JP2016060158A - セラミックシート製造用離型フィルム - Google Patents
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Description
1. 2層以上からなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材は、粒子を実質的に含有していない表面層Aと粒子を含有する表面層Bを有し、表面層Aの表面上に離型塗布層が積層され、かつ表面層Bの表面上に平滑化塗布層が積層されてなり、平滑化塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以上25nm以下かつ最大突起高さ(P)が800nm以下であることを特徴するセラミックシート製造用離型フィルム。
2. 表面層Bに含有する粒子が、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、粒子の合計が表面層B中に5000〜15000ppm含有されていることを特徴とする上記第1に記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
3. 前記離型フィルムの離型塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以下かつ最大突起高さ30nm以下であることを特徴とする上記第1または第2に記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
4. 前記離型フィルムの平滑化塗布層に、易滑性樹脂が含まれることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
(但し、易滑性樹脂とは、ポリエステルフィルムに積層したときの表面自由エネルギーγsが25mN/m以下のものを言う。)
5. 前記離型フィルムの離型塗布層と平滑化塗布層を重ね合わせたときの静摩擦係数μsが0.1以上2.0以下であることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
6. 上記第1〜第5のいずれかに記載のセラミックシート製造用離型フィルムを用いて作成されたことを特徴とするセラミックシート。
7. 0.2μm〜1.0μmの厚みを有することを特徴とする上記第6に記載のセラミックシート。
8. 上記第6または第7に記載のセラミックシートが用いられてなることを特徴とするセラミックコンデンサ。
本発明の基材として用いる二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成形したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。
本発明における離型塗布層を構成する樹脂には特に限定はなく、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、各種ワックス、脂肪族オレフィンなどを用いることができ、各樹脂を単独もしくは、2種類以上併用することもできる。
本発明の離型フィルムにおいて、表面層Bの上に、平滑化塗布層が設けられている。
領域表面平均粗さを制御した表面層B上に、さらに平滑化塗布層を設けることで、より高度に領域表面平均粗さと最大突起高さを制御することができる。そのため、0.2〜1.0μmの超薄層セラミックシートを離型塗布層に成型後、ロール状に巻き取った後でも、平滑化塗布層の凹凸転写がなく超薄層セラミックシートのピンホールなどの欠点を抑制することができる。
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は5回測定の最大値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:50倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 187×139μm
離型フィルムロールから8cm×5cmの面積に切り出し、試料フィルムを作成した。これを大きさ6cm×5cmの底面を有する重さ1.4kgの金属製直方体底面に、平滑化塗布層が表に現れるように固定した。この時、試料フィルムの5cm幅方向と金属直方体の5cm幅方向を合わせ、試料フィルムの長手方向の一辺を折り曲げ、金属直方体の側面に粘着テープで固定した。
滑り性について、以下の基準で判断した。
○:0.1<μs<1.5
△:1.5<μs<2.5
× :摩擦係数が高すぎて測定不可
表面張力が既知である水、およびヨウ化メチレンの本発明中に記載のフィルムもしくは樹脂に対する接触角:θw、θyを接触角計(協和界面科学株式会社製:CA-X型)を用い、25℃、50%RHの条件下で測定した。これらの測定値を用い、以下のようにして、本発明中で記載のフィルムもしくは樹脂の表面張力γsを算出した。
γs=γsd+γsp (式1)
また、Youngの式より、
γs=γsw+γw×cosθw (式2)
γs=γsy+γy×cosθy (式3)
ここで、γswはフィルムもしくは樹脂と水との間に働く張力、γswはフィルムもしくは樹脂とヨウ化メチレンとの間に働く張力、γwは水の表面張力、γyはヨウ化メチレンの表面張力である。
また、Fowkesの式より、
γsw=γs+γw−2×(γsd×γwd)1/2−2×(γsp×γwp)1/2 (式4)
γsy=γs+γy−2×(γsd×γyd)1/2−2×(γsp×γyp)1/2 (式5)
である。ここで、γwdは水の表面張力の分散性成分、γwpは水の表面張力の極性成分、γydはヨウ化メチレンの表面張力の分散性成分、γypはヨウ化メチレンの表面張力の極性成分である。
式1から式5の連立方程式を解くことにより、フィルムもしくは樹脂の表面張力γs=γsd+γspを算出できる。この時、水の表面張力(γw)は72.8dyne/cm、ヨウ化メチレンの表面張力(γy)は50.5dyne/cm、水の表面張力の分散性成分(γwd)は21.8dyne/cm、水の表面張力の極性成分(γwp)は51.0dyne/cm、ヨウ化メチレンの表面張力の分散性成分(γyd)は49.5dyne/cm、ヨウ化メチレンの表面張力の極性成分(γyp)は1.3dyne/cmを用いた。
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、2.0mmのガラスビーズを分散媒とするペイントシェーカーを用いて2時間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 22.5質量%
エタノール 22.5質量%
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 50 質量%
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBH−3) 5 質量%
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥後、スラリー面と平滑化塗布層面を重ね合わせ、10分間、1kg/cm2の加重を掛けたあと、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cm2の範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。
○:ピンホールの発生なし
△:ピンホールの発生がほぼなし
×:ピンホールの発生が多数あり
本発明のフィルムの平滑化塗布層にトルエン/エタノール=1/1の溶剤を付着した綿棒で擦ったときの外観変化から評価した。
○:外観に変化なし
△:外観にやや変化あり(白化)
×:外観が大幅に変化(白くなる)
本発明のフィルムの平滑化塗布層を、未処理のPETフィルムにを重ね合わせ、1kg/cm2の加重を10分間かけたあと、未処理のPETフィルムに移行したシリコーン成分をマジックペンの弾き具合で評価した。評価基準は、以下の通りとして目視判断した。
○:マジックペンが全く弾かない
△:マジックペンが少し弾く
×:マジックペンが著しく弾く
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm2)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャステイング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは28nmであった。
下記実施例1〜11及び比較例1〜5において、UV硬化型シリコーン樹脂(モメンティブ社製 UV9300)100質量部と硬化触媒ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート1質量部を、トルエン/メチルエチルケトン/ヘプタン(=3:5:2)溶液で希釈し、固形分2質量%の離型剤溶液を調製した。この離剤溶液を積層フィルムX1の粒子を含有しない表面層Aに乾燥重量0.1g/m2となるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、90℃の熱風で30秒間乾燥した後、直ちに無電極ランプ(フュージョン株式会社製Hバルブ)にて紫外線照射(300mJ/cm2)を行い、離型層Y1を形成した。
下記実施例12において、熱付加型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製 LTC310)100質量部と硬化触媒(東レダウ・コーニング社製 SRX212)を2質量部をトルエン/メチルエチルケトン=5/5溶液で希釈し、固形分2質量%の離型剤溶液を調整した。この離剤溶液を積層フィルムX1の粒子を含有しない表面層Aに乾燥重量0.1g/m2となるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、120℃の熱風で30秒間乾燥し離型層Y2を形成した。
(易滑性樹脂(1))
(1)−1: シリコーン変性アクリル樹脂(γs:18mN/m、アクリル骨格の計算Tg:120℃、酸価:65mgKOH/g, )
(1)−2: アクリレート基を有する変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミージャパン社製 BYK3505 γs:19mN/m)
(1)−3:脂環式エポキシ変性シリコーン樹脂(γs17mN/m,モメンティブ社製UV9430)
(2)−1:ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン220、Mn3000)
(2)−2:ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン226 Mn8000)
(2)−3:ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン270 Mn23000)
(2)−4:アクリレート化合物(新中村化学工業製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 分子量578)
(2)−5:エポキシ変性アクリル樹脂(Tg100℃、Mn11000)
(3)−1:イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、コロネートL)
(3)−2:カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル製、カルボジライトV−05)
シリコーン変性アクリル樹脂(1)−1 (γs:18dyne/cm、アクリル骨格の計算Tg:120℃、酸価:65mgKOH/g)を、トルエン/メチルエチルケトン(=1:1)溶液で希釈し、固形分10質量%の塗工液z1を調製した。この塗工液z1を積層フィルムの離型層と反対面に乾燥重量0.7g/m2となるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、120℃30秒乾燥することで平滑化塗布層C1を形成した。
表1に記載の樹脂、混合割合、膜厚になるように調整し、平滑化塗布層Z1と同様の方法で平滑化塗布層Z2〜Z7を形成した。
表1に記載の必要になるように、架橋剤を添加し、160℃30秒乾燥すること以外は、平滑化塗布層Z1と同様の方法で平滑化塗布層Z8、Z9を形成した。
表1に記載の樹脂を混合し、光開始剤(イルガキュア184、BASF製)を添加し、塗工後90℃30秒乾燥した後、直ちに無電極ランプ(フュージョン株式会社製Hバルブ)にて紫外線照射(300mJ/cm2)すること以外は、平滑化塗布層Z1と同様の方法で平滑化塗布層Z10を形成した。
表1に記載の樹脂を混合し、硬化触媒ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート1質量部添加する以外は、平滑化塗布層Z10と同様の方法にて平滑化塗布層Z11形成した。
積層フィルムX1の表面層A上に離型層Y1を形成した後に、表面層B上に平滑化塗布層Z1を形成することで超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
表1に記載の組み合わせで超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
平滑化塗布層を形成しないこと以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
積層フィルムX1の代わりに、E5100−25μm(東洋紡製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。E5100は、表面層A、表面層Bともに粒子を含有しており、表面層A、表面層Bの両層のSaがともに31nmであった。
表1記載の組み合わせで、超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
Claims (8)
- 2層以上からなる二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材は、粒子を実質的に含有していない表面層Aと粒子を含有する表面層Bを有し、表面層Aの表面上に離型塗布層が積層され、かつ表面層Bの表面上に平滑化塗布層が積層されてなり、平滑化塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以上25nm以下かつ最大突起高さ(P)が800nm以下であることを特徴するセラミックシート製造用離型フィルム。
- 表面層Bに含有する粒子が、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、粒子の合計が表面層B中に5000〜15000ppm含有されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
- 前記離型フィルムの離型塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以下かつ最大突起高さ30nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
- 前記離型フィルムの平滑化塗布層に、易滑性樹脂が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
(但し、易滑性樹脂とは、ポリエステルフィルムに積層したときの表面自由エネルギーγsが25mN/m以下のものを言う。) - 前記離型フィルムの離型塗布層と平滑化塗布層を重ね合わせたときの静摩擦係数μsが0.1以上2.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックシート製造用離型フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックシート製造用離型フィルムを用いて作成されたことを特徴とするセラミックシート。
- 0.2μm〜1.0μmの厚みを有することを特徴とする請求項6に記載のセラミックシート。
- 請求項6または7に記載のセラミックシートが用いられてなることを特徴とするセラミックコンデンサ。
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