JP6753992B2 - 上層側接着層用組成物及び下層側接着層用組成物 - Google Patents

上層側接着層用組成物及び下層側接着層用組成物 Download PDF

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本発明は、意匠金属板及びその製造方法、特にこれらに使用される上層側接着層用組成物及び下層側接着層用組成物に関する。
近年、各種建造物の内外装(例えば住宅等の内外壁、屋根、仕切り等)、家具の部品、家電の筐体、トラック架装、車両内外装、船舶内外装、及び道路防護壁等に意匠鋼板が使用されることが増えてきている。意匠鋼板は、これらの用途のうち、住宅の内外装に適用されることが多く、住宅浴室の壁に適用されることが特に多い。
ここで、意匠鋼板は、意匠フィルムを鋼板に積層したものである。意匠フィルムは、各種の意匠(例えば、色、柄、エンボス等)が付与されたフィルムである。意匠鋼板は、概略的には、以下の工程により作製される。すなわち、まず、鋼板上または意匠フィルム上に接着剤を積層(例えば塗工)することで、鋼板上または意匠フィルム上に接着層を形成する。ここで、接着剤は、溶剤に溶解または溶剤中に分散した状態で鋼板板上または意匠フィルム上に積層される場合がある。ついで、接着層を加熱することで、接着剤を軟化させる。接着層に溶剤が含まれる場合、加熱によって溶剤が蒸発する。ついで、鋼板と意匠フィルムとを圧着する。以上の工程により意匠鋼板が作製される。
特許文献1〜6は、上記接着層が単一層となっている意匠鋼板を開示する。特許文献1には、分子量と末端官能基量が規定されたウレタン変性ポリエステル主剤にポリイソシアネート化系硬化剤をNCO/OH比が所定範囲となるように配合したポリエステル系接着剤が開示されている。そして、特許文献1では、この接着剤を用いて単一層からなる接着層を鋼板上に形成する。そして、意匠フィルムと鋼板とを圧着する。
特許文献1に開示された技術によれば、主剤の分子量を規定することで、意匠フィルムへの濡れ性と接着剤自体の強度を保持する。さらに末端官能基を規定することで鋼板と意匠フィルムとの密着性を確保する。そして、硬化剤の配合比を規定することにより、凝集力とポットライフを適正化する。特許文献1に開示された接着剤は、低温(例えば180℃以下)で軟化する。したがって、接着層の加熱温度が低くても、接着剤は十分に軟化するので、意匠フィルムを鋼板に十分に密着させることができる。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂と結合したアクリルポリマーをアミン化合物で架橋したアクリル系接着剤が開示されている。特許文献2では、この接着剤を用いて単一層からなる接着層を鋼板上に形成する。特許文献2に開示された接着剤も低温で軟化する。したがって、接着層の加熱温度が低温であっても、接着剤は十分に軟化するので、意匠フィルムを鋼板に十分に密着させることができる。
また、特許文献3には、シランカップリング剤を添加したポリイソシアネートを硬化剤として使用したポリエステル系接着剤が開示されている。特許文献3では、この接着剤を用いて単一層からなる接着層を鋼板上に形成する。特許文献4〜6にも市販のポリエステル系、あるいはウレタン系接着剤が開示されている。特許文献4〜6でも、これらの接着剤を用いて単一層からなる接着層を形成する。特許文献3〜6に開示された接着剤は、高温(例えば210〜230℃)で軟化する。したがって、これらの接着剤を用いて意匠フィルムを鋼板に圧着する場合、接着層の加熱温度を特許文献1、2の加熱温度よりも高くする必要がある。
特許文献7、8は、接着層が2層となっている意匠鋼板を開示する。特許文献7では、下層側(すなわち鋼板側)の接着層は、極性基含有変性ポリエチレン樹脂を主成分とする接着剤を含み、上層側(すなわち意匠フィルム側)の接着層は、極性基含変性ポリプロピレン樹脂を主成分とする接着剤を含む。極性基含変性ポリプロピレン樹脂を主成分とする接着剤は、高温で軟化する接着剤であり、極性基含有変性ポリエチレン樹脂を主成分とする接着剤は、低温で軟化する接着剤である。
特許文献7では、概略以下の工程により意匠鋼板を作製する。すなわち、多層押出機を用いて意匠フィルム上に複数層の接着層を形成する。そして、これらの接着層が形成された意匠フィルムを予め加熱された鋼板に圧着する。その後、意匠フィルムと鋼板とを加熱することで、下層側の接着剤を軟化させ、意匠フィルムを鋼板に密着させる。以上の工程により意匠鋼板を作製する。ここで、下層側の接着剤は低温で軟化する接着剤で構成されているので、下層側の接着剤を軟化させるための加熱温度が低温であっても、意匠フィルムを鋼板に十分に密着させることができる。
特許文献8では、下層側接着層は、ガラス転移温度が−65〜−10℃のウレタン系接着剤を含み、上層側接着層は、ガラス転移温度が20〜90℃のポリエステル系接着剤を含む。上記のウレタン系接着剤は、ガラス転移温度が低いので低温で軟化する。上記のポリエステル系接着剤は、ガラス転移温度が高いので高温で軟化する。特許文献8では、概略以下の工程により意匠鋼板を作製する。すなわち、ウレタン系接着剤を含むエマルジョンを鋼板上に積層、加熱することで、鋼板上に下層側接着層を形成する。そして、ポリエステル系接着剤を含むエマルジョンを下層側接着層上に積層、加熱することで、下層側接着層上に上層側接着層を形成する。ついで、上層側接着層上に意匠フィルムを積層する。ここで、下層側接着層は低温で軟化する接着剤で構成されているので、下層側の接着剤を軟化させるための加熱温度が低温であっても、意匠フィルムを鋼板に十分に密着させることができる。
特開平5−140340号公報 特開昭56−90874号公報 特公平6−78517号公報 特開2010−6020号公報 特開2005−219504号公報 特開平10−235782号公報 特開昭64−82931号公報 特開2008−279687号公報
ところで、意匠鋼板の品位を安定させるという観点から、接着剤を軟化させるための加熱温度をなるべく低くすることが求められていた。すなわち、意匠鋼板作製時の接着剤の密着力(このような密着力は1次密着力とも称される)がなるべく低温で発現することが求められていた。接着剤を軟化させるための加熱温度が高過ぎると、意匠フィルムに付与された意匠が劣化する(すなわち、意匠鋼板の品位が低下する)からである。具体的には、高温の接着剤に接触した意匠フィルムに大量の熱が伝導し、この熱によって意匠フィルム内の顔料が揮発する。また、当該熱によってエンボスの凹凸が浅くなる(いわゆるエンボス戻り)。特に、近年では、意匠フィルムに付与される意匠が高度化する傾向があるので、意匠鋼板の品位を安定させることは非常に重要な課題となっていた。また、省エネ及び生産性向上の観点からも、加熱温度をなるべく低くすることが求められていた。加熱温度が低いほど、加熱に要する時間が短縮されるので、意匠鋼板の生産性(生産速度)が向上する。特許文献1、2、7、8に開示された意匠鋼板では、接着剤を軟化させるための加熱温度を低くすることができるので、意匠鋼板作製時における意匠の劣化を抑制することができる。
その一方、上述したように、意匠鋼板は、住宅浴室の壁に適用されることが特に多い。住宅浴室は、高温・多湿という極めて過酷な環境であるが、意匠鋼板には、このような過酷な環境下であっても意匠フィルムと鋼板との密着力を長期間(例えば5年以上)維持できることが求められていた。すなわち、意匠鋼板作製後の接着剤の密着力(このような密着力は、2次密着力とも称される)は、高温・多湿の環境下で意匠鋼板が長期間使用された場合であっても高い値に維持されることが求められていた。
本発明者は、特許文献1、2、7、8に開示された意匠鋼板が高温・多湿の環境に適応可能か否かを検証した。具体的には、特許文献1、2、7、8に開示された意匠鋼板を作製し、これらの意匠鋼板を用いて加速試験を行った。ここで、加速試験は、沸騰水に意匠鋼板を2時間浸漬するというものである。この結果、接着層は、鋼板との界面において容易に剥離してしまった。したがって、特許文献1、2、7、8に開示された意匠鋼板は、高温・多湿の環境に適応することができない。
なお、上記の加速試験では、「高温」、「水」という因子が意匠鋼板に作用している。このため、上記の加速試験では、いずれの因子が密着力低下の原因になっているのかわからない。そこで、本発明者は、これらの因子を個別に検証するために、以下の加速試験を行った。具体的には、本発明者は、高温に関する加速試験として、真空中で意匠鋼板を100℃に加熱する加速試験を行った。この結果、加速試験の前後で密着力の変化は見受けられなかった。そこで、本発明者は、水に関する加速試験として、40℃の水に意匠鋼板を2時間浸漬する加速試験を行った。この結果、加速試験の前後で密着力の変化は見受けられなかった。そこで、本発明者は、高温及び水を複合させた加速試験として、60℃、80℃の水に意匠鋼板をそれぞれ2時間浸漬する加速試験を行った。この結果、加速試験の前後で密着力が大きく低下した。具体的には、接着層は、鋼板との界面において容易に剥離してしまった。以上の結果、本発明者は、「水」及び「高温」が密着力低下の原因であることを突き止めた。
さらに、本発明者は、特許文献3〜6に開示された意匠鋼板を作製し、上記と同様の加速試験(すなわち、沸騰水に意匠鋼板を2時間浸漬する加速試験)を行った。この結果、加速試験の前後で密着力の変化はほとんど見受けられなかった。したがって、特許文献3〜6に開示された意匠鋼板は、高温・多湿の環境に適応することができることになる。
そして、特許文献1、2、7、8に開示された意匠鋼板では、鋼板に接触する接着剤が低温で軟化する。一方、特許文献3〜6に開示された意匠鋼板では、鋼板に接触する接着剤が高温で軟化する。したがって、鋼板に接触する接着剤が低温で軟化する場合、意匠鋼板は高温・多湿の環境に適応できないが、鋼板に接触する接着剤が高温で軟化する場合、意匠鋼板は高温・多湿の環境に適応できることになる。本発明者は、この理由は両接着剤の軟化度の違いにあると考えている。
図1に示すグラフL1、L2は、それぞれ異なる接着剤の温度と軟化度との対応関係を示すグラフである。グラフL1で示される特性を有する接着剤(以下、「接着剤A」とも称する)は、低温で軟化する接着剤の1種であり、グラフL2で示される特性を有する接着剤(以下、「接着剤B」とも称する)は、高温で軟化する接着剤の1種である。なお、軟化度は、熱機械分析装置(Thermal Mechanical Analysis)により測定される。具体的には、軟化度は、試料に細径の円柱針を所定荷重で押し込み、その時の円柱針の侵入深さを所定温度での侵入深さで除算することで得られる。図1の軟化度は、試料を2℃/分で加熱しつつ、試料に直径1mmの円柱針を荷重500mNで押し込むことで測定された侵入深さを、200℃での侵入深さで除算することで得られる値である。なお、試料への円柱針の侵入深さは、JIS−K−7196に準拠して測定される。また、図1の縦軸は、理解を容易にするために、軟化度に負符号をつけている。
接着剤Aの軟化度は、40℃を超えた辺りから急激に上昇し、60℃以上の温度では0.7以上まで軟化する。一方、接着剤Bの軟化度は、80℃辺りまで低い値に維持される。ここで、接着剤の軟化度が高くなることは、接着剤の自由体積が大きくなることを意味する。そして、接着剤の自由体積が大きくなるほど、水分子が接着剤内に拡散及び侵入しやすくなる。したがって、接着剤Aを60℃以上に加熱すると、大量の水分子が接着剤A内に侵入する。一方、接着剤Bを同様に加熱しても、水分子の侵入量は接着剤Aよりも低くなる。
そして、特許文献1、2に開示された接着剤は低温で軟化するので、接着剤Aと同様の特性を有する。したがって、特許文献1、2に開示された意匠鋼板を高温・多湿の環境下に曝露した場合、大量の水分子が接着層内に入り込む。そして、これらの水分子が鋼板/接着層界面に形成された化学結合を切断すると考えられる。すなわち、鋼板と接着層とは脱水縮合によって結合するので、この結合が接着層内に侵入した水分子によって加水分解される。また、水分子によって接着層が可塑化、脆化されるので、これも密着力低下の原因と考えられる。これらの理由により、特許文献1、2に開示された意匠鋼板を高温・多湿の環境下に曝露した場合、接着層は、鋼板との界面において容易に剥離すると考えられる。すなわち、高温・多湿の環境下では、2次密着力が維持できないと考えられる。一方、特許文献3〜6に開示された接着剤は高温で軟化するので、接着剤Bと同様の特性を有する。したがって、特許文献3〜6に開示された意匠鋼板を高温・多湿の環境下に曝露した場合、接着層への水分子の侵入が抑えられる。このため、高温・多湿の環境下であっても、2次密着力が維持されると考えられる。
一方、特許文献7、8に開示された意匠鋼板では、下層側接着層を構成する接着剤は、接着剤Aと同様の特性を有し、上層側接着層を構成する接着剤は、接着剤Bと同様の特性を有する。このため、上層側接着層は水分子に対するバリア層として機能する。したがって、意匠フィルム側から下層側接着層への水分子の侵入は抑えられる。しかし、意匠鋼板の端面では、下層側接着層が露出するので、この部分から大量の水分子が侵入する。そして、下層側接着層に侵入した水分子は、鋼板/接着層界面に形成された化学結合を切断する。したがって、特許文献7、8に開示された意匠鋼板も高温・多湿の環境下では2次密着力を維持することができない。
このように、特許文献3〜6に開示された意匠鋼板は、高温・多湿の環境下でも2次密着力を維持することができる。しかし、1次密着力を発現するために、意匠鋼板の作製時に接着層を高温に加熱する必要があった。このため、意匠鋼板の作製時に意匠フィルムに施された意匠が大きく劣化する可能性があった。したがって、意匠鋼板の作製時に意匠フィルムに施された意匠の劣化を抑制することができ、かつ、高温・多湿という過酷な環境下であっても意匠フィルムと鋼板との密着力を維持することが可能な意匠鋼板は提案されていなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、意匠金属板の作製時に意匠フィルムに施された意匠の劣化を抑制することができ、かつ、高温・多湿という過酷な環境下であっても意匠フィルムと金属板との密着力を維持することが可能な、新規かつ改良された意匠金属板及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、金属板と、金属板上に積層された下層側接着層と、下層側接着層上に積層された上層側接着層と、上層側接着層上に積層された意匠フィルムと、を備え、下層側接着層は、下層側接着剤を含み、上層側接着層は、上層側接着剤を含み、上層側接着剤の軟化温度は80℃以下であり、下層側接着剤の軟化温度は90℃以上であることを特徴とする、意匠金属板が提供される。
ここで、上層側接着剤の軟化温度は70℃以下であってもよい。
また、下層側接着剤の軟化温度は100℃以上であってもよい。
また、下層側接着剤及び上層側接着剤は、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、及びユリア系の熱硬化型接着剤のうち何れか1種以上で構成されてもよい。
また、下層側接着剤及び上層側接着剤は、線状ポリエステル樹脂100質量部にイソシアネート基を全ジカルボン酸残基に対して30モル%以上有するポリイソシアネート樹脂3〜25質量部を添加したポリエステル系熱硬化型接着剤であってもよい。
また、下層側接着層は、シランカップリング剤を下層側接着剤100質量部に対して2〜15質量部含んでいてもよい。
また、意匠フィルムは、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びフッ素系樹脂のうち何れか1種以上で構成されてもよい。
また、意匠フィルムのうち、上層側接着層に接する部分の軟化温度は150℃未満であってもよい。
本発明の他の観点によれば、上記の意匠金属板を製造する意匠金属板の製造方法であって、180℃以下の金属板と意匠フィルムとを下層側接着層及び上層側接着層を介して接着することを特徴とする、意匠金属板の製造方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、下層側接着剤を金属板上に積層することで、下層側接着層を金属板上に形成する工程と、金属板を加熱することで、下層側接着層を金属板に密着させる工程と、上層側接着剤を下層側接着層上に積層することで、上層側接着層を下層側接着層上に形成する工程と、金属板を180℃以下の加熱温度まで加熱することで、上層側接着剤を軟化させる工程と、上層側接着層上に意匠フィルムを積層する工程と、を含み、上層側接着剤の軟化温度は80℃以下であり、下層側接着剤の軟化温度は90℃以上であることを特徴とする、意匠金属板の製造方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、下層側接着剤を金属板上に積層することで、下層側接着層を金属板上に形成する工程と、金属板を加熱することで、下層側接着層を金属板に密着させる工程と、上層側接着剤を含む上層側接着層が意匠フィルム上に積層された積層フィルムを準備する工程と、金属板の温度を180℃以下とした状態で、金属板上の下層側接着層と意匠フィルム上の上層側接着層とを貼り合わせる工程と、を含み、上層側接着剤の軟化温度は80℃以下であり、下層側接着剤の軟化温度は90℃以上であることを特徴とする、意匠金属板の製造方法が提供される。
ここで、積層フィルムを準備する工程は、上層側接着剤を意匠フィルム上に積層することで、上層側接着層を意匠フィルム上に形成する工程と、意匠フィルムを加熱することで、上層側接着層を意匠フィルムに密着させる工程と、を含んでいてもよい。
また、下層側接着剤及び溶剤を含む下層側接着剤組成物を金属板上に積層することで、下層側接着層を形成し、金属板を加熱することで、下層側接着層に含まれる溶剤を蒸発させるとともに、下層側接着層を金属板に密着させてもよい。
また、金属板を180℃超の加熱温度まで加熱することで、下層側接着層を金属板に密着させてもよい。
また、上層側接着剤の軟化温度は70℃以下であってもよい。
また、下層側接着剤の軟化温度は100℃以上であってもよい。
また、下層側接着剤及び上層側接着剤は、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、及びユリア系の熱硬化型接着剤のうち何れか1種以上で構成されてもよい。
また、下層側接着剤及び上層側接着剤は、線状ポリエステル樹脂100質量部にイソシアネート基を全ジカルボン酸残基に対して30モル%以上有するポリイソシアネート樹脂3〜25質量部を添加したポリエステル系熱硬化型接着剤であってもよい。
また、下層側接着剤及びシランカップリング剤を含む下層側接着剤組成物を金属板上に積層することで、下層側接着層を形成し、シランカップリング剤は、下層側接着剤100質量部に対して2〜15質量部の割合で下層側接着剤組成物に含まれてもよい。
また、意匠フィルムは、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びフッ素系樹脂のうち何れか1種以上で構成されてもよい。
また、意匠フィルムのうち、上層側接着層に接する部分の軟化温度は150℃未満であってもよい。
以上説明したように本発明によれば、意匠金属板の作製時に意匠フィルムに施された意匠の劣化を抑制することができ、かつ、高温・多湿という過酷な環境下であっても意匠フィルムと金属板との密着力を維持することができる。
本発明の実施形態に係る意匠金属板の概略構成を示す側面図である。 接着剤の温度と軟化度との対応関係を示すグラフである。 意匠金属板の製造装置の一例を示す側面図である。 意匠金属板の製造装置の他の例を示す側面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.意匠金属板の構成>
まず、図2を参照して、本発明の実施形態に係る意匠金属板10の構成について説明する。意匠金属板10は、金属板20と、意匠フィルム30と、接着層40とを備える。接着層40は、金属板20上に積層される下層側接着層41と、下層側接着層41上に積層される上層側接着層42とを備える。したがって、接着層40は2層構造になっている。意匠フィルム30は、上層側接着層42上に積層される。
(1−1.鋼板の構成)
金属板20の種類は特に制限されず、広く公知の金属板を使用できる。金属板20の例としては、鋼板、ステンレス板、Al板、Cu板、真鍮板、Ti板、クロム板、ニッケル板、亜鉛板、マグネシウム板などが挙げられる。
ここで、鋼板の例としては、ブリキ板、薄錫めっき鋼板、電解クロム酸処理鋼板(ティンフリー鋼板)、ニッケルめっき鋼板等の缶用鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−鉄合金めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム−シリコン合金めっき鋼板、溶融鉛−錫合金めっき鋼板等の溶融めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケルめっき鋼板、電気亜鉛−鉄合金めっき鋼板、電気亜鉛−クロム合金めっき鋼板等の電気めっき鋼板、冷延鋼板等が挙げられる。鋼板への被覆は片面又は両面の何れに行ってもよい。
鋼板の表面には、接着層40との密着性強化や防錆性向上等を目的とした各種化成処理を施してもよい。化成処理の具体例としては、電解クロメート処理、りん酸クロメート処理、6価クロムを含有する塗布クロメート処理、コバルト、モリブデン系複合メッキ処理、各種無機皮膜(例えば、バナジウム、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、リン含有無機皮膜)を被覆する処理、各種有機皮膜(例えば、ポリアクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などを含有する有機皮膜)を被覆する処理、シランカップリング剤等を被覆する処理等が挙げられる。
本実施形態では、下層側接着剤(下層側接着層41に含まれる接着剤)は高温で軟化するので、下層側接着層41への水分子の侵入を抑制することができる。したがって、高温・多湿の環境下であっても、金属板20/下層側接着層41の界面の密着力(2次密着力)を維持することができる。
(1−2.意匠フィルム)
意匠フィルム30の種類も特に制限されず、従来の意匠金属板に使用される意匠フィルムであれば本実施形態の意匠フィルム30として使用可能である。意匠フィルム30には、上述したように、各種の意匠(例えば、色、柄、エンボス等)が施されている。意匠フィルム30の例としては、単色意匠フィルム、柄物意匠フィルム等が挙げられる。単色意匠フィルムは、顔料による着色が施された意匠フィルムである。単色意匠フィルムの表面にはエンボス加工が施される場合が多い。このようなエンボス加工により光反射が抑制される。また、柄物意匠フィルムは、顔料による着色及び柄の印刷が施された意匠フィルムである。柄物意匠フィルムの表面には、柄を保護するための透明保護フィルムがさらに積層されていてもよい。また、柄物意匠フィルムは、顔料による着色が施された着色フィルムと、柄が印刷された透明保護フィルムとを圧着することによって作製される場合がある。この場合、透明保護フィルムの柄印刷面が着色フィルム側に向けられる。
本実施形態では、上層側接着剤(上層側接着層42に含まれる接着剤)は低温で軟化する。したがって、上層側接着剤を軟化させるための加熱温度が低温であっても、意匠フィルム30を上層側接着層42に十分に密着させることができる。すなわち、意匠フィルム30を金属板20に十分に密着させることができる。したがって、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制しつつ、意匠フィルム30を金属板20に十分に密着させることができる。
(1−2−1.意匠フィルムを構成する樹脂)
意匠フィルム30を構成する樹脂は、特に制限されない。すなわち、従来の意匠フィルムに適用される樹脂であれば、本実施形態の意匠フィルム30にも適用可能である。意匠フィルム30を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びフッ素系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、及びエポキシ樹脂等が挙げられる。意匠フィルム30は、上述した樹脂のうち、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びフッ素系樹脂のうちいずれか1種以上で構成されることが好ましい。これらの樹脂で構成された意匠フィルム30は、印刷の濡れ性、エンボス加工性に優れるので、高度な意匠を付与しやすい。以下、好ましい樹脂の例について詳細に説明する。
塩化ビニル樹脂は、塩素を含むモノマーユニットを含有する樹脂である。塩化ビニル樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などの塩素含有樹脂、およびそれら相互のブレンド品あるいはそれらと他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリリレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。
さらに、塩化ビニル樹脂を主成分とした意匠フィルム30を作製する場合、意匠フィルム30には、耐衝撃性、耐候性などを改善する目的で塩素を含有しないジエン系樹脂、MBS(メチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合体)、MBA(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体)などのアクリル系インパクトモディファイヤー、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの塩素を含有しない樹脂を添加してもよい。なお、本実施形態において、意匠フィルム30の「主成分」とは、意匠フィルム30に意匠フィルム30の総質量に対して50質量%以上の質量比で含まれている材料を意味する。これらの添加剤の添加量は、意匠フィルム30の総質量に対して50質量%未満であることが好ましい。添加剤の添加量が50質量%以上となる場合、塩化ビニル樹脂の特性が発現しにくくなる場合がある。また、これらの添加剤の添加量は、意匠フィルム30の総質量に対して3質量%以上であることが好ましい。3質量%未満では、意匠金属板に衝撃力を加えた場合、フィルムが破壊する場合がある。
また、塩化ビニル樹脂を主成分とした意匠フィルム30を作製する場合、意匠フィルム30には、意匠フィルム30の可とう性、柔軟性を付与する目的で公知の可塑剤を添加してもよい。添加剤の例としては、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタレート系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤、トリクレジルホスフェートなどのホスフェート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、ピロメリテート系可塑剤、ビフェニルテトラカルボキシレート系可塑剤、エポキシ系可塑剤などがあげられる。可塑剤の添加量は、意匠フィルム30の総質量に対して30質量%以下であることが好ましい。可塑剤の添加量が30質量%より大きい場合、意匠金属板10を長時間使用した際に大量の可塑剤が表面に移動する場合がある。この場合、表面にタックを生じるなど意匠性、表面機能が低下する場合がある。また、可塑剤の添加量は、衣裳フィルム30の総質量に対して3質量%以上であることが好ましい。3質量%未満ではフィルムが硬く、意匠金属板を加工するとフィルムが追従しないで、亀裂を生じる場合がある。
また、塩化ビニル樹脂を主成分とした意匠フィルム30を作製する場合、意匠フィルム30には、熱安定性、耐候性、隠蔽性、耐衝撃性を向上する目的で、ステアリン酸バリウムなどの有機酸アルカリ土類金属塩、ステアリン酸亜鉛などの有機酸亜鉛、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン化合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤を添加してもよい。これらの添加剤の添加量は、意匠フィルム30の総質量に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。添加量が0.01質量%未満となる場合、添加剤の機能が十分に発現できない場合がある。一方、添加量が10質量%より大きい場合、着色や焼けが発生する場合がある。
また、塩化ビニル樹脂を主成分とした意匠フィルム30を作製する場合、意匠フィルム30には、意匠フィルム30に隠蔽性を付与する目的で、ルチル型二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの顔料を添加してもよい。顔料の添加量は、意匠フィルム30の総質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。添加量が1質量%未満となる場合、隠蔽性が不十分となる場合がある。添加量が30質量%より大きい場合、意匠フィルム30がもろくなり、製膜が困難になる場合がある。製膜性、隠蔽の安定性からは、顔料の添加量は5〜20質量%であることがより好ましい。
塩化ビニル樹脂を主成分とした意匠フィルム30を作製する場合、意匠フィルム30には、上記以外の添加剤として、ジフェニルチオ尿素、ジフェニル尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p−第三ブチル安息香酸、ゼオライトなどの安定剤を添加してもよい。意匠フィルム30には、必要に応じて、架橋剤、発泡剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を添加してもよい。これらの添加量は、意匠フィルム30の総質量に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。添加量が0.1質量%となる場合、添加剤の機能が十分に発現しない場合がある。添加量が5質量%より大きい場合、意匠フィルム30の機械強度などの特性が低下する場合がある。
ポリエステル樹脂の例としては、ジオール化合物残基及びジカルボン酸化合物残基からなるポリエステル樹脂、あるいはこれらの一部もしくはすべてをヒドロキシルカルボン酸化合物残基で置換したポリエステル樹脂等を挙げることができる。より具体的な例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET−I、PBT−I、PET−G、PCT−G、PAr(ポリアリレート)、これらを主成分とする共重合体樹脂、及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
ここで、PET−Iは、PETのジカルボン酸残基の一部をイソフタル酸残基に変更したものである。PBT−Iは、PBTのジカルボン酸残基の一部をイソフタル酸残基に変更したものである。PET−GはPETのジオール残基の一部を1、4−シクロヘキサンジメタノール(1、4−CHDM)残基に置き換えたものであり、ジオール残基中の1、4−CHDM残基のモル比がジオール残基の全モル数に対して20%以上50%未満となっている。PCT−Gは、PETのジオール残基の一部を1、4−CHDM残基に置き換えたものであり、ジオール残基中の1、4−CHDM残基のモル比がジオール残基の全モル数に対して50%以上80%以下となっている。
アクリル樹脂は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂である。アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。メタクリル酸エステルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。アクリル樹脂を主成分とした意匠フィルム30を作製する場合、意匠フィルム30には、意匠フィルム30の加工性等を向上させる目的でMBS、MBAなどのアクリル系インパクトモディファイヤーを添加してもよい。
ポリオレフィン樹脂の例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンープロピレン共重合体樹脂等が挙げられる。
フッ素系樹脂の例としては、PVF(ポリフッ化ビニル)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ポリテトラフルオロエチレン)、PFEP(六フッ化エチレンプロピレン)等のようなフッ素骨格を有する樹脂の他、フッ素含有モノマーとオレフィンとの共重合体、フッ素含有モノマーと塩素含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有モノマーとオレフィンとの共重合体としては、ETFE(テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体)等が挙げられる。フッ素含有モノマーと塩素含有モノマーとの共重合体の例としては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体)等が挙げられる。
なお、上記で列挙した樹脂のうち、特に好ましい樹脂は、塩化ビニル樹脂、PET、PBT、PET−G、PET−I、PBT−I、PVF、PVDF、メタクリル酸メチルを主成分とするアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂である。これらの樹脂を主成分とする意匠フィルム30は、これらの樹脂で構成された意匠フィルム30は、印刷の濡れ性、エンボス加工性に特に優れ、生産性にも優れる。
(1−2−2.軟化温度)
意匠フィルム30の軟化温度は特に制限されないが、上層側接着層42に接する部分の軟化温度は150℃未満であることが好ましい。ここで、軟化温度は熱機械分析装置(Thermal Mechanical Analysis)により測定される。具体的には、試料を2℃/分で加熱しつつ、試料に直径1mmの円柱針を荷重500mNで押し込む。そして、試料への円柱針の侵入深さが以下の数式(1)を満たした時の温度を軟化温度とする。なお、試料への円柱針の侵入深さは、JIS−K−7196に準拠して測定される。
/t200=0.8 (1)
数式(1)において、tは侵入深さ、t200は試料温度が200℃となるときの侵入深さである。したがって、数式(1)の左辺は軟化度を示す。
上層側接着層42に接する部分(以下、「接着層接触部分」とも称する)の軟化温度が150℃未満となる場合、意匠金属板作製時における意匠の劣化を抑えつつ、意匠フィルム30と上層側接着層42との密着力を向上させることができる。すなわち、接着層接触部分は、180℃以下の温度まで加熱された場合であっても、十分に軟化するので、上層側接着層42との密着力を向上させることができる。言い換えれば、接着層接触部分は、十分なアンカー効果を発現することができる。また、意匠フィルム30の加熱温度が180℃以下となるので、意匠の劣化が抑えられる。
なお、軟化温度が150℃未満となる樹脂の例としては、上述したPET、PBT−I、PET−G、メタクリル酸メチルを主成分とするアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。したがって、これらの樹脂で接着層接触部分を形成すればよい。
(1−2−3.意匠フィルムの厚さ)
意匠フィルム30の厚さは特に制限されない。ただし、本実施形態の効果を有効に利用するという観点からは、意匠フィルム30の厚さは5〜400μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましい。
特許文献3〜6に開示された接着剤は高温で軟化する。すなわち、これらの接着剤は、加熱温度を高くしないとアンカー効果を発現しにくい。このため、意匠金属板の作製時には、意匠フィルムを高温の接着層に圧着する必要がある。したがって、意匠フィルムの厚さが80μm未満となる場合、意匠フィルムを接着層に圧着する際に意匠フィルムの表面まで大きな熱が伝導する。そして、この熱によって意匠フィルム表面の意匠が劣化する。したがって、意匠フィルムに施された意匠を維持するためには、意匠フィルムの厚さを80μm以上とする必要がある。ただし、意匠フィルムの厚さが200μm以上になると、意匠フィルムを鋼板に圧着する際に、鋼板と意匠フィルムとの間の熱膨張差により、大きな熱応力が発生する。この結果、接着剤による密着力が低下してしまう。また、意匠フィルムに反りが発生する場合もある。
これに対し、本実施形態では、上層側接着層42(すなわち意匠フィルム30側の接着層)に含まれる上層側接着剤は、低温で軟化する。したがって、本実施形態では、上層側接着層42が低温であっても、上層側接着層42と意匠フィルム30とを十分に密着させることができる。すなわち、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができる。このため、意匠フィルム30の厚さが80μm未満であっても、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができる。また、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができるので、意匠フィルム30の厚さが200μm以上であっても、金属板20と意匠フィルム30との間の熱膨張差によって発生する応力を小さくすることができる。すなわち、意匠フィルム30の厚さが200μm以上であっても、密着力の低下及び意匠フィルム30の反りを抑制することができる。ただし、意匠フィルム30の厚さが5μm未満となる場合、意匠フィルム30の表面に熱が伝導し、意匠が劣化する場合がある。また、意匠フィルム30の厚さが400μmを超えると、意匠フィルム30の製造コストが高くなってしまう場合がある。このため、意匠フィルム30の厚さは、5〜400μmであることが好ましい。
(1−3.接着層の構成)
接着層40は、下層側接着層41と上層側接着層42とで構成される。下層側接着層41は、金属板20に密着しており、上層側接着層42は、意匠フィルム30に密着している。下層側接着層41は、下層側接着剤を含み、上層側接着層42は、上層側接着剤を含む。そして、下層側接着剤の軟化温度(Tunder)は90℃以上であり、上層側接着剤の軟化温度(Tup)は80℃以下である。なお、接着剤が熱硬化型接着剤である場合は、硬化剤を含まない接着主剤のみからなるフィルムで測定した値が接着剤の軟化温度として定義される。
このように、上層側接着剤は低温(例えば180℃以下の温度)で十分に軟化するので、低温の上層側接着層42と意匠フィルム30とを密着させた場合であっても、上層側接着剤の意匠フィルム30へのアンカー効果を十分に発現させることができる。すなわち、上層側接着剤は、意匠フィルム30の凹凸の奥深くまで浸透し、意匠フィルム30との接触面積を十分に確保できる。この結果、意匠フィルム30と上層側接着層42とを、曲げ、張り出し加工などに耐えうる十分強固な密着力で密着させることができる。また、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができるので、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができる。
さらに、下層側接着剤は高温で軟化するので、意匠金属板10を高温・多湿の環境下に長期間曝露しても、下層側接着層41への水分子の侵入を抑制することができる。したがって、下層側接着層41/金属板20間の化学結合を維持することができる。ここで、下層側接着層41は意匠金属板10の端面から露出されるが、この露出面からの水分子の侵入も抑制される。なお、上層側接着層42は、意匠金属板10の端面で露出されるので、上層側接着層42には当該端面から水分子が侵入する可能性がある。しかし、上層側接着層42内の水分子は下層側接着層41には侵入できないので、下層側接着層41/金属板20の界面には到達できない。また、上層側接着層42内の水分子は、上層側接着層42と意匠フィルム30との界面における結合には影響を及ぼさないと推定される。本発明者による加速試験により、意匠フィルム30の剥離は鋼板と接着層との界面で起こるからである。したがって、意匠金属板10を高温・多湿の環境下に長期間曝露した場合であっても、2次密着力を長期間維持することができる。
このように、本実施形態によれば、意匠金属板10の作製時に意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができ、かつ、高温・多湿という過酷な環境下であっても意匠フィルム30と金属板20との密着力を維持することができる。したがって、意匠フィルム30が受ける熱の影響(例えば意匠の劣化等)をほとんど考慮することなく、意匠フィルム30を作製することができる。すなわち、上述したように、高温・多湿の環境下で意匠金属板の2次密着力を維持するという観点からは、軟化温度の高い接着剤を用いて接着層を形成する必要がある。しかし、この場合、高温の接着層に意匠フィルムを圧着する必要がある。したがって、意匠フィルムが受ける熱の影響は非常に大きい。このため、意匠フィルムを作製する際には、このような熱の影響を考慮する必要がある。例えば、耐熱性の高い材料を選ぶ、意匠フィルムの厚さを大きくするといった作業を行う必要がある。しかし、本実施形態では、意匠フィルム30に圧着する上層側接着層42は、軟化温度の低い接着剤で構成される。したがって、意匠フィルム30を作製する際には、熱の影響をほとんど考慮する必要がない。このため、例えば材料の選択肢の幅が広がる。また、上述したように、意匠フィルム30の厚さをより広範囲の値から選択できる。
ここで、上層側接着剤の軟化温度は70℃以下であることが好ましい。この場合、上層側接着剤は165℃以下といった低温の加熱温度であっても十分に軟化する。したがって、この温度に加熱した上層側接着層42と意匠フィルム30とを密着させた場合であっても、上層側接着剤の意匠フィルム30へのアンカー効果を十分に発現させることができる。
また、下層側接着剤の軟化温度は100℃以上であることが好ましい。この場合、意匠金属板10が熱湯に浸漬されるといった極めて過酷な環境下であっても、水分子の下層側接着層41への侵入を抑制することができる。したがって、このような極めて過酷な環境下であっても、2次密着力を長期間維持することができる。さらに、下層側接着剤の軟化温度と上層側接着剤の軟化温度との差は30℃以上であることが好ましい。この場合、意匠フィルムに施された意匠をより安定して保持しつつ、強固な2次密着力を発現することができる。
(1−3−1.接着剤の具体例)
下層側接着剤及び上層側接着剤を構成する接着剤は、上述した軟化温度の条件をみたすものであればどのようなものであってもよい。下層側接着剤及び上層側接着剤を構成する接着剤の例としては、溶剤型接着剤、水性接着剤,ホットメルト型接着剤、弾性接着剤、熱硬化型(熱硬化反応型)接着剤、感圧性接着剤、天然物系接着剤が挙げられる。
溶剤型接着剤の例としては、ゴム系接着剤、樹脂系接着剤等が挙げられる。ここで、ゴム系接着剤の例としては、天然ゴム(ポリイソプレン)系、ブチルゴム系、スチレンブタジエンゴム系の接着剤が挙げられる。樹脂系接着剤としては、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系接着剤等が挙げられる。
水性型接着剤の例としては、水溶性接着剤、エマルジョン系接着剤、及びラテックス系接着剤等が挙げられる。水溶性接着剤の例としては、澱粉のり、ポバールのり、水性高分子−イソシアネート系接着剤、ポリビニルピロリドン系接着剤、アラビアゴム系接着剤等が挙げられる。エマルジョン系接着剤の例としては、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、EVA樹脂系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョンなどからなるエマルジョン系接着剤が挙げられる。ラテックス系接着剤としては、クロロプレンゴムなどのゴムを原料とするラテックス系接着剤等が挙げられる。
ホットメルト型接着剤の例としては、熱可塑性エラストマー系、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合)系、オレフィン系、ポリアミド系、ウレタン系、ポリエステル系のホットメルト型接着剤等が挙げられる。ここで、熱可塑性エラストマー系ホットメルト型接着剤の例としては、SBS(スチレンーブタジエンースチレン)、SIS(スチレンーイソプレンースチレン)などの合成ゴムを主成分とする熱可塑性エラストマー系ホットメルト型接着剤等が挙げられる。オレフィン系ホットメルト型接着剤としては、無定形ポリプロピレンを主成分とするオレフィン系ホットメルト型接着剤等が挙げられる。
弾性接着剤の例としては、シロキサンを主成分とするシリコーン系接着剤、各種ポリエーテルに加水分解性シリル基を導入した変成シリコーンポリマーを主成分とする変成シリコーン樹脂系接着剤、シリル化ウレタン接着剤などが挙げられる。
熱硬化型接着剤の例としては、エポキシ樹脂を硬化剤で架橋縮合したエポキシ樹脂接着剤の他、ウレタン系、ユリア系、メラミン系、フェノール系、アクリル系、シアノアクリレート系、ポリエステル系の各熱硬化接着剤等が挙げられる。
感圧性接着剤の例としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の感圧性接着剤等が挙げられる。天然物系接着剤の例としては、膠、ゼラチン、フィブリン、水ガラスなどで構成される天然物系接着剤等が挙げられる。
上記で列挙した接着剤のうち、特に好ましい接着剤は、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ユリア系の熱硬化型接着剤である。これらの接着剤は、意匠金属板10の製造時においてハンドリングしやすく、かつ金属板20および意匠フィルム30との親和力、熱・湿度に対する安定性が優れている。さらに、これらの接着剤のうち、ポリエステル系熱硬化型接着剤が特に好ましい。この接着剤は、上記の特性に加え、ハンドリング性、密着力、接着剤自体の強度が特に優れているからである。以下、ポリエステル系熱硬化型接着剤について詳細に説明する。
ポリエステル系熱硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂、ポリエステルジオールにポリイソシアネート化合物を配合したウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステルジオールをエポキシ樹脂で変性したエポキシ変性ポリエステル樹脂を主成分にした基材を、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂などの架橋剤により架橋した接着剤などを挙げることができる。
ここで、上記主成分となるポリエステル樹脂の例としては、ジカルボン酸残基及びジオール残基からなるポリエステル樹脂が挙げられる。ジカルボン酸残基の例としては、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、無水フタル酸残基、αもしくはβ―ナフタレンジカルボン酸残基などの芳香族カルボン酸残基、琥珀酸残基、グルタル酸残基、アジピン酸残基、ピメリン酸残基、スベリン酸残基、アゼライン酸残基、セバチン酸残基、ウンデシレン酸残基などの脂肪族ジカルボン酸残基、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基、テトラヒドロ無水フタル酸残基、ヘキサヒドロ無水フタル酸残基などの脂環式ジカルボン酸残基などが挙げられる。ジオール残基としては、エチレングリコール残基、1,4−ブタンジオール残基、ジエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、1,3−ブチレングリコール残基、1,6−ヘキサングリコール残基、トリメチルプロパノール残基、トリメチロールエタン残基などが挙げられる。
また、上記ポリエステルジオールの例としては、上記のポリエステル樹脂の両末端を水酸基にしたポリエステルジオールが挙げられる。そして、ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレジンイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、およびこれらの2量体以上の化合物を挙げることができる。また、エポキシ変性ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA型、もしくはビスフェノールF型のエポキシ変性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記主成分に架橋されるイソシアネート化合物の例としては、2個以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式、または芳香族ジまたはトリイソシアネート化合物等が挙げられる。イソシアネート化合物のより具体的な例としては、ポリフェンイルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメチタジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物の例としては、上記の各イソシアネート化合物を下記のイソシアネートブロック剤でブロックしたイソシアネート等が挙げられる。ここで、イソシアネートブロック剤の例としては、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール系ブロック剤、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系ブロック剤、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール系ブロック剤、t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール系ブロック剤、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム系ブロック剤が挙げられる。ブロック剤の他の例としては、芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなどが挙げられる。
また、上記アミノ樹脂の例としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどのアミノ基を含む化合物とホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるアミノ樹脂、更にこれらのアミノ樹脂と炭素数が1〜6のアルコールとの縮合反応で得られるアルキルエーテル化合物等が挙げられる。アミノ樹脂のより具体的な例としては、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等が挙げられる。
なお、ポリエステル系熱硬化型接着剤には、上記架橋反応を促進するために、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オキシルアミン、BF(三フッ化ホウ素)アミン錯化合物などのアミン系触媒、1,8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7、イミダゾールなどを添加してもよい。なお、これらの添加剤のうち、触媒作用の大きい第3級アミンが最も好ましい。
上記のポリエステル系熱硬化型接着剤のうち、特に好ましい例は、芳香族ジカルボン酸及びジオール残基からなる線状ポリエステル樹脂100質量部に対してイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート3〜25質量部を添加したポリエステル系熱硬化型接着剤である。このポリエステル系熱硬化型接着剤は、金属板20及び意匠フィルム30との親和性に特に優れる。さらに、このポリエステル系熱硬化型接着剤は、自己凝集力が強く、接着剤自体の強度が高いので、接着剤の凝集破壊を防止できる。
また、ポリイソシアネートを3質量部以上線状ポリエステル樹脂に添加することにより、加熱時に架橋をより進めることができる。このため、より凝集力がアップする。さらにポリイソシアネートの添加量を25質量部以下にすることにより、ポリエステル系熱硬化型接着剤に適度な延性を付与できる。このため、ポリエステル系熱硬化型接着剤の加工性を向上させることができる。また、ポットライフが必要な場合は、ブロックイソシアネートを全イソシアネート成分に対して80質量部以上使用することが好ましい。
ここで、線状ポリエステル樹脂の例としては、テレフタル酸残基を含む芳香族カルボン酸残基と、エチレングリコール残基、ネオペンチルグリコール残基、2メチル1,3プロパンジオール残基のいずれかを含むジオール残基とで構成される線状ポリエステル樹脂が挙げられる。ここで、線状ポリエステル樹脂は、テレフタル酸残基を全ジカルボン酸残基に対して30モル%以上含有していることが好ましい。含有量が30モル%未満となる場合、接着剤自体の凝集力が不十分となる。この結果、積層時に加わる熱歪などによる残留応力への耐力が低下する。したがって、意匠金属板10を高温・多湿の環境下に長期間曝露した場合、接着剤自体が破壊して剥離することがある。また、線状ポリエステル樹脂は、上記のジオール残基を全ジオール残基に対して60モル%以上含有していることが好ましい。含有量が60モル%未満となる場合、ポリエステル系熱硬化型接着剤の溶剤への溶解性が悪くなって、ポット内で接着剤濃度が一定にならない場合がある。
なお、接着層40には、各種の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、有機系化合物、無機系化合物、金属酸化物からなる各種顔料(例えば、防錆顔料、着色顔料、体質顔料など)、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、トコフェロール系などの酸化防止剤、エポキシシラン系、ビニルシラン系、メルカプトシラン系、アミノシラン系などのシランカップリング剤、ロジン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂などの接着剤付与剤、無水シリカ等の超粒子、難燃剤、粘度調整剤、塗膜補強剤、消泡剤、表面平滑剤などが挙げられる。
特に、下層側接着層41には、金属板20との密着力を強化するために、シランカップリング剤が添加されていることが好ましい。シランカップリング剤の添加量は、下層側接着剤100質量部に対して、2〜15質量部であることが好ましい。シランカップリング剤の添加量が2質量部未満となる場合、金属板20への密着力向上効果が少ない。シランカップリング剤の添加量が15質量部を超える場合、上層側接着層42への密着力が低下する可能性がある。また、耐水密着を向上するという観点から、シランカップリング剤は、無水マレイン酸との反応によって有機化されていることが好ましい。
(1−3−2.接着層の厚さ)
下層側接着層41及び上層側接着層42の層の厚さは特に制限されない。これらの厚さは、意匠金属板10に要求される特性に応じて適宜選択できる。ただし、両層ともに厚さは1μm以上であることが好ましい。厚さが1μm未満となる場合、各層が効率的に機能発現できない可能性がある。さらに経済性の観点から、各層の厚さは20μm以下であることが好ましい。
(1−3−3.層構造)
下層側接着層41及び上層側接着層42の間には、1または複数層の他の接着層が介在していてもよい。
<2.意匠金属板の製造方法>
意匠金属板10の製造方法は、意匠フィルムが鋼板に積層される工程、並びに意匠フィルムに接着剤を積層する工程がある場合はこれらの工程でも、意匠フィルムが加熱される温度が180℃以下であれば、特に制限されない。本実施形態では、積層工程で意匠フィルムが180℃以上に加熱されることがない。かつ、上層側接着層42を構成する上層側接着剤の軟化温度が80℃以下なので、金属板20の温度が180℃以下であっても上層側接着剤は十分に軟化する。したがって、意匠フィルム30と金属板20とを強固に密着することができる。意匠金属板10の製造方法の具体例としては、以下の第1の例及び第2の例が挙げられる。
(2−1.第1の例)
第1の例では、以下の工程により意匠金属板10を作製する。まず、金属板20上に下層側接着剤組成物を塗工することで、金属板20上に下層側接着層41を形成する。ついで、下層側接着層41を加熱することで、下層側接着剤を金属板20に密着させる。ここで、金属板20の加熱温度は、下層側接着剤を金属板20に密着させる温度であれば特に制限されない。例えば、上述したように、下層側接着層41に溶剤が含まれるか否かによって加熱温度を調整してもよい。
ついで、下層側接着層41上に上層側接着剤組成物を塗工することで、下層側接着層41上に上層側接着層42を形成する。ついで、金属板20を180℃以下の加熱温度まで加熱することで、上層側接着剤を軟化させる。このように、本実施形態では、金属板20の加熱温度を低くする。しかし、上述したように、上層側接着剤の軟化温度は低いので、上層側接着剤は、このような加熱温度であっても十分に軟化する。また、低温の上層側接着層42を意匠フィルム30に圧着することができるので、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができる。したがって、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができる。ついで、意匠フィルム30を上層側接着層42に圧着する。これにより、意匠金属板10が作製される。意匠金属板10は、適宜冷却される。
(2−2.第2の例)
第2の例では、以下の工程により意匠金属板10を作製する。まず、金属板20上に下層側接着剤組成物を塗工することで、金属板20上に下層側接着層41を形成する。ついで、金属板20を加熱することで、下層側接着剤を金属板20に密着させる。ここで、金属板20の加熱温度は、下層側接着剤を金属板20に密着させる温度であれば特に制限されない。例えば、上述したように、下層側接着層41に溶剤が含まれるか否かによって加熱温度を調整してもよい。
一方、意匠フィルム30上に上層側接着剤組成物を塗工することで、意匠フィルム30上に上層側接着層42を形成する。ついで、意匠フィルム30を加熱することで、上層側接着層42を意匠フィルム30に密着させる。ここで、意匠フィルム30の加熱温度は、上層側接着層42意匠フィルム30に密着する温度、すなわち上層側接着剤が意匠フィルム30に対するアンカー効果を発現する温度であって180℃以下であれば特に制限はない。
ついで、金属板20の温度を180℃以下とした状態で、意匠フィルム30上の上層側接着層42を金属板20上の下層側接着層41に圧着する。下層側接着層41と上層側接着層42とを貼り合わせることで、意匠金属板10を作製する。上述したように、上層側接着剤の軟化温度は低いので、金属板20の温度が180℃以下であっても上層側接着剤は十分に軟化する。また、低温の上層側接着層42を意匠フィルム30に圧着することができるので、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができる。したがって、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができる。意匠金属板10は、適宜冷却される。
意匠金属板10の製造方法は、上述した第1の例、第2の例に限られない。すなわち、上述した第1の例、第2の例では、意匠金属板10を連続的に作製するが、バッヂ式の製造方法により意匠金属板10を作製してもよい。例えば、下層側接着層41及び上層側接着層42が積層された金属板20を所定の面積に切り出し、バッチ式の加熱圧着装置で意匠フィルム30を金属板20上に積層してもよい。
<3.意匠金属板の製造装置の構成例>
(3−1.第1の例)
製造方法の第1の例は、例えば、図3に示す製造装置100を用いることで実現される。そこで、製造装置100の構成について説明する。もちろん、意匠金属板10の製造装置は、図3に示す製造装置100,及び後述する製造装置101に限定されない。すなわち、上述した構造を有する意匠金属板10を作製可能な製造装置であれば、どのような装置であってもよい。例えば、以下の製造装置100、101では、ロールコータ法により各接着層を形成するが、他の方法、例えばスプレー塗布法、ディップ法、フィルム状の接着剤を積層する方法等によって各接着層を形成してもよい。
製造装置100は、金属板20の搬送装置(図示省略)と、第1ロールコータ120と、第1オーブン130と、第2ロールコータ140と、第2オーブン150と、意匠フィルム搬送装置160と、圧着ロール対163と、冷却装置170とを備える。
金属板20の搬送装置は、金属板20を図3中左端から右端に向けて搬送する。第1ロールコータ120は、金属板20上に下層側接着層41を積層する装置であり、コータパン(ポット)121aと、ピックアップロール122と、アプリケータロール123と、バックアップロール124とを備える。
コータパン121aは、下層側接着剤を含む下層側接着剤組成物121を貯留する装置である。下層側接着剤組成物121は、下層側接着剤の他、溶剤を含んでもよく、下層側接着層41を構成する添加物をさらに含んでいてもよい。ここで、溶剤は、例えば下層側接着剤の粘度を調整する等の目的で使用される。溶剤の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、メチレンイソブチレンケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチレンエーテル、THF,ジオキサンなどのエーテル類、これらの混合物などが挙げられる。
ピックアップロール122は、コータパン121aから下層側接着剤組成物121をピックアップし、アプリケータロール123に搬送する。アプリケータロール123は、金属板20の一方の面に下層側接着剤組成物121を塗工することで、金属板20上に下層側接着層41を形成する。バックアップロール124は金属板20の他方の面に接触し、アプリケータロール123とともに金属板20を挟持する。そして、バックアップロール124は、金属板20を第1オーブン130に搬送する。
第1オーブン130は、金属板20を加熱することで、下層側接着層41を金属板20に密着させる。ここで、金属板20の加熱温度は、下層側接着層41が金属板20に密着する温度、すなわち下層側接着剤が金属板20に対するアンカー効果を発現する温度であれば特に制限されない。
例えば、下層側接着剤組成物が溶剤を含まない場合、加熱温度は180℃より大きくてもよい。この場合、下層側接着剤の軟化温度が高くても、下層側接着剤を十分に軟化させることができる。この結果、下層側接着剤は金属板20の凹凸の奥深くまで浸透し、強固なアンカー効果を発現できる。
一方、下層側接着層41が溶剤を含む場合、加熱温度は、溶剤が蒸発する温度であればよい。金属板20をこのような加熱温度で加熱することで、下層側接着剤は金属板20の凹凸の奥深くまで浸透し、強固なアンカー効果を発現することができるからである。この場合、加熱温度はより低くなるので好ましい。また、製造装置100では、第2ロールコータ140によって上層側接着層42が形成される前に下層側接着層41から溶剤を除去する。したがって、上層側接着層42の作製時に下層側接着層の成分が上層側接着層42内に侵入することを抑制することができる。
第2ロールコータ140は、下層側接着層41上に上層側接着層42を積層する装置であり、コータパン(ポット)141aと、ピックアップロール142と、搬送ロール143と、アプリケータロール144とを備える。
コータパン141aは、上層側接着剤を含む上層側接着剤組成物141を貯留する装置である。上層側接着剤組成物141は、上層側接着剤の他、溶剤を含んでもよく、上層側接着層42を構成する添加物をさらに含んでいてもよい。ここで、溶剤は、上層側接着剤の粘度を調整する等の目的で使用される。溶剤の例としては、上述した下層側接着剤組成物121の溶剤と同様の例が挙げられる。
ピックアップロール142は、コータパン141aから上層側接着剤組成物141をピックアップし、搬送ロール143に搬送する。搬送ロール143は上層側接着剤組成物141をアプリケータロール144に搬送する。なお、搬送ロール143は省略されてもよい。図4の例では搬送ロール143は省略されている。アプリケータロール144は、下層側接着層41上に上層側接着剤組成物141を塗工することで、下層側接着層41上に上層側接着層42を形成する。
第2オーブン150は、金属板20を180℃以下の加熱温度まで加熱することで、上層側接着剤を軟化させる。このように、本実施形態では、金属板20の加熱温度を低くする。ただし、上述したように、上層側接着剤の軟化温度は低いので、このような加熱温度であっても上層側接着剤は十分に軟化する。また、低温の上層側接着層42を意匠フィルム30に圧着することができるので、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができる。したがって、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができる。なお、金属板20の加熱温度は、上層側接着剤の軟化温度に応じてさらに下げることもできる。例えば、上層側接着剤の軟化温度が70℃以下となる場合、金属板20の加熱温度は、165℃以下とすることが好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。上層側接着剤の軟化温度が70℃以下となる場合、加熱温度が上記範囲の温度であっても、上層側接着剤は十分に軟化する。すなわち、意匠フィルム30を金属板20に十分に密着させることができる。したがって、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制しつつ、意匠フィルム30を金属板20に十分に密着させることができる。なお、金属板20の加熱温度の下限値は上層側接着剤の軟化温度−40℃であってもよい。金属板20の加熱温度が当該温度より降下すると、上層側接着剤が意匠フィルム積層時に短時間では十分に軟化せず、1次密着力が低下する場合がある。
意匠フィルム搬送装置160は、意匠フィルム30を圧着ロール対163まで搬送する装置である。意匠フィルム搬送装置160は、意匠フィルムロール161と、複数の搬送ロール162とを備える。意匠フィルムロール161は、長尺な意匠フィルム30が巻きつけられたロールである。搬送ロール162は、意匠フィルムロール161から意匠フィルム30を引き出して圧着ロール対163に搬送する。圧着ロール対163は、意匠フィルム30を上層側接着層42に圧着する。これにより、意匠金属板10が作製される。冷却装置170は、例えば水冷槽であり、意匠金属板10を冷却する。
(3−2.第2の例)
製造方法の第2の例は、例えば、図4に示す製造装置101を用いることで実現される。そこで、製造装置101の構成について説明する。ここで、製造装置101は、第2ロールコータ140及び第2オーブン150の設置位置が異なる他は、上述した製造装置100と同様の構成を有する。そこで、製造装置100との相違点について説明する。
第2ロールコータ140及び第2オーブン150は、意匠フィルム搬送装置160内に設けられる。第2ロールコータ140のアプリケータロール144は、意匠フィルム30に上層側接着剤組成物141を塗工することで、意匠フィルム30上に上層側接着層42を形成する。
第2オーブン150は、意匠フィルム30を加熱することで、上層側接着層42を意匠フィルム30に密着させる。ここで、意匠フィルム30の加熱温度は、上層側接着層42意匠フィルム30に密着する温度、すなわち上層側接着剤が意匠フィルム30に対するアンカー効果を発現する温度であれば特に制限されない。例えば、意匠フィルム30の加熱温度は、180℃以下であってもよい。
圧着ロール対163は、金属板20の温度を180℃以下とした状態で、意匠フィルム30上の上層側接着層42を金属板20上の下層側接着層41に圧着する。すなわち、圧着ロール対163は、下層側接着層41と上層側接着層42とを貼り合わせることで、意匠金属板10を作製する。上述したように、上層側接着剤の軟化温度は低いので、金属板20の温度が180℃以下であっても上層側接着剤は十分に軟化する。また、低温の上層側接着層42を意匠フィルム30に圧着することができるので、意匠フィルム30に伝導される熱を小さくすることができる。したがって、意匠フィルム30に施された意匠の劣化を抑制することができる。
金属板20の温度は、上層側接着剤の軟化温度に応じてさらに下げることもできる。例えば、上層側接着剤の軟化温度が70℃以下となる場合、金属板20の温度は、165℃以下とすることが好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。上層側接着剤の軟化温度が70℃以下となる場合、金属板20の温度が上記範囲の温度であっても、上層側接着剤は十分に軟化する。なお、金属板20の加熱温度の下限値は上層側接着剤の軟化温度−40℃であってもよい。金属板20の温度を180℃以下とする方法は特に制限されない。例えば、第1オーブン130で金属板20を180℃超まで加熱した場合、第1オーブン130と圧着ロール対163との距離を調整することで、金属板20の温度を180℃以下とすることができる。すなわち、第1オーブン130の余熱によって、金属板20の温度を180℃以下としてもよい。第1オーブン130と圧着ロール対163との間に冷却装置170と同様の冷却装置を設置してもよい。第1オーブン130による金属板20の加熱温度が180℃以下となる場合、第1オーブン130と圧着ロール対163との間に別途のオーブンを設置してもよい。このオーブンによって金属板20が180℃以下の温度まで再加熱される。また、第2オーブン150の余熱、すなわち、上層側接着層42が積層された意匠フィルム30から与えられる余熱によって金属板20の温度を180℃以下としてもよい。
ここで、上層側接着層42が積層された意匠フィルム30、すなわち積層フィルムを予め用意しておき、この積層フィルムの上層側接着層42を金属板20上の下層側接着層41に密着させてもよい。また、下層側接着層41が積層された金属板20、すなわち積層金属板を予め用意しておき、予め用意された積層フィルム(あるいは上記製造装置101によって作製された積層フィルム)と密着させてもよい。
上記第1の例、第2の例による製造装置100、101では、意匠フィルム30を金属板20に圧着する際の接合界面が、上層側接着層42/意匠フィルム30、上層側接着層42/下層側接着層41となる。したがって、製造装置100、101は、有機物/有機物の接合を行う。有機物は、加熱温度が180℃以下でも変形しやすく、十分なアンカー効果を発現しやすい。したがって、この点においても、意匠フィルム30と金属板20とを強固に密着することができる。
<1.接着剤組成物の調整>
(1−1.共通工程)
以下の工程により、接着剤組成物を調製した。まず、撹拌棒と還流冷却管を備えたフラスコ中に高沸点ナフサ(ソルベッソ150)200質量部を投入し、10分ほど撹拌した。その後、接着主剤(ポリエステル、アクリル、及びウレタンの何れか)100質量部を投入し、室温で4時間撹拌溶解した。ここで、接着主剤は、上述した上層側接着剤または下層側接着剤を構成するものである。接着主剤が完全に溶解したのを確認した後、MEK(メチルエチルケトン、丸善石油社製)を20質量部投入し30分間室温で撹拌した。以上の工程により、接着剤組成物を作製した。
(1−2.硬化型接着剤組成物の作製)
上記接着剤組成物に硬化剤溶液(横浜ゴム社製Y6410−B、バイエル社製デスモジュールRFEのいずれか)、及び触媒(サンアプロ社製U−CAT SA102)を配合することで、硬化型接着剤組成物を得た。ここで、Y6410−Bは、イソシアネート基を全ジカルボン酸残基に対して30モル%有するポリイソシアネート樹脂である。ここで、硬化剤溶液の投入量は、固形分で4質量部とし、触媒の投入量は、固形分で0.1質量部とした。
(1−3.シランカップリング剤及び充填剤を含む接着剤組成物の作製)
撹拌棒と還流冷却管を備えたフラスコ中に高沸点ナフサ(ソルベッソ150)200質量部、充填剤として微細シリカ(アロエジルR−972)2.5質量部を投入し、10分ほど撹拌した。その後、接着主剤(ポリエステル、アクリル、及びウレタンの何れか)100質量部を投入し、室温で4時間撹拌溶解した。接着主剤が完全に溶解したのを確認し、シランカップリング剤としてシラン化合物(信越化学社製KBM−402)と触媒を加え1時間室温で撹拌した。最後にMEK(メチルエチルケトン、丸善石油社製)を20質量部投入し30分間室温で撹拌した。以上の工程により、接着剤組成物を得た。接着剤組成物の組成を表1〜3に示す。
Figure 0006753992
Figure 0006753992
Figure 0006753992
表1〜3の数値は、軟化温度を除き質量部を意味する。また、硬化剤溶液及び触媒の質量部は、固形分の質量部を意味する。また、各接着剤組成物を構成する材料の具体的な内容は表4に示される。
Figure 0006753992
<2.軟化温度の測定>
以下の方法により、各接着剤組成物の軟化温度、具体的には、接着剤組成物を構成する接着主剤の軟化温度を測定した。まず、接着剤組成物を直径7.5cm厚さ1cm程度のPE(ポリエチレン)製の容器に静かに流し込んだ。ついで、容器を静かに傾けることで、接着剤組成物の厚さを容器内で均一にした。ついで、容器を水平に保って20℃恒温室で1〜3日乾燥させることで、接着剤フィルムを作製した。ついで、接着剤フィルムを容器より静かに剥離した。なお、接着剤組成物として硬化剤及び触媒を投入するまえの接着剤組成物を使用して、軟化温度を測定した。
ついで、熱機械分析装置を用いて軟化温度を測定した。具体的には、接着剤フィルムを2℃/分で加熱しつつ、試料に直径1mmの円柱針を荷重500mNで押し込んだ。そして、接着剤フィルムへの円柱針の侵入深さが上記の数式(1)を満たした時の温度を軟化温度とした。各接着剤組成物の軟化温度を表1〜3にまとめて示す。
<3.意匠フィルムの作製>
以下の工程により意匠フィルムを準備、または作製した。
(3−1.塩化ビニルフィルム)
(3−1−1.単色エンボスフィルム)
塩化ビニルからなる単色エンボスフィルムとして、オカモト社製のLE301を準備した。フィルム厚さは150μmである。また、エンボスフィルムの表面には、深さ15μmのカワシボエンボス模様が施されている。
(3−1−2.高鮮映フィルム)
単色フィルムの作製時に使用した樹脂組成物をカレンダー法により製膜することで、厚さ120μmの原反フィルムを作製した。ここで、カレンダー法に使用するロールを鏡面ロールとすることで、鏡面仕上げの原反フィルムを作製した。ついで、連続式ラミネータを使用して、当該原反フィルムにポリエステル系接着剤(積水フーラー社製 S−580X)を塗工し、80℃で乾燥した。乾燥後、原反フィルムの接着剤塗工面上に木目印刷を施した25μm厚の2軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを、印刷面と接着剤とが接するようにしてラミネートした。以上の工程により、高鮮映フィルムを得た。
(3−2.ポリエステルフィルム)
2層Tダイスを使用して、白色顔料入り(20質量%)PET系アロイからなる単色フィルム、原反フィルムを得た。いずれのフィルムも厚さは100μmとした。なお、単色フィルムには、エンボスロールを使用して上記3−1−1.と同様のエンボス模様を施し、単色エンボスフィルムとした。さらに、原反フィルムでは鏡面ロールを使用し、鏡面仕上げとした。さらに、上記3−1−2.と同様のダブリング工程を行うことで、木目印刷を施した25μm厚の2軸延伸PETフィルムを原反フィルムに積層した。この工程により、高鮮映フィルムを得た。ここで、PET系アロイとは、PET(ユニチカ製 MA1344)、ポリオレフィン系エラストマー(三井化学製、タフマー4085S)、エチレン3元共重合体(住友化学株式会社製、ボンドファスト7L)を87/10/3に混合したアロイである。
(3−3.ポリオレフィンフィルム)
2層Tダイスを使用して、上層:PP(ポリプロピレン、日本ポリプロ社製、ノバレックスFB3B)、下層:無水マレイン酸変性PP(三井化学社製、アドマーSF725)からなる2層PPフィルム(上層/下層=90/10μm)を作製した。この2層PPフィルムを用いて、単色エンボスフィルム、鏡面仕上げポリオレフィン原反を得た。ここで、単色エンボスフィルムには、上記3−1−1.と同様のエンボス模様を付した。さらに、上記3−1−2.と同様のダブリング工程を行うことで、木目印刷を施した25μm厚の2軸延伸PETフィルムを原反フィルムに積層した。この工程により、高鮮映フィルムを得た。
(3−4.その他のフィルム)
フッ素系樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルムとして、40μm厚PVDフィルム(テドラー、デュポン社製)、PMMA(100μm厚、協和レザー社製)の単色フィルムを用意した。これらの単色フィルムの表面に上記3−1−1.と同一のエンボス模様を施すことで、単色エンボスフィルムを作製した。
なお、上記各意匠フィルムの軟化温度を測定したところ、いずれも150℃未満であることが確認できた。具体的には、塩化ビニルフィルムの軟化温度は140℃、ポリエステルフィルムの軟化温度は135℃、ポリオレフィンフィルムの軟化温度は90℃、PVDフィルムの軟化温度は80℃、PMMAフィルムの軟化温度は140℃であった。
<4.金属板>
金属板として、0.45mm厚さの2種類の亜鉛系金鋼板(新日鉄住金製スーパーダイマー(K08)(以下、「SD鋼板」とも称する)、GI鋼板(Z18))、Al板(A5052、1.2mm厚)を用意した。そして、これらの金属板にアルカリ脱脂処理を施した後、クロメート液を塗布し、約45mg/mのクロメート膜を金属板表面に形成した。また、他の金属板として、粗化処理したCu板(70μm、電解銅箔板)、真空焼鈍酸洗仕上げをしたJISH4600規格Ti板(1mm厚さ)を用意した。
<5.意匠金属板の作製>
(5−1.実施例1〜37)
実施例1〜37に係る意匠金属板は以下の工程により作製した。まず、金属板にコータにて下層用の接着剤組成物(下層側接着層組成物)を厚さが2μmになるように塗布した。ついで、金属板を下層加熱温度(詳細な値は後述する表に示す)まで加熱した。これにより、金属板上に下層側接着層を形成した。金属板を室温まで冷却した後、上層用の接着剤組成物(上層側接着剤組成物)を下層側接着層上に厚さが2μmになるように塗布した。ついで、金属板を上層加熱温度(詳細な値は後述する表に示す)まで加熱することで、上層側接着層を形成した。金属板の温度が上層加熱温度に到達した後、上述した塩化ビニルフィルム(単色エンボスフィルム、高鮮映フィルムのいずれか)を上層側接着層の表面に圧着した。以上の工程により、意匠金属板を得た。なお、金属板の加熱温度は、予め金属板表面に装着した熱電対を用いて測定した。実施例1〜11では、上層用の接着剤組成物及び下層用の接着剤としてポリエステル系の接着剤組成物を使用した。実施例12〜18では、上層用の接着剤組成物及び下層用の接着剤組成物としてアクリル系接着剤組成物を使用した。実施例19〜37では、上層用の接着剤組成物及び下層用の接着剤組成物として異なる材料系の接着剤組成物を使用した。金属板は実施例毎に異なるものを使用した。以下の説明では、単色エンボスフィルムが貼り付けられた意匠金属板を「単色エンボス板」とも称し、高鮮映フィルムが貼り付けられた意匠金属板を「高鮮映板」とも称する。
(5−2.実施例38〜41)
意匠フィルムの種類を変更した他は実施例1と同様の工程を行うことで、意匠金属板を作製した。
(5−3.実施例42)
実施例42に係る意匠金属板は以下の工程により作製した。まず、金属板にコータにて下層用の接着剤組成物を厚さが2μmになるように塗布した。ついで、金属板を下層加熱温度まで加熱した。これにより、金属板上に下層側接着層を形成した。ついで、金属板を室温まで冷却した。一方、上述した塩化ビニルフィルム上にコータにて上層用の接着剤組成物を厚さが2μmになるように塗布した。ついで、意匠フィルムを上層加熱温度まで加熱した。これにより、塩化ビニルフィルム上に上層側接着層を形成した。その後、意匠フィルムを室温まで冷却した。ついで、下層側接着層が形成された金属板を上層加熱温度まで加熱し、意匠フィルム上の上層側接着層を金属板上の下層側接着層に圧着した。以上の工程により、意匠金属板を得た。
(5−4.比較例1〜13)
接着層を1層だけで構成することとした他は、実施例1と同様の工程により、意匠金属板を作製した。すなわち、実施例1と同様の工程により、金属板上に接着層を形成した。ついで、金属板を加熱温度(詳細な値は後述する表に示す)まで加熱した。ついで、塩化ビニルフィルムを接着層に圧着した。以上の工程により、意匠金属板を作製した。
(5−5.比較例14〜17)
上層側接着剤の軟化温度を下層側接着剤の軟化温度より高くした他は、実施例1と同様の工程により、意匠金属板を作製した。
(5−6.比較例18)
下層側接着剤の軟化温度を90℃未満とした他は、実施例1と同様の工程により、意匠金属板を作製した。
(5−7.比較例19)
上層側接着剤の軟化温度を80℃より高くした他は、実施例1と同様の工程により、意匠金属板を作製した。
(5−8.比較例20〜27)
意匠フィルムの種類を変更した他は比較例1と同様の工程を行うことで、意匠金属板を作製した。各実施例及び比較例で作製した意匠金属板の構成を表5〜15にまとめて示す。
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<6.意匠金属板の評価>
(6−1.初期密着力)
単色エンボス板を用いて、初期密着力を評価した。具体的には、カッターナイフで単色エンボスフィルムに5mm幅の#型切込みを入れた。ここで、切り込みの深さは金属板に達する程度の深さとした。ついで、エリクセン試験機(DKSH社製、エリクセン試験機)を用いて#型切込み部分を8mm張り出した。ここで、張り出し部分の中心(トップ部)を#型切込み部分の中心に一致させた。ついで、#型切込み部分をピンセットで強制剥離し、剥離の程度を以下の基準で評価した。
◎◎:評点5(フィルムが凝集破壊して殆ど剥離なし)
◎:評点4(トップ部のみ剥離)
○:評点3(トップ部の全体および側面部の1/3未満が剥離)
×:評点2(トップ部の全体および側面部の全体が剥離)
××:評点1(トップ部の全体、側面加工部の全体、及び#型切込み部分の周囲が剥離)
そして、同様の試験を5回繰り返して行った。結果を表5〜15にまとめて示す。なお、試験毎に評価のバラ付きがある場合、評価の上限、下限を表に記載した。
(6−2.エンボス戻り率)
単色エンボス板を用いて、初期意匠保持性の評価指標の1つであるエンボス戻り率を評価した。具体的には、単色エンボスフィルム表面の算術平均粗さRa1と、単色エンボス板表面(具体的には、単色エンボス板に貼り付けられた単色エンボスフィルムの表面)の算術平均粗さRa2を接触式2次元粗さ計(オリンパス社製、OLS400)で測定した。観察面は、20×20mmとした。ついで、初期意匠保持性の指標の1つであるエンボス戻り率を以下の数式(2)により算出した。
エンボス戻り率χ: χ=1−Ra2/Ra1 (2)
(6−3.鮮映度及び色落ち)
高鮮映フィルムを用いて、初期意匠保持性の評価指標の1つである鮮映度(PDG値)及び色落ちを評価した。具体的には、高鮮映フィルム表面及び高鮮映板表面(具体的には、高鮮映板の表面に貼り付けられた高鮮映フィルムの表面)の鮮映度を鮮明度光沢度計((財)日本色彩研究所社製PGD―IV)で測定した。そして、鮮映度を以下の基準で評価した。
◎:高鮮映フィルム及び高鮮映板の鮮映度の差が0.1未満
○:高鮮映フィルム及び高鮮映板の鮮映度の差が0.1〜0.2
×:高鮮映フィルム及び高鮮映板の鮮映度の差が0.3以上
そして、同様の試験を5回繰り返して行った。結果を表5〜15にまとめて示す。なお、試験毎に評価のバラ付きがある場合、評価の上限、下限を表に記載した。
さらに、高鮮映フィルム表面及び高鮮映板表面のa値を色差計(コニカミノルタ社製CM−2600d)で測定した。ここで、a値は赤みを評価する値である。赤みは意匠金属板の作製時に特に消失しやすいので、a値を用いて色落ちを評価した。そして、a値の差△a(=高鮮映フィルムのa値−高鮮映板のa値)を算出し、色落ちを以下の基準で評価した。
◎: △a<3.0
○: 3.0<△a<5.0
×: △a>5.0
そして、同様の試験を5回繰り返して行った。結果を表5〜15にまとめて示す。なお、試験毎に評価のバラ付きがある場合、評価の上限、下限を表に記載した。
(6−4.耐久性)
単色エンボス板を用いて、耐久性を評価した。具体的には、単色エンボス板を20日間沸騰水及び75℃の温水に浸漬した。なお、下層側接着剤の軟化温度が100℃未満となる場合、実施例6を除き、70℃の温水にのみ浸漬した。以下、このような試験を「浸漬試験」とも称する。ついで、浸漬試験後のフィルム密着力を上述した初期密着力と同様の試験により評価した。さらに、浸漬試験後の単色エンボス板の端部を目視で観察し、単色エンボスフィルムの戻り(剥がれ)の有無、腐食の有無を評価した。なお、腐食の有無は、腐食が問題となる金属板、すなわちGI鋼板、SD鋼板についてのみ行った。そして、同様の試験を5回繰り返して行った。結果を表5〜15にまとめて示す。なお、試験毎に評価のバラ付きがある場合、評価の上限、下限を表に記載した。
<7.評価結果の考察>
実施例1〜43では、初期密着力、初期意匠保持性、耐久性のいずれも高い評価が得られた。実施例1〜43では、上層側接着剤の軟化温度が80℃以下となっているので、上層加熱温度が低くても(具体的には、180℃以下であっても)、意匠フィルムを十分に金属板に密着させることができる。したがって、初期密着力、初期意匠保持性のいずれもが高くなった。さらに、下層側接着剤の軟化温度が90℃以上となっているので、高温多湿の環境下に長時間意匠金属板を曝露しても、金属板/下層側接着層の界面への水分子の侵入を防止できる。したがって、耐久性が高くなった。
さらに、実施例1では、上層側接着剤の軟化温度が70℃より高いが、実施例2〜11では、上層側接着剤の軟化温度が70℃以下となっている。そして、実施例2〜11の初期意匠保持性は、実施例1の初期意匠保持性よりも優れていた。実施例2〜11では、上層側接着剤の軟化温度が70℃以下となっているので、上層加熱温度を実施例1よりも低く(具体的には、165℃以下に)できる。この結果、優れた初期意匠保持性が得られた。なお、実施例4、6によれば、上層加熱温度を140℃以下とすることで、初期意匠保持性がさらに高くなることがわかった。
さらに、下層側接着剤の軟化温度が100℃以上となる場合、沸騰水への浸漬という極めて厳しい高温多湿下であっても、端部を含めて強固な密着力を維持することができた。すなわち、極めて高い耐久性を得ることができた。
さらに、下層側接着剤の軟化温度と上層側接着剤の軟化温度との差は30℃以上である場合に、上記効果がより顕著に得られることがわかった。
さらに、実施例7と実施例1〜6とを比較すると、実施例7では、耐久性がより高くなった。同様に、実施例16と実施例12〜15とを比較すると、実施例16では、耐久性がより高くなった。実施例7、16では、下層側接着剤組成物にシランカップリング剤を下層側接着剤100質量部に対して2〜15質量部添加されている。このため、実施例7、16では、金属板/下層側接着層の密着力が一層強化される。したがって、極めて厳しい高温多湿下であっても、端部を含めて強固な密着力を維持することができた。
一方、比較例1〜4、7〜10、12〜13では、接着層が単層となっており、かつ、接着剤の軟化温度が80℃以下となっている。このため、加熱温度が低温(180℃以下)であっても、意匠フィルムを金属板に十分に密着させることができた。ただし、浸漬試験後に密着力が著しく低下した。この理由として、接着剤の軟化温度が低いことが挙げられる。すなわち、接着剤の軟化温度が低いので、浸漬試験時に意匠金属板の端部から金属板/下層側接着層の界面に水分子が侵入し、この水分子によって密着力が低下したものと考えられる。このため、比較例1〜4、7〜10、12〜13では、他の耐久性試験を行わなかった。また、意匠フィルムを低温で金属板に密着できる場合、初期意匠保持性も高くなるので、初期意匠保持性に関する試験も行わなかった。
また、比較例5、6、11では、接着層が単層となっており、かつ、接着剤の軟化温度が90℃以上となっている。このため、加熱温度を180℃以下にすると、意匠フィルムと金属板とを十分に密着させることができなかった。具体例には、初期密着力が著しく低下した。一方、加熱温度を180℃より高くすると、意匠フィルムと金属板とを十分に密着させることができた。しかし、意匠フィルムが高温に曝されるので、初期意匠保持性が著しく低下した。意匠フィルムの種類が異なる比較例20〜27においても、比較例1〜13と同様の結果が得られた。なお、意匠フィルムがアクリルフィルムとなる場合、耐久性が特に悪化した。アクリルフィルムは水分子を透過しやすいためと考えられる。
また、比較例14〜17では、上層側接着剤の軟化温度が90℃以上となっているので、上層加熱温度を高く(180℃より大きく)しないと、意匠フィルムを金属板に十分に密着させることができなかった。この結果、初期意匠保持性が著しく低下した。さらに、浸漬試験によって意匠金属板の端部に腐食が発生した。下層側接着剤の軟化温度が80℃以下となっているので、浸漬試験時に意匠金属板の端部から金属板/下層側接着層の界面に水分子が侵入し、この水分子によって金属板が腐食されたと考えられる。比較例14〜17では、端部に腐食が発生したため、フィルム剥離については評価しなかった。
また、比較例18では、下層側接着剤の軟化温度は上層側接着剤の軟化温度より高く、かつ、上層側接着剤の軟化温度は80℃以下となっている。このため、加熱温度が低温(180℃以下)であっても、意匠フィルムを金属板に十分に密着させることができた。しかし、下層側接着剤の軟化温度は90℃未満となっている。そして、浸漬試験によって密着力が著しく低下した。下層側接着剤の軟化温度が90℃未満となっているので、浸漬試験時に金属板/下層側接着層の界面に水分子が侵入し、この水分子によって密着力が低下したと考えられる。
比較例19では、下層側接着剤の軟化温度は上層側接着剤の軟化温度より高くなっている。しかし、上層側接着剤の軟化温度は80℃より高いので、上層加熱温度を高く(180℃より大きく)しないと、意匠フィルムを金属板に十分に密着させることができなかった。この結果、初期意匠保持性が著しく低下した。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 意匠金属板
20 鋼板
30 意匠フィルム
40 接着層
41 下層側接着層
42 上層側接着層
100、101 意匠金属板の製造装置
120 第1ロールコータ
130 第1オーブン
140 第2ロールコータ
150 第2オーブン
160 意匠フィルム搬送装置
170 冷却装置

Claims (8)

  1. 金属板と、意匠フィルムとを接着する意匠金属板用多層接着剤のうち、前記意匠フィルムと接する上層側接着層を構成する上層側接着層用組成物であって、
    前記上層側接着層用組成物は、軟化温度が80℃以下の上層側接着剤を含むことを特徴とする、上層側接着層用組成物。
  2. 前記上層側接着剤の軟化温度は70℃以下であることを特徴とする、請求項1記載の上層側接着層用組成物。
  3. 前記上層側接着剤は、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、及びユリア系の熱硬化型接着剤のうち何れか1種以上で構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の上層側接着層用組成物。
  4. 前記上層側接着剤は、線状ポリエステル樹脂100質量部にイソシアネート基を全ジカルボン酸残基に対して30モル%以上有するポリイソシアネート樹脂3〜25質量部を添加したポリエステル系熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の上層側接着層用組成物。
  5. 金属板と、意匠フィルムとを接着する意匠金属板用多層接着剤のうち、前記金属板と接する下層側接着層を構成する下層側接着層用組成物であって、
    前記下層側接着層用組成物は、軟化温度が90℃以上の下層側接着剤を含むことを特徴とする、下層側接着層用組成物。
  6. 前記下層側接着剤の軟化温度は100℃以上であることを特徴とする、請求項5記載の下層側接着層用組成物。
  7. 前記下層側接着剤は、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、及びユリア系の熱硬化型接着剤のうち何れか1種以上で構成されることを特徴とする、請求項5または6に記載の下層側接着層用組成物。
  8. 前記下層側接着剤は、線状ポリエステル樹脂100質量部にイソシアネート基を全ジカルボン酸残基に対して30モル%以上有するポリイソシアネート樹脂3〜25質量部を添加したポリエステル系熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の下層側接着層用組成物。
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