JP2015220238A - パワー半導体モジュール及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温での長期動作や温度差が大きい冷熱サイクルストレスに対して、高い耐性を有するパワー半導体モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】耐熱ケース18と、パワー半導体装置15が実装された絶縁配線基板11と、絶縁配線基板11に接して該絶縁配線基板11にて発生した熱を放熱する放熱器17と、耐熱ケース18内に充填される耐熱シリコーンゲル19を有する。更に、耐熱ケース18内の側壁近傍に配置され、且つ、耐熱シリコーンゲル19内部に埋設され、耐熱シリコーンゲル19の硬化時に、該耐熱シリコーンゲル19の側壁からの遊離を防止する面内応力緩和体21を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高温や過大な温度変化に対して高い耐久性を有するパワー半導体モジュール及びその製造方法に関する。
Siパワー半導体装置を用いたインバータやコンバータ等の電力変換器は、装置規模が大きく多くの設置スペースを占有するという問題があり、小型化が望まれている。電力変換器が大型化する原因の一つとして、冷却器が大きいことが挙げられる。冷却器は、Siパワー半導体装置の動作温度の上昇を抑制するために設けられる。即ち、Siパワー半導体装置は、許容最大動作温度(Tjmax)が125℃〜150℃程度と低く、環境温度との大きな温度差が得られないので、動作中に許容最大動作温度(Tjmax)以下の温度に維持するために冷却器が必要とされる。冷却器は、空冷の場合はヒートシンクやファンを備え、水冷の場合は熱交換器(水冷ジャケット)やラジエター、ファン、水循環ポンプ、フィルタ、ホース等を備えるので、装置規模が大型化する。
ここで、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド(C)等のワイドバンドギャップ半導体材料を用いたパワー半導体装置は、200℃を超える半導体接合温度(Tj)であっても安定に動作し、且つ、従来のシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)を用いたパワー半導体装置に比べて、オン抵抗が低く、高速スイッチイングが可能であるという優れた特徴を備えている。
この特徴を利用し、シリコン(Si)よりも高い半導体接合温度(Tj)域でパワー半導体モジュールを駆動させれば、内部のパワー半導体装置と外気温度(或いは、ケース温度)との間に大きな温度差が生じて、パワー半導体装置にて生じる熱を効率よくモジュール外に放熱することが可能になる。即ち、高い半導体接合温度域で駆動可能なワイドバンドギャップ・パワー半導体モジュールを実現できれば、モジュールの放熱に必要な冷却器の小型化が達成され、ひいては電力変換器の小型化が実現できるはずである。
ところが、このような次世代パワー半導体モジュールを完成させるためには、ワイドバンドギャップ・パワー半導体装置を用いるだけでは達成が難しい。つまり、高い半導体接合温度Tjに長時間耐えることができ、且つ、大きな温度変動ΔTj(例えば、ΔTj=環境温度〜250℃)に耐えることができるモジュール構造体の実現が必要となる。従来のSi半導体モジュールとして、例えば、非特許文献1に開示されたものが知られている。
Akira Morozumi et al., Proceedings of The 25th International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs (Kanazawa, Japan, 2013), pp. 109-112.
しかしながら、従来におけるパワー半導体モジュールでは、高温動作の積算時間が長くなり、且つ、高温と低温の温度変化の繰り返し回数の積算値が増加すると、パワー半導体装置を覆う耐熱シリコーンゲルが、上層側から徐々に硬質化して収縮し、これに起因して、耐熱シリコーンゲルが耐熱ケースから遊離するという問題が発生する。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高温での長期動作や温度差が大きい冷熱サイクルストレスに対して、高い耐性を有するパワー半導体モジュール及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願発明のパワー半導体モジュールは、耐熱ケースと、パワー半導体装置が実装された絶縁配線基板と、絶縁配線基板に接して、該絶縁配線基板にて発生した熱を放熱する放熱器を有する。更に、耐熱ケース内に充填される耐熱シリコーンゲルと、耐熱ケース内の側壁近傍に配置されて耐熱シリコーンゲルの硬化時に、該シリコーンゲルの側壁からの遊離を防止する面内応力緩和体を備える。
本願発明のパワー半導体モジュールの製造方法は、洗浄した絶縁配線基板を用意し、その後、ダイボンドとワイヤボンドとでパワー半導体装置を実装する。ダイボンドよりも低融点のはんだで絶縁配線基板を放熱器に接合する。放熱器の上面に耐熱ケースを接着し、その後、耐熱ケースの内部の適所に面内応力緩和体を設置する。耐熱ケースの内側に耐熱シリコーンゲルの前駆体を流し込み、これをゲル化させる。
本発明によれば、耐熱ケース内に面内応力緩和体を設置しているので、硬化した耐熱シリコーンゲルが耐熱ケースから離間させられる引張応力を緩和することができ、高温での長期動作や温度差が大きい冷熱サイクルストレスに対して、高い耐性を有するパワー半導体モジュールを提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールを製造する手順を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールを製造する手順を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールと、比較例に係るパワー半導体モジュールの、高温放置後の状態を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールを製造する手順を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係るパワー半導体モジュールの、高温放置後の状態を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係るパワー半導体モジュールの、高温放置後の状態を示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係るパワー半導体モジュールの、高温放置後の状態を示す説明図である。 本発明の第5実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第5実施形態に係るパワー半導体モジュールの、高温放置後の状態を示す説明図である。 本発明の第6実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 本発明の第6実施形態に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 比較例に係るパワー半導体モジュールを示す説明図である。 比較例及び各実施形態に係るパワー半導体モジュールの寿命及び故障モードを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、理解を促進するために、各図に示す厚み方向の寸法を誇張して記載している。即ち、横方向の寸法と縦方向の寸法の比率は実物と一致していない。また、以下に示す各実施形態では、一つのパワー半導体装置を備えたパワー半導体モジュールを例に挙げて説明するが、本発明は一つに限定されず、複数のパワー半導体装置を設けることも可能である。
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの構成を示す説明図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)に示すA−A’断面図、図1(c)は図1(b)に示すB−B’断面図である。
図1(b)に示すように、第1実施形態に係るパワー半導体モジュール1000は、電子部品を実装した絶縁配線基板11と、複数の側壁に囲まれ絶縁配線基板11を収納する耐熱ケース18と、絶縁配線基板11に接して配置され、該絶縁配線基板11に生じた熱を放熱する放熱器17を備えている。
絶縁配線基板11は、例えば、SiN、AlN、アルミナ等のセラミック板で形成された絶縁板12を有し、該絶縁板12の一主面(表面)に、例えば、CuやAlなどの板状パターンからなる表面導体13S、13Dが設けられている。更に、他の主面(裏面)には、例えば、CuやAl等の平板状の裏面導体14が設けられている。
表面導体13S、13D、及び裏面導体14は、直接接合法や活性金属接合法等の方法で絶縁板12に接合されている。また、表面導体13Dの上面には、スイッチやダイオード等の、縦型のパワー半導体装置15が設けられている。なお、本実施形態では、縦型のパワー半導体装置15を示しているが、横型のパワー半導体装置としてもよい。パワー半導体装置15の裏面(ダイオードの場合はカソード、FETの場合はドレイン)は、表面導体13Dに耐熱はんだ(図示省略)ではんだ付けされている。
また、パワー半導体装置15の表面電極(ダイオードの場合はアノード、FETの場合はソース)と絶縁配線基板11の表面導体13Sを接続するボンディングワイヤ16が設けられている。
放熱器17は、絶縁配線基板11と直接的或いは間接的に接しており、Cu、Al、CuMo合金、AlSiC合金、Cu/Mo/Cu積層材等で形成され、フィン付き平板(ヒートシンク)形状を有している。なお、平板、或いは、熱交換器(水冷ジャケット)を用いることもできる。放熱器17は、高温はんだ(図示省略)により、絶縁配線基板11に固着されている。
耐熱ケース18は、図1(a)、(c)に示すように、平面視矩形状をなしており、該耐熱ケース18の内寸は、縦方向の長さが「a」、横方向の長さが「d」とされている。また、図1(b)に示すように、板厚が「k」とされている。更に、上側には、幅「w」、深さ「q」のザグリ20が形成されている。なお、図1(b)では、図1(a)に示す断面A−A’の方向にザグリ20が形成されることが示されているが、断面A−A’と直交する方向についても、耐熱ケース18にザグリ20が形成されている。
耐熱ケース18は、絶縁配線基板11、パワー半導体装置15、及びボンディングワイヤ16の外周を隙間なく囲むように設けられており、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナや他の耐熱セラミック等の耐熱素材で成形されている。また、これら以外の耐熱素材で成形することもできる。耐熱ケース18の板厚kとザグリ幅wの具体的な長さとして、k=5mm、w=2.5mmとするのが好適である。ザグリ20の先端は、図1(b)に示されているように、テーパ形状とされている。
図1(b)、(c)に示すように、耐熱ケース18の内部の、絶縁配線基板11の上側となる領域には、面内応力緩和体21が設けられ、該面内応力緩和体21は、耐熱ケース18の内側に形成されたザグリ20に支持されている。面内応力緩和体21の詳細については、後述する。更に、耐熱ケース18の内部には、耐熱シリコーンゲル19が充填されている。耐熱シリコーンゲル19は、絶縁配線基板11の表面、パワー半導体装置15、及びボンディングワイヤ16を封止し、沿面放電の発生を防止する役割を果たしている。更に、例えば、湿度、振動、異物との接触等の外部の影響を防止する役割を果たしている。
面内応力緩和体21は、耐熱シリコーンゲル19の硬質化によって生じる収縮応力を緩和する目的で設けられる。面内応力緩和体21は、図1(c)に示すように、耐熱ケース18の側壁の内面に沿って近接配置された柱体状の応力緩和素片21aと、該応力緩和素片21aから側壁の壁面に向けて突起する複数の支持素片21bで構成されている。
そして、各支持素片21bの先端が耐熱ケース18の側壁の内面に接し、更に、ザグリ20に支持されて耐熱ケース18内に固定される。隣接する支持素片21bの間の領域が小開口部22とされている。また、応力緩和素片21aの中央には中央開口部23が形成されている。
面内応力緩和体21を形成する応力緩和素片21a及び支持素片21bの断面は矩形状を成しており、この断面の寸法、及び小開口部22の内寸(=一辺の長さ)は0.3mm〜5mmの間の値が望ましく、好ましくは2.5mmである。面内応力緩和体21は、耐熱ケース18のザグリ20に嵌め込まれ、テーパが始まる水平位置で自然に停止する仕組みになっている。
面内応力緩和体21の材質は、前述した耐熱ケース18と同様に、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナや窒化珪素等の耐熱セラミック素材が適しているが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
[第1実施形態の変形例の説明]
図2は、第1実施形態に係るパワー半導体モジュールの変形例を示す説明図であり、図2(a)は図1(a)に示すA−A’断面図、図2(b)は図2(a)に示すB−B’断面図である。なお、上面図は図1(a)と同様である。
図2に示すパワー半導体モジュール1000’は、図1に示したパワー半導体モジュール1000と対比して、面内応力緩和体21が、耐熱ケース18と一体成形されている点で相違する。また、図2(a)には、耐熱ケース18の内面にザグリ20を形成する例について示しているが、ザグリ20を設けずに、耐熱ケース18の平板な側壁から面内応力緩和体21が展開する構造とすることが可能である。また、面内応力緩和体21の小開口部22の形状は、図2(b)に示す如くの正方形以外に、円形や多角形(例えば、六角形、八角形等)としてもよい。
[第1実施形態の製造方法の説明]
次に、図3A及び図3Bを参照して、第1実施形態に示したパワー半導体モジュール1000の製造方法について説明する。図3A、図3Bは、図1(b)に示したA−A’断面図に対応している。製造方法は、以下に示すように第1工程〜第5工程からなる。
第1工程では、図3A(a)に示すように、表面導体(13D、13S)、裏面導体14が形成された絶縁配線基板11を用意する。絶縁配線基板11を、アセトン、エタノール等の有機溶剤で十分に洗浄する。なお、絶縁配線基板11の作成方法は周知であるので記載を省略する。
第2工程では、図3A(b)に示すように、個別の半導体装置からなるパワー半導体装置15の表裏面をアセトン、エタノール等の有機溶剤で十分に洗浄する。その後、高耐熱はんだ及びリフロー装置を用いて、パワー半導体装置15の裏面電極を、表面導体13Dの所定の位置にダイボンド及びワイヤボンドする。この際、パワー半導体装置15の位置決めを正確に行うために、カーボン位置決め治具を使用するのが望ましい。高耐熱はんだとして融点が350℃以上のAuGe共晶はんだや、ZnAl共晶はんだ等を用いることができる。はんだ付けは真空中でのリフローが望ましい。
次いで、ウェッジボンド装置を用いて、パワー半導体装置15の表面電極と表面導体13Sをボンディングワイヤ16(太線Al等)で接続する。
第3工程では、図3A(c)に示すように、再度高耐熱はんだ及びリフロー装置を用いて、パワー半導体装置15を搭載した絶縁配線基板11の裏面導体14を、放熱器17にはんだ付けする。ここで使用する高耐熱はんだは、ダイボンドで使用した高耐熱はんだより融点または処理温度が20℃以上低い接合材料(例えば、AuSn共晶はんだ等、低融点のはんだ)を選定する。
第4工程では、図3B(d)に示すように、放熱器17に所定の形状に加工した耐熱ケース18を耐熱接着剤で接着し、耐熱ケース18のザグリ20に所定の形状に加工した面内応力緩和体21を適所に嵌め、テーパの位置まで平行に押し込む。
第5工程では、図3B(e)に示すように、耐熱ケース18の内側に耐熱シリコーンゲル19の前駆体を少なくとも面内応力緩和体21の高さよりも高い位置まで流し込み、所定の熱処理条件(大抵は熱処理温度と雰囲気、時間が指定されている)でゲル化させる。こうして、図1に示したパワー半導体モジュール1000が完成する。
[第1実施形態の効果の説明]
次に、第1実施形態に係るパワー半導体モジュール1000の効果について説明する。ここで、第1実施形態と対比するために、本発明を適用しないパワー半導体モジュール、即ち、比較例に係るパワー半導体モジュールを図15を参照して説明する。
図15に示すパワー半導体モジュール9000は、最新のSiパワー半導体モジュール(前述した非特許文献1)を基礎にして、これを耐熱化することを目的として構成したものであり、図15(a)は上面図、図15(b)は図15(a)に示すA−A’断面図である。そして、図1と同様に、絶縁配線基板101と、耐熱ケース108、及び放熱器107を備えている。絶縁配線基板101は、その一主面に表面導体103S、103Dが設けられ、他の主面に裏面導体104が設けられている。表面導体103Dの上面にはパワー半導体装置105が設けられ、該パワー半導体装置105は、ボンディングワイヤ106により、表面導体103Sと接続されている。そして、耐熱ケース108の内部には、耐熱シリコーンゲル109が充填されている。
即ち、図15に示すパワー半導体モジュール9000は、図1に示したパワー半導体モジュール1000と対比して、面内応力緩和体21、及びこれを支持するためのザグリ20が設けられていない点で相違する。
以下、図15に示す比較例に係るパワー半導体モジュール9000と、図1に示す第1実施形態に係るパワー半導体モジュール1000を対比して、本実施形態の効果を説明する。なお、構成がほぼ同一である変形例に係るパワー半導体モジュール1000’(図2参照)の効果についても、第1実施形態と同一であるので、ここでは区別せずに説明する。
図4は、十分長い間高温で放置した後(例えば、250℃、500時間)、或いは非常に高い温度を含む冷熱サイクルを繰り返し実行した後(例えば、−40℃〜250℃、500サイクル)の、(a)比較例のパワー半導体モジュール9000、及び(b)第1実施形態のパワー半導体モジュール1000の、耐熱シリコーンゲル(109、19)の変化を示している。なお、図4(a)、(b)では、放熱器(107、17)を省略している。
試験前の耐熱シリコーンゲル109及び19は、同一の材料から成っていて、性質に違いはない。図中の109H、19Hは、耐熱シリコーンゲル109、19の上部層に加熱で硬化時に出現した硬質シリコーン樹脂層(変質層)である。これら硬質シリコーン樹脂層109H、19Hは、耐熱シリコーンゲル109と19が高熱状態で熱分解、或いは酸素(または水蒸気)と反応して生成した変質層であり、この状態ではゲルと呼ぶことはできない。
放置時間の経過と共に、硬質シリコーン樹脂層109H、19Hは徐々に厚くなり、収縮しながら硬くなる。その結果、耐熱ケースと硬質シリコーン樹脂層界面との間に引張り応力を発生させる。これは、硬質シリコーン樹脂層109H、19Hが無理に四方に引き伸ばされて、耐熱ケース108、18に張り付いている状態に対応する。
図4(a)に示す比較例のパワー半導体モジュール9000の構造においては、高温放置の時間経過と共に、引張り応力の上昇が速く進み、引張り応力が硬質シリコーン樹脂層109Hの耐熱ケース108の側壁への接着力を上回った際に、硬質シリコーン樹脂層109Hが耐熱ケース108の側壁から遊離して、一気に縮み、これが引き金となって空隙110が絶縁配線基板まで進展し、封止機能が崩壊するという問題を起こしていた。
これに対して、図4(b)に示すように、面内応力緩和体21が骨格として硬質シリコーン樹脂層19Hに埋設されている第1実施形態に係るパワー半導体モジュール1000の構造においては、面内応力緩和体21があたかもコンクリートの鉄筋のように作用して、耐熱ケース近傍の硬質シリコーン樹脂層19Hの収縮を抑えている。この作用により、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離する時期を十分に遅らせることができる。つまり、長寿命化を図ることができる。
また、面内応力緩和体21を埋設した耐熱シリコーンゲル19の上層部が、後の高温加熱により耐熱シリコーンゲルが変性してできる硬質シリコーン樹脂層19Hの前駆体層とされている。従って、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
更に、面内応力緩和体21が、耐熱ケース18の側壁の内面に沿って近接配置された柱体状の応力緩和素片21aと、この応力緩和素片21aから壁面に向けて突起する複数の支持素片21bから成るので、面内応力緩和体21により硬質シリコーン樹脂層19Hが堅固に固定され、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
また、面内応力緩和体21は、耐熱ケース18の側壁の内面に接しているので、硬質シリコーン樹脂層19Hと耐熱ケース18の側壁との接着性を強固に維持することができ、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
更に、応力緩和素片21aは、断面矩形状を成し、断面の一辺は0.3mm〜5mmの範囲とすることにより、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することをより一層遅らせることができる。
また、面内応力緩和体21の材質を、耐熱硬質樹脂、または耐熱セラミックとすることにより、該面内応力緩和体21を強固に構成することができ、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
更に、面内応力緩和体21の材質を、ポリフェニレンサルファイド、またはポリエーテルエーテルケトンとすることにより、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することをより一層遅らせることができる。
また、耐熱ケース18の材質を、耐熱硬質樹脂または耐熱セラミックとすることにより、耐熱ケース18を強固に構成することができ、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
更に、耐熱ケース18の材質を、ポリフェニレンサルファイド、または、ポリエーテルエーテルケトンとすることにより、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することをより一層遅らせることができる。
また、面内応力緩和体21が、耐熱ケース18に支持されるので、面内応力緩和体21の設置を容易に行うことができ、構成を簡素化することができる。
更に、第1実施形態の変形例では、耐熱ケース18と面内応力緩和体21が同一の材料で一体形成されるので、耐熱ケース18と面内応力緩和体21の接続をより強固にすることができ、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することをより一層遅らせることができる。
なお、硬質シリコーン樹脂層19Hが面内応力緩和体21から遊離する不良は、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18側壁から遊離する不良以前には起こらない。これは面内応力緩和体21の梁の背面に形成された硬質シリコーン樹脂層19Hが、当該界面の収縮応力(硬質シリコーン樹脂層を引き剥がそうとする力)に対抗する力を発生させ、当該界面の接着力に加勢するからである。
次に、定量評価について説明する。第1実施形態の効果を定量的に評価するために、外形の寸法が、縦約25mm、横約40mm、高さ約25mmとした耐熱ケースを備えた本実施形態に係るパワー半導体モジュール1000、及び変形例に係るパワー半導体モジュール1000’と、比較例のパワー半導体モジュール9000とを用意し、250℃の環境に放置する試験を実施した。
この試験では、樹脂封止系(耐熱ケース18、108、耐熱シリコーンゲル19、109、面内応力緩和体21)の故障を判定した。耐熱ケース18、108と面内応力緩和体21はPPS樹脂であり、耐熱シリコーンゲル19、109は、2つの樹脂メーカの3種類のサンプルA、B、Cである。試験する個数は、各サンプルでそれぞれ5個とし、3個目のサンプルに不良が生じた時点を寿命と定義した。樹脂封止系以外の構成は同一とした。そして、予め決められた時間に加熱を中断し、室温で不良の発生を判定した。
比較例(図15)の構成で、サンプルA、B、Cを用いた場合には、樹脂封止系は全て耐熱シリコーンゲル(硬質シリコーン樹脂層を含む)が耐熱ケースから遊離して、界面間隙が生じる故障モードで故障が発生した(但し、A、B、Cの故障発生時間(=寿命)は異なる)。
一方、本実施形態及び変形例のパワー半導体モジュール1000、1000’では、このような界面間隙故障は観察されず、耐熱ケース中央開口部に位置する硬質シリコーン樹脂層に亀裂が生じるという別の故障モードが観察され、この時点を寿命とした。
図16は、比較例の樹脂封止系の寿命を100として正規化したときの、本実施形態及び変形例のパワー半導体モジュール1000、1000’と比較例のパワー半導体モジュール9000の樹脂封止系の寿命の比較を示している。図16に示す結果から、第1実施形態及び変形例のパワー半導体モジュール1000、1000’の寿命が長いことが理解される。また、本実施形態及び変形例のパワー半導体モジュール1000と1000’の樹脂封止系の寿命は実験誤差の範囲内で同等であることも理解される。
以上の結果から、サンプルA、B、C、いずれの樹脂封止系の場合においても、本実施形態のパワー半導体モジュール1000、1000’は、比較例のパワー半導体モジュール9000のような従来のモジュールで起こっていた「耐熱シリコーンゲルが耐熱ケースから遊離して、封止機能が崩壊する」という問題を解決するとともに、寿命の大幅な延長を達成していると言うことができる。
[第2実施形態の説明]
次に、第2実施形態について説明する。前述した第1実施形態(図1)及び変形例(図2)では、耐熱シリコーンゲル19の内部に面内応力緩和体21を埋設することにより、硬質シリコーン樹脂層19Hが形成された場合でも、耐熱シリコーンゲル19が耐熱ケース18から遊離することを防止する構成とした。この際、面内応力緩和体21を耐熱ケース18にて支持していた。第2実施形態に係るパワー半導体モジュールでは、面内応力緩和体21を放熱器17で支持する。
以下、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000の構成を、図5A、図5Bを参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態にて示した図1と同一構成の部分については、同一符号を付して構成説明を省略する。
図5A、図5Bは、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000の構成を示す説明図であり、図5A(a)は上面図、図5A(b)は図5A(a)に示すA−A’断面図、図5B(c)は図5A(b)に示すB−B’断面図、図5B(d)は図5B(a)に示すC−C’断面図である。
図5A(b)に示すように、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000は、前述した第1実施形態と同様に、絶縁配線基板11と、耐熱ケース18と、放熱器17を備えている。ここで、耐熱ケース18の内面には、ザグリは設けられていない点で第1実施形態で示した図1と相違する。
図5B(c)に示すように、面内応力緩和体21は、耐熱ケース18の内面に接している。更に、面内応力緩和体21の4つの隅部には開口部が形成され、この開口部に円柱形状の支柱24がネジ止めされて設けられている。該支柱24は、図5B(d)に示すように、面内応力緩和体21から放熱器17に連通しており、該放熱器17の4つの隅部に設けられる位置決め用の浅溝に挿入されている。換言すれば、面内応力緩和体21は、放熱器17に立設された4本の支柱24に支持されて固定されている。
耐熱ケース18の内部には、面内応力緩和体21を埋めるように、耐熱シリコーンゲル19が充填されている。耐熱シリコーンゲル19が加熱して形成される硬質シリコーン樹脂層の厚みの中央付近に、面内応力緩和体21が設置されるように、支柱24の長さ、或いは耐熱シリコーンゲル19の深さが調整される。
また、耐熱ケース18、面内応力緩和体21、及び支柱24の材質は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂、アルミナや他の耐熱セラミック等の耐熱素材が適しているが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
[第2実施形態の製造方法の説明]
次に、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000の製造方法について説明する。なお、絶縁配線基板11を製造する第1工程、パワー半導体装置15を実装する第2工程、及び放熱器17を設ける第3工程は、第1実施形態で示した図3A(a)、(b)、(c)と同一であるので、説明を省略する。
以下、図6(d)、(e)を参照して、第4工程、及び第5工程について説明する。図6(d)、(e)は、図5B(d)のC−C’断面図に対応している。なお、図6(d)、(e)は、C−C’断面図であるので、絶縁配線基板11やパワー半導体装置15は見えていない。
図6(d)に示す第4工程では、放熱器17に所定の形状に加工した耐熱ケース18を耐熱接着剤(図示省略)で接着する。更に、耐熱ケース18の内部に、支柱24を取り付けた面内応力緩和体21を嵌めこむ。このとき、支柱24の先端が放熱器17の浅溝に収まるようにする。
図6(e)に示す第5工程では、耐熱ケース18の内部に耐熱シリコーンゲル19の前駆体を、少なくとも面内応力緩和体21の高さよりも高い位置まで流し込む。その後、所定の熱処理条件(大抵は熱処理温度と雰囲気、時間が指定されている)で耐熱シリコーンゲル19の前駆体をゲル化させると、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000が完成する。
[第2実施形態の効果の説明]
次に、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000の効果について説明する。図7は、図5A(a)のA−A’断面図を示しており、十分長い時間高温で放置した後(例えば250℃、500時間)、或いは非常に高い温度を含む冷熱サイクルを繰り返し実行した後(例えば、−40℃〜250℃、500サイクル)の、パワー半導体モジュール2000の状態を示している。
図7に示すように、耐熱シリコーンゲル19の上部には、高温加熱によって生じた硬質シリコーン樹脂層19Hが形成されている。また、耐熱ケース18内部の壁面近傍に配置された面内応力緩和体21が、硬質シリコーン樹脂層19Hに埋設された構造となっていることが判る。この構造は、前述した第1実施形態の効果の説明で示した図4(b)と同一の構造である。従って、第2実施形態に係るパワー半導体モジュール2000は、第1実施形態で示したパワー半導体モジュール1000と同様に、硬質シリコーン樹脂層19H(耐熱シリコーンゲル19)が耐熱ケース18から遊離して、封止機能が崩壊するという問題を解決でき、長寿命化を図ることができる。発明者らの実験によると、前述した第1実施形態と同様の条件で250℃放置試験を実施したところ、第1実施形態と同等の試験結果が得られた。
即ち、第2実施形態では、面内応力緩和体21が、放熱器17に立設された複数の支柱24により支持されるので、面内応力緩和体21を堅固に固定することができ、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
[第3実施形態の説明]
次に、第3実施形態に係るパワー半導体モジュールについて説明する。前述した第1実施形態(図1)及び変形例(図2)では、耐熱シリコーンゲル19の内部に、応力緩和素片21a、及び該応力緩和素片21aから耐熱ケース18の壁面に向けて突起する支持素片21bからなる面内応力緩和体21を埋設する構成とした。
これに対して、第3実施形態に係るパワー半導体モジュールでは、周囲部が耐熱ケース18の壁面に接する基体リング25、及び該基体リング25に対して直交する向き(上下方向)に複数設けられる応力緩和柱26からなる面内応力緩和体21を用いている点で相違する。更に、図8A(b)に示すように、耐熱ケース18の内部壁面に形成されるザグリ20がテーパ状に形成されていない点で相違する。
以下、第3実施形態に係るパワー半導体モジュール3000の構成を、図8A、図8Bを参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態にて示した図1と同一構成の部分については、同一符号を付して構成説明を省略する。
図8A(a)は、第3実施形態に係るパワー半導体モジュール3000の上面図、図8A(b)は図8A(a)に示すA−A’断面図、図8B(c)は図8A(a)に示すB−B’断面図、図8B(d)は図8B(c)に示すC−C’断面図、図8B(e)は図8B(c)に示すD−D’断面図である。なお、図8B(c)では、放熱器17を省略している。
図8A(b)、図8B(c)に示すように、耐熱ケース18の内部壁面には、面内応力緩和体21を支持するためのザグリ20が設けられている。ザグリ20は、略直角に切り欠かれている。また、面内応力緩和体21は、耐熱ケース18内部のザグリ20が形成された側壁に内接している。面内応力緩和体21は、耐熱ケース18の内部壁面に接する矩形リング形状をなす基体リング25と、円柱形状をなし基体リング25に対して直交する方向(耐熱ケース18の上下方向)に立設される複数の応力緩和柱26から構成されている。また、基体リング25と各応力緩和柱26は一体化して形成されている。
そして、応力緩和柱26が、耐熱ケース18内部に形成される硬質シリコーン樹脂層19Hによる応力を緩和する。応力緩和柱26は、円柱、或いは四角以上の角を有する多角柱であることが望ましい。基体リング25の厚み、応力緩和柱26の直径、応力緩和柱26と耐熱ケース18との距離、隣接する応力緩和柱26との距離は、いずれも0.3mm〜5mmの間の値が望ましく、好ましくは、2.5mmとするのがよい。また、応力緩和柱26の高さは、高温長期加熱で形成される硬質シリコーン樹脂層の厚みの中に収まるように調整される。
耐熱ケース18、及び面内応力緩和体21の材質は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂、アルミナや他の耐熱セラミック等の耐熱素材が適しているが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
耐熱ケース18の内側には、面内応力緩和体21を埋めるように、耐熱シリコーンゲル19が充填されている。面内応力緩和体21の基体リング25の(垂直方向)位置が高温による長期加熱で形成される硬質シリコーン樹脂層19Hの厚み中央付近に位置するように、耐熱シリコーンゲル19の深さが調節される。なお、応力緩和柱26の少なくとも一部が硬質シリコーン樹脂層19H(耐熱シリコーンゲル19)に埋まっていれば、本実施形態の効果は発生するが、全体が完全に埋まっている方がより顕著な効果を達成できる。
なお、第3実施形態に係るパワー半導体モジュール3000の製造方法は、前述した第1実施形態で示した第1工程〜第5工程と同一であるので、詳細な説明を省略する。
[第3実施形態の効果の説明]
次に、第3実施形態に係るパワー半導体モジュール3000の効果を説明する。図9は、図8A(b)に対応しており、十分長い時間高温で放置した後(例えば、250℃、500時間)、或いは非常に高い温度を含む冷熱サイクルを繰り返し実行した後(例えば、−40℃〜250℃、500サイクル)の、第3実施形態のパワー半導体モジュール3000の状態を示している。
図9に示すように、耐熱シリコーンゲル19の上部には、高温加熱によって生じた硬質シリコーン樹脂層19Hが形成されている。そして、耐熱ケース18内部の壁面近傍に設けられた面内応力緩和体21、即ち、基体リング25及び応力緩和柱26が硬質シリコーン樹脂層19Hに埋設された構造として存在する。従って、面内応力緩和体21が、鉄筋コンクリートの鉄筋のような役割を果たして、耐熱ケース18内部の硬質シリコーン樹脂層19Hの収縮応力を緩和し、耐熱ケース18の内部壁面から硬質シリコーン樹脂層19Hが遊離し難くしている。つまり、第3実施形態に係るパワー半導体モジュール3000は、比較例のパワー半導体モジュール9000(図15)のような従来のモジュールで起こっていた「耐熱シリコーンゲルが耐熱ケースから遊離して、封止機能が崩壊する」という問題を解決するとともに、寿命の大幅な延長を達成していると言うことができる。
次に、定量評価について説明する。前述した第1実施形態の定量評価で示した条件と同一の条件、同一の耐熱シリコーン樹脂サンプルA、B、Cで、250℃放置試験を実施したところ、前述した図16に記載した試験結果が得られた。第3実施形態に係るパワー半導体モジュール3000では、どの耐熱樹脂サンプルを用いた場合も、比較例と比べると寿命は著しく長くなり、第1実施形態で示したパワー半導体モジュール1000と同様に、耐熱ケース18と、硬質シリコーン樹脂層19Hの界面に間隙ができる故障は観察されず、耐熱ケース18の中央開口部に位置する硬質シリコーン樹脂層19Hが裂けるという故障が生じた。つまり、第3実施形態では、界面に間隙ができる故障の寿命が延びた結果、次に長い寿命であった故障モード「樹脂層のひび割れ」が顕在化したとも解釈できる。
即ち、第3実施形態では、面内応力緩和体21は、耐熱ケース18の側壁の内面に接する矩形リング形状の基体リング25と、該基体リング25に対して、耐熱ケース18の上下方向に立設され、基体リング25と一体化された応力緩和柱26を備えるので、面内応力緩和体21をより堅固に形成することができ、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することを遅らせることができる。
また、図示を省略するが、図1に示した面内応力緩和体21、即ち、図1(c)にて説明したように、応力緩和素片21aと該応力緩和素片21aから外側に向けて突起する支持素片21bを有する面内応力緩和体21に、図8A(b)に示したように、耐熱ケース18の上下方向に立設された応力緩和柱26を設けることにより、面内応力緩和体21をより強固に構成することができる。こうすることにより、硬質シリコーン樹脂層19Hが耐熱ケース18の側壁から遊離することをより一層遅らせることができる。
[第4実施形態の説明]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図10A、図10Bは、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000の構成を示す説明図であり、図10A(a)は上面図、図10A(b)は図10A(a)に示すA−A’断面図、図10B(c)は図10A(a)に示すB−B’断面図、図10B(d)は図10A(b)に示すC−C’断面図である。
第4実施形態に係るパワー半導体モジュールは、前述した第1実施形態と対比して樹脂封止系、即ち、耐熱ケース18の内面構造、耐熱シリコーンゲル19、及び面内応力緩和体21のみが相違しており、それ以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して構成説明を省略する。図10A(b)に示すように、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000は、耐熱ケース18の内部壁面に、ザグリ20が形成されている。この際、第1実施形態と異なり、テーパは形成されていない。
更に、図10B(c)、(d)に示すように、ザグリ20の底面21dには、複数の応力緩和柱21cが立設されている。具体的には、ザグリ20の底面21dから上方に向けて複数の応力緩和柱21cが立設され、該応力緩和柱21cは、耐熱ケース18と一体構造とされている。そして、ザグリ20の底面21d、及び複数の応力緩和柱21cにより、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000の面内応力緩和体21が構成されている。
応力緩和柱21cは、パワー半導体モジュール4000の製造後の高温の使用で生じる硬質シリコーン樹脂層19Hの厚みの中に位置するように、設置位置や長さが調整される。即ち、図10B(c)に示すように、応力緩和柱21cの上面よりも高くなるように、耐熱シリコーンゲル19が充填されている。
面内応力緩和体21を構成する応力緩和柱21cは、円柱、或いは四角形以上の多角柱であることが望ましい。応力緩和柱21cの直径、該応力緩和柱21cから耐熱ケース18の内面までの距離、及び、互いに隣接する応力緩和柱21cどうしの距離(柱と柱の距離)は、いずれも0.3mm〜5mmの間の値が望ましく、好ましくは2.5mmとするのがよい。
面内応力緩和体21を含む耐熱ケース18の材質は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナやその他の耐熱セラミック等の耐熱素材が適しているが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
なお、面内応力緩和体21の少なくとも一部が硬質シリコーン樹脂層19H(耐熱シリコーンゲル19)に埋まっている場合、即ち、応力緩和柱21cの上部が耐熱シリコーンゲル19の上面よりも上方に突出している場合でも、本実施形態の効果は発生するが、全体が完全に埋まっている方がより顕著な効果を達成できる。
[第4実施形態の製造方法の説明]
次に、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000の製造方法について説明する。なお、絶縁配線基板11を製造する第1工程、パワー半導体装置15を実装する第2工程、及び放熱器17を設ける第3工程は、第1実施形態で示した図3A(a)、(b)、(c)と同一であるので、説明を省略する。
以下、第4工程、及び第5工程について説明する。第4工程では、図10A(a)、(b)に示すように、内面に面内応力緩和体21が形成された耐熱ケース18を用意し、放熱器17に耐熱接着剤(図示省略)を用いて接着する。
第5工程では、耐熱ケース18の内側に耐熱シリコーンゲル19の前駆体を、少なくとも応力緩和柱21cの上面が埋設されるまで注入し、所定の熱処理条件(大抵は熱処理温度と雰囲気、時間が指定されている)でゲル化させる。その結果、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000が完成する。
[第4実施形態の効果の説明]
次に、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000の効果について説明する。図11(a)、(b)は、それぞれ図10B(c)、(d)に対応しており、十分長い時間高温で放置した後(例えば、250℃、500時間)、或いは非常に高い温度を含む冷熱サイクルを繰り返し実行した後(例えば、−40℃〜250℃、500サイクル)の、パワー半導体モジュール4000の状態を示している。
図11に示すように、耐熱シリコーンゲル19の上部には、高温加熱によって変性した硬質シリコーン樹脂層19Hが形成されている。
また、耐熱ケース18内部の壁面近傍に垂直に立設された複数の応力緩和柱21cが、硬質シリコーン樹脂層19Hに埋設された構造となっていることが判る。従って、応力緩和柱21cを含む面内応力緩和体21が、鉄筋コンクリートの鉄筋のような役割を果たして、耐熱ケース18近傍の硬質シリコーン樹脂層19Hの収縮応力を緩和し、耐熱ケース18から硬質シリコーン樹脂層19Hが遊離することを防止する。つまり、第4実施形態に係るパワー半導体モジュール4000は「耐熱シリコーンゲルが耐熱ケースから遊離して、封止機能が崩壊する」という問題を解決するとともに、寿命の大幅な延長を達成することができる。
実際に、第1実施形態で示した「定量評価」と同一の条件、同一の耐熱シリコーン樹脂サンプルA、B、Cで250℃放置試験を実施したところ、第3実施形態に示したパワー半導体モジュール3000とほぼ同等の寿命が得られた。故障モードは、第3実施形態と同様に、面内応力緩和体21の中央開口部23に位置する硬質シリコーン樹脂層19Hに亀裂が入る故障モードであった。
[第5実施形態の説明]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。前述した第1〜第4実施形態では、樹脂封止系(耐熱ケース18、耐熱シリコーンゲル19、面内応力緩和体21)の耐熱寿命が長寿命化するので、耐熱ケース18から耐熱シリコーンゲル19(硬質シリコーン樹脂層19H)が遊離するという故障モードを解決した。これに代わり、面内応力緩和体21の中央開口部23(図1(c)参照)に位置する硬質シリコーン樹脂層19Hに亀裂が入るという、新たな故障モードが顕在化して、これが樹脂封止系の寿命を決定するようになった。
第5実施形態に係るパワー半導体モジュールでは、中央開口部23に存在する硬質シリコーン樹脂層19Hに亀裂が生じるという故障モードの発生時期を遅らせ、樹脂封止系の耐熱寿命をより一層長寿命化することを目的としている。以下、詳細に説明する。
図12は、第5実施形態に係るパワー半導体モジュール5000の構成を示す説明図であり、図12(a)は上面図、図12(b)は図12(a)に示すA−A’断面図、図12(c)は図12(b)に示すB−B’断面図である。
図12において、面内応力緩和体21’以外の構成は、前述した第1実施形態と同一であるので、同一符号を付して構成説明を省略する。図12(b)に示すように、耐熱ケース18の内面には、面内応力緩和体21’を支持するためのザグリ20が形成されている。ザグリ20の底部はテーパ状に形成されている。耐熱ケース18は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナやその他の耐熱セラミック等の耐熱素材で成形されるが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
面内応力緩和体21’は、耐熱ケース18のザグリ20に嵌め込まれとき、耐熱ケース18のザグリ20の側壁に外縁が接し、且つ、ザグリ20のテーパが始まる水平位置で支持される構成とされている。面内応力緩和体21’の材質は、耐熱ケース18と同様にポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナや他の耐熱セラミック等の耐熱素材が適しているが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
第5実施形態で用いる面内応力緩和体21’は、第1実施形態で用いた面内応力緩和体21に対して、中央開口部23(図1参照)の領域に格子枠が形成されている点で相違している。即ち、第1実施形態で示した面内応力緩和体21は、図1(c)に示したように、矩形状の応力緩和素片21aと、該応力緩和素片21aの外側に突起する支持素片21bからなり、応力緩和素片21aの内側は中央開口部23となっていた。
これに対して、第5実施形態では、図12(c)に示すように、応力緩和柱21fが格子状に配置されて面内応力緩和体21’を形成している。即ち、耐熱ケース18の開口部全体を覆うように、応力緩和柱21fが格子状に設けられている。そして、その隙間部分が小開口部22とされている。小開口部22の一辺、及び高さは0.3mm〜5mmの間の値が望ましく、好ましくは2.5mmとするのがよい。
また、耐熱ケース18の内部には、面内応力緩和体21’を埋めるように、耐熱シリコーンゲル19が充填されている。面内応力緩和体21’の高さ方向の位置は、耐熱シリコーンゲル19が長期高温加熱されたとき成長する硬質シリコーン樹脂層19Hの最大厚み中央付近に位置するようザグリ20の位置や耐熱シリコーンゲル19の注入量が調節される。なお、「硬質シリコーン樹脂層19Hの最大厚み」とは、前述した第1〜第4実施形態に係るパワー半導体モジュールが、寿命を迎えるときまでに成長する硬質シリコーン樹脂層の厚みを示している。
また、第5実施形態の変形例として、耐熱ケース18と面内応力緩和体21’を同一の材料とする選択が可能である場合には、耐熱ケース18と面内応力緩和体21’を一体成型する構成としてもよい。
なお、第5実施形態に係るパワー半導体モジュール5000の製造方法は、前述した第1実施形態と同一であるので製造方法の説明を省略する。
[第5実施形態の効果の説明]
第1〜第4実施形態が寿命を迎えるときに共通して観察される「硬質シリコーン樹脂層19Hが裂ける」という故障モードは、材料力学的には、硬質シリコーン樹脂層19Hが自らの収縮応力に対抗しきれなくなり、自らが裂けることで収縮応力を開放するプロセスであると考えられる。また、これらの亀裂(故障)は、常に中央開口部23(図1(c)、図4(b)参照)で起こって、面内応力緩和体の骨格(=鉄筋コンクリートの“鉄筋”に相当)に近接する小開口部22では発生しないという実験事実は、耐熱ケース18からの硬質シリコーン樹脂層19Hの遊離を防ぐ面内応力緩和体の骨格構造が「硬質シリコーン樹脂層が裂ける」という故障の解決にも有効であることを示唆している。
図13は、十分長い時間高温で放置した後(例えば、250℃、500時間)、或いは非常に高い温度を含む冷熱サイクルを繰り返して実行した後(例えば、−40℃〜250℃、500サイクル)の、第5実施形態に係るパワー半導体モジュール5000の状態を示しており、図13(a)は上面図、図13(b)は図13(a)に示すA−A’断面図、図13(c)は図13(b)に示すB−B’断面図である。
そして、図13から理解されるように、第5実施形態においては、面内応力緩和体21’の骨格格子構造が耐熱ケース18近傍のみならず、硬質シリコーン樹脂層19H全面に埋設されている。従って、前述した第1〜第4実施形態で示した中央開口部23(図1(c)、図4(b)参照)に存在する硬質シリコーン樹脂層19Hの収縮応力をも緩和することができることが判る。この作用により、第5実施形態に係るパワー半導体モジュール5000は、第1〜第4実施形態の故障モードであった「硬質シリコーン樹脂層が裂ける」不良の発生時期、即ち、寿命を延長することができるという効果が得られる。
このように、第5実施形態では、面内応力緩和体21’が、耐熱ケース18の、上面開口部全体に亘って配置されているので、耐熱ケース18の側壁近傍のみならず、耐熱ケース18の開口部全体を強固に固定することができ、開口部全体の硬質シリコーン樹脂層19Hの収縮応力を緩和することができる。
実際に、第1実施形態の「定量評価」に記載した内容と同一の条件、同一の耐熱シリコーン樹脂サンプルA、B、Cで250℃放置試験を実施したところ、図16に記載したように、第1〜第4実施形態で示したパワー半導体モジュールの寿命を大きく超える長寿命が得られた。また、第5実施形態の故障モードは、第3実施形態と同様に、面内応力緩和体21の中央開口部23に存在する硬質シリコーン樹脂層19Hに亀裂が入る故障モードであった。
[第6実施形態の説明]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図14A、図14Bは、第6実施形態に係るパワー半導体モジュール6000構成を示す説明図であり、図14A(a)は上面図、図14A(b)は図14A(a)に示すA−A’断面図、図14A(c)は図14A(b)に示すC−C’断面図である。また、図14B(d)は図14A(c)に示すB−B’断面図、図14B(e)は図14B(d)に示すD−D’断面図である。
そして、第6実施形態に係るパワー半導体モジュール6000では、前述した第5実施形態と対比して、樹脂封止系の面内応力緩和体21’の応力緩和作用をより一層強化して、樹脂封止系の耐熱寿命をより長寿命化する。
第6実施形態に係るパワー半導体モジュール6000は、前述した第5実施形態と対比して、樹脂封止系(耐熱ケース18、耐熱シリコーンゲル19、面内応力緩和体21’)のみが相違し、それ以外の構成は第5実施形態と同一構成である。即ち、第6実施形態では、図14A(b)に示すように、耐熱ケース18の内面にザグリ20が形成されている。但し、第5実施形態と異なり、ザグリ20はテーパ状とされていない。また、図14A(c)に示すように、耐熱ケース18の内部には、面内応力緩和体21’が設けられている。該面内応力緩和体21’は、前述した第5実施形態と同様に、応力緩和柱21fが格子状に形成されている。更に、これに加えて第6実施形態では、格子状の応力緩和柱21fの縦と横が交差する部位に、それぞれ突起部21eが立設されている。即ち、図14A(b)、及び図14B(e)に示すように、応力緩和柱21fの上下方向に向けて円柱形状の突起部21eが形成されている。
耐熱ケース18は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナやその他の耐熱セラミック等の耐熱素材で成形されるが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。
面内応力緩和体21’は、耐熱ケース18の内面に形成されたザグリ20に嵌め込まれたとき、底部で自然に支持されるように形成されている。面内応力緩和体21’の材質は、耐熱ケース18と同様に、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱硬質樹脂や、アルミナやその他の耐熱セラミック等の耐熱素材が適しているが、これら以外の耐熱素材を用いてもよい。応力緩和柱21fの隙間部分は、小開口部22とされており、該小開口部22の一辺、高さは0.3mm〜5mmの間の値が望ましく、好ましくは2.5mmとするのがよい。
耐熱ケース18の内側には、面内応力緩和体21’を埋めるように、耐熱シリコーンゲル19が充填されている。面内応力緩和体21’を設置する高さは、耐熱シリコーンゲル19が長期高温加熱されたとき成長する硬質シリコーン樹脂層19Hの最大厚み中央付近に位置するようザグリ20の位置や耐熱シリコーンゲル19の注入量が調節される。
また、第6実施形態の変形例として、耐熱ケース18と面内応力緩和体21’を同一の材料とする選択が許される場合には、耐熱ケース18と面内応力緩和体21’を一体成型する構成にすることもできる。
なお、第6実施形態に係るパワー半導体モジュール6000の製造方法は、前述した第1実施形態で示した第1工程〜第5工程と同様であるので、詳細な説明を省略する。
[第6実施形態の効果の説明]
第6実施形態に係るパワー半導体モジュール6000では、前述した第5実施形態と同様に、格子状の応力緩和柱21fが設けられ、これに加えて、応力緩和柱21fが形成する平面と直交する方向に円柱形状の突起部21eが立設されている。従って、突起部21eが存在することにより、より一層、収縮方向の応力を緩和させることができ、第5実施形態に係るパワー半導体モジュール5000よりも、高温動作寿命を長寿命化することが可能となる。
実際に、第1実施形態の「定量評価」にて記載と内容と同一条件、同一耐熱シリコーン樹脂サンプルA、B、Cで250℃放置試験を実施したところ、図16に記載したように、前述の第5実施形態に係るパワー半導体モジュール5000の寿命を更に超える長寿命化が確認された。第6実施形態の故障モードは小開口部22の硬質シリコーン樹脂層19Hに亀裂が入る故障モードであった。
以上、本発明のパワー半導体モジュール、及びその製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
11 絶縁配線基板
12 絶縁板
13S、13D 表面導体
14 裏面導体
15 パワー半導体装置
16 ボンディングワイヤ
17 放熱器
18 耐熱ケース
19 耐熱シリコーンゲル
19H 硬質シリコーン樹脂層
20 ザグリ
21、21’ 面内応力緩和体
21a 応力緩和素片
21b 支持素片
21c 応力緩和柱
21d 底面
21e 突起部
21f 応力緩和柱
22 小開口部
23 中央開口部
24 支柱
25 基体リング
26 応力緩和柱
110 空隙
1000、1000’ パワー半導体モジュール
2000 パワー半導体モジュール
3000 パワー半導体モジュール
4000 パワー半導体モジュール
5000 パワー半導体モジュール
6000 パワー半導体モジュール

Claims (17)

  1. 複数の側壁に囲まれた耐熱ケースと、
    パワー半導体装置が実装され、前記耐熱ケースの底部に配置された絶縁配線基板と、
    前記絶縁配線基板と直接的或いは間接的に接して、該絶縁配線基板にて発生した熱を放熱する放熱器と、
    前記耐熱ケース内に充填される耐熱シリコーンゲルと、
    前記耐熱ケース内の前記側壁の近傍に配置され、且つ、前記耐熱シリコーンゲルの内部に埋設され、前記耐熱シリコーンゲルの硬化時に、該耐熱シリコーンゲルの前記側壁からの遊離を防止する面内応力緩和体と、
    を備えたことを特徴とするパワー半導体モジュール。
  2. 前記面内応力緩和体を埋設した耐熱シリコーンゲルの上層部が、後の高温加熱により耐熱シリコーンゲルが変性してできる硬質シリコーン樹脂層の前駆体層であることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
  3. 前記面内応力緩和体は、
    前記耐熱ケースの側壁の内面に沿って近接配置された柱体状の応力緩和素片と、前記応力緩和素片から壁面に向けて突起する複数の支持素片から成ること
    を特徴とする請求項1または2に記載のパワー半導体モジュール。
  4. 前記応力緩和素片に、前記耐熱ケースの上下方向に立設された応力緩和柱を備えたこと
    を特徴とする請求項3に記載のパワー半導体モジュール。
  5. 前記面内応力緩和体は、前記耐熱ケースの側壁の内面に接していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール。
  6. 前記応力緩和素片は、断面矩形状を成し、断面の一辺は0.3mm〜5mmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載のパワー半導体モジュール。
  7. 前記面内応力緩和体の材質は、耐熱硬質樹脂、または耐熱セラミックであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール。
  8. 前記面内応力緩和体の材質は、耐熱硬質樹脂であり、更に、該耐熱硬質樹脂は、ポリフェニレンサルファイド、またはポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項7に記載のパワー半導体モジュール。
  9. 前記耐熱ケースの材質は、耐熱硬質樹脂または耐熱セラミックであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール。
  10. 前記耐熱ケースの材質は、耐熱硬質樹脂であり、更に、該耐熱硬質樹脂は、ポリフェニレンサルファイド、または、ポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項9に記載のパワー半導体モジュール。
  11. 前記面内応力緩和体は、前記耐熱ケースに支持されていることを特徴とする請求項1記載のパワー半導体モジュール。
  12. 前記耐熱ケースと前記面内応力緩和体は、同一の材料で一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
  13. 前記面内応力緩和体は、前記放熱器に立設された複数の支柱により支持されることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
  14. 前記面内応力緩和体は、前記耐熱ケースの側壁の内面に接する矩形リング形状の基体リングと、該基体リングに対して、前記耐熱ケースの上下方向に立設され、前記基体リングと一体化された応力緩和柱と、
    からなることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
  15. 前記面内応力緩和体は、前記耐熱ケースの、上面開口部全体に亘って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体モジュール。
  16. 洗浄した絶縁配線基板を用意する第1工程と、
    前記第1工程の後に、ダイボンドとワイヤボンドとでパワー半導体装置を実装する第2工程と、
    前記第2工程の後、前記ダイボンドよりも低融点のはんだで絶縁配線基板を放熱器に接合する第3工程と、
    前記第3工程の後、前記放熱器の上面に耐熱ケースを耐熱接着剤で接着し、その後、前記耐熱ケースの内部の適所に面内応力緩和体を設置する第4工程と、
    前記第4工程の後、前記耐熱ケースの内側に耐熱シリコーンゲルの前駆体を少なくとも面内応力緩和体の高さよりも高い位置まで流し込み、所定の熱処理条件で前記前駆体をゲル化させる第5工程と、
    を備えたことを特徴とするパワー半導体モジュールの製造方法。
  17. 洗浄した絶縁配線基板を用意する第1工程と、
    前記第1工程の後に、ダイボンドとワイヤボンドとでパワー半導体装置を実装する第2工程と、
    前記第2工程の後、前記ダイボンドよりも低融点のはんだで、絶縁配線基板を放熱器に接合する第3工程と、
    前記第3工程の後、面内応力緩和体と一体成型した耐熱ケースを耐熱接着剤で前記放熱器に接着する第4工程と、
    前記第4工程の後、前記耐熱ケースの内側に耐熱シリコーンゲルの前駆体を少なくとも面内応力緩和体の高さよりも高い位置まで流し込み、所定の熱処理条件で前記前駆体をゲル化させる第5工程と、
    を備えたことを特徴とするパワー半導体モジュールの製造方法。
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