JP2015204133A - 水系バインダ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存の電極塗工設備への適用が可能であり、環境負荷を低減可能で、機械的強度も向上する、水溶性ポリイミドのバインダ樹脂を提供する。
【解決手段】三級アミンと、カルボキシル基および/又は水酸基を有するポリイミドと、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤とを含む、水系バインダ組成物に、活物質、導電助剤を添加・分散させ、集電体上に塗布、乾燥、および硬化して電極を作製する。
【選択図】なし
【解決手段】三級アミンと、カルボキシル基および/又は水酸基を有するポリイミドと、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤とを含む、水系バインダ組成物に、活物質、導電助剤を添加・分散させ、集電体上に塗布、乾燥、および硬化して電極を作製する。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の電極に使用可能な水系バインダ組成物に関する。
近年、環境保護のため、車両や携帯電話の電源として、小型で高出力密度を有する電池が望まれている。中でも、リチウムイオン二次電池は活物質の出力密度が高いことから注目が集まり、各種部材の開発が進められている。
その部材の一つである電極に関しては、負極活物質として炭素材料が一般的に使用されているが、電池容量の更なる向上を目的としてシリコン系材料の検討が進められている。シリコン系材料は充放電による体積変化が大きいため、バインダ樹脂の機械的強度が十分でないと、電極として所望の特性を発現することが出来ない。そのため、ポリイミドをバインダ樹脂として使用する検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。
ポリイミドは機械的強度には優れるものの、一般的に有機溶剤に対して難溶性の高分子であるため、可溶性である前駆体のポリアミド酸を成形した後、イミド化する手法がとられる。この時、イミド化のために少なくとも200℃以上の加熱が必要であるため、既存の電極塗工装置では対応できず、別途焼成炉を設ける必要がある。また、高温での焼成は集電箔の酸化劣化が発生するため、不活性雰囲気下で加熱できる焼成炉が必要となる。
一方、環境への配慮から、水に分散可能な高分子をバインダ樹脂として使用し、水溶媒の電極塗工液を用いる検討もなされている。この場合も、水に不溶であるポリイミドはバインダ樹脂として使用できない。水溶性のポリアミド酸に関する検討はなされているが(例えば、特許文献2参照)、イミド化の際には高温加熱が必要である点は改善されていないという課題があった。
従来報告されているポリイミドのバインダ樹脂では、既存の電極塗工設備への適用、ならびに環境負荷低減が困難である。
上記事情に鑑み、本発明者は既存の電極塗工設備への適用が可能であり、環境負荷を低減可能な水溶性ポリイミドのバインダ樹脂を実現すべく鋭意検討を重ねた結果、カルボキシル基および/または水酸基を有するポリイミド、三級アミン、ならびに、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基を二つ以上有する化合物の組み合わせにより上記課題を解決できることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、三級アミンと、カルボキシル基および/または水酸基を有するポリイミドと、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤とを含む、水系バインダ組成物に関する。
本発明の水系バインダ組成物においては、上記ポリイミドが、分子中にカルボキシル基および/または水酸基を一つ以上有する芳香族ジアミン化合物を原料として用いて得られるポリアミド酸をイミド化して成るものが好ましい。
本発明の水系バインダ組成物においては、上記三級アミンの沸点が160℃未満であることが好ましい。
本発明の水系バインダ組成物においては、上記ポリイミド中のカルボキシル基および水酸基のモル数に対して0.8当量以上の三級アミンが添加されることが好ましい。
本発明の水系バインダ組成物は、本発明の水系バインダ組成物に活物質、導電助剤を添加・分散させ、集電体上に塗布、乾燥、および硬化して得られる、リチウムイオン二次電池用電極として使用されることが好ましい。
本発明によれば、イミド化が完了している状態で水溶性を示すポリイミドを含む水系バインダ組成物が得られる。本発明の水系バインダ組成物は既存設備に適用しつつ環境負荷を下げることが可能となり、またポリイミド分子鎖同士の架橋により機械強度も向上するため、シリコン系活物質と組み合わせれば電池の容量向上も可能となる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の水系バインダ組成物は、三級アミンと、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドとを含む。本願における水系バインダ組成物とは、リチウムイオン二次電池の電極を構成する成分のうち、活物質と導電助剤を除いたものを示す。実際の使用においては、活物質と導電助剤を適宜添加・混合すればよい。
本発明の水系バインダ組成物に使用するポリイミドは、カルボキシル基および/又は水酸基を有する。ここでいうカルボキシル基とは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に由来するカルボキシル基ではなく、イミド化が完了した状態で存在しているカルボキシル基を示す。カルボキシル基又は水酸基の個数が多いほど水溶性を発現しやすくなるため好ましいが、多すぎると高分子鎖の立体障害が大きくなり、分子鎖のパッキングが低下してポリイミド樹脂の機械強度が低下する場合がある。
カルボキシル基および/又は水酸基の含有率は芳香族ジアミン化合物および芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計モル数に対して、カルボキシル基および水酸基のモル数が8倍以下とすることが好ましい。逆にカルボキシル基および/又は水酸基の個数が少ないと水溶性を発現しなくなる。カルボキシル基および/または水酸基の含有率は、芳香族ジアミン化合物および芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計モル数に対して、カルボキシル基および水酸基のモル数が2倍以上とすることが好ましい。
ポリイミド構造中へのカルボキシル基及び/又は水酸基の導入方法については、原料となる芳香族ジアミン化合物もしくは芳香族テトラカルボン酸二無水物として、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するものを使用すればよい。入手のしやすさから分子中にカルボキシル基及び/又は水酸基を一つ以上有する芳香族ジアミン化合物を原料として用いることが好ましい。具体的な例としては、3,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。これらの芳香族ジアミン化合物は二種以上を混合して用いても良い。
得られるポリイミドの水への溶解性を損なわない範囲で、カルボキシル基および/または水酸基を有しない芳香族ジアミン化合物を併用しても良い。具体的な例として、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
組み合わせる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては従来公知のものを用いることが出来る。具体的な例として、3,3'、4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらのうち、工業的に入手しやすい点から、3,3'、4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、ピロメリット酸二無水物が好ましく用いられ得る。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物は二種以上を混合して用いても良い。
本発明の水系バインダ組成物に使用するポリイミドは、上記芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸二無水物の反応で生成するポリアミド酸をイミド化して得られる。ポリアミド酸は公知のあらゆる方法を用いて製造することができ、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物および芳香族ジアミン化合物の実質的等モル量をそれぞれ有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物との重合が完了するまで撹拌することによって製造される。
ポリアミド酸を合成するための好ましい有機溶媒としては、ポリアミド酸を溶解する有機溶媒であればいかなるものも用いることができるが、その中でもアミド系溶媒が好ましい。アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好ましく、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドがより好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物との重合方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸溶液は、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%のポリアミド酸濃度で得られることが好ましい。ポリアミド酸濃度がこの範囲である場合に、適当な分子量を有するポリアミド酸が得られると共に、ポリアミド酸溶液の粘度を適切な範囲とすることができる。
ポリアミド酸を脱水閉環させてポリイミドとする手段としては、触媒ならびに化学脱水剤を含有するイミド化促進剤をポリアミド酸に添加し、適宜加熱してイミド化する化学イミド化法、イミド化促進剤を添加せずに加熱のみでイミド化する熱イミド化法が挙げられる。本発明で使用するポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、アミド酸結合以外の位置にカルボキシル基又は水酸基を有するため、化学イミド化法ではこれらの官能基がイミド化促進剤と反応してしまう可能性がある。従って、イミド化促進剤を使用しない熱イミド化法で行うことが好ましい。
熱イミド化法では化学脱水剤を添加しないため、イミド化反応の副生成物である水によってポリアミド酸の分解反応が進んでしまう場合がある。イミド化反応を減圧下で行うことで副生成物の水が反応系外に速やかに排除されるため、得られるポリイミドの分子量低下を抑えられるため好ましい。
本発明の水系バインダ組成物に使用するポリイミドは、最終的に得られるポリイミドが三級アミンの存在下で水溶性を示せば良く、カルボキシル基および/または水酸基を有するポリイミドの前駆体であるポリアミド酸と、カルボキシル基および/または水酸基を有さないポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を混合してイミド化しても良い。混合の割合は、最終的に得られるポリイミドが水溶性を示す範囲で適宜調整すれば良い。
本発明の水系バインダ組成物は三級アミンを含む。一級ならびに二級アミンはポリイミドのアルカリ加水分解を引き起こす可能性があるため使用しない。使用する三級アミンは従来公知のものが用いられ得るが、水系バインダ組成物に使用することから、水溶性である必要がある。水溶性であれば性状を問わず、液状、固体状いずれも使用することが出来る。具体的な例としては、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾールなどが挙げられる。これらの三級アミンは二種以上を混合して用いても良い。
本発明の水系バインダ組成物に用いられる三級アミンは上記ポリイミドのカルボキシル基および水酸基に配位して、ポリイミドに水溶性を発現させる作用をもたらす。従って、最終的に集電体上に電極を形成した状態では電極中に残留している必要性は無く、むしろ電池反応に影響を及ぼす可能性があるため、電極塗工の工程で揮発除去されることが好ましい。本発明の目的として、既存の電極塗工装置で工程が完了する必要があるため、三級アミンの沸点が高いと電極塗工の工程で除去しきれない可能性がある。従って、三級アミンの沸点は160℃未満であることが好ましい。
本発明の水系バインダ組成物中の三級アミンの添加比率は、ポリイミド中のカルボキシル基ならびに水酸基のモル数に対して、0.8当量以上であることが好ましく、1.0当量以上であることが更に好ましく、1.5当量以上であることが特に好ましい。三級アミンが上記比率よりも低いと、ポリイミドに十分な水溶性が発現しない可能性がある。三級アミンが多ければ多いほどポリイミドの水溶性が向上するわけではなく、ある程度の添加量で水溶性発現の効果は飽和する。逆に三級アミンが多すぎると、電極塗工時の乾燥で除去しきれない場合がある。三級アミンの添加比率は、ポリイミドのカルボキシル基のモル数に対して、4.0当量以下であることが好ましい。
本発明の水系バインダ組成物に用いられるポリイミドはカルボキシル基および/または水酸基を有することにより、三級アミンとの組み合わせによって水溶性を発現する。その一方で、カルボキシル基および/または水酸基を側鎖に有することによってポリイミド前駆体であるポリアミド酸の重合反応時に立体障害となり易く、得られるポリアミド酸ならびにポリイミドの分子量が上がりにくい。分子量が低いと機械強度の低下に繋がるため、バインダ樹脂として使用した際に充放電時の活物質の膨張・収縮に耐えきれず、所望の電池性能が得られない場合がある。この課題を解決するため、本発明の水系バインダ組成物では、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤を成分の一つとして含む。
ここでいう「カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基」とは、カルボキシル基および/または水酸基と反応して化学結合を形成する官能基を示す。アルコキシ基のように、自らは反応により脱離してしまっても、結果として結合が形成されていれば、これに含まれる。触媒の必要性、加熱の必要性は特に限定しない。具体例として、イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、アルコキシ基が挙げられる。これら官能基がポリイミド鎖のカルボキシル基および/または水酸基と反応することによってポリイミド鎖が架橋し、機械強度が向上する。架橋剤として作用するため、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基は、分子中に二つ以上有する必要がある。官能基の数が多いほど架橋点が増えるため機械強度が向上し好ましいが、多すぎると電極塗工液の状態でゲル化が進み塗工が困難になってしまう場合がある。ゲル化が生じるかどうかはポリイミド分子鎖中のカルボキシル基および/または水酸基の個数、架橋剤との混合比によっても左右されるため、適宜調整すれば良い。イソシアネート基を有する架橋剤としては、イソシアネート樹脂、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物などが例示される。エポキシ基を有する架橋剤としては、エポキシ樹脂などが例示される。カルボジイミド基を有する架橋剤としては、ジカルボジイミド化合物、トリカルボジイミド化合物、カルボジイミドポリマーなどが例示される。アルコキシ基を有する架橋剤としては各種金属アルコキシドなどが例示される。
本発明は水系バインダ組成物に関わるため、架橋剤についても水に溶解するものを用いる。水溶性を発現するための手段については特に限定されず、例えば主鎖としてポリエチレングリコールのような水溶性の構造を適用し、これに側鎖として上記官能基を設ける手段などが用いられ得る。
架橋剤の添加量については、ポリイミド分子鎖中のカルボキシル基または水酸基の個数、ならびに架橋剤中の官能基の個数によるため適宜選択すればよいが、ポリイミド100重量部に対して0.1〜100重量部であることが好ましく、1〜50重量部であることが更に好ましく、1〜20重量部であることが特に好ましい。架橋剤の添加量が多すぎると、上述の通り電極塗工液の状態でゲル化が進んでしまい塗工が困難になってしまったり、活物質や導電助剤の比率が相対的に低くなるので、得られる電極の電気抵抗値が高くなってしまう場合がある。逆に少なすぎると架橋効果が十分に発現せず、バインダ樹脂の機械強度が低いために所望の電池性能が得られない場合がある。
ポリイミドに三級アミンを添加して水に溶解させる手段としては特に限定されず、従来公知の手段、条件が用いられ得る。架橋剤の溶解・混合手段についても同様である。更に活物質、導電助剤を添加・分散することで電極塗工液が得られるが、活物質ならびに導電助剤の種類、混合比率、添加順序、分散手段、塗工液濃度についても特に限定されず、電極の種類に応じて適宜調整すればよい。本発明の水系バインダ組成物は活物質の膨張収縮による体積変化に耐える機械強度を有するため、シリコン系活物質に対して特に好適である。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、上記電極塗工液を集電体上に塗布し、加熱により溶媒である水を揮発させることにより得られる。塗工液を集電体上に塗布させる手段としては従来公知の手法が利用可能であり、例えばダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、リバースコーターなどが挙げられる。溶媒である水を揮発させる装置についても従来公知の手法が利用可能であり、例えば熱風乾燥炉が挙げられる。
本発明の水系バインダ組成物を用いた電極塗工液は、イミド化が完了した水溶性ポリイミドを用いることにより、既存の電極塗工設備で集電体への塗工が可能であり、塗工後の高温焼成も不要である。従って、遠赤外線乾燥炉などの特殊な装置の導入は不要であり、通常よく用いられる熱風乾燥炉を適用することが出来る。また、高温による集電体の酸化も抑えることが出来る。添加する架橋剤についても100℃前後で架橋反応が進むものを適宜選択すれば、溶媒である水を揮発するのと並行して架橋反応を進めることが出来、工程数の増加も抑えることが出来る。
実施例ならびに比較例で得られたポリイミドの水溶解性評価ならびに機械強度評価、電極バインダ樹脂として使用した際の電池評価は、次の方法により行った。
(ポリイミドの水溶解性)
実施例及び比較例で得られたポリイミド樹脂に対し、ポリイミド樹脂の固形分濃度が15%となるように純水を添加し、更にポリイミド中のカルボキシル基のモル数に対して2.0当量に相当するN,N−ジメチルアミノエタノールを添加して、あわとり練太郎(株式会社シンキー製)で1000rpm、10分間分散を行った。その後、目視で確認し、溶け残りがなく均一な溶液になっているものを溶解したとみなした。溶け残りは無いがゲル状になっているものは室温で一晩放置し、均一な溶液になっているものは溶解したとみなした。
実施例及び比較例で得られたポリイミド樹脂に対し、ポリイミド樹脂の固形分濃度が15%となるように純水を添加し、更にポリイミド中のカルボキシル基のモル数に対して2.0当量に相当するN,N−ジメチルアミノエタノールを添加して、あわとり練太郎(株式会社シンキー製)で1000rpm、10分間分散を行った。その後、目視で確認し、溶け残りがなく均一な溶液になっているものを溶解したとみなした。溶け残りは無いがゲル状になっているものは室温で一晩放置し、均一な溶液になっているものは溶解したとみなした。
(ポリイミドの機械強度評価)
実施例及び比較例で得られたポリイミドフィルムに対し、JIS K7128−1に基づいてトラウザー引裂きを実施した。引裂き値が50g/mm以上であるものを合格とした。
実施例及び比較例で得られたポリイミドフィルムに対し、JIS K7128−1に基づいてトラウザー引裂きを実施した。引裂き値が50g/mm以上であるものを合格とした。
(ポリイミドをバインダ樹脂として用いた際の電池評価)
1.電極塗工液の作製
実施例ならびに比較例で得られたポリイミド水溶液(実施例は架橋剤含む)4.0g、水10.5g、活物質として酸化ケイ素13.5gを混合し、撹拌脱泡を行い、電極塗工液を得た。
2.電極の作製
上記1.で作製した電極塗工液を、20μm厚みの電解銅箔上にドクターブレードを用いて塗布し、乾燥、プレスを行い、負極活物質層を持つ負極電極を得た。
3.電池の作製
電極セルはフラットセル(宝泉株式会社)を用いた。対極は、直径16mm、厚さ0.5mmの円筒形Li箔、セパレーターは直径24mmに切り抜いたセルガード2500(ポリプロピレン製、宝泉株式会社)、作用極は直径15mmに切り抜いた2の電極、電解液は1mol/L LiPF6のエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネート混合溶液(商品名:LBG−96533、キシダ化学株式会社)を用いた。
セルの作製は、以下の手順で、アルゴン雰囲気下で行った。セル中に対極、電解液を含浸させたセパレーター、作用極の順に重ねた。このとき、対極とセパレーターは直径15mmの円形領域、作用極とセパレーターは直径16mmの円形領域のみが接触し、作用極と対極が接触しないようにした。次いで、対極と作用極にSUS304製電極をそれぞれ接続(それぞれ電極A、電極Bとする)し、セル中にガスの出入りが起こらないようにセルを密閉系にした。
4.充放電測定
測定は以下の手順で行った。セルを45℃の恒温槽に入れ、1時間静置した。45℃にて定電流定電圧方式(CCCV、電流:0.1C、電圧:0.005V)で充電を行なった。その後、定電流(CC、電流:0.1C)で1.5Vまで放電した。
次に、定電流定電圧方式(CCCV、電流:0.5C、電圧:0.005V)で充電を行なった。その後、定電流(CC、電流:0.5C)で1.5Vまで放電した。この充放電過程を1サイクルとし、20サイクル繰り返した。
同様に電流0.1Cで3サイクル充放電を繰り返した。電流0.5Cでの放電容量に着目し、一番最初の放電容量を100とし、電流0.5Cでの合計20サイクル充放電後の放電容量から相対値で放電容量維持率を算出した。
1.電極塗工液の作製
実施例ならびに比較例で得られたポリイミド水溶液(実施例は架橋剤含む)4.0g、水10.5g、活物質として酸化ケイ素13.5gを混合し、撹拌脱泡を行い、電極塗工液を得た。
2.電極の作製
上記1.で作製した電極塗工液を、20μm厚みの電解銅箔上にドクターブレードを用いて塗布し、乾燥、プレスを行い、負極活物質層を持つ負極電極を得た。
3.電池の作製
電極セルはフラットセル(宝泉株式会社)を用いた。対極は、直径16mm、厚さ0.5mmの円筒形Li箔、セパレーターは直径24mmに切り抜いたセルガード2500(ポリプロピレン製、宝泉株式会社)、作用極は直径15mmに切り抜いた2の電極、電解液は1mol/L LiPF6のエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネート混合溶液(商品名:LBG−96533、キシダ化学株式会社)を用いた。
セルの作製は、以下の手順で、アルゴン雰囲気下で行った。セル中に対極、電解液を含浸させたセパレーター、作用極の順に重ねた。このとき、対極とセパレーターは直径15mmの円形領域、作用極とセパレーターは直径16mmの円形領域のみが接触し、作用極と対極が接触しないようにした。次いで、対極と作用極にSUS304製電極をそれぞれ接続(それぞれ電極A、電極Bとする)し、セル中にガスの出入りが起こらないようにセルを密閉系にした。
4.充放電測定
測定は以下の手順で行った。セルを45℃の恒温槽に入れ、1時間静置した。45℃にて定電流定電圧方式(CCCV、電流:0.1C、電圧:0.005V)で充電を行なった。その後、定電流(CC、電流:0.1C)で1.5Vまで放電した。
次に、定電流定電圧方式(CCCV、電流:0.5C、電圧:0.005V)で充電を行なった。その後、定電流(CC、電流:0.5C)で1.5Vまで放電した。この充放電過程を1サイクルとし、20サイクル繰り返した。
同様に電流0.1Cで3サイクル充放電を繰り返した。電流0.5Cでの放電容量に着目し、一番最初の放電容量を100とし、電流0.5Cでの合計20サイクル充放電後の放電容量から相対値で放電容量維持率を算出した。
セパラブルフラスコに410.3gのN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら37.0gのビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン(以下、MBAAともいう)を加え、続いて23.0gのN,N−ジメチルアミノエタノールを加えて撹拌を継続した。目視で溶解を確認してから、36.9gの3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう)を添加し、撹拌を継続した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続した。その後、1.1gのBPDAを14.7gのDMFに分散させたスラリーを徐々に添加した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続し、固形分濃度15%のポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットに広げ、150℃に設定した真空オーブンに投入した。投入後、設定温度を200℃に変更するとともに真空ポンプで減圧を開始した。開始後30分で庫内気圧が2hPaに達し、50分で庫内温度が200℃に達した。更に10分間減圧加熱を続け、合計1時間経過後に真空加熱を停止し、ポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂と用いて水溶解性を確認したところ、溶解した。
上記水溶解性評価後のポリイミド水溶液について、カルボジイミド基を有する架橋剤カルボジライト(SV−02、日清紡ケミカル株式会社製、固形分濃度40%水溶液)を、ポリイミド固形分100重量部に対して架橋剤固形分45重量部となるように添加し、あわとり練太郎で900rpm、5分間分散を行った。得られた混合液を10μm厚みの電解銅箔(古河サーキットフォイル製)上に最終乾燥厚みが10μmとなるようにキャストし、60℃で2分、80℃で2分、120℃で2分乾燥を行った。乾燥後、銅箔をエッチングにより除去し、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、60g/mmであった。放電容量維持率は40%であった。
実施例1と同様の操作を行い、水溶解性のポリイミドを得た。架橋剤としてカルボジライトSV−02の代わりにカルボジライトV−10(日清紡ケミカル株式会社製、固形分濃度40%水溶液)を使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、50g/mmであった。放電容量維持率は40%であった。
実施例1と同様の操作を行い、水溶解性のポリイミドを得た。
水溶解性評価後のポリイミド水溶液について、水系エポキシ樹脂(W2821R70、三菱化学株式会社製、固形分濃度約70%水溶液)を、ポリイミド固形分100重量部に対して架橋剤固形分20重量部となるように添加し、あわとり練太郎で900rpm、5分間分散を行った。得られた混合液を10μm厚みの電解銅箔(古河サーキットフォイル製)上に最終乾燥厚みが10μmとなるようにキャストし、60℃で2分、80℃で2分、150℃で10分乾燥を行った。乾燥後、銅箔をエッチングにより除去し、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、50g/mmであった。放電容量維持率は35%であった。
水溶解性評価後のポリイミド水溶液について、水系エポキシ樹脂(W2821R70、三菱化学株式会社製、固形分濃度約70%水溶液)を、ポリイミド固形分100重量部に対して架橋剤固形分20重量部となるように添加し、あわとり練太郎で900rpm、5分間分散を行った。得られた混合液を10μm厚みの電解銅箔(古河サーキットフォイル製)上に最終乾燥厚みが10μmとなるようにキャストし、60℃で2分、80℃で2分、150℃で10分乾燥を行った。乾燥後、銅箔をエッチングにより除去し、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、50g/mmであった。放電容量維持率は35%であった。
セパラブルフラスコに409.6gのDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら35.3gのMBAAを加え、続いて22.0gのN,N−ジメチルアミノエタノールを加えて撹拌を継続した。目視で溶解を確認してから、38.5gの3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)を添加し、撹拌を継続した。BTDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続した。その後、1.2gのBTDAを15.4gのDMFに溶解させた溶液を徐々に添加した。BTDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続し、固形分濃度15%のポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、ポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂と用いて水溶解性を確認したところ、溶解した。
上記水溶解性評価後のポリイミド水溶液について、実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、60g/mmであった。放電容量維持率は40%であった。
セパラブルフラスコに412.5gのDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら42.6gのMBAAを加え、続いて26.5gのN,N−ジメチルアミノエタノールを加えて撹拌を継続した。目視で溶解を確認してから、31.5gのピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)を添加し、撹拌を継続した。PMDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続した。その後、1.0gのPMDAを12.5gのDMFに溶解させた溶液を徐々に添加した。PMDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続し、固形分濃度15%のポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、ポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂と用いて水溶解性を確認したところ、溶解した。
上記水溶解性評価後のポリイミド水溶液について、実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、60g/mmであった。放電容量維持率は35%であった。
セパラブルフラスコに408.4gのDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら20.9gのMBAAと11.1gの3,5−ジアミノ安息香酸(以下、DABAともいう)を加え、続いて26.0gのN,N−ジメチルアミノエタノールを加えて撹拌を継続した。目視で溶解を確認してから、41.7gのBPDAを添加し、撹拌を継続した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続した。その後、1.3gのBPDAを16.6gのDMFに分散させたスラリーを徐々に添加した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続し、固形分濃度15%のポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、ポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂と用いて水溶解性を確認したところ、溶解した。
上記水溶解性評価後のポリイミド水溶液について、実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムについてトラウザー引裂きを測定したところ、60g/mmであった。放電容量維持率は35%であった。
(比較例1)
実施例1と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、10g/mmであった。放電容量維持率は9%であった。
実施例1と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、10g/mmであった。放電容量維持率は9%であった。
(比較例2)
実施例4と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例4と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、10g/mmであった。放電容量維持率は10%であった。
実施例4と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例4と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、10g/mmであった。放電容量維持率は10%であった。
(比較例3)
実施例5と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例5と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、10g/mmであった。放電容量維持率は10%であった。
実施例5と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例5と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、10g/mmであった。放電容量維持率は10%であった。
(比較例4)
実施例6と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例6と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、5g/mmであった。放電容量維持率は8%であった。
実施例6と同様の操作を行って得られたポリイミド樹脂について、架橋剤を添加しない以外は実施例6と同様の操作を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムに対してトラウザー引裂きを測定したところ、5g/mmであった。放電容量維持率は8%であった。
(比較例5)
セパラブルフラスコに403.80gのDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら20.2gのp−PDAを加え、撹拌を継続した。目視で溶解を確認してから、53.2gのBPDAを添加し、撹拌を継続した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続した。その後、1.7gのBPDAを21.2gのDMFに分散させたスラリーを徐々に添加した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続し、固形分濃度15%のポリアミド酸溶液を得た。
セパラブルフラスコに403.80gのDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌しながら20.2gのp−PDAを加え、撹拌を継続した。目視で溶解を確認してから、53.2gのBPDAを添加し、撹拌を継続した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続した。その後、1.7gのBPDAを21.2gのDMFに分散させたスラリーを徐々に添加した。BPDAの溶解を目視で確認してから、30分間撹拌を継続し、固形分濃度15%のポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、ポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂と用いて水溶解性を確認したところ、溶解しなかった。溶解しなかったため、電池試験は実施していない。
(比較例6)
実施例1で得られたポリイミド樹脂を使用し、N,N−ジメチルアミノエタノールを添加せずに水溶解性試験を実施したところ、溶解しなかった。溶解しなかったため、電池試験は実施していない。
実施例1で得られたポリイミド樹脂を使用し、N,N−ジメチルアミノエタノールを添加せずに水溶解性試験を実施したところ、溶解しなかった。溶解しなかったため、電池試験は実施していない。
(参考例)
バインダ樹脂としてポリイミドの代わりにポリフッ化ビニリデン(KF9130:株式会社クレハ製)を使用して電池試験を実施したところ、5サイクルで放電容量がゼロになってしまい、その後正常な充放電が実施できなかった。
バインダ樹脂としてポリイミドの代わりにポリフッ化ビニリデン(KF9130:株式会社クレハ製)を使用して電池試験を実施したところ、5サイクルで放電容量がゼロになってしまい、その後正常な充放電が実施できなかった。
上記の通り、架橋剤を添加せずにフィルム化したポリイミド(比較例1〜4)は機械強度に劣る結果となった。カルボキシル基を有さないポリイミド(比較例5)ならびに三級アミンを添加せずに水に溶解させようとしたポリイミド(比較例6)については、そもそも水溶解性を示さなかった。
これに対し、カルボキシル基が十分に存在する実施例のポリイミドは三級アミンの存在下で水溶解性を示した。さらに架橋剤を添加してフィルム化することで機械強度の向上も確認された。本発明の水系バインダ組成物とシリコン化合物を負極に使用して電池試験を行ったところ、架橋しない比較例に比べて実施例は放電容量維持率が向上した。これにより、本発明の水系バインダ組成物はリチウムイオン二次電池の電極形成材料として有用であることは明らかである。
Claims (5)
- 三級アミンと、カルボキシル基および/または水酸基を有するポリイミドと、カルボキシル基および/または水酸基と反応可能な官能基を二つ以上有する架橋剤とを含む、水系バインダ組成物。
- 前記ポリイミドが、分子中にカルボキシル基および/または水酸基を一つ以上有する芳香族ジアミン化合物を原料として用いて得られるポリアミド酸をイミド化して成る、請求項1記載の水系バインダ組成物。
- 前記三級アミンの沸点が160℃未満である、請求項1または2記載の水系バインダ組成物。
- 前記ポリイミド中のカルボキシル基および水酸基のモル数に対して0.8当量以上の三級アミンが添加されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水系バインダ組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系バインダ組成物に活物質、導電助剤を添加・分散させ、集電体上に塗布、乾燥、および硬化して得られる、リチウムイオン二次電池用電極。
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