JPH0657692A - 壁 紙 - Google Patents

壁 紙

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JPH0657692A
JPH0657692A JP22916192A JP22916192A JPH0657692A JP H0657692 A JPH0657692 A JP H0657692A JP 22916192 A JP22916192 A JP 22916192A JP 22916192 A JP22916192 A JP 22916192A JP H0657692 A JPH0657692 A JP H0657692A
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vinyl
aqueous dispersion
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俊雄 坪井
Yoshizo Dohata
佳三 道畑
Akemasa Aoyama
明正 青山
Shigeyuki Harita
滋行 榛田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン−ビニルアルコ−ル系共重合体水性
分散液を塗布した壁紙。 【効果】 耐汚染性、施工性に優れ、しかも、水性分散
液を使用するため、有機溶剤による作業環境の悪化、有
機溶剤の回収の問題も特に生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汚れ防止機能に優れた
壁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、壁紙または化粧板としてはポリ塩
化ビニル樹脂製のものが知られている。しかしこれらポ
リ塩化ビニル樹脂製の壁紙(化粧板を含む)(以下、塩
ビ壁紙と略記する)は、たばこの煙、手垢、落書き、各
種食品中の色素等で汚染されやすい。またポリ塩化ビニ
ル樹脂用の可塑剤が、塩ビ壁紙の表面にブリードする。
このブリードした可塑剤にほこりが付着し、塩ビ壁紙は
さらに汚れやすくなる。
【0003】特開昭58−23973号等に示されてい
るように、アクリル樹脂フィルムを、塩ビ壁紙にラミネ
ートした耐汚染性壁紙が知られている。しかしこれらの
壁紙では、ラミネートしていない塩ビ壁紙に比べ耐汚染
性は優れているものの、完全とは言い難く、特にラミネ
ート後、長期間経過した場合に耐汚染性が劣る傾向にあ
る。さらにアクリル樹脂フィルムは、耐薬品性に劣り、
特にエステル類、ケトン類、芳香族化合物等に侵されや
すいため、汚れの拭き取りに注意を払う必要があり、満
足できるものではない。
【0004】また、実開昭59−172797号に示さ
れているように、エチレン−ビニルアルコール系共重合
体(以下、EVOHと略記する)のフィルムを、塩ビ壁
紙にラミネートした耐汚染性壁紙が知られている。この
壁紙は、耐薬品性と可塑剤遮断性に優れており、ラミネ
ートしていない塩ビ壁紙に比べ耐汚染性が優れている。
さらにEVOHのフィルムは、電気抵抗が比較的小さ
く、静電気を帯びにくいので、壁紙の表面にほこりが付
きにくいという利点もある。
【0005】塩ビ壁紙にEVOH層を形成する方法とし
ては、前述のラミネート法が広く実施されている。この
方法では、エンボス加工時のピンホール発生を防ぐた
め、EVOH層は10〜30μmあることが好ましい。
あまり厚すぎると壁紙が硬くなり、施工時、カールが生
じて作業がやりにくくなるので、EVOH層は薄い方が
望ましい。一方で、EVOHの溶液を塩ビ壁紙に塗布、
乾燥する方法が提案されている。この方法は、エンボス
加工後の塗布が可能であるため、ピンホール発生を懸念
する必要がほとんどなく、比較的膜厚の薄い皮膜が形成
でき、そのため、しなやかな壁紙が得られ、施工時の作
業が容易である特徴がある。
【0006】しかしながら、EVOHの溶液を塗布する
方法では基本的に高い濃度の溶液が高粘度のために使用
困難なこと、溶剤がジメチルスルホキシド等の有機溶剤
や多量のアルコールと水の混合溶剤のため、皮膜形成過
程において有機溶剤の揮散による作業環境の悪化および
有機溶剤の回収のための装置が必要になるなど、経済的
にも不利なこと等の問題がある。これに対し、EVOH
の水性分散液を塗布する方法は、溶剤が水系で上記の作
業環境や経済性の点から有利と考えられ期待される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の欠点を解消するために創案されたものであ
り、ポリ塩化ビニル樹脂用の可塑剤の遮断機能、汚れ防
止機能に優れ、しかも施工時の作業性に優れた壁紙を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エチレン−
ビニルアルコール系共重合体水性分散液(以下、EVO
H水性分散液と略記する)を塩ビ壁紙に塗布することに
よって達成される。
【0009】以下、本発明を具体的に説明する。
【0010】本発明において、可塑剤を含有するポリ塩
化ビニル樹脂層を含む壁紙とは、難燃紙、不織布、ガラ
ス繊維、アスベスト紙等からなる支持体の上に、ポリ塩
化ビニル樹脂に、可塑剤、必要に応じ、顔料、充填剤、
安定剤等を配合したものをカレンダー法、コーティング
法等にて積層したものである。さらにその上に、印刷加
工が施されている場合もある。発泡剤を配合させること
により、最終製品で1.5〜15倍にポリ塩化ビニル樹
脂を発泡させたものも多い。
【0011】壁紙に含まれる化粧板とは、プリント化粧
板、化粧石膏ボード、塩ビ化粧板、塩ビ鋼板、塩ビ不燃
板等を総称したものである。プリント化粧板とは、薄葉
紙等に印刷を施し、これを合板、パーティクルボード等
からなる支持体に積層したものであり、いずれかの層に
可塑剤等を含有するポリ塩化ビニル樹脂を使用している
ものである。また立体感を強調するために、エンボス加
工が施されていることがある。また、化粧石膏ボード、
塩ビ化粧板、塩ビ鋼板、塩ビ不燃板等とは、可塑剤等を
含有するポリ塩化ビニル樹脂製のシートに印刷を施し、
これを石膏ボード、合板、パーティクルボード、鋼板、
コンクリート板等からなる支持体に積層したものであ
る。プリント化粧板の場合と同様に、立体感を強調する
ために、エンボス加工が施されていることがある。
【0012】本発明において、ポリ塩化ビニル樹脂用の
可塑剤は、20℃で液状であり、全重量に対し20〜7
5重量%含まれている。20℃で液状である可塑剤とし
てはフタール酸ジブチル、フタール酸ジ−2−エチルヘ
キシル、フタール酸ジイソオクチル、フタール酸ジイソ
デシル、フタール酸ジデシル、フタール酸ジノニル、フ
タール酸ブチルラウリル、フタール酸ブチルベンジル等
のフタール酸エステル系可塑剤、燐酸トリクレジル、燐
酸トリブチル、燐酸トリ−2−エチルヘキシル等の燐酸
エステル系可塑剤、塩素化パラフィン等の含塩素系可塑
剤等がある。
【0013】本発明において、EVOH水性分散液とは
EVOHを分散質とする水性分散液であり、代表的には
EVOHを分散質とし、イオン性基を有するEVOHを
分散安定剤とする水性分散液、イオン性基を有するEV
OHを分散質とする水性分散液が挙げられる。
【0014】次に、本発明で使用する代表的な水性分散
液である、EVOHを分散質とし、イオン性基を含有す
るEVOHを分散安定剤とする水性分散液について説明
する。
【0015】分散安定剤として用いるイオン性基を有す
るEVOHのイオン性基とは、水中で解離しイオン性を
示す基、すなわちアニオン性基、カチオン性基、両性基
を包含する。分散安定化効果の点からはアニオン性基が
好ましい。
【0016】アニオン性基としてはスルホン酸、スルホ
ン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩、燐酸、燐酸
塩、カルボン酸、カルボン酸塩等の基が挙げられ、また
これらの酸および塩が同時に含まれていても良い。分散
安定化効果が優れている点でスルホン酸あるいはカルボ
ン酸または該塩が好ましく、特にスルホン酸または該塩
が望ましい。
【0017】カチオン性基としてはアミンおよびその
塩、第4級アンモニウム塩、フォスホニウム塩、スルホ
ニウム塩等の基が挙げられる。特に第4級アンモニウム
塩が分散安定化効果が大きく好ましい。両性基としては
アミノカルボン酸塩(ベタイン型)、アミノスルホン酸
塩(スルホベタイン型)、アミノ硫酸エステル塩(サル
フェートベタイン型)等が挙げられる。
【0018】イオン性基の含量は分散安定化効果のある
範囲内で適宜選択されるが、分散安定化効果の点から該
イオン変性EVOH中のEVOH成分に対し0.05〜
50モル%が望ましい。さらに好ましくは0.1〜30
モル%、殊に0.2〜15モル%、さらには0.2〜1
0モル%が望ましい。0.05モル%未満では分散安定
化効果が小さく、50モル%を越えるものは水性分散液
を塗布、乾燥して得られる皮膜の耐水性が不良になり、
壁紙として好ましくない。
【0019】イオン変性EVOH中に分散安定化効果を
大幅に損なわない範囲で、イオン性基を含まない他の単
位を含むことは差し支えない。
【0020】イオン変性EVOH中のEVOH成分の組
成はエチレン含量が10〜70モル%、けん化度80モ
ル%(本発明で言うけん化度はビニルエステル単位のけ
ん化度を示す)以上であることが好ましい。エチレン含
量の好適な範囲は12モル%以上、さらに好ましくは1
5モル%以上、さらには20モル%以上である。また上
限については好適には65モル%以下、さらに好適には
60モル%以下である。また好ましいけん化度は90モ
ル%以上、さらには95モル%以上である。分散質のE
VOHのエチレン含量およびけん化度については後述す
るが、それと近いものが粒子分散安定化効果の点で望ま
しい。より好ましくはほぼ同一のエチレン含量およびけ
ん化度が望ましい。イオン変性EVOHの重合度は特に
制限はないが、分散安定化効果の点から100以上が望
ましい。重合度の上限は特に制限はないが、あまり大き
すぎるものはその溶液粘度が高く分散性能が低下するの
で、通常2000以下のものが使用される。ここでイオ
ン変性EVOHの重合度は1モル/リットルのチオシア
ン酸アンモニウムを含有する水/フェノール系混合溶剤
(重量比15/85)中、30℃で測定した固有粘度よ
り求められる。
【0021】イオン変性EVOHの構造に関しては、い
わゆるランダムにイオン性基が導入されたものが好適に
使用され、その製造方法には特に制約はない。
【0022】例えば、イオン性基を含有するモノマーを
エチレンおよびビニルエステルとラジカル共重合し、次
いで得られた共重合体中のビニルエステル単位をけん化
して、ビニルアルコ−ル単位に変換する方法、EVOH
ポリマ−にイオン性基含有成分を付加反応させて導入す
る方法、あるいはエチレン−ビニルエステル共重合体に
イオン性基含有成分を付加反応させた後、該共重合体中
のビニルエステル単位をけん化してビニルアルコール単
位に変換する方法等が挙げられる。その重合、けん化お
よび付加反応等の方法は公知の方法で実施できる。
【0023】ビニルエステルとしてはギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ
化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のエチレンと共重合
可能で、該共重合体をけん化することによりビニルアル
コールに変換可能なモノマーが使用できるが、特に酢酸
ビニルが好ましい。
【0024】エチレンおよびビニルエステルと共重合す
るイオン性基含有モノマーとしては、イオン性基あるい
はイオン性基に変換可能な基を有するラジカル単独重合
あるいはラジカル共重合可能なものが使用できる。その
例を次に示す。
【0025】・アニオン性基含有モノマー スルホン酸アニオン性基含有モノマーとしては、2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸ナトリウムのごとき(メタ)アクリルアミド系スルホ
ン酸塩モノマー、スチレンスルホン酸カリウムのごとき
スチレン系スルホン酸塩モノマー、アリルスルホン酸ナ
トリウムのごときアリル系スルホン酸塩モノマー、また
ビニルスルホン酸ナトリウムのごときビニルスルホン酸
塩、あるいはこれらのアンモニウム塩モノマーさらには
これらの酸モノマー等が挙げられる。またこれらのスル
ホン酸のエステルも重合後、その塩あるいは酸に変換す
ることにより使用可能である。
【0026】カルボン酸アニオン性基含有モノマーとし
てはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタ
コン酸、フマル酸などのモノ、ジ、ポリカルボン酸系ビ
ニルモノマーやそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩等
が挙げられる。またこれらのエステル類も重合後エステ
ル基を塩に変換することができ、使用可能である。
【0027】・カチオン性基含有モノマー アミノプロピルアクリルアミドあるいはメタクリルアミ
ドのごときアミノ基含有(メタ)アクリルアミド系モノ
マー、アミノエチルアクリレートあるいはメタクリレー
トのごときアミノ基含有(メタ)アクリレート、あるい
はその塩が重合性良好で好ましい。特にその第4級塩が
ポリマ−の着色も少なく好ましい。例えば、トリメチル
アクリルアミドプロピルアンモニウムクロリドやトリエ
チルメタクロイルエチルアンモニウムブロミド等であ
る。
【0028】これらのモノマーは単独で使用すること
も、また併用することも可能である。また分散安定化効
果を阻害しない範囲で他のモノマーとの共重合も可能で
ある。
【0029】EVOHへの付加反応としては、その水酸
基へのイオン性基含有ビニルモノマーのマイケル付加反
応、あるいはイオン性基含有アルデヒドあるいはケトン
によるアセタール化あるいはケタール化、イオン性基含
有エポキシ化合物の付加、カルボン酸無水物の付加、ま
た硫酸によるエステル化等が挙げられる。また無水マレ
イン酸等のラジカル単独重合性の低いイオン性基含有モ
ノマーのラジカル付加反応による導入等が挙げられる。
【0030】また、エチレン−ビニルエステル共重合体
へ無水マレイン酸等のラジカル単独重合性の低いイオン
性基含有モノマーをラジカル付加反応させ、次いでけん
化してビニルエステル単位をビニルアルコールに変換す
ることにより製造することも可能である。
【0031】本発明で使用する分散質のポリマーである
EVOHは、エチレンと酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ化酢酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル、特に酢酸ビ
ニルと共重合、けん化することにより得られるエチレン
−ビニルアルコ−ル共重合体で、エチレン含量が15〜
65モル%、けん化度が90モル%以上のものであるこ
とが好ましい。エチレン含量が15モル%未満では水性
分散液の安定性が不良となり、また65モル%を越える
ものは耐油性が劣り、油性の汚染物質が浸透しやすく、
耐汚染性に劣り好ましくない。水性分散液の安定性と耐
汚染性の点からはエチレン含量は20〜55モル%が好
ましい。またけん化度が90モル%未満でも耐油性が不
十分になるので90モル%以上のものを使用する必要が
ある。
【0032】分散質のEVOHの重合度は、極端に低い
ものは形成皮膜の強度が低く好ましくないので通常40
0以上好ましくは700以上のものが使用される。重合
度の高いものほど水性分散液として塗布使用することは
有利であり、通常5000程度のものまで使用できる。
ここで分散質の重合度は水/フェノール系混合溶剤(重
量比15/85)中、30℃で測定した固有粘度より求
められる。
【0033】また必要に応じてエチレンおよびビニルエ
ステル以外の共重合可能なモノマーを5モル%以下共重
合していてもよい。
【0034】分散安定剤であるイオン変性EVOHの使
用量はイオン性基の種類、含有量等を勘案して適宜選択
されるが、分散質のEVOH100重量部に対し2〜2
00重量部、好ましくは3〜100重量部、さらに好ま
しくは5〜50重量部が望ましい。量が少ないと分散安
定性が不良となり、多すぎると耐汚染性が不十分になる
ことがあり不適当である。
【0035】イオン変性EVOHを分散安定剤として分
散質であるEVOHを分散させる方法に制限はなく、公
知の方法が使用可能である。例えば分散質であるEVO
Hの溶液を分散安定剤であるイオン変性EVOHの共存
下にEVOHの非溶剤である水と攪拌下に接触させてE
VOH粒子を3μm以下、好ましくは2μm以下、最適
には1μm以下の微粒子として析出させ、次いで溶剤を
除去することにより水性分散液を得ることができる。な
おここで微粒子の径は数平均粒子径である。
【0036】水性分散液の固形分濃度としては10重量
%以上、さらに好ましくは15重量%以上、最適には2
0重量%以上である。固形分濃度の上限には特に制限は
ないが、あまり高濃度になりすぎると水性分散液の放置
安定性がやや不良になる場合があるので、通常60重量
%以下が好ましく、さらに好ましくは50重量%以下、
最適には40重量%以下である。
【0037】溶剤としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコ−ル、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶剤は水−アルコール系の混合溶剤、例えば水−メ
チルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、水
−イソプロピルアルコール等である。
【0038】分散安定剤のイオン変性EVOHは分散質
であるEVOHの溶液中、あるいは非溶剤の水中、ある
いはその両方に共存させることができるが、好ましくは
EVOHの溶液中に共存させることが望ましい。
【0039】溶剤中の有機溶剤は蒸発法、抽出法あるい
は透析法等の適宜な方法で除去することができる。除去
の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼合いで小
割合の有機溶剤を残存させてもよい。
【0040】また別の方法として、高温では溶解するが
低温にすると不溶になる溶剤に分散質のEVOHおよび
分散安定剤のイオン変性EVOHを加熱溶解した後、そ
の溶液を冷却することにより、微粒子として析出分散さ
せる方法も採用できる。しかる後その溶剤を水と置換す
ることにより水性分散液とすることができる。高温で溶
解し低温では析出する溶剤としては、先に示した溶剤の
うちアルコ−ル類の単独あるいは水との混合溶剤等が使
用できる。
【0041】さらに別の方法として、分散安定剤のイオ
ン変性EVOHを共存させた分散質のEVOHの溶液を
非溶剤と接触させるかあるいは冷却することにより析出
分散させた粒子を濾別し、その粒子をイオン変性EVO
Hの共存下に水中に分散させる方法も可能である。
【0042】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、分散質のEVOHと分散安定剤のイオン変性E
VOHを、これらの共通溶剤、例えば水−アルコ−ルの
混合溶剤に攪拌下、温度50〜75℃で溶解して溶液と
し、次いで冷却(温度−10〜30℃)し、EVOH粒
子を析出して分散化(エマルジョン化)し、次に減圧下
(温度10〜30℃、圧力10〜150mmHg)にア
ルコ−ルを除去し、さらに水を所望量除去することによ
って、所望の固形分濃度の水性分散液を得る方法があげ
られる。
【0043】本発明の水性分散液には粘度を低下させる
目的で水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどのアルカリ
金属化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、酢酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウムなどのア
ルカリ土類金属化合物、その他の電解質を0.01〜
0.5重量%(対ポリマ−)配合してもよい。配合は、
分散質のEVOHを微粒子化する前でも後でもよい。
【0044】本発明の水性分散液には、必要に応じて本
発明の目的を妨げない範囲で通常の界面活性剤や保護コ
ロイドを添加することは可能である。また他の樹脂の水
性分散液、光あるいは熱等に対する安定剤、顔料、滑
剤、防黴剤、造膜助剤あるいは消臭剤などを添加するこ
ともできる。また本発明の分散安定剤は前記したEVO
Hの分散安定剤として最適であるが、その他の有機材料
(樹脂)や無機材料の分散安定剤としても使用すること
ができる。
【0045】イオン性基を有するEVOHとしては、前
述した通り、イオン性基をランダムに導入したEVOH
が好適であるが、末端にイオン性基を有し、さらに必要
に応じ架橋性基を有するEVOHを使用することもでき
る。
【0046】ここで末端にイオン性基を有するEVOH
とは、例えばスルホン酸基またはその塩、カルボキシル
基またはその塩、アンモニウム基等を有するアルコー
ル、アルデヒドあるいはチオール等の活性基を含有する
化合物を連鎖移動剤として共存させ、エチレンとビニル
エステルとを共重合し、次いでビニルエステル単位をけ
ん化する方法、またエチレンとビニルエステルの共重合
体けん化物の末端にスルホン酸基またはその塩、カルボ
キシル基またはその塩、アンモニウム基等を含有する化
合物を化学反応により導入する方法等により製造され
る。これらの方法の中で、経済的かつ効率よく末端にイ
オン性基を導入し、水性分散液としての優れた安定性等
を示すEVOHを得る方法としては、スルホン酸基また
はその塩、カルボキシル基またはその塩、アンモニウム
基等を有するチオールの存在下にエチレンとビニルエス
テルとを共重合し、次いでけん化する方法が好ましい。
【0047】次に本発明で使用する他の代表的な水性分
散液である、イオン性基を有するEVOHを分散質とす
る水性分散液について説明する。この場合、イオン性基
を有するEVOH、特にイオン性基をランダムに導入し
たEVOHとしては、前述したイオン性基としてスルホ
ン酸基またはその塩を有するものが好ましい。これらの
イオン性基を有するEVOHを分散質とする場合の、好
適なエチレン含量、けん化度、重合度は前述の分散質と
して使用するEVOHのエチレン含量、けん化度、重合
度と同じである。
【0048】また本発明においては、前述の分散安定剤
または分散質として使用されるイオン性基を有するEV
OHとして、EVOH成分とイオン性基を有する成分と
のブロックまたはグラフト共重合体を使用することもで
きる。また、前述のEVOH水性分散液以外に、EVO
H成分とポリビニルアルコール成分とのブロックまたは
グラフト共重合体を分散安定剤または分散質とする水性
分散液、EVOH成分とポリエーテル成分とのブロック
またはグラフト共重合体を分散安定剤または分散質とす
る水性分散液も使用可能である。
【0049】EVOH水性分散液を壁紙に塗布する方法
としては、難燃紙、不織布、ガラス繊維、アスベスト紙
等からなる支持体の上に、可塑剤を含有するポリ塩化ビ
ニル樹脂をカレンダー法、コーティング法等で積層し、
その上にEVOH水性分散液を塗布する方法が好まし
い。最外層に積層することにより、ポリ塩化ビニル樹脂
に含まれている可塑剤を遮断し、耐汚染性に優れた壁紙
が得られる。また、水性分散液を使用するため、有機溶
剤による作業環境の悪化、有機溶剤の回収の問題も特に
生じない利点がある。
【0050】また本発明のEVOH水性分散液の塗布方
法としては、キャスティングヘッドからの吐出、ロール
コート、ドクターロールコート、ドクターナイフコー
ト、カーテンフローコート、スプレー、浸漬、刷毛塗り
など任意の手段が例示される。このように塗布された基
材を乾燥する方法としては、乾熱処理法、例えば赤外線
照射法、熱風乾燥法、自然乾燥法等が例示される。
【0051】また本発明の水性分散液を塗布、乾燥した
あとの皮膜の厚さは0.5〜15μmであることが好ま
しく、さらに好適には1〜10μm、最適には2〜6μ
mである。0.5μm未満では、ポリ塩化ビニル樹脂用
の可塑剤の遮断性が悪化し、15μmを越えると積層し
た壁紙が硬くなり、施工時の作業がやりにくくなるので
好ましくない。
【0052】以下に実施例により具体的に本発明を説明
するが、実施例のみに限定されるものではない。また実
施例中の部は特に指定しないかぎり、重量部を示す。溶
剤組成も重量比で示す。
【0053】
【実施例】
実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム単位がEVOH成分に対し1.2モル%ランダ
ム共重合された、エチレン含量33モル%、けん化度9
9.6モル%、重合度800のスルホン酸アニオン変性
EVOHを10%含有する水/メチルアルコール=50
/50の混合溶液50部を、エチレン含量32モル%、
けん化度99.5モル%、重合度1000の通常のEV
OH28部とメチルアルコール100部および水100
部に添加混合し、65℃で加熱溶解した。
【0054】この溶液を攪拌下に10℃まで冷却したと
ころ、粒子が析出し安定な分散液が得られた。平均粒子
径は0.7μmであった。ついでこの分散液を攪拌下に
20℃で減圧蒸発させ、メチルアルコールを留去した。
メチルアルコール留去過程でも粒子の凝集はほとんどみ
られず安定で、平均粒子径が0.7μm、固形分濃度2
6%の水性乳化分散液を得た。また放置安定性も良好
で、40℃で10日間の放置試験でも凝集はほとんど認
められなかった。
【0055】この水性乳化分散液を、塩ビ壁紙に塗布
し、乾燥した。得られたEVOH層(膜厚3μm)を持
つ塩ビ壁紙のEVOH面に2cm×2cmの大きさに油性の
赤色インキ(三菱鉛筆(株)製三菱マーカー)、口紅
((株)資生堂製ベネフィークエルリップスティッ
ク)、醤油(キッコーマン(株)製キッコーマン濃口)
を塗布し、24時間後にベンジンを付けたガーゼで拭き
取ったが、跡は全く残らなかった。また、中性洗剤で湿
らせたガーゼで拭き取っても口紅と醤油の場合には跡は
全く残らず、しかも水により表面が損なわれることもな
く、十分な耐水性を有していることが確認された。この
ように、EVOH水性分散液を塗布した塩ビ壁紙は、汚
れ防止機能に優れていることがわかる。
【0056】また、この壁紙を壁に貼り合わせる際、カ
ールはほとんどなく作業性は良好であった。
【0057】実施例2 アリルスルホン酸ナトリウムがEVOH成分に対し、
0.6モル%ランダム共重合されたエチレン含量28モ
ル%、けん化度99.7モル%、重合度900のアニオ
ン変性EVOH50部を、水/イソプロピルアルコール
=40/60の混合溶剤500部に加え、75℃で加熱
溶解し、溶液を調整した。この溶液を20℃に保った水
/イソプロピルアルコール=20/80の混合溶剤20
0部中に高速攪拌機で攪拌しながら滴下したところ、粒
子が析出し安定な分散液を得た。平均粒子径は0.9μ
mであった。
【0058】次いでこの分散液を20℃で減圧蒸発さ
せ、イソプロピルアルコールを留去し、固形分濃度20
%の水性乳化分散液を得た。この水性乳化分散液の平均
粒子径は0.9μmで減圧蒸発過程での粒子の肥大化も
ほとんどなく、安定な水性乳化分散液が得られた。
【0059】この水性乳化分散液を塩ビ壁紙に塗布、乾
燥後(膜厚3μm)、実施例1と同様の方法で汚れ防止
機能を調べたところ、耐汚染性に優れていた。
【0060】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のEVO
H水性分散液を塗布した壁紙は、ポリ塩化ビニル樹脂に
含まれている可塑剤を遮断し、耐汚染性、施工性に優
れ、しかも、水性分散液を使用するため、有機溶剤によ
る作業環境の悪化、有機溶剤の回収の問題も特に生じな
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榛田 滋行 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−ビニルアルコール系共重合体水
    性分散液を塗布した壁紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08113898A (ja) * 1994-10-11 1996-05-07 Dainippon Printing Co Ltd 抗菌性壁装材
JP2015182401A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 クラレプラスチックス株式会社 壁装材用表面保護フィルム及びそれを用いた壁装材

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