以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態におけるサスペンション装置S1は、図1に示すように、車両の車体であるばね上部材Bと車輪であるばね下部材Wとの間に介装されて推力を発生可能なアクチュエータAと、ばね上部材Bとばね下部材Wとの間にアクチュエータAと並列に介装されるパッシブなダンパDと、アクチュエータAを制御するサスペンション制御装置としてのコントローラC1とを備えて構成されている。
以下、各部について説明する。アクチュエータAは、本実施の形態の場合、詳しくは図示しないが、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダに移動自在に挿入されてピストンに連結されるロッドとを備えた伸縮体Eと、伸側室と圧側室に流体を給排して伸縮体Eを伸縮駆動させる流体圧ユニットHとを備えて構成されている。
伸縮体Eは、図1に示すように、車両のばね上部材Bとばね下部材Wとの間に介装されている。図1では、車両を模式的に示しており、ばね下部材Wとばね上部材Bとの間にはアクチュエータAと並列に懸架ばねSPが設けられており、車輪に装着されるタイヤTは、路面とばね下部材Wとの間に設けたばねとして振る舞うようになっている。さらに、ばね下部材Wとばね上部材Bとの間には、アクチュエータAと並列にダンパDが設けられていて、ダンパDは、詳しくは図示しないが、伸縮可能なパッシブなダンパであって、外力によって伸縮せしめられる際に、その伸縮を抑制する減衰力を発揮するようになっている。
流体圧ユニットHは、詳しくは図示しないが、流体圧源と、流体圧源から供給される流体を伸縮体Eの伸側室R1と圧側室R2のいずれかを選択して供給させることが可能な切換手段を備えている。流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段は、コントローラC1からの供給される電流によって駆動され、これにより、伸縮体Eの伸側室R1或いは圧側室R2へ流体が供給されて伸縮体Eが伸長駆動或いは収縮駆動するようになっている。
他方、コントローラC1は、アクチュエータAに発生させるべき目標推力Frefを求め、流体圧ユニットHへ目標推力Frefを発揮させるように、流体圧源および切換手段へ電流を供給する。以上により、コントローラC1は、アクチュエータAを制御することができるようになっている。なお、流体圧源が車両のエンジンで駆動されるものであったり、アキュムレータである場合には、流体圧ユニットHが圧力制御弁等といった流体圧源から供給される流体の圧力を制御する制御弁を設けておき、この制御弁をコントローラC1で制御すれば足りるため、コントローラC1で流体圧源を制御する必要ない場合もある。
コントローラC1は、本実施の形態では、具体的には、ばね上部材Bに取付けた加速度センサ4が検知するばね上部材Bの上下方向の加速度Gbと、ばね下部材Wに取付けた加速度センサ5が検知するばね下部材Wの上下方向の加速度Gwの入力を受け、これら加速度Gb,Gwを処理して流体圧ユニットHへアクチュエータAを制御するための電流を出力するようになっている。
また、コントローラC1は、ばね下部材Wの上下方向の速度Vwを濾波するローパスフィルタL1を備え、ばね上部材Bの上下方向の速度Vbから求めた第一振動抑制力F1とローパスフィルタL1で処理した速度Vwから求めた第二振動抑制力F2とに基づいてアクチュエータAの目標推力Frefを求めるようになっている。
より具体的には、本実施の形態では、コントローラC1は、加速度センサ4から入力されるばね上部材Bの加速度Gbを積分してばね上部材Bの上下方向の速度Vbを得るための積分器10と、加速度センサ5から入力されるばね下部材Wの加速度Gwを積分してばね下部材Wの上下方向の速度Vwを得るための積分器11と、積分器10が出力する速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を得る第一振動抑制力演算部12と、速度VwにゲインCwを乗じる乗算部14と当該乗算部14が出力する信号をローパスフィルタL1で処理して第二振動抑制力F2を求める第二振動抑制力演算部13と、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2とを足し合わせてアクチュエータAが発生すべき目標推力Frefを求める目標推力演算部15と、目標推力Frefから流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段へ与える制御指令を生成する制御指令生成部16と、制御指令生成部16からの制御指令を受け取ると流体圧ユニットHの流体圧源および切換手段を駆動する電流を出力するドライバ17とを備えて構成されている。
積分器10は、ばね上部材Bの加速度Gbを積分して速度Vbを得るが、たとえば、加速度Gbを疑似的に積分する効果を持つローパスフィルタとしてもよい。積分器11も同様に、ばね下部材Wの加速度Gwを疑似的に積分する効果を持つローパスフィルタとされてもよい。
第一振動抑制力演算部12は、積分器10が出力する速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を得る。ゲインCbは、主としてばね上部材Bの振動を抑制する第一振動抑制力F1を得るために速度Vbに乗じられるゲインであるため、ばね上部材Bの重量等を考慮して決定される。第一振動抑制力演算部12では、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求めるようにしているが、たとえば、速度Vbに対して第一振動抑制力F1が線形でなく、関数で表現できないような特性である場合などでは、速度Vbと第一振動抑制力F1との関係をマップ化しておき、マップ演算によって速度Vbから第一振動抑制力F1を求めるようにしてもよい。
乗算部14は、積分器11が出力するばね下部材Wの速度VwにゲインCwを乗じて第二振動抑制力F2を生成するための過程の信号Fwを得る。ゲインCwは、主としてばね下部材Wの振動を抑制する第二振動抑制力F2を得るために速度Vwに乗じられるゲインであるため、ばね下部材Wの重量等を考慮して決定される。
ローパスフィルタL1は、図2に示すように、信号Fwの周波数成分のうち、ばね下共振周波数ωwの帯域の周波数成分を取り除き、ばね上共振周波数ωbの帯域の周波数成分については通過させるため、ばね上部材Bの共振周波数であるばね上共振周波数ωbとばね下部材Wの共振周波数であるばね下共振周波数ωwとの間に折れ点周波数ωcを持つ周波数特性を備えている。折れ点周波数ωcは、ばね上共振周波数ωbとばね下共振周波数ωwとの間で任意に設定されればよいが、上記したようにローパスフィルタL1に求められる機能は、速度Vwの周波数成分のうち、ばね下共振周波数ωwの帯域の周波数成分を取り除き、ばね上共振周波数ωbの帯域の周波数成分については通過させることであるから、ばね上共振周波数ωbとばね下共振周波数ωwの中央値近傍に設定されるとよい。一般的な車両で、ばね上共振周波数ωbは1Hz前後の周波数であり、ばね下共振周波数ωwは10Hz前後の周波数であるので、ローパスフィルタL1における周波数特性で折れ点周波数ωcは、たとえば、4Hz以上7Hz以下の範囲に設定されるとよい。
そして、乗算部14が出力する信号FwをローパスフィルタL1で処理することで、第二振動抑制力F2が求められる。よって、この実施の形態の場合、第二振動抑制力演算部13は、乗算部14とローパスフィルタL1とで構成されている。また、第二振動抑制力演算部13にあっては、速度VwにゲインCwを乗じて第二振動抑制力F2を得る過程の信号Fwを求めているが、たとえば、速度Vwに対して第二振動抑制力F2が線形でなく、関数で表現できないような特性である場合などでは、速度Vwと信号Fwとの関係をマップ化しておき、マップ演算によって速度Vwから信号Fwを求めるようにしてもよい。なお、ローパスフィルタL1で濾波するのは、乗算部14で求めた信号Fwとしているが、ばね下部材Wの上下方向の速度Vwを濾波してから乗算部14でゲインCwを乗じて第二振動抑制力F2を求める演算を行うようにしても、同じ結果を得ることができるからそのようにしてもよい。このように、ばね下部材Wの上下方向の速度Vwから第二振動抑制力F2を演算する過程で信号をローパスフィルタL1で処理すれば足りるため、ローパスフィルタL1の処理の順序は、任意に決定することができる。
目標推力演算部15は、この実施の形態では、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2とを足し合わせてアクチュエータAが発生すべき目標推力Frefを求める。第二振動抑制力F2は、速度Vwの振動周波数がばね下共振周波数ωw付近の周波数となると、ローパスフィルタL1を透過しにくくなるため、非常に小さな値となる。第一振動抑制力F1についても速度Vbは、ばね上部材Bの上下方向の速度であるため、ばね上共振周波数ωbの周辺帯域の成分は大きな値を持つがばね上共振周波数ωbの周辺帯域を超える帯域では速度Vbの周波数成分が小さくなる。よって、目標推力Frefは、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の高周波領域では、非常に小さな値になる。
制御指令生成部16は、目標推力演算部15が求めた目標推力Frefから流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段へ与える制御指令を生成する。具体的には、目標推力Frefが指示するアクチュエータAに発生させる推力の方向から流体圧ユニットHにおける切換手段に与える制御指令と、目標推力Frefの値の大きさから流体圧源へ与える電流を指示する制御指令とを生成する。
切換手段が、たとえば、シリンダ1内の伸側室R1と圧側室R2のいずれか一方を選択して流体圧源に接続させる電磁式の方向切換弁である場合、方向切換弁におけるソレノイドへの供給電流の有無で伸側室R1と圧側室R2を選択して流体圧源に接続する場合には、制御指令生成器16が切換手段を駆動するための制御指令は、ソレノイドへ電流を与えるか与えないかを指示する制御指令とされればよい。また、たとえば、流体圧源がモータで駆動されるポンプである場合、制御指令生成部16がモータを駆動するための制御指令は、モータへ与える電流量を指示する制御指令とされればよい。このように、制御指令生成部16は、流体圧ユニットHでアクチュエータAの制御に必要な駆動対象に応じた制御指令を生成すればよく、上述のように流体圧ユニットHが圧力制御弁を備えていて、圧力の制御を圧力制御弁で行うような場合には、圧力制御弁のソレノイドへ与える電流量を指示する制御指令を生成すればよい。
ドライバ17は、制御指令生成器16から入力される制御指令に応じて流体圧ユニットHでアクチュエータAの制御に必要な駆動対象、この場合、流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段へそれぞれに与える電流を出力する。
ドライバ17は、たとえば、流体圧源がモータで駆動されるポンプであって、切換手段がソレノイドで駆動される方向切換弁である場合、モータおよびソレノイドをPWM駆動する駆動回路を備えていて、制御指令生成部16から制御指令を受けると、指令通りにソレノイドおよびモータへ電流を供給する。なお、ドライバ17における各駆動回路は、PWM駆動を行う駆動回路以外の駆動回路であってもよい。
つづいて、コントローラC1が行う一連の処理手順について説明する。図3のフローチャートに示すように、コントローラC1は、ばね上部材Bの上下方向の加速度Gbおよびばね下部材Wの上下方向の加速度Gwを読み込み(ステップ501)、つづいて、加速度Gbおよび加速度Gwを積分して速度Vbおよび速度Vwを得る(ステップ502)。次に、コントローラC1は、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求め(ステップ503)、速度VwにゲインCwを乗じて信号Fwを得て(ステップ504)、信号FwをローパスフィルタL1で濾波する処理を行って、信号Fwのばね下共振周波数ωw帯域以上の周波数成分を取り除いて第二信号抑制力F2を得る(ステップ505)。さらに、コントローラC1は、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2を合算して目標推力Frefを求める(ステップ506)。そして、コントローラC1は、目標推力Frefから制御指令を生成して(ステップ507)、ドライバ17から流体圧ユニットHの流体圧源および切換手段へ電流を供給する(ステップ508)。以上の手順を繰り返し実行することで、コントローラC1は、アクチュエータAを制御することになる。なお、上記した一連処理のフローは一例であり、設計変更が可能である。
このように構成されたサスペンション装置S1およびサスペンション制御装置としてのコントローラC1にあっては、ばね上部材Bの上下方向の速度Vbから求めた第一振動抑制力F1とローパスフィルタL1で処理した第二振動抑制力F2とに基づいてアクチュエータAの目標推力Frefを求めるので、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の周波数領域のばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動に対しては、目標推力Frefが非常に小さくなって、アクチュエータAが発生する推力も非常に小さくなる。
このように、ばね上部材Bおよびばね下部材Wがばね下共振周波数ωwの帯域で振動すると、サスペンション装置S1におけるアクチュエータAが発生する推力が小さくなって、ダンパDが発生するパッシブな減衰力でばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動が抑制されるため、車両における乗り心地を向上させることができる。
また、ばね上部材Bおよびばね下部材Wがばね下共振周波数ωwの帯域で振動すると、目標推力Frefが小さな値になるため、切換手段や流体圧源に応答遅れがあっても、車両における乗り心地を悪化させることがない。
以上より、サスペンション装置S1およびサスペンション制御装置としてのコントローラC1によれば、高応答な機器を用いずとも車両における乗り心地を向上させることが可能となる。
ところで、車両が走行する路面の凹凸により、ばね下部材Wが振動すると、この振動が懸架ばねSPの弾発力とダンパDが発生する減衰力によってばね上部材Bへ伝達されてばね上部材Bが振動する。
図4に示すように、ばね下部材Wの質量をM1、ばね上部材Bの質量をM2、路面変位をX0、ばね下部材Wの上下方向の変位をX1、ばね上部材Bの上下方向の変位をX2としてそれぞれ上向きを正とし、アクチュエータAの推力をFとし伸縮体Eの収縮方向を正とし、懸架ばねSPのばね定数をKsとし、ダンパDの減衰係数をCpとすると、ばね上部材Bの運動方程式は、以下の式(1)のようになる。
式(1)中の右辺の−CpX
2′は、ばね上部材Bの運動の方向とは反対向きの力であるので、常にばね上部材Bの振動を抑制する方向に作用してばね上部材Bを制振する効果を発揮する。他方、CpX
1′は、X
1′の値の符号により、ばね上部材Bを加振する作用を与えたり、反対に、ばね上部材Bの振動を制振する作用を与えたりする。ここで、目標推力Frefは、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2を足し合わせたものであるから、以下の式(2)が成り立つ。
この式(2)を式(1)に代入すると、以下の式(3)となる。
つまり、式(3)の右辺第一項をみると、第一振動抑制力F1は、ばね上部材Bの速度Vbに比例した力であり、ダンパDが発揮するばね上部材Bの振動を抑制する力と同様に、常に、ばね上部材Bの振動を抑制する減衰作用を与える力として作用する。他方、式(3)の右辺第二項をみると、第二振動抑制力F2は、ばね上部材Bを加振するか或いは制振するか符号によって変動する力を打ち消す力となっており、ゲインCw=Cpとなる場合に、同右辺第二項においてカッコ内の値が0となるため、ばね下部材Wの速度Vwがばね上部材Bの振動に影響を与えなくなることが分かる。つまり、ばね下部材VwにダンパDの減衰係数と同じゲインCwを乗じて第二振動抑制力F2を求めれば、式(3)の右辺第二項が0となるので、ばね上部材Bを加振させる力が発揮されずばね上部材Bを加振してしまうモードが発生しないから、ばね上部材Bの振動を効果的に抑制することができる。
なお、アクチュエータAが発揮する推力は、ばね下部材Wの振動に対しては減衰作用が低減されるように作用し、ばね下部材Wがばね下共振周波数ωw帯で振動すると、ばね下部材Wの振動を助長してしまうことになるが、本発明では、ばね上共振周波数ωbとばね下共振周波数ωwとの間にカットオフ周波数ωcが設定される特性を持つローパスフィルタL1で第二振動抑制力F2を得る過程の信号を濾波するために、ばね下共振周波数ωw帯域の振動に対しては第二振動抑制力F2の値が非常に小さくなって、ダンパDの減衰力でばね下部材Wの振動を抑制でき、ばね下共振周波数ωwより周波数が低い領域では第二振動抑制力F2の値が大きくなって、ばね下部材Wの振動でばね上部材Bを加振してしまうことが抑制されて優れたばね上部材Bの制振効果を得ることができる。したがって、本発明では、ばね下部材Wのばね下共振周波数ωw帯で振動する場合に、アクチュエータAがばね下部材Wを加振してしまうことがなく、ダンパDが発揮する減衰力でばね下部材Wの振動を抑制することができる。
本発明のサスペンション装置S1およびサスペンション制御装置によれば、ローパスフィルタL1で処理せずに第二振動抑制力を求めてアクチュエータAの推力の制御を行う場合(図5中の破線)に比較して、図5中実線で示すように、ばね下共振周波数ωw帯域のばね下部材Wの振動が低減され、かつ、ばね上共振周波数ωb帯域のばね上部材Bの振動が低減されることができることが分かる。
なお、第二振動抑制力F2を得るのに、図6に示すように、ばね上部材Bとばね下部材Wの上下方向の相対速度としての伸縮体Eのストローク速度Vsを求めて、ばね上部材Bの速度Vbからストローク速度Vsを差し引きしてばね下部材Wの速度Vwを求めるようにしてもよい。具体的には、図1のサスペンション装置S1におけるコントローラC1の構成に対して、図6に示したサスペンション装置S2におけるコントローラC2では、ばね下部材Wの加速度Gwを検知する加速度センサ5に代えてストロークセンサ6を設けて伸縮体Eのストローク変位Xsを検知し、積分器11の代わりに微分器18を設けてストローク変位Xsを微分してストローク速度Vsを得るようにし、ばね下速度演算部19を設けて、当該ばね下速度演算部19で積分器10が求めたばね上部材Bの速度Vbからストローク速度Vsを差し引きしてばね下部材Wの上下方向の速度Vwを求めるようになっている。伸縮体Eは、ばね上部材Bとばね下部材Wとに連結されており、伸縮体Eにストロークセンサ6を取付けることで、ばね上部材Bとばね下部材Wの上下方向の相対変位を検知でき、当該相対変位を微分することで相対速度を得ることができるが、伸縮体Eとは別体のストロークセンサを設けるようにしてもよい。
つづいて、コントローラC2が行う一連の処理手順について説明する。図7のフローチャートに示すように、コントローラC2は、ばね上部材Bの上下方向の加速度Gbおよび伸縮体Eのストローク変位Xsを読み込み(ステップ601)、つづいて、加速度Gbを積分して速度Vbを得るとともに、ストローク変位Xsを微分してばね上部材Bとばね下部材Wの相対速度であるストローク速度Vsを得る(ステップ602)。次に、コントローラC2は、速度Vbからストローク速度Vsを差し引いて、ばね下部材Wの上下方向の速度Vwを得る(ステップ603)。コントローラC2は、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求め(ステップ604)、速度VwにゲインCwを乗じて信号Fwを得て(ステップ605)、信号FwをローパスフィルタL1で濾波する処理を行って、信号Fwのばね下共振周波数ωw帯域以上の周波数成分を取り除いて第二信号抑制力F2を得る(ステップ606)。さらに、コントローラC2は、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2を合算して目標推力Frefを求める(ステップ607)。そして、コントローラC2は、目標推力Frefから制御指令を生成して(ステップ608)、ドライバ17から流体圧ユニットHの流体圧源および切換手段へ電流を供給する(ステップ609)。以上の手順を繰り返し実行することで、コントローラC2は、アクチュエータAを制御することになる。なお、上記した一連処理のフローは一例であり、設計変更が可能である。
本発明のサスペンション装置S2およびサスペンション制御装置としてのコントローラC2によっても、ローパスフィルタL1で処理することで第二振動抑制力F2を得て、アクチュエータAの目標推力Frefを求めるので、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の周波数領域のばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動に対しては、アクチュエータAが発生する推力が非常に小さくなって、ダンパDが発生するパッシブな減衰力でばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動が抑制されることになる。よって、サスペンション装置S2およびサスペンション制御装置としてのコントローラC2にあっては、サスペンション装置S1およびコントローラC1と同様に、高応答な機器を用いずとも車両における乗り心地を向上させることが可能となる。
また、エアサスペンション等の車高調整機能を有している車両では、ばね上部材Bとばね下部材Wの相対距離を計測しているので、本実施の形態のサスペンション装置S2およびサスペンション制御装置としてのコントローラC2にあっては、この計測値をストローク変位Xsとして利用すればよく、ばね下部材Wに加速度センサ5を設けることなく、アクチュエータAの制御を行うことができるメリットがある。
なお、上記したサスペンション装置S2では、ダンパDをアクチュエータAに並列させていたが、図8に示すサスペンション装置S3では、ダンパDを廃止して、代わりにアクチュエータA1にダンパが発生すべき減衰力を発揮させるようにしている。具体的には、図8に示すサスペンション装置S3では、コントローラC3が図6のサスペンション装置S2のコントローラC2の構成にストローク速度Vsにダンパの減衰係数に相当するゲインCpを乗じて第三振動抑制力F3を求める第三振動抑制力演算部20を加えた構成となっており、目標推力演算部15で、第一振動抑制力F1、第二振動抑制力F2および第三振動抑制力F3を足し合わせて目標推力Frefを求めるようになっている。また、本実施の形態では、アクチュエータA1には、電磁アクチュエータを用いている。第三振動抑制力F3は、廃止したダンパDが発生する減衰力に相当する力であり、このように目標推力Frefを、第三振動抑制力F3を加味したものとすることで、アクチュエータA1が廃止したダンパDが発生する減衰力をダンパDの代わりに発揮するので、このようにしても、サスペンション装置S3およびサスペンション制御装置としてのコントローラC3によれば、車両における乗り心地を向上させることができる。
つづいて、コントローラC3が行う一連の処理手順について説明する。図9のフローチャートに示すように、コントローラC3は、ばね上部材Bの上下方向の加速度Gbおよび伸縮体Eのストローク変位Xsを読み込み(ステップ700)、つづいて、加速度Gbを積分して速度Vbを得るとともに、ストローク変位Xsを微分してストローク速度Vsを得る(ステップ701)。次に、コントローラC3は、速度Vbからストローク速度Vsを差し引いて、ばね下部材Wの上下方向の速度Vwを得る(ステップ702)。コントローラC3は、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求め(ステップ703)、速度VwにゲインCwを乗じて信号Fwを得て(ステップ704)、信号FwをローパスフィルタL1で濾波する処理を行って、信号Fwのばね下共振周波数ωw帯域以上の周波数成分を取り除いて第二信号抑制力F2を得る(ステップ705)。また、コントローラC3は、ストローク速度VsにゲインCpを乗じて第三振動抑制力F3を得る(ステップ706)。さらに、コントローラC3は、第一振動抑制力F1、第二振動抑制力F2および第三振動抑制力F3を合算して目標推力Frefを求める(ステップ707)。そして、コントローラC3は、目標推力Frefから制御指令を生成して(ステップ708)、ドライバ17からアクチュエータA1へ電流を供給する(ステップ709)。以上の手順を繰り返し実行することで、コントローラC3は、アクチュエータA1を制御することになる。なお、上記した一連処理のフローは一例であり、設計変更が可能である。
本発明のサスペンション装置S3およびサスペンション制御装置としてのコントローラC3によっても、ローパスフィルタL1で処理することで速度Vwから第二振動抑制力F2を得て、アクチュエータA1の目標推力Frefを求めるようになっている。さらに、目標推力Frefにはストローク速度Vsから求めた第三振動抑制力F3を加味しており、ダンパが発生するべき減衰力をアクチュエータA1に発生させることができる。そのため、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の周波数領域のばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動に対して、アクチュエータA1がアクチュエータとして能動的に発生する推力としての第一振動抑制力F1および第二振動抑制力F2が非常に小さくなり、アクチュエータA1がダンパとして発生する減衰力としての第三振動抑制力F3でばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動が抑制されることになる。また、本実施の形態では、ダンパが発生するべき減衰力をアクチュエータA1に発生させることができるため、ダンパDを廃止することができる。このように、本実施の形態のサスペンション装置S3およびサスペンション制御装置としてのコントローラC3にあっては、アクチュエータA1にはばね下共振周波数ωwの帯域までの制御応答性が求められるが、アクチュエータA1に油圧を用いない電磁アクチュエータを使用することで、車両における乗り心地を向上させることが可能となる。さらに、この実施の形態のサスペンション装置S3およびサスペンション制御装置としてのコントローラC3にあっては、アクチュエータA1にダンパが発生すべき減衰力を発生させるため、ダンパを廃止することができ、サスペンション装置S3が安価となる。
引き続き、他の実施の形態のサスペンション装置S4およびサスペンション制御装置としてのコントローラC4について説明する。このサスペンション装置S4は、図10に示すように、車両の車体であるばね上部材Bと車輪であるばね下部材Wとの間に介装されて推力を発生可能なアクチュエータAと、ばね上部材Bとばね下部材Wとの間にアクチュエータAと並列に介装されるダンパDと、アクチュエータAを制御するサスペンション制御装置としてのコントローラC4とを備えて構成されている。
アクチュエータAは、上記したサスペンション装置S1と同様に、図示はしないが、シリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダに移動自在に挿入されてピストンに連結されるロッドとを備えた伸縮体Eと、伸側室と圧側室に流体を給排して伸縮体Eを伸縮駆動させる流体圧ユニットHとを備えて構成されている。
コントローラC4についても、サスペンション装置S1と同様に、アクチュエータAに発生させるべき目標推力Frefを求め、流体圧ユニットHへ目標推力Frefを発揮させるように、流体圧源および切換手段へ電流を供給するようになっている。
コントローラC4は、本実施の形態では、具体的には、ばね上部材Bに取付けた加速度センサ4が検知するばね上部材Bの上下方向の加速度Gbと、ばね上部材Bとばね下部材Wの上下方向の相対変位として伸縮体Eに取付けたストロークセンサ6が検知する伸縮体Eのストローク変位Xsの入力を受け、これら加速度Gbおよびストローク変位Xsを処理して流体圧ユニットHへアクチュエータAを制御するための電流を出力するようになっている。
また、コントローラC4は、ストローク変位Xsを微分して得られるストローク速度Vsから第二振動抑制力F2を得る過程の信号Fdを濾波するローパスフィルタL2を備え、ばね上部材Bの上下方向の速度Vbから求めた第一振動抑制力F1とローパスフィルタL2で処理して得た第二振動抑制力F2とに基づいてアクチュエータAの目標推力Frefを求めるようになっている。
より具体的には、本実施の形態では、コントローラC4は、加速度センサ4から入力されるばね上部材Bの加速度Gbを積分してばね上部材Bの上下方向の速度Vbを得るための積分器30と、ストロークセンサ6から入力される伸縮体Eのストローク変位Xsを微分してばね上部材Bとばね下部材Wの上下方向の相対速度としての伸縮体Eのストローク速度Vsを得るための微分器31と、積分器30が出力する速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を得る第一振動抑制力演算部32と、ストローク速度VsにゲインCsを乗じる乗算部34と当該乗算部34が出力する信号をローパスフィルタL2で処理して第二振動抑制力F2を求める第二振動抑制力演算部33と、第一振動抑制力F1に第二振動抑制力F2をダンパDが発生する減衰力を打ち消すように足し合わせてアクチュエータAが発生すべき目標推力Frefを求める目標推力演算部35と、目標推力Frefから流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段へ与える制御指令を生成する制御指令生成部36と、制御指令生成部36からの制御指令を受け取ると流体圧ユニットHの流体圧源および切換手段を駆動する電流を出力するドライバ37とを備えて構成されている。
積分器30は、ばね上部材Bの加速度Gbを積分して速度Vbを得るが、たとえば、加速度Gbを疑似的に積分する効果を持つローパスフィルタとしてもよい。微分器31は、ストローク変位Xsを疑似的に微分する効果を持つハイっパスフィルタとされてもよい。
第一振動抑制力演算部32は、積分器30が出力する速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を得る。ゲインCbは、主としてばね上部材Bの振動を抑制する第一振動抑制力F1を得るために速度Vbに乗じられるゲインであるため、ばね上部材Bの重量等を考慮して決定される。第一振動抑制力演算部32では、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求めるようにしているが、たとえば、速度Vbに対して第一振動抑制力F1が線形でなく、関数で表現できないような特性である場合などでは、速度Vbと第一振動抑制力F1との関係をマップ化しておき、マップ演算によって速度Vbから第一振動抑制力F1を求めるようにしてもよい。
乗算部34は、微分器31が出力するばね上部材Bとばね下部材Wの上下方向の相対的な速度であるストローク速度VsにゲインCsを乗じて第二振動抑制力F2を生成するための過程の信号Fdを得る。ゲインCsは、ばね上部材Bとばね下部材Wとの相対移動を抑制する第二振動抑制力F2を得るためにストローク速度Vsに乗じられるゲインである。
ローパスフィルタL2は、上記したサスペンション装置S1におけるローパスフィルタL1と同様、図2に示すように、信号Fdの周波数成分のうち、ばね下共振周波数ωwの帯域の周波数成分を取り除き、ばね上共振周波数ωbの帯域の周波数成分については通過させるため、ばね上部材Bの共振周波数であるばね上共振周波数ωbとばね下部材Wの共振周波数であるばね下共振周波数ωwとの間に折れ点周波数ωcを持つ周波数特性を備えている。このローパスフィルタL2における周波数特性で折れ点周波数ωcは、たとえば、4Hz以上7Hz以下の範囲に設定されるとよい。
そして、乗算部34が出力する信号FdをローパスフィルタL2で処理することで、第二振動抑制力F2が求められる。よって、この実施の形態の場合、第二振動抑制力演算部33は、乗算部34とローパスフィルタL2とで構成されている。また、第二振動抑制力演算部33にあっては、ストローク速度VsにゲインCsを乗じて第二振動抑制力F2を得る過程の信号Fdを求めているが、たとえば、ストローク速度Vsに対して第二振動抑制力F2が線形でなく、関数で表現できないような特性である場合などでは、ストローク速度Vsと信号Fdとの関係をマップ化しておき、マップ演算によってストローク速度Vsから信号Fdを求めるようにしてもよい。なお、ローパスフィルタL2で濾波するのは、乗算部34で求めた信号Fdとしているが、ストローク速度Vsを濾波してから乗算部34でゲインCsを乗じて第二振動抑制力F2を求める演算を行うようにしても、同じ結果を得ることができるからそのようにしてもよい。このように、ストローク速度Vsから第二振動抑制力F2を演算する過程で信号をローパスフィルタL2で処理すれば足りるため、ローパスフィルタL2の処理の順序は、任意に決定することができる。
目標推力演算部35は、この実施の形態では、第一振動抑制力F1に第二振動抑制力F2をダンパDが発生する減衰力を打ち消すように足し合わせてアクチュエータAが発生すべき目標推力Frefを求める。第二振動抑制力F2は、ストローク速度Vsの振動周波数がばね下共振周波数ωw付近の周波数となると、ローパスフィルタL2を透過しにくくなるため、非常に小さな値となる。第一振動抑制力F1についても速度Vbは、ばね上部材Bの上下方向の速度であるため、ばね上共振周波数ωbの周辺帯域の成分は大きな値を持つがばね上共振周波数ωbの周辺帯域を超える帯域では速度Vbの周波数成分が小さくなる。よって、目標推力Frefは、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の高周波領域では、非常に小さな値になる。
制御指令生成部36は、サスペンション装置S1と同様に、目標推力演算部35が求めた目標推力Frefから流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段へ与える制御指令を生成する。具体的には、目標推力Frefが指示するアクチュエータAに発生させる推力の方向から流体圧ユニットHにおける切換手段に与える制御指令と、目標推力Frefの値の大きさから流体圧源へ与える電流を指示する制御指令とを生成する。
ドライバ37は、制御指令生成部36から入力される制御指令に応じて流体圧ユニットHでアクチュエータAの制御に必要な駆動対象、この場合、流体圧ユニットHにおける流体圧源および切換手段へそれぞれに与える電流を出力する。
つづいて、コントローラC4が行う一連の処理手順について説明する。図11のフローチャートに示すように、コントローラC4は、ばね上部材Bの上下方向の加速度Gbおよびストローク変位Xsを読み込み(ステップ801)、つづいて、加速度Gbを積分して速度Vbを得るとともに、ストローク変位Xsを微分してストローク速度Vsを得る(ステップ802)。次に、コントローラC4は、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求め(ステップ803)、ストローク速度VsにゲインCsを乗じて信号Fdを得て(ステップ804)、信号FdをローパスフィルタL2で濾波する処理を行って、信号Fdのばね下共振周波数ωw帯域以上の周波数成分を取り除いて第二信号抑制力F2を得る(ステップ805)。さらに、コントローラC4は、第一振動抑制力F1に第二振動抑制力F2をダンパDが発生する減衰力を打ち消すように合算して目標推力Frefを求める(ステップ806)。そして、コントローラC4は、目標推力Frefから制御指令を生成して(ステップ807)、ドライバ37から流体圧ユニットHの流体圧源および切換手段へ電流を供給する(ステップ808)。以上の手順を繰り返し実行することで、コントローラC4は、アクチュエータAを制御することになる。なお、上記した一連処理のフローは一例であり、設計変更が可能である。
このように構成されたサスペンション装置S4およびサスペンション制御装置としてのコントローラC4にあっては、ばね上部材Bの上下方向の速度Vbから求めた第一振動抑制力F1とローパスフィルタL2で処理した第二振動抑制力F2とに基づいてアクチュエータAの目標推力Frefを求めるので、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の周波数領域のばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動に対しては、目標推力Frefが非常に小さくなって、アクチュエータAが発生する推力も非常に小さくなる。
このように、ばね上部材Bおよびばね下部材Wがばね下共振周波数ωwの帯域で振動すると、サスペンション装置S4におけるアクチュエータAが発生する推力が小さくなって、ダンパDが発生するパッシブな減衰力でばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動が抑制されるため、車両における乗り心地を向上させることができる。
また、ばね上部材Bおよびばね下部材Wがばね下共振周波数ωwの帯域で振動すると、目標推力Frefが小さな値になるため、切換手段や流体圧源に応答遅れがあっても、車両における乗り心地を悪化させることがない。
以上より、サスペンション装置S4およびサスペンション制御装置としてのコントローラC4によれば、高応答な機器を用いずとも車両における乗り心地を向上させることが可能となる。
なお、エアサスペンション等の車高調整機能を有している車両では、ばね上部材Bとばね下部材Wの相対距離を計測しているので、本実施の形態のサスペンション装置S4およびサスペンション制御装置としてのコントローラC4にあっては、この計測値をストローク変位Xsとして利用すればよく、別途ストローク変位Xsを検知するためのセンサを設けることなく、アクチュエータAの制御を行うことができるメリットがある。
図4に示すように、ばね下部材Wの質量をM1、ばね上部材Bの質量をM2、路面変位をX0、ばね下部材Wの上下方向の変位をX1、ばね上部材Bの上下方向の変位をX2としてそれぞれ上向きを正とし、アクチュエータAの推力をFとし伸縮体Eの収縮方向を正とし、懸架ばねSPのばね定数をKsとし、ダンパDの減衰係数をCpとすると、ばね上部材Bの運動方程式は、以下の式(4)のようになる。
式(4)中の右辺の−Cp(X
2′−X
1′)は、ダンパDが発揮する力であって、X
1′の値の符号と大きさにより、ばね上部材Bを加振する作用を与えたり、反対に、ばね上部材Bの振動を制振する作用を与えたりする。
ここで、目標推力Frefは、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2を足し合わせたものであるから、以下の式(5)が成り立つ。
この式(5)を式(4)に代入すると、以下の式(6)となる。
式(6)の右辺第一項をみると、−C
2X
2′は、ばね上部材Bの運動に対して反対の方向に作用し、常にばね上部材Bの振動を抑制する方向に作用してばね上部材Bを制振する効果を発揮する。他方、式(6)の右辺で+C
1(X
2′−X
1′)は、式(6)の同じ右辺中の−Cp(X
2′−X
1′)を打ち消す方向に作用するので、ばね上部材Bの振動を加振する力を低減する効果を発揮する。式(6)から理解できるように、C
1=CpのときにダンパDが発揮する力が完全に打ち消されて、ばね上部材Bには、−C
2X
2′の力によって常に制振作用のみを与えることができる。
また、目標推力Fref通りにアクチュエータAが発揮する推力は、ばね下部材Wの振動に対しては減衰作用が低減されるように作用し、ばね下部材Wがばね下共振周波数ωw帯で振動すると、ばね下部材Wの振動を助長してしまうことになるが、本発明では、ばね上共振周波数ωbとばね下共振周波数ωwとの間にカットオフ周波数ωcが設定される特性を持つローパスフィルタL2で第二振動抑制力F2を得る過程の信号を濾波するために、ばね下共振周波数ωw帯域の振動に対しては第二振動抑制力F2の値が非常に小さくなって、ダンパDの減衰力でばね下部材Wの振動を抑制でき、ばね下共振周波数ωwより周波数が低い領域では第二振動抑制力F2の値が大きくなって、ばね下部材Wの振動でばね上部材Bを加振してしまうことが抑制されて優れたばね上部材Bの制振効果を得ることができる。したがって、本発明では、ばね下部材Wのばね下共振周波数ωw帯で振動する場合に、アクチュエータAがばね下部材Wを加振してしまうことがなく、ダンパDが発揮する減衰力でばね下部材Wの振動を抑制することができる。
本発明のサスペンション装置S4およびサスペンション制御装置によれば、サスペンション装置S1と同様に、ローパスフィルタL2で処理せずに第二振動抑制力を求めてアクチュエータAの推力の制御を行う場合(図5中の破線)に比較して、図5中実線で示すように、ばね下共振周波数ωw帯域のばね下部材Wの振動が低減され、かつ、ばね上共振周波数ωb帯域のばね上部材Bの振動が低減されることができることが分かる。
なお、第二振動抑制力F2を得るのに、ストローク速度Vsが必要であるが、図12に示すように、ばね上部材Bの上下方向の速度Vbからばね下部材Wの上下方向の速度Vwを差し引いてストローク速度Vsを求めるようにしてもよい。具体的には、図10のサスペンション装置S4におけるコントローラC4の構成に対して、図12に示したサスペンション装置S5におけるコントローラC5では、ストロークセンサ6の代わりにばね下部材Wに加速度センサ5を設けてばね下部材Wの加速度Gwを検知し、微分器21の代わりに積分器38を設けてばね下部材Wの加速度Gwを積分してばね下部材Wの速度Vwを得るようにし、ストローク速度演算部39を設けて、当該ストローク速度演算部39で積分器30が求めたばね上部材Bの速度Vbから積分器38が求めたばね下部材Wの速度Vwを差し引きしてばね上部材Bとばね下部材Wの上下方向の相対速度であるストローク速度Vsを求めるようになっている。
つづいて、コントローラC5が行う一連の処理手順について説明する。図13のフローチャートに示すように、コントローラC5は、ばね上部材Bの上下方向の加速度Gbおよびばね下部材Wの加速度Gwを読み込み(ステップ901)、つづいて、加速度Gbおよび加速度Gwを積分して速度Vbおよび速度Vwを得る(ステップ902)。次に、コントローラC5は、速度Vbから速度Vwを差し引いてストローク速度Vsを得る(ステップ903)。コントローラC5は、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求め(ステップ904)、ストローク速度VsにゲインCsを乗じて信号Fdを得て(ステップ905)、信号FdをローパスフィルタL2で濾波する処理を行って、信号Fdのばね下共振周波数ωw帯域以上の周波数成分を取り除いて第二信号抑制力F2を得る(ステップ906)。さらに、コントローラC5は、第一振動抑制力F1と第二振動抑制力F2を合算して目標推力Frefを求める(ステップ907)。そして、コントローラC5は、目標推力Frefから制御指令を生成して(ステップ908)、ドライバ37から流体圧ユニットHの流体圧源および切換手段へ電流を供給する(ステップ909)。以上の手順を繰り返し実行することで、コントローラC5は、アクチュエータAを制御することになる。なお、上記した一連処理のフローは一例であり、設計変更が可能である。
本発明のサスペンション装置S5およびサスペンション制御装置としてのコントローラC5によっても、ローパスフィルタL2で処理することで第二振動抑制力F2を得て、アクチュエータAの目標推力Frefを求めるので、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の周波数領域のばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動に対しては、アクチュエータAが発生する推力が非常に小さくなって、ダンパDが発生するパッシブな減衰力でばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動が抑制されることになる。よって、サスペンション装置S5およびサスペンション制御装置としてのコントローラC5にあっては、サスペンション装置S4およびコントローラC4と同様に、高応答な機器を用いずとも車両における乗り心地を向上させることが可能となる。
なお、上記したサスペンション装置S4では、ダンパDをアクチュエータAに並列させていたが、図14に示すサスペンション装置S6では、ダンパDを廃止して、代わりにアクチュエータA1にダンパが発生すべき減衰力を発揮させるようにしている。具体的には、図14に示すサスペンション装置S6では、コントローラC6が図10のサスペンション装置S4のコントローラC4の構成にストローク速度Vsにダンパの減衰係数に相当するゲインCpを乗じて第三振動抑制力F3を求める第三振動抑制力演算部40を加えた構成となっており、目標推力演算部35で、第一振動抑制力F1、第二振動抑制力F2および第三振動抑制力F3を足し合わせて目標推力Frefを求めるようになっている。また、本実施の形態では、アクチュエータA1には、電磁アクチュエータを用いている。第三振動抑制力F3は、廃止したダンパDが発生する減衰力に相当する力であり、このように目標推力Frefを、第三振動抑制力F3を加味したものとすることで、アクチュエータA1が廃止したダンパDが発生する減衰力をダンパDの代わりに発揮するので、このようにしても、サスペンション装置S6およびサスペンション制御装置としてのコントローラC6によれば、車両における乗り心地を向上させることができる。
つづいて、コントローラC6が行う一連の処理手順について説明する。図15のフローチャートに示すように、コントローラC6は、ばね上部材Bの上下方向の加速度Gbおよび伸縮体Eのストローク変位Xsを読み込み(ステップ1000)、つづいて、加速度Gbを積分して速度Vbを得るとともに、ストローク変位Xsを微分してストローク速度Vsを得る(ステップ1001)。次に、コントローラC6は、速度VbにゲインCbを乗じて第一振動抑制力F1を求め(ステップ1002)、速度VsにゲインCsを乗じて信号Fdを得て(ステップ1003)、信号FdをローパスフィルタL2で濾波する処理を行って、信号Fdのばね下共振周波数ωw帯域以上の周波数成分を取り除いて第二信号抑制力F2を得る(ステップ1004)。また、コントローラC6は、ストローク速度VsにゲインCpを乗じて第三振動抑制力F3を得る(ステップ1005)。さらに、コントローラC6は、第一振動抑制力F1、第二振動抑制力F2および第三振動抑制力F3を合算して目標推力Frefを求める(ステップ1006)。そして、コントローラC6は、目標推力Frefから制御指令を生成して(ステップ1007)、ドライバ37からアクチュエータA1へ電流を供給する(ステップ1008)。以上の手順を繰り返し実行することで、コントローラC6は、アクチュエータA1を制御することになる。なお、上記した一連処理のフローは一例であり、設計変更が可能である。
本発明のサスペンション装置S6およびサスペンション制御装置としてのコントローラC6によっても、ローパスフィルタL2で処理することで速度Vsから第二振動抑制力F2を得て、アクチュエータA1の目標推力Frefを求めるようになっている。さらに、目標推力Frefにはストローク速度Vsから求めた第三振動抑制力F3を加味しており、ダンパが発生するべき減衰力をアクチュエータA1に発生させることができる。そのため、ばね下共振周波数ωwの周辺およびそれ以上の周波数領域のばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動に対して、アクチュエータA1がアクチュエータとして能動的に発生する推力としての第一振動抑制力F1および第二振動抑制力F2が非常に小さくなり、アクチュエータA1がダンパとして発生する減衰力としての第三振動抑制力F3でばね上部材Bおよびばね下部材Wの振動が抑制されることになる。また、本実施の形態では、ダンパが発生するべき減衰力をアクチュエータA1に発生させることができるため、ダンパDを廃止することができる。このように、本実施の形態のサスペンション装置S6およびサスペンション制御装置としてのコントローラC6にあっては、アクチュエータA1にはばね下共振周波数ωwの帯域までの制御応答性が求められるが、アクチュエータA1に油圧を用いない電磁アクチュエータを使用することで、車両における乗り心地を向上させることが可能となる。さらに、この実施の形態のサスペンション装置S6およびサスペンション制御装置としてのコントローラC6にあっては、アクチュエータA1にダンパが発生すべき減衰力を発生させるため、ダンパを廃止することができ、サスペンション装置S6が安価となる。
最後に、上記したサスペンション装置S1,S2,S4,S5に好適なアクチュエータAの一例の具体的な構成について説明する。
アクチュエータAは、上記したように、シリンダ1と、シリンダ1内に移動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン2と、シリンダ1に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるロッド3とを備えた伸縮体Eと、伸側室R1と圧側室R2に流体を給排して伸縮体Eを伸縮駆動させる流体圧ユニットHとを備えて構成されている。
流体圧ユニットHは、詳しくは、図16に示すように、ポンプPと、ポンプPの吸込側に接続されるリザーバRと、伸縮体EとポンプPおよびリザーバRとの間に設けられる流体圧回路HCとを備えて構成されている。
また、流体圧回路HCは、ポンプPの吐出側に接続される供給路51と、リザーバRに接続される排出路52と、伸側室R1に接続される伸側通路53と、圧側室R2に接続される圧側通路54と、伸側通路53と圧側通路54の一方を供給路51へ選択的に接続するとともに伸側通路53と圧側通路54の他方を排出路52に接続する切換手段としての方向切換弁55と、伸側通路53に設けられ伸側室R1から方向切換弁55に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する伸側減衰要素56と、圧側通路54に設けられ圧側室R2から方向切換弁55に向かう流れに対し抵抗を与え、反対向きの流れに対してはこれを許容する圧側減衰要素57と、供給電流に応じて供給路51の圧力を調整可能な制御弁58と、供給路51と排出路52とを接続する吸込通路59と、吸込通路59の途中に設けられて排出路52から供給路51へ向かう流体の流れのみを許容する吸込チェック弁60と、供給路51の途中であって制御弁58とポンプPとの間に設けられてポンプP側から制御弁58側へ向かう流れのみを許容する供給側チェック弁61とを備えて構成されている。
そして、伸側室R1および圧側室R2には流体として、たとえば、作動油等の液体が充満され、リザーバR内には液体と気体が充填される。伸側室R1、圧側室R2およびリザーバR内に充填される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。また、本発明では、伸長行程時に圧縮される室を伸側室R1とし、収縮行程時に圧縮される室を圧側室R2としてある。
ポンプPは、吸込側から流体を吸い込んで吐出側から流体を吐出する一方向吐出型に設定され、モータ62によって駆動されるようになっている。モータ62には、直流、交流を問わず、種々の形式のモータ、たとえば、ブラシレスモータ、誘導モータ、同期モータ等を採用することができる。
そして、ポンプPの吸込側はポンプ通路63によってリザーバRに接続されており、吐出側は供給路51に接続されている。したがって、ポンプPは、モータ62によって駆動されると、リザーバRから流体を吸い込んで供給路51へ流体を吐出するようになっている。
方向切換弁55は、たとえば、4ポート2位置の電磁切換弁とされており、供給路51を伸側通路53に連通するとともに排出路52を圧側通路54に連通させる状態と、供給路51を圧側通路54に連通するとともに排出路52を伸側通路53に連通させる状態とを選択的に切換ることができ、ポンプPから供給される流体を伸側室R1と圧側室R2のいずれかを選択して供給することができる。供給路51を伸側通路53に連通するとともに排出路52を圧側通路54に連通させる状態で、ポンプ4が駆動されると伸側室R1に流体が供給されて圧側室R2からリザーバRへ流体が排出されるので、アクチュエータ本体Aを収縮させることができる。他方、供給路51を圧側通路54に連通するとともに排出路52を伸側通路53に連通させる状態で、ポンプ4が駆動されると圧側室R2に流体が供給されて伸側室R1からリザーバRへ流体が排出されるので、アクチュエータ本体Aを伸長させることができる。
伸側減衰要素56は、伸側室R1から方向切換弁55に向かう流れに対し抵抗を与える伸側減衰弁56aと、当該伸側減衰弁56aに並列されて方向切換弁55から伸側室R1へ向かう流れのみを許容する伸側チェック弁56bとを備えて構成されている。よって、伸側室R1から方向切換弁55へ向けて移動する流体の流れに対しては、伸側チェック弁56bは閉じた状態に維持されるため、流体は、伸側減衰弁56aのみを通過して方向切換弁55側へ向かって流れることになる。反対に、方向切換弁55から伸側室R1へ向けて移動する流体の流れに対しては、伸側チェック弁56bが開き、伸側チェック弁56は伸側減衰弁56aに比較して流れに与える抵抗が小さいので、流体は、伸側チェック弁56bを優先的に通過して伸側室R1側へ向かって流れることになる。伸側減衰弁56aは、双方向流れを許容する絞り弁とされてもよいし、伸側室R1から方向切換弁55に向かう流れのみを許容するリーフバルブやポペット弁といった減衰弁とされてもよい。
圧側減衰要素57は、圧側室R2から方向切換弁55に向かう流れに対し抵抗を与える圧側減衰弁57aと、当該圧側減衰弁57aに並列されて方向切換弁55から圧側室R2へ向かう流れのみを許容する圧側チェック弁57bとを備えて構成されている。よって、圧側室R2から方向切換弁55へ向けて移動する流体の流れに対しては、圧側チェック弁57bは閉じた状態に維持されるため、流体は、圧側減衰弁57aのみを通過して方向切換弁55側へ向かって流れることになる。反対に、方向切換弁55から圧側室R2へ向けて移動する流体の流れに対しては、圧側チェック弁57bが開き、圧側チェック弁57bは圧側減衰弁57aに比較して流れに与える抵抗が小さいので、流体は、圧側チェック弁57bを優先的に通過して圧側室R2側へ向かって流れることになる。圧側減衰弁57aは、双方向流れを許容する絞り弁とされてもよいし、圧側室R2から方向切換弁55に向かう流れのみを許容するリーフバルブやポペット弁といった減衰弁とされてもよい。
制御弁58は、電磁弁であって、具体的には、吸込通路59に並列して供給路51と排出路52を接続する制御通路64の途中に設けられており、開弁圧を調節することで制御弁58の上流側である供給路51の圧力を制御することができるようになっている。制御弁58にあっては、供給する電流量に比例した開弁圧を得ることができるようになっており、電流量を大きくすればするほど開弁圧が大きくなり、電流を供給しない場合には開弁圧が最小になるようになっている。また、制御弁58は、この例では、サスペンション装置S1、S2,S4,S5の実用領域において流量に比例して圧力損失が大きくなる圧力オーバーライドがない特性となっている。なお、実用領域とは、たとえば、伸縮体Eが秒速1mの範囲内で伸縮する領域とすればよく、実用領域において制御弁58が流量に比例して圧力損失が大きくなる圧力オーバーライドがない特性を備えるとは、伸縮体Eが秒速1mの範囲内で伸縮する場合に制御弁58を通過し得る流量に対して圧力オーバーライドを無視することができる特性を制御弁58が備えていることを指す。また、制御弁58は、本実施の形態では、非通電時における開弁圧がごく小さく、非通電時において通過する流体の流れに対してほとんど抵抗を与えないようになっている。
なお、供給路51の途中であって制御弁58とポンプPとの間に設けた供給側チェック弁61によって、ポンプPの吐出圧より方向切換弁55側の圧力が高圧となっても、供給側チェック弁61が閉じることでポンプP側へ流体が逆流することが阻止される。
アクチュエータAは、以上のように構成されており、ポンプPをモータ62によって駆動し、方向切換弁55によって伸側室R1と圧側室R2のうちポンプPに接続する室にポンプPが吐出する流体を供給しつつ排出路52を通じて他方の室をリザーバRに連通させることで、伸縮体Eを積極的に伸長或いは収縮させることができる。
また、伸縮体Eが外力を受けて伸縮する場合、たとえば、伸側室R1が圧縮されると、伸側室R1から排出される液体は、伸側減衰弁56aを通過した後、方向切換弁55の切換状態により、制御弁58を介してリザーバRへ至るか、制御弁58を介さずにリザーバRに至るが、伸側減衰弁56aを必ず通過して、伸縮体Eの伸長を妨げる減衰力を発揮する。圧側室R2が圧縮されても、圧側室R2から排出される液体は、圧側減衰弁57aを通過した後、方向切換弁55の切換状態により、制御弁58を介してリザーバRへ至るか、制御弁58を介さずにリザーバRに至るが、圧側減衰弁57aを必ず通過して、伸縮体Eの収縮を妨げる減衰力を発揮する。よって、このアクチュエータAは、積極的に伸縮体Eを伸長および収縮させる推力を発揮するアクチュエータとしての機能の他に、外力による振動入力に対してはパッシブなダンパとしての機能をも発揮する。
このように、アクチュエータAは、アクチュエータとしてもダンパとしても機能するので、本発明のサスペンション装置S1,S2,S4,S5に使用する場合、ばね下共振周波数ωw以上の周波数の振動入力に対して、アクチュエータAにダンパとしての機能を発揮させることができるため、アクチュエータAの他にダンパDを別途設ける必要がなくなるため、サスペンション装置S1,S2,S4,S5の装置全体が安価となるメリットがある。なお、ダンパDとしての機能を発揮するアクチュエータAの構造は以上に限定されるものではなく、他の構造を備えるアクチュエータAを採用することは当然可能である。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。