JP2016080974A - 像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents

像加熱装置及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016080974A
JP2016080974A JP2014214504A JP2014214504A JP2016080974A JP 2016080974 A JP2016080974 A JP 2016080974A JP 2014214504 A JP2014214504 A JP 2014214504A JP 2014214504 A JP2014214504 A JP 2014214504A JP 2016080974 A JP2016080974 A JP 2016080974A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
magnetic
image
recording material
conductive layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014214504A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6504782B2 (ja
Inventor
宗人 倉田
Munehito Kurata
宗人 倉田
磯野 青児
Seiji Isono
青児 磯野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2014214504A priority Critical patent/JP6504782B2/ja
Priority to US14/887,794 priority patent/US9547264B2/en
Publication of JP2016080974A publication Critical patent/JP2016080974A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6504782B2 publication Critical patent/JP6504782B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2053Structural details of heat elements, e.g. structure of roller or belt, eddy current, induction heating
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature
    • G03G15/2042Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature specially for the axial heat partition
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature
    • G03G15/2046Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature specially for the influence of heat loss, e.g. due to the contact with the copy material or other roller
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G2215/00Apparatus for electrophotographic processes
    • G03G2215/20Details of the fixing device or porcess
    • G03G2215/2003Structural features of the fixing device
    • G03G2215/2016Heating belt
    • G03G2215/2035Heating belt the fixing nip having a stationary belt support member opposing a pressure member

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • General Induction Heating (AREA)

Abstract

【課題】開磁路で構成された誘導加熱方式の定着装置を備えた画像形成装置において、磁性コアの磁束飽和防止のため投入電力量を制限した場合に定着不良が発生する。これを防止する。
【解決手段】必要電力に応じて、励磁コイルに流す交流電流の駆動周波数を変更し、必要電力が投入できるようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は電磁誘導加熱方式の像加熱装置及び画像形成装置に関するものである。
像加熱装置としては、記録材に形成された未定着画像を加熱して定着或いは仮定着する定着装置、記録材に定着された画像を再度加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢度増大装置などを挙げることができる。
低御着装置
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載される像加熱装置としての定着装置は、加熱回転体とそれに圧接する加圧ローラとで形成されたニップ部で未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱する。これによりトナー像を記録材に定着するものが一般的である。
近年、加熱回転体の導電層を直接発熱させることができる電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されており、これらはウォーミングアップ時間が短く、消費電力も低いという利点を持つ。
特許文献1には、交番磁束が通る磁気回路内に導電体にて形成した筒体を備え、前記筒体に誘起された起電流と筒体の電気抵抗とにより該筒体を発熱される方式の定着装置が開示されている。本方式は、筒体そのものがヒータとして作用するため、簡単な構成で熱効率が高い等のメリットがある。
特開昭51−120451号公報
近年、定着装置の小型化や加熱回転体の低熱容量化を目的として加熱回転体の小径化の要望が高まっている。そのための手段として、加熱回転体の内部に配設されるコイルおよびコアを小型化する方法や磁路の一部を断絶した開磁路とする方法があるが、どちらの方法においてもコアの磁気飽和を考慮する必要がある。コアが磁気飽和してしまうと、コイルのインダクタンスが急激に低下してしまいコイルに大電流が流れることで電源が故障してしまう恐れがあるためである。
コアが磁気飽和しないようにするためには、コアで発生させる上限磁束を設定しなければならない。コアに発生させる上限磁束を設定する場合、コイルに投入する電力を制限することとなる。
いかなる場合でもコアが磁気飽和を起こさないように上限磁束を設定する、すなわち電力を制限した場合、記録材上のトナー量や、記録材の種類、使用環境等によっては、定着動作時に電力不足となる。そのために、定着不良等の画像不良が発生するという課題があった。
本発明は上記課題を解決するためのものであって、いかなる場合であっても電力不足による定着不良等の画像不良を発生させない像加熱装置、及び、この像加熱装置を具備した画像形成装置を提供するものである。
上記目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の代表的な構成は、導電層を有する筒状の回転体と、前記回転体の内部に配置され、螺旋軸が前記回転体の母線方向とほぼ平行である螺旋形状部を有し、前記導電層を電磁誘導発熱させる交番磁界を形成するためのコイルと、前記螺旋形状部の中に配置され、前記交番磁界の磁力線を誘導するためのコアと、を備え、前記回転体の熱により記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置において、前記コアは前記回転体の外部でループを形成しない形状であり、前記コイルに流す交流の周波数を制御するための制御部を有し、前記制御部は、前記コイルに流す交流の周波数として記録材の幅サイズに応じて設定された第1の周波数を記録材に形成された画像の印字率が所定の印字率よりも高いときは前記第1の周波数よりも高い周波数の第2の周波数に変更することを特徴とする。
本発明によれば、いかなる場合においても、電力不足による定着不良等の画像不良を発生させることのない像加熱装置、及び、この像加熱装置を具備した画像形成装置を提供することができる。
実施例1の定着装置を用いた画像形成装置の一例の概略構成図 (a)は定着装置の要部の横断側面模型図、(b)は同じく要部の正面模型図 定着装置の加熱ユニットの模式図および制御系統のブロック回路図 (a)は励磁コイルの巻き間隔を示した図、(b)は加熱ユニットの長手方向の発熱分布を示す図 (a)は記録材サイズと駆動周波数の関係を示す図、(b)は駆動周波数と最大投入可能電力の関係を示す図 必要電力の変化を示すグラフ 実施例2のエリア分割を表す図 実施例2の画像例を表す図 発熱メカニズムを説明する図 磁束を表す図 磁気等価回路図 磁性コアの長手方向の構成図 回路の効率に関する説明図 等価回路を説明する図 電力の変換効率の測定実験に用いる実験装置を表す図 電力の変換効率を表す図 構成する部材が不均一な断面構成を有する定着装置の図 図17の定着装置の断面図 (a)はコイルに矢印の向きで電流を流した場合の磁界を示す図、(b)は発熱層に流れる周回電流を示す図 (a)は1次コイルと2次コイルを巻いた形状の同心軸トランスの磁気結合を示す図、(b)と(b)はそれぞれ等価回路を示す図 (a)は励磁コイルの巻き間隔を示す図、(b)は発熱分布を示す図 みかけの透磁率が低くなる現象のイメージ図 一様な磁界中にフェライトと空気を配置した場合の磁束の形状図 磁性コアにコイルをスキャンする説明図 閉磁路を形成した場合の説明図 3分割した発熱層の配置図 (a)は等価回路図、(b)と(b)はそれぞれ更に簡略化した等価回路図 (a)はXeとXcの周波数特性を表すグラフ、(b)はQeとQcの周波数特性を表すグラフ 中央と端部の発熱量を示す図 3分割した発熱層の図 (a)は等価回路図、(b)は更に簡略化した等価回路図 QeとQcの周波数特性を表すグラフ 実施例1の構成の長手方向の発熱分布を表す図 駆動周波数と出力電圧の特性を表すグラフ (a)と(b)はそれぞれ電圧波形を表す図
[実施例1]
(1)定着装置を備えた画像形成装置の概略説明
図1は本実施例の像加熱装置としての定着装置Aを用いた画像形成装置100の一例の概略構成図である。画像形成装置100は、電子写真方式のレーザービームプリンタである。101は像担持体としての感光体ドラム(以下、ドラムと記す)であり、矢示の時計方向に所定のプロセススピード(周速度)にて回転駆動される。ドラム101はその回転過程で帯電ローラ102により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
103は画像露光手段としてのレーザービームスキャナである。このスキャナ103は、コンピュータ等の外部機器42(図3)から入力され、画像処理部41(プリンタコントローラ)によって生成されたデジタル画像信号に対応してオン/オフ変調されたレーザー光Lを出力する。そして、このレーザー光Lによりドラム101の帯電処理面を走査露光する。上記のデジタル画像信号は外部機器42から受信した画像データから生成した画像形成用の画像信号である。
この走査露光によりドラム101表面の露光明部の電荷が除電されてドラム101の表面に画像信号に対応した静電潜像が形成される。104は現像装置であり、現像ローラ104aからドラム101の表面に現像剤(トナー)が供給されて、ドラム101の表面の静電潜像は、可転写像であるトナー像として順次に現像される。
ここで、以下の説明においては、記録媒体としてのシート状の記録材の扱いについて、給紙、通紙、通紙部、通紙領域、非通紙部、非通紙領域、紙粉、排紙、紙間、通紙幅、大サイズ紙、小サイズ紙、紙などの紙にまつわる用語を使用している。しかし、記録材は紙に限定されるものではなく、樹脂シートやコート紙などであってもよい。
また、記録材の幅もしくは幅サイズとは記録材面において記録材の搬送方向に直交する方向の寸法である。画像形成装置又は定着装置に使用可能(装置に給送可能)な最大幅サイズの記録材を大サイズ記録材、この大サイズ記録材よりも幅が小さい記録材を小サイズ記録材と記す。
105は給紙カセットであり、記録材Pを積載収納させてある。給紙スタート信号に基づいて給紙ローラ106が駆動されることで給紙カセット105内の記録材Pは一枚ずつ分離給紙される。そして、レジストローラ対107を介して、ドラム101と接触して従動回転する転写ローラ108との当接ニップ部である転写部位108Tに、所定のタイミングで導入される。すなわち、ドラム101上のトナー像の先端部と記録材Pの先端部とが、同時に転写部位108Tに到達するように、レジストローラ107で記録材Pの搬送が制御される。
その後、記録材Pは転写部位108Tを挟持搬送され、その間、転写ローラ108には不図示の転写バイアス印加電源から所定に制御された転写電圧(転写バイアス)が印加される。転写ローラ108にはトナーと逆極性の転写バイアスが印加され、転写部位108Tにおいてドラム101の表面側のトナー像が記録材Pの表面に静電的に転写される。転写後の記録材Pは、ドラム101表面から分離されて搬送ガイド109を通り定着装置(定着部)Aに導入される。
記録材Pは定着装置Aにおいて、トナー画像の熱定着処理を受ける。一方、記録材Pに対するトナー像転写後のドラム101の表面はクリーニング装置110で転写残トナーや紙粉等の除去を受けて清浄面化され、繰り返して作像に供される。定着装置Aを通った記録材Pは、排紙口111から排紙トレイ112上に排出される。
上記の画像形成装置100において、定着装置(定着部)Aまでの装置機構部が記録材Pにトナー像(加熱すべき画像)T(図2の(a))を形成する画像形成部113である。
(2)定着装置の概略説明
本実施例において、定着装置Aは電磁誘導加熱方式の像加熱装置である。図2の(a)は本実施例の定着装置Aの要部の横断側面模型図、(b)は同じく要部の正面模型図である。図3は定着装置Aの加熱ユニットの模式図および制御系統のブロック回路図である。ここで、定着装置Aに関して、正面側とは記録材Pが導入される側である。左右とは定着装置Aを正面側から見て左または右である。
この定着装置Aは、大別して、加熱ユニット1Aとニップ形成部材(加圧部材)としての加圧ローラ8とを有する。加熱ユニット1Aと加圧ローラ8とが接触して記録材Pを搬送しながらトナー像Tを加熱加圧して定着させる定着ニップ(N)を形成している。
加熱ユニット1Aは、導電層を有し回転可能な筒状の回転体である定着スリーブ1を有する。定着スリーブ1内空部には、以下に説明する、磁性部材としての磁性コア2、磁性コア2に巻かれた励磁コイル3、加圧用ステイ5、スリーブガイド部材6等が配設されている。
加圧ローラ8は、芯金8aと、その芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた耐熱性・弾性材層8bとで構成されており、表層に離型層8cを設けてある。弾性層8bは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよい材質が好ましい。芯金8aの両端部は不図示の装置シャーシの側板間に導電性軸受けを介して回転自由に保持させて配設してある。
加熱ユニット1Aはこの加圧ローラ8の上側に略平行に配列されている。そして、加圧用ステイ5の両端部と不図示の装置シャーシ側のバネ受け部材18a、18bとの間にそれぞれ加圧バネ17a、17bを縮設することで加圧用ステイに押し下げ力を作用させている。なお、本実施例の定着装置Aでは、総圧約100N〜250N(約10kgf〜約25kgf)の押圧力を与えている。
これにより、耐熱性樹脂PPS等で構成されたスリーブガイド部材6の下面と加圧ローラ8の上面とが内外から定着スリーブ1を挟んで圧接して記録材搬送方向Qにおいて所定幅の定着ニップNが形成される。スリーブガイド部材6は定着スリーブ1の内面に接触して加圧ローラ8と対向するバックアップ部材であり、定着スリーブ1を保持するとともに定着スリーブ1の回転をガイドする役目をしている。
加圧ローラ8は不図示の駆動手段により図2の(a)において矢示の反時計方向に回転駆動され、定着ニップNにおける定着スリーブ1の外面との摩擦力で定着スリーブ1に回転力が作用する。これにより、定着スリーブ1が、その内面が定着ニップNにおいてスリーブガイド部材6の面に密着しながら矢印の時計方向に従動回転する。記録材Pは定着ニップNに導入されて挟持搬送される。
12a・12bは加熱ユニット1Aにおいてスリーブガイド6の左右両端部(一端側と他端側)に外嵌されたフランジ部材であり、左右位置を規制部材13a・13bで固定しつつ回転自在に取り付けられている。そして、定着スリーブ1の回転時に定着スリーブ1の端部を受けて定着スリーブ1のスリーブガイド部材長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。フランジ部材12a・12bの材質としては、LCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマー)樹脂等の耐熱性の良い材料が好ましい。
定着スリーブ1は、基層となる導電性部材でできた発熱層(導電層)1aと、その外面に積層した弾性層1bと、その外面に積層した離型層(表層)1cの複合構造の筒状の回転体である。本実施例では、磁性コア2を小型化することにより、定着スリーブ1の内径をφ30mmまで小径化したものを採用している。
発熱層1aは、膜厚10〜50μmの金属フィルムとし、弾性層1bは、硬度が20度(JIS−A、1kg加重)のシリコーンゴムを0.3mm〜0.1mm成形している。そして、弾性層1b上に離型層1cとして50μm〜10μmの厚さのフッ素樹脂チューブを被覆している。
この発熱層1aに対し、交番磁束を作用させ、誘導電流を発生させて発熱する。この熱が弾性層1b、離型層1cに伝達されて、定着スリーブ1の全体が加熱され、定着ニップNに通紙されて挟持搬送される記録材Pを加熱してトナー像Tの定着がなされる。
発熱層1aに対し、交番磁束を作用させ、誘導電流を発生させる機構について図3により詳述する。磁性芯材としての磁性コア2は、不図示の固定手段で定着スリーブ1の中空部を貫通して配置させ、磁極NP,SPを持つ直線状の開磁路を形成している。
即ち、定着スリーブ1の内部に配置され、螺旋軸が定着スリーブ1の母線方向と略平行である螺旋形状部を有し、発熱層1aを電磁誘導発熱させる交番磁界を形成するためのコイルを備えている。また、上記の螺旋形状部の中に配置され、交番磁界の磁力線を誘導するための磁性コア2を備えている。磁性コア2は定着スリーブ1の外部でループを形成しない形状である。
磁性コア2の材質は、ヒステリシス損が小さく比透磁率の高い材料、例えば、焼成フェライト、フェライト樹脂、非晶質合金(アモルファス合金)や、パーマロイ等の高透磁率の酸化物や合金材質で構成される強磁性体が好ましい。本実施例においては、磁性コア2として、比透磁率1800の焼成フェライトを用いる。形状は円柱形状をしており、長手長さは240mmである。本実施例では、図3のX方向(定着スリーブ1の母線方向もしくは回転軸線方向)から見たコアの断面積は120mm2まで小型化したものを採用している。
励磁コイル3は、通常の単一導線を定着スリーブ1の中空部において、磁性コア2に螺旋状に巻き回して形成される。即ち、励磁コイル3は、中空部において磁性コア2の外側に定着スリーブ1の母線方向に交差する方向に磁性コア2に直接もしくはボビンなどの他物を介して巻かれている。その際、開磁路端部において巻間隔が密、中央において巻間隔が疎となるように巻く。このような巻き方とした理由は後述する。
図4の(a)は、より具体的に巻間隔を示した図である。長手寸法240mmの磁性コア2に対し、励磁コイル3は18回巻きつけている。その巻間隔は端部において10mm、中央部において20mm、その中間において15mmとなっている。励磁コイル3は定着スリーブ1の母線方向Xに交差する方向に巻き回されている。そのため、この励磁コイル3に給電接点部3a,3bを介して高周波コンバータ16(図3)などで高周波電流(交番電流、交流電流)を流すと、定着スリーブ1の母線方向に平行な方向の磁束を発生させることができる。
(2−1)定着装置の発熱メカニズム
図9の(a)を用いて本実施例の定着装置Aの発熱メカニズムについて説明する。コイル2に交流電流を流して生じた磁力線が筒状の導電層1aの内側の磁性コア2の内部を導電層1aの母線方向(SからNに向かう方向)に通過し、磁性コア2の一端(N)から導電層1aの外側に出て磁性コア2の他端(S)に戻る。その結果、導電層1aの内側を導電層1aの母線方向に貫く磁束の増減を妨げる方向の磁力線を発生させる誘導起電力が導電層1aに生じて導電層1aの周方向に電流が誘導される。
この誘導電流によるジュール熱で導電層1aが発熱する。この導電層1aに生じる誘導起電力Vの大きさは、下記の式(500)から導電層1aの内部を通過する単位時間当たりの磁束の変化量(ΔΦ/Δt)及びコイルの巻き数Nに比例する。
V=−N(ΔΦ/Δt) ・・・(500)
(2−2)導電層1aの外側を通る磁束の割合と電力の変換効率との関係
ところで、図9の(a)の磁性コア2はループを形成しておらず端部を有する形状である。(b)のような磁性コア2が導電層1aの外でループを形成している定着装置における磁力線は、磁性コア2に誘導されて導電層1aの内側から外側に出て内側に戻る。
しかしながら、本実施例のように磁性コア2が端部を有する構成の場合、磁性コア2の端部から出た磁力線を誘導するものはない。そのため、磁性コア2の一端を出た磁力線が磁性コア2の他端に戻る経路(NからS)は、導電層1aの外側を通る外側ルートと、導電層1aの内側を通る内側ルートと、のいずれも通る可能性がある。
以後、導電層1aの外側を通って磁性コア2のNからSに向かうルートを外側ルート、導電層1aの内側を通って磁性コア2のNからSに向かうルートを内側ルートと呼ぶ。
この磁性コア2の一端から出た磁力線のうち外側ルートを通る磁力線の割合は、コイル3に投入した電力のうち導電層1aの発熱で消費される電力(電力の変換効率)と相関があり、重要なパラメータである。外側ルートを通る磁力線の割合が増加する程、コイル3に投入した電力のうち導電層1aの発熱で消費される電力の割合(電力の変換効率)は高くなる。
この理由は、トランスにおいて漏れ磁束が十分少なく、トランスの1次巻線と2次巻線の中を通過する磁束の数が等しいと電力の変換効率は高くなることと原理は同じである。つまり、本実施例においては、磁性コア2の内部を通過する磁束と、外側ルートを通過する磁束の数が近い程、電力の変換効率は高くなり、コイル3に流した高周波電流を導電層1aの周回電流として効率よく電磁誘導できることになる。
これは、図9の(a)におけるコア2の内部をSからNに向かう磁力線と、内側ルートを通る磁力線は向きが反対であるから、磁性コア2を含めた導電層1aの内側全体で見ると、これらの磁力線は打ち消しあうことになる。その結果、導電層1aの内側全体をSからNに向かって通過する磁力線の数(磁束)が減り単位時間当たりの磁束の変化量が小さくなる。単位時間当たりの磁束の変化量が減少すると、導電層1aに生じる誘導起電力Vが小さくなり、導電層1aの発熱量が小さくなる。
以上述べたことから、本実施例の定着装置は必要な電力の変換効率を得るために外側ルートを通る磁力線の割合を管理することが重要になる。
(2−3)導電層1aの外側を通る磁束の割合を示す指標
そこで、定着装置Aにおける外側ルートを通る磁力線の割合を磁力線の通り易さをパーミアンスという指標を用いて表す。まず、一般的な磁気回路の考え方について説明する。磁力線が通る磁路の回路を電気回路に対して磁気回路という。磁気回路において磁束を計算する際、電気回路の電流の計算に準じて行うことができる。磁気回路は、電気回路に関するオームの法則が適用可能である。電気回路の電流に対応する磁束をΦと、起電力に対応する起磁力をVと、電気抵抗に対応する磁気抵抗をRと、すると、次の式(501)を満たす。
Φ=V/R ・・・(501)
しかし、ここでは原理をより理解しやすく説明するために磁気抵抗Rの逆数であるパーミアンスPを用いて説明する。パーミアンスPを用いると、上式(501)は次の式(502)ように表せる。
Φ=V×P ・・・(502)
更に、このパーミアンスPは、磁路の長さをBと、磁路の断面積をSと、磁路の透磁率をμと、すると下記の式(503)のように表せる。
P=μ×S/B・・・(503)
で表される。パーミアンスPは、断面積S及び透磁率μに比例し、磁路の長さBに反比例する。
図10の(a)は、導電層1aの内側に、半径a1[m]、長さB[m]、比透磁率μ1の磁性コア2に、コイル3を螺旋軸が導電層1aの母線方向と略平行になるようにN[回]巻いたものを表した図である。ここで、導電層1aは、長さB[m]、内径a2[m]、外径a3[m]、比透磁率μ2の導体である。導電層1aの内側及び外側の真空の透磁率をμ0[H/m]とする。コイル3に電流I[A]を流したときに、磁性コア2の単位長さ当たりに発生する磁束8をφc(x)とする。
図10の(b)は、磁性コア2の長手方向に垂直な断面図である。図中の矢印は、コイル3に電流Iを流したときに、磁性コア2の内部、導電層1aの内側、導電層1aの外側を通る磁性コア2の長手方向に平行な磁束を表している。磁性コア2の内部を通る磁束をφc(=φc(x))、導電層1aの内側(導電層1aと磁性コア2の間の領域)を通る磁束をφa_in、導電層1aそのものを通る磁束をφs、導電層1aの外側を通る磁束をφa_outとする。
図11の(a)に、図9の(a)に示した単位長さ当たりのコア2、コイル3、導電層1aを含む空間の磁気等価回路を示す。磁性コア2を通る磁束φcにより生じる起磁力をVm、磁性コア2のパーミアンスをPc、導電層1aの内側のパーミアンスをPa_in、導電層1aそのものの内部のパーミアンスをPs、導電層1aの外側のパーミアンスをPa_outとする。
ここで、PcがPa_in及びPsに比べて十分に大きい時、磁性コア2の内部を通過して磁性コア2の一端から出た磁束は、φa_in、φs、φa_outの何れかを通過して磁性コア2の他端に戻ると考えられる。よって、以下の関係式(504)が成り立つ。
φc=φa_in+φs+φa_out ・・・(504)
また、φc、φa_in、φs、φa_outはそれぞれ以下の式(505)〜(508)で表される。
φc=Pc×Vm ・・・(505)
φs=Ps×Vm ・・・(506)
φa_in=Pa_in×Vm ・・・(507)
φa_out=Pa_out・Vm ・・・(508)
よって、式(504)に(505)〜(508)を代入するとPa_outは次の式(509)示すように表される。
Pc×Vm=Pa_in×Vm+Ps×Vm+Pa_out×Vm
=(Pa_in+Ps+Pa_out)×Vm
∴Pa_out=Pc−Pa_in−Ps ・・・(509)
図10の(b)より、磁性コア2の断面積をSc、導電層1aの内側の断面積をSa_in、導電層1a自身の断面積をSs、とすると、は以下のように、「透磁率×断面積」で表すことができ、単位は[H・m]である。
Pc=μ1・Sc=μ1・π(a1)2 ・・・(510)
Pa_in=μ0・Sa_in=μ0・π・((a2)2−(a1)2
・・・(511)
Ps=μ2・Ss=μ2・π・((a3)2−(a2)2) ・・・(512)
これらの(510)〜(512)を式(509)に代入すると、Pa_outは式(513)で表せる。
Pa_out=Pc−Pa_in−Ps
=μ1・Sc−μ0・Sa_in−μ2・Ss
=π・μ1・(a1)2
−π・μ0・((a2)2−(a1)2
−π・μ2・((a3)2−(a2)2) ・・・(513)
上記の式(513)を使用することによって導電層1aの外側を通る磁力線の割合であるPa_out/Pcを計算することができる。
尚、パーミアンスPの代わりに磁気抵抗Rを用いても良い。磁気抵抗Rを用いて議論する場合、磁気抵抗Rは単純にパーミアンスPの逆数であるので、単位長さ当たりの磁気抵抗Rは「1/(透磁率×断面積)」で表すことができて、単位は「1/(H・m)」である。
以下、実施例の定着装置Aのパラメータを使用して具体的な計算した結果を表1に示す。
磁性コア2は、フェライト(比透磁率1800)で形成され、直径14[mm]であって、断面積は1.5×10-4[m2]である。スリーブガイド6は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)(比透磁率1.0)で形成され、断面積は1.0×10-4[m2]である。導電層1aは、アルミニウム(比透磁率1.0)で形成され、直径24[mm]、厚み20[μm]で断面積1.5×10-6[m2]である。
尚、導電層1aと磁性コア2の間の領域の断面積は、直径24[mm]の導電層1aの内側の中空部の断面積から磁性コア2の断面積とスリーブガイド6の断面積を差し引いて計算している。弾性層1b及び表層1cは、導電層1aより外側に設けられており、発熱に寄与しない。従って、パーミアンスを計算する磁気回路モデルにおいては導電層1aの外側の空気層であるとみなすことができるので計算に入れる必要はない。表1からPc、Pa_in、Psは、次のような値になる。
Pc=3.5×10-7[H・m]
Pa_in=1.3×10-10+2.5×10-10[H・m]
Ps=1.9×10-12[H・m]
これらの値を用いて、次の式(514)からPa_out/Pc計算することができる。
Pa_out/Pc=(Pc−Pa_in−Ps)/Pc=0.999(99.9%)
・・・(514)
尚、磁性コア2を長手方向で複数に分割し、分割した各磁性コア同士の間に空隙(ギャップ)を設ける場合もある。この場合、この空隙が空気又は比透磁率が1.0とみなせるものや磁性コアの比透磁率よりもずっと小さいもので満たされている場合、磁性コア2全体の磁気抵抗Rは大きくなり磁力線を誘導する機能が劣化することになる。
このような分割された磁性コア2のパーミアンスの計算方法は複雑になる。以下に、磁性コアを複数分割し、空隙またはシート状非磁性体を挟んで等間隔に並べた場合の磁性コア全体のパーミアンスの計算方法について説明する。この場合長手全体の磁気抵抗を導出し、それを全体長さで割って単位長さ当たりの磁気抵抗を求め、その逆数を取って単位長さ当たりのパーミアンスを求める必要がある。
まず、磁性コアの長手方向の構成図を図12に示す。磁性コアc1〜c10は、断面積Sc、透磁率μc、分割された磁性コア1個当たりの幅Lcとし、ギャップg1〜g9は、断面積Sg、透磁率μg、1ギャップ当たりの幅Lgとする。この磁性コアの長手方向における全体の磁気抵抗Rm_allは、以下の式(515)で与えられる。
Rm_all=(Rm_c1+Rm_c2+・・・・・+Rm_c10)+
(Rm_g1+Rm_g2+・・・・・+Rm_g9)
・・・(515)
本構成の場合は、磁性コアの形状と材質、ギャップ幅は一様であるので、Rm_cの足し合わせた合計をΣRm_c、Rm_gの足し合わせた合計をΣRm_gとすると、次の式(516)〜(518)のように表せる。
Rm_all=(ΣRm_c)+(ΣRm_g) ・・・(516)
Rm_c=Lc/(μc・Sc) ・・・(517)
Rm_g=Lg/(μg・Sg) ・・・(518)
式(516)に式(517)及び式(518)を代入して、長手全体の磁気抵抗Rm_allは次の式(519)のように表せる。
Rm_all=(ΣRm_c)+(ΣRm_g)
=(Lc/(μc・Sc))×10+(Lg/(μg・Sg))×9
・・・(519)
ここで、単位長さ当たりの磁気抵抗Rmは、Lcの足し合わせた合計をΣLc、Lgの足し合わせた合計をΣLgとすると次の式(520)となる。
Rm=Rm_all/(ΣLc+ΣLg)
=Rm_all/(L×10+Lg×9) ・・・(520)
以上から、単位長さあたりのパーミアンスPmは、以下の式(521)ように求められる。
Pm=1/Rm=(ΣLc+ΣLg)/Rm_all
=(ΣLc+ΣLg)/[{ΣLc/(μc+Sc)}+
{ΣLg/(μg+Sg)}] ・・・(521)
ギャップLgを大きくすることは、磁性コア2の磁気抵抗の増加(パーミアンスの低下)につながる。本実施例の定着装置Aを構成する上で、発熱原理上、磁性コア2の磁気抵抗が小さく(パーミアンスが大きく)なるように設計することが望ましいため、ギャップを設けることはあまり望ましくない。しかし、磁性コア2の破損防止のために磁性コア2を複数に分割してギャップを設ける場合がある。
以上述べたことから、外側ルートを通る磁力線の割合をパーミアンスもしくは磁気抵抗を使って表すことができることを示した。
(2−4)定着装置に必要な電力の変換効率
次に、本実施例の定着装置で必要な電力の変換効率について述べる。例えば、電力の変換効率が80%である場合、残り20%の電力は導電層1a以外のコイル3やコア2等で熱エネルギーに変換されて消費される。電力の変換効率が低い場合は、磁性コア2やコイル3等の発熱すべきでないものが発熱し、それらを冷却するための対策を講じる必要性がある場合がある。
ところで、本実施例において、導電層1aを発熱させる時は、励磁コイル3に高周波の交流電流を流し、交番磁界を形成する。その交番磁界は導電層1aに電流を誘導する。物理モデルとしては、トランスの磁気結合と良く似ている。そのため、電力の変換効率を考える際には、トランスの磁気結合の等価回路を用いることができる。その交番磁界によって励磁コイル3と導電層1aが磁気結合して、励磁コイル3に投入した電力が導電に伝達される。
ここで述べる「電力の変換効率」は、磁界発生手段である励磁コイル3に投入する電力と、導電層1aにより消費される電力の比率である。本実施例の場合、励磁コイル3に対して高周波コンバータに投入した電力と、導電層1aで消費される電力の比率である。この電力の変換効率は以下の式(522)で表すことができる。
電力の変換効率=導電層で消費される電力/励磁コイルに供給した電力
・・・(522)
励磁コイルに供給して導電層以外で消費される電力は、前励磁コイルの抵抗による損失、磁性コア材料の磁気特性による損失などがある。
図13に回路の効率に関する説明図を示す。図13の(a)において、1aは導電層、2は磁性コア、3は励磁コイルである。(b)は等価回路を示す。R1は励磁コイル3および磁性コア2の損失分、L1は磁性コア2に周回した励磁コイル3のインダクタンス、Mは巻き線と導電層1aとの相互インダクタンス、L2は導電層1aのインダクタンス、R2は導電層1aの抵抗である。
導電層1aを装着していない時の等価回路を図14の(a)に示す。インピーダンスアナライザやLCRメータといった装置により、励磁コイル3の両端からの直列等価抵抗はR1、等価インダクタンスL1を測定すると、励磁コイル3の両端から見たインピーダンスZAは式(523)のように表せる。
A=R1+jωL1 ・・・(523)
この回路に流れる電流は、R1により損失する。即ち、R1はコイル及び磁性コアによる損失を表している。
導電層1aを装着した時の等価回路を図14の(b)に示す。この導電層1aの装着時の直列等価抵抗Rx及びLxを測定しておけば、図14の(c)のように等価変換することで、関係式(524)を得ることが出来る。Mは励磁コイルと導電層の相互インダクタンスを表す。図14の(c)に示すように、R1に流れる電流をI1、R2に流れる電流をI2とおくと式(527)が成り立つ。式(527)から式(528)を導出できる。効率(電力の変換効率)は、抵抗R2の消費電力/(抵抗R1の消費電力+抵抗R2の消費電力)で表されるから式(529)のように表せる。
導電層の装着前の直列等価抵抗R1と、装着後の直列等価抵抗Rxを測定すると、励磁コイルに供給した電力のうち、どれだけの電力が導電層で消費されるかを示す電力の変換効率を求めることが出来る。尚、本実施例においては、電力の変換効率の測定には、AgilentTechnologies社製のインピーダンスアナライザ4294Aを用いた。
まず、定着スリーブ1の無い状態において巻線両端からの直列等価抵抗R1を測定し、次に定着スリーブ1に磁性コア2を挿入した状態において巻線両端からの直列等価抵抗Rxを測定した。R1=103mΩ、Rx=2.2Ωとなり、この時電力の変換効率は式(529)により、95.3%と求めることが出来る。以後この電力の変換効率を用いて、定着装置の性能を評価する。
ここで、定着装置Aで必要な電力の変換効率を求める。導電層1aの外側ルートを通る磁束の割合を振って電力の変換効率を評価する。図15は、電力の変換効率の測定実験に用いる実験装置を表した図である。金属シート1Sは、幅230mm、長さ600mm、厚み20μmのアルミニウム製のシートである。この金属シート1Sを磁性コア2とコイル3とを囲むように円筒状に丸めて、太線1ST部分において導通することによって導電層とする。
磁性コア2は、比透磁率が1800、飽和磁束密度が500mTのフェライトであり、断面積26mm2、長さ230mmの円柱形状をしている。磁性コア2を不図示の固定手段でアルミニウムシート1Sの円筒のほぼ中央に配置する。磁性コア2にはコイル3が巻数25回で螺旋状に巻かれている。金属シート1Sの端部を矢印1SZ方向に引くと、導電層の直径1SDを18〜191mmの範囲で調整することができる。
図16は、導電層の外側ルートを通過する磁束の比率[%]を横軸にとり、21kHzの周波数における電力の変換効率を縦軸にとったグラフである。図16のグラフ中のプロットP1以降に電力の変換効率が急上昇して70%を超えており、矢印で示すレンジR1では電力の変換効率が70%以上を維持している。P3付近において電力の変換効率は再度急上昇し、レンジR2において80%以上となっている。P4以降のレンジR3においては電力の変換効率が94%以上と高い値で安定している。この、電力の変換効率が急上昇し始めたことは導電層に効率的に周回電流が流れ始めたためである。
下記の表2は、図16のP1〜P4に該当する構成を、実際に定着装置として設計し、評価した結果である。
(定着装置P1)
本構成は、磁性コアの断面積が26.5mm2(5.75mm×4.5mm)で、導電層の直径が143.2mmであり、外側ルートを通る磁束の割合は64%である。この装置のインピーダンスアナライザによって求めた電力の変換効率は54.4%であった。電力の変換効率は定着装置に投入した電力のうち、導電層の発熱に寄与した分を示すパラメータである。従って、最大1000W出力可能な定着装置として設計しても約450Wが損失となり、その損失はコイル及び磁性コアの発熱となる。
本構成の場合、立ち上げ時、数秒間1000Wを投入しただけでもコイル温度は200℃を超える場合がある。コイルの絶縁体の耐熱温度が200℃後半であること、フェライトの磁性コアのキュリー点は通常200℃〜250℃程度であることを考えると、損失45%では励磁コイル等の部材を耐熱温度以下に保つことは難しくなる。また、磁性コアの温度がキュリー点を超えるとコイルのインダクタンスが急激に低下し、負荷変動となる。
定着装置に供給した電力の約45%が導電層の発熱に使用されないので、導電層に900W(1000Wの90%を想定)の電力を供給するためには約1636Wの電力供給する必要がある。これは100V入力時、16.36Aを消費する電源という事になる。商用交流のアタッチメントプラグから投入できる許容電流をオーバーする可能性がある。よって、電力の変換効率54.4%の定着装置P1は、定着装置に供給する電力が不足する可能性がある。
(定着装置P2)
本構成は、磁性コアの断面積はP1と同じで、導電層の直径が127.3mmであり、外側ルートを通る磁束の割合は71.2%である。この装置のインピーダンスアナライザによって求めた電力の変換効率は70.8%である。定着装置のスペックによっては、コイル及びコアの昇温が課題になる場合がある。本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置にすると、導電層の回転速度は330mm/secとなり、導電層の温度を180℃に維持する必要がある。導電層の温度を180℃に維持しようとすると、磁性コアの温度は20秒間で240℃を超える場合がある。
磁性コアとして用いるフェライトのキュリー温度は通常200℃〜250℃程度であるから、フェライトがキュリー温度を超えて磁性コアの透磁率は急激に減少し、磁性コアで磁力線を適切に誘導することができなくなる場合がある。その結果、周回電流を誘導して導電層を発熱させることが難しくなる場合がある。
従って、外側ルートを通過する磁束の割合がレンジR1の定着装置を、前述した高スペックの装置にすると、フェライトコアの温度を下げるために冷却手段を設けることが望ましい。冷却手段としては、空冷ファン、水冷、放熱板、放熱フィン、ヒートパイプ、または、ベルチェ素子などを用いることができる。もちろん、本構成においてそこまでの高スペックを要求しない場合は、冷却手段は不要である。
(定着装置P3)
本構成は、磁性コアの断面積はP1と同じであり、導電層の直径が63.7mmの場合である。この装置のインピーダンスアナライザによって求められる電力の変換効率は83.9%である。磁性コア及びコイル等に定常的に熱量が発生するものの、冷却手段が必要なレベルではない。
本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置にすると導電層の回転速度は330mm/secとなり導電層の表面温度を180℃に維持する場合があるものの、磁性コア(フェライト)の温度は220℃以上に上昇することはない。従って、本構成において、定着装置を前述した高スペックする場合は、キュリー温度が220℃以上のフェライトを用いることが望ましい。
以上述べたことから、外側ルートを通る磁束の割合がレンジR2の構成の定着装置は、高スペックで使用する場合は、フェライト等の耐熱設計を最適化することが望ましい。一方、定着装置として高スペックを要求しない場合は、このような耐熱設計は不要である。
(定着装置P4)
本構成は、磁性コアの断面積がP1と同じであり、円筒体の直径が47.7mmの場合である。この装置でインピーダンスアナライザによって求められる電力の変換効率は94.7%である。本構成の定着装置を60枚/分の印字動作ができる高スペックな装置(導電層の回転速度は330mm/sec)で導電層の表面温度を180℃に維持する場合であっても、励磁コイルやコイル等は、180℃以上に達することはない。従って、磁性コアやコイル等を冷却する冷却手段及び特別な耐熱設計は不要である。
以上述べたことから、外側ルートを通過する磁束の割合が94.7%以上であるレンジR3は、電力の変換効率が94.7%以上となり電力の変換効率が十分高い。よって、更なる高スペックの定着装置として用いても、冷却手段は不要である。
また、電力の変換効率が高い値で安定しているレンジR3においては、導電層と磁性コアの位置関係の変動によって導電層の内側を通過する単位時間当たりの磁束の量が若干変動しても、電力の変換効率が変動量は小さく導電層の発熱量が安定する。可撓性を有するフィルムのように、導電層と磁性コアとの距離が変動しやすい定着装置において、この電力の変換効率が高い値で安定している領域R3を用いることは、大きなメリットがある。
以上述べたことから、本実施例の定着装置は少なくとも必要な電力の変換効率を満たすために外側ルートを通過する磁束の割合が72%以上である必要があることがわかる。表2の数値は71.2%以上であるが測定誤差等を考慮して72%とする。
(2−5)装置が満たすべきパーミアンス又は磁気抵抗の関係式
導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が72%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの28%以下であることと等価である。従って、本実施例の特徴的な構成の一つは、磁性コアのパーミアンスをPc、導電層の内側のパーミアンスをPa、導電層のパーミアンスPsとした時に、次の式(529)を満足することである。
0.28×Pc≧Ps+Pa ・・・(529)
また、パーミアンスの関係式を磁気抵抗に置き換えて表現すると下記の式(530)になる。ただし、RsとRaの合成磁気抵抗Rsaは以下の式(531)ように計算する。
Rc:磁性コアの磁気抵抗
Rs:導電層の磁気抵抗
Ra:導電層と磁性コアとの間の領域の磁気抵抗
Rsa:RsとRaの合成磁気抵抗
上記のパーミアンスもしくは磁気抵抗の関係式を、定着装置の記録材の最大搬送領域全域で、円筒形回転体の母線方向に直交する方向の断面において満足することが望ましい。
同様に、本実施例のレンジR2の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が92%以上である(表200の数値は91.7%以上であるが測定誤差等を考慮して92%とする)。導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が92%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの8%以下であることと等価である。パーミアンスの関係式は以下の式(532)になる。
0.08×Pc≧Ps+Pa ・・・(532)
上記のパーミアンスの関係式を磁気抵抗の関係式に変換すると以下の式(533)ようになる。
更に、本実施例のレンジR3の定着装置は導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が95%以上である。表2から正確には71.2%以上であるが測定誤差等を考慮して94.7%とする。パーミアンスの関係式は以下の(534)ようになる。導電層の外側ルートを通過する磁束の割合が95%以上であることは、導電層のパーミアンスと導電層の内側(導電層と磁性コアの間の領域)のパーミアンスとの和が磁性コアのパーミアンスの5%以下であることと等価である。パーミアンスの関係式は以下の式(534)になる。
0.05×Pc≧Ps+Pa ・・・(534)
上記のパーミアンスの関係式(534)を磁気抵抗の関係式に変換すると以下の式(535)になる。
ところで、定着装置の最大の画像領域内の部材等が長手方向で均一な断面構成を有している定着装置についてパーミアンス及び磁気抵抗の関係式を示した。ここでは、長手方向で定着装置を構成する部材が不均一な断面構成を有する定着装置について説明する。図17では、導電層の内側(磁性コアと導電層の間の領域)に温度検知部材240を有している。その他の構成は実施例1と同様で、定着装置Aは、導電層1aを有する定着スリーブ1と、磁性コア2と、スリーブガイド部材6(バックアップ部材)と、を備える。
磁性コア2の長手方向をX軸方向とすると、最大画像形成領域はX軸上の0〜Lpの範囲である。例えば、記録材の最大搬送領域をLTRサイズ215.9mmとする画像形成装置の場合、Lp=215.9mmとすれば良い。温度検知部材240は、比透磁率1の非磁性体によって構成されており、X軸に垂直方向の断面積は5mm×5mmであり、X軸に平行方向の長さは10mmである。X軸上のL1(102.95mm)からL2(112.95mm)の位置にて配置されている。
ここで、X座標上0〜L1を領域1、温度検知部材240が存在するL1〜L2を領域2、L2〜LPを領域3と、呼ぶ。領域1における断面構造を図18のA)に、領域2における断面構造を図21の(B)に示す。図18のB)に示すように、温度検知部材240は定着スリーブ1に内包されているため、磁気抵抗計算の対象となる。
厳密に磁気抵抗計算を行うためには、領域1と、領域2と、領域3と、に対し、別々に「単位長さ当たりの磁気抵抗」を求め、各領域の長さに応じて積分計算を行い、それらを足し合わせて合成磁気抵抗を求める。まず、領域1または3における各部品の単位長さ当たりの磁気抵抗を、下記の表3に示す。
領域1における磁性コアの単位長さ当たりの磁気抵抗rc1は下記のようになる。
c1=2.9×106[1/(H・m)]
ここで、導電層と磁性コアとの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗raは、フィルムガイドrfの単位長さ当たりの磁気抵抗と導電層の内側の磁気抵抗rairの単位長さ当たりの磁気抵抗との合成磁気抵抗である。従って、下記の式(536)を用いて計算できる。
計算の結果、領域1における磁気抵抗ra1、及び、領域1における磁気抵抗rs1は下記のようになる。
a1=2.7×109[1/(H・m)]
s1=5.3×1011[1/(H・m)]
また、領域3は領域1と同じであるから下記のようになる。
c3=2.9×106[1/(H・m)]
a3=2.7×109[1/(H・m)]
s3=5.3×1011[1/(H・m)]
次に、領域2における各部品の単位長さ当たりの磁気抵抗を下記の表4に示す。
領域2の磁性コアの単位長さ当たりの磁気抵抗rc2は下記のようになる。
c2=2.9×106[1/(H・m)]
導電層と磁性コアの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗raは、フィルムガイドrfの単位長さ当たりの磁気抵抗と、サーミスタrtの単位長さ当たりの磁気抵抗と、導電層の内側の空気rairの単位長さ当たりの磁気抵抗と、の合成磁気抵抗である。従って下記の式(537)で計算できる。
計算の結果、領域2のおける単位長さ当たりの磁気抵抗ra2及び単位長さ当たりの磁気抵抗rc2は下記のようになる。
a2=2.7×109[1/(H・m)]
s2=5.3×1011[1/(H・m)]
領域3の計算方法は領域1と同じであるので省略する。
尚、導電層と磁性コアの間の領域の単位長さ当たりの磁気抵抗raにおいて、ra1=ra2=ra3となっている理由について説明する。領域2における磁気抵抗計算は、サーミスタ240の断面積が増加し、導電層の内側の空気の断面積が減少している。しかし両方とも比透磁率は1であるため、結局サーミスタ240の有無によらず磁気抵抗は同一となる。
すなわち、導電層と磁性コアの間の領域に非磁性体のみが配置されている場合には、磁気抵抗の計算は空気と同じ扱いをしても、計算上の精度としては十分である。なぜなら、非磁性体の場合、比透磁率は殆ど1に近い値になるからである。これとは逆に、磁性体(ニッケル、鉄、珪素鋼等)の場合は、磁性体ある領域をその他の領域と分けて計算した方が良い。
導電層の母線方向の合成磁気抵抗としての磁気抵抗R[A/Wb(1/H)]の積分は、各領域の磁気抵抗r1,r2,r3[1/(H・m)]に対して下記の式(538)ように計算できる。
従って、記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間におけるコアの磁気抵抗Rc[H]は下記の式(539)ように計算できる。
また、記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間における導電層と磁性コアとの間の領域の合成磁気抵抗Ra[H]は、下記の式(540)ように計算できる。
記録材の最大搬送領域の一端から他端までの区間における導電層の合成磁気抵抗Rs[H]は次の式(541)のようになる。
上記の計算を、それぞれの領域において行ったものを以下表5に示す。

上記表5から、Rc、Ra,Rsは下記のようになる。
Rc=6.2×108[1/H]
Ra=5.8×1011[1/H]
Rs=1.1×1014[1/H]
RsとRaの合成磁気抵抗Rsaは以下の式(542)で計算できる。
以上の計算から、Rsa=5.8×1011[1/H]となるので、下記の式(543)を満たしている。
このように、導電層の母線方向で不均一な横断面形状を有している定着装置の場合は、導電層の母線方向で複数の領域に分けて、その領域毎に磁気抵抗を計算し、最後にそれらを合成したパーミアンス又は磁気抵抗を計算すればよい。ただし、対象となる部材が非磁性体である場合は、透磁率がほぼ空気の透磁率と等しいため、空気とみなして計算して良い。
次に、上記計算に計上すべき部品について説明する。導電層と磁性コアとの間の領域にあり、少なくとも一部が記録材の最大搬送領域(0〜Lp)に入っている部品に関しては、パーミアンス又は磁気抵抗を計算することが望ましい。
逆に、導電層の外側に配置された部材は、パーミアンス又は磁気抵抗を計算する必要はない。なぜなら、前述したようにファラデーの法則において誘導起電力は回路を垂直に貫く磁束の時間変化に比例するものであり、導電層の外側の磁束とは無関係だからである。また、導電層の母線方向における記録材の最大搬送領域外に配置した部材は、導電層の発熱には影響しないため、計算する必要はない。
(3)プリンタ制御
図2に示すように定着装置Aの温度検知素子9、10、11は、記録材Pが定着装置Aに搬送されてくる上流側に配置する。長手方向は、図2の(b)に示すように中央および両端部の定着スリーブ対向位置に配設する。温度検知素子9、10、11は非接触型サーミスタなどによって構成される。これにより、定着スリーブ1は表面の温度が所定の目標温度に維持・調整される。
また、定着スリーブ1の端部付近に配設された温度検知素子10、11では、小サイズ記録材を連続プリントした時に記録材が通過しない、いわゆる非通紙域の昇温具合を検知することができる。
図3にはプリンタ制御部のブロック図も示してある。プリンタコントローラ(画像処理部)41は外部機器としてのホストコンピュータ42との間で通信と画像データの受信、及び受け取った画像データをプリンタが印字可能な情報に展開する(受信した画像データから画像形成用の画像信号を生成する)。また、プリンタコントローラ41はこの展開と共に、エンジン制御部43との間で信号のやり取り及びシリアル通信を行う。
エンジン制御部43はプリンタコントローラ41との間で信号のやり取りを行い、さらに、シリアル通信を介してプリンタエンジンの定着温度制御部44、電力制御部46、周波数制御部(周波数設定部)45の各ユニット44〜46の制御を行う。
定着温度制御部44は温度検知素子9、10、11によって検出された温度を基に定着装置Aの温調制御を行うと共に、定着装置Aの異常検出等を行う。周波数設定部としての周波数制御部45は高周波コンバータ16の駆動周波数の制御を行う。電力調整部としての電力制御部46は励磁コイル3に印加する電圧を調整して高周波コンバータ16の電力の制御を行う。本実施例の周波数制御部45の動作は、後述の(10)実施例1の駆動周波数制御、において更に詳しく説明する。
このプリンタ制御部を有するプリンタシステムにおいて、ホストコンピュータ42はプリンタコントローラ41に画像データを転送したり、ユーザからの要求に応じてプリンタコントローラ41に記録材サイズ等、様々なプリント条件を設定する。
(4)発熱原理詳細
図19の(a)は、励磁コイル3に矢印I1の向きに電流が増加している瞬間の磁界を示す図である。磁性コア2は、励磁コイル3にて生成された磁力線を内部に誘導し、磁路を形成する部材として機能する。そのため磁力線は、磁路に集中して通って、磁性コア2の端部において拡散し、外周の遥か遠くで繋がる形状となる。図の表記上は端部で途切れているものもある。ここでこの磁路を垂直に囲むように、長手幅の小さい円筒形状の回路61を設置させた。磁性コア内部には交番磁界(時間と共に大きさと方向が変化を繰り返す磁界)が形成される。
この回路61の周回方向には、ファラデーの法則に従って誘導起電力が発生する。ファラデーの法則とは、「回路61に生じる誘導起電力の大きさは、その回路61を垂直に貫く磁界の変化の割合に比例する」というものであり、誘導起電力は、以下の式(1)で表される。
V: 誘導起電力
N: コイル巻き数
ΔΦ/Δt: 微小時間Δtでの回路を垂直に貫く磁束の変化
発熱層1aは、この極短い円筒形の回路61が長手方向に多数つながったものと考えることが出来る。従って、図19の(b)のようになり、励磁コイル3にI1を流すと、磁性コア2内部には交番磁界が形成され、発熱層1aには長手全体に周回方向の誘導起電力がかかり、長手全域に点線で示す周回電流I2が流れる。
発熱層1aは電気抵抗を有するので、この周回電流I2が流れることによりジュール発熱する。磁性コア内部に交番磁界が形成され続ける限り、周回電流I2は向きを変えながら形成され続ける。これが本発明の構成における、発熱層1aの発熱原理である。なお、I1を50kHzの高周波交流にした場合、周回電流I2も50kHzの高周波交流となる。
図19の(b)において説明したように、I1は励磁コイル内を流れる電流の向きを示し、これによって形成された交番磁界を打ち消す方向に、1aの周方向全域に点線矢印I2方向に誘導電流が流れる。この電流I2を誘導する物理モデルは、図20の(a)に示すように、実線で示す1次コイル81と点線で示す2次コイル82を巻いた形状の同心軸トランスの磁気結合と等価である。
2次巻き線82は回路を形成しており、抵抗83を有している。高周波コンバータ16から発生した交番電圧により、1次巻き線81に高周波電流が発生し、その結果2次巻き線82に誘導起電力がかかり、抵抗83によって熱として消費される。ここで2次巻き線82と抵抗83は、発熱層1aにおいて発生するジュール熱をモデル化している。
図20の(a)に示すモデル図の等価回路を図20の(b)に示す。L1は図20の(a)中1次巻き線81のインダクタンス、L2は図20の(a)中2次巻き線82のインダクタンス、Mは1次巻き線81と2次巻き線82の相互インダクタンス、Rは抵抗83である。図20の(b)における(1)の回路図は(2)に等価変換することが出来る。
より単純化したモデルを考えるために、相互インダクタンスMが十分大きく、L1≒L2≒Mとであるとする。その場合(L1−M)と(L2−M)は十分小さくなる。そのため、図20の(b)における(1)の回路は(2)から(3)のように近似することが出来る。
以上、図19の(b)に示す構成に対し、近似した等価回路として図20の(b)における(3)と置き換えて考える。またここで、抵抗について説明する。図20の(b)における(1)の状態において2次側のインピーダンスは、発熱層1aの周回方向の電気抵抗Rとなる。トランスにおいて、2次側のインピーダンスは、1次側から見るとN2(Nはトランスの巻き数比)倍の等価抵抗R’となる。
ここでトランスの巻き数比Nは、1次側巻き線の巻き数=発熱層1aの中での励磁コイルの巻き数(本実施例では18回)に対し、発熱層1aを巻き数1回とみなし、トランスの巻き数比N=18と考えることが出来る。よってR’=N2R=182Rと考えることが出来、巻き数が多い程図20の(b)における(3)に示す等価抵抗Rは大きくなる。
図20の(c)における(2)は合成インピーダンスXを定義し、更に単純化したものである。合成インピーダンスXを求めると、以下の式(2)のようになる。
これによれば、合成インピーダンスXは(1/ωM)^2の項に周波数依存性を有する。これは、抵抗R’とともにインダクタンスMも合成インピーダンスに寄与することを意味し、また、インピーダンスの次元は[Ω]であるので、負荷抵抗が周波数依存性を持つことを意味する。
この合成インピーダンスXが周波数によって変化する現象を、回路の動作を理解するために定性的に説明する。周波数が低い場合、回路は直列回路に似た応答をする。つまりインダクタンスは短絡に近くなり、インダクタンス側に電流が流れる。逆に周波数が高い場合、インダクタンスは開放に近くなり、抵抗R側に電流が流れる。
その結果、合成インピーダンスXは、周波数が低い時は小さく、周波数が高い時は大きくなるといった振る舞いを見せる。20kHz以上の高周波を用いた場合、合成インピーダンスXの周波数ω依存性が大きい。従って、20kHzを超える高周波の場合、合成インピーダンスにおいてインダクタンスMの項の影響が無視できなくなってくる。
この単純化した等価回路は、後の説明で使用する。
(5)磁性コア端部付近において発熱量が低下する理由
ここで本実施例の定着装置における「磁性コアの端部付近において発熱量が低下し、長手方向に発熱ムラが発生する現象」について詳細を説明する。図21の(a)に示すように、磁性コア2は磁極NP,SPを持つ直線状の開磁路を形成している。更に、説明を簡略化するため、図3〜図4に示した本実施例の励磁コイルの巻き方とは異なり、開磁路端部と中央部において等間隔となるように、コイルを巻いた場合を考える。
具体的には、長手寸法240mmの磁性コア2に対し、励磁コイル3は18回巻きつけており、その巻き間隔は全域において等間隔の13mmとなっている。本構成は開磁路を採用したことにより小型化を実現できるものの、図21の(b)に示すように磁性コアの端部付近において発熱量が低下し、長手方向に発熱ムラが発生するという現象が発生する。そもそも長手方向に発熱ムラが発生する理由は、磁性コア2によって開磁路を形成していることと大きく関与しており、具体的には、
5−1)磁性コア端部において見かけの透磁率が小さくなる事
5−2)磁性コア端部において合成インピーダンスが小さくなる事
の2つが寄与している。以下、5−1)と5−2)に分けて詳細を説明する。
5−1)磁性コア端部において見かけの透磁率が小さくなること
図22のグラフは、磁性コア2の両端部において、「見かけの透磁率μ」が中央部よりも低くなってしまう現象のイメージ図である。この現象が発生する理由を下記に詳述する。一様な磁界H中において、物体の磁化が外部磁場にほぼ比例するような磁場領域においては、空間の磁束密度Bは、以下の式(3)に従う。
B=μH ・・・(3)
即ち、磁界H中に透磁率μの高い物質を置くと、理想的には透磁率の高さに比例した高さの磁束密度Bを作ることが出来る。本発明ではこの磁束密度の高い空間を、「磁路」として活用する。特に、磁路を作る際磁路そのものをループで繋げて作る閉磁路と、開放端にするなどして磁路を断絶させる開磁路があるが、本発明では開磁路を用いることに特徴がある。
図23は、一様な磁界H中に、フェライト201、空気202を配置した場合の磁束の形状を表している。フェライトは、空気に対し、磁力線と垂直な境界面NP⊥、SP⊥を有する開磁路を有している。磁界Hを磁性コアの長手方向に平行に発生させた場合、磁力線は図23に示すように、空気中では密度が薄く、磁性コアの中央部201Cでは密度が高くなる。更に、磁性コアの中央部201Cに比べ、磁束密度が端部201Eにおいては低くなっている。
このように端部で小さくなる理由は、空気とフェライトの境界条件にある。磁力線と垂直な境界面NP⊥、SP⊥において磁束密度は連続となるため境界面付近においてはフェライトと接している空気部分は磁束密度が高くなり、空気と接しているフェライト端部201Eは、磁束密度が低くなる。これによって、フェライト端部201Eでの磁束密度が小さくなる。本現象は、磁束密度が小さくなることによって、あたかも端部の透磁率が低くなっているかのように見えるため、本発明においては「磁性コア端部において見かけの透磁率が小さくなる」と表現する。
この現象は、インピーダンスアナライザを用いて間接的に検証する事が出来る。図24において、磁性コア2に対し、直径30mmのコイル141(コイルはN=5回巻)を通し、矢印方向にスキャンする。この時、コイルの両端をインピーダンスアナライザに接続し、コイル両端からの等価インダクタンスL(周波数は50kHz)を測定すると、グラフに示す山形の分布形状となる。等価インダクタンスLは端部においては、中央の半分以下に減衰している。Lは以下の式(4)に従う。
L=μN2S/l ・・・(4)
ここで、μは磁性コアの透磁率、Nはコイルの巻き数、lはコイルの長さ、Sはコイルの断面積である。コイル141の形状は変化していないので、本実験においてはS,N,lは変化していない。従って、等価インダクタンスLが山形の分布となる原因は、「磁性コア端部において見かけの透磁率が小さくなっている」ことが原因である。
以上纏めると、磁性コアを「開磁路に形成する事」によって、「磁性コア端部において見かけの透磁率が小さくなる」という現象が現れる。
なお、閉磁路であった場合や、磁性コアが複数分断している場合には、本現象は起こらない。例えば、図25に示すような閉磁路の場合について説明する。励磁コイル151及び発熱層152より外側において、磁性コア153はループを形成しており、閉磁路となる。この場合、先の開磁路の事例とは異なり、磁力線は閉磁路の中だけを通るため「磁力線と垂直な境界面(図23に示す磁力線と垂直な境界面NP⊥、SP⊥)」を一切有さない。従って磁性コア153の内部全体(磁路の全周)において一様の磁束密度を形成する事が出来る。
5−2)磁性コア端部において合成インピーダンスが小さくなる事
本構成は、見かけの透磁率において、長手方向に分布を有している。これらを簡単なモデルで説明するため、図26の構成を用いて説明する。図26の(a)は、図21の(a)に示した構成に対し、磁性コアと発熱層を長手方向に3分割したものである。発熱層は、図26の(a)に示すように、同一形状、同一物性の173e、173cがそれぞれ配置されており、長手の寸法はそれぞれ80mmであり、173eの周回方向の抵抗値をRe、173cの周回方向の抵抗値をRcとする。
周回抵抗とは、円筒の周回方向に電流経路を取った場合の抵抗値を示す。その時周回抵抗はRe=Rc(=R)で同じ値になっている。励磁コアは端部171e(透磁率μe)、中央部171c(透磁率μc)に分かれており、長手の寸法はそれぞれ80mmである。各コアの透磁率は端部μe<中央部μcの関係となっており、極力単純な物理モデルで考えるため、171e、171cの内部における個々の見かけの透磁率の変化は考えないものとする。
巻線は、図26の(b)に示すように励磁コア171eと励磁コア171cにそれぞれ励磁コイル172eと励磁コイル172cがNe=6回巻いてあり、それぞれ直列につながっている。また、端部と中央部での励磁コアの相互作用は十分少なく、各回路は図27の(a)に示すように、3つに枝分かれした回路でモデル化出来るものとする。励磁コアの透磁率はμe<μcの関係になっているので、相互インダクタンスの関係もMe<Mcとなっている。更に簡略化したモデルを図27の(b)に示す。
各回路の1次側から見た等価抵抗を見ると、端部ではR'=62R、中央部ではR'=62Rとなる。よって、合成インピーダンスXeとXcを求めると、それぞれ下記式(5)(6)となっている。
RとLの並列回路部分を、合成インピーダンスXに置き換えると、図27の(c)のようになる。XeとXcの周波数依存性は、相互インダクタンスの関係がMe<Mcとなっていることより、図28の(a)に示すグラフのように全周波数領域でXe<Xcとなる。周波数を極限まで上げるとXeとXcは近づいていくものの、定着装置として用いることのできる周波数帯は限られている。
励磁コイルに供給する電力の周波数は、電波法施行規則に基づく画像形成装置に係る型式指定を受けるための技術的要件より、20.05kHz〜100kHzの範囲を使用することが出来る。従って使用可能な周波数の範囲内では、常にXe<Xcとなる。高周波コンバータから交流電圧をかけた場合、図27の(c)に示すXeとXcの直列回路においては発熱量の大小関係はXeとXcの大小関係によって決まるため、図28の(b)に示すように使用可能な周波数の範囲内ではQe<Qcとなる。
よって、励磁コイルに20.05kHz〜100kHzの交流電流を流すと、図29のh1に示すように、端部の発熱量が小さく、中央の発熱量が大きい山形の分布形状となる。本モデルは現象を簡略化して説明するために長手方向に3分割したが、図21の(a)に示す実際の構成においては、見かけの透磁率の変化が連続的に起こっている。また、長手方向におけるインダクタンスの相互作用等を考えられるため、複雑な回路になる。しかし、本現象の骨子「磁性コア端部付近において発熱量が低下する理由」については説明できている。
(6)長手発熱量のコントロール部分
続いて、本実施例で図3〜図4に示したように、磁性コア端部のコイル巻き数を増加させた理由について説明する。
コイル巻き数を磁性コア端部で密、中央で疎にしている事によって端部と中央部において、インダクタンスと抵抗のバランスを変えることが出来る。先に説明した磁性コアと発熱層を長手方向に3分割したモデルで説明する。
図26の(a)のモデルに対して、図30の(a)は、本実施例の構成のように巻線は、(b)に示すように励磁コア171eには励磁コイル172eがNe=7回巻いてあり、励磁コア171cにはコイル172cがNc=4回巻いてある。その他は図26の(a)のモデルと同一である。簡略化したモデル図を図31の(a)に示す。各回路の1次側から見た等価抵抗を見ると、端部ではR'=72R、中央部ではR'=42Rとなる。よって、合成インピーダンスXeとXcを求めると、それぞれ下記式(5)(6)となっている。
RとLの並列回路部分を、合成インピーダンスXに置き換えると、図31の(b)のようになる。XeとXcの周波数依存性は、R’の値が異なる事により、図28の(a)に示すグラフとは異なり、使用可能な周波数範囲内で適切な周波数を選択することでXe=Xcとすることが出来る。これは、XeのR’の項が大きくなったことに起因する。Xe=Xcとなる周波数をfとする。高周波コンバータから交流電圧をかけた場合、図32に示すように駆動周波数fにおいてQe=Qcとすることが出来る。また、駆動周波数fを小さくすればQe<Qcとすることが出来る。
以上の説明をまとめると、
6−1)コイル巻き数を磁性コア端部で密、磁性コア中央で疎にする
6−2)適切な駆動周波数を選択する
ことによって、端部と中央の発熱量をコントロールすることが出来る。
図4の(a)に示す本実施例の構成においては、図33に示すように、励磁コイルに駆動周波数f=50kHzの交流電流を流した場合、長手で均熱化した発熱が得られ、f=21kHzの交流電流を流した場合、端部の発熱量が少ない発熱分布が得られる。
言い換えれば、駆動周波数をf=21kHzから50kHzの間で変更することにより、長手の発熱分布をコントロールすることができる。なお、言うまでもなく、駆動周波数fの値は励磁コイルの巻き数比、磁性コアの形状、発熱層の周回抵抗によって変化しうる。
(7)定着装置の温度制御ならびに電力制御
定着装置Aの温度制御方法を、図3を用いて説明する。温度検知素子9、10、11は非接触型サーミスタなどによって構成され、定着スリーブ1の温度を検知する。温度検知素子9、10、11の信号は定着温度制御部44においてあらかじめ設定された目標温度と比較され、その比較結果から高周波コンバータ16に投入する電力が決定される。電力制御部46は上記設定された電力を高周波コンバータ16に投入する。なお、電力を投入する際、電力制御部46は、後述する理由により、投入電力量に上限を設けている。
以下、本実施例における具体的な電力制御方法を説明する。従来の電磁誘導方式の定着装置では、交流電流の駆動周波数を変更することによって投入電力量を調整する方法が一般的であった。共振回路を用いて誘導加熱を行う電磁誘導方式においては図34のグラフのように、駆動周波数により出力電力が変化する。例えば領域Aを選択した場合に出力電力は最大となり、領域B、Cと駆動周波数を高くするにつれ出力電力は低下する。
これは、駆動周波数が回路の共振周波数と一致するときに出力電力は最大となり、駆動周波数が共振周波数から遠ざかると出力電力が低下するという性質を利用したものである。すなわち、出力電力は変化させず、目標温度と温度検知素子9の温度差に応じて、駆動周波数を21kHz〜100kHzまで変化させることにより、出力電力を調整する方法である(特開2000−223253公報)。
しかし、本実施例において所望の長手発熱分布にコントロールすることは、駆動周波数を所望の値に調整することであり、言い換えれば、駆動周波数を変更することにより電力調整することは出来ない。
本実施例では、以下のように電力調整を実施する。定着スリーブ1が所望の長手発熱分布となるように、図3に示す周波数制御部(周波設定部)45において、駆動周波数を設定する。次にエンジン制御部43は、温度検知素子9における検知温度、プリンタコントローラから得られる記録材情報、画像情報、及びプリント枚数情報等を基に定着スリーブ1の目標温度を設定する。その後、定着温度制御部44において目標温度と温度検知素子9の検知温度を比較して出力電圧を決定する。
上記決定された電圧値に従い、電圧波形の振幅を電力制御部46で調整し、図35の(a)に示す波形として出力する。図35の(a)では例として最大電圧振幅(100%)と、50%の場合の電圧波形を示している。出力された電圧は高周波コンバータ16により所定の駆動周波数に変換され、励磁コイル3に印加される。
なお、別の方法として電圧のON・OFF時間の調整で制御しても良い。この場合、エンジン制御部43において出力電圧のON・OFF時間比が決定され、決定されたON・OFF比に応じて電力制御部から出力される。図35の(b)に出力100%と50%の波形を示す。ON・OFF比の制御は波数制御による方法でも、位相制御による方法でもどちらでもよい。出力された電圧は高周波コンバータ16により所定の駆動周波数に変換され、励磁コイル3に印加される。
これまで説明したような制御を用いることにより、励磁コイル3に所望の駆動周波数で交流電流を流すことができるため、所望の長手温度分布にコントロールした状態を維持しつつ投入電力量を調整することが出来る。
(8)記録材サイズに応じた基本周波数の設定
本実施例の画像形成装置においては、上記した長手方向の発熱量のコントロールを活用し、最大通紙可能幅よりも狭い記録材(以下、小サイズ紙と記す)を導入する際に、励磁コイルに流す交流電流の駆動周波数を積極的に制御する。
一般的に、加熱領域よりも幅の狭い小サイズ紙を連続通紙した場合、加熱回転体である定着スリーブ1の長手方向における記録材が通過しない領域(非通紙部)が過度に昇温する、非通紙部昇温(非通過部昇温)が発生する。非通紙部昇温が進行し続けた場合、定着装置を構成する部品が損傷することがある。
その対策としては、記録材の給送間隔を広げるか、あるいはプリント速度自体を遅くして、定着装置の温度を下げる制御を行って、非通通紙昇温を緩和する。しかしながら、これらの場合には、単位時間当たりに出力できる記録材の枚数(以下、通紙出力比率と記す。)を低下させてしまう。
通紙出力比率の低下を極力防止するため、本実施例の画像形成装置では、長手で均等な発熱分布となるf=50kHzから、定着装置として使用可能なほぼ下限のf=21kHzの間の周波数帯を全て使用範囲とする。この範囲において、高周波コンバータ16の駆動周波数を制御することによって定着スリーブ1の長手方向の温度分布を積極的に変化させる。この性質を利用して記録材の通紙幅が狭くなるに従って周波数制御部45は駆動周波数が低くなるように制御し、非通紙部昇温を抑える。
図4の(b)は、駆動周波数を変えた時の発熱層1aの長手発熱分布変化の説明図である。励磁コイルに供給する電力の駆動周波数を50kHz、44kHz,36kHz、21kHzと低くするに従って、長手方向端部の発熱量を低下させることが出来る。この性質を利用して記録材の通紙幅が狭くなるに従って駆動周波数が低くなるように制御し、非通紙部昇温を抑制する。
表1に本実施例における記録材サイズと基本駆動周波数の関係を示す。同様に図5の(a)にも記録材サイズと基本駆動周波数の関係を示す。また、以下の説明では、表6に示した記録材サイズに応じた駆動周波数を基本周波数と記す。
表6において各基本駆動周波数は定着スリーブ1の長手中央部の温度に対し定着スリーブ1の記録材幅方向端部位置の温度が−5%になる周波数を選んでいる。
本実施例ではユーザがホストコンピュータ42を介して指定した記録材のサイズ情報に応じて周波数制御部(周波数設定部)45が基本駆動周波数を変更する。また本実施例における記録材の搬送速度は250mm/sであり、各記録材のプリント紙間は、レターサイズで50mm、A4サイズで35mm、B5サイズで75mm、A5サイズで120mmに設定してある。どのサイズの場合も通紙出力比率は45枚/分である。
これまで、説明してきたように、本実施例の画像形成装置では、記録材の通紙幅が狭くなるに従って基本駆動周波数が低くなるように制御し、非通紙部昇温を抑制することができる。
(9)駆動周波数と投入可能電力の説明
しかしながら、駆動周波数を低く抑えた制御を行う場合、以下のような課題がある。図5の(b)は、本実施例の定着装置Aにおける、励磁コイル3に流す交流電流の駆動周波数と、投入可能な最大電力量を示すグラフである。図5の(b)に示すように、低い駆動周波数の場合ほど、投入可能な電力量が小さくなる。以下に、この理由を説明する。
励磁コイル3に交流電流を流すことにより磁性コア2内部に発生する磁束の密度が飽和磁束密度に達した場合、磁性コア2が磁気飽和し、励磁コイル3のインピーダンスが急激に低下してしまう。その結果、励磁コイル3に大電流が流れ、高周波コンバータ16が故障してしまう。そのため、磁性コア2内部に発生する磁束密度が飽和磁束密度未満となるように、磁束を制限する必要がある。
磁性コア2内部に発生する磁束密度Bは、式(600)に示すように、励磁コイル3に印加される電圧Vに比例し、流れる交流電流の駆動周波数fに反比例する。
B∝V/f ・・・(600)
そのため、電圧Vを一定のまま駆動周波数のみを低くした場合、磁束密度は大きくなってしまう。逆にいえば、低い駆動周波数fの場合に磁束密度Bを飽和磁束密度未満に抑えるためには、電圧Vを小さくするしかない。ここで、電圧Vは励磁コイル3への投入電力量Pと式(601)に示すような関係がある。式(601)において、Xは、励磁コイル3のインピーダンスである。
P=V2/X ・・・(601)
式(600)と式(601)から、低い駆動周波数fの場合に、磁束密度Bを飽和磁束密度未満に抑えるためには、投入電力量Pを小さくしなければならない。
本実施例の磁性コア2、励磁コイル3において、磁性コア2内部の磁束密度がちょうど飽和磁束密度となる場合の駆動周波数と電力の関係が図5の(b)である。
本実施例では、小サイズ紙を通紙する際、そのサイズが小さいほど低い駆動周波数で制御することは先に記載した。以下では、最も低い基本駆動周波数を使用するA5サイズの場合を例に説明する。本実施例では、表6に示すように、A5サイズの記録材を通紙する場合は基本駆動周波数としてf=21kHzとする。ここで、図5の(b)から、駆動周波数f=21kHzの場合の投入可能電力は約520Wであることが分かる。
一方で、本実施例の定着装置を用いて雰囲気温度23℃の環境で、A5サイズの、坪量80g/m2の記録材を45枚/分の通紙出力比率で連続通紙した場合の必要電力を表7に示す。
この必要電力の確認の際には、最大投入電力を大きくするために、B5サイズ用の基本周波数であるf=36kHzで検討を行った。
表7に示すように、必要な電力は、記録材上のトナー像によって異なり、例えば印字率が大きいほど必要電力は大きい。表7には、トナー画像がない場合(ベタ白)、印字率10%の画像、印字率50%の画像、印字率の100%の画像の場合の結果を示している。ここで、印字率とはトナー像が形成されているドット数/画像形成可能領域の全ドット数である。また、これらの画像は、上記の印字率で一様な画像である。
表7から、印字率10%の画像であれば、図5の(b)に示したA5サイズ用の駆動周波数f=21kHzの場合の最大投入可能電力520W未満で通紙が可能であることが分かる。しかしながら、印字率50%の画像の場合には、必要電力520Wであるため、最大投入電力と必要電力が同等である。印字率100%の画像の場合には、必要電力が550Wであり、最大投入可能電力をオーバーしてしまうことが分かる。実際には、最大投入電力を超えて電力投入した場合には高周波コンバータが故障してしまうため、電力を520Wに制限して制御を行うこととなる。
しかしながら、その場合には印字率100%の画像より濃度が大きい画像が通紙された場合には、本来必要な電力が投入できず、電力不足となるため、定着不良が発生してしまう。
また、表7では同じ画像が連続して通紙された場合の必要電力を示したが、例えば、印字率10%の画像と印字率100%の画像が交互に連続通紙される場合には、図6に示すように必要電力が大きく変化する。特に印字率100%の画像の記録材の先端が定着ニップに突入した際には、ピーク的に約800Wの電力が必要となる。このような場合に、低い駆動周波数で電力を制限した状態で通紙をした場合には、いうまでもなく、印字率100%の画像で定着不良が発生する。
(10)実施例1の駆動周波数制御
上記のような、A5サイズの基本周波数で制御した場合の定着不良を防止するため、A5サイズ通紙時の基本周波数を高くすることも考えられる。しかし、その場合には駆動周波数を記録材サイズによって変更することの本来の目的である、非通紙部昇温の抑制効果が著しく低下する。また、画像形成装置の使用方法として、常に印字率100%の画像のような画像がプリントされるわけではなく、印字率が低い画像ばかり通紙するユーザにとっては大きなデメリットとなる。
以上のことを考慮し、本実施例では、小サイズ紙の通紙時には、表6で示した紙サイズに応じた駆動周波数を基本駆動周波数(第1の周波数)とする。そして、記録材上のトナー量が大きいと判断される場合には、駆動周波数を一時的に高くし、最大投入可能電力を大きくする構成とする。
即ち、エンジン制御部43は、コイル3に流す交流の周波数として記録材の幅サイズに応じて設定された第1の周波数(基本駆動周波数)を記録材に形成された画像の印字率が所定の印字率よりも高いときは第1の周波数よりも高い周波数の第2の周波数に変更する。
以下に具体的に説明する。図3において、プリンタコントローラ41はホストコンピュータ42から画像データを受信すると、エンジン制御部43へプリント信号を送信するとともに、受信した画像データを画像形成のためのビットマップデータに変換する。画像処理手段を含むエンジン制御部43はこのビットマップデータ由来の画像信号に応じてレーザー光走査する。ここで本実施例の画像形成装置は、プリンタコントローラ41内でビットマップデータに変換された画像信号から印字情報を取得する。
印字情報とは記録材P上に坦持されるトナー量に相関性のあるデータのことであり、画像形成装置の特性に合わせて設定すれば良い。代表例としては、濃度情報や印字率である。カラーレーザープリンタにおいては複数色トナーの重なり情報でも良い。あるいは記録材上の印字可能範囲を任意の大きさのエリアに分割し、それぞれのエリアから少なくとも一つ以上の濃度情報の代表値を検出し、検出された記録材1ページ分の代表値の中での最大の代表値(特開2013−41118号公報)でも良い。本実施例の画像形成装置では一例として上述した印字率Dを用いている。
取得した印字率D情報はエンジン制御部43に送られる。エンジン制御部43中に含まれる電力量予測手段は、下記表8のようなテーブルを格納しており、このテーブルに基づいて予想される必要電力量を算出する。算出された必要電力量は、周波数設定部としての周波数制御部45に送られる。
周波数制御部45は図5の(b)で示した駆動周波数と最大投入可能電力テーブルを格納しており、このテーブルに基づいて必要電力量が投入可能な駆動周波数fを決定する。周波数制御部45はその決定した周波数fの交番電流を励磁コイル3に流すように高周波コンバータ18を制御する。
本実施例では、表8に示すように、印字率10%を所定の印字率とし、エンジン制御部43は、印字率10%以下の画像の場合には、駆動周波数f=21kHz(第1の周波数)の交流をコイル3に流す。
印字率が10%より高く50%以下の場合には、エンジン制御部43は、コイル3に流す交流を上記の21kHzよりも高い駆動周波数f=25kHz(第2の周波数)に変更する。
印字率が50%より高い場合には、エンジン制御部43は、コイル3に流す交流を上記の25kHzよりも更に高い駆動周波数f=27kHz(第3の周波数)に変更する。即ち、第2の周波数ではコアの上限磁束に達してしまうときには更に周波数が高い第3の周波数に変更する。
これらの場合分けに応じて、周波数制御部45は高周波コンバータ16の駆動周波数を設定し制御する。これとともに、電力制御部46は図8に従って、設定された駆動周波数に応じた最大投入可能電力を上限値として温度検知素子9の温度が一定となるように投入電力を制御する。
本実施例の画像形成装置は、これまで説明してきたように、小サイズ紙通紙時には、記録材上のトナー量(印字率)に応じて、必要電力が賄える範囲で駆動周波数を低く抑えた制御を行うことができる。そのため、非通紙部昇温を効果的に抑制するとともに、定着不良等の画像不良の発生のない構成とできる。
ここで、本実施例の制御を行った場合、定着不良は発生しないものの、常に紙サイズのみに応じた基本周波数で制御する場合に比べ、非通紙部昇温が進行する場合がある。例えば、印字率100%の画像のみが大量に連続通紙される場合である。このような場合には、常にf=27kHzで制御されるため、非通紙部昇温が進行する可能性がある。
そのため、本実施例の画像形成装置においても、従来のように、非通紙部昇温が所定値よりも大きくなった場合には、連続的に給送される記録材の定着装置への給送間隔を広げる制御を行う。非通紙部昇温が所定値より大きくなったかどうかは、温度検知素子10、11の温度で判断すればよく、その所定値は本実施例では220℃とした。この値は、定着装置を構成する部材の耐熱性等を考慮して設定すればよい。
また、基本駆動周波数よりも大きな駆動周波数での制御のもと通紙された記録材の枚数が所定枚数を超えた場合としても良い。
即ち、プリンタコントローラ41は、周波数設定部45が設定した周波数の交番電流を励磁コイル3に流している場合に定着装置が所定条件を満たした場合には画像形成装置に連続的に給送される記録材の給送間隔を広げる制御をする。そして、上記の所定条件とは、たとえば、定着スリーブ1の温度を検知する温度検知素子10、11の検知温度が所定の温度に達した場合である。
さらに、本実施例では、必要電力量を予測する手段として、記録材上のトナー像の印字情報を用いたが、これのみに限定されるものではない。画像形成装置に他のセンサ、例えば装置の内部もしくは外部の温湿度等の雰囲気環境を検知する環境センサ47(図1、図3)を設けた場合には、その検知結果を反映してもよい。即ち、電力量予測部43は上記の環境センサ47の検出結果に応じて定着動作に必要な電力量を予測する。
具体的には装置内温度や周囲の雰囲気温度が低いほど、また湿度が高いほど必要電力量が増加するため、駆動周波数を高めに設定すればよい。
即ち、エンジン制御部43は、コイルに流す交流の周波数として記録材の幅サイズに応じて設定された第1の周波数(基本駆動周波数)を環境センサ47で検知される温度が所定の温度よりも低いときは第1の周波数よりも高い周波数の第2の周波数に変更する。または環境センサ47で検知される湿度が所定の湿度よりも高いときは第1の周波数よりも高い周波数の第2の周波数に変更する。
また、エンジン制御部43は、第2の周波数ではコアの上限磁束に達してしまうときには更に周波数が高い第3の周波数に変更する。
また、通紙される記録材の情報を検出する記録材情報検出部48(図1、図3)を設けて、その検知結果を反映してもよい。即ち、電力量予測部43は上記の記録材情報検出部48の検出結果に応じて定着動作に必要な電力量を予測する。具体的には記録材のサイズが同じであっても、その坪量(記録材の単位面積あたりの重量)が大きいほど必要電力量は増加するため、記録材情報検出部48の検出結果が、坪量が大きいという結果であった場合には、駆動周波数を高めに設定しても良い。
記録材情報検出部48は、例えば、給紙カセット105から転写部位108Tに至るまでの記録材搬送路を搬送される記録材の厚みや坪量、その他の記録材情報を適宜の原理で検出してその検出情報をプリンタコントローラ41にフィードバックする。記録材情報はユーザがホストコンピュータ42を介してプリンタコントローラ41に入力することもできる。この場合はホストコンピュータ42とプリンタコントローラ41が記録材情報検出部である。
[実施例2]
本実施例2の画像形成装置は、実施例1の画像形成装置に対して、図7に示すように記録材Pの搬送方向Qへのエリア分割を行って、記録材P内での駆動周波数切替を行う。こうした制御を行うことにより、例えば図8に示す画像例のような、搬送方向Qへ印字率が大きく変化するような画像においても、記録材Pのエリア毎に駆動周波数を適切に設定することができる。
本実施例2では、図8のような画像が通紙される場合には、表8に従い、エリア1の部分が定着ニップNを通過中には、駆動周波数f=27kHzで制御する。エリア2の部分が定着ニップNを通過中にはf=25kHzで制御する。エリア3の部分が定着ニップNを通過中にはf=21kHzで制御する。
このように駆動周波数を制御することにより、記録材1ページ内でも、定着に必要な電力に応じて駆動周波数を設定することが可能である。そのため、必要以上に大きな駆動周波数で制御することによる非通紙部昇温の進行を効果的に防止できて、かつ電力不足による定着不良の発生のない構成とすることができる。
本実施例2では、画像を搬送方向に3分割する例を示したが、これに限られるものではなく、より細かくエリア分割してもよい。
[その他の事項]
(1)導電層1aを有する筒状の回転体1は、複数の張架部材間に懸回張設されて回転駆動される可撓性を有するエンドレスベルト形態のものにすることもできる。また、導電層1aを有する筒状の回転体1は、硬質の中空ローラあるいはパイプの形態のものにすることもできる。
(2)加熱回転体としての導電層1aを有する筒状の回転体1と定着ニップNを形成するニップ形成部材8は、回転体1が回転駆動されるものである場合には、回転体1の回転に従動してく回転する回転体にすることもできる。
また、回転体1が回転駆動されるものである場合には、ニップ形成部材8は回転体1および記録材Pよりも表面の摩擦係数が小さい、横長のパッド状部材などの非回転部材にすることもできる。定着ニップNに導入された記録材Pは裏面側(非画像形成面側)が非回転部材の形態のニップ形成部材の摩擦係数が小さい表面に対して摺動しながら、回転体1の回転搬送力で定着ニップNを挟持搬送されていく。
(3)画像形成装置において、記録材にトナー像を形成する画像形成部113は実施例の転写方式の電子写真画像形成部に限られない。例えば、記録材として感光紙を用いてこれにトナー像を直接方式で形成する電子写真画像形成部であってもよい。また、像担持体として静電記録誘電体や磁気記録磁性体を用いる転写方式の静電記録画像形成部や磁気記録画像形成部であってもよい。また、記録材として静電記録紙や磁気記録紙を用いてこれにトナー像を直接方式で形成する静電記録画像形成部や磁気記録画像形成部であってもよい。
100・・画像形成装置、A・・定着装置、1・・筒状の回転体(定着スリーブ)、1a・・導電層、2・・磁性コア、3・・励磁コイル、6・・加圧ローラ(ニップ形成部材)、N・・定着ニップ、P・・記録材、T・・トナー像、43・・電力量予測部、45・・周波数設定部

Claims (6)

  1. 導電層を有する筒状の回転体と、前記回転体の内部に配置され、螺旋軸が前記回転体の母線方向とほぼ平行である螺旋形状部を有し、前記導電層を電磁誘導発熱させる交番磁界を形成するためのコイルと、前記螺旋形状部の中に配置され、前記交番磁界の磁力線を誘導するためのコアと、を備え、前記回転体の熱により記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置において、
    前記コアは前記回転体の外部でループを形成しない形状であり、
    前記コイルに流す交流の周波数を制御するための制御部を有し、
    前記制御部は、前記コイルに流す交流の周波数として記録材の幅サイズに応じて設定された第1の周波数を記録材に形成された画像の印字率が所定の印字率よりも高いときは前記第1の周波数よりも高い周波数の第2の周波数に変更することを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記制御部は、前記第2の周波数では前記コアの上限磁束に達してしまうときには更に周波数が高い第3の周波数に変更することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記制御部は、記録材が連続的に給送される場合において、記録材の給送間隔を広げる制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の像加熱装置。
  4. 前記回転体と接触して前記記録材を搬送しながら前記画像を加熱加圧するニップ部を形成するニップ形成部材を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の像加熱装置。
  5. 前記回転体の内面に接触して前記ニップ形成部材と対向するバックアップ部材を有することを特徴とする請求項4に記載の像加熱装置。
  6. 記録材に加熱すべき画像を形成する画像形成部と、
    請求項1乃至5の何れか一項に記載の像加熱装置と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
JP2014214504A 2014-10-21 2014-10-21 像加熱装置及び画像形成装置 Active JP6504782B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014214504A JP6504782B2 (ja) 2014-10-21 2014-10-21 像加熱装置及び画像形成装置
US14/887,794 US9547264B2 (en) 2014-10-21 2015-10-20 Image heating apparatus having a controller for generating magnetic flux in a coil to generate heat

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014214504A JP6504782B2 (ja) 2014-10-21 2014-10-21 像加熱装置及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016080974A true JP2016080974A (ja) 2016-05-16
JP6504782B2 JP6504782B2 (ja) 2019-04-24

Family

ID=55748997

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014214504A Active JP6504782B2 (ja) 2014-10-21 2014-10-21 像加熱装置及び画像形成装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9547264B2 (ja)
JP (1) JP6504782B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020052233A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 キヤノン株式会社 画像加熱装置
JP2021012271A (ja) * 2019-07-05 2021-02-04 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10452012B2 (en) 2016-03-15 2019-10-22 Canon Kabushiki Kaisha Cylindrical fixing member, fixing device and image forming apparatus
DE202017103847U1 (de) * 2017-06-28 2017-07-21 Airbus Operations Gmbh System zur Führung eines Roboters durch eine Passagierflugzeugkabine
JP2020016843A (ja) 2018-07-27 2020-01-30 キヤノン株式会社 像加熱装置及び画像形成装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004163896A (ja) * 2002-09-25 2004-06-10 Canon Inc 画像形成装置及び定着装置
US20050063744A1 (en) * 2003-09-20 2005-03-24 Samsung Electronics Co., Ltd. Fusing device for image forming apparatus
JP2006293079A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Canon Inc 像加熱装置
JP2014194445A (ja) * 2013-03-28 2014-10-09 Brother Ind Ltd 画像形成装置および熱定着装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51120451A (en) 1975-04-15 1976-10-21 Stanley Electric Co Ltd Cylindrical heater
JP2000223253A (ja) 1999-01-29 2000-08-11 Canon Inc 加熱装置
JP2002260836A (ja) 2001-03-02 2002-09-13 Sharp Corp 加熱装置およびそれを備えた画像形成装置
JP2004157503A (ja) 2002-09-11 2004-06-03 Konica Minolta Holdings Inc 画像形成装置
JP2008268784A (ja) * 2007-04-25 2008-11-06 Kyocera Mita Corp 定着装置,画像形成装置
US8331819B2 (en) 2009-06-11 2012-12-11 Canon Kabushiki Kaisha Image forming apparatus
JP2012123244A (ja) 2010-12-09 2012-06-28 Canon Inc 画像形成装置
JP5943559B2 (ja) 2011-06-02 2016-07-05 キヤノン株式会社 定着装置
JP5871515B2 (ja) 2011-08-16 2016-03-01 キヤノン株式会社 画像形成装置及び濃度情報取得方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004163896A (ja) * 2002-09-25 2004-06-10 Canon Inc 画像形成装置及び定着装置
US20050063744A1 (en) * 2003-09-20 2005-03-24 Samsung Electronics Co., Ltd. Fusing device for image forming apparatus
JP2006293079A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Canon Inc 像加熱装置
JP2014194445A (ja) * 2013-03-28 2014-10-09 Brother Ind Ltd 画像形成装置および熱定着装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020052233A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 キヤノン株式会社 画像加熱装置
JP7350472B2 (ja) 2018-09-27 2023-09-26 キヤノン株式会社 画像加熱装置
JP2021012271A (ja) * 2019-07-05 2021-02-04 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP7346108B2 (ja) 2019-07-05 2023-09-19 キヤノン株式会社 定着装置及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6504782B2 (ja) 2019-04-24
US20160109835A1 (en) 2016-04-21
US9547264B2 (en) 2017-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6351251B2 (ja) 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置
JP6366264B2 (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP6366399B2 (ja) 加熱定着装置
JP6504782B2 (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP6218589B2 (ja) 定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置
JP6261324B2 (ja) 像加熱装置
JP6272000B2 (ja) 定着装置
JP6270458B2 (ja) 定着装置
JP6351441B2 (ja) 画像加熱装置
JP2017097144A (ja) 定着装置および加熱回転体
JP6272001B2 (ja) 定着装置
JP6381336B2 (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP6391339B2 (ja) 定着装置
JP6463021B2 (ja) 定着装置
JP2017049525A (ja) 定着装置、及びその定着装置を有する画像形成装置
JP2015118254A (ja) 像加熱装置
JP2015118259A (ja) 定着装置
JP2017062383A (ja) 画像加熱装置
JP2007041130A (ja) 定着装置
JP2017072779A (ja) 定着装置
JP2009271297A (ja) 定着装置および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171003

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180710

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180904

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181019

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20181022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190326

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6504782

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151