7(a)に示すように、光拡散板100の上面には、Z軸方向下側から順に、7層のクリア要素層302〜308の積層体である積層クリア層301、調光層309、カラー層310が積層形成されている。上記実施の形態1との差異点は、積層クリア層301を構成するクリア要素層302〜308の層数が7層であることと、調光層309の形成位置がカラー層310の下である点にある。
また、積層クリア層301を構成する各クリア要素層302〜308の層厚については、例えば、0.010〜0.030mmとすることができる。
図示を省略しているが、本実施の形態に係る印刷物30に対しても、裏面30b側にバックライト20が配置され、LED21の点灯時には入射された光L7が、印刷物30を透過してオモテ面30aから出射される。
ここで、本実施の形態に係る調光層309においても、下地となるクリア要素層308の表面に対し、平面視における面積比で、2〜50%(例えば、30%)を被覆する状態で形成されている。具体的に、調光層309は、上記実施の形態1と同様に、網点状に形成されている。
本実施の形態に係る印刷物30では、クリア要素層302〜308の表面に図7(b)に示すような凹凸302aが存在する場合にあっても、それに起因する乱反射の影響を調光層309で抑制することができる。即ち、乱反射によりZ軸方向に対して斜め方向に進む光がカラー層310に直接入射してしまうと、光路長が長いことで出射する光の波長が変化してしまう。
しかしながら、積層クリア層301とカラー層310との間に調光層309を配置することによって、斜め方向に進む光をZ軸方向上向きへと光路変更することができる。これは、調光層309に対して斜め方向に入射した光は、その中に含まれる白色粒子に照射される確率が高くなるためである。
以上より、本実施の形態に係る印刷物では、バックライトからの光L7を入射させた際の積層クリア層301での乱反射の影響を抑制することができ、写真などの奥行き感のある画像を採用しようとしてクリア要素層の層数を多くする場合になどに好適である。
なお、本実施の形態では、積層クリア層301を構成するクリア要素層の層数を7層としたが、8層以上(例えば、10層)とすることも可能である。これにより画像の質感を高めることもできる。
[実施の形態3]
実施の形態3に係る印刷物40の構成について、図8(a)を用い説明する。なお、図8(a)についても、上記実施の形態1における図3(a)に対応するものであって、印刷物40における他の構成については、上記実施の形態1と同様とすることができる。
図8(a)に示すように、印刷物40において、光拡散板100の上面には、Z軸方向下側から順に、7層のクリア要素層の積層体である積層クリア層301、調光層309、カラー層310、および保護層411が積層形成されている。上記実施の形態2との差異点は、カラー層310の上面が保護層411で被覆されている点である。
保護層411は、例えば、硬質樹脂材料を用い形成されている。例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂(PMMA)、AS樹脂(SAN)、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)などを採用することができる。
ここで、調光層309の濃度についても、2〜50%(例えば、30%)の範囲内である。また、具体的に、調光層309は、上記実施の形態1と同様に、網点状に形成されている。
本実施の形態のように、カラー層310上を保護層411で被覆した構成を採用した場合には、人が印刷物表面に触れた場合のカラー層310の保護、水分などによるカラー層310、調光層309、積層クリア層301の劣化抑制などを図ることができる。特に、インクエンボス処理を施した印刷物に対しては、これに接した人が触れる場合が想定され、その場合にあってもカラー層310を確実に保護することができる。
なお、カラー層を備えない印刷物についても、積層構造の最上面に保護層を配置することにより、保護層で被覆された調光層や積層クリア層などの保護を図ることができる。
[変形例]
変形例に係る印刷物45の構成について、図8(b)を用い説明する。なお、本変形例は、上記実施の形態3に係る印刷物40と類似しており、図示を省略する他の部分の構成については、上記実施の形態3と同様に上記実施の形態1と同様である。
図8(b)に示すように、本変形例に係る印刷物45は、光拡散板100の上面に対して積層された積層クリア層301、調光層309、カラー層310の構成は上記実施の形態3に係る印刷物40と同一である。そして、カラー層310の上に保護層51が積層形成されている点も同様である。
ただし、本変形例では、図8(b)の拡大部分に示すように、保護層451の上面が凹凸処理されており(凹凸451a)、これによりマット調となっている。なお、保護層451における凹凸451aについては、必ずしも保護層451の全面に設ける必要はなく、画像との関係を考慮して、図8(a)に示すようなグロス調の保護層411と図8(b)に示すようなマット調の保護層451とを両方設けることもできる。
ここで、調光層309の濃度についても、2〜50%(例えば、30%)の範囲内である。また、具体的に、調光層309は、上記実施の形態1と同様に、網点状に形成されている。
以上のような保護層451を備える印刷物45では、カラー層310の保護を図ることができるとともに、カラー層310により形成された画像について、マット調の保護層451により画像の質感をより高めることが可能となる。
なお、調光層309を配置することにより得られる効果は、上記同様である。
[実施の形態4]
実施の形態4に係る印刷物50の構成について、図9を用い説明する。なお、図9(a)〜(c)において、上記と同じ符号を付した部位については上記構成と同一であり、その説明を省略する。また、図示を省略する他の部分の構成については、上記実施の形態1と同様である。
図9(a)に示すように、本実施の形態に係る印刷物50では、光拡散板100の上面と積層クリア層101との間に、第2調光層512が配置されている。積層クリア層101、カラー層106、および調光層107の積層形態などについては、上記実施の形態1に係る印刷物10と同じである。
光拡散板100と積層クリア層101との間に配置された第2調光層512の構成については、図4(b)に示した調光層107と基本的には同様である。ただし、第2調光層512の濃度(光拡散板100の表面に対する第2調光層512が被覆する平面視での面積比)が、2〜50%の範囲内であって、且つ、調光層107よりも高く設定されている。
このように第2調光層512の濃度を、上方に位置する調光層107よりも高くしているのは、第2調光層512の機能として上方より入射した光を反射することを考慮しているためである。ただし、第2調光層512の濃度を50%よりも高くしてしまうと、光拡散板100の裏面から入射してくるバックライト20の光についても多くが遮られてしまうので、注意が必要である。なお、平面視における一部領域について、完全に透過光を遮光しようとする場合には、濃度を50%よりも高く(例えば、100%)とすることもできる。これは、画像との関係で考慮できる。
次に、図9(b)、(c)を用い、バックライト20におけるLED21を点灯させた場合と、LED21を消灯させた場合との両方での光に進行形態について説明する。
先ず、図9(b)に示すように、バックライト20におけるLED21を点灯させた状態では、印刷物50の裏面50bから光L8が入射される。入射した光は、第2調光層512、積層クリア層101、カラー層106、および調光層107を透過して、オモテ面50aから出射する(光L9)。看者は、光L9により画像を知覚する。ここで、上記のように、第2調光層512の濃度をあまり高くしすぎると、透過光の減衰が大きくなり過ぎるので、2〜50%の範囲内としておくことが必要である。第2調光層512の濃度については、特に25〜35%(例えば、30%)としておくことが透過光の減衰という観点から望ましい。
次に、図9(c)に示すように、バックライト20におけるLED21を消灯させ、オモテ面50a側から光L10が入射した場合には、入射した光L10は第2調光層512によりZ軸方向上向きに反射される。第2調光層512で反射された光は、積層クリア層101、カラー層106、および調光層107を透過して、オモテ面50aから出射する(光L11)。看者は、光L11によっても画像を知覚することができる。
本実施の形態に係る印刷物50においては、第2調光層512の濃度を調整することにより、バックライト20におけるLED21の点灯時と消灯時、換言すると、透過光により看者が画像を知覚する場合と、反射光により看者が画像を知覚する場合と、の両場合で高い画像品質を確保することができる。
なお、調光層107を上方に配置することにより得られる効果については、上記実施の形態1に係る印刷物10と同様である。
以上より、本実施の形態に係る印刷物50の構成を採用すれば、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光により画像を知覚させる場合と、の両場合でさらに高い画像品質を実現することができる。
なお、第2調光層512の配置位置については、必ずしも光拡散板100と積層クリア層101との間である必要はなく、積層クリア層101におけるクリア要素層102〜105の間に配置することなどもできる。また、積層クリア層を構成するクリア要素層の層数についても画像との関係などを考慮して適宜変更することができる。
[実施の形態5]
実施の形態5に係る印刷物60の構成について、図10を用い説明する。なお、図10において、上記実施の形態4と同じ符号を付した部位については上記実施の形態4における各部位の構成と同一であり、その説明を省略する。また、図示を省略する他の部分の構成については、上記実施の形態1と同様である。
図10に示すように、本実施の形態に係る印刷物60では、光拡散板100の上面に、第2調光層512、積層クリア層101、調光層607が順に積層形成されている。調光層607については、上記実施の形態1,4における調光層107と同様の構成を有し、また、第2調光層512については、上記実施の形態4と同様である。
印刷物60においては、調光層607におけるZ軸方向上側に、2層のカラー要素層608,609が積層されてなる積層カラー層606が積層形成され、更にその上に4層のクリア要素層612〜615が積層されてなる積層クリア層611が積層形成されている。
本実施の形態に係る印刷物60において、2層のカラー要素層608,609が積層されてなる積層カラー層606を採用しているのは、濃色で表現しようとする箇所について、色の濃さを際立たせるためである。
また、積層カラー層606の上に更に積層クリア層611を形成するのは、画像における濃色箇所の質感をより高めるためである。
本実施の形態においても、調光層607および第2調光層607の濃度を、平面視における面積比で2〜50%の範囲としている。
以上の構成を有する印刷物60においても、裏面60bから光を入射させ、その透過光により看者に画像を知覚させる場合と、オモテ面60aから光を入射させ、その反射光により看者に画像を知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を実現することができる。また、本実施の形態に係る印刷物60では、図10に示す構成を採用することにより、積層カラー層606における濃色箇所の質感を高くすることもできる。
[実施の形態6]
実施の形態6に係る印刷物70の構成について、図11(a)を用い説明する。なお、図11(a)において、上記実施の形態1と同じ符号を付した部位については上記実施の形態1における各部位の構成と同一である。
図11(a)に示すように、本実施の形態に係る印刷物70では、光拡散板100の上面に、積層クリア層101と調光層107が順に積層形成されている。調光層107については、上記実施の形態1と同様の構成を有している。本実施の形態に係る印刷物70は、上記実施の形態1に係る印刷物10に対し、カラー層を備えず、積層クリア層101の上に直に調光層107が積層形成されている点が異なる。
なお、本実施の形態に係る調光層107の濃度についても、平面視における面積比で2〜50%の範囲とされている。
以上のような構成を有する印刷物70においても、裏面から光を入射させ、透過光により看者に画像(白色の画像)を知覚させる場合にも黄色濁りを抑制し、高い画像品質を得ることができる。このため、印刷物70に形成された画像について、透過光により知覚させる場合と、反射光により知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を実現することができる。
[実施の形態7]
実施の形態7に係る印刷物80の構成について、図11(b)を用い説明する。
図11(b)に示すように、本実施の形態に係る印刷物80では、クリア層812、調光層807、クリア層813、調光層808、クリア層814、調光層809、クリア層815、調光層810が順に積層形成されている。言い換えると、印刷物80では、4層で構成された積層クリア層811の各層間に、調光層807〜810が挟まれた状態で配置されている。
調光層807〜810の各濃度は、調光層807〜809が7%、調光層810が10%となっている。各調光層807〜810の層厚については、上記実施の形態1と同様に、0.010〜0.030mmの範囲、より望ましくは、0.010〜0.020mmの範囲(例えば、0.020mm)である。
ここで、印刷物80において、調光層807〜810の各濃度の合計31%(7%×3+10%)が、「調光層の濃度」ということになる。
以上のような構成を有する印刷物80においても、裏面から光を入射させ、透過光により看者に画像(白色の画像)を知覚させる場合にも黄色濁りを抑制し、高い画像品質を得ることができる。このため、印刷物80に形成された画像について、透過光により知覚させる場合と、反射光により知覚させる場合と、の両場合で高い画像品質を実現することができる。
また、本実施の形態に係る印刷物80では、クリア層812〜815と調光層807〜810とを交互に積層することにより、看者がより奥行き感を感じることができる。これは、調光層807〜810の各ドットが、X−Y面方向に若干ずれることに起因するものであり、ドットのズレにより光が斜め方向に屈折することで奥行き感を感じさせることができるものと考えられる。なお、調光層807〜810でのドットのズレは、製造時に意図的に設けてもよいし、インクジェット装置の精度バラツキに利用したものとしてもよい。
[印刷物における光の透過状態]
印刷物に対して裏面から照射した光の透過状態について、図12および図13を用い説明する。図12および図13では、上記実施の形態6に係る印刷物70および上記実施の形態7に係る印刷物80における各透過状態を表している。
1.印刷物70
印刷物70についての光の透過状態を、図12(a)、(c)および図13(a)、(c)を用い説明する。なお、図12(a)は印刷物70をインク塗布時におけるインクジェットヘッドの走査方向に沿って切断した断面画像であり、(c)はインクジェットヘッドの走査方向に対して直交する方向に切断した断面画像である。また、図13(a)は印刷物70を光の出射側の真上から撮影した画像であり、(c)は斜め上から撮影した画像である。
先ず、図12(a)、(c)に示すように、濃度が30%である調光層107を配置した印刷物70においても、良好にオモテ面から光が出射している。図13(a)に示すように、真上から印刷物70を撮影すると、各々が細かなドット状をした調光層107として観察されるが、図13(c)に示すように、斜め上から撮影した場合も、同様である。
ここで、印刷物70を看者が見るのは、少し角度がついた状態であるほうが多く、図13(c)のように観察されることがほとんどであると考えられる。また、図では光の色味などについては表現できていないが、積層クリア層101を用いているにも関わらず、黄色濁りは観察されなかった。
2.印刷物80
印刷物80についての光の透過状態を、図12(b)、(d)および図13(b)、(d)を用い説明する。なお、図12(b)は印刷物80をインク塗布時におけるインクジェットヘッドの走査方向に沿って切断した断面画像であり、(d)はインクジェットヘッドの走査方向に対して直交する方向に切断した断面画像である。また、図13(b)は印刷物80を光の出射側の真上から撮影した画像であり、(d)は斜め上から撮影した画像である。
図12(b)、(d)に示すように、クリア層812〜815と調光層807〜810とを交互に積層形成した印刷物80においても、良好にオモテ面から光が出射している。図13(b)、(d)に示すように、印刷物80を真上および斜め上から撮影した場合においても、印刷物70と大きく変わらない状態であった。
[調光層の形成形態について]
図2などに示すように、上記実施の形態1〜6および上記変形例では、調光層107,309,607の下地となる積層クリア層101,301を、断面でピラミッド状にクリア要素層102〜105,302〜308を積層形成するとともに、それらの上面および側面を覆うように調光層107,309,607を形成することとした。また、上記実施の形態7では、クリア層812〜815と調光層807〜810とを交互に積層形成することとした。
調光層107,309,607,807〜810を設けるには、クリア要素層の積層により、特に透過光での色味を帯びてしまうのを抑制し、透過光により看者が知覚する場合と、反射光により看者が知覚する場合と、の両場合で高い画像品質を実現するためである。これに加えて、裏面からバックライト20の光を照射した場合に、積層クリア層101,301,807〜810を構成する各クリア要素層102〜105,302〜308,812〜815の側面からの光が透過して行くことに対応したものである。即ち、看者が視認可能な範囲の全域に画像を形成するとともに、調光層107,309,607,807〜810を配置することで、看者に高い品質の画像を知覚させることができる。
また、積層クリア層101,301の上方を被覆するように、調光層107,309,607を配置することにより、画像における濃色での質感、奥行き感などを強調することなどもできる。
[積層クリア層の構成について]
上記実施の形態1〜7および上記変形例では、積層クリア層101,611,811を4層のクリア要素層102〜105,612〜615,812〜815で構成し、積層クリア層301を7層のクリア要素層302〜308で構成することとした。積層クリア層の積層層数については、カラー層で表現しようとする画像の各箇所との関係で適宜規定されるものである。例えば、布、木材、皮革、金属表面など、その表面状態に応じて積層層数を変化させればよい。
[調光層の濃度]
調光層の濃度(下地となる層の表面に対する調光層が被覆する平面視での面積比)について、図14および図15を用い説明する。
図14(a)〜(o)および図15(a)、(b)に示すように、調光層の濃度が2〜50%の範囲であれば、透過光により画像を知覚させるモードと、反射光により画像を認識させるモードとの、両モードでの画像の品質を高く維持するという観点から許容できる。特に、図14(j)〜(o)に示す20〜30%の範囲であれば望ましい。
一方、図15(c)〜(g)に示すように、調光層の濃度が50%を超える場合には、入射した光量に対する遮られる光量が多くなり、上記のような両モードでの画像の品質を高く維持することが難しくなる。
なお、形成するクリア層の層数、カラー層の色味、その他、表現しようとする画像の質感などを加味して、調光層の濃度を適宜設定することができる。
[調光層の濃度と層厚]
上記実施の形態1〜7および上記変形例では、インクジェット装置によりUVインクを塗布し、これを乾燥させることにより調光層を形成することとしている。このようにインク塗布・乾燥という過程を経て調光層を形成する場合には、調光層の濃度と層厚(最低厚み)との間に相関関係がある。調光層の濃度と層厚との関係について、表1に示す。
なお、ここでいう「層厚」とは、調光層におけるドット(図4(b)を参照)の最大高さのことを指す。
表1に示すように、調光層の濃度が高くなればなるほど層厚も厚くなる。具体的には、濃度が10%未満の場合には0.010mmの層厚であるのに対し、30%の場合には0.020mm、100%の場合には0.030mmとなる。
参考として、2回刷りした場合におけるカラー層の濃度と層厚との関係を、表2に示す。
表2に示すように、2回刷りしたカラー層の濃度についても、高くなればなるほど層厚も厚くなる。数値については、表1に示す調光層の場合とは異なるが、同様の傾向であることが分かる。
以上より、調光層の濃度を規定する場合には、形成される調光層の層厚との関係についても考慮することが必要となってくる。
[その他の事項]
上記実施の形態1〜7および上記変形例では、基板として光拡散板100を兼用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。バックライト20における導光板22上に載置される光拡散板とは別に、樹脂またはガラスからなる基板を採用することもできる。これにより、基板として採用し得る材料選択の自由度が増し、画像品質との関係で適宜の選択が可能となる。
なお、樹脂やガラスからなる基板を採用する場合には、光の透過光率という面からはグロス調のもの(光沢を有したもの)を用いることが望ましいが、形成しようとする画像との関係でマット調のもの(艶消し処理を施したもの)を用いることも可能である。
また、基板として、フィルムなどのフレキシブル基板を用いることも可能であるし、和紙や木材を薄くスライスしたものなどを基板として用いることも可能である。
また、上記実施の形態1〜7および上記変形例では、調光層107,309,607,807〜810および第2調光層512を、インクジェット装置を用い網点状に印刷することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スパッタリングやCVDなどを用い、下地となる層の表面に直接、光反射性粒子を接合することで層形成することもできる。ただし、製造コストの観点からは、インクジェット装置を用いた形成が容易な樹脂を用いることが望ましい。
また、調光層に含まれる光反射性粒子としては、酸化チタン以外の材料からなる粒子や、透明樹脂の表面に光反射性のコーティングをしたものなどを採用することもできる。また、光反射性粒子の粒子形状については、球状に限定に限定されるものではない。例えば、柱状や多面体形状のものなどを採用することなどもできる。
また、下地となる層の表面に対する調光層の形成に際しては、必ずしも網点とする必要はない。例えば、ハーフトーンとすることなどもでき、また、隣り合うドット同士が繋がったような形態を採用することもできる。
上記実施の形態1〜5および上記変形例では、積層クリア層101,301,611,811を構成する各クリア要素層102〜105,302〜308,612〜615,812〜815の構成材料については特に言及しなかったが、インクジェット装置を用いて簡易に形成できるという観点から、樹脂材料を用いることが望ましい。ただし、画像の質感などの観点から酸化シリコンや窒化シリコン、さらには酸窒化シリコンなどの無機物層を採用することもできる。
上記実施の形態1〜5および上記変形例では、カラー層106,310および積層カラー層606について、4色のカラーインク(C,M,Y,K)を印刷することで構成することとしたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、上記4色の内の3色以下を用いることもできるし、上記4色に加えてLC(ライトシアン)およびKM(ライトマゼンダ)などを加えた6色とすることもできる。
また、カラー層を形成するインクについては、蛍光インクや夜光インクなどを用いることもできる。さらに、ブラックライトインクなどを用いることもできる。
また、本発明の印刷物では、モノトーン印刷も含まれる。
上記実施の形態1〜5および上記変形例では、照明装置1の構成の一部としての印刷物10,30,40,45,50,60,70,80を採用することとしたが、本発明はこれに限定されず、印刷物単体としても上記効果を得ることができる。例えば、印刷物を既存の照明器具に装着したり、建物の窓に取り付けたりすることによっても上記効果を奏することができる。
また、上記実施の形態1〜7および変形例では、バックライト20として、所謂、エッジライト型の装置を採用したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、直下型のバックライトを採用することもできる。また、必ずしも導光板を備える必要もない。
また、上記実施の形態1〜7および変形例では、光源としてLED21を採用することとしたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、熱陰極ランプや冷陰極ランプ、あるいは無機EL(エレクトロルミネッセンス)ランプや有機ELランプなどを用いることもできる。また、光源の発光色は必ずしも白色に限定されるものではなく、種々の波長域の発光をするものであってもよい。なお、光源の発する光の波長域に応じて、調光層が吸収・反射する光の波長域を調整することも可能である。
また、白色以外の発光色の光源を採用する場合には、光路中に波長変換部材を配置して白色に変換することなども可能である。波長変換部材の具体例としては、蛍光体層や半導体量子ドットを含む波長変換フィルムなどを採用することもできる。
また、本発明は、照明装置として単体で用いる以外に、表示パネルとの組み合わせなどで用いることもできる。例えば、平面型ディスプレイやプロジェクターとの組み合わせでディジタルサイネージを実現するのに用いることもできる。本発明における「照明」との用語には、表示装置なども含むものとして用いている。
さらに、上記実施の形態1〜7および変形例では、積層クリア層の上方および複数積層されてなるクリア要素層の層間の少なくとも一方に調光層を配置し、これにより透過光により画像を知覚させる場合と、反射光により画像を知覚させる場合と、の両場合での高い画像品質を実現した。ここでの「高い画像品質」との用語には、その一例として、透過光により画像を知覚させる場合と、反射光により画像を知覚させる場合とで、看者が知覚する画像品質の差異を抑制するということが含まれるものである。
本発明は、室内装飾や広告媒体、さらには造営材(壁や天井など)の一部として、透過光により看者が画像を知覚する場合と、反射光により看者が画像を知覚する場合と、の両場合で高い画像品質を得ることができる印刷物を実現するのに有用である。
1.照明装置
10,30,40,45,50,60,70,80.印刷物
20.バックライト
21.LED
22.導光板
23.反射板
80.通路
100.光拡散板
101,301,611,811.積層クリア層
102〜105,302〜308,612〜615,812〜815.クリア要素層
106,310.カラー層
107,309,607,807,808,809,810.調光層
411,451.保護層
512.第2調光層
606.積層カラー層
608,609.カラー要素層
800,801.側壁

Claims (17)

  1. 光透過性を有する基板と、
    光透過性のクリア要素層が複数積層されてなり、前記基板の一方の主面の上方に配置された積層クリア層と、
    透過する光の光量を調整する機能を有し、前記積層クリア層の上方および前記複数積層されてなるクリア要素層の層間の少なくとも一方に配置された調光層と、
    を備え、
    前記調光層は、複数の光反射性粒子を有し、下地となる層の表面の一部を覆って設けられており、
    前記複数の光反射性粒子のそれぞれが、粒状をしているとともに、表面が光反射性を有し、
    前記調光層は、平面視において、前記下地となる層の表面に対し、面積比で2〜50%を覆っている
    ことを特徴とする印刷物。
  2. 前記調光層は、網点状に設けられている
    請求項1記載の印刷物。
  3. 1色または複数色を以って前記基板の前記一方の主面に沿った方向に形成され、前記基板の前記一方の主面の上方に配置されたカラー層をさらに備える
    請求項1または請求項2記載の印刷物。
  4. 前記カラー層は、前記積層クリア層の上面を被覆するように配置されており、
    前記調光層は、前記カラー層の上面と、前記積層クリア層および前記カラー層の側面を被覆するように配置されている
    請求項3記載の印刷物。
  5. 前記調光層は、前記積層クリア層の上面および側面を被覆するように配置されており、
    前記カラー層は、前記調光層の上面を被覆するように配置されている
    請求項3記載の印刷物。
  6. 光透過性を有し、積層構造上面を被覆するように配置された保護層を備える
    請求項1から請求項5の何れか記載の印刷物。
  7. 前記保護層は、マット処理が施されている
    請求項6記載の印刷物。
  8. 前記基板の前記一方の主面と前記積層クリア層との間には、透過する光の光量を調整する機能を有する第2調光層が配置されており、
    前記第2調光層は、それぞれの表面が光反射特性を有し、それぞれ粒状をした複数の光反射性粒子を有してなり、
    前記第2調光層は、平面視において、その下地となる層の表面に対し、面積比で2〜50%を覆っている
    請求項4から請求項7の何れか記載の印刷物。
  9. 平面視において、前記第2調光層が前記下地となる層の表面を被覆している比率は、前記調光層が前記下地となる層の表面を被覆している比率よりも高い
    請求項8記載の印刷物。
  10. 前記積層クリア層および前記調光層よりも上方には、光透過性のクリア要素層が複数積層されてなる第2積層クリア層が配置されている
    請求項1から請求項9の何れか記載の印刷物。
  11. 前記カラー層は、複数のカラー要素層が積層されてなる積層体である
    請求項3から請求項5の何れか記載の印刷物。
  12. 平面視において、前記調光層が前記下地となる層の表面を被覆している比率は、面積比で20〜30%の範囲である
    請求項1から請求項11の何れか記載の印刷物。
  13. 前記調光層において、前記光反射粒子は白色顔料からなる
    請求項1から請求項12の何れか記載の印刷物。
  14. 前記調光層の層厚は、0.010〜0.030mmの範囲である
    請求項1から請求項13の何れか記載の印刷物。
  15. 前記基板は、樹脂またはガラスからなる
    請求項1から請求項14の何れか記載の印刷物。
  16. 請求項1から請求項15の何れかの印刷物と、
    前記基板の他方の主面に光を照射可能に配置された光源と、
    を備える
    ことを特徴とする照明装置。
  17. 前記光源と前記印刷物との間の光の経路中には、導光板が配置されており、
    前記基板として、導光板上に配置される光拡散板を採用している
    請求項16記載の照明装置。
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