JP7070421B2 - 耐熱絶縁層付電極 - Google Patents

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Description

本発明は、電極、電池、これらの製造方法および電池を搭載した車両に関する。
高エネルギー密度の電池では、何らかの理由により金属異物が混入して電池内で短絡が発生した場合に、発熱量が大きくなる。このような発熱時における電池の安全性の確保を目的として、主に無機粒子を用いて電極表面を被覆する絶縁コート技術が知られている。
特許文献1には、正極合剤層または負極合剤層上に絶縁性無機粒子と該粒子を結着させる樹脂とを含む多孔質絶縁層が記載されている。このような絶縁層を設けることで、正極合剤層と負極合剤層との間にあるセパレータの少なくとも一部が熱収縮や溶融により消失したとしても、上記多孔質絶縁層を利用して正極合剤層と負極合剤層とが短絡する事態を回避することができる。絶縁層は、正極合剤層または負極合剤層にコート剤を塗布することで形成される。
特開2010-282849号公報
発熱量が大きい場合には、より耐熱性の高い樹脂を用いた絶縁層が必要とされる。耐熱性の高い樹脂として、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドはその耐熱性ゆえに可塑性に乏しく、一般的には、まずその前駆体であるポリアミック酸のワニスをフィルムや塗膜に賦形し、その後、300℃を上回る高温に曝露することで、ポリアミック酸をポリイミドへと反応(イミド化)させ、最終的に、耐熱性や強度に優れたポリイミド樹脂形成体を得ている。
しかしながら、上述したポリイミド形成体の作製方法を特許文献1に記載の絶縁層の結着剤に適用すると、絶縁層とともに電極も300℃以上の温度で熱処理する必要があるという問題があった。高温での電極の熱処理は、集電体の酸化や、電極合剤層に使用される結着剤の溶融および熱劣化などを引き起こす懸念がある。集電体の酸化は、電極合剤層と集電体の接着強度を低下する結果となる。結着剤の溶融や熱劣化は、電極合剤層の空隙の閉塞や活物質粒子の結着性を損なう結果となる。これらは、電池の特性劣化、特に寿命の低下を引き起こす。
上述した課題に鑑み、本発明の目的は、ポリイミドを含む絶縁層を有するにもかかわらず、熱劣化が抑制された電極を提供することにある。
本発明は、集電体および電極合剤層を有する電極であって、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物およびポリイミドを含む絶縁層を有する電極に関する。
本発明によれば、ポリイミドを含む絶縁層を有するにもかかわらず、熱による劣化が抑制された電極を提供できる。
フィルム外装電池の基本的構造を示す分解斜視図である。 図1の電池の断面を模式的に示す断面図である。
1.電極
電極は、絶縁層を有する。その他の構成は公知の構成と同様であってよい。電極は、絶縁層に加えて、結着剤および活物質を含む電極合剤層と、集電体とを含む。本実施形態に係る電極は、正極として用いても、負極として用いてもよい。
[絶縁層]
絶縁層は、電極に塗布または接着され、電極と一体化しているものを言う。絶縁層は、例えば、電極合剤層や集電体の電極合剤層が塗布されていない部分の上に設けられる。このような場所に絶縁層を設けることにより、正極の電極合剤層または集電体と、負極の電極合剤層または集電体とが、互いに接触することを防止できる。
絶縁層はポリイミドを含む。特に説明がない場合、本明細書において記載「ポリイミド」は、ポリイミドだけでなくポリアミドイミドも包含してよい。
ポリイミド(この場合、ポリアミドイミドは除く)は、少なくとも一部に以下の式(1)で表される繰返し単位を含む高分子である。
Figure 0007070421000001
(式(1)中、Aはテトラカルボン酸二無水物から酸無水物基を除いた4価の基であり、Bはジアミンからアミノ基を除いた2価の基である。)
テトラカルボン酸二無水物およびジアミンはポリイミドの原料として一般に使用される。テトラカルボン酸二無水物とジアミンが縮合し、式(1)中に含まれるイミド基を形成する。
絶縁層に使用されるポリイミドの構造は特に制限されず、市販されているポリイミドであってよい。式(1)において、Aを形成するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、およびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。式(1)において、Bを形成するジアミンとしては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、およびシクロヘキサンジアミン、ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、ジアミノメチルオキシビシクロヘプタンなどの脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
ポリアミドイミドは、少なくとも一部に以下の式(1)’で表される繰返し単位を含む高分子である。
Figure 0007070421000002
(式(1)’中、Aはトリカルボン酸無水物からカルボン酸基および酸無水物基を除いた3価の基であり、Bはジアミンからアミノ基を除いた2価の基である。)
絶縁層に使用されるポリアミドイミドの構造は特に制限されず、市販されているポリアミドイミドであってよい。式(1)’において、Aを形成するトリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ジフェニルメタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。式(1)’において、Bを形成するジアミンとしては、例えば、式(1)で例示されたジアミンなどが挙げられる。
ポリイミドは、式(1)および(1)’の繰返し単位を共に含んでいてもよい。
ポリイミドは、前駆体である式(2)または(2)’により表されるポリアミック酸の繰返し単位を一部に含有してもよい。
Figure 0007070421000003
(式(2)中、AおよびBは、式(1)におけるAおよびBとそれぞれ同一の意味である。)
Figure 0007070421000004
(式(2)’中、AおよびBは、式(1)’におけるAおよびBとそれぞれ同一の意味である。)
ポリイミドにおいて、式(1)または(1)’で表される繰返し単位と式(2)または(2)’で表される繰返し単位の総数に対する式(1)または(1)’で表される繰返し単位の総数の比率(以降、イミド化率とも呼ぶ)は、特に限定されず、当業者により適宜設定されてよい。イミド化率は、ポリアミック酸からポリイミドへ反応させる熱処理の温度により調整できる。イミド化率は、例えば、50%以上や80%以上であってよく、100%であってもよい。ポリアミック酸のイミド化率は、NMRやFTIRを用いて求めることができる。
ポリイミドにおける上記式(1)または(1)’で表される繰返し単位の含有量は特に限定されず、適宜決定される。例えば、全繰返し単位の50mol%以上や80mol%以上であってよく、100mol%であってもよい。
絶縁層におけるポリイミドの含有量は、特に限定されず、当業者により適宜設定されてよい。絶縁層におけるポリイミドの含有量は、その他の添加剤、特に後述する絶縁性フィラーの含有量に依存する。絶縁層が絶縁性フィラーを含まない場合、ポリイミドは絶縁層の主材であってよい。ポリイミドの含有量は、例えば、下限として絶縁層の50質量%以上や80質量%以上であってよく、上限として絶縁層の99.9質量%以下や95質量%以下であってよい。絶縁性フィラーを含む場合、絶縁層は、絶縁性フィラーが主材であってよく、ポリイミドは主には絶縁性フィラーを結着するために添加される。ポリイミドの含有量は、例えば、下限として絶縁層の0.5質量%以上や1質量%以上であってよく、上限として絶縁層の90質量%以下や70質量%以下や50質量%以下であってよい。
絶縁層は、低温においてイミド化を促進する触媒を含む。触媒は、好ましくは電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物(以降、単に「芳香族化合物」とも記載する。)である。有機酸基のみを有する芳香族化合物も、イミド化を促進することが報告されている。しかしながら、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物を使用した場合に、より低い温度による熱処理でも高いイミド化率を得ることができる。熱処理では、絶縁層とともに集電体および電極合剤層も加熱されるが、熱処理の温度を低下することによって、集電体の酸化や、電極合剤層に使用される結着剤の溶融および熱劣化を防止できる。
電子供与性基は、安息香酸のパラ位に置換した場合にハメット則の置換基定数が負となる基であればよい。例えば、電子供与性基としては、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基などが挙げられる。これらの中でもアルキル基、ヒドロキシル基が特に好ましく、ヒドロキシル基が最も好ましい。芳香族化合物に存在する電子供与性基の数は、1個以上あればよい。好ましくは、電子供与性基の数は1個である。アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、例えば、1~4であってよい。
有機酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。これらの中でもカルボン酸基が特に好ましい。芳香族化合物に存在する有機酸基の数は、1個以上であればよいが、好ましくは1個または2個、最も好ましくは1個である。過剰に有機酸基が芳香族化合物に存在すると、ポリアミック酸と3次元的に反応してゲル化する場合がある。これを防止するためにも有機酸基は芳香族化合物において2個以下とすることが好ましい。芳香族化合物に2個以上の有機酸基が存在する場合、有機酸基は、例えばベンゼン環の場合ではパラ位、メタ位など、互いに離れた位置に配置されることが好ましい。有機酸基を互いに離れた位置に配置することで、芳香族化合物の有機酸基同士が分子内で縮合することを防止できる。
芳香族化合物は、芳香環上の水素が電子供与性基および有機酸基によって直接置換されたものが好ましい。芳香族化合物の骨格としては、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、電池のエネルギー密度を向上させるために、分子量の低いベンゼンが特に好ましい。
好ましい芳香族化合物としては、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、アルキル安息香酸、メルカプト安息香酸、アルコキシ安息香酸、アルキルチオ安息香酸、ヒドロキシビフェニルカルボン酸、アミノビフェニルカルボン酸、アルキルビフェニルカルボン酸、メルカプトビフェニルカルボン酸、アルコキシビフェニルカルボン酸、アルキルチオビフェニルカルボン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、アミノナフタレンカルボン酸、アルキルナフタレンカルボン酸、メルカプトナフタレンカルボン酸、アルコキシナフタレンカルボン酸、アルキルチオナフタレンカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物において電子供与性基と有機酸基の置換位置は特には限定されないが、電子供与性基と有機酸基が離れて置換されている化合物がより好ましい。芳香族化合物の骨格がベンゼンである場合、電子供与性基と有機酸基がメタ位またはパラ位、特にパラ位で置換されている化合物が好ましい。芳香族化合物の骨格がビフェニルである場合、電子供与性基と有機酸基が4,4’位、3,4’位または3,3’位、特に4,4’位で置換されている化合物が好ましい。芳香族化合物の骨格がナフタレンである場合、電子供与性基と有機酸基が2,6位、2,7位または2,4位、特に2,6位で置換されている化合物が好ましい。
芳香族化合物は、前駆体であるポリアミック酸をより低温にてポリイミドへと反応させるために使用する。反応後にも少なくとも一部の芳香族化合物は、構造を維持して、絶縁層に残留する。絶縁層における芳香族化合物の含有量は、絶縁層に含有されるポリイミドに対して、上限として好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下であり、下限として好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。
絶縁層は、さらに任意成分として絶縁性フィラーを含んでよい。絶縁性フィラーとしては、例えば、金属の酸化物や窒化物、具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機粒子、およびシリコーンゴム等の有機粒子が挙げられる。
絶縁層における絶縁性フィラーの含有量は、特に限定されず、当業者により適宜設定されてよい。絶縁性フィラーを添加する場合は、絶縁性フィラーの含有量は、下限として好ましくは絶縁層の10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、上限として好ましくは絶縁層の99.5質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下である。
絶縁性フィラーの粒径は、特に限定されず、当業者により適宜設定されてよい。絶縁性フィラーの50%粒子径(D50)は、下限として好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、上限として好ましくは10.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下である。50%粒子径(D50)は、レーザー回折粒度分布測定装置(体積基準)によって測定することができる。
電極合剤層上に絶縁層を設ける場合、絶縁層は、好ましくは、イオンを透過させるための孔を有する。絶縁層の空隙率は、特に限定されず、当業者により適宜設定されてよい。空隙率は、下限として好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、上限として好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。絶縁層の空隙率は、水銀圧入法により測定される。
絶縁層を有する電極は公知の方法によって製造することができる。一実施形態において、絶縁層を有する電極の製造方法は、ポリアミック酸、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物、および溶媒を含むポリアミック酸溶液を電極に塗布する工程、および電極を熱処理する工程を含む。
ポリアミック酸溶液に使用される溶剤は、当業者により適宜選択されてよい。例えば、溶剤として、N-メチル-2-ピロリドン(略称:NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
芳香族化合物がポリアミック酸溶液に含まれることにより、より低温においても高いイミド化率を達成できる。ポリアミック酸溶液において、芳香族化合物は、ポリアミック酸に対して、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下の量で含まれる。また、ポリアミック酸溶液において、芳香族化合物は、ポリアミック酸に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは3質量%以上の量で含まれる。
ポリアミック酸溶液は、相分離剤や絶縁性フィラーなど、その他の成分をさらに含有してもよい。このとき、混合物はスラリーであって良い。必要であれば、上述の絶縁層の製造方法に、ポリアミック酸層またはポリイミド層に孔を形成する工程をさらに設けてもよい。孔を形成する方法としては、相分離法や抽出法などの公知の方法が挙げられる。追加の工程を設けなくとも熱処理と同時に、孔を形成できる簡便な方法も知られている。
例えば、相分離剤として、エーテル系溶媒などの、溶剤よりも高沸点であるポリアミック酸の貧溶媒をポリアミック酸溶液に添加した場合、熱処理で溶剤が揮発し、貧溶媒の濃度が高くなることで、貧溶媒とポリアミック酸とが相分離してポリアミック酸層に空隙を形成できる。
例えば、絶縁性フィラーを含むポリアミック酸溶液を使用する場合、ポリアミック酸層を熱処理することにより、孔を有する、ポリイミドで結着された絶縁性フィラーの層が形成される。この方法において、絶縁性フィラーの結着剤として機能するポリイミドが空隙を埋め尽くさないように、好ましくは絶縁性フィラーに対して少量のポリアミック酸を使用する。
熱処理の温度は、特に限定されず、当業者により適宜設定されてよい。絶縁層とともに熱処理される集電体および電極合剤層の劣化を防止するため、熱処理温度は、好ましくは200℃未満、より好ましくは180℃以下、非常に好ましくは150℃以下、最も好ましくは130℃以下である。また、イミド化率を向上させるために、熱処理温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、最も好ましくは90℃以上である。熱処理は、空気、窒素など不活性ガスおよび真空のいずれの雰囲気下でも実施できる。熱処理時間は、温度や量などにもよるが、好ましくは1分以上24時間以下、より好ましくは5分以上5時間以下である。熱処理により、ポリアミック酸溶液中の溶剤などの揮発成分は除去されてよい。
[活物質]
正極活物質としては、特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物を含むことが好ましい。高容量の化合物としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)またはニッケル酸リチウムのNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(3)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1-x) (3)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(3)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(3)において、xが0.5以上であることも好ましい。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
また、式(3)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1~1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(3)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
負極活物質としては、特に限定されないが、具体的には、金属、金属酸化物、炭素などを挙げることができる。
金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、金属酸化物の負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。酸化シリコンとしては、組成式SiO(ただし、0<x≦2)で表されるものが好ましい。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる1種または2種以上の元素を、例えば0.1~5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、グラフェン、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
活物質とともに、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を電極合剤層に添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(例えば、昭和電工製VGCF)等が挙げられる。
[結着剤]
電極合剤層で使用される結着剤は特に限定されない。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、これらの樹脂を構成するモノマー単位からなる共重合体、およびこれらの架橋体などのアクリル樹脂;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、これらの樹脂を構成するモノマー単位からなる共重合体、およびこれらの架橋体であるスチレンブタジエンゴム(SBR)などのジエン系ゴム等を用いることができる。また、前記の複数の樹脂の混合物や、これらの樹脂を構成するモノマー単位からなる共重合体、およびこれらの架橋体等を用いることが出来る。さらに、SBR系エマルジョンのような水系の結着剤を用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。ポリイミド、ポリアミドイミドを用いることもできる。芳香族イミド類が好ましい。これらの中で高温での熱処理(イミド化反応)が必要な樹脂を用いる場合は、絶縁層のイミド化触媒として例示した、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物をポリイミドと併用することが好ましい。
一実施形態において、電極合剤層の結着剤として用いる樹脂としては、電池寿命の観点から、少量で活物質を強固に結着できるゴム性の高い材料が好ましい。このような樹脂は、一般に耐熱性が低い場合が多い。すなわち、結着剤の融点または耐熱温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。一方、耐熱性が過剰に低い結着剤は、電池としての機能に支障をきたす恐れがあり、結着剤の融点または耐熱温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。こうした結着剤としては、より具体的には、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。樹脂の融点は、例えば、JIS K7121に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度により求めることができる。
複数の結着剤を混合して用いることもできる。使用する結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、活物質100質量部に対して、2~20質量部が好ましい。
[集電体]
集電体は特に限定されない。負極集電体としては、電気化学的な安定性から、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銅、銀、およびそれらの合金を使用できる。正極集電体としては、アルミニウム、ニッケル、銀、またはそれらの合金を使用できる。集電体の形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
2.電池
絶縁層を有する電極を正極および負極の少なくとも一方に使用して、安全性の高い電池を作製することができる。電池は、通常の方法に従って作製することができる。積層ラミネート型の電池を例に、電池の製造方法の一例を説明する。まず、乾燥空気または不活性雰囲気において、正極および負極を、セパレータを介して対向配置して、電極素子を形成する。次に、この電極素子を外装体(容器)に収容し、電解液を注入して電極に電解液を含浸させる。その後、外装体の開口部を封止して電池を完成する。以下において、電極以外の構成についての実施形態を説明する。
[セパレータ]
正極および負極の少なくとも一方に絶縁層を有する電極が使用されることにより、電池はセパレータを備えなくてもよい。この場合、電池の原料コストや製造コストが低下し得る。絶縁層をセパレータとともに使用してもよい。この場合、発熱時にセパレータが溶融や収縮したとしても、絶縁層によって、正極と負極との絶縁を維持できる。
セパレータは、荷電体の透過を阻害せずに正極および負極の導通を抑制し、電解液に対して耐久性を有するものであれば、いずれであってもよい。具体的な材質としては、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンならびにポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびコポリパラフェニレン-3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド(アラミド)等が挙げられる。これらは、多孔質フィルム、織物、不織布等として用いることができる。
[電解液]
電解液としては特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水溶媒と支持塩を含む非水電解液が好ましい。
非水溶媒の例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル等のエーテル類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類等の非プロトン性有機溶媒、及び、これらの化合物の水素原子の少なくとも一部をフッ素原子で置換したフッ素化非プロトン性有機溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の環状または鎖状カーボネート類を含むことが好ましい。
非水溶媒は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
支持塩としては、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。低コスト化の観点からはLiPFが好ましい。
[電池の構造]
本実施形態の電池は、例えば、図1および図2のような構造を有する。この電池は、電池要素20と、それを電解質と一緒に収容するフィルム外装体10と、正極タブ51および負極タブ52(以下、これらを単に「電極タブ」ともいう)とを備えている。
電池要素20は、図2に示すように、複数の正極30と複数の負極40とがセパレータ25を間に挟んで交互に積層されたものである。正極30は、金属箔31の両面に電極材料32が塗布されており、負極40も、同様に、金属箔41の両面に電極材料42が塗布されている。なお、本発明は、必ずしも積層型の電池に限らず捲回型などの電池にも適用しうる。
本発明を適用しうる電池は図1および図2のように電極タブが外装体の片側に引き出された構成であってもよいが、電池は電極タブが外装体の両側に引き出されたものであってもいい。詳細な図示は省略するが、正極および負極の金属箔は、それぞれ、外周の一部に延長部を有している。負極金属箔の延長部は一つに集められて負極タブ52と接続され、正極金属箔の延長部は一つに集められて正極タブ51と接続される(図2参照)。このように延長部どうし積層方向に1つに集めた部分は「集電部」などとも呼ばれる。
フィルム外装体10は、この例では、2枚のフィルム10-1、10-2で構成されている。フィルム10-1、10-2どうしは電池要素20の周辺部で互いに熱融着されて密閉される。図1では、このように密閉されたフィルム外装体10の1つの短辺から、正極タブ51および負極タブ52が同じ方向に引き出されている。
当然ながら、異なる2辺から電極タブがそれぞれ引き出されていてもよい。また、フィルムの構成に関し、図1、図2では、一方のフィルム10-1にカップ部が形成されるとともに他方のフィルム10-2にはカップ部が形成されていない例が示されているが、この他にも、両方のフィルムにカップ部を形成する構成(不図示)や、両方ともカップ部を形成しない構成(不図示)なども採用しうる。
3.組電池
本実施形態に係る電池を複数組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係る電池を2つ以上用い、直列、並列又はその両方で接続した構成とすることができる。直列および/または並列接続することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。組電池が備える電池の個数については、電池容量や出力に応じて適宜設定することができる。
4.車両
本実施形態に係る電池またはその組電池は、車両に用いることができる。本実施形態に係る車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車等の移動体の各種電源として用いることもできる。
正極C-1を下記の様にして得た。正極活物質としての層状リチウムニッケル複合酸化物であるLiNi0.80Co0.15Al0.05(以降、NCAとも記載する)、導電補助材としてのカーボンブラック、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(以降、PVdFとも記載する)を、90:5:5の質量比で計量し、それらをN-メチルピロリドンを用いて混練し、正極スラリーとした。調製した正極スラリーを、集電体としての厚み20μmのアルミニウム箔にドクターブレードで塗布し110℃で5分間加熱乾燥し、さらにプレスすることで正極C-1を得た。
4種類の負極A-1~4をそれぞれ下記の様にして得た。
(負極A-1)
人造黒鉛(以降Cとも記載する)とカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を、自転・公転ミキサー(株式会社 シンキー製 あわとり錬太郎 ARE-500)を用いて混練し、その後スチレンブタジエン共重合体(SBR)を加え、負極スラリーを調製した。人造黒鉛とCMCとSBRとの質量比は97:1:2とした。このスラリーを厚さ10μmの銅箔上にドクターブレードで塗布した後、110℃で5分間加熱乾燥し、さらにプレスすることで負極A-1を作製した。
(負極A-2)
人造黒鉛とポリフッ化ビニリデン樹脂(PVdF)およびN-メチルピロリドンを、自転・公転ミキサー(株式会社 シンキー製 あわとり錬太郎 ARE-500)を用いて混練し、負極スラリーを調製した。人造黒鉛とPVdFとの質量比は95:5とした。このスラリーを厚さ10μmの銅箔上にドクターブレードで塗布した後、110℃で5分間加熱乾燥し、さらにプレスすることで負極A-2を作製した。
(負極A-3)
50%粒子径が8μmであるSiO表面を炭素材料(複合体における炭素材料の量が7質量%であった。)で被覆した複合体(以降SiOとも記載する。)と、ポリアミック酸溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、p-ヒドロキシ安息香酸とを、それぞれ50:49:0.5の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、スラリーとした。該スラリーを、厚さ10μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した。その後、120℃で5分間加熱し、n-メチルピロリドンを乾燥させた。これをプレスした後、空気中常圧下にて150℃で1時間加熱し、負極A-3を得た。
(負極A-4)
50%粒子径が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が7質量%であった。)と、ポリアミック酸溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)を、それぞれ50:49の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、スラリーとした。該スラリーを、厚さ10μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した。その後、120℃で5分間加熱し、n-メチルピロリドンを乾燥させた。これをプレスした後、空気中常圧下にて350℃で1時間加熱し、負極A-4を得た。
9種類の絶縁層スラリーI-1~9をそれぞれ下記の様にして得た。
(絶縁層スラリーI-1)
アルミナ粒子(50%粒子径1.0μm)と、結着剤としてポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、p-ヒドロキシ安息香酸とを、それぞれ90:10:0.1の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、絶縁層スラリーI-1とした。
(絶縁層スラリーI-2)
アルミナ粒子(50%粒子径1.0μm)と、結着剤としてポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、p-メチル安息香酸とを、それぞれ90:10:0.1の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、絶縁層スラリーI-2とした。
(絶縁層スラリーI-3)
アルミナ粒子(50%粒子径1.0μm)と、結着剤としてポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、m-ヒドロキシ安息香酸とを、それぞれ90:10:0.1の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、絶縁層スラリーI-3とした。
(絶縁層スラリーI-4)
アルミナ粒子(50%粒子径1.0μm)と、結着剤としてポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、o-ヒドロキシ安息香酸とを、それぞれ90:10:0.1の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、絶縁層スラリーI-4とした。
(絶縁層スラリーI-5)
アルミナ粒子(50%粒子径1.0μm)と、結着剤としてポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)とを、それぞれ90:10の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、絶縁層スラリーI-5とした。
(絶縁層スラリーI-6)
ポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製)を濃縮し、固形分濃度を50質量%に調整した。この濃縮溶液と、トリエチレングリコールジメチルエーテルと、p-ヒドロキシ安息香酸とを、それぞれ10:20:0.25の質量比で計量した。これを混合し、絶縁層スラリーI-6とした。なお、この混合物は溶液であるが、便宜上、絶縁層スラリーI-6と呼ぶ。
(絶縁層スラリーI-7)
ポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製)を濃縮し、固形分濃度を50質量%に調整した。この濃縮溶液と、トリエチレングリコールジメチルエーテルとを、それぞれ10:20の質量比で計量した。これを混合し、絶縁層スラリーI-7とした。なお、この混合物は溶液であるが、便宜上、絶縁層スラリーI-7と呼ぶ。
(絶縁層スラリーI-8)
トリメリット酸クロライドとジアミノジフェニルメタンをn-メチルピロリドン溶液中で撹拌混合して、ポリアミドイミド前駆体であるポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液(ポリマー濃度20質量%)を得た。ポリアミック酸の数平均分子量は41000であった。アルミナ粒子(50%粒子径1.0μm)と、結着剤として調製したポリアミック酸のn-メチルピロリドン溶液と、p-ヒドロキシ安息香酸とを、それぞれ90:10:0.1の質量比で計量した。これらと、n-メチルピロリドンとを混練し、絶縁層スラリーI-8とした。
(絶縁層スラリーI-9)
p-ヒドロキシ安息香酸を加えなかったこと以外は絶縁層スラリーI-8と同様にして得たものを、絶縁層スラリーI-9とした。
絶縁層スラリーI-1~9を表1に記載した電極(正極C-1または負極A-1~4)の表面にドクターブレードで塗布し120℃で5分間加熱し、n-メチルピロリドンを乾燥させた。これをプレスした後、空気中常圧下にて以下の表1に示した温度(150℃~350℃)で1時間加熱し、絶縁層を有する電極を得た。断面を電子顕微鏡で観察したところ、絶縁層の厚みは3~8μmであった。絶縁層の13C-NMRを測定し、原料として用いた結着剤の成分であるポリアミック酸(169ppmに示される炭素)と閉環反応によりえられたポリイミド(166ppmに示される炭素)のモル比を波形分離法により見積もり、これを基にイミド化率を算出した。イミド化率が80%未満の場合を×、80%以上85%未満の場合を○、85%以上の場合を◎として、結果を表1に示す。
各例において、表1に示される正極と負極の組み合わせを用いた。これらの正極および負極には、それぞれアルミニウム端子、ニッケル端子を溶接した。これらを、セパレータを介して交互に積層し電極素子を作製した。電極素子をラミネートフィルムで外装し、ラミネートフィルム内部に電解液を注入した。その後、ラミネートフィルム内部を減圧しながらラミネートフィルムを熱融着して封止した。これにより平板型の初回充電前の二次電池を複数個、作製した。なお、セパレータには単層のポリプロピレン微多孔膜(厚み20μm)を用いた。ラミネートフィルムにはアルミニウムを蒸着したポリプロピレンフィルムを用いた。電解液には、電解質として1.0mol/lのLiPFと、非水電解溶媒としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(7:3(体積比))を含む溶液を用いた。
(電池容量)
作製した二次電池を4.2Vに充電した。充電は0.2C電流によるCCCV方式で行い、4.2Vに達した後は電圧を一定に1時間保った。次に0.2Cで2.5VまでCC方式で放電を行った。この時の放電容量を表1に初回容量として示した。続いて、この充電と放電する操作を繰り返した。ここで、0.2C電流とは、任意の満充電状態の電池を定電流放電させた場合、完全に放電させるまで5時間かかる電流のことを意味する。各例では、200mAで充放電を行った。初回の放電容量に対する500回目の放電容量の割合を容量維持率として表1に示した。
Figure 0007070421000005
表1に記載される触媒A~Dは以下の化合物である。
触媒A:p-ヒドロキシ安息香酸
触媒B:p-メチル安息香酸
触媒C:m-ヒドロキシ安息香酸
触媒D:o-ヒドロキシ安息香酸
実施例1~4と比較例1、実施例8と比較例11から、絶縁層に触媒を添加することにより、150℃以下での熱処理でもイミド化率が向上することが認められる。絶縁層の強度が向上することにより、充放電に伴う電極の膨張収縮が生じても電極合剤層が安定したため、500サイクル後の維持率が改善されたと考えられる。実施例5では負極合剤層の結着剤をSBRから同様に耐熱性が200℃以下と低いPVdFに変更しているが、絶縁層の熱処理は150℃以下で行われているため、初期容量や500サイクル後の容量維持率に影響はない。これに対して、比較例7~10に示されるように熱処理温度を180℃~200℃まで高くすると、電極合剤層の結着剤が劣化し、導電パスが一部失われるため、初回容量が低下したと考えられる。
比較例2~4は熱処理温度を350℃まで上げた結果である。絶縁層のイミド化率は良好であったが、熱処理温度が、負極合剤層の結着剤の耐熱温度より200℃程度高いため、結着力が失われ、十分な初期容量が得られておらず、電池として機能出来なくなった。また、熱処理後には、集電体の銅箔が酸化劣化していることが確認された。
実施例6および比較例5は、負極において、負極活物質にSiOを用い、結着剤にポリイミドを用いている。実施例6では電極合剤層および絶縁層において使用するそれぞれのポリイミドに触媒を用いているため、150℃の低い熱処理温度でも機能している。比較例5では何れのポリイミドにも触媒を用いていない。熱処理温度を350℃としたためイミド化率が上昇し、強固な絶縁層が形成されたが、500サイクル後の容量維持率が低下した。集電体と電極合剤層との剥離により、容量維持率が低下したと推定される。350℃の熱処理により表面が酸化した集電体の銅箔と、電極合剤層との接着力が低くなったことが考えられる。
実施例7および比較例6は正極に絶縁層を塗布した。ポリイミドに触媒を用いた実施例7は、実施例1と同様の結果となった。ポリイミドに触媒を用いなかった比較例6は、比較例1とそれぞれ同様の結果となった。
以下参考例により、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物の、有機酸基のみを有する芳香族化合物に対する優位性を示す。
[参考例2~8]
(電極の作製)
平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が7質量%)と、ポリアミック酸溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、添加剤とを、それぞれ50:49:xの質量比で計量した。参考例3~6においてxは0.9、参考例2および7においてxは0とした。参考例8においてxは2.7とした。これらと、n-メチルピロリドン(NMP)とを混練し、スラリーとした。スラリー中の水分量は200~300ppmであった。該スラリーを、厚さ10μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した。その後、120℃で5分間加熱し、NMPを乾燥させた。その後、空気中常圧下にて150℃、または窒素ガス(流量70L/min)下にて125℃で1時間加熱した。この活物質層が形成された銅箔を直径12mmの円型に打ち抜き、電極を作製した。
(電池の作製)
作製した電極をLi金属の対極とオレフィン系のセパレータを介して積層し、電解液として1MのLiPFを含むEC/DEC/EMC=3/5/2(体積比)を使用してモデルセルを作製した。
(電池の評価)
作製したモデルセルについて、25℃にて、充放電試験とサイクル試験を実施した。充放電試験は、0.3mA/cmの電流密度で0.03~1.0Vの電圧範囲で充放電を2回行い、放電および充電の開始から終了までに流れた電気量を放電容量および充電容量とし、2回目の充電容量(シリコン系電極からの脱リチウム量に相当)を1Cとした。350℃で3時間処理した、p-ヒドロキシ安息香酸などの添加剤を含まない電極(参考例1)における、SiO複合体の含有質量あたりの1C容量を100とし、電極の1C容量比を求めた。
サイクル試験は、充放電試験後のモデルセルを用い、0.3Cで1.0Vまで放電した後、合計で4時間定電圧放電を行ってから、0.3Cで0.03Vまで定電流充電するというサイクルを50回繰り返した。容量維持率として、初回充電容量(シリコン系電極からの脱リチウム量に相当)に対する50サイクル後の放電容量の割合を求めた。
[参考例1]
平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が7質量%)と、ポリアミック酸溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)の質量比を、50:49とし、熱処理条件を窒素ガス(流量70L/min)下、350℃で3時間とした以外は、参考例2と同様に電極を作製し評価した。
空気中常圧下にて150℃で1時間、熱処理した各例における1C容量比、および50サイクル後の容量維持率の平均値(単位:%、測定数2以上)を表2に示す。窒素ガス(流量70L/min)下にて125℃で1時間、熱処理した各例における1C容量比、および50サイクル後の容量維持率の平均値(単位:%、測定数2以上)を表3に示す。
Figure 0007070421000006
Figure 0007070421000007
[参考例9、10]
添加剤がp-アミノ安息香酸の場合についても確認を行った。添加剤をp-アミノ安息香酸とし、平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が7質量%)と、ポリアミック酸溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、添加剤の質量比50:49:xにおいて、xを0.45、0.20として確認を行った。その他は、空気中常圧下にて150℃で1時間、熱処理を行う、参考例3~6と同様に電極を作製し、同様に評価した。このときの1C容量比、および50サイクル後の容量維持率の平均値(単位:%、測定数2以上)を表4に示す。
Figure 0007070421000008
[参考例11~13]
添加剤がp-ヒドロキシ安息香酸の場合において、p-ヒドロキシ安息香酸の添加量の影響について確認を行った。添加剤をp-ヒドロキシ安息香酸とし、平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が7質量%)と、ポリアミック酸溶液(商品名:「U-ワニスA」、宇部興産(株)製、ポリアミック酸20質量%)と、添加剤の質量比50:49:xにおいて、xを0.9から0.23、0.10へと低減させた場合と、xを4.4へと増加させた場合の確認を行った。その他は、空気中常圧下にて150℃で1時間、熱処理を行う、参考例3~6と同様に電極を作製し、同様に評価した。このときの1C容量比、および50サイクル後の容量維持率の平均値(単位:%、測定数2以上)を表5に示す。
Figure 0007070421000009
添加剤である安息香酸の置換基と50サイクル後のシリコン電極の容量(表中の式A×B)に相関があった。すなわち、シリコン電極の容量の改善には、電子供与性基が有効である。この効果は、大気中の150℃処理だけでなく、窒素下の125℃処理でも、表3に示すように有効であった。また、安息香酸誘導体の添加量を特定の範囲内にすることで、50サイクル後のシリコン電極の容量をさらに向上させることができる場合がある。
[参考例14]
添加剤をp-ヒドロキシ安息香酸から安息香酸に変更した以外は、参考例3と同じ方法で、電極を作製し、電池特性を評価した。その結果、1C容量比(表中のA)が44、25℃50サイクル後の容量維持率(表中のB)が135%であり、A×B÷100=59であった。
Figure 0007070421000010
参考例14に示すように、安息香酸の芳香環上に置換基が無い場合は初期の容量(表中のA)が低下するので、置換基を有することが好ましい。尚、容量維持率が100%超えた理由は、サイクル時において、試作した電極の容量以上のLiを含有する対極のLi金属から、試作した電極の容量以上にLiが供給されたことが原因である。したがって、本発明の電極の容量より少ないLiを含有する対極を用いた場合、容量維持率の低下が予想される。
上記の参考例より、シリコンを活物質とする電極に、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物を含むポリイミドバインダを使用する場合に、イミド化を低温で行っても高い容量を有する電池が得られることが分かった。
この出願は、2016年9月29日に出願された日本出願特願2016-191000を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
本発明による電極およびこの電極を有する電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野において利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリッドカー、電動バイク、電動アシスト自転車等を含む電動車両、電車、衛星、潜水艦等の移動・輸送用媒体の電源;UPS等のバックアップ電源;太陽光発電、風力発電等で発電した電力を貯める蓄電設備;等に、利用することができる。
10 フィルム外装体
20 電池要素
25 セパレータ
30 正極
40 負極

Claims (9)

  1. 集電体および電極合剤層を有する電極であって、
    電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物ポリイミドおよび前記ポリイミドで結着された絶縁性フィラーを含む孔を有する絶縁性フィラーの層である絶縁層を有する電極。
  2. 有機酸基がカルボン酸基である、請求項1に記載の電極。
  3. 電子供与性基が、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、およびアルキルチオ基から成る群より選択される、請求項1または2に記載の電極。
  4. 電極合剤層がポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびスチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂、ならびに電子供与基および有機酸基を有する芳香族化合物を含むポリイミド組成物から成る群より選択される少なくとも1種の結着剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電極。
  5. 絶縁性フィラーの含有量が絶縁層の30質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電極。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の電極を有する電池。
  7. 請求項に記載の電池を搭載した車両。
  8. ポリアミック酸、電子供与性基および有機酸基を有する芳香族化合物、絶縁性フィラー、および溶媒を含むポリアミック酸溶液を電極に塗布する工程、および電極を180℃以下の温度で熱処理する工程を含む、ポリイミドで結着された絶縁性フィラーを含む孔を有する絶縁性フィラーの層である絶縁層を有する電極の製造方法。
  9. 絶縁性フィラーの含有量が絶縁層の30質量%以上である、請求項8に記載の電極の製造方法。
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