JP2019072849A - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】離型層表面の高い平滑性を維持し、かつ、離型層の耐溶剤性が良好なものとし、離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離する時にかかる力を低く、かつ均一にすることで、厚みが1μm以下の超薄層品でも剥離時にセラミックグリーンシートにダメージを与えるおそれのないセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供すること。【解決手段】セラミックグリーンシート製造用離型フィルムであって、フィルム基材の少なくとも片方の面に離型層を設けた離型フィルムであって、前記離型層の表面の領域表面平均粗さSaが7nm以下であり、前記離型層表面のジヨードメタン接触角θ1と前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θ2の差(θ1−θ2)が絶対値として3.0°以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものであり、詳しくは超薄層のセラミックグリーンシート製造時にピンホール及び厚みムラによる工程不良の発生を抑制し得るセラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものである。
従来ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層を積層した離型フィルムは、積層セラミックコンデンサ、セラミック基板等のセラミックグリーンシート成型用に使用されている。近年、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化に伴い、セラミックグリーンシートの厚みも薄膜化する傾向にある。セラミックグリーンシートは、離型フィルム上に、チタン酸バリウムなどのセラミック成分とバインダー樹脂を含有したスラリーを塗工し乾燥することで成型される。成型したセラミックグリーンシートに電極を印刷し離型フィルムから剥離した後、セラミックグリーンシートを積層、プレスし、焼成、外部電極を塗布することで積層セラミックコンデンサが製造される。ポリエステルフィルムの離型層表面にセラミックグリーンシートを成型する場合、離型層表面の微小な突起が成型したセラミックグリーンシートに影響を与え、ハジキやピンホール等の欠点を生じやすくなるといった問題点があった。そのため、平坦性に優れた離型層表面を実現するための手法が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら近年、さらなるセラミックグリーンシートの薄膜化が進み、1.0μm以下、より詳しくは0.2μm〜1.0μmの厚みのセラミックグリーンシートが要求されるようになってきた。そのため、より平滑な離型層表面を持つ離型フィルムが望まれている。加えて、薄膜化に伴いセラミックグリーンシートの強度が低下するため、セラミックグリーンシートを離型フィルムから剥離するときの剥離力を低くかつ均一に行うことも望まれている。すなわち、離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するときにセラミックグリーンシートにかかる力を極力少なくし、セラミックグリーンシートにダメージを与えないようにすることがより重要になってきている。
近年になって、紫外線硬化性樹脂を用いることで、離型層の表面が平滑になることが見出された。また、同時に離型層に含まれるシリコーン系成分、またはその硬化物によって、セラミックシートとの剥離性にも優れることが見出されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載された方法によると、紫外線硬化性樹脂とシリコーン系成分の相溶性が悪いために、離型層加工時にシリコーン成分が離型層表面に過剰に偏析しやすかった。その結果、離型層表面に過剰に偏析したシリコーンは紫外線硬化性樹脂と反応しづらく、離型層に固定されにくくなるため、有機溶剤によって脱落しやすく、耐溶剤性の悪化を招くという問題があった。離型層の耐溶剤性が悪いと、セラミックグリーンシート加工や内部電極印刷時に用いる有機溶剤、例えばトルエンなどによって離型層が浸食され、セラミックグリーンシートを剥離する時の力の増大や剥離の均一性が損なわれるという問題があった。
特開2000−117899号公報 国際公開第2013/145864号
本発明は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、離型層表面の高い平滑性を維持し、かつ離型層の耐溶剤性が良好なものとし、離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離する時にかかる力を低く、かつ均一にすることで、厚みが1μm以下の超薄層品でも剥離時にセラミックグリーンシートにダメージを与えるおそれのないセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供しようとするものである。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. セラミックグリーンシート製造用離型フィルムであって、フィルム基材の少なくとも片方の面に離型層を設けた離型フィルムであって、前記離型層の表面の領域表面平均粗さSaが7nm以下であり、前記離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1−θ)が絶対値として3.0°以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 離型層は、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有する紫外線硬化性化合物(A)、ポリオルガノシロキサン(B)及び光重合開始剤(C)とを含有する離型層形成用材料が硬化されてなり、前記離型層の厚さが0.2〜2μmであり、かつ、前記離型層の表面の最大突起高さRpが50nm以下であり、フィルム基材の前記離型層とは反対側の面の領域表面平均粗さSaが5〜50nmであり、かつ、最大突起高さRpが60〜1000nmである上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 離型層形成用材料における前記ポリオルガノシロキサン(B)の固形分含有量が、0.2〜5質量%である上記第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. フィルム基材が、無機粒子を実質的に含有していない第1の層及び無機粒子を含有する第2の層を有し、第1の層の上に離型層が設けられており、前記第2の層はフィルム基材の反対表面を形成し、前記第2の層が含有する無機粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、無機粒子の合計が第2の層中に5000〜15000ppm含有されている上記第2または第3に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
本発明によれば、セラミックシート加工や内部電極印刷時の有機溶剤による離型層の浸食が抑制されるため、剥離力の増大や剥離の均一性が損なわれるおそれのないセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの提供が可能となる。
本発明の一実施形態に係る離型フィルムの断面模式図である。
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、セラミックグリーンシートの製造に用いられるものである。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るセラミックグリーンシート製造用離型フィルム(以下、単に「離型フィルム」という場合がある。)1は、フィルム基材13と、フィルム基材13の第1の層11の表面111(図1では上面)の上に積層された離型層14とを備えて構成される。そして、フィルム基材13は、フィルム基材13の第1の層11の表面111と反対側の表面を形成する第2の層12が存在することが好ましい。
また、本発明の離型層14は、有機溶剤による離型層の浸食が少ないことが好ましい。離型層の浸食は離型フィルムを有機溶剤に浸漬させた前後の離型層の表面状態の差を評価することで確かめることができる。浸漬に用いる有機溶剤としては、セラミックグリーンシート製造工程や内部電極印刷工程を想定し、一般的なセラミックスラリーや導電性ペーストに用いられるトルエンを用いることが好ましい。離型層の表面状態を評価する方法の一例としては、接触角による評価が挙げられ、トルエン浸漬前後の離型層表面の接触角変化が小さいほど好ましい。
接触角を測定する際に用いる液滴の種類は特に制限されないが、水、ブロモナフタレン、エチレングリコールなどをそれぞれ好適に用いることができるが、離型層の表面状態の差をより顕著に見ることのできるジヨードメタンを用いることが最も好ましい。
接触角の測定に用いる液滴としてジヨードメタンを用いた際には、離型層表面のジヨードメタン接触角θと離型フィルムをトルエンに室温、5分間浸漬した後の離型層表面の接触角θの差(θ−θ)の値が小さいほど、離型層表面の耐溶剤性が良く好ましい。具体的には、絶対値として3.0°以下であることが好ましく、2.0°以下であることが更に好ましく、1.0°以下であることが最も好ましい。3.0°以下であると、セラミックグリーンシート加工や内部電極印刷時の有機溶剤による離型層の浸食が抑えられ、剥離力の増大や剥離の均一性が損なわれるおそれがないため好ましい。離型層表面のジヨードメタン接触角θと離型フィルムをトルエンに室温、5分間浸漬した後の離型層表面の接触角θの差(θ−θ)は0°が最も好ましいが、絶対値として0.05°以上であっても構わず、0.1°以上であっても構わない。
上記のような特徴を有する離型層を設けることで、セラミックグリーンシートの厚さが0.2〜1.0μmであっても、欠点のない良好なグリーンシートを形成できる。また、前記セラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、離型層の表面の高平滑化が得られるとともに、優れた剥離性を備えることができる。
以下、本実施形態に係るセラミックグリーンシート製造用離型フィルム1を構成する各層について詳細に説明する。
<フィルム基材>
本実施形態に係る離型フィルム1におけるフィルム基材13としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このようなフィルム基材13としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を効果的に防止することができる。
また、このフィルム基材13においては、その第1の層11の表面111に設けられる離型層14との密着性を向上させる目的で、第1の層11の表面111に、酸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
フィルム基材13の厚さは、通常10〜250μmであればよく、好ましくは15〜100μmであり、特に好ましくは20〜50μmである。
フィルム基材13の第1の層11の表面111における領域表面平均粗さ(Sa)は、2〜40nmであることが好ましく、特に5〜30nmであることが好ましい。また、フィルム基材13の第1の層11の表面111における最大突起高さ(Rp)は、10〜500nmであることが好ましく、特に30〜300nmであることが好ましい。フィルム基材13の第1の層11の表面111における領域表面平均粗さ(Sa)および最大突起高さ(Rp)を上記の範囲に設定することで、離型層14の表面における領域表面平均粗さ(Sa)および最大突起高さ(Rp)を後述する範囲内におさめることが容易となる。
一方、フィルム基材13の第2の層12の表面112(第1の層の表面と反対側の面;図1では下面;「裏面」という場合がある。)における領域表面平均粗さ(Sa)は、5〜50nmであり、10〜30nmであることが好ましい。また、フィルム基材13の第2の層12の表面112における最大突起高さ(Rp)は、30〜1000nmであり、50〜300nmであることが好ましい。
フィルム基材13の第2の層12の表面112の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以上であると、当該第2の層の表面が平滑過ぎることがなく、離型フィルム1の巻き取り時にフィルム基材13の第2の層12の表面112と高平滑な離型層14とがブロッキングを起こすおそれがなく好ましい。一方、フィルム基材13の第2の層12の表面112の領域表面平均粗さ(Sa)が50nm以下であると、基材13の第2の層12の表面112の最大突起高さ(Rp)を上記の好ましい低い範囲におさめることが容易となり好ましい。
フィルム基材13の第2の層12の表面112における最大突起高さ(Rp)が1000nm以下であると、セラミックグリーンシート成型後に巻き取ったときに、当該セラミックグリーンシートに密着するフィルム基材13の第2の層12の表面112の突起形状がセラミックグリーンシートに転写されることがなく、セラミックグリーンシートに部分的に薄くなるようなことがなく、当該セラミックグリーンシートを積層してコンデンサを作製したときに、短絡による不具合が生じるおそれがなく好ましい。一方、フィルム基材13の第2の層12の表面112の最大突起高さ(Rp)が30nm以上であると、フィルム基材13の第2の層12の表面112の凹凸が均一になり過ぎず、当該第2の層12の表面112が平坦になり過ぎないため、離型層14を形成する工程等で、フィルム基材13がロールに接する面で空気を巻き込みやすくなる。その結果、搬送しているフィルム基材13が蛇行することがなく、また、ロール状に巻き取る際に巻きずれを生じたりすることがなく好ましい。
また、フィルム基材13の第2の層12の表面112における領域表面平均粗さ(Sa)および最大突起高さ(Rp)を上記のような範囲とすると、巻取り時の巻きずれを効果的に抑制することができるため、巻き取り張力を高める必要がなく、それにより、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形を抑制することが可能となる。
なお、フィルム基材13の第1の層11の表面111と逆の面(第2の層12の表面112)に、後述する離型層14と同じ層を設けたり、または離型層14とは異なる層を設けたりしてもよい。
フィルム基材13の第1の層11の表面111の最大突起高さ(Rp)と第2の層12の表面112の最大突起高さ(Rp)のいずれもが上記の好ましい範囲にあるフィルムを得るために、フィルム基材13として、フィルム基材13の第1の層の表面の最大突起高さ(Rp)と、第2の層12の表面112の最大突起高さ(Rp)とが異なる、すなわち表裏異粗度のものを使用してもよいし、第1の層11の表面111の最大突起高さ(Rp)と、第2の層12の表面112の最大突起高さ(Rp)とが実質的に同一の、すなわち表裏同粗度のものを使用してもよい。
上記フィルム基材は、単層であっても2層以上の多層であっても構わないが、少なくとも片面には実質的に無機粒子を含まない第1の層を有することが好ましい。2層以上の多層構成からなる積層ポリエステルフィルムの場合は、実質的に無機粒子を含有しない第1の層の離型層とは反対側には、粒子などを含有することができる第2の層を有することが好ましい。積層構成としては、離型層を塗布する側の層を第1の層、その反対面の層を第2の層、これら以外の芯層を第3の層とすると、厚み方向の層構成は離型層/第1の層/第2の層、あるいは離型層/第1の層/第3の層/第2の層等の積層構造が挙げられる。当然ながら第3の層は複数の層構成であっても構わない。また、第2の層には粒子を含まないこともできる。その場合、フィルムをロール状に巻き取るための滑り性付与するため、第2の層上には粒子とバインダーを含んだコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるフィルム基材において、離型層を塗布する面を形成する第1の層は、実質的に無機粒子を含有しないことが好ましい。ここで、第1の層上に後述のアンカーコート層などを設ける場合は、コート層に実質的に無機粒子を含まないことが好ましく、コート層積層後の領域表面平均粗さ(Sa)が前記範囲に入ることが好ましい。本発明において、「無機粒子を実質的に含有しない」とは、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に無機粒子をフィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
本発明におけるフィルム基材において、離型層を塗布する面の反対面を形成する第2の層は、フィルムの滑り性や空気の抜けやすさの観点から、粒子を含有することが好ましく、特にシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることが好ましい。含有される粒子含有量は、第2の層中に粒子の合計で5000〜15000ppm含有することが好ましい。シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が5000ppm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き上げるときに、空気を均一に逃がすことができ、巻き姿が良好で平面性良好により、超薄層セラミックグリーンシートの製造に好適なものとなる。また、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が15000ppm以下の場合には、滑剤の凝集が生じにくく、粗大突起ができないため、超薄層のセラミックグリーンシート製造時に品質が安定し好ましい。
上記第2の層に含有する粒子としては、シリカ及び/又は炭酸カルシウム以外に不活性な無機粒子及び/又は耐熱性有機粒子などを用いることができる。透明性やコストの観点からシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることがより好ましいが、他に使用できる無機粒子としては、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などが挙げられる。また、耐熱性有機粒子としては、架橋ポリアクリル系粒子、架橋ポリスチレン粒子、ベンゾグアナミン系粒子などが挙げられる。またシリカ粒子を用いる場合、多孔質のコロイダルシリカが好ましく、炭酸カルシウム粒子を用いる場合は、ポリアクリル酸系の高分子化合物で表面処理を施した軽質炭酸カルシウムが、滑剤の脱落防止の観点から好ましい。
上記第2の層に添加する粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.0μm以下が特に好ましい。粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、離型フィルムの滑り性が良好であり好ましい。また、平均粒子径が2.0μm以下であれば、離型層表面の粗大粒子によるセラミックグリーンシートにピンホールが発生するおそれがなく好ましい。
上記第2の層には素材の異なる粒子を2種類以上含有させてもよい。また、同種の粒子で平均粒径の異なるものを含有させてもよい。
なお、粒子の平均粒子径の測定方法は、加工後のフィルムの断面の粒子を透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で観察を行い、凝集していない粒子100個を観察し、各粒子の最大径を粒子径とし、その平均値をもって平均粒子径とする方法で行う。
第2の層に粒子を含まない場合は、第2の層上に粒子を含んだコート層で易滑性を持たせることが好ましい。本コート層は、特に限定されないが、フィルムの製膜中に塗工するインラインコートで設けることが好ましい。第2の層に粒子を含まず、第2の層上に粒子を含むコート層を有する場合、コート層の表面は、上述の第2の層の領域表面平均粗さ(Sa)と同様の理由により、領域表面平均粗さ(Sa)が5〜50nmの範囲であることが好ましい。
上記離型層を設ける側の層である第1の層には、ピンホール低減の観点から、滑剤などの粒子の混入を防ぐため、再生原料などを使用しないことが好ましい。
上記離型層を設ける側の層である第1の層の厚み比率は、基材フィルムの全層厚みの20%以上50%以下であることが好ましい。20%以上であれば、第2の層などに含まれる粒子の影響をフィルム内部から受けづらく、領域表面平均粗さSaが上記の範囲を満足することが容易であり好ましい。基材フィルムの全層の厚みの50%以下であると、第2の層における再生原料の使用比率を増やすことができ、環境負荷が小さくなり好ましい。
また、経済性の観点から上記第1の層以外の層(第2の層もしくは前述の第3の層)には、50〜90質量%のフィルム屑やペットボトルの再生原料を使用することができる。この場合でも、第2の層に含まれる滑剤の種類や量、粒径ならびに領域表面平均粗さ(Sa)は、上記の範囲を満足することが好ましい。
また、後に塗布する離型層などの密着性を向上させたり、帯電を防止するなどのために第1の層及び/または第2の層の表面に製膜工程内の延伸前または一軸延伸後のフィルムにコート層を設けてもよく、コロナ処理などを施すこともできる。
<離型層>
離型層14は、フィルム基材13の第1の層11の表面111上に設けられている。
離型層14は、セラミックグリーンシート製造用離型フィルム1に剥離性を付与する機能を有している。
離型層14は、所定の成分を含む離型層形成用材料に紫外線を照射して、それを硬化することにより形成された層である。
離型層形成用材料は、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有する紫外線硬化性化合物(A)と、ポリオルガノシロキサン(B)と、光重合開始剤(C)とを含有している。離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1−θ)が絶対値として3.0°以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いることにより、グリーンシートに対する剥離性を特に優れたものとすることができる。
以下、各成分について詳細に説明する。
[紫外線硬化性化合物(A)]
紫外線硬化性化合物(A)は、硬化することにより離型層14の形成に寄与する成分である。
紫外線硬化性化合物(A)は、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有していることが好ましく、6つ以上であることがより好ましく、7つ以上であることが更に好ましく、9つ以上であることが特に好ましい。これにより、酸素阻害により硬化性が得られ難い厚さの離型層14であっても、優れた硬化性や、耐溶剤性、および剥離性を得ることができる。官能基数に特に上限はないが、20以下であることが好ましい。20以下とすることで、分子間の架橋反応よりも分子内反応が進行しやすくなり、架橋密度向上の効果が得られなくなるおそれがなく好ましい。
また、紫外線硬化性化合物(A)における(メタ)アクリロイル基の含有量は、紫外線硬化性化合物(A)1kg当たり10当量以上であることが好ましい。これにより、離型層形成用材料が第1の面11上に薄膜で塗布された場合においても、紫外線硬化性化合物(A)の硬化性を特に優れたものとすることができる。
紫外線硬化性化合物(A)としては、アクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。それぞれ好適に用いることができるが、ウレタンアクリレートを用いることがより好ましい。ウレタンアクリレートを用いる場合、1分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の数を増やすことができるため、より架橋密度の高い塗膜を形成できるため好ましい。また、分子内のウレタン結合が水素結合を形成できるため、硬化した塗膜強度をさらに高めることができる。
(メタ)アクリレートの具体例としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の多官能アクリレートを用いることが好ましい。これにより、離型層形成用材料が第1の層11の表面111上に薄膜で塗布された場合においても、紫外線硬化性化合物(A)の硬化性を特に優れたものとすることができる。
本発明で用いるウレタンアクリレートの合成方法は特に限定されないが、例えば、多価アルコール及び有機ポリイソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応によって得ることができる。ここで、ウレタンアクリレートとは、ウレタンメタクリレートを含む用語として用いている。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);及び、ポリエーテルポリオールを挙げられる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げられる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、或いはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが架橋密度を高めるという観点から好ましい。
本発明に使用するウレタンアクリレートは市販されているものを用いることもできる。市販品の例としては、日本合成化学工業社製:UV1700B(10官能)、UV7620EA(9官能)、UV7610B(9官能)、UV7600B(6官能)、UV7650B(5官能)、日本化薬社製:DPHA40H(10官能)、UX5003(6官能)、荒川化学工業社製:ビームセット577(6官能)、大成ファインケミカル社製:8UX−015A(15官能)及び、新中村化学工業社製:U15HA(15官能)等を挙げることができる。
離型層形成用材料における紫外線硬化性化合物(A)の固形分含有量(溶剤を除いた全固形分中における含有割合)は、65〜98.5質量%が好ましく、71〜96質量%であることがより好ましい。
[ポリオルガノシロキサン(B)]
ポリオルガノシロキサンとしては、本発明の効果を妨げることなく、離型層14の表面に所望の剥離性を付与することができるものであれば特に制限されないが、好ましくは反応性官能基を有するポリオルガノシロキサン、特に好ましくは反応性官能基を有するポリジメチルシロキサンが使用されるが、(メタ)アクリル酸エステルとの相溶性があるポリジメチルシロキサンの組み合わせが好ましいものといえる。相溶性に劣る組み合わせの場合、ポリオルガノシロキサンが離型層表面に遊離し活性エネルギー硬化性成分との反応性が低下するため、優れた離型性を示すように見えるが、セラミックコンデンサグリーンシート製造工程及び電極印刷工程に用いると、それらスラリーの希釈溶剤によりポリオルガノシロキサンが浸食され、セラミックコンデンサグリーンシート製造用離型フィルムを剥離する際、重剥離や剥離不能となる。一方、完全に相溶した場合、ポリオルガノシロキサンが表面に遊離する量が極端に低下し、剥離力が低下しない。適度な相溶性となることで、ポリオルガノシロキサンの反応性官能基が、活性エネルギー線硬化性樹脂と反応して、ポリオルガノシロキサン(シリコーン系成分)が架橋構造に組み込まれ、固定されることとなる。これにより、離型層14中のシリコーン系成分が、離型層14上に成型されたセラミックグリーンシートに転着することが抑制される。
ポリオルガノシロキサンと紫外線硬化性物質との相溶性を調整する方法としては、シリコーン主鎖であるポリジメチルシロキサンと比べ、バインダーである(メタ)アクリル酸エステルとの相溶性に優れるアクリル主鎖の側鎖にポリジメチルシロキサンが付加されたタイプを選定する方法が挙げられる。また、シリコーン主鎖であるポリジメチルシロキサンであっても、適切な極性を持つポリオルガノシロキサンを選択することでバインダーとの適度な相溶性を達成できる。ポリオルガノシロキサンの極性は、例えばBYKコーティング・インキ用添加剤カタログ(2016.06(第44版))などを参考にすることができる。
ポリオルガノシロキサンが反応性官能基を持つ場合、反応性官能基は、ポリオルガノシロキサンの片末端に導入されていてもよいし、両末端に導入されていてもよいし、側鎖に導入されていてもよい。反応性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、水酸基等が挙げられ、中でも、上記(メタ)アクリル酸エステルの硬化時(活性エネルギー線照射時)に同時に硬化が可能である(メタ)アクリロイル基、ビニル基およびマレイミド基が好ましい。これらの反応性官能基は、ポリオルガノシロキサン1分子中に、少なくとも2つ以上導入されていることが好ましい。また、これらの反応性官能基は、ポリオルガノシロキサン1分子中に、2種以上導入されていてもよい。
本発明で用いる主鎖がポリオルガノシロキサンである離型剤としては、市販のものを用いることもできる。市販されているものとしては、BYK−UV3505, BYK−UV3575, BYK−UV3500(ビッグケミー・ジャパン社製)などが例として挙げられる。本発明では、使用するバインダー種によって、相溶性を向上させるために適切なポリオルガノシロキサン種を選定することが重要である。
ポリオルガノシロキサンとして、主鎖がアクリルのものを用いる場合、一分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する紫外線硬化型アクリル共重合ポリマーを用いることが好ましい。
離型剤として、一分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する紫外線線硬化型アクリル共重合ポリマーを用いる場合、ポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーン系オイルなどと比べて、アクリル部位を多く有するためバインダー成分との相溶性が向上し、離型層加工工程にてバインダー成分と離型剤の硬化性が良くなり未反応の離型剤が少なくなるため好ましい。さらに、一分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する紫外線硬化型アクリル共重合ポリマーを用いることで、バインダー成分と離型剤の間で架橋構造が形成されるだけでなく、水素結合やファンデルワールス力などの分子間相互作用も形成されるため、有機溶剤によって離型層が浸食されるおそれがなく好ましい。本明細書中では、一分子内に(メタ)アクリロイル基とポリオルガノシロキサン基を有する紫外線線硬化型アクリル共重合ポリマーは、以下(メタ)アクリロイル基含有共重合アクリルシリコーンとも表記することがある。
本発明で用いる紫外線硬化型アクリル共重合ポリマーは、市販のものを用いることもできる。市販されているものとしては、GL−02R、GL−04R(以上、共栄社化学社製)、8SS−723(大成ファインケミカル社製)、TA37−400A(日立化成社製)などが例として挙げられる。
なお、離型剤組成物において、ポリオルガノシロキサンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオルガノシロキサンの、紫外線硬化性物質(A)およびポリオルガノシロキサン(B)の合計質量に対する質量割合は、0.2〜5質量%であることが好ましく、特に1.0〜2.5質量%であることが好ましい。また、離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1−θ)が絶対値として3.0°以下になるように組成とポリオルガノシロキサンの質量割合を上記の範囲にすることで、離型層14の表面にセラミックスラリーをはじくことなく塗布することができ、かつ、形成されたセラミックグリーンシートを破断させることなく容易に剥離することができ、離型層14が剥離性に優れたものとなる。ポリオルガノシロキサンの質量割合が0.2質量%以上であると、離型層14が十分な剥離性能を発揮できて好ましい。一方、ポリオルガノシロキサンの質量割合が5質量%以下であると、離型層14が硬化し易く、また、離型層14の弾性率が高くなり好ましい。さらには、離型層14の表面にセラミックスラリーを塗布したときに、セラミックスラリーをはじきにくく好ましい。また、離型層14が硬化し易くなり、剥離性においても好ましい。
離型剤組成物中に含まれる固形分の全質量に占める(メタ)アクリル酸エステルおよびシリコーン系成分の合計質量の質量割合は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルおよびシリコーン系成分の合計質量の質量割合が、上記範囲にあることで、形成される離型層14の表面を高平滑とし、かつ、離型剤組成物の十分な硬化性を得ることがより容易となる。
[光重合開始剤(C)]
本発明における離型層14は、バインダー成分と離型剤のラジカル重合反応を進行させるため、光重合開始剤を用いることが好ましい。具体的な例としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。なかでも、表面硬化性に優れるとされる、α−ヒドロキシアルキルフェノンやα−アミノアルキルフェノンが、酸素阻害を抑制するために好適に用いることができる。α−ヒドロキシアルキルフェノンの例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。α−アミノアルキルフェノンの例としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
離型層形成用材料における光重合開始剤(C)の固形分含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。これにより、離型層14の厚さが、酸素阻害により硬化性が得られ難い範囲の厚さであっても、特に優れた硬化性や、耐溶剤性、および剥離性を得ることができる。
また、離型層形成用材料には、上途したような成分に加え、他の成分を含んでいてもよい。例えば、増感剤、帯電防止剤、硬化剤、反応性モノマー等を含むものであってもよい。
増感剤として、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンを用いてもよい。これにより、反応性をより高めることができる。
離型層形成用材料における他の成分の固形分含有量は、0〜10質量%であることが好ましい。
離型層14の厚さは、0.2〜2μmであることが好ましい。離型層14の厚さが前記下限値未満であると、剥離性能が不十分となる。その結果、グリーンシートを離型層14の表面に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するおそれがある。一方、離型層14の厚さが前記上限値を超えると、離型層14の硬化収縮によりセラミックグリーンシート製造用離型フィルム1にカールが発生し易くなる。また、巻かれたセラミックグリーンシート製造用離型フィルム1の表裏(フィルム基材13の第2の層12と離型層14)でブロッキングが発生しやすくなる。そのため、セラミックグリーンシート製造用離型フィルム1の巻き出し不良が生じたり、セラミックグリーンシート製造用離型フィルム1の巻き出し時の帯電量が増大するおそれがある。
離型層14の表面の領域表面平均粗さSaは7nm以下である。これにより、グリーンシートを離型層14の表面側に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきを発生させることをより確実に防止でき、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。前述したように、フィルム基材13の第1の層11に実質的に無機粒子を含有していないフィルムを用いると、離型層14の表面がより高平滑になるため好ましい。
離型層14の表面の最大突起高さRpは、50nm以下であることが好ましい。これにより、グリーンシートを離型層14の表面側に成型したときに、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきを発生させることをより確実に防止でき、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。
次に、上述したようなセラミックグリーンシート製造用離型フィルム1の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、フィルム基材14を準備する第1の工程と、離型層形成用材料を調製する第2の工程と、フィルム基材13の第1の層11の表面111上に、離型層形成用材料を塗布して乾燥させることで塗布層を形成し、当該塗布層に紫外線を照射して硬化させることにより、離型層14を形成する第3の工程とを有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
<第1の工程>
まず、フィルム基材13を準備する。
フィルム基材13の第1の層11の表面111上に、酸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。これにより、フィルム基材13と、フィルム基材13の第1の層の表面111上に設けられる離型層14との密着性を特に優れたものとすることができる。
また、酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられる。これらの表面処理法は、フィルム基材13の種類に応じて適宜選択される。一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
<第2の工程>
次に、紫外線硬化性化合物(A)、ポリオルガノシロキサン(B)、および光重合開始剤(C)などの成分を、溶剤に溶解または分散させることにより、離型層形成用材料を得る。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、キシレン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
<第3の工程>
次に、フィルム基材13の第1の層11の表面111上に、離型層形成用材料を塗布して、それを乾燥させることで塗布層を得る。離型層形成用材料は、塗布プロセスから乾燥プロセスの間に、第1の面111の凹凸の凹部の空間及び凸部の斜面を埋め、それによって、平滑化された塗布層を形成する。このようにして得られた塗布層に、紫外線を照射して、それを硬化させることにより、平滑化された離型層14を形成する。この際の紫外線の照射量は、積算光量が10〜1000mJ/cmであるのが好ましく、15〜500mJ/cmであるのがより好ましい。10mJ/cm以上とすることで樹脂の硬化が十分に進行するため好ましい。1000mJ/cm以下とすることで加工時の速度を向上させることができるため経済的に離型フィルムを作成することができ好ましい。
離型層形成用材料の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
また、このようなセラミックグリーンシート製造用離型フィルム1では、離型層14の表面付近に、ポリオルガノシロキサン(B)に由来する成分が偏析した状態となっているが、紫外線硬化性化合物(A)とポリオルガノシロキサン(B)との極性が極端に異なると偏析が過剰になり、十分に反応せず、ポリオルガノシロキサン(B)が脱落しやすい状態になると考えている。そのため、離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1−θ)が絶対値として3.0°以下であることを満たす組み合わせが好ましい。紫外線硬化性物質(A)とポリジメチルシロキサン(B)の相性が良いとジヨードメタン接触角θの差(θ1−θ)の絶対値が3.0以下となり、セラミックグリーンシート製造工程に依存せず、一定した剥離力が得られるため好ましい。
以上のような工程によれば、ピンホールや部分的な厚みのばらつきの発生が抑制されたグリーンシートを製造できるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム1を容易に製造することができる。また特に、セラミックシート加工や内部電極印刷工程で用いる有機溶剤によって離型層が浸食されることなく、剥離性に優れたグリーンシート製造用剥離フィルム1を製造することができる。
以上、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、フィルム基材13と離型層14との間や、フィルム基材13の第2の層12の表面112には、他の層が存在していてもよい。
また、本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法は、上述した方法に限定されるものではなく、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
以下に、実施例を用いて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。本発明で用いた特性値は下記の方法を用いて評価した。
<評価方法>
[基材フィルム厚み]
ミリトロン(電子マイクロインジケーター)を用い、測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
[離型層厚み]
離型層の厚みは、光干渉式膜厚計(F20、フィルメトリクス社製)を用いて測定した。(離型層の屈折率は1.52として算出)
[表面粗さ]
非接触表面形状計測システム(菱化システム社製、VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(Rp)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
[接触角]
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学社製、全自動接触角計 DM−701)を用いて、静置した離型フィルムの離型層表面上にジヨードメタン(液滴量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は離型フィルム上に滴下後30秒後の接触角を採用し、5回測定した値の平均値を採用した。
[トルエン浸漬後の接触角]
測定に用いる離型フィルムを5cm×5cmの大きさに切り取り、液温25℃のトルエン30mLが入ったガラス製のトレーの中に、離型層表面を下にして5分間浸漬させた。浸漬した離型フィルムを取り出し離型層表面を上にして15分間風乾した後、25℃で1晩真空乾燥させた。こうして得たトルエン浸漬後の離型フィルムを前記接触角の測定方法と同様の方法にて測定した。
[接触角変化の評価]
前記方法にて測定したトルエン浸漬前の初期の離型層表面のジヨードメタン接触角をθ、トルエン浸漬後の離型層表面のジヨードメタン接触角をθとした時の、θ1−θの絶対値の値をトルエン浸漬前後の接触角変化の値とした。以下の基準で接触角変化の評価を行った。
◎:|θ1―θ2| < 1.0°
○:1.0°≦ |θ1―θ2| < 2.0°
△:2.0°≦ |θ1―θ2| ≦ 3.0°
×:|θ1―θ2|> 3.0°
[セラミックグリーンシートのピンホール評価]
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを分散質とするビーズミルを用いて30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール 3.5質量部
(積水化学社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.8μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥後、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cmの範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。測定は5回実施し、その平均値を採用した。
◎:ピンホールの発生なし
○:ピンホールの発生がほぼなし(目安:ピンホールが測定面積当たり2個以下)
△:ピンホールの発生があり(目安:ピンホールが測定面積当たり5個以下)
×:ピンホールの発生が多数あり
[カール評価]
実施例および比較例で得られた離型フィルムを200×200mmに裁断した後、基材がガラス板側となるように、離型フィルムを平坦なガラス板の上に載置した。次いで、100×100mmのガラス板を離型フィルムの離型層上の中央に載置した後、下側のガラス板の上面から離型フィルムの各角部頂点までの高さを測定し、以下の判断基準でカールを評価した。結果を表1に示す。
○…各角部の高さの総和が50mm未満
△…各角部の高さの総和が50mm以上、100mm未満
×…各角部の高さの総和が100mm以上
[ブロッキング性評価]
実施例および比較例で得られた離型フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。この離型フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管し、離型フィルムロールそのままの状態での外観を目視にて観察し、以下の判断基準でブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
○…ロール状に巻き上げたときから変化がなかった(ブロッキング無し)
△…幅方向における半分以下の領域にて、フィルム同士の密着に起因する色目の変化が見られた(ブロッキング若干有り)
×…幅方向における過半の領域にわたって、フィルム同士の密着に起因する色目の変化が見られた(ブロッキング有り)
[セラミックグリーンシートの剥離性評価]
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを分散質とするビーズミルを用いて60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール 6.5質量部
(積水化学社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが10μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを除電機(キーエンス社製、SJ−F020)を用いて除電した後に、剥離試験機(協和界面科学社製、VPA−3)を用いて、30mmの幅で剥離角度90度、剥離速度10m/minで剥離した。剥離はセラミックグリーンシート面を固定し、離型フィルム面を引っ張る方向で剥離した。この時の剥離時にかかる応力を測定し剥離力とした。以下の基準でセラミックグリーンシートの剥離性の評価を行った。
◎:剥離力が2.0mN/mm以下の非常に軽い力で剥離できた。
○:剥離力が2.0mN/mmよりも大きく、3.0mN/mm以下の比較的軽い力で剥離できた。
△:剥離力が3.0mN/mmよりも大きく、4.0mN/mm以下の軽い力で剥離できた。
×:剥離力が4.0mN/mmよりも大きい力が必要であった。
<セラミックグリーンシート製造用離型フィルムの作製>
(積層フィルムX1)
フィルム基材13の第1の層11に実質的に無機粒子を含有していない、厚み31μmの二軸配向ポリエステルフィルムを使用した。第1の層11の領域表面平均粗さSaは2nm、最大突起高さRpは25nm、第2の層12の領域表面平均粗さSaは28nm、最大突起高さRpは740nmであった。
(積層フィルムX2)
厚み25μmのE5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)を使用した。E5101は、フィルム中に無機粒子を含有した構成になっている。積層フィルムX2の第1の層11の領域表面平均粗さSaは24nm、最大突起高さRpは770nm、第2の層12の領域表面平均粗さSaは24nm、最大突起高さRpは770nmであった。
(実施例1)
積層フィルムX1の第1の層11上に以下に示す組成の塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.8μmになるように塗工し、90℃で15秒乾燥した後、積算光量が70mJ/cmの紫外線を紫外線照射機(ヘレウス社製、LC6B、Hバルブ)を用いて照射することで超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工し、離型層表面粗さ、剥離性、トルエン浸漬前後の接触角変化、ピンホールなどを評価したところ、良好な評価結果が得られた。
イソプロピルアルコール 59.40質量部
メチルエチルケトン 19.80質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 19.00質量部
(製品名:A−DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
(メタ)アクリロイル基含有共重合アクリルシリコーン 1.00質量部
(製品名:GL−04R、共栄社化学社製、固形分20%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(実施例2)
ポリジメチルシロキサン(B)をアクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン(製品名:BYK−UV3505、ビッグケミー・ジャパン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例3)
ポリジメチルシロキサン(B)をアクリロイル基含有変性ポリジメチルシロキサン(製品名:BYK−UV3575、ビッグケミー・ジャパン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例4)
ポリジメチルシロキサン(B)をシリコーン変性UV硬化型剥離剤(製品名:TA37−400A、日立化成社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例5)
下記に示す組成の塗布液に変更し、膜厚が2μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
イソプロピルアルコール 60.00質量部
メチルエチルケトン 20.00質量部
3官能アクリレート 19.00質量部
(製品名:A−TMMT−3、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.20質量部
(製品名:BYK−UV3500、ビッグケミージャパン社製、固形分100%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(実施例6)
下記に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
イソプロピルアルコール 60.00質量部
メチルエチルケトン 20.00質量部
10官能ウレタンアクリレート 19.00質量部
(製品名:UV1700B、日本合成化学工業社製、固形分100質量%)
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.20質量部
(製品名:BYK−UV3500、ビッグケミージャパン社製、固形分100%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(実施例7)
下記に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
イソプロピルアルコール 59.40質量部
メチルエチルケトン 19.80質量部
10官能ウレタンアクリレート 19.00質量部
(製品名:UV1700B、日本合成化学工業社製、固形分100質量%)
(メタ)アクリロイル基含有共重合アクリルシリコーン 1.00質量部
(製品名:GL−04R、共栄社化学社製、固形分20%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(実施例8)
下記に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
イソプロピルアルコール 59.85質量部
メチルエチルケトン 19.95質量部
10官能ウレタンアクリレート 19.00質量部
(製品名:UV1700B、日本合成化学工業社製、固形分100質量%)
アクリロイル基含有共重合アクリルシリコーン 0.40質量部
(製品名:8SS−723、大成ファインケミカル社製、固形分50%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(実施例9)
下記に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
イソプロピルアルコール 59.40質量部
メチルエチルケトン 19.80質量部
15官能ウレタンアクリレート 19.00質量部
(製品名:8UX−015A、大成ファインケミカル社製、固形分100質量%)
(メタ)アクリロイル基含有共重合アクリルシリコーン 1.00質量部
(製品名:GL−04R、共栄社化学社製、固形分20%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(実施例10)
離型層の膜厚が0.5μmになるように塗工した以外は、実施例7と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例11)
離型層の膜厚が0.2μmになるように塗工した以外は、実施例7と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例12)
基材13として積層フィルムX2を用いた以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例1)
下記に示した組成である塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較例1ではバインダーとして用いたジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとアクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの相溶性が悪いためか、離型層表面付近の耐溶剤性が悪くなった。
イソプロピルアルコール 60.00質量部 メチルエチルケトン 20.00質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 19.00質量部
(製品名:A−DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.20質量部
(製品名:BYK−UV3500、ビッグケミー・ジャパン社製、固形分100%)
α−アミノアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE907、BASF社製、有効成分100%)
(比較例2)
紫外線硬化性化合物とポリオルガノシロキサンの質量割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離フィルムを作製した。比較例2ではポリオルガノシロキサンの質量割合が多いため、離型層表面の弾性率が低下し、離型層表面の耐溶剤性も悪化した。そのため、剥離力が重くなった。
(比較例3)
熱硬化付加反応型シリコーン(製品名:KS−847H、信越化学工業社製,固形分濃度30%)100質量部をトルエンで希釈し、これに白金触媒(信越化学工業社製,CAT−PL−50T)2質量部を混合し、固形分が5.0質量%の塗布液を調製した。
得られた塗布液を、形成される離型層の乾燥後の厚さが0.3μmとなるように、実施例1と同じ基材の一方の面(第1の面)に均一に塗布し、140℃で1分間乾燥させて剥離層を形成し、これを剥離フィルムとした。比較例3ではシリコーン成分が主体であるため、離型層の弾性率が顕著に低く、耐溶剤性も顕著に悪くなった。そのため、剥離力が重すぎて剥離できなかった。
表1、2から明らかなように、実施例で得られた離型フィルムは、トルエン浸漬前後のジヨードメタン接触角の変化が少なく、また、セラミックグリーンシートの剥離性も優れていた。
表1、2に示すように、紫外線硬化樹脂(A)とポリオルガノシロキサン(B)の組み合わせによって、トルエン浸漬前後のジヨードメタンの接触角変化|θ−θ|の値に違いが見られた。実施例1〜12では、トルエン浸漬前後のジヨードメタンの接触角変化|θ−θ|は3.0°以下であり、セラミックグリーンシート加工時の有機溶剤による離型層の浸食がなく、低い力で剥離することができた。一方で比較例1〜3は、トルエン浸漬前後のジヨードメタンの接触角変化|θ−θ|が3.0°よりも大きく、セラミックグリーンシート加工時の有機溶剤によって離型層が浸食され、満足に剥離できないか、または、剥離する力が増大した。
セラミックグリーンシートの上に内部電極を印刷したところ、実施例1〜12は、内部電極付きセラミックグリーンシートを剥離する力に変化は見られなかった。一方で、比較例1〜3では、内部電極付きセラミックグリーンシートを満足に剥離できないか、または、剥離する力が増大した。
本発明によれば、特に厚さ1μm以下の超薄膜セラミックグリーンシートを成型するのに好適なセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの提供が可能となる。
1 : 離型フィルム
11 : 第1の層
12 : 第2の層
13 : フィルム基材
14 : 離型層
111 : 第1の層の表面
112 : 第2の層の表面
121 : 離型層の表面

Claims (4)

  1. セラミックグリーンシート製造用離型フィルムであって、フィルム基材の少なくとも片方の面に離型層を設けた離型フィルムであって、前記離型層の表面の領域表面平均粗さSaが7nm以下であり、前記離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1−θ)が絶対値として3.0°以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  2. 離型層は、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3つ以上有する紫外線硬化性化合物(A)、ポリオルガノシロキサン(B)及び光重合開始剤(C)とを含有する離型層形成用材料が硬化されてなり、前記離型層の厚さが0.2〜2μmであり、かつ、前記離型層の表面の最大突起高さRpが50nm以下であり、フィルム基材の前記離型層とは反対側の面の領域表面平均粗さSaが5〜50nmであり、かつ、最大突起高さRpが60〜1000nmである請求項1記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  3. 離型層形成用材料における前記ポリオルガノシロキサン(B)の固形分含有量が、0.2〜5質量%である請求項2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  4. フィルム基材が、無機粒子を実質的に含有していない第1の層及び無機粒子を含有する第2の層を有し、第1の層の上に離型層が設けられており、前記第2の層はフィルム基材の反対表面を形成し、前記第2の層が含有する無機粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、無機粒子の合計が第2の層中に5000〜15000ppm含有されている請求項2または3に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
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