JP2008119901A - 接着性と皮膜密着性に優れた表面処理金属材 - Google Patents

接着性と皮膜密着性に優れた表面処理金属材 Download PDF

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Abstract

【課題】木質材との接着結合した時に水が侵入しても優れた接着性を保持する表面処理金属材を提供する。
【解決手段】
素地金属材(例、亜鉛系めっき鋼板)の少なくとも片面に、加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物(例、Fe3+イオンにアセチルアセトンなどのβ−ジケトンが配位した錯体)、架橋性樹脂(例、オキサゾリン基含有樹脂)、およびシランカップリング剤を含有し、6価クロムを含有しない水系処理液の塗布と加熱乾燥により形成された表面処理層を、最表層として備えた表面処理金属材。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着性と皮膜密着性に優れ、木質材との構造接着に適した表面処理金属材に関する。
近年、住宅用の構造材料として、木材と鋼材との複合材料の使用が増加傾向にある。その理由としては、大規模な森林伐採が制限されつつあること、鋼材のもつ安定した機械特性が見直されていることなどが挙げられる。
木材と鋼材との接合には接着が主に用いられる。一般に、金属材の接着においては化学的な接着力(分子間力:水素結合、双極子間相互作用、4極子間相互作用、ファンデルワールス力、等)が支配的と言われる。一方、木質材の接着においては、化学的な接着力よりもむしろ、投錨(アンカー)効果と言われる機械的な接着力が作用することが知られている。木材は多孔質であり、接着剤が木材内部に入り込んで硬化するためである。
ところで、構造材料に接着を利用する場合、初期の接着強度だけでなく、経時的に接着強度が低下しないこと(以下、この性能を接着耐久性と呼ぶこともある)も必要になる。接着強度を低下させる主要因は、接着界面への水分の侵入である。水分が接着界面に侵入することで、前述した接着力のうち化学的な接着力(すなわち、水素結合やファンデルワールス力等)が大きく低下して、接着強度が低下する。
木材と鋼を接着する従来技術としては、次のようなものがある。
特許文献1には、亜鉛系めっき皮膜の上に、クロメート皮膜を有し、その上にウレタン系樹脂をはじめとする有機皮膜を備えた鋼材が、水性エマルション型接着剤によって木材と接着されている接着複合体が開示されている。
特許文献2には、亜鉛系めっき皮膜と、クロムフリーのSi含有皮膜と、有機皮膜とが順次設けられた鋼板が、接着剤によって木材と接着されている接着複合体が開示されている。
特許文献1及び特許文献2では、樹脂皮膜に関する限定がほとんどないため、接着剤との結合は、主として水素結合やファンデルワールス力であると考えられ、金属材の表面有機皮膜−接着剤の間で必ずしも良好な接着性が得られるとは限らない。
特許文献3には、最表層に接着剤の成分と架橋反応する少なくとも1種の官能基を有する有機高分子化合物を1種以上含有する化成処理層を備えた金属材が、接着剤を介して木材と接着された複合金属材が開示されている。この技術は、金属材の有機皮膜−接着剤の間で架橋反応を生じさせることにより、強固な接着性を得ようとするものである。
引用文献3に記載の技術では、化成処理層としてクロメート処理層、シリカ系処理層、リン酸塩理層が例示されている。しかし、環境問題からクロメート処理は敬遠される傾向にあり、一方、シリカ系処理やリン酸塩系処理では、特にシリカ系については樹脂との組み合わせにより経時安定性が悪くなりという問題があり、リン酸塩処理でも同様の問題あると考えられてきた。
特許3022268号公報 特開2003−181982号公報 特開2004−83977号公報
本発明は、木質材との接着結合した時の接着耐久性に優れた表面処理金属材を提供することを課題とする。
金属材の接着性向上の手段として、特許文献3に示されるように、鋼板のような金属材の最表層に化成処理層を設け、当該化成処理層に木質系接着剤中の成分と架橋反応する成分を含有させることは、極めて有効である。一方、このように金属材表面に何らかの皮膜層を設けて接着しようとする場合、接着剤と当該皮膜層との界面だけでなく、当該皮膜層と金属材との界面についても考慮して皮膜を設計する必要がある。本発明は、このような考えを下敷きとし、皮膜成分を種々検討することにより完成させたものである。
本発明は、素地金属材の少なくとも片面に、加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物、架橋性樹脂、およびシランカップリング剤を含有し、6価クロムを含有しない水系処理液の塗布と加熱乾燥により形成された表面処理層を、最表層として備えることを特徴とする表面処理金属材、である。
加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物は、3価遷移金属イオンにβ−ジケトン2分子と水2分子とが配位した化合物でよく、3価遷移金属イオンは鉄またはクロムイオンとし、β−ジケトンはアセチルアセトンとすることができる。
架橋性樹脂は、接着剤中の成分の少なくとも一部と反応して架橋構造を形成することができるものが好ましく、より好ましくはオキサゾリン基含有樹脂である。
架橋性樹脂(B)に対する水溶性金属錯化合物(A)の固形分基準での質量比(A/B)は0.1以上、3以下とすることが好ましく、シランカップリング剤(C)に対する水溶性金属錯化合物(A)および架橋性樹脂(B)の合計量の質量比[(A+B)/C]は4以上、50以下とすることが好ましい。
水系処理液は、ジルコニウム化合物、ならびにクエン酸およびその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物をさらに含有することができる。
表面処理層の付着量は好ましくは5mg/m2以上、500mg/m2以下であり、素地鋼板は好ましくは亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板である。
本発明の表面処理金属材は、接着性と皮膜密着性に優れ、水が侵入しても優れた接着性を保持することができる。これは、表面処理層が接着剤と架橋反応して優れた接着性を示すだけでなく、素地鋼板との界面についても良好な皮膜密着性を有するためである。従って、本発明の表面処理金属材は水分の侵入により接着性が低下し易い木質材との構造接着に有用であり、木質材との接着複合体を作成した場合に接着耐久性に優れた建築用材料を提供することができる。
以下の説明において、%は特に指定のない限り質量%である。
本発明の表面処理金属材の素地金属材は、特に限定されないが、通常は鋼板であり、特に耐食性を確保する点から、亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板であることが好ましい。これらは電気めっき鋼板、溶融めっき鋼板、気相めっき鋼板のいずれでもよい。使用できるめっき鋼板の例としては、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板などが挙げられる。めっき付着量も特に限定されず、一般的な範囲内でよい。めっき付着量が少なすぎると耐食性が低下し、多すぎると加工性が劣化する。
素地鋼板に、本発明に従った処理液を塗布し、加熱乾燥して表面処理層を形成する。この表面処理の前に、当業者には周知のように、素地鋼板の表面清浄化処理(アルカリ脱脂、酸洗など)を適宜実施してもよい。また、めっき表面の酸化防止の目的で行われる、鉄族金属イオンを含む酸性もしくはアルカリ性水溶液を用いた表面調整処理を施すこともできる。
本発明で使用する処理液は、加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物、架橋性樹脂、およびシランカップリング剤を含有し、6価クロムを含有しない水系処理液である。
加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物としては、加熱前は水溶性であるが、加熱により配位形態が変化して水に難溶性になる任意の金属錯化合物を使用することができる。そのような金属錯化合物の1例は、3価遷移金属イオンにβ−ジケトン2分子と水2分子とが配位した化合物である。より具体的には、3価遷移金属イオンは鉄がよく、β−ジケトンはアセチルアセトンでよい。3価遷移金属イオンとしてクロムを用いることもできるが、環境問題から好まれないことが多い。
この金属錯化合物は、図1に示すように、加熱前は、金属イオン(図示例ではFe3+)にアセチルアセトン(acac)2分子と水2分子とが配位した単核錯体の形態をとり、水溶性である。しかし、加熱されると、この金属錯化合物2分子が脱水反応して、鉄イオン2分子に、アセチルアセトン4分子と水2分子とが配位した、水に難溶性の2核錯体となり、沈殿する。すなわち、この金属錯化合物は表面処理液中では水溶性であるが、「膜」として加熱乾燥された後は、安定で難水溶性の化合物に変化する。
従って、このような金属錯化合物を処理液中に溶解させておくことにより、塗布後の加熱乾燥中に金属錯化合物は水難溶性となり、水が侵入しても表面処理成分が溶出するのを防止する作用を果たす。そのため、表面処理層の凝集強度が保持され、皮膜の耐久性が高まる。
この水溶性の金属錯化合物は、例えば、次のようにして合成することができる。粉末状のFeSO4またはFeCl2を水に溶解し、得られた水溶液を80℃に加熱する。その後、水/エタノールの混合溶媒で希釈した2当量のアセチルアセトンを徐々に添加し、添加後、80℃で一日間攪拌すると、[Fe(acac)2(H2O)2]+が合成される。
架橋性樹脂は、接着剤の成分の少なくとも一部と反応して架橋構造を形成することができるものであることが好ましく、より好ましくはオキサゾリン基含有樹脂である。オキサゾリン基含有樹脂は、日本触媒株式会社からエポクロス(R)なる商品名で市販されており、水溶性タイプのエポクロスWS−500および700(主鎖はアクリルポリマー)と、エマルションタイプのエポクロスK−2000シリーズ(主鎖はスチレン/アクリルコポリマー)とがある。本発明ではいずれを使用することもできる。
オキサゾリン基含有樹脂は、図2に示すように、オキサゾリン基がカルボキシル基含有成分と開環反応することにより、副生物を生ずることなくアミドエステル型の架橋構造を生じる。本発明では、表面処理層中に含まれるオキサゾリン基含有樹脂のオキサゾリン基が接着剤に含まれるカルボキシル基と反応してこの架橋構造が形成されることにより、接着剤の接着力が飛躍的に高まる。カルボキシル基を有する接着剤の例としては、イソシアネート系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤などが挙げられる。木質材との接着の場合、好ましい接着剤はイソシアネート系であるが、他の接着剤も使用可能である。
オキサゾリン基のこのような性質を利用して、オキサゾリン基含有樹脂はこれまでは、カルボキシル基を含有するベース樹脂に対する架橋剤として塗料に主に使用されてきた。この場合、オキサゾリン基含有樹脂はベース樹脂と共存状態で使用される。
これに対し、本発明では、オキサゾリン基含有樹脂を、架橋剤ではなく単独または主な樹脂成分として表面処理層に含有させる。少量であれば、他の樹脂成分を共存させることも可能であるが、その共存樹脂成分がカルボキシル基などのオキサゾリン基と反応性の官能基を含有していると、オキサゾリン基がその樹脂成分との反応で消費され、接着剤中の成分との架橋反応に使用可能なオキサゾリン基が不足して、接着性が低下することがある。従って、他の樹脂成分を共存させる場合でも、少なくともオキサゾリン基の半分以上が未反応で残るような範囲内に抑えるようにする。一般には、他の樹脂成分を共存させる場合、その量はオキサゾリン基含有樹脂に対して50%以内、特に30%以下とすることが好ましい。
オキサゾリン基含有樹脂は水溶性または水分散性であるので、表面処理層に固定させるために、前述した金属錯化合物および次に述べるシランカップリング剤を共存させる。
シランカップリング剤は、官能基を有するトリアルコキシアルキルまたはジアルコキシジアルキルシラン化合物であり、表面処理液の塗布後の加熱乾燥中にアルコキシ基が加水分解および縮合反応を受けて、有機基を有する三次元架橋したシロキサン骨格の皮膜を形成することができる。オキサゾリン基含有樹脂は、シランカップリング剤のこの作用と上述した金属錯化合物の難溶化により、表面処理層中に固定される。シランカップリング剤はまた、無機質表面すなわち鋼板表面に水素結合的に吸着し、密着性を発現するという作用も果たす。
シランカップリング剤は、各種の市販品を使用することができる。本発明で使用するのに好ましいシランカップリング剤は、エポキシ系、アミノ系、ビニル系、クロル系、メタクリロキシ系、メルカプト系、カチオン系のいずれかの有機官能基を含有するものである。そのようなシランカップリング剤の具体例としては、ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、N-(2-アミノメチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノメチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランが挙げられるが、これらに限られるものではない。特に好ましいのはエポキシ基を有するシランカップリング剤である。
処理液の上記成分の配合割合は、オキサゾリン基含有樹脂等の架橋性樹脂(B)に対する水溶性金属錯化合物(A)の固形分基準での質量比(A/B)が0.1以上、3以下となるようにすることが好ましい。A/B質量比を0.1以上としたのは、金属錯化合物の配合を少なくし、樹脂の配合を多くすれば、安価なコストで必要な性能が得られるためである。この質量比を3以下としたのは、これよりA/B質量比が高くなると、液安定性が低下するからであり。A/B質量比はより好ましくは0.5以上、2以下である。
シランカップリング剤(C)に対する水溶性金属錯化合物(A)および架橋性樹脂(B)の合計量の質量比[(A+B)/C]は4以上、50以下とすることが好ましい。この質量比が4より低くても、50より高くなっても、表面処理液の安定性が低下する。また、質量比が高すぎると、コスト面でも不利になる。(A+B)/C質量比はより好ましくは8以上、25以下である。
処理液は、上記成分に加えて、ジルコニウム化合物、ならびにクエン酸およびその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物をさらに含有していてもよい。これらの追加成分はいずれも耐食性・密着性の改善効果がある。また、処理液の安定性も向上する効果がある。
ジルコニウム化合物としては、炭酸ジルコニウムアンモニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコン水素酸などが使用できる。クエン酸塩としてはアンモニウム塩および金属塩が使用できる。
水系処理液は、上記以外の添加剤をさらに含有することもできる。そのような添加剤としては、pH調整用の酸および/もしくはアルカリ、消泡剤、液安定化剤などが挙げられる。
なお、表面処理液に慣用される成分として耐食性改善に有効なシリカがあるが、本発明の場合、シリカは必須ではない。シリカを含有することでの接着性改善効果が必ずしも認められないためである。
本発明で使用する水系処理液の溶媒は水であるが、水より少量であれば、水混和性有機溶媒を含有していてもよい。例えば、オキサゾリン基含有樹脂としてエポクロスWS−500をそのまま使用する場合には、これは水/1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶媒中の40%溶液として市販されているので、有機溶媒が混入する。
水系処理液の塗布とその後の加熱乾燥は常法に従って実施すればよい。塗布は、例えば、浸漬、噴霧、ロール塗布などにより実施することができる。乾燥時の加熱温度は最高到達板温が60〜200℃の範囲内となるように行うことが好ましい。この加熱乾燥は、熱風乾燥または炉内乾燥により行うことができる。この加熱中に、上述したように、水溶性の単核の金属錯化合物が難溶性の多核(2核)金属錯化合物に変化し、同時にシランカップリング剤が加水分解と縮合を経て架橋することによって、難溶性の金属錯化合物とシランカップリング剤由来のポリシロキサン骨格の皮膜とが入り交じり、そこに架橋性樹脂も固定された構造を持つ表面処理層が生成する。
こうして形成される表面処理層の付着量は、5mg/m2以上、500mg/m2以下とすることが好ましい。付着量の下限値5mg/m2は、母材の鋼板表面の全表面を覆う処理層を形成するのに最低限必要な量である。付着量の上限値500mg/m2を超えるとコストが高くなりすぎる。表面処理層の付着量は好ましくは10mg/m2以上、200mg/m2以下である。
本発明の表面処理金属材に木質材を接着するのに適した接着剤としては、従来より金属−木材の接着に使用されている各種の木材用接着剤が挙げられる。その例は、水性高分子−イソシアネート系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、メラミン・ユリア共重合樹脂系木着剤、1液形ウレタン系接着剤等である。接着剤の硬化反応において、有毒なホルムアルデヒドが発生しない点で水性高分子−イソシアネート系接着剤が好ましい。また、住宅建設現場等での現場施工性については1液形ウレタン系接着剤が良好である。接着剤は、表面処理層に含まれる架橋性樹脂と反応性のあるものを使用するようにする。例えば、前述したように、架橋性樹脂がオキサゾリン基含有樹脂である場合には、カルボキシル基を含有する成分を含有する接着剤(例、水性高分子−イソシアネート系接着剤)を使用することが好ましい。
(表面処理金属材の作成)
素地鋼板として溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm、めっき付着量:片面当たり60g/m2、合金化熱処理なし)を用い、このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂後、水洗乾燥した。その後、めっき鋼板の両面に順に表1に示すいずれかの組成の処理液をバーコーターで塗布し、熱風炉で加熱乾燥して(最高到達板温80℃)、めっき鋼板表面に表面処理層を形成した。表面処理層の付着量は処理液濃度とバーコーターの番手により調整した。この付着量は、処理前後の重量差から算出した。なお、表1に示した処理液中、希望O〜Vの処理液は、液安定性に問題があるため、使用しなかった。
処理液に使用した各成分の詳細は次の通りである。
金属錯化合物:Fe(acac)2(H2O)2(すなわち、図1に示した、3価鉄イオンにアセチルアセトン2分子と水2分子とが配位した錯体、合成品);
架橋性樹脂:オキサゾリン基含有樹脂(日本触媒製エポクロスWS−500);
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ製サイラエースS510);
シリカ1:コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスO);
シリカ2:コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスN)。
Figure 2008119901
(接着複合体の作成)
得られた表面処理金属材の両面に、接着剤(水性高分子−イソシアネート系接着剤、大鹿振興製鹿印ピーアイボンドTP−111)をはけ塗りで塗布した後、同じ平面サイズの米松の板材(厚さ10mm)を0.2MPaで約12時間圧締して接着を行い、圧力を開放して木材−鋼板−木材からなるサンドイッチ状の接着複合体を作製した。
(接着性の評価)
試験1(初期の接着強度):作製した接着複合体を、図3に示すサンプルサイズ(25mmの正方形)に切断し、圧縮せん断試験(JIS−K6852に準ずる)を行った。適用した圧縮せん断速度は2mm/minとした。
試験結果は、接着強度と鋼板と接着剤間の界面剥離率で評価した。鋼板−接着剤間の界面剥離率は全接着面積に対して、圧縮せん断試験により当該界面で剥離した面積の割合を意味する。例えば図4の測定例1では、木材の破壊および木材−接着剤間の界面剥離は生じているが、鋼板−接着剤間の界面剥離は生じていないので0%である。一方、図4の測定例2では、評価面の周辺部で鋼板−接着剤間の界面剥離が生じている。その面積率は、図4右上の100マスのゴバン目に当てはめて測定すると40%になる。
試験2(沸騰水浸漬後の接着強度):水の侵入による接着強度の低下を模擬するため、上記サイズに切断した接着複合体を沸騰水に4時間浸漬し、取り出し後すみやかに、上記圧縮せん断試験を実施した。
試験1および2の結果を表2示す。
Figure 2008119901
表2からわかるように、本発明に係る表面処理金属材(実施例1〜16)は、初期の接着強度が高いだけでなく、沸騰水浸漬後の接着強度が初期の接着強度からあまり低下していなかった。また、沸騰水試験後の木材−金属界面での剥離面積率も小さいことから、界面での接着力があまり落ちていないことが推定される。なかでも、クエン酸を含有するもの(実施例1〜8)は含まないものと比較して界面剥離面積率が小さく、さらに架橋性樹脂の含有量が増加することによってその傾向がさらに強まった(例、実施例1〜4と実施例5〜8の対比)。
一方、比較例は、いずれも表面処理層層中に架橋材樹脂を含まないものである。中では、比較例1〜4はシランカップリング材を含むため初期の接着強度は高かったが、沸騰水試験後は、実施例と比較しての接着強度が小さくなっていた。また、金属錯化合物を含まない比較例9〜12は、他の比較例よりも初期の接着強度が低く、界面剥離面積率が大きかった。
金属錯化合物の難溶化反応の説明図である。 表面処理層に含まれるオキサゾリン基含有樹脂のオキサゾリン基と接着剤中のカルボキシル基との架橋反応のメカニズムに関する説明図である。 実施例で採用した圧縮せん断試験のサンプルサイズを示す説明図である。 上記圧縮せん断試験による破断面において鋼板−接着剤間の界面剥離率の測定方法を示す説明図である。

Claims (10)

  1. 素地金属材の少なくとも片面に、加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物、架橋性樹脂、およびシランカップリング剤を含有し、6価クロムを含有しない水系処理液の塗布と加熱乾燥により形成された表面処理層を、最表層として備えることを特徴とする表面処理金属材。
  2. 加熱乾燥により難溶性に変化する水溶性金属錯化合物が、3価遷移金属イオンにβ−ジケトン2分子と水2分子とが配位した化合物である、請求項1に記載の表面処理金属材。
  3. 3価遷移金属イオンが鉄またはクロムイオンであり、β−ジケトンがアセチルアセトンである、請求項2に記載の表面処理金属材。
  4. 架橋性樹脂が、接着剤中の成分の少なくとも一部と反応して架橋構造を形成することができるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理金属材。
  5. 架橋性樹脂がオキサゾリン基含有樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理金属材。
  6. 架橋性樹脂(B)に対する水溶性金属錯化合物(A)の固形分基準での質量比(A/B)が0.1以上、3以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理金属材。
  7. シランカップリング剤(C)に対する水溶性金属錯化合物(A)および架橋性樹脂(B)の合計量の質量比[(A+B)/C]が4以上、50以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面処理金属材。
  8. 水系処理液がジルコニウム化合物、ならびにクエン酸およびその塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物をさらに含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理金属材。
  9. 表面処理層の付着量が5mg/m2以上、500mg/m2以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面処理金属材。
  10. 素地鋼板が亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金めっき鋼板である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面処理金属材。
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