JP2021002057A - 透過型スクリーン、背面投射型表示装置 - Google Patents

透過型スクリーン、背面投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性が高く、かつ、良好な映像を表示できる透過型スクリーン、及び、これを備える背面投射型表示装置を提供する。【解決手段】スクリーン10は、透過型スクリーンであり、映像光が入射する入光面10aと、入光面10aに対向し、映像光Lが出射する出光面10bと、スクリーン10の厚み方向において、入光面10aと出光面10bとの間に位置し、所定の方向に沿って複数配列され、入光面10aから入射した映像光Lの少なくとも一部を全反射させて出光面10bへ向ける全反射面であり、微細かつ不規則な凹凸形状を有する界面Kとを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、透過型スクリーンと、これを備える背面投射型表示装置に関するものである。
従来、映像表示装置の1つとして、映像源から投射された映像光を透過させて映像を表示する透過型スクリーンや、これを備える背面投射型表示装置が知られている。この透過型スクリーン及び背面投射型表示装置は、その映像のコントラストの向上や視野角の向上等、様々な点から開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2008−033097号公報 特開2008−032997号公報
従来の透過型スクリーンは、背後に位置する映像源が透けて見えること(シースルー現象)を防止したり、映像のコントラストを向上させたりするために、その透明性が非常に低く、スクリーンの向こう側の景色を視認できないものが一般的である。
しかし、近年、店舗のショーウィンドウ等に設置して映像を表示し、かつ、映像光を投射していない場合等に、スクリーンの向こう側の景色が良好に視認される透明性の高いスクリーンへの要求が高まっている。
しかし、上述の特許文献1,2のスクリーンでは、そのような透過型スクリーンの透明性向上への対策はなされていない。
また、透明性の高いスクリーンとして、ホログラムスクリーン等が開発されているが、製造が困難であったり、高価であったりするために、広く普及していない。
また、コントラストが高く良好な映像を表示することは、表示装置としては、常々求められることである。
本発明の課題は、透明性が高く、かつ、良好な映像を表示できる透過型スクリーン、及び、これを備える背面投射型表示装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、映像光を透過させて表示する透過型スクリーンであって、映像光が入射する入光面(10a)と、前記入光面に対向し、映像光が出射する出光面(10b)と、該透過型スクリーンの厚み方向において、前記入光面と前記出光面との間に位置し、所定の方向に沿って複数配列され、前記入光面から入射した映像光の少なくとも一部を全反射させて前記出光面へ向ける全反射面(K)と、を備え、前記全反射面は、微細かつ不規則な凹凸形状を有すること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の透過型スクリーンにおいて、前記全反射面(K)は、隣接する層よりも屈折率の低い低屈折率層(13)とこれに隣接する層(14)との界面に形成されていること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の透過型スクリーンにおいて、映像光が入射する第1の面(121a,221a)とこれに対向する第2の面(121b,221b)とを有する単位光学形状(121,221)が、一点(C)を中心に同心円状に配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を前記出光面側の面に有する光学形状層(12)を有し、前記低屈折率層(13)は、少なくとも前記単位光学形状の前記第2の面の一部に形成されること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の透過型スクリーンにおいて、前記全反射面(K)は、前記一点(C)から離れるにつれて、該透過型スクリーンのスクリーン面となす角度(θ2)が小さくなること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の透過型スクリーンにおいて、前記一点(C)は、該透過型スクリーンの表示領域外に位置すること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項6の発明は、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、前記低屈折率層(13)の屈折率は、1.35〜1.45であること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項7の発明は、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、前記低屈折率層(13)に隣接する層(12,14)の屈折率は、1.56〜1.7であること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項8の発明は、請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、前記低屈折率層(13)は、その厚みが1μm以上10μm以下であること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、光を拡散する拡散材を含有する光拡散層を備えていないこと、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、入射した光の一部を吸収する光吸収層を備えること、を特徴とする透過型スクリーンである。
請求項11の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の透過型スクリーン(10,20)と、前記透過型スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える背面投射型表示装置(1)である。
本発明によれば、透明性が高く、かつ、良好な映像を表示できる透過型スクリーン、及び、これを備える背面投射型表示装置を提供することができる。
第1実施形態の背面投射型表示装置1を示す図である。 第1実施形態のスクリーン10の層構成を示す図である。 第1実施形態の第1光学形状層12を出光側(+Z側)から見た図である。 第1実施形態の単位光学形状121及び低屈折率層13を説明する図である。 第1実施形態のスクリーン10での映像光及び外光の様子を示す図である。 第2実施形態のスクリーン20を説明する図である。 変形形態の背面投射型表示装置3を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態(略等しい状態)も含むものとする。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、板、シート等の言葉を使用している。一般的に、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、スクリーン面とは、スクリーン全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、スクリーンの画面(表示面)に平行であるとする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の背面投射型表示装置1を示す図である。図1では、背面投射型表示装置1を側面から見た様子を示している。
背面投射型表示装置1は、スクリーン10、映像源LS等を有しており、スクリーン10に映像源LSから映像光を投射して透過させ、映像を表示する表示装置である。
本実施形態では、一例として、背面投射型表示装置1は、店舗のショーウィンドウに適用され、スクリーン10がショーウィンドウのガラスに貼り付けられる等して固定される例を挙げて説明する。
ここで、理解を容易にするために、図1を含め以下に示す各図において、適宜、XYZ直交座標系を設けて示している。この座標系では、スクリーン10の画面の左右方向(水平方向)をX方向、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、スクリーン10の厚み方向をZ方向とする。スクリーン10の画面は、XY面に平行であり、スクリーン10の厚み方向(Z方向)は、スクリーン10の画面に直交する。
また、スクリーン10の出光側(観察者側)の正面方向に位置する観察者O1から見て画面左右方向の右側に向かう方向を+X方向、画面上下方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において入光側(映像源側)から出光側(観察者側)に向かう方向を+Z方向とする。
さらに、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
映像源LSは、映像光Lをスクリーン10へ投影する映像投射装置であり、例えば、短焦点型のプロジェクタである。
この映像源LSは、背面投射型表示装置1の使用状態において、スクリーン10の画面(表示領域)を映像源側(−Z側)の正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン10の画面左右方向の中央であって、スクリーン10の画面よりも鉛直方向下方側(−Y側)に位置している。
映像源LSは、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン10の表面からの距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から斜めに映像光Lを投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LSは、スクリーン10までの映像光Lの投射距離が短く、投射された映像光Lがスクリーン10に入射する入射角度θaが大きく、その変化量(最小値から最大値までの変化量)も大きい。
スクリーン10は、映像源LSが投射した映像光Lを透過させて表示でき、かつ、映像光を投射しない不使用時等において、スクリーン10の向こう側の景色を出光側からも入光側からも観察できる透過型のスクリーンである。
スクリーン10は、映像光Lが入射する入光面10aと、これに対向し、映像光Lが出射する出光面10bを有している。入光面10aと出光面10bとは、互いに平行又は略平行であり、スクリーン面(XY面)に平行である。
スクリーン10の画面(表示領域)は、使用状態において、出光側(+Z側)の観察者O1側から見て長辺方向が画面左右方向となる略矩形状である。
スクリーン10は、その画面サイズが対角40〜100インチ程度であり、画面の横縦比が16:9である。なお、これに限らず、スクリーン10の画面サイズは、例えば、40インチ程度やそれ以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状を適宜選択できるものとする。
本実施形態では、スクリーン10の入光面10aの画面に相当する領域に対する映像光Lの入射角度θaは、約18〜78°である。なお、入射角度θaの最小値は、スクリーン10の入光面10aの画面に相当する領域の下端の左右方向中央での値である。入射角度θaの最大値は、スクリーン10の入光面10aの画面に相当する領域の上端の左右方向両端での値である。
なお、映像光Lの入射角度θaに関しては、スクリーン10の画面サイズや映像源LS等に応じて適宜変更可能である。
一般的に、スクリーン10は、樹脂製の薄い層の積層体等であり、それ単独では平面性を維持するだけの十分な剛性を有していない場合が多い。そのため、本実施形態のスクリーン10は、図1に示すように、その出光側に光透過性を有する接合層51を介して支持板50に一体に接合(あるいは部分固定)され、画面の平面性を維持している。
支持板50は、光透過性を有し、剛性が高い平板状の部材であり、アクリル樹脂やPC樹脂等の樹脂製、ガラス製等の板状の部材を用いることができる。
本実施形態の支持板50は、店舗等のショーウィンドウの窓ガラスである。なお、これに限らず、スクリーン10は、不図示の枠部材等によってその四辺等が支持され、その平面性を維持する形態としてもよい。
図2は、第1実施形態のスクリーン10の層構成を示す図である。図2では、スクリーン10の出光側(観察者側、−Z側)の画面中央(画面の幾何学的中心)となる点A(図1参照)を通り、画面上下方向(Y方向)に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向であるZ方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。なお、図2では、理解を容易にするために、支持板50等は省略して示している。
図3は、第1実施形態の第1光学形状層12を出光側(+Z側)から見た図である。理解を容易にするために、低屈折率層13や第2光学形状層14、保護層15等を省略して示している。
スクリーン10は、図2に示すように、その入光側(−Z側)から順に、基材層11、第1光学形状層12、低屈折率層13、第2光学形状層14、保護層15を備えている。
基材層11は、光透過性を有するシート状の部材である。基材層11は、その出光側(観察者側,+Z側)に、第1光学形状層12が一体に形成されている。この基材層11は、第1光学形状層12を形成する基材(ベース)となる層である。
基材層11は、例えば、高い光透過性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂等により形成される。
基材層11の厚さは、画面サイズ等に応じて適宜選択可能である。
また、本実施形態では、スクリーン10の入光面10aとなる基材層11の入光側の面に、反射防止層を設けてスクリーン10への入射光量の向上を図ってもよい。
第1光学形状層12は、基材層11の出光側(+Z側)に形成された光透過性を有する層である。第1光学形状層12の出光側の面には、単位光学形状(単位レンズ)121が複数配列されて設けられている。
単位光学形状121は、図3に示すように、真円の一部形状(円弧状)であり、スクリーン10の画面(表示領域)外に位置する点Cを中心として、同心円状に複数配列されている。即ち、第1光学形状層12は、出光側の面にサーキュラーフレネルレンズ形状を有している。このサーキュラーフレネルレンズ形状は、その点Cを中心(フレネルセンター)とする、いわゆるオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状である。
本実施形態では、点Cは、図3に示すように、画面左右方向の中央であって画面外下方に位置している。また、点Cと点Aとは、スクリーン10を正面方向から見た場合、図3に示すように、同一直線上に位置している。
図4は、第1実施形態の単位光学形状121及び低屈折率層13を説明する図である。図4では、前述の図2をさらに拡大し、理解を容易にするために基材層11及び保護層15を省略して示している。
単位光学形状121は、図2や図4に示すように、スクリーン面に直交する方向(Z方向)に平行であって、単位光学形状121の配列方向に平行な断面における断面形状が、略三角形形状である。
単位光学形状121は、出光側(+Z側)に凸であり、映像光が入射する第1斜面(レンズ面)121aと、これに対向する第2斜面(非レンズ面)121bとを有している。
1つの単位光学形状121において、第2斜面121bは、頂点tを挟んで第1斜面121aの下側に位置している。
第1斜面121aがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ1である。第2斜面121bがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ2である。単位光学形状121の頂角はθ3である。角度θ1,θ2は、θ2>θ1という関係を満たしている。
この単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。
単位光学形状121の配列ピッチは、Pであり、単位光学形状121の高さ(厚み方向における頂点tから単位光学形状121間の谷底となる点vまでの寸法)は、hである。
理解を容易にするために、図2,図4では、単位光学形状121の配列ピッチP、角度θ1,θ2は、単位光学形状121の配列方向において一定である例を示している。しかし、本実施形態の単位光学形状121は、実際には、配列ピッチPは一定であるが、単位光学形状221の配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて、角度θ1が次第に大きくなり、角度θ2が次第に小さくなっている。
角度θ1,θ2、配列ピッチP等は、映像源LSからの映像光の投射角度(スクリーン10への映像光の入射角度θa)や、映像源LSの画素(ピクセル)の大きさ、スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜設定してよい。例えば、単位光学形状121の配列方向に沿って、配列ピッチPが変化する形態としてもよい。
第1光学形状層12は、光透過性が高く、一般的な紫外線硬化型樹脂よりも屈折率の高い紫外線硬化型樹脂が用いられている。例えば、第1光学形状層12は、エポキシアクリレート系の紫外線硬化型樹脂や、金属酸化物が添加されて高屈折率化されたウレタン系等の紫外線硬化型樹脂により形成されている。また、第1光学形状層12は、酸化チタン(TiO)が添加されて高屈折率化された紫外線硬化型樹脂を用いてもよい。
この第1光学形状層12の屈折率は、約1.56〜1.7程度のものが好ましい。
なお、第1光学形状層12は、紫外線硬化型樹脂に限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
低屈折率層13は、光透過性を有し、隣接する第1光学形状層12及び第2光学形状層14よりも屈折率が低い層である。
本実施形態の低屈折率層13は、単位光学形状121上(第1斜面121a及び第2斜面121b上)に形成されており、第1斜面121a上に形成された第1低屈折率部131と、第2斜面121b上に形成された第2低屈折率部132とを有している。
この第2低屈折率部132と隣接する第2光学形状層14との界面Kが、映像光の少なくとも一部を全反射する全反射面となる。
低屈折率層13は、単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bに形成された微細かつ不規則な凹凸形状に追従して形成され、かつ、単位光学形状121側とは反対側の面にも、この微細かつ不規則な凹凸形状が維持された状態で成膜されている。したがって、低屈折率層13は、その両面に、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。
低屈折率層13に臨界角以上の入射角で入射する光は、この微細かつ不規則な凹凸形状により、全反射する際に拡散される。また、低屈折率層13に臨界角未満の入射角で入射する光は、拡散しないで透過する。
なお、低屈折率層13の微細かつ不規則な凹凸形状は、所望する光学性能等に応じてその凹凸の大きさや形状等を適宜選択してよい。
低屈折率層13は、光透過性が高く、隣接する第1光学形状層12及び第2光学形状層14よりも屈折率の低い材料により形成されている。低屈折率層13は、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)やフッ化アルミニウム(AlF)等の金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、シリコン系樹脂が好適である。
低屈折率層13は、上述の材料を蒸着したり、スパッタリングしたりすることにより、形成される。
この低屈折率層13の屈折率は、約1.35〜1.45であることが、第2光学形状層14との界面Kで映像光を効率よく全反射させる観点から好ましい。
低屈折率層13は、その厚さが1μm以上10μm以下であることが好ましい。
低屈折率層13の厚さが1μm以下であると、界面Kでの映像光の全反射が不十分となったり、映像光が全反射する際に干渉が生じて映像が劣化したりするため、好ましくない。また、低屈折率層13の厚さが10μmよりも大きくなると、蒸着等による低屈折率層13の形成が困難となったり、単位光学形状121の表面の微細かつ不規則な凹凸形状を埋めて平坦化し、単位光学形状121側とは反対側の面が平面状となってしまったりするため、好ましくない。
第2光学形状層14は、低屈折率層13の出光側(+Z側)に設けられた光透過性を有する層である。第2光学形状層14は、低屈折率層13(第2低屈折率部132)よりも屈折率が高い。第2光学形状層14と低屈折率層13(第2低屈折率部132)との界面Kは、入射した映像光の少なくとも一部を全反射させて出光側(+Z側)の観察者O1側へ向ける。
第2光学形状層14は、低屈折率層13の上から単位光学形状121間の谷部を埋めるように形成され、第1光学形状層12の出光側(観察者側)の面を平坦にしている。したがって、第2光学形状層14の入光側(−Z側)の面は、第1光学形状層12の単位光学形状121の略逆型の形状が複数配列されて形成されている。
このような第2光学形状層14を設けることにより、低屈折率層13を保護することができ、かつ、低屈折率層13と第2光学形状層14との界面Kで映像光を全反射させて出光側の観察者に映像を表示することができる。また、第2光学形状層14によって出光側の面を平坦化することにより、スクリーン10の第1光学形状層12の背面側の面に保護層15等を積層しやすくなり、また、支持板50等への接合も容易となる。
第2光学形状層14は、光透過性が高く、一般的な紫外線硬化型樹脂よりも屈折率の高い紫外線硬化型樹脂、例えば、前述の第1光学形状層12と同様の材料である、エポキシアクリレート系の紫外線硬化型樹脂、金属酸化物が添加されて高屈折率化されたウレタン系等の紫外線硬化型樹脂、酸化チタン(TiO)が添加されて高屈折率化された紫外線硬化型樹脂等を用いて形成されている。
第2光学形状層14の屈折率は、約1.56〜1.7であることが、低屈折率層13との界面Kで映像光を効率よく全反射させる観点から好ましい。また、第2光学形状層14の屈折率は、第1光学形状層22の屈折率と等しい、又は、略等しい(等しいとみなせる程度に屈折率差が小さい)ことが望ましい。
本実施形態では、第2光学形状層14と第1光学形状層12とは、同一の樹脂によって形成されている。なお、これに限らず、第2光学形状層14と第1光学形状層12とは、異なる樹脂により形成されていてもよい。
また、本実施形態では、第2光学形状層14は、紫外線硬化型樹脂により形成される例を挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
図2に戻り、保護層15は、第2光学形状層14の出光側(+Z側)に形成された光透過性を有する層であり、このスクリーン10の出光側を保護する機能を有している。
保護層15は、光透過性の高い樹脂製のシート状の部材が用いられる。保護層15は、例えば、前述の基材層11と同様の材料を用いて形成されたシート状の部材を用いてもよい。
また、スクリーン10の出光面10bが支持板50に接合される場合、スクリーン10は、保護層15を備えない形態としてもよい。
また、スクリーン10が支持板50等に接合されず、保護層15がスクリーン10において最も出光側(観察者側)となる場合には、保護層15は、ハードコート機能や防汚機能、帯電防止機能等を有していてもよい。
上述のように、本実施形態のスクリーン10は、拡散作用を有する粒子等の拡散材を含有した光拡散層を備えておらず、拡散作用を有するのは、低屈折率層13の表面の微細かつ不規則な凹凸形状のみである。
また、スクリーン10は、スクリーン面に直交する方向からの入射光(スクリーン面への入射角0°)の全光線透過率が30%以上であることが、スクリーン10の透明性を実現しながら良好な映像を表示する観点から好ましい。全光線透過率は、スクリーン10に入射角0°で入射する光に対する全透過光の割合であり、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製 HM−150)等による測定で得られる。この全光線透過率が30%未満となるとき、スクリーンの透明性が低下するため、好ましくない。
なお、この全光線透過率は、可能な限り高いことが好ましいが、例えば、スクリーン10に光吸収性を有する層を設けて、太陽光や照明光等の不要な外光を吸収し、映像のコントラストの向上を図る場合には、全光線透過率を80%以下とすることが、良好な映像を表示する観点から好ましい。
また、スクリーン10は、そのヘイズ値が、可能な限り小さい値であることが好ましいが、スクリーン10の透明性を実現しながら良好な映像を表示する観点から、30%以下であることが好ましい。ヘイズ値は、全光線透過率における拡散透過率の割合であり、ヘイズメーター等による測定で得られる。このヘイズ値が30%よりも大きいと、スクリーン10の透明性が低下し、スクリーンの向こう側の景色が白っぽく観察されるため、好ましくない。
ここで、本実施形態の単位光学形状121に入射した映像光の様子について説明する。
図4に示すように、映像源LSから投射されて入光側(−Z側)からスクリーン10に入射した映像光Laは、単位光学形状121の第1斜面121aに入射する。このとき、映像光Laの第1斜面121aへの入射角は臨界角未満であるので、多くの映像光Laが第1低屈折率部131を透過する。なお、一部の映像光Lcは反射するが、その光量は小さく、映像源側に位置する観察者が映像を視認することはない。
第1斜面121aの谷底となる点vに近い領域Bに入射し、第1低屈折率部131を透過して第2光学形状層14へ入射した映像光Laの少なくとも一部は、隣接する単位光学形状121の第2斜面121bに形成された第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kに、臨界角以上の入射角で入射して全反射し、スクリーン10の出光側(+Z側)の正面方向に位置する観察者O1(図1参照)が映像を視認可能な方向に出射する。このとき、低屈折率層13の表面の微細かつ不規則な凹凸形状によって、全反射した光の多くは拡散される(図4の映像光Lb参照)。
また、出光側(+Z側)からスクリーン10に入射する太陽光や照明光等の外光Gaや入光側(−Z側)から入射する外光Gbは、いずれも、低屈折率層13と第1光学形状層12との界面や、低屈折率層13と第2光学形状層14との界面に対して、臨界角未満で入射するので、これらの界面で全反射することなく低屈折率層13を透過してスクリーン10の下方側へ向かう。
したがって、出光側及び入光側の正面方向に位置する観察者にこれらの外光が届くことはなく、外光による映像のコントラスト低下を抑制できる。
領域Bに入射して第1低屈折率部131を透過した映像光Laが、第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kで反射し、スクリーン10の出光側(+Z側)の正面方向に位置する観察者側へ出射するためには、第2斜面121b(第2低屈折率部132)は、スクリーン面に直交する方向に対してなす角度φが、0<φ<2×(θ1)であることが好ましく、φがθ1に略等しい(等しいとみなせる程度の誤差を有する状態)ことがより好ましく、φがθ1に等しいことがさらに好ましい。
単位光学形状121の配列方向に沿って点Cから離れるにつれて、角度θ2は、次第に小さくなり、この角度φは、次第に大きくなっている。
この角度φが0°である場合、第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kに入射する映像光は、その入射角が臨界角未満となり、界面Kで全反射しないため、出光側へ映像光を向けることができない。
また、角度φが2×(θ1)以上である場合、第2低屈折率部132で全反射した映像光は、スクリーン10の出光側上方へ向かい、スクリーン10の出光側(+Z側)の正面方向に位置する観察者に届かない。したがって、角度φは、上述の範囲であることが好ましい。
また、角度φが角度θ1に近くなるにつれ、単位光学形状121の頂角θ3は90°に近くなり、角度φが角度θ1に等しいとき、頂角θ3は90°に等しい。この頂角θ3=90°のとき、領域Bは、点vから第1斜面121aに沿って頂点t側へ寸法S1=Psin(θ1)tan(θ1)の領域となる。
本実施形態のスクリーン10は、例えば、以下のような製造方法により形成される。
基材層11を用意し、その一方の面に、単位光学形状121を賦形する成形型に紫外線硬化型樹脂を充填した状態で積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるUV成形法により第1光学形状層12を形成する。このとき、単位光学形状121を賦形する成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面には、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている。この微細かつ不規則な凹凸形状は、成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面に、条件の異なるめっきを2回以上繰り返したり、エッチング処理を行ったりすること等によって形成できる。
第1光学形状層12を、基材層11の一方の面に形成した後、第1斜面121a及び第2斜面121bに、低屈折率層13を蒸着等により形成する。
その後、低屈折率層13の上から、単位光学形状121間の谷部を充填して平面状となるように、紫外線硬化型樹脂を塗布し、保護層15を積層して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、第2光学形状層14及び保護層15を一体に形成する。その後、所定の大きさに裁断する等により、スクリーン10が完成する。
基材層11及び保護層15は、枚葉状としてもよいし、ウェブ状としてもよい。
従来、例えば、第1斜面121a及び第2斜面121bに微細かつ不規則な凹凸形状を形成する方法として、第1斜面121a,第2斜面121b上に拡散粒子等を塗布してその上から低屈折率層13を形成したり、第1光学形状層12を形成後に第1斜面121a,第2斜面121bにブラスト加工を行ったりする方法等が知られている。
しかし、このような製法で第1斜面121a及び第2斜面121bに凹凸形状を形成した場合には、個々のスクリーン10での拡散特性や品質等のばらつきが大きく、安定した製造が行えない。
これに対して、本実施形態では、単位光学形状121の第1斜面121a,第2斜面121bの微細かつ不規則な凹凸形状を成形型によって賦形することにより、多数の第1光学形状層12及びスクリーン10を製造する場合にも、品質のばらつきが少なく、安定して製造できるという利点がある。
図5は、第1実施形態のスクリーン10での映像光及び外光の様子を示す図である。図5では、スクリーン10の前述の図2に示す断面に相当する断面を示している。図5では、理解を容易にするために、スクリーン10内の基材層11と第1光学形状層12との界面や第2光学形状層14と保護層15との界面には屈折率差はないものとして示している。なお、第1光学形状層12と低屈折率層13、低屈折率層13と第2光学形状層14との界面には屈折率差はあるものとする。
スクリーン10の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン10に入光側(−Z側)から入射した映像光L1のうち、一部の映像光L2は、スクリーン10の入光面10aで反射して上方へ向かう。この映像光L2は、スクリーン10の入光側(映像源側)の正面方向に位置する観察者O2には届かない。
また、映像光L1のうち、一部の映像光L3は、単位光学形状121の第1斜面121aの領域Bに入射し、低屈折率層13(第1低屈折率部131)を透過して、第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kへ臨界角以上の角度で入射し、全反射してスクリーン10の出光側(+Z側)の正面方向に位置する観察者O1側へ向けて出射する。この映像光L3は、界面K(低屈折率層13の表面)の微細かつ不規則な凹凸形状により拡散されており、スクリーン10の出光側の正面方向に位置する観察者O1に、良好な視野角を有する映像を表示できる。
なお、第1斜面121aから第1低屈折率部131に入射する際に一部の映像光が反射するが(図4の映像光Lc参照)、その光量は小さく、入光側に位置している観察者O2が映像を視認することはない。
また、スクリーン10に入射した映像光のうち、一部の映像光L4は、第1斜面121aに臨界角未満で入射して第1低屈折率部131を透過し、出光側からスクリーン10の上方へ出射する。この映像光L4は、出光側のスクリーン10の正面方向に位置する観察者O1には届かない。
なお、本実施形態では、映像光がスクリーン10の下方から投射され、かつ、第2斜面121bの角度θ2(図2,図4等参照)がスクリーン10の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が第2斜面121bに直接入射することはない。
次に、入光側(−Z側)又は出光側(+Z側)の上方からスクリーン10に入射する映像光以外の太陽光や照明光等の外界からの光(以下、外光という)について説明する。
図5に示すように、スクリーン10に入射する外光G1,G5のうち、一部の外光G2,G6は、スクリーン10の入光面10a、出光面10bで反射して、それぞれスクリーン10の下方へ向かい、いずれも観察者O2,O1には届かない。
また、外光G1のうち、スクリーン10に入射した一部の外光G3は、第2斜面121bに臨界角以上の角度で入射して第1低屈折率部131を透過し、スクリーン10の出光側下方へ向かう。この外光G3は、スクリーン10の出光側下方へ出射したり、スクリーン10の出光面10bで全反射してスクリーン10内部下方へ進み、次第に減衰したりする。
また、外光G5のうち、スクリーン10に入射した外光G7は、第2光学形状層14と第1低屈折率部131との界面に臨界角未満の入射角度で入射して、第1低屈折率部131を透過し、スクリーン10の入光側下方へ向かう。この外光G7は、スクリーン10の入光側下方へ出射したり、スクリーン10の入光面10aで全反射してスクリーン10内部下方へ進み、次第に減衰したりする。
また、入光側上方からスクリーン10に入射した外光G4は、第1斜面121aに臨界角以上の大きさで入射して第1低屈折率部131と第1光学形状層12との界面で全反射し、第2斜面121bに臨界角未満で入射して第2低屈折率部132を透過し、スクリーン10の出光側下方へ向かう。この外光G4は、スクリーン10の出光側下方へ出射したり、スクリーン10の出光面10bで全反射してスクリーン10内部下方へ進み、次第に減衰したりする。
上述のように、スクリーン10に上方から入射する外光は、いずれも観察者O1,O2には到達しないので、外光による映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、スクリーン10は、光を拡散する拡散粒子等を含有する光拡散層を備えていないので、スクリーン面に小さい入射角度で入射してこのスクリーン10を透過する外光G8,G9は、拡散されない。したがって、入光側(−Z側)及び出光側(+Z側)から、観察者O2,O1が、スクリーン10を通してスクリーン10の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン10の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
ここで、従来の透過型スクリーンでは、映像源側が透けて見えないようにスクリーンの透明性が非常に低く設計されており、スクリーンの向こう側の景色を見ることができない。また、従来の透過型スクリーンは、十分な視野角を有する映像を提供するために、光を拡散する拡散粒子を含有する光拡散層等を備えている場合が多く、他の層の透明性を向上させたとしても、光拡散層の拡散粒子によって外光も拡散されるため、スクリーンの向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりして観察されたりするという問題がある。
しかし、本実施形態のスクリーン10は、低屈折率層13の表面に微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている以外は拡散作用を有しておらず、映像光は、低屈折率層13と第2光学形状層14との界面Kで全反射した場合のみ拡散される。また、本実施形態のスクリーン10では、透過光は拡散されない。
したがって、本実施形態によれば、スクリーン10は、良好な視野角及び明るさや解像度を有する映像を出光側(+Z側)の観察者O1に表示でき、かつ、映像光を投射しない状態等において、スクリーン10の向こう側(−Z側)の景色が白くにじんだり、ぼけたりすることがなく観察者O1に良好に視認され、高い透明性を実現できる。
また、スクリーン10は、透過光を拡散せず、高い透明性を有しているので、映像光を投射しない状態等において、スクリーン10の入光側(−Z側)にいる観察者O2にもスクリーン10の向こう側(+Z側)の景色が良好に視認される。
また、本実施形態によれば、スクリーン10は、透過光を拡散せず、高い透明性を有しているので、スクリーン10に映像光が投射された状態においても、観察者O1,O2が、スクリーン10の向こう側(入光側、出光側)の景色を一部視認することが可能である。
また、本実施形態によれば、第1光学形状層12は、フレネルセンターとなる点Cが、スクリーン10の表示領域外であって画面上下方向下側に位置しており、いわゆるオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有している。したがって、スクリーン10の表示領域外であって画面上下方向下側に位置する短焦点型の映像源LSから投射された入射角度θaの大きい映像光であっても、画面左右方向の映像が暗くなることがなく、明るさの面均一性の高い良好な映像を表示することができる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態のスクリーン20を説明する図である。図6では、スクリーン20の画面上下方向上部であって、図2に示したスクリーン10の断面に相当するスクリーン20の断面を示している。
第2実施形態のスクリーン20は、画面上下方向上部の単位光学形状221の形状が異なる以外は、前述の第1実施形態のスクリーン10と同様の形状である。したがって、前述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態のスクリーン20は、入光側から基材層11、第1光学形状層22、低屈折率層13、第2光学形状層14、保護層15を備え、入光面20a、出光面20bを有している。このスクリーン20は、前述の第1実施形態に示した背面投射型表示装置1に適用可能である。
第1光学形状層22は、出光側の面に、単位光学形状(単位レンズ)221が配列されたオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有している。単位光学形状221は、第1斜面(レンズ面)221aと第2斜面(非レンズ面)221bとを有している。
スクリーン20の画面上部に位置する単位光学形状221は、図6に示すように、その第2斜面221bが画面上下方向上側に対して凸となるような湾曲形状を有していてもよい。
スクリーンの画面上部は、映像光の入射角度θaが大きいため、第2斜面221bを平面状とした場合には、第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面で全反射した光が出光側の観察者O1の映像の視認範囲よりも上方へ向けて出射される場合がある。
しかし、このような形状とすることにより、図6に示すように、第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kで全反射する映像光Ldを、効率よくスクリーン20の出光側の正面方向に位置する観察者O1へ向けることができる。
また、低屈折率層13と第2光学形状層14との屈折率差が、前述の第1実施形態に比べて小さい場合でも、図6に示す映像光Leのように、第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kで2回全反射させて、観察者O1側へ向けることもできる。なお、界面Kで映像光が全反射する回数は、2回以上としてもよい。
本実施形態によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて、映像光が観察者O1側へ向きにくい画面上部の第2低屈折率部132及び第2光学形状層14の界面Kであっても、映像光を効率よく観察者O1側へ向かせることができ、スクリーン20の画面上部の映像の明るさ低下等を改善できる。
(実施例)
上述の第1実施形態の実施例に相当するスクリーン10を作製し、映像源LSから映像光を投射して、その映像の見えやスクリーンの透明性に関して確認した。
実施例のスクリーン10の各層の詳細は、下記の通りである。
実施例のスクリーン10の画面サイズ:48インチ(横縦比が16:9)
基材層11:ポリカーボネート樹脂(屈折率1.59)製、厚さ0.5mm
第1光学形状層12及び第2光学形状層14:エポキシアクリレート系紫外線硬化型樹脂(屈折率1.58)製
単位光学形状121の配列ピッチP:0.1mm
第1斜面121aの角度θ1:5.5〜23.7°(入光面10aの画面に相当する領域下端中央〜上端左右両端)
第2斜面121bの角度θ2:θ2=(90°−θ1)°
第2斜面121bの角度φ:φ=θ1
低屈折率層13:フッ化マグネシウム(MgF2 屈折率1.39)製
保護層15:ポリカーボネート樹脂(屈折率1.59)製、厚さ0.5mm
映像源LS:実施例のスクリーン10への映像光Lの入射角度θaの範囲が約18〜78°(入光面10aの画面に相当する領域下端中央〜上端左右両端)
上記の実施例のスクリーン10に映像源LSから映像光を投射し、出光側(+Z側)正面方向からスクリーン10の画面に表示される映像を視認したところ、明るく良好な映像が視認された。また、画面中央となる点Aの出光側正面方向での上下方向及び左右方向の視野角は約15°であり、十分な視野角を有する映像が表示できた。
また、映像光を投射していない状態等では、出光側からも入光側からもスクリーン10の向こう側の景色が白っぽくなることなく良好に視認され、スクリーン10の透明性は、高かった。
(変形形態)
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)映像源LSは、配置するスペース等の問題がなければ、各実施形態に示したものよりも映像光の投射距離が長く、スクリーンへの映像光の入射角度θaの変化量が小さいものを用いてもよい。
図7は、変形形態の背面投射型表示装置3を示す図である。この図7では、図1と同様に、背面投射型表示装置3を側面から見た様子を示している。変形形態の背面投射型表示装置3は、映像源LS3とスクリーン30とを有し、接合層51を介して支持板50に接合されている。
この背面投射型表示装置3に用いられる映像源LS3は、前述の第1実施形態等の映像源LSに比べて、映像光Lの投射距離が長く、スクリーン30に入射する映像光Lの入射角度θaの変化量が小さい。
スクリーン30の第1斜面121aの角度θ1及び第2斜面121bの角度θ2は、映像源LS3の映像光Lの投射角度(映像光のスクリーン30への入射角度θa)に応じたものとなっている。
この映像源LS3を用いた場合、例えば、スクリーン30の入光面30aの画面に相当する領域における映像光の入射角度θaの範囲が約35〜65°である。
このような形態とした場合、背面投射型表示装置3としてのスペースが大きくなるが、透明性が高く、良好な映像を表示できる透過型のスクリーン30及び背面投射型表示装置3とすることができる。
また、このような形態とすることにより、映像光Lのスクリーン30への入射角度θaの変化量が小さくなるので、第1光学形状層12及び第2光学形状層14、低屈折率層13等の最適な屈折率を選定しやすくなる。
また、このような形態とすることにより、低屈折率層13と第2光学形状層14等との屈折率差を大きくしなくとも映像光Lを第2低屈折率部132と第2光学形状層14との界面Kで全反射させることができ、これにより映像のコントラストが向上する等の効果を得られる。
(2)各実施形態において、低屈折率層13は、少なくとも第2斜面121bの一部に形成されていればよく、第1斜面121aに形成されていない形態として、スクリーン10の透明性の向上を図ってもよい。
このように、低屈折率層13を第2斜面121bの少なくとも一部にのみ形成し、第1斜面121aには形成しない場合、低屈折率層13は、前述の金属フッ化物等の箔を転写したり、前述の金属フッ化物等の薄膜を含有した塗料を塗布したりして形成してもよいし、誘電多層膜を用いて形成してもよい。
また、低屈折率層13の材料として誘電体多層膜を用いる場合には、第2低屈折率部132の厚さを第1低屈折率部131の厚さよりも厚くする等、膜厚の調整が重要である。
(3)各実施形態において、スクリーン10,20の入光側(−Z側)の面に、傷つき防止を目的としたハードコート層を設けてもよい。ハードコート層は、例えば、スクリーン10,20の入光面10a,20a(基材層11の入光側の面)に、ハードコート機能を有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート等)を塗布して形成する等により、形成される。
また、ハードコート層に限らず、スクリーン10,20の使用環境や使用目的等に応じて、例えば、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよい。
また、各実施形態では、保護層15の出光側(+Z側)に接合層51を介して支持板50が配置される例を示したが、これに限らず、基材層11の入光側(−Z側)に接合層51を介して支持板50が配置される形態としてもよい。
このとき、保護層15よりも出光側にハードコート機能、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよいし、保護層15にこれらの機能を付与してもよい。また、保護層15の出光側等にタッチパネル層等を設けてもよい。
また、基材層11の入光側(−Z側)に接合層51を介して支持板50が配置される形態とする場合には、支持板50の入光面に反射防止層等を設けてスクリーンへの入射光量の向上を図ってもよい。
(4)各実施形態において、第1光学形状層12は、出光側(+Z側)の面に、フレネルセンターとなる点Cがスクリーン10,20の画面外に位置するオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有する例を示したが、これに限らず、使用したい映像源LSの映像光の投射角度等に応じてフレネルセンターがスクリーン10,20の画面内に位置する形態としてもよい。
また、第1光学形状層12,22は、サーキュラーフレネルレンズ形状に限らず、例えば、単位光学形状が画面左右方向を長手方向とする柱状であり、画面上下方向に複数配列されて形成されたリニアフレネルレンズ形状を有する形態としてもよい。
(5)各実施形態において、低屈折率層13よりも出光側(+Z側)に、光を透過するが、黒や灰色等の暗色系の着色材等で着色され、光吸収性を有する光吸収層を備える形態とし、映像の黒輝度の低減や映像源側からの外光吸収を図り、映像のコントラスト向上を図ってもよい。
また、実施形態において、低屈折率層13よりも入光側(−Z側)に、上述のような光吸収層を設けて、背面側から入射する外光を吸収し、映像のコントラスト向上を図ってもよい。
なお、上述の光吸収層は、着色材を含有せず、透明な層であって光吸収作用を有する層としてもよい。
(6)各実施形態において、映像源LSは、スクリーン面の法線方向から見たとき、スクリーン10,20の画面左右方向の中央であって画面外下方に位置する例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、スクリーン10,20の斜め下側等に配置され、スクリーン10,20に対して画面左右方向において斜め方向から映像光を投射する形態としてもよい。
この場合、単位光学形状121,221の配列方向は、映像源LSの位置に合わせて傾けた形態とする。このような形態とすることにより、映像源LSの位置等を自由に設定することができる。
また、各実施形態において、映像源LSは、スクリーン面の法線方向から見たとき、スクリーン10,20の画面左右方向の中央であって画面外上方に位置する形態としてもよい。
(7)各実施形態において、単位光学形状121,221は、例えば、曲面と平面とが組み合わされた形態としてもよいし、折れ面状としてもよい。
また、各実施形態において、単位光学形状121,221は、3つ以上の複数の面によって形成される多角柱形状としてもよい。
(8)各実施形態において、スクリーン10,20は、第1光学形状層12,22及び第2光学形状層14が十分な厚みや剛性等を有している場合には、基材層11及び保護層15を備えない形態としてもよいし、どちらか一方を備えない形態としてもよい。
また、各実施形態において、スクリーン10,20は、基材層11及び保護層15の少なくとも一方を、ガラス板等の光透過性を有する板状の部材としてもよい。このとき、粘着剤層等を介して第1光学形状層12等がガラス板等に接合される形態としてもよい。
(9)各実施形態において、映像源LSは、例えば、P波の偏光成分を有する映像光を投射する映像源としてもよい。
映像源LSは、映像光が入射角度θaでスクリーン10,20へ投射されるように位置及び角度が設定されている。このとき、入射角度θaは、スクリーン10,20へ投射された映像光(P波)の反射率がゼロとなる入射角度(ブリュースター角)をθb(°)とした場合、(θb−10)°以上85°以下の範囲に設定される。例えば、スクリーン10,20へ投射された映像光の反射率がゼロとなる入射角度θbが60°である場合、映像光の入射角度θaは、50〜85°の範囲に設定される。
このように、P波の偏光成分を有する映像光を投射する映像源LSを用いることにより、スクリーン10,20への入射角度θaが大きい場合にも、スクリーン10,20の表面における鏡面反射を抑制することができ、映像源LSの設置位置等、投射系の設計の自由度を上げることができる。また、このような映像源LSを用いることにより、スクリーン10,20に入射する際にスクリーン表面での映像光の反射を低減でき、映像の明るさ、鮮明さの向上を図ることができる。
なお、角度θb(ブリュースター角)は、映像光が投射されるスクリーン10,20表面の材質により異なる。
また、このような形態の場合、基材層11及び保護層15としては、TAC製のシート状の部材が好適である。
(10)各実施形態において、背面投射型表示装置1は、店舗等のショーウィンドウに配置される例を示したが、これに限らず、例えば、室内用のパーテーションや、展示会等における映像表示等にも適用できる。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態等によって限定されることはない。
1 背面投射型表示装置
10 透過型スクリーン
11 基材層
12,22 第1光学形状層
121,221 単位光学形状(単位レンズ)
121a,221a 第1斜面(レンズ面)
121b,221b 第2斜面(非レンズ面)
13 低屈折率層
131 第1低屈折率部
132 第2低屈折率部
14 第2光学形状層
15 保護層
LS 映像源
K 界面(全反射面)
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、映像光を透過させて表示する透過型スクリーンであって、透明性を有し、該透過型スクリーンを通して該透過型スクリーンの向こう側の景色を観察可能であり、該透過型スクリーンのスクリーン面に対して入射角度0°で入射する光の全光線透過率が30%以上80%以下であり、該透過型スクリーンのスクリーン面に平行であって映像光が入射する入光面(10a)と、前記入光面に対向し、前記入光面に平行であって映像光が出射する出光面(10b)と、光透過性を有し、第1の面(121a,221a)とこれに交差する第2の面(121b,221b)とを有する単位光学形状(121,221)がスクリーン面に平行な方向に配列された光学形状を前記出光面側の面に有する第1光学形状層(21,22)と、前記第1光学形状層よりも前記出光面側に、隣り合う前記単位光学形状の間の谷部を埋めて平坦化するように設けられ、光透過性を有する第2光学形状層(14)と、前記第1光学形状層と前記第2光学形状層との間であって少なくとも前記単位光学形状の前記第2の面の一部に形成される反射層(13)と、を備え、光を拡散する拡散材を含有する光拡散層を備えておらず、前記第2光学形状層は、前記第1光学形状層と屈折率が等しい、又は、等しいとみなせる程度に小さい屈折率差を有し、前記反射層は、少なくとも前記第2光学形状層側の面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、前記入光面から入射して前記面に入射する光の少なくとも一部を拡散反射し、前記出光面へ向かわせること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
第2の発明は、第1の発明の透過型スクリーンにおいて、前記第1光学形状層(12,22)は、前気単位光学形状(121,221)が一点(C)を中心に同心円状に配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を有すること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
第3の発明は、第2の発明の透過型スクリーンにおいて、前記第2の面(121b,221b)は、前記単位光学形状(121,22)の配列方向に沿って前記一点(C)から離れるにつれて、該透過型スクリーンのスクリーン面となす角度(θ2)が小さくなることを特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかの透過型スクリーンにおいて、前記一点(C)は、該透過型スクリーンの表示領域外に位置すること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
第5の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの透過型スクリーンにおいて、前記反射層は、光透過性を有し、前記第1光学形状層(12,22)及び前記第2光学形状層(14)よりも屈折率が低い低屈折率層(13)であり、前記面に対して、臨界角以上の角度で入射する光を前記凹凸形状により拡散して反射し、臨界角未満で入射する光を拡散しないで透過すること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの透過型スクリーンにおいて、前記単位光学形状(121,221)の前記第1の面(121a,221a)及び前記第2の面(121b,221b)には、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されており、前記反射層(13)は、前記第1の面及び前記第2の面に設けられ、前記第1の面及び前記第2の面の微細かつ不規則な凹凸形状に追従して形成された前記凹凸形状をその表面に有すること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかの透過型スクリーンにおいて、前記単位光学形状(121)の前記第1の面と(121a)前記第2の面(121b)とがなす角度(θ3)は、90°であること、を特徴とする透過型スクリーン(10)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかの透過型スクリーン(10,20)と、前記透過型スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える背面投射型表示装置(1)であって、前記透過型スクリーン(10,20)は、前記映像源(LS)と同一の筐体内に配置されておらず、前記入光面には外光が入射すること、を特徴とする背面投射型表示装置(1)である。

Claims (11)

  1. 映像光を透過させて表示する透過型スクリーンであって、
    映像光が入射する入光面と、
    前記入光面に対向し、映像光が出射する出光面と、
    該透過型スクリーンの厚み方向において、前記入光面と前記出光面との間に位置し、所定の方向に沿って複数配列され、前記入光面から入射した映像光の少なくとも一部を全反射させて前記出光面へ向ける全反射面と、
    を備え、
    前記全反射面は、微細かつ不規則な凹凸形状を有すること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  2. 請求項1に記載の透過型スクリーンにおいて、
    前記全反射面は、隣接する層よりも屈折率の低い低屈折率層とこれに隣接する層との界面に形成されていること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  3. 請求項2に記載の透過型スクリーンにおいて、
    映像光が入射する第1の面とこれに対向する第2の面とを有する単位光学形状が、一点を中心に同心円状に配列されたサーキュラーフレネルレンズ形状を前記出光面側の面に有する光学形状層を有し、
    前記低屈折率層は、少なくとも前記単位光学形状の前記第2の面の一部に形成されること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  4. 請求項3に記載の透過型スクリーンにおいて、
    前記全反射面は、前記一点から離れるにつれて、該透過型スクリーンのスクリーン面となす角度が小さくなること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の透過型スクリーンにおいて、
    前記一点は、該透過型スクリーンの表示領域外に位置すること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  6. 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
    前記低屈折率層の屈折率は、1.35〜1.45であること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  7. 請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
    前記低屈折率層に隣接する層の屈折率は、1.56〜1.7であること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  8. 請求項2から請求項7までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
    前記低屈折率層は、その厚みが1μm以上10μm以下であること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
    光を拡散する拡散材を含有する光拡散層を備えていないこと、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
    入射した光の一部を吸収する光吸収層を備えること、
    を特徴とする透過型スクリーン。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンと、
    前記透過型スクリーンに映像光を投射する映像源と、
    を備える背面投射型表示装置。


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