JP6445790B2 - ポリ塩化ビニル積層基材及び防水パネル基材 - Google Patents

ポリ塩化ビニル積層基材及び防水パネル基材 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ塩化ビニル積層基材及び防水パネル基材に関する。
クロメート処理された基材上に、接着剤層を介してポリ塩化ビニル皮膜を積層してなるポリ塩化ビニル積層基材は、耐候性、耐食性、加工性などに優れていることから、建材、家電製品、自動車、容器、雑貨、家具などの分野で広く用いられている。
このようなポリ塩化ビニル積層基材として、たとえば、特許文献1には、クロメート処理された基材上に、接着剤層を介して、所定の第1のポリ塩化ビニル皮膜と、所定の第2のポリ塩化ビニル皮膜とを積層して得られるポリ塩化ビニル積層基材が開示されている。
特開平8−25557号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されているポリ塩化ビニル積層基材では、表面にさらに防水シートを積層した防水パネル基材として、屋外で使用した際に、降雨にさらされると、防水シートに含まれる成分などが、基材とポリ塩化ビニル皮膜との間に設けられた接着剤層まで浸透してしまうおそれがあり、これにより、接着剤層が劣化して、基材からポリ塩化ビニル皮膜が剥離し易くなってしまうという問題があった。
本発明の目的は、表面に防水シートを積層して用いた場合に、防水シートに含まれる成分が接着剤層まで浸透することによる、基材とポリ塩化ビニル皮膜との剥離を、有効に防止することができるポリ塩化ビニル積層基材を提供することである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、クロメート処理された基材上に、接着剤層を介してポリ塩化ビニル皮膜を積層してなるポリ塩化ビニル積層基材において、接着剤層と、ポリ塩化ビニル皮膜との間に、防水シートに含まれる成分の浸透を防止するための保護層を設けることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、ポリ塩化ビニル積層基材と防水シートとを含む防水パネル基材であって、前記ポリ塩化ビニル積層基材が、クロメート処理が施された基材と、前記基材の前記クロメート処理が施された面上に形成された接着剤層と、前記接着剤層上に形成された保護層と、前記保護層上に、直接形成されたポリ塩化ビニル皮膜と、を備え、前記保護層が、アクリル樹脂を主成分とするフィルム又は樹脂膜であり、前記ポリ塩化ビニル皮膜の厚みが、200〜400μmであり、前記防水シートが、前記ポリ塩化ビニル積層基材の前記ポリ塩化ビニル皮膜上に積層されており、ポリ塩化ビニルと可塑剤とを含有する防水パネル基材が提供される。
本発明の防水パネル基材において、前記保護層は、厚みが3μm以上のフィルム又は樹脂膜であることが好ましい。
本発明の防水パネル基材において、前記接着剤層は、ウレタン変性ポリエステル樹脂を含有する接着剤を用いて形成されることが好ましい。
さらに、本発明の防水パネル基材において、前記防水シートが、前記可塑剤としてのフタル酸エステルを、ポリ塩化ビニル100重量部に対してフタル酸エステル50重量部の割合で含有することが好ましい
本発明によれば、表面に防水シートを積層して用いた場合に、防水シートに含まれる成分が接着剤層まで浸透することによる、基材とポリ塩化ビニル皮膜との剥離を、保護層により有効に防止することができるポリ塩化ビニル積層基材を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るポリ塩化ビニル積層基材の表面に、防水シートを積層してなる防水パネル基材の断面図である。 図2は、防水パネル基材における防水シートの密着力を測定する方法を説明するための断面図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るポリ塩化ビニル積層基材10の表面に、防水シート20を積層してなる防水パネル基材1の構成を示す主要断面図である。本実施形態においては、基材11にクロメート処理を施すことによりクロメート処理層12を形成し、該クロメート処理層12上に、接着剤層13、保護層14及びポリ塩化ビニル皮膜15を、この順で設けることにより、ポリ塩化ビニル積層基材10が製造され、このポリ塩化ビニル積層基材10上に防水シート20を積層することにより、防水パネル基材1が製造される。
<基材11>
ポリ塩化ビニル積層基材10を構成する基材11としては、特に限定されないが、加工性に優れるという点より、鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などの金属板が挙げられる。鋼板としては、冷延鋼板などの鋼板のほか、鋼板上に亜鉛めっき層、クロムめっき層、錫めっき層、ニッケルめっき層、又はこれらの金属の合金めっき層を、一層又は多層で形成したものなどを用いることができ、これらのなかでも、鋼板に溶融亜鉛めっきを施した溶融亜鉛めっき鋼板が好ましい。
基材11の厚みは、ポリ塩化ビニル積層基材10の用途に応じて適宜選択すればよい。
<クロメート処理層12>
クロメート処理層12は、上述した基材11に対して、クロメート処理を施すことにより、基材11の一方又は両方の主面上に形成される。本実施形態においては、基材11上にクロメート処理層12を形成することにより、得られるポリ塩化ビニル積層基材10の耐食性を向上させることができる。
クロメート処理の方法としては、特に限定されず、たとえば、6価のクロム酸イオン(CrO 2−)が含まれる溶液にアルコールやカルボン酸を添加して得た処理液を、ロールを用いて基材11に塗布する方法など、公知の方法を用いることができる。
クロメート処理層12の厚みは、クロム量換算で、好ましくは20〜80mg/mである。クロメート処理層12の厚みを上記範囲とすることにより、良好にポリ塩化ビニル積層基材10の耐食性を向上させることができる。
<接着剤層13>
接着剤層13は、クロメート処理層12上に形成され、クロメート処理層12と、後述する保護層14とを接着するための接着剤層である。
接着剤層13としては、クロメート処理層12と、後述する保護層14とを良好に接着できるものであればよく、特に限定されないが、たとえば、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性アクリルなどを含むものが挙げられる。
<保護層14>
保護層14は、ポリ塩化ビニル積層基材10に積層する防水シート20に含まれる成分が、接着剤層13まで浸透してしまうことを防止するための保護層であり、接着剤層13上に設けられる。
保護層14を構成する主成分としては、特に限定されないが、たとえば、防水シート20の成分の浸透を有効に防止することができ、さらに接着剤層13及びポリ塩化ビニル皮膜15との密着性に優れるという点より、アクリル樹脂(メタクリル酸・メタクリル酸メチル共重合物とポリエチレンイミンのグラフト化物)などを用いることができる。
本実施形態においては、保護層14における上述した主成分の含有割合は、好ましくは30重量%程度である。保護層14における上述した主成分の含有割合を上記範囲とすることにより、防水シート20の成分の浸透を、より有効に防止することができる。
保護層14の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは6μmである。保護層14の厚みが薄すぎると、防水シート20の成分の浸透を防止できるという効果が十分に得られなくなってしまう。
本実施形態においては、ポリ塩化ビニル積層基材10に、このような保護層14を設けることにより、ポリ塩化ビニル積層基材10の表面に防水シート20を積層して得られる防水パネル基材1について、後述するように、ポリ塩化ビニル皮膜15及び防水シート20の剥離を有効に防止することができる。
<ポリ塩化ビニル皮膜15>
ポリ塩化ビニル皮膜15は、主にポリ塩化ビニル樹脂により構成され、ポリ塩化ビニル積層基材10の耐食性を向上させる目的や、ポリ塩化ビニル皮膜15へのエンボス加工を可能とし、エンボス加工によりポリ塩化ビニル積層基材10に意匠性を付与する目的で、保護層14上に設けられる。本実施形態においては、基材11上に、上述したクロメート処理層12、接着剤層13、保護層14、ポリ塩化ビニル皮膜15を、この順で設けることにより、ポリ塩化ビニル積層基材10が得られる。
ポリ塩化ビニル皮膜15を構成するポリ塩化ビニル樹脂としては、懸濁重合又は乳化重合等の製造方法で製造されたものなどを用いることができる。
また、ポリ塩化ビニル皮膜15には、可塑剤を添加してもよく、可塑剤としては、フタル酸エステル、エポキシ樹脂、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバチン酸エステル、アゼライン酸エステルなどを用いることができる。
ポリ塩化ビニル皮膜15中における可塑剤の割合は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して、好ましくは30〜35重量部である。ポリ塩化ビニル皮膜15中における可塑剤の割合を上記範囲とすることにより、得られるポリ塩化ビニル積層基材10について、可塑剤の添加による難燃性の低下を抑制しながら、加工性を向上させることができる。
さらに、ポリ塩化ビニル皮膜15には、得られるポリ塩化ビニル積層基材10の加工性及び難燃性を阻害しない範囲で、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ等の充填剤や、アンチモン酸化物、金属水酸化物、ほう素化合物、モリブデン化合物、酸化錫等の難燃剤を添加してもよい。
ポリ塩化ビニル皮膜15の厚みは、好ましくは200〜400μmである。ポリ塩化ビニル皮膜15の厚みを上記範囲とすることにより、防水シートとの溶着性を確保することができる。
<防水シート20>
防水シート20は、主にポリ塩化ビニル樹脂により構成され、ポリ塩化ビニル積層基材10のポリ塩化ビニル皮膜15上に形成される。本実施形態においては、ポリ塩化ビニル積層基材10のポリ塩化ビニル皮膜15上に、防水シート20を形成することにより、防水パネル基材1が得られる。
防水シート20を構成するポリ塩化ビニル樹脂としては、懸濁重合又は乳化重合等の製造方法で製造されたものなどを用いることができる。
また、防水シート20には、可塑剤が添加されており、可塑剤としては、上述したポリ塩化ビニル皮膜15と同様に、フタル酸エステル、エポキシ樹脂、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバチン酸エステル、アゼライン酸エステルなどを用いることができる。
以上のようにして、本発明の実施形態に係る防水パネル基材1が構成される。
本発明の実施形態に係る防水パネル基材1によれば、防水パネル基材1を構成するポリ塩化ビニル積層基材10に、上述した保護層14を設けることにより、防水パネル基材1における、ポリ塩化ビニル皮膜15及び防水シート20の剥離を有効に防止することができる。
すなわち、従来のポリ塩化ビニル積層基材、具体的には、クロメート処理された基材上に、接着剤層を介してポリ塩化ビニル皮膜のみを積層してなるポリ塩化ビニル積層基材においては、表面に防水シートを形成して防水パネル基材として用いた場合には、防水シートが水に接触すると、防水シートに含まれる可塑剤などの成分がポリ塩化ビニル積層基材に浸透するおそれがあり、これにより、接着剤層が劣化し、ポリ塩化ビニル皮膜及び防水シートが剥離し易くなってしまうという問題があった。
特に、上述した従来の防水パネル基材を、建材(特に、屋根材)などの日光や降雨にさらされる用途に用いた場合には、このような問題が顕著になる。すなわち、防水パネル基材が長期間に渡って日光にさらされると、日光の紫外線によって、防水パネル基材の防水シートを構成する成分が、ポリマー鎖の切断等により劣化してしまい、このように劣化した成分は、劣化前の状態に比べて、水によってポリ塩化ビニル積層基材に浸透し易く、そのため、防水パネル基材に降雨が接触すると、雨水とともに、よりポリ塩化ビニル積層基材に浸透し易くなってしまう。
これに対し、本発明の実施形態に係るポリ塩化ビニル積層基材10では、接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15との間に、上述した保護層14を設けることにより、ポリ塩化ビニル積層基材10を、表面に防水シート20を積層させた防水パネル基材1として用いる際に、保護層14により、防水シートに含まれる成分の浸透を防止し、これにより、ポリ塩化ビニル皮膜15及び防水シート20の剥離を有効に防止することができる。そのため、本発明の実施形態に係る防水パネル基材1は、建材、家電製品、自動車、容器、雑貨、家具などの部材として有用であり、特に、上述した屋根材として、好適に用いることができる。
<防水パネル基材1の製造方法>
次いで、本発明の実施形態に係る防水パネル基材1の製造方法について、説明する。
本発明の実施形態に係る防水パネル基材1は、基材11上に、クロメート処理層12、接着剤層13、保護層14、ポリ塩化ビニル皮膜15を、この順で形成することによりポリ塩化ビニル積層基材10を得て、このポリ塩化ビニル積層基材10上に防水シート20を積層することにより製造される。
具体的には、まず、基材11を準備し、基材11に対してクロメート処理を施すことにより、基材11上にクロメート処理層12を形成する。クロメート処理の方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
次いで、クロメート処理層12上に、接着剤層13を形成する。接着剤層13を形成する方法としては、特に限定されず、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性アクリルなどを含む接着剤を、クロメート処理層12上に塗布し、乾燥させる方法などを用いることができる。
次いで、本実施形態においては、クロメート処理層12及び接着剤層13を形成した基材11に、保護層14とポリ塩化ビニル皮膜15とからなる多層シートを、保護層14が接着剤層13に重なるように積層することで、ポリ塩化ビニル積層基材10を得る。
なお、上述した保護層14とポリ塩化ビニル皮膜15とからなる多層シートは、予め、フィルム状のポリ塩化ビニル皮膜15上に、保護層14を形成することで作製することができる。
なお、フィルム状のポリ塩化ビニル皮膜15は、単層の樹脂層であってもよいし、同時押出等による多層の樹脂層であってもよく、また、多層とする場合には、各層を構成する樹脂は異なるものであってもよいし、あるいは、同じものであってもよい。ポリ塩化ビニル皮膜15を多層とすると、保護層14側に、保護層14との接着性に優れた組成のポリ塩化ビニル樹脂を選択し、防水シート20側に、防水シート20との接着性に優れた組成のポリ塩化ビニル樹脂を選択できるので有利である。
また、ポリ塩化ビニル皮膜15上に保護層14を形成する方法としては、たとえば、アクリル樹脂などを主成分とするフィルムを、ロールなどを用いて熱ラミネートによりポリ塩化ビニル皮膜15上に積層する方法や、アクリル樹脂などを主成分とするプライマー、塗料又は接着剤を、ロールなどを用いてポリ塩化ビニル皮膜15上に塗布した後、乾燥させる方法などが挙げられる。
次いで、本実施形態においては、上述したように得られたポリ塩化ビニル積層基材10について、ポリ塩化ビニル積層基材10のポリ塩化ビニル皮膜15上に、防水シート20を積層することで、防水パネル基材1を製造することができる。
防水シート20を形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、防水シート20と、ポリ塩化ビニル積層基材10のポリ塩化ビニル皮膜15との重ね合わせ部分に、刷毛などを用いて、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤を塗布し、圧力を加えて接着する溶剤溶着法や、防水シート20と、ポリ塩化ビニル積層基材10のポリ塩化ビニル皮膜15とを、熱を加えて圧着する熱溶着法などを用いることができる。
以上のようにして、本発明の実施形態に係る防水パネル基材1は製造される。
本発明の実施形態に係る防水パネル基材1は、上述したように、接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15との間に、保護層14を設けることにより、得られる防水パネル基材1について、防水シートに含まれる成分の浸透を防止し、これにより、ポリ塩化ビニル皮膜15及び防水シート20の剥離を有効に防止することができる。
特に、本発明者等は、防水パネル基材を、日光や降雨などの過酷な環境にさらされる屋根材などの部材として用いる際には、防水パネル基材を構成する防水シートの劣化が進行し易いことで、防水シートの成分が、よりポリ塩化ビニル積層基材に浸透し易くなってしまうとの知見を得て、このような知見に基づき、仮に防水シートが劣化したとしても、本発明の実施形態に係る防水パネル基材1のように、接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15との間に保護層14を設けることにより、防水シートに含まれる成分の浸透を有効に防止することができることを見出したものである。
そのため、本発明の実施形態に係る防水パネル基材1は、耐候性に優れ、また、防水シート20を備えることにより防水性を有していることから、屋根材などの過酷な環境にさらされ、さらに防水性が要求される用途に好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
なお、上述した例においては、ポリ塩化ビニル積層基材10を作製する方法として、クロメート処理層12及び接着剤層13を形成した基材11に、保護層14とポリ塩化ビニル皮膜15とからなる多層シートを積層する方法を示したが、ポリ塩化ビニル積層基材10を作製する方法は、このような例に限定されない。
たとえば、まず、基材11上にクロメート処理層12及び接着剤層13を形成した後、接着剤層13上に、直接、保護層14を形成する。その後、保護層14上に、ポリ塩化ビニル樹脂等からなるフィルムをロールなどにより保護層14上に積層する方法、又は溶融させたポリ塩化ビニル樹脂等を、ロールなどにより保護層14上に塗布した後で乾燥する方法により、ポリ塩化ビニル皮膜15を形成し、ポリ塩化ビニル積層基材10を作製することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
《実施例1》
基材11として、下記に示す化学組成を有する鋼板(厚さ0.5mm、長さ100mm、幅100mm)に、溶融亜鉛めっきを施し、亜鉛量付着で120g/mの溶融亜鉛めっき層を形成した溶融亜鉛めっき鋼板を準備した。
C:0.15%以下、Mn:0.80%以下、Si:0.04%以下、P:0.05%以下、S:0.05%以下
そして、準備した基材11にクロメート処理を施し、基材11上に、クロム量換算で50mg/mのクロメート処理層12を形成した。
次いで、形成したクロメート処理層12上に、ウレタン変性ポリエステルからなる接着剤をロールにより、厚さ3μmとなるように塗布して、基材11の板温で200℃以上となるようにして1分間程度加熱した。
そして、加熱された状態の接着剤層13上に、保護層14とポリ塩化ビニル皮膜15とからなる多層シートを、保護層14が接着剤層13に重なるように積層し、ロールにより押圧(ラミネート)することで、ポリ塩化ビニル積層基材10を得た。
なお、保護層14とポリ塩化ビニル皮膜15とからなる多層シートは、予め、厚さ200μmのフィルム状のポリ塩化ビニル皮膜15を用意し、用意したポリ塩化ビニル皮膜15上に、アクリルを主成分とする塗料を塗布し、75℃で約60秒間加熱して乾燥させ、厚さ6μmの保護層14を形成することで得た。
次いで、得られたポリ塩化ビニル積層基材10上に、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してフタル酸エステル50重量部を含有する防水シート20(厚さ1,500μm、長さ200mm、幅100mm)を、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた溶剤溶着法により、積層させ、1週間程度養生させてテトラヒドロフランを蒸発させて除去することで、防水パネル基材1を作製した。なお、本実施例においては、防水シート20としては、ポリ塩化ビニル積層基材10より長さ方向に100mm長いものを用意し、図2に示すように、防水シート20を、ポリ塩化ビニル積層基材10の長さ方向からはみ出るようにして積層させた。
次いで、作製した防水パネル基材1を切断し、防水シート20がはみ出た部分を含み、ポリ塩化ビニル積層基材10の寸法が長さ200mm、幅100mmである試験片を複数作製し、作製した試験片を用いて、70℃の温水に10日間、30日間、又は50日間の条件で浸漬させたサンプルをそれぞれ作製した。
次いで、作製したサンプルについて、それぞれ、防水シート20の密着力の評価を行った。具体的には、図2に示すように、ポリ塩化ビニル積層基材10の長さ方向からはみ出させた防水シート20を上から長さ方向にカッター刃で下地のポリ塩化ビニル積層基材に達するように10mm幅の切れ込みを入れ、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、RTC−1210A)で把持して、剥離速度200mm/minにて、180°の方向(図2に示す矢印の方向)に引っ張り、測定された引張強度の平均値を、密着力(N/10mm)として求めた。結果を表1に示す。なお、表1においては、密着力は、70℃の温水に10日間浸漬させたサンプルの密着力を100として、相対値で示した。後述する実施例2及び比較例1についても同様とする。また、表1に示す剥離形態は、上述したように密着力を求める際に、ポリ塩化ビニル皮膜15と防水シート20との界面で剥離が発生した場合には剥離形態を1とし、接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15、または接着剤層13と保護層14との界面で剥離が発生した場合には剥離形態を2とした。
《実施例2》
保護層14とポリ塩化ビニル皮膜15とからなる多層シートとして、厚さ200μmのフィルム状のポリ塩化ビニル皮膜15上に、アクリルを主成分とするフィルムを積層することで保護層14を形成して得た多層シートを用いた以外は、実施例1と同様にして防水パネル基材1を作製し、同様にして密着力の評価を行った。結果を表1に示す。
《比較例1》
ポリ塩化ビニル皮膜15上に保護層14を形成することなく、接着剤層13上に、直接、ポリ塩化ビニル皮膜15を積層した以外は、実施例1と同様にして防水パネル基材を作製し、同様にして密着力の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006445790
《考 察》
表1に示すように、接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15との間に保護層14を設けた実施例1,2は、70℃の温水に50日間浸漬させた条件において、70℃の温水に10日間浸漬させた条件と比較して、密着力が10%程度しか低下しなかったため、これにより、防水パネル基材1が長期間に渡って使用された際にも、ポリ塩化ビニル皮膜15及び防水シート20の剥離を有効に防止することができることが確認された。また、実施例1,2は、密着力の評価を行った際における剥離形態が、ポリ塩化ビニル皮膜15と防水シート20との界面で剥離するもの(剥離形態1)であったため、防水パネル基材1を実際に使用している際に、仮にポリ塩化ビニル積層基材10から防水シート20が剥離してしまったとしても、ポリ塩化ビニル積層基材10と防水シート20とを、容易に、溶剤溶着法などによって再び接着することができるものであることが確認された。
一方、表1に示すように、保護層14を設けなかった比較例1は、70℃の温水に50日間浸漬させた条件において、70℃の温水に10日間浸漬させた条件と比較して、密着力が70%程度も低下してしまったため、これにより、防水パネル基材が長期間に渡って使用された場合に、防水シート20が剥離し易くなってしまうことが確認された。また、比較例1は、密着力の評価を行った際における剥離形態が、接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15との界面で剥離するもの(剥離形態2)であったため、防水シート20とともにポリ塩化ビニル皮膜15も剥離していることが確認された。さらに、この際においては、剥離が発生した接着剤層13とポリ塩化ビニル皮膜15との界面は、再び接着することが難しいため、ポリ塩化ビニル皮膜15及び防水シート20の再接着は困難であるという結果となった。
1…防水パネル基材
10…ポリ塩化ビニル積層基材
11…基材
12…クロメート処理層
13…接着剤層
14…保護層
15…ポリ塩化ビニル皮膜
20…防水シート

Claims (4)

  1. ポリ塩化ビニル積層基材と防水シートとを含む防水パネル基材であって、
    前記ポリ塩化ビニル積層基材が、
    クロメート処理が施された基材と、
    前記基材の前記クロメート処理が施された面上に形成された接着剤層と、
    前記接着剤層上に形成された保護層と、
    前記保護層上に、直接形成されたポリ塩化ビニル皮膜と、を備え、
    前記保護層が、アクリル樹脂を主成分とするフィルム又は樹脂膜であり、
    前記ポリ塩化ビニル皮膜の厚みが、200〜400μmであり、
    前記防水シートが、前記ポリ塩化ビニル積層基材の前記ポリ塩化ビニル皮膜上に積層されており、ポリ塩化ビニルと可塑剤とを含有する防水パネル基材。
  2. 前記保護層は、厚みが3μm以上のフィルム又は樹脂膜である請求項1に記載の防水パネル基材。
  3. 前記接着剤層は、ウレタン変性ポリエステル樹脂を含有する接着剤を用いて形成される請求項1又は2に記載の防水パネル基材。
  4. 前記防水シートが、前記可塑剤としてのフタル酸エステルを、ポリ塩化ビニル100重量部に対してフタル酸エステル50重量部の割合で含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の防水パネル基材。
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