JP7056776B2 - スクリーン、映像表示装置 - Google Patents
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Description
また、近年、店舗のショーウィンドウ等に設置して映像を表示し、かつ、映像光を投射していない場合等に、スクリーンの向こう側の景色が良好に視認される透明性の高いスクリーンへの要求が高まっており、開発も進められている(特許文献3)。
また、スクリーン中に、光を拡散する拡散粒子等を含有する光拡散層を備えるスクリーンでは、太陽光や照明光等の不要な外光も光拡散層によって拡散されるため、スクリーンの向こう側の景色が白っぽくぼやけて観察され、透明性が低下するという問題があった。
第1の発明は、透明性を有する透過型のスクリーンであって、該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面(10a,20a)と、該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面(10b,20b)と、該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部(132)と、を備え、前記偏向光学部は、光透過性を有し、その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射すること、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第2の発明は、第1の発明のスクリーンにおいて、前記偏向光学部(132)の延在方向において、該偏向光学部での偏向後の光のピーク輝度となる出射角度(D)から輝度が1/5となる出射角度までの角度変化量(α3,α4)の絶対値の平均値を1/5角θbとし、画面左右方向の端部での該スクリーンへの画面左右方向の光の入射角度をφ1とするとき、φ1<θbという関係を満たすこと、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のスクリーンにおいて、前記偏向光学部(132)の延在方向において、該偏向光学部での偏向後の光のピーク輝度となる出射角度(D)から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量(α1,α2)の絶対値の平均値を1/2角θaとし、画面左右方向の端部での該スクリーンへの画面左右方向の光の入射角度をφ1とするとき、φ1<θaという関係を満たすこと、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかのスクリーンにおいて、レンズ面(121a)と非レンズ面(121b)とを有する単位レンズ(121)が複数配列されたリニアフレネルレンズ形状を、該スクリーンの厚み方向において前記第2の面側の面に有する光学形状層(12)を備え、前記偏向光学部(132)は、少なくとも前記非レンズ面の一部に形成され、前記偏向光学部の前記第2の面側に、光透過性を有する樹脂層(14)が積層されること、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかのスクリーンにおいて、前記偏向光学部の配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面において、前記偏向光学部(132)の出光側端部とこれに隣接する前記偏向光学部の入光側端部と通る面(121a)がスクリーン面の法線方向となす角度をθ4とし、前記偏向光学部に隣接する層(12,14)の屈折率をnとするとき、θ4>1/2×arcsin(1/n)を満たすこと、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれか1つのスクリーンにおいて、前記偏向光学部の配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面において、前記偏向光学部(132)の出光側端部とこれに隣接する前記偏向光学部の入光側端部と通る面(121a)がスクリーン面の法線方向となす角度をθ4とし、前記偏向光学部に隣接する層(12,14)の屈折率をnとするとき、θ4≧arcsin(1/n)を満たすこと、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれか1つのスクリーンにおいて、前記偏向光学部(132)と、前記偏向光学部の出光側端部とこれに隣接する前記偏向光学部の入光側端部と通る面(121)とがなす角度(θ3)は、鋭角であること、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれか1つのスクリーンにおいて、前記偏向光学部(132)の厚さは、1μm以上10μm以下であること、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第9の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれか1つのスクリーンにおいて、該スクリーンの厚み方向及び前記偏向光学部(132)の配列方向に平行な断面において、前記偏向光学部が該スクリーン面に平行な面となす角度(θ2)は、前記偏向光学部の配列方向に沿って一方側に向かって小さくなること、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第10の発明は、第9の発明のスクリーンにおいて、該スクリーンの厚み方向及び前記偏向光学部(132)の配列方向に平行な断面において、前記偏向光学部が該スクリーン面に平行な面となす角度(θ2)は、0°より大きいこと、を特徴とするスクリーン(10,20)である。
第11の発明は、第1の発明から第10の発明までのいずれか1つのスクリーンにおいて、前記偏向光学部(132)よりも前記第1の面(20a)側又は前記第2の面(20b)側に、該スクリーンのスクリーン面の法線方向から見て、前記偏向光学部の長手方向に交差する方向に延在し、前記偏向光学部の配列方向に交差する方向に複数配列された第2偏向光学部(28)を備えること、を特徴とするスクリーン(20)である。
第12の発明は、第11の発明のスクリーンにおいて、前記第2偏向光学部(28)は、その配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面での断面形状が、前記第2の面(20b)側に凸となる三角形形状であること、を特徴とするスクリーン(20)である。
第13の発明は、第12の発明のスクリーンにおいて、前記第2偏向光学部(28)は、その配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面での断面形状が、該スクリーンの中央側で小さく両端部側へ向かうにつれて大きくなること、を特徴とするスクリーン(20)である。
第14の発明は、第1の発明から第13の発明までのいずれか1つのスクリーン(10,20)と、前記スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示装置(1)である。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、スクリーン面とは、スクリーン全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、スクリーンの画面(表示面)に平行であるとする。
図1は、第1実施形態の映像表示装置1を示す図である。図1では、映像表示装置1を側面から見た様子を示している。
本実施形態の映像表示装置1は、スクリーン10、映像源LS等を有しており、スクリーン10の背面側に位置する映像源LSから映像光を投射して透過させ、映像を表示する背面投射型の映像表示装置である。
以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
第1実施形態及び後述する第2実施形態では、スクリーン10の出光側の正面方向に位置する観察者O1から見て画面左右方向の右側に向かう方向を+X方向、画面上下方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において入光側(映像源側)から出光側(観察者側)に向かう方向を+Z方向とする。
映像源LSは、映像表示装置1の使用状態において、スクリーン10の画面(表示領域)を映像源側(-Z側)の正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン10の画面左右方向の中央であって、スクリーン10の画面よりも鉛直方向下方側(-Y側)に位置している。
映像源LSは、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン10の表面からの距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から斜めに映像光Lを投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LSは、スクリーン10までの映像光Lの投射距離が短く、投射された映像光Lがスクリーン10に入射する入射角度が大きく、その変化量(最小値から最大値までの変化量)も大きい。
スクリーン10は、映像光Lが入射する第1の面である入光面10aと、これに対向する第2の面であり、映像光Lが出射する出光面10bを有している。入光面10aと出光面10bとは、互いに平行又は略平行であり、スクリーン面(XY面)に平行である。
スクリーン10は、その画面サイズが対角40~100インチ程度であり、画面の横縦比が16:9である。なお、これに限らず、スクリーン10の画面サイズは、例えば、40インチ以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状を適宜選択できるものとする。
なお、映像光Lの入射角度に関しては、上記範囲は一例であって、スクリーン10の画面サイズや映像源LS等に応じて適宜変更可能であり、上記角度範囲よりも最小値が小さい場合や、最大値が大きい場合も含まれるものとする。
上述のような支持板は、光透過性を有し、剛性が高い平板状の部材であり、アクリル樹脂やPC樹脂等の樹脂製、ガラス製等の板状の部材を用いることができる。
本実施形態の映像表示装置1は、例えば、店舗等のショーウィンドウに適用される。このとき、スクリーン10は、ショーウィンドウのガラス板を上記支持板として固定される形態とすることが好適である。
図2では、スクリーン10の出光側(-Z側)の画面中央(画面の幾何学的中心)となる点A(図1参照)を通り、画面上下方向(Y方向)に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向であるZ方向に平行)な断面の一部を拡大し、スクリーン10の層構成を示している。
スクリーン10は、図2に示すように、その入光側(-Z側)から順に、基材層11、光学形状層12、低屈折率層13、樹脂層14、保護層15を備えている。
基材層11は、例えば、高い光透過性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂等により形成される。
単位レンズ121は、略三角柱形状であり、長手方向を画面左右方向(X方向)とし、長手方向に交差(直交)する画面上下方向に複数配列されている。
単位レンズ121は、図2や図3に示すように、スクリーン面に直交する方向(Z方向)に平行であって、単位レンズ121の配列方向に平行な断面における断面形状が、略三角形形状である。
単位レンズ121は、出光側(+Z側)に凸であり、レンズ面121aと、これに対向する非レンズ面121bとを有している。
1つの単位レンズ121において、非レンズ面121bは、頂点tを挟んでレンズ面121aの下側に位置している。また、単位レンズ121のレンズ面121a及び非レンズ面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。
また、図2及び図3に示すスクリーン10の断面において、レンズ面121aが、スクリーン面の法線方向(Z方向)となす角度は、θ4であり、非レンズ面121bが、スクリーン面の法線方向となす角度は、θ5である。この角度θ4,θ5の和は、頂角θ3に等しい。
また、単位レンズ121の配列ピッチは、Pであり、単位レンズ121の高さ(厚み方向における頂点tから単位レンズ121間の谷底となる点vまでの寸法)は、hである。
しかし、本実施形態の単位レンズ121は、実際には、配列ピッチPは一定であるが、単位レンズ121の配列方向において映像源LSから離れるにつれて(画面上下方向上側へ向かうにつれて)、角度θ1が次第に大きくなり、角度θ2が次第に小さくなっている。また、本実施形態では、スクリーン10の画面内において、角度θ1は、θ1>0°である。
しかし、本実施形態では、単位レンズ121の配列方向において映像源LSから離れるにつれて(画面上下方向上側へ向かうにつれて)、角度θ5が次第に大きくなり、角度θ4が次第に小さくなり、頂角θ3が一定である。なお、頂角θ3は、単位レンズ121の配列方向に沿って変化していてもよい。
この光学形状層12の屈折率は、約1.56~1.7程度のものが好ましい。
なお、光学形状層12は、紫外線硬化型樹脂に限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
本実施形態の低屈折率層13は、単位レンズ121上(レンズ面121a及び非レンズ面121b上)に形成されており、レンズ面121a上に形成された第1低屈折率部131と、非レンズ面121b上に形成された第2低屈折率部132とを有している。
第2低屈折率部132は、映像光を反射して出光側へ向ける偏向光学部であり、第2低屈折率部132と隣接する樹脂層14との界面Kは、入射した映像光の少なくとも一部が全反射条件を満たす反射面である。
界面K及び第2低屈折率部132は、図3に示す断面(第2低屈折率部132に配列方向及びスクリーン10の厚み方向に平行な断面)において、スクリーン面に平行な面に対して角度θ2をなし、スクリーン面の法線方向(Z方向)に対して角度θ5をなす。また、レンズ面121a及び第1低屈折率部131は、図3に示す断面において、スクリーン面に平行な面に対して角度θ1をなし、スクリーン面の法線方向に対して角度θ4をなす。
低屈折率層13に臨界角以上の入射角で入射する光は、この微細かつ不規則な凹凸形状により、全反射する際に拡散される。また、低屈折率層13に臨界角未満の入射角で入射する光は、一部が隣接する層との界面で反射し、凹凸形状によって拡散されるが、その多くが拡散することなく低屈折率層を透過する。
なお、低屈折率層13の微細かつ不規則な凹凸形状は、所望する光学性能等に応じてその凹凸の大きさや形状等を適宜選択してよい。
この低屈折率層13の屈折率は、約1.35~1.45であることが、樹脂層14との界面Kで映像光を効率よく全反射させる観点から好ましい。
低屈折率層13の厚さが0.3μm未満であると、界面Kでの映像光の全反射が不十分となったり、映像光が全反射する際に干渉が生じて映像が劣化したりするため、好ましくない。また、界面Kで映像光を十分に全反射させ、映像光が全反射する際に生じ得る干渉を抑制するという効果を高める観点から、低屈折率層13の厚さは1μm以上であることがより好ましい。
一方、低屈折率層13の厚さが10μmよりも大きくなると、蒸着等による低屈折率層13の形成が困難となったり、単位レンズ121の表面の微細かつ不規則な凹凸形状を埋めて平坦化し、樹脂層14側の面が平面状となってしまったりするため、好ましくない。
樹脂層14は、低屈折率層13の出光側から単位レンズ121による凹凸の谷部を埋めるように形成され、光学形状層12の出光側(観察者側)の面を平坦にしている。したがって、樹脂層14の入光側(-Z側)の面は、光学形状層12の単位レンズ121の略逆型の形状が複数配列されて形成されている。
樹脂層14の屈折率は、約1.56~1.7であることが、第2低屈折率部132と樹脂層14との界面Kで映像光を効率よく全反射させる観点から好ましい。また、樹脂層14の屈折率は、光学形状層12の屈折率と等しい、又は、略等しい(等しいとみなせる程度に屈折率差が小さい)ことが望ましい。
また、本実施形態では、樹脂層14は、紫外線硬化型樹脂により形成される例を挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
保護層15は、光透過性の高い樹脂製のシート状の部材が用いられる。保護層15は、例えば、前述の基材層11と同様の材料を用いて形成されたシート状の部材を用いてもよい。
上述のように、本実施形態のスクリーン10は、光を拡散する作用を有する粒子等の拡散材を含有した光拡散層を備えていない。また、本実施形態のスクリーン10では、映像光は、低屈折率層13と樹脂層14との界面で反射(全反射を含む)した際に、微細かつ不規則な凹凸形状により拡散される。
基材層11を用意し、その一方の面に、単位レンズ121を賦形する成形型に紫外線硬化型樹脂を充填した状態で積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるUV成形法により光学形状層12を形成する。このとき、単位レンズ121を賦形する成形型のレンズ面121a及び非レンズ面121bを賦形する面には、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている。この微細かつ不規則な凹凸形状は、成形型のレンズ面121a及び非レンズ面121bを賦形する面に、表面加工を複数回行うことにより形成できる。この表面加工は、例えば、めっき加工や、エッチング加工、ブラスト加工等である。また、表面加工は、各種条件等を変更して複数回行ってもよい。
光学形状層12を、基材層11の一方の面に形成した後、レンズ面121a及び非レンズ面121bに、低屈折率層13を蒸着等により形成する。
基材層11及び保護層15は、枚葉状としてもよいし、ウェブ状としてもよい。
しかし、このような製法では、個々のスクリーン10での拡散特性や品質等のばらつきが大きく、安定した製造が行えない。
これに対して、本実施形態では、単位レンズ121のレンズ面121a,非レンズ面121bの微細かつ不規則な凹凸形状を成形型によって賦形した後に低屈折率層13を形成する。これにより、本実施形態では、多数のスクリーン10を製造する場合にも、品質のばらつきが少なく、安定して製造できる。
図5及び図6は、第1実施形態の単位レンズ121のレンズ面121aがスクリーン面の法線方向となす角度θ4について説明する図である。図5(a)は、θ4<1/2×arcsin(1/n)である場合を示し、図5(b)は、θ4=1/2×arcsin(1/n)である場合を示している。図6(a)は、1/2×arcsin(1/n)<θ4<arcsin(1/n)である場合を示し、図6(b)は、θ4=arcsin(1/n)である場合を示し、図6(c)は、θ4>arcsin(1/n)である場合を示している。
なお、図4~図6では、前述の図2に相当するスクリーン10の断面の一部を拡大して示し、理解を容易にするために、低屈折率層13を簡略化し、基材層11及び保護層15を省略して示している。
ここで、前述の図3及び図4~図6に示す、画面上下方向における映像光や外光の様子を参照しながら、頂角θ3、角度θ4等について説明する。
図3に示すように、映像源LSから投射されて入光側(-Z側)からスクリーン10に入射した映像光Laは、単位レンズ121のレンズ面121aに入射する。このとき、映像光Laのレンズ面121aへの入射角は臨界角未満であり、多くの映像光Laが第1低屈折率部131を透過する。一部の映像光は、第1低屈折率部131への入射時に反射するが、その光量は小さく、入光側に位置する観察者が映像を視認することはない。
したがって、レンズ面121aへの映像光Laの入射角度は、0°又は0°近傍となるように、角度θ1や光学形状層12等の屈折率、映像光の入射角度を設定することが好ましい。
この角度θ5が0°である場合、界面Kに映像光が臨界角未満の入射角で入射し、界面Kで全反射しないため、出光側(+Z側)の正面方向に位置する観察者O1へ映像光の多くを向けることができない。
また、角度θ5が2×(θ1)以上である場合、界面Kで反射(全反射を含む)した映像光は、スクリーン10の出光側上方へ向かい、スクリーン10の出光側の正面方向に位置する観察者O1に届かない。したがって、角度θ5は、上述の範囲であることが好ましい。
これは、図4(a),(b)に示すように、頂角θ3を鋭角とすることによって、頂角θ3が90°以上である場合に比べて、非レンズ面121bの面積(即ち、界面Kの面積)を大きくすることができるからである。これにより、界面Kで反射(全反射を含む)して出光側(+Z側)に位置する観察者O1側へ向かう映像光Lの光量を増加させることができ、光の利用効率の向上や、映像の明るさや明瞭さの向上等を図ることができる。
図3に示すように、出光側上方からスクリーン10に入射した外光Gaは、その多くが樹脂層14と第1低屈折率部131との界面に対して、臨界角未満の入射角度で入射し、全反射することなく第1低屈折率部131を透過してスクリーン10の入光側(-Z側)下方へ向かう。
外光Gaの一部は、第1低屈折率部131に入射する際に樹脂層14と第1低屈折率部131との界面で反射する。しかし、その反射光は、光量が少なく、スクリーン10の出光側上方へ向かうので、出光側の正面方向に位置する観察者O1届くことはなく、外光Gaによる映像のコントラスト低下を抑制することができる。
また、入光側上方からスクリーン10に入射した外光のうち、一部の外光Gcは、第1低屈折率部131と光学形状層12との界面(レンズ面121a)に入射して反射(全反射を含む)した後、第2低屈折率部132を透過し、スクリーン10の出光側下方へ向う。外光Gcの一部は、第2低屈折率部132と光学形状層12との界面(非レンズ面121b)に小さい入射角度で入射するので、その多くが第2低屈折率部132を透過する。
そこで、前述のように、第1低屈折率部131(レンズ面121a)がスクリーン面の法線方向となす角度θ4は、第1低屈折率部131に隣接する樹脂層14、光学形状層12の屈折率をnとするとき、θ4>1/2×arcsin(1/n)を満たすことが好ましく、θ4≧arcsin(1/n)を満たすことがさらに好ましい。
図5(b)に示すように、角度θ4=1/2×arcsin(1/n)である場合、この角度θ4は、入光側からスクリーン10に入射した外光Gが、樹脂層14と第1低屈折率部131との界面で反射(全反射を含む)して、出光側の正面方向に位置する観察者O1に届く境界値である。
したがって、角度θ4は、θ4>1/2×arcsin(1/n)であることが、外光による映像のコントラスト低下を抑制する観点から好ましい。
図6(b)に示すように、角度θ4=arcsin(1/n)である場合、この角度θ4は、入光側上方から大きな入射角度でスクリーン10に入射した外光Gが、第2低屈折率部132を透過し、樹脂層14と第1低屈折率部131との界面に入射する境界値である。このとき、第2低屈折率部132を透過した外光が図6(b)に示すスクリーン10の断面においてスクリーン面の法線方向となす角度の最大値は、角度θ4である。
したがって、角度θ4は、θ4≧arcsin(1/n)であることが、外光による映像のコントラスト低下を低減する観点から、さらに好ましい。
前述のように、スクリーン10では、画面上下方向については、界面Kで映像光を反射(全反射を含む)させて出光側正面方向へ向けている。また、画面左右方向については、映像光は、微細かつ不規則な凹凸形状を有す界面Kで反射(全反射を含む)する際に、画面左右方向にも拡散される。
これにより、スクリーン10の出光側(+Z側)正面方向に位置する観察者O1がスクリーン10に表示される映像を観察した場合、画面の左右方向両端部の映像が暗くなる輝度ムラを有する映像が観察され、映像の明るさの面内均一性が低下してしまう。
図7(b)には、スクリーン10の画面中央となる点Aに、画面左右方向における入射角度が0°で入射し、界面Kで反射(全反射を含む)して拡散してスクリーン10から出光側へ出射した出射光の画面左右方向における輝度分布を示している。この図7(b)に示す輝度分布曲線において、ピーク輝度(最大輝度)となる出射角度Dから、輝度がピーク輝度の1/5、1/2となる出射角度までの角度変化量(α3及びα4、α1及びα2)の絶対値の平均値をそれぞれ1/5角θb、1/2角θaとする。即ち、1/5角θb=1/2×(|α3|+|α4|)であり、1/2角θa=1/2×(|α1|+|α2|)である。
このとき、画面の左右方向両端部の映像が暗くなる輝度ムラを低減し、映像の明るさの面内均一性を向上させる観点から、φ1<θbを満たすことが好ましく、φ1<θaを満たすことがさらに好ましい。
本実施形態のスクリーン10は、φ1<θbを満たし、さらに、φ1<θaを満たしている。
このような界面Kでの反射(全反射を含む)における拡散作用の大きさに関しては、界面Kの表面の微細かつ不規則な凹凸形状の大きさ等を制御することにより、適宜実現可能である。
スクリーン10の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン10に入光側(-Z側)から入射した映像光L1のうち、一部の映像光L2は、スクリーン10の入光面10aで反射して上方へ向かう。この映像光L2は、スクリーン10の入光側(映像源側)の正面方向に位置する観察者O2には届かない。
この映像光L3は、界面K(低屈折率層13の表面)の微細かつ不規則な凹凸形状により拡散されており、スクリーン10の出光側の正面方向に位置する観察者O1に、画面上下方向及び画面左右方向に良好な視野角を有する映像を表示できる。しかも、本実施形態のスクリーン10は、画面左右方向における入射角度φ1が、画面左右方向における1/5角θb、1/2角θbに対して、φ1<θbを満たし、φ1<θaを満たすので、画面左右方向の両端側の映像の明るさの低下を抑制し、映像の明るさの面内均一性を高めることができる。
本実施形態では、頂角θ3が鋭角であり、前述のように、単位レンズの頂角が90°以上である場合に比べて、界面K(非レンズ面121b)の面積を広くすることができる。したがって、このような映像光L4を低減し、観察者O1に届く映像光L3を増大させることができ、観察者O1に明るく明瞭な映像を表示できる。
なお、本実施形態では、映像光がスクリーン10の下方から投射され、かつ、非レンズ面121bの角度θ2(図2,図3等参照)がスクリーン10の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が第1低屈折率部131を透過することなく第2低屈折率部132に直接入射することはない。
図8に示すように、スクリーン10に入光側上方から入射する外光G1のうち、一部の外光G2は、スクリーン10の入光面10aで反射してスクリーン10の下方へ向かい、観察者O2には届かない。
また、外光G1のうち、スクリーン10に入射した一部の外光G3は、非レンズ面121bに臨界角以上の小さな入射角度で入射して第2低屈折率部132を透過する。本実施形態のスクリーン10は、角度θ4≧arcsin(1/n)を満たしており、第2低屈折率部132を透過した外光G3は、第1低屈折率部131と樹脂層14との界面に入射することなく、スクリーン10の出光側下方へ向かい、一部が出光面10bから出光側下方へ出射したり、一部が出光面10bで反射してスクリーン10内部下方へ進み、次第に減衰したりする。
そして、外光G4は、一部が出光面10bで全反射してスクリーン10内部下方へ進んで次第に減衰したり、一部が出光面10bから出光側下方へ出射したりする。
外光G5のうち、スクリーン10に入射した外光G7は、樹脂層14と第1低屈折率部131との界面に臨界角未満の入射角度で入射して、第1低屈折率部131を透過し、スクリーン10の入光側下方へ向かう。この外光G7は、スクリーン10の入光側下方へ出射したり、スクリーン10の入光面10aで全反射してスクリーン10内部下方へ進み、次第に減衰したりする。
したがって、スクリーン10に入光側、出光側上方から入射する外光は、いずれも観察者O1,O2には到達しないので、太陽光や照明光等の外光による映像のコントラスト低下を抑制できる。
したがって、本実施形態によれば、スクリーン10は、良好な視野角及び明るさや解像度を有する映像を出光側(+Z側)の観察者O1に表示でき、かつ、映像光を投射しない状態等において、スクリーン10の向こう側(-Z側)の景色が白くにじんだり、ぼけたりすることがなく観察者O1に良好に視認され、高い透明性を実現できる。
また、本実施形態によれば、スクリーン10は、θ4≧arcsin(1/n)を満たしているので、上方からの外光による映像のコントラスト低下を効果的に抑制できる。
また、本実施形態によれば、スクリーン10は、透過光を拡散せず、高い透明性を有しているので、スクリーン10に映像光が投射された状態においても、観察者O1,O2が、スクリーン10を通してスクリーン10の向こう側(入光側、出光側)の景色を一部視認することが可能である。
図9は、第2実施形態のスクリーン20を説明する図である。図9(a)は、画面中央となる点Aを通り、画面上下方向及び厚み方向に平行なスクリーン20の断面の一部を示している。この図9(a)に示すスクリーン20の断面は、図2に示す第1実施形態のスクリーン10の断面に相当する。図9(b)は、画面中央となる点Aを通り、画面左右方向及び厚み方向に平行なスクリーン20の断面の一部を示している。
第2実施形態のスクリーン20は、第2基材層26、第2光学形状層27、第2低屈折率層28、第2樹脂層29を備えている点が第1実施形態のスクリーン10とは異なる。したがって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態のスクリーン20は、入光面20a、出光面20bを有し、入光側(-Z側)から順に、基材層11、光学形状層12、低屈折率層13、樹脂層14、第2基材層26、第2光学形状層27、第2低屈折率層28、第2樹脂層29、保護層15を備えている。このスクリーン20は、第1実施形態に示す映像表示装置1に適用可能である。
第2光学形状層27は、第2基材層26の出光側の面に一体に積層されて形成された光透過性を有する層である。第2光学形状層27は、出光側の面に、三角柱状の単位プリズム271が複数配置されている。
第2光学形状層27は、光学形状層12と同様の材料により形成することができる。また、その屈折率は、光学形状層12と同様に、1.5~1.7程度である。
単位プリズム271は、図6(b)に示すように、その断面が頂角θ6である二等辺三角形形状であり、幅(入光側の幅)がW1、高さがh2、配列ピッチがP2である。単位プリズム271の配列ピッチP2は、幅W1よりも大きく、図6(b)に示すように、単位プリズム271間には、幅W2である平面部272が形成されている。
複数の単位プリズム271は、その頂角θ6が画面左右方向において一定であるが、高h2については、画面左右方向中央での高さh2が一番小さく、画面左右方向両端側へ向かうにつれて連続的に又は段階的に高さh2が大きくなっている。なお、これに限らず、複数の単位プリズム271は、画面左右方向において高さh2が一定であってもよい。
単位プリズム271の斜面271a、271b上に形成された第2低屈折率層28は、映像光を反射させてその向きを変える第2偏光光学部である。第2低屈折率層28と単位プリズム271との界面(斜面271a、271b)、単位プリズム271の斜面271a、271b上に形成された第2低屈折率層28と第2樹脂層29との界面は、入射する映像光の少なくとも一部が全反射条件を満たす反射面となる。
第2低屈折率層28は、前述の低屈折率層13の材料として挙げられた材料と同様の材料により形成できる。また、第2低屈折率層28の屈折率は、約1.35~1.45であることが、上述の各界面で映像光を効率よく全反射させる観点から好ましい。
第2低屈折率層28の厚さが0.3μm未満以下であると、第2低屈折率層28と第2光学形状層27との界面や、第2低屈折率層28と第2樹脂層29との界面での映像光の全反射が不十分となったり、映像光が全反射する際に干渉が生じて映像が劣化したりするため、好ましくない。また、界面Kで映像光を十分に全反射させ、映像光が全反射する際に生じ得る干渉を抑制するという効果を高める観点から、第2低屈折率層28の厚さは1μm以上であることがより好ましい。
一方、第2低屈折率層28の厚さが10μmよりも大きくなると、蒸着等による第2低屈折率層23の形成が困難となるため、好ましくない。
第2樹脂層29は、光透過性が高く、一般的な紫外線硬化型樹脂よりも屈折率の高い紫外線硬化型樹脂、例えば、前述の光学形状層12や樹脂層14の材料として挙げられたものと同様の材料により形成される。
第2樹脂層29の屈折率は、第2光学形状層27の屈折率と等しい、又は、略等しい(等しいとみなせる程度に屈折率差が小さい)ことが望ましく、約1.56~1.7であることが好ましい。
また、本実施形態では、第2樹脂層29は、紫外線硬化型樹脂により形成される例を挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
前述のように、界面Kでの反射により、映像光は、主に画面上下方向における偏向作用を受けたのち、第2基材層26を透過して第2光学形状層27へ入射する。
また、画面左右方向の中央部等、画面左右方向における入射角度が小さい領域で、平面部272に入射した映像光Lfは、第2低屈折率層28に入射して、第2樹脂層29及び保護層15を透過して、正面方向や画面左右方向において正面方向となす角度が小さい方向へ出射する。
また、画面左右方向の両端側等、画面左右方向における入射角度が大きい領域で、単位プリズム271に入射し、第2低屈折率層28との界面に臨界角以上で入射した映像光Lhは、反射(全反射を含む)して対向する界面へ臨界角未満の入射角度で入射し、第2低屈折率層28、第2樹脂層29及び保護層15を透過して、画面左右方向において正面方向となす角度が大きい方向(図10では画面中央側)へ出射する。
このような映像光Liにより、画面左右方向の両端側において、画面外側へ向けて出射する光量を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、上述のような第2光学形状層27、第2低屈折率層28、第2樹脂層29を備えているので、スクリーン20、映像表示装置1の映像の明るさの面内均一性について、さらに向上させることができる。
また、本実施形態において、スクリーン20は、第2樹脂層29を備えず、第2低屈折率層28が、単位プリズム271の高さh2よりも十分に厚く形成されて、第2低屈折率層28の出光側の面を平面状とし、その出光側に保護層15が形成される形態としてもよい。
また、本実施形態において、第2光学形状層27、第2低屈折率層28、第2樹脂層29は、光学形状層12、低屈折率層13、樹脂層14よりも入光側(-Z側)に位置していてもよい。
図11は、第3実施形態の映像表示装置2を示す図である。図11では、映像表示装置2を側面から見た様子を示している。
図12は、第3実施形態のスクリーン30を説明する図である。図12では、スクリーン30は、画面中央となる点Aを通り、画面上下方向及び厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示している。この図12に示すスクリーン30の断面は、図2に示す第1実施形態のスクリーン10の断面に相当する。
また、図11、図12及び後述する図13では、スクリーン30の厚み方向において、映像源側が-Z方向であり、背面側が+Z方向である。また、本実施形態では、映像源側(-Z側)の正面方向に位置する観察者O3から見て、画面左右方向左側が+X方向であり、画面上下方向上側が+Y方向であるとする。
光学形状層32は、その背面側(+Z側)の面に、画面左右方向を長手方向とする単位レンズ321が画面上下方向に複数配列されており、リニアフレネルレンズ形状が形成されている。単位レンズ321は、レンズ面321aと非レンズ面321bとを有し、レンズ面321a及び非レンズ面321bは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。
樹脂層34は、光学形状層32及び反射層33の背面側に位置し、単位レンズ321による凹凸の谷部を充填し、背面側の面を平坦化している層である。
本実施形態の光学形状層32及び樹脂層34は、その形状が、第1実施形態の光学形状層12及び樹脂層14と略同様である。
また、本実施形態の光学形状層32及び樹脂層34は、光透過性の高い紫外線硬化型樹脂や、電子線硬化型樹脂等を含む電離放射線硬化型樹脂により形成されており、その屈折率に特に限定はない。なお、本実施形態では、光学形状層32及び樹脂層34は、同じ紫外線硬化型樹脂によって形成され、屈折率も同じである例を示すが、これに限るものではない。
前述のように、レンズ面321a及び非レンズ面321bには、微細かつ規則な凹凸形状が形成されており、反射層33は、この凹凸形状に追従して形成され、この凹凸形状を維持して成膜されている。したがって、反射層33の光学形状層32側の面と樹脂層34側の面とは、微細かつ不規則な凹凸形状を有するマット面(粗面)となっている。
この反射層33は、入射した光の一部をその表面の微細かつ不規則な凹凸形状により拡散して反射し、反射しない他の光を拡散しないで透過する。
このような反射層33は、光反射性の高い金属、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル等を蒸着する、又は、スパッタリングする等して形成される。本実施形態の反射層33は、アルミニウムを蒸着することにより形成される。また、反射層33は、誘電体多層膜を蒸着することにより形成してもよい。
本実施形態では、反射層33は、アルミニウムを蒸着して形成されている。
本実施形態のスクリーン30では、画面左右方向において、入射角度φ1が、反射光の画面左右方向における1/5角θb、1/2角θaに対して、φ1<θb、φ1<θaを満たしている。
スクリーン30の下方に位置する映像源LSから投射され、スクリーン30に入射する映像光L11のうち、一部の映像光L12は、スクリーン30の表面等で反射し、スクリーン30上方へ向かうので、観察者O3の映像の視認の妨げにはならない。
また、映像光L11のうち、スクリーンに入射した一部の映像光L13は、その単位レンズ321のレンズ面321aに入射し、反射層33によって拡散反射され、観察者O3側へ出射する。これにより、観察者O3は、明るく良好な視野角の映像を視認できる。
なお、本実施形態では、映像源LSがスクリーン30よりも下方に位置し、映像光L11がスクリーン30の下方から投射され、かつ、非レンズ面321bの角度θ2(図12参照)がスクリーン30の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が非レンズ面321bに直接入射することはなく、非レンズ面321bは、映像光の反射には、ほとんど影響しない。
図13に示すように、スクリーン30に上方から入射する外光G11,G15のうち、一部の外光G12,G16は、スクリーン30の表面で反射し、スクリーン下方側へ向かう。また、外光G11,G15のうち、スクリーン30内に入射した一部の外光G13,G17は、反射層33で反射する。そして、外光G13の一部は、スクリーン30の映像源側(-Z側)の表面で反射してスクリーン30内下方へ向かい、一部は、スクリーン30から映像源側下方へ出射し、一部は、スクリーン30内下方側へ向かい、減衰する。また、外光G17は、反射層33で反射し、背面側(+Z側)のスクリーンの上方側へ出射する。
また、反射層33で反射しなかった他の外光G14,G18は、反射層33を透過して、それぞれ背面側、映像源側の下方へ出射する。このとき、映像源側へ出射する外光G12,G13,G18は、観察者O3には到達しないので、外光による映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、スクリーン30へ小さな入射角度で入射する他の外光G19,G20は、反射層33を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。スクリーン30は、光を拡散する作用を有する拡散粒子等を含有する光拡散層等を含有していないので、このスクリーン30を透過する外光G19,G20は、拡散されない。したがって、スクリーン30を通して、スクリーン30の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン30の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
また、本実施形態のスクリーン30では、画面左右方向において、入射角度φ1が、反射光の画面左右方向における1/5角θb、1/2角θaに対して、φ1<θb、φ1<θaを満たしているので、映像の明るさの面内均一性を向上させることができる。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態及び第2実施形態において、低屈折率層13は、非レンズ面121bの少なくとも一部にのみ形成され、レンズ面121aに形成されない形態としてもよい。
この場合、低屈折率層13は、前述の金属フッ化物等の箔を転写したり、金属フッ化物等の薄膜を含有した塗料を塗布したりして形成してもよいし、誘電多層膜を用いて形成してもよい。低屈折率層13の材料として誘電体多層膜を用いる場合には、第2低屈折率部132を第1低屈折率部131よりも厚くする等、膜厚の調整が重要である。
また、第3実施形態において、反射層33は、レンズ面121aの少なくとも一部にのみ形成され、非レンズ面121bに形成されない形態としてもよい。
また、第2実施形態において、第2低屈折率層28は、単位プリズム271の斜面271a,271bにのみ形成され、平面部272には形成されない形態としてもよい。
上述のような形態とすることにより、スクリーンの透明性をさらに向上させることができる。
また、ハードコート層に限らず、スクリーン10,20,30の使用環境や使用目的等に応じて、その表面に、例えば、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態において、低屈折率層13よりも入光側(-Z側)に、上述のような光吸収層を設けて、背面側から入射する外光を吸収し、映像のコントラスト向上を図ってもよい。
同様に、第3実施形態において、反射層33よりも映像源側(-Z側)又は背面側(+Z側)に、上述のような光吸収層を備える形態とし、映像のコントラスト向上を図ってもよい。
なお、上述の光吸収層は、着色材を含有せず、透明な層であって光吸収作用を有する層としてもよい。
この場合、単位レンズ121,321の配列方向、単位プリズム271の配列方向は、映像源LSの位置に合わせて傾けた形態とする。このような形態とすることにより、映像源LSの位置等を自由に設定することができる。
また、各実施形態において、スクリーン上方からの外光の影響が小さい環境下では、映像源LSは、スクリーン面の法線方向から見たとき、スクリーン10,20,30の画面左右方向の中央であって画面外上方に位置する形態としてもよい。
また、各実施形態において、単位レンズ121,321は、3つ以上の複数の面によって形成される多角柱形状としてもよい。
また、各実施形態において、スクリーン10,20,30は、基材層11及び保護層15の少なくとも一方を、十分な剛性を有するガラス板等の光透過性を有する板状の部材としてもよい。このとき、粘着剤層等を介して光学形状層12等がガラス板等に接合される形態としてもよい。
映像源LSは、映像光が入射角度φaでスクリーン10,20,30へ投射されるように位置及び角度が設定されている。このとき、入射角度φaは、スクリーン10,20へ投射された映像光(P波)の反射率がゼロとなる入射角度(ブリュースター角)をφb(°)とした場合、(φb-10)°以上85°以下の範囲に設定される。例えば、スクリーン10,20へ投射された映像光の反射率がゼロとなる入射角度φbが60°である場合、映像光の入射角度φaは、50~85°の範囲に設定される。
なお、角度φb(ブリュースター角)は、映像光が投射されるスクリーン10,20,30の表面(入光面)の材質により異なる。
また、このような形態の場合、基材層11としては、TAC製のシート状の部材が好適である。
10,20,30 スクリーン
11 基材層
12,32 光学形状層
121,321 単位レンズ
121a,321a レンズ面
121b,321b 非レンズ面
13 低屈折率層
14,34 樹脂層
15 保護層
26 第2基材層
27 第2光学形状層
271 単位プリズム
28 第2低屈折率層
29 第2樹脂層
33 反射層
LS 映像源
Claims (14)
- 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
レンズ面と非レンズ面とを有する単位レンズが複数配列されたリニアフレネルレンズ形状を、該スクリーンの厚み方向において前記第2の面側の面に有する光学形状層を備え、
前記偏向光学部は、少なくとも前記非レンズ面の一部に形成され、
前記偏向光学部の前記第2の面側に、光透過性を有する樹脂層が積層されること、
を特徴とするスクリーン。 - 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
前記偏向光学部の配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面において、前記偏向光学部の出光側端部とこれに隣接する前記偏向光学部の入光側端部と通る面がスクリーン面の法線方向となす角度をθ4とし、前記偏向光学部に隣接する層の屈折率をnとするとき、
θ4>1/2×arcsin(1/n)
を満たすこと、
を特徴とするスクリーン。 - 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
前記偏向光学部の配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面において、前記偏向光学部の出光側端部とこれに隣接する前記偏向光学部の入光側端部と通る面がスクリーン面の法線方向となす角度をθ4とし、前記偏向光学部に隣接する層の屈折率をnとするとき、
θ4≧arcsin(1/n)
を満たすこと、
を特徴とするスクリーン。 - 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
前記偏向光学部と、前記偏向光学部の出光側端部とこれに隣接する前記偏向光学部の入光側端部と通る面とがなす角度は、鋭角であること、
を特徴とするスクリーン。 - 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
該スクリーンの厚み方向及び前記偏向光学部の配列方向に平行な断面において、前記偏向光学部が該スクリーン面に平行な面となす角度は、前記偏向光学部の配列方向に沿って一方側に向かって小さくなること、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項5に記載のスクリーンにおいて、
該スクリーンの厚み方向及び前記偏向光学部の配列方向に平行な断面において、前記偏向光学部が該スクリーン面に平行な面となす角度は、0°より大きいこと、
を特徴とするスクリーン。 - 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
前記偏向光学部よりも前記第1の面側又は前記第2の面側に、該スクリーンのスクリーン面の法線方向から見て、前記偏向光学部の長手方向に交差する方向に延在し、前記偏向光学部の配列方向に交差する方向に複数配列された第2偏向光学部を備えること、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項7に記載のスクリーンにおいて、
前記第2偏向光学部は、その配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面での断面形状が、前記第2の面側に凸となる三角形形状であること、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項8に記載のスクリーンにおいて、
前記第2偏向光学部は、その配列方向及び該スクリーンの厚み方向に平行な断面での断面形状が、該スクリーンの中央側で小さく両端部側へ向かうにつれて大きくなること、
を特徴とするスクリーン。 - 透明性を有する透過型のスクリーンであって、
該スクリーンの一方の面であり、映像光が入射する第1の面と、
該スクリーンの他方の面であり、前記第1の面に対向し、前記第1の面に平行であって映像光が出射する第2の面と、
該スクリーンの厚み方向において、前記第1の面と前記第2の面との間に位置し、スクリーン面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差する方向に複数配列され、前記第1の面から入射した映像光の少なくとも一部を反射して前記第2の面側へ向ける偏向光学部と、
を備え、
前記偏向光学部は、
光透過性を有し、
その表面に不規則な凹凸形状を有し、該偏向光学部に入射する映像光の少なくとも一部を拡散反射し、
レンズ面と非レンズ面とを有する単位レンズが複数配列された光学形状を、該スクリーンの厚み方向において前記第2の面側の面に有する光学形状層を備え、
前記偏向光学部は、少なくとも前記非レンズ面の一部に形成され、
前記偏向光学部の前記第2の面側に、光透過性を有する樹脂層が積層されること、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のスクリーンにおいて、
前記偏向光学部の延在方向において、該偏向光学部での偏向後の光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/5となる出射角度までの角度変化量の絶対値の平均値を1/5角θbとし、画面左右方向の端部での該スクリーンへの画面左右方向の光の入射角度をφ1とするとき、φ1<θbという関係を満たすこと、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のスクリーンにおいて、
前記偏向光学部の延在方向において、該偏向光学部での偏向後の光のピーク輝度となる出射角度から輝度が1/2となる出射角度までの角度変化量の絶対値の平均値を1/2角θaとし、画面左右方向の端部での該スクリーンへの画面左右方向の光の入射角度をφ1とするとき、φ1<θaという関係を満たすこと、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のスクリーンにおいて、
前記偏向光学部の厚さは、1μm以上10μm以下であること、
を特徴とするスクリーン。 - 請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載のスクリーンと、
前記スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示装置。
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