JP2009190055A - ろう材、電子デバイス及び電子デバイスの封止方法 - Google Patents

ろう材、電子デバイス及び電子デバイスの封止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Au−Ag−Sn合金のろう材を構成するAuの重量比を少なくしながら融点及びろう付け性を確保する。
【解決手段】組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))が、点1(53.0,23.5,23.5)、点2(65.9,12.3,21.8)、点3(66.1,15.0,18.9)、点4(67.3,19.1,13.6)、点5(45.5,39.0,15.5)、点6(49.6,28.7,21.7)の6点を結ぶ直線で囲まれた領域にあり、残部が不可避成分であるろう材。
【選択図】図1

Description

本発明は、Au、Ag及びSnを含有するろう材、電子デバイス及び電子デバイスの封止方法に関する。
部品を内装した電子デバイスのうち、特に圧電振動子、圧電発振器等の圧電デバイスは、例えば特許文献1及び2に記載されているように、パッケージ内に圧電振動片を気密に封止した構造が一般的である。これら特許文献1及び2に記載されている圧電デバイスでは、パッケージ外面に形成されて内部と連通する封止孔に、Au−SnやAu−Ge等の低融点金属からなる金属ボールを配置し、これにレーザ光を照射して溶融させ、封止孔を閉塞した状態で硬化させて圧電振動片を封止している。
特開2002−009577号公報 特開2003−158439号公報
上記特許文献1及び2に記載されている従来のろう材にあっては、組成比は記載されていないが、封止用ろう材として適用可能なろう材としては下記表1に示すものがある。しかしながら、以下に詳細に述べるように、現在知られているろう材では、ろう付け性(封止性)、経済性等を同時に満足するろう材は得られていない。
Figure 2009190055
すなわち、No.1のAu−Snは、融点が280℃であり、使用可能な範囲であるが、Auが重量比で80%も含まれているため高価となるという未解決の課題がある。
また、No.2のAu−Geも技術的条件は優れているがAuの含有量が重量比で88%であり、上記No.1と同様に高価となるという未解決の課題がある。
さらに、No.3のAu−Sbは、Au−SnやAu−Geに比較して若干Auの含有量を少なくできるが、機械的に極めて脆く、実使用面で大きな制約を受けるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、ろう材を構成するAuの重量比を少なくしながら融点が高く、ろう付け性を確保することができるろう材、電子デバイス及び電子デバイスの封止方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るろう材の第1の形態は、Au、Ag、Snの三元組成図において、組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))が、点1(53.0,23.5,23.5)、点2(65.9,12.3,21.8)、点3(66.1,15.0,18.9)、点4(67.3,19.1,13.6)、点5(45.5,39.0,15.5)、点6(49.6,28.7,21.7)の6点を結ぶ直線で囲まれた領域にあり、残部が不可避成分であることを特徴としている。
この第1の形態では、Au、Ag、Snの三元組成図において、各成分の組成比を、上記点1〜点6を結ぶ直線で囲まれた領域とし、残部を不可避成分とすることにより、Auの重量比を従来例に比較して大幅に低減してろう材を廉価に製造することが可能となり、しかも融点(固相線温度)を高くすると共に、必要な品質を維持することができる。
また、本発明に係るろう材の第2の形態は、Au、Ag、Snの三元組成図において、組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))が、点3(66.1,15.0,18.9)、点4(67.3,19.1,13.6)、点5(45.5,39.0,15.5)、点6(49.6,28.7,21.7)の4点を結ぶ直線で囲まれた領域にあり、残部が不可避成分であることを特徴としている。
この第2の形態では、Au、Ag、Snの三元組成図において、各成分の組成比を、上述した第1の形態における点1及び2を除去した点3〜6を結ぶ直線で囲まれた狭い領域とし、残部を不可避成分としたことにより、Snの含有量を低減して、ろう材に脆さが生じることを抑制し、レーザ光を照射する等加熱溶解させた時に微小な割れを発生することがなく、しかもレーザ等溶解のための調整を行う必要のない、高品質のろう材を提供することができる。
さらに、本発明の第3の形態では、上記第1の形態又は第2の形態において、添加剤としてAl及びSiの少なくとも一方を含み、Au+Ag+Snを単一材料と見なした場合に、添加剤を0.1wt%以上2wt%以下添加することを特徴としている。
この第3の形態では、Au+Ag+Snを単一材料と見なした場合に、添加剤としてAl及びSiの少なくとも一方を含み、添加剤を0.1wt%以上2wt%以下添加することにより、脱酸作用が働き、酸化物として溶湯上に浮遊し、溶解中の溶湯の清浄度が向上して液滴法等による球状のろう材の製造が容易になり、ろう付け性も向上させることができる。また、引け巣の発生を抑制することができる。添加剤の総量が0.1wt%未満とすると、引け巣の発生を抑制することができるものの脱酸効果を得ることができず、製品化に影響を与える。また、添加剤の総量が2wt%を超えると、脱酸効果は良好であるが、ろう付け面に引け巣が発生することになり、製品化に影響を与える。
なおさらに、本発明の第4の形態は、パッケージのキャビティ内に部品を気密に封止してなる電子デバイスであって、キャビティの内部とパッケージの外部とを連通する封止孔が、請求項1乃至3の何れか1項に記載のろう材を用いて封止されていることを特徴としている。
この第4の形態では、良好な封止性が得られ、且つ安価に提供可能なろう材によって封止孔が封止されるので、良好な気密封止構造が形成された電子デバイスを安価に提供することができる。
また、本発明の第5の形態は、パッケージのキャビティ内に部品を気密に封止してなる電子デバイスの封止方法であって、キャビティの内部とパッケージの外部とを連通する封止孔に対して、第1乃至第3の形態の何れか1つの形態のろう材を配置し、当該ろう材を加熱溶解させて封止孔を閉塞することを特徴としている。
この第5の形態では、第1乃至第3の形態の何れか1つの形態のろう材を電子デバイスのキャビティの内部とパッケージの外部とを連通する封止孔に配置して、そのろう材を加熱溶解させることにより封止孔を閉塞するので、封止孔の閉塞を高品質で確実に行うことができる。
さらにまた、本発明の第6の形態は、パッケージのキャビティ内に部品を気密に封止してなる電子デバイスの封止方法であって、キャビティの内部とパッケージの外部とを連通する封止孔に対して、第1乃至第3の形態の何れか1つの形態のろう材を微粉化してバインダーを添加したペースト状体を塗布し、バインダーを蒸発させてからペースト状体を加熱溶解させて封止孔を閉塞することを特徴としている。
この第6の形態では、本発明によるろう材を微粉化してバインダーを添加したペースト状体を、電子デバイスのキャビティの内部とパッケージの外部とを連通する封止孔に塗布し、バインダーを蒸発させてからそのペースト状体を加熱溶解させることにより封止孔を閉塞するので、封止孔の閉塞を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るろう材の主要元素であるAu、Ag及びSnの三元組成図である。また、下記表2は図1に示す点1〜16の組成、レーザ条件と割れ率、融点を表すものである。
Figure 2009190055
この第1の実施形態のろう材は、図1に示す三元組成図に●の点で示されている点1〜6を結ぶ直線に囲まれる領域の組成比を有するものであり、残部は不可避成分である。
具体的には、組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%)が、点1(53.0,23.5,23.5)、点2(65.9,12.3,21.8)、点3(66.1,15.0,18.9)、点4(67.3,19.1,13.6)、点5(45.5,39.0,15.5)、点6(49.6,28.7,21.7)を結ぶ直線で囲まれた領域にある。
本発明では、上記のように領域を規定して組成範囲を限定したことで、Auの含有量を従来例に比較して大幅に減少させつつ、封止材としてAuの含有量が多い従来例と同等の特性が得られるようにしている。
また、本発明では、図1に示すように、Auの含有量は45.5%以上67.3%以下であり、前述した従来例の表1に示したAu合金のろう材に比較してAuの含有量を少なくすることができる。
本発明に係るろう材の微小割れに対する効果を確認するため、表2に示される組成比の材料を溶解・合金化した後、液滴法により材料を直径0.35mmの球状小径ボール30とし、この球状小径ボール30を図2に示す電子デバイスの一例となる音叉型水晶発振器のパッケージ13上に形成した封止孔23に配置して、図2(c)に模式的に示すレーザ溶接を行って、球状小径ボール30を加熱溶解して図2(d)に示すように封止孔23を封止した。
ここで、音叉型水晶発振器は、図2(a)及び(b)に示すように、セラミック材料で形成されたベース11と蓋部12とからなるパッケージ13と、このパッケージ13の内部に気密に封止された音叉型水晶振動片14とを備えている。ベース11は、概略矩形状のセラミック薄板からなる底板部15と、形状の異なる複数枚のセラミック薄板を積層してなる概略矩形状の枠体部16とを一体に積層接合して、水晶振動片14を収容するキャビティ17を画成する薄い箱型に形成されている。
水晶振動片14は、その基端部14aにおいて導電性接着剤18により、キャビティ17の底面に形成された接続電極19に片持ちで略水平に固定されている。また、水晶振動片14の振動腕先端部14bに対応する位置のキャビティ17の底面には、凹部20が形成されている。この凹部20は、外部からの衝撃等で水晶振動片14の振動腕が下向きに振れても振動腕先端部14bがベース11に衝突しないための逃げとして機能する。
蓋部12は、ガラス又はセラミック等の絶縁材料からなる矩形薄板で形成され、ベース11の上端面に低融点ガラス22で気密に接合されている。音叉型水晶振動片を実装する場合には、蓋部12の接合後にパッケージ13の外側からレーザ光を照射して周波数調整できるように、透明なガラス製の蓋とすることが好ましい。
ベース11には、パッケージ13の外部とキャビティ17の内部とを連通する封止孔23が設けられている。この封止孔23は、ベース11の底面に開口する円形の外側孔部24と、キャビティ17の底面に開口する円形の内側孔部25とで構成されている。外側孔部24及び内側孔部25は、夫々底板部15と枠体部16を構成するセラミック薄板に形成された貫通孔である。外側孔部24と内側孔部25とは、図2(a)に示すように、平面視で同心位置に形成されており、外側孔部24は、内側孔部25よりも大きい径を有して形成されている。
封止孔23は、外側孔部24が、本発明に係るAu−Ag−Sn合金のろう材からなる封止材27で閉塞され、パッケージ13の内部を気密に封止している。外側孔部24の内周面には、封止材27の接着性を増すためのメタライズ部28(図2(c)参照)が形成されている。
上記構成の音叉型水晶発振器において、封止孔23は、例えば以下の工程により封止される。
封止孔23を封止材27により封止する工程では、先ず、水晶振動片14をベース11に実装し且つベース11の上面に蓋部12を接合した後、パッケージ13を、底面(底板部15側)を上向きにして真空雰囲気内に配置する。このとき、外側孔部24の内部には、図2(c)に示すように、メタライズ部28が形成されている。
メタライズ部28は、スクリーン印刷により金属膜を形成し、かかる金属膜上にめっき層を形成する方法や、蒸着又はスパッタリングなどの公知の成膜法により形成することができる。メタライズ部28は、外側孔部24と内部通路との接続部分に形成された段差29の表面にも形成されている。
次に、図2(c)に示すように、上向きにされたパッケージ13の外側孔部24に、本発明に係るろう材であるAu−Ag−Sn合金を用いて形成された金属ボール30を入れる。金属ボール30は、図示のように、外側孔部24内に位置する内側孔部25の周囲に形成されている段差29に載置される粒径のものが用いられ、例えば粒径0.35mm程度に成形されたものが用いられる。
次に、段差29上の金属ボール30にレーザ光を照射すると、溶融した金属材料は外側孔部24の内部全体に拡がり、これを完全に閉塞して固化する。外側孔部24の内周面及び段差29がメタライズされていることにより、それらと封止材27との良好な接着性が得られるので、パッケージ13内部を確実に気密封止することができる。
本発明では、封止孔23を閉塞する封止材27として、先に記載した本発明に係るろう材が用いられている。前述したように、本発明者は表2に記載した各組成の材料を用いてろう付けを行い、各ろう材の微小割れに対する効果を確認するために、製品の断面を観察し、ろう付け状態の観察を行った。各ろう材の融点測定は示差熱分析装置により行った。なお、表2中の合金番号は図1の三元組成図に記載された●の点の記号と一致させている。
合金番号(点)1〜6及びこれらの合金番号を結ぶ直線で囲まれる領域に含まれる合金番号7及び8は、夫々レーザ条件を最適なパワーにセットした場合には何れも良好なろう付けを行うことができた。
しかし、レーザ条件を、パワー過大及びパワー過少とした場合には、ろう付け部に微小な割れが合金番号3,6を結ぶ線より高Sn側の合金に見られる。
一方、合金番号3〜6を結ぶ直線に囲まれる領域内の合金はレーザ溶接条件を変化させても、微小割れに対する影響は見られない。よって、溶接部の微小割れを確実に防止する場合は、合金番号3〜6を結ぶ直線で囲まれる領域の組成合金を選択することが望ましい。
また、Au、Ag等の貴金属成分を少なくする場合は、合金番号1〜3及び6を結ぶ直線で囲まれる領域の左側の合金組成を選択することが可能である。但し、合金番号1〜3及び6を結ぶ直線で囲まれる領域を選択した場合は、レーザ溶接条件を十分に管理する必要がある。これは、図3に示すように、Au−Ag−Sn合金の場合、Sn量が多くなるほど素材硬さが高くなり(AuSn金属間化合物の増加による)、材料に脆さが出現するためである。
次に、本発明による合金番号1〜6を直線で結ぶ線で囲まれる領域内の合金以外の組成を持つ合金について説明する。合金番号9、10及び11は前記合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる領域から高Sn側に飛び出したもので、この組成の場合は、レーザの溶接条件を如何なる状態にセットしても微小割れが発生することがある。また、合金番号11では、290℃台で溶解反応が見られた。よって、合金番号9、10及び11は品質を重視するろう付けの用途には推奨することができない。
合金番号12は合金番号11と同様に、僅かな微小クラックの発生と290℃台の溶解反応が見られ、品質を重視する用途には推奨できない。また、Auの含有量も最大の67.8wt%であり、コスト面からも推奨範囲外となる。
次に、合金番号13、14、15はろう材の微小割れは見られないが、融点(液相線温度)が700℃を超し、ろう付けに必要なレーザパワーが高くなり、パッケージ13が破損する場合がある。よって、合金番号4及び5を結ぶ線より低Sn側の領域の使用は本実施形態に適用するパッケージ13には推奨することができない。
次に、合金番号16は、レーザ溶接条件を調整しても微小な割れが発生することがあり、推奨範囲外である。
以上から、高価なAuを従来例より少なくしながら微小割れを管理できるろう材の合金組成の範囲は合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる領域内の合金組成であり、さらに安定して割れに対する管理が不要な領域は、合金番号3、4、5及び6を結ぶ直線で囲まれる領域内の合金組成である。これらの合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる範囲の領域の合金組成を選択することにより、レーザ溶接を行った場合に高品質で封止を行うことができる安価なろう材を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を表3について説明する。
この第2の実施形態では、Al及びSiの少なくとも一方を含む添加剤を上記第1の実施形態における合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる領域の合金組成に少量添加することにより、表面酸化が少なく、寸法精度も良好な球状小径ボールのろう材を形成することができるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、下記表3に示すように、前述した第1の実施形態における合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる領域内の略中央の合金番号8を代表例として説明する。合金組成は、まず、Au:Ag:Sn=55.9:24.1:20.0の重量比率で溶解し、組成を分析確認した後、Al及びSiの少なくとも一方を含む添加剤をAu+Ag+Snを一つの材料と考えて、表3で示される範囲で、所定量を添加して合金番号801〜815を作成した。これらの合金番号801〜815を液滴法によって直径0.35mmの球状小径ボールを形成し、前述した第1の実施形態で説明した方法で、レーザ溶接を行い断面観察によって割れを調査した。
Figure 2009190055
このように、Au+Ag+Snを一つの材料としてAl及びSiの少なくとも一方を含む添加剤を少量添加することにより、液滴法でろう材の球状小径ボールを製作する際に、表面酸化が少なく、寸法精度も良好な球状小径ボールを製作することができる。
すなわち、Al及びSiの少なくとも一方を含む添加剤をAu−Ag−Sn系ろう材に添加することにより、主原料であるAu、Ag及びSnの溶解が良好となる。液滴法で球状小径ボールを製作する場合、一般には例えばアルゴンガスや窒素ガスを使用した不活性雰囲気で行われる。しかし、残存する空気中の酸素、水分あるいは原料表面に吸着あるいは酸化物として持ち込まれた酸素が存在する。この酸素は、溶解中に酸化物を浮遊させ、滴下を阻害する。また、溶湯中の酸素は溶湯の粘度を高くしてしまい、やはり滴下を阻害する。これにより、滴下により作られた球状小径ボールは形状に歪みを生じたり、球が連結したりする。あるいは表面が酸化物で覆われる等の悪影響を受ける。
しかし、微量のAl及びSiの少なくとも一方を含む添加剤を添加することにより、脱酸作用が働き、酸化物として溶湯上に浮遊し、溶解中の溶湯の清浄度が上がる。このため、滴下により製造される球状小径ボールも、表面酸化が少なく、寸法精度も良好な状態で作ることが可能となる。
そして、上記表3で明らかなように、Al及びSiを単独で添加した場合には、合金番号803及び804のようにAl及びSiの添加量が重量比で0.1wt%以上で脱酸の効果が現れ、レーザ溶接時の湯流れもより良好になる。
しかしながら、合金番号813及び814に示すように、Al及びSiの添加量が重量比で2wt%を超えると、脱酸効果は良好であるが、レーザ溶接で溶接面の引けが顕著になる。使用上は問題ないが、外観面で窪み状となるため、製品への使用は推奨できない。
一方、Al及びSiの両方を添加する場合には、合金番号805で示すように、Al=0.05wt%、Si=0.05wt%でも脱酸効果を得ることができ、引け巣の発生もなく、良好な封止を行うことができる。同様に、合金番号810で示すように、Al=1wt%、Si=1wt%でも脱酸効果を得ることができ、引け巣の発生もなく、良好な封止を行うことができる。
ところが、合金番号815で示すように、Al=1.3wt%、Si=1.2wt%で添加すると、脱酸効果は良好であるが、レーザ溶接で溶接面の引けが顕著になり、使用上は問題ないが、外観面で窪み状となるため、製品への使用は推奨できない。
したがって、前述した第1の実施形態における合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる領域内の組成比を有する合金に対してAl及びSiを単独で添加する場合には、Au+Ag+Snを一つの材料と考えて、これに対して0.1wt%以上2wt%以下の重量比で添加する。また、Al及びSiの両方を添加する場合には、Au+Ag+Snを一つの材料と考えて、これに対して最大で2wt%の重量比で添加することにより、液滴法による球状小径ボールの製造が容易になると共に、レーザ溶接性も向上させることが確認された。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態は、球状小径ボールを形成する場合に代えてペースト状のろう材を適用してパッケージの封止孔を封止するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、前述した第2の実施形態の合金番号806の組成を有するろう材を使用して真空封止している。この真空封止方法としては、まず、合金番号806の組成の材料をアルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気中で溶解し、組成を分析確認した後、表面の酸化物を除去し、ガスアトマイズ法で微粉化する。得られた粉末は、粒径が10μm以下の粉末に篩い分けし、篩い分けされた粉末に対して体積比15%の流動パラフィンを添加すると共に、粘度調整用のプロパノールを体積比約1%添加し、混練機によりペースト状に調整する。
調整された合金番号806のペーストを、固定治具に多数個整列されたパッケージ状の真空封止部に、シルクスクリーン印刷にて、約50μmの厚さに印刷する。印刷されたパッケージは、真空乾燥炉にて加熱されながら流動パラフィンとプロパノールを蒸発分解させる。その後、レーザ溶接又は真空加熱炉で、印刷された合金番号806のろう材を溶解し、封止部にろう付けする。
このように、第3の実施形態によると、ろう材を所定粒径に微粉化し、バインダーとして流動パラフィン及びプロパノールを適量添加してから混練してペーストを作成し、作成したペーストをシルクスクリーン印刷でパッケージの真空封止部に所定膜厚で印刷して塗布し、真空乾燥炉でバインダーを蒸発分解させてから、レーザ溶接又は真空加熱炉でろう材を溶解して封止部を封止することにより、前述したろう材を球状小型ボールとしてレーザ溶接で溶解して真空封止する場合と同様の封止効果を得ることができる。
なお、上記第3の実施形態においては、合金番号806のろう材をペースト化した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第2の実施形態における合金番号803〜812のろう材をペースト化したり、前述した第1の実施形態における合金番号1〜6を結ぶ直線で囲まれる領域内の組成比のろう材をペースト化するようにしたりしてもよい。
また、上記第3の実施形態では、ペーストをパッケージの封止部に塗布するために、スクリーン印刷技術を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ペーストを封止部に定量塗布可能な定量供給装置を使用して封止部に塗布するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、電子デバイスとして、音叉型水晶発振器を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、圧電振動子、圧電発振器等の他の電子デバイスの封止部を気密に封止する場合に本発明を適用することができる他、真空封止に限らずIC部品などを内装した電子デバイスや一般機械部品等のろう付けにも本発明のろう材を適用することができる。
本発明の第1の実施形態を示すろう材における組成範囲を示す三元組成図である。 本発明に係る電子デバイスの構成及び封止方法を示す図である。 Au−Ag−Sn合金のSn量と硬さの関係を示す特性線図である。
符号の説明
11…ベース、12…蓋部、13…パッケージ、14…水晶振動片、14a…基端部、14b…振動腕先端部、15…底板部、16…枠体部、17…キャビティ、18…導電性接着剤、19…接続電極、20…凹部、22…低融点ガラス、23…封止孔、24…外側孔部、25…内側孔部、27…封止材(ろう材)、28…メタライズ部、29…段差、30…球状小径ボール

Claims (6)

  1. Au、Ag、Snの三元組成図において、
    組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))が、
    点1(53.0,23.5,23.5)、
    点2(65.9,12.3,21.8)、
    点3(66.1,15.0,18.9)、
    点4(67.3,19.1,13.6)、
    点5(45.5,39.0,15.5)、
    点6(49.6,28.7,21.7)
    の6点を結ぶ直線で囲まれた領域にあり、残部が不可避成分であることを特徴とするろう材。
  2. Au、Ag、Snの三元組成図において、
    組成比(Au(wt%),Ag(wt%),Sn(wt%))が、
    点3(66.1,15.0,18.9)、
    点4(67.3,19.1,13.6)、
    点5(45.5,39.0,15.5)、
    点6(49.6,28.7,21.7)
    の4点を結ぶ直線で囲まれた領域にあり、残部が不可避成分であることを特徴とするろう材。
  3. 添加剤としてAl及びSiの少なくとも一方を含み、Au+Ag+Snを単一材料と見なした場合に、前記添加剤を0.1wt%以上2wt%以下添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のろう材。
  4. パッケージのキャビティ内に部品を気密に封止してなる電子デバイスであって、
    前記キャビティの内部と前記パッケージの外部とを連通する封止孔が、請求項1乃至3の何れか1項に記載のろう材を用いて封止されていることを特徴とする電子デバイス。
  5. パッケージのキャビティ内に部品を気密に封止してなる電子デバイスの封止方法であって、
    前記キャビティの内部と前記パッケージの外部とを連通する封止孔に対して、請求項1乃至3の何れか1項に記載のろう材を配置し、当該ろう材を加熱溶解させて前記封止孔を閉塞することを特徴とする電子デバイスの封止方法。
  6. パッケージのキャビティ内に部品を気密に封止してなる電子デバイスの封止方法であって、
    前記キャビティの内部と前記パッケージの外部とを連通する封止孔に対して、請求項1乃至3の何れか1項に記載のろう材を微粉化してバインダーを添加したペースト状体を塗布し、前記バインダーを蒸発させてから前記ペースト状体を加熱溶解させて前記封止孔を閉塞することを特徴とする電子デバイスの封止方法。
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