JPH0657066A - 水性組成物および積層体 - Google Patents

水性組成物および積層体

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JPH0657066A
JPH0657066A JP23535092A JP23535092A JPH0657066A JP H0657066 A JPH0657066 A JP H0657066A JP 23535092 A JP23535092 A JP 23535092A JP 23535092 A JP23535092 A JP 23535092A JP H0657066 A JPH0657066 A JP H0657066A
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万喜雄 床尾
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン−ビニルアルコール系共重合体の水
性分散液および無機フィラーからなる水性組成物。 【効果】 本発明によれば使用時の安定性に優れた高固
形分濃度の水性組成物が得られ、かつ水性であるため環
境の汚染等の問題もない利点があり、また、各種基材上
に塗布、乾燥により形成された皮膜は優れたガスバリヤ
ー性、とくに高湿度下におけるガスバリヤー性、保香性
および耐油・耐薬品性を示し、各種包装用として有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−ビニルアル
コール系共重合体の水性分散液と無機物フィラー配合し
た、水性組成物および該水性組成物を塗布、乾燥した皮
膜層を有する、食品等の包装用フィルムや容器等に使用
されるガスバリヤー性に優れた積層体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルエステル共重合体けん
化物、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化した
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOHと略
記する)は、酸素等のガスバリヤー性、保香性や耐油・
耐薬品性に極めて優れているため、種々の包装分野の包
装用フィルム、特に食品包装用フィルム、シート、容器
等の成形体に好適に用いられ、また金属表面、紙、木材
等の保護被覆用材料として注目されている。
【0003】特に内容物の酸化防止あるいは香りの保持
が必要とされる食品包装用のフィルム、シート、積層
物、中空容器等においては高度のガスバリヤー性が要求
されている。また軟質塩化ビニルからなる塩ビ壁紙、塩
ビレザー、シート等では可塑剤のブリードを防止する被
覆材が要求されている。そこでガスバリヤー性、保香
性、および耐油・耐薬品性に優れたEVOHを内層、外
層あるいは中間層に設けることによってこれらの要求性
能を高度に満たすことが広く実施されている。
【0004】一般にEVOH層を形成する方法として
は、溶融押出あるいは射出形成による方法やEVOHフ
ィルムをラミネートする方法等が広く実施されている。
一方、EVOHの溶液や水性分散液を塗布し、乾燥する
方法が提案されている。この方法は、比較的膜厚の薄い
皮膜が形成できること、中空容器等の複雑な形状のもの
にも容易に皮膜が形成できることなどから注目される。
【0005】しかしながら、EVOHの溶液を塗布する
方法では基本的に高い濃度の溶液が高粘度のために使用
困難なこと、溶剤がジメチルスルホキシド等の有機溶剤
や多量のアルコールと水の混合溶剤のため、皮膜形成過
程において有機溶剤の揮散による作業環境の悪化および
有機溶剤の回収のための装置が必要になるなど、経済的
にも不利なこと等の問題がある。これに対し、EVOH
の水性分散液を塗布する方法は、溶剤が水系で上記の作
業環境や経済性の点から有利と考えられ期待される。
【0006】EVOHの水性分散液としては、通常のE
VOHを通常の界面活性剤あるいは通常の高分子保護コ
ロイド、例えばポリエチレンオキシド、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール等の共存下で乳化分散させたものが特開昭
54−101844、特開昭56−61430等で提案
されている。しかしながら、ここには無機物フィラーを
配合することについては記載されてない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の欠点を解消するために創案されたものであ
り、貯蔵あるいは使用時の安定性が優れ、しかも高濃度
化が可能で、しかもガスバリヤー性、とくに高湿度下に
おけるガスバリヤー性の優れたEVOH水性組成物を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、EVOH水
性分散液および無機フィラーからなる水性組成物を提供
することによって達成される。
【0009】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
において、EVOH水性分散液とはEVOHを分散質と
する水性分散液であり、好適には、EVOHを分散質と
し、イオン性基を有するEVOHを分散安定剤とする水
性分散液、イオン性基を有するEVOHを分散質とする
水性分散液があげられる。次に、本発明で使用される好
適な水性分散液である、EVOHを分散質とし、イオン
性基を有するEVOHを分散安定剤とする水性分散液に
ついて説明する。
【0010】分散安定剤として使用されるイオン性基を
有するEVOHのイオン性基は水中で解離しイオン性を
示す基、すなわちアニオン性基、カオチン性基、両性基
を包含する。分散安定化効果の点からはアニオン性基が
好ましい。
【0011】アニオン性基としてはスルホン酸、スルホ
ン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩、燐酸、燐酸
塩、カルボン酸、カルボン酸塩等の基が挙げられ、また
これらの酸および塩基が同時に含まれていても良い。分
散安定化効果が優れている点でスルホン酸あるいはカル
ボン酸または該塩基が好ましく、特にスルホン酸または
該塩基が望ましい。
【0012】カチオン性基としてはアミンおよびその
塩、第4級アンモニウム塩、フォスホニウム塩、スルホ
ニウム塩等の基が挙げられる。特に第4級アンモニウム
塩が分散安定化効果が大きく好ましい。両性基としては
アミノカルボン酸塩(ベタイン型)、アミノスルホン酸
塩(スルホベタイン型)、アミノ硫酸エステル塩(サル
フェートベタイン型)等が挙げられる。
【0013】イオン性基の含量は分散安定化効果のある
範囲内で適宜選択されるが、分散安定化効果の点から該
イオン変性EVOH中のEVOH成分単位に対し0.0
5〜50モル%が望ましい。さらに好ましくは0.1〜
30モル%、殊に0.2〜15モル%、さらには0.2
〜10モル%が望ましい。0.05モル%未満では分散
安定化効果が小さく、50モル%を越えるものは水性分
散液を塗布、乾燥して得られる皮膜の耐水性、ガスバリ
ヤー性が不良になり好ましくない。イオン変性EVOH
中に分散安定化効果を大幅に損なわない範囲でイオン性
基を含まない他の単位を含むことは差し支えない。
【0014】イオン変性EVOH中のEVOH成分の組
成はエチレン含量が10〜70モル%、けん化度80モ
ル%(本発明で言うけん化度はビニルエステル単位のけ
ん化度を示す)以上であることが好ましい。エチレン含
量の好適な範囲は12モル%以上、さらに好ましくは1
5モル%以上、さらには20モル%以上である。また上
限については好適には65モル%以下、さらに好適には
60モル%以下である。また好ましいけん化度は90モ
ル%以上、さらには95モル%以上である。分散質のE
VOHのエチレン含量およびけん化度については後述す
るが、それと近い物が粒子分散安定化効果の点で望まし
い。より好ましくはほぼ同一のエチレン含量およびけん
化度が望ましい。イオン変性EVOHの重合度は特に制
限はないが、分散安定化効果の点から100以上が望ま
しい。重合度の上限は特に制約はないが、あまり大きす
ぎるものはその溶液粘度が高く分散性能が低下するので
通常2000以下のものが使用される。ここでイオン変
性EVOHの重合度は1モル/リットルのチオシアン酸
アンモニウムを含有する水/フェノール系混合溶剤(重
量比15/85)中、30℃で測定した固有粘度より求
められる。
【0015】ビニルエステルとしてはギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ
化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のエチレンと共重合
可能で該共重合体をけん化することによりビニルアルコ
ールに変換可能なモノマーが使用できるが、特に酢酸ビ
ニルが好ましい。
【0016】イオン変性EVOHの構造に関してはいわ
ゆるランダムにイオン性基が導入されたものが好適に使
用され、その製造方法にはとくに制約はない。
【0017】例えば、イオン性基を含有するモノマーを
エチレンおよびビニルエステルとラジカル共重合し、次
いで得られた共重合体中のビニルエステル単位をけん化
してビニルアルコール単位に変換する方法、EVOHポ
リマーにイオン性基含有成分を付加反応させて導入する
方法、あるいはエチレン−ビニルエステル共重合体にイ
オン性基含有成分を付加反応させた後、該共重合体中の
ビニルエステル単位をけん化してビニルアルコール単位
に変換する方法等が挙げられる。その重合、けん化およ
び付加反応等の方法は公知の方法で実施できる。
【0018】エチレンおよびビニルエステルと共重合す
るイオン性基含有モノマーとしてはイオン性基あるいは
イオン性基に変換可能な基を有するラジカル単独重合あ
るいはラジカル共重合可能なものが使用できる。その例
を次に示す。
【0019】οアニオン性基含有モノマー スルホン酸アニオン性基含有モノマーとしては、2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸ナトリウムのごとき(メタ)アクリルアミド系スルホ
ン酸塩モノマー、スチレンスルホン酸カリウムのごとき
スチレン系スルホン酸塩モノマー、アリルスルホン酸ナ
トリウムのごときアリル系スルホン酸塩モノマー、また
ビニルスルホン酸ナトリウムのごときビニルスルホン酸
塩、あるいはこれらのアンモニウム塩モノマーさらには
これらの酸モノマー等を挙げられる。またこれらのスル
ホン酸のエステルも重合後エステルをその塩あるいは酸
に変換することにより使用可能である。
【0020】カルボン酸アニオン性基含有モノマーとし
てはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタ
コン酸、フマル酸などのモノ、ジ、ポリカルボン酸系ビ
ニルモノマーやそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩等
が挙げられる。またこれらのエステル類も重合後エステ
ル基を塩基に変換することができ、使用可能である。
【0021】οカチオン性基含有モノマー アミノプロピルアクリルアミドあるいはメタクリルアミ
ドのごときアミノ基含有(メタ)アクリルアミド系モノ
マー、アミノエチルアクリレートあるいはメタクリレー
トのごときアミノ基含有(メタ)アクリレートあるいは
その塩が重合性も良好で好ましい。特にその第4級塩が
ポリマーの着色も少なく好ましい。例えばトリメチルア
クリルアミドプロピルアンモニウムクロリドやトリエチ
ルメタクロイルエチルアンモニウムブロミド等である。
【0022】これらのモノマーは単独で使用すること
も、また併用することも。可能である。
【0023】EVOHへの付加反応としては、その水酸
基へのイオン性基含有ビニルモノマーのマイケル付加反
応、あるいはイオン性基含有アルデヒドあるいはケトン
によるアセタール化あるいはケタール化、イオン性基含
有エポキシ化合物の付加、カルボン酸無水物の付加、ま
た硫酸によるエステル化等が挙げられる。また無水マレ
イン酸等のラジカル単独重合性の低いイオン性基含有モ
ノマーのラジカル付加反応による導入等が挙げられる。
【0024】またエチレン−ビニルエステル共重合体へ
無水マレイン酸等のラジカル単独重合性の低いイオン性
基含有モノマーをラジカル付加反応させ、次いでけん化
してビニルエステル単位をビニルアルコールに変換する
ことにより製造することも可能である。
【0025】分散質のポリマーであるEVOHは、エチ
レンと酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
安息香酸ビニル、三フッ化酢酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル等のビニルエステル、特に酢酸ビニルとを共重合、け
ん化することにより得られるエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体で、エチレン含量が15〜65モル%、けん
化度が90モル%以上のものであることが好ましい。エ
チレン含量が15モル%未満では水性分散液の安定性が
不良となり、また65モル%を越えるものはガスバリヤ
ー性が不良となり、好ましくない。
【0026】水性分散液の安定性とガスバリヤー性の点
からはエチレン含量は20〜55モル%が好ましい。ま
たケン化度は90モル%未満になるとガスバリヤー性が
不十分になるので90モル%以上のものを使用する必要
がある。けん化度は高い方がガスバリヤー性が高く、望
ましくは95モル%以上、さらには97モル%以上が好
ましい。
【0027】分散質のEVOHの重合度は、極端に低い
ものは形成皮膜の強度が低く好ましくないので通常40
0以上好ましくは700以上のものが使用される。重合
度の高いものほど水性分散液として塗布使用することは
有利であり、通常5000程度のものまで使用できる。
ここで分散質の重合度は水/フェノール系混合溶剤(重
量比15/85)中、30℃で測定した固有粘度より求
められる。また必要に応じてエチレンおよびビニルエス
テル以外の共重合可能なモノマーを5モル%以下共重合
していてもよい。
【0028】分散安定剤であるイオン変性EVOHの使
用量はイオン性基の種類、含有量等を勘案して適宜選択
されるが、分散質のEVOH100重量部に対し2〜2
00重量部、好ましくは3〜100重量部さらに好まし
くは5〜50重量部が望ましい。量が少ないと分散安定
性が不良となり、多すぎると形成皮膜のガスバリヤー性
が極端に不充分になることがあり好ましくない。
【0029】イオン変性EVOHを分散安定剤として分
散質であるEVOHを分散させる方法に制限はなく、公
知の方法が使用可能である。
【0030】例えば分散質であるEVOHの溶液を分散
安定剤であるイオン変性EVOHの共存下にEVOHの
非溶剤である水と撹拌下に接触させてEVOH粒子を3
μm以下、好ましくは2μm以下、最適には1μm以下
の微粒子として析出させ、次いで溶剤を除去することに
より水性分散液を得ることができる。なおここで微粒子
の径は数平均粒子径である。
【0031】固形分濃度としては好ましくは10重量%
以上、さらに好ましくは15重量%以上、最適には20
重量%以上である。固形分濃度の上限には特に制限はな
いが、あまり高濃度になりすぎると水性分散液の放置安
定性がやや不良になる場合があるので、通常60重量%
以下が好ましく、さらに好ましくは50重量%以下、最
適には40重量%以下である。
【0032】溶剤としては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3
価アルコール、フェノール、クレゾール等のフェノール
類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミ
ン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン等、あるいはこれらの含水物等が
単独あるいは2種以上混合されて使用できる。特に好ま
しい溶剤はアルコール−水系の混合溶剤、例えば水−メ
チルアルコール、水−ノルマルプロピルアルコール、水
−イソプロピルアルコ−ル等である。
【0033】イオン変性EVOHは分散質であるEVO
Hの溶液中、あるいは非溶剤の水中、あるいはその両方
に共存させることができるが、好ましくはEVOHの溶
液中に共存させるのが望ましい。
【0034】溶剤中の有機溶剤は蒸発法、抽出法、ある
いは透析法等の適宜な方法で除去することができる。除
去の程度は高いことが望ましいが、経済性との兼合いで
小割合の有機溶剤を残存させてもよい。
【0035】また別の方法として、高温では溶解するが
低温にすると不溶になる溶剤系に分散質のEVOHおよ
び分散安定剤のイオン変性EVOHを加熱溶解した後、
その溶液を冷却することにより、微粒子として析出分散
させる方法も採用できる。しかる後その溶剤を水と置換
することにより水性分散液とすることができる。
【0036】高温で溶解し低温では析出する溶剤系とし
ては先に示した溶剤の内アルコール類の単独あるいは水
との混合溶剤等が使用できる。
【0037】さらに別の方法として、イオン変性EVO
Hを共存させたEVOHの溶液を非溶剤と接触させるか
あるいは冷却することにより析出分散させた粒子を濾別
し、その粒子をイオン変性EVOH共存下に水中に分散
させる方法も可能である。
【0038】本発明において好適な水性分散液の製法と
しては、分散質のEVOHと分散安定剤のイオン性基を
有するEVOHを、これらの共通溶剤、例えば水−アル
コールの混合溶剤に撹拌下、温度50〜75℃で溶解し
て溶液とし、次いで冷却(温度−10〜30℃)し、E
VOH粒子を析出して分散化(エマルジョン化)し、次
に減圧下(温度10〜30℃、圧力10〜150mmH
g)にアルコールを除去し、さらに水を所望量除去する
ことによって、所望の固形分濃の水性分散液を得る方法
があげられる。
【0039】イオン性基を有するEVOHとしては、前
述したとおり、イオン性基をランダムに導入したEVO
Hが好適であるが、末端にイオン性基を有し、さらに必
要に応じ架橋性基を有するEVOHを使用することもで
きる。ここで末端にイオン性基を有するEVOHとは、
例えばスルホン酸基またはその塩、カルボン酸基または
その塩、アンモニウム基等を有するアルコール、アルデ
ヒドあるいはチオール等の活性基を含有する化合物を連
鎖移動剤として共存させ、エチレンとビニルエステルと
を共重合し、次いでビニルエステル単位をけん化する方
法、またEVOHの末端にスルホン酸基またはその塩、
カルボン酸基またはその塩、アンモニウム基等を含有す
る化合物を化学反応により導入する方法等により製造さ
れる。これらの方法の中で、経済的かつ効率よく、末端
にイオン性基を導入し、水性乳化分散液としての優れた
安定性等を示すEVOHを得る方法としては、スルホン
酸基またはその塩、カルボン酸基またはその塩、アンモ
ニウム基等を含有するチオールの存在下にエチレンとビ
ニルエステルとを共重合し、次いでけん化する方法が好
ましい。
【0040】次に本発明で使用する他の好適な水性分散
液である、イオン性基を有するEVOHを分散質とする
水性分散液について説明する。この場合イオン性基を有
するEVOH、とくにイオン性基をランダムに導入した
EVOHとしては、前述したイオン性基として、スルホ
ン酸基またはその塩基を有するものが好ましい。これら
のイオン性基を有するEVOHを分散質とする場合の、
好適なエチレン含量、けん化度、重合度は前述の分散質
として使用るEVOHのエチレン含量、けん化度、重合
度と同じである。
【0041】また本発明においては前述の分散安定剤ま
たは分散質として使用されるイオン性基を有するEVO
Hとして、EVOH成分とイオン性基を有する成分のブ
ロックまたはグラフト共重合体を使用することもでき
る。また前述のEVOH水性分散液以外にEVOH成分
とポリビニルアルコール成分とのブロックまたはグラフ
ト共重合体を分散安定剤または分散質とする水性分散
液、EVOH成分とポリエーテル成分とのブロックまた
はグラフト共重合体を分散安定剤または分散質とする水
性分散液も使用可能である。
【0042】このようにして得られた水性分散液に無機
フィラーを配合せしめることにより、高湿度下における
ガスバリヤー性の優れた水性組成物を得ることができ
る。ここで無機フィラーとしては、水膨潤性フィロケイ
酸塩、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、石膏
などが例示されるが、このうち水膨潤度フィロケイ酸塩
が好適であるので、以下この点について詳述する。なお
無機フィラーはEVOH水性分散液の製造中に加えられ
ても良いし、また製造後に加えられてもよい。水膨潤性
フィロケイ酸塩の代表的な構造は、[Si−O四面体の
シート状構造]と[Al−OまたはMg−Oの八面体の
シート状構造]との層状の重なりを1つの単位(以下フ
レークと記す)として構成される層状フィロケイ酸塩で
ある。そして、水膨潤性フィロケイ酸塩の1単位である
フレークのサイズは、およそ平均粒径1μm以下、フレ
ーク間の間隔(底面間隔y)がおよそ20オングストロ
ーム以下を有するものである。本発明でいう水膨潤性フ
ィロケイ酸塩の膨潤性とはフレーク間に水を配位、吸収
・膨潤し、場合によってはフレークあるいはその一部が
分散しコロイドを生成する性質を言う。
【0043】水膨潤性フィロケイ酸の塩原料としてはス
メクタイトやバーミキュライトなどの粘土鉱物、さらに
は合成マイカであり、前者のスメクタイトの具体例とし
てモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、
サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサ
イトなどが例示される。これらは天然のものであって
も、合成されたものでもよい。これらの中でもスメクタ
イト、とくにその中でもモンモリロナイトが好ましい。
また、EVOHの水性分散液と該フィロケイ酸塩からな
る水性組成物を得るにあたり、該フィロケイ酸塩が水系
ゾルのコロイド状態であることは好ましい。また、該フ
ィロケイ酸塩は単独で用いられても、2種類以上が混用
されてもよい。
【0044】EVOH水性分散液と該フィロケイ酸塩か
らなる水性組成物を得る方法についても特に制限はない
が、前述したように該フィロケイ酸塩のフレーク間が少
なくても部分的には分離、分散して得られる微粒子の形
で分散することが重要であり、また配合して得られた水
性組成物を塗布、乾燥して得られる皮膜において、光学
顕微鏡観察(倍率10倍)による観察からフィロケイ酸
塩の凝集物あるいは局所的な塊状物がほとんど皆無とみ
なされる状態でイオン変性EVOH中に分散しているこ
とが好適である。
【0045】上記の分散状態を得る方法としては、例え
ば水膨潤性フィロケイ酸塩を水の存在下に混合したフィ
ロケイ酸塩の水分散液とEVOH水性分散液とを撹拌下
に配合する方法、EVOH水性分散液を作成する際に該
水性分散液とフィロケイ酸塩を配合したものを使用する
等が挙げられる。さらに水を所望量除去することによっ
て、所望の固形分濃度の水性組成物を得ることができ
る。
【0046】本発明の水性組成物におけるEVOH水性
分散液(樹脂固形分)と無機フィラー(フィロケイ酸塩
などの配合割合(固形分)としては、該水性分散液の固
形分99.95〜3重量%に対し、無機フィラー0.0
5〜97重量%の範囲、好適には0.1〜80重量%、
さらに好適には1〜50重量%の範囲から選ばれる。無
機フィラーの割合が0.05重量%より小さいと、該水
性組成物を塗布、乾燥して得られる皮膜層のガスバリヤ
ー性の改良効果が低いため好ましくない。一方、97重
量%を越えると該皮膜層の強度が低下するため好ましく
ない。
【0047】本発明の水性組成物には粘度を低下させる
目的で水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどのアルカリ
金属化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、酢酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウムなどのア
ルカリ土類金属化合物、その他の電解質を0.01〜
0.5重量%(対ポリマー)配合してもよい。配合は、
分散質のEVOHを微粒子化する前でも後でもよい。
【0048】本発明の水性組成物は優れたガスバリヤー
性の皮膜を基材上に形成する塗布材料として特に有用で
あるが、その優れた力学的性能や化学的性能を生かし
て、他の用途、例えば粉霧乾燥して微粒子粉末にした
り、また塗料や接着剤のバインダーやビヒクルなど広範
囲に利用できる。
【0049】本発明の水性組成物には、必要に応じて本
発明の目的を妨げない範囲で通常の界面活性剤や保護コ
ロイドを添加することは可能である。また他の樹脂の水
性分散液、光あるいは熱等に対する安定剤、顔料、滑
剤、防黴剤あるいは造膜助剤などを添加することもでき
る。また本発明の分散安定剤は前記したEVOHの分散
安定剤として最適であるが、その他の有機材料(樹脂)
や無機材料の分散安定剤としても使用することができ
る。
【0050】本発明の水性組成物を基材表面に塗布する
方法としては、キャスティングヘッドからの吐出、ロー
ルコート、エアナイフコート、グラビアロールコート、
ドクターロールコート、ドクターナイフコート、カーテ
ンフローコート、スプレー、浸漬、刷毛塗りなど任意の
手段が例示される。このように塗布された基材を乾燥・
熱処理する方法としては乾熱処理法、たとえば赤外線照
射法、熱風乾燥法などが例示される。これらの赤外線照
射、熱風乾燥などはそれぞれ単独で使用してもよいし、
また併用することもできる。また乾燥・熱処理の温度は
30〜180℃であることが好ましく、下限値について
は50℃以上が好ましく、最適には80℃以上である。
また乾燥・熱処理の時間は5秒〜10分が好ましく、さ
らに好適には1〜5分である。乾燥・熱処理中は条件、
たとえば温度を増減させること、たとえば最初は低温で
処理し、徐々に温度を上昇させることなどは自由であ
る。このような乾燥・熱処理を施すことによりガスバリ
ヤー性の優れた皮膜が基材表面に形成される。
【0051】基材表面にはドライラミネーション法など
により接着剤を予め塗布乾燥、すなわちアンカーコート
することは好ましい。ドライラミネーション用接着剤と
しては層間接着力が充分であれば特に限定されるもので
はない。例えばポリウレタン系、ポリエステル系のドラ
イラミネート用接着剤が挙げられる。また、基材表面に
コロナ放電処理、スパッタリング処理、高周波処理、火
災処理、クロム酸処理、溶剤エッチング処理などや、こ
れらを組み合わせた表面処理を施しても構わない。
【0052】基材としては次のものが挙げられる。熱可
塑性樹脂のフィルム、例えば、プロピレンのホモポリマ
ーを主成分とする二軸延伸フィルム、ε−カプロラクタ
ムのホモポリマーおよびヘキサメチレンジアミンおよび
メタキシリレンジアミンなどのジアミン成分とアジピン
酸を主原料として得られるナイロンを主成分とする二軸
延伸フィルム、エチレングリコールとテレフタル酸やナ
フタレンジカルボン酸を主原料として得られるポリエス
テルを主成分とする二軸延伸フィルム、ビスフェノール
Aとホスゲンなどの炭酸誘導体を主原料として得られる
ポリカーボネートよりなるフィルム、塩化ビニルを主原
料とし、塩化ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アク
リル酸エステル等を共重合させたポリ塩化ビニリデンよ
りなる二軸延伸フィルム、スチレンのホモポリマーおよ
びスチレンを主原料としブタジエン、アクリロニトリ
ル、等を共重合させたポリスチレンの二軸延伸フィル
ム、圧延または二軸延伸高密度ポリエチレンフィルム等
が挙げられる。
【0053】また、上記フィルム以外の各種成形品(シ
ート、カップ、ボトルなど)も好適なものとして挙げら
れ、また繊維集合体(紙、不織布、織布、ファイブラス
ケーシングなど)、無機物(セメントなど)、金属、ポ
リ塩化ビニル樹脂製壁紙、写真印画紙なども挙げられ
る。
【0054】また本発明の水性組成物を塗布、乾燥・熱
処理したあとの皮膜の厚さは0.5〜15μmであるこ
とが好ましく、さらに好適には1〜10μm、最適には
2〜6μmである。
【0055】さらに、上記方法で得られた、基材と本発
明の水性組成物からなる皮膜形成層を含む積層体の構成
についても特に制限はなく、従来公知の方法で積層しさ
らに多層にすることができる。これらの方法として例え
ば、押出ラミネーション法、ドライミネーション法等が
挙げられる。
【0056】また、これらの積層化にあたり層間には接
着性樹脂の層をはさんで積層する通常の方法が採用され
る。接着性樹脂としては、実用段階でデラミネーション
を起こさないものであればよく、特に限定はされない
が、例えば不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフ
ィン系重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィンを主体とす
る共重合体)に化学的に(例えば付加飯能、グラフト反
応)結合させて得られる、カルボキシル基を含有する変
性オレフィン系重合体が挙げられる。具体的には無水マ
レイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グ
ラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変
性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイ
ン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体から選
ばれた1種または2種の混合物が挙げられる。また、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど
のグリシジル基を有する重合性不飽和化合物、メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン基を有する重合性不
飽和化合物など、グリシジル基、アルコキシシラン基な
どの変性オレフィン系重合体が挙げられる。これらの官
能基は複数組み合わせてもよい。具体的にはグリシジル
変性ポリエチレン、グリシジル変性ポリプロピレン、グ
リシジル変性エチレン−アクリル酸エチル共重合体、グ
リシジル変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、アルコキ
シシラン変性ポリエチレン、アルコキシシラン変性ポリ
プロピレン、アルコキシシラン変性エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体から選ばれた1種または2種の混合物が挙げ
られる。その他、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒ
ドロキシカルボン酸を構成成分としたポリエステル系樹
脂も接着性樹脂として挙げられる。
【0057】ドライラミネート法を採用する場合には、
前述と同様のドライラミネート用接着剤が使用でき、特
に限定されるものではない。
【0058】これらの方法により製造された該積層体
(フィルム、シート等)から構成される容器(袋、カッ
プ、チューブ、トレー、ボトル等)は一般食品包装用、
医薬品包装用、レトルト食品包装用として極めて好適で
ある。
【0059】以下、実施例により本発明を説明するが、
本発明はこれによってなんら制限を受けるものではな
い。
【0060】
【実施例】
実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウムがEVOHに対し1.2モル%ランダム共重合
されたエチレン含量33モル%、けん化度99.6モル
%、重合度800のイオン変性EVOHを10重量%
(以下濃度の重量%を単に%と記す)含有する水/メチ
ルアルコール=50/50(重量比)の混合溶剤50重
量部(以下重量部を単に部と記す)をエチレン含量32
モル%、けん化度99.5モル%、重合度1000の通
常のEVOH28部と水100部とメチルアルコール1
00部に添加混合し65℃で加熱撹拌溶解した。
【0061】この溶液を撹拌下に10℃まで冷却し、粒
子を析出させ、分散液を得た。平均粒径は0.7μmで
あった。次いでこの分散液を撹拌下に20℃で減圧蒸発
させメチルアルコールを留去した。メチルアルコール留
去過程でも粒子の凝集はほとんど見られず安定で、平均
粒子径が0.7μm、固形分濃度26%の水性分散液を
得た。また放置安定性も良好で、40℃で10日の放置
試験でも凝集はほとんど認められなかった。
【0062】一方、撹拌機付き容器にモンモリロナイト
(クニミネ工業(株)、クニピア−F)3部を濃度1重
量%の水分散液になるように水を添加後、撹拌し、モン
モリロナイトのコロイドを調整した。
【0063】次いで、上記の水性分散液のモンモリロナ
イトのコロイドを撹拌下に添加し、水性組成物を得た。
放置安定性は良好であった。この水性組成物を、基材と
して二軸延伸ポリプロピレンフィルム(膜厚20μm、
東京セロハン紙(株))のプライマー処理面にウレタン
系アンカーコート剤(東洋モートン(株)AD335A
/CAT10)を塗布したものを使用し、エアナイフコ
ート法により塗布して110℃、5分間乾燥・熱処理
し、多層フィルムを得た。続いて該多層フィルム(EV
OH層厚み3μm)の酸素バリアー性(Modern
Control社のOX−TRAN 10/50A使
用、測定条件は20℃、85%RH)を測定したとこ
ろ、酸素透過量が、8.1cc/m2・day・atm
で、食品包装材として良好なバリアー性を示した(以
下、酸素透過量の測定条件および単位は同一である)。
また、該水性組成物の塗布、乾燥した層の表面および断
面の光学顕微鏡観察(倍率10倍)からは、モンモリロ
ナイトの凝集物あるいは局所的な塊状物はみとめられな
かった。
【0064】実施例2 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カ
リウムがEVOHに対し0.3モル%ランダム共重合さ
れたエチレン含量22モル%、けん化度99.6モル
%、重合度600の水/エチレンアルコ−ル=40/6
0の混合溶剤(濃度10%)50部をエチレン含量27
モル%、けん化度99.4モル%、重合度900の通常
のEVOHの水/エチルアルコール=40/60の混合
溶剤(濃度10%)140部に添加混合し70℃で加熱
撹拌溶解した。
【0065】この溶液を撹拌下で8℃まで冷却し、粒子
を析出させ、分散液を得た。平均粒径は0.5μmであ
った。次いでこの分散液を25℃で撹拌下に減圧蒸発さ
せエチルアルコールを留去した。平均粒子径が0.5μ
m、固形分濃度23%の水性分散液を得た。
【0066】次に、撹拌機付き容器にモンモリロナイト
(クニミネ工業(株)製、クニピア−F)1.7部を濃
度1重量%の水分散液になるように水を添加後、撹拌
し、モンモリロナイトのコロイドを調整した。そして、
上記の水性分散液にモンモリロナイトのコロイドを撹拌
下に添加し、水性組成物を得た。放置安定性は良好であ
った。
【0067】実施例3 アリルスルホン酸ナトリウムがEVOHに対し0.8モ
ル%ランダム共重合され、エチレン含量25モル%、け
ん化度99.3モル%、重合度400のイオン変性EV
OH250部に水1900部を加え溶解した溶液を調整
した。この溶液中に高速撹拌機を浸漬し5000rpm
で撹拌しながらエチレン含量27モル%、けん化度9
9.6モル%、重合度1100の通常のEVOHを水/
イソプロピルアルコール=30/70の混合溶剤に溶解
した濃度10%の溶液5000部に滴下し、粒子を析出
させ分散液を得た。平均粒径は0.9μmであった。
【0068】次いでこの分散液を20℃で減圧蒸発させ
イソプロピルアルコールを留去し、平均粒子径が0.9
μm、固形分濃度21%の水性分散液を得た。減圧蒸留
過程で粒子の肥大化もほとんどなく、安定な水性分散液
であった。
【0069】続いて、実施例1と同様にして、モンモリ
ロナイトのコロイド(65部を用いた濃度1重量%の水
分散液)を配合した水性組成物を得て、同様の多層フィ
ルムを作成し、測定、観察をおこなった。酸素透過量は
6.3cc/m2・day・atmで、食品包装材とし
て良好なバリアー性を示し、また、該水性組成物の塗
布、乾燥した層にはモンモリロナイトの凝集物あるいは
局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0070】実施例4 EVOHの水酸基へのマイケル付加反応により2−メタ
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウ
ムを付加導入した、エチレン含量33モル%、けん化度
99.6モル%、重合度1000のEVOH300部と
を分散安定剤として、エチレン含量33モル%、けん化
度99.5モル%、重合度1010の通常のEVOH1
000部と水/メチルアルコール=100/100の混
合溶剤10000部と混合し加熱溶解した。
【0071】この溶液を撹拌下に15℃まで冷却し、粒
子を析出させ、分散液を得た。次いでこの分散液を減圧
蒸発させメチルアルコールを留去した。平均粒子径が
0.8μm、固形分濃度22%の水性分散液を得た。
【0072】続いて、実施例1同様にして、モンモリロ
ナイトのコロイド(110部を用いた濃度1重量%の水
分散液)を配合した水性組成物を得て、同様の多層フィ
ルムを作成し、測定、観察をおこなった。酸素透過量は
11.6cc/m2・day・atmで、食品包装材と
して良好なバリアー性を示し、また、該水性組成物の塗
布、乾燥した層にはモンモリロナイトの凝集物あるいは
局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0073】実施例5 イタコン酸ナトリウムがEVOHに対し5.8モル%ラ
ンダム共重合されたイオン変性EVOHを用いた以外は
実施例1と同様の操作により、モンモリロナイトのコロ
イドを配合した水性組成物を得て、同様の多層フィルム
を作成し、測定、観察をおこなった。酸素透過量は1
0.1cc/m2・day・atmで、食品包装材とし
て良好なバリアー性を示し、また、該水性組成物を塗
布、乾燥した層にはモンモリロナイトの凝集物あるいは
局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0074】比較例1 実施例1でモンモリロナイトのコロイドを配合を行わな
かった以外は実施例1と同様にして、多層フィルムを作
成し測定をおこなった。酸素透過量は18.0cc/m
2・day・atmであり、実施例1よりは低いガスバ
リヤー性に留まった。
【0075】実施例6 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウムがEVOHに対し0.5モル%ランダム共重合
されたエチレン含量34モル%、けん化度99.4モル
%、重合度1100のイオン変性EVOH50部を水/
メチルアルコール=30/70の混合溶剤600部に添
加混合し65℃で加熱撹拌溶解した。
【0076】この溶液を撹拌下に10℃まで冷却し、粒
子を析出させ、分散液を得た。平均粒子径は0.6μm
であった。次いでこの分散液を撹拌下に減圧蒸発させメ
チルアルコールを留去した。メチルアルコール留去過程
でも粒子の凝集はほとんどみられず安定で、平均粒子径
が0.6μm、固形分濃度27%のイオン変性EVOH
の水性分散液を得た。また放置安定性も良好で、40℃
で10日の放置試験でも凝集はほとんど認められなかっ
た。
【0077】一方、撹拌機付き容器にモンモリロナイト
(クニミネ工業(株)、クニピア−F)5部を濃度1重
量%の水分散液になるように水を添加後、撹拌し、モン
モリロナイトのコロイドを調整した。
【0078】次いで、上記のイオン変性EVOHの水性
分散液にモンモリロナイトのコロイドを撹拌下に添加
し、水性組成物を得た。放置安定性は良好であった。こ
の水性組成物を基材として二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルム(膜厚20μm、東京セロハン紙(株))のプライ
マー処理面にウレタン系アンカーコート剤(東洋モート
ン(株)AD335A/CAT10)を塗布したものを
使用し、エアナイフコート法により塗布して110℃、
5分間乾燥・熱処理し、多層フィルムを得た。酸素透過
量は8.7cc/m2・day・atmで、食品包装材
として良好なバリアー性を示した(以下、酸素透過量の
測定条件および単位は同一である)。また、該水性組成
物の塗布、乾燥した層の表面および断面の光学顕微鏡観
察(倍率10倍)からは、モンモリロナイトの凝集物あ
るいは局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0079】実施例7 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カ
リウムがEVOHに対し1.2モル%ランダム共重合さ
れ、エチレン含量48モル%、けん化度99.2モル
%、重合度800のイオン変性EVOH50部を水/イ
ソプロピルアルコール=30/70の混合溶剤600部
に添加混合し70℃で加熱撹拌溶解した。
【0080】この溶液を撹拌下に5℃まで冷却し、粒子
を析出させ、分散液を得た。平均粒径は0.7μmであ
った。次いでこの分散液を撹拌下に減圧蒸発させイソプ
ロピルアルコールを留去した。イソプロピルアルコール
留去過程でも粒子の凝集はほとんど見られず安定で、平
均粒子径が0.7μm、固形分濃度23%のイオン変性
EVOHの水性分散液を得た。
【0081】次に、撹拌機付き容器にモンモリロナイト
(クニミネ工業(株)製、クニピア−F)5部を濃度1
重量%の水分散液になるように水を添加後、撹拌し、モ
ンモリロナイトのコロイドを調整した。そして、上記の
イオン変性EVOHの水性分散液にモンモリロナイトの
コロイドを撹拌下に添加し、水性組成物を得た。放置安
定性は良好であった。
【0082】実施例8 アリルスルホン酸ナトリウムがEVOHに対し0.6モ
ル%ランダム共重合され、エチレン含量28モル%、け
ん化度99.7モル%、重合度700のイオン変性EV
OH50部を水/イソプロピルアルコール=40/60
の混合溶剤500部に添加混合し75℃で加熱撹拌溶解
した。この溶液を撹拌下に20℃の水/イソプロピルア
ルコール=20/80の混合溶剤200部中に高速撹拌
機で撹拌しながら、粒子を析出させ、分散液を得た。平
均粒径は0.9μmであった。
【0083】次いでこの分散液を20℃で減圧蒸発させ
イソプロピルアルコールを留去し、平均粒子径が0.9
μm、固形分濃度20%のイオン変性EVOHの水性分
散液を得た。減圧蒸留過程で粒子の肥大化もほとんどな
く、安定な水性分散液であった。
【0084】続いて、実施例6同様にして、モンモリロ
ナイトのコロイドを配合した水性組成物を得て、同様の
多層フィルムを作成し、測定、観察をおこなった。酸素
透過量は6.5cc/m2・day・atmで、食品包
装材として良好なバリアー性を示し、また、該水性組成
物の塗布、乾燥した層にはモンモリロナイトの凝集物あ
るいは局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0085】実施例9 EVOHの水酸基へのマイケル付加反応により2−メタ
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウ
ムをEVOHに対し1.0モル%導入した、エチレン含
量34モル%、けん化度99.5モル%、重合度100
0のイオン変性EVOH50部を水/エチルアルコール
=50/50の混合溶剤400部に添加混合し70℃で
加熱撹拌溶解した。この溶液を実施例6と同様の方法で
分散およびエチルアルコールの留去を実施し、平均粒子
径が0.8μm、固形分濃度22%のイオン変性EVO
Hの水性分散液を得た。
【0086】続いて、実施例6同様にして、モンモリロ
ナイトのコロイドを配合した水性組成物を得て、同様の
多層フィルムを作成し、測定、観察をおこなった。酸素
透過量は12.0cc/m2・day・atmで、食品
包装材として良好なバリアー性を示し、また、該水性組
成物の塗布、乾燥した層にはモンモリロナイトの凝集物
あるいは局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0087】実施例10 イタコン酸ナトリウムがEVOHに対し0.6モル%ラ
ンダム共重合されたイオン変性EVOHを用いた以外は
実施例6と同様の操作により、モンモリロナイトのコロ
イドを配合した水性組成物を得て、同様の多層フィルム
を作成し、測定、観察をおこなった。酸素透過量は1
0.0cc/m2・day・atmで、食品包装材とし
て良好なバリアー性を示し、また、該水性組成物の塗
布、乾燥した層にはモンモリロナイトの凝集物あるいは
局所的な塊状物はみとめられなかった。
【0088】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば
使用時の安定性に優れた高固形分濃度の水性組成物が得
られ、かつ水性であるため環境の汚染等の問題もない利
点があり、また、各種基材上に塗布、乾燥により形成さ
れた皮膜は優れたガスバリヤー性、とくに高湿度下にお
けるガスバリヤー性、保香性および耐油・耐薬品性を示
し各種包装用として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 129/04 PET 6904−4J // B32B 27/28 102 6122−4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含量15〜65モル%のエチレ
    ン−ビニルアルコール系共重合体水性分散液と無機フィ
    ラーとからなる水性組成物。
  2. 【請求項2】 イオン性基を有する、エチレン含量10
    〜70モル%、けん化度80モル%以上の変性エチレン
    −ビニルエステル共重合体けん化物を分散性安定剤と
    し、エチレン含量15〜65モル%のエチレン−ビニル
    アルコール共重合体を分散質とする水性分散液と無機フ
    ィラーとからなる水性組成物。
  3. 【請求項3】 イオン性基を有するエチレン含量15〜
    65モル%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の
    水性分散液と無機フィラーとからなる水性組成物。
  4. 【請求項4】 基材に、請求項1〜3のいづれかひとつ
    の項に記載の水性組成物を塗布、乾燥して得られる皮膜
    層を有する積層体。
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