JP6789870B2 - 積層体、壁紙及び壁構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体、壁紙及び壁構造体に関する。
マンション、木造住宅、オフィスビル等の建築物の壁には、室内装飾等のために壁紙が貼り付けられることが多い。壁紙には、一般的に樹脂シートや紙素材シートが用いられ、これらは接着剤等によって壁に貼り付けられる。
特許文献1には、基材上に形成されたアルミニウム蒸着層を備える壁紙が記載されている。この壁紙によれば、壁へ貼り付ける際に塗工された接着剤から発生するガスの透過を、アルミニウム蒸着層によって抑制できるとされている。
特開平10−237772号公報
アルミニウム蒸着層が形成された壁紙は、ガスの透過を抑制できることに加え、壁紙に金属光沢を付与でき、意匠性にも優れる。しかしながら、このようなアルミニウム蒸着層が形成された壁紙には、高温高湿度環境下などに施工した場合、壁紙の施工から数ヶ月の期間で徐々にアルミニウム蒸着層が斑点状に脱落あるいは透明化し、意匠性が低下するという課題があることが判明した。
本発明の目的は、アルミニウム蒸着層を有する積層体であって、壁紙等に用いた場合に、アルミニウム蒸着層の透明化に由来する意匠性の低下を抑制できる積層体、かかる積層体を用いた壁紙、及びかかる壁紙を用いた壁構造体を提供することである。
本発明によれば、上記目的は、
[1]熱可塑性樹脂(a)を含む基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)を有し、95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5以上9以下である積層体;
[2]熱可塑性樹脂(a)がビニルアルコール系樹脂である、[1]の積層体;
[3]基材層(A)が延伸されている、[1]又は[2]の積層体;
[4]接着層(C)を95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5以上9以下である、[1]〜[3]のいずれかの積層体;
[5]さらに樹脂層(D)を有する、[1]〜[4]のいずれかの積層体;
[6]基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)の積層構造を有する、[1]〜[5]のいずれかの積層体;
[7]基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)/樹脂層(D)の積層構造を有する、[5]の積層体;
[8][1]〜[7]のいずれかの積層体を有する壁紙;
[9]さらに支持体(E)を有する、[8]の壁紙;
[10]基材層(A)が最表面に位置する、[8]又は[9]の壁紙;
[11][8]〜[10]のいずれかの壁紙、壁本体、及び前記壁紙と前記壁本体との間に介在し、熱可塑性樹脂(b)を含む中間層(F)を有する壁構造体;
[12]熱可塑性樹脂(b)がアクリル系樹脂又はオレフィン系樹脂である、[11]の壁構造体;
を提供することにより達成される。
本発明によれば、壁紙等に用いた場合に意匠性の低下を抑制できる、アルミニウム蒸着層を有する積層体、かかる積層体を用いた壁紙、及びかかる壁紙を用いた壁構造体を提供できる。
本発明の一実施形態に係る積層体を示す断面図である。 図1とは異なる実施形態に係る積層体を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る壁紙を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る壁構造体を示す断面図である。
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂(a)を含む基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)を有し、95℃の熱水で2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5以上9以下である積層体である。
アルミニウム蒸着層が形成された壁紙における、アルミニウム蒸着層の一部の脱落又は透明化の原因について、詳細は不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、アルミニウム蒸着層においては、その表面に酸化アルミニウム被膜が形成されている。酸化アルミニウムは、酸性領域又はアルカリ性領域において溶解(腐食)する。一方、熱可塑性樹脂を含む基材層や接着層等は、その樹脂種や添加剤等によって酸性やアルカリ性を示し、特に接着層は、用いる接着剤の種類によってアルカリ性になる傾向がある。本発明の積層体は、95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5以上9以下であることによって、酸化アルミニウム被膜の溶解を抑え、壁紙等に用いた場合の意匠性の低下を抑制でき、長期間にわたるガスバリア性、水蒸気バリア性等も維持できる。以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
(基材層(A))
基材層(A)は、熱可塑性樹脂(a)を含む層である。熱可塑性樹脂(a)としては、ビニルアルコール系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12等のポリアミド;ポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアリレート、再生セルロース、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。中でも、ビニルアルコール系樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリアミドが好ましく、ビニルアルコール系樹脂及びポリエステルがより好ましく、ビニルアルコール系樹脂がさらに好ましい。ビニルアルコール系樹脂及びポリエステルを用いると、後述する樹脂層(D)として塩化ビニル系樹脂を用いた場合に含み得る可塑剤の表面への移行を効果的に抑制できる。また、ビニルアルコール系樹脂を用いると、特に高湿度下におけるガスバリア性、水蒸気バリア性等を高めることができるほか、基材層を最表面に配置した場合に汚染除去性を高めることができる。
ビニルアルコール系樹脂とは、ビニルアルコール単位(−CH−CHOH−)を含有する重合体をいい、単独重合体であっても共重合体であってもよい。ビニルアルコール単位は、ビニルエステル単位をケン化することにより得られる。ビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルエステルのケン化物であるポリビニルアルコールの他、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィンとビニルエステルとの共重合体のけん化物であるα−オレフィン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
ビニルアルコール系樹脂としては、α−オレフィン−ビニルアルコール共重合体が好ましく、溶融成形性とガスバリア性とを良好に両立できる観点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略記する場合がある)がより好ましい。
ビニルアルコール系樹脂は、必要に応じ、さらに他の単量体に由来する単量体単位を有していてもよい。他の単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸又はそのエステル;N−ビニルピロリドン等のビニルピロリドン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物等を挙げることができる。
EVOHのエチレン単位含有量の上限は60モル%が好ましく、55モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。一方、EVOHのエチレン単位含有量の下限は10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましい。エチレン単位含有量を上記範囲とすると、溶融成形性とガスバリア性とをより良好な状態で両立できる。また、エチレン単位含有量を調整すると、積層体のpHを調整可能である。なお、かかるEVOHのエチレン単位含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
EVOHのケン化度の上限は100モル%が好ましく、99.99モル%がより好ましい。一方、EVOHのケン化度の下限は90モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、99モル%がさらに好ましい。ケン化度を90モル%以上とすると、高湿度下でのガスバリア性をより高めることができる。
基材層(A)における熱可塑性樹脂(a)の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
基材層(A)は、熱安定性、粘度調整、pH調整等の観点から酸、金属塩等の添加物を含有していてもよい。上記添加物としては、例えばアルカリ金属塩、カルボン酸及び/又はその塩、リン酸化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。
その他、基材層(A)は、可塑剤、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、架橋剤、充填剤、各種繊維等の添加剤を適量含有していてもよい。また、これら添加剤の分散性を向上させるため、高級脂肪酸などの分散剤を添加してもよい。本発明の積層体では壁紙に有効に用いる観点から、基材層(A)が抗菌剤を含有していてもよい。抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛等の金属イオンを含む化合物や、有機系抗菌剤を無機化合物固体に担持させたものなどを挙げることができる。
基材層(A)の平均厚みの上限は100μmが好ましく、50μmがより好ましく、40μmがさらに好ましい。一方、基材層(A)の平均厚みの下限は5μmが好ましく、8μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。かかる平均厚みを100μm以下とすると、本発明の積層体の十分な薄膜化を図ることができ、5μm以上とすると、十分な強度やガスバリア性等を発揮できる。
基材層(A)の製膜方法は特に限定されず、例えば押出機により溶融押出する溶融成形法、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上に熱可塑性樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法などが挙げられる。また、基材層(A)は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム等を用いることができる。基材層(A)は、延伸されていることが好ましく、二軸に延伸されていることがより好ましい。基材層(A)が延伸されていると、基材層のガスバリア性及び透明性が向上し、アルミニウム蒸着層(B)由来の意匠性を高いレベルで長期的に維持できる。また、基材層(A)が延伸されていると、基材層(A)の寸法安定性が向上し、その結果としてアルミ蒸着層(B)の均一性が高くなり、意匠性が向上するため好ましい。一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムの流れ方向(MD方向)の延伸倍率は2.5倍以上5倍以下が好ましい。このような延伸処理方法としては、一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が挙げられる。
(アルミニウム蒸着層(B))
アルミニウム蒸着層(B)は、基材層(A)の一方の面上に形成されていることが好ましい。また、アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウムの一部(例えば表面領域に存在するアルミニウム)又は全部が酸化されていてもよい。
アルミニウム蒸着層(B)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、マグネシウム、スズ、ケイ素等のアルミニウム以外の金属又は半金属の他、炭素、窒素等の非金属が挙げられる。
アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウム含有量の下限は50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましく、99質量%が特に好ましい。アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウム含有量は、実質的に100質量%であってもよい。アルミニウム含有量を50質量%以上とすると、良好な意匠性、バリア性等を発揮できる。なお、アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウム含有量に関しては、少なくとも一部に不可避的に酸化が生じることを鑑み、酸素原子は考慮しない。
アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みの下限は5nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みの上限は500nmが好ましく、200nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。かかる平均厚みを5nm以上とすると、より長期間にわたり良好な意匠性を維持でき、500nm以下とすると、本発明の積層体を変形させる際に生じうるアルミニウム蒸着層(B)の割れを抑制し、バリア性の低下を抑制できる。
アルミニウム蒸着層(B)の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)等が挙げられ、生産性の観点からは真空蒸着法が好ましい。また、真空蒸着法における加熱方式としては、例えば電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が挙げられる。また、基材層(A)とアルミニウム蒸着層(B)との密着強度を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いてもよい。
(接着層(C))
接着層(C)は、接着剤から形成される。かかる接着剤としては、アルミニウム蒸着層(B)及び本発明の積層体の接着対象物(樹脂層(D)、支持体(E)等)との良好な接着性を有するものであれば特に限定されず、例えば、エチレン、塩化ビニル及び酢酸ビニルの群から選ばれる少なくとも2種のモノマーを共重合したポリマーの水性エマルジョンが挙げられ、エチレン、塩化ビニル及び酢酸ビニルの共重合体の水性エマルジョンがより好ましい。また、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂やポリエステル系ポリウレタン樹脂及びそれらの混合物も好ましい。具体的には、水酸基を2つ以上有するポリエーテル系あるいはポリエステル系ポリマーと、イソシアネート基を2つ以上有する硬化剤との組合せが接着剤として用いられることが多く、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合し反応させる二液反応型ポリウレタン系接着剤が好ましい。接着層(C)は、1種類の接着剤単独で形成しても、2種以上の接着剤を用いて形成してもよく、また2層以上の複数の層を形成させてもよい。良好な接着性を担保する観点から、接着層(C)は2層以上の複数の層を形成させることが好ましく、各層を異なる種類の接着剤で形成させることがより好ましい。
接着層(C)は、可塑剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、架橋剤、防腐剤、防カビ剤、充填剤、各種繊維等の添加剤等を適量含有していてもよい。
接着層(C)の平均厚みの下限は特に限定されず例えば0.1μmであり、1μmが好ましい。一方、接着層(C)の平均厚みの上限は例えば100μmであり、10μmが好ましい。かかる平均厚みを0.1μm以上とすると、良好な接着性を発現でき、100μm以下とすると、良好な塗工性、取扱性を発現できる。
接着層(C)を95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHの下限は5であることが好ましく、5.2であることがより好ましく、6.0であることがさらに好ましく、6.5であることが特に好ましい。一方、かかる抽出液のpHの上限は9であることが好ましく、8.5であることがより好ましい。接着層(C)を95℃の熱水で2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが上記範囲内にあることによって、本発明の積層体の意匠性を長期間維持できる傾向となる。なお、抽出液とは浸漬処理後のろ液を意味する。また、上記抽出液のpHは、後述する実施例に記載の方法で測定される値とする。
接着層(C)は、通常、接着剤の塗工及び乾燥により形成される。その他、例えば接着剤を適当な支持体の上に流延し乾燥させて接着層(C)を得た後、アルミニウム蒸着層(B)上に熱ラミネーション等によって積層させてもよい。
(樹脂層(D))
本発明の積層体は、基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)の他に樹脂層(D)を有していてもよい。本発明の積層体が樹脂層(D)を有すると、クッション性や取扱性が良好となる傾向にある。
樹脂層(D)を構成する樹脂としては、塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂が挙げられ、よりクッション性や取扱性が良好となる観点から、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
塩化ビニル系樹脂とは塩化ビニル単位(−CHCHCl)を含む重合体をいい、塩化ビニル単独重合体であっても、他の単量体との共重合体であってもよい。樹脂層(D)を構成する樹脂が塩化ビニル系樹脂である場合は、塩化ビニル系樹脂が可塑剤を含んでいることが好ましい。通常の積層体(壁紙)において、塩化ビニル系樹脂層中の可塑剤は、例えば基材層表面に移行し、表面が汚れる原因になることがある。しかし、本発明の積層体によれば、アルミニウム蒸着層(B)の存在や、基材層(A)としてEVOHやPET等を用いることで、上記可塑剤の移行を抑制できる。
オレフィン系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。但し、塩化ビニル系樹脂とは異なり可塑剤を含有せず、また、オレフィン系樹脂は塩化ビニル系樹脂より一般に難燃性に劣るため、難燃剤や無機系充填剤を添加することにより、難燃性を改善することが多い。
樹脂層(D)には、顔料、充填剤、安定剤、発泡剤等の添加剤がさらに含有されていてもよい。樹脂層(D)が発泡剤を含む場合、本発明の積層体においては、発泡剤が未発泡の状態であってもよいし、発泡剤が発泡した状態であってもよい。
樹脂層(D)における、樹脂層(D)を構成する樹脂の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
本発明の積層体が樹脂層(D)を有する場合、樹脂層(D)にはエンボス加工等を施すことができる。
樹脂層(D)の厚みとしては特に限定されない。樹脂層(D)の平均厚みとしては、例えば0.01mm以上5mm以下とすることができる。
本発明の積層体が樹脂層(D)を有する場合は、基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)及び接着層(C)の積層体に樹脂層(D)を熱ラミネーションすることなどによって製造できる。
(積層体)
本発明の積層体の構成において「/」は、「/」を挟む2層が直接的に積層されていることを表す。ただし、接着層を介していてもよく、接着層を介さず直接積層されていることが好ましい。
本発明の積層体は、基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)の積層構造を有することが好ましい。例えば、図1の積層体10は、基材層11、アルミニウム蒸着層12及び接着層13がこの順に積層された層構造体である。通常、基材上にアルミニウム蒸着層を有する積層体は、アルミニウム蒸着層表面に保護層等の接着層とは異なる層を設けるが、その分製造コストが高くなる。本発明の積層体は、95℃の熱水で2時間浸漬処理した後のpHを特定範囲に調整しているため、アルミニウム蒸着層(B)に接着層(C)が直接積層されていても、アルミニウム蒸着層(B)の透明化に由来する意匠性の低下を抑制できる。すなわち、本発明の積層体は、アルミニウム蒸着層表面に保護層等を設ける必要がないため製造コストを抑えられ、かつ、意匠性を長期間保持できる。
本発明の積層体が樹脂層(D)を有する場合は、基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)/樹脂層(D)の積層構造を有することが好ましい。例えば、図2の積層体20は、基材層11、アルミニウム蒸着層12、接着層13及び樹脂層14がこの順に積層された層構造体である。このような層構成であると、積層体のクッション性や取扱性をより高めることができる傾向となる。また、樹脂層(D)が可塑剤を含む場合に、可塑剤の基材表面への移行をより抑制できる。
本発明の積層体は、95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHの下限が5であり、5.2であることが好ましく、6であることがより好ましい。一方、かかる抽出液のpHの上限は9であり、8.5であることが好ましく、8.3であることがより好ましい。本発明の積層体を95℃の熱水で2時間浸漬処理した後の抽出液のpHを上記範囲とすると、アルミニウム蒸着層(B)に形成される酸化アルミニウム被膜の溶解を抑え、壁紙等に用いた場合の外観の劣化を抑制できる。なお、上記抽出液のpHは、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定される値とする。
上記抽出液のpHは、基材層(A)及び接着層(C)の組成によって調整できる。なお、例えば接着層(C)がアルカリ性であり、基材層(A)が酸性であっても、上記抽出液のpHが5以上9以下であれば、上記効果が奏される。アルミニウム蒸着層は通常、非常に薄い層であり、欠陥部分も生じうることから、酸成分及びアルカリ成分がアルミニウム蒸着層(B)を介して互いに行き来し、アルミニウム蒸着層(B)近傍では中性に近い状態になっていると推測される。例えば、EVOH等のビニルアルコール系樹脂は、通常、酸等が添加されている場合が多く、弱酸性を示す傾向がある。そのため、ビニルアルコール系樹脂を含む基材層(A)と、アルカリ性である接着層(C)と組み合わせて用いた場合、上記抽出液のpHを特定範囲に好ましく調整できる。
(用途等)
本発明の積層体は、壁紙、包装材、真空断熱体向け真空包装袋等に用いることができる。その中でも、本発明の積層体は、壁紙の部材として好適に用いることができ、本発明の積層体自体を壁紙として用いてもよい。本発明の積層体は、壁紙等に用いた場合の意匠性の低下を抑制できる。すなわち、長期間に亘って、アルミニウム蒸着層(B)の脱落及び溶解等が生じ難く、良好な金属光沢を維持できる。また、本発明の積層体は、アルミニウム蒸着層(B)の溶解が抑えられるため、壁紙等に用いた場合のガスバリア性、水蒸気バリア性等も長期間に亘り維持できる。
(壁紙)
本発明の積層体を有する壁紙は、本発明の好適な態様の一つである。かかる壁紙は、前記抽出液のpHが所定範囲である積層体を用いているため、アルミニウム蒸着層(B)の透明化が生じがたく、施工後の外観の劣化が抑制される。従って、かかる壁紙は、特に高温多湿の環境下に施工した場合においても、長期間に亘り良好な外観を維持できる。
前記壁紙は、本発明の積層体の他に支持体(E)を有することが好ましい。前記壁紙が支持体(E)を有すると、後述する壁構造に前記壁紙を貼付する際の施工性が向上する傾向にある。支持体(E)としては、不織布等の布帛、ガラス繊維、難燃紙やアスベスト紙等の紙、樹脂等が挙げられる。支持体(E)の厚みは特に限定されず、平均厚みとして、例えば0.01mm以上5mm以下とすることができる。
本発明の壁紙が支持体(E)を有する場合、基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)/樹脂層(D)/支持体(E)の積層構造を有することが好ましい。例えば、図3の壁紙30は、図2の積層体20と支持体31とを有する層構造体である。積層体20の樹脂層14側の面に支持体31が積層されている。
また、本発明の壁紙は基材層(A)が最表面に位置することが好ましい。基材層(A)が最表面に位置すると、意匠性及び汚染除去性を高めることができる。
本発明の壁紙は、例えば樹脂層(D)と支持体(E)との積層体である壁紙基材を、基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)及び接着層(C)を有する本発明の積層体と貼り合わせることにより得ることができる。壁紙基材は、例えば樹脂層(D)の構成成分を支持体(E)の上にカレンダー法、コーティング法などにて積層することにより得ることができる。上記壁紙基材と積層体との貼り合わせは、熱ラミネーション等の公知の方法によって行うことができる。なお、本発明の壁紙には、エンボス加工等が施されていてもよい。
(壁構造体)
前記壁紙及び壁本体を有する壁構造体、及び前記壁紙と前記壁本体との間に介在し、熱可塑性樹脂(b)を含有する中間層(F)を有する壁構造体もまた、本発明の好適な態様の一つである。ここで壁本体とは、マンション、木造住宅、オフィスビル等の建築物における一般的な壁である。壁本体の材質は、モルタル、コンクリート、石膏ボード、漆喰、木材等、特に限定されない。前記壁紙と壁本体との間に介在する中間層(F)は、通常、シーラー、下塗り塗料などと呼ばれる塗料により形成される層である。中間層(F)が前記壁紙と壁本体との間に介在することで、本発明の壁紙が壁本体のpHの影響を受けにくくなる傾向にある。
中間層(F)が含有する熱可塑性樹脂(b)としては、特に限定されないが、壁本体のpHの影響を受けにくくなる傾向となる観点から、アクリル系樹脂及びオレフィン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸又はその誘導体に由来する単量体単位を含む重合体をいい、単独重合体であっても共重合体であってもよく、例えばポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
オレフィン系樹脂とは、オレフィン単位を含む重合体をいい、オレフィンの単独重合体(非変性のポリオレフィン)であっても、他の単量体との共重合体であってもよい。オレフィン系樹脂(ポリオレフィン)としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
中間層(F)における熱可塑性樹脂(b)の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
本発明の壁構造体は、例えば、壁本体の表面に塗工により中間層(F)を形成し、この中間層(F)の表面に前記壁紙を、公知の接着剤を用いて貼り合わせることによって得ることができる。この際、前記壁紙の支持体(E)側を中間層(F)と貼り合わせ、前記壁紙の基材層(A)が表面に露出するように貼り合わせることが好ましい。
図4に、本発明の一態様である壁構造体40を示す。壁構造体40は、図3の壁紙30、壁本体41、及び壁紙30と壁本体41との間に介在する中間層42を有する。この壁構造体40の壁紙30においては、基材層11(図4においては図示しない)が表面に露出するように配される。すなわち、壁紙30における支持体31側の面が、中間層42を介して壁本体41に貼り合わされる。
本発明の壁構造体は、前記壁紙を用いているため外観の劣化が抑制される。特に本発明の壁構造体は、前記壁紙と壁本体との間に中間層(F)を介在させているため、例えば壁本体中のコンクリートや石膏ボードから溶出するアルカリ成分が、前記壁紙のアルミニウム蒸着層(B)まで移行することを抑制でき、アルミニウム蒸着層(B)の溶解が抑制され、意匠性の低下を抑制できる。
以下に、実施例等によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって何ら限定されない。なお、実施例及び比較例における各測定及び評価は、以下の(1)〜(7)の方法によって実施した。
(1)アルミニウム蒸着層の平均厚み測定
実施例及び比較例で得られた積層体をミクロトームで積層方向にカットし断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡(エス・アイ・アイナノテクノロジー社の「ZEISS ULTRA 55」)の反射電子検出器を用いて測定することでアルミニウム蒸着層の平均厚みを測定した。
(2)積層体の抽出液のpH測定
実施例及び比較例で得られた積層体(平面視における面積500cm)について、縦横各1cmになる様に複数に裁断した。上記面積500cmの積層体の全ての裁断片を100mLの三角フラスコ(以下三角フラスコ)に入れた。純水を50mLのホールピペットで三角フラスコに入れ、蓋をした。この三角フラスコを95℃に設定した湯煎器に入れ2時間加熱した。加熱後の三角フラスコを冷却後、内部の抽出液をろ過して積層体と分離し、ろ液を別の三角フラスコに入れた。得られたろ液をpHメーター(メトラートレド社の「MA235pH型」)で測定し、積層体の抽出液のpH値を得た。
(3)積層体の汚染除去性評価
実施例及び比較例で得られた積層体の基材層に油性の赤色インキ(三菱鉛筆社の「三菱マーカー」)を塗布し、24時間経過後にベンジンを付けたガーゼで拭き取った。また、醤油(キッコーマン社の「キッコーマン濃口醤油(商品名)」)を塗布し、24時間後に台所用合成洗剤(ライオン社の「ママレモン(商品名)」)で湿らせたガーゼで拭き取った。汚染除去性を下記のように評価した。
A:赤色インク及び醤油のいずれも全く汚れが残らなかった。
B:赤色インク及び醤油のいずれか一方又は両方で、気にならない程度の汚れが残った。
C:赤色インク及び醤油のいずれか一方又は両方で、明らかな汚れが残った。
(4)接着層の抽出液のpH測定
アルミニウム蒸着層の代わりに平滑なテフロン(登録商標)シートを用い、各実施例及び比較例に記載された材料、方法を用いてテフロン(登録商標)シート上に接着層を形成させた。得られた接着層を面積500cm相当分テフロン(登録商標)シートから剥離し、100mLの三角フラスコ(以下三角フラスコ)に入れた。純水を50mLのホールピペットで三角フラスコに入れ蓋をした。この三角フラスコを95℃に設定した湯煎器に入れ2時間加熱した。加熱後の三角フラスコを冷却後、内部の抽出液をろ過して接着層と分離し別の三角フラスコに入れた。得られたろ液をpHメーター(メトラートレド社製MA235pH型)で測定し、接着層の抽出液のpH値を得た。
(5)壁紙の外観評価
実施例及び比較例で得られた壁紙を40℃、90%RHの環境下に放置した。60日、120日及び180日経過後の外観を目視によって下記のように評価した。
A:均一に金属光沢を有しており、極めて良好な外観であった。
B:斑点状に金属光沢が欠損している箇所が認められ、外観の変化が認められた。
C:著しく斑点状の欠損が認められた。
(6)壁紙の可塑剤移行評価
実施例及び比較例で得られた壁紙の基材層面に可塑剤非含有ポリ塩化ビニルフィルム(6cm×6cm、平均厚み70μm)を密着させ、このポリ塩化ビニルフィルムに3kgの荷重を加えた。この状態のまま70℃の条件下で7日間放置した。この後、可塑剤非含有ポリ塩化ビニルフィルムを剥がし、基材層表面のベタツキを観察することで可塑剤の移行滲出の程度を下記のように評価した。
A:基材層表面を手で触るとベタツキを感じなかった。
B:基材層表面を手で触ると微かにベタツキを感じた。
C:基材層表面を手で触ると明らかにベタツキを感じた。
(7)壁構造体の外観評価
得られた壁構造体を40℃、90%RHの環境下に放置し、60日経過後の外観を目視によって下記のように評価した。
A:均一に金属光沢を有しており、極めて良好な外観であった。
B:斑点状に金属光沢が欠損している箇所が認められ、外観の変化が認められた。
[実施例1]
<1>基材層として、2軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(クラレ社の「エバール(登録商標)EF−XL」、エチレン単位含有量32mol%、平均厚み15μm)を準備した。バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA−105」)を用い、アルミニウムを溶融及び蒸発させることで、基材層の一方の面にアルミニウム蒸着層を形成した。
<2>0.5gの硬化剤(三井武田ケミカル社の「タケネートWD725」)に脱イオン水25gを添加し、よく撹拌してエマルジョン化した。これに、水系ウレタン樹脂(三井武田ケミカル社の「タケラックW605」)を0.5g添加し、マグネティックスターラーを用いて撹拌して、接着剤の水分散液を得た。この水分散液を、バーコーターを用いて、上記<1>で形成したアルミニウム蒸着層の表面に塗布し、80℃の乾燥機で1分間乾燥した。乾燥後の接着層前駆体の平均厚みは0.3μmであった。
<3>エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(住化ケムテックス社の「スミカフレックス830」固形分50%)10gを20gの脱イオン水で希釈し、均一になるまで撹拌し、接着剤とした。この接着剤を、バーコーターを用いて、上記接着層前駆体の表面に塗布し、80℃の乾燥機で3分間乾燥し、上記<2>の接着層前駆体とあわせての接着層を形成した。これにより、基材層、アルミニウム蒸着層、及び接着層をこの順に有する積層体を得た。乾燥後の接着層の平均厚みは3.3μmであった。なお、上記(4)の方法で測定した接着層の抽出液のpHは6.8であった。得られた積層体を用いて、アルミニウム蒸着層の平均厚み測定、積層体の抽出液のpH測定及び積層体の汚染除去性評価をそれぞれ上記(1)〜(3)の方法で行った。なお、この積層体のアルミニウム蒸着層の平均厚みは、40nmであった。
<4>得られた積層体を、ナンカイテクナート社の非発泡塩化ビニル壁紙基材に熱ラミネートして壁紙を得た。なお、熱ラミネートは、ホットプレス試験機を用い、圧力1kgf/cm、温度130℃、加熱時間1秒の条件で行った。また、上記非発泡塩化ビニル壁紙基材は、塩化ビニルの非発泡の樹脂層が紙に積層された構造を有するものであった。さらに、塩化ビニルの非発泡樹脂層には、可塑剤が含まれていた。この樹脂層と積層体の接着層とが接触するように積層体と壁紙基材とを重ね合わせ、上記熱ラミネートを行った。得られた壁紙を用いて、壁紙の外観評価及び可塑剤移行評価をそれぞれ上記(5)及び(6)の方法で行った。
[実施例2]
実施例1の<1>において、基材層として、無延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(クラレ社の「エバール(登録商標)EF−F」、エチレン単位含有量32モル%、平均厚み15μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例3および4]
アルミニウム蒸着層の平均厚みを、それぞれ20nm、80nmとしたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例5]
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に8×10−6gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例6]
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に5×10−6gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例7]
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり1×10−5gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例8]
実施例1の<1>において、基材層として、アルミニウム蒸着層を積層する面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム(東レ社の「ルミラー(登録商標)」、平均厚み12μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例9]
実施例1の<1>において、基材層として、アルミニウム蒸着層を積層する面にコロナ処理を施した無延伸ポリプロピレン(PP)フィルム(フタムラ化学社の「LG−LTH」、平均厚み25μm)を用いたこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[実施例10]
実施例1と同様に、基材層の一方の面にアルミニウム蒸着層を形成した。塩化ビニル成分を87モル%及び酢酸ビニル成分を13モル%含む塩化ビニル共重合体100質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート1.5質量部との塩化ビニル系共重合体組成物を、メチルエチルケトン:トルエン=1:1の混合溶媒に固形分濃度20質量%となるように溶解し、接着剤組成物を調製した。この後、直ちにこの接着剤組成物を、グラビヤコーターを用いて塗布量2g/m(固形分基準)となる様に上記アルミニウム蒸着層の表面に塗布した。これを70℃で4分乾燥し、積層体を得た。この積層体をロール上で、35℃で2日保存しイソシアネート基を消失させた。得られた積層体について実施例1と同様に評価を行った。また、得られた積層体を用いて、実施例1と同様に壁紙を作製し、評価を行った。なお、上記(4)の方法で測定した接着層の抽出液のpHは6.4であった。
[比較例1]
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり1.4×10−4gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[比較例2]
実施例1の<2>において、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に4×10−4gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[比較例3]
アルミニウム蒸着層を設けなかったこと以外は実施例1と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。但し、壁紙の外観評価は、金属光沢を有さないため行わなかった。
[比較例4]
実施例8において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり2.2×10−4gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例8と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[比較例5]
実施例8において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に8×10−4gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例8と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[比較例6]
実施例9において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLあたり1.1×10−4gの塩化水素を含む塩酸水溶液を1mL添加したこと以外は実施例9と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
[比較例7]
実施例9において、実施例1の<2>に相当する手順にて、脱イオン水25gに加えて、1mLの脱イオン水に2×10−4gの水酸化ナトリウムを含む水溶液を1mL添加したこと以外は実施例9と同様に積層体及び壁紙を作製し、評価を行った。
実施例1〜10及び比較例1〜7の積層体及び壁紙の評価結果を表1に示す。
Figure 0006789870
表1に示されるように、抽出液pHが所定範囲である実施例1〜10においては、壁紙の外観評価が優れていた。また、基材層にEVOHを用いると汚染除去性が高まり、基材層にEVOHやPETを用いると可塑剤の移行量が抑えられた。
[実施例11]
壁本体として使用するモルタル上に、アクリル系樹脂(ヤヨイ化学工業社の「シーアップ」(商品名))をその3倍量の水で希釈した液を均一に塗布し、乾燥させて中間層を形成した。実施例1で得られた壁紙の壁紙基材側に、ヤヨイ化学工業社の「ルーアマイルド」(商品名)、ヤヨイ化学工業社の「ブラゾールSS」(商品名)及び水を質量比9:1:6で混合した接着剤液を均一に塗布した。この壁紙を上記中間層上に貼り付け、目的とする壁構造体を得た。得られた壁構造体について、上記(7)の方法にて外観評価を行った。
[実施例12]
壁本体として石膏ボードを用いたこと以外は実施例11と同様に壁構造体を作製し、外観評価を行った。
[実施例13〜21]
実施例2〜10で作製した壁紙をそれぞれ用いたこと以外は実施例11と同様に壁構造体を作製し、外観評価を行った。
[参考例1〜10]
中間層を形成することなく、壁本体上に実施例1〜10で得られた壁紙をそれぞれ貼り付けたこと以外は実施例11と同様に壁構造体を作製し、外観評価を行った。
実施例11〜21及び参考例1〜10の壁構造体の評価結果を表2に示す。
Figure 0006789870
表2に示されるように、中間層を設けて壁紙を貼り合わせることで、壁構造体の外観が改善された。
本発明の積層体は、壁紙材料などとして好適に用いることができる。
10、20:積層体
11:基材層
12:アルミニウム蒸着層
13:接着層
14:樹脂層
30:壁紙
31:支持体
40:壁構造体
41:壁本体
42:中間層

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂(a)を含む基材層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、及び接着層(C)を有し、
    95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5.2以上8.6以下であり、
    熱可塑性樹脂(a)がビニルアルコール系樹脂であり、
    基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)の積層構造を有する、積層体。
  2. 基材層(A)が延伸されている、請求項1に記載の積層体。
  3. 接着層(C)を95℃の熱水に2時間浸漬処理した後の抽出液のpHが5.2以上8.5以下である、請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. さらに樹脂層(D)を有する、請求項1〜のいずれかに記載の積層体。
  5. 基材層(A)/アルミニウム蒸着層(B)/接着層(C)/樹脂層(D)の積層構造を有する、請求項に記載の積層体。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の積層体を有する壁紙。
  7. さらに支持体(E)を有する、請求項に記載の壁紙。
  8. 基材層(A)が最表面に位置する、請求項又はに記載の壁紙。
  9. 請求項のいずれかに記載の壁紙、壁本体、及び前記壁紙と前記壁本体との間に介在し、熱可塑性樹脂(b)を含む中間層(F)を有する壁構造体。
  10. 熱可塑性樹脂(b)がアクリル系樹脂又はオレフィン系樹脂である、請求項に記載の壁構造体。
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