JP2020185763A - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
1. ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の一方の表面上に離型塗布層を有し、かつ、もう一方の表面上に無機粒子を実質的に含有していない易滑塗布層を有し、前記易滑塗布層の表面自由エネルギーが25mJ/m2以上、45mJ/m2以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 前記ポリエステルフィルム基材が無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、前記表面層A上に離型塗布層を有する上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 前記ポリエステルフィルム基材が無機粒子を実質的に含有していない表面層A、及び前記ポリエステルフィルム基材の表面層Aの反対側に粒子を含有する表面層Bを有し、前記表面層A上に離型塗布層を有し、前記表面層B上に無機粒子を実質的に含有していない易滑塗布層を有する上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. 上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法。
5. 製造するセラミックグリーンシートの厚みが、0.2μm以上1.5μm以下である上記第4に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
6. 上記第4または第5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム(以下、単に離型フィルムということがある)は、基材フィルムであるポリエステルフィルムの片面に離型塗布層、もう一方の面に粒子を含まない易滑塗布層を有する離型フィルムである。
本発明において好ましく基材として用いられるフィルムとしては、ポリエステル樹脂より構成されるフィルムであり、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選ばれる少なくとも1種を含むポリエステルフィルムが好ましい。また、前記のようなポリエステルのジカルボン酸成分、又は、ジオール成分の一部として、第三成分モノマーが共重合されたポリエステルからなるフィルムであってもよい。これらのポリエステルフィルムの中でも、物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましい。
本発明の離型フィルムは、上記のようなポリエステル製の基材フィルムの一方の表面上に易滑塗布層を有するものである。易滑塗布層中には、少なくともバインダー樹脂が含まれていることが好ましく、実質的に無機粒子が含まれていないことが好ましい。無機粒子を含有していないことで、セラミックコンデンサ作成工程中での離型フィルムからの無機粒子の脱落が発生しないため好ましい。この「無機粒子を実質的に含有しない」とは、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に無機粒子を易滑塗布層中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、易滑塗布層中に混入する場合があるためである。
本発明における易滑塗布層を構成するバインダー樹脂としてはアクリル樹脂が含まれていることが好ましい。アクリル樹脂は、分子中に水酸基、及びカルボキシル基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。水酸基を有する構成ユニットは、全構成ユニット100モル%中、20〜90モル%含まれていることが更に好ましい。水酸基を有する構成ユニットが20モル%以上であると、アクリル樹脂の水溶性を適度に保つことができ好ましい。一方、90モル%以下であると、得られる塗膜のガラス転移温度(Tg)が低くなりすぎず好ましい。
Tgn:各モノマーのホモポリマーのTg(K)
本発明において、易滑塗布層中に架橋構造を形成させるために、易滑塗布層はオキサゾリン系架橋剤またはカルボジイミド系架橋剤から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有していることが好ましい。オキサゾリン系架橋剤またはカルボジイミド系架橋剤を含有させることにより、PET基材との密着性を向上させること、及びアクリル樹脂のカルボキシル基との架橋を促進させることにより易滑層の塗膜強度を向上させることができ、結果として離型フィルムロールを巻きだした時の巻出し帯電を抑制することができる。また他の架橋剤を併用してもよく、併用できる具体的な架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、シラノール系等が挙げられる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用することができる。
易滑塗布層に他の機能性を付与するために、塗布外観を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明において、基材フィルムとなるポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度(Tg)以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。また、テンター内で縦横同時に二軸延伸する方法も挙げられる。
本発明における離型塗布層を構成する樹脂には特に限定はなく、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、各種ワックス、脂肪族オレフィンなどを用いることができ、各樹脂を単独もしくは、2種類以上併用することもできる。
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
アクリルポリオール中に導入された共重合成分の比率は、核磁気共鳴分光法(1H−N
MR、13C−NMR:Varian Unity 400、Agilent社製)を用いて確認した。測定は、合成したアクリルポリオール中の溶媒を真空乾燥機にて除去した後、乾固物を重クロロフォルムに溶解させて行った。得られたNMRスペクトルから、各基の部位に帰属される化学シフトδ(ppm)のピークを同定した。得られた各ピークの積分強度を求め、各基の部位の水素数と積分強度から、アクリルポリオールに導入された共重合成分の組成比率(mol%)を確認した。
上記NMR測定で求めた共重合成分の組成比率と、前記したFoxの式から各アクリルポリオールのTgを求めた。
アクリルポリオール自体の延伸適性を評価するため、合成したアクリルポリオール(A−1)〜(A−5)を、固形分濃度が12質量%となるように、イソプロパノール30質量%と水70質量%の混合溶媒(25℃)中に投入して、アクリルポリオール単体の溶解液を調製した後、縦延伸のみを行ったポリエステルフィルムの表面に、溶解液をメイヤーバー#5で塗布した。次いで、塗布層(厚み6.5μm)を形成したフィルムサンプルを、温度60℃に設定した熱風循環オーブン中に30秒間静置した後、フィルムサンプルをオーブンから取り出してプレ乾燥を行った。次いで、サンプルを手廻し延伸装置(東洋紡エンジニアリング社製)にセットして、100℃の熱風循環オーブン中に入れ、ゆっくりと延伸操作を行った。延伸前の長さの4倍の長さになるまで延伸操作を行い、延伸装置を熱風循環オーブンから取り出した。その後、延伸後の塗膜を光学顕微鏡(倍率:200倍)にて観察し、下記の基準に従って、延伸によるクラッキングの有無を判断した。
○:クラックが全く見られない。
△:クラックがやや見られる(1本〜4本)。
×:5本以上のクラック、もしくは全面にクラックが見られる。
サンプル約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(A(g))、ベンジルアルコー
ル10mlを加え、窒素雰囲気下で230℃のヒーターにて15分加熱し樹脂を溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10ml、クロロフォルム20ml、フェノールフタレイン溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=B(ml)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=C(ml))、以下の式に従って算出した。
酸価(mgKOH/g)=(B−C)×0.02×56.11×p÷A
オキサゾリン基を有する樹脂を凍結乾燥し、核磁気共鳴分析計(NMR)(ヴァリアン
社製「ジェミニ−200」)を用いた1H−NMR分析から、オキサゾリン基に由来する
吸収ピーク強度と、その他のモノマーに由来する吸収ピーク強度とを求め、そのピーク強
度からオキサゾリン基量(mmol/g)を算出した。
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は5回測定の最大値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:50倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 187×139μm (Sa,P測定)
摩擦堅牢度試験機(大栄科学精器製作所製、RT−200)にグリーンシート製造用離型フィルム(3cm(フィルム幅方向)×20cm(フィルム長手方向))を易滑塗布層が上になるように取り付け、荷重ヘッド部(2cmx2cm、200g)と試料フィルムの接触部にアルミ箔(厚さ80μm、算術的平均表面粗さ0.03μm)を用い、10cmの距離を1往復2秒の速度で50往復させた。黒台紙の上に得られたフィルムをのせ、粉落ちしているか目視で確認した。
○:黒台紙上で粉落ちが確認できない。
×:黒台紙上で全体的に粉落ちが確認できる。
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、エチレングリコール(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、エチレングリコールの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の計算ソフトを用いて行った。
各実施例および各比較例で得られたグリーンシート製造用離型フィルムを、巻取り張力150N/m、巻取りタッチロール圧力300N/m、速度200m/minの条件で、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げ、離型フィルムロールを得た。得られた離型フィルムロール端面のズレ量をデプスゲージ(ミツトヨ製、品番:547−211)を用いて計測した。
○:1mm未満
△:1mm以上、2mm未満
×:2mm以上
各実施例および各比較例で得られたグリーンシート製造用離型フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げ、離型フィルムロールを得た。この離型フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管した後、200m/minで巻き返す際の帯電量を春日電機社製「KSD−0103」を用いて測定した。帯電量は、巻出し直後100mmの箇所について、巻出し長さ500M毎に測定し、その平均値を算出した。
○:±3kV未満
○△:±3kV以上、5kV未満
△:±5kV以上、10kV未満
×:±10kV以上
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、2.0mmのガラスビーズを分散媒とするペイントシェーカーを用いて2時間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 22.5質量%
エタノール 22.5質量%
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 50 質量%
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBH−3) 5 質量%
次いで離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1.0μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥後、スラリー面と易滑塗布層面を重ね合わせ、10分間、1kg/cm2の加重を掛けたあと、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cm2の範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。
○:ピンホールの発生なし
○△:ピンホールの発生ごくわずかにあり
△:ピンホールの発生わずかにあり
×:ピンホールの発生が多少あり
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm2)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
撹拌機、還流式冷却器、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)231質量部、ステアリルメタクリレート(SMA)130質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)100質量部、メタクリル酸(MAA)33質量部およびイソプロピルアルコール(IPA)1153質量部を仕込み、撹拌を行いながら80℃までフラスコ内を昇温した。フラスコ内を80℃に維持したまま3時間の撹拌を行い、その後、2,2−アゾビス−2―メチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオンアミドを0.5質量部フラスコに添加した。フラスコ内を120℃に昇温しながら窒素置換を行った後、120℃で混合物を2時間撹拌した。
次いで、120℃で1.5kPaの減圧操作を行い、未反応の原材料と溶媒を除去し、アクリルポリオールを得た。フラスコ内を大気圧に戻して室温まで冷却し、IPA水溶液(水含量50質量%)1976質量部を添加混合した。その後、撹拌しながら滴下ロートを用いて、アンモニアを加え、溶液のpHが5.5〜7.5の範囲になるまでアクリルポリオールの中和処理を行い、固形分濃度が20質量%のアクリルポリオール(A−1)を得た。アクリルポリオール(A−1)のNMR測定による組成比率、Tg、延伸適性、酸価を表1に併記した。
表1に示したように、MMA、SMA、HEMA、MAA、仕込み時IPA、希釈時IPA水溶液の量を変更した以外はアクリルポリオール1の製造と同様にして、固形分濃度が20質量%のアクリルポリオール(A−2)〜(A−5)を得た。アクリルポリオール(A−2)〜(A−5)のNMR測定による組成比率、ガラス転移温度(Tg)、延伸適性、酸価を表1に併記した。なお、組成比率は、MMA、SMA、HEMA、MAAを各々n1、n2、n3、n4(単位)として表した。
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチルー5−ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、エチレングリコール185.1質量部、ネオペンチルグリコール185.1質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(B0−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(B0−1)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(B0−1)の還元粘度を測定したところ,0.60dl/gであった。DSCによるガラス転移温度(Tg)は65℃であった。
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(B0−1)30質量部、エチレングリコール−n−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体(B−1)を作製した。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分37質量%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液C−1を調製した。得られたポリウレタン樹脂のガラス転移点温度(Tg)は−30℃であった。
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール460.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調製しておいたメタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート84部からなる単量体混合物と、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジン工業株式会社製「ABN−E」)21部およびイソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下漏斗から2時間かけて滴下して反応させ、滴下終了後も引き続き5時間反応させた。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。その後、反応液を冷却し、固形分濃度25%のオキサゾリン基を有する樹脂(D−1)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(D−1)のオキサゾリン基量は4.3mmol/gであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定した数平均分子量は20000であった。
上記オキサゾリン基を有する樹脂(D−1)の合成と同様の方法で、組成(オキサゾリン基量および分子量)の異なる固形分濃度10%のオキサゾリン基を有する樹脂(D−2)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(D−2)のオキサゾリン基量は7.7mmol/gであり、GPCにより測定した数平均分子量は40000であった。
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネート168質量部とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(M400、平均分子量400)220質量部を仕込み、120℃で1時間、撹拌し、更に4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート26質量部とカルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド3.8質量部(全イソシイアネートに対し2質量%)を加え、窒素気流下185℃で更に5時間撹拌した。反応液の赤外スペクトルを測定し、波長2200〜2300cm-1の吸収が消失したことを確認した。60℃まで放冷し、イオン交換水を567質量部加え、固形分40質量%のカルボジイミド水溶性樹脂(E−1)を得た。
シリコーン変性アクリル樹脂(東亜合成製、商品名サイマックUS450、固形分濃度30質量%)
コロイダルシリカ(日産化学製、商品名MP2040、平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
コロイダルシリカ(日産化学製、商品名MP4540M、平均粒径450nm、固形分濃度40質量%)
熱硬化型アミノアルキド樹脂(日立化成社製 テスファイン314、固形分60質量%)100質量部と硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸(日立化成社製、ドライヤー900、固形分50質量%)1.2質量部を、トルエン/メチルエチルケトン/ヘプタン(=3:5:2)溶液で希釈し、固形分2質量%の離型剤溶液を調製した。
UV硬化型シリコーン樹脂(モメンティブ社製 UV9300、固形分濃度100質量%)100質量部と硬化触媒ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート1質量部を、トルエン/メチルエチルケトン/ヘプタン(=3:5:2)溶液で希釈し、固形分2質量%の離型剤溶液を調製した。
(易滑塗布液1の調整)
下記の組成の易滑塗布液1を調整した。
(易滑塗布液1)
水 47.45質量部
イソプロピルアルコール 30.00質量部
アクリルポリオール樹脂A−1(固形分濃度20質量%) 16.57質量部
オキサゾリン系架橋剤D−1(固形分濃度25質量%) 5.68質量部
界面活性剤H−1(シリコーン系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
PETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60質量%/40質量%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。
上記で得たインラインコーティングポリエステルフィルムに離型剤溶液X−1を易滑塗布層積層面とは反対表面に、乾燥後の厚みで0.1μmとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、130℃の熱風で30秒間乾燥することで離型塗布層を形成し超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。巻き取り性等、工程通過性、ハンドリング性は特に問題なく優秀であった。ロールとして巻き取った後に、セラミックシート塗工のために再度巻きだした時の巻出し帯電も低く、環境異物の付着が抑制できセラミックコンデンサの歩留まりを落とすことなく、品質の良いセラミックコンデンサを作成することができた。
実施例1で使用した易滑塗布液1を易滑塗布液2〜8に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
表面層A(離型面側層)、表面層B(反離型面側層)共に、粒子を含有するPET(I
)を用いた以外は実施例1と同様の方法でセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。ここで、易滑塗布層を含まないPET基材をYとする。得られたPET基材の固有粘度は0.59dl/gであった。
離型塗布層の形成を下記のように実施した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(離型塗布層の形成)
得たポリエステルフィルムに離型剤溶液X−2を乾燥後の厚みで0.1μmとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、90℃の熱風で30秒間乾燥した後、直ちに無電極ランプ(フュージョン株式会社製Hバルブ)にて紫外線照射(300mJ/cm2)を行い、離型塗布層を形成し超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
実施例1で使用した易滑塗布液1を易滑塗布液9〜11に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較的1〜3のフィルムは易滑塗布層の表面自由エネルギーが高く、巻出し帯電も高かった。そのため付着異物が増加しセラミックグリーンシートのピンホールが多く発生した。
表面層A(離型面側層)、表面層B(反離型面側層)共に、粒子を含有しないPET(II)を用い、易滑塗布液1を粒子を含有する易滑塗布液12に変更した以外は、実施例1
と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較例4のフィルムは易滑塗布層に粒子を含んでおり、工程中で粒子の脱落が発生することで、セラミックグリーンシートにピンホールが発生した。
実施例1で使用した易滑塗布液1を易滑塗布液13に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較的5のフィルムは易滑塗布層の表面自由エネルギーが低く、滑り性が良くなりすぎるためフィルムロールの巻ズレ量が多くなった。巻ズレ量が多くなることで搬送中のフィルムが蛇行することにより離型フィルムにキズが付き、セラミックグリーンシートのピンホールが多く発生した。
離型塗布層を形成するフィルムとして、実施例9で作成したフィルムの易滑塗布層を有しない以外は、実施例1と同様の方法でセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較例6のフィルムは反離型面側の表面自由エネルギーが高く、巻出し帯電も高かった。そのため付着異物が増加しセラミックグリーンシートのピンホールが多く発生した。
離型塗布層を形成するフィルムとして、実施例1で作成したフィルムの易滑塗布層を有しない以外は、実施例1と同様の方法でセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較例7のフィルムは反離型面側の表面自由エネルギーが高く、巻出し帯電も高かった。そのため付着異物が増加しセラミックグリーンシートのピンホールが多く発生した。
Claims (6)
- ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の一方の表面上に離型塗布層を有し、かつ、もう一方の表面上に無機粒子を実質的に含有していない易滑塗布層を有し、前記易滑塗布層の表面自由エネルギーが25mJ/m2以上、45mJ/m2以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 前記ポリエステルフィルム基材が無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、前記表面層A上に離型塗布層を有する請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 前記ポリエステルフィルム基材が無機粒子を実質的に含有していない表面層A、及び前記ポリエステルフィルム基材の表面層Aの反対側に粒子を含有する表面層Bを有し、前記表面層A上に離型塗布層を有し、前記表面層B上に無機粒子を実質的に含有していない易滑塗布層を有する請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法。
- 製造するセラミックグリーンシートの厚みが、0.2μm以上1.5μm以下である請求項4に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
- 請求項4または5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
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