JP2022106056A - 下敷きテープ - Google Patents
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Abstract
【課題】柔らかさと薄さと良好な耐切創性を兼ね備え、取扱い性がよく、壁紙の切断後に下地材から外すときに、壁紙に塗布された糊の移行量を低減できる下敷きテープの提供。【解決手段】合成樹脂製の1枚のフィルム13と、フィルム13における下地材17に対向する片面に加熱圧着された1枚の織物15で構成する。織物15の緯糸51は複数のフィラメントを有する糸で構成し、緯糸51の径方向におけるフィルム13側の部分をフィルム13に固定する一方、下地材17側の部分にフィラメントが動きうる非拘束部分51aを形成する。【選択図】図4
Description
この発明は、例えば隣り合う壁紙を隙間なく貼り付ける際に使用され、壁紙の継ぎ目部分をカッターで切断する時の下敷きとして使用される下敷きテープに関する。
壁紙の貼り付けを行う場合、下敷きテープは次のようにして使用される。すなわち、壁紙は壁や天井の下地材の表面に貼り付けられるが、壁紙の継ぎ合わせ部分は、まず図10(a)に示したように、隣り合う壁紙101の端縁同士を適宜幅重ね合わせる。このときに、壁紙101同士の重ね合わせ部分102と下地材103の間に帯状の下敷きテープ104を挟み込む。なお、壁紙101の貼り付け面には糊(接着剤)が塗布されている。
壁紙101同士の重ね合わせ部分は、図10(a)に仮想線で示したようにカッター105によって直線状に切断がなされる(図10(b)の仮想線参照)。下敷きテープ104は、この切断に際して下地材103を保護する機能を果たす。
切断後、各壁紙101における切断位置よりも端の不要な部分101aが除去される。このときに下敷きテープ104も外される。
壁紙101の不要な部分101aと下敷きテープ104を除去したあと、隣り合う壁紙101の端縁を下地材103に貼り付ければ、図10(c)に示したように、壁紙101の端面101b同士が突き合わせられた状態が得られる。
このように使用されるので、下敷きテープ104には主に、下地材103を保護するための耐切創性と、取り外しやすくして糊の脱落を防止するための柔軟さと、美麗な突き合わせができるようにする薄さが要求される。下敷きテープ104が硬いと、取り外すときに壁紙101の糊をかき取ってしまうことになる。また下敷きテープ104が厚いと、壁紙101の端面101b同士の突き合わせ部分の近傍が盛り上がってしまう。
耐切創性を有する下敷きテープとして、例えば下記特許文献1に開示されたものがある。この下敷きテープは、2つの樹脂フィルム層と、これら樹脂フィルム層の間に形成され、樹脂フィルム層の破断の伝達を阻止する破断伝達阻止層とで構成されている。破断伝達阻止層は、刃先自体が樹脂フィルム層を貫いて到達した場合に容易に破断せず、破断しても破断を伝達させにくい物質で構成される。
しかし、特許文献1の構成では、3層構造である上に、所望の耐切創性を得る破断伝達阻止層を必要とするので、柔軟性が得にくく、厚みを抑えるにも限界がある。
薄く構成できるものとして、下記特許文献2、3に開示された下敷きテープがある。
特許文献2の下敷きテープは、経糸がフラットヤーン、緯糸がモノフィラメントである織物の少なくとも片面にプラスチックフィルムをラミネートした構成である。
特許文献3の下敷きテープは、合成樹脂からなる複数本の経糸と合成樹脂製フラットヤーンからなる複数本の緯糸とが交差することによって形成された布状体と、この布状体の少なくとも片面に積層された熱可塑性樹脂製フィルムで構成されている。
これらの下敷きテープでは、カッターによる切断時に、刃の進行方向に並ぶ織物又は布状体の緯糸の存在によって間欠的に抵抗が付与される。つまり、作業者は刃先が下敷きテープに達していることを感覚的に認知可能である。このため、作業者は刃先にかける力を加減して、余計な切り込みによる下地材の損傷を防止できる。
つまり、特許文献2、3の下敷きテープによれば、2層で構成することによって厚みを薄くできる上に、下地材の保護機能も確保できる。
しかしながら、特許文献2の下敷きテープにおける織物の緯糸はモノフィラメントで構成され、特許文献3の下敷きテープにおける布状体の緯糸はフラットヤーンで構成されている。これらに耐切創機能を果たさせるためには、それなりの厚さが必要である。
特許文献2の緯糸については、100~500デニールのモノフィラメントを使用するのが好ましいと記載されている。特許文献3の緯糸については、フラットヤーンの厚みを60μm~120μmとする旨が記載されている。
このため、太い(厚い)緯糸を用いた下敷きテープでは、全体の厚みをより薄くすることは容易ではない。また、太いモノフィラメントや厚いフラットヤーンを用いるため、ラミネートするフィルムに柔軟なものを採用したとしても、高い柔軟性は得にくい。
そこでこの発明は、柔らかさと薄さと耐切創性を兼ね備える下敷きテープを提供することを主な目的とする。
そのための手段は、合成樹脂製の1枚のフィルムと、前記フィルムの片面に接合された緯糸を有する1枚の織物で構成され、下地材と壁紙との間に一時的に介装される下敷きテープであって、前記織物の前記緯糸が複数のフィラメントを有する糸で構成されるとともに、前記織物が前記フィルムにおける前記下地材に対向する面に接合され、前記緯糸の径方向における前記フィルム側の部分が前記フィルムに固定される一方、前記下地材側の部分に前記フィラメントが変位可能な非拘束部分を有する下敷きテープである。
この構成では、フィルムとその片面に接合された織物によって薄さと、緯糸の存在による凹凸が得られる。複数のフィラメントを有する糸からなる緯糸は、薄さに加えて下敷きテープに薄さと柔軟性を持たせる。フィルムは壁紙側に位置して織物に糊が付着するのを防止し、柔軟性とあいまって糊の脱落を抑制する。緯糸の非拘束部分は、切断時にかかる刃先からの荷重を分散して、切断されにくくする。
この発明によれば、層数を少なくして薄く構成するとともに、緯糸を複数のフィラメントからなる糸で構成して柔軟性を持たせたので、柔らかさと薄さを兼ね備えさせることができる。また、緯糸は切断方向に並ぶ凹凸を形成するので、切断時に抵抗感を付与して適切な切断を促すとともに、緯糸の一部にフィラメントを変位可能とする非拘束部分を形成したので、緯糸を切断されにくくして、適切な作業の確保と下地材の保護を実現できる。
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1に、壁紙の貼り付けに際して下地材と壁紙との間に一時的に介装されて使用される下敷きテープ11の斜視図を示す。この図に示したように下敷きテープ11は、一定幅の長尺帯状であり巻回状態で取引等がなされる。使用に際して下敷きテープ11は、必要な長さ切り出される。
図1に描いたように、下敷きテープ11は非常に柔らかく、しかも軽く構成される。
この下敷きテープ11は、図2の分解斜視図に示したように、合成樹脂製の1枚のフィルム13と、このフィルム13の片面に接合される1枚の織物15で構成されている。そして、織物15の緯糸51は複数のフィラメントを有する糸で構成され、緯糸51の径方向におけるフィルム13側の部分がフィルム13に固定される一方、フィルム13と反対側の部分にフィラメントが変位可能な非拘束部分51a(図4参照)を有している。
フィルム13は、下敷きテープ11の表面側に位置し、使用時には下地材ではなく壁紙側に向けられる。フィルム13の性状は、柔軟性を有し軽量なものがよい。材料としては合成樹脂のなかでも、例えばポリオレフィンがよく、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、エチレン・プロピレン共重合体等が好適に用いられる。なかでも特に、柔軟性と加工しやすさの観点から低密度ポリエチレンを用いるのがよい。
フィルム13の厚さは、薄いほうがよいので、70μm以下、又は50μm以下であるのが望ましい。厚みの下限は、素材にもよるが、強度を確保する観点から15μm、又は25μmとすることができる。
フィルム13は前述したように使用時に壁紙側に位置するので、壁紙に塗布された糊が移行しにくいようにするため、例えばエンボス加工によって適宜の凹凸を形成するとよい。
また、下敷きテープ11が取り付けられる下地材は、一般に白色系の色を呈しているので、下敷きテープ11の取り忘れがないように視認性を向上すべく、適宜の色を有するフィルムを用いるのが好ましい。
織物15は、下敷きテープ11の長手方向と直交する方向に延びる緯糸51と、複数の緯糸51を定間隔に連結し下敷きテープ11の長手方向に沿って延びる経糸52で平織されたものである。平織のほか、例えばからみ織などの織物であってもよい。
織物15の緯糸51は、複数のフィラメントを有する糸で構成される。すなわち、緯糸51としては紡績糸やマルチフィラメントを使用できる。ここで、「複数」とは、フィラメントが束になった状態を作り出せることの意味であり、例えば2本や3本といった本数をいうのではない。
緯糸51は、下敷きテープ11にその長手方向に沿った凹凸を形成するとともに、容易に切断されないようにするためのものである。このため、緯糸51はフィルム13に接合されたときにフィルム13の面に凹凸があらわれるようにする必要があり、緯糸51の太さはある程度、太く(厚く)設定する必要がある。具体的には緯糸51の太さはフィルムの厚みよりも太く(厚く)設定されるのが好ましいが、一方で、下敷きテープ11が過剰な厚みを持たない程度の太さに設定される。
紡績糸を用いる場合、緯糸51の太さは綿番手で、10番手(例えばNe10/1)以下、5番手(例えばNe5/1)以下の太さにするとよい。太さの上限は、下敷きテープ11を薄くする観点から2番手(例えばNe2/1)とするとよい。なお、綿番手の表記では、分子の数値が小さいほど太くなり、数値が大きいほど細くなる。
緯糸51としてマルチフィラメントを用いる場合には、紡績糸の場合と同等の太さとする。具体的には、500デニールから2000デニールの範囲であるとよい。
一方、経糸52は耐切創性に直接関与しないため太くする必要はない。経糸52には、緯糸51と同様に紡績糸やマルチを用いるほか、モノフィラメントを用いることもできる。
紡績糸を用いる場合、経糸52の太さは強度を考慮して、綿番手で30番手(例えばNe30/1)以下、又は40番手(例えばNe40/1)以下の細さであるとよい。太さの上限は、経糸の機能と下敷きテープ11を薄くする観点から、20番手(例えばNe20/1)、又は10番手(例えばNe10/1)とするとよい。経糸52としてマルチフィラメントを用いる場合には、紡績糸の場合と同等の細さにする。例えば、500デニール以下、又は250デニール以下であるとよい。経糸52の太さの上限は、50デニール又は150デニールとすることができる。
緯糸51や経糸52の素材としては、適宜のものが選定される。例をあげると、例えば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、アラミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オスキサゾール(PBO)等がある。緯糸51と経糸52には同一素材の糸を用いるほか、別素材の糸を用いてもよい。緯糸51に紡績糸を用いる場合には、特に強度の高い牽切紡績糸を用いることもできる。
織物15を構成する少なくとも緯糸51は、紡績糸を用いる場合、生機からなるものを用いるとよい。生機は樹脂加工がなされておらず、少なくとも緯糸51に生機を用いると、パリパリ感がなく高い柔軟性をもつ織物15となる。
また緯糸51には、インターレース加工したものを用いることもできる。インターレース加工は、エアーを吹き付けてフィラメント同士を交絡させたものである。インターレース加工の糸を緯糸51に使用することで、より軽く柔らかく、薄い状態を得られる。
織物15における緯糸51同士の間隔は緯糸51の機能に基づいて適宜設定されるが、例えば1mm以上、又は2mm以上が好ましい。間隔の上限は、20mm又は10mmとすることができる。
織物15の経糸52同士の間隔は、緯糸51同士の間隔を維持するとともに緯糸51をフィルム13に対して一体化できるように適宜設定される。具体的には、前述した緯糸51同士の間隔に準じて設定するとよい。
織物15の緯糸51と経糸52の交点は目止め加工を施してもよい。
以上のようなフィルム13と織物15は接合して一体化されるが、この一体化には接着剤と加熱圧着が用いられる。すなわち、フィルム13と織物15はフィルム13に塗布された接着剤層を介しての加熱圧着で一体化される。
製造に際しては、図3に示したように、下敷きテープ11の幅よりも幅広の原反フィルム13aと原反織物15aが貼り合わせられる。原反フィルム13aの裏面(下地材に対向する面。図3においては上面)に接着剤層16が形成され、この接着剤層16に対して前述した緯糸51と経糸52を有する原反織物15aが重ね合わされて、加熱されたカレンダーロールによってカレンダー加工される。これにより、接着剤層16は原反織物15aを一体化した状態で接着し、下敷きテープ基材11aが得られる。
下敷きテープ基材11aを所望の一定幅の帯状になるように織物15の経糸52が延びる方向に沿って裁断すると下敷きテープ11が得られる。下敷きテープ11の幅は、適宜設定される。例えば、80mm以下又は50mm以下で、20mm以上、25mm以上又は30mm以上とするとよい。
従来一般的には下敷きテープ11の幅は35mmであったが、施工後に廃棄されるごみ量の低減と、下敷きテープ基材11aからの取り数の増大を考慮すると、30mmに設定するのが望ましい。
得られた下敷きテープ11においては、下敷きテープ11を長手方向に沿って切断し、下地材17と共に示した断面図である図4に示したように、織物15における緯糸51が、表面側と裏面側で構造が相違している。すなわち、緯糸51の径方向におけるフィルム13側の部分51b(表面側)が接着剤層16と一体となってフィルム13に固定される一方、下地材17側の部分(裏面側)にフィラメントが変位可能な前述の非拘束部分51aが形成される。図4における仮想線の図形と仮想線の矢印は、非拘束部分51aの複数のフィラメントが互いに変位し合っていることを表している。
なお、織物15の経糸52については、緯糸51とは異なり、経糸52が全面的に接着剤に接着していても、部分的に接着していてもいずれでもよい。
緯糸51にこのような非拘束部分51aを形成するには、フィルム13に塗布される接着剤層16の厚さが緯糸51の太さ(厚さ)などを考慮して設定される。例えば接着剤層16の厚さは100μm以下であるとよい。好ましくは、下敷きテープ11全体の厚さを薄くし柔らかくする観点から、接着剤層16の厚さはフィルム13の厚さよりも薄くするのが好ましい。具体的には、前述したようにフィルム13の厚さは70μm以下であるので、接着剤層16の厚さは例えば60μm以下又は50μm以下とするとよい。また織物15の強固な固定を行う観点から、接着剤層の厚さは10μm以上又は20μm以上に設定される。このような接着剤層16の厚さは、緯糸51の太さ(厚さ)よりも薄い。
接着剤層16を構成する接着剤には、例えばアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤等を用いることができる。
接着剤層16の厚さに関連して下敷きテープ11の厚さについて付言すると、400μm以下、350μm以下、300μm以下、又は250μm以下であるのが好ましい。また、下敷きテープ11の引張強度を確保する観点から、下敷きテープ11の厚さは100μm又は150μm以上であるのが望ましい。
図5に下敷きテープ11の表面の状態を示し、図6、図7に下敷きテープ11の裏面の状態を示す。
このように下敷きテープ11の表面はフィルム13の外観を有するが、薄く柔軟なフィルム13は、その下に位置する織物15の経糸52と緯糸51の存在を看取させる程度に凹凸を有している。実際に指先で触ってみると凸凹を感じることができる状態である(図5参照)。
一方、下敷きテープ11の裏面は、織物15が露出した状態である。織物15の一部である表面側部分は接着剤層16と一体化し、経糸52は緯糸51を保持している。図6の下敷きテープ11は、緯糸51として紡績糸を用いた例であり、図7の下敷きテープ11は緯糸51としてインターレース加工をした紡績糸を用いた例である。いずれの場合も、緯糸51があらわれていることによって、表面よりも凹凸がはっきりしている。しかも、非拘束部分51aを有しているため、緯糸51を構成するフィラメントを直接感知でき、しかもその非拘束部分51aのフィラメントは動く。インターレース加工した糸を緯糸51とした場合には、フィルム13との接触面積が大きく取れ、接着性を高めることができる。
以上のように構成された下敷きテープ11は次のようにして使用される。すなわち、従来と同様、図8に示したように、貼り付ける壁紙18を壁や天井の下地材に重ねて、隣り合う壁紙同士においては、適宜幅の重ね合わせ部分19を作る。このとき、下地材17と壁紙18の重ね合わせ部分19との間に下敷きテープ11を介装する。
下敷きテープ11の向きは、織物15が露出している裏面を下地材17に接触させる向きであり、フィルム13には壁紙18の裏面(貼り付け面)に塗布された糊(図示せず)が接触することになる。
このあと、重ね合わせ部分19にカッター(図示せず)で重ね合わせ部分19の長手方向に沿って直線状に切断し、各壁紙18における重ね合わせ部分19の切断位置よりも端の不要部分を下敷きテープ11とともに除去する。
切断に際しては、下敷きテープ11が薄く柔軟ではあるが、切断方向に定間隔に並んだ緯糸51が下敷きテープ11に凹凸を形成しているので、刃先から凹凸に従った間欠的な抵抗が感じ取ることができる。このため、刃先が壁紙18を切断していることや下地材17を傷つけるような過剰な切り込みをしていないことを確認でき、下地材17を損傷しない適切な切断ができる。
特に、緯糸51が非拘束部分51aを有しているので、刃先から非拘束部分51aに加えられた負荷は、非拘束部分51aを構成するフィラメント相互の変位によって分散され、緯糸51が切断されることを抑制するので、良好な耐切創性を得られる。非拘束部分51aについては、フィルム13が柔軟性を有するとともに、緯糸51の厚さがフィルム13よりも厚く設定され、接着剤層16の厚さがフィルム13の厚さよりも薄いので、確実に形成できる。
また、下敷きテープ11の除去に際しては、非拘束部分51aを有し柔軟な緯糸51がフィルム13の性状に加えて下敷きテープ11に柔軟性をもたせるので、外しやすく作業性が良い。そのうえ、壁紙18の糊に接する部分はフィルム13であり、織物15が露出しないので、壁紙18から糊をかき取ってしまう量を低減できる。緯糸51がインターレース加工したものである場合には、下敷きテープ11により一層の柔軟性と薄さを得られる。
しかも、フィルム13と織物15は、フィルム13に塗布された接着剤層16を介しての加熱圧着で一体化されているので、フィルム13と織物15の一体性は高い。このため、取扱い性が良く、壁紙18を切断した後の除去時に織物15が下地に残留するようなこともない。
加えて、下敷きテープ11は薄いので、図8に示したように壁紙18同士の重ね合わせ部分19の盛り上がりを低くできる。このため、貼り付け時の突き合わせ部分が美麗になる。
経糸としてNe30/1のポリエステル紡績糸、緯糸としてNe10/2のポリエステル紡績糸を使用して、平織の織物を作製した。経糸同士の間隔と緯糸同士の間隔は共に3mmとし、経糸と緯糸の交点を止める目止め材は使用しなかった。
フィルムは、厚さ30μmの延伸低密度ポリエチレン(LLDPE)であり、フィルムの片面にEVA(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)を厚さ25μmにコーティングした。
このフィルムの接着剤面に前述の織物を重ねて幅100cmのシートとし、織物15側に熱カレンダーが接触するようにして、17トンの荷重をかけて10m/minの速度でカレンダー加工を行った。カレンダーロールの表面温度は100℃とした。
得られた下敷きテープの厚みは240μmであった。なお、フィルムと下敷きテープの厚さの測定には、ダイヤルシックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製)を用いた。
この下敷きテープの断面を光学顕微鏡にて観察したところ、図9の写真に示した構造が確認できた。すなわち、緯糸は、接着剤と共にフィルムに一体化せずにフィラメント同士が自由に動く状態の非拘束部分を有している。
下敷きテープの柔軟性を確認すべく、JIS L 1096 2020 A法 45°カンチレバー法で剛軟度を測定したところ、48mmという結果であり、十分に柔らかいことがわかった。
下敷きテープの裏面の凹凸感を確認すべく、緯糸をピンセットで挟んで下敷きテープの長手方向に移動させたところ、緯糸が約0.5mm程度引っ張られて撓み、ピンセットの先から緯糸のピッチごと間欠的にコツコツとした振動が得られた。
下敷きテープを前述のようにして使用しカッターで壁紙を切断したところ、刃先が緯糸に当たってカタカタと振動する抵抗が明確に感じられた。
下敷きテープを下地材と壁紙との間から取り出したあとで、下敷きテープに付着した糊の量、つまり、移行量又はかき取り量を測った。測定では、下敷きテープの2.7m当たりにおける作業前後の質量変化(増加量)を算出した。その結果は2.5gであった。なお、下敷きテープの幅は35mmであり、接着剤の塗布量は200g/m2である。
<比較例1>
厚さ70μmのフィルムに厚さ25μmの接着剤をコーティングして下敷きテープを作製した。フィルムや接着剤の種類と、織物は実施例のものと同一である。
<比較例1>
厚さ70μmのフィルムに厚さ25μmの接着剤をコーティングして下敷きテープを作製した。フィルムや接着剤の種類と、織物は実施例のものと同一である。
この下敷きテープの厚さは290μmであり、実施例の場合と同様に柔軟性を測定したところ62mmであった。また下敷きテープを使用して、実施例の場合と同様に接着剤のかき取り量を測定したところ2.9gであった。
このように、比較例1の下敷きテープは、実施例の下敷きテープと比較して、厚さは厚く、柔軟性は低く、かき取り量はやや多かった。
<比較例2>
厚さ30μmのフィルムに厚さ100μmの接着剤をコーティングして下敷きテープを作製した。フィルムや接着剤の種類と、織物は実施例のものと同一である。
<比較例2>
厚さ30μmのフィルムに厚さ100μmの接着剤をコーティングして下敷きテープを作製した。フィルムや接着剤の種類と、織物は実施例のものと同一である。
この下敷きテープでは、織物の全体が接着剤層に埋まってしまい、緯糸が一切動かなかった。
下敷きテープを実際に使用してみたが、カッターで壁紙を切断しても刃先が緯糸に当たる抵抗を感じることはなかった。
11…下敷きテープ
13…フィルム
15…織物
16…接着剤層
17…下地材
18…壁紙
51…緯糸
51a…非拘束部分
13…フィルム
15…織物
16…接着剤層
17…下地材
18…壁紙
51…緯糸
51a…非拘束部分
一方、下敷きテープ11の裏面は、織物15が露出した状態である。織物15の一部である表面側部分は接着剤層16と一体化し、経糸52は緯糸51を保持している。図6の下敷きテープ11は、緯糸51として紡績糸を用いた例であり、図7の下敷きテープ11は緯糸51としてインターレース加工をした糸を用いた例である。いずれの場合も、緯糸51があらわれていることによって、表面よりも凹凸がはっきりしている。しかも、非拘束部分51aを有しているため、緯糸51を構成するフィラメントを直接感知でき、しかもその非拘束部分51aのフィラメントは動く。インターレース加工した糸を緯糸51とした場合には、フィルム13との接触面積が大きく取れ、接着性を高めることができる。
Claims (6)
- 合成樹脂製の1枚のフィルムと、前記フィルムの片面に接合された緯糸を有する1枚の織物で構成され、下地材と壁紙との間に一時的に介装される下敷きテープであって、
前記織物の前記緯糸が複数のフィラメントを有する糸で構成されるとともに、
前記織物が前記フィルムにおける前記下地材に対向する面に接合され、
前記緯糸の径方向における前記フィルム側の部分が前記フィルムに固定される一方、前記下地材側の部分に前記フィラメントが変位可能な非拘束部分を有する
下敷きテープ。 - 前記フィルムと前記織物が、前記フィルムに塗布された接着剤層を介しての加熱圧着で一体化された
請求項1に記載の下敷きテープ。 - 前記フィルムが柔軟性を有するとともに、
前記緯糸の厚さが前記フィルムよりも厚く設定され、
前記接着剤層の厚さが前記フィルムの厚さよりも薄い
請求項2に記載の下敷きテープ。 - 前記緯糸がNe10/1以下の紡績糸又はこれと同等の太さのマルチフィラメントである
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の下敷きテープ。 - 前記織物の少なくとも前記緯糸が、生機からなるものである
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の下敷きテープ。 - 前記織物の少なくとも前記緯糸が、インターレース加工したものである
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の下敷きテープ。
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