<定義>
本発明を説明し、その特許を主張するに当たり、下記の語法が、下記に記載される定義に従って使用される。
本明細書で用いる「プロドラッグ」という用語は、その完全な薬理作用を発揮するのに先立って化学的修飾を受ける任意の化合物と定義される。
本明細書で用いる「アミノ酸」という用語は、アミノ官能基及びカルボキシル官能基の両方を含み、該アミノ基及びカルボン酸基が、同じ炭素(アルファ炭素)に付着される任意の分子を包含する。アルファ炭素は、一つ又は二つのさらに別の有機置換基を有していてもよい。アミノ酸は、その3文字コード、1文字コード、又は、ある場合には、その側鎖の名称によって表示することが可能である。例えば、アルファ炭素に付着されるシクロヘキサン基を含む非天然アミノ酸は、「シクロヘキサン」又は「シクロヘキシル」と呼ばれる。本開示の目的のために、その立体化学形状を指定することの無いアミノ酸表示は、該アミノ酸のL形又はD形のいずれか、又は、ラセミ混合体を包含することが意図される。しかしながら、アミノ酸が、その3文字コードで表示され、且つ、上付き数字を含む場合(すなわち、Lys−1)、その表示は、該アミノ酸の天然のL形を指定することが意図され、一方、D形は、3文字コードと上付き数字の前に小文字dを含むことによって指定される(すなわち、dLys−1)。
本明細書で用いる「ヒドロキシル酸」という用語は、アルファ炭素のアミノ基をヒドロキシル基で置換するように修飾されたアミノ酸を指す。
本明細書で用いる「非コードアミノ酸」という用語は、下記の20種のアミノ酸:Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、TyrのいずれかのL異性体ではない任意のアミノ酸を包含する。
「ジペプチド」とは、α−アミノ酸又はα−ヒドロキシル酸が、ペプチド結合を介して別のアミノ酸に連結して生ずる結果である。
本明細書で用いる、「化学的切断」という用語は、それ以上いかなる表示も含まない場合、共有化学結合の破断をもたらす非酵素的反応を包含する。
「生物活性ポリペプチド」とは、インビトロ及び/又はインビボにおいて生物学的作用を及ぼすことが可能なポリペプチドを指す。
本明細書で用いる「アシル化」アミノ酸とは、その生産される手段は問わず、天然産のアミノ酸に対して非天然である、アシル基を含むアミノ酸である。アシル化アミノ酸及びアシル化ペプチドを生産する例示の方法は、当該技術分野で公知であるが、ペプチド中に含める前にアミノ酸をアシル化すること、又は、ペプチド合成し、次いで該ペプチドを化学的にアシル化することを含む。ある実施態様では、アシル基によって、ペプチドは、下記の内の一つ以上の実現が可能とされる:(i)循環半減期の延長、(ii)作用開始の遅延、(iii)作用持続時間の延長、(iv)DPP−IVなどのプロテアーゼに対する抵抗の向上、及び、(v)グルカゴンスーパーファミリーペプチド及び/又はオステオカルシンペプチド受容体に対する効力の増加。
本明細書で用いる「アルキル化」アミノ酸は、その生産される手段は問わず、天然産のアミノ酸に対して非天然である、アルキル基を含むアミノ酸である。アルキル化アミノ酸及びアルキル化ペプチドを生産する例示の方法は、当該技術分野で公知であるが、ペプチド中に含める前にアミノ酸をアルキル化すること、又は、ペプチド合成し、次いで該ペプチドを化学的にアキルル化することを含む。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、ペプチドのアルキル化は、ペプチドのアシル化と、同じでないにしても、類似の作用、例えば、循環半減期の延長、作用開始の遅延、作用持続時間の延長、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する抵抗の向上、及び、インスリンペプチド受容体に対する効力の増加、を実現すると考えられる。
本明細書で用いるペプチドに対する一般的参照は、アミノ及びカルボキシ末端を修飾させたペプチドを包含することが意図される。例えば、標準的アミノ酸を表示するアミノ酸配列は、N−及びC−末端の標準的アミノ酸の外、N−末端における対応するヒドロキシル酸、及び/又は、末端カルボン酸の代わりにアミド基を含むように修飾された、対応するC−末端アミノ酸を包含することが意図される。
本明細書で用いる「薬学的に許容される担体」という用語は、標準的薬学的担体であればいずれのものであってもよく、例えば、リン酸緩衝生理的食塩水、水、水中油又は油中水乳剤などの乳剤、及び、各種の湿潤剤が挙げられる。本用語はさらに、ヒトを含む動物において使用するために、米国連邦政府の規制当局によって承認されるか、又は、米国薬局方に列挙される媒体であれば、そのいずれのものも包含する。
本明細書で用いる「薬学的に許容される塩」という用語は、母体化合物の生物活性を保持し、生物学的に、又は他の点でも有害ではない、化合物の塩を指す。本明細書に開示される化合物の多くは、アミノ基及び/又はカルボキシル基、又は、それらに対して類似の基が存在するために、酸性及び/又は塩基性塩を形成することが可能である。
薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機及び有機塩基から調製することが可能である。無機塩から誘導される塩は、単に例示として述べると、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、一次、二次、及び三次アミンの塩が挙げられる。
薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機及び有機酸から調製されてもよい。無機酸から誘導される塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、p−トルエン−スルフォン酸、サリチル酸などが挙げられる。
本明細書で用いる「治療する」という用語は、特定の障害または病態の予防、または、特定の障害または病態に関連する症状の緩和、及び/又は、前記症状の防止または根絶を含む。例えば、本明細書で用いる「糖尿病を治療する」という用語は、一般に、グルコースの血中濃度を正常レベルの近くに維持することを指し、与えられる状況に応じて血中グルコース濃度を上げるか、又は下げることを含んでもよい。
本明細書で用いる、プロドラッグの「有効」量、又は「治療的有効量」とは、該プロドラッグが、無害でありながら、所望の作用を実現するのに十分な量を指す。例えば、一つの所望の作用は、それが可能であれば低血糖症を予防又は治療することと考えられる。「有効な」量は、被検体によってまちまちで、個体の年齢および一般的状態、投与方式などに応じて変動する。従って、正確な「有効量」を特定することは常に可能とは限らない。しかしながら、任意の個別症例における適切な「有効」量は、当業者であれば、通例の実験手技によって定めることが可能である。
「非経口的」という用語は、消化管を介さず、何らかの別ルート、例えば、皮下、筋肉内、脊髄内、または静脈内によることを意味する。
本明細書で用いる「同一性」という用語は、二つ以上の配列の間の類似性に関連する。同一性は、同一残基の数を残基の総数で割り、その商に100を掛けることによってパーセントが得られる。したがって、正確に同じ配列の二つのコピーは100%の同一性を有するが、一方、相互に対し、アミノ酸欠失、付加、又は置換を有する二つの配列は、それよりも低度の同一性を有する。当業者であれば、配列同一性を定量するために、いくつかのコンピュータプログラム、例えば、BLAST(Basic Local Alingment Search Tool,Altschul et al.(1993)J.Mol.Biol.215:403−410)のようなアルゴリスムを用いるものなどが利用可能であることを認識するであろう。
「グルカゴン関連ぺプチド」という用語は、グルカゴン、GLP−1、GLP−2、及びGIP受容体の内の任意の一つ以上に対する生物活性(アゴニスト又はアンタゴニストとして)を有するペプチドであって、天然グルカゴン、天然オキシントモジュリン、天然エキセンディン−4、天然GLP−1、天然GLP−2、又は天然GIPの内の少なくとも一つと、少なくとも40%の配列同一性(例えば、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%)を共有するようなペプチドを指す。別様に言及しない限り、グルカゴン関連ペプチド中のアミノ酸位置に対する参照は(例えば、プロドラッグ成分、結合体成分、親水性ポリマーの連結、アシル化又はアルキル化に関して)、いずれのものであれ、天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号701)に対する位置を指す。
「グルカゴンスーパーファミリーペプチド」という用語は、そのN−末端及びC−末端領域において構造が関連する一群のペプチドを指す(例えば、Sherwood et al.,Endocrine Reviews 21:619−670(2000)を参照されたい)。この群のメンバーとしては、全てのグルカゴン関連ペプチドの外、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH;配列番号719)、血管作動性腸管ペプチド(VIP;配列番号720)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド27(PACAP−27;配列番号721)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、ペプチドヒスチジンメチオニン(PHM;配列番号722)、セクレチン(配列番号723)、及び、これらの天然ペプチドに対し、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸置換を有するような類縁体、誘導体、及び結合体、が挙げられる。このようなペプチドは、グルカゴン受容体スーパーファミリーの受容体と相互作用する能力を保持すること(アゴニスト又はアンタゴニスト)が好ましい。別様に言及しない限り、グルカゴンスーパーファミリーペプチド中のアミノ酸位置に対する参照は(例えば、プロドラッグ成分、結合体成分、親水性ポリマーの連結、アシル化又はアルキル化に関して)、いずれのものであれ、天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号701)に対する位置を指す。代表的グルカゴンスーパーファミリーペプチドの整列に関しては図10を参照されたい。
「GLP−1アゴニスト」という用語は、2007年5月18日公開の国際公開第2007/056362号の実施例13に記載されるものと同様の、有効性確認済みのインビトロモデルアッセイによるcAMP生産に基づいて測定した場合、GLP−1受容体活性を刺激する化合物を指す。なお、この開示を参照により本出願に含めることをここに明言する。
本明細書で用いる「天然GLP−1」という用語は、GLP−1(7−36)アミド(配列番号704の配列から成る)、GLP−1(7−37)酸(配列番号703の配列から成る)、又は、これら二つの化合物の混合物を表示する総称である。本明細書で用いる、「GLP−1」への一般的参照は、それ以上の指定を含まない場合、天然GLP−1を意味することが意図される。
本明細書で用いる「グルカゴンペプチド」という用語は、配列番号701の天然グルカゴンペプチドの外、天然グルカゴン配列に対して一つ以上のアミノ酸修飾を有する、修飾誘導体を表示する総称であり、修飾としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、アミノ酸位置1、2、5、7、8、10、12、13、14、16、17、18、24、28、及び29における置換が挙げられる。一般に、数字によるある特定のアミノ酸位置に対する参照(例えば、位置28)は、天然グルカゴン(配列番号701)のその位置におけるアミノ酸、又は、その任意の類縁体の対応するアミノ酸を指す。例えば、「位置28」に対する参照は、配列番号701の第1アミノ酸が欠失されたグルカゴン類縁体では、対応する位置27を意味すると考えられる。同様に、「位置28」に対する参照は、配列番号701のN−末端の前に一つのアミノ酸が付加されたグルカゴン類縁体では、対応する位置29を意味すると考えられる。
本明細書で用いる「GLP−1ペプチド」という用語は、天然GLP−1の外、天然GLP−1配列に対し一つ以上のアミノ酸修飾を有する修飾誘導体を表示する総称である。
本明細書で用いるアミノ酸「修飾」とは、アミノ酸の置換、付加、又は欠失を指し、ヒトのタンパク質中に一般的に見出される20種のアミノ酸、および、非典型的または非天然産アミノ酸の内の任意のアミノ酸による、置換を含む。非典型的アミノ酸の市販の供給源としては、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)、ChemPep Inc.(Miami,FL)、およびGenzyme Pharmaceuticals(Cambridge,MA)が挙げられる。非典型的アミノ酸は、供給業者から購入してもよいし、新たに合成してもよいし、又は、天然のアミノ酸を化学的に修飾しても、又はそれらから誘導してもよい。アミノ酸修飾は、結合体成分に対するアミノ酸連結、例えば、アミノ酸の親水性ポリマー、アシル化、アルキル化、及び/又は、その他の化学的誘導体化が挙げられる。
本明細書で用いるアミノ酸の「置換」とは、一アミノ酸残基の、異なるアミノ酸残基による置換を指す。
本明細書で用いる「保存的アミノ酸置換」という用語は、本明細書では、下記の5群の内の一群内における交換と定義される。
I.小型の脂肪族で、非極性か、または僅かな極性を持つ残基:
Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.極性で、負荷電性の残基、およびそれらのアミド:
Asp、Asn、Glu、Gln;
III.極性で、正荷電性の残基:
His、Arg、Lys;オルニチン(Orn)
IV.大型で、脂肪族で、非極性の残基:
Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン
V.大型で、芳香族の残基:
Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
本明細書で用いる「キメラ2」という用語は、天然グルカゴンアミノ酸配列(配列番号701)が、下記の修飾を含む、グルカゴンペプチドを指す:位置17におけるGln、位置18のAla、位置20のLys、位置21のGlu、位置23のIle、及び位置24のAla,及びC−末端アミド。
本明細書で用いる総称「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、一般式H(OCH2CH2)kOH(kは少なくとも9)によって表される、分枝鎖又は直鎖形状を取る、エチレンオキシド及び水の縮合ポリマーの混合物を指す。それ以上の特定が無い場合、この用語は、500から80,000ダルトンの範囲から選ばれる平均総分子量を持つ、エチレングリコールのポリマーを含むことが意図される。「ポリエチレングリコール鎖」又は「PEG鎖」は、その、凡その平均分子量を示すために、数字接尾語と組み合わせて使用される。例えば、PEG−5,000は、約5,000ダルトンの平均総分子量を持つポリエチレングリコール鎖を指す。
本明細書で用いる「PEG化」という用語、および同様の用語は、ポリエチレングリコール鎖を連結することによってその天然状態から修飾されている化合物を指す。「PEG化ポリペプチド」とは、PEG鎖を共有結合させたポリペプチドである。
本明細書で用いる「リンカー」とは、二つの別々の実体を互いに結合する、結合手、分子、又は一群の分子である。リンカーは、二つの実体の間の最適間隔を実現してもよいし、或いはさらに、二つの実体の互いからの分離を可能とする不安定リンカーを供給してもよい。不安定結合としては、光分断基、酸不安定成分、塩基不安定成分、および酵素切断可能基が挙げられる。
本明細書で用いる「二量体」とは、リンカーを介して互いに共有結合される二つサブユニットを含む複合体である。それ以上の特徴説明無く使用される場合、二量体という用語は、ホモ二量体とヘテロ二量体の両方を包含する。ホモ二量体は、二つの同一サブユニットを含み、一方、ヘテロ二量体は、異なるが、事実上互いに近似する、二つのサブユニットを含む。。
本明細書で用いる、nが1から6までであってもよい「C1−Cnアルキル」という用語は、1から指定数までの炭素原子を有する、分枝状又は直鎖状アルキル基を表す。典型的C1−C6アルキル基としては、ただしこれらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
本明細書で用いる、nが2から6までであってもよい「C2−Cnアルケニル」という用語は、2から指定数の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を有する、オレフィン的に不飽和な、分枝状又は直鎖状アルキル基を表す。このような基の例としては、ただしこれらに限定されないが、1−プロペニル、2−プロペニル(−CH2−CH=CH2)、1,3−ブタジエニル、(−CH=CHCH=CH2)、1−ブテニル(−CH=CHCH2CH3)、ヘキセニル、ペンテニルなどが挙げられる。
nが2から6までであってもよい「C2−Cnアルキニル」という用語は、2からn個の炭素原子、及び、少なくとも一つの3重結合を有する、不飽和の、分枝状又は直鎖状の基を表す。このような基の例としては、ただしこれらに限定されないが、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニルなどが挙げられる。
本明細書で用いる「アリール」という用語は、例えば、ただしこれらに限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含む、一つ又は二つの芳香環を有する単環又は二環の炭素環系を指す。アリール環のサイズ、及び、置換基又は連結基の存在は、存在する炭素の数を表示することによって示される。例えば、「(C1−C3アルキル)(C6−C10アリール)」という用語は、1〜3員のアルキル鎖を介して、母体成分に付着される、6〜10員のアリールを指す。
本明細書で用いる「ヘテロアリール」という用語は、一つ又は二つの芳香環、及び、芳香環の中に少なくとも一つの窒素、酸素、又は硫黄を含む、単環又は二環の系を指す。ヘテロアリール環のサイズ、及び、置換基又は連結基の存在は、存在する炭素の数を表示することによって示される。例えば、「(C1−Cnアルキル)(C5−C6ヘテロアリール)」という用語は、1〜「n」員のアルキル鎖を介して、母体成分に付着される、5又は6員のヘテロアリールを指す。
本明細書で用いる「ヘテロアルキル」という用語は、構造の主鎖の中に指定数の炭素原子及び少なくとも一つのヘテロ原子を含む、直鎖又は分枝鎖状炭化水素を指す。本発明の目的のために適切なヘテロ原子は、N、S、及びOを含むが、ただしこれらに限定されない。
本明細書で用いる「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から成る群から選ばれる一つ以上のメンバーを指す。
本明細書で用いる「荷電アミノ酸」という用語は、生理的pHの水溶液において負に帯電(すなわち、脱プロトン化)、または正に帯電(すなわち、プロトン化)する側鎖を含むアミノ酸を指す。例えば、負荷電アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、およびホモグルタミン酸を含み、一方、正荷電アミノ酸は、アルギニン、リシン、およびヒスチジンを含む。荷電アミノ酸は、ヒトタンパク質の中に一般的に見出される20種のアミノ酸の中の荷電アミノ酸の外、非典型的な、すなわち、非天然産のアミノ酸も含む。
本明細書で用いる「酸性アミノ酸」という用語は、第2の酸性成分(すなわち、全てのアミノ酸が所有するα−カルボキシル基以外のもの)、例えば、カルボン酸、またはスルフォン酸基、を含むアミノ酸を指す。
本明細書で用いる「患者」という用語は、それ以外に表示の無い場合、飼養される、任意の温血脊椎動物(例えば、ただしこれらに限定されないが、家畜、ウマ、ネコ、イヌ、及びその他のペット)及びヒトを包含することが意図される。
<実施態様>
本開示は、病気、例えば、糖尿病、肥満症の治療に有用な生物活性ポリペプチドのプロドラッグ誘導体の処方を記載する。より詳細には、本明細書に記載されるプロドラッグは、生物活性母体ペプチド又はタンパクの半減期を延長し、一方、その後で、非酵素的分解機構による該プロドラッグの活性化を可能とするように処方される。理想的プロドラッグは、生理的条件(例えば、pH7.2、37℃)で水に可溶であり、長期保存のために粉末状で安定でなければならない。該プロドラッグはさらに、免疫学的に不活性であり、母体薬剤に比べ低い活性を提示するものでなければならない。ある実施態様では、プロドラッグは、母体薬剤の活性の10%以下しか発揮しない。ある実施態様では、プロドラッグは、母体薬剤に対し、約10%未満、約5%未満、約1%、又は約1%未満の活性しか発揮しない。さらに、プロドラッグは、生体に注入されると、定められた期間内に活性薬剤に変換されなければならない。本明細書に開示されるように、本出願人らは、グルカゴン関連ペプチド、及びオステオカルシンを含むグルカゴンスーパーファミリーペプチド、及び、これらの目的のそれぞれを満たす、これらのポリペプチドの類縁体、誘導体、及び結合体から成る群から選ばれる、公知の生物活性ポリペプチドの、プロドラッグを生産するための一般的技術を提供してきた。
より詳細には、グルカゴン関連ペプチド、若しくはオステオカルシン、又はその類縁体、誘導体、若しくは結合体を含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの配列であって、アミド連結を介して該ペプチドにジペプチドプロドラッグ要素を共有結合させるように修飾される配列を含む、化学的に変換が可能なプロドラッグが提供される。グルカゴンスーパーファミリーペプチドの活性部位に対するジペプチドプロドラッグ要素の共有結合による付着は、該ポリペプチドの活性を、ジペプチドプロドラッグ要素が切り離されるまで抑制する。ある実施態様では、「非酵素的活性化半減期」(t1/2)が生理的条件下で約1から約720時間であるプロドラッグが提供される。本明細書に開示される生理的条件とは、約35から40℃の温度、及び約7.0から約7.4のpHを含み、より典型的には、7.2から7.4のpH、及び36から38℃の温度を含むことが意図される。
有利なことに、プロドラッグの切断、したがって活性化の速度は、ジペプチプロドラッグ要素の構造及び立体化学に依存する。本明細書に開示されるプロドラッグは、最終的に、該薬剤の天然受容体によって認識される構造に化学的に変換されるが、その際、この化学的変換の速度が、インビボでの生物作用の開始時間及び持続時間を決定する。本出願に開示される分子設計は、別に付加される添加剤、又は酵素には依存しない分子内化学反応に依存する。変換速度は、ジペプチド置換基の化学的性質、および、生理的条件下におけるその切断によって調節される。生理的pH及び温度は、高度に画定される範囲内に納まるように緊密に制御されているので、ジペプチド/薬剤複合体から薬剤への変換速度は、患者内においても、患者間においても、高度の再現性を示す。
本明細書に開示されるように、プロドラッグ型であるがために、少なくとも1時間、ある実施態様では、約20時間を超える半減期を有するような、プロドラッグが提供される。ある実施態様では、プロドラッグの半減期は、約1、6、8、12、20、24、48、又は72時間である。ある実施態様では、プロドラッグの半減期は、100時間以上、例えば、最大168、336、504、672、又は720時間などであり、プロドラッグは、内在性の化学的不安定によって引き起こされる非酵素的反応を介して、生理的条件下に活性型に変換される。ある実施態様では、プロドラッグの非酵素的活性化のt1/2時間は、1−100時間の間であり、より典型的には12と72時間の間、例えば、12と48時間の間、48と72時間の間、及び、ある実施態様では、t1/2は、24−48時間の間である。プロドラッグを、37℃、pH7.2においてリン酸バッファー液(例えば、PBS)中でインキュベートすることによって測定した場合、1−100時間の間であり、より典型的には12と72時間の間、例えば、12と48時間の間、48と72時間の間、及び、ある実施態様では、t1/2は、24−48時間の間である。別の実施態様では、プロドラッグの非酵素的活性化のt1/2時間は、1と6時間の間、例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間である。別の実施態様では、プロドラッグの非酵素的活性化のt1/2時間は、6と24時間の間である。各種プロドラッグの半減期は、式t1/2=.693/kを用いて計算される。該式において、「k」は、プロドラッグの変性の一次速度定数である。ある実施態様では、プロドラッグの活性化は、アミド結合連結ジペプチドの切断後、及び、ジケトピペラジン又はジケトモルフォリン、及び活性ポリペプチドの放出後に起こる。生理的条件下に分子内分解を促進して生物活性ペプチドを放出する、天然アミノ酸、非コード及び/又は合成アミノ酸から構成される特異的ジペプチドが、既に特定されている。
ある実施態様によれば、構造A−B−Qを含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチド、又はオステオカルシン、又は、その類縁体、誘導体、若しくは結合体、のプロドラッグが提供される。この実施態様では、Qはペプチドであり、Aは、アミノ酸か又はヒドロキシ酸であり、Bは、N−アルキル化アミノ酸である。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。A及びBは、一緒になって、A−BとQのアミンとの間にアミド結合を形成することによってQに連結される、ジペプチドプロドラッグ要素を表す。ある実施態様では、A、B、又は、A−Bが連結されるQのアミノ酸の内の少なくとも一つは、非コードアミノ酸である。さらに、ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、QからのA−Bの化学的切断が、生理的条件下のPBS中で約1時間から約720時間以内に少なくとも約90%が完了するようなものが選ばれる。さらに別の実施態様では、ジペプチドのアミノ酸としては、生理的条件下のPBS中でのQからのA−Bの切断半減期が、DPP−IVプロテアーゼを含む溶液(例えば、ヒト血清を含む)におけるQからのA−Bの切断半減期の2倍から4倍以下となるようなものが選ばれる。
ある実施態様によれば、Qの脂肪族アミノ基(例えば、一次アミン)、例えば、アミノ酸側鎖のN−末端アミン又はアミノ基などは、アミド結合を介するジペプチドプロドラッグ要素の共有結合によって修飾される。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、直接的に又は連結成分を介して、Q中に存在するアミノ酸の側鎖アミノ基に連結される。ある実施態様では、連結成分は、アミン担持アシル基又はアルキル基を含む。ある実施態様では、位置10又は20においてアミノ酸に共有結合されるアシル基又はアルキル基を含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチド、例えば、グルカゴン関連ペプチド、が提供され、ここで、該アシル基又はアルキル基はさらに、アミド結合を介してそのアシル基又はアルキル基に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を含む。例えば、本実施態様は、プロドラッグが、直接的に又は連結基を介してQのアミノ基に連結され、アシル基又はアルキル基が、直接的に又は連結成分を介してプロドラッグに連結されることをその想定範囲とする。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、アミノ酸側鎖に直接的に連結され、ここで、該アミノ酸は、下記の一般構造を有する:
上式において、nは1−4の整数である。
それとは別に、ジペプチドプロドラッグ要素は、芳香族アミノ酸のアリール環上に存在するアミノ置換基、例えば、アミノ−Phe、アミノ−ナフチルアラニン、アミノトリプトファン、アミノ−フェニル−グリシン、アミノ−ホモ−Phe、及びアミノチロシンから成る群から選ばれる芳香族アミノ酸を含む、アミノ置換基に連結させることが可能である。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の一般構造を有するアミノ酸の芳香族アミノ基に連結される:
上式において、mは0から3の整数である。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の一般構造を有するアミノ酸の4−アミノ基に連結される:
上式において、mは0から3の整数である。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、リシンアミノ酸、又は4−アミノフェニルアラニン(天然のフェニルアラニン、又は生物活性ペプチドのチロシン残基の置換体)の芳香族アミノ酸の側鎖アミノ基に連結される。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、グルカゴンスーパーファミリーペプチド、例えば、グルカゴン関連ペプチド、又はオステオカルシン、又は、その類縁体、誘導体、又は結合体など、の内部アミノ酸上に存在する、一次アミンに連結される。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は一般構造A−Bを有し、ここで、Aは、アミノ酸か又はヒドロキシル酸であり、Bは、アミド結合を介してペプチドの一次アミノ基に結合されるN−アルキル化アミノ酸であり、この結合より、該ペプチドの対応プロドラッグがたらされる。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。ある実施態様では、A及びBは、A−Bジペプチドが、アミド結合を介してペプチドの一次アミンに結合された場合、該ペプチドからのA−Bの化学的切断が、生理的条件下のPBS中で約1時間から約720時間以内に少なくとも約90%が完了するようなものが選ばれる。ある実施態様では、A及び/又はBは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Aは、D立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Bは、L立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Aは、L立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Bは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。ある例示の実施態様では、Aは、D立体異性体配置を持つアミノ酸であり、Bは、D立体異性体配置を持つアミノ酸である。
ある実施態様によれば、ジペプチドプロドラッグ要素は、親水性成分を含むようにさらに修飾することが可能である。ある実施態様では、親水性成分は、ポリエチレングリコール鎖である。ある実施態様によれば、40k以上のポリエチレングリコール鎖が、ジペプチドプロドラッグ要素のA又はBアミノ酸の側鎖に共有結合される。別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、脂肪酸又は胆汁酸、またはその塩、例えば、C4からC30脂肪酸、C8からC24脂肪酸、コール酸、C4からC30アルキル、C8からC24アルキル、又は、胆汁酸のステロイド成分を含むアルキルによってアシル化又はアルキル化される。それとは別に、ジペプチドプロドラッグ要素は、デキストラン又は大型のポリエチレングリコール分子(例えば、80,000ダルトン以上)などの沈着タンパクに連結させることが可能であり、これは、ジペプチドの切断によって活性的生物活性ペプチドが放出されるまで、このプロドラッグを注入部位に封鎖するのに役立つ。ジペプチドプロドラッグのさらに別の修飾については、グルカゴン関連ペプチドに関するセクションにおいて後述される。
ジペプチドプロドラッグ要素は、付加的化学的添加剤又は酵素に依存しない分子内化学反応に基づいて切断されるように設計される。より詳細には、ある実施態様では、ジペプチド構造は、例えば、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)を含む、ほ乳類血清中に存在するペプチダーゼによる切断に抵抗するようなものが選ばれる。したがって、ある実施態様では、生物活性ペプチドからのジペプチドプロドラッグ要素の切断速度は、プロテアーゼ不在下に反応を実行するのに比べ、血清プロテアーゼの存在下に生理的条件を用いて反応が行われる場合、事実上増強されない(例えば、2倍を超えない)。したがって、生理的条件下のPBS中での生物活性ペプチドからのA−Bの切断半減期は、DPP−IVプロテアーゼを含む溶液中での、生物活性タンパクからのA−Bの切断半減期の、2倍、3倍、4倍、又は5倍を超えない。ある実施態様では、DPP−IVプロテアーゼを含む溶液は血清であり、より詳細には、ヒトの血清を含むほ乳類血清である。
ある実施態様によれば、ジペプチドプロドラッグ要素のA又はB、若しくは、A−Bが連結されるグルカゴンスーパーファミリーペプチドのアミノ酸は、非コードアミノ酸である。ある実施態様では、アミノ酸「B」は、N−アルキル化されているがプロリンではない。ある実施態様では、アミノ酸BのN−アルキル化されている基は、C1−C18アルキルであり、ある実施態様では、C1−C6アルキルである。
ある実施態様によれば、本明細書に開示されるジペプチドプロドラッグを含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのプロドラッグ誘導体は、該プロドラッグの活性化を遅らせる手段として、特異的DPP−IV阻害剤(例えば、Januva(登録商標)、Merck & Co,Inc)などのプロテアーゼ阻害剤と共に、共投与することが可能である。この実施態様では、プロドラッグ要素のアミノ酸としては、該ジペプチドが、DPP−IV切断のための受容可能な基質となるようなものが選ばれる。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。プロテアーゼ阻害剤は、別の組成物として投与することも可能であり、プロドラッグと及びプロテアーゼ阻害剤とを、単一の組成物として処方することも可能である。別々の組成物として投与される場合、プロテアーゼ阻害剤は、通常、プロドラッグの投与の1−5時間、1−2時間、30分、又は10分以内に投与される。ある実施態様では、二つの別々の組成物は、互いに直ぐ続けて投与される。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素(A−B)は、式Iの一般構造を有する:
上式において、
R
1、R
2、R
4、及びR
8は、それぞれ独立に、H、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
18アルキル)SH、(C
2−C
3アルキル)SCH
3、(C
1−C
4アルキル)CONH
2、(C
1−C
4アルキル)COOH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、(C
1−C
4アルキル)NHC(NH
2 +)NH
2、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6シクロアルキル)、(C
0−C
4アルキル)(C
2−C
5ヘテロ環)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、(C
1−C
4アルキル)(C
3−C
9ヘテロアリール)、及びC
1−C
12アルキル(W
1)C
1−C
12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、W
1は、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R
1及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になってC
3−C
12シクロアルキル又はアリールを形成するか;又は、R
4及びR
8は、それらが付着する原子と一緒になってC
3−C
6シクロアルキルを形成し;
R
3は、C
1−C
18アルキル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
18アルキル)NH
2、(C
1−C
18アルキル)SH、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6)シクロアルキル、(C
0−C
4アルキル)(C
2−C
5ヘテロ環)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、及び(C
1−C
4アルキル)(C
3−C
9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R
4及びR
3は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
R
5はNHR
6又はOHであり;
R
6は、H、C
1−C
8アルキルであるか、又は、R
6及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、H及びOHから成る群から選ばれる。
他の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素(A−B)は、式Iの一般構造を有し:
上式において、
R
1、R
2、R
4、及びR
8は、それぞれ独立に、H、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
18アルキル)SH、(C
2−C
3アルキル)SCH
3、(C
1−C
4アルキル)CONH
2、(C
1−C
4アルキル)COOH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、(C
1−C
4アルキル)NHC(NH
2 +)NH
2、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6シクロアルキル)、(C
0−C
4アルキル)(C
2−C
5ヘテロ環)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、(C
1−C
4アルキル)(C
3−C
9ヘテロアリール)、及びC
1−C
12アルキル(W
1)C
1−C
12アルキルから成る群から選ばれ、ここに、W
1は、N、S、及びOから成る群から選ばれるヘテロ原子であるか、又は、R
1及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になってC
3−C
12シクロアルキルを形成するか;又は、R
4及びR
8は、それらが付着する原子と一緒になってC
3−C
6シクロアルキルを形成し;
R
3は、C
1−C
18アルキル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
18アルキル)NH
2、(C
1−C
18アルキル)SH、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6)シクロアルキル、(C
0−C
4アルキル)(C
2−C
5ヘテロ環)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、及び(C
1−C
4アルキル)(C
3−C
9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R
4及びR
8は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;
R
5はNHR
6又はOHであり;
R
6は、H、C
1−C
8アルキルであるか、又は、R
6及びR
1は、それらが付着する原子と一緒になって、4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
ある実施態様では、R8はHであり、R5はNHR6である。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの一般構造を有し、ここで:
R1及びR8は、それぞれ独立に、H又はC1−C8アルキルであり;
R2及びR4は、それぞれ独立に、H、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、(C1−C4アルキル)OH、(C1−C4アルキル)SH、(C2−C3アルキル)SCH3、(C1−C4アルキル)CONH2、(C1−C4アルキル)COOH、(C1−C4アルキル)NH2、(C1−C4アルキル)NHC(NH2 +)NH2、(C0−C4アルキル)(C3−C6シクロアルキル)、(C0−C4アルキル)(C2−C5ヘテロ環)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7、及びCH2(C3−C9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R1及びR2は、それらが付着する原子と一緒になってC3−C12シクロアルキル又はアリールを形成し;
R5はNHR6であり;且つ、
R6は、H又はC1−C8アルキルである。
他の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、式Iの構造を有し、
ここで:
R1及びR8は、それぞれ独立に、H又はC1−C8アルキルであり;
R2及びR4は、それぞれ独立に、H、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、(C1−C4アルキル)OH、(C1−C4アルキル)SH、(C2−C3アルキル)SCH3、(C1−C4アルキル)CONH2、(C1−C4アルキル)COOH、(C1−C4アルキル)NH2、(C1−C4アルキル)NHC(NH2 +)NH2、(C0−C4アルキル)(C3−C6シクロアルキル)、(C0−C4アルキル)(C2−C5ヘテロ環)、(C0−C4アルキル)(C6−C10アリール)R7、及びCH2(C3−C9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R1及びR2は、それらが付着する原子と一緒になってC3−C12シクロアルキルを形成し;
R3は、C1−C18アルキルであり;
R5はNHR6であり;
R6は、H又はC1−C8アルキルであり;且つ、
R7は、水素、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、(C0−C4アルキル)CONH2、(C0−C4アルキル)COOH、(C0−C4アルキル)NH2、(C0−C4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
本開示にしたがって形成されるプロドラッグの半減期は、ジペプチドプロドラッグ要素の置換基及びその部位、並びに該ジペプチドが付着されるアミノ酸によって決定される。例えば、プロドラッグは、該ジペプチドプロドラッグ要素がN−末端アミノ酸のアルファアミノ基を介して連結されるような、グルカゴンスーパーファミリーペプチドを含んでもよい。この実施態様では、t
1/2が、例えば約1時間であるプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、C
1−C
18アルキル又はアリールであり;又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8はそれぞれ水素であり;且つ、
R
5はアミンである。
他の実施態様では、t
1/2が、例えば約1時間であるプロドラッグは、下記の構造を有し:
上式において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、C
1−C
18アルキル、又は(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7であるか;又は、R
1及びR
2は、−(CH
2)
p−を介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8はそれぞれ水素であり;
R
5はNH
2であり;且つ
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
さらに、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アルファアミノ酸に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば約6と約24時間の間であるプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル、及びアリールから成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって、4−12員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、及びアリールから成る群から選ばれ;且つ、R
5はアミンであるが、
ただし、R
1及びR
2は共に水素ではなく、R
4又はR
8の一方は水素であることを条件とする。
ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アルファアミノ酸に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば約12と約72時間の間、又は、ある実施態様では約12と約48時間の間、であるプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれるか;又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって、4−12員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれ;
R
5はNH
2であり;且つ
R
7は、H、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、
ただし、R
1及びR
2は共に水素ではなく、R
4又はR
8の少なくとも一方は水素であることを条件とする。
ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アミノ酸に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば約12と約72時間の間、又は、ある実施態様では約12と約48時間の間、であるプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、(C
1−C
4アルキル)NH
2から成る群から選ばれるか;又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
8アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4〜6員ヘテロ環を形成し;
R
4は、水素及びC
1−C
8アルキルから成る群から選ばれ;且つ、
R
5はNH
2であるが、
ただし、R
1及びR
2は共に水素ではないことを条件とする。
他の実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アミノ酸に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば、約12と約72時間の間、又は、ある実施態様では約12と約48時間の間、であるプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、(C
1−C
4アルキル)NH
2から成る群から選ばれ;
R
3はC
1−C
6アルキルであり;
R
4は、水素であり;且つ、
R
5はNH
2であるが、
ただし、R
1及びR
2は共に水素ではないことを条件とする。
ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アミノ酸に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば、約12と約72時間の間、又は、ある実施態様では約12と約48時間の間、であるプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素及びC
1−C
8アルキル、(C
1−C
4アルキル)NH
2から成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
8アルキルであり;
R
4は、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7であり;
R
5はNH
2であり、且つ、
R
7は、水素、C
1−C
8アルキル、及び(C
0−C
4アルキル)OHから成る群から選ばれるが、
ただし、R
1及びR
2は共に水素ではないことを条件とする。
ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。これらの実施態様のいずれにおいても、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、配列番号1−684、701−731、801−919、1001−1262、1301−1371、1401−1518、1701−1776、及び1801−1921のいずれかである。
さらに、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アルファアミノ酸に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば、約72と約168時間の間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は下記の構造を有する:
上式において、R
1は、水素、C
1−C
8アルキル及びアリールから成る群から選ばれ;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8は、それぞれ、水素であり;且つ、
R
5はアミンか、又はN−置換アミンか、又はヒドロキシルであるが、
ただし、R
1がアルキル又はアリールである場合、R
1及びR
5は、それらが付着する原子と一緒になって4〜11員ヘテロ環を形成することを条件とする。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は下記の構造を有し:
上式において、R
1は、水素、C
1−C
8アルキル、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれ;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8は、それぞれ水素であり;
R
5はNHR
6又はOHであり;
R
6は、H、C
1−C
8アルキルであるか、又はR
6及びR
1は、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、
ただし、R
1が、アルキル、又は(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7である場合、R
1及びR
5は、それらが付着する原子と一緒になって4〜11員ヘテロ環を形成することを条件とする。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの内部アミノ酸の側鎖アミンに連結される。この実施態様では、t
1/2が、例えば約1時間であるプロドラッグは、下記の構造を有し:
上式において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、C
1−C
8アルキル又はアリールであるか、又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8はそれぞれ水素であり;且つ、R
5はアミンである。
ある実施態様では、t
1/2が、例えば約1時間であるプロドラッグは、下記の構造を有し:
上式において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、C
1−C
8アルキル、又は(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7であるか;又は、R
1及びR
2は、−(CH
2)
p−を介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8はそれぞれ水素であり;
R
5はNH
2であり;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
さらに、t
1/2が、例えば、約6と約24時間の間であり、且つ、内部アミノ酸の側鎖に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有するプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、及びアリールから成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、−(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであるか、又はR
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4−12員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、C
1−C
18アルキル又はアリールであり;且つ、
R
5は、アミン又はN−置換アミンであるが、
ただし、R
1及びR
2が共に水素ではなく、R
4又はR
8の一方が水素であることを条件とする。
ある実施態様では、t
1/2が、約12と約72時間の間、又は、ある実施態様では約12と約48時間の間であって、内部アミノ酸の側鎖に連結するジペプチドプロドラッグ要素を有するプロドラッグは、下記の構造を有するジペプチドプロドラッグ要素を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、(CH
2)
p−を介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3はC
1−C
8アルキルであり、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4−12員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル、又は(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7であり;
R
5はNHR
6であり;
R
6は、H、又はC
1−C
8アルキルであるか、又は、R
6及びR
1は、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員ヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、
ただし、R
1及びR
2が共に水素ではなく、R
4又はR
8の少なくとも一方は水素であることを条件とする。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。
さらに、t
1/2が、例えば、約72から約168時間の間であって、且つ、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの内部アミノ酸の側鎖に連結されるジペプチドプロドラッグ要素を有するプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の構造を有し:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル及びアリールから成る群から選ばれ;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8は、それぞれ水素であり;且つ、
R
5は、アミン、又はN−置換アミン、又はヒドロキシルであるが;
ただし、R
1及びR
2が共に、それぞれ独立に、アルキル又はアリールである場合、R
1及びR
2は、(CH
2)
p−を介して連結され、前式においてpは2〜9である。
ある実施態様では、t
1/2が、例えば約72から約168時間であって、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの内部アミノ酸の側鎖に連結するジペプチドプロドラッグ要素を有するプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の構造を有し:
上式において、R
1は、水素、C
1−C
18アルキル、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれ;
R
3はC
1−C
18アルキルであり;
R
4及びR
8は、それぞれ水素であり;
R
5は、NHR
6又はOHであり;
R
6は、H、又はC
1−C
8アルキルであるか、又は、R
6及びR
1は、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれるが、
ただし、R
1及びR
2が共に、それぞれ独立に、アルキル又は(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7である場合、R
1又はR
2は、(CH
2)
p−を介してR
5に連結され、前式においてpは2〜9である。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。これらの実施態様のいずれにおいても、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、配列番号1−684、701−731、801−919、1001−1262、1301−1371、1401−1518、1701−1776、及び1801−1921のいずれかである。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの内部アミノ酸の側鎖アミンに連結され、ここで、内部アミノ酸は、式IIの構造を含み:
上式において、
nは、1から4から選ばれる整数である。ある実施態様ではnは3又は4であり、ある実施態様では、内部アミノ酸はリシンである。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの位置12、16、17、18、20、28、又は29に位置するアミノ酸の側鎖の一次アミンに連結される。ある実施態様では、12、16、17、18、20、28、又は29のアミノ酸は、式IIの構造を含み:
上式において、nは、1−4から選ばれる整数であり、ジペプチドプロドラッグ要素は、アミド結合を介して、アミノ酸側鎖に連結される。ある実施態様では、nは4であり、アミノ酸は、位置20に位置づけられる。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。
さらに別の実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドに対し、芳香族アミノ酸のアリール基上に存在するアミンを介して連結される。ある実施態様では、芳香族アミノ酸は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの内部アミノ酸であるが、しかし、この芳香族アミノ酸は、N−末端アミノ酸であってもよい。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。ある実施態様では、芳香族アミノ酸は、アミノ−Phe、アミノ−ナフチルアラニン、アミノトリプトファン、アミノ−フェニル−グリシン、アミノ−ホモ−Phe、及びアミノチロシンから成る群から選ばれる。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素とアミド結合を形成する一次アミンは、アリール基のパラ位置にある。ある実施態様では、芳香族アミノ酸は、式IIIの構造を含み:
上式において、mは1から3の整数である。
ジペプチドプロドラッグ要素が、芳香族アミノ酸のアリール基に存在するアミンを介してグルカゴンスーパーファミリーペプチドに連結される実施態様では、t
1/2が、例えば約1時間であるプロドラッグは、下記のジペプチド構造を有し:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、C
1−C
8アルキル又はアリールであり;
R
3は、C
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4−12員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル又はアリールから成る群から選ばれ;且つ、R
5は、アミン、又はヒドロキシルである。
ジペプチドプロドラッグ要素が、芳香族アミノ酸のアリール基に存在するアミンを介してグルカゴンスーパーファミリーペプチドに連結される、ある実施態様では、t
1/2が、例えば約1時間であるプロドラッグは、下記のジペプチド構造を有し:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル、又は(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7であり;
R
3はC
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4−12員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれ;
R
5は、NH
2又はOHであり;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。
さらに、芳香族アミノ酸を介して連結させたジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば約6時間から24時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドは、下記の構造を含み:
上式において、
R
1は、水素、C
1−C
18アルキル及びアリールから成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、−(CH
2)
pを介して連結され、前式においてpは2〜9であり;
R
3は、C
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4〜6員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
18アルキル及びアリールから成る群から選ばれ;且つ、R
5は、アミン又はN−置換アミンである。
ある実施態様では、芳香族アミノ酸を介して連結させたジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば、約6時間から24時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドは、下記の構造を含み:
上式において、
R
1は、水素、C
1−C
18アルキル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれ;
R
3は、C
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4〜6員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、水素、C
1−C
18アルキル、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれ;
R
5はNHR
6であり;
R
6は、H、C
1−C
8アルキルであるか、又は、R
6及びR
1は、それらが付着する原子と一緒になって4、5,又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
さらに、芳香族アミノ酸を介して連結させたジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば約72時間から約168時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドは、下記の構造を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、C
1−C
8アルキル又はアリールであり;
R
3はC
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4〜6員ヘテロ環を形成し;
R
4及びR
8は、それぞれ水素であり;且つ、
R
5は、アミン、N−置換アミン、及びヒドロキシルから成る群から選ばれる。
ある実施態様では、芳香族アミノ酸を介して連結させたジペプチドプロドラッグ要素を有し、t
1/2が、例えば、約72時間から約168時間であるプロドラッグが提供され、ここで、ジペプチドは、下記の構造を含み:
上式において、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素、C
1−C
8アルキル、(C
1−C
4アルキル)COOH、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7から成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
5は、それらが付着する原子と一緒になって4〜11員ヘテロ環を形成し;
R
3はC
1−C
18アルキルであるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって4〜6員ヘテロ環を形成し;
R
4は水素であるか、又は、R
3と共に4〜6員ヘテロ環を形成し;
R
8は水素であり;
R
5は、NHR
6か、又はOHであり;
R
6は、H又はC
1−C
8アルキルであるか、又は、R
6及びR
1は、それらが付着する原子と一緒になって4、5、又は6員ヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。
ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素は、芳香族アミノ酸のアリール置換基として存在する一次アミンを介して該芳香族アミノ酸に連結され、ここで、該芳香族アミノ酸は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの位置10、13、22、又は25に位置づけられる(グルカゴンの順序番号に基づく、例えば、図10参照)。ある実施態様では、ジペプチドプロドラッグ要素の連結された芳香族アミノ酸は、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの位置22に位置づけられる。
ある実施態様によれば、ジペプチドプロドラッグ要素は、例えばグルカゴン関連ペプチド、又はオステオカルシンの外、それらの類縁体、誘導体、及び結合体を含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アミンに連結され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の構造を含み:
上式において、R
1は、H、又はC
1−C
8アルキルから成る群から選ばれ;
R
2及びR
4は、それぞれ独立に、H、C
1−C
8アルキル、C
2−C
8アルケニル、(C
1−C
4アルキル)OH、(C
1−C
4アルキル)SH、(C
2−C
3アルキル)SCH
3、(C
1−C
4アルキル)CONH
2、(C
1−C
4アルキル)COOH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、(C
1−C
4アルキル)NHC(NH
2 +)NH
2、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6シクロアルキル)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、CH
2(C
5−C
9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になってC
3−C
6シクロアルキルを形成し;
R
3は、C
1−C
8アルキル、(C
3−C
6)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R
4及びR
3は、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
R
5は、NHR
6か、又はOHであり;
R
6はHであるか、又は、R
6及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、H及びOHから成る群から選ばれる。ある実施態様では、R
1は、H又はC
1−C
8アルキルであり、R
2は、H、C
1−C
6アルキル、CH
2OH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、(C
3−C
6シクロアルキル)、及びCH
2(C
6アリール)R
7から成る群から選ばれるか、又は、R
6及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し、R
3はC
1−C
6アルキルであり、且つ、R
4は、H、C
1−C
4アルキル、(C
3−C
6シクロアルキル)、(C
1−C
4アルキル)OH、(C
1−C
4アルキル)SH、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6アリール)R
7から成る群から選ばれるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。さらに別の実施態様では、R
5はCH
3であり、R
5はNHR
6であり、さらに別の実施態様では、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し、且つ、R
5はNHR
6である。
別の実施態様によれば、ジペプチドプロドラッグ要素は、例えばグルカゴン関連ペプチド、又はオステオカルシンの外、それらの類縁体、誘導体、及び結合体を含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端アミンに連結され、ここで、ジペプチドプロドラッグ要素は、下記の構造を含み:
上式において、R
1は、H及びC
1−C
8アルキルから成る群から選ばれ;
R
2及びR
4は、それぞれ独立に、H、C
1−C
8アルキル、C
2−C
8アルケニル、(C
1−C
4アルキル)OH、(C
1−C
4アルキル)SH、(C
2−C
3アルキル)SCH
3、(C
1−C
4アルキル)CONH
2、(C
1−C
4アルキル)COOH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、(C
1−C
4アルキル)NHC(NH
2 +)NH
2、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6シクロアルキル)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、CH
2(C
5−C
9ヘテロアリール)から成る群から選ばれるか、又は、R
1及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になってC
3−C
6シクロアルキルを形成し;
R
3は、C
1−C
8アルキル、(C
3−C
6)シクロアルキルから成る群から選ばれるか、又は、R
4及びR
3は、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;
R
5は、NHR
6か、又はOHであり;
R
6はHであるか、又は、R
6及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になって5又は6員のヘテロ環を形成し;且つ、
R
7は、水素、C
1−C
18アルキル、C
2−C
18アルケニル、(C
0−C
4アルキル)CONH
2、(C
0−C
4アルキル)COOH、(C
0−C
4アルキル)NH
2、(C
0−C
4アルキル)OH、及びハロから成る群から選ばれる。ある実施態様では、R
1は、H又はC
1−C
8アルキルであり、R
2は、H、C
1−C
6アルキル、CH
2OH、(C
1−C
4アルキル)NH
2、(C
3−C
6シクロアルキル)、及びCH
2(C
6アリール)R
7から成る群から選ばれるか、又は、R
6及びR
2は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し、R
3はC
1−C
6アルキルであり、且つ、R
4は、H、C
1−C
4アルキル、(C
3−C
6シクロアルキル)、(C
1−C
4アルキル)OH、(C
1−C
4アルキル)SH、及び(C
0−C
4アルキル)(C
6アリール)R
7から成る群から選ばれるか、又は、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成する。さらに別の実施態様では、R
3はCH
3であり、R
5はNHR
6であり、さらに別の実施態様では、R
3及びR
4は、それらが付着する原子と一緒になって5員のヘテロ環を形成し、且つ、R
5はNHR
6である。
ある実施態様では、Qは、配列番号1−684、701−731、801−919、1001−1262、1301−1371、1401−1518、1701−1776、及び1801−1921のいずれかである。
<グルカゴン関連ペプチド>
ある態様では、本開示は、グルカゴン関連ペプチド(表示の基「Q」の一部として)に関する。グルカゴン関連ペプチドという用語は、グルカゴン、GLP−1、GLP−2、及びGIP受容体の内の、いずれか一つ以上に対して生物活性(アゴニスト又はアンタゴニストとして)を発揮するペプチドであって、天然グルカゴン、天然オキシントモジュリン、天然エキセンディン−4、天然GLP−1、天然GLP−2、又は天然GIPの内の少なくとも一つと、少なくとも40%(例えば、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%)の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含む。グルカゴン関連ペプチドの、可能な活性サブセットは全て考慮の対象となること、例えば、グルカゴン、又はGLP−1、又はGLP受容体の内のいずれか一つ以上に対して生物活性(アゴニスト又はアンタゴニストとして)を発揮するペプチドの外、上に掲げた天然ペプチドそれぞれに対する配列同一性の可能なサブセットの全て、例えば、天然グルカゴンに対し、天然グルカゴンの全長に亘って、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含むものは、全て考慮の対象とされることを理解しなければならない。本発明のある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドとは、グルカゴン受容体活性、GIP受容体アゴニスト活性、グルカゴン受容体/GLP−1受容体コアゴニスト(co−agonist)活性、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性、又は、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性及びGLP−1受容体コアゴニスト活性、を有するペプチドである。ある実施態様では、ペプチドは、分子のC−末端半分においてアルファ−ヘリックス構造を保持する。ある実施態様では、ペプチドは、受容体相互作用又はシグナル伝達に与る位置、例えば、グルカゴンの位置3、又は、(1−37)GLP−1の位置7、10、12、13、15、又は17を保持する。したがって、グルカゴン関連ペプチドは、クラス1、クラス2、クラス3、クラス4、及び/又はクラス5のペプチドであってもよい。なお、各クラスについてはさらに後述する。
ある実施態様によれば、ジペプチドプロドラッグ要素は、アミド結合を介して、生物活性化合物のいずれに対しても付着させることが可能であり、そのような化合物は、既に下記の国際公開に開示される:PCT/US2008/08608(2008年1月3日出願)、PCT/US2008/053857(2008年2月13日出願)、PCT/US2009/47437(2009年6月16日出願)、PCT/US2009/47438(2009年6月16日出願)、PCT/US2009/47447(2009年6月16日出願)、PCT/US2008/080973(2008年10月23日出願)、及びPCT/US2008/081333(2008年10月27日出願)。なお、これらの開示を、引用により本出願に含めることをここに明言する。本明細書に開示されるジペプチドプロドラッグ要素は、ある例示の実施態様では、PCT/US2008/08608、PCT/US2008/053857、PCT/US2009/47437、PCT/US2009/47438、PCT/US2009/47447、PCT/US2008/080973、及びPCT/US2008/081333に開示される生物活性ペプチドに対し、N−末端アミンを介して連結されてもよいし、若しくは、上に開示の任意の生物活性ペプチドの、位置20のリシンの側鎖アミノ基に、又は、位置22のアミノ酸に代わる、4−アミノフェニルアラニンの芳香族アミノ基に連結されてもよい。ある例示の実施態様では、本明細書に開示されるジペプチドプロドラッグ要素は、PCT/US2008/08608、PCT/US2008/053857、PCT/US2009/47437、PCT/US2009/47438、及びPCT/US2009/47447、PCT/US2008/080973、及びPCT/US2008/081333に開示される生物活性ペプチドのN−末端アミンに、アミド結合を介して連結される。ある実施態様では、グルカゴンスーパーファミリーペプチドは、配列番号1−684、701−731、801−919、1001−1262、1301−1371、1401−1518、1701−1776、及び1801−1921のいずれかである。
<修飾>
グルカゴン関連ペプチドは、修飾を有する、天然グルカゴンのアミノ酸配列(配列番号701)を含むことが可能である。例示の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴン配列に対し、合計1個、最大2個、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、又は最大10個のアミノ酸修飾、例えば、保存的又は非保存的置換、を含んでもよい。本明細書に記載される修飾及び置換は、ある態様では、グルカゴン関連ペプチド内の特定位置において実行されるが、その位置の順序番号は、グルカゴンの順序番号(配列番号701)に対応する。ある実施態様では、1、2、3、4、又は5個の非保存的置換が、位置2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29のいずれかにおいて実行されるが、これらの位置のいずれかにおいて、最大5個の保存的置換をさらに実行される。ある実施態様では、1、2、又は3個のアミノ酸修飾が、位置1−16のアミノ酸内部において実行され、1、2、又は3個のアミノ酸修飾が、位置17−26のアミノ酸内部において実行される。ある実施態様では、これらのグルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンの対応する位置における天然アミノ酸の内、少なくとも22、23、24、25、26、27、又は28を保持する(例えば、天然グルカゴンに対し1−7、1−5、又は1−3個の修飾を有する)。
<DPP−IV耐性>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断感受性を下げるために、位置1又は2における修飾を含む。より詳細には、ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドの位置1(例えば、図10のものから選ばれる)は、D−ヒスチジン、アルファ・アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。より詳細には、ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドの位置2はD−セリンではない。
<親水性成分>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチド(例えば、クラス1グルカゴン関連ペプチド、クラス2グルカゴン関連ペプチド、クラス3グルカゴン関連ペプチド、クラス4グルカゴン関連ペプチド、又はクラス5グルカゴン関連ペプチド)は、親水性成分に付着(共有結合)される。親水性成分は、タンパクを活性化ポリマー分子と反応させるのに好適な条件であるならば、いずれの条件下であってもグルカゴン関連ペプチドに付着させることが可能である。当該技術分野で公知の任意の手段、アシル化、還元的アルキル化、マイケル付加、チオールアルキル化、又は、PEG成分の反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、またはヒドラジノ基)の、標的化合物における反応基(例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、またはヒドラジノ基)に対する反応を介する、他の化学選択的結合体形成/ライゲーション法などの手段を使用することが可能である。水溶性ポリマーを一つ以上のタンパクに連結させるために使用することが可能な活性基としては、ただしこれらに限定されないが、スルフォン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジジリン、オキシラン、及び5−ピリジルが挙げられる。還元的アルキル化によってペプチドに付着される場合、選ばれるポリマーは、重合の程度が調節可能となるように、単一の反応性アルデヒドを有していなければならない。例えば、Kinstler et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.54:477−485(2002);Roberts et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.54:459−476(2002);及び、Zalipsky et al.,Adv.Drug Delivery Rev.16:157−182(1995)を参照されたい。
クラス1から3のグルカゴン関連ペプチドに関しては、一つ以上のタンパクに水溶性ポリマーを連結するのに使用することが可能な、さらに別の活性基として、アルファ−ハロゲン化アシル基(例えば、アルファ−イオド酢酸、アルファ−ブロモ酢酸、アルファ−クロロ酢酸)が挙げられる。グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、チオールを含むアミノ酸が、マイケル付加反応においてマレイミド活性化PEGによって修飾されて、下に示すチオエーテル連結を含むPEG化ペプチドを生じる:
他の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸のチオールは、求核置換反応においてハロアセチル活性化PEGによって修飾されて、下に示すチオエーテル連結を含むPEG化ペプチドを生じる:
適切な親水性成分としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、POG)、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチレン化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)、ポリオキシアルキレン、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、モノ−(C1−C10)アルコキシ−又はアリールオキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアセタール、ポリビニールアルコール(PVA)、ポリビニールピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ベータ−アミノ酸)(ホモポリマーか、又はランダムコポリマー)、ポリ(n−ビニールピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、結腸酸又はその他のポリサッカリドポリマー、フィコール又はデキストラン及びそれらの混合物が挙げられる。デキストランは、多数の分子量範囲において、例えば、約1kDから約100kD、又は、約5、10、15、又は20kDから約20、30、40、50、60、70、80、又は90kDの範囲において入手が可能である。
ある実施態様では、親水性成分は、前記グルカゴン関連ペプチドの位置16、17、21,24、29、40の内の一つ以上、C−末端延長部内、又はC−末端アミノ酸におけるアミノ酸残基の側鎖に共有結合される。ある実施態様では、その位置の天然アミノ酸は、そのペプチドに対する親水性成分の連結をやり易くするために、親水性成分との架橋結合に好適な側鎖を有するアミノ酸によって置換される。例示のアミノ酸としては、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はアセチルフェニルアラニン(Ac−Phe)が挙げられる。他の実施態様では、親水性基を含むように修飾されるアミノ酸が、ペプチドのC−末端に加えられる。
ある実施態様によれば、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約5,000ダルトン、又は約1,000から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。別の実施態様では、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000から約20,000ダルトンの分子量を有する。さらに別の例示の実施態様では、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール鎖は、約20,000から約40,000ダルトンの分子量を有する。
直鎖又は分枝鎖親水性ポリマーも考慮の対象とされる。得られる結合体の調製物は、事実上、単分散性であっても多分散性であってもよく、1ペプチド当たり、0.5、0.7、1、1.2、1.5、又は2個のポリマー成分を有していてもよい。
<アシル化>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチド(例えば、クラス1グルカゴン関連ペプチド、クラス2グルカゴン関連ペプチド、クラス3グルカゴン関連ペプチド、クラス4グルカゴン関連ペプチド、又はクラス5グルカゴン関連ペプチド)は、アシル基を含むように修飾される。例えば、グルカゴン関連ペプチドは、クラス1、クラス2、又はクラス3の一つであってもよく、天然アミノ酸に対し非天然のアシル基を含んでもよい。アシル化は、グルカゴン関連ペプチド内の任意の位置で、例えば、位置1−29のいずれか、C−末端延長部内の位置、C−末端アミノ酸などで実行することが可能であるが、ただし、非アシル化グルカゴン関連ペプチドによって発揮される活性が、アシル化時にも保存されるものとする。例えば、非アシル化ペプチドがグルカゴンアゴニスト活性を有する場合、アシル化ペプチドは、そのグルカゴンアゴニスト活性を保持する。さらに例えば、非アシル化ペプチドがグルカゴンアンタゴニスト活性を有する場合、アシル化ペプチドは、そのグルカゴンアンタゴニスト活性を保持する。例えば、非アシル化ペプチドが、GLP−1アゴニスト活性を有する場合、アシル化ペプチドは、GLP−1アゴニスト活性を有する。非限定的例として、位置5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27,28、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)におけるアシル化が挙げられる。クラス1、クラス2、及びクラス3グルカゴン関連ペプチドに関しては、アシル化は、位置5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27,28、29、30、37、38、39、40、41、42、又は43(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のいずれにおいて起こってもよい。アシル基は、グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸に直接的に共有結合させることも可能であり、グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸にスペーサーを介して間接的に転結させることも可能であり、後者の場合、スペーサーは、グルカゴン関連ペプチドとアシル基の間に位置づけられる。グルカゴン関連ペプチドは、親水性成分が連結されるアミノ酸位置と同じ位置においてアシル化されてもよいし、異なるアミノ酸位置でアシル化されてもよい。非限定的例として、位置10(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)におけるアシル化、及び、該グルカゴンペプチドのC−末端位置の一つ以上の位置、例えば、C−末端延長部内の位置24、28、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)、又は、C−末端(例えば、C−末端Cysを付加することによって)におけるPEG化が挙げられる。
本発明の特異的態様では、グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールの直接的アシル化によってアシル基を含むように修飾される。ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して直接的にアシル化される。ある実施態様では、アシル化は、位置10、20、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)において行われる。この点で、アシル化されるグルカゴン関連ペプチドは、配列番号701のアミノ酸配列を含んでもよいし、若しくは、本明細書に記載されるアミノ酸修飾の一つ以上を含む、その修飾アミノ酸配列を含んでもよく、位置10、20、24、及び29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含む任意のアミノ酸に変えられる修飾を含んでもよい。本発明のある特異的態様では、グルカゴン関連ペプチドの直接的アシル化は、位置10(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して起こる。
ある実施態様では、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である:
ある例示の実施態様では、式Iのアミノ酸は、nが4であるアミノ酸(Lys)、又は、nが3であるアミノ酸(Orn)である。
他の実施態様では、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である:
ある例示の実施態様では、式IIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Ser)である。
さらに別の実施態様では、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である:
ある例示の実施態様では、式IIIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Cys)である。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、さらに別の実施態様では、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含むアミノ酸は、式I、式II、又は式IIIのアミノ酸のアルファ炭素に結合される水素が第2の側鎖によって置換されることを除き、式I、式II、又は式IIIと同じ構造を含む、二置換アミノ酸である。
本発明のある実施態様では、アシル化グルカゴン関連ペプチドは、ペプチドとアシル基の間にスペーサーを含む。ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、このスペーサーに共有結合され、スペーサーは、アシル基に共有結合される。ある例示の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル、又はチオールのアシル化によってアシル基を含み、該スペーサーは、位置10、20、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の側鎖、又は、グルカゴン関連ペプチドのC−末端アミノ酸に付着される。スペーサーが付着されるアミノ酸は、スペーサーに対する連結を可能とする成分を含むものであればいずれのアミノ酸であってもよい。例えば、側鎖NH2、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)は適切である。さらに、クラス1、クラス2、及びクラス3グルカゴン関連ペプチドに関しては、側鎖−NH2、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、α一置換又はα二置換アミノ酸)(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)は適切である。この点で、アシル化されるグルカゴン関連ペプチドは、配列番号701のアミノ酸配列を含んでもよいし、若しくは、本明細書に記載されるアミノ酸修飾の一つ以上を含む、その修飾アミノ酸配列を含んでもよく、位置10、20、24、及び29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸に変えられる修飾を含んでもよい。
ある実施態様では、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含む一つのアミノ酸であるか、又は、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸を含む、ジペプチド又はトリペプチドである。ある実施態様では、アミノ酸スペーサーは、γ−Gluではない。ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、γ−Glu−γ−Gluではない。
アシル化が、スペーサーのアミノ酸のアミン基を介して行われる場合、アシル化は、アミノ酸のアルファアミンを介して行われてもよいし、若しくは、側鎖アミンを介してもよい。アルファアミンがアシル化される場合、スペーサーアミノ酸は任意のアミノ酸であってよい。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであってもよい。グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである実施態様では、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyr、6−アミノヘキサノイン酸、5−アミノバレリン酸、7−アミノヘプタノイン酸、8−アミノオクタノイン酸であってもよい。それとは別に、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えば、Asp及びGluであってもよい。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアシル化される場合、該スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば、式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと、側鎖アミンの両方がアシル化されることが可能であり、その場合、グルカゴンペプチドはジアシル化される。本発明の実施態様は、このようなジアシル化分子を考慮の対象とする。
アシル化が、スペーサーのアミノ酸のヒドロキシル基を介して行われる場合、そのアミノ酸、又は、ジペプチド又はトリペプチドの複数のアミノ酸の一つは、式IIのアミノ酸であってもよい。特異的例示態様では、そのアミノ酸はSerである。
アシル化が、スペーサーのチオール基を介して行われる場合、そのアミノ酸、又は、ジペプチド又はトリペプチドの複数のアミノ酸の一つは、式IIIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的実施態様では、そのアミノ酸はCysである。
ある実施態様では、スペーサーは、親水性二官能基スペーサーを含む。特定の実施態様では、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この点で、スペーサーは、例えば、NH2(CH2CH2O)n(CH2)mCOOHを含んでもよく−前式において、mは1から6の任意の整数であり、nは2から12の任意の整数である−例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタノイン酸であり、これは、Peptides Inernational,Inc.(Louisville,KY)から市販される。
ある実施態様では、クラス1、クラス2、及びクラス3グルカゴン関連ペプチドにのみ関係することであるが、スペーサーは、親水性二官能基スペーサーを含む。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する親水性二官能スペーサーは、二つ以上の反応基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又は、それらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する親水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する親水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、スペーサーは、疎水性二官能スペーサーである。疎水性二官能スペーサーは当該技術分野で公知である。例えば、Bioconjugate Techniques,G.T.Hermanson(Academic Press,San Diego,CA,1996)を参照されたい。なお、この文書の全体を引用により本明細書に含める。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、二つ以上の反応基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシ基、又は、それらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。別の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。別の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。カルボキシレート及びヒドロキシル基又はチオール基を含む、適切な疎水性二官能スペーサーは、当該技術分野で公知であり、例えば、8−ヒドロキシオクタノイン酸、及び8−メルカプトオクタノイン酸を含む。
ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、カルボキシレート基の間に1から7個の炭素から成る、非分枝メチレンを含むジカルボン酸ではない。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、カルボキシレート基の間に1から7個の炭素原子から成る、非分枝メチレンを含むジカルボン酸である。
グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである特定の実施態様におけるスペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、疎水性二官能スペーサー)は、長さが、3から10原子(例えば、6から10原子(例えば、6、7、8、9、又は10原子))である。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである、より具体的な実施態様では、スペーサーは長さが約3から10原子(例えば、6から10原子)であり、アシル基は、C12からC18脂肪性アシル基、例えば、C14脂肪性アシル基、C16脂肪性アシル基とし、スペーサーとアシル基の合計長さが、14から28原子、例えば、約14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28原子となるようにする。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、スペーサーとアシル基の長さは、17から28(例えば、19から26、19から21)原子である。
グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様によれば、二官能スペーサーは、長さが3から10原子のアミノ酸主鎖(例えば、6−アミノヘキサノイン酸、5−アミノバレリン酸、7−アミノヘプタノイン酸,及び8−アミノオクタノイン酸)を含む合成又は天然アミノ酸(本明細書に記載されるものであればどれでもよいが、ただしそれらに限定されない)であってもよい。それとは別に、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するスペーサーは、3から10原子長(例えば、6から10原子)を持つジペプチド又はトリペプチドスペーサーであってもよい。クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するジペプチド又はトリペプチドの各アミノ酸は、該ジペプチド又はトリペプチドの他のアミノ酸(単数又は複数)と同じであっても、異なっていてもよく、それぞれ独立に、下記の群:天然及び/又は非天然アミノ酸、例えば、天然アミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr)の任意のD又はL異性体、又は、下記の群:β−アラニン(β−Ala)、N−α−メチル−アラニン(Me−Ala)、アミノブチル酸(Abu)、γ−アミノブチル酸(γ−Abu)、アミノヘキサノイン酸(ε−Ahx)、アミノイソブチル酸(Aib)、アミノメチルピロールカルボン酸、アミノピペリジンカルボン酸、アミノセリン(Ams)、アミノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸、アルギニンN−メトキシ−N−メチルアミド、β−アスパラギン酸(β−Asp)、アゼチジンカルボン酸、3−(2−ベンゾチアゾリル)アラニン、α−tert−ブチルグリシン、2−アミノ−5−ウレイド−n−バレリン酸(シトルリン、Cit)、β−シクロヘキシルアラニン(Cha)、アセタミドメチル−システイン、ジアミノブタノイン酸(Dab)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、ジメチルチアゾリジン(DMTA)、γ−グルタミン酸(γ−Glu)、ホモセリン(Hse)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、イソロイシンN−メトキシ−N−メチルアミド、メチル−イソロイシン(MeIle)、イソニペコチン酸(Isn)、メチル−ロイシン(MeLeu)、メチル−リシン、ジメチル−リシン、トリメチル−リシン、メタノプロリン、メチオニン−スルフォキシド(Met(O))、メチオニン−スルフォン(Met(O2))、ノルロイシン(Nle)、メチル−ノルロイシン(Me−Nle)、ノルバリン(Nva)、オルニチン(Orn)、パラ−アミノベンゾイン酸(PABA)、ペニシルアミン(Pen)、メチルフェニルアラニン(MePhe)、4−クロロフェニルアラニン(Phe(4−Cl))、4−フルオロフェニルアラニン(Phe(4−F))、4−ニトロフェニルアラニン(Phe(4−NO2))、4−シアノフェニルアラニン(Phe(4−CN))、フェニルグリシン(Phg)、ピペリジルアラニン、ピペリジルグリシン、3,4−ジヒドロプロリン、ピロリジニルアラニン、サルコシン(Sar)、セレノシステイン(Sec)、O−ベンジル−フォスフォセリン、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイン酸(Sta)、4−アミノ−5−シクロヘキシル−3−ヒドロキシペンタノイン酸(ACHPA)、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタノイン酸(AHPPA)、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸(Tic)、テトラヒドロピラングリシン、チエニルアラニン(Thi)、O−ベンジル−フォスフォチロシン、O−フォスフォチロシン、メトキシチロシン、エトキシチロシン、O−(ビス−ジメチルアミノ−フォスフォノ)−チロシン、チロシンスルフェートテトラブチルアミン、メチル−バリン(MeVal)、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸(Acx)、アミノバレリン酸、ベータ−シクロプロピル−アラニン(Cpa)、プロパルジルグリシン(Prg)、アリルグリシン(Alg)、2−アミノ−2−シクロヘキシル−プロパノイン酸(2−Cha)、tertブチルグリシン(Tbg)、ビニールグリシン(Vg)、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸(Acp)、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸(Acpe)、及びアルキル化3−メルカプトプロパノイン酸、から選ばれる非天然アミノ酸の、任意のD又はL異性体、からそれぞれ独立に選んでよい。
グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、スペーサーは、全体として負の電荷を含み、例えば、一つ又は二つの負荷電アミノ酸を含む。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、ジペプチドは、一般構造A−Bのジペプチドのいずれでもなく、この場合、Aは、Gly、Gln、Ala、Arg、Asp、Asn、Ile、Leu、Val、Phe、及びProから成る群から選ばれ、Bは、Lys、His、Trpから成る群から選ばれる。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、下記から成る群から選ばれる:Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、Pro−Pro、γ−アミノブチル酸−γ−アミノブチル酸、及びγ−Glu−γ−Glu。
グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、本発明のある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、長鎖アルカンを該グルカゴン関連ペプチドによってアシル化することによってアシル基を含むように修飾される。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、特定態様では、長鎖アルカンは、グルカゴン関連ペプチドのカルボキシル基、又はその活性型と反応する、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基(例えば、オクタデシルアミン、テトラデカノール、及びヘキサデカンチオール)を含む。クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドのカルボキシル基又はその活性型は、該グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)の側鎖の一部であってもよいし、ペプチド主鎖の一部であってもよい。
ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴンペプチドに付着するスペーサーによって長鎖アルカンをアシル化することによってアシル基を含むように修飾される。特定態様では、長鎖アルカンは、スペーサーのカルボキシル基、又はその活性型と反応する、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む。カルボキシル基又はその活性型を含む適切なスペーサーは、本明細書に記載されているが、例えば、二官能スペーサー、例えば、アミノ酸類、ジペプチド類、トリペプチド類、親水性二官能スペーサー、及び疎水性二官能スペーサーが挙げられる。
本明細書で用いる「カルボキシル基の活性型」という用語は、一般式R(C=O)Xを有するカルボキシル基を指し、ここで、Xは脱離基であり、Rは、グルカゴン関連ペプチド又はスペーサーである。例えば、カルボキシル基の活性型として、ただしこれらに限定されないが、塩化アシル、無水物、及びエステルが挙げられる。ある実施態様では、活性化カルボキシル基は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)脱離基を有するエステルである。
長鎖アルカンが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチド、又はスペーサーによってアシル化される、本発明のこれらの態様に関しては、長鎖アルカンは、いずれのサイズであってもよく、いずれの長さの炭素鎖を含んでもよい。長鎖アルカンは、直鎖でも、分枝鎖であってもよい。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある態様では、長鎖アルカンは、C4からC30アルカンである。例えば、長鎖アルカンは、C4アルカン、C6アルカン、C8アルカン、C10アルカン、C12アルカン、C14アルカン、C16アルカン、C18アルカン、C20アルカン、C22アルカン、C24アルカン、C26アルカン、C28アルカン、又はC30アルカンの内のいずれかであってもよい。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、長鎖アルカンは、C8〜C20アルカン、例えば、C14アルカン、C16アルカン、又はC18アルカンを含む。
さらに、グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドのアミン、ヒドロキシル、又はチオール基は、コレステロール酸によってアシル化される。特定の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドは、コレステロール酸に対し、アルキル化デス−アミノCysスペーサー、すなわち、アルキル化3−メルカプトプロピオン酸スペーサーを介して連結される。
アミン類、ヒドロキシル類、及びチオール類を介するペプチドアシル化の適切な方法は従来技術で公知である。例えば、下記を参照されたい:Miller,Biochem Biophys Res Commun 218:377−382(1996);Shimohigasi and Stammer,Int J Pept Protein Res 19:54−62(1982);及びPreviero et al.,Biochim Biophys Acta 263:7−13(1973)(ヒドロキシルを介してアシル化する方法に関して);及び、San and Silvius,J Pept Res 66:169−180(2005)(チオールを介してアシル化する方法に関して);Bioconjugate Chem.”Chemical Modifications of Proteins:History and Applications(「タンパク質の化学的修飾:歴史と応用」)”pages1,2−12(1990);Hashimoto et al.,Pharmaceutical Res.”Synthesis of Palmitoyl Derivatives of Insulin and their Biological Activity(「インスリンのパルミトイル誘導体の合成及びその生物活性」)”Vol.6,No:2 pp171−176(1989)。
アシル化グルカゴン関連ペプチドのアシル基は、いずれの大きさであっても、例えば、いずれの長さの炭素鎖であってもよく、直鎖でも、分枝鎖であってもよい。本発明の、ある特定の実施態様では、アシル基は、C4からC30脂肪酸である。例えば、アシル基は、C4脂肪酸、C6脂肪酸、C8脂肪酸、C10脂肪酸、C12脂肪酸、C14脂肪酸、C16脂肪酸、C18脂肪酸、C20脂肪酸、C22脂肪酸、C24脂肪酸、C26脂肪酸、C28脂肪酸、又はC30脂肪酸の内のいずれであってもよい。ある実施態様では、アシル基は、C8〜C20脂肪酸、例えば、C14脂肪酸か、又はC16脂肪酸である。
別の実施態様では、アシル基は胆汁酸である。胆汁酸は、適切なものであれば、いずれの胆汁酸であってもよく、例えば、ただしこれらに限定されないが、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸が挙げられる。
本明細書に記載されるアシル化グルカゴン関連ペプチドは、親水性成分を含むようにさらに修飾されてもよい。ある特定の実施態様では、親水性成分はポリエチレングリコール(PEG)鎖を含んでもよい。親水性成分の組み込みは、適切なものであればいずれの手段によってもよく、例えば、本明細書に記載される方法の内のいずれによって実現してもよい。この点で、アシル化グルカゴン関連ペプチドは、本明細書に記載される修飾の内のいずれかを含むような配列番号701を含んでもよく、その場合、位置10、20、24、及び29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つは、アシル基を含み、且つ、位置16、17、21、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つ、C−末端延長部内の一位置、又はC−末端アミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheに変換され、該アミノ酸の側鎖は、親水性成分(例えば、PEG)に共有結合される。ある実施態様では、アシル基は、位置10(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)に対し付着されるが、これはCys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheを含むスペーサーを介してでもよく、親水性成分は、位置24のCys残基において組み込まれる。
それとは別に、アシル化グルカゴン関連ペプチドは、アシル化され、同時に親水性成分を含むように修飾されているような、スペーサーを含んでもよい。適切なスペーサーの非限定的例としては、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、及びAc−Pheから成る群から選ばれる一つ以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
<アルキル化>
ある実施態様によれば、グルカゴン関連ペプチド、例えば、クラス1グルカゴン関連ペプチド、クラス2グルカゴン関連ペプチド、クラス3グルカゴン関連ペプチド、クラス4グルカゴン関連ペプチド、又はクラス5グルカゴン関連ペプチドは、アルキル基を含むように修飾され、ここで、アルキル基は、循環半減期を延長すること、及び/又は、作用の開始を遅らせ及び/又はその持続時間を延長すること、及び/又は、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する耐性を向上させることを目的として、エーテル、チオエーテル、又はアミノ連結を介してグルカゴン関連ペプチドに付着される。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである例示の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、天然アミノ酸に対して非天然であるアルキル基を含む。
アルキル化は、グルカゴン関連ペプチド内の任意の位置、例えば、位置1−29、C−末端延長部内の位置、又はC−末端アミノ酸などにおいて実行してよいが、ただし、グルカゴン、GLP−1、又は他のグルカゴン関連ペプチド受容体に対する、該グルカゴン関連ペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト活性が保持されることを条件とする。ある実施態様では、非アルキル化ペプチドがグルカゴンアゴニスト活性を有する場合、アルキル化ペプチドは、グルカゴンアゴニスト活性を保持する。他の実施態様では、非アルキル化ペプチドがグルカゴンアンタゴニスト活性を保持する場合、アルキル化ペプチドは、グルカゴンアンタゴニスト活性を保持する。ある実施態様では、非アルキル化ペプチドがGLP−1アゴニスト活性を有する場合、アルキル化ペプチドは、GLP−1アゴニスト活性を保持する。非限定的例として、位置5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)におけるアルキル化が挙げられる。クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに関しては、アルキル化は、位置5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、29、30、37、38、39、40、41、42、又は43(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)において行われてよい。アルキル基は、グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸に直接的に共有結合されてもよいし、スペーサーを介して間接的にグルカゴン関連ペプチドのアミノ酸に連結されてもよく、後者の場合、スペーサーは、グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸とアルキル基の間に位置づけられる。グルカゴン関連ペプチドは、親水性成分が連結されるアミノ酸位置と同じ位置においてアルキル化されてもよいし、異なるアミノ酸位置においてアルキル化されてもよい。非限定的例として、位置10(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)におけるアルキル化、及び、グルカゴン関連ペプチドのC−末端における一つ以上の位置、例えば、位置24、28、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)、C−末端延長部内、又は、C−末端(例えば、C−末端Cysを付加することによって)におけるPEG化が挙げられる。
本発明の特定態様では、グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸側鎖のアミン、ヒドロキシル、又はチオールを直接的にアルキル化することによって、アルキル基を含むように修飾される。ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、アミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して直接的にアルキル化される。ある実施態様では、アルキル化は、位置10、20、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)において行われる。この点で、アシル化されるグルカゴン関連ペプチドは、配列番号701のアミノ酸配列を含んでもよいし、若しくは、本明細書に記載されるアミノ酸修飾の一つ以上を含む、その修飾アミノ酸配列を含んでもよく、位置10、20、24、及び29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸に変えられる修飾を含んでもよい。本発明のある特定の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドの直接的アルキル化は、位置10(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)におけるアミノ酸の側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを介して行われる。
ある実施態様では、側鎖アミンを含むアミノ酸は、式Iのアミノ酸である。ある例示的実施態様では、式Iのアミノ酸は、nが4であるアミノ酸(Lys)、又はnが3であるアミノ酸(Orn)である。
他の実施態様では、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸は、式IIのアミノ酸である。ある例示の実施態様では、式IIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Ser)である。
さらに別の実施態様では、側鎖チオールを含むアミノ酸は、式IIIのアミノ酸である。ある例示の実施態様では、式IIのアミノ酸は、nが1であるアミノ酸(Cys)である。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、さらに別の実施態様では、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はチオールを含むアミノ酸は、式I、式II、又は式IIIのアミノ酸のアルファ炭素に結合される水素が第2の側鎖によって置換されることを除き、式I、式II、又は式IIIと同じ構造を含む、二置換アミノ酸である。
本発明のある実施態様では、アルキル化グルカゴン関連ペプチドは、ペプチドとアルキル基の間にスペーサーを含む。ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、このスペーサーに共有結合され、スペーサーは、アルキル基に共有結合される。ある例示の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、スペーサーのアミン、ヒドロキシル、又はチオールのアルキル化によってアルキル基を含み、該スペーサーは、位置10、20、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の側鎖、又は、グルカゴン関連ペプチドのC−末端アミノ酸に付着される。スペーサーが付着されるアミノ酸は、スペーサーに対する連結を可能とする成分を含むものであればいずれのアミノ酸であってもよい。クラス1、クラス2、及びクラス3グルカゴン関連ペプチドに関しては、スペーサーが付着するアミノ酸は、スペーサーに対する連結を可能とする成分を含むものであればいずれのアミノ酸(例えば、α一置換又はα二置換アミノ酸)であってもよい。例えば、側鎖−NH2、−OH、又は−COOHを含むアミノ酸(例えば、Lys、Orn、Ser、Asp、又はGlu)は適切である。この点で、アルキル化されるグルカゴン関連ペプチドは、配列番号701のアミノ酸配列を含んでもよいし、若しくは、本明細書に記載されるアミノ酸修飾の一つ以上を含む、その修飾アミノ酸配列を含んでもよく、位置10、20、24、及び29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つが、側鎖アミン、ヒドロキシル、又はカルボキシレートを含む任意のアミノ酸に変えられる修飾を含んでもよい。
ある実施態様では、スペーサーは、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含む一つのアミノ酸であるか、又は、側鎖アミン、ヒドロキシル、若しくはチオールを含むアミノ酸を含む、ジペプチド又はトリペプチドである。ある実施態様では、アミノ酸スペーサーは、γ−Gluではない。ある実施態様では、ジペプチドは、γ−Glu−γ−Gluである。
アルキル化が、スペーサーのアミノ酸のアミノ基を介して行われる場合、アルキル化は、側鎖アミンのアミノ酸のアルファアミンを介して行われてもよい。アルファアミンがアルキル化される場合、スペーサーアミノ酸は、いずれのアミノ酸であってもよい。例えば、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyrであってもよい。それとは別に、スペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えば、Asp及びGluであってもよい。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである例示の実施態様では、スペーサーアミノ酸は、疎水性アミノ酸、例えば、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Trp、Met、Phe、Tyr、6−アミノヘキサノイン酸、5−アミノバレリン酸、7−アミノヘプタノイン酸、8−アミノオクタノイン酸であってもよい。それとは別に、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するスペーサーアミノ酸は、酸性残基、例えば、Asp及びGluであってもよいが、ただし、アルキル化は、該酸性残基のアルファアミンの上で行われるものとする。スペーサーアミノ酸の側鎖アミンがアルキル化される場合、スペーサーアミノ酸は、側鎖アミンを含むアミノ酸、例えば、式Iのアミノ酸(例えば、Lys又はOrn)である。この場合、スペーサーアミノ酸のアルファアミンと側鎖アミンの両方を、グルカゴンペプチドがジアルキル化されるように、アルキル化させることも可能である。本発明の実施態様は、このようなジアルキル化分子を含む。
アルキル化が、スペーサーアミノ酸のヒドロキシル基を介して行われる場合、そのアミノ酸、又はスペーサーの複数のアミノ酸の一つは、式IIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的実施態様では、アミノ酸はSerである。
アルキル化が、スペーサーアミノ酸のチオール基を介して行われる場合、そのアミノ酸、又はスペーサーの複数のアミノ酸の一つは、式IIIのアミノ酸であってもよい。特定の例示的実施態様では、アミノ酸はCysである。
ある実施態様では、スペーサーは、疎水性二官能基スペーサーを含む。特定の実施態様では、スペーサーは、アミノポリ(アルキルオキシ)カルボキシレートを含む。この点で、スペーサーは、例えば、NH2(CH2CH2O)n(CH2)mCOOHを含んでもよく−前式において、mは1から6の任意の整数であり、nは2から12の任意の整数である−例えば、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタノイン酸であり、これは、Peptides Inernational,Inc.(Louisville,KY)から市販される。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである実施態様では、スペーサーは、疎水性二官能基スペーサーを含む。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、二つ以上の反応基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又は、それらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。
ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するスペーサーは、疎水性二官能基スペーサーである。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、二つ以上の反応基、例えば、アミン、ヒドロキシル、チオール、及びカルボキシル基、又は、それらの任意の組み合わせを含む。ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、ヒドロキシル基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、アミン基及びカルボキシレートを含む。他の実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着する疎水性二官能スペーサーは、チオール基及びカルボキシレートを含む。カルボキシレート、及びヒドロキシル基又はチオール基を含む、適切な疎水性二官能スペーサーは、当該技術分野で公知であり、例えば、8−ヒドロキシオクタノイン酸、及び8−メルカプトオクタノイン酸が挙げられる。
グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである特定の実施態様におけるスペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、疎水性二官能スペーサー)は、長さが、3から10原子(例えば、6から10原子(例えば、6、7、8、9、又は10原子))である。より具体的な実施態様では、クラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するスペーサーは長さが約3から10原子(例えば、6から10原子)であり、アシル基は、C12からC18アルキル基、例えば、C14アルキル基、C16アルキル基とし、それによってスペーサーとアルキル基の合計長さが、14から28原子、例えば、約14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28原子となるようにする。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、スペーサーとアルキルの長さは、17から28(例えば、19から26、19から21)原子である。
グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、クラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様によれば、二官能スペーサーは、長さが3から10原子のアミノ酸主鎖(例えば、6−アミノヘキサノイン酸、5−アミノバレリン酸、7−アミノヘプタノイン酸,及び8−アミノオクタノイン酸)を含む合成又は天然アミノ酸であってもよい。それとは別に、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するスペーサーは、3から10原子長(例えば、6から10原子)を持つジペプチド又はトリペプチドスペーサーであってもよい。クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに付着するジペプチド又はトリペプチドスペーサーは、天然及び/又は非天然のアミノ酸、例えば、本明細書に教示されるアミノ酸のいずれかを含むアミノ酸から構成されてもよい。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、スペーサーは、全体として負電荷を含み、例えば、一つ又は二つの負荷電アミノ酸を含む。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Leu−Leu、Pro−Pro、γ−アミノブチル酸−γ−アミノブチル酸、及びγ−Glu−γ−Glu、から成る群から選ばれる。ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、γ−Glu−γ−Gluではない。
アミン類、ヒドロキシル類、及びチオール類を介するペプチドアシル化の適切な方法は従来技術で公知である。例えば、グルカゴン関連ペプチドとアルキル基の間にエーテル連結を形成するために、ウィリアムソンのエーテル合成を使用することが可能である。さらに、ハロゲン化アルキルによるペプチドの求核置換反応は、エーテル、チオエーテル、又はアミノ連結のいずれをも生成することが可能である。
アルキル化グルカゴン関連ペプチドのアルキル基は、いずれの大きさであっても、例えば、いずれの長さの炭素鎖であってもよく、直鎖でも、分枝鎖であってもよい。本発明のある実施態様では、アルキル基は、C4からC30アルキルである。例えば、アルキル基は、C4アルキル、C6アルキル、C8アルキル、C10アルキル、C12アルキル、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、C20アルキル、C22アルキル、C24アルキル、C26アルキル、C28アルキル、又はC30アルキルの内のいずれであってもよい。ある実施態様では、アルキル基は、C8〜C20アルキル、例えば、C14アルキルか、又はC16アルキルである。
ある特定の実施態様では、アルキル基は、胆汁酸、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びコレステロール酸など、のステロイド成分を含む。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴンペプチドに付着するスペーサーによって、求核性長鎖アルカンをアルキル化することによって、アルキル基を含むように修飾され、ここで、グルカゴン関連ペプチドは、求核置換に好適な脱離基を含む。グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである特定態様では、長鎖アルカンの求核基は、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基(例えば、オクタデシルアミン、テトラデカノール、及びヘキサデカンチオール)を含む。クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドの脱離基は、アミノ酸側鎖の一部であってもよいし、ペプチド主鎖の一部であってもよい。適切な脱離基としては、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、ハロゲン類、及びスルフォネートエステル類が挙げられる。
ある実施態様では、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴンペプチドに付着する、脱離基を含むスペーサーによって長鎖アルカンをアルキル化することによって、アルキル基を含むように修飾される。グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである特定態様では、長鎖アルカンは、スペーサーのカルボキシル基、又はその活性型と反応する、アミン、ヒドロキシル、又はチオール基を含む。グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、脱離基を含むスペーサーは、本明細書に記載されるいずれのスペーサーであってもよく、例えば、アミノ酸類、ジペプチド類、トリペプチド類、適切な脱離基をさらに含む親水性二官能スペーサー及び疎水性二官能スペーサー、であってもよい。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドであり、長鎖アルカンが、グルカゴン関連ペプチド又はスペーサーによってアルキル化される、本発明のこれらの態様に関しては、長鎖アルカンは、いずれのサイズであってもよく、いずれの長さの炭素鎖を含んでもよい。長鎖アルカンは、直鎖でも、分枝鎖であってもよい。ある態様では、長鎖アルカンは、C4からC30アルカンである。例えば、長鎖アルカンは、C4アルカン、C6アルカン、C8アルカン、C10アルカン、C12アルカン、C14アルカン、C16アルカン、C18アルカン、C20アルカン、C22アルカン、C24アルカン、C26アルカン、C28アルカン、又はC30アルカンの内のいずれかであってもよい。グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、長鎖アルカンは、C8〜C20アルカン、例えば、C14アルカン、C16アルカン、又はC18アルカンを含む。
さらに、グルカゴン関連ペプチドがクラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、アルキル化は、グルカゴン関連ペプチドとコレステロール成分の間で行われてもよい。例えば、コレステロールのヒドロキシル基は、長鎖アルカン上の脱離基を動かして、コレステロール−グルカゴンペプチド産物を形成してもよい。
本明細書に記載されるアルキル化グルカゴン関連ペプチドは、親水性成分を含むようにさらに修飾されてもよい。ある特定の実施態様では、親水性成分はポリエチレングリコール(PEG)鎖を含んでもよい。親水性成分の組み込みは、適切なものであればいずれの手段によってもよく、例えば、本明細書に記載される方法の内のいずれによって実現してもよい。この点で、アルキル化グルカゴン関連ペプチドは、本明細書に記載される修飾の内のいずれかを含むような、配列番号701を含んでもよく、その場合、位置10、20、24、及び29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つは、アルキル基を含み、且つ、位置16、17、21、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の少なくとも一つ、C−末端延長部内の一位置、又はC−末端アミノ酸は修飾されて、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheに変換され、該アミノ酸の側鎖は、親水性成分(例えば、PEG)に共有結合される。ある実施態様では、アルキル基は、位置10(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)に付着されるが、これはCys、Lys、Orn、ホモ−Cys、又はAc−Pheを含むスペーサーを介してでもよく、親水性成分は、位置24のCys残基において組み込まれる。
それとは別に、アルキル化グルカゴン関連ペプチドは、アルキル化され、同時に親水性成分を含むように修飾される、スペーサーを含んでもよい。適切なスペーサーの非限定的例としては、Cys、Lys、Orn、ホモ−Cys、及びAc−Pheから成る群から選ばれる一つ以上のアミノ酸を含むスペーサーが挙げられる。
<アルファ−ヘリックス構造の安定化>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドのカルボキシ末端部分(例えば、アミノ酸12−29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による))の三次元構造を安定化するために、二つのアミノ酸側鎖の間に分子内架橋が形成される。この二つのアミノ酸側鎖は、水素結合、塩橋の形成などのイオン性相互作用、又は共有結合によって互いに連結させることが可能である。
ある実施態様では、分子内架橋は、3アミノ酸分離れた二つのアミノ酸同士の間、例えば、位置i及びi+4のアミノ酸同士の間に形成され、ここで、iは、野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による12と25の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、及び25)である。より詳細には、アミノ酸ペア12と16、16と20、20と24、又は24と28の側鎖同士(i=12、16、20、又は24である場合のアミノ酸ペア)が互いに連結されて、グルカゴンのアルファヘリックスを安定化する。それとは別に、iは17であってもよい。
位置i及びi+4のアミノ酸同士が分子内架橋によって接合されるある特定態様では、リンカーのサイズは、約8原子、又は約7−9原子である。
他の実施態様では、分子内架橋は、2アミノ酸分離れた二つのアミノ酸同士の間、例えば、位置j及びj+3のアミノ酸同士の間に形成され、ここで、jは、野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による12と26の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、及び26)である。ある特定の実施態様では、jは17である。
位置j及びj+3のアミノ酸同士が、分子内架橋によって接合される、ある特定の実施態様では、リンカーのサイズは、約6原子、又は約5から7原子である。
さらに別の実施態様では、分子内架橋は、6アミノ酸分離れた二つのアミノ酸同士の間、例えば、位置k及びk+7のアミノ酸同士の間に形成され、ここで、kは、野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による12と22の間の任意の整数(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、及び22)である。ある特定の実施態様では、kは、12、13、又は17である。例示の実施態様では、kは17である。
共有結合して6−原子連結架橋を形成することが可能なアミノ酸ペアの例としては、OrnとAsp、Gluと、式I(ここでnは2である)のアミノ酸、及び、ホモグルタミン酸と式I(ここでnは1である)のアミノ酸が挙げられる。ここで、式Iは下記のとおりである:
共有結合して7−原子連結架橋を形成することが可能なアミノ酸ペアの例としては、Orn−Glu(ラクタム環);Lys−Asp(ラクタム);又はHomoser−Homoglu(ラクトン)が挙げられる。8−原子リンカーを形成することが可能なアミノ酸ペアの例としては、Lys−Glu(ラクタム);Homolys−Asp(ラクタム);Orn−Homoglu(ラクタム);4−aminoPhe−Asp(ラクタム);又はTyr−Asp(ラクトン)が挙げられる。9−原子リンカーを形成することが可能なアミノ酸ペアの例としては、Homolys−Glu(ラクタム);Lys−Homoglu(ラクタム);4−aminoPhe−Glu(ラクタム);又はTyr−Glu(ラクトン)が挙げられる。これらのアミノ酸上の側鎖は、いずれのものであれ、アルファ−ヘリックスの三次元構造が破壊されない限り、さらに別の化学基によって新たに置換されてもよい。当業者であれば、同様のサイズ及び所望の作用を持つ安定化構造を創出すると考えられる、化学的に修飾された誘導体を含む、別のアミノ酸ペア、または別のアミノ酸類縁体を思いつくことが可能である。例えば、ホモシステイン−ホモシステインジスルフィド架橋は6原子長であり、さらに修飾されて所望の作用を実現する可能性がある。さらに、共有結合が無くとも、前述のアミノ酸ペア、又は当業者が思いつくことが可能な同様のアミノ酸ペアは、非共有結合を介して、例えば、塩橋又は水素結合相互作用を介して、アルファ−ヘリックスに対する安定性をさらに強化する可能性がある。
ラクタム環のサイズは、アミノ酸側鎖の長さに応じて変動してよく、ある実施態様では、ラクタムは、リシンアミノ酸の側鎖をグルタミン酸の側鎖に連結することによって形成される。さらに別の例示的実施態様として(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)、下記のペアが挙げられ、これらはラクタム架橋を有してもよい:位置12のGluと位置16のLys;位置12の天然Lysと位置16のGlu;位置16のGluと位置20のLys;位置16のLysと位置20のGlu;位置20のGluと位置24のLys;位置20のLysと位置24のGlu;位置24のGluと位置28のLys;位置24のLysと位置28のGlu。それとは別に、ラクタム環におけるアミド結合の順序は逆転することが可能である(例えば、ラクタム環は、Lys12とGlu16の側鎖の間に形成することが可能であるが、それとは別に、Glu12とLys16の間に形成することも可能である)。
ラクタム環以外の分子内架橋を、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスの安定化のために使用してもよい。ある実施態様では、分子内架橋は疎水性架橋である。この場合、分子内架橋は、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスの疎水面の一部である二つのアミノ酸の側鎖同士の間にあってもよい。例えば、疎水架橋によって接合されるアミノ酸の内の一方は、位置10、14、及び18(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸であってもよい。
一特定態様では、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスの1又は2ターンを架橋結合するために、全炭化水素架橋結合システムによるオレフィンメタセシスが用いられる。この場合のグルカゴン関連ペプチドは、種々の長さのオレフィン側鎖を担持するα−メチル化アミノ酸を含み、i及びi+4、又はi+7位置においてR又はS立体化学配置を有していてもよい。ある実施態様では、8原子の架橋結合長に対しnは3である。このような分子内架橋を形成するための適切な方法は、当該技術分野に記載される。例えば、Shafmeister et al.,J.Am.Chem.Soc.122:5891−5892(2000)及びWalensky et al.,Science 305:1466−1470(2004)を参照されたい。それとは別に、グルカゴンペプチドは、ヘリックスの隣接するターン同士上に配置されるO−アリルSer残基を含んでもよい。これらの残基は、ルテニウム触媒環閉鎖メタセシスによって一緒に架橋される。このような架橋結合手法は、例えば、Blackwell et al.,Angew,Chem.,Int.Ed.37:3281−3284(1998)に記載される。
別の特定態様では、非天然のチオ−ジアラニンアミノ酸、システインのペプチド様物質として広く用いられているランチオニンが、アルファヘリックスの1ターンの架橋結合に用いられる。ランチオニンによる環形成のための適切な方法は、当該技術分野で公知である。例えば、Matteucci et al.,Tetrahedron Letters 45:1399−1401(2004);Mayer et al.,J.Peptide Res.51:432−436(1998);Polinsky et al.,J.Med.Chem.35:4185−4194(1992);Osapay et al.,J.Med.Chem.40:2241−2251(1997);Fukase et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.65:2227−2240(1992);Harpp et al.,J.Org.Chem.36:73−80(1971);Goodman and Shao,Pure Appl.Chem.68:1303−1308(1996);及びOsapay and Goodman,J.Chem.Soc.Chem.Commun.1599−1600(1993)を参照されたい。
ある実施態様では、位置iとi+7の二つのGlu残基同士の間の、α,ω−ジアミノアルカン・テザー、例えば、1,4−ジアミノプロパン及び1,5−ジアミノペンタンを用いて、グルカゴンペプチドのアルファヘリックスを安定化する。このようなテザー(繋留手、tether)は、ジアミノアルカン・テザーの長さに応じて9原子長以上の架橋の形成をもたらす。このようなテザーによって架橋結合されるペプチドを生産するための適切な方法は、当該技術分野で公知である。例えば、Phelan et al.,J.Am.Chem.Soc.119:455−460(1997)を参照されたい。
本発明のさらに別の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスの1又は2ターンを架橋結合するためにジスルフィド架橋が使用される。それとは別に、一つ又は両方の硫黄原子がメチレン基によって置換されて等比体積の大環状化(isosteric macrocyclization)をもたらす修飾ジスルフィド架橋を用いて、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスを安定化する。ジスルフィド架橋又は硫黄依存性環形成によってペプチドを修飾するための適切な方法は、例えば、Jackson et al.,J.Am.Chem.Soc.113:9391−9392(1991)及びRudinger and Jost,Experientia 20:570−571(1964)に記載される。
さらに別の実施態様では、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスは、i及びi+4に配置される、二つのHis残基同士、又はHisとCysペアによる、金属原子の結合を介して安定化される。金属原子は、例えば、Ru(III)、Cu(II)、Zn(II)、又はCd(II)であってもよい。このような、金属結合依存性アルファヘリックス安定化法は当該技術分野で公知である。例えば、Andrews and Tabor,Tetrahedron 55:11711−11743(1999);Ghardiri et al.,J.Am.Chem.Soc.112:1630−1632(1990);及び、Ghardiri et al.,J.Am.Chem.Soc.119:9063−9064(1997)を参照されたい。
グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスは、それとは別に、他の、ペプチド環化手段によって安定化することも可能である。そのような手段は、Davies,J.Peptide.Sci. 9:471−501(2003)に総覧される。アルファヘリックスは、アミド架橋、チオエーテル架橋、チオエステル架橋、ウレア架橋、カルバメート架橋、スルフォンアミド架橋などを形成することを通じて安定化することも可能である。例えば、C−末端及びCys残基の側鎖の間にチオエステル架橋を形成することが可能である。それとは別に、チオエステルは、チオールを有するアミノ酸(Cys)及びカルボン酸を有するアミノ酸(例えば、Asp、Glu)の側鎖を介して形成することが可能である。別の方法では、ジカルボン酸、例えば、スベリン酸(オクタンジオイン酸)などの架橋結合剤は、アミノ酸側鎖の二つの官能基の間に、遊離アミノ、ヒドロキシル、チオール基、及びそれらの組み合わせなどの連結手を導入することが可能である。
ある実施態様によれば、グルカゴン関連ペプチドのアルファヘリックスは、位置i及びi+4に疎水性アミノ酸を組み込むことによって安定化される。例えば、iはTyrであり、i+4は、Val又はLeuであってもよく;iはPheであり、i+4は、Cys又はMetであってもよく;iはCysであり、i+4はMetであってもよく;又は、iはPheであり、i+4は、Ileであってもよい。本発明の目的のためには、上記のアミノ酸ペアは逆転されて、位置iに表示されるアミノ酸が、代わりに、i+4に配置され、一方、i+4のアミノ酸が、i位置に配置されることも可能であることを理解しなければならない。
グルカゴン関連ペプチドが、グルカゴンアゴニスト活性、GIPアゴニスト活性、グルカゴンアゴニスト及びGLP−1活性を有するペプチドである、本発明の他の実施態様によれば、アルファヘリックスは、該グルカゴン関連ペプチドのC−末端部(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号によるアミノ酸12−29周辺)における、一つ以上のアルファヘリックス安定化アミノ酸の組み込み(アミノ酸置換又は挿入による)を通じて安定化される。特定の実施態様では、アルファヘリックス安定化アミノ酸は、α,α−二置換アミノ酸であり、例えば、ただしこれらに限定されないが、アミノイソ−ブチル酸(AIB)、メチル、エチル、プロピル、及びn−ブチルから選ばれる同じ基又は異なる基によって二置換されるアミノ酸、又は、シクロオクタン又はシクロヘプタンを有するアミノ酸(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)の内のいずれかを含む。ある実施態様では、位置16、20、21、及び24の内の一つ、二つ、三つ、又は全てがAIBによって置換される。
<結合体>
本開示はさらに、グルカゴン関連ペプチド(例えば、クラス1グルカゴン関連ペプチド、クラス2グルカゴン関連ペプチド、クラス3グルカゴン関連ペプチド、クラス4グルカゴン関連ペプチド、クラス5グルカゴン関連ペプチド)が、結合体成分に連結される結合体も包含し、連結は共有結合を介してでも、リンカーを介してでもよい。連結は、共有化学結合や、物理的力、例えば静電力、水素、イオン性、ファンデルワールス、又は、疎水性若しくは親水性の相互作用、などによって実現することが可能である。種々の非共有結合性の結合システム、例えば、ビオチン−アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク、脂質/脂質結合タンパク、細胞接着分子パートナー同士;または、相互に親和性を持つ、任意の結合パートナー同士、またはそれらの断片、によって実現することが可能である。
グルカゴン関連ペプチドは、標的アミノ酸の、選ばれた側鎖、若しくはN−又はC−末端残基と反応することが可能な有機誘導剤と、ペプチドの標的アミノ酸残基を反応させることによる直接的共有結合を介して、結合体成分に連結させることが可能である。ペプチド又は結合体における反応基としては、例えば、アルデヒド、アミノ、エステル、チオール、α−ハロアセチル、マレイミド、又はヒドラジノ基が挙げられる。誘導剤としては、例えば、マレイミドベンゾイルスルフォスクシンイミドエステル(システイン残基を介する結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、又は、他の公知の薬剤が挙げられる。それとは別に、結合体成分は、ポリサッカリド又はポリペプチドキャリヤーなどの中間キャリヤーを介して間接的にペプチドに連結させることも可能である。ポリサッカリドキャリヤーの例としては、アミノデキストランが挙げられる。得られる負荷キャリヤーに対し所望の可溶性を賦与するために適切なポリペプチドキャリヤーの例としては、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、それらのコポリマー、及び、これらのアミノ酸と他のアミノ酸、例えば、セリン、との混合ポリマーが挙げられる。
システイニル残基は、もっとも一般的には、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドなどのα−ハロアセテート(及び、対応アミン)と反応させられて、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を提供する。システイニル残基はさらに、ブロモトリフルオロアセトン、アルファ−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルフォスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導体を形成する。
ヒスチジル残基は、pH5.5−7.0においてジエチルピロカーボネートとの反応によって誘導体を形成する。なぜなら、この薬剤はヒスチジル側鎖に対し比較的特異的だからである。パラブロモフェナシルブロミドも有用である;この反応は、pH6.0において0.1Mのカコジル酸ナトリウム上で実行することが好ましい。
リシニル及びアミノ末端残基は、無水コハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの薬剤による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転させる作用を有する。アルファ−アミノ含有残基の誘導体化に適切な他の試薬としては、イミドエステル類、例えば、メチルピコリニミデート、ピリドキサルフォスフェート、ピリドキサル、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼンスルフォン酸、O−メチルイソウレア、2,4−ペンタンジオン、及び、グリオキシレートとの、トランスアミナーゼ触媒反応が挙げられる。
アルギニル残基は、一つ、又は数種の通例の試薬、特に、フェニルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリンとの反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化の反応は、グアニジン官能基の高いpKaのために、アルカリ条件で行われる必要がある。さらに、これらの試薬は、リシンの基だけでなく、アルギニンのイプシロンアミノ基とも反応する可能性がある。
チロシル残基の特異的修飾を行ってもよいが、特に、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基の中にスペクトラム標識を導入する点が特別の関心を呼ぶ。もっとも一般的には、N−アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタンを用いて、それぞれ、O−アセチルチロシル分子及び3−ニトロ誘導体を形成する。
カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)は、カルボジイミド(R−N=C=N−R’)との反応によって選択的に修飾される。ここで、R及びR’は、異なるアルキル基であり、例えば、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリニル−4−エチル)カルボジイミド、又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドである。さらに、アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
他の修飾としては、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアルファアミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、アスパラギン又はグルタミンのデアミド化、N−末端アミンのアセチル化、及び/又は、C−末端のカルボン酸基のアミド化又はエステル化が挙げられる。
別タイプの共有結合による修飾としては、ペプチドに、化学的又は酵素的に結合されるグリコシドが挙げられる。糖(単数又は複数)を、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインのものなど、(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、又はヒドロキシプロリンのものなど、(e)芳香族残基、例えば、チロシン又はトリプトファンのものなど、又は(f)グルタミンのアミド基、に付着してもよい。これらの方法は、1987年9月11日公開のWO87/05330、及び、Aplin and Wriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(1981)に記載される。
本明細書に記載されるグルカゴン関連ペプチドのいずれに対しても連結させることが可能な例示の結合体成分としては、ただしこれらに限定されないが、異種ペプチド又はポリペプチド(例えば、血漿タンパクを含む)、標的剤、免疫グロブリン又はその一部(例えば、可変域、CDR、又はFc領域)、例えば放射性同位元素、蛍光色素、又は酵素標識のような診断用標識、水溶性ポリマーを含むポリマー、又は、他の治療用若しくは診断用薬剤が挙げられる。ある実施態様では、本発明のグルカゴン関連ペプチド及び血漿タンパクを含む結合体が提供され、ここで、血漿タンパクは、アルブミン、トランスフェリン、フィブリノーゲン、及びグロブリンから成る群から選ばれる。ある実施態様では、結合体の血漿タンパク成分は、アルブミン又はトランスフェリンである。ある実施態様では、リンカーは、1〜約60、又は1〜30原子長又はそれ以上、2〜5原子、2〜10原子、5〜10原子、又は10〜20原子長の鎖を含む。ある実施態様では、鎖原子は全て炭素原子である。ある実施態様では、リンカーの主鎖の鎖原子は、C、O、N、及びSから成る群から選ばれる。鎖原子及びリンカーは、より溶解度の高い結合体を実現するために、その期待される溶解度(親水性度)に従って選ばれてもよい。ある実施態様では、リンカーは、酵素、又は他の触媒によって、又は、標的組織又は器官又は細胞の中に認められる加水分解条件によって切断され易い官能基を提供する。ある実施態様では、リンカーの長さは、立体的阻害の可能性を下げるのに十分な長さである。リンカーが共有結合か、又はペプチジル結合で、結合体がポリペプチドである場合、結合体の全体は、融合タンパクであってもよい。このようなペプチジルリンカーは、任意の長さを持ってもよい。例示のリンカーは、約1〜50アミノ酸長、5〜50、3〜5、5〜10、5〜15、又は10〜30アミノ酸長である。このような融合タンパクは、別法として、当業者には公知の組み換え遺伝子工学法によって生産してもよい。
上述のように、ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、免疫グロブリン又はその部分(例えば、可変域、CDR、又はFc領域)に結合、例えば、融合される。公知のタイプの免疫グロブリン(Ig)としては、IgG、IgA、IgE、IgD、又はIgMが挙げられる。Fc領域は、Ig重鎖のC−末端領域であり、これは、リサイクル(これは半減期の延長につながる)、抗体依存性細胞介在細胞毒性(ADCC)、及び補体依存性細胞毒性(CDC)などの作用を実行する、Fc受容体との結合を担当する。
例えば、ある定義によれば、ヒトのIgG重鎖Fc領域は、Cys226から該重鎖のC−末端まで延びる。「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230まで延びる(他のIgG異性体のヒンジ領域は、システイン結合に与るシステインを整列させることによって、IgG1配列と一緒に揃えることが可能である)。IgGのFc領域は、二つの定常ドメインCH2及びCH3を含む。ヒトのIgG Fc領域のCH2ドメインは、通常、アミノ酸231からアミノ酸341まで延びる。ヒトのIgG Fc領域のCH3ドメインは、通常、アミノ酸342からアミノ酸447まで延びる。免疫グロブリン、免疫グロブリン断片、又は領域のアミノ酸数に関する参照は、全て、Kabat et al.1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Public Health,Bestheda,Mdに基づく。関連実施態様では、Fc領域は、免疫グロブリン重鎖の、一つ以上の天然又は修飾定常域、ただしCH1以外のもの、例えば、IgG及びIgAのCH2及びCH3領域、又はIgEのCH3及びCH4領域を含んでもよい。
適切な結合体成分としては、FcRn結合部位を含む、免疫グロブリン配列の部分が挙げられる。サルベージ受容体であるFcRnは、免疫グロブリンのリサイクルを担当し、それらを血液循環に戻す。FcRn受容体に結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶解析に基づいて記載されている(Burmeister et al.1994,Nature 372:379)。FcRnに対するFcの主要接触区域は、CH2及びCH3ドメインの接合部の近くである。Fc−FcRn接触部は全て、単一のIg重鎖の内部にある。主要接触部位は、CH2ドメインの、アミノ酸残基248、250−257、272、285、288、290−291、308−311、及び314、及び、CH3ドメインの、アミノ酸残基385−387、428、及び433−436を含む。
結合体成分には、FcγR結合部位(単数又は複数)を含んでもよいし、含まなくてもよい。FcγRは、ADCC及びCDCを担当する。Fc領域において、FcγRと直接的に接触する位置の例としては、アミノ酸234−239(下方ヒンジ領域)、アミノ酸265−269(B/Cループ)、アミノ酸297−299(C/Eループ)、及びアミノ酸327−332(F/C)ループがある(Sondermann et al.,Nature 406:267−273,2000)。IgEの下方ヒンジ領域も、FcRI結合に関与する(Henry et al.,Biochemistry 36,15568−15578,1997)。IgA受容体結合に関与する残基は、Lewis et al.,(J.Immunol.175:6694−701,2005)に記載される。IgE受容体結合に関与する残基は、Sayers et al.(J.Biol.Chem.279(34):35320−5,2004)に記載される。
アミノ酸修飾は、免疫グロブリンのFc領域に行ってもよい。このような変種Fc領域は、Fc領域のCH3ドメイン(残基342−447)における少なくとも一つのアミノ酸修飾、及び/又は、Fc領域のCH2ドメイン(残基231−341)における少なくとも一つのアミノ酸修飾を含む。FcRnに対する親和度の増加をもたらすと考えられる突然変異は、T256A、T307A、E380A、及びN434Aを含む(Shields et al.2001,J.Biol.Chem.276:6591)。他の突然変異は、FcRnに対する親和度を著明に下げることなく、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、及び/又はFcγRIIIAに対するFc領域の結合を低減させる可能性がある。例えば、Fc領域の位置297におけるAsnをAla又は他のアミノ酸によって置換すると、高度に保存されるN−グリコシル化部位が取り除かれることになり、免疫原性の低下と、同時に、Fc領域の半減期の延長、及び、FcγRsに対する結合の低下が引き起こされる(Routledge et al.1995,Transplantation 60:847;Friend et al.1999,Transplantation 68:1632;Shields et al.,1995,J.Biol.Chem.276:6591)。FcγRsに対する結合を低下させる、IgG1の位置233−236におけるアミノ酸修飾が実行されている(Ward and Ghetie 1995,Therapeutic Immunology 2:77、及び、Armour et al.1999,Eur.J.Immunol.29:2613)。いくつかの例示のアミノ酸置換が、米国特許第7,355,008号及び7,381,408号に記載される。なお、それぞれの全体を引用により本明細書に含める。
<rPEG>
ある実施態様では、本発明の結合体は、グルカゴン関連ペプチド、若しくはオステオカルシン、又はそれらの類縁体、誘導体、若しくは結合体を含む、グルカゴンスーパーファミリーペプチドであって、化学的PEGと同様の延長構造を形成することが可能なアクセサリーペプチド(例えば、組み換えPEG(rPEG)分子)、例えば、国際公開第WO2009/023270号、及び米国特許出願第US2008/0286808号に記載されるものと同様のアクセサリーペプチド、に融合されている、グルカゴンスーパーファミリーペプチドを含む。rPEGはポリエチレングリコールではない。ある態様のrPEGは、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、又はプロリンの内の一つ以上を含むポリペプチドである。ある態様では、rPEGは、ホモポリマー、例えば、ポリ−グリシン、ポリ−セリン、ポリ−グルタミン酸、ポリ−アスパラギン酸、ポリ−アラニン、又はポリ−プロリンである。他の実施態様では、rPEGは、反復される2種類のアミノ酸、例えば、ポリ(Gly−Ser)、ポリ(Gly−Glu)、ポリ(Gly−Ala)、ポリ(Gly−Asp)、ポリ(Gly−Pro)、ポリ(Ser−Glu)などを含む。ある態様では、rPEGは、3種類の異なるアミノ酸、例えば、ポリ(Gly−Ser−Glu)を含む。特定態様では、rPEGは、グルカゴンスーパーファミリーペプチド又はオステオカルシンの半減期を増す。ある態様では、rPEGは、正の正味電荷か、又は負の正味電荷を有する。ある態様では、rPEGは二次構造を欠く。ある実施態様では、rPEGは、10アミノ酸長よりも長いか、等しく、ある実施態様では、約40から約50アミノ酸長である。ある態様におけるアクセサリーペプチドは、ペプチド結合又はプロテイナーゼ切断部位を介して、本発明のペプチドのN−又はC−末端に融合されるか、又は、本発明のペプチドのループの中に挿入される。ある態様ではrPEGは、アフィニティータグを含むか、又は、5kDaよりも大きいPEGに連結される。ある実施態様では、rPEGは、本発明のペプチドに対し、流体力学半径の増加、血清半減期の延長、プロテアーゼ耐性の増大、または溶解度の上昇を賦与し、ある態様では、ペプチドに対し、免疫原性の低下を賦与する。
<融合ペプチド−C−末端延長部>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、C−末端、又は下記(ただしこれらに限定されないが)を含むC−末端アミノ酸配列、を含んでもよい:COOH、CONH2、GPSSGAPPPS(配列番号701)、GPSSGAPPPS−CONH2(配列番号711)、オキシントモジュリンカルボキシ末端延長部、KRNRNNIA(配列番号714)、又は、KGKKNDWKHNITQ(配列番号713)。例えば、エキセンディン−4(すなわち、配列番号710の配列(GPSSGAPPPS))の末端の10個のアミノ酸は、本開示のクラス1グルカゴン関連ペプチド、クラス2グルカゴン関連ペプチド、クラス3グルカゴン関連ペプチド、クラス3グルカゴン関連ペプチド、クラス4グルカゴン関連ペプチド、又はクラス5グルカゴン関連ペプチドのカルボキシ末端に連結される。
減量を誘導するもう一つの化合物として、小腸に見られる天然の消化ホルモンであるオキシントモジュリンがある(Diabetes 2005;54:2390−2395を参照)。オキシントモジュリンは、グルカゴンの29アミノ酸配列と、それに続く、配列番号714(KRNRNNIA)の8アミノ酸カルボキシ末端延長部を含む37アミノ酸ペプチド(配列番号706)である。したがって、ある実施態様では、配列番号714の配列から成るカルボキシ末端延長部、又は配列KRNRを有する4アミノ酸延長部をさらに含む、グルカゴン関連ペプチドのプロドラッグ誘導体が提供される。
<位置3におけるグルカゴン修飾>
本明細書に記載されるクラス1から3のグルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する活性を維持又は増すように位置3(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)において修飾されてもよい。
グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、ある実施態様では、グルカゴン受容体に対する活性の維持又は強化は、位置3におけるGlnをグルタミン類縁体で修飾することによって実現される。例えば、位置3においてグルタミン類縁体を含む、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴン(配列番号701)の活性の約5%、約10%、約20%、約50%、又は約85%の活性を発揮する可能性がある。ある実施態様では、位置3においてグルタミン類縁体を含む、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、位置3における修飾アミノ酸を除き、該グルタミン類縁体を含むペプチドと同じアミノ酸配列を有する、対応するグルカゴンペプチドの活性の、約20%、約50%、約75%、約100%、約200%、又は約500%以上の活性を発揮する可能性がある。ある実施態様では、位置3においてグルタミン類縁体を含む、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドは、位置3における修飾アミノ酸を除き、該グルタミン類縁体を含むペプチドと同じアミノ酸配列を有する、天然グルカゴン又は対応グルカゴンペプチドの活性の1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%以下の活性を発揮する可能性がある。
ある実施態様では、グルタミン類縁体は、構造I、II、又はIIIの側鎖を含む天然産又は非天然産のアミノ酸であり:
上式において、R
1は、C
0−3アルキルであるか、又はC
0−3ヘテロアルキルであり;R
2は、NHR
4であるか、又はC
1−3アルキルであり;R
3は、C
1−3アルキルであり;R
4は、H又はC
1−3アルキルであり;Xは、NH、O、又はSであり;及び、Yは、NHR
4、SR
3、又はOR
3である。ある実施態様では、XはNHであり、YはNHR
4である。ある実施態様では、R
1は、C
0−2アルキルであるか、又はC
1ヘテロアリールである。ある実施態様では、R
2は、NHR
4であるか、又はC
1アルキルである。ある実施態様では、R
4は、H又はC
1アルキルである。グルカゴン関連ペプチドが、クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドである、例示の実施態様では、構造式Iの側鎖を含むアミノ酸が提供され、ここで、R
1はCH
2−Sであり、XはNHであり、R
2はCH
3であるか(アセタミドメチル−システイン、C(Acm));R
1はCH
2であり、XはNHであり、R
2はCH
3であるか(アセチルジアミノブタノイン酸、Dab(Ac));R
1はC
0アルキルであり、XはNHであり、R
2はNHR
4であり、R
4はHであるか(カルバモイルジアミノプロパノイン酸、Dap(urea));又は、R
1はCH
2−CH
2であり、XはNHであり、R
2はCH
3であり(アセチルオルニチン、Orn(Ac))である。例示の実施態様では、構造式IIの側鎖を含むアミノ酸が提供され、ここで、R
1はCH
2であり、XはNHR
4であり、R
4はCH
3(メチルグルタミン、Q(Me))である。例示の実施態様では、構造式IIIの側鎖を含むアミノ酸が提供され、ここで、R
1はCH
2であり、R
4はH(メチオニン−スルフォキシド、M(O))である。特定の実施態様では、位置3のアミノ酸は、Dab(Ac)によって置換される。
<二量体>
クラス1、クラス2、又はクラス3グルカゴン関連ペプチドに関しては、該グルカゴン関連ペプチドは、リンカーを介して結合される、少なくとも二つ、三つ、又はそれ以上のペプチドを含む、二量体、三量体、又はさらに高次の多量体の一部であってもよく、ここで、少なくとも一つ又は両ペプチドは、グルカゴン関連ペプチドである。二量体は、ホモ二量体又はヘテロ二量体であってもよい。ある実施態様では、リンカーはPEGであり、例えば、5kDa PEG、20kDa PEGである。ある実施態様では、リンカーはジスルフィド結合手である。例えば、二量体の各単量体は、Cys残基(例えば、末端又は内部位置Cys)を含んでもよく、各Cys残基の硫黄原子は、ジスルフィド結合の形成に加わる。本発明のある態様では、単量体同士は、末端アミノ酸(例えば、N−末端又はC−末端)同士を介して、内部アミノ酸同士を介して、又は、少なくとも一つの単量体の末端アミノ酸と少なくとも一つの別の単量体の内部アミノ酸とを介して接続される。特定態様では、単量体同士は、N−末端アミノ酸を介しては接続されない。ある態様では、多量体の単量体同士は、各単量体のC−末端アミノ酸が互いに繋ぎ合わされる、「テール・トゥー・テール」配向で連結される。二量体、三量体、又はより高次の多量体を含む、本明細書に開示のグルカゴン関連ペプチドのいずれかに、結合体成分が共有結合されてもよい。
<グルカゴン関連ペプチドの製造方法>
本明細書に開示されるグルカゴン関連ペプチド(及びプロドラッグ)は、標準的合成方法、組み換えDNA技術、又は、ペプチド及び融合タンパクを調製する任意の他の方法によって調製してよい。ある種の非天然アミノ酸は、標準的組み換えDNA技術では発現されない可能性があるが、それらを調製するための技術は当該技術分野で公知である。非ペプチド部分を包含する、本発明の化合物は、標準的ペプチド化学反応の外、適用可能であるならば、標準的有機化学反応によって合成してもよい。
グルカゴン関連ペプチドのクラスを下記に詳述する。クラス1、2、3、4、及び5グルカゴン関連ペプチドに関する開示セクションは、それぞれ、上述のプロドラッグ化合物のグルカゴン関連ペプチド部分(Q)に関連して記載される。したがって、あるクラスのグルカゴン関連ペプチドに関して記載される構造要素は、Qの構造要素であり、これは、上述のように、プロドラッグ化合物を生成するためにさらに修飾される。
<クラス1グルカゴン関連ペプチド>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、クラス1グルカゴン関連ペプチドであり、これは、本明細書において、且つ、国際特許出願第PCT US2009/47437号(2009年6月16日出願)、2008年7月17日出願の国際特許出願公開第WO2008/086086号、及び、米国特許仮出願第61/090,415号において記載される。なお、これらの内容の全体を引用により本明細書に含める。
クラス1グルカゴン関連ペプチドに関して、以下のセクションに参照される生物学的配列(配列番号801−915)は、国際特許出願第PCT US2009/47437号の配列番号1−115に対応する。
<活性>
クラス1グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンペプチド(配列番号801)に対し、相対的グルカゴン受容体活性を保持する。例えば、本グルカゴンペプチドは、天然グルカゴンの活性の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%活性、80%活性、85%活性、又は90%の活性(例えば、実施例5に概観されるアッセイによるcAMP生産に基づいて測定した場合、グルカゴンペプチド対グルカゴンのEC50の逆数比として計算される)を保持することが可能である。ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴンと同じか、それよりも高い活性を有する。ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴンと同じか、又はより高い活性(本明細書では、「効力」という用語と同義的に使用される)を有する。ある実施態様では、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、天然グルカゴンペプチドの活性の約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%以下の活性を発揮する。
本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、例えば、実施例5のアッセイを用い、グルカゴン受容体を過剰発現するHEK293細胞におけるcAMP誘導について試験した場合、ヒトのグルカゴン受容体に対して、約100nM、75nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM又はそれ以下のEC50を示す可能性がある。通常、PEG化ペプチドは、非PEG化ペプチドに比べて、より高いEC50を示す。例えば、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、非PEGの場合、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴン(配列番号801)の活性の少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、100%、150%、200%、400%、500%以上)の活性を示す可能性がある。ある実施態様では、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、親水性成分を欠く場合は、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの、表示した%活性を示すが、親水性成分を含む場合は、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンより減少した%活性を示す。例えば、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、PEG化されると、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性の、少なくとも2%(例えば、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10%)の活性を示す可能性がある。ある実施態様では、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、上に表示の活性のいずれかを発揮するが、それは、天然グルカゴン活性の1000%、10,000%、又は1,000,000%以下である可能性がある。
ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1の活性の約5%、4%、3%、2%、又は1%の活性を示し、及び/又は、グルカゴン受容体に対し、GLP−1受容体に比べ、約5倍、10倍、又は15倍を超える選択性を示す。例えば、ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1の活性の5%未満の活性を示し、GLP−1受容体と比べて、グルカゴン受容体に対し5倍を超える選択性を示す。
<溶解度の向上>
天然グルカゴンは、水溶液、特に生理的pHの水溶液に対し低レベルの溶解度しか示さず、時間と共に凝集し、沈殿する傾向を持つ。一方、ある実施態様のクラス1グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンに比べ、6から8のpH、又は6から9のpH、例えば、pH7、25℃で24時間後、少なくとも2倍、5倍、又は、場合によってはさらに高い溶解度を示す。
したがって、ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、天然ペプチドの生物活性を保持しながら、水溶液に対し、特に約5.5から約8.0の範囲のpHにおける水溶液に対しペプチドの溶解度を向上させるよう、His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Ag−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr(配列番号801)の野生型ペプチドに対して修飾されている。
例えば、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドのいずれかの溶解度は、該ペプチドに親水性成分を付着することによってさらに向上させることが可能である。そのような基の導入はさらに、作用の持続時間を、例えば、循環における半減期の延長で測定した場合、延長する。親水性成分についてはさらに後述する。
<荷電性残基による修飾>
ある実施態様では、天然の非荷電アミノ酸を、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸によって置換することによって、又は、該ペプチドのアミノ又はカルボキシ末端に荷電アミノ酸を付加することによって、クラス1グルカゴン関連ペプチドに電荷を加えることによって溶解度が改善される。
ある実施態様によれば、クラス1グルカゴン関連ペプチドの溶解度は、該ペプチドのC−末端部に、またある実施態様では、C−末端から配列番号801の位置27までの位置に、荷電アミノ酸を導入する、アミノ酸置換及び/又は付加による修飾によって改善される。さらに、1、2、又は3個の荷電アミノ酸を、C−末端部に導入してもよく、ある実施態様では、C−末端から位置27までに導入してもよい。ある実施態様によれば、位置28及び/又は29の天然アミノ酸(単数又は複数)は、荷電アミノ酸によって置換されるか、及び/又は、1から3個の荷電アミノ酸が、該ペプチドのC−末端に、例えば、位置27、28、又は29の後に、付加される。例示の実施態様では、荷電アミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全てが負荷電アミノ酸である。他の実施態様では、荷電アミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全てが正荷電アミノ酸である。
例示の特定の実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、下記の修飾の内の、任意の一つ又は二つを含んでもよい:EによるN28の置換;DによるN28の置換;DによるT29の置換;EによるT29の置換;位置27、28、又は29後のEの挿入;位置27、28、又は29後のDの挿入。例えば、D28E29、E28E29、E29E30、E28E30、D28E30。
例示の一実施態様によれば、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、配列番号801のアミノ酸配列、又は、天然グルカゴンに対し、さらに1から3個のアミノ酸修飾(グルカゴンアゴニストに関連して本明細書に記載される)を含むその類縁体、又は、そのグルカゴンアゴニスト類縁体を含む。配列番号811は、天然タンパクの位置28のアスパラギン残基が、アスパラギン酸によって置換される、修飾型クラス1グルカゴン関連ペプチドを表す。別の例示的実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、配列番号838のアミノ酸配列を含み、ここでは、天然タンパクの位置2のアスパラギン残基がグルタミン酸によって置換される。他の例示的実施態様は、配列番号824、825、826、833、835、836、及び837のクラス1グルカゴン関連ペプチドを含む。
クラス1グルカゴン関連ペプチドの、位置28及び/又は29の通常アミノ酸を荷電アミノ酸で置換すること、及び/又は、カルボキシ末端に1から2個の荷電アミノ酸を付加することによって、生理的関連pH(すなわち、約6.5から約7.5のpH)における水溶液に対する、該グルカゴンペプチドの溶解度及び安定度は、少なくとも5倍、及び、最大30倍も強化される。したがって、ある実施態様のクラス1グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン活性を保持し、且つ、25℃で24時間後に測定した場合、天然グルカゴンに比べ、約5.5から約8までの任意のpH、例えば、pH7において、少なくとも2倍、5倍、10倍、15倍、25倍、30倍、又はそれ以上の溶解度を示す。
このクラス1グルカゴン関連ペプチドには、該ペプチドがグルカゴン活性を保持することを可能とするものであれば、さらに別の修飾、例えば、保存的修飾(これについてはさらに後述する)を実行してもよい。
<安定性の向上>
これらのクラス1グルカゴンペプチドは、いずれも、25℃で24時間後に、例えば、元のペプチドの少なくとも95%を保持しながら、さらに安定度を向上させ、及び/又は、分解度を低下させることが可能である。本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、いずれも、25℃で24時間後に、例えば、元のペプチドの少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を保持しながら、5.5から8の範囲のpHにおいて、さらに安定度を向上させることが可能である。ある実施態様では、本発明のクラス1グルカゴン関連ペプチドは安定度の向上を示し、すなわち、少なくとも20℃(例えば、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、少なくとも27.5℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃)で100℃未満、85℃未満、75℃未満、又は70℃未満の温度において、溶液中で約1週又はそれ以上の週(例えば、約2週、約4週、約1ヶ月、約2ヶ月、約4ヶ月、約6ヶ月、約8ヶ月、約10ヶ月、約12ヶ月)後、紫外(UV)検出器によって280nmにおいて、該ペプチド濃度の少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、95%より上で最大100%)が検出可能であり、若しくは、分解ペプチドについては、25%未満(例えば、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%、3%、2%、1%、最小0%)しか検出されない。クラス1グルカゴン関連ペプチドは、その薬学的特性を変えるさらに別の修飾を含んでもよく、そのような特性として、例えば、抗力の増加、循環半減期の延長、保存寿命の延長、沈殿又は凝集の低下、及び/又は、分解の低下、例えば、保存後の切断又は化学的修飾の低下が挙げられる。
さらに別の例示的実施態様では、前記クラス1グルカゴン関連ペプチドは、いずれも、該ペプチドの経時的分解、特に、酸性又はアルカリ性バッファーにおける分解を下げるよう、配列番号801の位置15のアミノ酸を修飾することによって安定性を向上させるように修飾することが可能である。位置15のAspは、Glu、ホモ−Glu、システイン酸、又はホモ−システイン酸によって置換される。
それとは別に、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、配列番号801の位置16のアミノ酸を修飾することによって安定性が向上するようにさらに修飾することが可能である。例示的実施態様では、位置16のSerは、Thr又はAIBによって置換されるか、若しくは、クラス1グルカゴン関連ペプチドに関しグルカゴン受容体に対する効力の強化について本明細書に記載したアミノ酸置換の内のいずれかであってもよい。このような修飾は、Asp15−Ser16間のペプチド結合の切断を低下させる。
ある実施態様では、本明細書に記載されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、いずれも、位置20、21、24、又は27の内のどれか一つ、二つ、三つ、又は全てを修飾することによって、種々のアミノ酸位置における分解を低下させるようにさらに修飾することが可能である。例示的実施態様は、位置20のGlnの、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換、位置21のAspの、Gluによる置換、位置24のGlnの、Ala又はAIBによる置換、位置27のMetの、Leu又はNleによる置換を含む。メチオニンの除去又は置換は、該メチオニンの酸化による分解を低下させる。Gln又はAsnの除去又は置換は、Gln又はAspの脱アミドによる分解を低下させる。Aspの除去又は置換は、Aspの脱水による環状スクシンイミド中間体の形成、それに続く、イソ−アスパルテートの異性化によって起こる分解を低下させる。
<効力の強化>
別の実施態様によれば、グルカゴン受容体に対する効力が強化される、クラス1グルカゴン関連ペプチドが提供され、ここで、該ペプチドは、天然グルカゴン(配列番号801)の位置16におけるアミノ酸修飾を含む。非限定的例として挙げるのであるが、このような効力強化は、位置16の天然に生じるセリンを、グルタミン酸によって置換するか、又は、4原子長の側鎖を有する、別の負荷電アミノ酸によって置換するか、又はそれとは別に、グルタミン、ホモグルタミン、又はホモ−システイン酸の内のいずれか一つ、又は、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、N、O、S、P)を含む側鎖を有し、且つ、約4(又は3−5)原子の側鎖長を有する荷電アミノ酸によって置換することで実現可能である。位置16におけるセリンの、グルタミン酸による置換は、グルカゴン受容体に対するグルカゴン活性を少なくとも2倍、4倍、5倍、及び最大10倍以上強化する。ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドグルカゴンは、GLP−1受容体に比べ、グルカゴン受容体に対する選択性を、例えば、少なくとも5倍、10倍、又は15倍の選択度において保持する。
<DPP−IV耐性>
ある実施態様では、本明細書に開示されるクラス1グルカゴン関連ペプチドは、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を下げるために、さらに位置1又は2において修飾される。より詳細には、ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドの位置1及び/又は位置2は、本明細書に記載されるDPP−IV耐性アミノ酸(単数又は複数)によって置換される。ある実施態様では、類似ペプチドの位置2は、アミノイソブチル酸によって置換される。ある実施態様では、類似ペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、グリシン、N−メチルセリン、及びε−アミノブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。別の実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドの位置2は、D−セリン、グリシン、及びアミノイソブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。
グルカゴンペプチドの位置1及び/又は位置2におけるアミノ酸の修飾によって生じるグルカゴン活性の低下は、該グルカゴンペプチドのC−末端部分のアルファヘリックス構造の安定化によって回復することが可能である。アルファヘリックス構造は、例えば、共有結合性又は非共有結合性分子内架橋(例えば、位置「i」及び「i+4」のアミノ酸の側鎖間に設けられるラクタム架橋、ここで、iは、12から25の整数である)を形成すること、後述するように、位置12−29周辺のアミノ酸を、アルファヘリックス安定化アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)で置換すること、及び/又は、同アミノ酸中に安定化アミノ酸を挿入すること、によって安定化することが可能である。
<位置3における修飾>
グルカゴン受容体活性は、位置3(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)におけるアミノ酸修飾によって、例えば、位置3の天然産グルカゴンを、酸性、塩基性、又は疎水性アミノ酸によって置換することによって、下げることが可能である。例えば、位置3の、グルタミン酸、オルニチン、又はノルロイシンによる置換は、事実上、グルカゴン受容体活性を低下させる又は破壊する。
グルカゴン受容体に対する活性の維持又は強化は、位置3のGlnを、本明細書に記載されるグルタミン類縁体によって修飾することによって実現される可能性がある。例えば、グルカゴンアゴニストは、配列番号863、配列番号869、配列番号870、配列番号871、配列番号872、配列番号873、及び配列番号874のアミノ酸配列を含んでもよい。
<C−末端アミド及びエステルによるGLP−1活性の強化>
GLP−1受容体に対する活性の強化は、C−末端アミノ酸のカルボン酸を、アミド又はエステルなどの荷電性中性基で置換することによって実現される。逆に言うと、ペプチドのC−末端における天然カルボン酸を保持することで、GLP−1受容体に比べた場合の、グルカゴン受容体に対するクラス1グルカゴン関連ペプチドの比較的大きい選択性(例えば、約5倍、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20倍)が維持される。
<さらに別の修飾及び組み合わせ>
溶解度及び/又は安定度及び/又はグルカゴン活性をさらに増すために、クラス1グルカゴン関連ペプチドに対しさらに別の修飾を実行することが可能である。それとは別に、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、溶解度又は安定度に対し事実上影響せず、且つ、グルカゴン活性を事実上減少させない、他の修飾を含んでもよい。例示的実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴン配列に対し、合計、最大で11、又は最大で12、又は最大で13、又は最大で14個のアミノ酸修飾を含んでもよい。例えば、位置2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29のいずれかにおいて、保存的又は非保存的置換、付加、又は欠失を実行してもよい。
クラス1グルカゴン関連ペプチドの例示の修飾としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、下記が挙げられる:
(a)少なくとも部分的にグルカゴンアゴニスト活性を保持しながらの、非保存的置換、保存的置換、付加、又は欠失、例えば、位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29の一つ以上における保存的置換、位置10のTyrの、Val又はPheによる置換、位置12のLysの、Argによる置換、これらの位置の一つ以上の、Alaによる置換;
(b)少なくとも部分的にグルカゴンアゴニスト活性を保持しながらの、位置29及び/又は28(さらに位置27を含んでもよい)での、アミノ酸の欠失;
(c)位置15のアスパラギン酸の修飾、例えば、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸、又はホモ−システイン酸による置換で、これは分解を抑える可能性がある;又は、位置16のセリンの修飾、例えば、トレオニン、AIB、グルタミン酸による置換、又は、4原子長の側鎖を有する、別の負荷電アミノ酸による置換、又はそれとは別に、グルタミン、ホモグルタミン酸、又はホモ−システイン酸の内のいずれか一つによる置換で、これらは、Asp15−Ser16結合の切断による分解を抑える可能性がある;
(d)例えば、位置16、17、20、21、24、29、40、又は、C−末端アミノ酸における、本明細書に記載される水溶性ポリマーポリエチレングリコールなどの親水性成分の付加、これは、溶解度を増し、及び/又は、半減期を延長する可能性がある;
(e)位置27のメチオニンの修飾、例えば、ロイシン又はノルロイシンによる置換、これは、酸化分解を抑える;
(f)位置20又は24のGlnの修飾、例えば、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換、これは、Glnの脱アミド化を介して生じる分解を抑える;
(g)位置21のAspの修飾、例えば、Gluによる置換、これは、Aspの脱水による環状スクシンイミド中間体の形成、それに続く、イソ−アスパルテートの異性化によって起こる分解を抑える;
(h)DPP−IV切断に対する耐性を向上させる、本明細書に記載される、位置1又は2の修飾;さらに、分子内架橋、例えば、位置「i」及び「i+4」の間のラクタム架橋、と組み合わせてもよい、なお、iは、12から25の整数であり、例えば、12、16、20、24である;
(i)本明細書に記載されるグルカゴンペプチドのアシル化又はアルキル化、これは、グルカゴン受容体及び/又はGLP−1受容体に対する活性を増し、循環半減期を延長し、及び/又は、作用持続時間を延長し、及び/又は、作用開始を遅らせる可能性があり、この修飾はさらに、親水性成分の付加と組み合わせてもよく、それに加えてさらに、又はそれとは別に、GLP−1ペプチドにおける活性を選択的に下げる修飾、例えば、位置7のThrの修飾、例えば、位置7のThrの、ヒドロキシル基を欠くアミノ酸、例えば、Abu又はIleによる置換;位置27のアミノ酸までのC−末端アミノ酸の欠失(例えば、位置28及び29のアミノ酸の内の片方又は両方の欠失で、27又は28アミノ酸長のペプチドを生成する)と組み合わせてもよい;
(j)本明細書に記載するC−末端延長部;
(k)本明細書に記載するホモ二量体又はヘテロ二量体形成;及び、
(a)から(k)までの組み合わせ。
ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドの例示の修飾は、下記のA群から選ばれる少なくとも一つのアミノ酸修飾、及び、下記のB群及び/又はC群から選ばれる、一つ以上の修飾を含み、
ここで、A群は:
位置28のAsnの、荷電アミノ酸による置換;
位置28のAsnの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;
位置28の、Asn、Asp、又はGluによる置換;
位置28の、Aspによる置換;
位置28の、Gluによる置換;
位置29のThrの、荷電アミノ酸による置換;
位置29のThrの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;
位置29の、Asp、Glu、又はLysによる置換;
位置29の、Gluによる置換;
位置29の後へ、1−3荷電アミノ酸の挿入;
位置29の後へ、Glu又はLysの挿入;
位置29の後へ、Gly−Lys又はLys−Lysの挿入;
又は、上記の組み合わせ、であり;
ここで、B群は:
位置15のAspの、Gluによる置換;
位置16のSerの、Thr又はAIBによる置換、であり;
ここで、C群は:
位置1のHisの、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断に対するグルカゴンペプチドの感受性を下げる、非天然アミノ酸による置換、
位置2のSerの、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断に対するグルカゴンペプチドの感受性を下げる、非天然アミノ酸による置換、
位置12のLysの、Argによる置換;
位置20のGlnの、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換;
位置21のAspの、Gluによる置換;
位置24のGlnの、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換;
位置27のMetの、Leu又はNleによる置換;
位置27−29のアミノ酸の欠失;
位置28−29のアミノ酸の欠失;
位置29のアミノ酸の欠失;
又は、上記の組み合わせ、である。
例示的実施態様では、位置12のLysは、Argによって置換される。別の例示的実施態様では、位置29及び/又は28(さらに位置27を含んでもよい)におけるアミノ酸は欠失される。
ある特定の実施態様では、グルカゴンペプチドは、(a)DPP−IV耐性を賦与する、位置1及び/又は2のアミノ酸修飾、例えば、位置1におけるDMIAによる置換、又は位置2におけるAIBによる置換、(b)位置12−29、例えば、位置16と20の間の分子内架橋、又は、位置16、20、21、及び24のアミノ酸の、α,α二置換アミノ酸による一つ以上の置換、を含み、さらに、以下であってもよい:(c)位置24、29、又はC−末端アミノ酸において、例えば、Cysを介して、PEGなどの親水性成分に連結されてもよく、(d)Metを、例えば、Nleによって置換する、位置27におけるアミノ酸修飾を含んでもよく、(e)分解を抑える、位置20、21、及び24におけるアミノ酸修飾を含んでもよく、(f)配列番号820に連結されてもよい。グルカゴンペプチドが配列番号820に連結されると、ある実施態様の位置29におけるアミノ酸は、Thr又はGlyである。別の特定の実施態様では、グルカゴンペプチドは、(a)Asp28Glu29、又はGlu28Glu29、又はGlu29Glu30、又はGlu28Glu30、又はAsp28Glu30、を含み、さらに、以下を含んでもよい:(b)Serを例えばThr又はAIBによって置換する、位置16におけるアミノ酸置換、(c)Metを、例えばNleによって置換する、位置27におけるアミノ酸修飾、及び、(d)分解を抑える、位置20、21、及び24におけるアミノ酸修飾。特定の実施態様では、グルカゴンペプチドは、T16、A20、E21、A24、Nle27、D28、E29である。
ある実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、下記のアミノ酸配列:
X1−X2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Z(配列番号839)、及び、それに加えて1から3個のアミノ酸修飾を含み、
上記配列において、X1及び/又はX2は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断に対するグルカゴンペプチドの感受性を下げる(又は、耐性を増す)非天然アミノ酸であり、
ここで、Zは、−COOH(天然のC−末端カルボキシレート)、−Asn−COOH、Asn−Thr−COOH、及びY−COOHから成る群から選ばれ、ここで、Yは1から2個のアミノ酸であり、且つ、
ここで、分子内架橋、好ましくは共有結合が、位置iのアミノ酸と、位置i+4のアミノ酸の側鎖同士を接続する、なお、iは12、16、20、又は24である。
ある実施態様では、分子内架橋はラクタム架橋である。ある実施態様では、配列番号820の位置i及びi+4のアミノ酸は、LysとGlu、例えば、Glu16とLys20である。ある実施態様では、X1は、下記から成る群から選ばれる:D−His、N−メチル−His、アルファ−メチル−His、イミダゾール酢酸、デス−アミノ−His、ヒドロキシル−His、アセチル−His、ホモ−His、及び、アルファ、アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)。他の実施態様では、X2は、下記から成る群から選ばれる:D−Ser、D−Ala、Gly、N−メチル−Ser、Val、及び、アルファ、アミノイソブチル酸(AIB)。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、アミノ酸位置16、17、20、21、24、29、40の内の任意の位置、C−末端延長部内、又はC−末端アミノ酸において親水性成分に連結される。例示的実施態様では、この親水性成分は、これらの任意の位置において、Lys、Cys、Orn、ホモ−システイン、又はアセチル−フェニルアラニン残基に共有結合される。例示の親水性成分としては、例えば、分子量が約1,000ダルトンから約40,000ダルトン、又は約20,000ダルトンから約40,000ダルトンのポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
他の実施態様では、クラス1グルカゴン関連ペプチドは、下記のアミノ酸配列を含み:
Xl−X2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Z (配列番号839)、
上記配列において、X1及び/又はX2は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断に対するグルカゴンペプチドの感受性を下げる(又は、耐性を増す)非天然アミノ酸であり、
ここで、グルカゴンペプチドの位置16、20、21、及び24の内の一つ、二つ、三つ、四つ以上が、α,α-二置換アミノ酸によって置換され、
ここで、Zは、−COOH(天然のC−末端カルボキシレート)、−Asn−COOH、Asn−Thr−COOH、及びY−COOHから成る群から選ばれ、Yは1から2個のアミノ酸である。
前記クラス1グルカゴン関連ペプチド又はその類縁体に対する、さらに別の例示アミノ酸修飾としては、位置7のThrの、ヒドロキシルを欠くアミノ酸、例えば、アミノブチル酸(Abu)、Ileによる置換が挙げられ、この置換はさらに、下記のいずれかと組み合わされてもよい:アシル基又はアルキル基(これは天然アミノ酸に対して非天然である)に共有結合(スペーサーを介してでもよい)される側鎖を含むアミノ酸による置換又は付加、位置12のLysの、Argによる置換;位置15のAspのGluによる置換;位置16のSerの、Thr又はAIBによる置換;位置20のGlnの、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換;位置21のAspの、Gluによる置換;位置24のGlnの、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換;位置27のMetの、Leu又はNleによる置換;位置28のAsnの、荷電アミノ酸による置換;位置28のAsnの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;位置28の、Asn、Asp、又はGluによる置換;位置28の、Aspによる置換;位置28の、Gluによる置換;位置29のThrの、荷電アミノ酸による置換;位置29のThrの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;位置29の、Asp、Glu、又はLysによる置換;位置29の、Gluによる置換;位置29の後へ1−3荷電アミノ酸の挿入;位置30(すなわち、位置29の後)へGlu又はLysの挿入;さらに位置31へのLysの挿入を伴ってもよい;位置29のアミノ酸がThr又はGlyである場合、配列番号820の、C−末端への付加を伴ってもよい;親水性成分に共有結合により付着されるアミノ酸の置換又は付加;又は、上記の組み合わせ。
クラス1グルカゴンアゴニストに関連して上述した修飾は、いずれも、グルカゴン受容体活性を増し、部分的グルカゴン受容体活性を保持し、溶解度を向上させ、安定性を増し、又は分解を抑えるが、これらは、個別に、又は組み合わせてクラス1グルカゴンペプチドに適用させることが可能である。したがって、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも20%を保持し、6から8のpH、又は6から9のpH(例えば、pH7)において少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であって、さらに25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持(例えば、元のペプチドの5%以下しか、分解されるか又は切断されない)してもよい、クラス1グルカゴン関連ペプチドを調製することが可能である。それとは別に、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の、少なくとも約100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、又は10倍の活性を発揮する高効力クラス1グルカゴンペプチドであって、さらに、6から8のpH、又は6から9のpH(例えば、pH7)において少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であってもよく、さらに、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持(例えば、元のペプチドの5%以下しか、分解されるか又は切断されない)してもよい、高効力クラス1グルカゴンペプチドを調製することが可能である。ある実施態様では、本明細書に記載されるクラス1グルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対して、少なくとも、上述の相対的活性レベルのいずれかを示してもよいが、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の10,000%、100,000%、又は1,000,000%を超えてはならない。
<クラス1グルカゴン関連ペプチドの実施態様の例>
ある実施態様によれば、配列番号801の天然グルカゴンペプチドは、位置28及び/又は29における天然アミノ酸の、負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)による置換によって修飾されており、さらに、該ペプチドのカルボキシ末端に対する負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)の付加によって修飾されてもよい。別実施態様では、配列番号801の天然グルカゴンペプチドは、位置29の天然アミノ酸の、正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、又はヒスチジン)による置換によって修飾され、さらに、該ペプチドのカルボキシ末端に対する正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、又はヒスチジン)の付加によって修飾されてもよい。ある実施態様によれば、配列番号834のアミノ酸配列を含むグルカゴン類縁体であって、位置28又は29の少なくとも一方のアミノ酸が、酸性アミノ酸によって置換されるか、及び/又は、さらに別の酸性アミノ酸が、配列番号834のカルボキシ末端に付加されるかして、溶解度及び安定度が改善される、グルカゴン類縁体が提供される。ある実施態様では、これらの酸性アミノ酸は、それぞれ独立に、Asp、Glu、システイン酸、及びホモ−システイン酸から成る群から選ばれる。
ある実施態様によれば、配列番号833のアミノ酸配列を含むグルカゴンアゴニストであって、位置27、28、又は29のアミノ酸の少なくとも一つが、非天然アミノ酸残基によって置換されている(すなわち、該類縁体の位置27、28、又は29に存在する少なくとも一つのアミノ酸は、配列番号801の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なる)、溶解度及び安定度が改善されたグルカゴンアゴニストが提供される。ある実施態様によれば、配列番号833の配列を含むグルカゴンアゴニストにおいて、位置28のアミノ酸がアスパラギン酸であり、位置29のアミノ酸がトレオニンである場合、該ペプチドはさらに、該グルカゴンペプチドのカルボキシ末端に付加される、Lys、Arg、His、Asp、又はGluから成る群からそれぞれ独立に選ばれる、一つ又は二つのアミノ酸をさらに含む、グルカゴンアゴニストが提供される。
天然グルカゴンペプチドのいくつかの位置は、該母体ペプチドの活性の少なくとも一部を保持しながら、修飾することが可能であると報告されている。したがって、本出願人らは、配列番号811の位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20,21、24、27、28、又は29に配置されるアミノ酸の一つ以上は、天然グルカゴンペプチド中に存在するものとは異なる別アミノ酸によって置換し、尚且つ、母体グルカゴンペプチドの高い効力、生理的pH安定性、及び生物活性を保持することが可能であろうと予想する。例えば、ある実施態様によれば、天然ペプチドの位置27に存在するメチオニン残基は、該ペプチドの酸化分解を阻止するために、ロイシン又はノルロイシンに変えられる。
ある実施態様では、配列番号833のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、又は24から選ばれる1から3個のアミノ酸が、配列番号801の対応アミノ酸とは異なる類縁体が提供される。別の実施態様では、配列番号807、配列番号808、又は配列番号834のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、又は24から選ばれる1から2個のアミノ酸が、配列番号801の対応アミノ酸とは異なる類縁体が提供され、さらに別の実施態様では、これら1から2個の異なるアミノ酸は、天然配列(配列番号801)中に存在するアミノ酸に対して保存的アミノ酸置換を表す。ある実施態様では、配列番号811又は配列番号813のグルカゴンペプチドにおいて、位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、又は29から選ばれる位置において、1、2、又は3個のアミノ酸置換をさらに含むペプチドが提供される。ある実施態様では、位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、又は29における置換は、保存的アミノ酸置換である。
ある実施態様では、配列番号801の類縁体ペプチドを含むグルカゴンアゴニストが提供され、ここで、該類縁体は、配列番号801のペプチドの位置2においてセリン以外のアミノ酸を有し、位置28又は29において天然アミノ酸の代わりに酸性アミノ酸を有し、又は、カルボキシ末端に酸性アミノ酸を付加することによって、配列番号801とは異なっている。ある実施態様では、酸性アミノ酸はアスパラギン酸又はグルタミン酸である。ある実施態様では、配列番号809、配列番号812、配列番号813、又は配列番号832のグルカゴン類縁体であって、位置2における置換によって母体分子とは異なる類縁体が提供される。より詳細には、該類縁体の位置2は、D−セリン、アラニン、D−アラニン、グリシン、n−メチルセリン、及びアミノイソブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。
別の実施態様では、配列番号801の類縁ペプチドを含むグルカゴンアゴニストが提供され、ここで、該類縁体は、配列番号801の位置1においてヒスチジン以外のアミノ酸を有し、位置28又は29において天然アミノ酸の代わりに酸性アミノ酸を有し、又は、カルボキシ末端に酸性アミノ酸を付加することによって、配列番号801とは異なっている。。ある実施態様では、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。ある実施態様では、配列番号809、配列番号812、配列番号813、又は配列番号832のグルカゴン類縁体であって、位置1における置換によって母体分子とは異なる類縁体が提供される。より詳細には、該類縁体ペプチドの位置1は、DMIA、D−ヒスチジン、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。
ある実施態様によれば、修飾グルカゴンペプチドは、配列番号809、配列番号812、配列番号813、及び配列番号832から成る群から選ばれる配列を含む。さらに別の実施態様では、配列番号809、配列番号812、配列番号813、又は配列番号832の配列を含むグルカゴンペプチドであって、さらに、配列番号809、配列番号812、配列番号813、又は配列番号832のC−末端に付加される1又は2個のアミノ酸を含み、これら付加アミノ酸が、それぞれ独立に、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、又はホモ−システイン酸から成る群から選ばれる、グルカゴンペプチドが提供される。ある実施態様では、カルボキシ末端に加えられる付加アミノ酸は、Lys、Arg、Asp、又はGluから成る群から選ばれるか、又は、さらに別の実施態様では、付加アミノ酸は、Asp又はGluである。
別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号7の配列、又はそのグルカゴンアゴニスト類縁体を含む。ある実施態様では、ペプチドは、配列番号808、配列番号810、配列番号811、配列番号812、及び配列番号813から成る群から選ばれる配列を含む。別の実施態様では、ペプチドは、配列番号808、配列番号810、及び配列番号811から成る群から選ばれる配列を含む。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号808、配列番号810、及び配列番号811の配列であって、さらに、Asp及びGluから成る群から選ばれ、グルカゴンペプチドのC−末端に付加させた付加的アミノ酸を含む配列を含む。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号811又は配列番号813の配列を含み、さらに別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号811の配列を含む。
ある実施態様によれば、下記から成る群から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含むグルカゴンアゴニストが提供され:
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Xaa−Xaa−R (配列番号834),
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asp−Thr−R (配列番号811)、及び、
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Glu−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asp−Thr−R (配列番号813)、
上記配列において、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、位置28のXaaは、Asn又は酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thr又は酸性アミノ酸であり、Rは、酸性アミノ酸、COOH、又はCONH2であるが、ただし、酸性アミノ酸残基は、位置28、29、又は30の内の一つに存在するものとする。ある実施態様では、RはCOOHであり、別の実施態様では、RはCONH2である。
本開示はさらに、グルカゴンペプチドの安定性及び溶解度を強化するために、第2のペプチドがグルカゴンペプチドのC−末端に融合される、グルカゴン融合ペプチドを包含する。より詳細には、融合グルカゴンペプチドは、グルカゴンペプチド:NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Xaa−Xaa−R(配列番号834)、(上記配列においてRは酸性アミノ酸又は結合手である)、を含むグルカゴンアゴニスト類縁体と、該グルカゴンペプチドのカルボキシ末端アミノ酸に連結される、配列番号820(GPSSGAPPPS)、配列番号821(KRNRNNIA)、又は配列番号822(KRNR)のアミノ酸配列とを含んでもよい。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号833、配列番号807、又は配列番号808から成る群から選ばれ、さらに、該グルカゴンペプチドのカルボキシ末端アミノ酸に連結される、配列番号820(GPSSGAPPPS)、配列番号821(KRNRNNIA)、又は配列番号822(KRNR)のアミノ酸配列を含む。ある実施態様では、グルカゴン融合ペプチドは、配列番号802、配列番号803、配列番号804、配列番号805及び配列番号806、又はそのグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、さらに、該グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結される、配列番号820(GPSSGAPPPS)、配列番号821(KRNRNNIA)、又は配列番号822(KRNR)のアミノ酸配列を含む。ある実施態様によれば、融合ペプチドはさらに、C−末端延長部内の位置16、17、21、24、29のアミノ酸、又は、C−末端アミノ酸に連結され、500から40,000ダルトンの範囲から選ばれる、PEG鎖を含む。ある実施態様では、配列番号820(GPSSGAPPPS)、配列番号821(KRNRNNIA)、又は配列番号822(KRNR)のアミノ酸配列は、ペプチド結合を介して、グルカゴン融合ペプチドのアミノ酸29に結合される。ある実施態様では、グルカゴン融合ペプチドのグルカゴンペプチド部分は、配列番号810、配列番号811、及び配列番号813から成る群から選ばれる配列を含む。ある実施態様では、グルカゴン融合ペプチドのグルカゴンペプチド部分は、配列番号811又は配列番号813の配列を含み、ここで、PEGは、それぞれ、C−末端延長部内の位置21、24、29、又は、C−末端アミノ酸に連結される。
別の実施態様では、融合ペプチドのグルカゴンペプチド配列は、配列番号811の配列を含み、さらに、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結される、配列番号820(GPSSGAPPPS)、配列番号821(KRNRNNIA)、又は配列番号822(KRNR)のアミノ酸配列を含む。ある実施態様では、グルカゴン融合ペプチドは、配列番号824、配列番号825、及び配列番号826から成る群から選ばれる配列を含む。典型的には、本発明の融合ペプチドは、標準的カルボン酸基を含むC−末端アミノ酸を有する。しかしながら、C−末端アミノ酸がカルボン酸を置換したアミドを有する配列の類縁体も、実施態様として包含される。ある実施態様によれば、融合グルカゴンペプチドは、配列番号810、配列番号811、及び配列番号813から成る群から選ばれるグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、さらに、グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結される配列番号823(GPSSGAPPPS−CONH2)のアミノ酸配列を含む。
本発明のグルカゴンアゴニストは、該グルカゴンペプチドの生物活性を保持しながら、水溶液中での該ペプチドの溶解度及び安定生を向上させるために、さらに修飾することが可能である。ある実施態様によれば、配列番号811のペプチド、又はそのグルカゴンアゴニスト類縁体の位置16、17、20、21、24、及び29から選ばれる一つ以上の位置に親水性基を導入することは、該グルカゴン類縁体の溶解度及び安定生を向上させることが期待される。より詳細には、ある実施態様では、配列番号810、配列番号811、配列番号813、又は配列番号832のグルカゴンペプチドは、該グルカゴンペプチドの位置21及び24に存在するアミノ酸の側鎖に共有結合される一つ以上の親水性基を含む様に修飾される。
ある実施態様によれば、配列番号811のグルカゴンペプチドは、位置16、17、20、21、24、及び/又は29において一つ以上のアミノ酸置換を含むように修飾され、ここで、天然アミノ酸は、例えば、PEGなどの親水性成分との架橋結合に好適な側鎖を有するアミノ酸によって置換される。天然ペプチドは、天然産アミノ酸又は合成(非天然産)アミノ酸によって置換することが可能である。合成又は非天然産アミノ酸とは、インビボでは自然には産生しないが、にも拘わらず、本明細書に記載されるペプチド構造の中に組み込むことが可能なアミノ酸を指す。
ある実施態様では、配列番号810、配列番号811、又は配列番号813のグルカゴンアゴニストにおいて、天然グルカゴンペプチド配列が、天然配列の位置16、17、21、24、29の内の少なくとも一つにおいて、C−末端延長部において、又は、C−末端アミノ酸において天然又は合成アミノ酸を含むように修飾され、アミノ酸置換はさらに親水性成分を含む、グルカゴンアゴニストが提供される。ある実施態様では、置換は位置21又は24で行われ、さらに別の実施態様では、親水性成分はPEG鎖である。ある実施態様では、配列番号811のグルカゴンペプチドは、少なくとも一つのシステインによって置換され、ここで、このシステイン残基の側鎖はさらに、チオール反応性試薬、例えば、マレイミド、ビニールスルフォン、2−ピリジルチオ、ハロアルキル、及びハロアシルによって修飾される。これらのチオール反応性試薬は、カルボキシ、ケト、ヒドロキシル、及びエーテル基の外、他の親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール単位を含んでもよい。別の実施態様では、天然グルカゴンペプチド配列は、リシンによって置換され、さらに、置換するリシン残基の側鎖は、カルボン酸の活性エステル(スクシンイミド、無水物など)、又は、ポリエチレングリコールなどの親水性成分のアルデヒドなどのアミン反応性試薬によって修飾される。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号814、配列番号815、配列番号816、配列番号817、配列番号818、及び配列番号819から成る群から選ばれる。
ある実施態様によれば、PEG化グルカゴンペプチドは、該グルカゴンペプチドに共有結合される二つ以上のポリエチレングリコール鎖を含み、ここで、グルカゴン鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。ある実施態様では、PEG化グルカゴンアゴニストは、配列番号806のペプチドを含み、ここで、PEG鎖は、位置21及び位置24においてアミノ酸残基に共有結合され、二つのPEG鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。別の実施態様では、PEG化グルカゴンアゴニストは、配列番号806のペプチドを含み、ここで、PEG鎖は、位置21及び位置24においてアミノ酸残基に共有結合され、二つのPEG鎖の合計分子量は、約5,000から約20,000ダルトンである。
ポリエチレングリコール鎖は、直鎖形状を取ってもよいし、分枝鎖形状を取ってもよい。ある実施態様によれば、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。別の実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約20,000から約40,000ダルトンの分子量を有する。
上述のグルカゴンペプチドは、いずれも、該グルカゴンペプチドのC−末端部分(アミノ酸位置12−29)内部に、共有結合性又は非共有結合性分子内架橋、又は、アルファヘリックス安定化アミノ酸を含むようにさらに修飾されてもよい。ある実施態様によれば、グルカゴンペプチドは、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBによる、位置16、20、21、又は24のアミノ酸置換(又はそれらの組み合わせ)の外、上述の修飾の内のいずれか一つ以上を含む。別の実施態様によれば、グルカゴンペプチドは、該グルカゴンペプチドの位置16及び20のアミノ酸の側鎖同士の間の分子内架橋、例えば、ラクタム架橋の外、上述の修飾の内のいずれか一つ以上を含む。
ある実施態様によれば、グルカゴンペプチドは、配列877のアミノ酸配列を含み、ここで、位置3のXaaは、構造式I、II、又はIIIの側鎖を含むアミノ酸であり:
上式において、R
1は、C
0−3アルキル又はC
0−3ヘテロアルキルであり;R
2は、NHR
4又はC
1−3アルキルであり;R
3は、C
1−3アルキルであり;R
4は、H又はC
1−3アルキルであり;Xは、NH、O、又はSであり;及びYは、NHR
4、SR
3、又はOR
3である。ある実施態様では、Xは、NHであるか、又は、Yは、NHR
4である。ある実施態様では、R
1は、C
0−2アルキル又はC
1ヘテロアルキルである。ある実施態様では、R
2は、NHR
4又はC
1アルキルである。ある実施態様では、R
4は、H又はC
1アルキルである。例示的実施態様では、構造式Iの側鎖において、R
1は、CH
2−Sであり、XはNHであり、且つ、R
2は、CH
3(アセトアミドメチル−システイン、C(Acm))であり;R
1は、CH
2であり、XはNHであり、且つ、R
2は、CH
3(アセトアミドメチル−システイン、C(Acm))であり;R
1は、C
0アルキルであり、XはNHであり、R
2は、NHR
4であり、且つ、R
4はH(カルバモイルジアミノプロパノイン酸、Dap(尿素));又は、R
1は、CH
2−CH
2であり、XはNHであり、且つ、R
2は、CH
3(アセチルオルニチン、Orn(Ac))である、側鎖を含むアミノ酸が提供される。例示的実施態様では、構造式IIの側鎖において、R
1は、CH
2であり、YはNHR
4であり、且つ、R
4は、CH
3(メチルグルタミン、Q(Me))である側鎖を含むアミノ酸が提供される。例示的実施態様では、構造式IIIの側鎖において、R
1は、CH
2であり、且つ、R
4は、H(メチオニン−スルフォキシド、M(O))である側鎖を含むアミノ酸が提供される。特定の実施態様では、位置3のアミノ酸は、Dab(Ac)によって置換される。例えば、グルカゴンアゴニストは、配列番号863、配列番号869、配列番号871、配列番号872、配列番号873、及び配列番号874のアミノ酸配列を含んでもよい。
ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号877のグルカゴンペプチドの類縁体である。特定態様では、この類縁体は、本明細書に記載にされるアミノ酸修飾のいずれかを含み、修飾としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、以下が挙げられる:位置28のAsnの、荷電アミノ酸による置換;位置28のAsnの、Lys、Arg、His、Glu、システイン酸、及びホモ−システイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;位置28の、Asn、Asp、又はGluによる置換;位置28の、Aspによる置換;位置28の、Gluによる置換;位置29のThrの、荷電アミノ酸による置換;位置29のThrの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;位置29の、Asp、Glu、又はLysによる置換;位置29の、Gluによる置換;位置29の後へ1−3荷電アミノ酸の挿入;位置29の後へGlu又はLysの挿入;位置29の後へGly−Lys又はLys−Lysの挿入;及び、上記の組み合わせ。
ある実施態様では、配列番号877のグルカゴンペプチドの類縁体は、位置16、20、21、及び24の内の一つ、二つ、三つ、又は全てにおいて、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBを含む。
ある実施態様では、配列番号877のグルカゴンペプチドの類縁体は、下記の内の一つ以上を含む:位置1のHisの、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断に対する該グルカゴンペプチドの感受性を下げる非天然アミノ酸による置換;位置2のSerの、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)による切断に対する該グルカゴンペプチドの感受性を下げる非天然アミノ酸による置換;位置7のThrの、ヒドロキシル基を欠くアミノ酸、例えば、Abu又はIleによる置換;位置10のTyrの、Phe又はValによる置換;位置12のLysの、Argによる置換;位置15のAspの、Gluによる置換、位置16のSerの、Thr又はAIBによる置換;位置20のGlnの、Ala又はAIBによる置換;位置21のAspの、Gluによる置換;位置24のGlnの、Ala又はAIBによる置換;位置27のMetの、Leu又はNleによる置換;位置27−29のアミノ酸の欠失;位置28−29のアミノ酸の欠失;位置29のアミノ酸の欠失;配列番号820のアミノ酸配列の、位置29のアミノ酸がThr又はGlyである、C−末端への付加、又は、それらの組み合わせ。
特定の実施態様によれば、グルカゴンペプチドは、配列番号862−867及び869−874の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
ある実施態様では、配列番号877を含むグルカゴンペプチドの類縁体は、位置16、17、20、21、24、及び29のいずれか、又はC−末端アミノ酸に共有結合される親水性成分、例えば、PEGを含む。
ある実施態様では、配列番号877を含むグルカゴンペプチドの類縁体は、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル基又はアルキル基に付着される側鎖を含むアミノ酸を含み、これはスペーサーを介した共有結合によってでもよい。ある実施態様のアシル基は、C4からC30脂肪性アシル基である。別の実施態様では、アルキル基は、C4からC30アルキルである。特定態様では、アシル基又はアルキル基は、位置10のアミノ酸の側鎖に共有結合により付着される。ある実施態様では、位置7のアミノ酸は、Ile又はAbuである。
グルカゴンアゴニストは、配列番号801−919の内のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドであってもよく、さらに、グルカゴンアゴニスト活性を保持する、1、2、3、4、又は5個の追加の修飾を有する配列を含んでもよい。ある実施態様では、グルカゴンアゴニストは、配列番号859−919の内のいずれかのアミノ酸を含む。
<クラス2グルカゴン関連ペプチド>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、クラス2グルカゴン関連ペプチドであり、これは、本明細書において、且つ、国際特許出願第PCT US2009/47447号(2009年6月16日出願)、米国特許仮出願第61/090,415号、及び米国特許出願第61/151,349号において記載される。なお、これらの内容の全体を引用により本明細書に含める。
クラス2グルカゴン関連ペプチドに関して、下記のセクションに参照される生物学的配列(配列番号1001−1262)は、国際特許出願第PCT US2009/47447号の配列番号1−262に対応する。
<活性>
天然グルカゴンは、GIP受容体を活性化せず、通常、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約1%しか有さない。本明細書に記載する天然グルカゴン配列に対する修飾によってクラス2グルカゴン関連ペプチドが得られるが、これは、天然グルカゴン(配列番号1001)の活性以上の強力なグルカゴン活性、天然GIP(配列番号1004)の活性以上の強力なGIP活性、及び/又は、天然GLP−1の活性以上の強力なGLP−1活性を示す。この点で、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、下記にさらに詳述するように、グルカゴン/GIPコアゴニスト、グルカゴン/GIP/GLP−1トリ−アゴニスト(tri−agonist)、GIP/GLP−1コアゴニスト、又はGIPアゴニストグルカゴンペプチドの一つとなる可能性がある。
ある実施態様では、本明細書に記載されるクラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体の活性化において、約100nM以下、又は、約75、50、25、10、8、6、5、4、3、2、又は1nM又はそれ以下のEC50を示す。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体活性化において、約100nM以下、又は約75、50、25、10、8、6、5、4、3、2、又は1nM又はそれ以下のEC50を示す。受容体活性化は、受容体を過剰発現するHEK293細胞においてcAMP誘導を測定するインビトロアッセイ、例えば、実施例5に記載されるように、受容体と、cAMP反応要素に連結されるルシフェラーゼ遺伝子とをコードするDNAとコトランスフェクトされる、HEK293細胞を定量することによって測定することが可能である。
ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然GIPの活性(GIP効力)の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、又は200%以上の活性を示す。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然GIPと比較して1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000以上の活性を示す。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性(グルカゴン効力)の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、又は500%以下の活性を示す。ある実施態様では、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンに対し1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%以下の活性を示す。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1の活性(GLP−1効力)の0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、又は200%以上の活性を示す。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1と比較して1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000以上の活性を示す。受容体に対する、該受容体の天然リガンドと比較したクラス2グルカゴン関連ペプチドの活性は、クラス2グルカゴン関連ペプチド対天然リガンドのEC50の逆数比として計算される。
ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体と、GIP受容体の両方に対して活性を示す(「グルカゴン/GIPコアゴニスト)。これらのクラス2グルカゴン関連ペプチドは、GIP受容体に比べ、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの選択性を失っている。ある実施態様では、GIP受容体に対するクラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、グルカゴン受容体に対するそのEC50とは、約50倍、40倍、30倍、又は20倍未満異なる。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドのGIP効力は、そのグルカゴン効力と、約500,450、400、350、300、250、200、150、100、75、50、25、20、15、10、又は5倍未満だけ異なる。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドの、GIP受容体に対するEC50を、クラス2グルカゴン関連ペプチドの、グルカゴン受容体に対するEC50で割った比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GIP受容体に対するEC50を、グルカゴン受容体に対するEC50で割った比は、約1、又は、約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドの有するGIP効力の、クラス2グルカゴン関連ペプチドの有するグルカゴン効力に対する比は、約500、450、400、350、300、250、200、150、100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GIP受容体に対する効力を、グルカゴン受容体に対する効力で割った比は、約1、又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。ある実施態様では、GLP−1活性は、位置7におけるアミノ酸修飾、位置27又は28のアミノ酸に対してC−末端側のアミノ酸(単数又は複数)を欠失することによる、27−28アミノ酸ペプチドの生成、又はこれらの組み合わせ、によって著明に低減又は破壊される。
別態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン、GIP、及びGLP−1受容体に対して活性を示す(「グルカゴン/GIP/GLP−1トリ−アゴニスト)。これらのクラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1及びGIP受容体に比べ、グルカゴン受容体に対する、天然グルカゴンの選択性を失っている。ある実施態様では、GIP受容体に対するクラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、グルカゴン及びGLP−1受容体に対するそのそれぞれのEC50とは、約50倍、40倍、30倍、又は20倍未満異なる。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドのGIP効力は、そのグルカゴン及びGLP−1効力と、約500,450、400、350、300、250、200、150、100、75、50、25、20、15、10、又は5倍未満だけ異なる(より高いか、より低い)。ある実施態様では、このトリ−アゴニストの、GIP受容体に対するEC50を、該トリ−アゴニストの、グルカゴン受容体に対するEC50で割った比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GIP受容体に対するEC50を、GLP−1受容体に対するEC50で割った比は、約1、又は、約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。ある実施態様では、トリ−アゴニストの有するGIP効力の、トリ−アゴニストの有するGLP−1効力に対する比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GIP受容体に対する効力を、GLP−1受容体に対する効力で割った比は、約1、又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。関連実施態様では、GIP受容体に対するトリ−アゴニストのEC50を、グルカゴン受容体に対するトリ−アゴニストのEC50で割った比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GIP受容体に対するEC50を、グルカゴン受容体に対するEC50で割った比は、約1、又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。ある実施態様では、トリ−アゴニストの有するGIP効力の、トリ−アゴニストの有するグルカゴン効力に対する比は、約500、450、400、350、300、250、200、150、100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GIP受容体に対する効力を、グルカゴン受容体に対する効力で割った比は、約1、又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。ある実施態様では、GLP−1受容体に対するトリ−アゴニストのEC50を、グルカゴン受容体に対するトリ−アゴニストのEC50で割った比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GLP−1受容体に対するEC50を、グルカゴン受容体に対するEC50で割った比は、約1、又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。ある実施態様では、トリ−アゴニストの有するGLP−1効力の、トリ−アゴニストの有するグルカゴン効力に対する比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満である。ある実施態様では、GLP−1受容体に対する効力を、グルカゴン受容体に対する効力で割った比は、約1、又は約1未満(例えば、約0.01、0.013、0.0167、0.02、0.025、0.03、0.05、0.067、0.1、0.2)である。
さらに別の態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1及びGIP受容体に対して活性を示す(「GIP/GLP−1コアゴニスト」)が、その際、グルカゴン活性は、例えば、位置3におけるアミノ酸修飾によって著明に低減又は破壊される。例えば、この位置の、酸性、塩基性、又は疎水性アミノ酸(グルタミン酸、オルニチン、ノルロイシン)による置換は、グルカゴン活性を下げる。ある実施態様では、GIP受容体に対するグルカゴンペプチドのEC50は、GLP−1受容体に対するそのEC50とは、約50倍、40倍、30倍、又は20倍だけ異なる(より高いか、より低い)。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドのGIP効力は、そのGLP−1効力とは、約25、20、15、10、又は5倍だけ異なる(より高いか、より低い)。ある実施態様では、これらのクラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性の約10%以下、例えば、約1−10%、又は約0.1−10%、又は、約0.1%よりも大きいが、約10%よりも小さい活性を有する。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドの、GIP受容体に対するEC50を、クラス2グルカゴン関連ペプチドの、GLP−1受容体に対するEC50で割った比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満、及び1未満である。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドの有するGIP効力の、クラス2グルカゴン関連ペプチドの有するGLP−1効力に対する比は、約100、75、60、50、40、30、20、15、10、又は5未満、及び1未満である。
さらに別の態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GIP受容体に対して活性を示すが、その際、グルカゴン及びGLP−1活性は、例えば、Gluによる位置3、及びIleによる位置7のアミノ酸修飾によって著明に低減又は破壊される。ある実施態様では、これらのクラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1の活性の約10%以下、例えば、約1−10%、又は約0.1−10%、又は、約0.1%、0.5%、又は1%よりも大きいが、約1%、5%、又は10%よりも小さい活性を有する。
ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドがPEG化されない場合、GIP受容体活性化におけるクラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、約4、2、1nM以下であるか、又は、類縁体は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の、少なくとも約1%、2%、3%、4%、又は5%を有する。関連実施態様では、GLP−1受容体活性化における非PEG化クラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、約4、2、1nM以下であるか、又は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の、少なくとも約1%、2%、3%、4%、又は5%を有する。さらに別の関連実施態様では、グルカゴン受容体活性化における非PEG化クラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、約4、2、1nM以下であるか、又は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の、少なくとも約5%、10%、15%、又は20%を有する。ある実施態様では、非PEG化クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性の約1%未満を有する。別の実施態様では、非PEG化クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1の活性の約10%、5%、又は1%未満を有する。
クラス2グルカゴン関連ペプチドが、PEGなどの親水性成分に連結される実施態様では、一つ以上の受容体に対するEC50が、より高くなる、例えば、10倍高くなる場合がある。例えば、GIP受容体活性化におけるPEG化類縁体のEC50は、約10nM以下であるか、又は、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GIP受容体に対する天然GIPの活性の、少なくとも約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、又は0.5%の活性を有する。関連実施態様では、GLP−1受容体活性化におけるPEG化されたクラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、約10nM以下であるか、又は、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の、少なくとも約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、又は0.5%の活性を有する。さらに別の関連実施態様では、グルカゴン受容体活性化におけるPEG化クラス2グルカゴン関連ペプチドのEC50は、約10nM以下であるか、又は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の、少なくとも約0.5%、1%、1.5%、又は2%の活性を有する。ある実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の、少なくとも約1%未満を有する。他の実施態様では、クラス2グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の、少なくとも約10%、5%、又は1%未満の活性を有する。
<修飾>
クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連して本明細書に開示される修飾は、グルカゴン(配列番号1001)を操作することによって、GIP活性、グルカゴン活性、及び/又はGLP−1活性の増大を示すグルカゴンペプチドを創出することを可能とする。クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連して本明細書に開示されるその他の修飾は、得られるペプチドの半減期を延長し、溶解度を高め、又は、安定性を増す。クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連して本明細書に開示される、さらに別の実施態様は、活性には影響を及ぼさないか、又は、所望の、一つ若しくは複数の活性に影響を及ぼすことなく実行することが可能である。同じ目的(例えば、GIP活性の増大)のために役立つ、クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連する組み合わせは、いずれも、単独又は組み合わせて適用することが可能である。特性を強化する、クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連する、一組又は複数組の組み合わせは、個別に又は組み合わせて適用することが可能であり、例えば、GIP及び/又はGLP−1活性の増大は、半減期の延長と組み合わせることが可能である。関連実施態様では、アミノ酸修飾の内の1、2、3、4、5、6、又はそれ以上は、非保存的置換、付加、又は欠失であってもよい。ある実施態様では、アミノ酸修飾の内の1、2、3、4、5、6、又はそれ以上は、保存的置換、付加、又は欠失であってもよい。
<GIP活性に影響を及ぼす修飾>
GIP受容体に対する活性の強化は、位置1におけるアミノ酸修飾によって実現される。例えば、位置1のHisは、大型の芳香族アミノ酸(Tyr、Phe、Trp、アミノ−Phe、ニトロ−Phe、クロロ−Phe、スルフォ−Phe、4−ピリジル−Ala、メチル−Tyr、又は3−アミノTyrでもよい)によって置換される。位置1のTyrと、アミノ酸12−29に対応する領域内のアルファヘリックスの安定化との組み合わせは、GIP受容体を活性化するだけでなく、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体を活性化するクラス2グルカゴン関連ペプチドを提供する。アルファヘリックス構造は、例えば、共有結合性又は非共有結合性分子内架橋の形成、又は、位置12−29周辺のアミノ酸の、アルファヘリックス安定化アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)による置換又は挿入によって安定化させることが可能である。
GIP受容体に対する活性の強化も、位置27及び/又は28(さらに位置29を含んでもよい)におけるアミノ酸修飾によって実現される。例えば、位置27のMetは、大型の脂肪族アミノ酸(Leuでもよい)によって置換され、位置28のAsnは、小型の脂肪族アミノ酸(Alaでもよい)によって置換され、位置29のThrは、小型の脂肪族アミノ酸(Glyでもよい)によって置換される。位置27−29におけるLAGによる置換は、これらの位置において本来のMNT配列に対し、GIP活性の増大をもたらす。
GIP受容体に対する活性の増大は、位置12におけるアミノ酸修飾によって実現される。例えば、位置12は、大型の、脂肪族、非極性アミノ酸(Ileでもよい)によって置換される。
GIP受容体に対する活性の強化はさらに、位置17及び/又は18におけるアミノ酸修飾によって実現される。例えば、位置17は、極性残基(Glnでもよい)によって置換され、位置18は、小型の脂肪族アミノ酸(Alaでもよい)によって置換される。位置17及び18におけるQAによる置換は、これらの位置において本来のRR配列に対し、GIP活性の増大をもたらす。
GIP受容体に対する活性の増大は、位置12から29のアミノ酸側鎖同士の間に分子内架橋の形成を可能とする修飾によって実現される。例えば、分子内架橋は、位置i及びi+4、又は位置j及びj+3、又は位置k及びk+7の二つのアミノ酸の側鎖間の共有結合によって形成することが可能である。例示的実施態様では、架橋は、位置12と16、16と20、20と24、24と28、又は17と20の間に設けられる。他の実施態様では、塩橋などの非共有結合性相互作用を、これらの位置における正及び負荷電アミノ酸同士の間に形成することが可能である。
GIP受容体活性を増す上述の修飾は、いずれも、個別に又は組み合わせて適用することが可能である。GIP受容体活性を増す修飾の組み合わせは、一般に、そのような修飾のいずれかを単独に採用した場合よりも高いGIP活性を実現する。
<グルカゴン活性に影響を及ぼす修飾>
ある実施態様では、グルカゴン効力の強化が、天然グルカゴン(配列番号1001)の位置16におけるアミノ酸修飾によって実現される。非限定的例として挙げるのであるが、このような効力の強化は、位置16の天然セリンを、グルタミン酸、又は、4原子長の側鎖を有する、別の負荷電アミノ酸によって置換することによって得られ、又はそれとは別に、グルタミン、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸のいずれか、又は、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、N、O、S、P)を含む側鎖を有し、且つ、約4(又は3−5)原子長の側鎖を有する荷電アミノ酸によって置換することによって得られる。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に比べ、グルカゴン受容体に対する、その元の選択性を保持する。
グルカゴン受容体活性は、位置3におけるアミノ酸修飾、例えば、位置3の天然グルタミンを、酸性、塩基性、又は疎水性アミノ酸によって置換することによって下げることが可能である。位置3の、グルタミン酸、オルニチン、又はノルロイシンによる置換は、グルカゴン受容体活性を事実上低減又は破壊する。
グルカゴン受容体に対する活性の維持又は強化は、本明細書に記載されるように、位置3のGlnを、グルタミン酸類縁体によって修飾することによって実現可能である。例えば、グルカゴンアゴニストは、配列番号1243−1248、1250、1251、及び1253−1256の内のいずれかのアミノ酸配列を含んでもよい。
位置1及び2におけるアミノ酸修飾によって低減されるグルカゴン活性の回復は、該グルカゴンペプチド又はその類縁体のC−末端部分(アミノ酸12−29)のアルファヘリックス構造を安定化する修飾によって実現される。例えば、分子内架橋は、位置i及びi+4、又は位置j及びj+3、又は位置k及びk+7の二つのアミノ酸の側鎖間の共有結合によって形成することが可能である。他の実施態様では、塩橋などの非共有結合性相互作用を、これらの位置における正荷電及び負荷電アミノ酸の間に形成することが可能である。さらに別の実施態様では、一つ以上のα,α−二置換アミノ酸が、C−末端部分(アミノ酸12−29)の、所望の活性を保持する位置に挿入又は置換される。例えば、位置16、20、21、及び24の内の一つ、二つ、三つ、又は全てが、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBによって置換される。
<GLP−1活性に影響を及ぼす修飾>
GLP−1受容体に対する活性の強化は、C−末端アミノ酸のカルボン酸を、アミド又はエステルなどの荷電性中性基で置換することによって実現される。
GLP−1受容体に対する活性の強化はさらに、グルカゴンのC−末端部分(アミノ酸12−29の周辺)におけるアルファヘリックス構造を、例えば、二つのアミノ酸の側鎖間に分子内架橋を形成すること、又は、後述するように、12−29周辺のアミノ酸を、アルファヘリックス安定化アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)で置換又は挿入すること、によって安定化することで、実現可能である。例示的実施態様では、アミノ酸ペア12と16、13と17、16と20、17と21、20と24、又は24と28(i=12、16、20、又は24であるアミノ酸ペア)の側鎖同士が互いに連結され、このようにしてグルカゴンのアルファヘリックスを安定化する。ある実施態様では、架橋又はリンカーは、特に架橋が位置iとi+4の間にある場合は、約8原子長(又は、約7−9)である。ある実施態様では、架橋又はリンカーは、特に架橋が位置jとj+3の間にある場合は、約6原子長(又は、約5−7)である。
ある実施態様では、分子内架橋は、(a)位置16に天然に出現するセリンを、グルタミン酸によって、若しくは4原子長の側鎖を有する、別の負荷電アミノ酸によって、又はそれとは別に、グルタミン、ホモグルタミン酸、若しくはホモシステイン酸のいずれか一つによって、又は、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、N、O、S、P)を含む側鎖を有し、約4(又は、3−5)原子長の側鎖を有する荷電アミノ酸によって置換し、且つ、(b)位置20に天然に出現するグルタミンを、荷電性であるか、又は水素結合能力を持ち、少なくとも約5(又は4−6)原子長の側鎖を有する別の親水性アミノ酸、例えば、リシン、シトルリン、アルギニン、又はオルニチン、によって置換することによって、形成される。位置16及び20におけるこのようなアミノ酸の側鎖は、塩橋を形成してもよいし、又は共有結合されてもよい。ある実施態様では、二つのアミノ酸は互いに結合されてラクタム環を形成する。
グルカゴンペプチドのC−末端部分のアルファヘリックス構造の安定化は、ラクタム架橋以外の分子内架橋を形成することによって実現される。例えば、適切な共有結合法としては、オレフィンメタセシス、ランチオニン依存性環形成、ジスルフィド架橋、又は修飾型硫黄含有架橋形成、α,ω−ジアミノアルカンテザーの使用、金属原子架橋の形成、その他のペプチド環化手段の内のいずれか一つ以上を含むが、他のペプチド環化手段を用いてもアルファヘリックスは安定化される。
さらに別の実施態様では、一つ以上のα,α−二置換アミノ酸が、このC−末端部分(アミノ酸12−29)の、所望の活性を保持する位置において挿入又は置換される。例えば、位置16、20、21、及び24の内の一つ、二つ、三つ、又は全てが、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBによって置換される。
GLP−1受容体に対する活性の増大は、本明細書に記載されるように、位置20におけるアミノ酸修飾によって実現される。
GLP−1受容体に対する活性の増大は、C−末端にGPSSGAPPPS(配列番号1095)又はXGPSSGAPPPS(配列番号1096)を付加することによって実現される。このような類縁体におけるGLP−1活性は、本明細書に記載されるように、位置18、28、又は29、若しくは位置18及び19のアミノ酸を修飾することによってさらに増大させることが可能である。
僅かではあるが、GLP−1効力のさらなる増大は、位置10のアミノ酸を、大型で芳香族のアミノ酸残基(Trpでもよい)となるように修飾することによって実現される。
GLP−1受容体に対する活性の低下は、本明細書に記載されるように、例えば、位置7のアミノ酸修飾によって実現される。
GLP−1受容体に対する効力は、位置18の天然アルギニンのアラニンによる置換を実行することによってさらに強化することが可能である。
クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連して上述した、GLP−1受容体活性を増大する修飾はいずれも、個別に、又は組み合わせて用いることが可能である。GLP−1受容体活性を増す修飾同士の組み合わせは、一般に、その修飾のいずれかを単独に採用に場合よりも高いGLP−1活性を与える。例えば、本発明は、位置16、位置20、及びC−末端カルボン酸基における修飾を含む(さらに位置16と20のアミノ酸同士の間に共有結合も含んでもよい)グルカゴンペプチド;位置16及び位置20における修飾を含む(さらに、位置16と20のアミノ酸同士の間に共有結合も含んでもよい)グルカゴンペプチド;及び、位置20及びC−末端カルボン酸基において修飾を含むグルカゴンペプチド、を提供する。
<DPP−IV耐性を向上させる修飾>
位置1及び/又は2における修飾は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対するペプチドの耐性を増すことが可能である。例えば、位置1及び/又は2は、本明細書に記載されるDPP−IV耐性アミノ酸によって置換されてもよい。ある実施態様では、位置2のアミノ酸は、N−メチルアラニンによって置換される。
位置2における修飾(例えば、位置2におけるAIB)、及びある場合には、位置1における修飾(例えば、位置1におけるDMIA)は、グルカゴン活性を、場合によって著明に下げる可能性があるが、驚くべきことに、このグルカゴン活性の低下は、グルカゴンのC−末端部分(アミノ酸12−29周辺)におけるアルファヘリックスを、本明細書に記載されるように、二つのアミノ酸同士の間に共有結合を形成させて安定化することによって、回復させることが可能である。ある実施態様では、共有結合は、位置「i」と「i+4」の間、又は位置「j」と「j+3」の間、例えば、位置12と16、16と20、20と24、24と28又は17と20の間で実行される。例示的実施態様では、この共有結合は、位置16のグルタミン酸と位置20のリシンの間のラクタム架橋である。ある実施態様では、この共有結合は、本明細書に記載されるように、ラクタム架橋以外の分子内架橋である。
<分解を抑える修飾>
さらに別の例示的実施態様では、前記クラス2グルカゴン関連ペプチドは、いずれも、該ペプチドの経時的分解、特に、酸性又はアルカリ性バッファーにおける分解を下げるよう、配列番号1001の位置15及び/又は16のアミノ酸を修飾することで、安定性を向上させるように修飾することが可能である。この修飾は、Asp15−Ser16のペプチド結合の切断を抑える。例示的実施態様では、位置15のアミノ酸修飾は、Aspの欠失、又は、Aspの、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸、若しくはホモシステイン酸による置換である。別の例示的実施態様では、位置16のアミノ酸修飾は、Serの欠失、又は、SerのThr若しくはAIBによる置換である。他の例示的実施態様では、位置16のSerは、グルタミン酸、若しくは4原子長の側鎖を有する別の負荷電アミノ酸によって置換されるか、又は、それとは別に、グルタミン、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸の内のいずれかによって置換される。
ある実施態様では、天然ペプチドの位置27のメチオニン残基は、例えば欠失又は置換によって、修飾される。ある実施態様では、位置27のMetは、ロイシン、イソロイシン、又はノルロイシンによって置換される。ある特定の実施態様では、位置27のMetは、ロイシン又はノルロイシンによって置換される。
ある実施態様では、位置20及び/又は24のGlnは、例えば欠失又は置換によって、修飾される。そのような修飾は、Glnの脱アミド化によって生じる分解を抑えることが可能である。ある実施態様では、位置20及び/又は24のGlnは、Ser、Thr、Ala、又はAIBによって置換される。ある実施態様では、位置20及び/又は24のGlnは、Lys、Arg、Orn、又はシトルリンによって置換される。
ある実施態様では、位置21のAspは、例えば欠失又は置換によって、修飾される。そのような修飾は、Aspの脱水による環状スクシンイミド中間体の形成、それに続く、イソ−アスパルテートの異性化によって起こる分解を抑える。ある実施態様では、位置21は、Glu、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸によって置換される。ある特定の実施態様では、位置21はGluによって置換される。
<アルファヘリックス構造の安定化>
クラス2グルカゴン関連ペプチドのC−末端部分(アミノ酸12−29周辺)におけるアルファヘリックス構造の安定化は、GLP−1及び/又はGIP活性の強化を実現し、位置1及び/又は2のアミノ酸修飾によって低下させられたグルカゴン活性を回復する。アルファヘリックス構造は、例えば、共有結合性又は非共有結合性分子内架橋を形成することで、又は、位置12−29周辺のアミノ酸を、アルファヘリックスを安定化するアミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)によって置換及び/又は挿入することで、安定化することが可能である。GIPアゴニストのアルファヘリックスの安定化は、本明細書に記載するように実行してよい。
<アシル化及びアルキル化>
ある実施態様によれば、本明細書に開示されるグルカゴンペプチドは、アシル基又はアルキル基を含むように、例えば、本明細書に記載される天然アミノ酸に対して本来のものでないアシル基又はアルキル基を含むように修飾される。アシル化又はアルキル化は、グルカゴンペプチドの循環半減期を延長することが可能である。アシル化又はアルキル化は、好都合にも、グルカゴン及び/又はGLP−1受容体に対する活性の開始を遅らせ、及び/又は、作用の持続時間を延長し、及び/又は、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する耐性を向上させ、及び/又は、溶解度を上げることが可能である。グルカゴンペプチドの、グルカゴン及び/又はGLP−1及び/又はGIP受容体に対する活性は、アシル化の後も持続させることが可能である。ある実施態様では、アシル化グルカゴンペプチドの効力は、グルカゴンペプチドの非アシル化種に匹敵する。クラス2グルカゴン関連ペプチドは、本明細書に記載されるように、親水性成分が連結されているアミノ酸位置と同じ位置においてアシル化又はアルキル化されてもよく、異なるアミノ酸位置に連結されてもよい。
ある実施態様では、本発明は、グルカゴンペプチドの位置10のアミノ酸に共有結合されるアシル基又はアルキル基を含むように修飾される、グルカゴンペプチドを提供する。グルカゴンペプチドは、該グルカゴンペプチドの位置10のアミノ酸と、アシル基又はアルキル基の間にスペーサーをさらに含んでもよい。ある実施態様では、アシル基は、脂肪酸又は胆汁酸、又はその塩、例えば、C4からC30脂肪酸、C8からC24脂肪酸、コール酸、C4からC30アルキル、C8からC24アルキル、又は、胆汁酸のステロイド成分を含むアルキル、である。スペーサーは、アシル又はアルキル基を付着させるのに好適な反応基を有するものであれば、いずれの成分であってもよい。例示的実施態様では、スペーサーは、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能性、又は疎水性二官能性スペーサーを含む。ある実施態様では、スペーサーは、下記から成る群から選ばれる:Trp、Glu、Asp、Cys、及び、NH2(CH2CH2O)n(CH2)mCOOHを含むスペーサー(前式において、mは1から6の任意の整数であり、nは2から12の任意の整数である)。このようなアシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドはさらに、親水性成分を含んでもよく、これは、ポリエチレングリコールであってもよい。上記グルカゴンペプチドは、いずれも、二つのアシル基、又は二つのアルキル基、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
<結合体及び融合体>
GIPアゴニストを、本明細書に記載されるように、結合体成分に連結させることが可能であり、連結は、共有結合を介してでも、リンカーを介してでもよい。
他の実施態様では、第2のペプチドは、XGPSSGAPPPS(配列番号1096)、この配列において、Xは、20種の一般的アミノ酸の一つから選ばれ、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はグリシンである。ある実施態様では、Xは、アミノ酸、例えば、Cysであり、これはさらに、該アミノ酸の側鎖に共有結合される親水性成分を含む。このC−末端延長部は、溶解度を増し、さらにGIP又はGLP−1活性を向上させることが可能である。グルカゴンペプチドがさらにカルボキシ末端延長部を含む、ある実施態様では、延長部のカルボキシ末端延長部は、カルボン酸ではなく、アミド基又はエステル基で終わる。
ある実施態様では、例えば、C−末端延長部を含むグルカゴンペプチドでは、天然グルカゴンの位置29のトレオニンは、グリシンによって置換される。例えば、位置29のトレオニンをグリシンで置換させ、GPSSGAPPPS(配列番号1095)のC−末端延長部を含むグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対して、同じC−末端延長部を含むように修飾される天然グルカゴンに対し4倍の効力を持つ。このT29G置換は、グルカゴンペプチドの、GLP−1受容体に対する親和度を強化するために、他の修飾と組み合わせて使用することが可能である。例えば、T29G置換は、S16E及びN20Kアミノ酸置換と組み合わせて実行することが可能であり、さらに、本明細書に記載されるように、アミノ酸16と20の間のラクタム架橋と共に、及びPEG鎖の付加と共に実行することも可能である。
ある実施態様では、C−末端にアミノ酸が付加され、この付加アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びグリシンから成る群から選ばれる。
<溶解度を強化する修飾>
別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、いずれも、その溶解度を、該ペプチドのC−末端部分、好ましくは配列番号1001の位置27に対しC−末端側の位置に荷電アミノ酸を導入するアミノ酸置換及び/又は付加によって向上させることが可能である。さらに、C−末端部分、好ましくは位置27に対しC−末端側に、一つ、二つ、又は三つの荷電アミノ酸を導入してよい。ある実施態様では、位置28及び/又は29の天然アミノ酸(単数又は複数)は、一つ又は二つの荷電アミノ酸によって置換され、及び/又は、さらに別の実施態様では、一つ又は二つの荷電アミノ酸が、ペプチドのC−末端に付加される。例示的実施態様では、荷電アミノ酸の内の一つ、二つ、又は全てが負荷電のアミノ酸である。ある実施態様では、負荷電アミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。
グルカゴンペプチドに対し、それが、GIP活性を保持することを可能とする(さらにGLP−1活性及び/又はグルカゴン活性を保持することも可能としてもよい)、さらに別の修飾、例えば、保存的修飾、を実行してもよい。
<他の修飾>
クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連して上述した修飾、すなわち、GIP活性を増減する、グルカゴン受容体活性を増減する、及び、GLP−1受容体活性を増す修飾は、個別に、又は組み合わせて適用することが可能である。クラス2グルカゴン関連ペプチドに関連して上述した修飾は、いずれも、クラス2グルカゴン関連ペプチドに関して本明細書に記載される、他の所望の特性、例えば、溶解度及び/又は安定性及び/又は作用持続時間の増大、を賦与するような、他の修飾と組み合わせることが可能である。それとは別に、クラス2グルカゴン関連ペプチドと関連して上述した修飾は、いずれも、溶解度又は安定性又は活性に事実上影響を及ぼさないような他の修飾と組み合わせることが可能である。例示の修飾としては、下記が挙げられるが、ただしこれらに限定されない:
(A)溶解度の向上、これは、例えば、天然グルカゴンのC−末端部、好ましくは位置27よりもC−末端側の位置に一つ、二つ、又は三つ以上の荷電アミノ酸(単数又は複数)を導入することによる。この荷電アミノ酸は、例えば、位置28又は29において、天然アミノ酸を荷電アミノ酸で置換することによって、若しくはそれとは別に、例えば、位置27、28、又は29の後に荷電アミノ酸を付加することによって導入することが可能である。例示的実施態様では、荷電アミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全ては負荷電アミノ酸である。他の実施態様では、荷電アミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全ては正荷電アミノ酸である。このような修飾は溶解度を増す、例えば、25℃、24時間後に測定した場合、約5.5と8の間の任意のpH、例えば、pH7において、天然グルカゴンに比べ、少なくとも2倍、5倍、10倍、15倍、25倍、30倍以上の溶解度を実現する。
(B)溶解度の増大、これは、作用持続時間及び循環半減期の延長、これらは、例えば、ペプチドの位置16、17、20、21、24、若しくは29に、C−末端延長部内に、又は、C−末端アミノ酸に、本明細書に記載するポリエチレングリコール鎖などの親水性成分を付加することによる。
(C)溶解度の増大、及び/又は作用及び循環半減期の延長、及び/又は作用開始の遅延、これらは、本明細書の記載の通り、グルカゴンペプチドのアシル化又はアルキル化による。
(D)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)に対する耐性の導入による作用持続時間又は循環半減期の延長、これは、本明細書に記載の通り、位置1又は2のアミノ酸修飾による。
(E)安定性の増大、これは、位置15のAspの、例えば、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸、又はホモシステイン酸による欠失又は置換による。このような修飾は、25℃で24時間後、元のペプチドの、少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%、最大100%を保持しながら、5.5から8の範囲内のpHにおいて分解又は切断を抑える。このような修飾は、Asp15−Ser16間のペプチド結合の切断を抑える。
(F)安定性の増大、これは、位置16のSerの修飾、例えば、Thr又はAIBによる置換による。この修飾はさらに、Asp15−Ser16間のペプチド結合の切断を抑える。
(G)安定性の増大、これは、位置27のメチオニンの修飾、例えば、ロイシン又はノルロイシンによる置換による。この修飾は、酸化分解を抑えることが可能である。安定性はさらに、位置20又は24のGlnの修飾、例えば、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換によって増大させることが可能である。この修飾は、Glnの脱アミド化によって生じる分解を抑えることが可能である。安定性は、位置21のAspの修飾、例えば、Gluによる置換によって増大させることが可能である。この修飾は、Aspの脱水による環状スクシンイミド中間体の形成、それに続く、イソ−アスパルテートの異性化によって起こる分解を抑えることが可能である。
(H)事実上活性に影響を及ぼさないような、非保存的若しくは保存的置換、付加、又は欠失、それらの例として、位置2、5、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29の内の一つ以上における保存的置換;これらの位置の一つ以上の、Alaによる置換;位置27、28、又は29の内の一つ以上のアミノ酸の欠失;又は、アミノ酸29の欠失、さらに、C−末端カルボン酸基の代わりにC−末端アミド又はエステル挿入との組み合わせてもよい;位置12のLysの、Argによる置換;位置10のTyrの、Val又はPheによる置換。
PEG化後の活性の保持は、C−末端にGPSSGAPPPS(配列番号1095)を付加することによって実現される。
天然グルカゴンの幾つかの部分は、母体ペプチドの活性を少なくとも部分的に保持しながら修飾することが可能である。したがって、本出願人らは、位置2、5、10、11、12、13、14、17,18、19、20、21、24、27、28、又は29に配置されるアミノ酸の一つ以上は、天然グルカゴン内に存在するものとは異なるアミノ酸によって置換し、それでも尚、グルカゴン受容体に対する活性を保持することが可能であると予想する。
ある実施態様では、位置18は、Ala、Ser、又はThrから成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様では、位置20のアミノ酸は、Ser、Thr、Lys、Arg、Orn、シトルリン、又はAIBによって置換される。ある実施態様では、位置21のアミノ酸は、Glu、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸によって置換される。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、位置16、17、18、20、21、23、24、27、28、及び29から選ばれる1から10個のアミノ酸修飾を含む。例示的実施態様では、修飾は、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、Ala24、Val27、及びGly29から成る群から選ばれる、一つ以上のアミノ酸置換である。ある実施態様では、位置17−26から選ばれる1から2個のアミノ酸は、母体ペプチドとは異なる。他の実施態様では、位置17−22から選ばれる1から2個のアミノ酸は、母体ペプチドとは異なる。さらに別の実施態様では、修飾は、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、及びAla24である。
ある実施態様では、グルカゴンペプチドのカルボキシ末端に一つ以上のアミノ酸が付加される。このアミノ酸は、典型的には、20の一般的アミノ酸の一つから選ばれ、ある実施態様では、アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。例示的実施態様では、付加されるアミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びグリシンから成る群から選ばれる。
活性を破壊しない他の修飾として、W10又はR20が挙げられる。
ある実施態様では、本明細書に開示されるクラス2グルカゴン関連ペプチドは、一つ又は二つのアミノ酸残基だけC−末端を短縮することによって修飾されるが、それでも尚、グルカゴン、GLP−1、及び/又はGIP受容体に対して同様の活性及び効力を保持する。この点で、位置29及び/又は28のアミノ酸は欠失させることが可能である。
<例示的実施態様>
本発明のある実施態様によれば、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴン(配列番号1001)の類縁体は、(a)GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1のアミノ酸修飾、(b)類縁体のC−末端部分(アミノ酸12−29)のアルファヘリックス構造を安定化する修飾、を有する配列番号1001を含み、さらに、(c)1から10個の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個)さらに別のアミノ酸修飾を有してもよい。ある実施態様では、この類縁体は、GIP受容体に対して、天然GIPの活性の少なくとも約1%の活性、又は、本明細書に記載されるGIP受容体に対する任意の他の活性レベルを発揮する。
ある実施態様では、アルファヘリックス構造を安定化する修飾は、分子内架橋を実現又は導入する修飾、例えば、本明細書に記載されるもののいずれかと同様の、共有結合性分子内架橋を含む。ある実施態様における共有結合性分子内架橋は、ラクタム架橋である。これらの実施態様の類縁体のラクタム架橋は、本明細書に記載される通りのラクタム架橋であってもよい。例えば、「アルファヘリックス構造の安定化」セクション中のラクタム架橋の教示を参照されたい。例えば、ラクタム架橋は、位置iと位置i+4のアミノ酸の側鎖同士の間、又は、位置jとj+3のアミノ酸側鎖同士の間に設けられるものであってもよい。ここで、iは、12、13、16、17、20、又は24であり、jは17である。ある実施態様では、ラクタム架橋は、位置16と20のアミノ酸同士の間にあってもよく、その場合、位置16及び20のアミノ酸の一方は、Gluによって置換され、位置16及び20のアミノ酸の他方は、Lysによって置換される。
別の実施態様では、アルファヘリックス構造を安定化する修飾は、類縁体の位置(単数又は複数)16、20、21、及び24への、一つ、二つ、三つ、又は四つの、α,α−二置換アミノ酸の導入である。ある実施態様では、α,α−二置換アミノ酸はAIBである。ある態様では、α,α−二置換アミノ酸(例えば、AIB)は、位置20にあり、位置16のアミノ酸は、正荷電アミノ酸、例えば、本明細書に記載の式IVのアミノ酸によって置換される。式IVのアミノ酸は、ホモLys、Lys、Orn、又は2,4−ジアミノブチル酸(Dab)であってもよい。
本発明の特定態様では、位置1におけるアミノ酸修飾は、Hisの、イミダゾール側鎖を欠くアミノ酸、例えば、大型で芳香族のアミノ酸(例えば、Tyr)による置換である。
ある実施態様では、グルカゴンの類縁体は、位置27、28、及び29の内の一つ、二つ、又は全てにおいてアミノ酸修飾を含む。例えば、位置27のMetは、大型の脂肪族アミノ酸(Leuでもよい)によって置換することが可能であり、位置28のAsnは、小型の脂肪族アミノ酸(Alaでもよい)によって置換することが可能であり、位置29のThrは、小型の脂肪族アミノ酸(Glyでもよい)によって置換することが可能であり、上記の二つ又は三つの組み合わせを実行することも可能である。特定の実施態様では、このグルカゴン類縁体は、位置27にLeu、位置28にAla、及び位置29にGly又はThrを含む。
本発明のある実施態様では、グルカゴンの類縁体は、位置29のアミノ酸よりもC−末端側に、1から21個のアミノ酸の延長部を含む。この延長部は、例えば、配列番号1095又は1096のアミノ酸配列を含む。それに加えてさらに、又はそれとは別に、グルカゴン類縁体は、正荷電アミノ酸である1−6個のアミノ酸から成る延長部を含んでもよい。正荷電アミノ酸は、式IVのアミノ酸、例えば、ただしこれらに限定されないが、Lys、ホモLys、Orn、及びDabであってもよい。
ある実施態様のグルカゴン類縁体は、本明細書に記載の通りアシル化又はアルキル化される。例えば、アシル基又はアルキル基は、本明細書で後述するように、スペーサー付きで又は無しで、該類縁体の位置10又は40において該グルカゴン類縁体に付着される。それに加えてさらに、又はそれとは別に、類縁体は、本明細書にさらに詳述されるように、親水性成分を含むように修飾される。さらに、ある実施態様では、類縁体は、下記の修飾の内いずれか一つ、又はそれらの組み合わせを含む:
(a)位置2のSerの、D−Ser、Ala、D−Ala、Gly、N−メチル−Ser、AIB、Val、又はα−アミノ−N−ブチル酸による置換;
(b)位置10のTyrの、Trp、Lys、Orn、Glu、Phe、又はValによる置換;
(c)アシル基の、位置10のLysに対する連結;
(d)位置12のLysの、Arg又はIleによる置換;
(e)位置16のSerの、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、Thr、Gly、又はAIBによる置換;
(f)位置17のArgの、Glnによる置換;
(g)位置18のArgの、Ala、Ser、Thr、又はGlyによる置換;
(h)位置20のGlnの、Ser、Thr、Ala、Lys、シトルリン、Arg、Orn、又はAIBによる置換;
(i)位置21のAspの、Glu、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸による置換;
(j)位置23のValの、Ileによる置換;
(k)位置24のGlnの、Asn、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換;
(l)及び、位置2、5、9、10、11、12、13、14、15、16、8、19、20、21、24、27、28、及び29のいずれかにおける保存的置換。
例示的実施態様では、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴン類縁体(配列番号1001)は、下記の修飾(a)〜(d)を含み:
(a)GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1におけるアミノ酸修飾、
(b)位置iとi+4のアミノ酸側鎖同士の間、又は、位置jとj+3のアミノ酸側鎖同士の間のラクタム架橋、ここで、iは12、13、16、17、20、又は24であり、jは17である、
(c)位置27、28、及び29の内の一つ、二つ、又は全てにおけるアミノ酸修飾、例えば、位置27及び/又は28におけるアミノ酸修飾、及び、
(d)1−9又は1−6個の、さらなるアミノ酸修飾、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のさらに別のアミノ酸修飾、
且つ、GIP受容体活性化における該類縁体のEC50は、約10nM以下である。
これらの実施態様の類縁体のラクタム架橋は、本明細書に記載の通りのラクタム架橋であってもよい。例えば、「アルファヘリックス構造の安定化」セクション中のラクタム架橋の教示を参照されたい。例えば、ラクタム架橋は、位置16と位置20のアミノ酸同士の間に設けられ、その場合、位置16及び20のアミノ酸の一方は、Gluによって置換され、位置16及び20のアミノ酸の他方は、Lysによって置換される。
これらの実施態様によれば、類縁体は、例えば、配列番号1005−1094のいずれかのアミノ酸配列を含む。
他の例示的実施態様では、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴン(配列番号1001)の類縁体は、下記の修飾(a)〜(d)を含み:
(a)GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1におけるアミノ酸修飾、
(b)類縁体の位置16、20、21、及び24のアミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全てが、α,α−二置換アミノ酸によって置換される、
(c)位置27、28、及び29の一つ、二つ、又は全てにおけるアミノ酸修飾、例えば、位置27及び/又は28におけるアミノ酸修飾、及び、
(d)1−9又は1−6個のさらなるアミノ酸修飾、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のさらに別のアミノ酸修飾、
且つ、GIP受容体活性化における該類縁体のEC50は、約10nM以下である。
これらの実施態様の類縁体のα,α−二置換アミノ酸は、いずれのα,α−二置換アミノ酸であってもよく、例えば、アミノイソ−ブチル酸(AIB)であるか、メチル、エチル、プロピル、及びn−ブチルから選ばれる、互いに同じか、又は異なる基、又は、シクロオクタン又はシクロヘプタン(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)によって二置換されるアミノ酸、であってもよい。ある実施態様では、α,α−二置換アミノ酸はAIBである。ある実施態様では、位置20のアミノ酸は、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBによって置換される。
これらの実施態様によれば、類縁体は、例えば、配列番号1099−1141、1144−1164、1166−1169、及び1173−1178のアミノ酸配列を含んでもよい。
さらに別の例示的実施態様では、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴン(配列番号1001)の類縁体は、下記の修飾(a)〜(e)を含み:
(a)GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1におけるアミノ酸修飾、
(b)位置16のSerの、式IV:
上式において、nは1から16、又は1から10、又は1から7、又は1から6、又は2から6であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、C
1−C
18アルキル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
18アルキル)NH
2、(C
1−C
18アルキル)SH、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6)シクロアルキル、(C
0−C
4アルキル)(C
2−C
5ヘテロ環)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、及び(C
1−C
4アルキル)(C
3−C
9ヘテロアリール)ら成る群から選ばれ、ここで、R
7はH又はOHであり、式IVのアミノ酸の側鎖は、遊離アミノ基を含む、
のアミノ酸によるアミノ酸置換、
(c)位置20のGlnの、アルファ、アルファ二置換アミノ酸によるアミノ酸置換、
(d)位置27、28、及び29の内の一つ、二つ、又は全ておけるアミノ酸置換、例えば、位置27及び/又は28におけるアミノ酸修飾、及び、
(e)1−9又は1−6個のさらなるアミノ酸修飾、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のさらに別のアミノ酸修飾、
且つ、GIP受容体活性化における該類縁体のEC50は、約10nM以下である。
これらの実施態様の類縁体の式IVのアミノ酸は、任意のアミノ酸であってよく、例えば、式IVのアミノ酸において、nが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であるアミノ酸であってもよい。ある実施態様では、nは、2、3、4、又は5であり、その場合、アミノ酸は、それぞれ、Dab、Orn、Lys、又はホモLysである。
これらの実施態様の類縁体のアルファ、アルファ−二置換アミノ酸は、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸であればいずれのものであってもよく、例えば、ただしこれらに限定されないが、アミノイソ−ブチル酸(AIB)、メチル、エチル、プロピル、及びn−ブチルから選ばれる同じか又は異なる基によって二置換されるアミノ酸、又は、シクロオクタン又はシクロヘプタンによって置換されるアミノ酸(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)が挙げられる。ある実施態様では、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸はAIBである。
これらの実施態様によれば、類縁体は、例えば、配列番号1099−1165の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
さらに別の実施態様では、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴン(配列番号1001)の類縁体は、下記(a),(b)を含み:
(a)GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1におけるアミノ酸修飾、
(b)位置29のアミノ酸よりC−末端側へ約1から約21個のアミノ酸の延長、ここで、延長部のアミノ酸の少なくとも一つはアシル化又はアルキル化される、
ここで、GIP受容体活性化における該類縁体のEC50は、約10nM以下である。
ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、式I、II、又はIIIのアミノ酸である。より具体的な実施態様では、式Iのアミノ酸は、Dab、Orn、Lys、又はホモLysである。さらに、ある実施態様では、約1から約21個のアミノ酸の延長部は、GPSSGAPPPS(配列番号1095)又はXGPSSGAPPPS(配列番号1096)(Xは任意のアミノ酸である)、又は、GPSSGAPPPK(配列番号1170)、又はXGPSSGAPPPK(配列番号1171)、又はXGPSSGAPPPSK(配列番号1172)(Xは、Gly、又は、小型の、脂肪族、非極性又は僅かに極性アミノ酸である)を含む。ある実施態様では、前記約1から約21個のアミノ酸は、配列番号1095、1096、1170、1171、又は1172に対し、一つ以上の保存的置換を含んでもよい。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、C−末端延長型類縁体の位置37、38、39、40、41、42、又は43に位置づけられる。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、C−末端延長型類縁体の位置40に位置づけられる。
ある実施態様では、GIPアゴニスト活性を有する類縁体はさらに、位置27、28、及び29の一つ、二つ、又は全てに、例えば、位置27及び/又は28にアミノ酸修飾を含む。
上記例示的実施態様のいずれにおいても、GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1におけるアミノ酸修飾は、Hisの、イミダゾール側鎖を欠くアミノ酸による置換であってもよい。位置1におけるアミノ酸修飾は、例えば、Hisの、大型で芳香族のアミノ酸による置換であってもよい。ある実施態様では、大型の芳香族アミノ酸は、本明細書に記載されるものの内のいずれであってもよく、例えば、Tyrなどであってもよい。
さらに、上記例示的実施態様に関して、位置27、28、及び29の一つ、二つ、又は全てにおけるアミノ酸修飾は、本明細書に記載されるこれらの位置における修飾のいずれであってもよい。例えば、位置27のMetは、大型の脂肪族アミノ酸(Leuでもよい)によって置換されてもよく、位置28のAsnは、小型の脂肪族アミノ酸(Alaでもよい)によって置換されてもよく、及び/又は、位置29のThrは、小型の脂肪族アミノ酸(Glyでもよい)によって置換されてもよい。それとは別に、類縁体は、位置27及び/又は28に上記アミノ酸修飾を含んでもよい。
上記例示的実施態様の類縁体はさらに、1−9又は1−6個の、さらなる、追加のアミノ酸修飾、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のさらなるアミノ酸修飾、例えば、本明細書に記載される修飾、すなわち、GIP、GLP−1、及びグルカゴン受容体のいずれかにおける活性を増大又は低減し、溶解度を上げ、作用持続時間又は循環半減期を延長し、作用開始を遅らせ、又は安定性を増す修飾の内のいずれかを含んでもよい。類縁体はさらに、例えば、位置12におけるアミノ酸修飾(Ileでもよい)による置換、及び/又は、位置17及び18におけるアミノ酸修飾(位置17のQによる置換及び位置18のAによる置換でもよい)、及び/又は、GPSSGAPPPS(配列番号1095)又はXGPSSGAPPPS(配列番号1096)、又は、配列番号1095又は1096に対して一つ以上の保存的置換を含む配列の、C−末端への付加を含んでもよい。類縁体は、下記の修飾の内の一つ以上を含んでもよい:
(i)位置2のSerの、D−Ser、Ala、D−Ala、Gly、N−メチル−Ser、AIB、Val、又はα−アミノ−N−ブチル酸による置換;
(ii)位置10のTyrの、Trp、Lys、Orn、Glu、Phe、又はValによる置換;
(iii)アシル基の、位置10のLysに対する連結;
(iv)位置12のLysの、Argによる置換;
(v)位置16のSerの、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、Thr、Gly、又はAIBによる置換;
(vi)位置17のArgの、Glnによる置換;
(vii)位置18のArgの、Ala、Ser、Thr、又はGlyによる置換;
(viii)位置20のGlnの、Ala、Ser、Thr、Lys、シトルリン、Arg、Orn、又はAIBによる置換;
(ix)位置21のAspの、Glu、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸による置換;
(x)位置23のValの、Ileによる置換;
(xi)位置24のGlnの、Asn、Ala、Ser、Thr、又はAIBによる置換;及び、
(xii)位置2、5、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、24、27、28、及び29のいずれかにおける保存的置換。
ある実施態様における類縁体は、前記修飾(i)から(xii)の組み合わせを含む。それとは別に又はそれに加えてさらに、類縁体は、位置3におけるアミノ酸修飾(例えば、GlnのGluによるアミノ酸置換)を含んでもよく、この場合、類縁体は、グルカゴン受容体に対してグルカゴンの活性の1%未満を有する。それとは別に又はそれに加えてさらに、類縁体は、位置7におけるアミノ酸修飾(例えば、Thrの、ヒドロキシル基を欠くアミノ酸、例えば、Abu又はIleによるアミノ酸置換)を含んでもよく、この場合、類縁体は、GLP−1受容体に対してGLP−1の活性の約10%未満を有する。
例示的実施態様に関して、類縁体は、親水性成分に共有結合されてもよい。ある実施態様では、類縁体は、アミノ酸位置16、17、20、21、24、29、40、又はC−末端のいずれかにおいて親水性成分に共有結合される。ある実施態様では、類縁体は、C−末端延長部(例えば、配列番号1095のアミノ酸配列)、及び、親水性成分を含むアミノ酸付加を含み、そのため、親水性成分は、位置40において該類縁体に共有結合される。
ある実施態様では、親水性成分は、類縁体のLys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンに共有結合される。このLys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンは、グルカゴン配列(配列番号1001)に対し天然のアミノ酸であってもよいし、又は、配列番号1001の天然アミノ酸を置換するアミノ酸であってもよい。親水性成分がCysに付着する、ある実施態様では、親水性成分に対する連結は、下記の構造を含んでもよい:
親水性成分を含む類縁体に関して、該親水性成分は、本明細書に記載するもののいずれであってもよい。例えば、「親水性成分の連結」セクションの教示を参照されたい。ある実施態様では、親水性成分は、ポリエチレングリコール(PEG)である。ある実施態様のPEGは、約1,000から約40,000ダルトン、例えば、約20,000ダルトンから約40,000ダルトンの分子量を有する。
例示的実施態様に関して、類縁体は、側鎖が、アシル基又はアルキル基(例えば、天然アミノ酸に対し非天然であるアシル基又はアルキル基)に共有結合される修飾アミノ酸を含んでもよい。アシル化又はアルキル化類縁体は、セクション「アシル化及びアルキル化」に記載されるアシル化又はアルキル化ペプチドに対応するものであってもよい。ある実施態様では、アシル基は、C4からC30脂肪性アシル基、例えば、C10脂肪性アシル又はアルキル基、C12脂肪性アシル又はアルキル基、C14脂肪性アシル又はアルキル基、C16脂肪性アシル又はアルキル基、C18脂肪性アシル又はアルキル基、C20脂肪性アシル又はアルキル基、又はC22脂肪性アシル又はアルキル基である。アシル又はアルキル基は、類縁体の任意のアミノ酸、例えば、ただしこれらに限定されないが、位置10又は40のアミノ酸、又はC−末端アミノ酸に共有結合により付着してもよい。ある実施態様では、類縁体は、C−末端延長部(例えば、配列番号1095のアミノ酸配列)、及び、アシル又はアルキル基を含むアミノ酸の付加を含み、そのため、アシル又はアルキル基が、位置40において類縁体に共有結合される。ある実施態様では、アシル又はアルキル基は、式I、II、又はIIIのアミノ酸の、例えば、Lys残基の側鎖に共有結合される。アシル又はアルキル基は、グルカゴン配列(配列番号1001)に対して天然のアミノ酸に共有結合されてもよいし、又は、配列番号1001の配列に付加されるアミノ酸に連結されてもよいし、又は、配列番号1001に配列番号1095(N−又はC−末端)が続く配列に対して連結されてもよいし、又は、配列番号1001の天然アミノ酸、例えば、位置10のTyrを置換するアミノ酸に連結されてもよい。
類縁体がアシル又はアルキル基を含む、上記例示的実施態様では、類縁体は、本明細書に記載の通り、スペーサーを介して、アシル又はアルキル基に付着してもよい。スペーサーは、例えば、3から10原子長で、例えば、アミノ酸(例えば、6−アミノヘキサノイン酸、本明細書に記載される任意のアミノ酸)、ジペプチド(例えば、Ala−Ala、βAla−βAla、Leu−Leu、Pro−Pro、γGlu−γGlu)、トリペプチド、又は親水性又は疎水性二官能スペーサーであってもよい。ある態様では、スペーサー及びアシル又はアルキル基の全長は、約14から約28原子である。ある実施態様では、アミノ酸スペーサーは、γ−Gluではない。ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、γGlu−γGluではない。
さらに別の例示的実施態様では、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴンの類縁体は、配列番号1227、1228、1229、又は1230の内のいずれか一つによるアミノ酸配列であって、下記の修飾(a)〜(c)をさらに含む配列を含み:
(a)必要に応じて、GIPアゴニスト活性を賦与する位置1におけるアミノ酸修飾、
(b)位置29のアミノ酸からC−末端側に約1から約21個のアミノ酸の延長部で、該延長物のアミノ酸の少なくとも一つは、アシル化又はアルキル化される、及び、
(c)最大6個のさらなるアミノ酸修飾、
ここで、GIP受容体活性化における該類縁体のEC50は、約10nM以下である。
ある態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、式I、II、又はIIIのアミノ酸である。より具体的な実施態様では、式Iのアミノ酸は、Dab、Orn、Lys、又はホモLysである。さらに、ある実施態様では、約1から約21個のアミノ酸は、GPSSGAPPPS(配列番号1095)又はXGPSSGAPPPS(配列番号1096)(Xは任意のアミノ酸)、又は、GPSSGAPPPK(配列番号1170)、又はXGPSSGAPPPK(配列番号1171)、又はXGPSSGAPPPSK(配列番号1172)(Xは、Gly、又は、小型で脂肪族で非極性又は僅かに極性のアミノ酸)を含む。ある実施態様では、前記約1から約21個のアミノ酸は、配列番号1095、1096、1170、1171、又は1172に対し、一つ以上の保存的置換を含んでもよい。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、C−末端延長型類縁体の位置37、38、39、40、41、42、又は43に位置づけられる。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、C−末端延長型類縁体の位置40に位置づけられる。
上記例示的実施態様のいずれにおいても、GIPアゴニスト活性を賦与する位置1のアミノ酸は、イミダゾール側鎖を欠くアミノ酸であってもよい。位置1におけるアミノ酸は、例えば、大型で芳香族のアミノ酸であってもよい。ある実施態様では、大型の芳香族アミノ酸は、本明細書に記載されるものの内のいずれかであり、例えば、Tyrなどである。
上記例示的実施態様の類縁体はさらに、1−6個のさらなるアミノ酸修飾、例えば、本明細書に記載される修飾、すなわち、GIP、GLP−1、及びグルカゴン受容体のいずれかにおける活性を増大又は低減し、溶解度を上げ、作用持続時間又は循環半減期を延長し、作用開始を遅らせ、又は安定性を増す修飾、の内のいずれかを含んでもよい。
ある実施態様では、上記例示的実施態様に記載される類縁体はさらに、位置27、28、及び29の内の一つ、二つ、又は全てにアミノ酸修飾を含む。これらの位置における修飾は、これらの位置に関して本明細書に記載される修飾のいずれであってもよい。例えば、配列番号1227、1228、1229、又は1230に対し、位置27は、大型の脂肪族アミノ酸(例えば、Leu、Ile、又はノルロイシン)、又はMetによって置換されてもよいし、又は、位置28は、別の小型の脂肪族アミノ酸(例えば、Gly又はAla)、又はAsnによって置換されてもよいし、及び/又は、位置29は、別の小型のアミノ酸(例えば、Ala又はGly)、又はThrによって置換されてもよい。それとは別に、類縁体は、位置27及び/又は28において上記アミノ酸修飾を含んでもよい。
類縁体はさらに、下記の追加の修飾の内の一つ以上を含んでもよい:
(i)位置2におけるアミノ酸は、D−Ser、Ala、D−Ala、Gly、N−メチル−Ser、AIB、Val、又はα−アミノ−N−ブチル酸の内のいずれか一つである;
(ii)位置10のアミノ酸は、Tyr、Trp、Lys、Orn、Glu、Phe、又はValである;
(iii)位置10のLysに対するアシル基の連結;
(iv)位置12のアミノ酸はIle、Lys、又はArgである;
(v)位置16のアミノ酸は、Ser,Glu、Gln、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、Thr、Gly、又はAIBの内のいずれか一つである;
(vi)位置17のアミノ酸はGln又はArgである;
(vii)位置18のアミノ酸は、Ala、Arg、Ser、Thr、又はGlyのいずれか一つである;
(viii)位置20のアミノ酸は、Ala、Ser、Thr、Lys、シトルリン、Arg、Orn、又はAIB、若しくは、別のアルファ,アルファ−二置換アミノ酸である;
(ix)位置21のアミノ酸は、Glu、Asp、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸のいずれか一つである;
(x)位置23のアミノ酸は、Val又はIleである;
(xi)位置24のアミノ酸は、Gln、Asn、Ser、Thr、又はAIBのいずれか一つである;及び、
(xii)位置2、5、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、24、27、28、及び29のいずれかにおける保存的置換。
ある実施態様の類縁体は、修飾(i)から(xii)の組み合わせを含む。それとは別に又はそれに加えてさらに、類縁体は、類縁体がグルカゴン受容体に対してグルカゴンの活性の1%未満の活性を有する、位置3におけるアミノ酸修飾を含んでもよい。それとは別に又はそれに加えてさらに、類縁体は、位置7におけるアミノ酸修飾(例えば、Thrの、ヒドロキシル基を欠くアミノ酸、例えば、Abu又はIleによるアミノ酸置換)であって、類縁体がGLP−1受容体に対してGLP−1活性の約10%未満を有する、修飾を含んでもよい。
例示的実施態様に関し、類縁体は、親水性成分に共有結合されてもよい。ある実施態様では、類縁体は、位置16、17、20、21、24、29、40、又はC−末端のいずれかにおいて親水性成分に共有結合される。ある実施態様では、類縁体は位置24において類縁体に共有結合される親水性成分を含む。
ある実施態様では、親水性成分は、類縁体のLys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンに共有結合される。このLys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンは、配列番号1001、1227、1228、1229、又は1230に対して本来のものであるアミノ酸であってもよいが、若しくは、該アミノ酸は、置換アミノ酸であってもよい。親水性成分がCysに連結される、ある実施態様では、連結は、下記の構造を含んでもよい:
親水性成分を含む類縁体に関して、該親水性成分は、本明細書に記載されるもののいずれであってもよい。例えば、「親水性成分の連結」セクションの教示を参照されたい。ある実施態様では、親水性成分は、ポリエチレングリコール(PEG)である。ある実施態様のPEGは、約1,000から約40,000ダルトン、例えば、約20,000ダルトンから約40,000ダルトンの分子量を有する。
例示的実施態様に関して、類縁体は、側鎖が、アシル基又はアルキル基に共有結合される修飾アミノ酸を含んでもよい。アシル化又はアルキル化類縁体は、セクション「アシル化及びアルキル化」に記載されるアシル化又はアルキル化ペプチドに対応するものであってもよい。ある実施態様では、アシル基は、C4からC30脂肪性アシル基、例えば、C10脂肪性アシル又はアルキル基、C12脂肪性アシル又はアルキル基、C14脂肪性アシル又はアルキル基、C16脂肪性アシル又はアルキル基、C18脂肪性アシル又はアルキル基、C20アシル又はアルキル基、又はC22アシル又はアルキル基である。アシル又はアルキル基は、類縁体の任意のアミノ酸、例えば、ただしこれらに限定されないが、位置10又は40のアミノ酸、又はC−末端アミノ酸に共有結合により付着してもよい。ある実施態様では、アシル又はアルキル基は、式I、II、又はIIIのアミノ酸の、例えば、Lys残基の側鎖に共有結合される。アシル又はアルキル基は、配列番号1001、1227、1228、1229、又は1230に対して天然のアミノ酸に共有結合されてもよいし、又は、置換アミノ酸に連結されてもよい。アシル基又はアルキル基は、配列番号1095、1096、1171、又は1172に対して本来的であるアミノ酸に共有結合されるが、置換アミノ酸に連結されてもよい。
類縁体がアシル又はアルキル基を含む、上記例示的実施態様では、類縁体は、本明細書に記載の通り、スペーサーを介して、アシル又はアルキル基に付着してもよい。スペーサーは、例えば、3から10原子長で、例えば、アミノ酸(例えば、6−アミノヘキサノイン酸、本明細書に記載される任意のアミノ酸)、ジペプチド(例えば、Ala−Ala、βAla−βAla、Leu−Leu、Pro−Pro、γGlu−γGlu)、トリペプチド、又は親水性又は疎水性二官能スペーサーであってもよい。ある態様では、スペーサー及びアシル又はアルキル基の全長は、約14から約28原子である。ある実施態様では、アミノ酸スペーサーは、γ−Gluではない。ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、γGlu−γGluではない。
あるきわめて特異的実施態様では、本発明の類縁体は、配列番号1099−1141、1144−1164、1166、1192−1207、1209−1221、及び1223から成る群から選ばれるアミノ酸配列、又は、配列番号1167−1169、1173−1178、及び1225から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む。
さらに、本発明の類縁体の特定の例としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、表1−3に参照されるもののいずれかが挙げられる。
さらに別の例示的実施態様では、GIPアゴニスト活性を有するグルカゴンの類縁体は、アシル又はアルキル基(例えば、天然アミノ酸に対して本来的ではないアシル又はアルキル基)を含み、ここで、アシル又はアルキル基はスペーサーに付着し、ここで、(i)スペーサーは、類縁体の位置10のアミノ酸側鎖に付着するか;又は、(ii)類縁体は、位置29のアミノ酸よりもC−末端側に1から21個のアミノ酸の延長部を含み、且つ、スペーサーは、配列番号1001に対し位置37−43の内の一つに対応するアミノ酸の側鎖に付着し、ここで、GIP受容体活性化における類縁体のEC50は、約10nM以下である。
この実施態様では、類縁体は、配列番号1001のアミノ酸配列であって、下記(i)〜(iv)を有する配列を含んでもよい:(i)GIPアゴニスト活性を賦与する、位置1におけるアミノ酸修飾、(ii)位置27、28、及び29の内の一つ、二つ、又は全てにおけるアミノ酸修飾、(iii)下記(A)〜(C)のうちの少なくとも一つが成り立つ:
(A)類縁体は、位置iとi+4のアミノ酸側鎖同士の間、又は、位置jとj+3のアミノ酸側鎖同士の間のラクタム架橋を含み、ここで、iは12、13、16、17、20、又は24であり、jは17である;
(B)類縁体の位置16、20、21、及び24のアミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全てが、α,α−二置換アミノ酸によって置換される;又は、
(C)類縁体は、下記(i)〜(ii)を含む:(i)位置16のSerの、式IV:
(上式において、nは、1から7であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、H、C
1−C
18アルキル、(C
1−C
18アルキル)OH、(C
1−C
18アルキル)NH
2、(C
1−C
18アルキル)SH、(C
0−C
4アルキル)(C
3−C
6)シクロアルキル、(C
0−C
4アルキル)(C
2−C
5ヘテロ環)、(C
0−C
4アルキル)(C
6−C
10アリール)R
7、及び(C
1−C
4アルキル)(C
3−C
9ヘテロアリール)ら成る群から選ばれ、ここで、R
7はH又はOHであり、式IVのアミノ酸の側鎖は、遊離アミノ基を含む)
のアミノ酸によるアミノ酸置換、及び、(ii)位置20のGlnの、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸によるアミノ酸置換、
及び、
(iv)最大6個のさらなるアミノ酸修飾。
これらの実施態様の類縁体のアルファ、アルファ−二置換アミノ酸は、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸であればいずれのものであってもよく、例えば、ただしこれらに限定されないが、アミノイソ−ブチル酸(AIB)、メチル、エチル、プロピル、及びn−ブチルから選ばれる同じか又は異なる基によって二置換されるアミノ酸、又は、シクロオクタン又はシクロヘプタンによって置換されるアミノ酸(例えば、1−アミノシクロオクタン−1−カルボン酸)が挙げられる。ある実施態様では、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸はAIBである。
これらの実施態様の類縁体の式IVのアミノ酸は、任意のアミノ酸であってよく、例えば、式IVのアミノ酸において、nが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であるアミノ酸であってもよい。ある実施態様では、nは、2、3、4、又は5であり、その場合、アミノ酸は、それぞれ、Dab、Orn、Lys、又はホモLysである。
上記例示的実施態様のいずれにおいても、GIPアゴニスト活性を賦与する位置1のアミノ酸修飾は、Hisの、イミダゾール側鎖を欠くアミノ酸による置換であってもよい。位置1におけるアミノ酸修飾は、例えば、Hisの、大型の芳香族アミノ酸による置換であってもよい。ある実施態様では、大型の芳香族アミノ酸は、本明細書に記載されるものの内のいずれかであり、例えば、Tyrなどである。
さらに、上記例示的実施態様に関して、位置27、28、及び29の一つ、二つ、又は全てにおけるアミノ酸修飾は、本明細書に記載されるこれらの位置における修飾のいずれであってもよい。例えば、位置27のMetは、大型の脂肪族アミノ酸(Leuでもよい)によって置換されてもよく、位置28のAsnは、小型の脂肪族アミノ酸(Alaでもよい)によって置換されてもよく、及び/又は、位置29のThrは、小型の脂肪族アミノ酸(Glyでもよい)によって置換されてもよい。それとは別に、類縁体は、位置27及び/又は28に上記アミノ酸修飾を含んでもよい。
上記例示的実施態様の類縁体はさらに、1−9又は1−6個のさらなるアミノ酸修飾、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9個のさらなるアミノ酸修飾、例えば、
本明細書に記載される修飾のいずれか、すなわち、GIP、GLP−1、及びグルカゴン受容体のいずれかにおける活性を増大又は低減し、溶解度を上げ、作用持続時間又は循環半減期を延長し、作用開始を遅らせ、又は安定性を増す修飾の内のいずれかを含んでもよい。類縁体はさらに、例えば、位置12におけるアミノ酸修飾(Ileでもよい)による置換、及び/又は、位置17及び18におけるアミノ酸修飾(位置17のQによる置換及び位置18のAによる置換でもよい)、及び/又は、GPSSGAPPPS(配列番号1095)又はXGPSSGAPPPS(配列番号1096)、又は、配列番号1095又は1096に対して一つ以上の保存的置換を含む配列の、C−末端への付加を含んでもよい。類縁体は、下記の修飾(i)〜(xii)の内の一つ以上を含んでもよい:
(i)位置2のSerの、D−Ser、Ala、D−Ala、Gly、N−メチル−Ser、AIB、Val、又はα−アミノ−N−ブチル酸による置換;
(ii)位置10のTyrの、Trp、Lys、Orn、Glu、Phe、又はValによる置換;
(iii)アシル基の、位置10のLysに対する連結;
(iv)位置12のLysの、Argによる置換;
(v)位置16のSerの、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、Thr、Gly、Lys、又はAIBによる置換;
(vi)位置17のArgの、Glnによる置換;
(vii)位置18のArgの、Ala、Ser、Thr、又はGlyによる置換;
(viii)位置20のGlnの、Ala、Ser、Thr、Lys、シトルリン、Arg、Orn、又はAIBによる置換;
(ix)位置21のAspの、Glu、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸による置換;
(x)位置23のValの、Ileによる置換;
(xi)位置24のGlnの、Asn、Ala、Ser、Thr、又はAIBによる置換;及び、
(xii)位置2、5、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、24、27、28、及び29のいずれかにおける保存的置換。
ある実施態様における類縁体は、前記修飾(i)から(xii)の組み合わせを含む。それとは別に又はそれに加えてさらに、類縁体は、位置3におけるアミノ酸修飾(例えば、GlnのGluによるアミノ酸置換)を含んでもよく、この場合、類縁体は、グルカゴン受容体に対してグルカゴンの活性の1%未満を有する。それとは別に又はそれに加えてさらに、類縁体は、位置7におけるアミノ酸修飾(例えば、Thrの、ヒドロキシル基を欠くアミノ酸、例えば、Abu又はIleによるアミノ酸置換)、又は、位置27又は28のアミノ酸よりもC−末端側のアミノ酸(単数又は複数)の欠失で、27−又は28−アミノ酸ペプチドを生成する修飾、又はそれらの組み合わせを含んでもよく、この場合、類縁体は、GLP−1受容体に対してGLP−1の活性の約10%未満を有する。
例示的実施態様に関して、類縁体は、親水性成分に共有結合されてもよい。ある実施態様では、類縁体は、アミノ酸位置16、17、20、21、24、29、40、又はC−末端のいずれかにおいて親水性成分に共有結合される。ある実施態様では、類縁体は、C−末端延長部(例えば、配列番号1095のアミノ酸配列)、及び、親水性成分を含むアミノ酸付加を含み、そのため、親水性成分は、位置40において該類縁体に共有結合される。
ある実施態様では、親水性成分は、類縁体のLys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンに共有結合される。このLys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンは、グルカゴン配列(配列番号1001)に対し天然のアミノ酸であってもよいし、又は、配列番号1001の天然アミノ酸を置換するアミノ酸であってもよい。親水性成分がCysに付着する、ある実施態様では、親水性成分に対する連結は、下記の構造を含んでもよい:
親水性成分を含む類縁体に関して、該親水性成分は、本明細書に記載するもののいずれであってもよい。例えば、「親水性成分の連結」セクションの教示を参照されたい。ある実施態様では、親水性成分は、ポリエチレングリコール(PEG)である。ある実施態様のPEGは、約1,000から約40,000ダルトン、例えば、約20,000ダルトンから約40,000ダルトンの分子量を有する。
類縁体がアシル又はアルキル基を含む例示的実施態様では、類縁体は、本明細書に記載の通り、スペーサーを介してアシル又はアルキル基に付着してもよい。スペーサーは、例えば、3から10原子長で、例えば、アミノ酸(例えば、6−アミノヘキサノイン酸、本明細書に記載される任意のアミノ酸)、ジペプチド(例えば、Ala−Ala、βAla−βAla、Leu−Leu、Pro−Pro、γGlu−γGlu)、トリペプチド、又は親水性又は疎水性二官能スペーサーであってもよい。ある態様では、スペーサー及びアシル又はアルキル基の全長は、約14から約28原子である。ある実施態様では、アミノ酸スペーサーは、γ−Gluではない。ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、γGlu−γGluではない。
アシル又はアルキル基は、本明細書に記載される任意のアシル又はアルキル基、例えば、天然アミノ酸にとって非天然であるアシル又はアルキル基であってもよい。ある実施態様では、アシル又はアルキル基は、C4からC30脂肪性アシル基、例えば、C10脂肪性アシル又はアルキル基、C12脂肪性アシル又はアルキル基、C14脂肪性アシル又はアルキル基、C16脂肪性アシル又はアルキル基、C18脂肪性アシル又はアルキル基、C20アシル又はアルキル基、又はC22アシル又はアルキル基、又はC4からC30アルキル基である。特定の実施態様では、アシル基は、C12からC18脂肪性アシル基(例えば、C14又はC16脂肪性アシル基)である。
ある実施態様では、類縁体の位置29のアミノ酸よりもC−末端側の約1から約21個のアミノ酸の延長部は、GPSSGAPPPS(配列番号1095)又はXGPSSGAPPPS(配列番号1096)(Xは任意のアミノ酸)、又は、GPSSGAPPPK(配列番号1170)、又はXGPSSGAPPPK(配列番号1171)、又はXGPSSGAPPPSK(配列番号1172)(Xは、Gly、又は、小型の、脂肪族、非極性又は僅かに極性アミノ酸)−を含む。ある実施態様では、前記約1から約21個のアミノ酸は、配列番号1095、1096、1170、1171、又は1172に対し、一つ以上の保存的置換を含んでもよい。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、C−末端延長型類縁体の位置37、38、39、40、41、42、又は43に位置づけられる。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、C−末端延長型類縁体の位置40に位置づけられる。
GIPアゴニストは、上記アミノ酸配列、例えば、配列番号1005−1094の内のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドであって、さらに、GIPアゴニスト活性を保持する、最大1、2、3、4、又は5個の追加の修飾を有してもよい。
<クラス3グルカゴン関連ペプチド>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、クラス3グルカゴン関連ペプチドであり、これは、本明細書において、且つ、国際特許出願第PCT US2009/47438号(2009年6月16日出願)、2008年8月21日公開の国際特許出願公開第WO2008/101017号、及び米国特許仮出願第61/090,412号、及び米国特許出願第61/177,476号において記載される。なお、これらの内容の全体を引用により本明細書に含める。
クラス3グルカゴン関連ペプチドに関して、下記のセクションに参照される生物学的配列(配列番号1001−1262)のいくつかは、国際特許出願第PCT US2009/47438号の配列番号1−656に対応する。
クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して増大活性を示し、さらに別の実施態様では、生物物理学的安定性及び/又は水に対する可溶性を示すペプチドであってもよい。さらに、ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1と比べ、グルカゴン受容体に対する本来のグルカゴン選択性を失い、したがって、この二つの受容体に対してコアゴニストとなる。クラス3グルカゴン関連ペプチド内のアミノ酸修飾は、グルカゴン受容体に比べ、GLP−1受容体に対する該ペプチドの相対的活性をコントロールすることが可能である。したがって、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に比べ、グルカゴン受容体に対してより高い活性を有する、グルカゴン/GLP−1コアゴニストであり、両受容体に対してほぼ等価的活性を有する、グルカゴン/GLP−1コアゴニストであるか、又は、グルカゴン受容体に比べ、GLP−1受容体に対してより高い活性を有する、グルカゴン/GLP−1コアゴニストである可能性がある。コアゴニストの内、後者の範疇は、グルカゴン受容体には殆ど又は全く活性を示さないが、GLP−1受容体には、天然GLP−1と同じか、又はより優れた効力の下にGLP−1受容体を活性化する能力を保持するように、遺伝子工学的に操作することが可能である。これらのコアゴニストは、いずれも、生物物理学的安定性及び/又は水溶性の強化を実現する修飾をさらに含んでもよい。
クラス3グルカゴン関連ペプチドの修飾は、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1に対し、少なくとも約1%(少なくとも約1.5%、2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%を含む)から約200%以上の活性まで、その間の任意のレベルの活性を有し、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンに対し、少なくとも約1%(約1.5%、2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%を含む)から約500%以上の活性まで、その間の任意のレベルの活性を有する、グルカゴンペプチドを生産するように実行することが可能である。天然グルカゴンのアミノ酸配列は、配列番号1であり、GLP−1(7−36)アミドのアミノ酸配列は、配列番号52であり、GLP−1(7−37)のアミノ酸配列は、配列番号52である。例示的実施態様では、GLP−1(7−37)酸のアミノ酸配列は、配列番号50である。例示的実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも10%、及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも50%、又は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも40%、及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも40%、又は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも60%、及びGLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも60%を示してもよい。
GLP−1受容体と比べた、グルカゴン受容体に対するクラス3グルカゴン関連ペプチドの選択性は、グルカゴン/GLP−1活性の相対比(天然グルカゴンと比べた場合の、グルカゴン受容体に対する該ペプチドの活性を、天然GLP−1と比べた場合の、GLP−1受容体に対する該ペプチドの活性で割った値)として記述することが可能である。例えば、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の60%を示し、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の60%を示すクラス3グルカゴン関連ペプチドは、1:1比のグルカゴン/GLP−1活性を有する。グルカゴン/GLP−1活性の例示の比としては、約1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1、若しくは、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、又は1:1.5が挙げられる。一例として、10:1のグルカゴン/GLP−1活性比は、GLP−1受容体に比べ、グルカゴン受容体に対し10倍の選択性を示す。同様に、10:1のGLP−1/グルカゴン活性は、グルカゴン受容体に比べ、GLP−1受容体に対し10倍の選択性を示す。
ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性の約10%以下、例えば、約1−10%、又は約0.1−10%、又は、約0.1%よりも大きいが、約10%未満の活性を示すが、一方、GLP−1受容体に対して、GLP−1の活性の少なくとも20%を示す。例えば、本明細書に開示される例示のクラス3グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンの活性の約0.5%、約1%、又は約7%を有するが、一方、GLP−1受容体に対してGLP−1の活性の少なくとも20%を示す。
クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体、又はGLP−1受容体、又は両方に対して活性の増大又は低下を示すグルカゴンペプチドであってもよい。クラス3グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に比べ、グルカゴン受容体に対する選択性が変化したグルカゴンペプチドであってもよい。
したがって、本明細書に開示されるように、溶解度及び/又は安定性の強化を示す、高効力のクラス3グルカゴン関連ペプチドが得られる。例示の高効力クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の少なくとも約200%の活性を示し、さらに、6から8、又は6から9、又は7から9のpH(例えば、pH7)において、少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい(例えば、元のペプチドの5%以下しか分解又は切断されない)。別の例として、例示のクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン及びGLP−1の両受容体に対して約40%よりも大きいか、又は、約60%よりも大きい活性(約1:3から3:1の比、又は約1:2から2:1)を示し、さらに、6から8、又は6から9、又は7から9のpH(例えば、pH7)において、少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。別の例示的実施態様のクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約175%以上、及び、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約20%以下を示し、さらに、6から8、又は6から9、又は7から9のpH(例えば、pH7)において、少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。さらに別の例示的実施態様のクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下、及び、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも約20%を示し、さらに、6から8、又は6から9、又は7から9のpH(例えば、pH7)において、少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。さらに別の例示的実施態様のクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約10%以下であるが、0.1%、0.5%、又は1%を上回る活性、及び、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、又は100%以上の活性を示し、さらに、6から8、又は6から9、又は7から9のpH(例えば、pH7)において、少なくとも1mg/mLの濃度で可溶であってもよく、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも95%を保持してもよい。ある実施態様では、このクラス3グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンの対応する位置において、天然アミノ酸の少なくとも22、23、24、25、26、27、又は28個を保持する(例えば、天然グルカゴンに対し1−7、1−5、又は1−3個の修飾を有する)。
<グルカゴン活性に影響を及ぼす修飾>
グルカゴン受容体に対する活性の増大は、天然グルカゴン(配列番号1)の位置16におけるアミノ酸修飾によって実現される。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン受容体に対する該ペプチドの効力を強化するために、His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr(配列番号1)なる野生型ペプチドに対して修飾される、グルカゴンアゴニストである。天然グルカゴン(配列番号1)の位置16に通常出現するセリンは、有効性実証済インビトロモデルアッセイ(実施例5参照)において、cAMP合成の刺激能力に関しグルカゴンの効力を高めるように、選ばれた酸性アミノ酸によって置換することが可能である。より具体的には、この置換は、グルカゴン受容体に対して、該類縁体の効力を少なくとも2倍、4倍、5倍、及び最大10倍以上強化する。この置換はさらに、天然グルカゴンに比べ、GLP−1受容体に対する該類縁体の活性を、少なくとも5倍、10倍、又は15倍強化するが、選択性は、GLP−1受容体よりも、グルカゴン受容体に対して維持される。
非限定的例として挙げるのであるが、この効力の強化は、位置16の天然セリンを、グルタミン酸によって、又は、4原子長の側鎖を有する別の負荷電アミノ酸によって、又は、それとは別に、グルタミン、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸の内のいずれかによって、又は、少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、N、O、S、P)を含む側鎖を有し、且つ約4(又は3−5)原子長の側鎖を有する荷電アミノ酸によって、置換することで、実現可能である。ある実施態様によれば、天然グルカゴンの位置16におけるセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、トレオニン、又はグリシンから成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様によれば、天然グルカゴンの位置16におけるセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換され、ある実施態様によれば、該セリン残基は、グルタミン酸によって置換される。
ある実施態様では、効力強化クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7のペプチド、又は、配列番号5のグルカゴンアゴニスト類縁体を含む。ある実施態様によれば、野生型グルカゴンに比べ、グルカゴン受容体に対する効力が強化されたクラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、又は配列番号10の配列を含み、この場合、該グルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に比べ、グルカゴン受容体に対する選択性を保持する。ある実施態様では、グルカゴン受容体に対する特異性が強化されたクラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10のペプチド、又は、そのグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、ここで、カルボキシ末端アミノ酸はその天然のカルボン酸基を含む。ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−COOH(配列番号10)なる配列を含み、ここで、該ペプチドは、実施例5の、インビトロcAMPアッセイで測定した場合、天然グルカゴンに比べ、グルカゴン受容体に対して約5倍強化された効力を示す。
グルカゴン受容体活性は、位置3におけるアミノ酸修飾によって、例えば、位置3に天然に出現するグルタミンの置換によって、低減、維持、又は強化される。ある実施態様では、位置3のアミノ酸の、酸性、塩基性、又は疎水性アミノ酸(グルタミン酸、オルニチン、ノルロイシン)による置換は、グルカゴン受容体活性を事実上低下又は破壊することが示されている。例えば、グルタミン酸、オルニチン、又はノルロイシンによって置換される類縁体は、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性の約10%以下、例えば、約1−10%、又は約0.1−10%、又は約0.1%よりも大きいが、約10%よりも小さい活性を示すが、一方、GLP−1受容体に対しては、GLP−1の活性の少なくとも約20%の活性を示す。例えば、本明細書に記載される例示の類縁体は、天然グルカゴンの活性の約0.5%、約1%、又は約7%の活性を有し、一方、GLP−1受容体ではGLP−1の活性の少なくとも20%の活性を示す。特に、本明細書に記載されるクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン類縁体、グルカゴンアゴニスト類縁体、グルカゴンコアゴニスト、及びグルカゴン/GLP−1コアゴニスト分子を含め、いずれも、グルカゴン受容体に対する選択性に比べ、GLP−1受容体に対し高い選択性、例えば、10倍の選択性、を持つペプチドを産みだすように、位置3の修飾、例えば、Glnの、Gluによる置換を含むように修飾されてもよい。
別の実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドのいずれにおいても、位置3の天然出現グルタミンは、本明細書に記載の通り、グルカゴン受容体に対して事実上活性を失うことなく、ある場合には、グルカゴン受容体活性を強化されて、置換させることが可能である。特定の実施態様では、位置3のアミノ酸は、Dab(Ac)によって置換される。例えば、グルカゴンアゴニストは、配列番号595、配列番号601、配列番号603、配列番号605、及び配列番号606のアミノ酸配列を含んでもよい。
位置2における修飾(例えば、位置2におけるAIB)、及びある場合、位置1における修飾は、グルカゴン活性を下げる可能性のあることが観察された。グルカゴン活性におけるこの低下は、グルカゴンのC−末端部分のアルファヘリックスを、例えば、本明細書に記載の手段によって、例えば、位置「i」と「i+4」、例えば、12と16、16と20、又は、20と24のアミノ酸側鎖間の共有結合を介して安定化することで、回復することが可能である。ある実施態様では、この共有結合は、位置16のグルタミン酸と位置20のリシンの間のラクタム架橋である。ある実施態様では、共有結合は、ラクタム架橋以外の分子内架橋である。例えば、適切な共有結合法としては、オレフィンメタセシス、ランチオニン依存性環形成、ジスルフィド架橋、又は修飾型硫黄含有架橋形成、α,ω−ジアミノアルカンテザーの使用、金属原子架橋の形成、その他のペプチド環化手段の内のいずれか一つ以上を含むが、他のペプチド環化手段を用いてもアルファヘリックスは安定化される。
<GLP−1活性に影響を及ぼす修飾>
GLP−1受容体に対する活性の強化は、C−末端アミノ酸のカルボン酸を、アミド又はエステルなどの荷電性中性基で置換することによって実現される。ある実施態様では、これらのクラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号20の配列を含み、ここで、カルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸に見られるカルボン酸の代わりにアミド基を有する。これらのクラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン及びGLP−1両受容体に対して強力な活性を持ち、したがって、両受容体に対してコアゴニストとして活動する。ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン及びGLP−1受容体コアゴニストであって、ここで、ペプチドは、位置28のアミノ酸がAsn又はLysであり、位置29のアミノ酸がThr−アミドである配列番号20の配列を含む。
GLP−1受容体に対する活性の増大は、グルカゴンのC−末端部分(例えば、アミノ酸12−29の周辺)のアルファヘリックスを安定化する修飾によって実現される。
ある実施態様では、上記修飾は、三つの介在アミノ酸によって隔てられる二つのアミノ酸(すなわち、位置「i」のアミノ酸と、位置「i+4」のアミノ酸で、iは12と25の間の任意の整数)の側鎖同士の間、二つの介在アミノ酸によって隔てられる二つのアミノ酸、すなわち、位置「j」のアミノ酸と位置「j+3」のアミノ酸(jは12と27の間の任意の整数)の側鎖同士、又は、6個の介在アミノ酸によって隔てられる二つのアミノ酸、すなわち、位置「k」のアミノ酸と位置「k+7」のアミノ酸(kは12と22の間の任意の整数)の側鎖同士の間、に分子内架橋の形成を可能とする。例示的実施態様では、架橋又はリンカーは、約8原子長(又は、約7−9)であり、位置12と16、又は位置16と20、又は位置20と24、又は位置24と28のアミノ酸側鎖の間に形成される。この二つのアミノ酸側鎖は、例えば、水素結合、塩橋の形成などのイオン性相互作用、又は共有結合によって互いに連結させることが可能である。
ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニスト活性を示し、配列番号11、47、48、及び49から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む。ある実施態様では、側鎖は、互いに共有結合され、ある実施態様では、二つのアミノ酸は互いに連結されてラクタム環を形成する。
ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは配列番号45を含み、ここで、少なくとも一つのラクタム環が、アミノ酸ペア12と16、16と20、20と24、又は24と28から成る群から選ばれるアミノ酸ペアの側鎖の間に形成される。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号20のグルカゴンペプチド類縁体を含み、ここで、該ペプチドは、アミノ酸位置12と16の間、又は、アミノ酸位置16と20の間に形成される分子内ラクタム架橋を含む。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号20の配列を含み、ここで、分子内架橋は、アミノ酸位置12と16の間、アミノ酸位置16と20の間、又はアミノ酸位置20と24の間に形成され、位置29のアミノ酸はグリシンであり、ここで、配列番号29の配列は、配列番号20のC−末端アミノ酸に連結される。さらに別の例示的実施態様では、位置28のアミノ酸はアスパラギン酸である。
ある特定の実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドのC−末端部分のアルファヘリックス構造の安定化は、ラクタム架橋以外に、分子内架橋を形成することによって実現される。例えば、適切な共有結合法としては、オレフィンメタセシス、ランチオニン依存性環形成、ジスルフィド架橋、又は修飾型硫黄含有架橋形成、α,ω−ジアミノアルカンテザーの使用、金属原子架橋の形成、その他のペプチド環化手段の内のいずれか一つ以上を含むが、他のペプチド環化手段を用いてもアルファヘリックスは安定化される。
さらに、GLP−1受容体に対する活性の強化は、グルカゴンペプチドのC−末端部分(アミノ酸12−29の周辺)のアルファヘリックス構造を、所望の活性を保持する位置において一つ以上のα,α−二置換アミノ酸を意図的に導入することで、安定化することによって実現してもよい。このようなペプチドは、本明細書では分子内架橋を欠くペプチドと見なされる場合がある。ある態様では、アルファヘリックスの安定化は、塩橋又は共有結合などの分子内架橋を導入することなくこのようにして実現される。ある実施態様では、グルカゴンペプチドの位置16、17、18、19、20、21、24、又は29の内の一つ、二つ、三つ、又は四つ以上が、α,α−二置換アミノ酸によって置換される。例えば、クラス3グルカゴン関連ペプチドの位置16の、アミノイソブチル酸(AIB)による置換は、塩橋又はラクタムの不在下にGLP−1活性を強化する。ある実施態様では、位置16、20、21、又は24の内の一つ、二つ、又は三つ以上がAIBによって置換される。
GLP−1受容体に対する活性の強化は、位置20におけるアミノ酸修飾によって実現可能である。ある実施態様では、位置20のグルタミンは、荷電性であるか、又は水素結合の能力を持ち、少なくとも約5(又は約4−6)原子長の側鎖を有する、別の親水性アミノ酸、例えば、リシン、シトルリン、アルギニン、又はオルニチン、によって置換される。
GLP−1受容体に対する活性の増大は、配列番号26のC−末端延長部を含むクラス3グルカゴン関連ペプチドにおいて明らかにされている。配列番号26を含む、このクラス3グルカゴン関連ペプチドにおけるGLP−1活性は、本明細書に記載の通り、位置18、28、又は29のアミノ酸、又は、位置18及び29のアミノ酸を修飾することによってさらに増すことが可能である。
GLP−1効力の、僅かではあるが、さらなる増大は、位置10のアミノ酸がTrpとなるように修飾することによって実現可能である。
GLP−1受容体活性を増す修飾同士の組み合わせは、それらの修飾の、どの単独使用よりも高いGLP−1活性を実現する可能性がある。例えば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、位置16、位置20、及びC−末端カルボン酸基の修飾を含むことが可能であり、さらに、位置16と20のアミノ酸同士の間の共有結合を伴ってもよく、;位置16とC−末端カルボン酸基の修飾を含むことが可能であり;位置16と20における修飾含むことが可能であり、さらに、位置16と20のアミノ酸同士の間の共有結合を伴ってもよく、;又は、位置20とC−末端カルボン酸基の修飾を含むことが可能であり;ただし必要に応じて、位置12のアミノ酸はArgではないことを条件とし、場合によっては位置9のアミノ酸はGluではないことを条件とする。
<溶解度に影響する修飾>
<親水性成分の付加>
クラス3グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンに対し、高い生物活性を保持しながら、生理的pHにおいて水溶液中でのペプチドの溶解度及び安定生を向上させるようにさらに修飾することが可能である。本明細書に論じる親水性成分は、後述するように、クラス3グルカゴン関連ペプチドに付着させることが可能である。
ある実施態様によれば、配列番号9又は配列番号10を含むクラス3グルカゴン関連ペプチドの位置17、21、及び24における親水性基の導入は、生理的pHを有する溶液中での、高効力グルカゴン類縁体の溶解度及び安定生を向上させることが期待される。このような基の導入はさらに、例えば、循環半減期の延長を測定した場合、作用の持続時間を増す。
ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19から成る群から選ばれる配列を含み、ここで、前記クラス3グルカゴン関連ペプチドの位置16、17、21、又は24の内の一つのアミノ酸残基の側鎖はさらに、約500から約40,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有するポリエチレングリコール鎖を含む。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有する。別の実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000から約20,000ダルトンの分子量を有する。さらに別の例示的実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約20,000から約40,000ダルトンの分子量を有する。
適切な親水性成分としては、当該技術分野で公知の任意の水溶性ポリマー、例えば、本明細書に記載される親水性成分、PEGのホモポリマー又はコポリマー、及び、PEGのモノメチル置換ポリマー(mPEG)などが挙げられる。ある実施態様によれば、親水性基は、ポリエチレン(PEG)鎖を含む。より詳細には、ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号6又は配列番号7の配列を含み、ここで、PEG鎖は、クラス3グルカゴン関連ペプチドの位置21及び24に存在するアミノ酸の側鎖に共有結合され、クラス3グルカゴン関連ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、カルボン酸基を有する。ある実施態様によれば、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約10,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。
ある実施態様によれば、PEG化されたクラス3グルカゴン関連ペプチドは、そのクラス3グルカゴン関連ペプチドに共有結合される二つ以上のポリエチレングリコール鎖を含み、ここで、グルカゴン鎖の合計分子量は約1,000から約5,000ダルトンである。ある実施態様では、PEG化グルカゴンアゴニストは、配列番号5から成るペプチド、又は、配列番号5のグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、ここで、PEG鎖は、位置21と位置24のアミノ酸残基に共有結合され、二つのPEG鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。
<荷電性C−末端>
配列番号20を含むクラス3グルカゴン関連ペプチドの溶解度は、例えば、配列番号20のグルカゴンペプチドのC−末端部分に対し、好ましくは位置27に対してC−末端側の位置に、一つ、二つ、三つ以上の荷電アミノ酸(単数又は複数)を導入することによってさらに向上させることが可能である。このような荷電アミノ酸は、例えば、位置28又は29において天然アミノ酸を荷電アミノ酸によって置換することによって、又はそれとは別に、例えば、位置27、28、又は29の後に、荷電アミノ酸を付加することによって、導入することが可能である。例示的実施態様では、これらの荷電アミノ酸の内の一つ、二つ、三つ、又は全てが負荷電アミノ酸である。クラス3グルカゴン関連ペプチドには、グルカゴン活性を依然として保持することを可能とする、追加の修飾、例えば、保存的置換を実行してもよい。ある実施態様では、配列番号20のクラス3グルカゴン関連ペプチドの類縁体で、配列番号26とは、位置17−26における1から2個のアミノ酸置換で異なる類縁体が提供され、ある実施態様では、この類縁体は、配列番号20のペプチドとは位置20におけるアミノ酸置換で異なる。
<アシル化/アルキル化>
ある実施態様によれば、グルカゴンペプチドは、アシル又はアルキル基、例えば、C4からC30アシル又はアルキル基を含むように修飾される。ある態様では、アシル基又はアルキル基は、アミノ酸上に天然に出現する。特定態様では、アシル又はアルキル基は、いずれの天然アミノ酸に対しても非天然である。アシル化又はアルキル化は、循環半減期を延長し、及び/又は、作用の開始を遅らせ、及び/又は、作用の持続時間を延長し、及び/又は、DPP−IVなどのプロテアーゼに対する耐性を向上させることが可能である。アシル化後、クラス3グルカゴン関連ペプチドのグルカゴン受容体及びGLP−1受容体に対する活性は、事実上強化されたと言えないまでも、維持される。さらに、アシル化類縁体の効力は、事実上強化されたと言えないまでも、クラス3グルカゴン関連ペプチドの非アシル化種に匹敵する。
ある実施態様では、本発明は、グルカゴンペプチドの位置10のアミノ酸に共有結合されるアシル基又はアルキル基を含むように修飾される、グルカゴンペプチドを提供する。グルカゴンペプチドは、クラス3グルカゴン関連ペプチドの位置10のアミノ酸と、アシル基又はアルキル基の間にスペーサーをさらに含んでもよい。上述のクラス3グルカゴン関連ペプチドは、いずれも、二つのアシル基又は二つのアルキル基、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
本発明の特定態様では、アシル化クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号534−544及び546−549の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
<C−末端短縮>
ある実施態様では、本明細書に開示されるクラス3グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴンペプチドのC−末端の一つ又は二つのアミノ酸(すなわち、位置29及び/又は28)を、グルカゴン及びGLP−1受容体に対する活性及び/又は効力に影響を及ぼすことなく短縮又は欠失することによって、さらに修飾される。この点で、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンペプチド(配列番号1)のアミノ酸1−27又はアミノ酸1−28を含むことができ、さらに、本明細書に開示される一つ以上の修飾を伴ってもよい。
ある実施態様では、短縮クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号550又は配列番号551を含む。別の実施態様では、短縮グルカゴンアゴニストペプチドは、配列番号552又は配列番号553を含む。
<C−末端延長部>
ある実施態様によれば、本明細書に開示されるクラス3グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴンペプチド、例えば、配列番号26、配列番号27、又は配列番号28のカルボキシ末端に、第2のペプチドを付加することによって修飾される。ある実施態様では、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号66、配列番号67、配列番号68、及び配列番号69から成る群から選ばれる配列を有するクラス3グルカゴン関連ペプチドは、第2ペプチドに、ペプチド結合を介して共有結合され、ここで、第2ペプチドは、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28から成る群から選ばれる配列を含む。さらに別の実施態様では、C−末端延長部を含むクラス3グルカゴン関連ペプチドでは、天然グルカゴンペプチドの位置29のトレオニンが、グリシンによって置換される。トレオニンがグリシンで置換された配列番号26のカルボキシ末端延長部を含む、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、GLP−1受容体に対する効力が、配列番号26のカルボキシ末端延長部を含むように修飾された天然グルカゴンの4倍となる。GLP−1受容体に対する効力は、位置18の天然のアルギニンをアラニンで置換することによってさらに強化することが可能である。
したがって、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のカルボキシ末端延長部を有していてもよい。ある実施態様によれば、配列番号33又は配列番号20を含むクラス3グルカゴン関連ペプチドは、該グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結される、配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のアミノ酸配列を含む。より詳細には、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15から成る群から選ばれる配列、及びさらに、該グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結される配列番号27(KRNRNNIA)又は配列番号28のアミノ酸配列を含む。より詳細には、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号55、及び配列番号56から成る群から選ばれる配列を含み、該クラス3グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸29に連結される配列番号26(GPSSGAPPPS)又は配列番号29のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号64の配列を含む。
<他の修飾>
クラス3グルカゴン関連ペプチドに関連して上述した修飾、すなわち、グルカゴン活性を増減する、GLP−1受容体活性を増減する修飾は、個別に、又は組み合わせて適用することが可能である。GLP−1受容体活性を増す修飾同士の組み合わせは、いずれのものであれ、修飾の単独使用よりも一般に高いGLP−1活性を与える。上述した修飾は、いずれも、クラス2グルカゴン関連ペプチドに関して本明細書に記載される、他の所望の特性、例えば、溶解度及び/又は安定性及び/又は作用持続時間、の増大を賦与する他の修飾と組み合わせることが可能である。それとは別に、クラス3グルカゴン関連ペプチドと関連して上述した修飾は、いずれも、溶解度又は安定性又は活性に事実上影響を及ぼさない他の修飾と組み合わせることが可能である。例示の修飾としては、下記が挙げられるが、ただしこれらに限定されない:
(A)溶解度の向上、これは、例えば、天然グルカゴンのC−末端部、好ましくは位置27よりもC−末端側の位置に一つ、二つ、又は三つ以上の荷電アミノ酸(単数又は複数)を導入することによる。この荷電アミノ酸は、例えば、位置28又は29において、天然アミノ酸を荷電アミノ酸で置換することによって、若しくはそれとは別に、例えば、位置27、28、又は29の後に荷電アミノ酸を付加することによって導入することが可能である。例示的実施態様では、荷電アミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全ては負荷電アミノ酸である。他の実施態様では、荷電アミノ酸の一つ、二つ、三つ、又は全ては正荷電アミノ酸である。このような修飾は溶解度を増す、例えば、25℃、24時間後に測定した場合、約5.5と8の間の任意のpH、例えば、pH7において、天然グルカゴンに比べ、少なくとも2倍、5倍、10倍、15倍、25倍、30倍以上の溶解度を実現する。
(B)溶解度の増大、これは、作用持続時間及び循環半減期の延長、例えば、ペプチドの位置16、17、20、21、24、又は29に、C−末端延長部内に、又は、C−末端アミノ酸に、本明細書に記載するポリエチレングリコール鎖などの親水性成分を付加することによる。
(C)安定性の増大、これは、位置15のアスパラギン酸の修飾、例えば、欠失、又はグルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸、又はホモシステイン酸による置換による。このような修飾は、5.5から8の範囲のpHにおいて、特に酸性又はアルカリ性バッファー中で、分解又は切断を抑えることが可能であり、25℃で24時間後、元のペプチドの少なくとも75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%を保持する。
(D)安定性の増大、これは、位置27のメチオニンの修飾、例えば、ロイシン又はノルロイシンによる置換による。このような修飾は、酸化分解を抑えることが可能である。安定性はさらに、位置20又は24のGlnの修飾、例えば、Ser、Thr、Ala、又はAIBによる置換によって増すことが可能である。このような修飾は、Glnの脱アミド化によって生じる分解を抑えることが可能である。安定性は、位置21のAspの修飾、例えば、Gluによる置換によって増すことが可能である。このような修飾は、Aspの脱水による環状スクシンイミド中間体の形成、それに続く、イソ−アスパルテートに至る異性化によって起こる分解を抑えることが可能である。
(E)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)切断に対する耐性の増大、これは、位置1又は2のアミノ酸の、上述のDPP−IV耐性アミノ酸による修飾で、位置2のアミノ酸の、N−メチル−アラニンによる修飾を含む。
(F)活性に影響を及ぼさないような、非保存的又は保存的置換、付加、又は欠失、それらの例として、位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29の内の一つ以上における保存的置換;位置27、28、又は29の内の一つ以上の欠失;又は、アミノ酸29の欠失、さらに、C−末端カルボン酸基の代わりにC−末端アミド又はエステルとの組み合わせてよい。
(G)本明細書に記載する通りのC−末端延長部の付加。
(H)循環半減期の延長及び/又は作用持続時間の延長及び/又は作用開始の遅延、これらは、例えば、本明細書に記載する通り、グルカゴンペプチドのアシル化又はアルキル化による。
(I)本明細書に記載する通りの、ホモ二量体又はヘテロ二量体形成。
他の修飾としては、位置1におけるHisの、大型の芳香族アミノ酸(例えば、Tyr、Phe、Trp、又はアミノ−Phe)による置換;位置2のSerの、Alaによる置換;位置10のTyrの、Val又はPheによる置換;位置12のLysの、Argによる置換;位置15のAspの、Gluによる置換;位置16のSerの、Thr又はAIBによる置換、が挙げられる。
位置1のHisの、大型の芳香族アミノ酸(例えば、Tyr)による非保存的置換を含む、GLP−1活性を持つクラス3グルカゴン関連ペプチドは、アルファヘリックスが、分子内架橋、例えば、本明細書に記載されるいずれかによって安定化される限り、GLP−1活性を保持することが可能である。
<結合体及び融合>
クラス3グルカゴン関連ペプチドは、結合体成分に連結させることが可能であり、連結は、共有結合を介してであっても、リンカーを介してであってもよい。
さらに、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、融合ペプチド又はタンパクの一部であってもよく、この場合、第2のペプチド又はポリペプチドが、クラス3グルカゴン関連ペプチドの末端、例えば、カルボキシ末端に融合される。
より詳細には、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号55、配列番号9、又は配列番号10のグルカゴンアゴニストを含んでもよく、該グルカゴンペプチドのアミノ酸29に連結される、配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列をさらに含む。ある実施態様では、配列番号26(GPSSGAPPPS)、配列番号27(KRNRNNIA)、又は配列番号28(KRNR)のアミノ酸配列は、ペプチド結合を介して、クラス3グルカゴン関連ペプチドのアミノ酸29に連結される。本出願人らは、エキセンディン−4(例えば、配列番号26、又は配列番号29)のC−末端延長ペプチドを含む、クラス3グルカゴン関連ペプチド融合ペプチドにおいて、位置29の天然トレオニン残基の、グリシンによる置換が、GLP−1受容体活性を急激に増加することを発見した。このアミノ酸置換は、GLP−1受容体に対するグルカゴン類縁体の親和性を高めるために、クラス3グルカゴン関連ペプチドに関して本明細書に開示される他の修飾と組み合わせて使用することが可能である。例えば、T29G置換は、S16E及びN20Kアミノ酸置換と組み合わせることが可能であり、これは、アミノ酸16と20の間のラクタム架橋や、本明細書に記載するPEG付加を伴ってもよい。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号64の配列を含む。ある実施態様では、グルカゴン融合ペプチドのクラス3グルカゴン関連ペプチド部分は、配列番号55、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5から成る群から選ばれ、ここで、PEG鎖は、位置17、21、24、又はC−末端アミノ酸、又は21と24の両方に存在する場合には、500から40,000ダルトンの範囲から選ばれる。より詳細には、ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドセグメントは、配列番号7、配列番号8、及び配列番号63から成る群から選ばれ、ここで、PEG鎖は、500から5,000から選ばれる。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号55及び配列番号65の配列を含む融合ペプチドであり、ここで、配列番号65のペプチドは、配列番号55のカルボキシ末端に連結される。
ある実施態様によれば、配列番号10のクラス3グルカゴン関連ペプチドにさらに別の化学的修飾を加えることによって、GLP−1受容体効力は、グルカゴン及びGLP−1受容体に対する相対的活性がほぼ等価となるまで高められる。したがって、ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基の代わりアミド基を含む末端アミノ酸を含む。クラス3グルカゴン関連ペプチドの、グルカゴン及びGLP−1受容体それぞれにおける相対的活性は、グルカゴン受容体に対する天然グルカゴンの活性の約40%から約500%以上の活性、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の約20%から約200%以上の活性、例えば、GLP−1受容体に対してグルカゴンの通常活性に対して50倍、100倍以上の活性、を示す類縁体を生産するように、クラス3グルカゴン関連ペプチドにさらなる修飾を付加することによって、調整することが可能である。ある実施態様では、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、グルカゴン受容体に対して、天然グルカゴンの活性の、最大約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は1,000,000%の活性を示す。ある実施態様では、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、GLP−1受容体に対して、天然GLP−1の活性の最大約100%、1000%、10,000%、100,000%、又は、1,000,000%の活性を示す。
<例示的実施態様>
ある実施態様によれば、配列番号55の配列を含むグルカゴン類縁体であって、位置1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、24、27、28、及び29から選ばれる1から3個のアミノ酸において配列番号55とは異なり、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも20%を示す、グルカゴン類縁体が提供される。
ある実施態様によれば、下記の配列:
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号33)を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれ、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれ、位置20のXaaは、Gln又はLysであり、位置24のXaaは、Gln又はGluであり、位置28のXaaは、Asn、Lys、又は酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thr、Gly、又は酸性アミノ酸であり、且つ、Rは、COOH、又はCONH2であるが、ただし、位置16がセリンである場合、位置20はLysであり、それとは別に、位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、位置20又は位置28はLysである。ある実施態様では、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号33の配列を含み、ここで、位置28のアミノ酸は、アスパラギン酸であり、位置29のアミノ酸はグルタミン酸である。別の実施態様では、位置28のアミノ酸は天然のアルギニンであり、位置29のアミノ酸はグリシンであり、且つ、配列番号29又は配列番号65のアミノ酸配列は、配列番号33のカルボキシ末端に共有結合される。
ある実施態様では、配列番号33の配列を含むコアゴニストが提供され、ここで、該ペプチドのカルボキシ末端には、さらに別の酸性アミノ酸が付加される。さらに別の実施態様では、グルカゴン類縁体のカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸基の代わりにアミドを有する。ある実施態様では、グルカゴン類縁体は、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、及び配列番号44から成る群から選ばれる配列を含む。
ある実施態様によれば、配列番号33のグルカゴンペプチド類縁体であって、位置1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、及び27から選ばれる1から3個のアミノ酸において配列番号33とは異なり、ただし、位置16がセリンである場合、位置20はLysであるか、又は、ラクタム架橋が、位置24のアミノ酸と、位置20又は位置28のどちらかのアミノ酸との間に形成される、グルカゴンペプチド類縁体が提供される。ある実施態様によれば、該類縁体は、位置1、2、3、21、及び27から選ばれる1から3個のアミノ酸において、配列番号33とは異なる。ある実施態様では、配列番号33のグルカゴンペプチド類縁体は、位置1、2、3、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、及び27から選ばれる単一のアミノ酸において、配列番号33とは異なるが、ただし、位置16のアミノ酸がセリンである場合、位置20はリシンであるか、又は、ラクタム架橋が、位置24のアミノ酸と、位置20か位置28のアミノ酸との間に形成されることを条件とする。
別の実施態様によれば、配列NH2−His−Ser−Xaa−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号53)を含む、比較的選択性の高いGLP−1受容体アゴニストが提供され、ここで、位置3のXaaは、Glu、Orn又はNleから成るアミノ酸群から選ばれ、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成るアミノ酸群から選ばれ、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれ、位置20のXaaは、Gln又はLysであり、位置24のXaaは、Gln又はGluであり、位置28のXaaは、Asn、Lys、又は酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thr、Gly、又は酸性アミノ酸であり、且つ、Rは、COOH、CONH2、配列番号26、又は配列番号29あるが、ただし、位置16がセリンである場合、位置20はLysであり、それとは別に、位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、位置20又は位置28はLysである。ある実施態様では、位置3のアミノ酸はグルタミン酸である。ある実施態様では、位置28及び/又は29において置換される酸性アミノ酸は、アスパラギン酸か、又はグルタミン酸である。ある実施態様では、コアゴニストペプチドを含むグルカゴンペプチドは、配列番号33の配列と、さらに、該ペプチドのカルボキシ末端に、付加されるさらに別の酸性アミノ酸を含む。さらに別の実施態様では、グルカゴン類縁体のカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸基の代わりにアミドを有する。
ある実施態様によれば、NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号34)から成る群から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含む、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成るアミノ酸群から選ばれ、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成るアミノ酸群から選ばれ、位置20のXaaは、Gln又はLysであり、位置24のXaaは、Gln又はGluであり、位置28のXaaは、Asn、Asp、又はLysであり、Rは、COOH又はCONH2であり、位置29のXaaは、Thr又はGlyであり、且つ、Rは、COOH、CONH2、配列番号26、又は配列番号29あるが、ただし、位置16がセリンである場合、位置20はLysであり、それとは別に、位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、位置20又は位置28はLysである。ある実施態様では、RはCONH2であり、位置15のXaaはAspであり、位置16のXaaは、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成るアミノ酸群から選ばれ、位置20及び24のXaaは、それぞれGlnであり、位置28のXaaは、Asn又はAspであり、位置29のXaaは、Thrである。ある実施態様では、位置15及び16のXaaは、それぞれGluであり、位置20及び24のXaaは、それぞれGlnであり、位置28のXaaは、Asn又はAspであり、位置29のXaaはThrであり、且つ、RはCONH2である。
天然グルカゴンペプチドのいくつかの位置は、該母体ペプチドの活性の少なくとも一部を保持しながら、修飾することが可能であると報告されている。したがって、本出願人らは、配列番号11の位置2、5、7、10、11、12、13、14、17、18、19、20,21、24、27、28、又は29に配置されるアミノ酸の一つ以上は、天然グルカゴンペプチド中に存在するものとは異なるアミノ酸によって置換し、尚且つ、グルカゴン受容体に対する活性を保持することが可能であろうと予想する。ある実施態様では、天然ペプチドの位置27に存在するメチオニン残基は、該ペプチドの酸化分解を阻止するために、ロイシン又はノルロイシンに変えられる。別の実施態様では、位置20のアミノ酸は、Lys、Arg、Orn、又はシトルリンによって置換され、及び/又は、位置21は、Glu、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸によって置換される。
ある実施態様では、配列番号20のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、21、27、28、又は29から選ばれる1から6個のアミノ酸が、配列番号1の対応アミノ酸とは異なる類縁体が提供されるが、ただし、位置16がセリンである場合、位置20はLysであり、それとは別に、位置16がセリンである場合、位置24はGluであり、位置20又は位置28はLysである。別の実施態様によれば、配列番号20のグルカゴン類縁体であって、該類縁体の位置1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、28、又は29から選ばれる1から3個のアミノ酸が、配列番号1の対応アミノ酸とは異なる類縁体が提供される。別の実施態様では、配列番号8、配列番号9、又は配列番号11のグルカゴン類縁体であって、位置1、2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、又は21から選ばれる1から2個のアミノ酸が、配列番号1の対応アミノ酸とは異なる類縁体が提供され、さらに別の実施態様では、前記1から2個の異なるアミノ酸は、天然グルカゴン配列(配列番号1)中に存在するアミノ酸に対し、保存的アミノ酸置換を表す。ある実施態様では、配列番号12、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のグルカゴンペプチドにおいて、該グルカゴンペプチドが、位置2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、又は29から選ばれる位置において、1、2、又は3個のアミノ酸置換をさらに含むグルカゴンペプチドが提供される。ある実施態様では、位置2、5、7、10、11、13、14、17、18、19、20、21、27、又は29における置換は、保存的アミノ酸置換である。
ある実施態様によれば、配列番号33の配列の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、変種の位置16、17、18、20、21、23、24、27、28、及び29から選ばれる1から10個のアミノ酸は、それぞれ、配列番号1の対応アミノ酸と異なる。ある実施態様によれば、配列番号33の配列の変種であって、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、Ala24、Val27、及びGly29から成る群から選ばれる一つ以上のアミノ酸置換において配列番号33と異なる変種が提供される。ある実施態様では、配列番号33の配列の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、該変種の位置17−26から選ばれる1−2アミノ酸が、配列番号1の対応アミノ酸と異なる。ある実施態様によれば、配列番号33の配列の変種であって、Gln17、Ala18、Glu21、Ile23、及びAla24から成る群から選ばれるアミノ酸置換において配列番号33と異なる変種が提供される。ある実施態様によれば、配列番号33の配列の変種であって、位置18のアミノ酸置換において配列番号33と異なり、該置換アミノ酸が、Ala、Ser、Thr、及びGlyから成る群から選ばれる変種が提供される。ある実施態様によれば、配列番号33の配列の変種であって、位置18におけるAlaのアミノ酸置換において配列番号33と異なる変種が提供される。このような変種は、配列番号55によって包含される。別の実施態様では、配列番号33の配列の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、該変種の位置17−22から選ばれる1から2個のアミノ酸が、配列番号1の対応アミノ酸とは異なる、さらに別の実施態様では、配列番号33の変種であって、位置20及び21における1又は2個のアミノ酸置換において配列番号33とは異なる変種が提供される。ある実施態様によれば、下記の配列:NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Xaa−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号51)を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、位置15のXaaは、Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、位置16のXaaは、Ser、Glu、Gln、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、位置20のXaaは、Gln、Lys、Arg、Orn、又はシトルリンであり、位置21のXaaは、Asp、Glu、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸であり、位置24のXaaは、Gln又はGluであり、位置28のXaaは、Asn、Lys、又は酸性アミノ酸であり、位置29のXaaは、Thr又は酸性アミノ酸であり、且つ、Rは、COOH又はCONH2である。ある実施態様では、Rは、CONH2である。ある実施態様によれば、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号47、配列番号48、又は配列番号49の変種を含むグルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、該変種は、位置20のアミノ酸置換において前記配列と異なる。ある実施態様では、アミノ酸置換は、位置20のためにLys、Arg、Orn、又はシトルリンから成る群から選ばれる。
ある実施態様では、配列番号34の類縁体ペプチドであって、位置2にセリン以外のアミノ酸を有することによって配列番号34と異なる類縁体が提供される。ある実施態様では、セリン残基は、アミノイソブチル酸、D−アラニンによって置換され、ある実施態様では、セリン残基は、アミノイソブチル酸によって置換される。この修飾は、母体化合物の内在的効力(例えば、母体化合物の効力の少なくとも75、80、85、90、95%以上)を保持しながら、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断を抑える。ある実施態様では、類縁体の溶解度は、例えば、天然グルカゴンのC−末端部分、好ましくは、位置27よりもC−末端側の位置に、一つ、二つ、三つ、又はそれ以上の荷電アミノ酸を導入することによって、高められる。例示的実施態様では、この、一つ、二つ、三つ、又はそれ以上の荷電アミノ酸は、負荷電アミノ酸である。別の実施態様では、類縁体はさらに、位置28又は29において天然アミノ酸を置換する荷電アミノ酸、又は、配列番号34のカルボキシ末端に付加される酸性アミノ酸を含む。
ある実施態様では、本明細書に開示されるグルカゴン類縁体は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を下げるために、位置1又は2においてさらに修飾される。ある実施態様では、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のグルカゴン類縁体であって、位置2の置換によって母体分子とは異なるが、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対し感受性を低下させた類縁体が提供される。より詳細には、ある実施態様では、この類縁体ペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、アミノn−ブチル酸、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様では、類縁体ペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。別の実施態様では、類縁体ペプチドの位置2は、D−セリン、グリシン、N−メチルセリン、及びアミノイソブチル酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様では、位置2のアミノ酸はD−セリンではない。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号21又は配列番号22の配列を含む。
ある実施態様では、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、又は配列番号15のグルカゴン類縁体であって、位置1の置換によって母体分子とは異なるが、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対し感受性を低下させた(即ち、耐性)類縁体が提供される。より詳細には、この類縁体ペプチドの位置1は、D−ヒスチジン、アルファ、アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及びホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。別の実施態様では、配列番号34の類縁体ペプチドを含むグルカゴンアゴニストが提供され、ここで、該類縁体は、位置1においてヒスチジン以外のアミノ酸を有することで配列番号34と異なる。ある実施態様では、類縁体の溶解度は、例えば、一つ、二つ、三つ、又はそれ以上の荷電アミノ酸(単数又は複数)を、天然グルカゴンのC−末端部分、好ましくは位置27よりC−末端側の位置に導入することによって、高められる。例示の実施態様では、この、一つ、二つ、三つ、又はそれ以上の荷電アミノ酸は、負荷電アミノ酸である。別の実施態様では、類縁体はさらに、位置28又は29において天然アミノ酸を置換する酸性アミノ酸、又は、配列番号34のペプチドのカルボキシ末端に付加される酸性アミノ酸を含む。
ある実施態様では、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号24の配列を含み、さらに、一つのアミノ酸、又は、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28から成る群から選ばれるペプチドから成る、追加カルボキシ末端延長部を含む。単一アミノ酸が、配列番号20のカルボキシ末端に付加される実施態様では、該アミノ酸は、典型的には、20種の一般的アミノ酸の内の一つから選ばれ、ある実施態様では、該付加的カルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。ある実施態様では、付加アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びグリシンから成る群から選ばれる。
別実施態様では、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストが提供され、ここで、該ペプチドは、グルタミン酸残基とリシン残基の側鎖の間に形成される少なくとも一つのラクタム架橋を含み、該グルタミン酸残基とリシン残基は、3個のアミノ酸によって隔てられる。ある実施態様では、ラクタム担持グルカゴンペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。より詳細には、ある実施態様では、下記から成る群:
NHa−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号66)
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号67)
NH^His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Xaa−Xaa−R(配列番号68)
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Xaa−R(配列番号69)
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−R(配列番号16)
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Thr−R(配列番号17)
NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Lys−Asp−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Met−Lys−Thr−R(配列番号18)
から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含む、グルカゴン及びGLP−1コアゴニストが提供され、ここで、位置28のXaa=Asp又はAsn、位置29のXaaはThr又はGlyであり、Rは、COOH、CONH2、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28から成る群から選ばれ、且つ、ラクタム架橋が、配列番号66の位置12のLysと位置16のGluの間、配列番号67の位置16のGluと位置20のLysの間、配列番号68の位置20のLysと位置24のGluの間、配列番号69の位置24のGluと位置28のLysの間、配列番号16の位置12のLysと位置16のGluの間、及び、位置20のLysと位置24のGluの間、配列番号17の位置12のLysと位置16のGluの間、及び、位置24のGluと位置28のLysの間、及び、配列番号18の位置16のGluと位置20のLysの間、及び、位置24のGluと位置28のLysの間、に形成される。ある実施態様では、Rは、COOH、CONH2、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシンから成る群から選ばれ、位置28のアミノ酸はAsnであり、位置29のアミノ酸はトレオニンである。ある実施態様では、RはCONH2であり、位置28のアミノ酸はAsnであり、位置29のアミノ酸はトレオニンである。別の実施態様では、Rは、配列番号26、配列番号29、及び配列番号65から成る群から選ばれ、位置29のアミノ酸はグリシンである。
さらに別の実施態様では、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、入れる番号17、及び配列番号18から成る群から選ばれ、ここで、該ペプチドはさらに、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28から成る群から選ばれる、一アミノ酸又はペプチドの、さらに別のカルボキシ末端延長部を含む。ある実施態様では、末端延長部は、配列番号26、配列番号29、又は配列番号65の配列を含み、グルカゴンペプチドは、配列番号55の配列を含む。ある実施態様では、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号33の配列を含み、ここで、位置16のアミノ酸はグルタミン酸であり、位置20のアミノ酸はリシンであり、位置28のアミノ酸はアスパラギンであり、配列番号26又は配列番号29のアミノ酸配列は、配列番号33のカルボキシ末端に連結される。
単一アミノ酸が、配列番号20のカルボキシ末端に付加される実施態様では、該アミノ酸は、典型的には、20種の一般的アミノ酸から選ばれ、ある実施態様では、アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸の代わりにアミド基を有する。ある実施態様では、付加アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びグリシンから成る群から選ばれる。グルカゴンアゴニストペプチドがさらにカルボキシ末端延長部を含む実施態様では、延長部のカルボキシ末端アミノ酸は、ある実施態様では、カルボン酸ではなく、アミド基又はエステル基で終わる。
別の実施態様では、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、下記の配列:NH2−His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−Xaa−COHN2(配列番号19)を含み、ここで、位置30のXaaは、任意のアミノ酸を表す。ある実施態様では、Xaaは、20種の一般的アミノ酸の一つから選ばれるが、ある実施態様では、該アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はグリシンである。このペプチドの溶解度は、配列番号19の位置17、21、24、又は30のアミノ酸の側鎖に、PEG鎖を共有結合することによってさらに向上させることが可能である。さらに別のある実施態様では、ペプチドは、配列番号26、配列番号27、及び配列番号28から成る群から選ばれるペプチドの、さらに別のカルボキシ末端延長部を含む。ある実施態様によれば、グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストは、配列番号30、配列番号31、及び配列番号32の配列を含む。
種々の程度のGLP−1アゴニスト作用を持つ一組のアゴニストを生成するために、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、及び配列番号64のグルカゴン配列の内部において、さらに別の部位特異的修飾を実行することが可能である。したがって、各受容体に対してほぼ同じインビトロ効力を有するペプチドが調製され、特徴解明された。同様に、二つの受容体のそれぞれにおいて10倍選択的に強化された効力を有するペプチドが特定され、特徴解明された。上述のように、位置16のセリン残基の、グルタミン酸による置換は、グルカゴン及びGLP−1の両受容体に対する天然グルカゴンの効力を強化するが、グルカゴン受容体に対するほぼ10倍の選択性を維持する。さらに、位置3の天然のグルタミンをグルタミン酸によって置換する(配列番号22)ことによって、GLP−1受容体に対してほぼ10倍の選択性を示すグルカゴン類縁体が得られる。
天然グルカゴンに対して高い生物活性を維持しながら、生理的pHの水溶液中での、グルカゴン/GLP−1コアゴニストペプチドの溶解度をさらに強化することは、該ペプチドの位置16、17、21、及び24に親水性基を導入するか、又は、該グルカゴン/GLP−1コアゴニストペプチドのカルボキシ末端に単一修飾アミノ酸(すなわち、親水性基を含むように修飾されたアミノ酸)を付加することによって実行が可能である。ある実施態様によれば、親水性基としては、ポリエチレン(PEG)鎖が挙げられる。より詳細には、ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18の配列を含み、ここで、PEG鎖は、該グルカゴンペプチドの位置16、17、21、24、29のアミノ酸側鎖、又は、C−末端アミノ酸に共有結合されるが、ただし、ペプチドが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含む場合、ポリエチレングリコール鎖は、位置17、21、又は24のアミノ酸残基に共有結合されるものとし、ペプチドが、配列番号14又は配列番号15を含む場合は、ポリエチレングリコール鎖は、位置16、17、又は21のアミノ酸残基に共有結合されるものとし、ペプチドが配列番号16、配列番号17、又は配列番号18を含む場合は、ポリエチレングリコール鎖は、位置17又は21のアミノ酸残基に共有結合されるものとする。
ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号11、配列番号12、又は配列番号13を含み、ここで、PEG鎖は、該グルカゴンペプチドの位置17、21、24のアミノ酸側鎖、又は、C−末端アミノ酸に共有結合され、該ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、天然アミノ酸のカルボン酸基の代わりにアミド基を有する。ある実施態様では、グルカゴン/GLP−1コアゴニストペプチドは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19から成る群から選ばれる配列を含み、ここで、PEG鎖は、該グルカゴンペプチドの配列番号12、配列番号13、及び配列番号19の位置17、21、又は24、又は、配列番号14及び配列番号15の位置16、17、又は21、又は、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18の位置17、又は21のアミノ酸側鎖に共有結合される。別の実施態様では、グルカゴン/GLP−1コアゴニストペプチドは、配列番号11又は配列番号19の配列を含み、ここで、PEG鎖は、該グルカゴンペプチドの位置17、21、又は24のアミノ酸側鎖、又は、C−末端アミノ酸に共有結合される。
ある実施態様によれば、ただし、先行パラグラフに記載される制限つきではあるが、グルカゴンコアゴニストペプチドは、位置16、17、21、24、又は29、又はC−末端アミノ酸において一つ以上のアミノ酸修飾を含むように修飾され、ここで、天然アミノ酸は、親水性成分、例えば、PEGなどと架橋結合するのに好適な側鎖を有するアミノ酸によって置換される。天然アミノ酸は、天然アミノ酸、又は合成の(非天然)アミノ酸によって置換されてもよい。合成又は非天然アミノ酸とは、天然にインビボで発生することはないが、にも拘わらず、本明細書に記載されるペプチド構造中に組み込むことが可能なアミノ酸を指す。それとは別に、例えば、PEGなどの親水性成分と架橋結合するのに好適な側鎖を有するアミノ酸は、本明細書に開示されるグルカゴン類縁体では、そのいずれのカルボキシ末端に対しても付加することが可能である。ある実施態様によれば、グルカゴンコアゴニストペプチドでは、アミノ酸置換は、16、17、21、24、又は29から成る群から選ばれる位置において実行され、天然アミノ酸が、リシン、システイン、オルニチン、ホモシステイン、及びアセチルフェニルアラニンから成る群から選ばれるアミノ酸によって置換され、ここで、置換アミノ酸はさらに、該アミノ酸の側鎖に共有結合されるPEG鎖を含む。ある実施態様では、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号19から成る群から選ばれるグルカゴンペプチドはさらに、PEG鎖を含むように修飾され、該PEG鎖は、該グルカゴンペプチドの位置17又は21のアミノ酸の側鎖に共有結合される。ある実施態様では、PEG化グルカゴン/GLP−1受容体コアゴニストはさらに、配列番号26、配列番号27、又は配列番号29の配列を含む。
別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号55又は配列番号56の配列を含み、さらに、配列番号55又は配列番号56のC−末端アミノ酸に連結される、配列番号26、配列番号29、又は配列番号65のC−末端延長部を含み、さらに、該ペプチドの位置17、18、21、24、又は29のアミノ酸側鎖、又は、C−末端アミノ酸に共有結合されるPEG鎖を含んでもよい。別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号55又は配列番号56の配列を含み、ここで、PEG鎖が、該グルカゴンペプチドの位置21又は24のアミノ酸側鎖に共有結合され、該ペプチドはさらに、配列番号26又は配列番号29のC−末端延長部を含む。
別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号55又は配列番号33又は配列番号34の配列を含み、ここで、さらなるアミノ酸が、配列番号33又は配列番号34のカルボキシ末端に付加され、PEG鎖が、この付加アミノ酸の側鎖に共有結合される。さらに別の実施態様では、PEG化グルカゴン類縁体はさらに、配列番号33又は配列番号34のC−末端アミノ酸に連結される配列番号26又は配列番号29のC−末端延長部を含む。別の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号19の配列を含み、ここで、PEG鎖が、該グルカゴンペプチドの位置30のアミノ酸側鎖に共有結合され、該ペプチドはさらに、配列番号26のC−末端延長部、又は、配列番号19のC−末端アミノ酸に連結される配列番号29を含む。
ポリエチレングリコール鎖は、直鎖状であってもよいし、又は分枝状であってもよい。ある実施態様によれば、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約10,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。別の実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約10,000から約20,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。ある実施態様では、PEG化グルカゴンペプチドは、該グルカゴンペプチドに共有結合される二つ以上のポリエチレングリコール鎖を含み、ここで、これらのグルカゴン鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。ある実施態様では、PEG化グルカゴンアゴニストは、配列番号5から成るペプチド、又は、配列番号5のグルカゴンアゴニスト類縁体を含み、ここで、PEG鎖は、位置21及び位置24のアミノ酸残基に共有結合され、この二つのPEG鎖の合計分子量は約1,000から約5,000ダルトンである。
ある例示的実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、かつ、最大10個のアミノ酸修飾を伴い、位置10においてアシル化又はアルキル化されるアミノ酸を含む。ある実施態様では、位置10のアミノ酸は、C4からC30脂肪酸によってアシル化又はアルキル化される。ある態様では、位置10のアミノ酸は、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル基又はアルキル基を含む。
ある実施態様では、位置10にアシル化又はアルキル化されたアミノ酸を含むグルカゴンペプチドは、安定化アルファヘリックスを含む。したがって、ある態様では、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載されるアシル又はアルキル基、及び、分子内架橋、例えば、位置iのアミノ酸の側鎖と、位置i+4のアミノ酸の側鎖同士の間に、共有結合性分子内架橋(例えば、ラクタム架橋)を含み、ここで、iは、12、16、20、又は24である。それとは別に、又はそれに加えてさらに、グルカゴンペプチドは、本明細書に記載の通りのアシル又はアルキル基を含み、該グルカゴンペプチドの位置16、20、21、及び/又は24の内の一つ、二つ、三つ、又はそれ以上が、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBによって置換される。ある場合には、非天然グルカゴンペプチドは、位置16にGlu及び位置20にLysを含み、ここで、ラクタム架橋が、このGlu及びLysを連結してもよく、グルカゴンペプチドはさらに、下記から成る群から選ばれる一つ以上の修飾を含んでもよい:位置17のGln、位置18のAla、位置21のGlu、位置23のIle、及び位置24のAla。
さらに、グルカゴンペプチドが、位置10において、アシル化又はアルキル化されるアミノ酸を含む前述の実施態様のいずれにおいても、グルカゴンペプチドはさらに、C−末端アルファカルボキシレートの代わりにC−末端アミドを含んでもよい。
ある実施態様では、本明細書の記載の通りにアシル又はアルキル基を含むグルカゴンペプチドはさらに、位置1、位置2、又は位置1及び2にアミノ酸置換を含み、ここで、このアミノ酸置換(単数又は複数)は、DPP−IVプロテアーゼ耐性を実現する。例えば、位置1のHisは、下記から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換されてもよい:D−ヒスチジン、アルファ、アルファ−ジメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジン。それとは別に、又はそれに加えてさらに、位置2のSerは、下記から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換されてもよい:D−セリン、アラニン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸。
本明細書に記載の通り、位置10に、アシル化又はアルキル化されるアミノ酸を含むグルカゴンペプチドは、事実上配列番号1と関連する、任意のアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、グルカゴンペプチドは、配列番号1を含み、さらに最大10個のアミノ酸置換(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の修飾)を伴う。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化グルカゴンペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と、25%を上回って同一である(例えば、配列番号1と、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%を上回って、又は、ほぼ100%同一である)。ある特定の実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号55を含み、さらに、本明細書の記載の通り、位置10のアミノ酸がアシル化又はアルキル化されるペプチドである。このグルカゴンペプチドは、配列番号55、55にさらに1又は2個のアミノ酸修飾、2−4、9−18、23−25、33、40−44、53、56、61、62、64、66−514、及び534個の修飾を伴う配列の内のいずれかであってもよい。
これらの実施態様のアシル又はアルキル基は、本明細書に開示される任意のアシル又はアシル基であってもよい。例えば、アシル基は、C4からC30(例えば、C8からC24)脂肪性アシル基であってもよく、アルキル基は、C4からC30(例えば、C8からC24)アルキル基であってもよい。
アシル又はアルキル基が付着されるアミノ酸は、本明細書に記載されるアミノ酸の内のいずれであってもよく、例えば、式I(例えば、Lys)、式II、及び式IIIの内のいずれかのアミノ酸であってもよい。
ある実施態様では、アシル基又はアルキル基は、位置10のアミノ酸に、直接的に付着される。ある実施態様では、アシル又はアルキル基は、位置10のアミノ酸に、スペーサーを介して、例えば、3から10原子長のスペーサー、例えば、アミノ酸又はジペプチドを介して付着される。アシル又アルキル基を付着するのに適切なスペーサーは、本明細書に記載される。
ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、本明細書に記載される前述のクラス3グルカゴン関連ペプチドの内のいずれかの類縁体であって、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示すものであってもよい。グルカゴン受容体、GLP−1受容体、及びGIP受容体に対する該類縁体の活性、これらの受容体それぞれにおける効力、及び、これらの受容体それぞれにおける選択性は、本明細書に記載されるクラス2グルカゴン関連ペプチドの教示に対応していてもよい。クラス2グルカゴン関連ペプチドのサブセクション、表題「活性」における教示を参照されたい。
本発明のある実施態様では、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す、グルカゴンペプチドの類縁体が提供される。ある実施態様の類縁体は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、さらに、少なくとも一つのアミノ酸修飾(必要に応じて、最大15のアミノ酸修飾)、及び、該類縁体の位置29のアミノ酸よりもC−末端側に1から21個のアミノ酸の延長部を伴う。
ある態様では、類縁体は、少なくとも一つのアミノ酸修飾を含み、最大15個までのアミノ酸修飾(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15アミノ酸修飾で、最大10個のアミノ酸修飾)を含む。ある実施態様では、類縁体は、少なくとも一つで最大10個のアミノ酸修飾、及び追加の保存的アミノ酸修飾を含む。保存的アミノ酸修飾は本明細書に記載される。
ある態様では、アミノ酸修飾の少なくとも一つは、類縁体のC−末端部分のアルファヘリックスに安定化を賦与する。安定化アルファヘリックスを実現する修飾は本明細書に記載される。例えば、表題「アルファヘリックス/分子内架橋の安定化」というセクションの教示を参照されたい。ある態様では、類縁体は、該類縁体の二つのアミノ酸側鎖の間に分子内架橋(例えば、共有結合分子内架橋、非共有結合分子内架橋)を含む。ある態様では、分子内架橋は、位置iと位置i+4のアミノ酸の側鎖同士を連結し、ここで、iは、12、13、16、17、20、又は24である。別の態様では、分子内架橋は、位置jと位置j+3(jは17である)、若しくは、位置kとk+7(kは12と22の間の任意の整数)のアミノ酸の側鎖を接続する。ある実施態様では、分子内架橋は、共有結合性分子内架橋、例えば、ラクタム架橋である。特定態様では、ラクタム架橋は、位置16と20のアミノ酸側鎖同士を接続する。特定態様では、位置16と20のアミノ酸の一方は、正荷電アミノ酸であり、他方は負荷電アミノ酸である。例えば、類縁体は、位置16のGluと、位置20のLysの側鎖同士を接続するラクタム架橋を含んでもよい。他の態様では、負荷電アミノ酸及び正荷電アミノ酸は塩橋を形成する。この例では、分子内架橋は、非共有結合性分子内架橋である。
特定態様では、アルファヘリックスに安定性を賦与するアミノ酸修飾は、配列番号1のアミノ酸に対する、α,α−二置換アミノ酸による挿入又は置換である。アルファヘリックスを安定化するために適切なα,α−二置換アミノ酸は、本明細書に記載されるが、例えば、AIBが挙げられる。ある態様では、配列番号1の位置16、20、21、及び24のアミノ酸の内、一つ、二つ、三つ、又はそれ以上が、α,α−二置換アミノ酸、例えば、AIBによって置換される。特定の実施態様では、位置16のアミノ酸はAIBである。
GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類縁体は、さらなる修飾、例えば、本明細書に記載されるものの内のいずれかを含んでもよい。例えば、アミノ酸修飾は、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体の一方又は両方に対して、活性を増大又は低減させてもよい。アミノ酸修飾は、ペプチドの安定性を増し、例えば、DPP−IVプロテアーゼ文化に対する耐性を増し、アミノ酸15と16の間の結合を安定化してもよい。アミノ酸修飾は、該ペプチドの溶解度を増し、及び/又は、GIP、グルカゴン、及びGLP−1受容体のいずれかに対する、該類縁体の作用時間を変えてもよい。GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類縁体同士の中に、これらの修飾タイプ同士の、いずれかの組み合わせが存在してもよい。
したがって、ある態様では、類縁体は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、さらに、下記:位置17のGln、位置18のAla、位置21のGlu、位置23のIle、及び位置24のAla又はCys、又はそれらの保存的アミノ酸置換、を伴う。ある態様では、類縁体は、C−末端アルファカルボキシレートの代わりにC−末端アミドを含む。ある実施態様では、類縁体は、位置1、位置2、又は位置1及び2においてアミノ酸置換を含み、この置換(単数又は複数)は、DPP−IVプロテアーゼ耐性を実現する。適切なアミノ酸置換は本明細書に記載される。例えば、位置1におけるDMIA及び/又は位置2におけるd−Ser又はAIBである。ある実施態様では、位置2のアミノ酸はD−セリンではない。
それに加えてさらに、又はそれとは別に、類縁体は、下記の修飾の内いずれか一つ、又はその組み合わせを含んでもよい:(a)位置2のSerの、Alaによる置換;(b)位置3のGlnの、Glu又はグルタミン類縁体による置換;(c)位置7のThrの、Ileによる置換;(d)位置10のLysの、Trp、又は、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル又はアルキル基を含むアミノ酸による置換;(e)位置12のLysの、Ileによる置換;(f)位置15のAspの、Gluによる置換;(g)位置16のSerの、Gluによる置換;(h)位置20のGlnの、Ser、Thr、Ala、AIBによる置換;(i)位置24のGlnの、Ser、Thr、Ala、AIBによる置換;(j)位置27のMetの、Leu又はNleによる置換;(k)位置29のAsnの、荷電アミノ酸、(Asp又はGluでもよい)による置換;(l)位置29のThrの、Gly、又は荷電アミノ酸(Asp又はGluでもよい)による置換。
ある態様では、類縁体は、位置1において、GIPアゴニスト活性を賦与するアミノ酸修飾を含まない。ある態様では、位置1のアミノ酸は、大型で芳香族のアミノ酸、例えば、Tyrではない。ある実施態様では、位置1のアミノ酸は、イミダゾール環を含むアミノ酸、例えば、His、Hisの類縁体ではない。ある実施態様では、類縁体は、米国特許出願第61/151,349号に開示される化合物のいずれでもない。ある態様では、類縁体は、配列番号657−669の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類縁体に関しては、該類縁体は、1−21個のアミノ酸(例えば、5−19、7−15、9−12アミノ酸)の延長部を含む。類縁体の延長部は、該延長部が1から21個のアミノ酸である限り、いずれのアミノ酸配列を含んでもよい。ある態様では、延長部は、7から15個のアミノ酸であり、別の態様では、延長部は、9から12個のアミノ酸である。ある実施態様では、延長部は、(i)配列番号26又は674のアミノ酸配列、(ii)配列番号26又は674と、高度の配列同一性(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%)を有するアミノ酸配列、又は、(iii)一つ以上の保存的アミノ酸修飾を有する、(i)又は(ii)のアミノ酸配列、を含む。
ある実施態様では、延長部のアミノ酸の少なくとも一つは、アシル化又はアルキル化される。アシル又はアルキル基を含むアミノ酸は、該類縁体の延長部の任意の位置に配置されてもよい。ある実施態様では、延長部のアシル化又はアルキル化アミノ酸は、類縁体の位置37、38、39、40、又は42(配列番号1の順序番号による)の内の一つに配置される。ある実施態様では、アシル化又はアルキル化アミノ酸は、類縁体の位置40に配置される。
例示的実施態様では、アシル又はアルキル基は、天然アミノ酸に対し非天然の、アシル又はアルキル基である。例えば、アシル又はアルキル基は、C4からC30(例えば、C12からC18)脂肪性アシル基、又はC4からC30(例えば、C12からC18)アルキルであってもよい。アシル又はアルキル基は、本明細書に記載されるもののいずれであってもよい。
ある実施態様では、アシル又はアルキル基は、アミノ酸に直接的に、例えば、該アミノ酸の側鎖を介して、付着される。別の実施態様では、アシル又はアルキル基は、アミノ酸に、スペーサー(例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能スペーサー、疎水性二官能スペーサー)を介して付着される。ある態様では、スペーサーは、約3から10原子長である。ある実施態様では、アミノ酸スペーサーは、γ−Gluではない。ある実施態様では、ジペプチドスペーサーは、γGlu−γGluではない。
さらに例示的実施態様では、アシル又はアルキル基が付着されるアミノ酸は、本明細書に記載されるもののいずれであってもよく、例えば、式I、II、又はIIIのアミノ酸であってもよい。アシル化又はアルキル化されるアミノ酸は、例えば、Lysであってもよい。アシル基又はアルキル基を含む適切なアミノ酸の外、適切なアシル基及びアルキル基も本明細書に記載される。例えば、表題「アシル化及びアルキル化」セクションにおける教示を参照されたい。
他の実施態様では、延長部の1−6アミノ酸(例えば、1−2、1−3、1−4、1−5アミノ酸)は、正荷電アミノ酸、例えば、式IVのアミノ酸、例えば、Lysである。本明細書で用いる「正荷電アミノ酸」という用語は、天然又は非天然の任意のアミノ酸で、生理的pHにおいてその側鎖の原子に正電荷を含むアミノ酸を指す。ある実施態様では、正荷電アミノ酸は、位置37、38、39、40、41、42、及び43の内のいずれかに配置される。特定の実施態様では、正荷電アミノ酸は位置40に配置される。
別の例では、延長部は、本明細書に記載の通りアシル化又はアルキル化され、本明細書に記載の通り1−6個の正荷電アミノ酸を含む。
さらに別の実施態様では、GIP受容体に対してアゴニスト活性を示す類縁体は、下記を含む:(i)配列番号1、さらに少なくとも一つのアミン酸修飾、(ii)類縁体の位置29のアミノ酸よりもC−末端側に1から21個のアミノ酸(例えば、5から18、7から15、9から12アミノ酸)の延長部、及び、(iii)C−末端延長部の外側(例えば、位置1−29の任意の位置)に配置される、天然アミノ酸に対して非天然であるアシル基又はアルキル基を含むアミノ酸。ある実施態様では、類縁体は、位置10においてアシル化又はアルキル化アミノ酸を含む。特定態様では、アシル又はアルキル基は、C4からC30脂肪性アシル基、又はC4からC30アルキルである。ある実施態様では、アシル又はアルキル基は、スペーサー例えば、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、親水性二官能スペーサー、疎水性二官能スペーサーを介して付着される。ある態様では、類縁体は、アルファヘリックスを安定化するアミノ酸修飾、例えば、位置16のGluと位置20のLysの間の塩橋、又は、位置16、20、21、及び24の内の任意の一つ、二つ、三つ、又はそれ以上においてアルファ−アルファ二置換アミノ酸を含む。特定態様では、類縁体はさらに、DPP−IVプロテアーゼ耐性を賦与するアミノ酸修飾、例えば、位置1におけるDMIA、又は位置2におけるAIBを含む。さらに別のアミノ酸修飾を含む類縁体も本発明の考慮の対象とされる。
ある実施態様では、GIP受容体活性を有する類縁体は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の少なくとも0.1%(例えば、少なくとも0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、又は20%)の活性を示す。ある実施態様では、類縁体は、GIP受容体に対する天然GIPの活性の20%よりも大きな(例えば、50%よりも大、75%よりも大、100%よりも大、200%よりも大、300%よりも大、500%よりも大)活性を示す。ある実施態様では、類縁体は、GLP−1及びグルカゴン受容体の一方又は両方に対して認識可能なアゴニスト活性を示す。ある態様では、これらの受容体(GIP受容体、GLP−1受容体、及び/又はグルカゴン受容体)に対する選択性は、1000倍以内である。例えば、GIP受容体活性を有する類縁体の、GLP−1受容体に対する選択性は、GIP受容体及び/又はグルカゴン受容体に対する選択性の500倍、100倍未満、50倍以内、25倍以内、15倍以内、10倍以内である。
特定態様では、類縁体は、配列番号657−669の内のいずれかの構造を含む。
ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、天然グルカゴンのアミノ酸配列(配列番号1)を含み、該配列は下記の修飾を含む:位置2のAIB、位置3のGlu、位置10のLys、位置16のGlu、位置17のGln、位置18のAla、位置20のLys、位置21のGlu、位置23のIle、位置24のAla;ここで、位置10のLysは、C14又はC16脂肪酸によってアシル化され、ここで、C−末端カルボキシレートは、アミドによって置換される。特定の実施態様では、このクラス3グルカゴン関連ペプチドは、そのN−末端アミノ酸を介してジペプチドD−Lys−サルコシンに付着される。
ある実施態様によれば、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号70−514、517−534、又は554、を含むか、それらから事実上成るか、又は、それらから成り、さらに、GLP−1アゴニスト及び/又はグルカゴンアゴニスト活性を保持する、最大1、2、3、4、又は5個の修飾を伴ってもよい。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号562−684、及び1701−1776の内のいずれかのアミノ酸を含む。ある実施態様では、クラス3グルカゴン関連ペプチドは、配列番号1801−1921の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
<クラス4グルカゴン関連ペプチド>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、クラス4グルカゴン関連ペプチドである(例えば、国際特許出願第PCT/US2008/080973号を参照されたい、なお、この内容の全体を引用により本明細書に含める)。
下記のセクションに参照される生物学的配列(配列番号1301−1371)は、国際特許出願第PCT/US2008/080973号における配列番号1−71に対応する)。
<活性>
ある実施態様によれば、クラス4グルカゴン関連ペプチドが提供される(以後「クラス4ペプチド」と呼ぶ)。ある態様では、グルカゴンアンタゴニスト活性を有するクラス4ペプチドが提供される。グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴンアゴニスト作用の抑制が望ましい背景下では、どのような場合にも使用されるであろうと考えられる。もっとも直接的で、明白なものは、糖尿病の治療における使用と考えられる。なぜなら、グルカゴンアンタゴニスト作用は、低血糖症の前臨床モデルにおいて血糖低下をもたらすことが示されているからである。グルカゴンアンタゴニストは、母体化合物のアンタゴニスト活性を維持しながら、化合物の生物物理的安定性及び/又は水溶性を向上させるようにさらに修飾することが可能である。ある態様では、クラス4ペプチドは、純粋なグルカゴンアンタゴニストと定義される。
「グルカゴンアンタゴニスト」という用語は、グルカゴンの活性に対抗するか、又は、グルカゴン機能を阻止する化合物を指す。例えば、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大反応の、少なくとも60%の抑制(例えば、少なくとも約70%の抑制)、及び、好ましくは約80%の抑制を示す。ある実施態様では、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大反応の、少なくとも90%の抑制を示す。特定の実施態様では、グルカゴンアゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大反応の、少なくとも100%の抑制を示す。さらに、グルカゴンアンタゴニストは、約1μMの濃度下で、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大アゴニスト活性の約20%未満を示す。ある実施態様では、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大アゴニスト活性の約10%未満を示す。特定の実施態様では、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大アゴニスト活性の約5%未満を示す。さらに別の特定の実施態様では、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大アゴニスト活性の0%を示す。
「純粋なグルカゴンアンタゴニスト」とは、有効性確認済インビトロモデルアッセイ(例えば、PCT/US2008/080973参照)によるcAMP生産に基づいて測定した場合、グルカゴン又はGLP−1受容体活性の刺激が全く検出されないグルカゴンアンタゴニストである。例えば、純粋なグルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体に対してグルカゴンによって実現される最大アゴニスト活性の約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0%)を示し、GLP−1受容体に対してGLP−1によって実現される最大アゴニスト活性の約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0%)を示す。
したがって、ある態様では、純粋なグルカゴンアンタゴニスト活性を示すクラス4ペプチドが提供される。ある実施態様によれば、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体が、0.8nMのグルカゴン及びグルカゴンアンタゴニストに同時に接触させられると、インビトロアッセイにおいてcAMP生産に基づいて測定した場合、グルカゴン受容体グルカゴン誘導cAMP生産を、最大で少なくとも50%低下させる活性を示す。ある実施態様では、グルカゴンアンタゴニストは、グルカゴン受容体グルカゴン誘導cAMP生産を、少なくとも80%の最大量で下げる。
クラス4ペプチドは、グルカゴンアンタゴニストについて従来から記載されるいずれの使用にも好適であると考えられる。したがって、本明細書に記載されるクラス4ペプチドは、低血糖症の治療、又は、高い血中グルカゴン濃度又は高い血中グルコース濃度に由来する、他の代謝性疾患の治療にも使用することが可能である。ある実施態様によれば、本明細書に開示されるクラス4ペプチドによる治療の対象とされる患者は、飼養動物であり、別の実施態様では、治療の対象とされる患者はヒトである。研究から、糖尿病患者におけるグルカゴン抑制の欠如は、部分的には、グリコーゲン分解の加速による食後高血糖の原因となることが明らかにされている。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)時、及び、ソマトスタチン誘導グルカゴン抑制の存在下又は不在下の血中グルコースの分析から、グルカゴン濃度の高い被験者においてグルコースの著明な増加が示された。したがって、本発明のクラス4ペプチドは、高血糖症の治療に使用することが可能であり、各種糖尿病、例えば、インスリン依存性又はインスリン非依存性を問わず、I型糖尿病、II型糖尿病、又は妊娠糖尿病などの治療、及び、腎症、網膜症、及び血管病などの糖尿病合併症の抑制にも有用であることが期待される。
ある実施態様では、エキセンディン−4(すなわち、配列番号1319の配列(GPSSGAPPPS))は、クラス4ペプチドのカルボキシ末端に連結される。これらの融合タンパクは、食欲を抑え、減量/体重維持の誘導において薬理活性を有することが期待される。ある実施態様によれば、本明細書に開示されるクラス4ペプチドは、配列番号1342のクラス4ペプチドのアミノ酸24に連結される配列番号1319のアミノ酸配列(GPSSGAPPPS)をさらに含むように修飾し、減量の誘導、又は体重の維持のために個体に投与することが可能である。より詳細には、クラス4ペプチドは、配列番号1302、配列番号1303、配列番号1304、配列番号1305、配列番号1306、配列番号1307、配列番号1308、配列番号1336、配列番号1339、配列番号1340、配列番号1341、配列番号1342、配列番号1343、及び配列番号1344から成る群から選ばれる配列を含み、さらに、クラス4ペプチドのアミノ酸24に連結される配列番号1319(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列をさらに含み、食欲の抑制、及び、減量誘導/体重維持のために使用される。ある実施態様では、投与されるクラス4ペプチドは、配列番号1346又は配列番号1347の配列を含む。
食欲の抑制又は減量の促進のためのこれらの方法は、体重低下、体重増加の阻止、又は、様々な原因による肥満症、例えば、薬剤誘発性肥満症などの治療、肥満症に伴う合併症、例えば、血管病(冠状動脈疾患、発作、末梢血管病、虚血再還流など)、高血圧、II型糖尿病の開始、高脂血症、及び筋骨格系疾患の治療に有用であることが期待される。
本発明のクラス4ペプチドは、単独で、若しくは、抗糖尿剤又は抗肥満剤と組み合わせて投与してもよい。当該技術分野で公知であるか又は研究中の抗糖尿病剤としては、スルフォニルウレア、例えば、トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロールプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブリド(Diabeta、Micronase、Glynase)、グリメピリド(Amaryl)、又はグリクラジド(Diamicron);メグリニチド、例えば、レパグリニド(Prandin)、又はナテグリニド(Starlix);ビグアニド、例えば、メトフォルミン(Glucophage)、又はフェンフォルミン;チアゾリジンジオン、例えば、ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)、又はトログリタゾン(Rezulin)、又はその他のPPARγ阻害剤;炭水化物消化を抑制するアルファグルコシダーゼ阻害剤、例えば、ミグリトール(Glyset)、アカルボーゼ(Precose/Glucobay);エキセナチド(Byetta)、又はプラムリンチド;ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤;又は、FBPアーゼ(フラクトース、1,6−ビスフォスファターゼ)阻害剤が挙げられる。
当該技術分野で公知であるか又は研究中の抗肥満症剤としては、食欲抑制剤、例えば、フェネチルアミン型刺激剤、フェンテルミン(フェンフルールアミン又はデキシフェンフルールアミンと併用してもよい)、ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(Prelu−2(登録商標)、Bontril(登録商標))、ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、シブトラミン(Meridia(登録商標)、Recuctil(登録商標));リモナバント(Acomplia(登録商標))、他のカナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;フルオキセチン塩酸(Prozac);Qnexa(トピラメート及びナルトレキソン);リパーゼ阻害剤で、キセニカル(Orlistat)又はCetilistat(別名ATL−962)、又はGT389−255と類似のものが挙げられる。
本発明のクラス4ペプチドはさらに、代謝性るいそうに罹患する患者に投与することが可能である。癌患者の半分以上が、望まない進行性の減量、脱力、及び、体脂肪と筋肉の低下によって特徴づけられるこの病を経験すると推定されている。この症候群は、同様にAIDS患者でも一般的であり、さらに、細菌性疾患及び寄生虫病、慢性関節リューマチ、及び、大腸、肝臓、肺、及び心臓の慢性疾患にも見られる場合がある。これは、通常、食欲不振と関連し、加齢による病態、又は物理的外傷の結果として表れる場合がある。代謝性るいそうは、クォリティオブライフを下げ、基礎疾患を悪化し、最大の死亡原因となる症状である。本出願人らは、本明細書に開示されるクラス4ペプチドが、代謝性るいそうの治療のために患者に投与可能であることを期待する。
本明細書に開示されるクラス4ペプチドを含む医薬組成物は、当業者に公知の、標準的な薬学的に許容される担体と投与経路とを用いて、処方し、患者に投与することが可能である。したがって、本開示はさらに、一つ以上の、本明細書に開示されるクラス4ペプチドを、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。この医薬組成物は、クラス4ペプチドを、唯一の薬学的活性成分として含んでもよいし、クラス4ペプチドは、一つ以上の追加の活性成分と組み合わせてもよい。ある実施態様によれば、本発明のクラス4ペプチドと、GLP−1受容体を活性化する化合物(例えば、GLP−1、GLP−1類縁体、エキセンディン−4類縁体、又はその誘導体)とを含む組成物が提供される。ある実施態様によれば、本発明のクラス4ペプチドと、インスリン又はインスリン類縁体とを含む組成物が提供される。それとは別に、減量を誘導するか、又は、体重増加を阻止するための組成物であって、配列番号1342のアミノ酸24にさらに連結される、配列番号1319(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列と、抗肥満ペプチドとを含む組成物が提供される。適切な抗肥満ペプチドとしては、米国特許第5,691,309、6,436,435号、又は米国特許出願第20050176643に開示されるものが挙げられ、例えば、ただしこれらに限定されないが、GLP−1、GIP(消化管抑制ポリペプチド)、MP1、PYY、MC−4、レプチンを含む。
<クラス4ペプチド構造>
ある実施態様では、クラス4グルカゴン関連ペプチドであって、位置9(グルカゴン、配列番号1301)の正常アスパラギン酸が、グルタミン酸又はシステイン酸由来誘導体によって置換されるペプチドが提供される。より詳細には、第1アミノ酸(デス−His)の欠失、及び、位置9のアスパラギン酸のグルタミン酸による置換は、ある態様では、クラス4ペプチドを生成する。グルカゴンのアミノ酸位置9においてスルフォン酸置換基を置換させたクラス4グルカゴン関連ペプチドは、カルボン酸包含アミノ酸と同様の性能を持つが、溶解度などの物理的特性に関して、幾つかの決定的な差異を示す。ホモシステイン酸(hCysSO3)が、従来のデス−His,Glu9において位置9で等比容量のグルタミン酸に代わって置換されると、クラス4ペプチドは、部分的アゴニスト及び弱いアゴニストを維持する。
ある実施態様では、クラス4ペプチドであって、最初の2から5個のアミノ酸が除去され、位置9(配列番号1301の順序番号による)が、hCys(SO
3)、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する、システインのアルキルカルボキシレート誘導体、によって置換されるクラス4ペプチドは、高度に特異的で、高い効力を持ち、アゴニスト特性の混入のないホルモンアゴニストとして振る舞う化合物を提供する。
ある実施態様によれば、クラス4ペプチドが提供され、ここで、配列番号1301の野生型配列に対し、N−末端から2から5個のアミノ酸残基が欠失され、天然タンパクの位置9のアスパラギン酸残基が、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、システインのスルフォン酸誘導体、又は、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する、システインのアルキルカルボキシレート誘導体、によって置換される。
特定一実施態様では、N−末端から2から5アミノ酸残基を欠失させ、天然グルカゴンの位置9のAspを置換させたクラス4ペプチドは、最大3個のアミノ酸修飾によってさらに修飾される。例えば、クラス4ペプチドは、1、2、又は3個の保存的アミノ酸修飾を含んでもよい。それとは別に、又はそれに加えてさらに、クラス4ペプチドは、下記のA〜Kから成る群から選ばれる、一つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよい:
A.位置10、20、及び24(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)の一つ又は二つのアミノ酸の置換、又は、クラス4ペプチドのN−又はC−末端アミノ酸の、エステル、エーテル、アミド、又はアルキルアミン連結を介してアシル基又はアルキル基に共有結合により付着されるアミノ酸による置換;
B.位置16、17、20、21、及び24(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)の一つ又は二つのアミノ酸の置換、又は、クラス4ペプチドのN−又はC−末端アミノ酸の、Cys、Lys、オルニチン、ホモシステイン、及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)から成る群から選ばれるアミノ酸(このアミノ酸は親水性成分に共有結合される)による置換;
C.親水性成分に共有結合されるアミノ酸の、クラス4ペプチドのN−又はC−末端への付加;
D.位置15(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のAspの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
E.位置16(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のSerの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
F.配列番号1301のアミノ酸順序番号による位置16、20、21、及び24の、AIBによる置換;
G.配列番号1301のアミノ酸順序番号による、位置29のアミノ酸、又は、位置28及び29のアミノ酸の欠失;
H.位置28のAsn及び位置29のThr(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)の、荷電アミノ酸による置換;及び/又は、1から2個の荷電アミノ酸の、配列番号1301のC−末端への付加;
I.位置27(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のMetの、Leu又はノルロイシンによる置換;
J.配列番号19−21及び53の内のいずれかのアミノ酸配列を有するペプチドの、配列番号1301のC−末端への付加、ここで、位置29(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のThrは、Thr又はGlyである;且つ、
K.C−末端カルボキシレートの、アミド又はエステルによる置換。
特定の実施態様では、クラス4ペプチドは、上述のA、B、又はCのアミノ酸修飾、又はそれらの組み合わせを含む。さらに別の特定の実施態様では、クラス4ペプチドは、上述のA、B、及び/又はCのアミノ酸修飾(単数又は複数)に加えて、上述のDからKのアミノ酸修飾のいずれか、又はそれらの組み合わせをさらに含む。
ある実施態様では、クラス4ペプチドはグルカゴンペプチドを含み、ここで、N−末端から、最初の5個のアミノ酸が除去され、残りのN−末端アミノ基は、ヒドロシキル基によって置換され(「PLA6類縁体」)、配列番号1339のペプチドを産みだす。本出願人らは、最初の5個のアミノ酸を欠失させ、位置9(天然グルカゴンに対し)にグルタミン酸を置換したクラス4ペプチド類縁体において、フェニルアラニンをフェニル乳酸で置換すると、これらのクラス4ペプチド類縁体の効力がさらに強化されることを見出した。
ある実施態様では、配列番号1339のクラス4ペプチドは、位置4(天然グルカゴンの位置9)のアスパラギン酸残基を、下記の一般構造のアミノ酸によって置換することによってさらに修飾される:
上式において、X
6は、C
1−C
3アルキル、C
2−C
3アルケン、又はC
2−C
3アルキニルであり、ある実施態様では、X
6はC
1−C
3アルキルであり、別の実施態様では、X
6はC
2アルキルである。ある実施態様では、クラス4ペプチドは、グルカゴンペプチドにおいて、最初の5個のアミノ酸がN−末端から除去され、位置4(天然グルカゴンの位置9)のアスパラギン酸残基がシステイン酸又はホモシステイン酸によって置換される、グルカゴンペプチドを含む。ある実施態様では、クラス4ペプチドは、配列番号1339、配列番号1307、及び配列番号1308から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むグルカゴンペプチドを含む。ある実施態様では、配列番号1308から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含み、ここで、位置4のアミノ酸はホモシステイン酸である。
別の実施態様では、配列番号1339のクラス4ペプチドは、位置4(天然タンパクの位置9)のアスパラギン酸残基を、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する、システインのアルキルカルボキシレート誘導体によって置換することによってさらに修飾される。特定の実施態様では、X
5は、C
1又はC
2アルキルである。
しかしながら、本出願人らは、デス1−5グルカゴン類縁体(すなわち、最初の5アミノ酸を欠失させたグルカゴン類縁体)において、N−末端フェニルアラニンのPLAによる置換があれば、純粋のアンタゴニスト作用を示す類縁体を産出するのに、位置4(天然グルカゴンの位置9)の天然のアスパラギン酸残基のさらなる置換は必要とされないことを発見した。この結果は、グルカゴン(2−29)類縁体の、高い親和性及び効力のアンタゴニストを産みだすためには、位置4の天然のアスパラギン酸残基の置換は必須であるとする従来の教示に鑑みると驚くべきことである。PLA置換の使用は、Asp9類縁体の相対的効力を、Glu9及びhCys(SO3H)9類縁体の効力に匹敵するレベルまで向上させる。
フェニルアラニン残基の、他のフェニルアラニン類縁体、例えば、3,4−2F−フェニルアラニン(3,4−2F−Phe)、2−ナフチルアラニン(2−Nal)、N−アシル−フェニルアラニン(Ac−Phe)、アルファ−メチルヒドロ桂皮酸、及びベンジルマロン酸(BMA)による置換は、PLA置換ほど強力に作用しなかった。
位置6(天然グルカゴンのアミノ酸順序番号による)以外の部位、例えば、位置4及び5におけるPLAの置換は、PLA6類縁体が、僅かにN−末端を延長させたグルカゴン類縁体よりも、目立って強力なアンタゴニストであることを示した。本発明はさらに、N−末端アミノ基が、アシル化及びアルキル化された「O−末端」ペプチドによって置換される類縁体を含む。
さらに、PLA6置換は、アンタゴニストの効力を増すばかりでなく、PEG化においても決定的な役割を果たす。PLA6類縁体は、グルカゴンアゴニスト作用を回復させることなく選択的PEG化を可能とする。PLA置換の不在下では、類縁体のPEG化は目覚ましくグルカゴンアゴニスト作用を誘導する。このグルカゴンアゴニスト作用は、PEG化PLA6類縁体には見られない。PEG化のためのいくつかの部位が調べられ、その中には、位置3、6、及び19(天然グルカゴンの位置8、11、及び12)、及びN−末端アミノ酸残基がある。ある実施態様では、PEG化は、位置19(天然グルカゴンの位置24)において実行された。なぜなら、この部位は、もっとも強力で選択的なグルカゴンアゴニスト作用を示すからである。
ある実施態様では、クラス4ペプチドは、一般構造A−B−Cを含み、ここで、Aは、下記から成る群から選ばれ:
(i)フェニル乳酸(PLA);
(ii)PLAのオキシ誘導体;
(iii)2から6個のアミノ酸のペプチドであって、その二つの連続するアミノ酸が、エステル又はエーテル結合によって連結されるペプチド;
Bは、配列番号1301のアミノ酸iから26を表し、ここで、iは、3、4、5、6、又は7であり、さらに下記(iv)〜(ix)から成る群から選ばれる一つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよく:
(iv)位置9(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のAspの、Glu、Cysのスルフォン酸誘導体、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する、システインのアルキルカルボキシレート誘導体による置換;
(v)位置10、20、及び24(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)における1個又は2個のアミノ酸の、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド、又はアルキルアミン連結を介してアシル又はアルキル基に共有結合により付着されるアミノ酸による置換;
(vi)位置16、17、20、21、及び24(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)における一つ以上のアミノ酸の、下記から成る群から選ばれるアミノ酸による置換:Cys、Lys、オルニチン、ホモシステイン、及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)、ここで、該アミノ酸は、親水性成分に共有結合により付着される;
(vii)位置15(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のAspの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
(viii)位置16(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)のSerの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
(ix)位置16、20、21、及び24(配列番号1301のアミノ酸順序番号による)の、AIBによる置換;
そして、Cは、下記(x)〜(xiv)から成る群から選ばれる:
(x)X;
(xi)X−Y;
(xii)X−Y−Z;及び
(xiii)X−Y−Z−R10
ここで、Xは、Met、Leu、又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)、又は荷電アミノ酸であり;ここで、R10は、配列番号1319−1321及び1353から成る群から選ばれ;且つ、
(xiv)(x)から(xiii)において、C−末端カルボキシレートがアミドによって置換される、その内のいずれか。
特定態様では、クラス4ペプチドは、PLAのオキシ誘導体を含む。本明細書で用いる「PLAのオキシ誘導体」とは、ヒドロキシル基がO−R11によって置換される、PLAの修飾構造を含む化合物を指し、ここで、R11は化学的成分である。この点で、PLAのオキシ誘導体は、例えば、PLAのエステル、又はPLAのエーテルであってもよい。
PLAのオキシ誘導体の製造方法は当該技術分野で公知である。例えば、オキシ誘導体がPLAのエステルである場合、該エステルは、PLAのヒドロキシルを、求核基を担持するカルボニルと反応させることによって形成することが可能である。求核基は、適切なものであれば、いずれの求核基であってもよく、例えば、ただしこれらに限定されないが、アミン又はヒドロキシルであってもよい。したがって、PLAのエステルは、式IVの構造を含んでもよく:
上式において、R
7は、PLAのヒドロキシルを、求核基を担持するカルボニルと反応させることによって形成されるエステルである。
求核基を担持するカルボニル(PLAのヒドロキシルと反応してエステルを形成する)は、例えば、カルボン酸、カルボン酸誘導体、又は、カルボン酸の活性化エステルであってもよい。カルボン酸誘導体としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、塩化アシル、酸無水物、アミド、エステル、又はニトリルなどが挙げられる。カルボン酸の活性化エステルは、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、トシレート(Tos)、カルボジイミド、又は、ヘキサフルオロフォスフェートであってもよい。ある実施態様では、カルボジイミドは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC)、又は、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DICD)である。ある実施態様では、ヘキサフルオロフォスフェートは、ヘキサフルオロフォスフェートベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)フォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシピロリジノフォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(PyBOP)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HATU)、及び0−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HBTU)から成る群から選ばれる。
ヒドロキシル基(例えば、PLAのヒドロキシル)との反応からエーテルを製造する方法は当該技術分野で公知である。例えば、PLAのヒドロキシル基は、ハロゲン化アルキル又はトシル化アルキルアルコールと反応させてエーテル結合を形成してもよい。
一般に、R11の化学成分は、クラス4ペプチドの活性を下げないものである。ある実施態様では、化学成分は、クラス4ペプチドの活性、安定性、及び/又は溶解度を強化する。
特定の実施態様では、酸素含有結合手(例えば、エステル、又はエーテル結合)を介してPLAに結合される化学成分は、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール)、炭水化物、アミノ酸、ペプチド、脂質、脂肪酸、又はステロイドである。
特定の実施態様では、化学成分は、アミノ酸であり、これは、式IVがデプシペプチドとなるように、ペプチドの一部となっていてもよい。この点で、PLAは、クラス4ペプチドがPLA残基に対しN−末端側に一つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、又はそれ以上)アミノ酸を含むように、クラス4ペプチドのN−末端アミノ酸残基以外の位置にあってもよい。例えば、クラス4ペプチドは、その位置nにおいてPLAを含んでもよく、ここで、nは2、3、4、5、又は6である。
PLA残基に対してN−末端側のアミノ酸は、合成のものでも、天然産であってもよい。特定の実施態様では、N−末端PLAであるアミノ酸は、天然産アミノ酸である。ある実施態様では、PLAに対してN−末端側のアミノ酸は、天然グルカゴンのN−末端アミノ酸である。例えば、クラス4ペプチドは、そのN−末端において、PLAがエステル結合を介してトレオニンに連結されている、配列番号1354−1358の内のいずれかのアミノ酸配列を含んでもよい:
配列番号1354 His−Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号1355 Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号1356 Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号1357 Gly−Thr−PLA
配列番号1358 Thr−PLA
別の実施態様では、N−末端アミノ酸の一つ以上は、天然グルカゴンのアミノ酸以外のアミノ酸によって置換されてもよい。例えば、クラス4ペプチドが、PLAを位置5又は6のアミノ酸として含む場合、位置1及び/又は2のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を下げるアミノ酸であってもよい。より詳細には、クラス4ペプチドの位置1は、D−ヒスチジン、アルファ、アルファージメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジン、から成る群から選ばれるアミノ酸である。より詳細には、ある実施態様では、アンタゴニストペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸(AIB)、から成る群から選ばれるアミノ酸である。さらに、例えば、クラス4ペプチドが、PLAを位置4、5、又は6のアミノ酸として含む場合、クラス4ペプチドの位置3のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基ではなく、グルタミン酸であってもよい。本発明の例示的実施態様では、クラス4ペプチドは、N−末端に、配列番号1359−1361の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
式IVの化合物を含むクラス4ペプチドに関しては、ポリマーは、PLAのヒドロキシル基と反応可能である限り、いずれのポリマーであってもよい。ポリマーは、天然又は通常状態では、求核基を担持するカルボニルである。それとは別に、ポリマーは、カルボニルを担持するカルボニルを含むように誘導形成されるものであってもよい。ポリマーは、下記の内のいずれかの誘導ポリマーであってもよい:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、及び、それらの誘導体、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、アクリルエステルとメタクリルエステルのポリマー、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、及びポリ(オクタデシルアクリレート)など、ポリビニールポリマー、例えば、ポリビニールアルコール、ポリビニールエーテル、ポリビニールエステル、ポリビニールハロゲン化物、ポリ(酢酸ビニール)、及びポリビニールピロリドンなど、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそれらのコポリマー、セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、セルローストリアセテート、及びセルロースサルフェートナトリウム塩、ポリプロピレン、ポリエチレン、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、及びポリ(エチレンテレフタレート)、及びポリスチレン。
ポリマーは、生分解性ポリマー、例えば、合成の生分解性ポリマー(例えば、乳酸及びグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、及びポリ(ラクチド−コカプロラクトン))など、及び、天然の生分解性ポリマー(例えば、アルギネート及びその他のポリサッカリド、例えば、デキストラン及びセルロースなど、コラーゲン、その化学的誘導体(置換物、化学基の付加物、化学基としては、例えば、アルキル、アルキレン、ヒドロキシ化物、酸化物、その他の、当業者によって通例として実行される修飾)、アルブミン及びその他の親水性タンパク(例えば、ザイン及び他のプロラミン、及び疎水性タンパク)の外、任意のコポリマー、又はそれらの組み合わせであってもよい。一般に、これらの物質は、酵素的加水分解、又は、インビボで水に暴露されると表面浸食又は全体浸食によって分解される。
ポリマーは、生物接着性ポリマー、例えば、H.S.Sawhney,C.P.Pathak and J.A.Hubbell in Macromolecules,1933,26,581−587(この文書の教示を本明細書に含める)によって記載されるbioerodibleヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、及びポリ(オクタデシルアクリレート)であってもよい。
ある実施態様では、ポリマーは水溶性ポリマーである。適切な水溶性ポリマーは、当該技術分野で公知であるが、例えば、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;Klucel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルペンチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース(Ethocel)、ヒドロキシエチルセルロース、各種アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース、各種セルロースエーテル、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ビニールアセテート/クロトン酸コポリマー、ポリ−ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、無水マレイン酸/メチルビニールエーテル・コポリマー、ポリビニールアルコール、ナトリウム及びカルシウムポリアクリル酸、ポリアクリル酸、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレン、カルボキシビニールポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・コポリマー、ポリメチルビニールエーテル、コ無水マレイン酸、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニールベンゼン・コポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、及び、これらの誘導体、塩、及び組み合わせが挙げられる。
特定の実施態様では、ポリマーは、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などである。
炭水化物は、アルファ脱離基を有するカルボニルを含むか、又は含む様に製造されるものである限り、いずれの炭水化物であってもよい。炭水化物は、例えば、アルファ脱離基を有するカルボニルを含むように誘導されるものであってもよい。この点で、炭水化物は、モノサッカリド(例えば、グルコース、ガラクトース、果糖)、ジサッカリド(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴサッカリド(例えば、ラフィノース、スタキオース)、ポリサッカリド(澱粉、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン)の誘導形であってもよい。
式IVの化合物を含むクラス4ペプチドに関しては、脂質は、アルファ脱離基を有するカルボニルを含むものであればいずれの脂質であってもよい。脂質は、例えば、カルボニルを含むように誘導されたものでもよい。この点で、脂質は、脂肪酸(例えば、C4−C30脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N−アシルエタノールアミン)、グリセロ脂質(例えば、モノ−、ジ−、トリ−置換グリセロール)、グリセロリン脂質(例えば、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォフファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(例えば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質、又はポリケチド、油、ワックス、コレステロール、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質の誘導体であってもよい。
ある実施態様では、R7は、約100kDa以下の分子量、例えば、約90kDa以下、約80kDa以下、約70kDa以下、約60kDa以下、約50kDa以下、約40kDa以下の分子量を有する。したがって、R7は、約35kDa以下、約30kDa以下、約25kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約10kDa以下、約5kDa以下、又は約1kDaの分子量を有していてもよい。
別の実施態様では、クラス4ペプチドは、Aとして、2から6個のアミノ酸のペプチドを含み、ここで、該ペプチドの二つの連続するアミノ酸は、エステル又はエーテル結合を介して連結される。このエステル又はエーテル結合は、例えば、アミノ酸2及び3、3及び4、4及び5、又は5及び6の間に形成されてもよい。ペプチドはさらに、別の化学成分に対する共有結合、例えば、ポリマー(例えば、親水性ポリマー)に対する連結など、アルキル化、又は、アシル化によって修飾されてもよい。
一般構造A−B−Cを含むクラス4ペプチドに関して、Bは、天然グルカゴンのアミノ酸、例えば、配列番号1301のiから26を表し、ここで、iは、3、4、5、6、又は7であり、Bはさらに、一つ以上のアミノ酸修飾を含んでもよい。特定の実施態様では、Bは、配列番号1301のアミノ酸7から26を表し、さらに修飾されていてもよい。
ある実施態様では、Bは、最大3個までのアミノ酸修飾により修飾される。例えば、配列番号1301の天然アミノ酸配列を表すBは、一つ以上の保存的アミノ酸修飾によって修飾される。
別の実施態様では、Bは、本明細書に記載される(iv)から(ix)から成る群から選ばれる一つ以上のアミノ酸修飾を含む。特定の実施態様では、Bは、アミノ酸修飾(v)及び(vi)の内の一方、又は両方を含む。さらに別の特定の実施態様では、Bは、(v)及び(vi)に加えて、(iv)、(vii)、(viii)、及び(ix)から成る群から選ばれるアミノ酸修飾のうちの一つ、又は組み合わせを含む。
別の特定の実施態様では、クラス4ペプチドは、C−末端に一つ以上の荷電アミノ酸を含む。例えば、Y及び/又はZは、荷電アミノ酸、例えば、Lys、Arg、His、Asp、及びGluであってもよい。さらに別の実施態様では、クラス4ペプチドは、ZよりC−末端側に1から2個の荷電アミノ酸(例えば、Lys、Arg、His、Asp、及びGlu)を含む。特定態様では、Z、及びそれに続く1から2個の荷電アミノ酸は、R10を含まない。
ある実施態様のクラス4ペプチドは、本明細書に記載の通り、クラス4ペプチドのアミノ酸残基に共有結合される親水性成分を含む。例えば、クラス4ペプチドは、配列番号1301の順序番号による位置1、16、20、21、及び24のアミノ酸に共有結合により付着される。別の実施態様では、親水性成分は、クラス4ペプチドのC−末端アミノ酸に付着され、ある場合には、ZからC−末端側に1から11アミノ酸にある。さらに別の実施態様では、親水性成分は、AがPLA、PLA−Phe、又はPLA−Thr−Pheである場合、PLAに付着され、ここで、PLAは、該親水性成分を含むように修飾される。別の実施態様では、親水性成分を含むアミノ酸は、クラス4ペプチドのN−又はC−末端に付加される。別の実施態様では、クラス4ペプチドは、本明細書に記載の通り、アシル基又はアルキル基を含む。例えば、アシル化又はアルキル化は、配列番号1301の順序番号による位置10、20、又は24のアミノ酸の側鎖から離れて出現する。別の実施態様では、アシル化又はアルキル化は、クラス4ペプチドのC−末端アミノ酸の側鎖から離れて出現し、ある場合、ZからC−末端側に1から11アミノ酸であり、AがPLA、PLA−Phe、又はPLA−Thr−Pheである場合、PLAは、アシル又はアルキル基を含むように修飾される。
<例示的実施態様>
クラス4ペプチドは、該ペプチドの少なくとも二つの連続するアミノ酸が、エステル又はエーテル結合を介して連結される限り、合成・天然を問わず、いずれのアミノ酸を含んでもよい。特定の実施態様では、ペプチドは、天然グルカゴンのアミノ酸を含む。例えば、ペプチドは、天然グルカゴン(配列番号1301)のjから6を含んでもよく、ここで、jは、1、2、3、4、又は5である。それとは別に、ペプチドは、配列番号1301のN−末端に結合し、さらに一つ以上のアミノ酸修飾を伴うアミノ酸配列を含んでよい。位置1及び/又は2のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を下げるアミノ酸であってもよい。例えば、ペプチドは、クラス4ペプチドの位置1において、D−ヒスチジン、アルファ、アルファージメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジン、から成る群から選ばれるアミノ酸を含んでもよい。より詳細には、ある実施態様では、アンタゴニストペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸(AIB)、から成る群から選ばれるアミノ酸である。さらに、例えば、クラス4ペプチドが、PLAを位置4、5、又は6のアミノ酸として含む場合、クラス4ペプチドの位置3のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基ではなく、グルタミン酸であってもよい。したがって、クラス4ペプチドは、下記のアミノ酸配列のいずれかを含み:
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Thr−Gly−Phe(配列番号1368)
Xaa2−Xaa3−Thr−Gly−Phe(配列番号1369)、又は
Xaa3−Thr−Gly−Phe(配列番号1370)
上記配列において、Xaa1は、His、D−ヒスチジン、アルファ、アルファージメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれ;Xaa2は、Ser、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸(AIB)から成る群から選ばれ;且つ、Xaa3は、Gln又はGluである。
本発明はさらに、クラス4ペプチドのC−末端アミノ酸において、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基がアミド基で置換される実施態様を包含する。
クラス4ペプチドがPEG化されるある実施態様では、クラス4ペプチドは、短縮されたグルカゴンペプチド、具体的には6−29グルカゴンペプチドで、「N−末端」アミノ酸がPLA(フェニル乳酸)であるペプチドを含む。このようなグルカゴン誘導体は、独特の利点を発揮する。それらは、天然のN−末端フェニルアラニンを有するものよりも強力なペプチドであり、PEG化によって生じるグルカゴンアゴニスト作用を完全に抑える。これは、天然のフェニルアラニンでは見られないことである。最後に、最近の文献によって、アンタゴニスト活性のためには、位置9の天然アスパラギン酸の置換が必要であることが明らかにされているものの、本出願人らは、PLA6−(6−29)グルカゴン類縁体では、そのような置換はもはや必要とされないという驚くべき結果を発見した。
ある実施態様では、クラス4ペプチドのアミノ酸は、少なくとも一つのシステイン残基によって置換され、ここで、システイン残基の側鎖は、さらにチオール反応性試薬、例えば、マレイミド、ビニールスルフォン、2−ピリジルチオ、ハロアルキル、及びハロアシルによって修飾される。これらのチオール反応性試薬は、カルボキシ、ケト、ヒドロキシル、及びエーテル基の外、ポリエチレングリコール単位などの、他の親水性成分を含んでもよい。別の実施態様では、クラス4ペプチドのアミノ酸は、リシンによって置換され、置換リシン残基の側鎖はさらに、アミン反応性試薬、例えば、カルボン酸の活性エステル(スクシンイミド、無水物など)、又は、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコールのアルデヒドによって修飾される。ある実施態様によれば、天然ペプチドの位置12に対応するリシン残基は、アルギニンによって置換され、単一のリシン置換が、天然ペプチドの位置1、16、17、20、21、24、又は29に対応するアミノ酸の内の一つの代わりに挿入されるか、又は、1つのリシンが、クラス4ペプチドのN−又はC−末端に付加される。
別の実施態様では、天然ペプチドの位置27のメチオニン残基が、該ペプチドの酸化分解を阻止するために、ロイシン又はノルロイシンに変えられる。
ある実施態様では、本明細書に記載されるクラス4ペプチドは、該グルカゴンペプチドのC−末端の一つ又は二つのアミノ酸(すなわち、天然グルカゴンの位置28及び29)を、グルカゴン受容体に対する活性及び/又は効力に影響を及ぼすことなく短縮又は欠失することによって、さらに修飾される。この点で、本明細書に記載されるクラス4ペプチドは、天然グルカゴンペプチド(配列番号1301)のアミノ酸1−27、1−28、2−27、2−28、3−27、3−28、4−27、4−28、5−27、5−28、6−27、又は6−29から事実上成るか、又は、それらから成り、さらに、本明細書に記載される、クラス4ペプチド活性をもたらす一つ以上の修飾を伴う。
ここに開示されるクラス4ペプチドはさらに、グルカゴンペプチドの機能にとって決定的に重要ではないことが知られているアミノ酸置換を包含する。ある実施態様では、置換は、配列番号1339の2、5、6、7、8、9、12、13、14、15、16、19、22、23、又は24から成る群から選ばれる、一つ、二つ、又は三つの位置における保存的アミノ酸置換である。ある実施態様では、クラス4ペプチドは、配列番号1342の誘導ペプチドを含み、ここで、該グルカゴンペプチドは、配列番号1342に対する位置2、5、6、8、9、12、13、及び14から選ばれる1から3個のアミノ酸位置において、さらに別のアミノ酸置換を含む。ある実施態様では、配列番号1342の位置2、5、6、8、9、12、13、及び14における置換は、保存的アミノ酸置換である。ある実施態様では、天然ペプチドの位置16、17、20、21、24、又は29に対応するアミノ酸は、システイン又はリシンによって置換され、ここで、PEG鎖が、この置換システイン又はリシン残基に共有結合により付着される。
ある実施態様によれば、修飾クラス4ペプチドは、該ペプチドに共有結合される二つ以上のポリエチレングリコール鎖を含み、ここで、これらのグルカゴン鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。ある実施態様では、PEG化ペプチドは、配列番号1312及び配列番号1322から成る群から選ばれるペプチドを含み、ここで、前記ペプチドは、位置11及び19のアミノ酸に連結されるポリエチレングリコール鎖を含み、この二つのPEG鎖の合計分子量は約1,000から約5,000ダルトンである。
ある実施態様によれば、下記から成る群から選ばれる修飾グルカゴンペプチドを含むクラス4ペプチドが提供され:
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Xaa−Xaa−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号1309)、
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号1310)、
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号1311)、及び
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Xaa−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号1312)、
上記配列において、位置4のXaa=アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、又はホモシステイン酸、位置7のXaa=Lys又はArg、位置10のXaaは、アスパラギン酸、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸であり;位置11のXaaは、Ser、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンであり、位置16のXaaは、Asp、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンであり、且つ、位置19のXaaは、Gln、Lys、Cys、Orn、ホモシステイン、及びアセチル−フェニルアラニンであり、位置22のXaa=Met、Leu又はNleであり、R1は、OH又はNH2であり、R2は、COOH又はCONH2であり、ここで、該ペプチドは、配列番号1309では位置11において、配列番号1310では位置16において、配列番号1311では位置19において、配列番号1312では位置16及び19において、それぞれPEG化されるが、ただし、位置4のXaa=アスパラギン酸である場合、R1はOHである。ある実施態様によれば、ペプチドは、配列番号1309、配列番号1310、又は配列番号1311の配列を含み、ここで、R1はOHであり、R2はCONH2である。ある実施態様では、ペプチドは、配列番号1309、配列番号1310、又は配列番号1311の配列を含み、ここで、R1はOHであり、R2はCONH2であり、且つ、位置4のアミノ酸はアスパラギン酸であり、さらに別の実施態様では、これらのペプチドは、配列番号1319の配列を含むカルボキシ末端延長部を含む。
ある実施態様によれば、ペプチドは、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1313,配列番号1314、及び配列番号1316から成る群から選ばれる配列を含み、ここで、該ペプチドは、配列番号1309及び配列番号1313では位置11において、配列番号1310では位置16において、配列番号1310及び配列番号1314では位置19において、それぞれPEG化される。ある実施態様では、グルカゴンアゴニストは、配列番号1313又は配列番号1314のペプチドを含む。ある実施態様では、本明細書に開示されるクラス4ペプチドのC−末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基の代わりにアミド基を有する。ある実施態様によれば、クラス4ペプチドは、配列番号1318の配列を含む。
ある実施態様によれば、クラス4ペプチドであって、該グルカゴンペプチドの溶解度、安定性、及び/又は、薬理動態を向上させるために、血漿タンパクが、該ペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合される、クラス4ペプチドが提供される。例えば、血清アルブミンを、本明細書に提示されるクラス4ペプチドに共有結合させることが可能である。ある実施態様では、血漿タンパクは、天然グルカゴンペプチドの位置16、17、20、21、24、又は29に対応するアミノ酸に共有結合される。より詳細には、ある実施態様では、血漿タンパクは、天然グルカゴンペプチドの位置16又は24に対応するアミノ酸に結合され、ここで、クラス4ペプチドは、配列番号1303、配列番号1304、配列番号1305、配列番号1306,配列番号1307、及び配列番号1308、配列番号1309、配列番号1311、配列番号1312、配列番号1322、及び配列番号1323,配列番号1324、配列番号1325、配列番号1326,配列番号1327、及び配列番号1328、配列番号1336、及び配列番号1339を含む。ある実施態様では、クラス4ペプチドは、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311、及び配列番号1312から成る群から選ばれるペプチドを含む。
ある実施態様によれば、グルカゴンペプチドの溶解度、安定性、及び/又は薬理動態を向上させるために、免疫グロブリン分子のFc部分を表す直鎖アミノ酸配列が、本明細書に開示されるクラス4ペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合されている、クラス4ペプチドが提供される。例えば、免疫グロブリン分子のFc部分を表すアミノ酸配列は、配列番号1307、配列番号1339のグルカゴンペプチド、又はそのグルカゴン類縁体の位置11、12、15、16、19、21、又は24に共有結合させることが可能である。ある実施態様では、Fcペプチドは、配列番号1306、配列番号1307、配列番号1308、又は配列番号1336のクラス4ペプチドの位置11又は19に共有結合される。Fc部分は、通常、IgGから単離されるが、しかし、いずれの免疫グロブリンからのFcペプチド断片であっても等価的に機能する筈である。ある実施態様では、グルカゴンペプチドは、配列番号1303、配列番号1304、配列番号1305、配列番号1307,配列番号1308、及び配列番号1339から成る群から選ばれ、ここで、Fc部分は、天然グルカゴンペプチドの16、17、20、21、24、又は29の対応する位置に連結される。ある実施態様では、クラス4ペプチドは、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311、配列番号1312から成る群から選ばれるグルカゴンペプチドを含み、ここで、Fcペプチドは、それぞれ、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311の位置11、16、又は19のアミノ酸、及び、配列番号1312の位置11と19の両方に配置されるアミノ酸の側鎖に結合される。
本発明のある実施態様では、クラス4ペプチドは、配列番号1362、1364−1367、及び1371の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
<溶解度を向上させる修飾>
クラス4ペプチドはさらに、ある態様では、グルカゴンアンタゴニスト活性を保持しながら、生理的pHの水溶液中での該ペプチドの溶解度を向上させるように修飾することが可能である。天然ペプチドの位置1、16、17、20、21、24,及び29、又は、C−末端に親水性基を導入することによって、母体化合物のアンタゴニスト活性を保持しながら、得られるクラス4ペプチドの、生理的pHを有する溶液に対する溶解度を向上させることが可能である。したがって、ある実施態様では、本開示のクラス4ペプチドはさらに、天然グルカゴンペプチドのアミノ酸位置1、16、17、20、21、24、及び29に対応するアミノ酸の側鎖、又は、N−又はC−末端アミノ酸の側鎖に共有結合される一つ以上の親水性基を含むように修飾される。さらに別の実施態様では、天然グルカゴンペプチドの位置16及び24に対応するアミノ酸の側鎖が、親水性基に共有結合され、ある実施態様では、親水性基は、ポリエチレングリコール(PEG)である。
本出願人らはさらに、天然グルカゴンは、該ペプチドのアゴニスト活性を保持しながらペプチドの溶解度を強化するために、そのカルボキシ末端に電荷を導入することによって修飾することが可能であることを発見した。溶解度の強化は、ほぼ中性pHにおいてグルカゴン液を調製し、保存することを可能とする。比較的中性なpH(例えば、約6.0から約8.0のpH)でグルカゴン液を調製することは、クラス4ペプチドの長期安定性を向上させる。
再び、本出願人らは、本明細書に開示されるクラス4ペプチドは、母体タンパク質のアンタゴニスト特性を保持しながら、比較的中性なpH(例えば、約6.0から約8.0のpH)の水溶液に対するその溶解度を強化するよう同様に修飾することが可能であることを発見した。したがって、本発明のある実施態様は、野生型グルカゴン(配列番号1301)の位置6−29の天然アミノ酸に対してさらに修飾される、配列番号1339のクラス4ペプチドに関し、該ペプチドは、天然の非荷電アミノ酸を荷電アミノ酸によって置換することによって、又は、荷電アミノ酸をカルボキシ末端に付加することによってペプチドに電荷を加えるために、さらに修飾されている。ある実施態様によれば、配列番号1339のクラス4ペプチドの非荷電性天然アミノ酸の内1から3個が、荷電アミノ酸によって置換される。ある実施態様では、荷電アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸から成る群から選ばれる。より詳細には、本出願人らは、天然グルカゴンに対し、対応する位置28及び/又は29における通常出現するアミノ酸を荷電アミノ酸によって置換すること、及び/又は、クラス4ペプチドのカルボキシ末端に一つ又は二つの荷電アミノ酸を付加することは、生理的関連pH(すなわち、約6.5から約7.5のpH)の水溶液中でのクラス4ペプチドの溶解度及び安定生を強化することを発見した。したがって、本明細書に開示されるクラス4ペプチドのこのような修飾は、母体ペプチドの生物活性を保持しながら、水溶液、とくに約5.5から約8.0の範囲のpHの水溶液に対する溶解度に対し、同様の作用を及ぼすことが期待される。
ある実施態様によれば、配列番号1339のクラス4ペプチドは、天然グルカゴンに対する、対応する位置28及び/又は29の天然アミノ酸の、負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)による置換により修飾されており、さらに、ペプチドのカルボキシ末端に対する負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)の付加によって修飾されてもよい。別の実施態様では、配列番号1339のクラス4ペプチドは、天然グルカゴンに対する、対応する位置29の天然アミノ酸の、正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、又はヒスチジン)による置換により修飾されており、さらに、ペプチドのカルボキシ末端に対する、一つ又は二つの正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、又はヒスチジン)の付加によって修飾されてもよい。ある実施態様によれば、配列番号1341のアミノ酸配列を含むクラス4ペプチドであって、溶解度及び安定生が高められるペプチドが提供されるが、ただし、配列番号1341の位置23又は24の少なくとも一つのアミノ酸が酸性アミノ酸によって置換され、及び/又は、追加の酸性アミノ酸が、配列番号1341のカルボキシ末端に付加されるものとする。ある実施態様では、酸性アミノ酸は、それぞれ独立に、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる。
ある実施態様によれば、溶解度及び安定生が高められたクラス4ペプチドが提供され、ここで、このアンタゴニストは、配列番号1341、配列番号1342、配列番号1343、又は配列番号1344を含み、位置23又は24のアミノ酸の少なくとも一方は、非天然アミノ酸残基である(すなわち、類縁体の位置23又は24に存在する、少なくとも一つのアミノ酸は、配列番号1307の対応する位置に存在するアミノ酸とは異なる酸性アミノ酸である)。ある実施態様によれば、配列番号1341又は1342の配列を含むグルカゴン類縁体が提供されるが、ただし、位置23のアミノ酸がアスパラギンであり、位置24のアミノ酸がトレオニンである場合、ペプチドは、該クラス4ペプチドのカルボキシ末端に付加される、Lys、Arg、His、Asp、又はGluから成る群からそれぞれ独立に選ばれる一つから二つのアミノ酸を含む。
別の実施態様では、配列番号1342のクラス4ペプチドの溶解度は、位置11、12、15、16、19、又は24のアミノ酸残基に親水性成分を共有結合することによって高められ、ある実施態様では、親水性成分は、位置11、16、又は19のアミノ酸に連結され、さらに別の実施態様では、親水性成分は、アミノ酸19に連結される。ある実施態様では、親水性成分は、血漿タンパク、又は免疫グロブリンのFc部分であり、別の実施態様では、親水性成分は、親水性炭化水素鎖である。ある実施態様では、親水性成分は、約1,000から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる分子量を有するポリエチレングリコールである。別の実施態様では、親水性成分は、少なくとも約20,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールである。ある実施態様では、ポリエチレン修飾クラス4ペプチドは、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311、配列番号1312,配列番号1343、配列番号1344、又は配列番号1345のアミノ酸配列を含む。
<安定性を向上させる修飾>
天然グルカゴンの位置15−16のAsp−Ser配列は、水性バッファー中で天然ホルモンの早すぎる化学的切断を招く、独特の不安定なジペプチドであることが特定された。例えば、0.01N HClにおいて37℃で2週間維持されると、天然グルカゴンの50%よりも多くが切断されて断片化される。解離した二つの切断ペプチド1−15及び16−29は、グルカゴン様生物活性を欠き、したがって、グルカゴンとその関連類縁体の水性の予備処方に関する限界を呈示する。天然グルカゴンペプチドの位置15のAspの、Gluによる選択的化学的置換は、15−16ペプチド結合の化学的切断をほぼ排除することが観察された。
したがって、本発明のクラス4ペプチドは、水性バッファーにおける早すぎる化学的切断に対する感受性を下げるため同様に修飾することが可能であることが期待される。ある実施態様によれば、本明細書に記載されるクラス4ペプチドは、水性バッファーにおける安定性を強化するために、天然グルカゴンペプチドの位置15にある天然アスパラギン酸を、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸で置換することによって、さらに修飾することが可能である。ある実施態様によれば、配列番号1339のクラス4ペプチドの位置10におけるアスパラギン酸は、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換することが可能であり、且つ、ある実施態様では、配列番号1339の位置10の天然アスパラギン酸は、グルタミン酸によって置換される。ある実施態様によれば、水溶液中での安定性が高められたクラス4ペプチドが提供され、このアンタゴニストは、配列番号1336、配列番号1340、及び配列番号1342から成る群から選ばれる配列を含む。さらに別の実施態様では、クラス4ペプチドはアミド化される。
ある実施態様によれば、本明細書に記載されるクラス4ペプチドの分解の抑制による安定性の増大はまた、位置16(天然グルカゴンの順序番号による)のセリンを、グルタミン酸、システイン酸、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸によって置換することでも実現可能である。特定の実施態様では、位置16(天然グルカゴンの順序番号による)のセリンはグルタミン酸によって置換される。より具体的な態様では、このような修飾を含むクラス4ペプチドは、C−末端カルボキシレートを含むが、アミド化されない。
ある実施態様によれば、配列番号1307、配列番号1336、配列番号1339、配列番号1340,配列番号1341、配列番号1342、配列番号1343、及び配列番号1344から成る群から選ばれるグルカゴンペプチドを含むクラス4ペプチドが提供され、このものは、天然グルカゴンペプチドの位置11、12、15、16、19、及び/又は24に対応する位置において、一つ以上の追加のアミノ酸修飾によってさらに修飾され、ここで、該アミノ酸修飾は、例えば、PEGなどの親水性成分と架橋結合するのに好適な側鎖を有するアミノ酸による修飾を含む。このペプチドは、天然のアミノ酸によって置換されてもよいし、又は合成(非天然)アミノ酸によって置換されてもよい。合成又は非天然アミノ酸とは、インビボで天然に生ずることは無いが、にも拘わらず、本明細書に記載されるペプチド構造の中に組み込むことが可能なアミノ酸を指す。ある実施態様では、配列番号1307、配列番号1336、配列番号1339、配列番号1340,配列番号1341、配列番号1342、配列番号1343、及び配列番号1344の配列を含むクラス4ペプチドが提供され、このものは、天然グルカゴンペプチドの位置21又は24に結合されるポリエチレングリコール鎖をさらに含む。さらに別の実施態様では、クラス4ペプチドのC−末端はカルボン酸基をアミド基によって置換するように修飾される。
<融合ペプチド及び結合体>
本開示はさらに、第2のペプチドがクラス4ペプチドのC−末端に融合される、クラス4ペプチドの融合ペプチドを包含する。より詳細には、融合ペプチドは、配列番号1344のクラス4ペプチドであって、そのC−末端アミノ酸に連結される、配列番号1319(GPSSGAPPPS)、配列番号1320(Lys Arg Asn Arg Asn Asn Ile Ala)、又は配列番号1321(Lys Arg Asn Arg)をさらに含む、クラス4ペプチドを含んでよい。ある実施態様では、配列番号1319(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列は、配列番号1342のクラス4ペプチドのアミノ酸24にペプチド結合を介して結合される。別の実施態様では、融合ペプチドは、配列番号1307、配列番号1336、配列番号1339、配列番号1340,配列番号1341、又は配列番号1343のクラス4ペプチドを含み、該クラス4ペプチドはさらに、該クラス4ペプチドのアミノ酸24に連結される、配列番号1319(GPSSGAPPPS)のアミノ酸配列を含む。別の実施態様では、融合ペプチドは、配列番号1307、配列番号1336、配列番号1337、配列番号1338,配列番号1339、配列番号1341、又は配列番号1343のクラス4ペプチドを含み、該クラス4ペプチドはさらに、該クラス4ペプチドのアミノ酸24に連結される、配列番号1320、配列番号1321、又は配列番号1353のアミノ酸配列を含む。ある実施態様では、クラス4ペプチド融合ペプチドは、配列番号1346及び配列番号1347から成る群から選ばれる配列を含む。さらに別の実施態様では、融合ペプチドのC−末端は修飾されて、カルボン酸基をアミド基によって置換する。
ある実施態様では、クラス4ペプチド融合ペプチドが提供され、ここで、該融合ペプチドのクラス4ペプチド部分が、配列番号1303、配列番号1304、配列番号1305、配列番号1306,配列番号1307、配列番号1308、又は配列番号1309、配列番号1311、配列番号1312、配列番号1313、配列番号1314,配列番号1315、配列番号1310、又は配列番号1316、配列番号1317、配列番号1318、及び配列番号1339から成る群から選ばれ、配列番号1319の配列が、クラス4ペプチド部分のカルボキシ末端に融合され、PEG鎖が、存在する場合は、500から40,000ダルトンから選ばれる。より詳細には、ある実施態様では、クラス4ペプチド融合セグメントは、配列番号1313、配列番号1314、配列番号1315、配列番号1316、配列番号1346、配列番号1347から成る群から選ばれ、PEG鎖は、約500から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる。より詳細には、ある実施態様では、PEG鎖は約1,000ダルトンである。さらに別の実施態様では、C−末端は修飾されて、カルボン酸基をアミド基によって置換する。
クラス4ペプチドはさらに、カルボキシ末端に付加される1から2個の荷電アミノ酸を含んでもよい。1から2個のアミノ酸が配列番号1344のカルボキシ末端に付加される、ある実施態様では、該アミノ酸は、負荷電アミノ酸であって、例えば、グルタミン酸及びアスパラギン酸などである。ある実施態様では、クラス4ペプチドは、配列番号1342の配列を含み、ここで、天然グルカゴンペプチドに対し、対応する位置27及び28の内の少なくとも一つは、アスパラギン酸及びグルタミン酸から成る群から選ばれるアミノ酸を含み、配列番号1342は、さらに、カルボキシ末端に付加される、1から2個の負荷電アミノ酸を含むように修飾されてもよい。ある実施態様では、負荷電アミノ酸はグルタミン酸又はアスパラギン酸である。
本明細書に開示されるクラス4ペプチドは、過度のグルカゴン活性をその特徴とする疾患又は病態を治療するために、他の活性剤、例えば、インスリンと組み合わせることが可能である。ある実施態様では、10,000ダルトンよりも大きい分子量を有するPEG鎖に共有結合するように修飾されたクラス4ペプチドは、糖尿病患者における安定な血中グルコース濃度の維持を助けるために、インスリンと組み合わせて投与されてもよい。本開示のクラス4ペプチドは、単一組成物としてインスリンと共に併合投与されてもよいし、別々の溶液として同時に投与されてもよいが、それとは別に、インスリン及びクラス4ペプチドは、互いに対し異なる時間に投与することも可能である。ある実施態様では、インスリンを含む組成物、及び、クラス4ペプチドを含む組成物は、互いに12時間以内に投与される。投与インスリンに対する、クラス4ペプチドの正確な比率は、一部は、患者のグルカゴン濃度の定量に依存するが、通例の実験手法によって定めることが可能である。
<二量体ペプチド>
本開示はさらに、本明細書に開示される修飾型クラス4ペプチドの多量体を包含する。修飾型クラス4ペプチドの二つ以上は、当業者は公知の標準的連結剤及び手順を用いて一緒に連結することが可能である。例えば、二量体は、特に、(例えば、位置11、16、又は19において)システイン、リシン、オルニチン、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンによって置換されるクラス4ペプチド(例えば、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311、及び配列番号1312)では、二官能性チオール架橋及び二官能性アミン架橋を介して、二つの修飾クラス4ペプチドの間に形成することが可能である。二量体は、ホモ二量体であってもよく、又はそれとは別に、ヘテロ二量体であってもよい。ある実施態様では、二量体は、それぞれ独立に、配列番号1308、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311,配列番号1312、配列番号1345、配列番号1346、又は配列番号1347から成る群から選ばれる、二つのクラス4ペプチドの間に形成され、ここで、二つのペプチドは、各ペプチドの位置11、各ペプチドの位置16、各ペプチドの位置19、又はそれらの任意の組み合わせに付着されるリンカーを介して連結される。ある実施態様では、連結は、各クラス4ペプチドの、Cys11からCys11、又はCys19からCys19、又はCys11からCys19残基に形成されるジスルフィド連結である。
同様に、二量体は、それぞれ独立に、配列番号1303、配列番号1304、配列番号1305、配列番号1306,配列番号1307、配列番号1308、配列番号1309、配列番号1310、配列番号1311、配列番号1312、配列番号1336,配列番号1337、配列番号1338、配列番号1339、又は配列番号1342から成る群から選ばれる、二つのクラス4ペプチドの間に形成することが可能であり、ここで、連結は、天然グルカゴンペプチドに対する位置16、21、及び24から、それぞれ独立に選ばれるアミノ酸位置の間に形成される。
ある実施態様によれば、それぞれが配列番号1346の配列を含む、二つのペプチドを含む、クラス4ペプチド二量体が提供され、ここで、この二つのアンタゴニストは、アミノ酸位置25を介するジスルフィド結合によって互いに連結される。別の実施態様では、それぞれが配列番号1347の配列を含む、二つのクラス4ペプチドを含む、クラス4ペプチド二量体が提供され、ここで、この二つのアンタゴニストは、アミノ酸位置35を介するジスルフィド結合によって互いに連結される。ある実施態様では、二量体は、配列番号1346及び配列番号1347のクラス4ペプチドから形成され、ここで、位置10のアミノ酸はグルタミン酸である。
ある実施態様では、二量体は、配列番号1307、配列番号1308、配列番号1336、配列番号1337、配列番号1340、配列番号1339、配列番号1340、配列番号1341、配列番号1342と、前記クラス4ペプチドの薬学的に許容される塩とから成る群から選ばれるクラス4ペプチド融合ペプチドの、ホモ二量体を含む。ある実施態様によれば、リンカーを介して第2のクラス4ペプチドに結合される第1のクラス4ペプチドを含む二量体が提供され、ここで、該二量体の第1及び第2ペプチドは、それぞれ独立に、配列番号1307、配列番号1308、配列番号1336、配列番号1337、配列番号1339、配列番号1340、配列番号1341、及び配列番号1342、及び前記グルカゴンポリペプチドの薬学的に許容される塩から成る群から選ばれる。別の実施態様では、二量体の第1及び第2クラス4ペプチドは、それぞれ独立に、配列番号1307、配列番号1308、配列番号1336、及び配列番号1339から成る群から選ばれる。
別の実施態様では、二量体は、配列番号1323、配列番号1324、配列番号1325、配列番号1326、配列番号1327、配列番号1328、配列番号1329、配列番号1330、配列番号1331から成る群から選ばれるクラス4ペプチドのホモ二量体である。別の実施態様では、クラス4ペプチド二量体において、該二量体の第1及び第2ペプチドが、それぞれ独立に、配列番号1323、配列番号1324、配列番号1325、配列番号1326、配列番号1327、及び配列番号1328から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む、二量体が提供される。別の実施態様では、二量体は、配列番号1309、配列番号1311、及び配列番号1312から成る群から選ばれるクラス4ペプチドのホモ二量体を含み、ここで、該ペプチドはさらに、該グルカゴンペプチドの位置11又は19に共有結合されるポリエチレングリコール鎖を含む。
クラス4関連ペプチドは、配列番号1301−1371の内のいずれのアミノ酸配列を含み、さらに、グルカゴンアンタゴニスト活性を保持する、最大1、2、3、4、又は5個の修飾を伴っていてもよい。
<クラス5グルカゴン関連ペプチド>
ある実施態様では、グルカゴン関連ペプチドは、クラス5グルカゴン関連ペプチドである(例えば、国際特許出願第PCT/US2008/08133号を参照されたい、なお、この文書の全体を引用により本明細書に含める)。
下記のセクションに参照される生物学的配列(配列番号1401−1518)は、国際特許出願第PCT/US2008/08133号の配列番号1−118に対応する。
<活性>
ある態様では、クラス5グルカゴン関連ペプチド(以後「クラス5ペプチド」と呼ぶ)は、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストと考えられる。グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストは、グルカゴンアゴニスト作用の抑制が望ましく、一方ではまた、GLP−1活性の同時的刺激が望まれる背景下では、どのような場合にも使用される。例えば、GLP−1刺激と組み合わせたグルカゴンアンタゴニスト活性は、糖尿病の治療において使用可能である。なぜなら、グルカゴンアンタゴニスト作用は、低血糖症の前臨床モデルにおいて血糖低下をもたらすことが示されており、GLP−1活性はインスリン生産と関連するからである。GLP−1活性を示す化合物はさらに、肥満症の治療、及び体重増加の阻止にも有用であることが知られる。
ある態様では、クラス5ペプチドは、他のグルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストに関して従来から記載される、いずれの使用にも好適であると考えられる。この二つの活性は、メタボリック症候群、特に糖尿病及び肥満症の治療にきわめて望ましい特性であることがそれぞれ示されている。グルカゴンアンタゴニスト活性は、グルカゴンアゴニスト作用の抑制が望ましい全ての態様に有用である。GLP−1アゴニスト作用の存在はさらに、一方ではインスリン合成及び分泌を刺激しながら、膵臓からのグルカゴンの内因性分泌を抑制する。この二つの薬理作用は、代謝異常を正常化するよう協調的に働く。したがって、クラス5ペプチドは、高血糖症の治療、又は、高い血中グルカゴン濃度又は高い血中グルコース濃度に由来する、他の代謝性疾患の治療に使用することが可能である。ある実施態様によれば、本明細書に開示されるクラス5ペプチドなどの、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニストによって治療される患者は飼養動物であり、別の実施態様では、治療される患者はヒトである。研究から、糖尿病患者におけるグルカゴン抑制の欠如は、部分的には、グリコーゲン分解の加速による食後高血糖の原因となることが明らかにされている。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)時、及び、ソマトスタチン誘導グルカゴン抑制の存在下又は不在下の血中グルコースの分析から、グルカゴン濃度の高い被験者においてグルコースの著明な増加が示された。したがって、グルカゴンアンタゴニスト/GLP−1アゴニスト、すなわち、本明細書に記載されるクラス5ペプチドは、高血糖症の治療に使用することが可能であり、各種糖尿病、例えば、インスリン依存性又はインスリン非依存性を問わず、I型糖尿病、II型糖尿病、又は妊娠糖尿病などの治療、及び、腎症、網膜症、及び血管病などの糖尿病合併症の抑制に有用であることが期待される。
食欲の抑制又は減量の促進のためのこれらの方法は、体重低下、体重増加の阻止、又は、様々な原因による肥満症、例えば、薬剤誘発性肥満症などの治療、肥満症に伴う合併症、例えば、血管病(冠状動脈疾患、発作、末梢血管病、虚血再還流など)、高血圧、II型糖尿病の開始、高脂血症、及び筋骨格系疾患の治療に有用であることが期待される。
クラス5ペプチドを含む医薬組成物は、当業者に公知の標準的な薬学的に許容される担体と投与ルートとを用いて、処方し、患者に投与することが可能である。したがって、本開示はさらに、一つ以上の、本明細書に開示されるクラス5ペプチドを、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。この医薬組成物は、クラス5ペプチドを、唯一の薬学的活性成分として含んでもよいし、クラス5ペプチドは、一つ以上の追加の活性成分と組み合わせてもよい。ある実施態様によれば、クラス5ペプチドと、インスリン又はインスリン類縁体とを含む組成物が提供される。それとは別に、減量を誘導するか、又は、体重増加を阻止するための組成物であって、配列番号1415又は配列番号1451のアミノ酸24にさらに連結される配列番号1421(GPSSGAPPPS)、又は配列番号1450のアミノ酸配列と、抗肥満ペプチドとを含む組成物が提供される。適切な抗肥満ペプチドとしては、米国特許第5,691,309、6,436,435号、又は米国特許出願第20050176643に開示されるものが挙げられる。
<クラス5ペプチドの構造>
ある実施態様によれば、クラス5ペプチドが提供され、ここで、該ペプチドは、グルカゴンペプチドであって、N−末端から、最初の1から5個のアミノ酸残基(例えば、第1アミノ酸、最初の2個のアミノ酸、最初の3個のアミノ酸、最初の4個のアミノ酸、最初の5個のアミノ酸)の欠失と、化合物のC−末端部分(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号、配列番号1401にしたがってアミノ酸位置12−29の周辺)のアルファヘリックス構造の安定化、例えば、位置12と16、16と20、20と24、及び24と28(天然グルカゴンペプチド配列に対して)から選ばれるアミノ酸ペアの側鎖同士の、水素結合、塩橋の形成などのイオン相互作用、又は共有結合を介する連結による安定化、とによって修飾される、グルカゴンペプチドを含む。それとは別に、残基12−29周辺でのアルファヘリックスの安定化は、所望の活性を保持する位置に一つ以上のα,α−二置換アミノ酸を導入することによって実現される。ある実施態様では、クラス5ペプチド又はその類縁体の位置16、17、18、19、20、21、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の一つ、二つ、三つ、四つ、又はそれ以上が、α,α−二置換アミノ酸によって置換される。例えば、クラス5ペプチド又はその類縁体の位置16(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の置換は、塩橋又はラクタムの不在下にアルファヘリックスの安定化を実現する。ある実施態様では、位置16、20、21、又は24(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の一つ、二つ、三つ、又はそれ以上がAIBによって置換される。
ある実施態様によれば、クラス5ペプチドが提供され、ここで、該ペプチドは、GLP−1受容体に対して天然GLP−1によって実現される最大アゴニスト作用の少なくとも80%を示し、且つ、インビトロアッセイにおいてcAMP生産で測定した場合、グルカゴン受容体に対してグルカゴン誘導cAMP最大生産を少なくとも約50%下げる、グルカゴンアンタゴニスト活性を示す。ある実施態様では、クラス5ペプチドは、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも90%を示し、グルカゴン受容体に対してグルカゴン誘導cAMP最大生産を少なくとも約80%下げる、グルカゴンアンタゴニスト活性を示す。
ある実施態様によれば、クラス5ペプチドは、配列番号1402の誘導ペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、配列番号1402に対し、位置1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、19、22、及び24から選ばれる、1から3個のアミノ酸位置においてさらなるアミノ酸修飾を含み、GLP−1受容体に対する天然GLP−1の活性の少なくとも90%を示し、グルカゴン受容体に対してグルカゴン誘導cAMP最大生産を少なくとも約80%下げる、グルカゴンアンタゴニスト活性を示す。
ある実施態様では、クラス5ペプチドのC−末端部(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号によればアミノ酸12−29周辺)のアルファヘリックス構造は、例えば、共有結合性又は非共有結合性分子内架橋の形成、又は、位置12−29の周辺のアミノ酸の、アルファヘリックス安定化アミノ酸(例えば、α,α−二置換アミノ酸)による置換、及び/又は、導入、によって安定化される。ある実施態様では、クラス5ペプチド又はその類縁体の位置16、17、18、19、20、21、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の内の一つ、二つ、三つ、四つ、又はそれ以上が、α,α−二置換アミノ酸、例えば、アミノイソブチル酸(AIB)によって置換される。例えば、クラス5ペプチド又はその類縁体の位置16(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の、アミノイソブチル酸(AIB)による置換は、塩橋又はラクタム不在下にアルファヘリックスの安定化を実現する。
ある実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1405又は配列番号1406を含み、より詳細には、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、配列番号1408,配列番号1409、配列番号1416、配列番号1417、配列番号1418、配列番号1419、配列番号1422、配列番号1423,配列番号1424、及び配列番号1425から成る群から選ばれる配列を含む。さらに別の実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1415又は配列番号1451の誘導ペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、配列番号1415又は配列番号1451に対し、位置1、2、5、6、8、9、12、13、及び14から選ばれる1から3個のアミノ酸位置においてさらなるアミノ酸置換を含む。ある実施態様では、位置1、2、5、6、8、9、12、13、及び14における置換は、保存的アミノ酸置換である。ある実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451の位置24のトレオニンは、グリシンによって置換される。
ある実施態様によれば、クラス5ペプチドは、N−末端欠失の外に、天然グルカゴンペプチドの位置6のフェニルアラニンが修飾されて、例えば、N−末端基の代わりにヒドロキシル基を含むようになる、さらなる修飾体を表す。さらに別の実施態様では、C−末端アミノ酸の天然のカルボン酸が、荷電性中性基、例えば、アミド又はエステルによって置換される。
ある実施態様によれば、クラス5ペプチドが調製されたが、ここでは、天然グルカゴンの最初の3から5個のアミノ酸が欠失され、天然グルカゴンペプチドに対し位置9のアミノ酸が、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、β−グルタミン酸、システインのスルフォン酸誘導体、又は、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する、システインのアルキルカルボキシレート誘導体、によって置換され、且つ、グルカゴンのC−末端部(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号によってアミノ酸12−29の周辺)のアルファヘリックス構造が、例えば、天然グルカゴンペプチドに対しアミノ酸12と16又はアミノ酸16と20の間の側鎖間に形成されるラクタム架橋によって、安定化されている。7原子連結架橋を形成するために共有結合することが可能なアミノ酸ペアの例は、本開示を通じて詳述される。ある実施態様では、システインのスルフォン酸誘導体は、システイン酸又はホモシステイン酸である。
ある実施態様では、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むクラス5ペプチドが提供され、ここで、前記ペプチドは、配列番号1405のアミノ酸7と11の側鎖の間、配列番号1406の11と15の間、配列番号1407の位置15と19の間、配列番号1408の位置19と24の間に形成されるラクタム架橋を含み、前記配列は、それぞれ、該ペプチドに共有結合される親水性成分を含むようにさらに修飾される。より詳細には、ある実施態様では、クラス5ペプチドを担持する各ラクタムは、ポリエチレングリコール鎖の共有結合によって修飾される。例えば、配列番号1405を含むクラス5ペプチドでは、該ペプチドは、12、15、16、19、及び24から成る群から選ばれる位置においてPEG化され;配列番号1406を含むクラス5ペプチドでは、ペプチドは、12、16、19、及び24から成る群から選ばれる位置においてPEG化され;配列番号1407を含むクラス5ペプチドでは、ペプチドは、11、12、16、及び24から成る群から選ばれる位置においてPEG化され;配列番号1408を含むクラス5ペプチドでは、11、12、15、及び16から成る群から選ばれる位置において、PEG化される。ある実施態様によれば、配列番号1447又は配列番号1448を含むクラス5ペプチドが提供され、ここで、該ペプチドは、配列番号1447又は配列番号1448に対し、12、16、19、及び24から成る群から選ばれる位置において、PEG化される。さらに別の実施態様では、配列番号1447又は配列番号1448のペプチドは、該ペプチドのカルボキシ末端に配列番号1421の配列を付加することによってさらに修飾される。
いくつかの態様において上に詳述したように、クラス5ペプチドであって、天然グルカゴンの最初の5個のアミノ酸が取り除かれ、N−末端アミノ酸(フェニルアラニン)が、ヒドロキシル基によって置換され(すなわち、最初のアミノ酸はフェニル乳酸となる)、且つ、位置12と16、16と20、20と24、及び24と28から選ばれる一つ以上のアミノ酸ペアの側鎖が互いに連結されて、アルファヘリックスが安定化されるようなクラス5ペプチドが提供される。
ある実施態様によれば、配列番号1402の配列を含むクラス5ペプチドが提供され、ここで、該配列は、配列番号1402の位置11(天然グルカゴンのアミノ酸順序番号によると位置16)のセリン残基の、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、ホモシステイン酸、トレオニン、又はグリシンから成る群から選ばれるアミノ酸による置換によって修飾される。ある実施態様によれば、配列番号1402の位置11のセリン残基は、グルタミン酸、グルタミン、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換され、ある実施態様では、該セリン残基は、グルタミン酸によって置換される。ある実施態様によれば、クラス5ペプチドは、配列番号1438の配列を含む。
ある実施態様では、クラス5ペプチドであって、配列番号1402のペプチドのカルボキシ末端の三次元構造を安定化するために、二つのアミノ酸側鎖の間に分子内架橋が形成されるペプチドが提供される。より詳細には、配列番号1402のアミノ酸ペア7と11、11と15、15と19、又は19と23から選ばれる、一つ以上のアミノ酸の側鎖が互いに連結されて、C−末端部のアルファヘリックスを安定化する。この二つの側鎖は、水素結合、イオン相互作用(塩橋の形成など)、又は共有結合を介して互いに連結することが可能である。ある実施態様によれば、リンカーのサイズは、7−9原子であり、ある実施態様では、リンカーは8原子である。ある実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、及び配列番号1408から成る群から選ばれる。ある実施態様では、クラス5ペプチドのC−末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換するアミド基を有する。
ある実施態様によれば、クラス5ペプチドであって、その類縁体が、配列番号1409のアミノ酸配列を含むペプチドが提供される。ある実施態様では、配列番号1409のカルボキシ末端の三次元構造は、該ペプチドの側鎖間の共有結合の形成によって安定化される。ある実施態様では、二つのアミノ酸側鎖は互いに結合されてラクタム環を形成する。ラクタム環のサイズは、アミノ酸側鎖の長さに応じて変動してよく、ある実施態様では、ラクタムは、リシンアミノ酸の側鎖をグルタミン酸側鎖に連結することによって形成される。ある実施態様では、クラス5ペプチドのC−末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換するアミド基を有する。
ラクタム環におけるアミド結合の順序は逆転させることも可能である(例えば、ラクタム環は、Lys12とGlu16の側鎖の間に形成してもよいし、又はそれとは別に、Glu12とLys16の間に形成することも可能である)。ある実施態様によれば、配列番号1409のグルカゴン類縁体であって、配列番号1409のアミノ酸ペア、7と11、11と15、15と19、又は19と23から成る群から選ばれるアミノ酸ペアの側鎖の間に、少なくとも一つのラクタム環が形成される、グルカゴン類縁体が提供される。ある実施態様では、配列番号1410の配列を含むクラス5ペプチドであって、前記配列がさらに、配列番号1410のアミノ酸位置7と11、アミノ酸位置11と15、又はアミノ酸位置15と19の間に形成されるラクタム架橋を含むようなクラス5ペプチドが提供される。ある実施態様では、配列番号1411の配列を含むクラス5ペプチドであって、前記配列がさらに、配列番号1411のアミノ酸位置7と11、又はアミノ酸位置11と15の間に形成されるラクタム架橋を含むようなクラス5ペプチドが提供される。ある実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1417の配列を含む。
配列番号1405の誘導体を含むさらに別のクラス5ペプチドが提供され、ここで、配列番号1405の位置10(天然グルカゴンの位置15)のアスパラギン酸が、グルタミン酸、下記の構造:
(上式において、X
6は、C
1−C
3アルキル、C
2−C
3アルケン、又はC
2−C
3アルキニルであり、ある実施態様では、X
6はC
1−C
3アルキルであり、別の実施態様では、X
6はC
2アルキルである)
のアミノ酸によって置換されている。ある実施態様では、配列番号1409のクラス5ペプチド誘導体が提供され、ここで、配列番号1409の位置10(天然グルカゴンの位置15)が、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、及びホモグルタミン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。別の実施態様では、配列番号1409の位置10は、システイン酸又はホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様では、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408のクラス5ペプチド誘導体が提供され、ここで、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408の位置10は、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、及びホモグルタミン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換される。ある実施態様では、クラス5ペプチドのC−末端アミノ酸は、天然アミノ酸に存在するカルボン酸基を置換するアミド基を有する。
ある実施態様では、クラス5ペプチドのアミノ酸は、少なくとも一つのシステイン残基によって置換され、ここで、該システイン残基の側鎖はさらに、チオール反応性試薬、例えば、マレイミド、ビニールスルフォン、2−ピリジルチオ、ハロアルキル、及びハロアシルなどによって修飾される。これらのチオール反応性試薬は、カルボキシ、ケト、ヒドロキシル、及びエーテル基の外、ポリエチレングリコール単位などの、他の親水性成分を含んでもよい。別の実施態様では、クラス5ペプチドのアミノ酸は、リシンによって置換され、置換リシン残基の側鎖はさらに、アミン反応性試薬、例えば、カルボン酸の活性エステル(スクシンイミド、無水物など)、又は、親水性成分、例えば、ポリエチレングリコールのアルデヒドによって修飾される。ある実施態様によれば、配列番号1405のペプチドの位置7に対応するリシン残基は、アルギニンによって置換され、単一のリシン置換が、配列番号1405の位置12、15、16、19、及び24に対応するアミノ酸の内の一つの代わりに挿入される。
別の実施態様では、本明細書に開示されるクラス5ペプチドの位置22に対応するメチオニン残基が、該ペプチドの酸化分解を阻止するために、ロイシン又はノルロイシンに変えられる。
さらに、クラス5ペプチドは、ある態様では、グルカゴン類縁体の機能にとって決定的に重要ではないことが知られる位置におけるアミノ酸置換を包含する。ある実施態様では、この置換は、2、5、6、7、8、9、12、13、14、15、16、19、22、23、又は24から成る群から選ばれる、一つ、二つ、又は三つの位置における保存的アミノ酸置換である。ある実施態様では、天然グルカゴンペプチドの位置16、17、21、24、又は29に対応するアミノ酸、より詳細には、天然グルカゴンに対し位置21及び/又は24のアミノ酸が、システイン又はリシンによって置換され、ここで、PEG鎖が、この置換システイン又はリシン残基に共有結合により付着される。
ある実施態様によれば、配列番号1409から成る配列において、該ペプチドの位置11、12、15、16、19、及び/又は24に対応する位置における、一つ以上のさらなるアミノ酸置換(例えば、システインによる置換を含む)によってさらに修飾される配列を含むクラス5ペプチドが提供され、ここで、該アミノ酸置換は、親水性成分、例えば、PEGなどによる架橋結合のために好適な側鎖を有するアミノ酸を含む。天然グルカゴンは、天然アミノ酸によって置換されてもよいし、又は合成(非天然)アミノ酸によって置換されてもよい。合成又は非天然アミノ酸とは、インビボで天然に生ずることは無いが、にも拘わらず、本明細書に記載されるペプチド構造の中に組み込むことが可能なアミノ酸を指す。ある実施態様では、配列番号1409の配列を含むクラス5ペプチドが提供され、このものは、該ペプチドの位置16又は19に結合されるポリエチレングリコール鎖をさらに含む。さらに別の実施態様では、該グルカゴン類縁体のC−末端は、カルボン酸基のをアミド基で置換するように修飾される。
ある実施態様によれば、下記から成る群から選ばれるグルカゴン類縁体を含むクラス5ペプチドが提供され:
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Xaa−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号:1439)、
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号:1413)、
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号:1414)、及び
R1−Phe−Thr−Ser−Xaa−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Arg−Arg−Ala−Gln−Xaa−Phe−Val−Xaa−Trp−Leu−Xaa−Asn−Thr−R2 (配列番号: 1412)、
上記配列において、位置4のXaa=アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、又はホモシステイン酸、位置10のXaa=Asp、Glu、システイン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸、位置16のXaaは、Asp、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンであり、且つ、位置19のXaaは、Gln、Cys、Orn、ホモシステイン、及びアセチル−フェニルアラニンであり、位置22のXaa=Met、Leu又はNle、R1はOH又はNH2であり、R2は、Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser(配列番号1421)、Gly Pro Ser Ser Gly Ala Pro Pro Pro Ser Xaa(配列番号1450;ここで、Xaaは、Cys、Orn、ホモシステイン、又はアセチル−フェニルアラニンである)、COOH又はCONH2であり、ここで、該ペプチドは、さらに、配列番号1413では位置16において、配列番号1414では位置19において、配列番号1412では位置16及び19において、PEG化されていてもよい。ある実施態様では、配列番号1412−1414及び1439の位置24のThrはGlyによって置換される。ある実施態様によれば、ペプチドは、配列番号13、又は配列番号1414の配列を含み、ここで、R1はOHである。ある実施態様では、ペプチドは、配列番号1413又は配列番号1414の配列を含み、ここで、R1はOHであり、R2はCONH2である。ある実施態様によれば、ペプチドは、配列番号1413又は配列番号1414の配列を含み、ここで、R1はOHであり、R2はCONH2であり、位置24のトレオニンはグリシンによって置換される。
ある実施態様では、クラス5ペプチドは、天然GLP−1の一つ以上のアミノ酸を含むように、対応アミノ酸位置の天然グルカゴン残基(単数又は複数)を置換することによってさらに修飾される。例えば、クラス5ペプチドは、位置2、3、17、18、21、23、及び24(天然グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の内のいずれかにおける一つ以上のアミノ酸置換を含んでもよい。特定の実施態様では、クラス5ペプチドは、下記のアミノ酸置換の内の一つ以上によって修飾される:Ser2のAlaによる置換、Gln3のGluによる置換、Arg17のGlnによる置換、位置18のArgのAlaによる置換、位置21のAspのGluによる置換、位置23のValのIleによる置換、及び位置24のGlnのAlaによる置換(アミノ酸位置は、天然グルカゴン配列による)。特定の実施態様では、クラス5ペプチドは、Ser2をAlaによって、Gln3をGluによって(天然グルカゴンのアミノ酸順序番号による)置換することによって修飾される。別の特定の実施態様では、クラス5ペプチドは、下記のアミノ酸修飾の全てによって修飾される:Arg17のGlnによる置換、位置18のArgのAlaによる置換、位置21のAspのGluによる置換、位置23のValによるIleによる置換、及び位置24のGlnのAlaによる置換(天然グルカゴンによるアミノ酸順序番号)。さらに別の実施態様では、クラス5ペプチドは、位置21にGlu(配列番号1401の順序番号による)だけを含むように修飾される。したがって、クラス5ペプチドは、配列番号1460−1470、1473−1478、1480−1488、1490−1496、1503、1504、1506、及び1514−1518の内のいずれかのアミノ酸配列を含むことが可能である。
本明細書においてさらに提供されるものは、下記(1)〜(3)を含むクラス5ペプチド又はその結合体である:(1)本明細書に記載される手段によるアルファヘリックスの安定化(分子内架橋、一つ以上の、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸の組み込み、又は、位置16(配列番号1401の順序番号による)の酸性アミノ酸、又はそれらの組み合わせによる);(2)C−末端カルボキシレートに代わるC−末端アミド又はエステル;及び(3)一般構造A−B−C、
ここで、Aは、下記(i)〜(iii)から成る群から選ばれ:
(i)フェニル乳酸(PLA);
(ii)PLAのオキシ誘導体;
(iii)2から6個のアミノ酸のペプチドであって、その二つの連続するアミノ酸が、エステル又はエーテル結合によって連結されるペプチド;
Bは、配列番号1401のアミノ酸pから26を表し、ここで、pは、3、4、5、6、又は7であり、さらにBは、本明細書に記載される一つ以上のアミノ酸修飾、例えば、クラス5ペプチドについて記載される修飾の内のいずれかを含んでもよい。例えば、該一つ以上の修飾は、下記(iv)〜(x)から成る群から選ばれてもよい:
(iv)位置9(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のAspの、Glu、Cysのスルフォン酸誘導体、ホモグルタミン酸、β−ホモグルタミン酸、又は、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する、システインのアルキルカルボキシレート誘導体による置換;
(v)位置10、20、及び24(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)における1個又は2個のアミノ酸の、エステル、エーテル、チオエーテル、アミド、又はアルキルアミン連結を介してアシル又はアルキル基に共有結合により付着されるアミノ酸による置換;
(vi)位置16、17、20、21、及び24(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)における一つ以上のアミノ酸の、下記から成る群から選ばれるアミノ酸による置換:Cys、Lys、オルニチン、ホモシステイン、及びアセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)、ここで、該アミノ酸は、親水性成分に共有結合により付着される;
(vii)位置15(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のAspの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
(viii)位置16(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のSerの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
(ix)位置17(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)Argは、Glnによって置換され、位置18のArgは、Alaによって置換され、位置21のAspは、Gluによって置換され、位置23のValは、Ileによって置換され、位置24のGlnは、Alaによって置換される(配列番号1401の順序番号による);
(x)位置16のSerはGluによって置換され、位置20のGlnはGluによって置換され、又は、位置24のGlnは、Gluによって置換される(配列番号1401の順序番号による);
そして、C(A−B−Cなる一般構造のうちの)は、下記(vii)〜(x)から成る群から選ばれる:
(vii)X;
(viii)X−Y;
(ix)X−Y−Z;
(x)X−Y−Z−R10
ここで、Xは、Met、Leu、又はNleであり;Yは、Asn又は荷電アミノ酸であり;Zは、Thr、Gly、Cys、Lys、オルニチン(Orn)、ホモシステイン、アセチル−フェニルアラニン(Ac−Phe)、又は荷電アミノ酸であり;ここで、R10は、配列番号1421、1426、1427、及び1450から成る群から選ばれる。
特定態様では、ペプチドは、PLAのオキシ誘導体を含む。本明細書で用いる「PLAのオキシ誘導体」とは、ヒドロキシル基がO−R11によって置換される、PLAの修飾構造を含む化合物を指し、ここで、R11は化学的成分である。この点で、PLAのオキシ誘導体は、例えば、PLAのエステル、又はPLAのエーテルであってもよい。
PLAのオキシ誘導体の製造方法は当該技術分野で公知である。例えば、オキシ誘導体がPLAのエステルである場合、該エステルは、PLAのヒドロキシルを、求核基を担持するカルボニルと反応させることによって形成することが可能である。求核基は、適切なものであれば、いずれの求核基であってもよく、例えば、ただしこれらに限定されないが、アミン又はヒドロキシルであってもよい。したがって、PLAのエステルは、式IVの構造を含んでもよく:
上式において、R
7は、PLAのヒドロキシルを、求核基を担持するカルボニルと反応させることによって形成されるエステルである。
求核基を担持するカルボニル(PLAのヒドロキシルと反応してエステルを形成する)は、例えば、カルボン酸、カルボン酸誘導体、又は、カルボン酸の活性化エステルであってもよい。カルボン酸誘導体としては、例えば、ただしこれらに限定されないが、塩化アシル、酸無水物、アミド、エステル、又はニトリルなどが挙げられる。カルボン酸の活性化エステルは、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、トシレート(Tos)、カルボジイミド、又は、ヘキサフルオロフォスフェートであってもよい。ある実施態様では、カルボジイミドは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC)、又は、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DICD)である。ある実施態様では、ヘキサフルオロフォスフェートは、ヘキサフルオロフォスフェートベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)フォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシピロリジノフォスフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(PyBOP)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HATU)、及び0−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HBTU)から成る群から選ばれる。
ヒドロキシル基(例えば、PLAのヒドロキシル)との反応からエーテルを製造する方法は当該技術分野で公知である。例えば、PLAのヒドロキシル基は、ハロゲン化アルキル又はトシル化アルキルアルコールと反応させてエーテル結合を形成してもよい。
特定の実施態様では、酸素含有結合手(例えば、エステル、又はエーテル結合)を介してPLAに結合される化学成分は、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール)、炭水化物、アミノ酸、ペプチド、脂質、脂肪酸、又はステロイドである。
特定の実施態様では、化学成分は、アミノ酸であり、これは、式IVがデプシペプチドとなるように、ペプチドの一部となっていてもよい。この点で、PLAは、ペプチドがPLA残基に対しN−末端側に一つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、又はそれ以上)アミノ酸を含むように、ペプチドのN−末端アミノ酸残基以外の位置にあってもよい。例えば、ペプチドは、位置nにおいてPLAを含んでもよい。なお、nは、ペプチドの2、3、4、5、又は6である。
PLA残基に対してN−末端側のアミノ酸は、合成のものでも、天然産であってもよい。特定の実施態様では、N−末端PLAであるアミノ酸は、天然産アミノ酸である。ある実施態様では、PLAに対してN−末端側のアミノ酸は、天然グルカゴンのN−末端アミノ酸である。例えば、ペプチドは、N−末端において、PLAがエステル結合を介してトレオニンに連結される、配列番号1452−1456の内のいずれかのアミノ酸配列を含んでもよい:
配列番号1452 His−Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号1453 Ser−Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号1454 Gln−Gly−Thr−PLA
配列番号1455 Gly−Thr−PLA
配列番号1456 Thr−PLA
別の実施態様では、N−末端アミノ酸の一つ以上は、天然グルカゴンのアミノ酸以外のアミノ酸によって置換されてもよい。例えば、ペプチドが、PLAを位置5又は6のアミノ酸として含む場合、位置1及び/又は2のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を下げるアミノ酸であってもよい。より詳細には、ペプチドの位置1は、D−ヒスチジン、アルファ、アルファージメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸である。より詳細には、ある実施態様では、アンタゴニスト/アゴニストペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸(AIB)から成る群から選ばれるアミノ酸である。さらに、例えば、ペプチドが、PLAを位置4、5、又は6のアミノ酸として含む場合、ペプチドの位置3のアミノ酸は、天然グルカゴンの天然グルタミン残基ではなく、グルタミン酸であってもよい。本発明の例示的実施態様では、ペプチドは、N−末端に、配列番号1457−1459の内のいずれかのアミノ酸配列を含む。
式IVの化合物を含むクラス4ペプチドに関しては、ポリマーは、PLAのヒドロキシル基と反応可能である限り、いずれのポリマーであってもよい。ポリマーは、天然又は通常状態では、求核基を担持するカルボニルである。それとは別に、ポリマーは、カルボニルを担持するカルボニルを含むように誘導形成されるものであってもよい。ポリマーは、下記の内のいずれかの誘導ポリマーであってもよい:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、及び、それらの誘導体、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、アクリルエステルとメタクリルエステルのポリマー、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、及びポリ(オクタデシルアクリレート)など、ポリビニールポリマー、例えば、ポリビニールアルコール、ポリビニールエーテル、ポリビニールエステル、ポリビニールハロゲン化物、ポリ(酢酸ビニール)、及びポリビニールピロリドンなど、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びそれらのコポリマー、セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、セルローストリアセテート、及びセルロースサルフェートナトリウム塩、ポリプロピレン、ポリエチレン、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、及びポリ(エチレンテレフタレート)、及びポリスチレン。
ポリマーは、生分解性ポリマー、例えば、合成の生分解性ポリマー(例えば、乳酸及びグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、及びポリ(ラクチド−コカプロラクトン))など、及び、天然の生分解性ポリマー(例えば、アルギネート及びその他のポリサッカリド、例えば、デキストラン及びセルロースなど、コラーゲン、その化学的誘導体(置換物、化学基の付加物、化学基としては、例えば、アルキル、アルキレン、ヒドロキシ化物、酸化物、その他の、当業者によって通例として実行される修飾)、アルブミン及びその他の親水性タンパク(例えば、ザイン及び他のプロラミン、及び疎水性タンパク)の外、任意のコポリマー、又はそれらの組み合わせであってもよい。一般に、これらの物質は、酵素的加水分解、又は、インビボで水に暴露されると表面浸食又は全体浸食によって分解される。
ポリマーは、生物接着性ポリマー、例えば、H.S.Sawhney,C.P.Pathak and J.A.Hubbell in Macromolecules,1933,26,581−587(この文書の教示を本明細書に含める)によって記載される生物浸食性ヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、及びポリ(オクタデシルアクリレート)であってもよい。
ある実施態様では、ポリマーは水溶性ポリマーである。適切な水溶性ポリマーは、当該技術分野で公知であるが、例えば、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;Klucel)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;Methocel)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルペンチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース(Ethocel)、ヒドロキシエチルセルロース、各種アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース、各種セルロースエーテル、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ビニールアセテート/クロトン酸コポリマー、ポリ−ヒドロキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、無水マレイン酸/メチルビニールエーテル・コポリマー、ポリビニールアルコール、ナトリウム及びカルシウムポリアクリル酸、ポリアクリル酸、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレン、カルボキシビニールポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・コポリマー、ポリメチルビニールエーテル、コ無水マレイン酸、カルボキシメチルアミド、カリウムメタクリレートジビニールベンゼン・コポリマー、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、及び、これらの誘導体、塩、及び組み合わせが挙げられる。
特定の実施態様では、ポリマーは、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などである。
炭水化物は、アルファ脱離基を有するカルボニルを含むか、又は含む様に製造されるものである限り、いずれの炭水化物であってもよい。炭水化物は、例えば、アルファ脱離基を有するカルボニルを含むように誘導されるものであってもよい。この点で、炭水化物は、モノサッカリド(例えば、グルコース、ガラクトース、果糖)、ジサッカリド(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴサッカリド(例えば、ラフィノース、スタキオース)、ポリサッカリド(澱粉、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン)の誘導形であってもよい。
脂質は、アルファ脱離基を有するカルボニルを含むものであればいずれの脂質であってもよい。脂質は、例えば、カルボニルを含むように誘導されたものでもよい。この点で、脂質は、脂肪酸(例えば、C4−C30脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N−アシルエタノールアミン)、グリセロ脂質(例えば、モノ−、ジ−、トリ−置換グリセロール)、グリセロリン脂質(例えば、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォフファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(例えば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質、又はポリケチド、油、ワックス、コレステロール、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質の誘導体であってもよい。
ある実施態様では、R7は、約100kDa以下の分子量、例えば、約90kDa以下、約80kDa以下、約70kDa以下、約60kDa以下、約50kDa以下、約40kDa以下の分子量を有する。したがって、R7は、約35kDa以下、約30kDa以下、約25kDa以下、約20kDa以下、約15kDa以下、約10kDa以下、約5kDa以下、又は約1kDaの分子量を有していてもよい。
別の実施態様では、A−B−Cの一般構造を含むペプチドは、Aとして、2から6個のアミノ酸のペプチドを含み、ここで、Aのペプチドの二つの連続するアミノ酸は、エステル又はエーテル結合を介して連結される。このエステル又はエーテル結合は、例えば、アミノ酸2及び3、3及び4、4及び5、又は5及び6の間に形成されてもよい。Aのペプチドはさらに、別の化学成分に対する共有結合、例えば、ポリマー(例えば、親水性ポリマー)に対する連結など、アルキル化、又はアシル化によって修飾されてもよい。
特定の実施態様では、PLAを含む上述のクラス5ペプチドは、PLAのオキシ誘導体、例えば、PLAのエステル、又は、PLAのエーテル、を含むように修飾される。例えば、クラス5ペプチドは、配列番号1402、1405−1420、1422−1425、1432−1436、1438、1439、1445、1446、及び1451のいずれかのアミノ酸配列を含んでもよく、ここで、PLAは、エステル又はエーテル結合を介して、アミノ酸、ペプチド、ポリマー、アシル基、又はアルキル基に連結される。このアミノ酸、ペプチド、ポリマー、アシル基、又はアルキル基は、本明細書に記載されるもののいずれであってもよい。PLAが、エステル結合を介してアミノ酸又はペプチドに連結される場合、クラス5ペプチドは、デプシペプチドと見なしてもよい。
さらに別の実施態様では、上述の、PLAを欠くクラス5ペプチドは、位置7(天然グルカゴンの順序番号による)のアミノ酸に対してN−末端側にある、二つの連続するアミノ酸の間に、少なくとも一つのエステル結合又はエーテル結合を含むように修飾される。特定の実施態様では、クラス5ペプチドは、二つの連続するアミノ酸の間に少なくとも一つのエステル又はエーテル結合を含む。より具体的な実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1401のN−末端の6個のアミノ酸を含み、このN−末端6アミノ酸の、二つの連続するアミノ酸は、エステル又はエーテル結合によって連結される。
Aのペプチドは、少なくとも二つの連続するアミノ酸が、エステル又はエーテル結合を介して連結される限り、合成・天然を問わず、いずれのアミノ酸を含んでもよい。特定の実施態様では、Aのペプチドは、天然グルカゴンのアミノ酸を含む。位置1及び/又は2のアミノ酸は、ジペプチジルペプチダーゼIVによる切断に対する感受性を下げるアミノ酸であってもよい。例えば、Aのペプチドは、位置1において、D−ヒスチジン、アルファ、アルファージメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれるアミノ酸を含んでもよい。より詳細には、ある実施態様では、Aのペプチドの位置2は、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸(AIB)から成る群から選ばれるアミノ酸である。さらに、例えば、Aのペプチドの位置3のアミノ酸は、天然グルカゴンの場合の天然グルタミン残基ではなく、グルタミン酸であってもよい。したがって、クラス4ペプチドは、下記のアミノ酸配列を含み:
Xaa1−Xaa2−Xaa3−Thr−Gly−Phe(配列番号1507)
Xaa2−Xaa3−Thr−Gly−Phe(配列番号1508)、又は
Xaa3−Thr−Gly−Phe(配列番号1509)
上記配列において、Xaa1は、His、D−ヒスチジン、アルファ、アルファージメチルイミダゾール酢酸(DMIA)、N−メチルヒスチジン、アルファ−メチルヒスチジン、イミダゾール酢酸、デスアミノヒスチジン、ヒドロキシル−ヒスチジン、アセチル−ヒスチジン、及び、ホモ−ヒスチジンから成る群から選ばれ;Xaa2は、Ser、D−セリン、D−アラニン、バリン、グリシン、N−メチルセリン、N−メチルアラニン、及びアミノイソブチル酸(AIB)から成る群から選ばれ;且つ、Xaa3は、Gln又はGluである。
ある実施態様では、Bは、最大3個までのアミノ酸修飾により修飾される。例えば、配列番号1401の天然アミノ酸配列を表すBは、一つ以上の保存的アミノ酸修飾によって修飾される。
別の実施態様では、Bは、本明細書に記載される(iv)から(x)から成る群から選ばれる一つ以上のアミノ酸修飾を含む。特定の実施態様では、Bは、アミノ酸修飾(v)及び(vi)を含む。さらに別の実施態様では、Bは、(v)及び(vi)に加えて、(iv)、(vii)、(viii)、(ix)、及び(x)から成る群から選ばれるアミノ酸修飾のうちの一つ、又は組み合わせを含む。
本明細書に記載の通り、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、本明細書に記載の通り、C−末端に、例えばY及び/又はZとして、一つ以上の荷電アミノ酸を含んでもよい。それとは別に、又はそれに加えてさらに、一般構造A−B−Cを含むペプチドはさらに、CがX−Y−Zを含む場合、ZよりC−末端側に1から2個の荷電アミノ酸を含んでもよい。この荷電アミノ酸は、例えば、Lys、Arg、His、Asp、及びGluの内の一つであってもよい。特定の実施態様では、YはAspである。
ある実施態様では、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、該ペプチドの、位置1、16、20、21、若しくは24(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のアミノ酸残基、又は、N−若しくはC−末端の残基に共有結合される、親水性成分を含む。特定の実施態様では、親水性成分は、一般構造A−B−Cを含むペプチドのCys残基に付着される。この点で、天然グルカゴン(配列番号1401)の位置16、21、24、又は29のアミノ酸は、Cys残基によって置換されてもよい。それとは別に、一般構造A−B−Cを含むペプチドが、C−末端延長部(配列番号1401のアミノ酸順序番号による位置)を含む場合、親水性成分を含むCys残基は、一般構造A−B−Cを含むペプチドのC−末端に、位置30又は位置40として付加されてもよい。それとは別に、親水性成分は、一般構造A−B−Cを含むポリペプチドのPLAに、PLAのヒドロキシル成分を介して付着されてもよい。親水性成分は、本明細書に記載されるもののいずれであってもよく、例えば、ポリエチレングリコールであってもよい。
特定態様では、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、分子内架橋を組み込むことによって安定化されるアルファヘリックスを含む。ある実施態様では、分子内架橋はラクタム架橋である。ラクタム架橋は、位置9と12のアミノ酸、位置12と16のアミノ酸、位置16と20のアミノ酸、位置20と24のアミノ酸、又は、位置24と28のアミノ酸(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)の間に設けられてもよい。特定の実施態様では、位置12と16のアミノ酸、又は位置16と20のアミノ酸(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)が、ラクタム架橋を介して連結される。他の位置のラクタム架橋も考慮の対象とされる。
それに加えてさらに、又はそれとは別に、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、アルファ、アルファ二置換アミノ酸を、例えば、位置16、20、21、又は24(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のいずれかにおいて含んでもよい。ある実施態様では、アルファ、アルファ二置換アミノ酸はAIBである。特定態様では、AIBは、位置16(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)に配置される。
それとは別に、又はそれに加えてさらに、一般構造A−B−Cを含むペプチドは、位置16(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)に酸性アミノ酸を含むように修飾されてもよく、この修飾は、アルファヘリックスの安定性を強化する。ある実施態様では、酸性アミノ酸は、側鎖のスルフォン酸又は側鎖のカルボン酸を含むアミノ酸である。より具体的な実施態様では、酸性アミノ酸は、Glu、Asp、ホモグルタミン酸、Cysのスルフォン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、Asp、及び、Cysのアルキル化誘導体であって、下記の構造:
(上式において、X
5は、C
1−C
4アルキル、C
2−C
4アルケニル、又はC
2−C
4アルキニルである)
を有する誘導体から成る群から選ばれる。
特定の実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1460−1470、1473−1478、1480−1488、1490−1496、1503、1504、1506、及び1514−1518のいずれかのアミノ酸配列を含むか、又は、表13のペプチド2−6、表14のペプチド1−8、及び表15のペプチド2−6、8及び9のいずれかのアミノ酸配列を含んでもよい。
〔表13〕ラクタム、Cexグルカゴン(6−39)ペプチド、及びグルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1アゴニスト活性
〔表14〕ラクタムグルカゴン(1−29、2−29、4−29、及び6−29)ペプチド、及び、そのグルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1アゴニスト活性
(PA=部分的アンタゴニスト)
*グルカゴン受容体に対するEC50
〔表15〕混合アゴニスト/アンタゴニストのプロフィール
ある実施態様では、一般構造A−B−Cを含むペプチドはクラス5ペプチドである。特定の実施態様では、ペプチドは、GLP−1受容体に対して天然GLP−1によって実現される天然アゴニスト作用の少なくとも約50%、及び、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンによって実現される最大反応の少なくとも約50%を発揮する。別の特定の実施態様では、ペプチドは、GLP−1受容体に対して天然GLP−1によって実現される天然アゴニスト作用の少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は、約100%を発揮する。それとは別に、又はそれに加えてさらに、グルカゴン受容体に対して天然グルカゴンによって実現される最大反応の少なくとも約約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は、約100%を発揮する。
ある実施態様では、クラス5ペプチド又はその結合体を有するペプチドが提供され、ペプチドは下記(1)〜(3)を含み:
(1)グルカゴンアンタゴニスト活性を賦与する修飾であって、例えば、ただしこれらに限定されないが、下記が挙げられる:
(a)位置6(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のPheの、PLAによる置換、さらに、野生型グルカゴンのN−末端から1から5個のアミノ酸の欠失を伴ってもよい;又は、
(b)野生型グルカゴンのN−末端から2から5個のアミノ酸の欠失;さらに、野生型グルカゴンの位置9のAspの、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、又は、システインのスルフォン酸誘導体による置換を伴ってもよい(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による);
(2)GLP−1アゴニスト活性を賦与する修飾、例えば、ただしこれらに限定されないが、下記(a)〜(d)が挙げられる:
(a)野生型グルカゴンのアミノ酸12−29以内、例えば、位置16、17、18、19、20、21、24、又は29(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の内の一つ、二つ、三つ、又は四つ以上におけるα,α−二置換アミノ酸の挿入又は置換;又は、
(b)野生型グルカゴンのアミノ酸12−29内における、分子内架橋、例えば、塩橋、又はラクタム架橋、又は別のタイプの共有結合、の導入;又は、
(c)位置2、3、17、18、21、23、又は24(天然グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の内の一つ以上のアミノ酸の、GLP−1の対応するアミノ酸による置換、例えば、Ser2はAlaによって置換され、Gln3はGluによって置換され、Arg17はGlnによって置換され、位置18のArgはGluによって置換され、位置21のAspはGluによって置換され、位置23のValはIleによって置換され、及び/又は、位置24のGlnはAlaによって置換される;又は、
(d)野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号によるアミノ酸位置12−29周辺における、アルファヘリックス構造を安定化するような、他の修飾;
及び、
(3)GLP−1活性を強化する他の修飾、例えば、
(a)C−末端カルボキシレートの代わりに、C−末端アミド又はエステル;
さらに、
(4)下記の修飾の内の一つ以上を含んでもよく:
(a)ポリエチレングリコールなどの親水性成分に対する、例えば、N−末端、又は、位置6、16、17、20、21、24、29、40、又はC−末端アミノ酸における共有結合による付着;及び/又は、
(b)アシル化、又はアルキル化;
さらに、
(5)下記の修飾の一つ以上を含んでもよい:
(a)N−末端に対するアミノ酸の共有結合、例えば、N−末端に対する1−5アミノ酸の連結、位置6(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のPLAに対する連結(エステル結合を介してでもよい)、さらに、例えば、本明細書に記載される位置1又は2における修飾(DPP−IV切断に対する耐性を高める)を伴ってもよい;
(b)位置29及び/又は位置28、及び必要に応じて位置27(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)のアミノ酸の欠失;
(c)C−末端に対するアミノ酸の共有結合;
(d)所望の活性を保持しながらの、非保存的置換、保存的置換、付加、又は欠失、例えば、位置2、5、7、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、24、27、28、又は29の内の一つ以上における保存的置換、位置10のTyrの、Val又はPheによる置換、位置12のLysの、Argによる置換、これらの位置の一つ以上の、Alaによる置換;
(e)位置15のアスパラギン酸の修飾、例えば、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸による置換(分解を抑える可能性がある)、又は、位置16のセリンの修飾、例えば、トレオニン、AIB、グルタミン酸、又は、4原子長の側鎖を有する、別の負荷電アミノ酸による置換、又は、それとは別に、グルタミン、ホモグルタミン酸、又はホモシステイン酸の内のいずれかによる置換(これも、Asp15−Ser16結合の切断による分解を抑える可能性がある);
(f)位置27のメチオニンの修飾、例えば、ロイシン又はノルロイシンによる置換(酸化分解を抑えるため);
(g)位置20又は24のGlnの修飾、例えば、Ala又はAIBによる置換(Glnの脱アミド化によって生じる分解を抑えるため);
(h)位置21のAspの修飾、例えば、Gluによる置換(Aspの脱水による環状スクシンイミド中間体の形成、それに続く、イソ−アスパルテートに至る異性化によって生じる分解を抑えるため);
(j)本明細書に記載されるホモ二量体又はヘテロ二量体の形成;及び、
(k)上記の組み合わせ。
同じクラス内の修飾は、いずれも、互いに組み合わせてよく、及び/又は、異なるクラスの修飾も組み合わされることを理解しなければならない。例えば、(1)(a)の修飾は、(2)(a)及び(3)と組み合わされてもよく;(1)(a)は、(2)(b)、例えば、ラクタム架橋又は塩橋と組み合わされてもよく;(1)(a)は、(2)(c)及び(3)と組み合わされてもよく;(1)(b)は、(2)(a)及び(3)と組み合わされてもよく;(1)(b)は、(2)(b)、例えば、ラクタム架橋又は塩橋と組み合わされてもよく;且つ、(3)、(1)(b)は、(2)(c)及び(3)と組み合わされてもよく;上記のいずれも、(4)(a)及び/又は(4)(b)と組み合わされてもよく;且つ、上記のいずれも、(5)(a)から(5)(k)のいずれと組み合わせてもよい。
例示的実施態様では、α,α−二置換アミノ酸AIBは、位置16、20、21、又は24(野生型グルカゴンのアミノ酸順序番号による)の一つ、二つ、三つ、又は全てにおいて置換される。
例示的実施態様では、分子内架橋は塩橋である。
他の例示的実施態様では、分子内架橋は、共有結合、例えば、ラクタム架橋である。ある実施態様では、ラクタム架橋は、位置9と12のアミノ酸同士の間、位置12と16のアミノ酸、位置16と20のアミノ酸、位置20と24のアミノ酸、又は、位置24と28のアミノ酸同士の間(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)に設けられる。例示的実施態様では、アシル化又はアルキル化は、位置6、10、20、又は24、若しくは、N−末端、又はC−末端(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)で実行される。
例示的実施態様では、修飾として、下記が挙げられる:
(i)位置15(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のAspの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
(ii)位置16(配列番号1401のアミノ酸順序番号による)のSerの、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸による置換;
(iii)位置28のAsnの、荷電アミノ酸による置換;
(iv)位置28のAsnの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸,及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;
(v)位置28の、Asn、Asp、又はGluによる置換;
(vi)位置28の、Aspによる置換;
(vii)位置28の、Gluによる置換;
(viii)位置29のThrの、荷電アミノ酸による置換;
(ix)位置29のThrの、Lys、Arg、His、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる荷電アミノ酸による置換;
(x)位置29の、Asp、Glu、又はLysによる置換;
(xi)位置29の、Gluによる置換;
(xii)位置29後への、1−3荷電アミノ酸の挿入;
(xiii)位置29後への、Glu又はLysの挿入;
(xiv)位置29後への、Gly−Lys、又はLys−Lysの挿入、又は、それらの組み合わせ。
GLP−1受容体アゴニスト活性、グルカゴン受容体アンタゴニスト活性、ペプチド溶解度、及び/又は、ペプチド安定性を高める、上記の修飾は、いずれも、個別に、又は組み合わせて適用することが可能である。
<安定性を強化する修飾>
ある実施態様によれば、本明細書に開示されるクラス5ペプチドは、該クラス5ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸(位置24)に連結される、配列番号1421(GPSSGAPPS)、又は配列番号1450のアミノ酸配列を含む様にさらに修飾し、減量の誘導、又は体重維持支援のために個体に投与することが可能である。より詳細には、クラス5ペプチドは、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、配列番号1408,配列番号1409、配列番号1412、配列番号1413、配列番号1414、配列番号1416、配列番号1417、配列番号1418、配列番号1419、配列番号1422、配列番号1423,配列番号1424、及び配列番号1425から成る群から選ばれる配列を含み、さらに、該クラス5ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸(位置24)に連結される、配列番号1421(GPSSGAPPS)、又は配列番号1450のアミノ酸配列を含み、食欲の抑制、及び、減量誘導及び/又は体重維持のために使用される。ある実施態様では、投与されるペプチド、すなわちクラス5ペプチドは、配列番号1416、配列番号1417、配列番号1418、及び配列番号1419から成る群から選ばれる配列を含み、さらに、クラス5ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸(位置24)に連結される配列番号1421(GPSSGAPPS)を含む。ある実施態様では、方法は、配列番号1445又は配列番号1446の配列を含む、ペプチドすなわちクラス5ペプチドを含む。
したがって、本明細書に開示されるクラス5ペプチドは、水性バッファーにおける早すぎる化学的切断に対する感受性を下げるため同様に修飾することが可能であることが期待される。ある実施態様によれば、クラス5ペプチドは、水溶液中での安定性を強化するために、天然グルカゴンペプチドの対応する位置15にある天然アスパラギン酸を、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸で置換することによってさらに修飾することが可能である。ある実施態様によれば、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408のクラス5ペプチドの位置10におけるアスパラギン酸は、システイン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれるアミノ酸によって置換することが可能であり、ある実施態様では、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408の位置10の天然アスパラギン酸は、グルタミン酸によって置換される。ある実施態様によれば、水溶液中での安定性が高められたクラス5ペプチドが提供され、このアンタゴニストは配列番号1409を含み、ここで、修飾は、配列番号1409の位置10のAspのGluによる置換を含む。ある実施態様では、配列番号1422、配列番号1423,配列番号1424、及び配列番号1425から成る群から選ばれる配列を含むクラス5ペプチドが提供される。ある実施態様では、クラス5ペプチドはアミド化される。
天然グルカゴンの位置15−16のAsp−Ser配列は、水性バッファー中で天然ホルモンの早すぎる化学的切断を招く、独特の不安定なジペプチドであることが特定された。例えば、0.01N HClにおいて37℃で2週間維持されると、天然グルカゴンの50%よりも多くが切断されて断片化される。解離した二つの切断ペプチド1−15及び16−29は、グルカゴン様生物活性を欠き、したがって、グルカゴンとその関連類縁体の水性の予備処方に関する限界を呈示する。天然グルカゴンペプチドの位置15のAspの、Gluによる選択的化学的置換は、15−16ペプチド結合の化学的切断をほぼ排除することが観察された。
さらに別の例示的実施態様では、上記化合物のいずれも、ペプチドの経時的分解、特に酸性又はアルカリ性バッファーにおける分解を抑えるために、天然グルカゴンの位置15又は16に対応するアミノ酸を修飾することで溶解度を高めるよう、さらに修飾することが可能である。
<溶解度を強化する修飾>
クラス5ペプチドはさらに、グルカゴンアンタゴニスト活性及びGLP−1アゴニスト活性を保持しながら、生理的pHの水溶液中での該ペプチドの溶解度を向上させるように修飾することが可能である。配列番号1405のペプチドの位置12、15、16、19、及び24、又は、配列番号1406のペプチドの位置12、16、19、又は24に親水性基を導入することによって、母体化合物のグルカゴンアンタゴニスト活性及びGLPアゴニスト活性を保持しながら、得られるクラス5ペプチドの、生理的pHを有する溶液に対する溶解度を向上させることが可能である。したがって、ある実施態様では、本開示のクラス5ペプチドはさらに、配列番号1405又は配列番号1406のペプチドのアミノ酸位置12、15、16、19、及び24に対応するアミノ酸の側鎖に共有結合される、一つ以上の親水性基を含むように修飾される。さらに別の実施態様では、配列番号1405又は配列番号1406のペプチドのアミノ酸位置16及び19に対応するアミノ酸の側鎖は、親水性成分に共有結合され、ある実施態様では、この親水性基は、ポリエチレングリコール(PEG)である。
クラス5関連ペプチドは、該ペプチドのアゴニスト特性を保持しながら、該ペプチドの溶解度を強化するために、そのカルボキシ末端に電荷を導入することによって修飾することが可能である。この溶解度の強化は、ほぼ中性pHにおけるグルカゴン溶液の調製及び保存を可能とする。比較的中性のpH(例えば、約6.0から約8.0のpH)におけるグルカゴン溶液の調製は、クラス5ペプチドの長期の安定性を高める。
本出願人らは、本明細書に開示されるクラス5ペプチドは、ある場合には、グルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1活性を保持しながら、比較的中性なpH(例えば、約6.0から約8.0のpH)の水溶液に対するその溶解度を強化するよう同様に修飾することが可能であることを期待する。したがって、ある実施態様は、野生型グルカゴン(配列番号1401)の位置6−29の天然アミノ酸に対してさらに修飾される、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407,又は配列番号1408のグルカゴンアゴニスト/GLP−1に関し、該ペプチドは、天然の非荷電アミノ酸を荷電アミノ酸によって置換することによって、又は、荷電アミノ酸をカルボキシ末端に付加することによって該ペプチドに電荷を加えるために、さらに修飾されている。ある実施態様によれば、本明細書に開示のクラス5ペプチドの非荷電性天然アミノ酸の内1から3個が、荷電アミノ酸によって置換される。ある実施態様では、荷電アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、及びグルタミン酸から成る群から選ばれる。より詳細には、本出願人らは、位置28及び/又は29(天然グルカゴンに対し)に対応して通常出現するアミノ酸を荷電アミノ酸によって置換すること、及び/又は、クラス5ペプチドのカルボキシ末端に一つ又は二つの荷電アミノ酸を付加することは、生理的関連pH(すなわち、約6.5から約7.5のpH)の水溶液中でのクラス5ペプチドの溶解度及び安定生を強化することを発見した。したがって、クラス5ペプチドのこのような修飾は、母体ペプチドの生物活性を保持しながら、水溶液、とくに約5.5から約8.0の範囲のpHの水溶液に対する溶解度において同様の作用を及ぼすことが期待される。
ある実施態様によれば、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408のクラス5ペプチドは、これらの配列の位置23及び/又は24の天然アミノ酸の、負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)による置換により修飾されており、さらに、ペプチドのカルボキシ末端に対する負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)の付加によって修飾されてもよい。別の実施態様では、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408のクラス5ペプチドは、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、又は配列番号1408の位置24の天然アミノ酸の、正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、又はヒスチジン)による置換により修飾されており、さらに、ペプチドのカルボキシ末端に対する、一つ又は二つの正荷電アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、又はヒスチジン)の付加によって修飾されてもよい。ある実施態様によれば、配列番号1415又は配列番号1451のアミノ酸配列を含むクラス5ペプチドであって、溶解度及び安定生が高められるペプチドが提供されるが、ただし、配列番号1415又は配列番号1451の位置23又は24の少なくとも一つのアミノ酸が酸性アミノ酸によって置換され、及び/又は、追加の酸性アミノ酸が、配列番号1415又は配列番号1451のカルボキシ末端に付加されるものとする。ある実施態様では、酸性アミノ酸は、それぞれ独立に、Asp、Glu、システイン酸、及びホモシステイン酸から成る群から選ばれる。
ある実施態様によれば、溶解度及び安定生が高められたクラス5ペプチドが提供され、ここで、このアンタゴニストは、配列番号1416、配列番号1417、配列番号1418、又は配列番号1419を含む。ある実施態様では、配列番号1416又は配列番号1417の配列を含むグルカゴンアゴニストが提供される。ある実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1420の配列を含む。
ある実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451の配列を含むクラス5ペプチドが提供される。ある実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451の位置4は、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモグルタミン酸、システイン酸、又はホモシステイン酸であり、ある実施態様では、位置4は、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、又はホモシステイン酸であり、さらに別の実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451の位置4は、アスパラギン酸、又はグルタミン酸であり、ある実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451の位置4は、アスパラギン酸である。ある実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451の配列を含むクラス5ペプチドが提供され、ここで、配列番号1415の位置4はアスパラギン酸であり、配列番号1415の位置10はグルタミン酸である。さらに別の実施態様では、配列番号1415又は配列番号1451のC−末端アミノ酸は、天然のカルボン酸基を、荷電中性基、例えば、アミド又はエステルで置換するように修飾される。
<クラス5ペプチド融合体>
さらに別の実施態様では、本明細書に記載されるクラス5ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸は、配列番号1421、1426、1427、及び1450から成る群から選ばれる配列を含む第2のペプチドに共有結合される。例えば、ある実施態様では、配列番号1415、配列番号1451、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、配列番号1408、又は配列番号1412、配列番号1413、配列番号1414、配列番号1416、配列番号1417,配列番号1418、配列番号1419、又は配列番号1422、配列番号1423、配列番号1424、及び配列番号1425のクラス5ペプチドは、配列番号1421(GPSSGAPPPS)、配列番号1426(KRNRNNIA)、配列番号1427(KRNR)、及び配列番号1450(GPSSGAPPPSX)から成る群から選ばれる配列を含む第2ペプチドに共有結合される。
ある実施態様では、配列番号1405、配列番号1406、配列番号1407、配列番号1408、又は配列番号1409、配列番号1422、配列番号1423、配列番号1424、及び配列番号1425(クラス5ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸に連結される配列番号1421(GPSSGAPPPS)をさらに含む)から成る群から、それぞれ独立に選ばれる二つの配列を含む、クラス5ペプチド二量体が提供される。
ある実施態様では、クラス5ペプチドはさらに、該ペプチドのC−末端の、一つ又は二つのアミノ酸の短縮又は欠失(天然グルカゴンの位置29、又は位置28及び29のアミノ酸の短縮)によって修飾される。短縮は、クラス5ペプチドの活性(例えば、グルカゴンアンタゴニスト作用/GLP−1アゴニスト作用)に影響を及ぼさないことが好ましい。
<クラス5ペプチド結合体>
グルカゴンペプチドが結合体成分に連結される、クラス5ペプチド結合体も提供され、この連結は、共有結合を介してでも、リンカーを介してでもよい。
クラス5ペプチドがポリエチレングリコール鎖を含む実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、直鎖状であってもよいし、分枝していてもよい。ある実施態様によれば、ポリエチレングリコール鎖は、約500から約10,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000から約5,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000から約2,000ダルトンの範囲から選ばれる平均分子量を有する。ある実施態様では、ポリエチレングリコール鎖は、約1,000ダルトンの平均分子量を有する。
ある実施態様では、PEG化クラス5ペプチドは、配列番号1415又は配列番号1451の配列から成るペプチドを含み、ここで、ポリエチレングリコール鎖は、配列番号1415又は配列番号1451の位置11、12、15、16、19、及び24から選ばれるアミノ酸に連結され、PEG鎖の分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。ある実施態様では、PEG化クラス5ペプチドは、配列番号1415又は配列番号1451の配列から成るペプチドを含み、ここで、ポリエチレングリコール鎖は、配列番号1415又は配列番号1451の位置16又は19のアミノ酸に連結され、PEG鎖の分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。さらに別の実施態様では、修飾型クラス5ペプチドは、該ペプチドに共有結合される2本以上のポリエチレングリコール鎖を含み、ここで、グルカゴン鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。ある実施態様では、クラス5ペプチドは、配列番号1415又は配列番号1451の配列を含み、ここで、ポリエチレングリコール鎖は、配列番号1415又は配列番号1451の位置16及び19のアミノ酸に連結され、2本のPEG鎖の合計分子量は、約1,000から約5,000ダルトンである。
クラス5グルカゴン関連ペプチドは、配列番号1401−1518の内のいずれかのアミノ酸配列を有し、さらに、グルカゴンアンタゴニスト及びGLP−1アゴニスト活性を保持する、最大1、2、3、4、又は5個のさらなる修飾を伴っていてもよい。
<使用方法>
<グルカゴンスーパーファミリーペプチド>
一般に、グルカゴンスーパーファミリーペプチド、又は、クラス1、2、3、4、又は5などのグルカゴン関連ペプチドを含むプロドラッグは、グルカゴンスーパーファミリーペプチド、及びグルカゴン関連ペプチドが従来使用されてきた目的(例えば、本明細書に詳述される通り)のためであるならば、いずれの目的のために使用してもよい。例えば、開示の生物活性ペプチドプロドラッグは、対応する母体の生物活性ペプチドについて従来から記載されている使用であるならば、いずれの使用のためにも好適であると考えられる。したがって、本明細書に記載されるグルカゴン関連ペプチドプロドラッグ類縁体は、低血糖症、高血糖症、糖尿病、又は、高い/低い血中グルカゴン濃度、又は高い/低い血中グルコース濃度によって生じる他の代謝性疾患、の治療に使用することが可能である。ある実施態様によれば、本明細書に開示されるプロドラッグによって治療の対象とされる患者は飼養動物、別の実施態様では、治療の対象とされる患者はヒトである。
ある実施態様では、プロドラッグは、食欲の減退又は抑制、食物摂取の低下、減量の誘導、又は体重維持の支援のために使用される。食欲の抑制又は減量の促進のためのこれらの方法は、体重低下、体重増加の阻止、又は、様々な原因による肥満症、例えば、薬剤誘発性肥満症などの治療、肥満症に伴う合併症、例えば、血管病(冠状動脈疾患、発作、末梢血管病、虚血再還流など)、高血圧、II型糖尿病の開始、高脂血症、及び筋骨格系疾患の治療に有用であることが期待される。
他の実施態様では、本プロドラッグは、病院環境において非糖尿病患者に対し、例えば、非経口的栄養補給、又は、非経口的完全栄養補給を受ける患者に対し、栄養素の非経口的投与と組み合わせて使用される。非限定的例として、外科患者、昏睡患者、消化器病、又は非機能的消化管(例えば、外科的切除、遮断又は吸収能力阻害、クローン病、潰瘍性大腸炎、消化管閉塞、消化管フィステル、急性膵臓炎、虚血性腸疾患、消化器大手術、ある種の先天的消化管異常、慢性下痢、又は手術による短腸症候群、ショック患者が挙げられるが、治癒過程を経過しつつある患者も、様々な組み合わせの脂質、電解質、ミネラル、ビタミン、及びアミノ酸と共に、炭水化物の非経口投与を受けることが多い。グルカゴンスーパーファミリーペプチドプロドラッグと非経口栄養補給組成物とは、該グルカゴンスーパーファミリーペプチドプロドラッグが、非経口栄養補給組成物が消化されつつある時間にその所望の生物作用を実行する限りにおいて、同時に、別の時点で、それぞれの前、又は後に、投与することが可能である。例えば、非経口栄養補給物は、1日当たり1、2、又は3回投与してもよく、一方、グルカゴンスーパーファミリーペプチドプロドラッグは、一日おきに1回、週に3回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、又は月に1回投与される。
メタボリック症候群は、代謝性症候群X、インスリン耐性症候群、又はReaven’s症候群とも呼ばれるが、5千万を超える米国人を悩ます障害である。メタボリック症候群は、下記のリスク因子の内少なくとも三つ以上の集合によって特徴づけられる、すなわち:(1)下腹の肥満(下腹内及びその周囲における過度の脂肪組織)、(2)アテローム誘因性異脂肪血症(動脈壁におけるプラークの堆積を強化する、高トリグリセリド、低HDLコレステロール、及び高LDLコレステロール)、(3)高血圧、(4)インスリン耐性、又はグルコース不耐性、(5)血栓形成前状態(例えば、フィブリノーゲン又はプラスミノーゲンアクチベーター抑制因子−1の高い血中濃度)、及び(6)炎症促進状態(例えば、C−反応タンパクの高い血中濃度)である。他のリスク因子としては、加齢、ホルモン不均衡、及び遺伝的素因が挙げられる。
メタボリック症候群は、冠動脈心疾患、及び、心臓発作、及びアテローム硬化性循環器病(ASCVD)と呼ばれる末梢血管病など、血管プラークの堆積と関連する障害のリスク増大と相関する。メタボリック症候群の患者は、早期のインスリン耐性状態から完全なII型糖尿病へ進行する可能性があり、さらにASCVDのリスク増大を伴う。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、インスリン耐性、メタボリック症候群、及び血管病は、一つ以上の共時的病原機序、例えば、インスリン刺激血管拡張障害、酸化ストレスの強化による、インスリン耐性関連のNOアベイラビリティーの低下、及び、アディポネクチンなどの脂肪細胞由来ホルモンの異常(Lteif and Mather,Can.J.Cardiol.20(suppl.B):66B−76B(2004))を含む可能性がある。
2001 National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel(ATP III)によれば、同一人において下記の特徴の内の任意の三つがあれば、メタボリック症候群の基準に合致する:(a)下腹部の肥満(腹囲が、男性で102cmを上回り、女性で88cmを上回る);(b)血清トリグリセリド(150mg/dl以上);(c)HDLコレステロールが、男性で40mg/dl以下、女性で50mg/dl以下);(d)血圧(130/85以上);及び、(e)空腹時血糖(110mg/dl以上)。世界保健機構(WHO)によれば、インスリン濃度が高く(高い空腹時血糖、又は高い食後血糖単独)、さらに下記の基準の内少なくとも二つを伴う個人は、メタボリック症候群の基準に合致する、すなわち:(a)下腹部の肥満(ウェスト対ヒップ比が0.9より大、ボディマス指数が少なくとも30kg/m2、又は、ウェスト測定値が37インチよりも大);(b)コレステロールパネルにおいて、トリグリセリドレベルが少なくとも150mg/dl、又はHDLコレステロールが35mg/dl未満;(c)血圧が140/90以上、又は、高血圧で治療中)(Mathur, Ruchi,”Metabolic Syndrome,”ed.Shiel,Jr.,William C.,MedicineNet.com,May 11,2009)。
本発明の目的のためには、ある個人が、2001 National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel又はWHOによって設けられた基準のどちらか又は両方の基準に合致した場合、その個人は、メタボリック症候群に罹患しているものと見なされる。
いかなる特定理論にも拘束されるものではないが、本明細書に記載されるグルカゴンペプチドは、メタボリック症候群の治療に有用である。したがって、本発明は、対象に対し、メタボリック症候群を予防又は治療し、又は、そのリスク因子の内の一つ、二つ、三つ以上を抑えるための方法であって、該対象に、メタボリック症候群、又はそのリスク因子の予防又は治療に有効な量として、本明細書に記載のグルカゴンペプチドを投与することを含む方法を提供する。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、単純脂肪肝(脂肪症)から、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変(肝臓の、非可逆的な高度の瘢痕形成)に至る広範な肝臓疾患を指す。NAFLDの各段階は、全て、肝臓細胞(肝細胞)における脂肪の沈着(脂肪浸潤)を共有する。単純脂肪肝は、炎症又は瘢痕形成を伴わない、肝細胞における、ある種の脂肪、トリグリセリドの異常な沈着である。NASHでは、脂肪沈着は、様々な程度の炎症(肝炎)、及び肝臓の瘢痕形成(線維症)と関連する。炎症細胞は、肝細胞を破壊する可能性がある(肝細胞壊死)。「steatohepatitis(脂肪性肝炎)」及び「steatonecrosis(脂肪性壊死)」という用語において、steato(脂肪)とは脂肪浸潤を指し、hepatitisとは肝臓の炎症を指し、necrosisとは破壊された肝臓細胞を指す。NASHは、最終的には、肝臓の瘢痕形成(線維症)に、次いで、非可逆的な、高度の瘢痕形成(肝硬変)に至る可能性がある。NASHによって引き起こされる肝硬変は、NAFLDスペクトラムにおいて最後で、もっとも重篤な段階である(Mendler,Michel,”Fatty Liver: Nonalcoholic Fatty Liver Disease(NAFLD) and Nonalcoholic Steatohepatitis(NASH),”ed.Schoenfield,Leslie J.,MedicineNet.com,August 29,2005)。
アルコール性肝疾患、又はアルコール誘発肝疾患は、アルコールの過度の消費と関連するか、又は過度の消費によって引き起こされる、三つの、病理学的に異なる肝臓疾患を包含する、すなわち:脂肪肝(脂肪症)、慢性又は急性肝炎、及び肝硬変である。アルコール性肝炎は、検査異常値が病気の唯一の兆候である穏やかな肝炎から、黄疸(ビリルビン停留によって引き起こされる黄色皮膚)、肝性脳障害(肝不全によって引き起こされる神経学的機能不全)、腹水(腹部の液体貯留)、出血性食道静脈瘤(食道静脈瘤)、異常な血液凝固及び昏睡などの合併症を伴う重度の肝臓機能障害にまで亘る可能性がある。組織学的には、アルコール性肝炎は、肝細胞の膨隆変性、好中球、時にマロリー小体(細胞中間体フィラメントタンパクの異常な蓄積)を伴う炎症を有する独特の外観を呈する。肝硬変は、解剖学的には、線維症と結びついた、肝臓に広範に分布する結節によって特徴づけられる。(Worman,Howard J.,”Alcoholic Liver Disease,”Columbia University Medical Center website)。
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本明細書に記載されるクラス2及びクラス3グルカゴン関連ペプチドは、アルコール性肝疾患又はNAFLDの治療に、その段階のいずれを問わず、例えば、脂肪症、脂肪性肝炎、肝炎、肝臓炎症、NASH、肝硬変、又はその合併症などの治療に有用である。したがって、本発明は、対象に対し、アルコール性肝疾患、NAFLD、又はその任意の段階を予防又は治療するための方法であって、該対象に、アルコール性肝疾患、NAFLD、又はその任意の段階を予防又は治療するのに有効な量として、本明細書に記載のクラス2又はクラス3グルカゴンペプチドを投与することを含む方法を提供する。この治療法は、下記の内の一つ、二つ、三つ、又はそれ以上における低減を含む:肝脂肪含量、肝硬変の発生率又は進行、肝細胞癌の発生率、炎症兆候、例えば、異常な肝臓酵素レベル(例えば、アスパルテートアミノトランスフェラーゼAST及び/又はアラニンアミノトランスフェラーゼALT、又はLDH)、高い血清ビリルビン、及び/又は線維症の兆候、例えば、高いTGF−ベータレベル。好ましい実施態様では、クラス2又はクラス3グルカゴンペプチドは、単純脂肪肝(脂肪症)を超えて進行し、炎症又は肝炎の兆候を示す患者の治療に使用される。この方法は、例えば、AST及び/又はALTレベルの低下をもたらしてもよい。
GLP−1及びエキセンディン−4は、若干の神経保護作用を持つことが示されている。本発明はさらに、グルカゴンスーパーファミリーペプチドの、神経変性疾患、例えば、ただしこれらに限定されないが、以下の疾患の治療における使用を提供する:アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、他の脱髄関連疾患、老年性痴呆、皮質下痴呆、動脈硬化痴呆、エイズ関連痴呆又は他の痴呆、中枢神経系癌、外傷性脳傷害、脊髄傷害、卒中又は脳虚血症、脳血管炎、てんかん、ハンチントン病、ツレット症候群、ギャンバレー症候群、ウィルソン病、ピック病、神経炎症障害、脳炎、脳脊髄炎、又は、ウィルス性、真菌性、又は細菌性髄膜炎、又は、その他の中枢神経系感染症、プリオン病、小脳性運動失調、小脳変性、脊髄小脳変性症候群、フリートライヒ運動失調、毛細管拡張性運動失調、spinal dysmyotrophy、進行性核上麻痺、ジストニー、筋痙攣、振戦、色素性網膜炎、線条体黒質変性、mitochondridal encephalo−myopathies,神経セロイドリポフスチン症、肝性脳症、腎性脳症、代謝性脳症、トキシン誘発脳症、及び放射線誘発脳傷害。
したがって、本発明は、対象に対し、神経変性疾患を予防又は治療するための方法、又は、その、一つ、二つ、三つ以上のリスク因子を抑えるための方法であって、該対象に、神経変性疾患又はそのリスク因子を予防又は治療するのに有効な量として、本明細書に記載のグルカゴンペプチドを投与することを含む方法を提供する。
本発明による治療法は、患者に対し、ここに開示のプロドラッグを、任意の標準的投与ルートを用いて、例えば、非経口的、例えば、静脈内、腹腔内、皮下又は筋肉内、硬膜下腔内、経皮的、直腸内、経口的、鼻腔内、又は吸引などのルートを用いて投与する工程を含む。ある実施態様では、組成物は、皮下又は筋肉内に投与され、デポ剤中に又は徐放剤として投与されてもよい。
<組成物及び併用>
本発明のプロドラッグは、単独で、若しくは、抗糖尿剤又は抗肥満剤と組み合わせて投与してもよい。ある態様では、プロドラッグは、第2のプロドラッグ、又はグルカゴンスーパーファミリーのメンバー、例えば、グルカゴン関連ペプチドなどと組み合わせて投与される。ある実施態様では、プロドラッグは、抗糖尿病剤、例えば、ただしこれらに限定されないが、以下の薬剤と組み合わせて投与される:スルフォニルウレア、例えば、トルブタミド(Orinase)、アセトヘキサミド(Dymelor)、トラザミド(Tolinase)、クロールプロパミド(Diabinese)、グリピジド(Glucotrol)、グリブリド(Diabeta、Micronase、Glynase)、グリメピリド(Amaryl)、又はグリクラジド(Diamicron);メグリニチド、例えば、レパグリニド(Prandin)、又はナテグリニド(Starlix);ビグアニド、例えば、メトフォルミン(Glucophage)、又はフェンフォルミン;チアゾリジンジオン、例えば、ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)、又はトログリタゾン(Rezulin)、又はその他のPPARγ阻害剤;炭水化物消化を抑制するアルファグルコシダーゼ阻害剤、例えば、ミグリトール(Glyset)、アカルボーゼ(Precose/Glucobay);エキセナチド(Byetta)、又はプラムリンチド;ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤;又は、FBPアーゼ(フラクトース、1,6−ビスフォスファターゼ)阻害剤。
当該技術分野で公知であるか又は研究中の抗肥満症剤としては、ただしこれらに限定されないが、食欲抑制剤、例えば、フェネチルアミン型刺激剤、フェンテルミン(フェンフルールアミン又はデキシフェンフルールアミンと併用しもよい)、ジエチルプロピオン(Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(Prelu−2(登録商標)、Bontril(登録商標))、ベンズフェタミン(Didrex(登録商標))、シブトラミン(Meridia(登録商標)、Recuctil(登録商標));リモナバント(Acomplia(登録商標))、他のカナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;フルオキセチン塩酸(Prozac);Qnexa(トピラメート及びフェンテルミン)、Excalia(ブプロピオン及びゾニサミド);Qnexa(ブプロピオン及びナルトレキソン);又は、リパーゼ阻害剤で、キセニカル(Orlistat)又はCetilistat(別名ATL−962)、又はGT389−255と類似のものが挙げられる。
本発明のプロドラッグはさらに、代謝性るいそうに罹患する患者に投与することが可能である。癌患者の半分以上が、望まない進行性の減量、脱力、及び、体脂肪と筋肉の低下によって特徴づけられるこの病を経験すると推定されている。この症候群は、同様にAIDS患者でも一般的であり、さらに、細菌性疾患及び寄生虫病、慢性関節リューマチ、及び、大腸、肝臓、肺、及び心臓の慢性疾患にも見られる場合がある。これは、通常、食欲不振と関連し、加齢による病態、又は物理的外傷の結果として表れる場合がある。代謝性るいそうは、クォリティオブライフを下げ、基礎疾患を悪化し、最大の死亡原因となる症状である。
本明細書に開示されるプロドラッグを含む医薬組成物は、当業者に公知の標準的な薬学的に許容される担体と投与ルートとを用いて、処方し、患者に投与することが可能である。したがって、本開示はさらに、一つ以上の、本明細書に開示されるプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。ある実施態様では、医薬組成物は、リン酸バッファーシステムの約4.0から約7.0のpHにおいて1mg/ml濃度のプロドラッグを含む。この医薬組成物は、プロドラッグを、唯一の薬学的活性成分として含んでもよいし、若しくは、プロドラッグは、一つ以上の追加の活性成分と組み合わせてもよい。ある実施態様によれば、本発明のプロドラッグを含む組成物が提供される。それとは別に、減量を誘導するか、又は、体重増加を阻止するための組成物であって、プロドラッグ及び抗肥満症剤を含む組成物が提供される。適切な抗肥満ペプチドとしては、米国特許第5,691,309、6,436,435号、又は米国特許出願第20050176643に開示されるものが挙げられる。
ある実施態様によれば、本明細書に開示の新規プロドラッグのいずれかを、好ましくは滅菌状態で、好ましくは、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度レベルにおいて含み、且つ、薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。この組成物は、本明細書に開示に開示される生物活性ペプチドプロドラッグ誘導体を含んでもよく、得られる活性ペプチドは、少なくとも0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、又はそれ以上の濃度で存在する。この組成物は、本明細書に開示されるクラス1、2、又は3の生物活性ペプチドプロドラッグ誘導体を含んでもよく、得られる活性ペプチドは、少なくともAの濃度で存在し、ここでAは、0.001mg/ml、0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、又はそれ以上である。別の実施態様では、この組成物は、クラス1、2、又は3の活性ペプチドを、B以下の濃度で含んでもよく、ここでBは、30mg/ml、25mg/ml、24mg/ml、23mg/ml、22mg/ml、21mg/ml、20mg/ml、19mg/ml、18mg/ml、17mg/ml、16mg/ml、15mg/ml、14mg/ml、13mg/ml、12mg/ml、11mg/ml、10mg/ml、9mg/ml、8mg/ml、7mg/ml、6mg/ml、5mg/ml、4mg/ml、3mg/ml、2mg/ml、1mg/ml、又は0.1mg/mlである。ある実施態様では、組成物は、クラス1、2、又は3グルカゴン関連ペプチドを、A〜B mg/mlの濃度範囲、例えば、0.001から30.0mg/mlの範囲で含んでもよい。ある実施態様では、医薬組成物は、滅菌され水溶液を含み、この水溶液は各種容器に納めて保存されてもよい。本発明の化合物は、注射用の事前処方液を調製するための特定の実施態様にしたがって使用することが可能である。別の実施態様では、医薬組成物は、凍結乾燥粉末を含む。医薬組成物はさらに、組成物を患者に投与するためのディスポーザブルデバイスを含むキットの一部として包装されてもよい。容器又はキットは、周囲の室温又は冷蔵温度において保存されるよう表示されてもよい。
本明細書に記載される、治療法、医薬組成物、キット、及びその他の同様の実施態様の全てにおいて、プロドラッグ化合物は、それらの薬学的に許容される全ての塩も含むことを意図する。
ある実施態様では、プロドラッグ組成物を患者に投与するためのデバイスを備えたキットが提供される。キットはさらに、各種容器、例えば、バイアル、チューブ、瓶などを含む。好ましくは、キットはさらに、使用説明書を含む。ある実施態様によれば、キットのデバイスは、エアロゾル・ディスペンサーであり、組成物は、該エアロゾルデバイスの中にあらかじめ封入される。別の実施態様では、キットはシリンジおよび針を含み、ある実施態様では、プロドラッグ組成物は、このシリンジの内部にあらかじめ封入される。
<クラス1、2、及び3グルカゴン関連ペプチドの医薬処方>
ある実施態様によれば、本開示のグルカゴンペプチド、又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、薬学的に許容される成分であるならばいずれのものを含んでもよく、その成分の例として、酸性化剤、添加剤、吸着剤、エロゾル推進剤、排気剤、アルカリ化剤、抗凝塊剤、抗凝固剤、抗菌性防腐剤、抗酸化剤、防腐剤、基剤、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、界面活性剤、希釈剤、消毒剤、崩壊剤、分散剤、溶解強化剤、染料、緩和剤、乳化剤、懸濁安定剤、充填剤、フィルム形成剤、芳香強化剤、芳香剤、流動強化剤、ゲル化剤、顆粒剤、保湿剤、潤滑剤、粘性接着剤、軟膏基剤、軟膏、油性ベヒクル、有機基剤、芳香性基剤、色素、可塑剤、研磨剤、防腐剤、隔離剤、封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐剤基剤、表面活性剤、界面活性剤、懸濁剤、甘味剤、治療剤、増粘剤、浸透圧剤、毒性剤、増粘剤、吸水剤、水混和性共溶媒、又は湿潤剤が挙げられる。
ある実施態様では、医薬組成物は、下記の成分の内のいずれか一つ、又は組み合わせを含む、すなわち:アカシア、アセスルファムカリウム、アセチルトリブチルクエン酸塩、アセチルトリエチルクエン酸塩、寒天、アルブミン、アルコール、脱水アルコール、変性アルコール、希釈アルコール、アロイリチン酸、アルギン酸、脂肪族ポリエステル、アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミニウムステアレート、アミロペクチン、α−アミロース、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、アスパルテーム、注入用静菌水、ベントナイト、ベントナイトマグマ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンゾイン酸、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、ブロノポル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベンナトリウム、カルシウムアルギネート、カルシウムアスコルベート、カルシウムカーボネート、カルシウムシクラメート、無水リン酸二塩基カルシウム、脱水リン酸二塩基カルシウム、リン酸三塩基カルシウム、カルシウムプロピオネート、カルシウムシリケート、カルシウムソルベート、カルシウムステアレート、カルシウムスルフェート、Calcium sulfate hemichydrate、カノーラ油、カルボマー、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、β−カロテン、カラゲナン、ひまし油、陽イオン性乳化ワックス、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、微細結晶セルロース、粉末状セルロース、ケイ化微細結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、クロールヘキシジン、クロールブタノール、クロロクレゾール、コレステロール、クロールヘキシジンアセテート、クロールヘキシジングルコネート、クロールヘキシジン塩酸、クロールフルオロエタン(HCFC)、クロロジフルオロメタン、クロロフルオロカーボン(CFC)、クロロフェノキシエタノール、クロールオキシレノール、コーンシロップ固形物、無水クエン酸、クエン酸一水塩、ココアバター、着色剤、コーン油、綿実油、クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、シクラミン酸、シクロデキストリン、デキストレート、デキストロース、無水デキストロース、ジアゾリジニルウレア、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエタノールアミン、ジエチルフタレート、ジフルオロエタン(HFC)、ジメチル−β−シクロデキストリン、シクロデキストリン型化合物、例えば、Captisol(登録商標)、ジメチルエーテル、ジメチルフタレート、二カリウムエデンテート、二ナトリウムエデンテート、二ナトリウム水素リン酸、ドキュセートカルシウム、ドキュセートカリウム、ドキュセートナトリウム、ドデシルガレート、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、エデンテートカルシウム二ナトリウム、エディチン酸、エグルミン、エチルアルコール、エチルセルロース、エチルガレート、エチルラルレート、エチルマルトル、エチルオレエート、エチルパラベン、エチルパラベンカリウム、エチルパラベンナトリウム、エチルバニリン、フルクトース、フルクトース液、フルクトース磨砕物、フルクトース非発熱性、粉末状フルクトース、フマル酸、ゼラチン、グルコース、液体グルコース、飽和植物脂肪酸のグリセリド混合物、グリセリン、グリセリルベヘネート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、自己乳化グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミチオステアレート、グリシン、グリコール、グリコフロール、グアゴム、ヘプタフルオロプロパン(HFC)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、高フルクトースシロップ、ヒト血清アルブミン、炭化水素(HC)、希塩酸、水素添加植物油II型、ヒドロキシエチルセルロース、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、イミド尿素、インディゴカルミン、イオン交換剤、鉄酸化物、イソプロピルアルコール、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、等張食塩水、カオリン、乳酸、ラクチトール、ラクトース、ラノリンアルコール、無水ラノリン、レシチン、マグネシウムアルミニウムシリケート、マグネシウムカーボネート、通常マグネシウムカーボネート、マグネシウムカーボネート無水物、マグネシウムカーボネート水酸化物、水酸化マグネシウム、マグネシウムラルリルスルフェート、酸化マグネシウム、マグネシウムシリケート、マグネシウムステアレート、マグネシウムトリシリケート、マグネシウムトリシリケート無水物、リンゴ酸、麦芽、マルチトール、マルチトール液、マルトデキストリン、マルトール、マルトース、マンニトール、中等鎖トリグリセリド、メグルミン、メントール、メチルセルロース、メチルメタクリレート、メチルオレエート、メチルパラベン、メチルパラベンカリウム、メチルパラベンナトリウム、微細結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、鉱油、軽油、鉱油及びラノリンアルコール、オイル、オリーブオイル、モノエタノールアミン、モントモリロナイト、オクチルガレート、オレイン酸、パルミチン酸、パラフィン、ピーナツ油、ワセリン、ワセリン及びラノリンアルコール、pharmaceutical glaze、フェノール、液化フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルエチルアルコール、フェニル水銀アセテート、フェニル水銀ボレート、フェニル水銀ナイトレート、ポラクリリン、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレート、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、ポリメタクリレート、ポリエチレンアウキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、カリウムアルギネート、カリウムベンゾエート、重炭酸カリウム、二亜硫酸二カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カリウム無水物、リン酸水素カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、一塩基リン酸カリウム、カリウムプロピオネート、カリウムソルベート、ポビドン、プロパノール、プロピオン酸、プロピオンカーボネート、プロピレングリコール、プロピレングリコールアルギネート、プロピルガレート、プロピルパラベン、プロピルパラベンカリウム、プロピルパラベンナトリウム、プロタミンスルフェート、なたね油、リンゲル液、サッカリン、サッカリンアンモニウム、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サフラワー油、サポナイト、血清タンパク、ごま油、コロイド状シリカ、コロイド状二酸化シリコン、ナトリウムアルギネート、ナトリウムアスコルベート、ナトリウムベンゾエート、重炭酸ナトリウム、二亜硫酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水物、塩化ナトリウム、ナトリウムシクラメート、ナトリウムエデンテート、ナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート、メタ重亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム二塩基、リン酸ナトリウム一塩基、リン酸ナトリウム三塩基、無水ナトリウムプロピオネート、ナトリウムプロピオネート、ナトリウムソルベート、ナトリウム澱粉グリコレート、ナトリウムステアリルフマレート、亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪酸エステル)、ソルビトール、ソルビトール液70%、大豆油、鯨ワックス、澱粉、コーンスターチ、じゃがいも澱粉、ゼラチン化澱粉、滅菌可能とうもろこし澱粉、ステアリン酸、精製ステアリン酸、ステアリルアルコール、スクロース、糖、圧縮性糖、粉砂糖、丸砂糖、転化糖、Sugartab、Sunset Yellow FCF、合成パラフィン、タルク、酒石酸、タルトラジン、テトラフルオロエタン(HFC)、テオブロマ油、チメロサル、二酸化チタン、アルファトコフェロール、トコフェリルアセテート、ガンマ−トコフェロール、トラガカント、トリアセチン、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、トリメチル−β−シクロデキストリン、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド、トリスバッファー、三ナトリウムエデンテート、バニリン、I型水素添加植物油、水、軟水、硬水、二酸化炭素非含有水、発熱物質非含有水、注射用水、吸引用滅菌水、洗浄用滅菌水、ワックス、陰イオン乳化ワックス、カルナウバワックス、陽イオン乳化ワックス、鯨エステルワックス、微細結晶ワックス、非イオン性乳化ワックス、坐剤ワックス、白色ワックス、黄色ワックス、白色ワセリン、ウールワックス、キサンタンゴム、キシリトール、ザイン、亜鉛プロピオネート、亜鉛塩、亜鉛ステアレート、又は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,A.H.Kibbe(Pharmaceutical Press,London,UK,2000)中の任意の賦形剤である。なお、この文書の全体を引用により本明細書に含める。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)(その全体を引用により本明細書に含める)は、薬学的に許容される組成物の処方に使用される各種成分、及び、その調製のための公知の技術を開示する。あらゆる従来の薬剤について、それが本医薬組成物に対して不適合である場合を除いて、医薬組成物におけるその使用が考慮の対象とされる。補助的活性成分も、本組成物の中に組み込むことが可能である。
本明細書に開示される医薬処方は、後述するように、短期作用性、急速放出性、長期作用性、持続放出性となるように設計してもよい。この医薬処方はさらに、瞬間的放出、調節的放出、又は緩慢放出のために処方されてもよい。本組成物はさらに、例えば、ミセル又はリポソーム、又は、他のカプセル封入剤形を含んでもよく、若しくは、長期の保存及び/又は送達作用を実現するよう、徐放剤形として投与されてもよい。本開示の医薬処方は、いかなる投与スケジュールにしたがって投与されてもよく、例えば、毎日(1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回)、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、毎週、2週に1回、3週に1回、毎月、又は2ヶ月に1回投与されてもよい。
ある実施態様では、医薬組成物において、上述の成分(単数又は複数)はいずれの濃度で存在してもよく、例えば、少なくともA濃度で存在してもよく、ここで、Aは、0.0001%w/v、0.001%w/v、0.01%w/v、0.1%w/v、1%w/v、2%w/v、5%w/v、10%w/v、20%w/v、30%w/v、40%w/v、50%w/v、60%w/v、70%w/v、80%w/v、又は90%w/vである。ある実施態様では、医薬組成物において、上述の成分(単数又は複数)はいずれの濃度で存在してもよく、例えば、B以下の濃度で存在してもよく、ここで、Bは、90%w/v、80%w/v、70%w/v、60%w/v、50%w/v、40%w/v、30%w/v、20%w/v、10%w/v、5%w/v、2%w/v、1%w/v、0.1%w/v、0.001%w/v、又は0.0001%w/vである。他の実施態様では、医薬組成物において、上述の成分(単数又は複数)はいずれの濃度範囲で存在してもよく、例えば、約Aから約Bまでの範囲で存在してもよい。
医薬組成物は、生理的適合性のあるpHを実現するよう処方されてもよい。ある実施態様では、医薬組成物のpHは、処方及び投与ルートに応じて、少なくとも5、少なくとも5.5、少なくとも6、少なくとも6.5、少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8、少なくとも8.5、少なくとも9、少なくとも9.5、少なくとも10、又は、少なくとも10.5で、最大pH11(を含む)までである。ある実施態様では、医薬組成物は、生理的適合pHを実現するために緩衝剤を含んでもよい。緩衝剤は、所望のpHに緩衝させることが可能なものであればいずれの化合物であってもよく、例えば、リン酸バッファー(例えば、PBS)、トリエタノールアミン、Tris、ビシン、TAPS、トリシン、HEPES、TES、MOPS、PIPES、カコジレート、MESなどが挙げられる。ある実施態様では、バッファーの強度は、少なくとも0.5mM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも90mM、少なくとも100mM、少なくとも120mM、少なくとも150mM、又は少なくとも200mMである。ある実施態様では、バッファーの強度は、300mM以下(例えば、たかだか200mM、たかだか100mM、たかだか90mM、たかだか80mM、たかだか70mM、たかだか60mM,たかだか50mM、たかだか40mM、たかだか30mM、たかだか20mM、たかだか10mM、たかだか5mM、たかだか1mM)である。
本明細書に開示の化合物は、標準的合成法、組み換えDNA技術、又は、ペプチド及び融合タンパクを調製する、他の任意の方法によって調製されてよい。ある種の非天然アミノ酸は、標準的組み換えDNA技術では発現させることができないけれども、それらの調製技術は当該技術分野において公知である。非ペプチド部分を包含する、本発明の化合物は、適用可能であれば標準的ペプチド化学反応でもよいが、それ以外にも、標準的有機化学反応によって合成されてもよい。
〔実施例〕
<一般的PEG化プロトコール:(Cys−マレイミド)>
典型的には、Cysを含むグルカゴン関連ペプチドは、リン酸緩衝生理的食塩水(5−10mg/ml)に溶解し、0.01Mメチレンジアミンテトラ酢酸を加える(全体体積の10−15%)。過剰(2倍)なマレイミドメトキシPEG試薬(Dow)を加え、反応の進行を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって監視しながら、反応物を室温で攪拌した。8−24時間後、反応混合物を酸性化し、精製のために分取用逆相カラムに負荷した。このために、勾配モードで0.1%テトラフルオロ酢酸(TFA)/アセトニトリルを用いた。適当な分画をまとめて凍結乾燥したところ、所望のPEG化誘導体が得られた。
〔実施例1〕
<モデルペプチドに関するジペプチド切断半減期(PBS中)の定量>
モデルヘキサペプチド(HSRGTF−NH2;配列番号715)を、アミド結合を介して該ヘキサペプチドに連結する各種ジペプチドの半減期を定量するためのモデルとして使用した。ヘキサペプチドは、ペプチド合成機上で構築した。合成が切れ目なく行われ、且つ、延長可能なN−末端が無事存在することを確認するために、ペプチド結合樹脂をフッ化水素酸(HF)によって切断し、分析した。次に、Boc−保護サルコシン及びリシンを、順次このペプチド結合樹脂に導入してペプチドA(ジペプチド+モデルペプチド)を生産した。ペプチドAは、HFによって切断し、分取用HPLCによって精製した。
<HPLCによる分取精製>
精製は、シリカ充填1x25cm Vydac C18(5μ粒径、300Å孔径)カラムによるHPLC分析を用いて実行した。使用した装置は下記の通り:Waters Associatesモデル600ポンプ;インジェクター、モデル717、及びUV検出器、モデル486。全てのサンプルについて230nmの波長を用いた。溶媒Aは、蒸留水に溶解した10%CH3CN/0.1%TFAを含み、溶媒Bは、CH3CNに溶解した0.1%TFAを含んでいた。直線勾配を用いた(0から100%B、2時間)。流速は10ml/分で、分画サイズは4mlであった。約150mgの粗製ペプチドから、30mgの純粋ペプチド(約20%の収率)が得られた。
ペプチドAは、1mg/mlの濃度でリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)バッファーに溶解した。次に、これを、水浴中で37℃でインキュベートした。分析サンプルは、種々の時点(5時、8時、24時、31時、及び47時間後)で収集し、ジペプチド切断は、等容量の0.1%TFAで停止させた。HPLCを用いて切断反応を監視した。データは、液体クロマトグラフィー・質量分析(LC−MS)によって定性的に監視し、HPLCによって定量的に調べた。保持時間及び相対的ピーク面積は、Peak Simple Chromatographyソフトウェアを用いて得た。
<質量分光測定による分析>
質量スペクトラムは、標準的電子スプレーイオン化(ESI)イオン源を備えた、Sciex API−IIIエレクトロスプレー四重極質量分析計を用いて得た。使用したイオン化条件は下記の通り:ESI、陽極イオンモード;イオンスプレー電圧、3.9kV;オリフィス電位、60V。使用した噴霧・カーテンガスは、0.9L/分流速の窒素である。質量スペクトラムは、600−1800トンプソン(Th)から、ステップ当たり0.5Th、2msec滞在時間で記録した。サンプル(約1mg/mL)は、1%酢酸添加の50%アセトニトリル水溶液に溶解し、外部シリンジポンプによって5μL/分の流速で導入した。
PBS溶液中のペプチドをESI−MSで分析する際は、それらを先ず、メーカー(Millipore Corporation,Bilerica,MA、http://www.millipore.com/catalogue.nsf/docs/C5737を参照されたい)によって提供された指示にしたがって、0.6μL C4樹脂を含むZipTip固相抽出チップを用いて脱塩した。
<HPLCによる分析>
HPLC分析は、214nmにおけるUV検出器、及び、150mmx4.6mm C8 Vydacカラムを備えた、Beckman System Gold Chromatographyシステムを用いて実行した。流速は1mL/分であった。溶媒Aは、蒸留水に溶解した0.1%TFAを含み、溶媒Bは、90%CH3CNに溶解した0.1%TFAを含んでいた。直線勾配を用いた(0から30%B、10分)。データを収集し、Peak Simple Chromatographyソフトウェアを用いて分析した。
切断の初期速度を用いて、各プロドラッグの解離の速度定数を測定した。プロドラッグ及びドラッグ(薬剤)の濃度は、種々の収集時点の、それぞれのピーク面積「a」及び「b」から推定した(表1参照)。プロドラッグの解離の一次速度定数は、種々の時間間隔におけるプロドラッグ濃度の対数をプロットすることによって定量した。このプロットの勾配は、速度定数「k」を与える。各種プロドラッグの切断半減期は、式t
1/2=0.693/kを用いて計算した。
〔表1〕PBSに溶解したAペプチド(lys−sar−HSRGTF−NH
2)の切断に関するHPLC及びLC−MSデータ
各種プロドラッグの分解半減期は、式t1/2=0.693/kを用いて計算し、モデルペプチドHSRGTF−NH2上のlys−sarの組合せの半減期は、14.0時間であると決定された。
〔実施例2〕
<D−モデルペプチドにおけるジペプチド切断半減期(血漿中)の定量>
血漿中でのジペプチドの組合せの半減期を定量するために、もう一つのモデルヘキサペプチド(dHdTdRGdTdF−NH2;配列番号716)を用いた。プロドラッグ切断の場合を除く、モデルペプチドの他の酵素的切断を阻止するために、Dアミノ酸を用いた。このヘキサペプチドは、自動合成機で合成した。プロドラッグ修飾用として実行可能的に延長されたN−末端の使用が可能であることを確認するために、ペプチド結合樹脂をHFによって切断し有効性をチェックした。次に、サルコシン及びリシンを順次ペプチド結合樹脂に導入した。ペプチドB(ジペプチド+d−モデルペプチド)はHFで切断し、分取用HPLCによって精製した。
<HPLCによる分取精製>
精製は、シリカ充填1x25cm Vydac C18(5μ粒径、300Å孔径)カラムによるHPLC分析を用いて実行した。使用した装置は下記の通り:Waters Associatesモデル600ポンプ;インジェクター、モデル717、及びUV検出器、モデル486。全てのサンプルについて230nmの波長を用いた。溶媒Aは、蒸留水に溶解した10%CH3CN/0.1%TFAを含み、溶媒Bは、CH3CNに溶解した0.1%TFAを含んでいた。直線勾配を用いた(0から100%B、2時間)。流速は10mL/分で、分画サイズは4mLであった。約150mgの粗製ペプチドから、30mgの純粋ペプチド(約20%の収率)が得られた。
ペプチドBは、2mg/mlで血漿(pH7.4)に溶解した。次に、これを、水浴中で37℃でインキュベートした。分析サンプルは、種々の時点(5時、11時、24時、32時、及び48時間後)で収集した。サンプルは10倍容量の0.1%TFA/ACNで処理し、3000rpmで遠心した。上清液を収集し、等容量の0.1%TFA/H2Oで希釈した。データは、LC−MSによって定性的に監視し、HPLCによって定量的に調べ、Peak Simple Chromatographyソフトウェアによって、保持時間及び相対的ピーク面積を得た。
<質量分光測定による分析>
質量スペクトラムは、標準的ESIイオン源を備えた、Sciex API−IIIエレクトロスプレー四重極質量分析計を用いて得た。使用したイオン化条件は下記の通り:ESI、陽極イオンモード;イオンスプレー電圧、3.9kV;オリフィス電位、60V。使用した噴霧・カーテンガスは、0.9L/分流速の窒素である。質量スペクトラムは、600−1800トンプソンから、ステップ当たり0.5Th、2msec滞在時間で記録した。サンプル(約1mg/mL)は、1%酢酸添加の50%アセトニトリル水溶液に溶解し、外部シリンジポンプによって5μL/分の流速で導入した。
<HPLCによる分析>
HPLC分析は、214nmにおけるUV検出器、及び、150mmx4.6mm C8 Vydacカラムを備えた、Beckman System Gold Chromatographyシステムを用いて実行した。流速は1mL/分であった。溶媒Aは、蒸留水に溶解した0.1%TFAを含み、溶媒Bは、90%CH3CNに溶解した0.1%TFAを含んでいた。直線勾配を用いた(0から30%B、10分)。データを収集し、Peak Simple Chromatographyソフトウェアを用いて分析した。
切断の初期速度を用いて、各プロドラッグの解離の速度定数を測定した。プロドラッグ及びドラッグの濃度は、種々の収集時点の、それぞれのピーク面積「a」及び「b」から推定した(表2参照)。プロドラッグの解離の一次速度定数は、種々の時間間隔におけるプロドラッグ濃度の対数をプロットすることによって定量した。このプロットの勾配は、速度定数「k」を与える。各種プロドラッグの分解の半減期は、式t
1/2=0.693/kを用いて計算した。
〔表2〕血漿に溶解したBペプチド(lys−sar−dHdTdRGdTdF−NH
2)の切断に関するHPLC及びLC−MSデータ
各種プロドラッグの分解の半減期は、式t1/2=0.693/kを用いて計算した。この式を用い、DモデルペプチドdHdTdRGdTdF−NH2(配列番号712)おけるLys−Sarの組合せの半減期は、18.6時間であると決定された。
〔実施例3〕
モデルヘキサペプチド(HSRGTF−NH
2;配列番号715)に連結された各種付加ジペプチドの切断の半減期を、実施例1に記載した手順を用いて定量した。この実験で得られたデータを表3及び4に示す。
〔表3〕PBSに溶解したモデルヘキサペプチドからの、N−末端パラアミノ−Pheの側鎖に連結されたジペプチドA−Bの切断
〔表4〕PBSに溶解したモデルヘキサペプチド(X
1−SRGTF−NH
2(配列番号732))からの、位置1における各種アミノ酸に連結されたジペプチドA−Bの切断
〔実施例4〕
<グルカゴン及びGLP−1類縁体の合成>
グルカゴン及びGLP−1の生物活性誘導体を調製する可能性を調べるために、多数のペプチド類縁体を合成した。標準的手法の概略をここで述べ、詳細は後述する。
材料:
PAM樹脂(PAM樹脂は、OCH2−フェニルアセタミドメチル−コポリスチレン−1%ジビニールベンゼンである)(100−180メッシュ、1%DVB架橋連結ポリスチレン;0.7−1.0mmol/gの負荷)、Boc保護及びFmoc保護アミノ酸は、Midwest Biotechから購入した。α−ヒドロキシ酸(フェニル乳酸及びグリコール酸)は、Aldrichから購入した。Boc保護アミノ酸による固相ペプチド合成は、Applied Biosystem 430Aペプチド合成機で行った。Fmoc保護アミノ酸合成は、Applied Biosystems Model433ペプチド合成機を用いて行った。デプシペプチドの手作業合成は、類似の手順を用い、焼成反応容器において行った(Schnolzer,M.,et al.,(1992)Int J Pept Protein Res 40(3−4):180−193)。
<ペプチド合成(Bocアミノ酸/HF切断)>
これらの類縁体の合成は、Applied Biosystems Model430Aペプチド合成機で実行した。合成ペプチドは、アミノ酸の連続付加によって構築し、各アミノ酸の活性化エステルは、2mmolのBoc保護アミノ酸を含むカートリッジに、1.9mmol(0.5M液を3.8mL)の3−(ジエトキシ−フォスフォリルオキシ)−3H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン−4−オン(DEPBT)のDMF溶液を付加することによって生成した。このアミノ酸は、カートリッジに窒素ガスを通気することによって溶解した。1mLのN,N−ジイソプロピルエチルアミンをカートリッジに加え、エステル形成を実行した。この溶液を、PAM樹脂に付着させた0.2mmolのC−末端残基を含む反応容器に移し、数回攪拌し、10分間樹脂にカップリングさせた。洗浄して未反応試薬を除去した後、N−末端のBoc保護基を、トリフルオロ酢酸(TFA)で5分処理することによって除去した。樹脂をDMFで洗浄し、鎖が構築されるまで、このサイクルを所望の工程数だけ繰り返した。合成(典型的には、30アミノ酸)の終了時、反応容器は、約1.2−1.5gの保護ペプチジル−PAM樹脂を含んでいた。樹脂を、ジメチルフォルムアミド(DMF)で数回洗浄し、トリフルオロ酢酸で処理し、最後のt−Boc保護基を除去し、最後に、DMF、ジクロロメタン(DCM)でさらに数回洗い、乾燥した。
このペプチジル樹脂を無水HFで処理(手順は本セクションで後に詳述)すると、これによって、典型的には、約350mg(約50%の収率)の粗製脱保護ペプチドが得られた。
<ペプチド合成(Fmocアミノ酸/HF切断)>
この合成スキームは、選択部位に数個のアミノ酸を置いて手作業で行った。この作業では、Fmocアミノ酸は、より広範な合成戦略の一部として、内部のセリンプロドラッグの合成のみに使用された。ここで、Fmoc化学は合成に使用されているけれども、ペプチドは、常に、PAM樹脂の上に構築されており、該樹脂は、この固相支持体からペプチドを切り離すためにHFによる処理を必要とすることに注意されたい。これらのペプチドの収率は、ほぼ、上にBoc/PAM合成に関して述べた通りである。
合成は、前のセクションで記載した通りに行った。カップリング工程の終了後、ペプチジル樹脂を20%ピペリジンで処理し、N−末端Fmoc保護基を除去した。これをDMFで繰り返し洗い、この反復サイクルを、所望の結合工程数だけ繰り返した。全体合成の終了時、ペプチジル樹脂をDCMを用いて乾燥し、ペプチドを、無水HFによって樹脂から切断した。
<デプシ−ペプチド合成(アミノエステル形成)>
この場合、ペプチジル樹脂は、N−末端アミンの代わりにα−ヒドロキシル−N末端延長部を有し、このα−ヒドロキシル基に対してアシル化を行った。この反応は、アミド結合の形成よりも長時間を要する。なぜなら、ヒドロキシル基の方が、アミンに比べ弱い求核基だからである。この反応時間は、典型的には、約12時間であった。
最初、各アミノ酸の活性化エステルは、2mL DCMに溶解した2mmolのBoc保護アミノ酸溶液を含むカートリッジに、1mmol(0.155mLのジイソプロピルカルボジイミド(DIC))を付加することによって生成した。このカートリッジを10℃に10分冷却し、エステル形成を加速するために、0.9mmol(244mg)のジメチルアミノピリジン(DMAP)をこのカートリッジに加えた。この溶液を、ペプチジル樹脂を含む反応容器に移し、そこでペプチドを合成した。反応容器は、12時間攪拌した。
ペプチジル樹脂はDCMを用いて乾燥し、所望のペプチドの合成を続けた。全体合成の終了時、ペプチジル樹脂をDCMを用いて乾燥し、最終的に無水HFによって処理して所望のペプチドを得た。
<N−末端ヒドロキシルペプチド合成(α−ヒドロキシル−N末端延長部)>
この反応では、ペプチジル樹脂の遊離アミンは、α−ヒドロキシル酸と反応してα−ヒドロキシル−N末端延長部を形成する。この点で、二つの、α−ヒドロキシル酸、すなわち、グリコール酸(OH−グリシン)及びフェニル乳酸(OH−フェニルアラニン)が使用された。これらの合成もまた手作業で行われた。ペプチドは、α−ヒドロキシル酸の付加によって構築し、α−ヒドロキシル酸の活性化エステルは、2mL DMFに溶解した1mmolのBoc保護残基を含むカートリッジに、0.9mmolのDEPBTを付加することによって生成した。エステル形成を加速するために、DIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン、0.5mL)をこのカートリッジに加えた。この溶液を、ペプチジル樹脂を含む反応容器に移し、そこでペプチドを合成した。反応時間は6時間であった。
ペプチジル樹脂はDCMを用いて乾燥し、所望のペプチドの合成を続けた。全体合成の終了時、ペプチジル樹脂をDCMを用いて乾燥し、無水HFによって切断して遊離ペプチドを得た。
<ペプチジル樹脂のHF処理>
ペプチジル樹脂(30mgから200mg)は、切断のためにフッ化水素(HF)反応容器の中に入れた。この容器に、500μLのp−クレゾールを、カルボニウムイオン捕集剤として加えた。容器をHFシステムに取り付け、メタノール/ドライアイス混合物の中に沈めた。容器を、真空ポンプで減圧吸引し、10mLのHFを反応容器に分留した。このペプチジル樹脂とHFとの反応混合物を、0℃で1時間攪拌し、その後、減圧を確立してHFを素早く排出した(10−15分)。容器を慎重に取り出し、約35mLのエーテルで満たしてペプチドを沈殿させ、p−クレゾール、及び、HF処理で生じた低分子量の有機保護基を抽出した。この混合物を、テフロンフィルターを用いてろ過し、これを二回繰り返し過剰なクレゾールを全て除去した。このろ液は廃棄した。沈殿したペプチドは、約20mLの10%酢酸(水溶液)に溶解した。所望のペプチドを含むこのろ液を収集し、凍結乾燥した。
<質量分光測定による分析>
質量スペクトラムは、標準的ESIイオン源を備えた、Sciex API−IIIエレクトロスプレー四重極質量分析計を用いて得た。使用したイオン化条件は下記の通り:ESI、陽極イオンモード;イオンスプレー電圧、3.9kV;オリフィス電位、60V。使用した噴霧・カーテンガスは、0.9L/分流速の窒素である。質量スペクトラムは、600−1800トンプソンから、ステップ当たり0.5Th、2msec滞在時間で記録した。サンプル(約1mg/mL)は、1%酢酸添加の50%アセトニトリル水溶液に溶解し、外部シリンジポンプによって5μL/分の流速で導入した。
PBS溶液中のペプチドをESI−MSによって分析する場合、それらを先ず、メーカー(Millipore Corporation,Bilerica,MA、http://www.millipore.com/catalogue.nsf/docs/C5737を参照されたい)によって提供された指示にしたがって、0.6μL C4樹脂を含むZipTip固相抽出チップを用いて脱塩した。
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析>
これらの粗製ペプチドについて、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)バッファー(pH7.2)における相対的変換率の近似のために、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びMALDI分析を用いて分取分析をおこなった。粗製ペプチドサンプルを、PBSバッファー中に1mg/mLの濃度で溶解した。得られた溶液1mLを、1.5mLのHPLCバイアルに保存し、次いで密封し、37℃でインキュベートした。100μLの分液を、種々の時間間隔で抽出し、室温に冷却し、HPLCによって分析した。
HPLC分析は、214nmにおけるUV検出器使用のBeckman System Gold Chromatographyシステムを用いて実行した。HPLC分析は、150mmx4.6mm C18 Vydacカラムで行った。流速は1mL/分であった。溶媒Aは、蒸留水に溶解した0.1%TFAを含み、溶媒Bは、90%CH3CNに溶解した0.1%TFAを含んでいた。直線勾配を用いた(40から70%B、15分)。データを収集し、Peak Simple Chromatographyソフトウェアを用いて分析した。
加水分解の初期速度を用いて、各プロドラッグの解離の速度定数を測定した。プロドラッグ及びドラッグの濃度は、各ピーク面積から推定した。プロドラッグの解離の一次速度定数は、種々の時間間隔におけるプロドラッグ濃度の対数をプロットすることによって定量した。このプロットの勾配は、速度定数「k」を与える。各種プロドラッグの分解の半減期は、式t1/2=0.693/kを用いて計算した。
<HPLCによる分取精製>
適切なt1/2を示すプロドラッグが特定されたならば、そのプロドラッグを精製した。精製は、シリカ充填1x25cm Vydac C18(5μ粒径、300Å孔径)カラムによるHPLC分析を用いて実行した。使用した装置は下記の通り:Waters Associatesモデル600ポンプ;インジェクター、モデル717、及びUV検出器、モデル486。全てのサンプルについて214nmの波長を用いた。溶媒Aは、蒸留水に溶解した10%CH3CN/0.1%TFAを含み、溶媒Bは、CH3CNに溶解した0.1%TFAを含んでいた。直線勾配を用いた(0から100%B、2時間)。流速は1.2mL/分で、分画サイズは6mLであった。約350mgの粗製ペプチドから、80mgの純粋ペプチド(約23%の収率)が得られた。
〔実施例5〕
<バイオアッセイ実験設計:cAMP検出のためのルシフェラーゼ系リポーター遺伝子アッセイ>
各グルカゴン及びGLP−1類縁体又はプロドラッグのcAMP誘導能力は、蛍ルシフェラーゼ系リポーターアッセイで測定した。誘導されるcAMP生産は、グルカゴン又はGLP−1の、その受容体に対する結合に直接に比例する。HEK293細胞を、それぞれ、グルカゴン又はGLP−1受容体によってコトランスフェクトし、cAMP応答要素に連結されたルシフェラーゼ遺伝子をバイオアッセイに用いた。
細胞は、0.25%ウシ育成血清(HyClone,Logan,UT)を添加したDulbecco改変イーグル培地(Invitrogen,Carlsbad,CA)において16時間培養することによって脱血清し、次いで、段階希釈したGLP−1類縁体又はプロドラッグと共に、96ウェルの、ポリD−リシン−塗布の「バイオコート」プレート(BD Biosciences,San Jose,CA)中で、37℃、5%CO2で5時間インキュベートした。インキュベーション終了時、100μLのLucLite蛍光基質試薬(Perkin Elmer,Wellesley,MA)を各ウェルに加えた。50%有効濃度(EC50値)をOriginソフトウェア(OriginLab,Northampton,MA)を用いて計算した。
〔実施例6〕
<グルカゴン関連ペプチドアミド結合プロドラッグの生物活性>
I)GLP−1
C24GLP−1(7−36)ペプチド(HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFICWLVKGR;配列番号717)を、ペプチド合成機で構築した。プロドラッグ修飾用として実行可能的に延長されたN−末端の使用が可能であることを確認するために、ペプチド結合樹脂の小割合をHFによって切断し、合成の有効性をチェックした。この合成ペプチドは、3329.8ダルトンの質量を有する。GLP−1の受容体結合活性は、実施例5に記載されるGLP−1受容体ルシフェラーゼアッセイで定量した。
II)GLPのN末端に対するジペプチドの付加
グルカゴン又はGLP−1N−末端の、ジケトピペラジン(DKP)形成による分子内環化及び切断に対する差別的傾向を調べるため、ジペプチドを該N−末端に共有結合により付着させた。
生物学的に不活性なジペプチド延長GLP−1及びグルカゴン類縁体は、DKPの形成と共に起こるアミド結合の切断と同時に、活性ペプチドドラッグに変換される。この同じ変換は、GLP−1類縁体のA−Bジペプチドにおいて、サルコシン(Sar)又はプロリンをアミノ酸「B」として実行することが可能である。式Iのジペプチドの第1(A)及び第2(B)アミノ酸のアルファ炭素における置換基を化学的に修飾することによって、様々な半減期のプロドラッグを意図的に設けることが可能である。例えば、プロリンと、アミノイソブチル酸(Aib)を含むジペプチドプロドラッグ要素が、順次C24GLP−1(配列番号717)に導入されると、第1ペプチドは、Aib−1−P0,C24GLP(7−36)と命名されたが、ここで、このペプチドの第1アミノ酸(アミノ酸「Xaa−1」)は、アミノイソブチル酸であり、第2アミノ酸(アミノ酸「Xaa0」)はプロリンである。この後に述べられてる全てのペプチドには、同じ体系的な命名法を有する。合成された各化合物の立体化学は、アミノ酸がアミノ酸暗号の3文字コードに続いて上付きの番号で指定される際、別段の記載がない場合、L型異性体である。ペプチドは、最初の方で述べた固相合成により、合成的に調合された。合成は、ESI-MS分析(3479.9Da)により、確認された。
III)GLP−プロドラッグのPEG化
PEG化は、ペプチドを保護し、腎臓によるペプチドの排泄を下げるための有用な方法である。したがって、下記の実験では、プロドラッグ、Aib−1−P0,C24GLP(7−36)は、マイケル反応を介して、Aib−1−P0,C24GLP(7−36)の24−CysのSH基上で、マレイミド官能化40kDa PEGを用いてPEG化された。このPEG化ペプチドは、分取用HPLCによって精製され、MALDI−TOF−MAS(44000−46000、広範なピーク)によって確認された。
IV)PBS中でのGLP−1活性
DKPが形成され、同時に母体ドラッグが再生される可能性について調べるために、Aib
−1−P
0,C
24GLP(7−36)を、PBSバッファー中で37℃で約10日間インキュベートした。種々の時点(30時、54時、168時、240時間後)でサンプルを収集した。DKPの形成を介するジペプチドプロドラッグの切断後、GLP−1活性の回復を調べるために、全ての収集サンプルをバイオアッセイを用いて分析した。より詳細には、GLPプロドラッグの受容体結合活性を、実施例5に記載のGLP−受容体ルシフェラーゼアッセイで定量した。
〔表5〕種々の時点における、PBS中の40k PEG−Aib
−1−P
0,C
24GLP(7−36)のバイオアッセイデータ
血漿中での母体ドラッグ40k PEG−Aib−1−P0,C24GLP(7−36)の分解の半減期は、式t1/2=0.693/kを用いて計算し、140時間であると決定された。
V)血漿中でのGLP−1活性
DKPが形成され、同時に母体ドラッグが再生される可能性について調べるために、dLys
−1−Sar
0,C
24GLP(7−36)を、血漿中で37℃で約30時間インキュベートした。種々の時点(1時、12時、30時間後)でサンプルを収集した。DKPの形成を介するジペプチドのGLP−1からの切断後、活性の回復を調べるために、全ての収集サンプルをバイオアッセイを用いて分析した。より詳細には、GLPプロドラッグの受容体結合活性を、実施例5に記載のGLP−受容体ルシフェラーゼアッセイで定量した。
〔表6〕種々の時点における、血漿中のdLys
−1−Sar
0,C
24GLP(7−36)のバイオアッセイデータ
血漿中での母体ドラッグdLys−1−Sar0,C24GLP(7−36)の分解半減期は、式t1/2=0.693/kを用いて計算し、10時間であると決定された。
〔実施例7〕
<マウスにおけるグルカゴンスーパーファミリーペプチドプロドラッグのインビボ作用>
食餌誘発肥満症(DIO)マウスに、グルカゴンスーパーファミリーペプチド(配列番号1−684、1701−1776、1801−1921)を週1回投与で腹腔に注入した。初回注入後、マウス(N=8)を下記の条件下に毎日計量した:ベヒクルのみ、又はグルカゴンスーパーファミリーペプチド約0.5nmol/kg、3nmol/kg、10nmol/kg、15nmol/kg、又は70nmol/kg、若しくは、グルカゴンスーパーファミリーペプチドのプロドラッグ誘導体で、ジペプチドが、アミド結合を介して該グルカゴンスーパーファミリーペプチドのN−末端に連結され、ジペプチドは、Aib−1Pro0、Aib−1dPro0、Lys−1Sar0、dAla−1Pro0、Ac−Aib−1Pro0、Lys−1(X)Sar0(Xは、Lys側鎖に連結される、1K PEG鎖を表す)、Lys−1(Y)Sar0(Yは、Lys側鎖に連結されるtert−ブチルグリシンを表す)、dLys−1Sar0、dLys−1Gly(N−ヘキシル)0、又は、dLys−1F(N−Me)0(約0.5nmol/kg、3nmol/kg、10nmol/kg、15nmol/kg、又は70nmol/kgで投与)である。
25%(v/v)グルコースを含む生理的食塩水を、0時点において、体重1kg当たり1.5gの用量で注入した。血中グルコース濃度を、−60、0、15、30、60、及び120分時点で測定した。体重、食物摂取量、血中グルコース、及び、生体組成を0日目及び1日目に測定する。
〔実施例8〕
<グルカゴン類縁体を投与されたマウスに誘導された減量>
食餌誘発肥満症(DIO)マウスに、グルカゴン類縁体を週1回15又は70nmol/kgの用量で腹腔に注入した。初回注入後、マウス(N=8)を下記の条件下に毎日計量した:ベヒクルのみ▼、グルカゴンスーパーファミリーペプチドA(「ペプチドA」)15nmol/kg(右向き白三角)、又は70nmol/kg(右向き黒三角)、若しくは、ペプチドAのプロドラッグ誘導体で、ジペプチドが、アミド結合を介してペプチドAのN−末端に連結され、ジペプチドが、Aib−1Pro0である(15nmol/kg(○)又は70nmol/kg(●)で投与)、Aib−1dPro0(70nmol/kg(◇))、Lys−1Sar0(70nmol/kg(◆))、dAla−1Pro0(70nmol/kg(左向き黒三角))、又は、Ac−Aib−1Pro0(70nmol/kg(■))である。実験の結果を図1に示す。化合物Ac−Aib−1Pro0ペプチドAは、切断されてジケトピペラジンを形成することができないことに注意。にも拘らず、この化合物は、ベヒクルにおいて観察されるものを上回る、あるレベルの活性を示す。これは恐らく、プロドラッグの残留活性によるものと考えられる。ペプチドAは、天然グルカゴン(配列番号701)に対する7個の置換、C−末端アミド、及び、マレイミド官能化40k Da PEGによるPEG化を含む、グルカゴンのPEG化類縁体である。
図2は、下記を週1回0.5、3、15、又は70nmol/kgの用量で腹腔に注入した食餌誘発肥満症(DIO)マウスの体重変化を示すグラフである、すなわち:ベヒクルのみ(◆)、ペプチドA(0.5▲、3右向き黒三角、15▼、又は70左向き黒三角 nmol/kg/日)、又は、Lys−1Sar0ペプチドA(0.5△、3右向き白三角、15▽、又は70左向き白三角 nmol/kg/日)である。全ての用量において、二つのドラッグは、同様の作用を及ぼすように見え、したがって、ジペプチドプロドラッグの付加によって得られる利点は僅少であるようである。これは、ジペプチドの酵素的切断と、投与プロドラッグの急速な活性化によるものと考えられる。
〔実施例9〕
<グルカゴンプロドラッグ類縁体によるグルコース寛容性試験>
食餌誘発肥満症(DIO)マウス(N=8)に、下記の内の一つを15又は70nmol/kg用量で腹腔注入した、すなわち:
(A)ペプチドA(15左向き白三角、又は70左向き黒三角 nmol/kg/日)、
(B)Lys−1Sar0ペプチドA(15右向き白三角、又は70右向き黒三角 nmol/kg/日)、
(C)dLys−1Sar0ペプチドA(15□、又は70■nmol/kg/日)。
25%(v/v)グルコースを含む生理的食塩水を、0時点において、体重1kg当たり1.5gの用量で注入した。血中グルコース濃度を、−60、0、15、30、60、及び120分時点で測定した。図3は、この実験から得られたデータを示す。
図4は、DIOマウス(N=8)において、ベヒクルのみ(▼)、又は、下記の内の一つを2nmol/kg用量で腹腔注入したときの血中グルコース濃度(mg/dL)のグラフである、すなわち:
(A)Lys−1Sar0ペプチドA(■)、
(B)Lys−1(X),Sar0ペプチドA(▲)(Xは、Lys側鎖に連結される1K PEG鎖を表す)、
(C)Lys−1(Y)Sar0ペプチドA(◆)(Yは、Lys側鎖に連結されるtert−ブチルグリシンを表す)、
(D)dLys−1Sar0ペプチドA(右向き黒三角)。
25%(v/v)グルコースを含む生理的食塩水を、0時点において、体重1kg当たり1.5gの用量で注入した。血中グルコース濃度を、−15、0、15、30、60、及び120分時点で測定した。
図5は、DIOマウス(N=8)において、先ずグルカゴン関連ペプチド、次いでグルコース液を腹腔注入したときの血中グルコース濃度(mg/dL)のグラフである。マウスには、−15分時点でベヒクル(▼)、dLys−1Sar0ペプチドAを20nmol/kg用量(右向き黒三角)、又は、下記の内の一つを0.67nmol/kg用量で腹腔注入した、すなわち:
(A)Lys−1Sar0ペプチドA(■)、
(B)Lys−1(X),Sar0ペプチドA(▲)(Xは、Lys側鎖に連結される1K PEG鎖を表す)、
(C)Lys−1(Y)Sar0ペプチドA(◆)(Yは、Lys側鎖に連結されるtert−ブチルグリシンを表す)。
図3−5のデータは、Lys−1,Sar0ジペプチドは、N−末端に連結されると、プロドラッグ要素のように作用することができなくなることを示す。一方、ジペプチドのアミノ酸の修飾、特に、D−アミノ酸(dLys−1)の置換は、化合物を不活性状態に維持する(恐らく酵素的切断を阻止することによって)。次に、プロドラッグは、ジペプチドプロドラッグ要素の構造及び立体化学、及び求核基の強度に基づいて活性化される。図5に示すように、はるかに高い用量でも(20nmol/kg対0.67nmol/kg)、dLys−1,Sar0ペプチドAはプロドラッグ作用を発揮する。
〔実施例10〕
食餌誘発肥満症(DIO)マウス(N=8)に、−60分時点で下記の内の一つを15又は70nmol/kg用量で腹腔注入した、すなわち:
(A)ペプチドA(15△、又は70▲nmol/kg/日)、
(B)dLys−1Sar0ペプチドA(15□、又は70■nmol/kg/日)、
(C)Lys−1Sar0ペプチドA(15右向き白三角、又は70右向き黒三角 nmol/kg/日)。
25%(v/v)グルコースを含む生理的食塩水を、0分及び24時に、体重1kg当たり1.5gの用量で腹腔に注入した。血中グルコース濃度を、−60、0、15、30、60、及び120時点で測定した。体重、食物摂取量、血中グルコース、及び、生体組成を0日目及び1日目に測定する。グループ当たりN=8のDIOマウスは、初期平均体重55gを有していた。図6は、−60分時点で、ベヒクルのみ(▼)、又は、15又は70nmol/kgの上述の化合物を腹腔注入されたDIOマウス(N=8)における血中グルコース濃度(mg/dL)のグラフである。
25%(v/v)グルコースを含む生理的食塩水を、0時点及び24時間後、体重1kg当たり1.5gの用量で注入した。表示の血中グルコース濃度は、−60、0、15、30、60、及び120分時点で測定し、グルコース液の第1回投与(すなわち、0時点)に対して表した。
図7は、−60分時点で、ベヒクルのみ(▼)、又は、下記の化合物の内の一つを15又は70nmol/kgで腹腔注入されたDIOマウス(N=8)における血中グルコース濃度(mg/dL)のグラフである、すなわち:
(A)ぺプチドA(15△又は70▲nmol/kg/日)、
(B)dLys−1Sar0ペプチドA(15◇又は70▽nmol/kg/日)、
(C)Lys−1Sar0ペプチドA(15◆又は70■nmol/kg/日)。
25%(v/v)グルコースを含む生理的食塩水を、0時点及び24時間後、体重1kg当たり1.5gの用量で注入した。表示の血中グルコース濃度は、0、15、30、60、及び120分時点で測定し、第2グルコース液の第24時投与に対して表した。
図8は、表示の化合物を15又は70nmol/kg用量で腹腔注入されたDIOマウス(N=8)における減量を示す。表示の体重は、化合物の投与7日後に定量した。
〔実施例11〕
食餌誘発肥満症(DIO)マウス(N=8)に、生理的食塩水に溶解した25%グルコースを体重kg当たり1.5gで注入してグルコースチャレンジとし、その24、8、4、又は1時間後に、ベヒクルのみ、又は、15nmol/kg用量のプロドラッグペプチドを腹腔注入した。表示の血中グルコース濃度は、グルコース液によるチャレンジに対し0、15、30、60、及び120分時点で測定した。この実験の結果は図9に示されるが、Lys−1Sar0ペプチドA(図9A)、dLys−1Sar0ペプチドA(図9B)の両方とも、ベヒクル対照に比べ、血中グルコースの上昇を抑えることを示す。二つのプロドラッグの結果の比較から、初期の血中グルコースコントロールの効果の間の差は、プロドラッグが循環する期間に関連することが示される。「d」立体異性体を投与されたマウスでは、血中グルコースの初期コントロール(すなわち、早期の時点)は、プロドラッグがチャレンジの1時間前に投与された場合は貧弱であり、チャレンジよりも十分前に投与された場合にはより優れる(例えば、最大の初期コントロールは、プロドラッグが8及び24時間時点の場合である)。この実験は、「d」立体異性体を含むプロドラッグは、「l」異性体を含むプロドラッグよりも長い期間不活性型を維持するという結論を支持する。
〔実施例12〕
三種類のプロドラッグ、グルカゴンスーパーファミリーペプチドB(「ペプチドB」)、及びグルカゴンスーパーファミリーペプチドC(「ペプチドC」)を、下記の手順にしたがって合成した:
1)dK−Sar−ペプチドC、ここで、dKは、LysのD異性体であり、Sarはサルコシンであり、ペプチドCは、天然グルカゴン(配列番号701)に対し8個の置換、C−末端アミド、及び、イオドアセチル−官能化40k Da PEGを含むグルカゴン類縁体である。
ペプチド配列は、固相ペプチド合成によって構築した。最終残基Hisの結合及び脱保護後、ペプチド結合樹脂を、5倍過剰のBoc−サルコシン、DEPBT、及びDIEAのDMF溶液と室温で6時間反応させた。反応物は、ニンヒドリン試験で監視した。結合の完了後、樹脂を、DMF及びDCMで順序に3回洗浄した。Boc保護をTFAで除去した。樹脂を、DCM、DMFで洗浄し、DIEAで中和した。さらに、樹脂結合ペプチドを5倍Boc−dLys、DEPBT、及びDIEAと室温で一晩反応させた。次に、樹脂を、TFAで処理し、Boc保護を除去し、DCM、DMFで洗浄した。最後に、樹脂を、DMFに溶解した20%ピペリジンで処理し、25Trpのフォルミル基に移し、減圧乾燥した。最終的に、ペプチドを、HFと4℃で1時間反応させて切断し、無水エチルエーテルによって沈殿させた。ろ過後、ペプチドは、水に溶解した20%アセトニトリル(MeCN)で捕捉し、凍結乾燥し粉末とした。このペプチドを、分取用HPLC(C5カラム;流速10ml/分;バッファーA、10%MeCN、及び、0.1%TFA水溶液;バッファーB、0.1%TFAのACN液;直線勾配B%、0−40%から(0−80分))によって精製した。化合物は、ESI−MSによって確認した(3612.8ダルトン)。
得られたペプチドは、24−Cysのチオール基にイオドアセチル−官能化40k Da PEGを付着することによってPEG化した。このペプチドを、4M尿素/50nM Trisバッファー(pH6.6)に4℃で一晩溶解した。このPEG化ペプチドを分取用HPLCによって精製し、その化学的正体を、MALDI−TOF−MSによって確認した(44000−46000、広範なピーク)。
2)dK−Gly(N−ヘキシル)−ペプチドB、ここで、dKは、LysのD異性体であり、Gly(N−ヘキシル)は、N−ヘキシルグリシンであり、ペプチドBは、天然グルカゴン(配列番号701)に対し8個の置換、C−末端アミド、及び、マレイミド−官能化40k Da PEGによるPEG化を含むグルカゴン類縁体である。
ペプチド配列は、固相ペプチド合成によって構築した。ペプチド結合樹脂を、5倍過剰のブロモ酢酸、DIC、及びDIEAのDMF溶液と室温で2時間反応させた。ニンヒドリン試験の陰性結果が示された後、樹脂を、DMF及びDCMで順序に3回洗浄した。次いで、樹脂を、5倍過剰のn−ヘキシルアミン、及びDIEAのDMF溶液と室温で一晩反応させた。さらに、樹脂結合ペプチドを5倍Boc−dLys、DEPBT、及びDIEAと室温で一晩反応させた。次に、樹脂を、DMF及びDCMで洗浄した。さらに、樹脂結合ペプチドを5倍Boc−dLys、DEPBT、及びDIEAと室温で24時間反応させた。次に、樹脂を、TFAで処理し、Boc保護を除去し、DCM、DMFで洗浄した。最後に、樹脂を、DMFに溶解した20%ピペリジンで処理し、25Trpのフォルミル基に移し、減圧乾燥した。最終的に、ペプチドを、HFと4℃で1時間反応させて切断し、無水エチルエーテルによって沈殿させた。ろ過後、ペプチドは、水に溶解した20%MeCNを用いて再び水に溶解し、凍結乾燥し粉末とした。このペプチドを、分取用HPLC(C5カラム;流速10ml/分;バッファーA、10%MeCN、及び、0.1%TFA水溶液;バッファーB、0.1%TFAのMeCN液;直線勾配B%、0−40%から(0−80分))によって精製した。化合物は、ESI−MSによって確認したところ、3677.0ダルトンの質量を有していた。
得られたペプチドは、24−Cysのチオール基にイオドアセチル−官能化40k Da PEGを付着することによってPEG化した。このペプチドを、4M尿素/50nM Trisバッファー(pH6.6)に4℃で一晩溶解した。このPEG化ペプチドを分取用HPLCによって精製し、その化学的正体を、MALDI−TOF−MSによって確認した(44000−46000、広範なピーク)。
3)dK−F(N−Me)−ペプチドC、ここで、dKは、LysのD異性体であり、F(N−Me)は、N−メチル−Pheであり、ペプチドCは、天然グルカゴン(配列番号701)に対し8個の置換、C−末端アミド、及び、イオドアセチル−官能化40k Da PEGによるPEG化を含むグルカゴン類縁体である。
ペプチド配列は、固相ペプチド合成によって構築した。ペプチド結合樹脂を、5倍過剰のN−メチルフェニルアラニン、DEPB、T及びDIEAのDMF溶液と室温で6時間反応させた。ニンヒドリン試験の陰性結果が示された後、樹脂を、DMF及びDCMで順序に3回洗浄した。次に、樹脂を、TFAで処理し、Boc保護を除去し、DCM、DMFで洗浄し、DIEAによって中和した。さらに、樹脂結合ペプチドを5倍Boc−dLys、DEPBT、及びDIEAと室温で一晩反応させた。次に、樹脂を、DMF及びDCMで洗浄した。さらに、樹脂結合ペプチドを5倍Boc−dLys、DEPBT、及びDIEAと室温で一晩反応させた。次に、樹脂を、TFAで処理し、Boc保護を除去し、DCM及びDMFで洗浄した。最後に、樹脂を、DMFに溶解した20%ピペリジンで処理し、25Trpのフォルミル基に移し、減圧乾燥した。最終的に、ペプチドを、HFと4℃で1時間反応させて切断し、無水エチルエーテルによって沈殿させた。ろ過後、ペプチドは、20%MeCNによって再び水に溶解し、凍結乾燥し粉末とした。このペプチドを、分取用HPLCによって精製した。HPLC条件は下記の通り:C5カラム;流速10ml/分;バッファーA、10%MeCN、及び、0.1%TFA水溶液;バッファーB、0.1%TFAのMeCN液;直線勾配B%、0−40%から(0−80分))。所望化合物は、ESI−MSによって確認したところ、3701.0ダルトンの質量を有していた。
得られたペプチドは、24−Cysのチオール基にイオドアセチル−官能化40k Da PEGを付着することによってPEG化した。このペプチドを、4M尿素/50nM Trisバッファー(pH6.6)に4℃で一晩溶解した。このPEG化ペプチドを分取用HPLCによって精製し、その化学的正体を、MALDI−TOF−MSによって確認した(44000−46000、広範なピーク)。
同様の手順を用い、配列番号1−684、701−731、801−919、1001−1262、1301−1371、1401−1518、1701−1776、及び1801−1921の内のいずれかに連結される、dLys−N−メチル−グリシン、dLys−N−ヘキシル−グリシン、及びdLys−N−メチル−フェニルアラニンを含むプロドラッグを合成した。
〔実施例13〕
実施例12に記載の三種のプロドラッグを、食餌誘発肥満症(DIO)マウス(系統:C57B16)におけるそのインビボ作用について試験した。8匹のマウス(初期の平均体重44.5g)から成る9グループに対し、ベヒクルのみ、又は、10nmol/kgの、実施例12のプロドラッグ又は母体ペプチド(ジペプチドプロドラッグ成分を欠く非プロドラッグ型)を、皮下に注入した。マウスは、5.5月齢で、高脂肪食餌で約2ヶ月間飼養されていた。血中グルコース濃度を、注入後0、2、4、24、及び72時間で採取した(図11)。体重を、注入後1週間監視し、0、1、3、5、及び7日目に測定した(図12)。
母体ペプチド、dK−Sar含有プロドラッグ、又はdK−Gly(N−ヘキシル)プロドラッグを投与されたマウスの体重は、ベヒクル対照を投与されたマウスと比べ、実験の進行と共に着実に減少する。予想通り、母体ペプチドは、体重の最大減少を実現するが、これは、プロドラッグもより高い用量で投与されれば、母体ペプチドと同じ作用を発揮する可能性のあることを示唆する。
血中グルコース濃度の変化(7日目の濃度−0日目の濃度)は、母体ペプチドにおいて最大ではあるが、dK−Sar及びdK−Gly(N−ヘキシル)プロドラッグも、ベヒクル対照に比べ、実質的な減少をもたらした。
〔実施例14〕
DKP形成速度は、側鎖、及び/又は、ジペプチドプロドラッグA−Bのアミノ酸「B」のアルファ−アミンの置換によって変調される。表7は、実施例12で得られたdK−Sar、及びdK−Gly(N−ヘキシル)、dK−F(N−Me)プロドラッグを用いた場合のDKP形成速度を示す。
〔表7〕DKP形成速度の変調
〔実施例15〕
下記のペプチド及びプロドラッグの、20%ヒト血漿中での、経時的受容体結合活性を、実施例5に記載するGLP−受容体ルシフェラーゼアッセイを用いて定量した、すなわち:
(A)GLP−1(配列番号703)、
(B)ペプチドC、
(C)dLys−1Sar0キメラペプチドC、又は、
(D)dLys−1Gly(N−ヘキシル)0ペプチドB。
表8に示すように、dLys
−1Sar
0及びdLys
−1Gly(N−ヘキシル)
0の活性は、時間と共に徐々に増加し、48時間以内に天然GLP−1と一致した。
〔表8〕プロドラッグの活性ドラッグへの変換に及ぼす時間の作用
〔実施例16〕
細身の、食餌誘発肥満症マウス(N=14、系統:C57B16WT)において、ベヒクルのみ、又は、下記の内の一つの3、10、又は30nmol/kgでの単回投与を皮下に注入した、すなわち:
(A)ペプチドC
(B)dLys−1Sar0ペプチドC、又は
(C)dLys−1Gly(N−ヘキシル)0ペプチドC。
マウスは、31.2gの平均初期体重を有しており、1、3、5、及び7日目に計量した。血中グルコース濃度は、1、3、及び5日目に腹腔採取した。マウスは約5月齢であり、約5ヶ月間正規の固形飼料によって飼養された。
実験の結果を図14−15に示す。図14は、1、3、5、及び7日目におけるDIOマウスの体重変化を示すグラフを表す。図15は、1日目(図15A)、3日目(図15B)、及び5日目(図15C)の血中グルコース濃度を示すグラフを表す。