JP6789870B2 - 積層体、壁紙及び壁構造体 - Google Patents
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Description
[1]熱可塑性樹脂(a)を含む基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)を有し、95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5以上9以下である積層体;
[2]熱可塑性樹脂(a)がビニルアルコール系樹脂である、[1]の積層体;
[3]基材層(A)が延伸されている、[1]又は[2]の積層体;
[4]接着層(C)を95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5以上9以下である、[1]〜[3]のいずれかの積層体;
[5]さらに樹脂層(D)を有する、[1]〜[4]のいずれかの積層体;
[6]基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)の積層構造を有する、[1]〜[5]のいずれかの積層体;
[7]基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)/樹脂層(D)の積層構造を有する、[5]の積層体;
[8][1]〜[7]のいずれかの積層体を有する壁紙;
[9]さらに支持体(E)を有する、[8]の壁紙;
[10]基材層(A)が最表面に位置する、[8]又は[9]の壁紙;
[11][8]〜[10]のいずれかの壁紙、壁本体、及び前記壁紙と前記壁本体との間に介在し、熱可塑性樹脂(b)を含む中間層(F)を有する壁構造体;
[12]熱可塑性樹脂(b)がアクリル系樹脂又はオレフィン系樹脂である、[11]の壁構造体;
を提供することにより達成される。
基材層(A)は、熱可塑性樹脂(a)を含む層である。熱可塑性樹脂(a)としては、ビニルアルコール系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12等のポリアミド;ポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアリレート、再生セルロース、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリアミドが好ましく、ビニルアルコール系樹脂及びポリエステルがより好ましく、ビニルアルコール系樹脂がさらに好ましい。ビニルアルコール系樹脂及びポリエステルを用いると、後述する樹脂層(D)として塩化ビニル系樹脂を用いた場合に含み得る可塑剤の表面への移行を効果的に抑制できる。また、ビニルアルコール系樹脂を用いると、特に高湿度下におけるガスバリア性、水蒸気バリア性等を高めることができるほか、基材層を最表面に配置した場合に汚染除去性を高めることができる。
アルミニウム蒸着層(B)は、基材層(A)の一方の面上に形成されていることが好ましい。また、アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウムの一部(例えば表面領域に存在するアルミニウム)又は全部が酸化されていてもよい。
接着層(C)は、接着剤から形成される。かかる接着剤としては、アルミニウム蒸着層(B)及び本発明の積層体の接着対象物(樹脂層(D)、支持体(E)等)との良好な接着性を有するものであれば特に限定されず、例えば、エチレン、塩化ビニル及び酢酸ビニルの群から選ばれる少なくとも2種のモノマーを共重合したポリマーの水性エマルジョンが挙げられ、エチレン、塩化ビニル及び酢酸ビニルの共重合体の水性エマルジョンがより好ましい。また、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂やポリエステル系ポリウレタン樹脂及びそれらの混合物も好ましい。具体的には、水酸基を2つ以上有するポリエーテル系あるいはポリエステル系ポリマーと、イソシアネート基を2つ以上有する硬化剤との組合せが接着剤として用いられることが多く、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合し反応させる二液反応型ポリウレタン系接着剤が好ましい。接着層(C)は、1種類の接着剤単独で形成しても、2種以上の接着剤を用いて形成してもよく、また2層以上の複数の層を形成させてもよい。良好な接着性を担保する観点から、接着層(C)は2層以上の複数の層を形成させることが好ましく、各層を異なる種類の接着剤で形成させることがより好ましい。
本発明の積層体は、基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)の他に樹脂層(D)を有していてもよい。本発明の積層体が樹脂層(D)を有すると、クッション性や取扱性が良好となる傾向にある。
本発明の積層体の構成において「/」は、「/」を挟む2層が直接的に積層されていることを表す。ただし、接着層を介していてもよく、接着層を介さず直接積層されていることが好ましい。
本発明の積層体は、壁紙、包装材、真空断熱体向け真空包装袋等に用いることができる。その中でも、本発明の積層体は、壁紙の部材として好適に用いることができ、本発明の積層体自体を壁紙として用いてもよい。本発明の積層体は、壁紙等に用いた場合の意匠性の低下を抑制できる。すなわち、長期間に亘って、アルミニウム蒸着層(B)の脱落及び溶解等が生じ難く、良好な金属光沢を維持できる。また、本発明の積層体は、アルミニウム蒸着層(B)の溶解が抑えられるため、壁紙等に用いた場合のガスバリア性、水蒸気バリア性等も長期間に亘り維持できる。
本発明の積層体を有する壁紙は、本発明の好適な態様の一つである。かかる壁紙は、前記抽出液のpHが所定範囲である積層体を用いているため、アルミニウム蒸着層(B)の透明化が生じがたく、施工後の外観の劣化が抑制される。従って、かかる壁紙は、特に高温多湿の環境下に施工した場合においても、長期間に亘り良好な外観を維持できる。
前記壁紙及び壁本体を有する壁構造体、及び前記壁紙と前記壁本体との間に介在し、熱可塑性樹脂(b)を含有する中間層(F)を有する壁構造体もまた、本発明の好適な態様の一つである。ここで壁本体とは、マンション、木造住宅、オフィスビル等の建築物における一般的な壁である。壁本体の材質は、モルタル、コンクリート、石膏ボード、漆喰、木材等、特に限定されない。前記壁紙と壁本体との間に介在する中間層(F)は、通常、シーラー、下塗り塗料などと呼ばれる塗料により形成される層である。中間層(F)が前記壁紙と壁本体との間に介在することで、本発明の壁紙が壁本体のpHの影響を受けにくくなる傾向にある。
実施例及び比較例で得られた積層体をミクロトームで積層方向にカットし断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡(エス・アイ・アイナノテクノロジー社の「ZEISS ULTRA 55」)の反射電子検出器を用いて測定することでアルミニウム蒸着層の平均厚みを測定した。
実施例及び比較例で得られた積層体(平面視における面積500cm2)について、縦横各1cmになる様に複数に裁断した。上記面積500cm2の積層体の全ての裁断片を100mLの三角フラスコ(以下三角フラスコ)に入れた。純水を50mLのホールピペットで三角フラスコに入れ、蓋をした。この三角フラスコを95℃に設定した湯煎器に入れ2時間加熱した。加熱後の三角フラスコを冷却後、内部の抽出液をろ過して積層体と分離し、ろ液を別の三角フラスコに入れた。得られたろ液をpHメーター(メトラートレド社の「MA235pH型」)で測定し、積層体の抽出液のpH値を得た。
実施例及び比較例で得られた積層体の基材層に油性の赤色インキ(三菱鉛筆社の「三菱マーカー」)を塗布し、24時間経過後にベンジンを付けたガーゼで拭き取った。また、醤油(キッコーマン社の「キッコーマン濃口醤油(商品名)」)を塗布し、24時間後に台所用合成洗剤(ライオン社の「ママレモン(商品名)」)で湿らせたガーゼで拭き取った。汚染除去性を下記のように評価した。
A:赤色インク及び醤油のいずれも全く汚れが残らなかった。
B:赤色インク及び醤油のいずれか一方又は両方で、気にならない程度の汚れが残った。
C:赤色インク及び醤油のいずれか一方又は両方で、明らかな汚れが残った。
アルミニウム蒸着層の代わりに平滑なテフロン(登録商標)シートを用い、各実施例及び比較例に記載された材料、方法を用いてテフロン(登録商標)シート上に接着層を形成させた。得られた接着層を面積500cm2相当分テフロン(登録商標)シートから剥離し、100mLの三角フラスコ(以下三角フラスコ)に入れた。純水を50mLのホールピペットで三角フラスコに入れ蓋をした。この三角フラスコを95℃に設定した湯煎器に入れ2時間加熱した。加熱後の三角フラスコを冷却後、内部の抽出液をろ過して接着層と分離し別の三角フラスコに入れた。得られたろ液をpHメーター(メトラートレド社製MA235pH型)で測定し、接着層の抽出液のpH値を得た。
実施例及び比較例で得られた壁紙を40℃、90%RHの環境下に放置した。60日、120日及び180日経過後の外観を目視によって下記のように評価した。
A:均一に金属光沢を有しており、極めて良好な外観であった。
B:斑点状に金属光沢が欠損している箇所が認められ、外観の変化が認められた。
C:著しく斑点状の欠損が認められた。
実施例及び比較例で得られた壁紙の基材層面に可塑剤非含有ポリ塩化ビニルフィルム(6cm×6cm、平均厚み70μm)を密着させ、このポリ塩化ビニルフィルムに3kgの荷重を加えた。この状態のまま70℃の条件下で7日間放置した。この後、可塑剤非含有ポリ塩化ビニルフィルムを剥がし、基材層表面のベタツキを観察することで可塑剤の移行滲出の程度を下記のように評価した。
A:基材層表面を手で触るとベタツキを感じなかった。
B:基材層表面を手で触ると微かにベタツキを感じた。
C:基材層表面を手で触ると明らかにベタツキを感じた。
得られた壁構造体を40℃、90%RHの環境下に放置し、60日経過後の外観を目視によって下記のように評価した。
A:均一に金属光沢を有しており、極めて良好な外観であった。
B:斑点状に金属光沢が欠損している箇所が認められ、外観の変化が認められた。
<1>基材層として、2軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(クラレ社の「エバール(登録商標)EF−XL」、エチレン単位含有量32mol%、平均厚み15μm)を準備した。バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA−105」)を用い、アルミニウムを溶融及び蒸発させることで、基材層の一方の面にアルミニウム蒸着層を形成した。
実施例1の<1>において、基材層として、無延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(クラレ社の「エバール(登録商標)EF−F」、エチレン単位含有量32モル%、平均厚み15μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
アルミニウム蒸着層の平均厚みを、それぞれ20nm、80nmとしたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に8×10−6gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に5×10−6gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり1×10−5gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1の<1>において、基材層として、アルミニウム蒸着層を積層する面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム(東レ社の「ルミラー(登録商標)」、平均厚み12μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1の<1>において、基材層として、アルミニウム蒸着層を積層する面にコロナ処理を施した無延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(フタムラ化学社の「LG−LTH」、平均厚み25μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1と同様に、基材層の一方の面にアルミニウム蒸着層を形成した。塩化ビニル成分を87モル%及び酢酸ビニル成分を13モル%含む塩化ビニル共重合体100質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート1.5質量部との塩化ビニル系共重合体組成物を、メチルエチルケトン:トルエン=1:1の混合溶媒に固形分濃度20質量%となるように溶解し、接着剤組成物を調製した。この後、直ちにこの接着剤組成物を、グラビヤコーターを用いて塗布量2g/m2(固形分基準)となる様に上記アルミニウム蒸着層の表面に塗布した。これを70℃で4分乾燥し、積層体を得た。この積層体をロール上で、35℃で2日保存しイソシアネート基を消失させた。得られた積層体について実施例1と同様に評価を行った。また、得られた積層体を用いて、実施例1と同様に壁紙を作製し、評価を行った。なお、上記(4)の方法で測定した接着層の抽出液のpHは6.4であった。
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり1.4×10−4gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に4×10−4gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
アルミニウム蒸着層を設けなかったこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。但し、壁紙の外観評価は、金属光沢を有さないため行わなかった。
実施例8において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり2.2×10−4gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例8と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例8において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に8×10−4gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例8と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例9において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり1.1×10−4gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例9と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例9において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に2×10−4gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例9と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
壁本体として使用するモルタル上に、アクリル系樹脂(ヤヨイ化学工業社の「シーアップ」(商品名))をその3倍量の水で希釈した液を均一に塗布し、乾燥させて中間層を形成した。実施例1で得られた壁紙の壁紙基材側に、ヤヨイ化学工業社の「ルーアマイルド」(商品名)、ヤヨイ化学工業社の「ブラゾールSS」(商品名)及び水を質量比9:1:6で混合した接着剤液を均一に塗布した。この壁紙を上記中間層上に貼り付け、目的とする壁構造体を得た。得られた壁構造体について、上記(7)の方法にて外観評価を行った。
壁本体として石膏ボードを用いたこと以外は実施例11と同様に壁構造体を作製し、外観評価を行った。
実施例2〜10で作製した壁紙をそれぞれ用いたこと以外は実施例11と同様に壁構造体を作製し、外観評価を行った。
中間層を形成することなく、壁本体上に実施例1〜10で得られた壁紙をそれぞれ貼り付けたこと以外は実施例11と同様に壁構造体を作製し、外観評価を行った。
11:基材層
12:アルミニウム蒸着層
13:接着層
14:樹脂層
30:壁紙
31:支持体
40:壁構造体
41:壁本体
42:中間層
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂(a)を含む基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)を有し、
95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5.2以上8.6以下であり、
熱可塑性樹脂(a)がビニルアルコール系樹脂であり、
基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)の積層構造を有する、積層体。 - 基材層(A)が延伸されている、請求項1に記載の積層体。
- 接着層(C)を95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5.2以上8.5以下である、請求項1又は請求項2に記載の積層体。
- さらに樹脂層(D)を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)/樹脂層(D)の積層構造を有する、請求項4に記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を有する壁紙。
- さらに支持体(E)を有する、請求項6に記載の壁紙。
- 基材層(A)が最表面に位置する、請求項6又は7に記載の壁紙。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の壁紙、壁本体、及び前記壁紙と前記壁本体との間に介在し、熱可塑性樹脂(b)を含む中間層(F)を有する壁構造体。
- 熱可塑性樹脂(b)がアクリル系樹脂又はオレフィン系樹脂である、請求項9に記載の壁構造体。
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