JP2022131555A - 化粧板 - Google Patents

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正樹 中谷
Masaki Nakaya
学 加藤
Manabu Kato
耕作 田村
Kosaku Tamura
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Abstract

【課題】被着体(化粧板の施工部位)の材質に限定されず、安定的に被着体に固定することができ、被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損を防止することができる化粧板を提供すること。【解決手段】本発明の化粧板は、芯材層および化粧シートを含む化粧板本体と、被着体に吸着する吸着層とを有し、前記芯材層は、アルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含むものであり、前記化粧シートは、メラミン系樹脂を含む材料で構成されており、前記吸着層は、直径が300μm以下の凹部を複数個有し、かつ、弾性による復元割合が圧力解放10分後に70%以上95%以下の条件を満たすことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧板に関するものである。
ビル、ホテル、マンションのロビーや会議室、オフィスの壁面には、例えば木目調や石目調等の模様を持つ化粧板を複数壁に取り付けることで、見栄えの良い快適な空間が演出されている。また、このような化粧板は不動産だけでなく、電車等の車両用内装材としても使用されている(例えば、特許文献1参照)。
化粧板は、例えば、粘着剤、接着剤等を用いて壁等に取り付けることができる。しかしながら、このような方法で化粧板を取り付けると、化粧板を壁等の被着体から取り外す際に、被着体に損傷を生じたり、糊残りを生じることがある。
また、このような問題を回避するために、磁石を用いた化粧板を採用することが考えられる。しかしながら、このような場合、化粧板が取り付けられる壁の被着体が、鉄等の強磁性の材料で構成されている必要があり、それ以外の材料で構成されている場合には、適用することができない。また、被着体が鉄等の強磁性材料を含んでいても、例えば、その表面に被膜(塗装を含む)が設けられている場合等には、適用することができない場合があった。
特開2013-202906号公報
本発明の目的は、被着体(化粧板の施工部位)の材質に限定されず、安定的に被着体に固定することができ、被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損を防止することができる化粧板を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(3)の本発明により達成される。
(1) 芯材層および化粧シートを含む化粧板本体と、
被着体に吸着する吸着層とを有し、
前記芯材層は、アルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含むものであり、
前記化粧シートは、メラミン系樹脂を含む材料で構成されており、
前記吸着層は、直径が300μm以下の凹部を複数個有し、かつ、弾性による復元割合が圧力解放10分後に70%以上95%以下の条件を満たすことを特徴とする化粧板。
(2) 前記芯材層は、厚さが0.8mm以下の前記アルミニウムシートである上記(1)に記載の化粧板。
(3) 前記化粧板本体と前記吸着層との間に、粘着剤層を備えている上記(1)または(2)に記載の化粧板。
本発明によれば、被着体(化粧板の施工部位)の材質に限定されず、損傷・汚損を防止しつつ、安定的に被着体に固定することができる化粧板を提供することができる。
本発明の化粧板の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の化粧板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧板の他の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧板の他の好適な実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の化粧板について、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<<化粧板>>
化粧板は、ビル、ホテル、マンションのロビーやエレベーター、会議室、オフィス等の壁面に取り付けることで、空間の見栄えや快適性を向上させることができるものである。また、化粧板は、例えば、不動産だけでなく、電車等の車両や、飛行機、船舶等の内装材として使用されるものであってもよい。
図1は、本発明の化粧板の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。化粧板100は、使用時において、図1中の上側が観察者の視点側となるものである。
図1に示すように、化粧板100は、芯材層5および化粧シート1を含む化粧板本体10と、壁等の被着体(化粧板100の施工部位)に吸着する吸着層20とを備えている。
そして、芯材層5は、アルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含むものであり、化粧シート1は、メラミン系樹脂を含む材料で構成されている。
さらに、吸着層20は、直径が300μm以下の凹部を複数個有するとともに、弾性による復元割合が圧力解放10分後に70%以上95%以下の条件を満たす。
このような構成により、化粧板として求められる優れた審美性、耐久性等を発揮しつつ、被着体(化粧板の施工部位)の材質に限定されず、安定的に被着体に固定することができ、かつ、被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損を防止することができる化粧板を提供することができる。特に、被着体の表面に比較的大きな凹凸が存在する場合(例えば、被着体の表面粗さRaが比較的大きい場合)でも、化粧板を安定的に被着体に固定することができる。
特に、芯材層5が、アルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含むものであることにより、化粧板100の反りを好適に抑制することができ、化粧板100をより安定的に被着体に固定することができる。
また、化粧シート1が、メラミン系樹脂を含む材料で構成されたものであることにより、化粧板100表面への傷付き等をより効果的に防止することができる。
なお、本発明において、「復元割合」とは、吸着層の法線方向から圧力をかけて吸着層が初期の厚みの60%以下になるまで圧縮し、圧力解放から所定時間経過した時点での厚みの、初期の厚みに対する割合のことを言う。
これに対し、上記のような条件を満足する吸着層を備えていないと、上記のような優れた効果は得られない。
例えば、吸着層が凹部を有していない場合、被着体に対する吸着する能力(凹部内が減圧状態となることによる吸着する能力)が発揮されない。
また、吸着層が凹部を有していたとしても、その大きさが比較的大きく、直径が300μmを超える凹部しか有していない場合には、被着体に対する吸着する能力が十分に得られない。特に、被着体の表面に比較的大きな凹凸が存在する場合(例えば、被着体の表面粗さRaが比較的大きい場合)に、被着体に対する吸着する能力が著しく低下する。
また、吸着層についての圧力解放10分後の復元割合が前記下限値未満であると、被着体に対する吸着する能力が十分に得られない。特に、被着体の表面に比較的大きな凹凸が存在する場合(例えば、被着体の表面粗さRaが比較的大きい場合)に、被着体に対する吸着する能力が著しく低下する。また、被着体から化粧板を取り外した際に、糊残り等の問題がより生じやすくなる。
また、吸着層についての圧力解放10分後の復元割合が前記上限値を超えると、被着体に対する吸着する能力が十分に得られない。
また、例えば、化粧板がアルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含む芯材層を備えていない場合(例えば、芯材層がフェノール樹脂含浸紙等で構成されている場合等)には、化粧板の反りを好適に防止することが困難となり、化粧板と被着体との密着性が低下する。
また、化粧板がメラミン系樹脂を含む材料で構成された化粧シートを備えていない場合、化粧板表面への傷付き等を十分に防止することが困難となる。
<化粧板本体>
化粧板本体10は、化粧シート1と、コア材(芯材層)5とを備えている。
(化粧シート)
化粧シート1は、化粧板100の外観に大きな影響を与える部位である。
本実施形態では、化粧シート1は、シート基材11と、硬質樹脂材料で構成されたコート層(硬質樹脂層)12とを備えている。
シート基材11は、コート層12を支持する機能を有するものである。
シート基材11には、印刷が施されていてもよい。
これにより、化粧板100の審美性(美的外観)を容易かつ確実に優れたものとすることができる。
印刷は、いかなるパターンで設けられたものであってもよいが、通常、需要者の要求等に応じて決定されたものである。印刷のパターンとしては、例えば、木目調、石材調、筋目加工、各種幾何学模様等が挙げられる。
シート基材11の構成材料は、特に限定されず、例えば、パルプ、リンター、合成繊維、ガラス繊維、金属等を用いることができる。また、必要に応じて、酸化チタン等の顔料を含有する酸化チタン含有化粧紙等を用いることができる。
シート基材11が酸化チタンを含有するものであると、シート基材11に設けられた印刷部の発色性をより優れたものとすることができ、化粧板100の審美性をより優れたものとすることができる。また、化粧板100の難燃性(不燃性)をより優れたものとすることができる。
また、シート基材11は、樹脂材料や金属材料で構成されたフィルムであってもよい。当該フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、各種熱可塑性樹脂、硬化性樹脂材料の硬化物等を用いることができる。フィルムを構成する樹脂材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン(COP)、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
なお、シート基材11は、前述した以外の成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、フィラー、紫外線吸収剤、可塑剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、消泡剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
また、シート基材11は、織物で構成されたものではないのが好ましい。これにより、化粧板100の表面の平滑性をより優れたものとすることができ、化粧板100の審美性をより優れたものとすることができる。
シート基材11の坪量は、特に限定されないが、40g/m以上150g/m以下であることが好ましい。
坪量が前記下限値未満であると、シート基材11が樹脂(例えば、コート層12を構成する硬質樹脂材料や接着剤等)を吸収するものである場合において、シート基材11に樹脂を含浸させる工程での切れ、しわの問題から、塗工処理が困難となり、さらに、シート基材11の両面それぞれに担持させる樹脂含浸量を調整することが困難になる可能性がある。
一方、坪量が前記上限値を超えると、シート基材11が樹脂を吸収するものである場合において、シート基材11が担持する樹脂の含浸量にムラが生じ易くなり、化粧板100の柔軟性を低下させるとともに、生産性低下、コスト高の原因となる場合がある。
シート基材11の厚さは、特に限定されないが、10μm以上500μm以下であるのが好ましく、20μm以上300μm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧板100の薄型化を図りつつ、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の加工性、耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
シート基材11の少なくとも外表面側の面(化粧板100が設置された状態(使用状態)での観察者の視点側の面)である第1の面111側には、硬質樹脂材料で構成されたコート層(硬質樹脂層)12が設けられている。
このようなコート層12が設けられていることにより、化粧板100の耐擦傷性(傷の付き難さ)、防汚性(汚れの付き難さ、汚れの除去のし易さ)等を優れたものとすることができる。
また、コート層12を構成する硬質樹脂材料は、一般に、透明性の高いものである。これにより、シート基材11の外観を化粧板100全体の外観に好適に反映させることができる。
コート層12は、化粧板100の審美性を十分に優れたものとすることができる程度(シート基材11が化粧板100の外観に影響を与える程度)の光透過性(透明性)を有するものであればよいが、コート層12についての380nm以上780nm以下の範囲の各波長についての光の透過率は、80%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのがさらに好ましい。
これにより、化粧板100の審美性をより優れたものとすることができる。
コート層12は、その表面(化粧板100が設置された状態(使用状態)での観察者の視点側の面)のマルテンス硬度(マルテンス硬さ)が200N/mm以上800N/mm以下であるのが好ましく、300N/mm以上700N/mm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧板100を特に傷が付き難いものとすることができる。
これに対し、コート層12の表面のマルテンス硬度が前記下限値未満であると、コート層12の耐擦性等が低く、傷が付き易いものとなる。
また、コート層12の表面のマルテンス硬度が前記上限値を超えると、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の加工性が低いものとなる可能性がある。
本実施形態において、コート層12は、メラミン系樹脂を含む材料で構成されている。
これにより、化粧板100は、適度な弾性、剛性を有し、取扱い性(取り扱いのしやすさ)が特に優れたものとなる。また、メラミン系樹脂は、各種硬質樹脂材料の中でも、特に高い表面硬度を有し、耐擦傷性、防汚性に特に優れているため、化粧板100の審美性、耐久性のさらなる向上の観点からも好ましい。
メラミン系樹脂は、構成成分としてメラミン化合物とアルデヒド化合物とを含む樹脂である。
メラミン化合物は、1,3,5-トリアジン骨格を有する化合物で、トリアジン環に3つのアミノ基が導入された化合物である。
メラミン化合物の好ましい構造としては、例えば、下記式(3)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2022131555000001
(式(3)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数が1以上4以下の炭化水素基である。)
メラミン化合物としては、特に、式(3)のR、RおよびRがいずれも水素原子である化合物(メラミン)が好ましい。
これにより、化粧板100の硬度をより優れたものとすることができる。また、化粧板100を構成するメラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
アルデヒド化合物は、分子内にアルデヒド基(-CHO)を有するものであればよく、下記式(2)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2022131555000002
(式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数が1以上10以下の炭化水素基である。)
アルデヒド化合物としては、特に、ホルムアルデヒドが好ましい。
これにより、化粧板100の硬度をより優れたものとすることができる。また、化粧板100を構成するメラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
メラミン系樹脂は、構成成分としてメラミン化合物およびアルデヒド化合物を含むものであればよいが、メラミン化合物およびアルデヒド化合物に加え、さらにグアナミン化合物を構成成分として含むものであってもよい。
これにより、化粧板100の硬度を十分に優れたものとしつつ、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の加工性を特に優れたものとすることができる。
グアナミン化合物は、1,3,5-トリアジン骨格を有する化合物で、トリアジン環に2つのアミノ基が導入された化合物である。
グアナミン化合物の好ましい構造としては、例えば、下記式(1)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2022131555000003
(式(1)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数が1以上10以下の炭化水素基である。)
グアナミン化合物としては、特に、式(1)のRがメチル基である化合物(アセトグアナミン)が好ましい。
これにより、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の硬度および加工性をより高いレベルで両立することができる。また、化粧板100を構成するメラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
メラミン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、メラミン系化合物とアルデヒド系化合物を中性または弱アルカリ下において反応させて得られるもの等を用いることができる。
メラミン系化合物に対するアルデヒド系化合物の反応モル比((アルデヒド系化合物のモル量)/(メラミン系化合物のモル量)の値であり、以下、単に「反応モル比」ということがある。)は、特に限定されないが、1.0以上4.0以下であるのが好ましく、1.0以上2.0以下であるのがより好ましく、1.1以上1.8以下であるのがさらに好ましい。
反応モル比が前記下限値未満であると、未反応成分が増加し保存性低下、コスト高となる場合がある。
また、前記上限値を超えると、硬化後の樹脂の柔軟性低下が著しくなる場合がある。
なお、メラミン系樹脂としては、1種類が単独で含まれるものを用いることもできるし、反応モル比や重量平均分子量等が異なる2種類以上のメラミン系樹脂を混合して含むものを用いることもできる。
また、メラミン系樹脂としては、例えば、住友化学(株)製のメラミン系樹脂等、市販のものを用いることもできる。
なお、コート層12中には、前述した以外の成分が含まれていてもよい。
このような成分としては、例えば、無機充填剤、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、フィラー、紫外線吸収剤、可塑剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、消泡剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
コート層12中におけるメラミン系樹脂(硬質樹脂材料)の含有率は、特に限定されないが、80質量%以上100質量%以下であるのが好ましく、95質量%以上100質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
コート層12の厚さは、特に限定されないが、1μm以上60μm以下であるのが好ましく、3μm以上50μm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の耐擦傷性、防汚性を特に優れたものとしつつ、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の曲げ加工性等も特に優れたものとすることができる。
また、コート層12の外表面(化粧板100が設置された状態(使用状態)での観察者の視点側の面)側には、鏡面仕上げ、エンボス仕上げ等の表面仕上げが施されていてもよい。
これにより、化粧板100の審美性のさらなる向上を図ることができる。
また、コート層12は、その一部がシート基材11中に埋入(含浸)していてもよい。
これにより、化粧板100の耐久性を向上させることができる。
また、コート層12の一部がシート基材11中に埋入している場合、コート層12の一部は、シート基材11の第1の面111とは反対の面である第2の面112側に存在していてもよい。
化粧シート1の厚さは、特に限定されないが、11μm以上550μm以下であるのが好ましく、23μm以上350μm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧板100の薄型化を図りつつ、化粧板100(化粧板本体10、化粧シート1)の加工性、耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
(コア材)
本実施形態の化粧板100では、化粧板本体10は、化粧シート1よりも吸着層20側に、コア材(芯材層)5を備えている。
これにより、化粧板100の形状の安定性、耐熱性、耐久性が特に優れたものとなる。
コア材(芯材層)5は、アルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含むものである。
コア材(芯材層)5がアルミニウムシートである場合、その厚さは、0.8mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上0.7mm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧板100全体としての取り扱いのしやすさをより優れたものとしつつ、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
ガラス繊維を含む芯材層5としては、特に限定されず、例えば、ガラスクロス、ガラス不織布等が挙げられ、中でも不燃性、強度の点からガラスクロスが好ましい。
ガラスクロスとしては、特に限定されず、例えば、平織、綾織、朱子織、からみ織、模紗織、斜紋織、二重織等が挙げられ、中でも材料コストと加工性の面から平織のガラスクロスが好ましい。
また、ガラスクロスを構成するガラスとしては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。
これらの中でもTガラスを用いた場合、ガラスクロスの熱膨張係数を小さくすることができる。また、Eガラスを用いた場合、十分な機能を確保しつつ、化粧板100の生産コストをより低いものとすることができる。
ガラスクロスの重量は、特に限定するものではないが、建築基準法第2条第9号の不燃性適合要件である「燃焼後の亀裂・貫通があってはならない」を満たす必要がある場合は、坪量80g/m以上とすることが好ましい。また、重量の上限は特に制約を必要としないが、材料コストと加工性の面から坪量250g/m以下が好ましい。
また、芯材層5は、前述したようなガラス材料を基材とするプリプレグであってもよい。
これにより、化粧板100の耐熱性、剛性等を特に優れたものとすることができる。
プリプレグとしては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を含有する樹脂組成物を上述のガラスクロスに含浸してなるものを用いることができる。
プリプレグ中に含まれる樹脂組成物の含有量は、化粧シート1との層間接着強度が、化粧板100を形成するために十分であれば、特に限定されないが、樹脂組成物として熱可塑性樹脂を用いる場合は、プリプレグ中に固形分で1質量%以上20質量%以下含有することが好ましく、1質量%以上10質量%以下含有することがより好ましい。また、樹脂組成物として熱硬化性樹脂を用いる場合は、プリプレグ中に固形分で1質量%以上20質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上10質量%以下含有することがより好ましい。これにより、化粧シート1と芯材層5との層間接着強度を向上させることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。中でも、アクリル樹脂および/またはウレタン樹脂を用いるのが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ユリア樹脂、マレイミド樹脂等が挙げられる。中でも、不燃性、耐熱性、密着性の観点からフェノール樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独または混合して用いることができる。
プリプレグは、従来公知の方法により製造することができ、例えば、上述したガラスクロスと同様のガラスクロスに、樹脂を溶剤に溶解させたワニスを含浸、乾燥させることにより得られる。
また、芯材層5は、複数の層が積層されたものであってもよい。
芯材層5の厚さは、100μm以上であるのが好ましい。
これにより、化粧板100に充分な耐熱性、不燃性を付与することができる。また、厚みの上限については、特に限定されないが、厚みが大きいほど化粧板100の厚みと重量が増大するとともに、コストもかさむため、最終的な製品における設計上、許容される範囲で設定することが好ましく、500μm以下にすることがより好ましい。
化粧シート1と芯材層5との間には、これらを接合する機能を有する接着層(図示せず)が設けられていてもよい。
これにより、化粧シート1と芯材層5との密着性を向上させることができ、化粧板100の耐久性を向上させることができる。また、化粧板100の製造条件(温度、圧力等)を比較的穏やかなものとすることができ、化粧板100の構成材料の不本意な劣化等を効果的に防止し、化粧板100の信頼性を向上させることができるとともに、生産設備、生産コスト、省エネルギー等の観点からも有利である。また、化粧板100の製造をより容易に行うことができ、化粧板100の生産性の向上を図ることができる。
接着層を構成する接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリイミドアミドエーテル、ポリエステルイミド、ポリイミドエーテル等の熱可塑性ポリイミド系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)、ポリ酢酸ビニル(VA)、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)系接着剤等が挙げられる。
また、接着層は、熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分であってもよい。
これにより、化粧シート1と芯材層5との密着性を特に優れたものとすることができ、化粧板100の耐久性を特に優れたものとすることができるとともに、化粧板100(化粧板本体10)の加工性を特に優れたものとすることができる。
以下の説明では、接着層が熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分を含むものである場合について、中心的に説明する。
なお、本明細書中おいて、熱可塑性樹脂エマルジョンとは、熱可塑性樹脂が溶剤に分散してエマルジョン状態となったものである。
また、熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分とは、熱可塑性樹脂エマルジョンから溶剤を除いた成分を意味する。
熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分は、エマルジョン樹脂粒子として存在する成分を含み、各種材料(各種樹脂材料や着色剤等)との接着特性を有し、化粧板100に柔軟性を付与する。その結果、化粧シート1と芯材層5との密着性(接着強度)を向上させることができるとともに、化粧板100(化粧板本体10)の曲げ加工性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分は、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系共重合体、ウレタンアクリル複合粒子、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)等の熱可塑性樹脂のエマルジョン粒子が挙げられる。これらの中でもウレタンアクリル複合粒子が好ましい。
本明細書中において、ウレタンアクリル複合粒子とは、単一粒子内にアクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有するものを意味する。
ウレタン樹脂とアクリル樹脂とは、各々が芯材層5との接着強度が高いため、ウレタンアクリル複合粒子を用いることで、芯材層5との良好な接着強度を発現することができる。さらに、ウレタン樹脂は、特に強靭性、弾性、柔軟性に優れ、アクリル樹脂は、特に透明性、耐久性、耐候性、耐薬品性、造膜性に優れる。
また、本明細書中において「異相構造」とは、1個の粒子内に異なる種類の樹脂からなる相が複数存在する構造を意味し、例えば、コアシェル構造、局在構造、海島構造等が挙げられる。
また、接着層における複数個のウレタンアクリル複合粒子の配列状態は、特に限定されず、例えば、直鎖構造等が挙げられる。粒子の構造および粒子間の配列状態は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
前述した中でも、前記ウレタンアクリル複合粒子は、アクリル成分をコアとし、ウレタン成分をシェルとするコアシェル構造を有する水性クリヤータイプであることが特に好ましい。
ウレタンアクリル複合粒子が上記コアシェル構造であると、接着層の表面外郭がウレタン組成となるので、接着層は、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂の両方の特性を有しつつ、外郭にウレタン樹脂の特性が付与される。
なお、本明細書中において「水性クリヤー」とは、樹脂液は水溶性であり水分を除去した後の塗膜は非水性で、かつ下地の色柄が明らかに識別できる程の透明性を持つ樹脂水溶液を意味する。
前記ウレタンアクリル複合粒子が水性クリヤータイプであることにより、接着層が化粧板100の外観に悪影響を与えることをより効果的に防止、抑制することができる。
なお、熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分としては、前述した中の1種類が単独で含まれるものを用いることもできるし、異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を混合して含むものを用いることもできる。
また、熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分には、上記熱可塑性樹脂のエマルジョン粒子以外にも、必要に応じて少量の増粘剤、浸透促進剤、消泡剤等を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分は、平均粒径が30nm以上10μm以下のエマルジョン樹脂粒子を含むことが好ましく、前記エマルジョン樹脂粒子の平均粒径は、60nm以上5μm以下であることがより好ましい。
これにより、化粧シート1と芯材層5との密着性をより優れたものとしつつ、化粧板100の柔軟性をより優れたものとすることができる。
本発明において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径のことを指す。
ここで、粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-7000(島津製作所社製)を用いて、水中に対象粒子を1分間超音波処理することにより分散させ、測定することができる。
また、熱可塑性樹脂エマルジョンの固形分は、非水溶性であることが好ましい。
これにより、化粧板100の製造時に、熱可塑性樹脂エマルジョンとして水を分散媒として含むものを好適に用いることができる。これにより、化粧板100の生産コストの低減や環境への負荷の低減等を図ることができる。
なお、本明細書において、非水溶性とは、25℃における水に対する溶解度が、0.5g/100g水未満のもののことをいい、水溶性とは、25℃における水に対する溶解度が、0.5g/100g水以上のもののことをいう。
<吸着層>
吸着層20は、壁等の被着体(化粧板100の施工部位)に接触し、吸着する部位である。
前述したように、吸着層20は、直径が300μm以下の凹部を複数個有するとともに、弾性による復元割合が圧力解放10分後に70%以上95%以下の条件を満たす。
このような構成により、化粧板として求められる優れた審美性、耐久性等を発揮しつつ、被着体の材質に限定されず、被着体の損傷・汚損を防止しつつ、安定的に被着体に固定することができる化粧板を提供することができる。特に、被着体の表面に比較的大きな凹凸が存在する場合(例えば、被着体の表面粗さRaが比較的大きい場合)でも、化粧板を安定的に被着体に固定することができる。
吸着層20による吸着力は、このように微細な凹部を有し、かつ、適度な柔軟性を有することにより発生するものである。より具体的には、吸着層20による吸着力は、凹部が通気性のない被着体表面に圧着されると、凹部と被着体表面によって形成される密閉空間が減圧状態となることにより発生する吸引力である。
上記のように、吸着層20についての圧力解放10分後の復元割合は、70%以上95%以下であればよいが、70%以上90%以下であるのが好ましく、70%以上80%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、吸着層20は、直径が300μm以下の凹部を複数個有しているが、好ましくは、主として直径が100μm以下の凹部を有しており、直径が5μm以上50μm以下の凹部が、吸着層20の表面(被着体に接触する側の面)に設けられた全凹部のうち個数で90%以上を占めているのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
また、吸着層20の表面(被着体に接触する側の面)における凹部の密度は、1万個/cm以上9万個/cm以下であるのが好ましい。
これにより、被着体に対する化粧板100の密着性を向上させることができ、より安定的に化粧板を被着体に固定することができるとともに、被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損をより効果的に防止することができる。
吸着層20では、表面(被着体に接触する側の面)に設けられた凹部が、当該凹部の大きさ(直径)よりも大きな内部の空孔に連続し、該内部の空孔は他の空孔と細径管にて連続した構造を有しているのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
吸着層20は、JIS Z0237に規定された試験板(アセトンによる洗浄が施されたもの)を被着体として用いた場合における、平面引きはがし粘着力が、5N/400mm以上であるのが好ましく、10N/400mm以上であるのがより好ましく、20N/400mm以上40N/400mm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、被着体に対する化粧板100の密着性を向上させることができ、より安定的に化粧板を被着体に固定することができる。
また、吸着層20の被着体(化粧板100の施工部位)に接触する側の表面におけるタック力は、1N以上30N以下であるのが好ましく、3N以上20N以下であるのがより好ましく、3N以上10N以下であるのがさらに好ましい。
これにより、化粧板100をより安定的に被着体に固定することができるとともに、かつ、化粧板100を被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損をより効果的に防止することができる。
吸着層20のタック力としては、例えば、0.5kgのテスター(SHIMPO社製)のプローブ(直径12mmのSUS304)をサンプルの測定面に密着させ100mm/分程度の速度で引きはがした時の値を採用することができる。
吸着層20の空隙率(空孔率)は、20体積%以上80体積%以下であるのが好ましく、30体積%以上75体積%以下であるのがより好ましく、40体積%以上70体積%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、化粧板100をさらに安定的に被着体に固定することができるとともに、かつ、化粧板100を被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損をさらに効果的に防止することができる。
吸着層20の構成材料は、特に限定されないが、吸着層20は、樹脂材料および可塑剤を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、前述したような条件を満たす吸着層20をより容易に形成することができる。
吸着層20を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂等が挙げられる。
このような樹脂材料を含むことにより、吸着層20、化粧板100の耐久性をより向上させることができるとともに、前述したような条件を満たす吸着層20をより容易に形成することができる。
吸着層20中における樹脂材料の含有率は、50質量%以上96質量%以下であるのが好ましく、55質量%以上95質量%以下であるのがより好ましく、60質量%以上94質量%以下であるのがさらに好ましい。
吸着層20を構成する可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジノルマルアルキル、アジピン酸ジアルキル等のアジピン酸エステル、トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル、アゼライン酸ジオクチル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル、リン酸トリクレジル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル等のアセチルクエン酸エステルや、トリアセチン、エポシキ化大豆油、ポリエステル系、塩素化パラフィン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸着層20中における可塑剤の含有率は、4質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、5質量%以上35質量%以下であるのがより好ましく、6質量%以上30質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、吸着層20、化粧板100の耐久性をより向上させることができるとともに、前述したような条件を満たす吸着層20をより容易に形成することができる。
また、吸着層20は、上記以外の成分を含んていてもよい。
このような成分としては、例えば、着色剤、スリップ剤(レベリング剤)、フィラー、紫外線吸収剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)、起泡剤、整泡剤等が挙げられる。
吸着層20の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上400μm以下であるのがより好ましく、150μm以上350μm以下であるのがさらに好ましい。
<粘着剤層>
本実施形態の化粧板100では、化粧板本体10と吸着層20との間に、粘着剤層30を備えている。
これにより、化粧板本体10と吸着層20とを容易かつ確実に接合することができる。また、施工時に化粧板100が湾曲する場合等であっても、化粧板本体10と吸着層20とが不本意に分離してしまうこと等をより効果的に防止することができ、化粧板100の耐久性を向上させることができる。
粘着剤層30を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
粘着剤層30の厚さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、20μm以上300μm以下であるのが好ましく、50μm以上150μm以下であるのがより好ましく、70μm以上120μm以下であるのがさらに好ましい。
化粧板100は、全体厚さ(平均厚さ)が0.1mm以上2mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1.2mm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧板100は、十分な強度を有しつつ、加工性、取り扱い性が特に優れたものとなる。
<<化粧板の製造方法>>
次に、化粧板の製造方法について説明する。
図2は、本発明の化粧板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
本実施形態の製造方法では、まず、硬化性樹脂(例えば、メラミン系樹脂等)の未硬化物を含む材料で構成された第1の層1’を形成する(図2(1a)参照)。第1の層1’は、前述した化粧シート1となる層である。
特に、本実施形態では、第1の層1’は、シート基材11を含み、当該シート基材11の一方の面(意匠面となる側の面)に、例えば、メラミン系樹脂等の硬化性樹脂12’を含有する樹脂を担持させ(付与工程)、他方の面に前述したようなエマルジョンの固形分(図示せず)を担持させることにより形成されたものである。
硬化性樹脂(例えば、メラミン系樹脂等)を含有する樹脂をシート基材11に担持させる方法としては、例えば、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を、スプレー装置、シャワー装置、キスコーター、コンマコーター等の公知の装置を用いて付与する方法等が挙げられる。
エマルジョンの固形分をシート基材11に担持させる方法としては、例えば、エマルジョンを、スプレー装置、シャワー装置、キスコーター、コンマコーター等の公知の装置を用いて付与する方法等が挙げられる。
次に、別途用意した難燃性の繊維シートを含む材料またはアルミニウムシートで構成された基体5’を、第1の層1’の硬化性樹脂(例えば、メラミン系樹脂等)を含有する樹脂組成物が付与された側の面と対向するように配置する(図2(1b)参照)。基体5’は、前述したコア材5となる層である。
次に、第1の層1’と基体5’とを接触させた状態で加熱する。これにより、第1の層1’と基体5’とが熱圧着し、化粧シート1とコア材5とを有する化粧板本体10が得られる(図2(1c)参照)。また、この加熱により、第1の層1’中に含まれる硬化性樹脂(例えば、メラミン系樹脂等)を含有する樹脂組成物が重合・硬化する(硬化工程)。これにより、化粧板100の硬度、耐久性は、特に優れたものとなる。
また、上記の加熱の条件は、特に限定されないが、加熱温度130℃以上150℃以下、圧力2MPa以上8MPa以下で行うのが好ましい。また、加熱時間は、10分間以上60分間以下であるのが好ましい。
また、化粧板本体10の成形時に、第1の層1’の表面(基体5’と対向する面とは反対の面)側に、鏡面仕上げ板を重ねることにより鏡面仕上げとすることができる。
その後、粘着剤層30を介して、化粧板本体10と、別途用意した吸着層20とを接合することにより、化粧板100が得られる(図2(1d)参照)。
化粧板本体10と吸着層20との接合は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、化粧板本体10、吸着層20の少なくとも一方に、粘着剤またはその前駆物質を含む組成物を付与した後に、当該組成物を介して、化粧板本体10と吸着層20とを接触させ、さらに、その状態で加熱することにより、化粧板本体10と吸着層20とを接合させることができる。また、粘着剤層30形成用の組成物が粘着剤の前駆物質を含む場合、当該処理により、架橋反応、硬化反応等を効果的に進行させることができる。
粘着剤層30の形成に用いる組成物は、粘着剤やその前駆物質以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、溶媒等が挙げられる。
粘着剤層30は、例えば、浸漬法(ディッピング)、スプレー法、キスコーター、コンマコーター、ロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター等の各種コーターを用いたコート法、各種印刷法等の各種方法により、粘着剤層形成用の組成物を目的の部位に付与することにより、好適に形成することができる。
吸着層20としては、以下のようにして形成したものを用いることができる。
すなわち、吸着層20は、樹脂材料またはその前駆物質(例えば、プレポリマー等)と、可塑剤とを含みかつ気泡を含有する気泡含有液を、離型性を有する支持体(例えば、離型シート)上に付与し、その後乾燥することにより、形成することができる。この場合、支持体上に形成された状態の吸着層20を粘着剤層30に密着させ、その後、支持体を除去することにより、被着体に取り付け可能な状態の化粧板100が得られる。なお、化粧板100の保管時、輸送時等には、支持体により、吸着層20を保護した状態にしておいてもよい。
気泡含有液中における可塑剤の含有率は、特に限定されないが、2質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、2.5質量%以上18質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以上15質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、吸着層20は、樹脂材料またはその前駆物質(例えば、プレポリマー等)を含む気泡含有液を、離型性を有し、少なくとも表面付近に可塑剤を含む支持体(例えば、離型シート)上に付与し、その後乾燥することにより、形成することができる。このような方法を採用した場合、可塑剤が気泡含有液に移行し、樹脂材料および可塑剤を含む吸着層20を好適に形成することができる。このような方法を採用する場合、支持体上に付与される気泡含有液は、可塑剤を含んでいてもよいし、可塑剤を含んでいなくてもよい。支持体上に付与される気泡含有液が可塑剤を含んでいる場合に当該方法を適用することにより、吸着層20全体に可塑剤を含ませつつ、吸着層20の厚さ方向に可塑剤の含有率が異なる領域を好適に形成することができる。また、原料として用いる気泡含有液中における可塑剤の含有率を比較的低くすることができるため、例えば、可塑剤の組成等により、気泡含有液中における可塑剤の含有率を高くすることが困難な場合(例えば、可塑剤の溶解性が低い場合等)であっても、形成される吸着層20中における可塑剤の含有率を十分に高くすることができる。
気泡含有液は、樹脂材料またはその前駆物質と、可塑剤とを含みかつ気泡を含有していればよいが、水溶性の樹脂材料と水溶性の可塑剤を含んでいるのが好ましい。
また、気泡含有液は、液体成分(特に、樹脂材料またはその前駆物質と可塑剤とを溶解する溶媒)として、有機溶媒等を含むものであってもよいが、水を含んでいるのが好ましい。
これにより、気泡含有液の調製や吸着層20からの液体成分の除去が容易であり、吸着層20、化粧板100の生産性をより向上させることができる。
気泡含有液は、例えば、上記のような成分を含む液体に、機械的発泡機等を用いて、加圧空気を送り込むことにより調製することができる。
気泡の形成(発泡)は、例えば、発泡前の単位容積当たりの重量を発泡後の単位容積当たりの重量で除した数値が、1.2以上3以下となるように行うのが好ましい。
気泡含有液の支持体への付与は、例えば、キスコーター、コンマコーター、ロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター等の各種コーターを用いたコート法等により好適に行うことができる。
支持体は、吸着層20(気泡含有液)と接触する表面が、離型剤を含む材料で構成されているのが好ましい。
これにより、必要時に、化粧板100の破損(吸着層20の層間剥離や層内破壊等)を効果的に防止しつつ、支持体を化粧板100から容易に剥離することができる。
離型剤としては、例えば、フッ素系材料、シリコーン系材料等が挙げられる。
<コート層形成材用組成物>
以下、コート層12の形成に用いるコート層形成用組成物について詳細に説明する。
(硬質材料またはその前駆物質)
コート層12の形成に用いるコート層形成用組成物は、コート層12を構成する硬質材料および/またはその前駆物質を含むものである。
(溶剤)
コート層形成用組成物は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、例えば、コート層形成用組成物中において、硬質材料やその前駆物質を、溶解および/または分散させることができ、コート層形成用組成物の取り扱いのし易さ(取り扱い性)を向上させることができ、化粧板100の生産性を特に優れたものとすることができる。
コート層形成用組成物中に含まれる溶剤としては、極性溶媒を好適に用いることができ、具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。
中でも、溶剤としては、水を用いるのが好ましい。
これにより、例えば、コート層形成用組成物が硬質材料の前駆物質を含む場合に、硬質材料の前駆物質をコート層形成用組成物中に均一に溶解させることができるとともに、水素イオン指数(pH)の制御が容易で、コート層形成用組成物中での不本意な水素イオン指数(pH)のばらつきの発生を効果的に防止することができる。このようなことから、重合反応を好適に進行させることができる。
(その他の成分)
コート層形成用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種酸性物質、各種塩基性物質等の触媒、離型剤、重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、消泡剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
触媒としての塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
触媒としての酸性物質としては、例えば、酢酸、塩化水素、硫酸、硝酸や、イミドジスルホン酸ジアンモニウム等の潜在性酸触媒等が挙げられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述したものに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の化粧板は、図に示した化粧板100の形態に限定されず、機械的強度等を付与したい場合には、例えば、図3に示すように、芯材層5の下側にさらに支持層8を積層した構成としたものであってもよい。また、例えば、図4に示すように、意匠面側の最外層に保護層9を有するものでもよい。
また、本発明において、化粧板は、前述した各層の間に少なくとも1層の中間層を有するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、化粧板が、芯材層を有する場合について代表的に説明したが、本発明の化粧板は、芯材層を有していないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、化粧板本体と吸着層との間に粘着剤層を有する場合について代表的に説明したが、本発明の化粧板は、粘着剤層を有していないものであってもよい。
また、本発明の化粧板は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、前述した方法で製造されたものに限定されない。
例えば、前述した製造方法についての実施形態での各工程の順番を入れ替えて行ってもよい。
また、前述した実施形態では、支持体上に形成された吸着層を粘着剤層を介して化粧板本体に接合する場合について代表的に説明したが、吸着層は、転写によらず、直接粘着剤層上や化粧板本体上に形成してもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[1]化粧板の製造
(実施例1)
シート基材として、厚さ:100μm、坪量:80g/mの酸化チタン含有化粧紙(大日本印刷社製)を用意し、このシート基材に、木目調のパターンの印刷を施した。
次に、この印刷を施したシート基材の印刷が施された面(第1の面)とは反対の面(第2の面)側にウレタンアクリル複合粒子のエマルジョン(中央理化工業社製「SU-100」、平均粒径:84nm、分散媒:水)を固形分で40g/mとなるように塗工し、続いてシート基材の印刷が施された面(意匠面)側に、メラミン系樹脂(反応モル比1.4、樹脂固形分50質量%)を50g/mとなる様に塗工した後、120℃の熱風乾燥機にて90秒乾燥し、樹脂比率が53%、揮発分率3%の化粧シートを得た。なお、前記メラミン樹系脂は、反応釜に原料メラミンとホルマリンを所定配合比率で仕込み触媒添加後、沸点まで昇温して還流反応し、メラミン溶解が完了したことを確認した上で、反応終点に達したら脱水処理にて樹脂固形分を調整し冷却する方法により合成した。
得られた化粧シートの第2の面側に、ガラスクロスを基材とし、バインダーを含むプリプレグからなる芯材層材料で構成された基体(芯材層となる部材)を重ね合わせ、140℃、2MPaの条件で40分間加熱加圧成形して、厚さ0.3mmの化粧板本体を得た。
なお、ガラスクロスとしては、Eガラスのガラス繊維で構成されたものであり、当該ガラス繊維の平均径が9μm、密度が1.19g/cm、厚さが185μm、坪量が220g/mの条件のものを用いた。また、プリプレグ中に含まれるバインダーは、アクリル樹脂であった。また、プリプレグ中におけるガラスクロス:100質量部に対するバインダーの含有率は1.50質量部であった。
次に、化粧板本体の芯材層側の面に、アクリル系の粘着剤組成物を塗工し、その後、当該粘着剤組成物を乾燥することに、粘着剤層を形成した。
その後、粘着剤層の表面に、別途用意した吸着層(一方の面が離型性を有する支持体で保護された状態の吸着層)を接合することにより、化粧板(メラミン化粧板)を得た(図1参照)。
なお、吸着層としては、以下のようして製造したものを用いた。
すなわち、まず、水溶性のアクリル酸エステル共重合体としてのDICNAL MFP-20(ダイセル社製):1000g、整泡剤としてのDICNAL M-20(ダイセル社製):40g、整泡剤としてのDICNAL M-40(ダイセル社製):40g、増粘剤としてのDICNAL MX(ダイセル社製):10g、架橋剤としてのDICNAL GX(ダイセル社製):20g、水溶性可塑剤としてのトリアセチン(大八化学社製):50gを混合し、25質量%のアンモニア水にて粘度を5000cpsに調整し、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを得た。
次に、連続発泡機オークスミキサー(ストーク社製)を用いて、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンに空気を混入させ、気泡含有液を得た。発泡前のアクリル酸エステル共重合体エマルジョンの単位容積当たりの重量を発泡後のアクリル酸エステル共重合体エマルジョン(気泡含有液)の単位容積当たりの重量で除した数値は、2.0であった。
次に、支持体である50μm厚の片面に静電防止処理したポリエステルフィルム(アイム社製、表面電気抵抗値1×1012Ω)であって、その反対面に1μm厚の剥離剤であるシリコーン樹脂(トーレシリコーン社製、SRX357)が予め塗工されてシリコーン処理されたポリエステルフィルムのシリコーン樹脂面上に上記の気泡含有液を、コンマコーターにて280g/mで塗工し、乾燥炉で110℃~140℃で7分間乾燥することにより、厚さ200μmの吸着層を得た。
このようにして製造された吸着層から支持体を除去した後、支持体で保護されていた面を拡大鏡にて観察したところ、直径5μm以上100μmの微細な凹部を7万個/cmの密度で有していた。また、吸着層の表面(被着体に接触する側の面)に設けられた全凹部のうち直径が5μm以上50μm以下の凹部の占める割合は、個数で95%以上であった。
(実施例2~5)
各層の条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして化粧板を製造した。
(比較例1)
粘着剤層の表面に、吸着層を形成しなかった以外は、前記実施例1と同様にして化粧板を製造した。
(比較例2)
吸着層の形成に用いるアクリル酸エステル共重合体エマルジョンの溶媒量、および、吸着層の形成時における発泡条件(空気の混入条件)を変更して、吸着層が直径500μm以上の凹部のみを有し、直径300μm以下の凹部を有さないものとして形成し、当該吸着層を用いた以外は、前記実施例1と同様にして化粧板を製造した。
(比較例3、4)
吸着層の形成に用いるアクリル酸エステル共重合体エマルジョンの組成を変更することにより、吸着層の弾性による復元割合を表1に示すものとなるようにし、当該吸着層を用いた以外は、前記実施例1と同様にして化粧板を製造した。
(比較例5)
芯材層を、フェノール樹脂含浸紙とした以外は、前記実施例1と同様にして化粧板を製造した。
前記各実施例および比較例の化粧板の条件等を表1にまとめて示した。
なお、前記各実施例の化粧板を構成する吸着層の支持体で保護されていた面を拡大鏡にて観察したところ、直径5μm以上100μm以下の微細な凹部の密度は、いずれも、1万個/cm以上9万個/cm以下の範囲内の値であり、吸着層の表面(被着体に接触する側の面)に設けられた全凹部のうち直径が5μm以上50μm以下の凹部の占める割合は、いずれも、個数で90%以上であった。また、前記各実施例の化粧板を構成する吸着層中における樹脂材料(アクリル酸エステル共重合体)の含有率は、いずれも、60質量%以上90質量%以下の範囲内の値であり、吸着層中における可塑剤の含有率は、6質量%以上30質量%以下であった。
また、表1中、復元割合の欄には、マイクロメータ(ミツトヨ社製)を用いて、吸着層の法線方向から圧力をかけて吸着層が初期の厚みの60%以下になるまで圧縮し、その後圧力を解放した場合における、圧力解放10分後での厚みの初期の厚みに対する割合を示した。
また、表1中のタック力の欄には、吸着層の被着体に接触する側の表面におけるタック力を示した。タック力の値としては、0.5kgのテスター(SHIMPO社製)のプローブ(直径12mmのSUS304)をサンプルの測定面に密着させ100mm/分程度の速度で引きはがした時の値を示した。
また、前記各実施例および各比較例の化粧板では、コート層についての380nm以上780nm以下の範囲の各波長についての光の透過率が、いずれも99%以上であり、コート層についてのマルテンス硬度(マルテンス硬さ)が、いずれも300N/mm以上700N/mm以下の範囲内の値であった。また、前記各実施例および各比較例の化粧板の芯材層は、いずれも、コーンカロリー燃焼試験をした際の発熱量が、6MJ/m以下のものであった。また、前記各実施例および比較例2~4の化粧板を構成する吸着層では、表面(被着体に接触する側の面)に設けられた凹部が、当該凹部の大きさ(直径)よりも大きな内部の空孔に連続し、該内部の空孔は他の空孔と細径管にて連続した構造を有していた。
Figure 2022131555000004
[2]評価
前記のようにして製造された各実施例および各比較例の化粧板について、以下の評価を行った。
[2.1]被着体に対する密着力
まず、被着体として、SUS304鋼板(JIS Z0237で規定されるもの)を用意した。
この被着体の表面に、前記各実施例および各比較例の化粧板から切り出した20mm×20mmの大きさの試験片の粘着剤層、吸着層が設けられた面を対向させた状態で、当該試験片の背面(化粧板の意匠面)を5kgローラーで1往復させることにより、化粧板の試験片を被着体に圧着した。
その後、23℃、50%RHの環境下で、試験片を圧着した被着体を24時間放置した後、23℃、50%RHの環境下で、速度100mm/分にて真上に引っ張り、試験片の平面引張強度(平面引きはがし粘着力)を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:平面引張強度が10N/400mm以上。
B:平面引張強度が1N/400mm以上10N/400mm未満。
C:平面引張強度が1N/400mm未満。または、密着しておらず測定不能。
[2.2]剥離後の被着体表面の状態
上記[2.1]の試験後の被着体の表面(化粧板が圧着された側の面)の様子を目視により観察し、以下の基準に従い評価した。
A:化粧板の構成材料の残存および被着体の損傷が全く認められない。
B:化粧板の構成材料の残存または被着体の損傷がわずかに認められる。
C:化粧板の構成材料の残存または被着体の損傷が顕著に認められる。
これらの結果を表2にまとめて示した。
Figure 2022131555000005
表2から明らかなように、本発明の化粧板は、安定的に被着体に固定することができ、被着体から取り外した際の被着体の損傷・汚損を効果的に防止することができた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、被着体の種類をSUS404鋼板に変更して前記と同様の評価を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
100 :化粧板
10 :化粧板本体
1’ :第1の層
1 :化粧シート
11 :シート基材
111 :第1の面
112 :第2の面
12’ :硬化性樹脂
12 :コート層(硬質樹脂層)
5’ :基体
5 :コア材(芯材層)
20 :吸着層
30 :粘着剤層
8 :支持層
9 :保護層

Claims (3)

  1. 芯材層および化粧シートを含む化粧板本体と、
    被着体に吸着する吸着層とを有し、
    前記芯材層は、アルミニウムシートおよびガラス繊維のうち少なくとも一方を含むものであり、
    前記化粧シートは、メラミン系樹脂を含む材料で構成されており、
    前記吸着層は、直径が300μm以下の凹部を複数個有し、かつ、弾性による復元割合が圧力解放10分後に70%以上95%以下の条件を満たすことを特徴とする化粧板。
  2. 前記芯材層は、厚さが0.8mm以下の前記アルミニウムシートである請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記化粧板本体と前記吸着層との間に、粘着剤層を備えている請求項1または2に記載の化粧板。
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