JP2023046253A - 映像表示システムおよび車両 - Google Patents

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Yoshinori Iguchi
駿介 定金
Shunsuke Sadakane
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Yusuke Nishizawa
壮志 木村
Soshi Kimura
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Abstract

【課題】透明スクリーンに結像された映像の内装における反射像を視認し難くできる映像表示システムを提供する。【解決手段】映像表示システムは、車両の内部に配置され、映像を投影する投影装置と、投影装置から投影された映像を車内側または車外側の観察者に映像として視認可能に表示する透明スクリーンとを備え、下記式1を満たす。(D+B)-(P+DOF/2)≧410 ・・・式1式1において、Dは投影装置と透明スクリーンとの間の距離[mm]、Bは透明スクリーンと車両の内装材との間の距離[mm]、Pは投影装置のピントがちょうど合う距離[mm]、DOFは投影装置の焦点深度[mm]を示す。【選択図】図8

Description

本発明は、透明スクリーンを含む映像表示システム、および映像表示システムが搭載された車両に関する。
バス、トラック、乗用車(例えば、タクシー、商用車、MaaS)等の車両における外面等を利用する広告方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献2には、車両の窓部を広告媒体にすることが記載されている。
特許文献2に記載された映像表示システムでは、車両の窓部(サイドウィンドウまたはリアウィンドウ)に透過型透明スクリーンが備えられている。そして、車内に設置されている投影装置から透過型透明スクリーンに広告としての映像が投影される。映像は、車外から視認可能である。
特許文献3に、反射型透明スクリーンの一例が記載されている。反射型透明スクリーンは、車両の窓部に設置可能である。反射型透明スクリーンが車両の窓部に設置される場合、例えば車内に設置されている投影装置から反射型透明スクリーンに映像が投影される。映像は、車内から視認可能である。
特開2006-293250号公報 特開2006-113230号公報 特開2020-129052号公報
図10は、車内における投影装置の設置状態および投影装置の使用方法の一例を示す説明図である。図10に示す例では、車両400の内部に投影装置の一例であるプロジェクタ410が設置されている。また、車両の窓部に、透明スクリーン420が設置されている。図10に例示されたような環境において、プロジェクタ410から透明スクリーン420に映像が投影されたときに、透明スクリーン420上に結像された映像の反射像が内装材(例えば、シートの表面。以下、内装という。)に映り込むという問題がある。内装に映り込んだ反射像が視認されることを煩わしいと感じる人は少なからず存在すると考えられる。なお、図10において、領域500は、反射像が映り込む領域を示す。
上記の問題は、透明スクリーン420が透過型透明スクリーンであっても反射型透明スクリーンであっても生じうる。
上記の問題は、透明スクリーン420と反射像が映り込む領域との距離を長くすることによって軽減されうる。しかし、野外や一般的な建物の内部とは異なり、車両の内部の空間サイズや車両内おける内装の配置の自由度は制限される。例えば、自動車の長さ、幅、高さは、それぞれ各国の法規や保安基準に適合する必要がある。その結果、例えば、透明スクリーン420と内装との間の距離を長くすることは困難である。したがって、透明スクリーン420と内装との間の距離を長くするといった対応以外の方法で映像の反射像を視認し難くするように課題を解決することが望まれる。
本発明は、透明スクリーンに結像された映像の内装における反射像を視認し難くできる映像表示システムの提供を目的とする。
本発明による映像表示システムは、車両の内部に配置され、映像を投影する投影装置と、投影装置から投影された映像を車内側または車外側の観察者に映像として視認可能に表示する透明スクリーンとを備え、下記式1を満たす。
(D+B)-(P+DOF/2)≧410 ・・・式1
式1において、Dは投影装置と透明スクリーンとの間の距離[mm]、Bは透明スクリーンと車両の内装材との間の距離[mm]、Pは投影装置のピントがちょうど合う距離[mm]、DOFは投影装置の焦点深度[mm]を示す。
本発明による車両は、上記の映像表示システムが搭載され、透明スクリーンは、窓部に設置されている。
本発明によれば、透明スクリーンに結像された映像の内装における反射像を視認し難くできる。
映像表示システムの一例を示す模式図である。 映像表示システムの他の例を示す模式図である。 反射型透明スクリーンの一例を示す断面図である。 反射型透明スクリーンの他の例を示す断面図である。 透過型透明スクリーンの一例を示す断面図である。 距離の関係等を説明するための模式図である。 照度の測定方法を説明するための説明図である。 実施例および比較例におけるパラメータの値等を示す説明図である。 映り込みの判定方法を説明するための説明図である。 車内における投影装置の設置状態および投影装置の使用方法の一例を示す説明図である。
図1は、映像表示システムの一例を示す模式図である。図1に示す映像表示システムにおける投影装置は、例えば、車両の内部に設置されるので、スクリーンに対して、乗員である映像の観察者700が存在する側を「車内」という。図1に示す映像表示システムは、投影装置の一例であるプロジェクタ410と、反射型透明スクリーン100とを含む。プロジェクタ410から投影された映像を車内側の観察者700に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーン100は、例えば、車両の窓部に設置される。なお、図1に示す映像表示システムにより観察者700に視認される映像は、実像である。反射型透明スクリーン100は、平面スクリーンまたは曲面スクリーンである。プロジェクタ410は、反射型透明スクリーン100に映像を投影する。観察者700は、反射型透明スクリーン100からの映像の反射光による映像を視認する。観察者700は、車両の乗員である。窓部としては、ウィンドシールド、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、ルーフ、クォーターウィンドウ等が挙げられる。
プロジェクタ410の投写方式としてDLP方式、透過型液晶方式、反射型液晶方式が例示される。輝度、解像度、コントラストをそれぞれ高める観点からDLP方式が好ましい。
図2は、映像表示システムの他の例を示す模式図である。図2に示す映像表示システムにおける投影装置は、例えば、車内に設置されるので、車両の外部に存在する映像の観察者710が存在する側を「車外」という。図2に示す映像表示システムは、投影装置の一例であるプロジェクタ410と、透過型透明スクリーン200とを含む。プロジェクタ410から投影された映像を車外側の観察者710に映像として視認可能に表示する透過型透明スクリーン200は、例えば、車両の窓部に設置される。透過型透明スクリーン200は、平面スクリーンまたは曲面スクリーンである。観察者710は、透過型透明スクリーン200からの映像の透過光による映像を視認する。
(反射型透明スクリーンの例)
図3は、本実施形態で使用可能な反射型透明スクリーンの一例を示す断面図である。図3に示す反射型透明スクリーン101は、図1に示された反射型透明スクリーン100の一例である。
反射型透明スクリーン101は、第1の透明基材11と第2の透明基材12との間に、反射型の画像表示層50、および画像表示層50を支持するための支持部材としての樹脂フィルム43が挟み込まれるように形成される。反射型の画像表示層50および樹脂フィルム43と第1の透明基材11および第2の透明基材12との間に、第1の中間膜21および第2の中間膜22が介在する。第1の中間膜21は、第1の透明基材11と画像表示層50とを接合する役割を果たす。第2の中間膜は、第2の透明基材12と樹脂フィルム43とを接合する役割を果たす。なお、第1の中間膜21および第2の中間膜22は、反射型透明スクリーン101の周縁部において、互いに接触していてもよい。つまり、反射型の画像表示層50は中間膜の内部に位置してもよい。図3に示す例では、支持部材としての樹脂フィルム43が1つ設けられているが、画像表示層50に対して、樹脂フィルム43の反対側に、もう1つの支持部材が設けられていてもよい。また、樹脂フィルム43は設けられなくてもよい。この場合、反射型の画像表示層50は、第1の中間膜21および第2の中間膜22と接する。
第1の透明基材11および第2の透明基材12は、複屈折がない透明基材が好ましい。第1の透明基材11および第2の透明基材12の厚さは、基材としての耐久性が保たれる厚さであればよい。第1の透明基材11と第2の透明基材12の材料として、例えば、ガラスや透明樹脂を使用できる。第1の透明基材11と第2の透明基材12の材料は、同じでもよく、異なってもよい。
第1の透明基材11および第2の透明基材12を構成するガラスとして、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス等を使用できる。ガラスからなる第1の透明基材11および第2の透明基材12は、耐久性を向上させるために、例えば、化学強化、物理強化、またはハードコーティングされてもよい。
第1の透明基材11および第2の透明基材12を構成する透明樹脂として、硬化性樹脂の硬化物や熱可塑性樹脂を使用できるが、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)、ポリエチレンナフタレート等)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー等を使用できる。
反射型透明スクリーン101が車両の窓部に設置されているときには、乗員が反射型透明スクリーン101に触れる可能性がある。また、窓部には昇降機構が設けられる場合がある。画像表示層50が第1の透明基材11と第2の透明基材12との間で保護されているので、このような場合でも高い耐久性を確保できる。
樹脂フィルム43の材料として、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂、およびポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂等を使用できる。樹脂フィルム43は、複屈折を発生しないことが好ましい。
第1の中間膜21および第2の中間膜22として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の樹脂が挙げられる。中間膜として用いる熱可塑性樹脂は、用途に応じて、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性および遮音性等の諸性能のバランスを考慮して選択される。上記諸性能のバランスを考慮すると、中間膜に用いる熱可塑性樹脂は、PVB、EVA、ポリウレタン樹脂が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。また、第1の中間膜21と第2の中間膜22の材料は、同じでもよく、異なってもよい。
画像表示層50は、凹凸層51と反射層52と被覆層53とを含む。
凹凸層51は、樹脂フィルム43の表面に形成される。凹凸層51は、透明性を有し、樹脂フィルム43の反対側の表面において不規則な凹凸を有する。凹凸層51として、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を使用できる。なお、樹脂フィルム43が第1の中間膜21とは反対側の表面において不規則な凹凸を有する場合、凹凸層51は必ずしも設けなくてよい。この場合、後述する反射層52は樹脂フィルム43と接する。
反射層52は、凹凸層51の表面の凹凸に沿って形成される。反射層52の材料として、光を反射する材料、例えば、アルミニウムや銀などの金属、金属酸化物、金属窒化物を使用できる。反射層52は、ハーフミラーとして機能する。すなわち、反射層52は、入射光の一部を拡散反射し、他の一部を透過できる。
被覆層53は、反射層52の表面の凹凸を埋める。被覆層53は、例えば、凹凸層51の材料と同じ材料で形成される。
(反射型透明スクリーンの例)
図4は、本実施形態で使用可能な反射型透明スクリーンの他の例を示す断面図である。図4に示す反射型透明スクリーン102は、図1に示された反射型透明スクリーン100の一例である。また、反射型透明スクリーン102は、図3に示された反射型透明スクリーン101に調光機能が付与された透明スクリーンに相当する。
反射型透明スクリーン102は、第1の透明基材11と第2の透明基材12との間に、反射型の画像表示層50および樹脂フィルム43と、調光フィルム80とが挟み込まれるように形成される。反射型透明スクリーン101と同様に、樹脂フィルム43と第1の透明基材11との間に、第1の中間膜21が介在する。画像表示層50と調光フィルム80との間に、第2の中間膜22が介在する。
可視光線透過率を制御可能な調光ガラスにおける調光層として、例えば、懸濁粒子デバイス(SPD)、高分子分散型液晶(PDLC)、高分子ネットワーク液晶(PNLC)、ゲストホスト液晶(GHLC)、エレクトロクロミック(EC)素子、フォトクロミック(PC)素子、エレクトロキネティック(EK)素子などが挙げられる。
図4に示す反射型透明スクリーン102では、ITO膜などの透明導電膜61,62で調光層70が挟み込まれた構造の調光フィルム80が用いられている。以下、SPD方式の調光層70を用いる例を示すが、これに限られない。SPDを用いる方式は、曲面形状への対応が容易である。また、車両は使用中に高温にさらされる可能性があるが、SPDを用いる方式は、高温に対する耐性が優れている。調光層70は、絶縁性を有する基材フィルム41,42で支持される。基材フィルム41,42は、例えば、PETフィルムである。第2の透明基材12と基材フィルム42との間には、第3の中間膜23が介在する。なお、反射型透明スクリーン102の周縁部において、第1の中間膜21、第2の中間膜22、第3の中間膜23は、互いに接触してもよい。つまり、反射型の画像表示層50及び調光フィルム80の少なくとも一方は、中間膜の内部に位置してもよい。また、第1の中間膜21、第2の中間膜22、第3の中間膜23の材料は、同じでもよく、異なってもよい。
調光層70の内部には、SPD粒子71が分散配置されている。換言すると、調光フィルム80において、SPD粒子71を含有するマトリックス樹脂からなる調光層70が、透明導電膜61,62がコーティングされた基材フィルム41,42で挟み込まれている。
透明導電膜61,62に電圧が印加されていないときには、SPD粒子71は配向しない。その結果、調光層70の可視光線透過率は低くなる。透明導電膜61,62に電圧が印加されると、SPD粒子71は配向する。その結果、調光層70の可視光線透過率が高くなり、透明性が高くなる。電圧値を変えることによって、調光層70の可視光線透過率を調整できる。
なお、例えば車両の窓に設置される反射型透明スクリーン101,102の光学特性として、可視光線透過率は、5%以上90%以下が好ましい。なお、反射型透明スクリーン101,102の可視光線透過率は、調光フィルム80の可視光線透過率が高い状態での値を指す。可視光線透過率がこの範囲内であれば、観察者700が車外の景色を十分視認可能である。可視光線透過率は10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。また、可視光線反射率は、5%以上70%以下が好ましい。可視光線反射率がこの範囲内であれば、観察者700がプロジェクタ410により反射型スクリーン100に投影された映像を十分視認可能である。
また、反射型透明スクリーン101,102において、車内面すなわち投影面(第1の透明基材11の表面)に、反射防止膜11Aを設けてもよい(図3および図4における破線の矩形を参照)。反射防止膜として、例えば、複数の誘電体膜を積層した多層膜、または、屈折率が漸次的に変化するモスアイ構造を使用できる。さらに、車外面(第2の透明基材12の表面)にも、反射防止膜を設けてもよい。
一般的な透明スクリーンの正反射率は8%程度であるが、反射防止膜により、例えば2%以上低下(つまり6%以下に)させられる。反射型透明スクリーン101,102の正反射率を低下させれば、反射像を視認しにくくできる。反射型透明スクリーン101,102の正反射率は、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。なお、透明スクリーン10の正反射率が8%超の場合、内装に映り込む反射像の輝度が高まり煩わしさが高まるおそれがある。なお、正反射率と後述する拡散反射率は、JIS Z 8722:2009「色の測定方法」の条件cに準拠した方法で測定でき、例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計「CM-5」により測定できる。
なお、図1に示された映像表示システムにおける反射型透明スクリーン100として使用可能な透明スクリーンは、図3に示された反射型透明スクリーン101や図4に示された反射型透明スクリーン102に限定されず、他の構造の反射型透明スクリーンを用いてもよい。
(透過型透明スクリーンの例)
図5は、本実施形態で使用可能な透過型透明スクリーンの一例を示す断面図である。図5に示す透過型透明スクリーン201は、図2に示された透過型透明スクリーン200の一例である。
透過型透明スクリーン201は、第1の透明基材11、第2の透明基材12、および光散乱シート(光散乱部)90を含む。第1の透明基材11と光散乱シート90とは第1の接合層44で接合される。第2の透明基材12と光散乱シート90とは第2の接合層45で接合される。
透過型透明スクリーン201が車両の窓部に設置されている場合、乗員が透過型透明スクリーン201に触れる可能性がある。また、車両の窓部に昇降機構が設けられる場合がある。これらの場合でも、光散乱シート90が第1の透明基材11と第2の透明基材12の間で保護されているので、高い耐久性を確保できる。
透過型透明スクリーン201は、車内に設置されたプロジェクタから投影された映像を車外の観察者に映像として視認可能に表示する。
光散乱シート90は、第1の透明フィルム(第1の透明層)94と、第2の透明フィルム(第2の透明層)95と、光散乱層91とを有する。光散乱層91は、第1の透明フィルム94と第2の透明フィルム95との間に設けられている。第1の透明フィルム94と、第2の透明フィルム95とは、光散乱層91を支持する支持部材の役割を果たす。光散乱層91は、一例として、透明樹脂92内に光散乱材料93および光吸収材料(符号なし)が分散された構造を有する。
第1の透明フィルム94および第2の透明フィルム95は、樹脂フィルムであってもよく、薄いガラスフィルムであってもよい。第1の透明フィルム94の材料と第2の透明フィルム95の材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1の透明フィルム94および第2の透明フィルム95を構成する透明樹脂として、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート等を使用できる。
光散乱層91における透明樹脂92として、光硬化性樹脂(光硬化性アクリル樹脂、光硬化性エポキシ樹脂等)の硬化物、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂等)の硬化物、熱可塑性樹脂(ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート等。そのほか、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン、アイオノマー樹脂、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(以下、EVA)、PVB、熱可塑性シリコーン等が挙げられる。)が用いられることが好ましい。
光散乱層91における光散乱材料93として、酸化チタン(屈折率:2.5~2.7)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.4)、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)、酸化亜鉛(屈折率:2.0)、硫酸バリウム(屈折率:1.64)、硫化亜鉛(屈折率:2.2)等の高屈折率材料の微粒子を使用できる。光散乱材料93は、バインダーとなる透明樹脂92と屈折率が異なっていることで光を散乱させる機能を持っている材料である。多くの樹脂材料は、1.45~1.65の屈折率を持つため、それらの樹脂材料から0.15以上屈折率が異なることが好ましい。光散乱材料93は、高屈折率である点から、酸化チタン、酸化ジルコニウムが特に好ましい。
光吸収材料として、無機の着色材料としてカーボン系の素材(カーボンブラック、ナノダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン等)、チタンブラック、黒色シリカ、および主として銀を含む微粒子材料(例えば銀の窒化物、硫化物および酸化物)等を使用できる。
光散乱層91の厚さは、1μm~200μmが好ましい。光散乱層91の厚さが1μm以上であれば、光散乱の効果が充分に発揮される。光散乱層91の厚さが200μm以下であれば、ロールツーロールプロセスで光散乱層91を形成しやすい。
なお、光散乱層91は、図5に示されたようなものに限定されない。
また、例えば車両の窓に設置される透過型透明スクリーン201の光学特性として、可視光線透過率は、5%以上90%以下が好ましい。可視光線透過率がこの範囲内であれば、観察者700が車外の景色を十分視認可能である。可視光線透過率は10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。
なお、図2に示された映像表示システムにおける透過型透明スクリーン200として使用可能な透明スクリーンは、図5に示された透過型透明スクリーン201に限定されず、他の構造の透過型透明スクリーンを用いてもよい。
(実施例に関する説明)
上述したように、プロジェクタ410から透明スクリーンに映像が投影されたときに、透明スクリーン上に結像された映像の反射像が内装に映り込むことがあるという問題がある。そのような問題は、透明スクリーンが反射型透明スクリーン100(図1参照)であっても透過型透明スクリーン200(図2参照)であっても生じうる。
透明スクリーンとプロジェクタ410との間の距離、プロジェクタ410と内装(透明スクリーン上に結像された映像の反射像が映り込む可能性がある内装)との間の距離、プロジェクタ410のピントが合う距離、およびプロジェクタ410の焦点深度の関係を適切に設定することによって、上記の問題(課題)が解決されることが見いだされた。
まず、上記の関係を説明する。図6は、上記の関係を説明するための模式図である。図6において、Dは、投影装置の一例であるプロジェクタ410と透明スクリーン(図6において、図示せず)との間の距離を示す。当該距離は、プロジェクタ410の投写レンズ(対物レンズ)の先端部と光軸とが交わる点と、透明スクリーンと光軸とが交わる点との間の距離で定義される。なお、図6には、投写レンズが、プロジェクタ410を代表して示されている。また、投写レンズの外にミラーが設置されている場合には、ミラーと光軸とが交わる点と、透明スクリーンと光軸とが交わる点との間の距離(単位:mm)で定義される。
Bは、透明スクリーンと内装との距離を示す。当該距離は、透明スクリーンとプロジェクタ410の光軸とが交わる点と、光軸が透明スクリーンで正反射した後に入射する内装における点との間の距離(単位:mm)で定義される。
Pは、プロジェクタ410とプロジェクタ410のピントがちょうど合う位置(いわゆるジャストピント位置)との間の距離(単位:mm)を示す。以下、単に、プロジェクタ410のピントがちょうど合う距離ともいう。なお、距離Pが不明である場合には、種々のタイプの装置に利用されるピント調節機能を利用して測定可能である。一例として、特開2003-5020号公報には、プロジェクタのピントが合う位置を定めるためのピント調節機能が記載されている。
DOFは、プロジェクタ410の焦点深度(単位:mm)示す。
下記の実施例および比較例からわかるように、式1が満たされる場合に、内装に映り込む像がぼけて、車両の乗員等の煩わしさが低減されることが確認された。式1の左辺の値は、内装に映り込む像のぼけ度合いと相関のある指標として使用できる。式1の左辺の値は、410以上が好ましく、425以上がより好ましく、500以上がさらに好ましく、700以上が一層好ましく、800以上が特に好ましく、1000以上が最も好ましい。式1の左辺の値の上限値は、例えば2000である。
(D+B)-(P+DOF/2)≧410 ・・・式1
以下、D,B,P,DOFを、パラメータともいう。
なお、DOFは、以下の式2のように算出される。式2において、NAは対物レンズの開口数(単位:mm)を表す。λは、投影光の波長(単位:mm)を示す。算出に際して、一般に、λ=0.000550mm(550nm)の光が用いられる。
DOF=λ/NA ・・・式2
また、Dは、映像視認性の点から下記式3を満たすことが望ましい。
(P-DOF/2)≦D≦(P+DOF/2) ・・・式3
下記の実施例および比較例において使用される他のパラメータを説明する。プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーンへの入射角は、映像が投影される車両の窓(透明スクリーン)が平面である場合には、平面の法線とプロジェクタ410からの投影光の光軸とがなす角である。車両の窓が曲面である場合には、曲面の接平面の法線とプロジェクタ410からの投影光の光軸とがなす角である。
下記の実施例および比較例において、照度は、図7に例示するように、プロジェクタ410からの光の光軸が透明スクリーン(車両400の窓)で正反射した後に入射する内装の位置に置かれた照度計600で測定された照度である。照度が測定されるときに、プロジェクタ410はオフ状態(映像を投影していない状態)である。そして、車内の照度が30luxである状態で、下記の実施例および比較例のパラメータの値を用いて内装への映り込みの評価を行った。
なお、照度が測定されるときに、透明スクリーンによる反射像が映り込む領域(図10における領域500を参照)よりも広い領域を、車内灯等が照らしてもよい。また、透明スクリーンによる反射像が映り込む領域を狭めるために、スローレシオが1以上のプロジェクタ410を用いてもよい。
以下、実施例を比較例とともに説明する。図8には、各実施例および比較例におけるパラメータの値等が示されている。
また、透明スクリーンとして、図3に示された反射型透明スクリーン101または図4に示された反射型透明スクリーン102を用いた。用いられた反射型透明スクリーン101,102は、以下のようなものである。
すなわち、第1の透明基材11および第2の透明基材12として、厚さ3mmのガラスが用いられている。画像表示層50における凹凸層51および被覆層53として、UV硬化樹脂であるアクリル樹脂が用いられている。また、反射層52の材料は、アルミニウムである。第1の中間膜21および第2の中間膜22として、厚さ15mil(約0.38mm)のPVBが用いられている。
下記の実施例および比較例において、「映り込みの判定」を以下のように実施した。図9は、映り込みの判定方法を説明するための説明図である。図9(A)に示すように、車両400の内部に設置されたプロジェクタ410から車両の窓における透明スクリーン10に向けて、視力0.1、0.2、0.3、0.4、0.5のそれぞれに対応するランドルト環(図9(B)参照)を順番に投影した。
観察者700が、視力0.1または0.2に対応したランドルト環(内装に映ったランドルト環)における切れ目を判別できなかった場合、「映り込みの判定」を良好(すなわち映り込みを視認し難い。)とした。観察者700が視力0.3または0.4に対応したランドルト環における切れ目を判別できなかった場合、「映り込みの判定」を普通(すなわち映り込みをやや視認し難い。)とした。観察者700が視力0.5に対応したランドルト環における切れ目を判別できた場合、「映り込みの判定」を不良(すなわち映り込みを視認しやすい。)とした。
(例1)D(プロジェクタ410と透明スクリーン10との間の距離)を814mm、B(透明スクリーンと内装との距離)を1778mm、P(プロジェクタ410のピントがちょうど合う距離)を820mm、DOF(プロジェクタ410の焦点深度)を722mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、1411である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を40°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例1では、図3に示された反射型透明スクリーン101を用いた。すなわち、透明スクリーン10として、調光機能を有していない透明スクリーンを用いた。また、反射防止膜11Aを有していない反射型透明スクリーン101を用いた。なお、拡散反射率が20%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は良好であった。
(例2)Dを424mm、Bを1285mm、Pを420mm、DOFを500mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、1039である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を63°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例2では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が20%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は良好であった。
(比較例1)Dを814mm、Bを1778mm、Pを820mm、DOFを2888mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、328である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を40°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
比較例1では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が20%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は不良であった。
(例3)Dを814mm、Bを1778mm、Pを820mm、DOFを722mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、1411である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を40°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例3では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が90%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は普通であった。なお、例1および例2と、例3とを比較すると、内装の拡散反射率が高い場合には、映り込みの判定の結果がやや悪くなる。しかし、映り込みの判定の結果は普通であることから、内装の拡散反射率が90%であっても、映り込みの判定の結果は不良にならないことが分かる。
(例4)Dを814mm、Bを1778mm、Pを820mm、DOFを2000mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、772である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を40°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例4では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が0.5%である内装(例えば、無反射シート)を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は良好であった。例4では、他の実施例に比べてDOFの値が比較的大きいが、拡散反射率が低い内装を用いることによって、映り込みの判定の結果が良好になっている。
(例5)Dを814mm、Bを1778mm、Pを820mm、DOFを722mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、1411である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を40°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例5では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有しているものを用いた。なお、拡散反射率が90%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は良好であった。例5で用いられたパラメータの値は例3で用いられたパラメータの値と同じである。例3の映り込みの判定の結果との比較から分かるように、反射防止膜によって透明スクリーン10の正反射率が低下した場合(例えば、正反射率を0.1%まで低下させた場合)には、映り込みの判定の結果がより良好になる。
(例6)Dを814mm、Bを1778mm、Pを820mm、DOFを722mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、1411である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を40°とした。プロジェクタ410の光束を300lmに設定した。
例6では、図4に示された反射型透明スクリーン102を用いた。すなわち、透明スクリーン10として、調光機能を有する透明スクリーンを用いた。また、反射防止膜11Aを有していない反射型透明スクリーン102を用いた。なお、拡散反射率が90%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は良好であった。すなわち、調光機能を有する透明スクリーンを用いる場合には、プロジェクタ410の光束が小さくても、映り込みの判定の結果は良好になる。つまり、プロジェクタ410の光束が小さくても、外光がカットされることによって内装に映り込んだ映像が視認し難くなるので、映り込みの判定の結果は良好になる。また、例6で用いられたパラメータの値は例3で用いられたパラメータの値と同じである。例3の映り込みの判定の結果との比較から分かるように、調光機能を有する透明スクリーンを用いることによって、内装の拡散反射率が高い場合でも、映り込みの判定の結果はより良好になる。
(比較例2)Dを1550mm、Bを400mm、Pを1550mm、DOFを1050mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、-125である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を28°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
比較例2では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が20%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は不良であった。
(例7)Dを1200mm、Bを1100mm、Pを1100mm、DOFを722mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、839である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を38°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例7では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が50%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は良好であった。
(例8)Dを1450mm、Bを600mm、Pを1480mm、DOFを200mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、470である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を28°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
例8では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が20%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は普通であった。
(比較例3)Dを1120mm、Bを480mm、Pを1120mm、DOFを150mmとした。この場合、上記の式1の左辺の値は、405である。また、プロジェクタ410からの投影光の透明スクリーン10への入射角を75°とした。プロジェクタ410の光束を3000lmに設定した。
比較例3では、図3に示された反射型透明スクリーン101であって反射防止膜11Aを有していないものを用いた。なお、拡散反射率が20%である内装を使用した。
図8に示すように、映り込みの判定の結果は不良であった。
式1の左辺の値が328である比較例1、-125である比較例2および405である比較例3では映り込みの判定の結果は不良であったことから、式1が成立する場合(式1の左辺が410mm程度以上の場合)には、好ましい結果が得られる。すなわち、透明スクリーン10に結像された映像の内装における反射像を視認し難くできる。また、例4における式1の左辺の値から、式1の左辺の値が700または800である場合に、好ましい結果を得ることができる。さらに、例1~例2、例4~例6における式1の左辺の値から、式1の左辺の値が1400または1500である場合に、好ましい結果を得ることができる。
また、透明スクリーン10が設置される車両の内部環境(サイズなど)および一般的なプロジェクタの仕様に鑑みると、式1の左辺の上限値(映り込みの判定の結果が不良にならない範囲の上限値)は、2000mm程度といえる。
以上のことから、図8に記載されているように、式1の左辺の値の好ましい範囲は、図8に示すように、410以上2000以下程度と判断される。
式1が成立している例2では、Dは424mmである。そして、例2では、好ましい結果を得ることができる。映り込みの判定の結果が良好または普通である例1、例3~例6では、Dは814mmである。映り込みの判定の結果が良好である例7では、Dは1200mmであり、結果が普通である例8ではDは1450mmである。それらのことを勘案すると、式1が満たされている場合に、Dの好ましい範囲は、図8に示すように、200mm以上1500mm以下程度であると判断される。Dが200mm以上であれば、プロジェクタ410が車両に搭載する透明スクリーン10に十分なサイズの映像を投影できる。また、Dが1500mm以下であれば、プロジェクタ410から透明スクリーン10までの距離が過剰に長くならず、車内の搭載物や乗員の頭部などが光路と干渉して透明スクリーン10に投影された映像に影が発生することを抑制しやすい。
映り込みの判定の結果が良好または普通である例1~例6において、Bは、1285mmまたは1778mmである。また、映り込みの判定の結果が良好である例7において、Bは1100mmであり、結果が普通である例8ではBは600mmである。それらのことを勘案すると、式1が満たされている場合に、Bの好ましい範囲は、図8に示すように、500mm以上2500mm以下程度であると判断される。Bが500mm以上であれば、車両の内部に観察者が入る空間を確保しやすい。また、Bが2500mm以下であれば、車両の幅を公道の走行に適した寸法にしやすい。
式1が成立している例2では、Pは420mmである。そして、例2では、好ましい結果を得ることができる。映り込みの判定の結果が良好または普通である例1、例3~6では、Pは820mmである。また、映り込みの判定の結果が良好である例7において、Pは1100mmであり、結果が普通である例8ではPは1480mmである。それらのことを勘案すると、式1が満たされている場合に、Pの好ましい範囲は、図8に示すように、200mm以上1500mm以下程度と判断される。Pが200mm以上であれば、プロジェクタ410の光学系の制約(レンズの屈折率など)によるピント合わせの困難が生じにくい。また、Pが1500mm以下であれば、車両のサイズの制約を受けにくいことから、スクリーン10とずれた位置でピントが合ってスクリーン10に投影される映像がぼけることを抑制しやすい。
例2から分かるように、式1が成立している場合には、入射角が大きくても(具体的には、63°)、好ましい結果が得られる。したがって、図8に示すように、入射角の上限値は70°程度であることが確認された。また、例1、例3~例8より、好ましくは、入射角は20゜程度以上である。入射角が70°以下であれば、プロジェクタ410から投影された光がスクリーン10の車内面で全反射しにくく、スクリーン10の映像表示層50に届く光が減少しにくく、映し出される映像輝度も低下しにくい。また、入射角が20°以上であれば、プロジェクタ410からスクリーン10に投影して車内面で正反射した光を観察者700が直視することによる眩しさを生じさせにくい。
また、例1~例8におけるプロジェクタ410の光束に基づいて、プロジェクタ410の光束の好ましい範囲は、図8に示すように、100lm以上10000lm以下程度と判断される。光束が100lm以上であれば、透明スクリーン10に投影された映像の視認性を確保しやすい。また、光束が1000lm以下であれば、プロジェクタ410からの排熱や騒音の観点で、運転へ影響しにくく、乗員の快適性を確保しやすい。
上述したように、反射防止膜によって透明スクリーン10の正反射率を0.1%にした場合には好ましい結果を得ることができるが、透明スクリーン10の正反射率が8%程度であっても、すなわち、正反射率を低下させない場合であっても、映り込みの判定の結果は良好または普通である。したがって、透明スクリーン10の車内面での好ましい正反射率の範囲は、図8に示すように、0.1%以上8%以下といえる。
また、映り込みの判定の結果が良好または普通である例1~例2、例8では、内装の拡散反射率は20%である。映り込みの判定の結果が良好または普通である例3~例6では、内装の拡散反射率は0.5%または90%である。映り込みの判定の結果が良好である例7では、内装の拡散反射率は50%である。したがって、内装の拡散反射率の好ましい範囲は、図8に示すように、0.1%以上90%以下程度であると判断される。内装の拡散反射率が0.1%以上であれば、近赤外線領域の吸収率が高くなりにくく、車内の温度が上昇しにくい。また、内装の拡散反射率が90%以下であれば、内装に映り込む反射像の輝度が抑えられ煩わしさを生じさせにくい。内装の拡散反射率は50%以下がより好ましい。
なお、上記の実施例では、透明スクリーン10として、図3に示された反射型透明スクリーン101または図4に示された反射型透明スクリーン102が用いられたが、図5に示された透過型透明スクリーン201を用いる場合にも、図8に示されたような結果が得られる。
10 透明スクリーン
11 第1の透明基材
11A 反射防止膜
12 第2の透明基材
21 第1の中間膜
22 第2の中間膜
23 第3の中間膜
41,42 基材フィルム
43 樹脂フィルム
44 第1の接合層
45 第2の接合層
50 画像表示層
51 凹凸層
52 反射層
53 被覆層
61,62 透明導電膜
70 調光層
71 SPD粒子
80 調光フィルム
90 光散乱シート
91 光散乱層
92 透明樹脂
93 光散乱材料
94 第1の透明フィルム
95 第2の透明フィルム
100,101,102 反射型透明スクリーン
200,201 透過型透明スクリーン
400 車両
410 プロジェクタ

Claims (14)

  1. 車両の内部に配置され、映像を投影する投影装置と、
    前記投影装置から投影された映像を車内側または車外側の観察者に映像として視認可能に表示する透明スクリーンとを備え、
    下記式1を満たす映像表示システム。
    (D+B)-(P+DOF/2)≧410 ・・・式1
    式1において、Dは前記投影装置と前記透明スクリーンとの間の距離[mm]、Bは前記透明スクリーンと前記車両の内装材との間の距離[mm]、Pは前記投影装置のピントがちょうど合う距離[mm]、DOFは前記投影装置の焦点深度[mm]を示す。
  2. 式1の左辺の値の上限は、2000である
    請求項1に記載の映像表示システム。
  3. Dは、200mm以上1500mm以下である
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  4. Bは、500mm以上2500mm以下である
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  5. Pは、200mm以上1500mm以下である
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  6. 前記投影装置から前記透明スクリーンへの光の入射角は、30°以上70°以下である
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  7. 前記透明スクリーンの車内側の面での正反射率は、0.1%以上8%以下である
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  8. 透明スクリーンは、反射型透明スクリーンである
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  9. 前記反射型透明スクリーンは、
    表面に凹凸を有する凹凸層と、該凹凸層の表面の凹凸に沿って形成された反射層と、該反射層の表面の凹凸を埋める被覆層とを含む画像表示層と、
    前記画像表示層を支持するための支持部材とを備える
    請求項8に記載の映像表示システム。
  10. 前記反射型透明スクリーンは、可視光線透過率を制御可能な調光フィルムを含む
    請求項8に記載の映像表示システム。
  11. 透明スクリーンは、透過型透明スクリーンである
    請求項1または2に記載の映像表示システム。
  12. 前記透過型透明スクリーンは、第1の透明層と、第2の透明層と、前記第1の透明層と前記第2の透明層との間に形成された光散乱層とを含む光散乱部と、
    前記光散乱部を支持するための支持部材とを備える
    請求項11に記載の映像表示システム。
  13. 請求項1または2に記載の映像表示システムが搭載され、
    前記透明スクリーンは、窓部に設置されている
    車両。
  14. 前記内装材の拡散反射率は、0.1%以上90%以下である
    請求項13に記載の車両。
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