JP2020026135A - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents

セラミックグリーンシート製造用離型フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2020026135A
JP2020026135A JP2019144377A JP2019144377A JP2020026135A JP 2020026135 A JP2020026135 A JP 2020026135A JP 2019144377 A JP2019144377 A JP 2019144377A JP 2019144377 A JP2019144377 A JP 2019144377A JP 2020026135 A JP2020026135 A JP 2020026135A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
release
ceramic green
layer
green sheet
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019144377A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6977748B2 (ja
Inventor
健斗 重野
Kento SHIGENO
健斗 重野
悠介 柴田
Yusuke Shibata
悠介 柴田
充晴 中谷
Mitsuharu Nakatani
充晴 中谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Publication of JP2020026135A publication Critical patent/JP2020026135A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6977748B2 publication Critical patent/JP6977748B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】厚みが1μm以下の超薄層セラミックグリーンシートでも、低く均一な力で剥離することができ、ピンホールなどの欠陥が生じるおそれのないセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供すること。【解決手段】二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して離型層が積層されており、前記離型層が少なくとも離型剤及びメラミン系化合物を含む組成物が硬化されてなるものであり、前記離型剤がカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンであり、前記メラミン系化合物の重量平均重合度が2.0以下であり、かつメラミン系化合物の含有率が前記離型層形成用組成物の固形分に対し80質量%以上であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものであり、更に詳しくは超薄層のセラミックグリーンシート製造時にピンホール及び厚みムラによる工程不良の発生の抑制でき、セラミックグリーンシートの剥離時にセラミックグリーンシートにかかる力を極力少なくし、セラミックグリーンシートにダメージを与えず剥離することのできる超薄層のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものである。
従来ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層を積層した離型フィルムは、積層セラミックコンデンサ、セラミック基板等のセラミックグリーンシート成型用に使用されている。近年、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化に伴い、セラミックグリーンシートの厚みも薄膜化する傾向にある。セラミックグリーンシートは、離型フィルムに、チタン酸バリウムなどのセラミック成分とバインダー樹脂を含有したスラリーを塗工し乾燥することで成型される。成型したセラミックグリーンシートに電極を印刷し離型フィルムから剥離したのち、セラミックグリーンシートを積層、プレスし、焼成、外部電極を塗布することで積層セラミックコンデンサが製造される。ポリエステルフィルムの離型層表面にセラミックグリーンシートを成型する場合、離型層表面の微小な突起が成型したセラミックグリーンシートに影響を与え、ハジキやピンホール等の欠点を生じやすくなるといった問題点があった。そのため、優れた平坦性を有する離型層表面を実現するための手法が種々開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら近年、さらなるセラミックグリーンシートの薄膜化が進み、1.0μm以下、より詳しくは0.2μm〜1.0μmの厚みのセラミックグリーンシートが要求されるようになってきた。そのため、セラミックグリーンシートの強度が低下するため、離型層表面の平滑化だけではなく、セラミックグリーンシートを離型フィルムから剥離するときの剥離力を低くかつ均一にすることが要望されるようになってきた。つまり、離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するときにセラミックグリーンシートにかかる力を極力少なくし、セラミックグリーンシートにダメージを与えないようにすることがより重要になってきている。
近年になって、メラミン樹脂を主成分とした組成物を加熱硬化させた離型層とすることで、薄層のセラミックグリーンシートを適度な剥離力で欠陥を生じることなく剥離できることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、用いるメラミン樹脂の重量平均分子量を1000〜10000の範囲とし、メチロール基(CH−OH)の量を多くすることで、カールの発生を抑制できることが開示されている。
メラミン系化合物の重量平均分子量は、重量平均重合度で表すこともできる。前記のメラミン樹脂の重量平均分子量が1000以上であることは、メラミン系化合物同士が縮合した2量体、3量体、多量体などの多核体の比率が大きいことを意味し、重量平均重合度の値が大きいことを意味するものである。
しかしながら、前記のような重量平均分子量の大きなメラミン樹脂を含む組成物を用いた離型層であると、メラミン系樹脂の反応性が不十分になり易く、超薄層のセラミックグリーンシート、具体的には1μm以下の超薄層品を剥離する時の剥離性が不十分であり、剥離後のセラミックグリーンシートに欠陥が生じるおそれがあった。また、近年、環境負荷低減やコストダウンの観点よりフィルム厚みが薄膜化する傾向にある。そのため、重量平均分子量の大きなメラミン樹脂を含む組成物を離型層に用いた離型フィルムであると、メラミン樹脂の反応性が不十分であるために、加工時に比較的多量の熱を加える必要があり、加工時に平面性や巻き外観が悪化する懸念や、カールが発生する懸念が依然としてあった。さらには、加工速度に制約があるため、より経済的に加工できる離型層が求められていた。
特開2000−117899号公報 特開2017−007226号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、離型フィルムの離型層表面の高い平滑性を維持しつつ、剥離力が低く均一であり、厚みが1μm以下の超薄層品でも欠陥が少ないセラミックグリーンシートを成型できるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供しようとするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムを用い、少なくとも片面に直接又は他の層を介して離型層を設け、離型層に少なくともメラミン系化合物及びカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンを含有する組成物を硬化させ、前記メラミン系化合物の重量平均重合度を2.0以下とすることでセラミックグリーンシートの剥離時にセラミックグリーンシートにかかる力を極力少なくし、セラミックグリーンシートにダメージを与えず剥離することのできる、剥離性に優れたセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供できることを見出した。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して離型層が積層されており、前記離型層が少なくとも離型剤及びメラミン系化合物を含む組成物が硬化されてなるものであり、前記離型剤がカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンであり、前記メラミン系化合物の重量平均重合度が2.0以下であり、かつメラミン系化合物の含有率が前記離型層形成用組成物の固形分に対し80質量%以上であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 基材の片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、基材の前記表面層Aとは反対側に表面層Bを有し、表面層Bが粒子を含有し、前記粒子の少なくとも一部がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、表面層Bの質量に対する粒子の合計含有率が5000〜15000ppmである上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 離型層の領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であり、かつ、最大突起高さ(P)が100nm以下である上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. 上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法。
5. 上記第4に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
本発明の超薄層のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、離型層の表面が平滑であり、従来のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムと比較して、セラミックグリーンシート製造時にピンホール及び厚みムラによる工程不良の発生を抑制でき、かつセラミックグリーンシートの剥離時にセラミックグリーンシートにかかる力を極力少なくでき、セラミックグリーンシートにダメージを与えず剥離できることで、0.2〜1.0μmの超薄層のセラミックグリーンシートを効率的に製造することができるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、基材となるポリエステルフィルムの少なくとも片面上に直接もしくは他の層を介して少なくともメラミン系化合物及びカルボキシル基を含有するポリオルガノシロキサンを含む組成物を硬化させてなる離型層が積層されていることが好ましい。そして、基材となるポリエステルフィルムの片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、前記表面層A上に直接又は他の層を介して前記組成物が硬化されてなる離型層が積層されていることが好ましい。
(ポリエステルフィルム)
本発明における基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム用基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成形したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムの固有粘度は0.50〜0.70dl/gが好ましく、0.52〜0.62dl/gがより好ましい。固有粘度が0.50dl/g以上の場合、延伸工程で破断が多く発生することがなく好ましい。逆に、0.70dl/g以下の場合、所定の製品幅に裁断するときの裁断性が良く、寸法不良が発生しないので好ましい。また、原料ペレットは十分に真空乾燥することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来一般に用いられている方法を用いることが出来る。例えば、前記ポリエステルを押出機にて溶融して、フィルム状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得て、該未延伸フィルムを一軸又は二軸延伸することにより得ることが出来る。二軸延伸フィルムは、縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向または縦方向に逐次二軸延伸する方法、或いは未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法で得ることが出来る。
本発明において、ポリエステルフィルム延伸時の延伸温度はポリエステルの二次転移点(Tg)以上とすることが好ましい。縦、横おのおのの方向に1〜8倍、特に2〜6倍の延伸をすることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、厚みが12〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは15〜38μmであり、より好ましくは、19μm〜33μmである。フィルムの厚みが12μm以上であれば、フィルム生産時や離型層の加工工程、セラミックグリーンシートなどの成型の時に、熱により変形するおそれがなく好ましい。一方、フィルムの厚みが50μm以下であれば、使用後に廃棄するフィルムの量が極度に多くならず、環境負荷を小さくする上で好ましい。
上記ポリエステルフィルム基材は、単層であっても2層以上の多層であっても構わないが、少なくとも片面には実質的に無機粒子を含まない表面層Aを有することが好ましい。2層以上の多層構成からなる積層ポリエステルフィルムの場合は、実質的に無機粒子を含有しない表面層Aの反対面には、粒子などを含有することができる表面層Bを有することが好ましい。積層構成としては、離型層を塗布する側の層を表面層A、その反対面の層を表面層B、これら以外の芯層を層Cとすると、厚み方向の層構成は離型層/A/B、あるいは離型層/A/C/B等の積層構造が挙げられる。当然ながら層Cは複数の層構成であっても構わない。また、表面層Bには粒子を含まないこともできる。その場合、フィルムをロール状に巻き取るための滑り性付与するため、表面層B上には粒子とバインダーを含んだコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルム基材において、離型層を塗布する面を形成する表面層Aは、実質的に無機粒子を含有しないことが好ましい。このとき、表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は、7nm以下が好ましい。Saが7nm以下であると、積層する超薄層セラミックグリーンシートの成型時にピンホールなどの発生が起こりにくく好ましい。表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であって構わない。ここで、表面層A上に後述のアンカーコート層などを設ける場合は、コート層に実質的に無機粒子を含まないことが好ましく、コート層積層後の領域表面平均粗さ(Sa)が前記範囲に入ることが好ましい。本発明において、「無機粒子を実質的に含有しない」とは、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に無機粒子をフィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
本発明におけるポリエステルフィルム基材において、離型層を塗布する面の反対面を形成する表面層Bは、フィルムの滑り性や空気の抜けやすさの観点から、粒子を含有することが好ましく、特にシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることが好ましい。含有される粒子含有量は、表面層B中に粒子の合計で5000〜15000ppm含有することが好ましい。このとき、表面層Bのフィルムの領域表面平均粗さ(Sa)は、1〜40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5〜35nmの範囲である。シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が5000ppm以上、Saが1nm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き上げるときに、空気を均一に逃がすことができ、巻き姿が良好で平面性良好により、超薄層セラミックグリーンシートの製造に好適なものとなる。また、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が15000ppm以下、Saが40nm以下の場合には、滑剤の凝集が生じにくく、粗大突起ができないため、超薄層のセラミックグリーンシート製造時に品質が安定し好ましい。
上記表面層Bに含有する粒子としては、シリカ及び/又は炭酸カルシウム以外に不活性な無機粒子及び/又は耐熱性有機粒子などを用いることができる。透明性やコストの観点からシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることがより好ましいが、他に使用できる無機粒子としては、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などが挙げられる。また、耐熱性有機粒子としては、架橋ポリアクリル系粒子、架橋ポリスチレン粒子、ベンゾグアナミン系粒子などが挙げられる。またシリカ粒子を用いる場合、多孔質のコロイダルシリカが好ましく、炭酸カルシウム粒子を用いる場合は、ポリアクリル酸系の高分子化合物で表面処理を施した軽質炭酸カルシウムが、滑剤の脱落防止の観点から好ましい。
上記表面層Bに添加する粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.0μm以下が特に好ましい。粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、離型フィルムの滑り性が良好であり好ましい。また、平均粒子径が2.0μm以下であれば、離型層表面の粗大粒子によるセラミックグリーンシートにピンホールが発生するおそれがなく好ましい。
上記表面層Bには素材の異なる粒子を2種類以上含有させてもよい。また、同種の粒子で平均粒径の異なるものを含有させてもよい。
表面層Bに粒子を含まない場合は、表面層B上に粒子を含んだコート層で易滑性を持たせることが好ましい。本コート層は、特に限定されないが、ポリエステルフィルムの製膜中に塗工するインラインコートで設けることが好ましい。表面層Bに粒子を含まず、表面層B上に粒子を含むコート層を有する場合、コート層の表面は、上述の表面層Bの領域表面平均粗さ(Sa)と同様の理由により、領域表面平均粗さ(Sa)が1〜40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5〜35nmの範囲である。
上記離型層を設ける側の層である表面層Aには、ピンホール低減の観点から、滑剤などの粒子の混入を防ぐため、再生原料などを使用しないことが好ましい。
上記離型層を設ける側の層である表面層Aの厚み比率は、基材フィルムの全層厚みの20%以上50%以下であることが好ましい。20%以上であれば、表面層Bなどに含まれる粒子の影響をフィルム内部から受けづらく、領域表面平均粗さSaが上記の範囲を満足することが容易であり好ましい。基材フィルムの全層の厚みの50%以下であると、表面層Bにおける再生原料の使用比率を増やすことができ、環境負荷が小さくなり好ましい。
また、経済性の観点から上記表面層A以外の層(表面層Bもしくは前述の中間層C)には、50〜90質量%のフィルム屑やペットボトルの再生原料を使用することができる。この場合でも、表面層Bに含まれる滑剤の種類や量、粒径ならびに領域表面平均粗さ(Sa)は、上記の範囲を満足することが好ましい。
また、後に塗布する離型層などの密着性を向上させたり、帯電を防止するなどのために表面層A及び/または表面層Bの表面に製膜工程内の延伸前または一軸延伸後のフィルムにコート層を設けてもよく、コロナ処理などを施すこともできる。
(離型層の構造)
本発明における離型層には、少なくともメラミン系化合物及びカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンを含む組成物が硬化されてなることが好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、前記樹脂や添加剤以外にも他の成分を添加することができる。
本発明における離型層に用いるメラミン系化合物としては、一般的なものを使用でき特に限定されないが、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られ、1分子中にトリアジン環、及びメチロール基及び/又はアルコキシメチル基をそれぞれ1つ以上有していることが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等を脱水縮合反応させてエーテル化した化合物などが好ましい。メチロール化メラミン誘導体としては、例えばモノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。1種類を用いても2種類以上も用いても構わない。
本発明における離型層は、剥離時に生じる離型層の変型を抑制し、剥離力を低く均一にするために架橋密度が高く高弾性率にすることが好ましい。そのため、1分子中により多くの架橋点をもつヘキサメチロールメラミンやヘキサアルコキシメチルメラミンを用いることが好ましいが、反応性により優れるヘキサアルコキシメチルメラミンがより好ましく、特にヘキサメトキシメチルメラミンを用いることが好ましい。この時、ヘキサメチロールメラミンとは、下記式(a)中、Xがメチロール基(−CH−OH)であるものである。ヘキサアルコキシメチルメラミンとは、メチロールメラミン誘導体にアルコールを用いて脱水縮合反応させたものであり、Xが(−CH−OR、Rは炭素数1〜4のアルキル基)であるものである。ヘキサメトキシメチルメラミンとは、Xが(−CH−OMe)であるものである。
上記(a)中のXはそれぞれ同じであってもよいし、異なっていても良い。また上記Rは、それぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。また、Xは(−H)でも良い。
本発明における離型層に用いるメラミン系化合物において、重量平均分子量が250以上、1000以下であることが好ましい。より好ましくは、重量平均分子量が250以上、900以下、更に好ましくは300以上、800以下である。重量平均分子量が1000以下であれば、架橋反応が進行しやすく、より架橋密度の高い膜が形成でき、剥離力を軽くすることができるため好ましい。重量平均分子量が250以上であれば、架橋密度が過剰に高くなりすぎずカールが悪化しないため好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
メラミン系化合物の重量平均分子量が250〜1000であるということは、本発明において用いるメラミン系化合物には単核体が多く含まれていることを意味する。単核体は、2個以上のメラミン誘導体が縮合してなる多核体よりも架橋点が多く反応性に優れるため、架橋密度が高く剥離性に優れる離型層とすることができる。単核体の含有量は多いほど好ましく、単核体のみからなるメラミン系化合物を用いることが最も好ましい。
重量平均分子量は重量平均重合度で表すこともできる。用いるメラミン系化合物の重量平均重合度は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、小さいほど好適に用いることができる。重量平均重合度が2.0以下であると、メラミン系化合物に含まれる単核体の含有量が多くなり、反応性に優れ、剥離性に優れる離型層とすることができるため好ましい。なお、本明細書における重量平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量に基づいて算出した値である。
メラミン系化合物はその合成過程において、イミノ基(−NH−)を含有するものや、多核体が混入することがある。これらメラミン誘導体が混合していても、メラミン系化合物の重量平均分子量(すなわち重量平均重合度)が上記範囲内であれば反応性に優れ、それぞれ好適に用いることができる。
本発明における離型層には、メラミン系化合物が離型層形成用組成物の固形分に対して、80質量%以上99.9質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは90質量%以上99.9質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以上99.9質量%以下である。メラミン系化合物を80質量%以上含むことで離型層がメラミン系化合物の自己架橋により、高い架橋密度を得ることができ、剥離時の離型層の変型を抑えることができる。このとき、離型層形成用組成物の固形分とは、溶媒や酸触媒は乾燥過程で相当部分蒸発してしまうため、実質的にメラミン系化合物と離型剤の固形分の合計した値とみなして差し支えない。
本発明における離型層には、メラミン系化合物の架橋反応を促進するために酸触媒を添加することが好ましく、離型層形成用組成物に酸触媒を添加して塗布し、硬化させることが好ましい。用いる酸触媒としては、スルホン酸系触媒を用いることが好ましい。
スルホン酸系触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などを好適に使用することができるが、反応性の観点からp−トルエンスルホン酸が特に好適に使用することができる。
本発明において使用するスルホン酸系触媒は市販されているものを用いることもできる。市販品の例としては、ドライヤー(登録商標)900(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製)、NACURE(登録商標) DNNDSAシリーズ(ジノニルナフタレンジスルホン酸、楠本化成社製)、同DNNSAシリーズ(ジノニルナフタレン(モノ)スルホン酸、楠本化成社製)、同DDBSAシリーズ(ドデシルベンゼンスルホン酸、楠本化成社製)、同p−TSAシリーズ(p−トルエンスルホン酸、楠本化成社製)などが挙げられる。
スルホン酸系触媒は、カルボン酸系などの他の酸触媒と比較し酸性度が高く反応性に優れるため、より低温で離型層を加工することができる。そのため、加工時の熱によるフィルムの平面性の低下や、巻き外観の悪化を抑制することができるため好ましい。
酸触媒の添加量は、離型層に含まれるメラミン系化合物に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%である。さらに好ましくは0.5〜7質量%である。0.1質量%以上であると、硬化反応が進みやすくなり好ましい。一方10質量%以下であると成型するセラミックグリーンシートへ酸触媒が移行するおそれがなく、悪影響を及ぼすおそれがないことから好ましい。
本発明における離型層に用いる離型剤(離型層の離型性を向上させる添加剤)としては、剥離性と移行量抑制両立の観点からカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンを用いることが好ましい。ポリオルガノシロキサン構造の中でもポリジメチルシロキサン構造(略称、PDMS)を有するカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンを好適に使用することができる。
離型剤であるポリオルガノシロキサンがカルボキシル基を含有することで、離型剤が乾燥工程でメラミン系化合物と強い相互作用を示さず、離型層表面に配向しやすくなり、良好な剥離性が得られる。そのため、カルボキシル基を含有するポリオルガノシロキサンを用いることで、離型剤の添加量が少なくても剥離性を満足することができ好ましい。また、離型剤であるポリオルガノシロキサンがカルボキシル基を含有することは、メラミン系化合物と弱い相互作用を示すため、セラミックグリーンシートへの移行が起こりにくいことがわかっており好ましい。
カルボキシル基はポリオルガノシロキサンの片末端に導入されていてもよいし、両末端でも側鎖でも構わないが、片末端に導入したものの方が剥離性に優れるため好ましい。また、導入される位置は1つでもよいし、複数でも構わない。
カルボキシル基変性のポリオルガノシロキサンについては、ポリオルガノシロキサンのケイ素原子に直接カルボキシル基が結合したものであってもよいが、アルキル基又はアリール基を介してポリオルガノシロキサンにカルボキシル基が結合したものであってもよい。しかし、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン等の繰り返し構造を有する有機基を介してポリオルガノシロキサンにカルボキシル基が結合したものはあまり好ましくない。
離型剤であるポリオルガノシロキサンに導入する官能基としては、1分子中にカルボキシル基以外の別の官能基を有してもよいが、カルボキシル基のみの方が好ましい。カルボキシル基以外の官能基を含むとメラミン系化合物との分子間相互作用が必要以上に増大し離型層表面へ配向しにくくなる恐れがあるため好ましくない。
メラミン系化合物と強い相互作用を示すヒドロキシル基などで変性されたポリオルガノシロキサンは、乾燥工程でメラミン系化合物と迅速に反応するため、離型層表面に配向しにくく離型性が発現しにくい場合がある。そのため十分な離型性を持たせるために添加量を増やす必要があるが、その場合離型層の弾性率が低下し剥離時の離型層の変形が起こりやすくなり剥離力が高くなるおそれがある。また、ポリオルガノシロキサンの添加量を増やす場合、セラミックグリーンシートへの移行量も増える傾向があり好ましくない。
本発明において用いるカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンは、分子量が40000以下であることが好ましい。より好ましくは、30000以下である。分子量が40000以下であるとカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンが離型層表面に偏析しやすく剥離性が良く好ましい。
前述のように、カルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンは、カルボキシル基を含有したポリジメチルシロキサンであることがより好ましい。カルボキシル基を含有したポリジメチルシロキサンとしては、X22−3701E(側鎖カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、信越化学工業社製)、X22−3710(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、信越化学工業社製)、X22−162C(両末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、信越化学工業社製)、BY16−750(両末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、東レダウコーニング社製)、BY16−880(側鎖カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、東レダウコーニング社製)、Magnasoft 800L(両末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、モメンティブ社製)などを使用することができる。
本発明におけるカルボキシル基を含有したポリジメチルシロキサンとしては、カルボキシル基を含有するアクリル主鎖にポリジメチルシロキサンが側鎖に導入されたアクリル樹脂であっても構わない。カルボキシル基を含有するアクリル主鎖にポリジメチルシロキサンが側鎖に導入されたアクリル樹脂としては、サイマック(登録商標)US−350、US−352、US−380(以上、東亞合成社製)などを使用することができる。また、一分子中にカルボキシル基とヒドロキシル基を含有するアクリル主鎖にポリジメチルシロキサンが側鎖に導入されたアクリル樹脂であっても構わない。一分子中にカルボキシル基とヒドロキシル基を含有するアクリル主鎖にポリジメチルシロキサンが側鎖に導入されたアクリル樹脂としては、サイマック(登録商標)US−450、US−480(以上、東亞合成社製)などを使用することができる。
本発明における離型層には、離型剤が離型層形成用組成物の固形分に対して0.1質量%以上、20質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上、10質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以上、5質量%以下である。0.1質量%以上であると、離型性が向上し、セラミックグリーンシートの剥離性が向上するため好ましい。一方、20質量%以下であると、離型層全体の弾性率が低下し過ぎることがなく、セラミックグリーンシート剥離時に離型層の変形が生じて剥離力が高くなることを抑制できるため好ましい。また、20質量%以下であると、離型剤の移行量が高くなり過ぎない点からも好ましい。このとき、離型層形成用組成物の固形分とは、溶媒や酸触媒は乾燥過程で相当部分蒸発してしまうため、実質的にメラミン系化合物と離型剤の固形分の合計した値とみなして差し支えない。
本発明における離型層には、粒径が1μm以下の粒子などを含有することができるが、ピンホール発生の観点から粒子など突起を形成するものは含有しないほうが好ましい。
本発明における離型層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、密着向上剤や、帯電防止剤などの添加剤などを添加してもよい。また、基材との密着性を向上させるために、離型塗布層を設ける前にポリエステルフィルム表面に、アンカーコート、コロナ処理、プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等の前処理をすることも好ましい。
(離型層の特性)
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型塗布層重量が0.01〜2.0μmとなる範囲がよく、より好ましくは、0.01〜1.7μmであり、さらに好ましくは0.01〜1.5μmであり、0.02〜1.3μmであればより好ましい。離型層の厚みが0.01μm以上であると剥離性能が得られ好ましい。また、2.0μm以下であると、硬化時間を短くでき、離型フィルムの平面性が保たれてセラミックグリーンシートの厚みムラを抑制できて好ましい。
本発明の離型フィルムの離型層面は、その上で塗布・成型するセラミックグリーンシートに欠陥を発生させないために、平坦であることが望ましく、領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下かつ最大突起高さ(P)が100nm以下であることが好ましい。さらには領域表面平均粗さ5nm以下かつ最大突起高さ80nm以下であることがより好ましい。領域表面粗さが7nm以下、且つ、最大突起高さが100nm以下であれば、セラミックグリーンシート形成時に、ピンホールなどの欠点の発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であっても構わず、0.3nm以上であっても構わない。最大突起高さ(P)も小さいほど好ましいと言えるが、1nm以上でも構わず、3nm以上であっても構わない。
本発明の離型フィルムは、高度に平坦化された基材フィルムを用いているため、離型層の厚みが0.5μmより薄く、さらには0.2μmより薄くしても離型層表面を平滑にすることができる。そのため、反応性の高いメラミン系化合物を用いた離型層であっても、カールの発生を抑制することができる。また、使用する溶剤量や樹脂量を少なくすることができ環境にやさしく、安価に超薄層セラミックグリーンシート成型用の離型フィルムを作成することができる。
本発明の離型層フィルムの離型層表面の表面自由エネルギー(γs)は、18mJ/m以上35mJ/m以下であることが好ましい。より好ましくは、23mJ/m以上35mJ/m以下であり、さらに好ましくは23mJ/m以上30mJ/m以下である。18mJ/m以上であるとセラミックスラリーを塗工したときにハジキが発生しづらく均一に塗工することができ好ましい。また35mJ/m以下であるとセラミックグリーンシートの離型性が低下するおそれがなく好ましい。上記範囲とすることで塗工時にハジキがなく、離型性に優れた離型フィルムを提供できる。
本発明の離型フィルムは、セラミックグリーンシートを剥離するときの剥離力が0.5mN/mm以上、2.5mN/mm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.8mN/mm以上、2.0mN/mm以下である。剥離力が0.5mN/mm以上であると、剥離力が軽すぎず搬送時にセラミックグリーンシートが浮き上がるおそれがなく好ましい。剥離力が2.5mN/mm以下であると剥離時にセラミックグリーンシートがダメージを受けるおそれがなく好ましい。
本発明の離型フィルムは、剥離後のセラミックグリーンシートへのシリコーン成分の移行量が少ないほど好ましい。シリコーン成分の移行量は、セラミックグリーンシートに含まれるバインダー成分の1種であるPVBを離型フィルム上に疑似的に塗布、成型し、剥離した前後の離型層のSi強度を蛍光X線で測定することで評価することができる。より具体的に述べると、離型層表面のSi強度をSi(前)、PVBシートを塗工・剥離後の離型フィルムの離型面のSi強度をSi(後)としたとき、Si(前)−Si(後)の値を移行量とした。このときの移行量が0.10kcps以下であることが好ましく、0.04kcps以下であることがより好ましい。移行量が0.10kcps以下であると、積層ズレや接着不良といった工程不良の発生が抑えられ、セラミックコンデンサの信頼性を低下させるおそれがなく好ましい。
本発明の離型フィルムは、張力をかけずに80℃で5分加熱したあとのカールが3mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下である。もちろん、全くカールしないことも好ましい。3mm以下にすることでセラミックグリーンシートを成型し電極を印刷するときにカールが少なく印刷精度を高めることができるため好ましい。
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず、離型性の樹脂を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、加熱乾燥、熱硬化させる方法が用いられる。このとき、溶媒乾燥、熱硬化時の乾燥温度は、100℃以上、180℃以下であることが好ましく、100℃以上、160℃以下であることがより好ましく、100℃以上、140℃以下であることがもっとも好ましい。その加熱時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。180℃以下の場合、フィルムの平面性が保たれ、セラミックグリーンシートの厚みムラを引き起こす恐れが小さく好ましい。140℃以下であるとフィルムの平面性を損なうことなく加工することができ、セラミックグリーンシートの厚みムラを引き起こす恐れが更に低下するので特に好ましい。100℃よりも低いとメラミンの硬化反応が十分に進行せず離型層の弾性率が低下してしまうため好ましくない。
本発明において、離型層を塗布するときの塗液の表面張力は、特に限定されないが30mN/m以下であることが好ましい。表面張力を前記のようにすることで、塗工後の塗れ性が向上し、乾燥後の塗膜表面の凹凸を低減することができる。
本発明において、離型塗布層を塗布するときの塗液には、特に限定されないが、沸点が90℃以上の溶剤を添加することが好ましい。沸点が90℃以上の溶剤を添加することで、乾燥時の突沸を防ぎ、塗膜がレベリングさせることができ、乾燥後の塗膜表面の平滑性を向上させることができる。その添加量としては、塗液全体に対し、10〜80質量%程度添加することが好ましい。
上記塗液の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
(セラミックグリーンシートとセラミックコンデンサ)
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、このような積層セラミックコンデンサを製造するために用いられる。例えば、以下のようにして製造される。まず、本発明の離型フィルムをキャリアフィルムとして用い、セラミック素体を構成するためのセラミックスラリーを塗布、乾燥させる。セラミックグリーンシートの厚みは、0.2〜1.0μmの極薄品が求められてきている。塗布、乾燥したセラミックグリーンシートの上に、第1又は第2の内部電極を構成するための導電層を印刷する。セラミックグリーンシート、第1の内部電極を構成するための導電層が印刷されたセラミックグリーンシート及び第2の内部電極を構成するための導電層が印刷されたセラミックグリーンシートを適宜積層し、プレスすることにより、マザー積層体を得る。マザー積層体を複数に分断し、生のセラミック素体を作製する。生のセラミック素体を焼成することによりセラミック素体を得る。その後、第1及び第2の外部電極を形成することにより積層セラミックコンデンサを完成させることができる。
以下に、実施例を用いて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。本発明で用いた特性値は下記の方法を用いて評価した。
(表面粗さ)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
(表面自由エネルギー)
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、エチレングリコール(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、エチレングリコールの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の計算ソフトを用いて行った。
(セラミックスラリーの塗工性評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−S) 3.5質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1μmになるように塗工し90℃で1分乾燥後、以下の基準で塗工性を評価した。○:ハジキなどがなく全面に塗工できている。
△:塗工端部でややハジキがあるが、ほぼ全面に塗工できている。
×:ハジキが多く、塗工できていない。
(セラミックグリーンシートのピンホール評価)
前記セラミックスラリーの塗工性評価と同様にして離型フィルムの離型面に厚さ1μmのセラミックグリーンシートを成型した。次いで、成型したセラミックグリーンシート付き離型フィルムから離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cmの範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。
○:ピンホールの発生なし
△:ピンホールの発生がほぼなし
×:ピンホールの発生が多数あり
(セラミックグリーンシートの剥離性評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−S) 6.5質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.8μmの厚みになるように塗布し60℃で1分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを除電機(キーエンス社製、SJ−F020)を用いて除電した後に剥離試験機(協和界面科学社製、VPA−3)を用いて、剥離角度90度、剥離温度25℃、剥離速度10m/minで剥離した。剥離する向きとしては、剥離試験機付属のSUS板上に両面接着テープ(日東電工社製、No.535A)を貼りつけ、その上にセラミックグリーンシート側を両面テープと接着する形で離型フィルムを固定し、離型フィルム側を引っ張る形で剥離した。得られた測定値のうち、剥離距離20mm〜70mmの剥離力の平均値を算出し、その値を剥離力とした。測定は計5回実施し、その剥離力の平均値の値を採用し、評価を行った。得られた剥離力の数値から下記の基準で判定した。
○:0.5mN/mm以上、1.0mN/mm以下
△:1.0mN/mmより大きく、2.5mN/mm以下
×:2.5mN/mmより大きい
(離型層のシリコーン成分移行量評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ポリビニルブチラール(PVB)溶解液を得た。
トルエン 45.0質量部
エタノール 45.0質量部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−S) 10.0質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のポリビニルブチラール(PVB)シートが10μmになるように塗工し90℃で1分乾燥後、離型フィルムを剥離し、剥離したPVBシートの離型フィルムが接触していた面(離型層)および、PVBシートを塗工する前の離型フィルムの離型層を蛍光X線装置(Rigaku製ZSX Primus2)にてSi強度を測定し、シリコーン成分の移行量を定量した。蛍光X線装置の測定条件は下記の通りとした。
分析線:Si−KA、 ターゲット:Rh4.0kW
管電圧:50kV、 管電流:60mA
フィルタ:OUT、 アッテネータ:1/1、 スリット:S4、 分光結晶:PET
検出器:PC、 PHA条件:100(下限)-300(上限)
測定径:30mm、雰囲気:真空
シリコーン成分の移行量は、PVBシートを塗工する前の離型フィルムの離型面のSi強度をSi(前)、PVBシートを塗工・剥離後の離型フィルムの離型面のSi強度をSi(後)として、Si(前)からSi(後)を引いた値をシリコーン成分の移行量とした。得られたシリコーン成分の移行量の数値から下記の基準で判断した。
○:0.04kcps以下
△:0.04kcpsより大きく、0.10kcpsより小さい。
×:0.10kcps以上
(離型フィルムのカール評価)
離型フィルムサンプルを10cm×10cmサイズにカットし、離型フィルムに張力がかからないようにして熱風オーブンで80℃5分間熱処理を行った。その後、オーブンから取り出し室温まで冷却したのち、離型面が上になるようにガラス板の上に離型フィルムサンプルを置いて、4隅のガラス板から浮いている部分の高さを測定した。この時測定した4隅の浮き量の平均値をカール量とした。以下の基準でカール性の評価を行った。
◎:カールが1mm以下であり、ほとんどカールしていない。
○:カールが1mmよりも大きく、3mm以下であり、少しカールが見られた。
△:カールが3mmよりも大きく、10mm以下であり、カールが見られた。
×:カールが10mmよりも大きくカールしていた。
(重量平均重合度の測定方法)
分析条件
試料16mgを秤量し、クロロホルム8mlに溶解させた。0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、得られた試料溶液のGPC分析を以下の条件で実施した。

装置:TOSOH HLC-8320GPC
カラム:K-G+ K-802(排除限界分子量5×103)+ K-801(排除限界分子量1.5×103)(Shodex)、
溶媒:クロロホルム100%
流速:1.0ml/min
濃度:0.2%
注入量:50μL
温度:40℃
検出器:RI
重量平均分子量をポリスチレン換算で算出し、その値を基に重量平均重合度を算出した。ポリスチレンは、PStQuickシリーズのPStQuick C(TOSOH)を使用した。PStQuick C(TOSOH)に添加されているポリスチレンのうち、カラムの排除限界分子量を大きく超えているポリスチレンMw2110000、427000、37900については、
検量線作成から外した。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET (I))の調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(II))の調製)
一方、上記PET(I)チップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(III))の調製)
PET(I)の粒子の種類、含有量をポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.9μmの合成炭酸カルシウム0.75質量%に変更した以外は、PET(I)と同様にしてPETチップを得た(以後、PET(III)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.75質量%であった。
(積層フィルムX1の製造)
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60質量%/40質量%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは28nmであった。
(積層フィルムX2の製造)
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、25μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX2を得た。得られたフィルムX2の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
(積層フィルムX3)
積層フィルムX3としては、厚み25μmのA4100(コスモシャイン(登録商標)、東洋紡社製)を使用した。A4100は、フィルム中に粒子を実質的に含有せず、表面層B側にインラインコートで粒子を含んだコート層を設けた構成をしている。積層フィルムX3の表面層AのSaは1nm、表面層BのSaは2nmであった。
(積層フィルムX4の製造)
PET(III)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、層比率を各押出機の吐出量計算でPET(III)/(II) = 80質量% / 2 0質量%にした以外は積層フィルムX1と同様の方法で厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX4を得た。得られたフィルムX4の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは30nmであった。
(実施例1)
積層フィルムX1の表面層A上に以下組成の塗布液をリバースグラビアを用いて乾燥後の離型層膜厚が500nmになるように塗工し、120℃で15秒乾燥することで超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工し表面粗さ、表面自由エネルギー、塗工性、剥離性、シリコーン成分の移行量、ピンホール、カールを評価したところ、良好な評価結果が得られた。
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
メラミン系化合物 9.50質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分100%、三和ケミカル社製、商品名MW−30M、重量平均重合度1.3)
離型剤 0.50質量部(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3710、固形分100%、信越化学工業社製、ジメチルシロキサンとカルボキシル基の間にアルキル基が介在)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例2)
実施例1の塗布液のフルエーテル型メチル化メラミンの含有量を9.80質量部とし、離型剤(X22−3710)の添加量を0.20質量部に変更した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1の塗布液のフルエーテル型メチル化メラミンの含有量を9.00質量部とし、離型剤(X22−3710)の添加量を1.00質量部に変更した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1の塗布液のフルエーテル型メチル化メラミンの含有量を8.00質量部とし、離型剤(X22−3710)の添加量を2.00質量部に変更した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例5〜8)
離型層の膜厚を表1に記載の膜厚に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例9)
実施例1の基材フィルムを、フィルム厚みが25μmの積層フィルムX2に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例10)
実施例1の積層フィルムを、積層フィルムX3に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例11)
実施例1の積層フィルムを、積層フィルムX4に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例12)
実施例1の塗布液の酸触媒(ドライヤー(登録商標)900)の含有量を0.20質量部(メラミン系化合物に対する割合が重量比で1%となる)とした塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例13)
実施例1の塗布液1の酸触媒(ドライヤー(登録商標)900)の含有量を1.80質量部(メラミン系化合物に対する割合が重量比で9%となる)とした塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例14)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。US−350は、カルボキシル基を有するアクリル主鎖にシリコーン側鎖が導入されたアクリル樹脂である。
メチルエチルケトン 43.91質量部
トルエン 43.91質量部
メラミン系化合物 9.50質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分100%、三和ケミカル社製、商品名MW−30M、重量平均重合度1.3)
離型剤 1.68質量部
(カルボキシル基含有シリコーン共重合アクリル樹脂、US−350、固形分30%、東亞合成社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例15)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。US−450は、1分子中に2種類の官能基(カルボキシル基およびヒドロキシル基)を有するアクリル主鎖にシリコーン側鎖が導入されたアクリル樹脂である。
メチルエチルケトン 43.91質量部
トルエン 43.91質量部
メラミン系化合物 9.50質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分100%、三和ケミカル社製、商品名MW−30M、重量平均重合度1.3)
離型剤 1.68質量部
(カルボキシル基/OH基含有シリコーン共重合アクリル樹脂、US−450、固形分30%、東亜合成社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例16)
実施例1の塗布液のフルエーテル型メチル化メラミンを三和ケミカル社製、MW−30(重量平均重合度1.5)に変更した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例17)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 42.46質量部
トルエン 42.47質量部
メラミン系化合物 13.57質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分70%、三和ケミカル社製、商品名 MS−21、重量平均重合度1.8)
離型剤 0.50質量部
(両末端型カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−162C、固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例18)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 41.34質量部
トルエン 41.33質量部
メラミン系化合物 15.83質量部
(メチロール型メチル化メラミン、固形分60%、三和ケミカル社、商品名 MS−11、重量平均重合度1.8)
離型剤 0.50質量部
(両末端型カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−162C、固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例19)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
メラミン系化合物 9.50質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分100%、三和ケミカル社製、商品名MW−30M、重量平均重合度1.3)
離型剤 0.50質量部
(側鎖型カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3701E、固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例20)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
メラミン系化合物 9.50質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分100%、三和ケミカル社製、商品名MW−30M、重量平均重合度1.3)
離型剤 0.50質量部
(両末端型カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−162C、固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(実施例21)
実施例1の塗布液の酸触媒をジノニルナフタレンジスルホン酸(楠木化成社製、商品名 NACURE(登録商標)155、有効成分55%)に変更した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例22)
実施例1の塗布液の酸触媒をジノニルナフタレン(モノ)スルホン酸(楠木化成社製、商品名 NACURE(登録商標)1051、有効成分50%)に変更した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1の塗布液に対して離型剤を入れない塗布液を用いた以外は実施例1と同様の方法で超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。離型剤が入っていないため、剥離力が重く、ピンホールが多数発生していた。
(比較例2)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。離型剤を多く添加し、メラミン系化合物が離型層の70質量%しかない比較例2ではセラミックグリーンシートへのシリコーン移行量が大きくなった。
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
メラミン系化合物 7.00質量部
(フルエーテル型メチル化メラミン、固形分100%、三和ケミカル社製、商品名MW−30M、重量平均重合度1.3)
離型剤 3.00質量部
(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3710、固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(比較例3)
塗布液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。シリコーン移行量は低く良好であるが、ヒドロキシル基とメラミン系化合物の相互作用が強く、シリコーンが表面に出ていないこととメラミン系化合物の重量平均分子量が高いことで架橋密度が低くなったためか、剥離力が重くなった。
メチルエチルケトン 43.33質量部
トルエン 43.33質量部
メラミン系化合物 12.49質量部
(イミノ型メチル化メラミン、固形分80%、三和ケミカル社製、商品名 MX−730、重量平均重合度2.4)
離型剤 0.05質量部
(ポリエーテル変性OH基含有ポリジメチルシロキサン、BYK−377、固形分100%、ビックケミージャパン社製)
酸触媒 0.80質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(比較例4)
塗布液を以下の組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。メラミン系化合物の重量平均分子量が高いことで架橋密度が低くなったためか、剥離力が重くなった。
メチルエチルケトン 43.32質量部
トルエン 43.32質量部
メラミン 11.86質量部
(イミノ型メチル化メラミン、固形分80%、三和ケミカル社製、商品名 MX−730、重量平均重合度2.4)
離型剤 0.50質量部
(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3710、固形分100%、信越化学工業社製、ジメチルシロキサンとカルボキシル基の間にアルキル基が介在)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
(比較例5)
塗布液を以下の組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックシート製造用離型フィルムを得た。メラミン系化合物の重量平均分子量が高いことで架橋密度が低くなったためか、剥離力が重くなった。
メチルエチルケトン 41.34質量部
トルエン 41.34質量部
メラミン 15.82質量部
(イミノ・メチロール型メチル化メラミン、固形分60%、三和ケミカル社製、商品名 MS−001、重量平均重合度5.7)
離型剤 0.50質量部
(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3710、固形分100%、信越化学工業社製、ジメチルシロキサンとカルボキシル基の間にアルキル基が介在)
酸触媒 1.00質量部
(p−トルエンスルホン酸、日立化成社製、商品名 ドライヤー(登録商標)900、固形分50%)
本発明によれば、離型層の表面が平滑であり、従来のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムと比較して、低く均一な力でセラミックグリーンシートを剥離することができるため、厚み1μm以下の超薄層セラミックグリーンシートでもピンホール等の欠点を実質上生じることがなく製造することができる。

Claims (5)

  1. 二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して離型層が積層されており、前記離型層が少なくとも離型剤及びメラミン系化合物を含む組成物が硬化されてなるものであり、前記離型剤がカルボキシル基を含有したポリオルガノシロキサンであり、前記メラミン系化合物の重量平均重合度が2.0以下であり、かつメラミン系化合物の含有率が前記離型層形成用組成物の固形分に対し80質量%以上であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  2. 基材の片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、基材の前記表面層Aとは反対側に表面層Bを有し、表面層Bが粒子を含有し、前記粒子の少なくとも一部がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、表面層Bの質量に対する粒子の合計含有率が5000〜15000ppmである請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  3. 離型層の領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であり、かつ、最大突起高さ(P)が100nm以下である請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm〜1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法。
  5. 請求項4に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
JP2019144377A 2018-08-10 2019-08-06 セラミックグリーンシート製造用離型フィルム Active JP6977748B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018151654 2018-08-10
JP2018151654 2018-08-10

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020026135A true JP2020026135A (ja) 2020-02-20
JP6977748B2 JP6977748B2 (ja) 2021-12-08

Family

ID=69620919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019144377A Active JP6977748B2 (ja) 2018-08-10 2019-08-06 セラミックグリーンシート製造用離型フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6977748B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022209547A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 リンテック株式会社 セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
WO2024117152A1 (ja) * 2022-11-30 2024-06-06 三井化学東セロ株式会社 セラミックグリーンシートの製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011255637A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Toyobo Co Ltd 離型用積層ポリエチレンテレフタレートフィルム
WO2015129779A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 リンテック株式会社 グリーンシート製造用剥離フィルム、グリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法、グリーンシートの製造方法、およびグリーンシート
JP2016060158A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 東洋紡株式会社 セラミックシート製造用離型フィルム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011255637A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Toyobo Co Ltd 離型用積層ポリエチレンテレフタレートフィルム
WO2015129779A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 リンテック株式会社 グリーンシート製造用剥離フィルム、グリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法、グリーンシートの製造方法、およびグリーンシート
JP2016060158A (ja) * 2014-09-19 2016-04-25 東洋紡株式会社 セラミックシート製造用離型フィルム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022209547A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 リンテック株式会社 セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム
WO2024117152A1 (ja) * 2022-11-30 2024-06-06 三井化学東セロ株式会社 セラミックグリーンシートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6977748B2 (ja) 2021-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6699816B1 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP7092221B2 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP7385817B2 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP2020026135A (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP7106912B2 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP7306516B2 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP7327554B2 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP7306515B2 (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム
JP2023151062A (ja) 樹脂シート成型用離型フィルム
JP2022079524A (ja) セラミックグリーンシート製造用離型フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200825

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210413

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210611

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211012

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211025

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6977748

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350