JP2019218816A - 複層型下敷きテープ - Google Patents
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Abstract
Description
この際、施工が良好な場合は、仕上面となる表面は平滑な面となり、突合わせ部12が判別しにくい綺麗な仕上げとなる(図4(b))。
上記した先行技術は、接着剤(糊)の移行の問題に関しては不十分であり、改善の余地がある。
設置の際に該壁紙重ね合わせ部の側に位置する上層フィルムと、設置の際に該下地材の側に位置する下層フィルムとの間に、ネット状シートが挟まれた状態で、該上層フィルムと該下層フィルムとが、両端部のみにおいて該ネット状シートとともに接着固定されており、
該ネット状シートが、該複層型下敷きテープの長手方向に略平行な縦糸と、該縦糸と略直交し該複層型下敷きテープを幅方向に横断する横糸とで構成されており、
該上層フィルムの素材が、ポリオレフィンであることを特徴とする複層型下敷きテープを提供するものである。
本発明の複層型下敷きテープを使用して壁紙貼付を行えば、施工後の突合わせ部が目立ちにくく美感に優れるとともに、壁紙が剥がれるといった問題も起こりにくくなる。
上記のように、壁紙11の貼付作業の際に、壁紙重ね合わせ部11Aを刃物で切断する作業を行う際に、下地材10(石膏ボード等)まで切断してしまうおそれがあるが、本発明の複層型下敷きテープ1を使用することで、下地材10に連続した傷がつきにくくなる。
幅が上記下限以上であると、複層型下敷きテープの設置に際し、壁紙10同士の縦方向の位置が横にずれた場合も突合わせ部12が複層型下敷きテープの幅内に収まる余裕があることはもちろん、中央部(非固定部分)の幅を十分に確保することができ横糸4Aが引っ張られやすくなり、上記効果を奏しやすい。幅が上記上限以下であると、コスト的に有利である;壁紙10の糊の掻取量を少なくできる;突合わせ部12の付近が歪みにくくなる;等のメリットがある。
厚さが上記上限以下であると、突合わせ部12に歪みが生じにくくなり、施工不良(突合わせ部12付近の盛り上がり)が発生しにくくなる。また、各部材の強度を十分に保ったり、糊の掻取量を減少させるべくエンボス加工したりすると、厚さは上記下限以下となる場合が多い。
壁紙11の裏面や、下地材10は、一般に白色系の色であるため、複層型下敷きテープ1の両端部1Aの接着剤に着色剤を添加することにより、複層型下敷きテープ1の視認性を向上し、除去し忘れることが少なくなるので、着色剤を添加するのが望ましい。
上記下限以上であると、両端部1Aをしっかりと固定でき、刃物で切断する際に、横糸4Aが動きやすくなる。上記上限以下であると、コスト的に有利であり、また、上記上限を超えて接着剤を使用しても、複層型下敷きテープ1の耐切創性等の性能は向上しない。
上記範囲内であると、両端部1Aをしっかりと固定することができ、また、中央部の幅を十分に確保することができるので、横糸4Aの動きを施工者が感じやすくなり、下地材10に傷(特に、連続した線状の傷)がつきにくくなる。
このうち、後述のように、柔軟性と加工のしやすさの兼ね合いから、無延伸ポリプロピレン(CPP)を上層フィルム2として使用するのが最適である。
上層フィルム2に凹凸構造を設ける方法には特に限定は無く、例えば、公知のエンボス加工技術により凹凸構造を設けることができる。
しかし、これらの素材は、エンボス加工を施すのが困難であり、エンボス加工を施すことによる糊の掻取量低減の効果が発揮されにくい。
厚さが上記下限以上であると、エンボス加工を施しやすい。厚さが上記上限以下であると、複層型下敷きテープ1を十分薄くでき、突合わせ部12に歪みが生じにくくなり、また、糊の掻取量が少なくなる。なお、上記上限を超えて上層フィルム2を厚くしても、エンボス加工の施しやすさは変わらない。
エンボス部2Aは、上層フィルム2の裏面(複層型下敷きテープ1においてネット状シート4に向いている面)の側に向かって突き出ていると、糊掻取量を低減することができるため望ましい。
エンボス部2Aの1つ当たりの面積の平均値は、0.09mm2以上であることが好ましく、0.25mm2以上であることが特に好ましい。また、9.00mm2以下であることが好ましく、5.00mm2以下であることが特に好ましい。
上層フィルム2におけるエンボス部2Aの平均数密度は、9個/cm2以上であることが好ましく、24個/cm2以上であることが特に好ましい。また、494個/cm2以下であることが好ましく、200個/cm2以下であることが特に好ましい。
エンボス部2Aの占有率、面積、平均数密度を上記範囲内であると、加工が容易であり、エンボス部2Aを設けたことによる糊掻取量の低減効果が発揮されやすい。
エンボス加工後の見掛け厚さが上記下限以上であると、エンボス部2Aを設けたことによる糊掻取量の低減効果が発揮されやすい。上記上限以下であると、複層型下敷きテープ1を十分薄くでき、突合わせ部12に歪みが生じにくくなり、また、複層型下敷きテープ1を長尺巻しやすくなる。
このうち、柔軟なことから、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)が特に好ましい。下層フィルム3には、糊が付着しないが、下層フィルム3の素材として柔軟な素材を使用することにより、複層型下敷きテープ1に柔軟性が付与され、切断後に複層型下敷きテープ1を除去しやすくなる。すなわち、複層型下敷きテープ1の柔軟性が高くなる結果、壁紙の糊の掻取量を低減しやすくなる。
前記のように、上層フィルム2は、糊の付着しやすさの観点から選択されるのに対し、下層フィルム3は、柔軟性の観点から選択される結果、両フィルムの素材は異なっている方が好ましい。
厚さが上記上限以下であると、突合わせ部12に歪みが生じにくくなり、施工不良(突合わせ部12付近の盛り上がり)が発生しにくくなる。また、十分な強度のフィルムを得るためには、厚さは上記下限以下となる場合が多い。
複層型下敷きテープ1を敷いた状態で、壁紙11を切断すると、刃物の刃先は、複層型下敷きテープ1の中央部(非固定部分)の横糸4Aに接触し、中央部において、横糸4Aは両側のフィルムには拘束されていないので、刃先の移動方向に引っ張られ、施工者に抵抗感を伝える。
横糸4Aは、刃物に引っ張られるので、強度が要求され、また、施工者に抵抗感を伝えやすくするために、その素材としては、上記したもののうち、高強度ビニロン、超高分子量ポリエチレン、パラアラミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールが特に好ましい。
強度が要求される横糸4Aが紡績糸の場合は、強度の大きい牽切紡績糸であるのが特に好ましい。
紡績糸の場合、綿番手で7番手以上が好ましく、10番手以上が特に好ましい。また、100番手以下が好ましく、50番手以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、耐切創性が十分となりやすい。また、複層型下敷きテープ1の厚さを十分に薄くすることができ、良好に施工しやすくなる。更に、切断の際に施工者に抵抗感が伝わりやすくなる。
上記範囲内であると、横糸の動きを施工者が感じやすくなり、下地材10に傷(特に、連続した線状の傷)がつきにくくなり耐切創性が向上しやすい。また、複層型下敷きテープ1の厚さが十分に薄くなる。更に、材料コストを抑えることができ経済的である。
以下に示すようにして、複層型下敷きテープ(以下、単に「テープ」という場合がある。)を作製した。
縦糸としてポリエステル紡績糸(Ne30/1)、横糸としてパワロン(登録商標、(株)クラレ製、高強力ビニロン)のパーロック式牽切紡績糸(Ne10/1)を使用して、ネット状シートを作製した。縦糸は3mm間隔、横糸は3mm間隔で設置し、縦糸と横糸の交点は、アクリル系目止め剤によって接着した。
上層フィルムとして、厚さ20μm・幅35mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、下層フィルムとして、厚さ20μm・幅35mmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムをそれぞれ使用し、前記ネット状シートを、上層フィルムと下層フィルムで挟んだ状態で、両フィルムの両端部のそれぞれ4mmを、アクリル系接着剤により接着することにより、テープT1を作製し、テープT1の厚さや質量を測定した。
なお、各フィルムやテープT1の厚さは、ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製)によって測定した。テープT1の厚さは、中央部(非固定部分)で測定した値である。
例1において、厚さ20μm・幅35mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを、加工後の上層フィルムの見掛け厚さが150μm、密度が37個/cm2となるようにエンボス加工したものを上層フィルムとして使用した以外は、例1と同様にして、テープT2を作製した。
例1において、厚さ20μm・幅35mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを、厚さ20μm・幅35mmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムに変更した以外は、例1と同様にして、テープT3を作製した。
例3において、厚さ20μm・幅35mmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを、加工後の上層フィルムの見掛け厚さが140μm、密度が37個/cm2となるようにエンボス加工したものを上層フィルムとして使用した以外は、例3と同様にして、テープT4を作製した。
例1において、厚さ20μm・幅35mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを、厚さ20μm・幅35mmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムに変更した以外は、例1と同様にして、テープT5を作製した。
例5において、厚さ20μm・幅35mmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを、加工後の上層フィルムの見掛け厚さが40μm、密度が37個/cm2となるようにエンボス加工したものを上層フィルムとして使用した以外は、例3と同様にして、テープT6を作製した。
例1において、厚さ20μm・幅35mmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを、厚さ20μm・幅35mmの高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムに変更した以外は、例1と同様にして、テープT7を作製した。
例5において、厚さ20μm・幅35mmの高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムを、加工後の上層フィルムの見掛け厚さが120μm、密度が37個/cm2となるようにエンボス加工したものを上層フィルムとして使用した以外は、例3と同様にして、テープT8を作製した。
例4において、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムのエンボス加工の条件を加工後の上層フィルムの見掛け厚さが100μm、密度が37個/cm2となるように変更した以外は、例4と同様にして、テープT9を作製した。
例4において、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムのエンボス加工の条件を、加工後の上層フィルムの見掛け厚さが200μm、密度が37個/cm2となるように変更した以外は、例4と同様にして、テープT10を作製した。
200g/m2の接着剤(糊)が塗工された壁紙をサンプルとして、図4(a)に示すように、壁紙重ね合わせ部11Aの下に作製した各テープを設置した状態で壁紙重ね合わせ部11Aの切断作業を行った後、除去した(壁紙11から剥がした)テープを回収し、質量を測定した。各テープの2.7m当たりの、作業前後の質量の変化量(増加量)を算出し、該変化量を、糊掻取量とした。
作製した原反(幅1100mm、長さ1000m)をスリット加工し、図3に示すような長尺のテープ(幅35mm、長さ100m)を作製し、以下の基準で巻き取り性を評価した。
×:外径185mmを超える巻径
各テープに関して、評価結果を表1に示す。
上層フィルムを低密度ポリエチレン(LDPE)で構成した場合、エンボス加工の高さが十分に出ず、エンボス加工を施すことによる、糊掻取量の低減効果が十分ではなかった。上層フィルムを高密度ポリエチレン(HDPE)で構成した場合も同様であった。
しかし、テープ10は、エンボス部の厚みが大きいため、糊掻取量は低減できたものの、巻径が大きくなり、一般的なテープ長さである100m以上を巻き取ることが出来なかった。
1A 両端接着部
2 上層フィルム
2A エンボス部
3 下層フィルム
4 ネット状シート
4A 横糸
4B 縦糸
4C 交点
10 下地材
11 壁紙(クロス)
11A 壁紙重ね合わせ部
11B 切断部
12 突合わせ部
Claims (5)
- 下地材の表面に壁紙を貼付するに当たり、隣接する壁紙の端部同士を重ね合わせた状態で、壁紙重ね合わせ部を切断する際に、該下地材と該壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置し、下地材を保護するための複層型下敷きテープであって、
設置の際に該壁紙重ね合わせ部の側に位置する上層フィルムと、設置の際に該下地材の側に位置する下層フィルムとの間に、ネット状シートが挟まれた状態で、該上層フィルムと該下層フィルムとが、両端部のみにおいて該ネット状シートとともに接着固定されており、
該ネット状シートが、該複層型下敷きテープの長手方向に略平行な縦糸と、該縦糸と略直交し該複層型下敷きテープを幅方向に横断する横糸とで構成されており、
該上層フィルムの素材が、ポリオレフィンであることを特徴とする複層型下敷きテープ。 - 上記上層フィルムの素材が、無延伸ポリプロピレンである請求項1に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記上層フィルムが、凹凸構造を有するものである請求項1又は請求項2に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記上層フィルムの平均厚さが、10μm以上200μm以下である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記下層フィルムの素材が、上記上層フィルムの素材とは異なるものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の複層型下敷きテープ。
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