JPH0891094A

JPH0891094A - 乗り物用表示システム

Info

Publication number: JPH0891094A
Application number: JP6229505A
Authority: JP
Inventors: Koichi Murata; 浩一村田; Yoshinobu Takano; 芳伸高野
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1994-09-26
Filing date: 1994-09-26
Publication date: 1996-04-09

Abstract

(57)【要約】【目的】動歪みのない表示システムを得る。【構成】光源から発した光が表示体を通過して表示すべ
き情報を光として発する表示体２と、レンズなどの結像
光学部材３とからなり、車両の風防ガラス４の下方に備
えられている発光表示手段から発せられた光の表示像
が、風防ガラス４面上に結像して、風防ガラス４面上に
結像した情報を含む光の実像を観測者５に視認させる表
示システム。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、運転情報を運転者に視
認させる表示システムに関するものであり、特に車両、
船舶、航空機など窓ガラスに、速度等の運転者に必要な
情報を投影する表示システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】車両内の運転手等に情報表示する方法と
して、ヘッドアップディスプレイ（以下ＨＵＤとする）
が最近用いられるようになっている。これは、液晶表示
装置等の発光表示手段から投射された光学的情報を、風
防ガラスに備えられているハーフミラーやホログラム等
からなるコンバイナーで反射させ、表示虚像を運転者に
視認させるものである。このＨＵＤによれば、運転者が
運転状態からほとんど視線を動かすことなく情報を読み
取ることができる。

【０００３】特に、コンバイナーとしてホログラムを用
いたものは、運転者に向かって光学的情報を回折させて
任意の位置に結像することが可能であり、また、前景輝
度を損なわずに高輝度の表示虚像が得られるという特徴
があるため、ＨＵＤのコンバイナーとしては有効的であ
る。この一例を図３に示す。これは、表示素子２から発
した光をホログラム１０で回折させ、遠方の表示虚像１
１を観測するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法では、運転者（観測者）が観察するのは虚像であ
るため、目の位置を動かすことにより、表示虚像の位置
が変化し、しかも像の歪み方も変化することになる。そ
の結果、運転中に表示虚像形状が様々に変形して見える
という問題が生じる。このように、運転中に観測される
虚像の歪みの変化（動歪み）は、表示素子像と表示虚像
の大きさの比（倍率）を大きくするほど大きくなり、観
測者に不快感を与えるだけではなく、表示の視認性を著
しく低下させ、安全上の問題も大きい。

【０００５】本発明の目的は、従来技術が有していた前
述のような欠点を解決することにあり、従来知られてい
なかった表示システムを新規に提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題に
鑑みてなされたものであり、発光表示手段から情報をを
含む光を窓ガラスに向けて発し、前記光の表示像を観測
者に視認させる乗り物用表示システムにおいて、前記光
の表示像は、窓ガラス面上に結像していることを特徴と
する乗り物用表示システムを提供するものである。

【０００７】以下に、図面に基づいて本発明を詳細に説
明する。ここで、本発明の車載用表示システムについて
説明する。図１は、本発明の表示システムの一例である
車両用表示システムの一例を示す概念図である。発光表
示手段は、車両の風防ガラス４の下方に備えられてい
て、光源から発した光が表示体を通過して表示すべき情
報を光として発する表示体２と、レンズなどの結像光学
部材３とからなる。光学部材３は、表示体２と風防ガラ
ス４との間に介在配置されていて、表示体２からの光の
表示像を風防ガラス４面の一部分（たとえば図中１）上
に結像させるものである。こうして、観測者５は、風防
ガラス４面上に結像した情報を含む光の実像を観測位置
において視認する。

【０００８】結像光学部材としては、例えば光の屈折を
用いるレンズ等や、反射を用いる凹面鏡等や、回折を用
いるホログラム等を用いることが可能である。いずれに
しても、風防ガラスに表示素子からの光の表示像を結像
させる、種々の光学部材が利用可能である。また、上記
の部材を組み合わせることも可能である。さらに、これ
ら光学部材は、表示体に一体化させることもできる。

【０００９】発光表示手段からの光の表示像が結像する
場所は、上記例のように風防ガラス面上の一部のほか、
例えば車両のインストロメントパネル等の窓ガラスであ
ってもよい。また、本発明における表示像の結像位置は
窓ガラス面上としているが、本発明の目的に鑑みて、厳
密に窓ガラス面上でなくても、窓ガラス面の多少手前や
後方にずれることも含めて、窓ガラス面上が結像位置で
あることとする。光の表示像を、窓ガラス（含む近傍）
に実像として結像させることが、本発明においては重要
なことだからである。

【００１０】ガラス板自身に表示像を結像させてもその
像を十分視認することができるが、より像の視認性を高
めるために、風防ガラス等の窓ガラスに、拡散板を配し
てもよい。この拡散板としては、表面に微小な凹凸を有
してある程度乱反射するスクリーンとなり得るすりガラ
スや合成樹脂フィルムあるいは板等が例示される。これ
らの拡散板は、窓ガラスの所定位置に配される。特に、
合わせガラスからなる風防ガラスに拡散板を配する場合
には、２枚のガラス板間にこれら拡散板を封入すること
もできる。また、窓ガラスでの拡散を実現するほかの手
段として、ガラス板に拡散効果を有する薄膜コーティン
グすることも可能である。

【００１１】窓ガラスが風防ガラスの場合、表示像が結
像する位置としては、図２中破線１２の外側のように風
防ガラスの周縁部が好ましい。すなわち、風防ガラスの
中央付近の一部に結像させ、拡散効果をガラスに付加す
ると前景の視認が困難になるため、風防ガラスの端面か
ら３０ｃｍ以内が好ましい。さらに、風防ガラスの下端
付近（たとえば車の中心位置や運転者の正面位置、さら
には運転者の右側（右ハンドル車の場合）などが好まし
い）に表示を行うことにより、車のボンネットの視認は
阻害するものの、実質的に運転に支障をきたすような前
景の視認阻害はなくなり好ましい。

【００１２】さらに、風防ガラス下端中央付近（たとえ
ば図２中６あるいは７の領域など）に結像することによ
り、視認速度が向上するのでより好ましい。

【００１３】上記のほか、風防ガラス面上の表示像を結
像させる位置としては、図２のように、風防ガラス４周
縁部に焼成セラミックカラー遮光層８が例示される。こ
のセラミックカラー遮光層は、黒色あるいは灰色等、車
両の窓ガラス周辺部の隠蔽等に通常用いられているもの
であってもよく、また、表示像を結像させようとする位
置に格別に設けるものであってもよい。

【００１４】また、結像位置に光の乱反射効果を付加す
るための前述のような処理を施してもよいし、遮光ペー
スト自体の散乱で視認することも可能である。これは、
透明なガラス部に結像させると、車外が明るいときに表
示像のコントラストが低下し視認が困難になることを防
止するためである。

【００１５】本発明における表示すべき情報とは、その
表示用途により適宜選択されるものであり、スピード
計、タコメーター、さらには種々の警告ランプや、ナビ
ゲーション情報等が例として挙げられる。観測者とは、
主に車両の運転者であるが、その他、助手席その他の同
乗者やこれらすべてのものを含めることができる。ここ
では、用途としてＨＵＤを例示したが、そのほかの表示
システムに適用できることも当然可能である。本発明に
おける表示システムが備えられる乗り物としては、運転
情報を視線を動かすことなく視認する必要がある自動車
が挙げられるが、ほかに、鉄道車両、船舶、航空機等が
挙げられる。

【００１６】本発明における発光表示手段は光を発して
表示する機能を持つものであり、液晶表示素子等のいわ
ゆる受光型表示素子に熱陰極管（ＨＣＴ）、蛍光表示管
（ＶＦ）、ハロゲンランプ、ＬＥＤなどからなる光源か
ら発した光を照射して情報を含む光を発する表示体と、
結像光学部材とからなるものであって、さらにこれらの
機能を併せ持つものであってもよい。

【００１７】この液晶表示素子としては、透過型のツイ
ストネマチック型液晶表示素子、スーパーツイストネマ
チック型液晶表示素子等が好ましく使用できる。それと
は別に、受光型表示素子を用いず、上記の光源自体をパ
ターン化して配列し、特定の情報を光として発生するも
のであってもよい。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。

【００１９】（実施例１）図１のように、合わせガラス
からなる風防ガラス４の下部１に乳白色の合成樹脂フィ
ルムを拡散板として風防ガラスに封入し、表示体２を約
３００ｍｍ離れた位置に配置した。表示体２から約５０
ｍｍの位置に焦点距離約４０ｍｍの凸レンズからなる光
学部材３を配した。

【００２０】これにより、風防ガラス拡散板上に表示像
が結像された。そのときの倍率は約５倍であった。観測
者たる運転者は、結像した表示像をはっきり読み取るこ
とができた。また、表示位置は風防ガラス下部であった
ため、運転に支障を来すような前景の視認阻害をおこす
こともなかった。

【００２１】（実施例２）図２のように、風防ガラス４
下端中央付近７の、焼成黒色セラミックカラー遮光層８
の内面に乳白色の合成樹脂フィルムを貼り、風防ガラス
に封入した。表示体２を約３００ｍｍ離れた位置に配置
した。表示体２から約５０ｍｍの位置に焦点距離約４０
ｍｍの凸レンズからなる光学部材３を配した。

【００２２】これにより、風防ガラス拡散板上に表示像
が結像された。そのときの倍率は約５倍であった。観測
者は、結像した表示像をはっきり読み取ることができ
た。また、表示位置は風防ガラス下部であったため、運
転に支障を来すような前景の視認阻害をおこすこともな
かった。また、前景が明るいときも黒色ペースト上に表
示像がはっきりと視認することができた。

【００２３】

【発明の効果】従来の虚像を用いた表示システムでは、
動歪みの低減は困難であった。本発明によれば、運転者
等の観測者が視認する情報を含む光の表示像は実像であ
るため、動歪みがまったく生じない表示システムを簡単
に得ることができる。

【００２４】また、本発明の表示像はダッシュボードに
あるインストルメンタルパネルに結像させてもよいが、
運転中に視線を動かすことが少なく、視認性に優れてい
る点で、風防ガラスに結像させることが好適である。特
に、風防ガラスに拡散効果を付与することにより、視認
できる範囲を広げ、しかも表示像のギラツキがなくな
り、視認性を向上させることができる。

【００２５】この場合、風防ガラスの周縁部のセラミッ
クカラー遮光層を有する部分に表示像を結像させること
により、前景が明るくても表示像のコントラストを低下
させることがなく視認性に優れている。

【００２６】また、風防ガラスの下端付近に表示を行う
ことにより、車のボンネットの視認は阻害するものの、
実質的に運転に支障を来すような前景の視認阻害はな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における車両用表示システムの一例を示
す概念図

【図２】本発明における表示像の表示位置を例示する風
防ガラスの正面図

【図３】従来の虚像を視認する表示システムの一例を示
す概念図

【符号の説明】

１：表示位置２：発光表示手段３：結像光学部材４：風防ガラス５：観測者６、７：表示位置の例８：遮光層１０：ホログラム１１：表示虚像

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】発光表示手段から情報を含む光を窓ガラス
に向けて発し、前記光の表示像を観測者に視認させる乗
り物用表示システムにおいて、前記光の表示像は、窓ガ
ラス面上に結像していることを特徴とする乗り物用表示
システム。
【請求項２】前記発光表示手段は、前記光の表示像を窓
ガラス面上に結像させる光学部材を少なくとも有するこ
とを特徴とする請求項１の乗り物用表示システム。
【請求項３】前記窓ガラス面の少なくとも一部には拡散
板が配されていて、該拡散板面上に前記表示像が結像す
ることを特徴とする請求項１または２の乗り物用表示シ
ステム。
【請求項４】前記窓ガラスの周縁部には遮光部分が形成
されていて、該遮光部分に前記表示像が結像することを
特徴とする請求項１または２の乗り物用表示システム。
【請求項５】前記遮光部分は、焼成されたセラミックカ
ラー遮光層であることを特徴とする請求項４の乗り物用
表示システム。
【請求項６】前記窓ガラスは風防ガラスであることを特
徴とする請求項１〜５の乗り物用表示システム。
【請求項７】前記表示像が結像する位置は、風防ガラス
の下縁であることを特徴とする請求項６の乗り物用表示
システム。