JP7209461B2 - 車両用合わせガラス、映像表示システム及びウィンドシールド - Google Patents
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また、ウィンドシールドの周縁部の着色層の車内側にホログラムを配置し、投影機から投射された映像光をホログラムで正反射させて運転者等に知覚させることが提案されている(特許文献2)。
また、映像光を着色層やホログラムで正反射させた場合、運転者等に知覚される映像は虚像であるため、映像が虚像位置(ウィンドシールドの向こう側)にあると運転者等に錯覚させてしまう。
また、映像光をホログラムで正反射させた場合、映像に色むらが生じることがある。
<1>車両に取り付けられる合わせガラスであり、前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた着色層と、前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた光散乱層とを有し、前記合わせガラスの正面から見て前記着色層の少なくとも一部と前記光散乱層の少なくとも一部とが重なっている、車両用合わせガラス。
<2>前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*が20~70であり、a*が-10~2.0であり、b*が-20~30である、前記<1>の車両用合わせガラス。
<3>前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率が、1~80%である、前記<1>又は<2>の車両用合わせガラス。
<4>前記着色層が、黒セラミックス層である、前記<1>~<3>のいずれかの車両用合わせガラス。
<5>前記着色層が、着色樹脂層である、前記<1>~<3>のいずれかの車両用合わせガラス。
<6>前記光散乱層が、透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜である、前記<1>~<5>のいずれかの車両用合わせガラス。
<7>前記反射膜が、表面に凹凸構造を有する透明層の表面に沿うように形成され、前記透明層の表面の凹凸構造の算術平均粗さRaが0.01~20μmであり、前記透明層の表面の凹凸構造のPV値の最大値が50μm以下である、前記<6>の車両用合わせガラス。
<8>前記光散乱層が、透明材料内に光散乱材料が分散されたものである、前記<1>~<5>のいずれかの車両用合わせガラス。
<9>前記<1>~<8>のいずれかの車両用合わせガラスと、映像光を投射する投影機とを備えた、映像表示システム。
<10>前記<1>~<8>のいずれかの車両用合わせガラスを有する、ウィンドシールド。
本発明の映像表示システムは、合わせガラスに表示される映像の視認性がよく、映像を実像として合わせガラスの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
本発明のウィンドシールドは、ウィンドシールドに表示される映像の視認性がよく、映像を実像としてウィンドシールドの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
CIE 1976 L*a*b*色空間のL*、a*、b*は、JIS Z 8781-4:2013(対応国際規格ISO 11664-4:2008)に記載された方法によって求める。
「全光線反射率」は、合わせガラスの第1の表面側から入射角0゜で入射した入射光に対する、第1の表面側に反射した全反射光の割合(百分率)を意味する。全光線反射率を測定する際には、測定対象の第2の表面側から合わせガラスに光が入射しないように第2の表面を暗幕等で覆う。
「全光線透過率」は、合わせガラスの第1の表面側から入射角0゜で入射した入射光に対する、第2の表面側に透過した全透過光の割合(百分率)を意味する。すなわち、JIS K 7361:1997(対応国際規格ISO 13468-1:1996)に記載された方法によって測定される通常の全光線透過率である。
全光線反射率及び全光線透過率は、JIS Z 8781-2:2012(対応国際規格ISO 11664-2:2007)に準拠したCIE標準イルミナントD65を用いて25℃で測定したときの値である。
「凹凸構造」とは、複数の凸部、複数の凹部、又は複数の凸部及び凹部からなる凹凸形状を意味する。
「不規則な凹凸構造」とは、凸部又は凹部が周期的に出現せず、かつ凸部又は凹部の大きさが不揃いである凹凸構造を意味する。
「算術平均粗さ(Ra)」は、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づき測定される算術平均粗さである。粗さ曲線用の基準長さlr(カットオフ値λc)は0.8mmとする。
「PV値の最大値」は、レーザー顕微鏡又は触針式表面粗さ測定機等によって測定される、凹凸構造における各凹凸の最も高い点(Peak)と最も低い点(Valley)との差(PV値)のうちの最大値を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
図1~図22における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
本発明の車両用合わせガラスは、合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた着色層と、合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた光散乱層とを有する。本発明の車両用合わせガラスにおいては、合わせガラスの正面から見て着色層の少なくとも一部と光散乱層の少なくとも一部とが重なっている。
合わせガラスは、通常、2枚の透明基材と、2枚の透明基材の間に設けられた中間膜とを有する。2枚の透明基材は、中間膜によって接着されている。
本発明の車両用合わせガラスは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の層、他の部材を有していてもよい。
透明基材の材料としては、例えば、ガラス、透明樹脂が挙げられる。各透明基材の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
透明基材を構成するガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。ガラスからなる透明基材には、耐久性を向上させるために、化学強化、物理強化、ハードコーティング等を施してもよい。
透明基材の厚さは、基材としての耐久性が保たれる厚さであればよく、0.5~10mmが好ましく、1~5mmがより好ましい。
中間膜の樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも記す。)、シクロオレフィン、アイオノマー、エチレン-アクリル共重合体、ポリウレタン、硫黄含有ポリウレタン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、PET等の熱可塑性樹脂が挙げられ、ポリビニルアセタール、EVA、シクロオレフィン、アイオノマーが好ましい。中間膜の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリビニルアセタールのアセタール化度は、40~85モル%が好ましく、60~75モル%がより好ましい。ポリビニルアセタールの水酸基量は、15~35モル%が好ましい。アセタール化度及び水酸基量は、JIS K 6728:1977「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
中間膜の厚さは、接着層としての機能が保たれる厚さであればよく、0.01~1.5mmが好ましく、0.05~1mmがより好ましい。
着色層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の少なくとも一部において、合わせガラスの層間又は透明基材の表面に設けられる。着色層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の4辺全部に設けてもよく、周縁部の一部に設けてもよい。着色層は、2層以上設けてもよい。
着色層は、本発明の車両用合わせガラスを車両に取り付けたときに光散乱層よりも車外側に位置するように設けられる。着色層は、光散乱層に隣接していてもよく、光散乱層から離間していてもよい。着色層は、本発明の車両用合わせガラスの正面から見たときに、全体が光散乱層と重なっていてもよく、一部が光散乱層と重なっていてもよい。
着色層は、層全体が連続した一体膜として構成されてもよく、微細なドットの集合体であるドットパターン等によって構成されてもよい。
着色層としては、導入の容易さの点から、着色樹脂層が好ましい。
黒セラミックス層としては、例えば、耐熱性黒色顔料、低融点ガラス粉末、樹脂及び溶剤を含む黒セラミックスペーストを印刷等によって透明基材の周縁部に塗布し、焼き付けて形成された層が挙げられる。
着色樹脂層としては、例えば、着色顔料を含む樹脂フィルムからなる層、中間膜の周縁部を着色して形成された層が挙げられる。
光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の少なくとも一部において、合わせガラスの層間又は透明基材の表面に設けられる。光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の4辺全部に設けてもよく、周縁部の一部に設けてもよい。
光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスを車両に取り付けたときに着色層よりも車内側に位置するように設けられる。光散乱層は、着色層に隣接していてもよく、着色層から離間していてもよい。光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスの正面から見たときに、全体が着色層と重なっていてもよく、一部が着色層と重なっていてもよい。
・透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜からなる光散乱層a(国際公開第2015/186668号、特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報、国際公開第2017/057564等)。
・透明材料内に光散乱材料が分散された光散乱層b(国際公開第2015/186630号、特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報等)。
・透明材料層の一方の表面に並んだ複数の光反射粒子からなる光散乱層c(特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報等)。
光散乱層としては、光散乱層に結像する映像の視認性に優れる点から、光散乱層a又は光散乱層bが好ましい。
光散乱フィルム10Aは、第1の透明フィルム11と、第1の透明フィルム11の表面に設けられた、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層12と、第1の透明層12の凹凸構造側の面に沿うように形成された反射膜13(光散乱層)と、反射膜13の表面を覆うように設けられた第2の透明層14と、第2の透明層14の表面に設けられた第2の透明フィルム15とを有する。
光散乱フィルム10Aにおいては、第1の透明フィルム11及び第2の透明フィルム15のいずれか一方を省略してもよい。
光散乱フィルム10Bは、第1の透明フィルム11と、第1の透明フィルム11の表面に設けられた、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層12と、第1の透明層12の凹凸構造側の面に沿うように形成された反射膜13(光散乱層)と、反射膜13の表面を覆うように設けられた密着層16と、密着層16の表面を覆うように設けられた第2の透明層14と、第2の透明層14の表面に設けられた第2の透明フィルム15とを有する。
光散乱フィルム10Bにおいては、第1の透明フィルム11及び第2の透明フィルム15のいずれか一方を省略してもよい。
光散乱フィルム10Cは、透明フィルム17と、透明フィルム17の表面に設けられた、透明樹脂18a及び透明樹脂18a内に分散された光散乱材料18bを含む光散乱層18とを有する。
透明フィルム17がなくても光散乱層18がその形状を保つことができる場合は、透明フィルム17を省略してもよい。
密着層16の材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、PVB、EVAが挙げられる。
光吸収材料としては、例えば、カーボン(カーボンブラック、チタンブラック、ナノダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等)、黒色シリカ、銀が最も多い金属元素である微粒子材料、有機染料が挙げられる。
本発明の車両用合わせガラスに設けられた光散乱層の幅(車両用合わせガラスの1辺の長さ方向に直交する方向の幅)は、着色層の幅と同じであってもよく、着色層の幅より広い又は狭くてもよく、光散乱層に表示させる画像に応じて適宜設定すればいよい。
本発明の車両用合わせガラスについて、着色層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ着色層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*は20~70が好ましく、a*は-10~2.0が好ましく、b*は-20~30が好ましい。L*は20~30がより好ましく、a*は-10~5がより好ましく、b*は-10~20がより好ましい。L*、a*、b*が前記範囲内であれば、着色層による隠蔽性に優れる。また、光散乱層に結像する映像の視認性に優れる。
図4は、本発明の車両用合わせガラスの第1の実施形態を示す断面図であり、図5は、図4の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。
車両用合わせガラス20Aは、車内側となる第1の透明基材22と、車外側となる第2の透明基材24と、第1の透明基材22と第2の透明基材24との間に設けられた中間膜26と、車両用合わせガラス20Aの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられた光散乱フィルム10及び着色層28とを有する。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Aを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と完全に重なるように設けられている。
第2の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Bの周縁部の上下2辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Bを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と同じ幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
第3の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Cの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Cの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Cを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と同じ幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
第4の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Dの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Dの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Dを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28よりも狭い幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
第5の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Eの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Eの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Eを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28よりも広い幅で、下部が着色層28の中央部と重なり、上部が着色層28と重ならないように設けられている。
第6の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Fの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Fを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と同じ幅で着色層28と完全に重なるように設けられている。
第7の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Gの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Gを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28よりも狭い幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
第8の実施形態においては、中間膜26が、車内側から順に第1の中間膜26Aと第2の中間膜26Bとに分かれ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Hの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22と第1の中間膜26Bとの間に設けられ、着色層28が、車両用合わせガラス20Hの周縁部の少なくとも一部において第2の中間膜26Bと第2の透明基材24との間に設けられている。
第9の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Iの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22と中間膜26との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Iを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28の少なくとも一部と重なるように設けられている。
第10の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Jの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、着色層28の表面に、着色層28の少なくとも一部と重なるように設けられている。
第11の実施形態においては、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Kの周縁部の少なくとも一部において第2の透明基材24の表面に設けられ、着色層28が、光散乱フィルム10の表面に、光散乱フィルム10の少なくとも一部と重なるように設けられている。
第12の実施形態においては、光散乱フィルム10及び第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Lの周縁部の少なくとも一部において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Lの周縁部の少なくとも一部において第2の透明基材24の表面に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Lを車両に取り付けたときに第1の着色層28Aよりも車内側に位置し、かつ第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられている。
第13の実施形態においては、第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Mの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、第1の着色層28Aの表面に、第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Mの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22と中間膜26との間に設けられている。
第14の実施形態においては、第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Nの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、第1の着色層28Aの表面に、第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Nの周縁部の少なくとも一部において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。
第15の実施形態においては、第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Pの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、第1の着色層28Aの表面に、第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Pの周縁部の少なくとも一部において第2の透明基材24の表面に設けられている。
以上説明した本発明の車両用合わせガラスにあっては、光散乱層を有するため、映像光が光散乱層において散乱して結像し、映像として視認可能に表示される。
また、本発明の車両用合わせガラスにあっては、車外や車内の映像光以外の光の正反射が光散乱層で抑えられる。また、本発明の車両用合わせガラスに車外側から入射した光が光散乱層の背後にある着色層で遮蔽される。そのため、光散乱層に表示される映像の視認性がよい。
また、本発明の車両用合わせガラスにあっては、映像光が光散乱層において散乱して結像するため、映像を実像として合わせガラスの位置に表示できる。
また、本発明の車両用合わせガラスにあっては、従来のように映像の表示にホログラムを用いないため、映像に色むらが生じにくい。
本発明の映像表示システムは、本発明の車両用合わせガラスと、映像光を投射する投影機とを備える。
映像表示システム100は、自動車のボディ(図示略)にウィンドシールドとして固定された車両用合わせガラス20Aと、車内のダッシュボード(図示略)内に、光散乱フィルム10の光散乱層に映像光Yを投射可能に設置された投影機110とを備える。
投影機110は、車両用合わせガラス20Aに映像光Yを投射できるものであればよい。投影機110としては、例えば、液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタ、反射型液晶プロジェクタ、DMDプロジェクタ、スキャンタイプのプロジェクタ、超短焦点プロジェクタが挙げられる。
本発明のウィンドシールドは、本発明の車両用合わせガラスを有する。
本発明のウィンドシールドは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて各種センサ、マイク、スピーカー、アンテナ等を有していてもよい。
例1~3は製造例であり、例4~6は実施例である。
不規則な凹凸構造が表面に形成されたサンドブラストフィルムを用意した。
メチルエチルケトン30質量部、紫外線硬化性樹脂70質量部、光開始剤3質量部を混合し、塗布液-1を得た。
トルエン90質量部、シクロオレフィンポリマー10質量部を混合し、塗布液-2を得た。
メチルエチルケトン30質量部、紫外線硬化性樹脂70質量部、光開始剤3質量部を混合し、塗布液-3を得た。
ロールツーロールプロセスにて、光硬化性樹脂層に1000mJの紫外線を照射し、光硬化性樹脂層を硬化させて、不規則な凹凸構造が表面に転写された第1の透明層を形成した。サンドブラストフィルムを第1の透明層の表面から剥離した。凹凸構造の算術平均粗さRaは約0.2μmであり、PV値の最大値は1.8μmであった。
ロールツーロールプロセスにて、ダイコート法によって反射膜の表面に塗布液-2を塗布し、90℃にて4分間乾燥して厚さ5μmの密着層を形成した。
ロールツーロールプロセスにて、光硬化性樹脂層に1000mJの紫外線を照射し、光硬化性樹脂層を硬化させて、第2の透明層を形成した。PETフィルム-2を第2の透明層から剥離し、透明樹脂に光散乱材料が分散された厚さ160μmの光散乱フィルム-1を得た。
PVB粉末100質量部と、酸化ジルコニウム粉末(平均径:11nm)0.3質量部とを、均一に混合した。混合した粉末を、Tダイを備えた二軸混練押出機に投入し、180℃で押し出して、厚さ100μmの光散乱フィルム-2を得た。
エタノール100質量部、PVB粉末10質量部、酸化チタン粒子0.1質量部、カーボンブラック0.1質量部を混合し、塗布液を得た。
ロールツーロールプロセスにて、ダイコート法によってPETフィルム(幅1200mm、厚さ100μm)の表面に塗布液を塗布し、乾燥して、透明樹脂に光散乱材料が分散された厚さ5μmの光散乱層を形成し、厚さ105μmの光散乱フィルム-3を得た。
ガラスの周縁部に額縁状の黒セラミックス層が製膜された自動車のフロント用のガラス-1(ソーダライムガラス)を用意した。黒セラミックス層を測色したところ、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*は21.9、a*は0.5、b*は-0.9であった。
ガラスの周縁部に黒セラミックス層が製膜されていない自動車のフロント用のガラス-2(ソーダライムガラス)を用意した。
積層体を真空バッグに入れ、真空引きしながら熱風炉内で100℃、0.015MPa[abs]で30分間加熱して予備接着した。予備接着された積層体をオートクレーブに移し、130℃、1.0MPa[abs]で60分間加熱して本接着し、車両用合わせガラス-1を得た。
車両用合わせガラス-1について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は20%であった。
ガラスの周縁部の下辺に帯状の黒セラミックス層が製膜された自動車のフロント用のガラス-3(ソーダライムガラス)を用意した。黒セラミックス層を測色したところ、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*は25.4、a*は-0.2、b*は-1.1であった。
得られた車両用合わせガラス-2に斜め下からプロジェクタの映像を投影したところ、光散乱フィルム-2の光散乱層に表示された映像は、色むらがなく、再現性が良好であり、正反射によるノイズがなかった。また、周囲が明るい日中でも視認性が良好であった。
車両用合わせガラス-2について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は12%であった。
ガラスの周縁部の下辺に帯状の黒セラミックス層が製膜された自動車のフロント用のガラス-4(ソーダライムガラス)を用意した。黒セラミックス層を測色したところ、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*は21.7、a*は0.6、b*は-0.7であった。
得られた車両用合わせガラス-3に斜め下からプロジェクタの映像を投影したところ、光散乱フィルム-3の光散乱層に表示された映像は、色むらがなく、再現性が良好であり、正反射によるノイズがなかった。また、周囲が明るい日中でも視認性が良好であった。
車両用合わせガラス-3について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は8%であった。
Claims (8)
- 車両に取り付けられる合わせガラスであり、
前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた着色層と、
前記着色層よりも車内側に位置するように、前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた光散乱層とを有し、
前記着色層は、黒セラミックス層であり、
前記光散乱層は、透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜からなる光散乱層又は透明材料内に光散乱材料が分散された光散乱層であり、
前記合わせガラスの正面から見て前記着色層の少なくとも一部と前記光散乱層の少なくとも一部とが重なっている、車両用合わせガラス。 - 前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*が20~70であり、a*が-10~2.0であり、b*が-20~30である、請求項1に記載の車両用合わせガラス。
- 前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率が、1~80%である、請求項1又は2に記載の車両用合わせガラス。
- 前記光散乱層が、透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜である、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用合わせガラス。
- 前記反射膜が、表面に凹凸構造を有する透明層の表面に沿うように形成され、前記透明層の表面の凹凸構造の算術平均粗さRaが0.01~20μmであり、前記透明層の表面の凹凸構造のPV値の最大値が50μm以下である、請求項4に記載の車両用合わせガラス。
- 前記車両用合わせガラスは、車内側となる第1の透明基材と、車外側となる第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材との間に設けられた中間膜とを有し、
前記着色層が前記中間膜と前記第2の透明基材との間に設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用合わせガラス。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用合わせガラスと、映像光を投射する投影機とを備えた、映像表示システム。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用合わせガラスを有する、ウィンドシールド。
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