JP2016068123A - Au−Sn−Ag系はんだ合金及びこれを用いて封止若しくは接合された電子機器並びに該電子機器を搭載した電子装置 - Google Patents

Au−Sn−Ag系はんだ合金及びこれを用いて封止若しくは接合された電子機器並びに該電子機器を搭載した電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 封止性、接合信頼性、及び濡れ広がり性に優れ、長期的に高品質を維持できる比較的低コストの高温用の無鉛Au−Sn−Ag系はんだ合金を提供する。【解決手段】 Snを27.5質量%以上33.0質量%未満含有し、Agを8.0質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなるu−Sn−Ag系はんだ合金であって、形状が板状またはシート状の場合はJIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が41.1以上57.1以下、a*が−1.48以上0.52以下、b*が−4.8以上9.2以下であり、形状がボール状の場合はL*が63.9以上75.9以下、a*が0.05以上0.65以下、b*が1.3以上11.3以下である。【選択図】 なし

Description

本発明はAuを主成分とする高温用の無鉛はんだ合金及び該はんだ合金を用いて封止若しくは接合された電子機器並びに該電子機器を搭載した電子装置に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に対しても例外ではない。はんだ材料には古くから鉛(Pb)が主成分として使われ続けてきたが、すでにRoHS指令などで鉛は規制対象物質になっている。このため、鉛を含まないはんだ(以降、Pbフリーはんだ又は無鉛はんだとも称する)の開発が盛んに行われている。
電子部品を基板に接合する際に使用するはんだは、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)とに大別され、それらのうち、中低温用のはんだに関してはSnを主成分とするもので鉛フリーはんだが実用化されている。例えば中低温用の鉛フリーはんだ材料としては、特許文献1にSnを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを1.0質量%以下、Pを0.2質量%以下含有する無鉛はんだ合金組成が開示されており、特許文献2にはAgを0.5〜3.5質量%、Cuを0.5〜2.0質量%含有し、残部がSnからなる合金組成の無鉛はんだが開示されている。
一方、高温用のPbフリーはんだに関しても様々な機関で研究開発が進められており、例えば特許文献3には、Biを30〜80at%含み、溶融温度が350〜500℃のBi/Agロウ材が開示されている。また、特許文献4には、Biを含む共昌合金に2元共昌合金を加え、更に添加元素を加えたはんだ合金が開示されており、このはんだ合金は4元系以上の多元系はんだではあるものの、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能となることが示されている。
また、Auを主成分とする高価な高温用のPbフリーはんだ材料としては、Au−Sn合金やAu−Ge合金などが水晶デバイス、SAWフィルター、MEMS(微小電子機械システム)等の電子部品を有する電子機器で使用されている。Au−Sn合金の共晶点はAu−20質量%Sn(Auが80質量%及びSnが20質量%からなる組成を意味しており、以下においても同様である)であり、その融点は280℃である。一方、Au−Ge合金の共晶点は、Au−12.5質量%Geであり、その融点は356℃である。
これらAu−Sn合金とAu−Ge合金との使い分けは、まずはこの融点の違いによる。すなわち、高温用の温度範囲の中でも比較的温度の低い箇所の接合にはAu−Sn合金を用い、比較的温度の高い箇所の接合にはAu−Ge合金を用いる。しかし、これらAu系合金はPb系はんだやSn系はんだに比較して非常に硬い性質を有している。特にAu−Ge合金はGeが半金属であることから、シート形状などに加工することが非常に難しい。そのため、生産性や収率を上げることが難しく、これがコストアップの原因になっていた。
Au−Sn合金においてもAu−Ge合金ほどではないものの加工しづらく、特にプリフォーム材などへの加工時における生産性や収率が低くなる傾向にある。これは、Au−20質量%Snは共晶点であるとはいえ、金属間化合物のみから構成されているため転位が移動しづらく、よって変形させるのが困難なため、薄く圧延したりプレスで打抜いたりするとクラックやバリが発生しやすいからである。しかも、Au−20質量%Sn合金は材料コストが他のはんだ材料と比較して桁違いに高い。そのため、特に高い信頼性が要求される水晶デバイス等の封止用としてもっぱら使用されているのが実状である。
そこで、Au−Sn合金のコストをできるだけ抑えると共に使いやすくすることを目的として、Au−Sn−Ag系はんだ合金が開発されている。例えば特許文献5には、比較的低融点で扱いやすく、強度及び接着性に優れ、かつ安価なロウ材及び圧電デバイスを提供することを目的として、Au、Ag及びSnの三元組成図において質量%基準の組成比を(Au、Ag、Sn)として表したとき、点A1(41.8、7.6、50.5)、点A2(62.6、3.4、34.0)、点A3(75.7、3.2、21.1)、点A4(53.6、22.1、24.3)、点A5(30.3、33.2、36.6)で囲まれる領域にあるロウ材を用いる技術が開示されている。
また、特許文献6には、Auの添加量が従来のAu−Sn共晶合金よりも少なくて済むばかりでなく、固相線温度が270℃以上である鉛フリー高温はんだを提供することを目的として、また、容器本体と蓋部材間との接合部が耐ヒートサイクルや機械的強度に優れたパッケージを提供することを目的として、Ag2〜12質量%、Au40〜55質量%、及び残部Snからなる溶融封止用高温鉛フリーはんだ合金が開示されている。
また、特許文献7には、Fe−Ni合金のリードフレームを脆化させることなく適度なロウ流れで接合強度を安定させ、しかもリードフレームの耐蝕性を低下させることのない融点の低いロウ材を備えたロウ付きリードフレームを提供することを目的として、リードフレームのピンの先端に、AgにAu20〜50重量%とGe10〜20重量%又はSn20〜40重量%とを添加してなるロウ材を取付ける技術が開示されている。
特開平11−077366号公報 特開平8−215880号公報 特開2002−160089号公報 特開2008−161913号公報 特開2008−155221号公報 特許第4305511号公報 特許第2670098号公報
高温用の鉛フリーはんだ材料に関しては、上記した引用文献以外にもさまざまな機関で開発がなされてはいるが、未だ低コストで汎用性のあるはんだ材料は見つかっていない。すなわち、一般的に電子部品や基板には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの比較的耐熱温度の低い材料が多用されているため、作業温度を400℃未満、望ましくは370℃以下にする必要がある。しかしながら、例えば特許文献3に開示されているBi/Agロウ材では、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、接合される電子部品や基板の耐熱温度を超えてしまうことになる。
また、Au−Sn系はんだやAu−Ge系はんだの場合は非常に高価なAuを多量に使用するため、汎用のPb系はんだやSn系はんだなどに比較して非常に高価であり、実用化されてはいるものの、その使用範囲は水晶デバイス、SAWフィルター、及びMEMSなどのとくに高い信頼性が必要とされる箇所のはんだ付けの用途に限られている。加えて、Au系はんだは非常に硬くて加工しづらいため、例えば、シート形状に圧延加工する際に時間がかかったり、ロールに疵のつきづらい特殊な材質のものを用いたりしなければならず、コストがかかる要因になっている。また、プレス成形時にもAu系はんだの硬くて脆い性質のため、クラックやバリが発生し易く、他のはんだに比較して収率が格段に低い。ワイヤ形状に加工する場合にも似たような深刻な問題があり、非常に圧力の高い押出機を使用しても硬いため押出速度が遅く、Pb系はんだの数百分の1程度の生産性しかない。
さらに、このような加工性の悪さを解決するため、Au系はんだをはんだペースト化するなどの工夫もされているが、この場合はボイド発生やさらなるコストアップなどの新たな問題を引き起こすおそれがある。特許文献5〜7に示すAu−Sn−Ag系はんだ合金は、上記したような融点や加工性やコストなどを含め、Au系はんだのさまざまな課題を解決することを目的として開発されたものであるが、例えば前述した特許文献5に示す点A1〜点A5で囲まれる領域は極めて広い範囲を包含するものであるため、このような広い組成範囲の全ての領域において所望の特性を同様に得るのは困難であると考えられる。
例えば、点A3と点A5とはAu含有量が45.4質量%も異なっており、組成比がこの程度異なれば生成される金属間化合物が異なるため、液相線温度や固相線温度が大きく異なることになる。また、酸化しにくくさせるAuの含有量が45.4質量%も異なればはんだ合金の濡れ性も当然大きく変わることになる。図1のAu−Sn−Ag三元系状態図から、Au、Sn及びAgの組成が異なればAu−Sn−Ag金属間化合物は大きく異なることが分かる。すなわち、組成が異なれば接合時に生成される金属間化合物の種類やその割合も大きく異なり、特許文献5に示されるような広い組成範囲において加工性と応力緩和性について同じような優れた特性が得られるとは考えにくい。
特許文献6は、Agが2〜12質量%、Au40〜55質量%であることから、残部のSnは33質量〜58質量%になるが、このようにSnの含有量が多いはんだ合金は酸化が進行しやすく、濡れ性等が十分に得られない可能性がある。Au−20質量%Sn合金が実用上問題なく使用されていることからSnが30数質量%であれば、濡れ性は確保できる可能性があるが、40質量%を超えてしまうと濡れ性の確保は困難であると推測される。また、この組成範囲では共晶合金でないため、結晶粒が粗大であったり、液相線温度と固相線温度の差が大きくなって接合時に溶け別れ現象が生じたりして、良好な接合信頼性を得ることは困難であると考えられる。
特許文献7は、Auの含有量が最大でも50質量%であり、Au原料の削減効果は非常に大きい。Snの含有量も40質量%以下(または40質量%未満)であることから、ある程度の濡れ性を確保できる可能性はある。しかし、この発明はFe−Ni合金のリードフレームを脆化させることなく適度なロウ流れで接合強度を安定させることを企図しており、しかもリードフレームの耐蝕性を低下させないことも目的としている。従って、特許文献7に示されるロウ材は、例えば温度変化による膨張収縮により生ずる応力の緩和など、半導体素子の接合用はんだに求められる特性を満たすことを課題とするものではない。
また、特許文献7の組成範囲では共晶合金でないため、結晶粒が粗大であったり、液相線温度と固相線温度の差が大きくなって接合時に溶け別れ現象が生じたりして、良好な接合信頼性を得ることは困難であると考えられる。さらにFe−Ni合金を対象としたロウ材であるため、半導体素子のメタライズ層やCuなどからなる接合用基板との間で接合に適した合金を生成することは課題としていない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水晶デバイス、SAWフィルター、MEMS等の電子部品を有する電子機器に代表されるような極めて高い信頼性が要求される電子機器の用途として良好に使用可能な、封止性、接合信頼性、及び濡れ広がり性に優れ、更には諸特性の経時変化が少なく長期的に高品質を維持できる高温用の無鉛Au−Sn−Ag系はんだ合金を比較的低コストで提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明が提供する第1の実施形態のAu−Sn−Ag系はんだ合金は、Snを27.5質量%以上33.0質量%未満含有し、Agを8.0質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなり、形状が板状またはシート状のAu−Sn−Ag系はんだ合金であって、JIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が41.1以上57.1以下、a*が−1.48以上0.52以下、b*が−4.8以上9.2以下であることを特徴としている。
また、本発明が提供する第2の実施形態のAu−Sn−Ag系はんだ合金は、Snを27.5質量%以上33.0質量%未満含有し、Agを8.0質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなり、形状がボール状のAu−Sn−Ag系はんだ合金であって、JIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が63.9以上75.9以下、a*が0.05以上0.65以下、b*が1.3以上11.3以下であることを特徴としている。
本発明によれば、封止性、接合信頼性、及び濡れ広がり性に優れ、更には諸特性の経時変化が少なく長期的に高品質を維持できる高温用の無鉛Au−Sn−Ag系はんだ合金を比較的低コストで提供することが可能になり、よって水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどを有する電子機器のように極めて高い信頼性が要求される電子機器や該電子機器を搭載する電子装置に使われるはんだ合金を従来のAu系はんだよりも安価に提供できる。
Ag−Sn−Ag三元系状態図である。 NiめっきしたCu基板とSiチップをはんだ合金で接合した接合体の断面図である。 NiめっきしたCu基板の上にはんだ合金が接合された接合体の断面図を示す。 縦横比を定義するための最大のはんだ濡れ広がり長さを長径(X1)、最小のはんだ濡れ広がり長さ短径(X2)を示す一例の図である。 封止用容器をボールで封止した断面図である。
本発明者はAuを主成分とする無鉛はんだ合金について鋭意研究を重ねた結果、AuとSnとAgの三元共晶点(図1のAg−Sn−Ag三元系状態図の「e1点」)の組成付近を基本とするAu−Sn−Ag系はんだ合金が、鉛フリーのAu系はんだとしての諸特性に特に優れたものであることを見出した。すなわち、三元系状態図においてAuとSnとAgの三元共晶点を中心としてその付近の組成範囲内の組成を有する合金であれば、必ずAu−Sn合金に比べて柔らかくなるので加工性や応力緩和性に優れるうえ、実用上の濡れ性を十分に有するはんだ合金となる。更に、高価なAuの一部をSnとAgで代替することによってAu含有量を大幅に下げることができ、はんだ合金のコストを下げることが可能となる。
具体的には、Au−Sn―Ag三元共晶点の組成であるAu=57.2質量%、Sn=30.8質量%、Ag=12.0質量%(at%表示では、Au=43.9at%、Sn=39.3at%、Ag=16.8at%)を基本的な組成とすることによって、結晶が微細化し且つ結晶構造がラメラ組織となるので加工性及び応力緩和性等が格段に向上し、かつ、Sn及びAgの含有量が多くなるのでAuの含有量を低減でき、大きなコスト削減効果を得ることができる。更に、反応性が高く、酸化し難いAgを多く含有することによって良好な濡れ性や接合性を得ることができる。加えて、はんだ表面の特性を好ましい状態に保つためには表面状態を正確に把握して制御することが重要であり、このためにJIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*、a*、及びb*ではんだ合金の表面状態を規定している。
すなわち、本発明のAu−Sn−Ag系はんだ合金は、Snを27.5質量%以上33.0質量%未満含有し、Agを8.0質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuから構成される組成を有している。そして、該はんだ合金の形状が板状またはシート状の場合は、JIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が41.1以上57.1以下、a*が−1.48以上0.52以下、b*が−4.8以上9.2以下であり、形状がボール状の場合は、JIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が63.9以上75.9以下、a*が0.05以上0.65以下、b*が1.3以上11.3以下であることを特徴としている。以下、上記した本発明のAu−Sn−Ag系はんだ合金の実施形態におけるL*a*b*表示系のL*、a*、及びb*、並びに必須元素について詳細に説明する。
<L*、a*、b*>
はんだの濡れ性や接合性をばらつかせることなく安定にするためにはその表面状態を常に一定にするのが望ましい。一般的に、はんだ合金の表面は酸化物層に覆われており、また、僅かではあるが不純物が付着している。このような酸化物層や不純物は不可避的に存在するものであるため、どのような状態で存在しているかを明確に把握できれば品質管理上好ましい。そこで、例えば電界放射型オージェ電子分光装置などではんだ表面付近の酸化物層や炭素量、はんだ成分などを測定できるが、製造ラインなどに入れるにはコストがかかり過ぎて現実的ではない。従って、はんだ表面状態を簡易的に測定できることははんだ合金の品質を高いレベルで一定に保つうえで重要なことである。
本発明者は濡れ性や接合性に大きく影響するはんだ合金表面を簡易的に把握、管理するうえで色(明度、色相、彩度)を把握、制御することによりこれを実現できることを見出した。つまり、本発明のAu−Sn−Ag系はんだ合金において、形状が板状またはシート状である場合、JIS Z8781−4で定義される色に関するL*a*b*表示系の明度の指標であるL*を41.1以上57.1以下、色相の指標であるa*を−1.48以上0.52以下、彩度の指標であるb*を−4.8以上9.2以下とすること、そして、形状がボール状である場合、L*を63.9以上75.9以下、a*を0.05以上0.65以下、b*を1.3以上11.3以下とすることにより、濡れ性や接合性に悪影響を及ぼすはんだ合金の表面層の酸化物層や不純物を間接的に制御してこれらによる悪影響を許容範囲内にし得ることを見出した。その結果、良好な濡れ性や接合性が得られ、よって高い接合信頼性を得ることができる。
上記の如くAu−Sn−Ag系はんだ合金のL*、a*、b*を規定することにより、はんだ表面をほぼ全面に亘って良好な状態でほぼ均一に保つことができ、よって濡れ広がりや被接合体との合金生成を均一に行うことができ、また、ボイドの形成を少なくできる。これにより高い接合信頼性を得ることが可能になる。そして、このように品質を高いレベルで安定的に保てるため、収率や生産性が高くなり、コスト的なメリットが得られる。
さらには表面の酸化物層や不純物を制御することである程度清浄な状態にできるので、酸化や腐食等が進行しにくくなって保管性や耐蝕性等にも優れることになる。つまり表面が製造初期段階から酸化が進行していたり不純物が多く付着していたりするとその後の酸化や腐食が進行し易く、よってはんだ合金の諸特性の経時変化が著しく、保管性が悪くなってしまう。はんだ表面に酸化が非常に少なく、不純物がほとんどない状態においては酸化や腐食の進行は非常に緩やかなのである。
Au−Sn−Ag系はんだ合金においてL*、a*、b*が上記の範囲を外れてしまうと、酸化物層が厚かったり、不純物が許容範囲を超えて存在することになり、その結果として、濡れ性や接合性が悪く、当然、信頼性も低いものとなってしまい、好ましくない。次に本発明のAu−Sn−Ag系はんだ合金の各元素について説明する。
<Au>
Auは本発明のはんだ合金の主成分であり、必須の元素である。Auは非常に酸化しづらいため、高い信頼性が要求される電子部品類の接合や封止用のはんだとして、特性面においては最も適している。このため、水晶デバイスやSAWフィルターの封止用としてAu系はんだが多用されている。本発明のはんだ合金においてもAuを主成分とすることで、上記のような高い信頼性が要求される技術分野において主に使用されるはんだを提供することを企図している。
ただし、Auは非常に高価な金属であるため、コスト面からするとできるだけ使わない方がよく、このため、一般的なレベルの信頼性を要求される電子部品にはほとんど使用されていない。本発明のはんだ合金は、Au−Sn−Ag系の三元共晶点の組成付近の合金とすることで、濡れ性や接合性といった特性面ではAu−20質量%SnはんだやAu−12.5質量%Geはんだと同等以上の特性を確保しながら柔軟性や加工性にも優れており、加えて、コストを下げるべくAu含有量をできるだけ減らしている。
<Sn>
Snは本発明のはんだにおいて基本を成す元素であり、必須の元素である。Au−Snはんだ合金は、通常、共晶点付近の組成、すなわちAu−20質量%Sn付近の組成で使用される。これによって、固相線温度が280℃になり、かつ、結晶が微細化し、比較的柔軟な特性が得られる。しかし、共晶合金と言ってもAu−20質量%Sn合金はAuSn金属間化合物とAuSn金属間化合物から構成されているため、硬くて脆い性質を有しており、加工が困難である。例えば、圧延によってシート状に加工する際には少しずつしか薄くしていくことができないため生産性を高めることができず、無理に加工速度を上げると圧延時に多数のクラックが入ってかえって収率が低下するおそれがある。この金属間化合物の硬くて脆い性質は一般的には変えることができないが、一方で酸化しにくく濡れ性や信頼性に優れるため、高い信頼性が要求される用途に使用されている。
本発明のはんだ合金は共晶点付近の組成を基本とし、AuSn金属間化合物とζ相から構成することで、上記したAuSn金属間化合物の優れた特性を効果的に引き出している。なお、ζ相はAu−Sn−Ag金属間化合物であり、その組成の比率はat%でAu:Sn:Ag=30.1:16.1:53.8である(参考文献:Ternary Alloys, A Comprehensive Compendium of Evaluated Constitutional Data and Phase Diagrams, Edited by G. Petzow and Effenberg, VCH)。
このζ相が比較的柔軟性を有すること、そして共晶点付近を基本組成としておりラメラ組織を形成することから、本発明のはんだ合金は加工性、応力緩和性等に優れることになるのである。そして融点も下げることでAu−Ge合金の共晶温度と大差ない370℃の共晶温度を有するのである。このような高温用はんだ合金として適切な融点を持つことも本発明のはんだ合金の優れる点の一つである。
Snの含有量は27.5質量%以上33.0質量%未満であり、29.0質量%以上32.0質量%以下であればより好ましい。27.5質量%未満であると結晶粒が大きくなってしまい柔軟性、加工性向上等の効果が十分に発揮されないうえ、液相線温度と固相線温度の差が大きくなりすぎて溶け別れ現象などが生じてしまう。さらにAu含有量も多くなりやすくなるためコスト削減効果も限定的になってしまう。一方、Snの含有量が33.0質量%以上になると共晶点の組成から外れすぎるので、結晶粒の粗大化や液相線温度と固相線温度の差が大きくなる問題が生じ得る。加えて、Sn含有量が多くなりすぎるので、酸化される可能性が高くなり、Au系はんだの特徴である良好な濡れ性が失われて高い接合信頼性を得ることが難しくなる。Sn含有量が29.0質量%以上32.0質量%以下であれば、共晶点の組成により一層近くなり、結晶粒微細化効果が得られ、かつ溶け別れ現象などが生じにくくなるのでより好ましい。
<Ag>
Agは三元共晶の合金とするために欠かすことのできない元素であり、本発明のはんだにおいて必須の元素である。本発明のはんだでは、Au−Sn−Agの三元共晶点付近の組成とすることにより、優れた柔軟性、加工性、及び応力緩和性と、好適な融点等を得ることができ、かつ大幅にAu含有量を下げることに可能となり、よって大きなコスト削減効果が得られる。また、Agは基板等の最表面に使用されるCuやNiなどと反応性がよく、濡れ性を向上させる効果も有している。当然、半導体素子の接合面によく使用されるAgやAuメタライズ層との反応性に優れることは言うまでもない。
このように優れた効果を有するAgの含有量は8.0質量%以上14.5質量%以下である。8.0質量%未満では共晶点の組成から外れすぎてしまい、液相線温度が高くなり過ぎたり、結晶粒が粗大化してしまい、良好な接合を得ることが難しくなる。一方、14.5質量%を超えた場合も液相線温度が高くなり、溶け分かれ現象を生じたり、結晶粒の粗大化が問題になったりしてしまう。なお、10.0質量%以上14.0質量%以下であれば共晶点の組成にさらに近く、Agを含有させた効果がより一層現れるので好ましい。
原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のAu、Sn、Ag及び比較例用の原料としてのGeを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく、均一になるように留意しながら、切断及び粉砕などにより3mm以下の大きさに細かくした。次に、これら原料から所定量を秤量して、高周波溶解炉用のグラファイト製坩堝に入れた。
上記各原料の入った坩堝を高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。原料が溶融しはじめたら混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混合した。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかに坩堝を取り出し、坩堝内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型は、打抜き品を製造するため圧延、プレスを行うことを考慮し、鋳込み部が幅45mm×厚さ6mm×長さ250mmものと、ボールを製造するためアトマイズを行うことを考慮し、鋳込み部が直径20mm×長さ200mmのものとを用いて製造した。試料1〜19、39〜50については打抜き品製造用の鋳型、試料20〜38、51〜62についてはボール製造用の鋳型を用いて、それぞれ打抜き品、ボールを製造した。
このようにして、上記各原料の混合比率を変えることにより、試料1〜62のはんだ母合金を作製した。得られた試料1〜62の各はんだ母合金の組成を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて組成分析した。得られた組成分析結果を後述する色(SCE)と共に下記表1及び表2に示した。
Figure 2016068123
Figure 2016068123
次に、上記試料1〜19、39〜50の各はんだ母合金について、後述するように圧延機でシート状に加工し、さらにプレス機で打抜いて、5.0mm×5.0mmの四角形状の打抜き品を製造した。そして打抜き品について分光色測計を用いてL*、a*、b*を測定した。さらに打抜き品を用いて、基板とチップの接合体を作り接合性(ボイド率の測定)、及び保管性(恒温高湿試験)を評価した。
一方、上記試料20〜38、51〜62の各はんだ母合金については、後述するアトマイズ法により直径0.25mmのボール試料を製造した。そして各ボール試料についてL*、a*、b*を測定した。さらにボール試料について、濡れ広がり性の評価(縦横比の測定)、封止体による封止性の評価(リーク状態の確認)を行った。以下、各試料の表面状態(L*、a*、b*)等を調整するために行った処理及びL*、a*、b*の測定方法について詳述する。また、打抜き品及びボールの製造方法、並びに各種評価方法について詳述する。
<表面状態等の調整>
上記した試料1〜62の打抜き品またはボール試料について、水素還元雰囲気中、80〜250℃、0.1〜5.0時間の熱処理を行い、はんだ合金表面の酸化具合、金属組織を調整し、L*、a*、b*を調整した。このように表面状態を調整した試料1〜62の各はんだ試料についてL*、a*、b*の測定を行った。
<打抜き品の製造方法>
上記表1に示す試料1〜19、39〜50の各はんだ母合金を、圧延機を用いて厚さ50μmまで圧延した。圧延作業には関しては以下の点に注意を払い加工した。まず、試料がロールに貼り付かないように必要に応じて潤滑油を適量かけながら圧延した。このようにロールとシート及びシートとシートの間に油膜を作ることによって、ロールとシート又はシート同士が貼り付くことを抑えることができる。そして、試料の送り速度にも配慮が必要であり、送り速度が速すぎるとシート同士が貼り付きやすくなったり、張力がかかりすぎて切れてしまったりする。逆に送り速度が遅すぎると撓みが発生して巻きずれを起こしたり、均一な厚みのシートが得られなかったりする。
得られた各シートはプレス機を用いて打抜き品に加工した。具体的にはシートをプレス機にセットして、その後、潤滑油を供給しながら打抜いていき、打抜き品を有機溶剤の入った容器に回収していった。形状は各試料については5.0mm×5.0mmの四角形状として打抜き品に加工した。その後、打抜き品を有機溶剤によって洗浄し、真空乾燥機で真空引きしながら2時間乾燥し、評価用の試料を得た。
<ボールの製造方法>
準備した試料20〜38、51〜62の各母合金(直径20mm)を液中アトマイズ装置のノズルに投入し、このノズルを320℃に加熱した油の入った石英管の上部(高周波溶解コイルの中)にセットした。ノズル中の母合金を高周波により650℃まで加熱して5分保持した後、不活性ガスによりノズルに圧力を加えてアトマイズを行い、ボール状のはんだ合金とした。尚、ボール直径の中央値が0.25mmとなるように、予めノズル先端の直径を調整した。そして2軸分級器を用いて上記の方法により得られたボールを直径0.25±0.015mmの範囲で分級して、直径0.25mmのボール試料を製造し、これらを評価用の試料とした。
<L*、a*、b*の測定>
上記した試料1〜19、39〜50打抜き品(5.0mm×5.0mmの四角形状)、試料20〜38、51〜62の直径0.25mmのボールについて、L*、a*、b*を分光色測計(コニカミノルタオプティクス株式会社製、型式:CM−5)を用いて測定した。まず、標準光源によって装置の校正を行った。その後、各試料を測定台に載せ、蓋を閉じて自動で測定を行った。測定は正反射光を除去した測定とした(本装置においてSCEモード、正反射光を除去する測定モード)。各試料の測定結果を上記の表1及び表2に示した。
<接合性の評価(ボイド率の測定)>
接合性の評価としてのボイド率の測定には上記の打抜き品を用いて行った。具体的にはレーザーはんだ付け装置(アポロ精工社製)を起動し、窒素ガスを50L/分の流量で流した。そしてNiめっき層2(膜厚:3.0μm)を有するCu基板1(板厚:0.3mm)をレーザー照射部に自動搬送し、次にボール試料(はんだ合金3)を供給して上記NiめっきされたCu基板1上に載せてレーザーにより0.3秒間、加熱・溶融し、その直後にSiチップ4を載せて3秒間スクラブした。スクラブが終了した後はこのSiチップ接合体をレーザー照射部から自動搬送して、窒素雰囲気が保たれている搬送部で冷却し、十分に冷却した後大気中に取り出した(図2参照)。
濡れ性を確認するため、Siチップ接合体のボイド率をX線透過装置(株式会社 東芝製 TOSMICRON−6125)を用いて測定した。試料(はんだ合金)でSiチップとCu基板が接合された接合体の接合面をSiチップ上部から垂直にX線を透過し、以下の計算式2を用いてボイド率を算出した。
[計算式2]
ボイド率=ボイド面積÷(ボイド面積+はんだとCu基板の接合面積)×100(%)
<保管性の評価(恒温高湿試験)>
はんだ試料を長期間保管した場合、はんだ表面が腐食したり、酸化したりして表面状態が変わってしまうと濡れ性や接合性を低下させてしまい、良好な接合ができなくなってしまう。さらにはんだ表面が経時変化してしまうと接合状態にバラつきを生じてしまう。従って、はんだ表面が環境によって変化しないことは良好な接合を得るために重要なことである。この保管性を評価するため、高温恒湿下での試験を行った。すなわち、打抜き品を恒温恒湿槽(ヤマト科学株式会社製、型式:IW242)に入れ、85℃−85%RH−1000時間の試験を行った。
試料1の恒温恒湿試験前の酸化膜厚の厚さを100として、各試料の恒温恒湿試験前後の酸化膜厚を相対評価した。酸化膜厚の定義ははんだ合金表面付近の最高酸化濃度を100%として、はんだ表面から深さ方向に酸素濃度を測定していったときに酸素濃度が50%まで減少したときのはんだ表面からの深さ(距離)とした。はんだ合金表面付近の酸化物層の厚さは電界放射型オージェ電子分光装置(ULVAC−PHI製、型式:SAM−4300)により行った。
<濡れ広がり性の評価(縦横比の測定)>
濡れ広がり性の評価として、試料20〜38、51〜62のボールを用いて基板との接合体を作り縦横比の測定を行った。具体的にはレーザーはんだ付け装置(アポロ精工社製)を起動し、窒素ガスを50L/分の流量で流した。そしてNiめっき層2(膜厚:3.0μm)を有するCu基板1(板厚:0.3mm)をレーザー照射部に自動搬送し、次にボール試料を供給して上記NiめっきされたCu基板1上に載せてレーザーにより0.3秒間、加熱・溶融し、その後該Cu基板1をレーザー照射部から自動搬送して、窒素雰囲気が保たれている搬送部で冷却し、十分に冷却した後大気中に取り出した。
得られた接合体、即ち図3に示すようにCu基板1のNiめっき層2にはんだ合金3が接合された接合体について、濡れ広がったはんだ合金の縦横比を求めた。具体的には、図4に示す最大のはんだ濡れ広がり長さを長径(X1)、最小のはんだ濡れ広がり長さ短径(X2)を測定し、下記計算式1により縦横比を算出した。計算式1の縦横比が1に近いほど基板上に円形状に濡れ広がっており、濡れ広がり性がよいと判断できる。1より大きくなるに従い、濡れ広がり形状が円形からずれていき、溶融はんだの移動距離にバラつきがでて反応が不均一になり合金層の厚みや成分バラつきが大きくなったりして均一で良好な接合ができなくなってしまう。さらにある方向に多くのはんだが流れるように広がってはんだ量が過剰な箇所とはんだが無い箇所がでてき、接合不良や場合よっては接合できなかったりしてしまう。
[計算式1]
縦横比=長径÷短径
<封止性の評価(リーク状態の確認)>
はんだ合金による封止性を確認するため、レーザー接合装置により図5に示す形状の封止用容器5を試料20〜38、51〜62のボール状のはんだ合金3で封止した。接合方法は被接合体を封止容器とした以外は濡れ広がり性と同様の方法で行った。このようにして準備した各封止体を水中に2時間浸漬し、その後、水中から封止体を取り出し、解体してリーク状態を確認した。解体した封止体内部に水が入っていた場合はリークがあったと判断し、封止性の評価として「×」とした。このようなリークが無かった場合を「○」と評価した。この封止性の評価結果を上記した接合性の評価(Siチップ接合体のボイド率)、保管性の評価、及び濡れ広がり性の評価(接合体の縦横比)の測定結果と共にを下記表3及び表4に示す。
Figure 2016068123
Figure 2016068123
上記表3及び4から分るように、本発明による試料1〜38のAu−Sn−Ag系はんだ合金は、接合性、保管性、濡れ広がり性、及び封止性の全ての評価項目において良好な特性を示している。即ち、接合性評価ではボイド率が全ての実施例の試料で0%でボイドは発生せず、保管性の評価では試験前後で酸化膜厚がほとんど変化なく、はんだ合金表面が変化しづらく非常に優れた保管性を示した。さらに濡れ広がり性の評価では、縦横比が1.02以下であり、均一な濡れ広がり、非常に優れた濡れ広がり性を示した。さらに封止性評価ではリーク不良は一切発生しなかった。このように優れた結果が得られた理由は本発明のはんだ合金においてL*、a*、b*が適正な範囲内にあり、かつはんだ合金組成が適切な範囲にあることによるものと考えられる。
一方、比較例である試料39〜62の各はんだ合金は、L*、a*、b*が適切な範囲にないか、または、Au、Sn及びAgのうちの何れかの含有量が適切でないなどの理由により、各種評価で好ましくない結果となった。すなわち、接合性評価ではボイド率が8%以上あり、保管性評価では試験前後で酸化膜厚が大きく増加し、濡れ広がり性評価では、縦横比が1.2以上であり、及び封止性評価では全ての試料で不良が発生した。
1 Cu基板
2 Niめっき層
3 はんだ合金
4 Siチップ
5 封止用容器

Claims (6)

  1. Snを27.5質量%以上33.0質量%未満含有し、Agを8.0質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなり、形状が板状またはシート状のAu−Sn−Ag系はんだ合金であって、JIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が41.1以上57.1以下、a*が−1.48以上0.52以下、b*が−4.8以上9.2以下であることを特徴とするAu−Sn−Ag系はんだ合金。
  2. Snを29.0質量%以上32.0質量%以下含有し、Agを10.0質量%以上14.0質量%以下含有することを特徴とする、請求項1に記載のAu−Sn−Ag系はんだ合金。
  3. Snを27.5質量%以上33.0質量%未満含有し、Agを8.0質量%以上14.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きAuからなり、形状がボール状のAu−Sn−Ag系はんだ合金であって、JIS Z8781−4に準拠したL*a*b*表示系におけるL*が63.9以上75.9以下、a*が0.05以上0.65以下、b*が1.3以上11.3以下であることを特徴とするAu−Sn−Ag系はんだ合金。
  4. Snを29.0質量%以上32.0質量%以下含有し、Agを10.0質量%以上14.0質量%以下含有することを特徴とする、請求項3に記載のAu−Sn−Ag系はんだ合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のAu−Sn−Ag系はんだ合金を用いて封止されていることを特徴とする電子機器。
  6. 請求項5に記載の電子機器が搭載されていることを特徴とする電子装置。
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