JP2016012117A - 映像投影窓 - Google Patents

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Abstract

【課題】映像投影窓を透過して見える像の視認性を低下させることなく、投影された映像の視認性の高い車両に用いられる映像投影窓を提供する。【解決手段】光を透過する第1の透明基材と、光を透過する第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材に挟まれた映像投影膜と、を有する映像投影窓であって、前記映像投影膜に焦点が合うように投影された映像のうち、前記映像投影窓において反射された映像を見ることができることを特徴とする映像投影窓を提供することにより上記課題を解決する。【選択図】 図1

Description

本発明は、映像投影窓に関する。
通常、映写機から投射された映像光を視認可能に表示するスクリーンは、反射型、透過型を問わず映写機から投射された映像光を表示することを目的としており、観察者からみてスクリーンの反対側(背面側)を観察することができない。透過型のスクリーンでは背面側から投射された映像光を観察者側(正面側)に透過することにより映像を表示するため背面側からの光を透過させることは可能である。しかしながら、このような透過型のスクリーンにおいては、例えば、表面に凹凸が設けられているため、光を透過させることは可能であるが、背面側の様子を観察することはできない場合がある。
例えば、作業機械の表示装置よして、リアガラスにスクリーンを設け、スクリーンに映像を投影する表示装置がある(例えば、特許文献1)。
特開2002−323869号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている表示装置の場合、場所により、透過光量、光の方向が大きく変化するため、向こう側の視認性が低下し、背景が鮮明に見えない。
本発明は、映像投影構造体を透過して見える背景の像の視認性を低下させることなく、投影された映像の視認性の高い映像投影構造体を提供することを課題とする。
本実施の形態の一観点によれば、光を透過する第1の透明基材と、光を透過する第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材に挟まれた映像投影膜と、を有する映像投影窓であって、前記映像投影膜に焦点が合うように投影された映像のうち、前記映像投影窓において反射された映像を見ることができることを特徴とする。
また、本実施の形態の他の一観点によれば、光を透過する第1の透明基材と、光を透過する第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材に挟まれた映像投影膜と、を有する映像投影窓であって、前記映像投影膜に焦点が合うように投影された映像のうち、前記映像投影窓を透過した映像を見ることができることを特徴とする。
本発明における車両に用いられる映像投影窓は、映像投影窓を透過して見える像の視認性を低下させることなく、投影された映像の視認性を高めることができる。
第1の実施の形態における映像投影窓の構造図 第1の実施の形態における映像投影窓の説明図 第1の実施の形態における映像投影窓の製造方法の工程図(1) 第1の実施の形態における映像投影窓の製造方法の工程図(2) 第1の実施の形態における映像投影窓の変形例 第1の実施の形態における映像投影窓が車両に用いられている場合の説明図 第2の実施の形態における映像投影窓の構造図(1) 第2の実施の形態における映像投影窓の構造図(2) 第2の実施の形態における映像投影窓の説明図 第2の実施の形態における映像投影窓の構造図(3) 第2の実施の形態における映像投影窓の製造方法の工程図(1) 第2の実施の形態における映像投影窓の製造方法の工程図(2)
発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、車両に用いられる映像投影窓としては、窓となるガラスの一方の面にスクリーンとして機能するフイルムを張り付ける方法がある。しかしながら、窓の外側にフィルムを張り付けた場合、一般的にフィルムは柔らかいため、風雨等に晒されたり、車両の洗浄等によりダメージを受け、綺麗な映像が得られなくなりやすい。また、窓の内側にフィルムを張り付けた場合、例えば、自動車等の場合では、窓の開閉によりフィルムの表面が擦れ、窓拭き等によりフィルム表面にダメージを受け、同様に綺麗な映像が得られなくなりやすい。
よって、映像投影窓を透過して見える像の視認性を低下させることなく、映像投影窓に投影された映像の視認性が高く、車両等の窓に用いることができる耐久性の高い映像投影車両窓が求められている。即ち、本願は、合わせガラス構造にすることにより、従来のような、車両の窓に貼り付けて利用するものと比較して、映像投影窓の耐久性を向上させることができる。また、合わせガラス構造として、ガラスとガラスの間に、映像投影膜を入れることにより、良好な視界が得られる車両用の窓として用いることのできる映像投影車両窓を得ることができる。
〔第1の実施の形態〕
(映像投影窓)
本実施の形態における映像投影窓は、外の景色が透過して見えるように、可視光における透過率は1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。また、スクリーンとしてのゲインを適切に保つために、可視光における透過率は90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。スクリーンとして機能させるためには、スクリーンゲインが高い方が良いため、反射率は5%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。また、透過率を確保する視点から、反射率は70%以下が好ましい。
前方ヘイズは、15以下であってよく、10以下であってよい。また、前方ヘイズは、スクリーン特性との両立という観点からは、0.2以上であってよく、0.5以上であってよく、0.8以上であってよい。前方ヘイズとは、透過光のうち、入射光から2.5°以上それた透過光を百分率で表したものである。
後方ヘイズは、5以上であってよい。また、後方ヘイズは、透明性という観点からは、90以下であってよく、80以下であってよい。後方ヘイズとは、反射光のうち、正反射光から2.5°以上それた反射光を百分率で表したものである。
映像投影構造体は、周囲に外光が存在する環境下で利用されることに適しており、映像投影構造体を見る観察者の視線が届く範囲に100ルクス以上の環境があっても、視認性良く、投影された映像と背景が見えることが好ましい。そのためには、前方ヘイズに対し、後方ヘイズが大きいことが好ましい。
映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における、前方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度に対する、後方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度の比(Ib/If)は0.8以上であってよく、1より大きいことが好ましい。斜入射により映像投影構造体へ入射する外光をできる限り、観察者へ視認させないことが重要である。そのため、映像投影構造体へ入射する光のうち、投影光が入射しない側の光が観察者へ放出されにくいことが透明性に重要であることが分かったため、上記、パラメーターを適切に保つ必要がある。
また、透明感とスクリーンとしてのゲインを両立するパラメーターとしては、映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における前方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度に対する、後方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度の比(Ib/If)を、前方ヘイズの値で除した値が0.1以上であるとよく、0.2以上であると好ましい。このパラメーターを測定する際の光源としては、可視光を放出する光源であればよい。具体的には、A光源、B光源、C光源、D光源、D65、もしくは、それらの可視光域を再現するものであってよい。
また、透明感とスクリーンとしてのゲインを両立するパラメーターとしては、映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における「45°入射の後方散乱光の強度/45°入射の前方散乱光の強度×後方ヘイズ/前方ヘイズ」が5以上であるとよく、10以上であると好ましい。
映像投影窓は、上記の光学条件を満たせば、周囲に外光が存在する環境下でも映像視認性と背景視認性を両立させることができる。外光としては、直射日光が存在する場合、直射日光はないが晴天時の場合、室内における100ルクス以上の環境下の場合であっても利用可能である。
第1の実施の形態における映像投影窓について、図1に基づき説明する。本実施の形態における映像投影窓100は、映像投影車両窓となるものであり、ガラスまたは透明樹脂により形成された第1の透明基板11と第2の透明基板12との間に、映像投影膜20が形成されている構造のものである。映像投影膜20は、第1の透明基板11側より、第1の透明層21、反射膜30、第2の透明層22を積層することにより形成されており、第2の透明層22の上には、第2の透明基板12が形成されている。
第1の透明層21の表面には凹凸が形成されており、第1の透明層21における凹凸が形成されている面の上には、反射膜30が形成されている。反射膜30の上には、凹凸を埋め込むように、第2の透明層22が形成されている。
第1の透明層21は、透明樹脂層であることが好ましい。透明樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂が好ましい。窓としての機能が損なわれないよう、透明感を維持するため、透明樹脂のイエローインデックスが10以下であると好ましく、5以下がより好ましい。第1の透明層21の透過率は50%以上であると好ましく、75%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
第2の透明層22は、透明樹脂層であることが好ましい。透明樹脂としては、第1の透明層21におけるのと同様のものであってよい。第1の透明層21と同一の材料により構成されていても異なる材料により構成されていてもよいが、同一の材料により構成されていることが好ましい。第2の透明層22は、透明樹脂層であることが好ましい。第2の透明層22の透過率は50%以上であると好ましく、75%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
第1の透明層21と第2の透明層22において、凹凸部分以外の厚みは、0.5μm以上50μm以下であってよい。
反射膜30は、金属膜、誘電体の単層、多層膜、または、それらの組み合わせにより形成されており、反射膜30に入射した光の一部は透過し、他の一部は反射する。よって、反射膜30は、金属、金属酸化物、金属窒化物のうちのいずれかにより形成されていてもよい。反射膜30は、アルミニウム(Al)や銀(Ag)を含む金属材料により形成されていることが好ましい。反射膜30は、金属薄膜からなる、または、酸化物膜、金属薄膜膜、酸化物膜の順に積層された膜構成からなることが好ましい。金属薄膜の厚みは1nm〜100nm以下が好ましく、4nm〜25nm以下がより好ましい。この範囲であると、第1の透明層21の表面に形成される凹凸のラフネス値Raによる機能を妨げずに活かすことができる。本実施の形態における映像投影窓の透過率及び反射率は、反射膜30の膜厚や種類を変更することにより調整可能である。
第1の透明層21と第2の透明層22は、それぞれの平均厚みの平板に同材料を加工した際に、前方ヘイズが20以下の材料によって構成されていることが好ましく、15以下がより好ましい。また、可視光域の吸収は、第1の透明層21と第2の透明層22の消衰係数k、kが、凹凸形状のRaをA、可視光波長λとした場合に、exp(−2πA×|k−k|/λ)>0.25であると好ましい。透明な樹脂、凹凸の形状は、ランダムの凹凸、レンズアレイ、複数の形状のレンズを持ったレンズアレイ、ブレーズ型ホログラム、疑似ブレーズ型ホログラム等であってよい。特に、ランダムの凹凸であると、フィルムのモールドを利用できるため、大面積化が容易であり好ましい。
本実施の形態における映像投影窓100において、隣り合う各層間の屈折率差は、0.2以内であると、各層界面での反射率が0.5%以内に抑えられるため好ましい。また、0.1以内であると、各層界面での反射率が0.1%程度となるためより好ましい。
また、第1の透明層21と第2の透明層22の屈折率差は、第1の透明層21の表面に形成される凹凸のラフネス値Raに対し、可視域の光の波長をλとし、それぞれの屈折率の差の絶対値をΔnとした場合、Δn×Ra/λの値が1以内であると好ましい。また、界面の反射や、透過する散乱光や、凹凸構造の自由度を考慮すると、第1の透明層21と第2の透明層22の屈折率の差は、0.1以内であると好ましく、よ0.05以内がより好ましく、0.02以内であるとさらに好ましい。また、第1の透明層21と第2の透明層22が有機樹脂により形成されている場合、各層の樹脂に含まれる2重結合および3重結合の体積比率の比が50%〜150%の範囲であると好ましい。また、第1の透明層21と第2の透明層22は、各層の材料の密度の比が80%〜120%の範囲であると好ましい。
第1の透明基板11及び第2の透明基板12を構成するガラスとしては、ソーダライムガラスが好ましい。耐久性を向上させるため、化学強化、ハードコーティング等を行ってもよい。第1の透明基板11及び第2の透明基板12を構成する透明樹脂としては、ポリカーボネート、PETフィルム、PENフィルム、シクロオレフィンポリマーのフィルム、ポリエステルフィルム等が好ましい。特に、複屈折が無い基板であるとよい。
なお、第1の透明基板11および第2の透明基板12がPETフィルム、PENフィルム、およびシクロオレフィンフィルム等の透明樹脂であると、本実施の形態における映像投影窓100を自動車用のウィンドウガラスに用いる場合、合わせガラス用の中間膜との接着性が良いため好ましい。
本実施の形態における映像投影窓100は、反射型の映像投影窓であり、図2に示されるように、投影機110から映像投影窓100に映像を投影し、映像投影窓100において反射された映像を投影機110が設置されている側の観察者が見るためのものである。
本実施の形態における映像投影窓100は透過色が青みを示すと透明感を与えられて好ましい。色度図上で、白色光を透過させた際に、x<0.33であると、より好ましい。
(映像投影窓の製造方法)
次に、本実施の形態における映像投影窓の製造方法について、図3及び図4に基づき説明する。
最初に、図3(a)に示すように、表面に凹凸90aが形成されている成形型90を準備する。成形型90は、表面に凹凸が形成されている樹脂フィルムであってもよく、白色や黒色のフィルムで表面が艶消しのもの、光沢があるもの、離型フィルムであってもよく、表面に凹凸が形成されている金型であってもよい。表面の特性に関しては、同一の面内においての光沢度の変化が少ないことが好ましく、同一面内の異なる2か所の光沢度の比を取った場合、50%〜200%以内となることが好ましい。表面に凹凸が形成されているフィルムは、易接着処理がなされていないことが好ましい。表面に凹凸が形成されている金型、もしくは、フィルムは、例えば、凹凸が形成される材料の表面を切削、ドライエッチング、ウェットエッチング、サンドブラスト、押し出し成型による表面成型、微粒子等の混合部材を成型した際に生じる表面構造の利用、自己組織化材料の塗布等により凹凸を形成したものであってもよい。金型の素材は、Ni系材料、ステンレス、Cu系材料、石英、ガラス等であってもよい。また、形成された凹凸の表面には、離型処理がなされていてもよい。
一方、成形型90の表面の凹凸の全面、もしくは、部分的に凹凸の異方性の高い形状を有するものであってもよい。このような表面の場合、同一の面内の異なる2か所の光沢度の比は、前記範囲以内とならなくてもよい。異方性の高い形状は、凹凸がついたフィルムを延伸する、フィルムへ斜め方向よりサンドブラストをする等により作成することが出来る。
次に、図3(b)に示すように、ガラス基板等の第1の透明基板11を準備し、第1の透明基板11の上に、第1の透明層21を形成するための樹脂材料であるUV硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)をダイコート、スピンコート、インクジェット塗布、スプレーコート等により塗布する。この後、第1の透明基板11の上の塗布されているUV硬化性樹脂の上に成形型90を載置する。成形型90は、成形型90の凹凸90aが形成されている面が、UV硬化性樹脂の上になるように載置する。この後、UV硬化性樹脂に200〜10000mJのUV光(紫外光)を照射することにより、UV硬化性樹脂を硬化させ、第1の透明層21を形成する。なお、第1の透明層21を熱硬化性樹脂により形成する場合は、熱硬化性樹脂の上に成形型90を載置したあと、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させる。また、第1の透明層21を熱可塑性樹脂により形成する場合は、熱可塑性樹脂を加熱して成形型90を載置したあと、冷却して熱可塑性樹脂を固化させる。
次に、図3(c)に示すように、成形型90を第1の透明層21より剥がす。これにより、第1の透明層21の表面に形成されている凹凸21aの表面が露出する。
次に、図4(a)に示すように、第1の透明層21において、凹凸21aが形成されている面に反射膜30を形成する。反射膜30は、凹凸21aが形成されている面に、真空蒸着またはスパッタリングにより、Al膜を成膜することにより形成する。
また、反射膜30は、好ましくは1nm〜100nm以下、より好ましくは4nm〜25nmの厚みとなるように形成される。反射膜30は、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは30%以上の反射率となるように形成される。また、反射膜30は、反射率が色によって急激に変化しないことが好ましい。RGBそれぞれの代表的な光の波長を630nm、530nm、465nmとしたとき、それぞれの反射率のLog(常用対数)の値の比が、0.5〜2の範囲内であると好ましい。
次に、図4(b)に示すように、反射膜30の上に、第2の透明層22を形成する。具体的には、第1の透明層21における凹凸21aの上に形成されている反射膜30の上に、第2の透明層22を形成するためのUV硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)をダイコートにより塗布する。この後、UV硬化性樹脂にUV光(紫外光)を照射することにより、UV硬化性樹脂を硬化させ、第2の透明層22を形成する。尚、第2の透明層22は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂により形成してもよい。これにより、第1の透明基板11の上に、第1の透明層21、反射膜30、第2の透明層22からなる映像投影膜20が形成される。
映像投影膜20は、下記の構成であってもよい。ハーフミラーに散乱材料を積層したものであってもよい。体積ホログラムによって、反射、偏向、拡散されるものであってもよい。キノフォーム型ホログラム、その他凹凸表面やその表面に反射膜を形成した構成によって、偏向、反射、拡散されるものであってもよい。コレステリック液晶、高分子コレステリック液晶を利用したものであってもよい。コレステリック液晶は、凹凸表面上に配向、形成したものであってもよい。高分子コレステリック液晶の表面をエッチング等で凹凸をつけたものであってもよい。コレステリック液晶を水平配向と垂直配向の基材にて液晶層を形成したものであってもよい。コレステリック液晶に界面活性剤を添加したものを基材上に塗布して、塗布表面を垂直配光させたものであってもよく、また、塗布表面の配向性を落としたものであってもよい。
次に、図4(c)に示すように、映像投影膜20の上に第2の透明基板12を不図示の接着層により張り付ける。
第1の透明基板11、第2の透明基板12については、基材としての耐久性が保たれる範囲として0.05mm〜10mm以内、好ましくは、0.1mm〜5mm以内である。
また、第1の透明基板11に透明樹脂フィルムを用いた場合には、ロールプロセスを適用できる厚みであることが好ましく、0.01mm〜0.5mm、より好ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに好ましくは、0.15mm以内である。
なお、本映像投影窓を自動車用に用いる場合には、映像投影膜20は0.05mm〜0.3mmの厚みであるとウィンドウガラスの間に部分的にフィルムを導入しても泡咬みを抑制しやすい。
また、第1の透明層21と第2の透明層22は、凹凸部分以外の厚みは、0.5μm以上であればよく、ロールプロセスにて作成することを考慮すると50μm以下であると好ましい。また、凹凸のRaの2倍以下であれば、樹脂の量を削減して低コスト化をはかりつつ、成型時の引け等を抑制するのに十分な厚みとなるため、好ましい。
(変形例)
次に、本実施の形態における映像投影窓の変形例について説明する。
本実施の形態における映像投影窓の変形例は、図5に示されるように、合わせガラスにした構造の映像投影窓である。具体的には、第1の透明層21、反射膜30、第2の透明層22により形成されている映像投影膜20において、第1の透明層21側に、接着層51により第1の透明樹脂フィルム41と第1のガラス基板61とが接着されたものが張り合わされており、第2の透明層22側に、接着層52により第2の透明樹脂フィルム42と第2のガラス基板62とが接着されたものが張り合わされている。なお、第2の透明樹脂フィルム42を設けることなく、第2の透明層22に接着層52により第2のガラス基板62が接着されているものであってもよい。本変形例においては、接着層51及び52は、例えば、EVA(Ethylene−vinyl acetate)樹脂またはPVB(Poly vinyl butyral)樹脂、アクリル系粘着剤やその他粘着剤、UV硬化樹脂等により形成されている。
なお、接着層51及び52は、第1のガラス基板61を第1の透明樹脂フィルム41に、第2のガラス基板62を第2の透明樹脂フィルム42に、接着するためのものであり、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物からなるものである。接着層51及び52の厚さは必ずしも限定されるものではないものの、例えば、0.01〜1.5mmが好ましく、0.05〜0.5mmがより好ましい。
接着層51及び52に用いられる熱可塑性樹脂としては、従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂等が挙げられる。
また、接着層51、52にUV吸収材料が含まれていることが好ましい。UV吸収材料が含まれていることにより樹脂部分の劣化を抑制できる。
(映像投影窓の用途)
次に、本実施の形態における映像投影窓の用途について説明する。
自動車用の用途として、サイドウィンドウやリアウィンドウ、フロントガラスへ本映像投影窓を搭載できる。特に、フロントガラスの外周部へ本映像投影窓を搭載すると、高い前方視認性と情報表示の両立が出来るため、好ましい。
合わせガラスの構造となっていると、風雨や熱、太陽光に対して十分な耐久性があるため、よい。また、本映像投影窓を用いると、視認性としても充分の視認性があり、窓として利用が可能である。また、汚れた場合に表面を通常のガラス材と同等の方法で、清掃することが可能であり、洗車等によって簡便に清掃できる。
また、サイドウィンドウへ搭載することで、搭乗者に対し、周囲の情報を表示して提供したり、映画やスポーツ等の映像を映すこともできる。
また、リアウィンドウへ搭載することで、後方確認時に、後方に物体がある場合、矢印等にて見えにくい物体の認識の補助をすることができる。また、後方の死角となる部分の表示をすることで、安全に後方への進行を行うことができる。その際に、投影像の焦点を映像投影部に合わせることができるため、ガラスの積層形状や表面形状による歪みの影響を受けにくく、クリアな映像を観察者に提供できる。
映像投影膜にプロジェクターからの投影像の焦点が合うようにすることができるため、焦点位置の近くのガラスの積層形状や、表面形状による歪みの影響を受けにくい。さらにクリアな映像を得るためには、プロジェクター側の透明部材の厚みムラが50%以内であるとよく、25%以内で有ると好ましく、10%以内であるとより好ましい。また、フロントガラスの外周部分へ本映像投影窓を搭載し、任意の情報を提示することで運転者へ常に必要ではないが、運転者が必要になった際に必要な情報を視認する様な使用が可能である。
さらに、異方性のある凹凸を有する型により形成された第1の透明層21を有すると、より運転者または助手席にのみ見えるように表示させやすい。また、別の手法として、凹凸の算術平均粗さを0.3μm以下として、プロジェクターの正反射に近い方向のみに強い反射光を発生させるようにすることで、運転者や助手席にのみ映像が見えるようにプロジェクターの位置を調整するようにしても良い。また凹凸形状を制御し、視野角を制御された第1の透明層21を有すると、高ゲインと高透過率を有する投影窓や、水平方向や垂直方向などの特定方向へ広い視野角を持たせた投影窓とすることができ、自動車用として好ましい。
また、サイドウィンドウやリアウィンドウの室内側の透明基板を着色ガラスにすると、プライバシーウィンドウとして利用できる。
また、逆に、サイドウィンドウやリアウィンドウの奥外側の透明基板を着色ガラスにすると、外見上はガラスのクリアさを表現しつつ、内部からはスクリーンの機能を発揮するウィンドウとして利用できる。
また、本映像投影窓を自動車のフロントガラスに適用する際にはヘイズ値が4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましく、0.8以下が特に好ましい。ヘイズ値が小さいと、視認性が良好となり、また2重像の抑制に効果がある。この場合、第1の透明基板11および第2の透明基板12がPETフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンフィルム等の透明樹脂フィルム等を用いるとよい。
また、本映像投影窓を自動車のフロントガラスに適用する際には、表面に低反射膜を施すと2重像を抑制できる。低反射膜は表面のどちらにあってもよいが、入射側(観察者側)に施されることが好ましい。
また、以下の部分へ導入して、利用することも可能である。
・フロントガラスのシェード部分への情報表示
・自動車用フロントガラスの下部への情報表示
・タクシー・リムジンの車内パーテーションへの情報、映像表示バスの車内広告(ドライバーの背面)
・自動車用サンバイザー
・ミニバン、SUVにおいて、車内パーテーションとしてTVやDVDの映像の表示
・側面のドアを開けたときにドアガラスに『注意!』等が表示される使い方。
・メーター周囲へのより詳細な情報の表示
・ドアガラス用スクリーン
・GPS、インターネット、および外部カメラ等と接続して、雨天、降雪等の悪天候時や大きい車が視野を悪くする時に、前方、周辺情報、および位置情報をフロントガラスに情報表示
また、鉄道車両においては、
・運転席の背面の窓ガラス(地下運転時の車内照明の映り込み防止)
・鉄道用側窓ガラスへの情報表示
・広告中吊り
・新幹線のパーテーション部分
・リニアモーターカーの窓ガラス
・電車用の窓へスクリーン機能を付与する。特に、日没後等に利用すると外光の影響によるコントラストの低下が抑制できる。例えば、第1の実施の形態における映像投影窓は、図6に示されるように電車等の車両300の窓として用いることができる。
〔第2の実施の形態〕
(映像投影窓)
本発明における映像投影体は、可視光における透過率が5%以上、90%以下であり、前方ヘイズが4以上、40以下であり、後方ヘイズが0以上、60以下である映像投影構造体であって、前記映像投影窓の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における後方散乱光の強度は前方散乱光の強度よりも低い。
可視光における透過率は、20%以上であってよく、40%以上であってよい。この範囲であると、外の景色の視認性がよい。また、スクリーンとしてのゲインを適切に保つために、可視光における透過率は80%以下であってよい。スクリーンとして機能させるためには、スクリーンゲインが高い方が良いため、反射率は15%以下であってよく、10%以下であってよい。また、1%以上であってよく、5%以上であってよい。
前方ヘイズは、5以上であってよく、8以上であってよい。20以下であってよい。前方ヘイズとは、透過光のうち、入射光から2.5°以上それた透過光を百分率で表したものである。
後方ヘイズは、5以上であってよい。また、後方ヘイズは、透明性という観点からは、40以下であってよく、20以下であってよい。後方ヘイズとは、反射光のうち、正反射光から2.5°以上それた反射光を百分率で表したものである。
映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における、後方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度は、前方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度よりも小さい。
また、背景を視認することに対する透明性においては、反射率(r)と、後方ヘイズ(Hb)と、前記映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における、前方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度(If)に対する、後方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度(Ib)の比(Ib/If)と、の積(r×Hb×Ib/If)が、500以下であるとよく、250以下であると好ましく、100以下であるとより好ましい。
また、映像の視認性においては、透過率の常用対数(logT)と、前方ヘイズ(Hf)と、前記映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における、前方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度(If)に対する、後方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度(Ib)の比(Ib/If)と、の積(logT×Hf×Ib/If)が10以上であることが好ましい。
また、映像の視認性や背景の視認性のバランスにおいては、光損失を100−透過率(%)−反射率(%)とした場合、透過率の自乗(T)と、光損失(loss)と、前記映像投影構造体の表面に対し45°の角度より光を入射させた場合における、前方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度(If)に対する、後方かつ映像投影窓の法線方向に散乱する光の強度(Ib)の比(Ib/If)と、の積(T×loss×Ib/If)が100,00以上であることが好ましい。ゲインと透過率のバランスがよいからである。200,000以上だとさらにコントラストが向上する効果が強くなる。
次に、第2の実施の形態における映像投影窓について、図7に基づき説明する。本実施の形態における映像投影窓200は、映像投影車両窓となるものであり、第1の透明基板211と第2の透明基板212との間に、映像投影膜210が形成されている。映像投影膜210は、第2の透明基板212の上に複数形成された一次元方向に延びるストライプ状の複数の光散乱部220と、第2の透明基板212及び光散乱部220を覆うように形成された透明樹脂層230とを有している。なお、光散乱部220は断面が三角形、台形、釣鐘等の形状となるように形成されている。本実施の形態においては、このようにストライプ状に、一次元方向に延びる光散乱部220が複数形成されている構造をルーバー構造と記載する場合がある。本実施の形態においては、光散乱部220は、透明樹脂層230の内部に、線状に複数形成されており、この複数の光散乱部220は、所定の間隔により配置されている。
本実施の形態においては、第1の透明基板211は、光を透過するガラスまたは樹脂フィルム等により形成されている。透明樹脂層230は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑樹脂等を用いることができ、窓としての機能が損なわれないよう、透明感を維持するため、イエローインデックスが10以下だと良く、5以下であるものが好ましい。
光散乱部220は、透明樹脂に光散乱材料を含んだもの、または、透明樹脂に光散乱材料及び光吸収材料を含んだものにより形成されている。光散乱部220に用いられる透明樹脂は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑樹脂等を用いることができる。光散乱材料は、酸化チタン(屈折率:2.5〜2.7)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.4)、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)等の高屈折率材料の微粒子や、ポーラスシリカ(屈折率:1.25以下)、中空シリカ(屈折率:1.25以下)等の低屈折率材料の微粒子、上記透明樹脂に相溶性の低い屈折率が異なる樹脂材料や結晶化した1μm以下の樹脂材料等を用いることができる。光散乱部220に含まれる光散乱材料の濃度は、0.01vol%以上、5vol%以下であることが好ましく、更には、0.05vol%以上、1vol%以下であることがより好ましい。
また、光吸収材料としては、カーボンブラックやチタンブラック等を用いることができる。光散乱部220に含まれる光吸収材料の濃度は、0.01vol%以上、5vol%以下であることが好ましく、更には、0.1vol%以上、3vol%以下であることがより好ましい。なお、光散乱部220に光吸収材料を含めることにより、不要な迷光として映像投影窓内を伝搬する光の一部を吸収することができ、散乱される光が減少するため、映像投影窓200において白濁して見える現象を抑制し、透明感を向上させることができる。また、光散乱材料や、光吸収材料の濃度を小さくすることで、均一な材料にしやすく光散乱部220の特性を均質にしやすい。
本実施の形態における映像投影窓においては、第1の透明基板211及び第2の透明基板212の屈折率と透明樹脂層230の屈折率とは等しいものであることが好ましい。また、第1の透明基板211及び第2の透明基板212の屈折率及び透明樹脂層230の屈折率と光散乱部220の屈折率との差は、0.01以下が好ましく、0.005以下がより好ましく、0.001以下がさらに好ましい。透明樹脂層230の屈折率と光散乱部220の屈折率との差が大きいと、映像投影窓を透過して見える像が多重に見えるからである。また、光散乱材料や、光吸収材料は有機樹脂よりもかなり屈折率が大きい、もしくは、小さい場合が多く、その濃度を小さくすることで屈折率の変化を抑制し、また、光散乱部220に用いる材料を透明樹脂層230に用いる材料と同等、もしくは、わずかな組成調整にて屈折率を上記範囲に含めることができる。
第1の透明基板211および第2の透明基板212の厚みは、本実施の形態における映像投影窓を自動車用に用いる場合には0.05mm〜0.3mmの厚みであるとウィンドウガラスの間に部分的にフィルムを導入しても泡咬みを抑制しやすい。
本実施の形態における映像投影窓は、図8に示されるように、第1の透明基板211と第1の透明基板211との間に形成された透明樹脂層230の内部に、光散乱微粒子221を分散させたものであってもよい。光散乱微粒子221は、上述した酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の高屈折率材料の微粒子や、ポーラスシリカ、中空シリカ等の低屈折率材料の微粒子であってもよい。光散乱微粒子221は、光散乱微粒子221における粒径の平均値が50nm以上、1000nm以下であることが好ましく、更には、100nm以上、1000nm以下であることがより好ましい。なお、光散乱微粒子は、光散乱材料の一種である。
映像投影膜210は、下記の構成であってもよい。体積ホログラムによって、透過、偏向、拡散されるものであってもよい。キノフォーム型ホログラム、その他凹凸表面を形成した構成によって、偏向、散乱、拡散されるものであってもよい。
また、映像投影窓は、背景を視認できることが目的であるため、周辺に外光が存在することが使用する前提となる。そこでは外光が映像投影窓に入射することによって伝搬、散乱されることにより、映像投影窓から放出され、投影される映像や背景のコントラストを低下させるという現象を引き起こす。そこで、透明樹脂に光散乱材料及び光吸収材料を含んだものにより形成することにより、外光が不要な部位から放出され、映像や背景のコントラストを低下させる現象を抑制し、良好な視認性を維持することができる。吸収の量は、垂直に入射した光に対して、0.5%以上あると良く、5%以上あると好ましく、10%以上あるとさらに好ましい。また、吸収は、90%以下とすることで、投影された映像光の光量を適切に利用することができるためよく、75%以下であると好ましく、50%以下であるとさらに好ましい。
なお、本実施の形態における映像投影窓200は、透過型の映像投影窓である。即ち、図9に示されるように、投影機110から映像投影窓200に映像を投影し、映像投影窓200において透過して見える映像を投影機110が設置されている側とは反対側にいる観察者が見るためのものである。
(映像投影窓の製造方法)
次に、本実施の形態における映像投影窓の製造方法について、図10に示される構造の映像投影窓の製造方法について説明する。
図10に示される構造の映像投影窓は、合わせガラス化されているものであり、接着層251により第1の透明基板211が張り付けられており、接着層252により第2の透明基板212が張り付けられている構造のものである。
図10に示される本実施の形態における映像投影窓の製造方法について、図11及び図12に基づき説明する。
最初に、図11(a)に示すように、第1の透明樹脂フィルム241の上に、透明樹脂層230を形成する。具体的には、第1の透明樹脂フィルム241の表面に、スピンコートにより光硬化性樹脂を塗布し、スピンコートにより塗布された光硬化性樹脂の上に、成形型290を押しつけ、紫外線を照射することにより、光硬化性樹脂を硬化させて透明樹脂層230を形成する。この後、成形型290は、透明樹脂層230より剥がす。これにより、表面に光散乱部220の形状に対応した形状の溝230aを有する透明樹脂層230が形成される。なお、成形型290はモールド樹脂により形成されており、光散乱部220の形状に対応した形状の突起部290aが設けられている。成形型290は、突起部290aが設けられている面がスピンコートにより塗布された光硬化性樹脂の上となるようにして押しつけ、突起部290aの形状に対応した溝230aが透明樹脂層230の表面に形成されるようにする。これにより、透明樹脂層230の表面に、ルーバー構造の光散乱部220を形成するための溝230aを形成することができる。
次に、図11(b)に示すように、透明樹脂層230の溝230aに、光散乱部220を形成する。具体的には、透明樹脂層230の溝230aに、光散乱部220を形成するための紫外線硬化樹脂を含むペーストを供給し、余剰分をドクターブレードでかき取る。これにより、透明樹脂層230の溝230aに、ペーストを埋め込む。この後、紫外線を照射し、ペーストを硬化させることにより、透明樹脂層230の溝230aに、光散乱部220を形成する。このようにして、ルーバー構造の光散乱部220を形成する。このように形成される光散乱部220は、光散乱ルーバーと呼ばれる場合がある。
光散乱部220を形成するためのペーストは、透明樹脂層230を形成する際に用いた紫外線硬化樹脂に、光拡散材料として酸化チタン微粒子を所望の濃度となるように混合することにより形成されている。
次に、図11(c)に示すように、映像投影膜210となる透明樹脂層230及び光散乱部220の上に、第2の透明樹脂フィルム242を形成する光硬化性樹脂を塗布する。これにより、光散乱部220を形成する際に凹凸が生じている場合に表面を平坦化させることができる。具体的には、透明樹脂層230及び光散乱部220の上に、透明樹脂層230を形成する際に用いた紫外線硬化樹脂(不図示)を塗布した後、塗布された光硬化性樹脂の上に透明基板(不図示)を載置して、紫外線を照射後、透明基板を剥離する。これにより、透明樹脂層230及び光散乱部220の上に、第2の透明樹脂フィルム242を形成する。
次に、図12に示されるように、映像投影窓を合わせガラス化する。具体的には、第1の透明基板211及び第2の透明基板212となる2枚のソーダライムガラスと、接着層251及び252となるPVBフィルムを準備する。この後、第1の透明樹脂フィルム241の上に、接着層251となるPVBフィルム、第1の透明基板211を順に積層し、第2の透明樹脂フィルム242の上に、接着層252となるPVBフィルム、第2の透明基板212を順に積層する。この後、真空加熱圧着を行うことで光散乱ルーバーを内部に有する合わせガラスとなる図10に示される映像投影窓を作製することができる。
なお、接着層251及び252は、第1の透明基板211及び第2の透明基板212を接着するためのものであり、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物からなるものである。接着層251及び252の厚さは必ずしも限定されるものではないものの、例えば、0.025〜1.0mmが好ましく、0.05〜0.2mmがより好ましい。
自動車用の用途として、第1の実施の形態と同様に、サイドウィンドウやリアウィンドウ、フロントガラスへ本映像投影窓を搭載できる。特に、フロントガラスの外周部へ搭載すると、高い前方視認性と情報表示の両立ができるため、好ましい。本映像投影窓を利用することで、周囲への注意喚起やサイネージに利用できる。
また、サイドウィンドウへ搭載することで、側面のドアを開けたときにドアガラスに『注意!』等が表示し、周囲への注意喚起等へ車両周囲の観察者等へ、情報を提供することができる。
また、リアウィンドウへ搭載することで、後方へ進行する際に、周囲への注意喚起等をすることができる。その際に、投影像の焦点を映像投影部に合わせることができるため、実際に、車両を見ると同時に、映像を視認することができ、焦点距離を映像用へ見直す必要がなく、すばやく、注意情報等の認識が可能になる。
ガラスの積層形状や、表面形状による歪みの影響を受けにくいが、よりクリアな映像をプロジェクター側、映像放出側双方の透明部材の厚みムラが50%以内であるとよく、25%以内で有ると好ましく、10%以内であるとより好ましい。
また、フロントガラスの外周部分へ本映像投影窓を搭載し、任意の情報を提示することでタクシーやバス等が運行状況を表示したりして、利用者の利便性を向上させることができる。
また、サイドウィンドウやリアウィンドウの室内側の透明基板を着色ガラスにすると、プライバシーウィンドウとして利用できる。
また、本映像投影窓を自動車のフロントガラスに適用する際にはヘイズ値が4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましく、0.8以下が特に好ましい。ヘイズ値が小さいと、視認性が良好となり、また2重像の抑制に効果がある。この場合、第1の透明基板11および第2の透明基板12がPETフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンフィルム等の透明樹脂フィルム等を用いるとよい。
また、本映像投影窓を自動車のフロントガラスに適用する際には、表面に低反射膜を施すと2重像を抑制できる。低反射膜は表面のどちらにあってもよいが、透過側(観察者側)に施されることが好ましい。
また、自動車等においては、
・フロントガラスのシェード部分への外部への情報の表示
・リアガラスに搭載し、バックライト・HMSL、後方への情報表示、バス等の行き先表示
・自動車用フロントガラスの下部への情報表示
・タクシー・リムジンの車内パーテーションへの情報、映像表示バスの車内広告(ドライバーの背面)
・自動車用サンバイザーへの情報表示
・ミニバン、SUVにおいて、車内パーテーションとしてTVやDVDの映像の表示
・側面のドアを開けたときにドアガラスに『注意!』等が表示される使い方。
・メーター周囲
・ドアガラス用スクリーン
・GPS、インターネット等と接続して、周辺施設の広告等の情報表示
・後方・左右の車両への停止、曲がる等の注意表示
鉄道車両においては、
・鉄道用側窓ガラスへの情報表示
・広告中吊り
・新幹線のパーテーション部分
・リニアモーターカーの窓ガラス
・電車用の窓へスクリーン機能を付与する。特に、日没後等に利用する。例えば、第1の実施の形態における映像投影窓は、図6に示されるように電車等の車両300の窓として用いることができる。
なお、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
(実施例1)
最初に、成形型90として、表面にランダムな凹凸が形成されているサンドブラストフィルムを使用した。成形型90の表面に形成されているランダムな凹凸のラフネス値(Ra)は約1.2μmであった。
次に、図3(b)に示すように、厚さ0.1mmのPETフィルムを準備し、PETフィルムの上に、第1の透明層21を形成するためのUV硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)であるオグソールEA−F5003をダイコートにより塗布した。この後、PETフィルムの上の塗布されているUV硬化性樹脂の上に成形型90を載置した。成形型90は、成形型90のランダムな凹凸90aが形成されている面が、UV硬化性樹脂の上になるように載置した。この後、UV硬化性樹脂に1000mJのUV光(紫外光)を照射することにより、UV硬化性樹脂を硬化させ、第1の透明層21を形成した。
次に、図3(c)に示すように、成形型90を第1の透明層21より剥がした。これにより、第1の透明層21の表面に形成されているランダムな凹凸21aの表面が露出した。
次に、図4(a)に示すように、第1の透明層21において、ランダムな凹凸21aが形成されている面に反射膜30を形成した。反射膜30は、ランダムな凹凸21aが形成されている面に、真空蒸着により、Al膜を12nm成膜することにより形成した。
次に、図4(b)に示すように、反射膜30の上に、第2の透明層22を形成するためのUV硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)であるオグソールEA−F5003をダイコートにより塗布した。この後、UV硬化性樹脂に1000mJのUV光(紫外光)を照射することにより、UV硬化性樹脂を硬化させ、第2の透明層22を形成した。これにより、第1の透明基板11の上に、第1の透明層21、反射膜30、第2の透明層22により映像投影膜20が形成される。
次に、図4(c)に示すように、映像投影膜20の上に第2の透明基板12を不図示の接着層により張り付ける。
製造された映像投影窓は、d線における透過率が25%、反射率が35%である。
(実施例2)
透明樹脂フィルムとして、透明な厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(屈折率:1.58)を用意した。なお、屈折率は、ナトリウムランプのd線(波長589nm)を用いて室温で測定したときの値である。紫外線硬化性樹脂としては、ヒタロイド7981(日立化成株式会社製、比重1.1)を用意した。透明樹脂フィルムの表面に、スピンコートにより紫外線硬化性樹脂を塗布した。
平坦面に複数の突起部がストライプ状に並んでいる成形型290を用意した。塗布された紫外線硬化性樹脂の上に、25℃の温度、0.5MPaのゲージ圧で、成形型290を押しつけた。紫外線を照射することにより、光硬化性樹脂を硬化させて透明樹脂層230を形成した。この後、成形型290は、透明樹脂層230より剥がした。
これにより、800mm×300mmの領域の透明樹脂層230の表面に、溝のピッチが80μm、溝の幅が40μm、溝の深さが80μm、溝の長さが100mm、断面形状が三角形の溝が形成された。これによりルーバー構造となる光散乱部220を形成するための溝を形成することができた。
光散乱部220を形成するためのペーストとして、透明樹脂層230を形成する際に用いた紫外線硬化性樹脂に、光散乱材料として酸化チタン微粒子(平均粒径0.2μm、比重4.2)を0.2vol%となるように混合したものを用意した。透明樹脂層230の溝に、前記ペーストを供給し、余剰分をドクターブレードでかき取った。この後、紫外線を照射し、ペーストを硬化させることにより、透明樹脂層230の溝に、光散乱部220を形成した。
次に、透明樹脂層230及び光散乱部220の上に、透明樹脂層を形成する際に用いた紫外線硬化性樹脂を塗布した後、紫外線硬化性樹脂の上に透明基板を載置して、紫外線を照射後、透明基板を剥離する。これにより、透明樹脂層230及び光散乱部220の上に、第2の透明樹脂フィルム242が形成された、映像投影構造体を作製した。
次に、図12に示されるように、映像投影窓を合わせガラス化した。具体的には、第1の透明基板211及び第2の透明基板212となる2枚のソーダライムガラス(3mm厚)と、接着層251及び252となるPVBフィルム(250μm厚)を準備した。この後、第1の透明樹脂フィルム241の上に、接着層251となるPVBフィルム、第1の透明基板211を順に積層し、第2の透明樹脂フィルム242の上に、接着層252となるPVBフィルム、第2の透明基板212を順に積層した。この後、真空加熱圧着を行うことで光散乱ルーバーを内部に有する合わせガラスとなる図10に示される映像投影窓を作製した。
製造された映像投影窓は、透過率が75%、ヘイズが15%、映像投影窓を透過した光のうち、映像投影窓において回折されることなく透過する光が85%であった。また、映像投影窓において回折された最も強度の高い回折光は1次回折光であって、この1次回折光の回折効率は5%であった。
(実施例3)
実施例3では、実施例1において作製した映像投影窓を自動車等の映像投影車両窓であるリアのサイドウィンドウとして用いることができる。自動車等のリアのサイドウィンドウとして実施例1において作製した映像投影窓を用いることにより、自動車の外の景色を見ることができるとともに、リアのサイドウィンドウに投影された映像も高い視認性で見ることができる。
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
11 第1の透明基板
12 第2の透明基板
20 映像投影膜
21 第1の透明層
21a ランダムな凹凸
22 第2の透明層
30 反射膜
41 第1の透明樹脂フィルム
42 第2の透明樹脂フィルム
51 接着層
52 接着層
90 成形型
90a ランダムな凹凸
100 映像投影窓
110 投影機
200 映像投影窓
210 映像投影膜
211 第1の透明基板
212 第2の透明基板
220 光散乱部
230 透明樹脂層
230a 溝
241 第1の透明樹脂フィルム
242 第2の透明樹脂フィルム
251 接着層
252 接着層
261 第1のガラス基板
262 第2のガラス基板
290 成形型
290a 突起部
300 車両

Claims (9)

  1. 光を透過する第1の透明基材と、
    光を透過する第2の透明基材と、
    前記第1の透明基材と前記第2の透明基材に挟まれた映像投影膜と、
    を有する映像投影窓であって、
    前記映像投影膜に焦点が合うように投影された映像のうち、前記映像投影窓において反射された映像を見ることができることを特徴とする映像投影窓。
  2. 前記映像投影膜は、
    表面に凹凸が形成されている第1の透明層と、
    前記第1の透明層におけるランダムな凹凸が形成されている面に形成された反射膜と、
    前記反射膜の上に形成された第2の透明層と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の映像投影窓。
  3. 可視光における透過率は1%以上、90%以下、反射率は5%以上、70%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の映像投影窓。
  4. 光を透過する第1の透明基材と、
    光を透過する第2の透明基材と、
    前記第1の透明基材と前記第2の透明基材に挟まれた映像投影膜と、
    を有する映像投影窓であって、
    前記映像投影膜に焦点が合うように投影された映像のうち、前記映像投影窓を透過した映像を見ることができることを特徴とする映像投影窓。
  5. 前記映像投影膜は、
    透明層と、
    前記透明層の内部に線状に形成された複数の光散乱部と、
    を有する映像投影構造体であって、
    前記複数の光散乱部は、所定の間隔により配置されている、請求項4に記載の映像投影窓。
  6. 前記光散乱部には、光散乱材料が含まれており、
    前記光散乱材料は微粒子であることを特徴とする請求項5に記載の映像投影窓。
  7. 可視光の透過率は、40%以上、90%以下である、請求項4から6のいずれかに記載の映像投影窓。
  8. 前記第1の透明基材及び前記第2の透明基材は、いずれもガラス基板、または、いずれもポリカーボネートにより形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の映像投影窓。
  9. 前記映像投影窓は、車両に用いられる映像投影車両窓であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の映像投影窓。
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