JP7209461B2 - 車両用合わせガラス、映像表示システム及びウィンドシールド - Google Patents

車両用合わせガラス、映像表示システム及びウィンドシールド Download PDF

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Description

本発明は、車両用合わせガラス、映像表示システム及びウィンドシールドに関する。
自動車のウィンドシールドは、接着剤によって自動車のボディに固定されている。ウィンドシールドの周縁部には、太陽光による接着剤の劣化防止、はみ出した接着剤の隠蔽、意匠性の向上等を目的に、黒セラミックス等からなる着色層が設けられている。
ウィンドシールドの周縁部の着色層を利用して、投影機から投射された映像光を着色層で正反射させて運転者等に知覚させることが提案されている(特許文献1)。
また、ウィンドシールドの周縁部の着色層の車内側にホログラムを配置し、投影機から投射された映像光をホログラムで正反射させて運転者等に知覚させることが提案されている(特許文献2)。
実開平4-46926号公報 特開平6-279071号公報
しかし、着色層やホログラムは、映像光だけではなく、車外や車内の映像光以外の光も正反射して運転者等に知覚させてしまうため、映像の視認性が悪い。
また、映像光を着色層やホログラムで正反射させた場合、運転者等に知覚される映像は虚像であるため、映像が虚像位置(ウィンドシールドの向こう側)にあると運転者等に錯覚させてしまう。
また、映像光をホログラムで正反射させた場合、映像に色むらが生じることがある。
本発明は、合わせガラスに表示される映像の視認性がよく、映像を実像として合わせガラスの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい車両用合わせガラス、映像表示システム及びウィンドシールドを提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>車両に取り付けられる合わせガラスであり、前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた着色層と、前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた光散乱層とを有し、前記合わせガラスの正面から見て前記着色層の少なくとも一部と前記光散乱層の少なくとも一部とが重なっている、車両用合わせガラス。
<2>前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*が20~70であり、a*が-10~2.0であり、b*が-20~30である、前記<1>の車両用合わせガラス。
<3>前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率が、1~80%である、前記<1>又は<2>の車両用合わせガラス。
<4>前記着色層が、黒セラミックス層である、前記<1>~<3>のいずれかの車両用合わせガラス。
<5>前記着色層が、着色樹脂層である、前記<1>~<3>のいずれかの車両用合わせガラス。
<6>前記光散乱層が、透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜である、前記<1>~<5>のいずれかの車両用合わせガラス。
<7>前記反射膜が、表面に凹凸構造を有する透明層の表面に沿うように形成され、前記透明層の表面の凹凸構造の算術平均粗さRaが0.01~20μmであり、前記透明層の表面の凹凸構造のPV値の最大値が50μm以下である、前記<6>の車両用合わせガラス。
<8>前記光散乱層が、透明材料内に光散乱材料が分散されたものである、前記<1>~<5>のいずれかの車両用合わせガラス。
<9>前記<1>~<8>のいずれかの車両用合わせガラスと、映像光を投射する投影機とを備えた、映像表示システム。
<10>前記<1>~<8>のいずれかの車両用合わせガラスを有する、ウィンドシールド。
本発明の車両用合わせガラスは、合わせガラスに表示される映像の視認性がよく、映像を実像として合わせガラスの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
本発明の映像表示システムは、合わせガラスに表示される映像の視認性がよく、映像を実像として合わせガラスの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
本発明のウィンドシールドは、ウィンドシールドに表示される映像の視認性がよく、映像を実像としてウィンドシールドの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
光散乱フィルムの一例を示す断面図である。 光散乱フィルムの他の例を示す断面図である。 光散乱フィルムの他の例を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第1の実施形態を示す断面図である。 図4の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第2の実施形態を示す正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第3の実施形態を示す断面図である。 図7の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第4の実施形態を示す正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第5の実施形態を示す正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第6の実施形態を示す断面図である。 図11の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第7の実施形態を示す正面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第8の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第9の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第10の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第11の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第12の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第13の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第14の実施形態を示す断面図である。 本発明の車両用合わせガラスの第15の実施形態を示す断面図である。 本発明の映像表示システムの一例を示す概略構成図である。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
CIE 1976 L*a*b*色空間のL*、a*、b*は、JIS Z 8781-4:2013(対応国際規格ISO 11664-4:2008)に記載された方法によって求める。
「全光線反射率」は、合わせガラスの第1の表面側から入射角0゜で入射した入射光に対する、第1の表面側に反射した全反射光の割合(百分率)を意味する。全光線反射率を測定する際には、測定対象の第2の表面側から合わせガラスに光が入射しないように第2の表面を暗幕等で覆う。
「全光線透過率」は、合わせガラスの第1の表面側から入射角0゜で入射した入射光に対する、第2の表面側に透過した全透過光の割合(百分率)を意味する。すなわち、JIS K 7361:1997(対応国際規格ISO 13468-1:1996)に記載された方法によって測定される通常の全光線透過率である。
全光線反射率及び全光線透過率は、JIS Z 8781-2:2012(対応国際規格ISO 11664-2:2007)に準拠したCIE標準イルミナントD65を用いて25℃で測定したときの値である。
「凹凸構造」とは、複数の凸部、複数の凹部、又は複数の凸部及び凹部からなる凹凸形状を意味する。
「不規則な凹凸構造」とは、凸部又は凹部が周期的に出現せず、かつ凸部又は凹部の大きさが不揃いである凹凸構造を意味する。
「算術平均粗さ(Ra)」は、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づき測定される算術平均粗さである。粗さ曲線用の基準長さlr(カットオフ値λc)は0.8mmとする。
「PV値の最大値」は、レーザー顕微鏡又は触針式表面粗さ測定機等によって測定される、凹凸構造における各凹凸の最も高い点(Peak)と最も低い点(Valley)との差(PV値)のうちの最大値を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
図1~図22における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
<車両用合わせガラス>
本発明の車両用合わせガラスは、合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた着色層と、合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた光散乱層とを有する。本発明の車両用合わせガラスにおいては、合わせガラスの正面から見て着色層の少なくとも一部と光散乱層の少なくとも一部とが重なっている。
合わせガラスは、通常、2枚の透明基材と、2枚の透明基材の間に設けられた中間膜とを有する。2枚の透明基材は、中間膜によって接着されている。
本発明の車両用合わせガラスは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の層、他の部材を有していてもよい。
(透明基材)
透明基材の材料としては、例えば、ガラス、透明樹脂が挙げられる。各透明基材の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
透明基材を構成するガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。ガラスからなる透明基材には、耐久性を向上させるために、化学強化、物理強化、ハードコーティング等を施してもよい。
透明基材を構成する透明樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも記す。)、ポリエチレンナフタレート等)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート、フッ素樹脂(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等)が挙げられ、耐候性及び透明性の点から、ポリカーボネート、ポリエステル、シクロオレフィンポリマーが好ましい。
透明基材の厚さは、基材としての耐久性が保たれる厚さであればよく、0.5~10mmが好ましく、1~5mmがより好ましい。
(中間膜)
中間膜の樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも記す。)、シクロオレフィン、アイオノマー、エチレン-アクリル共重合体、ポリウレタン、硫黄含有ポリウレタン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、PET等の熱可塑性樹脂が挙げられ、ポリビニルアセタール、EVA、シクロオレフィン、アイオノマーが好ましい。中間膜の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化したものである。ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール(以下、「PVB」とも記す。)が好ましい。
ポリビニルアセタールのアセタール化度は、40~85モル%が好ましく、60~75モル%がより好ましい。ポリビニルアセタールの水酸基量は、15~35モル%が好ましい。アセタール化度及び水酸基量は、JIS K 6728:1977「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
中間膜の厚さは、接着層としての機能が保たれる厚さであればよく、0.01~1.5mmが好ましく、0.05~1mmがより好ましい。
(着色層)
着色層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の少なくとも一部において、合わせガラスの層間又は透明基材の表面に設けられる。着色層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の4辺全部に設けてもよく、周縁部の一部に設けてもよい。着色層は、2層以上設けてもよい。
着色層は、本発明の車両用合わせガラスを車両に取り付けたときに光散乱層よりも車外側に位置するように設けられる。着色層は、光散乱層に隣接していてもよく、光散乱層から離間していてもよい。着色層は、本発明の車両用合わせガラスの正面から見たときに、全体が光散乱層と重なっていてもよく、一部が光散乱層と重なっていてもよい。
着色層は、層全体が連続した一体膜として構成されてもよく、微細なドットの集合体であるドットパターン等によって構成されてもよい。
着色層としては、隠蔽性及び耐光性に優れる点から、黒セラミックス層が好ましい。
着色層としては、導入の容易さの点から、着色樹脂層が好ましい。
黒セラミックス層としては、例えば、耐熱性黒色顔料、低融点ガラス粉末、樹脂及び溶剤を含む黒セラミックスペーストを印刷等によって透明基材の周縁部に塗布し、焼き付けて形成された層が挙げられる。
着色樹脂層としては、例えば、着色顔料を含む樹脂フィルムからなる層、中間膜の周縁部を着色して形成された層が挙げられる。
着色層の色は、隠蔽性に優れる点及び光散乱層に結像する映像の視認性に優れる点から、黒又は暗色が好ましく、本発明の車両用合わせガラスとしたときに、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*、a*、b*が後述する範囲となる色が特に好ましい。
着色層の厚さは、黒セラミックス層の場合、8~20μmが好ましく、10~15μmがより好ましい。着色樹脂層の場合、5~800μmが好ましく、10~400μmがより好ましい。
着色層の幅(車両用合わせガラスの1辺の長さ方向に直交する方向の幅)は、隠蔽が必要とされる幅であり、各辺で同じ幅である必要はない。また、ある1辺において端から端まで同じ幅である必要もない。着色層の幅は、下辺においてワイパー等の収納部を隠蔽するために他の3辺よりも幅を広く設定してもよく、上辺において各種センサの取付部分を隠蔽するために取付部分及びその近傍の幅を広く、他の部分の幅を狭く設定してもよい。着色層の幅は、5~300mmが好ましく、10~200mmがより好ましい。
(光散乱層)
光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の少なくとも一部において、合わせガラスの層間又は透明基材の表面に設けられる。光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスの周縁部の4辺全部に設けてもよく、周縁部の一部に設けてもよい。
光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスを車両に取り付けたときに着色層よりも車内側に位置するように設けられる。光散乱層は、着色層に隣接していてもよく、着色層から離間していてもよい。光散乱層は、本発明の車両用合わせガラスの正面から見たときに、全体が着色層と重なっていてもよく、一部が着色層と重なっていてもよい。
光散乱層は、光を反射するとともに散乱させるものであればよい。投影機から投射されて本発明の車両用合わせガラスに入射した映像光が、光散乱層において散乱して結像し、投影機と同じ側にいる運転者等に映像(実像)として視認可能に表示される。
光散乱層としては、例えば、下記のものが挙げられる。
・透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜からなる光散乱層a(国際公開第2015/186668号、特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報、国際公開第2017/057564等)。
・透明材料内に光散乱材料が分散された光散乱層b(国際公開第2015/186630号、特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報等)。
・透明材料層の一方の表面に並んだ複数の光反射粒子からなる光散乱層c(特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報等)。
光散乱層としては、光散乱層に結像する映像の視認性に優れる点から、光散乱層a又は光散乱層bが好ましい。
光散乱層は、例えば、光散乱層を有する光散乱フィルムを合わせガラスの層間に埋設する又は透明基材の表面に貼設することによって設けられる。光散乱フィルムとしては、例えば、国際公開第2015/186668号、特開2017-083743号公報、特開2017-102307号公報等に記載のものが挙げられる。
図1は、光散乱フィルムの一例を示す断面図である。
光散乱フィルム10Aは、第1の透明フィルム11と、第1の透明フィルム11の表面に設けられた、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層12と、第1の透明層12の凹凸構造側の面に沿うように形成された反射膜13(光散乱層)と、反射膜13の表面を覆うように設けられた第2の透明層14と、第2の透明層14の表面に設けられた第2の透明フィルム15とを有する。
光散乱フィルム10Aにおいては、第1の透明フィルム11及び第2の透明フィルム15のいずれか一方を省略してもよい。
図2は、光散乱フィルムの他の例を示す断面図である。
光散乱フィルム10Bは、第1の透明フィルム11と、第1の透明フィルム11の表面に設けられた、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層12と、第1の透明層12の凹凸構造側の面に沿うように形成された反射膜13(光散乱層)と、反射膜13の表面を覆うように設けられた密着層16と、密着層16の表面を覆うように設けられた第2の透明層14と、第2の透明層14の表面に設けられた第2の透明フィルム15とを有する。
光散乱フィルム10Bにおいては、第1の透明フィルム11及び第2の透明フィルム15のいずれか一方を省略してもよい。
図3は、光散乱フィルムの他の例を示す断面図である。
光散乱フィルム10Cは、透明フィルム17と、透明フィルム17の表面に設けられた、透明樹脂18a及び透明樹脂18a内に分散された光散乱材料18bを含む光散乱層18とを有する。
透明フィルム17がなくても光散乱層18がその形状を保つことができる場合は、透明フィルム17を省略してもよい。
第1の透明フィルム11、第2の透明フィルム15及び透明フィルム17としては、支持体としての機械的強度を有する点から、延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムがより好ましい。透明フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル(PET、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。
第1の透明層12及び第2の透明層14の材料としては、光硬化性樹脂の硬化物、熱硬化性樹脂の硬化物、熱可塑性樹脂が好ましい。各透明層の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよく、同じものが好ましい。また、各透明層の材料は、ゾルゲル法による無機・有機ハイブリッド材料や、ゾルゲル法により得られるシリカ材料でもよい。
第1の透明層12の表面に形成された不規則な凹凸構造の算術平均粗さRaは、0.01~20μmが好ましく、0.05~10μmがより好ましい。算術平均粗さRaが前記範囲内であれば、投影された映像の視野角が広く、正反射光を直接見ずに視認でき、凹凸構造による粒状感が抑えられる。
第1の透明層12の表面に形成された不規則な凹凸構造のPV値の最大値は、50μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。PV値の最大値が前記範囲の上限値以下であれば、凹凸構造を目視で認識しにくい。
反射膜13は、反射膜13に入射した光の少なくとも一部を反射するものであればよい。反射膜13は、反射膜13に入射した光の一部を反射し、一部を透過するものが好ましい。反射膜13が入射した光の一部を透過するものであれば、光散乱フィルム10A、10Bを通して背後の着色層又は車外の景色が透けて見え、光散乱フィルム10A、10Bの存在が目立たなくなる。反射膜13としては、例えば、金属膜、半導体膜、誘電体単層膜、誘電体多層膜、これらの組み合わせが挙げられる。
密着層16の材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、PVB、EVAが挙げられる。
透明樹脂18aとしては、例えば、光硬化性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)の硬化物、熱硬化性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)の硬化物、熱可塑性樹脂(ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリイミド、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、EVA、PVB等)、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
光散乱材料18bとしては、例えば、酸化チタン(屈折率:2.5~2.7)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.4)、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)等の高屈折率材料の微粒子;ポーラスシリカ(屈折率:1.3以下)、中空シリカ(屈折率:1.3以下)等の低屈折率材料の微粒子;透明樹脂18aとの相溶性の低い屈折率が異なる樹脂材料;結晶化した1μm以下の樹脂材料が挙げられる。光散乱材料18bとしては、高屈折率である点から、酸化チタン、酸化ジルコニウムが特に好ましい。
光散乱層18は、光散乱層18に入射した光の一部を反射し、一部を透過するものが好ましい。光散乱層18が入射した光の一部を透過するものであれば、光散乱フィルム10Cを通して背後の着色層又は車外の景色が透けて見え、光散乱フィルム10Cの存在が目立たなくなる。
光散乱層18は、光吸収材料を含んでいてもよい。
光吸収材料としては、例えば、カーボン(カーボンブラック、チタンブラック、ナノダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等)、黒色シリカ、銀が最も多い金属元素である微粒子材料、有機染料が挙げられる。
光散乱フィルム厚さは、5~200μmが好ましく、10~180μmがより好ましい。
本発明の車両用合わせガラスに設けられた光散乱層の幅(車両用合わせガラスの1辺の長さ方向に直交する方向の幅)は、着色層の幅と同じであってもよく、着色層の幅より広い又は狭くてもよく、光散乱層に表示させる画像に応じて適宜設定すればいよい。
(光学特性)
本発明の車両用合わせガラスについて、着色層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ着色層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*は20~70が好ましく、a*は-10~2.0が好ましく、b*は-20~30が好ましい。L*は20~30がより好ましく、a*は-10~5がより好ましく、b*は-10~20がより好ましい。L*、a*、b*が前記範囲内であれば、着色層による隠蔽性に優れる。また、光散乱層に結像する映像の視認性に優れる。
本発明の車両用合わせガラスについて、着色層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ着色層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は、1~80%が好ましく、5~60%がより好ましい。全光線反射率が前記範囲の下限値以上であれば、日中の映像投影時に、映像を視認するのに必要な明るさを確保できる。全光線反射率が前記範囲の上限値以下であれば、外光を散乱することによって発生する迷光により、運転時の妨げになることを防止できる。
本発明の車両用合わせガラスについて、着色層と光散乱層とが重なっている領域にて測定した全光線透過率は、0~10%が好ましく、0~5%がより好ましい。全光線反射率が前記範囲の上限値以下であれば、着色層側から光拡散層に入射する車外からの光が充分に遮蔽され、映像の視認性の低下が充分に抑えられる。
(車両用合わせガラスの実施形態例)
図4は、本発明の車両用合わせガラスの第1の実施形態を示す断面図であり、図5は、図4の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。
車両用合わせガラス20Aは、車内側となる第1の透明基材22と、車外側となる第2の透明基材24と、第1の透明基材22と第2の透明基材24との間に設けられた中間膜26と、車両用合わせガラス20Aの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられた光散乱フィルム10及び着色層28とを有する。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Aを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と完全に重なるように設けられている。
図6は、本発明の車両用合わせガラスの第2の実施形態を示す車内側から見た正面図である。
第2の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Bの周縁部の上下2辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Bを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と同じ幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
図7は、本発明の車両用合わせガラスの第3の実施形態を示す断面図であり、図8は、図7の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。
第3の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Cの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Cの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Cを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と同じ幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
図9は、本発明の車両用合わせガラスの第4の実施形態を示す車内側から見た正面図である。
第4の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Dの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Dの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Dを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28よりも狭い幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
図10は、本発明の車両用合わせガラスの第5の実施形態を示す車内側から見た正面図である。
第5の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Eの周縁部の4辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Eの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Eを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28よりも広い幅で、下部が着色層28の中央部と重なり、上部が着色層28と重ならないように設けられている。
図11は、本発明の車両用合わせガラスの第6の実施形態を示す断面図であり、図12は、図11の車両用合わせガラスを車内側から見た正面図である。
第6の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Fの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Fを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28と同じ幅で着色層28と完全に重なるように設けられている。
図13は、本発明の車両用合わせガラスの第7の実施形態を示す車内側から見た正面図である。
第7の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Gの周縁部の下辺において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Gを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28よりも狭い幅で着色層28の中央部と重なるように設けられている。
図14は、本発明の車両用合わせガラスの第8の実施形態を示す断面図である。
第8の実施形態においては、中間膜26が、車内側から順に第1の中間膜26Aと第2の中間膜26Bとに分かれ、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Hの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22と第1の中間膜26Bとの間に設けられ、着色層28が、車両用合わせガラス20Hの周縁部の少なくとも一部において第2の中間膜26Bと第2の透明基材24との間に設けられている。
図15は、本発明の車両用合わせガラスの第9の実施形態を示す断面図である。
第9の実施形態においては、光散乱フィルム10及び着色層28が、車両用合わせガラス20Iの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22と中間膜26との間に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Iを車両に取り付けたときに着色層28よりも車内側に位置し、かつ着色層28の少なくとも一部と重なるように設けられている。
図16は、本発明の車両用合わせガラスの第10の実施形態を示す断面図である。
第10の実施形態においては、着色層28が、車両用合わせガラス20Jの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、着色層28の表面に、着色層28の少なくとも一部と重なるように設けられている。
図17は、本発明の車両用合わせガラスの第11の実施形態を示す断面図である。
第11の実施形態においては、光散乱フィルム10が、車両用合わせガラス20Kの周縁部の少なくとも一部において第2の透明基材24の表面に設けられ、着色層28が、光散乱フィルム10の表面に、光散乱フィルム10の少なくとも一部と重なるように設けられている。
図18は、本発明の車両用合わせガラスの第12の実施形態を示す断面図である。
第12の実施形態においては、光散乱フィルム10及び第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Lの周縁部の少なくとも一部において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Lの周縁部の少なくとも一部において第2の透明基材24の表面に設けられている。光散乱フィルム10は、車両用合わせガラス20Lを車両に取り付けたときに第1の着色層28Aよりも車内側に位置し、かつ第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられている。
図19は、本発明の車両用合わせガラスの第13の実施形態を示す断面図である。
第13の実施形態においては、第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Mの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、第1の着色層28Aの表面に、第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Mの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22と中間膜26との間に設けられている。
図20は、本発明の車両用合わせガラスの第14の実施形態を示す断面図である。
第14の実施形態においては、第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Nの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、第1の着色層28Aの表面に、第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Nの周縁部の少なくとも一部において中間膜26と第2の透明基材24との間に設けられている。
図21は、本発明の車両用合わせガラスの第15の実施形態を示す断面図である。
第15の実施形態においては、第1の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Pの周縁部の少なくとも一部において第1の透明基材22の表面に設けられ、光散乱フィルム10が、第1の着色層28Aの表面に、第1の着色層28Aの少なくとも一部と重なるように設けられ、第2の着色層28Aが、車両用合わせガラス20Pの周縁部の少なくとも一部において第2の透明基材24の表面に設けられている。
(作用機序)
以上説明した本発明の車両用合わせガラスにあっては、光散乱層を有するため、映像光が光散乱層において散乱して結像し、映像として視認可能に表示される。
また、本発明の車両用合わせガラスにあっては、車外や車内の映像光以外の光の正反射が光散乱層で抑えられる。また、本発明の車両用合わせガラスに車外側から入射した光が光散乱層の背後にある着色層で遮蔽される。そのため、光散乱層に表示される映像の視認性がよい。
また、本発明の車両用合わせガラスにあっては、映像光が光散乱層において散乱して結像するため、映像を実像として合わせガラスの位置に表示できる。
また、本発明の車両用合わせガラスにあっては、従来のように映像の表示にホログラムを用いないため、映像に色むらが生じにくい。
<映像表示システム>
本発明の映像表示システムは、本発明の車両用合わせガラスと、映像光を投射する投影機とを備える。
図22は、本発明の映像表示システムの一例を示す概略構成図である。
映像表示システム100は、自動車のボディ(図示略)にウィンドシールドとして固定された車両用合わせガラス20Aと、車内のダッシュボード(図示略)内に、光散乱フィルム10の光散乱層に映像光Yを投射可能に設置された投影機110とを備える。
映像表示システム100は、いわゆるヘッドアップディスプレイである。
投影機110は、車両用合わせガラス20Aに映像光Yを投射できるものであればよい。投影機110としては、例えば、液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタ、反射型液晶プロジェクタ、DMDプロジェクタ、スキャンタイプのプロジェクタ、超短焦点プロジェクタが挙げられる。
映像表示システム100においては、投影機110から投射され、車両用合わせガラス20Aの表面から入射した映像光Yが、光散乱フィルム10の光散乱層において散乱して結像し、投影機110と同じ側にいる運転者X等に映像として視認可能に表示される。
以上説明した本発明の映像表示システムにあっては、本発明の車両用合わせガラスを備えているため、合わせガラスに表示される映像の視認性がよく、映像を実像として合わせガラスの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
<ウィンドシールド>
本発明のウィンドシールドは、本発明の車両用合わせガラスを有する。
本発明のウィンドシールドは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて各種センサ、マイク、スピーカー、アンテナ等を有していてもよい。
以上説明した本発明のウィンドシールドにあっては、本発明の車両用合わせガラスを有するため、ウィンドシールドに表示される映像の視認性がよく、映像を実像としてウィンドシールドの位置に表示でき、映像に色むらが生じにくい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
例1~3は製造例であり、例4~6は実施例である。
(例1)
不規則な凹凸構造が表面に形成されたサンドブラストフィルムを用意した。
メチルエチルケトン30質量部、紫外線硬化性樹脂70質量部、光開始剤3質量部を混合し、塗布液-1を得た。
トルエン90質量部、シクロオレフィンポリマー10質量部を混合し、塗布液-2を得た。
メチルエチルケトン30質量部、紫外線硬化性樹脂70質量部、光開始剤3質量部を混合し、塗布液-3を得た。
ロールツーロールプロセスにて、ダイコート法によってPETフィルム-1(幅1500mm、厚さ75μm)の表面に塗布液-1を塗布し、90℃にて4分間乾燥して厚さ10μmの光硬化性樹脂層を形成した。サンドブラストフィルムを、凹凸構造が光硬化性樹脂層に接するように、光硬化性樹脂層の上に重ねた。
ロールツーロールプロセスにて、光硬化性樹脂層に1000mJの紫外線を照射し、光硬化性樹脂層を硬化させて、不規則な凹凸構造が表面に転写された第1の透明層を形成した。サンドブラストフィルムを第1の透明層の表面から剥離した。凹凸構造の算術平均粗さRaは約0.2μmであり、PV値の最大値は1.8μmであった。
第1の透明層の表面にアルミニウムを真空蒸着法によって物理蒸着し、金属薄膜からなる厚さ10nmの反射膜(光散乱層)を形成した。
ロールツーロールプロセスにて、ダイコート法によって反射膜の表面に塗布液-2を塗布し、90℃にて4分間乾燥して厚さ5μmの密着層を形成した。
ロールツーロールプロセスにて、ダイコート法によって密着層の表面に塗布液-3を塗布し、90℃にて4分間乾燥して厚さ10μmの光硬化性樹脂層を形成した。光硬化性樹脂層の上にPETフィルム-2(幅1500mm、厚さ75μm)を重ねた。
ロールツーロールプロセスにて、光硬化性樹脂層に1000mJの紫外線を照射し、光硬化性樹脂層を硬化させて、第2の透明層を形成した。PETフィルム-2を第2の透明層から剥離し、透明樹脂に光散乱材料が分散された厚さ160μmの光散乱フィルム-1を得た。
(例2)
PVB粉末100質量部と、酸化ジルコニウム粉末(平均径:11nm)0.3質量部とを、均一に混合した。混合した粉末を、Tダイを備えた二軸混練押出機に投入し、180℃で押し出して、厚さ100μmの光散乱フィルム-2を得た。
(例3)
エタノール100質量部、PVB粉末10質量部、酸化チタン粒子0.1質量部、カーボンブラック0.1質量部を混合し、塗布液を得た。
ロールツーロールプロセスにて、ダイコート法によってPETフィルム(幅1200mm、厚さ100μm)の表面に塗布液を塗布し、乾燥して、透明樹脂に光散乱材料が分散された厚さ5μmの光散乱層を形成し、厚さ105μmの光散乱フィルム-3を得た。
(例4)
ガラスの周縁部に額縁状の黒セラミックス層が製膜された自動車のフロント用のガラス-1(ソーダライムガラス)を用意した。黒セラミックス層を測色したところ、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*は21.9、a*は0.5、b*は-0.9であった。
ガラスの周縁部に黒セラミックス層が製膜されていない自動車のフロント用のガラス-2(ソーダライムガラス)を用意した。
例1で得た光散乱フィルム-1を黒セラミックス層と同じ形状になるよう切り出した。図4及び図5に示すように、ガラス-1の黒セラミックス層に重なるように光散乱フィルム-1を配置し、ついで合わせガラス用中間膜、ガラス-2を重ね、はみ出した中間膜と光散乱フィルム-1をカットし、積層体を得た。
積層体を真空バッグに入れ、真空引きしながら熱風炉内で100℃、0.015MPa[abs]で30分間加熱して予備接着した。予備接着された積層体をオートクレーブに移し、130℃、1.0MPa[abs]で60分間加熱して本接着し、車両用合わせガラス-1を得た。
得られた車両用合わせガラス-1に斜め下からプロジェクタの映像を投影したところ、光散乱フィルム-1の光散乱層に表示された映像は、色むらがなく、再現性が良好であり、正反射によるノイズがなかった。また、周囲が明るい日中でも視認性は良好であった。
車両用合わせガラス-1について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*は55、a*は-1、b*は5であった。
車両用合わせガラス-1について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は20%であった。
(例5)
ガラスの周縁部の下辺に帯状の黒セラミックス層が製膜された自動車のフロント用のガラス-3(ソーダライムガラス)を用意した。黒セラミックス層を測色したところ、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*は25.4、a*は-0.2、b*は-1.1であった。
ガラス-1の代わりにガラス-3を用い、光散乱フィルム-1の代わりに光散乱フィルム-2を用い、図11及び図12に示すように光散乱フィルム-2の形状及び配置を変更した以外は、例4と同様にして車両用の合わせガラス-2を得た。
得られた車両用合わせガラス-2に斜め下からプロジェクタの映像を投影したところ、光散乱フィルム-2の光散乱層に表示された映像は、色むらがなく、再現性が良好であり、正反射によるノイズがなかった。また、周囲が明るい日中でも視認性が良好であった。
車両用合わせガラス-2について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*は43、a*は-2、b*は-1であった。
車両用合わせガラス-2について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は12%であった。
(例6)
ガラスの周縁部の下辺に帯状の黒セラミックス層が製膜された自動車のフロント用のガラス-4(ソーダライムガラス)を用意した。黒セラミックス層を測色したところ、CIE 1976 L*a*b*色空間のL*は21.7、a*は0.6、b*は-0.7であった。
ガラス-3の代わりにガラス-4を用い、光散乱フィルム-2の代わりに光散乱フィルム-3を用い、図13に示すように光散乱フィルム-3の形状及び配置を変更した以外は、例5と同様にして車両用の合わせガラス-3を得た。
得られた車両用合わせガラス-3に斜め下からプロジェクタの映像を投影したところ、光散乱フィルム-3の光散乱層に表示された映像は、色むらがなく、再現性が良好であり、正反射によるノイズがなかった。また、周囲が明るい日中でも視認性が良好であった。
車両用合わせガラス-3について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*は34、a*は-1、b*は-2であった。
車両用合わせガラス-3について、黒セラミックス層と光散乱層とが重なっている領域で、かつ黒セラミックス層よりも光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率は8%であった。
本発明の車両用合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイを備えた自動車のウィンドシールド等として有用である。
10 光散乱フィルム、10A 光散乱フィルム、10B 光散乱フィルム、10C 光散乱フィルム、11 第1の透明フィルム、12 第1の透明層、13 反射膜(光散乱層)、14 第2の透明層、15 第2の透明フィルム、16 密着層、17 透明フィルム、18 光散乱層、18a 透明樹脂、18b 光散乱材料、20A 車両用合わせガラス、20B 車両用合わせガラス、20C 車両用合わせガラス、20D 車両用合わせガラス、20E 車両用合わせガラス、20F 車両用合わせガラス、20G 車両用合わせガラス、20H 車両用合わせガラス、20I 車両用合わせガラス、20J 車両用合わせガラス、20K 車両用合わせガラス、20L 車両用合わせガラス、20M 車両用合わせガラス、20N 車両用合わせガラス、20P 車両用合わせガラス、22 第1の透明基材、24 第2の透明基材、26 中間膜、26A 第1の中間膜、26B 第2の中間膜、28 着色層、28A 第1の着色層、28B 第2の着色層、100 映像表示システム、110 投影機、X 運転者、Y 映像光。

Claims (8)

  1. 車両に取り付けられる合わせガラスであり、
    前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた着色層と、
    前記着色層よりも車内側に位置するように、前記合わせガラスの周縁部の少なくとも一部に設けられた光散乱層とを有し、
    前記着色層は、黒セラミックス層であり、
    前記光散乱層は、透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜からなる光散乱層又は透明材料内に光散乱材料が分散された光散乱層であり、
    前記合わせガラスの正面から見て前記着色層の少なくとも一部と前記光散乱層の少なくとも一部とが重なっている、車両用合わせガラス。
  2. 前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測色して求めたCIE 1976 L*a*b*色空間のL*が20~70であり、a*が-10~2.0であり、b*が-20~30である、請求項1に記載の車両用合わせガラス。
  3. 前記合わせガラスについて、前記着色層と前記光散乱層とが重なっている領域で、かつ前記着色層よりも前記光散乱層が前に見える側の表面にて測定した全光線反射率が、1~80%である、請求項1又は2に記載の車両用合わせガラス。
  4. 前記光散乱層が、透明材料に埋設された凹凸構造の反射膜である、請求項1~のいずれか一項に記載の車両用合わせガラス。
  5. 前記反射膜が、表面に凹凸構造を有する透明層の表面に沿うように形成され、前記透明層の表面の凹凸構造の算術平均粗さRaが0.01~20μmであり、前記透明層の表面の凹凸構造のPV値の最大値が50μm以下である、請求項に記載の車両用合わせガラス。
  6. 前記車両用合わせガラスは、車内側となる第1の透明基材と、車外側となる第2の透明基材と、前記第1の透明基材と前記第2の透明基材との間に設けられた中間膜とを有し、
    前記着色層が前記中間膜と前記第2の透明基材との間に設けられている、請求項1~のいずれか一項に記載の車両用合わせガラス。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の車両用合わせガラスと、映像光を投射する投影機とを備えた、映像表示システム。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の車両用合わせガラスを有する、ウィンドシールド。
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