JP2015182401A - 壁装材用表面保護フィルム及びそれを用いた壁装材 - Google Patents

壁装材用表面保護フィルム及びそれを用いた壁装材 Download PDF

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Abstract

【課題】エンボス追随性や柔軟性を改善し、防汚性を付与した壁装材用の表面保護フィルム、及び該表面保護フィルムを用いた壁装材を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂層の外表面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂層が接着剤層を介して又は介さずに積層されてなり、下記(a)〜(c)を満足する壁装材用表面保護フィルム。(a):EVOH樹脂層が、EVOHが含有されてなる透明な溶液を熱処理して得られるEVOH樹脂(あ)とエチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる不透明な溶液を熱処理して得られるEVOH樹脂(い)とにより形成されてなる(b):全光線透過率が80%以上(c):ヘイズが60%以上
【選択図】図1

Description

本発明は、壁装材の防汚性を付与する表面保護フィルム、その製造方法、及び表面保護フィルムを用いた壁装材に関する。
従来、内装材、特に壁装材や天井材には、ポリ塩化ビニル(以下PVCと記載する場合がある)樹脂を中心とした熱可塑性樹脂が使用され、とりわけ、PVC樹脂製の壁装材等は加工が容易であり、物性も比較的優れており、価格も安価ということで、広く用いられてきた。しかしながら、ほこり、煙草のヤニ、油、食品、化粧品、筆記用具、或いは カビなどの汚れが顕著であり、水、洗剤、溶剤などによるふき取りが非常に困難な問題がある。
そこで、汚れ防止性を付与する為に、PVC系樹脂、或いはオレフィン系樹脂にシリコン系やフッ素系コート剤を直接塗布してなる壁装材や、前記コート剤をインキに混ぜた上で前記樹脂に印刷してなる壁装材が提案されているが、例えば施工後、時間が経過すると、経時的に防汚性能が悪化する問題がある。特許文献1には、PVC樹脂にフッ素系加工剤などを塗布して表面保護層とした壁装材が開示されているが、長期使用で防汚性などの効果が急激に悪化する問題がある。
また、特許文献2には、PVC樹脂にエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと記載する場合がある)樹脂からなるフィルムが積層された壁紙が記載されているが、壁紙の意匠性向上の為にエンボス加工等の凹凸処理を施そうとすると、EVOH樹脂フィルムが剛直な為、PVC樹脂に追随できず、高発泡壁紙に積層すると穴開きが生じてしまったり、EVOH樹脂フィルムの柔軟性不足による壁面への均一貼り付けが困難である問題点を有する。
関連して、EVOH樹脂フィルムを薄膜化して、エンボス追従性、柔軟性を向上させる試みもあるが、製造時の加熱工程等で容易に変形してしまうことから接着層等を積層することが困難であり、生産性に劣るという問題もあり、エンボス追随性、柔軟性、及び 防汚性を改善した表面保護フィルム、及び それを用いた壁装材の出現が強く求められている。
更には、特許文献3には、ポリプロピレン(以下PPと記載する場合がある)系樹脂を主原料とした、壁紙用の保護フィルムが開示されており、前記保護フィルムからなる壁紙はエンボス追随性、及び施工性の改善は認められるが、PVC壁紙に添加された可塑剤がPP側にブリードし、壁紙への汚れ物質の蓄積や臭気の付着等が生じたり、有機溶剤耐性、煙草ヤニ耐性などの防汚性に劣る等の問題がある。
特開平9−193276号公報(PVC壁紙/フッ素コート) 特開平1−166951号公報(EVOH+ポリオレフィン/PVC系壁紙) 特開2006−096021号公報(PP系壁紙)
本発明は、エンボス追随性や柔軟性を改善し、防汚性を付与した壁装材用の表面保護フィルム、及び該表面保護フィルムを用いた壁装材を提供するものである。
すなわち、本発明はポリオレフィン樹脂層の外表面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層が接着剤層を介してまたは介さずに積層されてなり、下記(a)〜(c)を満足することを特徴とする壁装材用表面保護フィルムである。
(a):エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層が、
エチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる透明な溶液を熱処理して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(あ)と
エチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる不透明な溶液を熱処理して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(い)と
により形成されてなる
(b):全光線透過率が80%以上
(c):ヘイズが60%以上
また、本発明は壁材の外表面に壁装材用表面保護フィルムが積層されてなる壁装材である。
加えて、本発明はエチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる透明な溶液であって溶液温度が30℃〜75℃である透明な溶液と、前記透明な溶液または別のエチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる透明な溶液を20℃以下に冷却して得られた不透明な溶液とを混合させて溶液温度が20℃〜40℃である混合溶液を得たのち、60℃〜90℃で乾燥を行い、さらに100℃〜150℃で熱処理を行って、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(あ)と前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(い)とからなるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層を形成することを特徴とする壁装材用表面保護フィルムの製造方法である。
本発明の壁装材用表面保護フィルムは、光拡散性や光透過性を有しつつ柔軟性に優れる特徴を有する。さらに本発明の壁装材用表面保護フィルムと壁材とからなる壁装材、すなわち本発明の壁装材は汚れ拭取り性や長期使用時の汚れ付着防止性に優れ、壁装材用表面保護フィルムと壁材との耐剥離性やエンボス加工時のエンボス追随性が良好である特徴を有する。
図1は、本発明の表面保護フィルム(実施例1)の一実施形態の模式断面図である。 図2は、本発明の表面保護フィルムの製造時の中間体として得られる積層物の模式断面図である。 図3は、本発明の壁装材(実施例1)の一実施形態の模式断面図である。
本発明は、ポリオレフィン樹脂層の外表面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層が接着剤層を介してまたは介さずに積層されてなる、壁装材用表面保護フィルムである。
本発明を構成するポリオレフィン樹脂層に使用するポリオレフィン樹脂については、本発明の効果を奏する限りにおいては限定されないものの、柔軟性やエンボス追随性を有する点からポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂が好ましく、その中でも結晶性ポリプロピレンであることが防汚性とともにエンボス適性に優れている点からさらに好ましい。結晶性ポリプロピレンとしては特に限定されず、例えば、ホモのポリプロピレン樹脂、エチレンとプロピレンとのブロック共重合体、エチレン等と共重合可能な1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体等が挙げられる。なお、非晶性のポリプロピレンでは、油性の汚れに対する防汚性が充分でない場合がある。また、前記樹脂の少なくとも2種類を混合した系であったり、あるいは前記樹脂の少なくとも1種類とポリエチレン系樹脂とを混合した系であっても良い。
ここで、上記「結晶性」とは、樹脂を一旦加熱溶融させた後、徐冷したものが結晶性であるという、樹脂本来が持つ性質をいう。
ポリオレフィン樹脂層に使用するポリオレフィン樹脂の形状についてはシート状であってもよく、フィルム状であってもよい。さらに、前記シート状またはフィルム状のポリオレフィン樹脂は、無延伸シートまたは無延伸フィルムであってもよく、延伸シートまたは延伸フィルムであってもよいが、エンボス加工性の点から無延伸シートまたは無延伸フィルムのほうが好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂層には、本発明の壁装材用表面保護フィルムの特性を阻害しない範囲であれば、難燃剤、防カビ剤、抗菌剤、防湿剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよく、更に、目的に応じて他の樹脂をブレンドしてもよい。
ポリオレフィン樹脂層の厚さとしては特に限定されず、該基材層の性能、価格等を考慮して適宜決定されるが、1〜100μm程度であることが好ましい。厚さが1μm未満であると、外部からの衝撃等により容易に破損することがある。厚さが100μmを超えると、製造コストの高騰を招くとともに、可撓性が低下したりして取扱い性が劣ることがある。
本発明の壁装材用表面保護フィルムは、ポリオレフィン樹脂層とEVOH樹脂層とが積層されてなることを特徴とするが、ポリオレフィン樹脂層とEVOH樹脂層との間に接着剤層aが介して積層されていてもよい。また、ポリオレフィン樹脂層側の外表面に接着剤層bが積層されていてもよい。更には、例えば図1の如く、接着剤層aと接着剤層bとが両方積層されていてもよい。
本発明の壁装材用表面保護フィルムを構成する接着剤層は特に限定されるものではないが、接着剤溶液をポリオレフィン樹脂層またはEVOH樹脂層に塗布することで接着剤層を形成する方法(塗布法)、接着性樹脂とポリオレフィン樹脂層との共押出多層フィルム成型法や押出しラミネート法により接着剤層を形成する方法が接着剤層を一定の品位での形成が容易である点や経済的に優れている点、汎用の設備で対応可能な点などから好ましく挙げられる。
塗布法により接着剤層aや接着剤層bを形成する場合、接着剤層として使用する接着剤をポリオレフィン樹脂層またはEVOH樹脂層に塗布することによって形成することができる。使用する接着剤としては、特に限定するものでは無く、塩化ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系、またはポリエステルポリオール−アクリル共重合体などの少なくとも1種類からなる接着剤を使用してもよくでき、その中でもポリエステルポリオール−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが望ましい。
前記の接着剤には、接着強度の向上の為、エポキシ系、イソシアネート系などの硬化剤を0.1〜10重量部添加し硬化させることが望ましく、硬化に必要な温度の点も考慮すると、イソシアネート系硬化剤を添加することがより好ましい。
該接着剤に添加するイソシアネート系硬化剤としては、特に限定するものではないが、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートがあげられる。芳香族イソシアネートの代表例としては、トリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、1−エトキシ−2,4−ジイソシアネートベンゼン、1−クロル−2,4−ジイソシアネートベンゼン、トリス(4−イソシアネートフェニル)メタン、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニルジイソシアネートがあげられる。また、脂肪族イソシアネートとしては1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3’−ジイソシアネートジプロピルエーテル、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロへキシレン−1,4−ジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、4−メチル−1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、N,N’,N”−トリス(6−イソシアネートヘキサメチレン)ビウレットなどのイソシアネート化合物があげられる。
接着剤の溶液コート量は乾燥後において0.1〜20g/m、より好適には、0.2〜10g/mである。製造時の工程通過性を加味した場合、常温でのタック性がほとんど無いのがより好ましい。また、壁装材用表面保護フィルムにおいて、接着剤層aと接着剤層bとの両方設ける場合、接着剤層aと接着剤層bとで接着剤は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
接着剤層aや接着剤層bの形成方法としては、接着剤層を形成する接着剤を含む接着剤溶液を塗布した後、公知の方法で乾燥を行う方法であってもよい。接着剤溶液の乾燥温度としては30〜150℃が接着剤層が十分な剥離強度を有し、かつ経済性を有する点から好ましく、より好ましくは60〜80℃である。乾燥時間としては同様の理由で3秒〜5分程度加熱して行われることが好ましい。
接着剤を塗布、乾燥後は、40℃〜60℃で1日〜3日間エージング処理を行い、硬化剤による接着剤の架橋を進めることが、接着力向上の点から好ましい。なお接着剤を複数回塗布、乾燥する場合には、エージング処理は、接着剤を塗布、乾燥ごとに行ってもよく、各種接着剤を塗布、乾燥後まとめて行ってもよい。
また、接着剤層を形成するために、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィン樹脂に押出ラミネートまたは共押出する接着性樹脂としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体樹脂、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂やポリオレフィン系樹脂に、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ホウ酸化合物などグラフト重合した接着剤などが好ましく用いられ、たとえばエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン含有量70〜99モル%、ケン化度50〜95%のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステルー無水マレイン酸3元共重合体、エチレンーグリシジルメタクリレート共重合体、エチレンーグリシジルメタクリレートー酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンおよび低結晶性ポリエステルなどを例示できる。壁装材用表面保護フィルムまたは壁装材の剥離強度を重視する場合には、該接着性樹脂は少なくとも1種類使用され、かつ少なくとも1層以上の接着剤層が形成されることが好ましい。接着性樹脂を2種類以上組み合わせて1層の接着剤層が形成されてもよい。
上記の方法を含め、いずれの方法において接着剤層を形成する場合においても、接着剤層としての特性を阻害しない範囲であれば、接着剤層や該接着剤層を構成する接着性樹脂に帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤などの添加剤が添加されていてもよく、無水マレイン酸によってグラフト変成した接着性樹脂であってもよい。あるいは、目的に応じて接着性樹脂に他の樹脂をブレンドしてもよい。ブレンドする樹脂として、ポリエチレン、エチレンとアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどのモノマーからなる2元共重合体、3元共重合体などが例示できる。
ポリオレフィン樹脂層と接着剤層aや接着剤層b、あるいは壁材との接着性、及び 接着剤溶液などとのヌレ性(ハジキ防止性)を向上する為、該ポリオレフィン樹脂層表面をコロナ処理機で活性化させてもよく、コロナ処理程度で十分な接着性が得られない場合、プライマーなど、1種類以上の接着剤を塗布、乾燥させた上で接着剤層aや接着剤層bを形成させても良い。
本発明の壁装材用表面保護フィルムにおけるEVOH樹脂層を構成するEVOH樹脂としては、耐水性,強度などの点からエチレン含有量20〜55モル%、特に25〜50モル%、酢酸ビニル成分のケン化度90モル%以上、特に95モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(すなわちEVOH)で,極限粘度が0.7〜1.5dL/gの範囲にあるものが特に好ましい。エチレン含有量が20モル%未満では高湿下での耐水性が劣り、エチレン含有量が55モル%を超えると防汚性が不足し、いずれも好ましくない。また、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%未満では耐溶剤性に劣る問題があり好ましくない。さらに極限粘度が0.7dL/g未満では機械的強度が不足し、極限粘度が1.5dL/gを超えるものは製造上の難点があり実際的でない。なおここで、極限粘度とは、水/フェノールの15/85の重量比の混合溶媒中、温度30℃で測定したものをいう。
EVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られるが、該EVOHは、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造することが可能であって、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
また、本発明の趣旨を損なわない範囲で、EVOH樹脂層を構成するEVOH樹脂のうち50質量%未満であればα−オレフィン、不飽和カルボン酸系化合物、不飽和スルホン酸系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレンなどの他のコモノマーで共重合変性されたEVOH樹脂であっても差し支えなく、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化など後変性されたEVOH樹脂であっても差し支えない。
EVOH樹脂層を構成するEVOH樹脂は、EVOHが含有されてなる透明な溶液を熱処理して得られるEVOH樹脂(あ)と、EVOHが含有されてなる不透明な溶液を熱処理して得られるEVOH樹脂(い)とにより形成されることを特徴としている。EVOH樹脂層における前記EVOH樹脂(あ)と前記EVOH樹脂(い)との質量比率は10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜85:15であることがより好ましい。前記EVOH樹脂(あ)の質量比率が10未満であると、EVOH樹脂層の全光線透過率が低下し好ましくない。一方、前記EVOH樹脂(あ)の質量比率が90を超えると、EVOH樹脂層の光拡散性が十分でなく好ましくない。前記EVOH樹脂(あ)と前記EVOH樹脂(い)との質量比率が上記範囲内であることにより、全光線透過率が優れており、かつヘイズが高く光拡散性に優れ、さらに熱加工性が容易であって、防汚性に優れるという特徴を併せ持つ壁装材用表面保護フィルムとなることが容易となる。
すなわちEVOH樹脂層を構成するEVOH樹脂は2種類以上のEVOH樹脂からなっており、溶液段階においてEVOH樹脂(あ)は透明な溶液からなり、そしてEVOH樹脂(い)は不透明な溶液からなることが重要である。
例えば、EVOH樹脂(あ)となるEVOHが含有された透明な溶液については水/アルコール比で20/80〜80/20の溶媒を60℃〜75℃となるよう調整し、EVOHを加えてEVOHを完全溶解させた上で透明なEVOH溶液(これを「溶液a」と称する。)を調整し30℃〜75℃の溶液温度にて保持する。そしてEVOH樹脂(い)となるEVOHが含有された不透明な溶液については、水/アルコール比で20/80〜80/20の範囲である溶媒を60℃〜75℃に調整したのち、EVOHを完全溶解させてEVOH溶液とし、その後高速撹拌させながら溶液温度を20℃以下となるようEVOH溶液を冷却して不透明であり、好ましくはゲル状であって白濁したEVOH溶液(これを「溶液b」と称する。)を調整し、5℃〜40℃の溶液温度で保持することが前記不透明な溶液の品位を保持する上で好ましい。保持する際の「溶液b」のより好ましい溶液温度は5℃〜25℃である。
そして透明である「溶液a」と不透明である「溶液b」とを混合後の混合溶液の温度が25℃以上好ましくは30℃以上、40℃以下となるように混合させることにより、混合溶液中においてEVOH樹脂が透明である部位と不透明である部位を併せ持つ溶液形態となる。混合の際には「溶液a」と「溶液b」とが均一に混合するようにホモジナイザー等で強撹拌することが好ましい。
このとき「溶液a」と「溶液b」との混合比は質量比率で10/90〜90/10の範囲内であることが好ましい。30/70〜80/20であることが更に好ましい。「溶液a」の質量比率が10未満の場合には、得られる壁装材用表面保護フィルムの光透過性が劣ったり、EVOH樹脂層の強度特性が劣ったりする問題が有り、好ましくない。一方、「溶液a」の質量比率が90を超える場合には、得られる壁装材用表面保護フィルムのヘイズが低く、光拡散性に劣るシートとなり好ましくない。
前記のようにして混合溶液を得ることができるが、混合溶液中において透明であるEVOH樹脂と不透明であるEVOH樹脂が均一に安定して存在するために混合後の溶液温度については20℃〜40℃の間で保持しておくことが好ましい。混合後の溶液温度が20℃未満の場合には透明であるEVOH樹脂がゲル状に白濁して不透明になる場合があり好ましくない。また、混合後の溶液温度が40℃を超える場合には不透明であるEVOH樹脂が再溶解して透明となる場合があり好ましくない。より好ましい混合後の溶液温度は25℃〜35℃である。
そして「溶液a」と「溶液b」との混合溶液を前記の溶液温度に保持した状態で、所定の部位に混合溶液を塗布したのち、熱処理を行い、好ましくは熱処理の前工程にて乾燥を行うことが所望のEVOH樹脂層を得ることができる点で重要である。特に乾燥温度が60℃〜90℃の範囲であって、熱処理温度は100℃〜150℃の範囲であることがEVOH樹脂層の生産性確保や得られる壁装材用表面保護フィルムの光拡散性と透光性と防汚性を両立するうえで好ましい。乾燥温度が60℃未満ではEVOH層に溶媒が残存するため好ましくなく、90℃を超える場合には、EVOH溶液中の溶媒が突沸してEVOH層の表層等の均一化が阻害されるため好ましくない。乾燥温度は65℃〜85℃の範囲であることがより好ましい。一方、熱処理温度が100℃未満ではEVOH樹脂層に溶媒が残留し品位低下となることがあって好ましくなく、150℃を超える場合には、EVOH樹脂層の強度特性が低下することがあって好ましくない。熱処理温度は110℃〜140℃の範囲であることがより好ましい。
なお、熱処理後のEVOH樹脂(あ)とEVOH樹脂(い)についてはいずれも透明であることが全光線透過率を上げる点から好ましい。
なお、EVOH樹脂(あ)を構成するEVOH(A)と、EVOH樹脂(い)を構成するEVOH(B)とはエチレン含有量が同一であるEVOHであってもよいが、製造時の条件設定や条件精度が容易であることを加味すると、EVOH(A)のエチレン含有量とEVOH(B)のエチレン含有量とは異なっていることが好ましい。具体的にはEVOH(B)のエチレン含有量がEVOH(A)のエチレン含有量に対して0.5モル%〜10モル%の範囲で大きいことが好ましく、より好ましくは1モル%〜5モル%の範囲で大きいことである。
また、前記「溶液a」と「溶液b」調整時に用いられる溶媒は、前記したように水/アルコール系が好ましく、具体的には、水/イソプロパノール、水/n−プロバノール,水/n−ブタノール、水/sea−ブタノール、水/イソブタノールが好ましい。なお溶媒にギ酸、フェノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどを1〜30%混合すると、溶液安定性、透明性が改善するため好ましい。
EVOH樹脂溶液中のEVOH樹脂の濃度が1質量%未満では乾燥後のコート層が薄くなりすぎ、表面が白濁し透明性が損なわれる。一方、20質量%を超えると溶液濃度が高いためコート時の作業性が劣り、またコート層の乾燥ムラによる光沢ムラが発生しやすくなり、溶液濃度は1〜20質量%の範囲から選択することが望ましい。
EVOH樹脂層の厚みは0.1μm〜12μmであることが好ましく、さらに好適には、0.2μm〜5μmである。厚みが0.1μm未満では内層樹脂からの可塑剤、未反応モノマーなどの透過防止が不十分な為か防汚性が悪化するだけでなく、汚れ拭取り時に、あるいは 屈曲によりEVOH樹脂層が部分的に脱離する問題があり、好ましくない。一方、12μmを超えると、柔軟性が不足し、施工性などの取扱い性に問題があり、好ましくない。
本発明の壁装材用表面保護フィルムの滑り特性を改善するために、EVOH樹脂層が微粒子を含有してもよい。例えばEVOH樹脂溶液に微粒子を加えることによって、EVOH樹脂層に微粒子を含有してもよい。
微粒子としては、アルミニウム、チタン、鉄、セリウム、イットリウム、マンガン、珪素、錫、亜鉛、銅、ビスマス、コバルト、及び これらの複合物の金属酸化物、及び 該金属酸化物の表面を有機物でコートし、親水性または疎水性を付与した微粒子、更には前記「溶液a」を噴霧乾燥することにより得られるEVOH樹脂からなる微粒子等、無色透明な微粒子であれば、特に限定されるものではない。
EVOH樹脂層に微粒子を含有させる場合の含有量としては、EVOH樹脂100質量部に対して該微粒子が0.1〜12質量部含有されていることが好ましい。微粒子の割合が0.1質量部未満の場合、EVOH樹脂層表面の滑り特性の改善が見られない恐れがある。また、微粒子の割合が12質量部を超えた場合、透明性が低下することがあり好ましくない。
微粒子の平均粒子径は2μm以下であることが好ましく、0.05〜2μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが更に好ましい。2μmを超えると、壁装材用表面保護フィルムの透明性、採光性が悪化する問題があり好ましくない。
ポリオレフィン樹脂層にEVOH樹脂層1を積層させる方法としては、ポリエチレンテレフタレートなどのカバーフィルム6にEVOH樹脂溶液をコートさせ乾燥した後にポリオレフィン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる積層フィルムに転写する転写法、直接EVOH樹脂溶液をポリオレフィン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる積層フィルムにコートする溶液コート法などがあるが特に限定するものではないが、壁装材用表面保護フィルムの柔軟性が求められる場合は、最外層のEVOH樹脂層を薄くした方が良く、転写法、溶液コート法が好ましく用いられる。
本発明の壁装材用表面保護フィルムを製造する際に、EVOH樹脂層1の積層方法として転写法を用いる場合には、カバーフィルム6上に前記EVOH樹脂溶液をコートさせ、EVOH樹脂溶液を固化させて表面に微凹凸を有するEVOH樹脂層1を形成させ、必要に応じてEVOH樹脂層1がカバーフィルム6と接している面と反対側の面に接着剤を塗布したのち、カバーフィルム6/EVOH樹脂層1、カバーフィルム6/EVOH樹脂層1/接着剤層a3等の積層構造を有するカバーフィルム積層物をポリオレフィン樹脂層2または接着剤層a3/ポリオレフィン樹脂層2、ポリオレフィン樹脂層2/接着剤層b4、接着剤層a3/ポリオレフィン樹脂層2/接着剤層b4等の積層構造を有するポリオレフィン樹脂層からなる積層フィルムと重ねたのち、最外層のカバーフィルム6を剥離させる方法で壁装材用表面保護フィルムを製造してもよい。
また、ポリオレフィン樹脂層2または接着剤層b4を有さないポリオレフィン樹脂層からなる積層フィルムとカバーフィルム積層物とを積層させた場合には、カバーフィルムを剥離させる前にポリオレフィン樹脂層の外表面に接着剤層b4を形成させてもよい。
限定されるものではないが、カバーフィルム積層物とポリオレフィン樹脂層またはポリオレフィン樹脂層からなる積層フィルムとを熱プレスによって加圧して積層させてもよく、加熱金属ロールと加圧ゴムロールとの間にはさみこんで加圧して積層させてもよい。前記加圧積層時の温度は100℃〜150℃であってもよく、加圧積層時の時間は3秒〜5分の間であってもよい。
ここで、カバーフィルム6は、特に限定するものでは無いが、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリノルボルネンなどのポリオレフィン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロエチレン−プロペンコポリマー等のフッ素樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリエステル;脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等のポリアミドなどが挙げられる。なかでも、性能及びコストの面でポリエステル系フィルム(以下PETフィルムと記載することがある)が好ましい。
カバーフィルム6の厚みとしては、特に限定されるものではないが、12〜200μm、より好適には、20〜150μmである。厚みが12μm未満の場合、EVOH樹脂層、ひいては壁装材用表面保護フィルムの平面性確保が困難であるだけでなく、カバーフィルム6を剥離する際にカバーフィルム6の破れが発生する問題がある。一方、200μmを超えると、工程通過性が阻害されるだけでなく、コスト面でも問題を含む。
カバーフィルム6は、本発明の壁装材用表面保護フィルムに意匠性、或いはタック低減による後加工性、取扱い性を付与することが容易となる点から、カバーフィルム6の表面が粗面化処理されていて、粗面化面であることが好ましい。カバーフィルム6の粗面化面の粗面化の程度はJIS Z8741で規定する光沢度が3〜60%、より好適には5〜40%である。カバーフィルム6の光沢度が3〜60%の範囲である場合には、得られる壁装材用表面保護フィルムの全光線透過率特性とヘイズ特性とがいずれも優れた特性を有することが容易となるため好ましい。
カバーフィルム6は、コート液のハジキを防止するため、或いは壁装材用表面保護フィルムからカバーフィルムの剥離を容易にする為、本発明を阻害しない範囲内で、コロナ処理や、シリコン系またはフッ素系離型剤による処理などを行ってもよい。
直接EVOH樹脂溶液をポリオレフィン樹脂層または接着剤層a/ポリオレフィン樹脂層、接着剤層a/ポリオレフィン樹脂層/接着剤層b、ポリオレフィン樹脂層/接着剤層b等の積層フィルムに塗布する溶液コート法については、特に方法は限定されるものではなく、例えばマイヤーバー、グラビヤ及びリバースロール方式等のローラーコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、カーテンフローコート法等の方法を用いて塗布することが可能である。EVOH樹脂溶液が塗布される積層フィルムの表面についても、ポリオレフィン樹脂層2であってもよく、接着剤層aであってもよい。
EVOH樹脂層を形成する場合の表面保護フィルムの形成方法としては、限定されるものではないが、例えばポリオレフィン樹脂層の片側の面に、必要に応じてコロナ処理を施した後、接着剤溶液を塗布、乾燥して接着剤層aを形成後、続いて 該接着剤a層の表層にEVOH溶液を塗布、乾燥してEVOH樹脂層を形成し、その後ポリオレフィン樹脂層の表層(すなわち接着剤層aと反対側の面)に必要に応じてコロナ処理を施した後、接着剤溶液を塗布、乾燥して接着剤層bを形成して本発明の表面保護フィルムを得る方法であってもよい。
接着剤溶液をコートする方法としては、特に 限定するものではなく、マイヤーバー、グラビヤ及びリバースロール方式等のローラーコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、カーテンフローコート法その他任意の公知方法が適用できる。
本発明の壁装材用表面保護フィルムは、全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが60%以上であることが得られる壁装材用表面保護フィルムが光を十分に透過したうえで均一に光を拡散させる上で重要であって、全光線透過率が85%以上であり、かつ、ヘイズが70%以上であることが好ましい。本発明の壁装材用表面保護フィルムが、全光線透過率が80%以上であってかつヘイズが60%以上を満足するためには、EVOH樹脂層を構成するEVOH樹脂のうち、前記のEVOH樹脂(い)が20〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明の壁装材用表面保護フィルムは、フィルムのMD方向の引張弾性率が400MPa〜1500MPaであることが壁装材に加工する際の加工性を確保する上で好ましく、より好ましくは650〜1200MPaである。
本発明の壁装材用表面保護フィルムの実施形態としては、特に限定されるものではないが、図1に示すEVOH樹脂層1/接着剤層a3/ポリオレフィン樹脂層2/接着剤層b4、EVOH樹脂層1/接着剤層a3/ポリオレフィン樹脂層2、EVOH樹脂層1/ポリオレフィン樹脂層2、EVOH樹脂層1/ポリオレフィン樹脂層2/接着剤層b4、などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂層2の両面に接着剤層a3と接着剤層b4とが形成される場合には、接着剤層a3と接着剤層b4とが同一の接着剤からなっていてもよく、異なる接着剤からなっていてもよい。さらには壁装材用表面保護フィルムの輸送時等に、例えば図2のように該壁装材用表面保護フィルムのEVOH樹脂層側の外表面にカバーフィルム6を積層したままとし、該壁装材用表面保護フィルムの使用時に該カバーフィルム6を剥離する方法を採用してもよい。
また、本発明の壁装材用表面保護フィルムが防汚性や柔軟性、形状追随性に優れる特徴を生かして、壁装材用表面保護フィルムのEVOH樹脂層が表層となるように、壁装材用表面保護フィルムと壁紙とを積層させて壁装材を形成することも可能である。壁紙の表面と接触あるいは接着させる壁装材用表面保護フィルムの層はポリオレフィン樹脂層2であってもよく、接着剤層b4であってもよい。
本発明の壁装材を構成する壁紙としては、本発明の効果を奏する限りにおいては特に限定されるものではないが、表層が熱可塑性樹脂層からなり、紙層を下地とした、熱可塑性樹脂層と紙層とが積層された壁紙が入手容易性や経済性の点から好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂層の形状は、一般的な壁紙に使用される形態であれば特に限定されるものではないが、経済性や壁装材用表面保護フィルムとの接着性、耐剥離特性などを考慮すると、フィルム、シート、不織布のいずれかであることが好ましい。
また熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂については、一般的な壁紙の熱可塑性樹脂層に使用されている樹脂であれば特に限定されるものではないが、壁紙の加工容易性や軽量性等の点から、PVC樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも1種であることが好ましい。
壁紙は、機能性を付加する等の目的で、可塑剤、充填材、顔料、紫外線吸収剤、発泡剤などの添加剤を熱可塑性樹脂層または紙層の少なくとも一方に分散させた壁紙であってもよく、発泡処理、エンボス処理やフリース加工、印刷処理等の加工処理を行った壁紙であってもよい。
本発明の壁装材の実施形態としては、特に限定されるものではないが、図3に示すEVOH樹脂層1/接着剤層a3/ポリオレフィン樹脂層2/接着剤層b4/熱可塑性樹脂層7/紙層8、EVOH樹脂層1/接着剤層a3/ポリオレフィン樹脂層2/熱可塑性樹脂層7/紙層8、EVOH樹脂層1/ポリオレフィン樹脂層2/接着剤層b4/熱可塑性樹脂層7/紙層8、EVOH樹脂層1/ポリオレフィン樹脂層2/熱可塑性樹脂層7/紙層8などが挙げられる。
本発明の壁装材は、景観性を高める等の目的で、エンボス処理を行ってもよい。本発明の壁装材の効用を奏する限りにおいては、エンボス処理の方法については特に限定されるものではないが、壁装材を構成する表面保護フィルムと壁材とを接着剤層bを介して接着した上で、エンボス彫刻を施した加熱ロールとゴム製バックアップロールとの間を通過させることで、加熱エンボス処理を行ってもよく、あるいは表面保護フィルムと壁材とを重ねた上でエンボス彫刻を施した加熱ロールとゴム製バックアップロールとの間を通過させることで、加熱発泡エンボス処理と接着とを同時に行ってもよい。
以下、実施例にて、本発明をより具体的かつ詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
全光線透過率:ASTM D1003に準ずる方法により、東洋精機製 直読ヘイズメーターを用いて、表面保護フィルムの全光線透過率を測定した。
ヘイズ値:ASTM D1003に準ずる方法により、東洋精機製 直読ヘイズメーターを用いて、表面保護フィルムのヘイズ値を測定した。
柔軟性:ASTM D882に準ずる方法により、表面保護フィルムのMD方向の引張弾性率を測定した。
エンボス追随性:約5倍の発泡倍率を有する高発泡壁紙と表面保護フィルムとを重ね、エンボスロールを用いて、120℃、1MPaの条件で圧着することにより、エンボス追随性試験用試料を作成し、表面保護フィルム側の外表面のエンボス追随性を目視にて評価した。
判定 基準
A(合格) :エンボスの切れ込みが深く、十分賦形され、かつ明瞭。
B(合格) :エンボスが深く、かつ明瞭。
C(不合格) :光の加減でエンボスが不明瞭になる。
D(不合格) :エンボスが浅く、かつ不明瞭。
防汚性:20cm×20cmの大きさに切り取った多層フィルムを、油性の黒色インキ(三菱鉛筆株式会社製の商品名;三菱マーカー)を塗布し、24時間後にベンジンを付けたガーゼで拭き取った。また、赤色クレパス(さくらクレパス製)を塗布し、24時間後に台所用合成洗剤(ライオン株式会社製の商品名;ママレモン)で湿らせたガーゼで拭き取った。
判定 基準
A(合格) :全く汚れが残らない
B(合格) :気にならない程度の汚れが残る。
C(不合格):明らかな汚れが残る
D(不合格):拭き後が残る、或いは 表面層が脱離する。
実施例1
透明無延伸ポリプロピレンフィルム(敦賀フィルム製 P1128、厚さ20μm、光沢度は12%)の接着剤塗布面側にコロナ処理を行いポリオレフィン樹脂層を形成した。続いてポリオレフィン樹脂層のコロナ処理面に、接着剤として、村山化学(株)製のウレタン系接着剤(サンプレックス435A)を20%IPA水溶液で20%濃度に希釈し、更に DIC社製ブロックイソシアネート系硬化剤5%を添加した溶液を、ワイアーバーを用いて5g/m塗布し60℃で5分間乾燥を行い、乾燥後の厚みが1μmである接着剤層aを形成し、接着剤層aとポリオレフィン樹脂層とが積層された積層フィルムを得た。
続いて、エチレン含有率が44モル%、鹸化度が99%であるEVOH樹脂(A)(株式会社クラレ製 商品名:エバールE105)10部、n−プロパノール52部、水28部、及び Nメチルピロリドン10部を75℃加熱下に樹脂を溶解して得た無色透明なEVOH溶液(A)と、エチレン含量が48モル%、鹸化度が99%であるEVOH樹脂(B)(株式会社クラレ製 商品名:エバールG156)10部、n−プロパノール81部、水9部、を70℃加熱下に樹脂を溶解し無色透明な溶液を得た後、15℃まで冷却し、24時間冷却後、ホモジナイザーで強攪拌して得られた不透明でゲル状であって白濁したEVOH(B)とを、(A)/(B)質量比で60/40の割合で、30℃の条件で強攪拌して透明なEVOHと不透明なEVOHとが存在するEVOH溶液(C)を得た。そして、前記積層フィルムの接着剤層a側に、ワイアーバーを用いて、該EVOH溶液(C)を5g/m塗布し、80℃で5分間乾燥して、乾燥後の塗布量が0.5g/mである壁装材用表面保護フィルムが形成された、EVOH樹脂層/接着剤層a/ポリオレフィン樹脂層からなる積層体を得た。
更に、該積層体のポリオレフィン樹脂層側をコロナ処理した後、上記で使用した接着剤をワイアーバーを用いて、10g/m塗布し、60℃で5分間乾燥して、乾燥後の厚みが2μmである接着剤層bを有し、EVOH樹脂層/接着剤層a/ポリオレフィン樹脂層/接着剤層bの構造を有する壁装材用表面保護フィルムを得た。該フィルムは、表1に示す様に、良好な光学特性、柔軟性を示す。
次に、ナンカイテクナート株式会社製である塩化ビニル樹脂からなる熱可塑性樹脂層と紙層とからなる高発泡塩化ビニル壁紙と前記得られた壁装材用表面保護フィルムとを高発泡塩化ビニル壁紙のPVC樹脂面と壁装材用表面保護フィルムの接着剤層bとが接するように重ねた上で、エンボス模様が施された熱ラミロールに通し、温度130℃、加熱時間1秒の条件で熱ラミネートし、室温に冷却後、エンボス模様が施された壁装材を得た。
得られた壁装材の特性を表1に示すが、エンボス追随性、接着力、防汚性いずれも良好であった。
比較例1
実施例1で使用したナンカイテクナート株式会社製である塩化ビニル樹脂と紙材とからなる高発泡塩化ビニル壁紙基材を単独で壁装材として用いた場合の特性を表1に示すが、防汚性に問題があった。
比較例2
実施例1において、EVOH溶液(C)を塗布しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の壁装材用表面保護フィルム、および壁装材を得た。得られた壁装材用表面保護フィルム6、および壁装材の特性を表1に示すが、防汚性が不十分であった。
比較例3
実施例1において、壁装材用表面保護フィルム5を、エチレン含有量が44モル%、鹸化度が99%であるEVOH樹脂からなり、ポリオレフィン樹脂層は含有しない防汚フィルム(株式会社クラレ製 商品名: HF−ME、厚さ14μm)に変更した以外、実施例1と同様にして、比較例3の壁装材用表面保護フィルム、および壁装材を得た。壁装材用表面保護フィルム5、および前記表面保護フィルムからなる壁装材の特性を表1に示すがエンボス追随性、柔軟性が不十分であった。
Figure 2015182401
本発明は、エンボス追随性、柔軟性、及び 防汚性を大幅に改良した、壁装材用の表面保護フィルム、及び該表面保護フィルムを用いたに壁装材を提供することにより、製造性、施工性、及び 汚れ防止性を大幅に改良した壁装材を提供でき、オフィス、住宅、病院、老人ホーム、ホテル、旅館などの壁紙、天井材、化粧フィルムに代表される化粧材等への用途への使用が可能である。
1.EVOH樹脂層
2.ポリオレフィン樹脂層
3.接着剤層a
4.接着剤層b
5.壁装材用表面保護フィルム
6.カバーフィルム
7.熱可塑性樹脂層
8.紙層
9.壁紙
10.壁装材

Claims (6)

  1. ポリオレフィン樹脂層の外表面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層が接着剤層を介してまたは介さずに積層されてなり、下記(a)〜(c)を満足することを特徴とする壁装材用表面保護フィルム。
    (a):エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層が、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる透明な溶液を熱処理して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(あ)と
    エチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる不透明な溶液を熱処理して得られるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(い)と
    により形成されてなる
    (b):全光線透過率が80%以上
    (c):ヘイズが60%以上
  2. エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(い)のエチレン含有量が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(あ)のエチレン含有量に対して、0.5モル%〜10モル%の範囲で大きいことを特徴とする請求項1に記載の壁装材用表面保護フィルム。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層または熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の外表面が粗面化面である請求項1または2に記載の壁装材用表面保護フィルム。
  4. 粗面化面は、JIS Z8741で規定する光沢度が3〜60%になるように粗面化処理されたカバーフィルムの粗面化面を転写して得られた面である請求項3に記載の壁装材用表面保護フィルム。
  5. 壁材の外表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁装材用表面保護フィルムが積層されてなる壁装材。
  6. エチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる透明な溶液であって溶液温度が30℃〜75℃である透明な溶液と、前記透明な溶液または別のエチレン−ビニルアルコール共重合体が含有されてなる透明な溶液を20℃以下に冷却して得られた不透明な溶液とを混合させて溶液温度が20℃〜40℃である混合溶液を得たのち、60℃〜90℃で乾燥を行い、さらに100℃〜150℃で熱処理を行って、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(あ)とエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(い)とからなるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁装材用表面保護フィルムの製造方法。
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