JP2006316144A - 壁紙用防汚フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリプロピレンからなる基材層と、アンカーコート層と、接着層とをこの順で有する壁紙用防汚フィルムであって、上記アンカーコート層は、イソシアナートを含有し、上記接着層は、少なくとも、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体、イソシアナート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びワックスを含有する壁紙用防汚フィルム。
【選択図】 なし
Description
また、例えば、特許文献1には、基材層として透明2軸延伸ポリエステルフィルムを用いた防汚フィルムが開示されており、また、例えば、特許文献2には、基材層として共重合ポリエステルフィルムを用いた防汚フィルムが開示されている。
しかしながら、壁紙用防汚フィルムが、高温多湿環境下に晒された場合は、基材層と接着層との接着強度が低下するという問題があった。
そこで、壁紙用防汚フィルムとして必要とされる防汚性、アンチブロッキング性及び壁紙との接着性を有しつつ、高温多湿環境においても、基材層との接着力が低下することのない壁紙用防汚フィルムが求められていた。
本発明2の壁紙用防汚フィルムは、ポリプロピレンからなる基材層と、アンカーコート層と、接着層とをこの順で有する壁紙用防汚フィルムであって、上記アンカーコート層は、イソシアナートを含有し、上記接着層は、少なくとも、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体、イソシアナート、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びワックスを含有する壁紙用防汚フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明1の壁紙用防汚フィルムでは、基材層と接着層との間にアンカーコート層を有することで、基材層と接着層との接着性を向上させ、特に高温多湿環境における接着性を大幅に改善することができる。これにより、高温多湿環境で使用される壁紙の防汚フィルムとしても好適に用いることができ、壁紙用防汚フィルムとしての用途を大幅に広げることができる。なお、基材層と接着層と接着性を改善する方法としては、接着層にイソシアナートを大量に添加する方法も考えられるが、このような方法では、接着層の軟化点が上がり、アウトライン工程の場合、塩化ビニル壁紙との接着性が低下する。
また、上記ポリプロピレンからなる基材層は、上述したEVOHからなる樹脂基材等と同様に防汚性を有するものであり、該基材層上に後述する特定の配合からなる接着層を形成することにより、防汚性、アンチブロッキング性及び低温での塩化ビニル層に対する接着性に優れる壁紙用防汚フィルムが得られる。
上記基材層を構成するポリプロピレンとしては特に限定されないが、結晶性ポリプロピレンであることが好ましい。この結晶性ポリプロピレンは、防汚性とともにエンボス適性に優れているため、結晶性ポリプロピレンのエンボス特性と後述する接着層の接着性との相乗効果により、例えば、発泡させた塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層の表面に対してであっても強固に接着させることができる。
上記結晶性ポリプロピレンとしては特に限定されず、例えば、ホモのポリプロピレン樹脂、エチレンとプロピレンとのブロック共重合体、エチレン等と共重合可能な1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体等が挙げられる。なお、非晶性のポリプロピレンでは、油性の汚れに対する防汚性が充分でない。
ここで、上記「結晶性」とは、原料ペレット又はフィルムを一旦加熱溶融させた後、徐冷したものが結晶性であるという、樹脂本来が持つ性質をいう。
上記基材層は、不活性なポリプロピレンからなるため、特に高温多湿環境では、接着層との接着性が低下するが、上記アンカーコート層を有することで、基材層と接着層との接着性を大幅に向上され、高温多湿環境における基材層と接着層との接着力の低下を効果的に防止することができる。また、上記アンカーコート層を形成することで、接着層の厚さを薄くしても、同様の性能を得ることができるため、生産性の向上やコストの低減を実現することができる。
なお、上記ウレタン基を一部に有する構造のポリエステルポリオール−アクリル共重合体は、公知のいかなる方法によっても得ることができ、市販されているものを使用することもできる。
このようなイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアナート、メチルシクロヘキシル−2,6−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナート)メチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、リジンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアナート類;2,4−トルイレンジイソシアナート、2,6−トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、1,5’−ナフテンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、ジフェニルメチルメタンジイソシアナート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−ジベンジルジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート類;リジンエステルトリイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、1,8−イソシアナート−4,4−イソシアナートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート、トリメチロールプロパンとトルイレンジイソシアナートとのアダクト体、トリメチロールプロパンと1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートとのアダクト体等のトリイソシアナート類等が挙げられる。
本発明者らは、このようなブロックイソシアナートを用いることにより、驚くべきことに接着層の軟化点が引き下げられることを見出した。即ち、上記ポリエステルポリオール−アクリル共重合体と上記ブロックイソシアナートとを組み合わせることにより、接着層の軟化点が低下し、80〜90℃程度の低温でも塩化ビニル層の表面に対する充分な接着性が得られる。この理由は、以下の通りであると考えられる。
即ち、上記アンカーコート層上に形成した直後の接着層は、上記ブロック化剤によりブロック化されたブロックイソシアナートと、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体とが反応をしないため、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体が架橋されず低い軟化点を保持している。この接着層を塩化ビニル層の表面に貼り付け、90℃程度の熱プレスを施すと上記ブロック化剤によりイソシアナートが活性化され、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体が架橋されて硬化し、塩化ビニル層の表面に対する接着性を示すものと考えられる。
また、上記反応温度は、通常50〜80℃であり、ブロック化剤でブロックされたイソシアナートが目標とする量に到達するまでイソシアナートとブロック化剤とを反応させることにより、上記ブロックイソシアナートを得ることができる。
上記イソシアナート溶液及び上記接着剤を調製する際に使用する溶媒としては特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ブチルセロソルブ;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。
本発明2の壁紙用防汚フィルムは、ポリプロピレンからなる基材層と、アンカーコート層と、接着層とをこの順で有する壁紙用防汚フィルムであって、上記アンカーコート層は、イソシアナートを含有し、上記接着層は、少なくとも、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体、イソシアナート、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びワックスを含有する壁紙用防汚フィルムである。
なお、本明細書において、上記「塩素化ポリプロピレン」とは、ポリプロピレンを塩素で改質した樹脂であり、塩素含有率が20〜40%程度の低塩素化ポリプロピレンを意味する。
更に、上記接着層に塩素化ポリプロピレンを含有させると、上記接着層とポリプロピレンからなる基材層との密着性を極めて高くすることができる。また、本発明2の壁紙用防汚フィルムを接着した塩化ビニル壁紙を壁やクローゼット等の被着物から剥がす際に、上記基材層のみが剥がれるという問題が発生することもない。
また、本発明の壁紙用防汚フィルムを積層した後に上記塩化ビニル層を発泡させてもよい。なお、上記塩化ビニル層に印刷を施す場合、印刷インキは、通常用いられるインキでよい。例えば、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、セルロース系の樹脂に顔料、染料等の着色剤、分散剤、溶剤等を混合し溶解させたもの等が挙げられる。また、上記印刷は公知の方法により行うことができる。
また、塩化ビニル壁紙にエンボス加工を施す場合、該エンボス加工は、本発明の壁紙用防汚フィルムと塩化ビニル層との熱圧着と同時に行ってもよく、後工程で行ってもよい。
(1)イソシアナート溶液の調製
メチルエチルケトン100重量部に対してイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製、「コロネートHL」NCO含有率12.6%)5重量部を均一に溶解させて、イソシアナート溶液を調整した。
次にメチルエチルケトン198重量部に対してポリエステルポリオールとアクリルの共重合体(日本ポリウレタン工業社製、「SH538」、固形分40%)30重量部を配合して均一に溶解させた溶液に、ブロックイソシアナートであるポリイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製、「コロネート2507」)2重量部を添加し、室温にて均一に分散させて混合溶液を調整した。この混合溶液に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(日信化学工業社製、「ソルバインC5R」)12重量部と合成ワックス(日本精鑞社製、「FTP1005」)0.8重量部とを添加して均一に分散させて接着剤を調整した。
次に、調整したイソシアナート溶液を厚さ15μmの結晶ポリプロピレンからなる基材上にバーコーターにて塗工し、65℃、30秒の条件で乾燥して厚さ1.0μmのアンカーコート層を形成した。
次にアンカーコート層上に接着剤をバーコーターにて塗工し、65℃、1分間の条件で乾燥して厚さ1.8μmの接着層を形成し、壁紙用防汚フィルムを作製した。
イソプロピルアルコール100重量部に対してイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製、「アクアネート210」、NCO含有率16.7%)5重量部を均一に溶解させて、イソシアナート溶液を調製し、得られたイソシアナート溶液を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
メチルエチルケトン120重量部に対してポリエステルポリオールとアクリルの共重合体(日本ポリウレタン工業社製、「SH538」、固形分40%)30重量部を配合して均一に溶解させた溶液に、ブロックイソシアナートであるポリイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製、「コロネート2507」)2重量部を添加し、室温にて均一に分散させて混合溶液を調整した。この混合溶液にエチレン−酢酸ビニル共重合体と塩素化ポリプロピレンとの混合品(グンゼ社製、「グンゼパートコート(PC)」、固形分20%)30重量部と、高融点合成ワックス(サンナプコ社製、「SNワックス22−DS−F」)0.45重量部とを添加して均一に分散させて接着剤を調整した。
次にアンカーコート層上に接着剤をバーコーターにて塗工し、65℃、1分間の条件で乾燥して厚さ2.0μmの接着層を形成し、壁紙用防汚フィルムを作製した。
アンカーコート層を形成しなかった以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
実施例1〜3及び比較例1において作製した壁紙用防汚フィルムの接着性、ブロッキング性及びエンボス適性を以下の方法により評価した。結果を表1に示した。
実施例1〜3及び比較例1で得られた壁紙用防汚フィルムの接着層と塩化ビニル壁紙とを重ね合わせ、熱傾斜ヒートシール機(東洋精機製作所社製)にて90℃、0.26MPa、1秒の条件で、1cm×2.5cmの面積でヒートシールした。
次に、ヒートシールを行ったサンプルについて、室温に24時間放置、又は、50℃の温水に24時間浸漬し、シール部分が1cm×1cmとなるように切り出して短冊状の試料を作製した。
このようにして得られた短冊状の試料のヒートシールをした部分をオートグラフ(AGS−100A、島津製作所社製)にて引張強度測定を行い、その値を接着強度とした。なお、温水浸漬したサンプルは、浸漬後に2時間乾燥したものの接着強度を測定した。
また、引張強度測定を行った際の塩化ビニル壁紙及び基材層の状態を目視にて観察した。
実施例1〜3及び比較例1で得られた壁紙用防汚フィルムから3cm×10cmの大きさの試料を2枚切り出し、一方の試料の接着層と他方の試料の基材層の背面(基材層の接着層を形成していない側の面)とを、これらの重なり部分が3cm×4cmとなるように重ね合わせ、この重なり部分上に600gの重りを載せて40℃の恒温槽中に24時間放置した。
その後、試料の重なり部分をオートグラフ(AGS−100A、島津製作所社製)を用いて、引張速度200mm/minの条件で引張強度測定を行い、これらが剥がれたときの値(荷重)をブロッキングの値とした。
実施例1〜3及び比較例1で得られた壁紙用防汚フィルムと塩化ビニル層とを、接着層を形成した面と塩化ビニル層とが接するようにして、温度90℃、圧力1MPa(10kg/cm2)の条件で熱圧着した。
続いて、エンボスロールを使用して温度130℃、圧力1MPa(10kg/cm2)の条件でエンボス加工してエンボス模様の付いた積層フィルムを作製し、実施例1〜3及び比較例1で得られた壁紙用防汚フィルムの接着強度を測定した。
これに対し、比較例1に係る壁紙用防汚フィルムでは、温水浸漬を行った場合に、塩化ビニル壁紙に対する接着強度の低下や基材層の剥離が見られた。
Claims (5)
- ポリプロピレンからなる基材層と、アンカーコート層と、接着層とをこの順で有する壁紙用防汚フィルムであって、
前記アンカーコート層は、イソシアナートを含有し、
前記接着層は、少なくとも、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体、イソシアナート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びワックスを含有する
ことを特徴とする壁紙用防汚フィルム。 - ポリプロピレンからなる基材層と、アンカーコート層と、接着層とをこの順で有する壁紙用防汚フィルムであって、
前記アンカーコート層は、イソシアナートを含有し、
前記接着層は、少なくとも、ポリエステルポリオール−アクリル共重合体、イソシアナート、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びワックスを含有する
ことを特徴とする壁紙用防汚フィルム。 - 接着層は、更に、塩素化ポリプロピレンを含有することを特徴とする請求項2記載の壁紙用防汚フィルム。
- 接着層は、ブロックイソシアナートを含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の壁紙用防汚フィルム。
- 請求項1、2、3又は4記載の壁紙用防汚フィルムと塩化ビニル壁紙とからなることを特徴とする壁装材。
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