JP2015174914A - 磁気記録媒体用バインダー及び磁気記録媒体 - Google Patents

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倫 前田
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増美 前原
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文彦 中尾
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Abstract

【課題】磁性粉の分散性に優れ、磁気記録媒体の磁気特性を向上できる磁気記録媒体用のバインダーの提供。【解決手段】一般式(1)で表されるスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1)を含むポリオール(A)とポリイソシアネート成分(B)とからなる樹脂(P)バインダー。[R1はC2〜12の2価の炭化水素基;R2はH、メチル基又は−R5−O−R6−SO3-M+で表される基;R3はH、メチル基、エチル基又は−R5−O−R6−SO3-M+で表される基;R4は直接結合又はメチレン基;R5は直接結合、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基;R6はプロピレン基又は2−メチル−1,3−プロピレン基;LはC又は特定の4価の基;M+は特定のカチオン、m及びnは1〜10の整数]【選択図】なし

Description

本発明は、磁気テープ、磁気カ−ド、磁気ディスク等の磁気記録媒体の製造に用いられるバインダー及びそのバインダーを用いた磁気記録媒体に関する。
従来、磁気記録媒体用のバインダーとしては、ポリウレタン樹脂等が用いられている(例えば特許文献1)。
しかし、近年、磁気記録媒体の高性能化に伴い、磁性体の微粒子化や高磁力化が図られ、従来のバインダーでは十分な磁性体の分散性のあるものが得られていない。
特開平11−175955号公報
本発明の目的は、磁性粉の分散性に優れることにより、磁気テープの磁気特性を向上させることができる磁気記録媒体用のバインダーを提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、一般式(1)で表されるスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1)及び前記(a1)以外の数平均分子量が500〜4,000の高分子ポリオール(a2)を含有するポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とから形成されるポリウレタン樹脂(P)を含有する磁気記録媒体用バインダー;前記磁気記録媒体用バインダーを含有してなる磁性塗料;前記磁気記録媒体用バインダーを含有してなる磁性層を有する磁気記録媒体である。
Figure 2015174914
[式中、複数個あるR1はそれぞれ独立に炭素数2〜12の2価の炭化水素基を表し、R2は水素原子、メチル基又は−R5−O−R6−SO3 -+で表される基を表し、R3は水素原子、メチル基、エチル基又は−R5−O−R6−SO3 -+で表される基を表し、R2とR3が同時に−R5−O−R6−SO3 -+で表される基となることはなく、R4は直接結合又はメチレン基を表し、R5は直接結合、メチレン基、エチレン基又は1,2−若しくは1,3−プロピレン基を表し、複数個ある場合のR5は同一でも異なっていてもよく、R6は1,2−若しくは1,3−プロピレン基又は2−メチル−1,3−プロピレン基を表し、複数個ある場合のR6は同一でも異なっていてもよく、Lは炭素原子又は化学式(2)で表される4価の基を表し、M+はプロトン、アルカリ金属カチオン、アンモニウムイオン又は炭素数1〜20のモノアミンにプロトンが付加した1価のアミニウムイオンを表し、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。]
Figure 2015174914
本発明の磁気記録媒体用バインダーは、磁性粉に対する分散性が優れており、磁気テープの磁気特性が向上する。
本発明の磁気記録媒体用バインダーは、一般式(1)で表されるスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1)及び前記(a1)以外の数平均分子量が500〜4,000の高分子ポリオール(a2)を含有するポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とから形成されるポリウレタン樹脂(P)を含有する。スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1)を用いることにより、ポリウレタン樹脂(P)にスルホン酸(塩)基が導入され、磁性粉の分散性に優れた磁気記録媒体用バインダーを得ることができる。
Figure 2015174914
一般式(1)中、複数個あるR1はそれぞれ独立に炭素数2〜12の2価の炭化水素基[直鎖又は分岐のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基及びフェニルエチレン基等)等]である。
2は水素原子、メチル基又は−R5−O−R6−SO3 -+で表される基であり、R3は水素原子、メチル基、エチル基又は−R5−O−R6−SO3 -+で表される基であり、R2とR3が同時に−R5−O−R6−SO3 -+で表される基となることはない。
4は直接結合又はメチレン基であり、R5は直接結合、メチレン基、エチレン基又は1,2−若しくは1,3−プロピレン基であり、複数個ある場合のR5は同一でも異なっていてもよく、R6は1,2−若しくは1,3−プロピレン基又は2−メチル−1,3−プロピレン基である。複数個ある場合のR6は同一でも異なっていてもよい。
Lは炭素原子又は化学式(2)で表される4価の基である。
Figure 2015174914
+はプロトン、アルカリ金属カチオン(リチウムカチオン、カリウムカチオン及びナトリウムカチオン等)、アンモニウムイオン又は炭素数1〜20のモノアミンにプロトンが付加した1価のアミニウムイオンである。
炭素数1〜20のモノアミンにプロトンが付加した1価のアミニウムイオンを形成する炭素数1〜20のモノアミンとしては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びメチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
原料としてジオール(a1)を使用した樹脂の電気伝導性又は顔料分散性の観点からは、M+はアルカリ金属カチオン(リチウムカチオン、カリウムカチオン及びナトリウムカチオン等)であることが好ましい。
また、使用時に任意のアルカリ金属カチオンやアミンで中和することができるという観点からは、M+はプロトンであることが好ましい。
m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表し、いずれもジオール(a1)の粘度及び樹脂の機械物性の観点から好ましいのは1〜5である。
一般式(1)において、R2が−R5−O−R6−SO3 -+で表される基の場合、R3は水素原子で、R4はメチレン基で、R5は直接結合で、R6は1,3−プロピレン基で、Lは炭素原子であること、又はR3は水素原子で、R4は直接結合で、R5はメチレン基で、R6は1,3−プロピレン基で、Lは炭素原子であることが好ましい。
また、一般式(1)において、R3が−R5−O−R6−SO3 -+で表される基の場合、R2は水素原子で、R4及びR5はメチレン基で、R6は1,3−プロピレン基であることが好ましい。
本発明のスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1)は、例えば一般式(3)で表されるジオール(a0)の水酸基に炭素数2〜12のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)を付加反応させた後、(a0)中の不飽和基に重亜硫酸を反応させて更にアンモニア、アルカリ金属の水酸化物又は前記炭素数1〜20のアミンで中和することにより得ることができる。また、予めアンモニア、アルカリ金属の水酸化物又は前記炭素数1〜20のアミンで中和された重亜硫酸をジオール(a0)のAO付加物に反応させることによってもジオール(a1)を得ることができる。
更に一般式(1)におけるM+がアンモニウムイオン又は炭素数1〜20のモノアミンにプロトンが付加した1価のアミニウムイオンの場合は、一般式(1)におけるM+がアルカリ金属カチオンであるものと、鉱酸(塩酸及び硫酸等)のアンモニウム塩又は炭素数1〜20のアミン塩とをアルコール中で反応させ、沈殿してくる鉱酸のアルカリ金属塩を分離除去する方法でもジオール(a1)を得ることができる。
更に一般式(1)におけるM+がプロトンの場合は、前記一般式(1)におけるM+がアルカリ金属カチオン、アンモニウムイオン又は炭素数1〜20のモノアミンにプロトンが付加した1価のアミニウムイオンであるジオールを、酸(塩酸等)によりカチオン交換し、生成した塩を濾過除去することによって得ることができる。
Figure 2015174914
一般式(3)中、R7は水素原子、メチル基又は−R10−O−R11で表される基であり、R8は水素原子、メチル基、エチル基又は−R10−O−R11で表される基であり、R7とR8が同時に−R10−O−R11で表される基となることはない。
9は直接結合又はメチレン基であり、R10は直接結合、メチレン基、エチレン基又は1,2−若しくは1,3−プロピレン基であり、複数個ある場合のR10は同一でも異なっていてもよく、R11はアリル基又はメタリル基である。複数個ある場合のR11は同一でも異なっていてもよい。
Lは炭素原子又は前記化学式(2)で表される4価の基である。
一般式(3)において、R7が−R10−O−R11で表される基の場合、R8は水素原子で、R9はメチレン基で、R10は直接結合で、R11はアリル基で、Lは炭素原子であること、又はR8は水素原子で、R9は直接結合で、R10はメチレン基で、R11はアリル基で、Lは炭素原子であることが好ましい。また、一般式(3)において、R8が−R10−O−R11で表される基の場合、R7は水素原子で、R9及びR10はメチレン基で、R11はアリル基であることが好ましい。
一般式(3)で表されるジオール(a0)の具体例としては、1−(アリルオキシ)−1,2−エタンジオール、1−(アリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(2−メチルアリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、2−(アリルオキシ)−1,3−プロパンジオール、2−(アリルオキシメチル)−1,2−プロパンジオール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、2−メチル−2−(アリルオキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(アリルオキシメチル)−1,3−プロパンジオール、4−(アリルオキシ)−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−(アリルオキシ)−2−エチル−1,2−ブタンジオール、5−(アリルオキシ)−1,2−ペンタンジオール、5−(アリルオキシ)−2−メチル−1,2−ペンタンジオール、5−(アリルオキシ)−2−エチル−1,2−ペンタンジオール、2,2−ビス(アリルオキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−[1−(アリルオキシメチル)−2−(アリルオキシ)エトキシ]−1,3−プロパンジオール、(2R,3S)−2,4−ビス(アリルオキシ)−1,3−ブタンジオール及び(2R,3S)−1,4−ビス(アリルオキシ)−2,3−ブタンジオール等が挙げられる。
一般式(3)で表されるジオール(a0)の水酸基に反応させる炭素数2〜12のAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)、3−メチルテトラヒドロフラン、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)等が挙げられる。AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、AOを2種以上併用する場合の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であっても、これらの併用であってもよい。
ジオール(a0)の水酸基1個あたりのAOの付加モル数はジオール(a1)の粘度及び樹脂の機械物性の観点から、1〜10が好ましく、更に好ましくは1〜5である。
ポリウレタン樹脂(P)における前記ジオール(a1)が有するスルホン酸(塩)基の含有量は、ポリウレタン樹脂(P)106g当たり好ましくは1〜1,000当量、更に好ましくは5〜500当量、特に好ましくは10〜300当量である。スルホン酸(塩)基の含有量が1,000当量を超えると磁性塗料としたときの粘度が高くなり作業性が悪くなる場合がある。
一般式(3)で表されるジオール(a0)は、多価アルコールを塩基性触媒存在下でハロゲン化アリル又はハロゲン化メタリルを反応させるウィリアムソン合成等、公知の方法で製造することができる。
前記(a1)以外のMnが500〜4,000の高分子ポリオール(a2)としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びその他のポリオール等が挙げられ、ポリウレタン樹脂の樹脂強度の観点から、好ましいのはポリエステルポリオールである。
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールは、後述の化学式量又はMnが500未満の有機酸(塩)基を有しない低分子ポリオール(a4)とポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル及びハライド等]とを反応させて得られる。
ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)及び3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等);前記酸の無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等);前記酸の酸ハライド(アジピン酸ジクロライド等);前記酸の低級(炭素数1〜4)アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等);等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、後述の化学式量又はMnが500未満の有機酸(塩)基を有しない低分子ポリオール(a4)等への炭素数4〜12のラクトン(ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等)の重付加物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、後述の化学式量又はMnが500未満の有機酸(塩)基を有しない低分子ポリオール(a4)と炭酸エステル(ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びジフェニルカーボネート等)とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
これらのポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチレンテレルフタレートジオール、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリカプロラクトンジオール又はトリオール、ポリバレロラクトンジオール又はトリオール、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、前記以外に特開昭62−202324記載のフタル酸変性ポリカプロラクトンポリオールも使用できる。
ポリエーテルポリオールとしては、前記低分子ポリオールのAO単独付加物又は共付加物(ブロック及び/又はランダム)[例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−オキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレン−オキシエチレングリコール、ポリテオキシトラメチレン−オキシプロピレン(ブロック及び/又はランダム)グリコール及びポリオキシへキサメチレングリコール等]及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール[例えば前記高分子ポリオール中でビニル系モノマー(アクリロニトリル及びスチレン等)をラジカル(共)重合したもの]及びポリジエンポリオール(ポリブタジエンポリオール等)等が挙げられる。
ポリオール成分(A)における高分子ポリオール(a2)の量は、磁気テープの耐久性の観点から、ポリオール成分(A)の重量に基づいて好ましくは10重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。(a2)の量が10重量%未満では磁気記録媒体用バインダーの物性が低くなり、磁気テープの耐久性が不十分となる。
(a2)のMnは、通常500〜4,000、好ましくは600〜3,500、更に好ましくは700〜3,000である。(a2)のMnが500未満では、得られるポリウレタン樹脂が脆いものとなり、磁気テープにしたときの耐スクラッチ性が低下し、Mnが4,000を超えると得られるポリウレタン樹脂の樹脂強度が低下し、磁気テープにしたときの耐久性が不十分となる。
本発明におけるポリオールのMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて例えば以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
・溶液注入量:10μl
・流量:0.6ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
ポリオール成分(A)は、更に前記(a1)以外のカルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基及びスルファミン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機酸(塩)基を有するポリオール(a3)並びに/又は化学式量若しくはMnが500未満の有機酸(塩)基を有しない低分子ポリオール(a4)を含有することができる。
前記(a1)以外のカルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基及びスルファミン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機酸(塩)基を有するポリオール(a3)としては、カルボン酸基を有するポリオール{酒石酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸及び3−[ビス(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸等};スルホン酸基を有するポリオール{2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)エステル等};スルファミン酸基を有するポリオール{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸等};これらの化合物の水酸基へのAO付加物(Mn4,000以下);及びこれらの塩[金属(カリウム、ナトリウム及びリチウム等)塩及びアミン(アルキルアミン及びアルカノールアミン等)等の塩]等が挙げられる。(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
(a3)を使用する場合、ポリウレタン樹脂(P)における前記ジオール(a1)が有するスルホン酸(塩)基の含有量と(a3)が有する有機酸(塩)基の含有量の合計量は、ポリウレタン樹脂(P)106g当たり好ましくは1〜1,000当量、更に好ましくは5〜500当量、特に好ましくは10〜300当量である。有機酸(塩)基の含有量が1,000当量を超えると磁性塗料としたときの粘度が高くなり作業性が悪くなる場合がある。
化学式量又はMnが500未満の有機酸(塩)基を有しない低分子ポリオール(a4)としては、例えば、直鎖状アルキレングリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール及び1,10−デカンジオール等);環状基を有する低分子ジオール類[シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等のグリコール類並びに特公昭45−1474号公報記載のもの:キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−ジフェニルプロパン(ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物)等];グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、グルコース、フラクトース及び庶糖等の3〜8価のアルコール類;及びこれらの1種又は2種以上の混合物のAO付加物(Mn500未満)等が挙げられる。これらの内で好ましいのは直鎖状アルキレングリコール及び環状基を有する低分子ジオールである。(a4)は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
ポリオール成分(A)のMnのモル平均値は、好ましくは400〜4,000、更に好ましくは500〜3,500、特に好ましくは600〜3,000である。Mnが400未満では得られるポリウレタン樹脂が脆弱になる場合があり、4,000を越えるとポリウレタン樹脂の機械的強度が不十分になる場合がある。
ポリオール成分(A)は、更に一般式(4)で表されかつ少なくとも1つの活性水素を有する化合物(S)を含有することができる。(A)が化合物(S)を含有することにより、化合物(S)がポリウレタン樹脂(P)の分子骨格中に組み込まれてポリウレタン樹脂(P)の機械強度等が向上し、耐久性に優れる磁気記録媒体用バインダーが得られる。
Figure 2015174914
一般式(4)におけるT1は、r価の活性水素含有有機化合物からg個の活性水素を除いた残基を表す。
r価の活性水素含有有機化合物としては、水酸基含有化合物、アンモニア、アミノ基含有化合物及びチオール基含有化合物等が挙げられる。活性水素含有有機化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
水酸基含有化合物としては、炭素数1〜20の1価のアルコール、炭素数2〜20の多価アルコール及びフェノール類;これらのAO付加物;アンモニア、アミノ基含有化合物及びチオール基含有化合物のAO付加物;等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価アルコールとしては、炭素数1〜20のアルカノール(メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数2〜20のアルケノール(オレイルアルコール及びリノリルアルコール等)及び炭素数7〜20の芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール及びナフチルエタノール等)等が挙げられる。
炭素数2〜20の多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール[脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−又は1,10−デカンジオール及び1,2−又は1,12−ドデカンジオール等)、脂環式ジオール(1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等)、芳香脂肪族ジオール{1−フェニルエタン−1,2−ジオール及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等}、エーテル基含有ジオール{3−ブトキシ−1,2−プロパンジオール、3−(2−エチルヘキソキシ)−1,2−プロパンジオール
3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール及び3−(p−tert―ブチルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール等}及びハロゲン基含有ジオール(3−クロロ−1,2−プロパンジオール等)等]、炭素数3〜20の3価アルコール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等]及び炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等)及び糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)]等が挙げられる。
フェノール類としては、例えば1価のフェノール(フェノール、1−ヒドロキシナフタレン、アントロール及び1−ヒドロキシピレン等)及び多価フェノール[フロログルシン、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)及び米国特許3265641号明細書に記載のポリフェノール等]が挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルアミン[アルキルアミン(ブチルアミン等)、ベンジルアミン及びアニリン等]、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等)、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(ジアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数2〜20の芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等)、炭素数2〜20の複素環式ポリアミン(ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)、ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等)及びジシアンジアミド等が挙げられる。
チオール基含有化合物としては、炭素数1〜20の1価のチオール化合物(エタンチオール等のアルカンチオール、ベンゼンチオール及びフェニルメタンチオール)及び多価のチオール化合物(1,2−エタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等)等が挙げられる。
前記水酸基含有化合物に用いられるAOとしては、炭素数2〜4のAO、例えば、EO、PO、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド及びTHF等が挙げられる。これらの内、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点からEO、PO及びTHFが好ましい。AOは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、AOを2種以上併用する場合の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
活性水素含有有機化合物がAO付加物の場合のAOの付加モル数はポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、8〜100が好ましく、更に好ましくは10〜80である。AO付加物の水酸基価は18〜360mgKOH/gであることが好ましい。本発明において、水酸基価はJIS K 1577−1に準拠して測定される。
化合物(S)にT1を導入するための活性水素含有有機化合物として、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から好ましいのは、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物及びこれらのAO付加物であり、更に好ましいのは、炭素数2〜20の多価アルコール及び炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン及び多価のチオール化合物、特に好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコール及び炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、最も好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオールである。
活性水素含有有機化合物の価数は、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、通常1〜20であり、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは2である。
一般式(4)におけるgは、1〜20でかつ1≦g≦rを満たす整数を表し、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは2である。
一般式(4)におけるT2は、1〜20価の活性水素含有有機化合物から1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のT2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
2を構成するために用いられる活性水素含有有機化合物としては、上述のT1で示した活性水素含有有機化合物と同様のものが挙げられ、T2とT1はそれぞれ同一でも異なっていてもいが、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、T1と少なくとも1つのT2とは異なる基であることが好ましい。
また、T2の価数はポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、通常1〜20であり、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2、最も好ましくは2である。
尚、後述のYを構成するために用いる3価以上のポリカルボン酸に前記活性水素含有有機化合物を反応させることによりT1及びT2を化合物(S)に導入することができるが、T1及びT2が特に炭素数2〜4のジオール又は繰り返し単位の炭素数が2〜4のポリエーテルポリオールの場合、ポリカルボン酸のカルボキシル基に前記炭素数2〜4のAOを付加することによっても同等の化合物を得ることができる。
一般式(4)におけるYは、3価以上の芳香族ポリカルボン酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。Yの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが、少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず水素原子と結合している必要がある。
カルボキシル基以外の置換基とは、アルキル基、ビニル基、アリル基、シクロアルキル基、アミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、チオール基、アリール基及びシアノ基等が挙げられる。
Yを構成するために用いられる3価以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜30の芳香族ポリカルボン酸、トリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、1,2,4−、1,3,6−又は2,3,6−ナフタレントリカルボン酸及び2,3,6−アントラセントリカルボン酸等のトリカルボン酸;ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシビスフタル酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフタル酸等のテトラカルボン酸;等が挙げられる。芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの芳香族ポリカルボン酸の内、磁気記録媒体用バインダーの耐久性の観点から好ましいのは、前記芳香環を構成し置換基が結合していない炭素原子に隣接する2個の炭素原子にカルボキシル基が結合し、前記カルボキシル基が結合した炭素原子に隣接しかつ前記炭素原子とは異なる炭素原子の少なくとも一方に更にカルボキシル基が結合した構造を有する構造を有するものである。
例えば、芳香族ポリカルボン酸の芳香環がベンゼン環で前記置換基が結合していない炭素原子の位置が1位の場合、2位と6位にカルボキシル基が結合し、更に3位及び/又は5位にカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましい。
磁気記録媒体用バインダーの耐久性の観点から、Yを構成するために用いる芳香族ポリカルボン酸として特に好ましいのは単環式化合物であり、最も好ましいのはトリメリット酸及びピロメリット酸である。
一般式(4)におけるeは1以上の整数を表し、fは0以上の整数を表し、かつ、2≦e+f≦h−2を満たし、hは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。例えば、芳香環が炭素原子6個から構成されるベンゼン環の場合、hは6であり、e+fは2〜4の値を取り得、芳香環が炭素原子10個から構成されるナフタレン環の場合、hは8であり、e+fは2〜6の値を取り得る。芳香環が単環の芳香環の場合、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度の観点から、e+fは2又は3が好ましい。また、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、fはeの1/2以下であることが好ましく、特に好ましいのは0である。
本発明における化合物(S)の水酸基価は、ポリウレタン樹脂(P)の破断伸び及び破断強度の観点から、好ましくは70〜500mgKOH/g、更に好ましくは75〜350mgKOH/gである。水酸基価が70mgKOH/g未満ではポリウレタン樹脂の破断強度が低下する傾向にあり、500mgKOH/gを超えるとポリウレタン樹脂の破断伸びが低下する傾向にある。
化合物(S)におけるYの濃度は、化合物(S)1g中の残基Yのミリモル数を意味し、ポリウレタン樹脂(P)の破断伸び及び破断強度の観点から、好ましくは0.5〜8mmol/g、更に好ましくは0.7〜6mmol/g、特にに好ましくは0.9〜4mmol/gである。
化合物(S)のカルボニル基濃度は、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、好ましくは3〜24mmol/g、更に好ましくは3.5〜18mmol/g、特に好ましくは4〜12mmol/gである。本発明におけるカルボニル基濃度におけるカルボニル基とは、一般式(4)におけるYに結合するカルボニル基、即ちYを導入するために用いられる3価以上の芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基並びにこれから誘導されるエステル基、チオエステル基及びアミド基等の官能基中のカルボニル基を意味する。
ポリオール成分(A)に用いられる場合の化合物(S)のモル平均官能基数は、ポリウレタン樹脂(P)の機械強度等の観点から、1〜8が好ましく、更に好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4、最も好ましくは4である。
本発明におけるモル平均官能基数は、組成物中の各成分の活性水素を有する官能基の数に各成分のモル数を乗じた値の総和を各成分のモル数の総和で除した値であり、各成分のモル数は各成分の重量を各成分の分子量で除した値である。計算に用いる分子量としては、低分子化合物の様に分子量に分布がない場合は化学式量を、分子量に分布がある場合はMnを用いる。
化合物(S)は、一般式(4)におけるT1、T2及びYの内の少なくとも1種が活性水素を有する化合物である。更に詳しくは、少なくとも、T1の価数rとgがr>gを満たすか、Yがアミノ基、水酸基、ヒドロキシアミノ基及びチオール基等の活性水素を有する置換基で置換されているか、T2を構成する活性水素含有有機化合物が2価以上であるか、fが1以上であることにより化合物(S)は少なくとも1つの活性水素を有する。
化合物(S)の使用量は、機械強度等の観点から、ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)の合計重量を基準として0.01〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜8重量%である。
有機ポリイソシアネート成分(B)としては、従来ポリウレタンの製造に使用されているものが使用でき、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(B1)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(B2)、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(B3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(B5)等が挙げられる。有機イソシアネート成分(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(B1)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(B2)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(B3)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDI略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
(B1)〜(B4)のポリイソシアネートの変性物(B5)としては、前記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が通常8〜33重量%、好ましくは10〜30重量%、特に12〜29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
これらの内で好ましいのは、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(B3)であり、更に好ましいのは芳香族ジイソシアネート、特に好ましいのは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてポリウレタン樹脂(P)を製造するに際し、(A)と(B)の当量比率(水酸基の当量/イソシアネート基の当量)は通常0.6〜1.5、好ましくは0.8〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.1である。当量比率が0.6未満又は1.5を越えると(A)と(B)との反応により得られるポリウレタン樹脂の分子量が低くなり分散性が低下し、また、樹脂強度が不十分となり、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐加水分解性等が低下する。前記反応はイソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下又は不存在下で行なうことができる。このような溶媒としてはエステル系溶媒(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、エーテル系溶媒(ジオキサン及びテトラハイドロフラン等)、ケトン系溶媒(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン及びキシレン等)及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
反応方法としては(A)と(B)とを一括して反応容器に仕込み反応させる方法、(A)と(B)とを分割して多段反応をさせる方法、及び予め混合した(A)と(B)を加熱された多軸押出し機中を通過させて反応させる方法等が挙げられる。
反応温度は通常30〜180℃、好ましくは60〜120℃である。また、反応を促進させるため通常のウレタン反応において用いられる触媒、例えば、有機金属化合物[トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、レッドオレート、レッド2−エチルヘキソエートジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビスマスカルボキシレート、ビスマスアルコキシド及びジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物等]、無機金属化合物[酸化ビスマス、水酸化ビスマス及びハロゲン化ビスマス等]、アミン[トリエチルアミン、トリエチレンジアミン及びジアザビシクロウンデセン等]及びこれらの2種以上の混合物等を使用することができる。
ポリウレタン樹脂(P)のMnは、通常1,000〜200,000、好ましくは3,000〜150,000である。Mnが1,000未満では樹脂強度等が低下し、磁気テープの耐久性が劣り、200,000を越えると塗料粘度が高くなり、磁性粉の分散性も低下する。
本発明におけるMwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」+「TSKgel α−M」[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
また、(P)のガラス転移点(Tg)は、好ましくは0〜125℃、更に好ましくは30〜120℃、特に好ましくは50〜115℃である。Tgが0℃未満では磁気テープの耐久性が低下し、125℃を超えると磁気テープ製造時のカレンダー性が悪くなる。
本発明の磁気記録媒体用バインダーに用いられる(P)は更に必要により他の樹脂と併用してもよい。
他の樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂[塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(「VYHH」;UCC社製及び「エスレックC」;積水化学製等)、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(「VAGH」;UCC社製及び「エスレックA」;積水化学製等)、塩化ビニル−塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体(「サラン」;旭ダウ製等)等]、ポリウレタン系樹脂[「エステン」;グッドリッチ社製等)等]、ポリブタジエン系樹脂[アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(「ハイカー1482」;日本ゼオン製等)等]、アクリル系樹脂(アクリル酸エステル系共重合体等)、ニトロセルロース、フェノキシ樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの他の樹脂は、樹脂中にカルボキシル基、スルホン酸金属塩基、スルホベタイン、燐酸エステル基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基及び水酸基等の官能基を含有していてもよい。
本発明の磁気記録媒体は、本発明の磁気記録媒体用バインダー、磁性粉、溶媒及び添加剤を混合・分散し、得られる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成させることにより得られる。また、本発明の磁気記録媒体用バインダーは、磁性層とは反対側のバックコート層用のバインダーとしても使用することができる。
磁性塗料に使用される磁性粉としては、金属酸化物[例えばγ−Fe23(γ−ヘマタイト)]、CrO3(三酸化クロム)、合金系の磁性体[例えばCo−γ−Fe23(コバルトフェライト及びコバルトドープγ−酸化鉄)、Fe−Co−Cr、バリウムフェライト及びストロンチウムフェライト]、純鉄Fe(メタルパウダー)、窒化鉄及び炭化鉄等が挙げられる。
磁性塗料に用いられる溶媒としては、エステル系溶媒(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、エーテル系溶媒(ジオキサン及びTHF等)、ケトン系溶媒(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルルケトン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン及びキシレン等)及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。これらの内で好ましいのはケトン系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒との混合溶媒である。溶媒の使用量は、磁性塗料中の固形分含量が通常20〜80重量%となる範囲である。
更に該磁性塗料には、本発明の磁気記録媒体用バインダー及び磁性粉の他に、添加剤として公知の分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤、防錆剤及び架橋剤等が添加されていてもよい。
分散剤としては、炭素数12〜18個の脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸及びステアロール酸等);金属石鹸[前記脂肪酸のアルカリ金属(カリウム及びナトリウム等)塩及びアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及びバリウム等)塩]等が挙げられる。
潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサン(アルキルの炭素数1〜5)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシの炭素数1〜4)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルの炭素数1〜5、アルコキシの炭素数1〜4)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン、シリコンオイル、導電性微粉末(グラファイト等)、無機粉末(二硫化モリブデン及び二硫化タングステン等)、プラスチック微粉末、脂肪酸エステル類及びフルオロカーボン類等が挙げられる。
研磨剤としては、アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、コランダム、人造コランダム、ダイヤモンド及び人造ダイヤモンド等が挙げられる。
帯電防止剤としては、導電性粉末(カーボンブラック及びカーボンブラックグラフトポリマー等)、天然界面活性剤(サポニン等)、ノニオン型界面活性剤(アルキレンオキサイド系、グリセリン系及びグリシドール系等)、カチオン型界面活性剤(高級アルキルアミン類、第四級アンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環類及びホスホニウム類等)、アニオン型界面活性剤(カルボン酸型、スルホン酸型、燐酸型、硫酸エステル基型及び燐酸エステル基型等)、両性界面活性剤(アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸及び燐酸エステル類等)等が挙げられる。
防錆剤としては、燐酸、スルフィド、グアニジン、ピリジン、アミン、尿素、ジンククロメート、カルシウムクロメート及びストロンチウムクロメート等が挙げられる。また、特にジシクロヘキシルアミンナイトライト、シクロヘキシルアミンクロメート、ジイソプロピルアミンナイトライト、ジエタノールアミンホスフェート、シクロヘキシルアンモニウムカーボネート、プロピレンジアミンステアレート、グアニジンカーボネート、トリエタノールアミンナイトライト及びモルフォリンステアレート等の気化性防錆剤(アミン、アミド又はイミドの無機酸塩又は有機酸塩)を使用すると防錆効果が向上する。
また、磁気記録媒体の磁性層の強度の向上を目的として磁性塗料中に架橋剤として多官能ポリイソシアネートを配合することができる。好ましい多官能ポリイソシアネートとしては、例えば有機ポリイソシアネート(TDI及びMDI等)と活性水素化合物(低分子ポリオール、ポリアミン、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール等)とからのイソシアネート基末端プレポリマー[例えば、「コロネートL」(日本ポリウレタン工業製)及び「コロネートHL」(日本ポリウレタン工業製)等]等が挙げられる。
架橋剤の使用量は特に限定されないが、バインダーの重量に基づいて通常3〜80重量%である。また、架橋反応を促進させるため、前述のポリウレタン樹脂(P)の製造において例示したものと同様の触媒を適宜配合してもよい。
磁気記録媒体を構成する非磁性支持体の素材としては、ポリエステル類(ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレート等);ポリオレフィン類(ポリエチレン及びポリプロピレン等);セルロース誘導体(セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネート等);ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン等);その他のプラスチック(ポリカーボネート、ポリイミド及びポリアミドイミド等);非磁性金属類(アルミニウム、銅、スズ、亜鉛及びこれらを含む非磁性合金等);セラミック類(ガラス、陶器及び磁器等);バライタ又はポリオレフィン類(ポリエチレン及びエチレン−ブテン共重合体等)を塗布又はラミネートした紙;等が挙げられる。また、非磁性支持体の形態はフイルム、テープ、シート、ディスク、カード及びドラム等のいずれであってもよい。非磁性支持体上に磁性塗料を塗布して形成される磁性層の厚さは、乾燥膜厚で通常0.05〜50μmである。
磁気記録媒体(磁気テープ等)を製造する方法としては、例えば磁気記録媒体用バインダー、磁性粉、溶媒及び必要により添加剤を予めプレミキサー等で混合した後、混合分散機(ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、サンドミル及びプラストミル等)で磁性粉を分散させて磁性塗料を作製し、次にこの磁性塗料を、ドクターブレード法又は転写印刷法(グラビア法及びリバースロール法等)等の方法により非磁性支持体に塗布後、配向、乾燥、表面加工、切断、巻取り等の工程を経て磁気記録媒体とする方法が例示できる。
磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層(磁性粉及びバインダー等)からなるものが一般的であるが、非磁性支持体と磁性層の間に中間層(下塗層、アンダーコート層)を設けたもの、非磁性支持体の両面に磁性層を有するもの、磁気特性の異なる磁性層を重積したもの、磁性層の上に保護層を設けたもの、非磁性支持体にバックコート層を設けたもの等であってもよい。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下において部は重量部、%は重量%を示す。
製造例1 [スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−1)の製造]
攪拌装置及び温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ジオール(a0)としての3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールを132.2部仕込み、窒素雰囲気下、AOとしてのEO176.0部を120℃±10℃で、圧力が0.5MPa以下となるよう制御しながら、2時間かけて滴下した後、120℃±10℃で3時間熟成して、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールの水酸基にEOが付加した化合物を得た。
次に、攪拌装置及び温度制御装置付きのガラス製オートクレーブに、空気を通気しながら、スルホン化剤としての亜硫酸ナトリウム63.1部及び重亜硫酸ナトリウム109.3部並びにイオン交換水450部を仕込み、撹拌溶解後、前記3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールの水酸基にEOが付加した化合物を308.2部仕込み、空気を通気しながら、60℃10時間反応させた。その後、窒素通気下、30%過酸化水素水溶液を42.0部仕込み、未反応の重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムを還元した。次いでメタノール200.0部を添加し、析出してきた上記重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムの還元物をろ過により除去した。得られた溶液からイオン交換水及びメタノールを減圧下留去した後、15%塩酸水溶液を248.5部加え、窒素通気下60℃で2時間混合し、化合物中のスルホン酸ナトリウム基をスルホン酸基とした。1時間静置し、水相と油相に分離させた後、上澄みの水相を除去し、残った油相からイオン交換水を減圧下留去することで、スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−1)を得た。
製造例2〜4、7、11、15、19、25、29〜30 [スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−2)〜(a1−4)、(a1−7)、(a1−11)、(a1−15)、(a1−19)、(a1−25)、(a1−29)〜(a1−30)の製造]
仕込み原料を表1〜表3に記載のものに代える以外は製造例1と同様にして、スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−2)〜(a1−4)、(a1−7)、(a1−11)、(a1−15)、(a1−19)、(a1−25)、(a1−29)〜(a1−30)を得た。
製造例5 [スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−5)の製造]
攪拌装置及び温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ジオール(a0)としての3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールを132.2部仕込み、窒素雰囲気下、AOとしてのPO232.0部を120℃±10℃で、圧力が0.5MPa以下となるよう制御しながら、2時間かけて滴下した後、120℃±10℃で3時間熟成して、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールの水酸基にPOが付加した化合物を得た。
次に、攪拌装置及び温度制御装置付きのガラス製オートクレーブに、空気を通気しながら、スルホン化剤としての亜硫酸アンモニウム1水和物63.1部及び50%重亜硫酸アンモニウム水溶液208.1部並びにイオン交換水410部を仕込み、撹拌溶解後、前記3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールの水酸基にPOが付加した化合物を364.2部仕込み、空気を通気しながら、60℃10時間反応させた。その後、窒素通気下、30%過酸化水素水溶液を42.0部仕込み、未反応の重亜硫酸アンモニウム及び亜硫酸アンモニウムを還元した。次いでメタノール200.0部を添加し、析出してきた上記重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムの還元物をろ過により除去した。得られた溶液みからイオン交換水及びメタノールを減圧下留去して、スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−5)を得た。
製造例6、8〜10、12〜14、16〜18、20〜24、26〜28 [スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−6)、(a1−8)〜(a1−10)、(a1−12)〜(a1−14)、(a1−16)〜(a1−18)、(a1−20)〜(a1−24)、(a1−26)〜(a1−28)の製造]
仕込み原料を表1〜表3に記載のものに代える以外は製造例3と同様にして、スルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−6)、(a1−8)〜(a1−10)、(a1−12)〜(a1−14)、(a1−16)〜(a1−18)、(a1−20)〜(a1−24)、(a1−26)〜(a1−28)を得た。
得られたスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−1)〜(a1−30)のMn、スルホン酸基当量、スルホン酸基濃度及び一般式(1)における構成要素を表4及び表5に示す。なお、ジオール(a1−1)〜(a1−30)は常温で液状であり、従来用いられていたビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸テトラメチル4級アンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩が常温で固体であるのに比べて、ハンドリング性が良い。
Figure 2015174914
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Figure 2015174914
Figure 2015174914
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製造例31[活性水素を有する化合物(S−1)の製造]
撹拌装置及び温度制御装置を備えたステンレス製オートクレーブに、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物[三洋化成工業(株)製「サンニックスPL−910」;Mn=900、水酸基価124.7]900部、無水トリメリット酸384部及びアルカリ触媒(N−エチルモルホリン)2.1部を仕込み、窒素雰囲気下、0.20MPa、130±10℃で5時間反応させ酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物1モルに無水トリメリット酸が2モル反応したエステル化物を得た。続いてEO176部を100±10℃で、圧力が0.50MPa以下となるよう制御しながら、5時間かけて滴下した後、100±10℃で1時間熟成して、前記エステル化物にEOが付加した化合物(S−1)を得た。得られた化合物(S−1)の水酸基価は154mgKOH/gであり、前記一般式(4)におけるYの濃度=1.4mmol/g、カルボニル基濃度=4.1mmol/g、モル平均官能基数=4、Mn=1460、e=2、f=0、g=2である。
製造例32[活性水素を有する化合物(S−2)の製造]
撹拌装置及び温度制御装置を備えたステンレス製オートクレーブに、ピロメリット酸254部、アルカリ触媒(N−エチルモルホリン)2.1部及び溶媒としてのTHFを313部仕込み、窒素雰囲気下、EO176部を100±10℃で、圧力が0.50MPa以下となるよう制御しながら、5時間かけて滴下した後、100±10℃で1時間熟成して、ピロメリット酸のカルボキシル基にEOが付加した化合物(S−2)を得た。得られた化合物(S−2)の水酸基価は522mgKOH/gであり、前記一般式(4)におけるYの濃度=2.3mmol/g、カルボニル基濃度=9.3mmol/g、モル平均官能基数=4、Mn=430、e=3、f=0、g=1である。
実施例1[ポリウレタン樹脂(P−1)の製造]
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、スルホン酸(塩)基を有するジオールとしてのスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−1)78.0部、高分子ポリオール(a2)としてのMnが1000のポリブチレンアジペートジオール1,000部、低分子ポリオール(a4)としてのエチレングリコール124.0部、及び有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート750部を仕込み70℃で反応させた。これにメチルエチルケトン/シクロヘキサノン混合液(重量比1:1)4555部を加え、固形分30%のポリウレタン樹脂(P−1)の溶液を得た。
実施例2〜5、11〜15及び21〜25[ポリウレタン樹脂(P−2)〜(P−5)、(P−11)〜(P−15)及び(P−21)〜(P−25)の製造]
仕込み原料を表6〜7に記載のものに代える以外は実施例1と同様にして、固形分30%のポリウレタン樹脂(P−2)〜(P−5)、(P−11)〜(P−15)及び(P−21)〜(P−25)の溶液を得た。
実施例6[ポリウレタン樹脂(P−6)の製造]
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、スルホン酸(塩)基を有するジオールとしてのスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−6)132.0部、高分子ポリオール(a2)としてのMnが1000のポリブチレンアジペートジオール2,800部及び有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート750部を仕込み70℃で反応させた。これにメチルエチルケトン/シクロヘキサノン混合液(重量比1:1)8591部を加え、固形分30%のポリウレタン樹脂(P−6)の溶液を得た。
実施例7〜10、16〜20及び26〜28[ポリウレタン樹脂(P−7)〜(P−10)、(P−16)〜(P−20)及び(P−26)〜(P−28)の製造]
仕込み原料を表6〜7に記載のものに代える以外は製造例6と同様にして、固形分30%のポリウレタン樹脂(P−7)〜(P−10)、(P−16)〜(P−20)及び(P−26)〜(P−28)の溶液を得た。
実施例29[ポリウレタン樹脂(P−29)の製造]
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、スルホン酸(塩)基を有するジオールとしてのスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1−29)26.3部、高分子ポリオール(a2)としてのMnが1000のポリブチレンアジペートジオール1,000部、有機酸(塩)基を有するポリオール(a3)としてのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸ナトリウムのPO8モル付加物67.1部、低分子ポリオール(a4)としてのエチレングリコール112.0部、活性水素を有する化合物(S)としての活性水素を有する化合物(S−1)18.4部及び有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート750部を仕込み70℃で反応させた。これにメチルエチルケトン/シクロヘキサノン混合液(重量比1:1)4606部を加え、固形分30%のポリウレタン樹脂(P−29)の溶液を得た。
実施例30[ポリウレタン樹脂(P−30)の製造]
仕込み原料を表7に記載のものに代える以外は製造例29と同様にして、固形分30%のポリウレタン樹脂(P−30)の溶液を得た。
比較例1[ポリウレタン樹脂(P’−1)の製造]
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、高分子ポリオール(a2)としてのMnが1000のポリブチレンアジペートジオール1,000部、低分子ポリオール(a4)としてのエチレングリコール124.0部及び有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート750部を仕込み70℃で反応させた。これにメチルエチルケトン/シクロヘキサノン混合液(重量比1:1)4606部を加え、固形分30%のポリウレタン樹脂(P’−1)の溶液を得た。
実施例1〜30及び比較例1で得られたポリウレタン樹脂の分析結果を表6〜7に示す。
Figure 2015174914
Figure 2015174914
実施例31[磁性塗料(M−1)の製造]
実施例1で得られたポリウレタン樹脂(P−1)の溶液33.3部、Co−γ−Fe23微粉末100部、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(商品名:VAGH;UCC社製)10部、レシチン1部、MEK75部及びトルエン75部を混合して磁性塗料(M−1)を得た。
実施例32〜60[磁性塗料(M−2)〜(M−30)の製造]
ポリウレタン樹脂(P)の溶液の種類を表8に記載のものに代える以外は実施例31と同様にして、磁性塗料(M−2)〜(M−30)を得た。
比較例2[比較用の磁性塗料(M’−1)の製造]
ポリウレタン樹脂(P)の溶液を表8記載のものに代える以外は実施例31と同様にして、比較用の磁性塗料(M’−1)を得た。
Figure 2015174914
実施例61[磁気テープ(F−1)の製造]
磁性塗料(M−1)271部に硬化剤[「コロネートL」(日本ポリウレタン工業製)、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート3モル付加物]を5部添加し、10分間混合した。この磁性塗料をポリエステルフィルムに塗布し(乾燥膜厚5μm)、1,000Oeの磁場をかけて配向させた後、カレンダーロールで処理し磁気テープ(F−1)を得た。
実施例61〜90[磁気テープ(F−2)〜(F−30)の製造]
磁性塗料を表9に記載のものに代える以外は実施例61と同様にして、磁気テープ(F−2)〜(F−30)を得た。
比較例3[磁気テープ(F’−1)の製造]
磁性塗料を表9に記載のものに代える以外は実施例61と同様にして、比較用の磁気テープ(F’−1)を得た。
実施例61〜90及び比較例3で得られた磁気テープについて以下の方法で測定又は評価した結果を表9に示す。
[磁性粉の分散性試験]
日本電色工業製デジタル変角光沢計を用いて標準板の75゜の反射率を測定してこの値が95となるように調整した後、各磁気テープの反射率を測定して表面光沢度とし、以下の基準で分散性を評価した。表面光沢度が高いほど分散性が良好であることを示す。
◎:表面光沢度が100%以上
○:表面光沢度が80%以上100%未満
×:表面光沢度が80%未満
Figure 2015174914
本発明の磁気記録媒体用バインダーは、磁性粉の分散性に優れることにより磁気テープの磁気特性を向上させることができることから、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープ、データーレコーダーテープ、メタルテープ、フレキシブルディスク及び磁気カード等の磁気記録媒体用バインダーとして有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されるスルホン酸(塩)基を有するジオール(a1)及び前記(a1)以外の数平均分子量が500〜4,000の高分子ポリオール(a2)を含有するポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とから形成されるポリウレタン樹脂(P)を含有する磁気記録媒体用バインダー。
    Figure 2015174914
    [式中、複数個あるR1はそれぞれ独立に炭素数2〜12の2価の炭化水素基を表し、R2は水素原子、メチル基又は−R5−O−R6−SO3 -+で表される基を表し、R3は水素原子、メチル基、エチル基又は−R5−O−R6−SO3 -+で表される基を表し、R2とR3が同時に−R5−O−R6−SO3 -+で表される基となることはなく、R4は直接結合又はメチレン基を表し、R5は直接結合、メチレン基、エチレン基又は1,2−若しくは1,3−プロピレン基を表し、複数個ある場合のR5は同一でも異なっていてもよく、R6は1,2−若しくは1,3−プロピレン基又は2−メチル−1,3−プロピレン基を表し、複数個ある場合のR6は同一でも異なっていてもよく、Lは炭素原子又は化学式(2)で表される4価の基を表し、M+はプロトン、アルカリ金属カチオン、アンモニウムイオン又は炭素数1〜20のモノアミンにプロトンが付加した1価のアミニウムイオンを表し、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。]
    Figure 2015174914
  2. ポリオール成分(A)が更に前記(a1)以外のカルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基及びスルファミン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機酸(塩)基を有するポリオール(a3)並びに/又は化学式量若しくは数平均分子量が500未満の有機酸(塩)を有しない低分子ポリオール(a4)を含有する請求項1記載の磁気記録媒体用バインダー。
  3. ポリオール成分(A)が更に一般式(4)で表されかつ少なくとも1つの活性水素を有する化合物(S)を含有する請求項1又は2記載の磁気記録媒体用バインダー。
    Figure 2015174914
    [一般式(4)中、T1はr価の活性水素含有有機化合物からg個の活性水素を除いた残基を表し;gは1≦g≦rを満たす整数を表し;rは1〜20の整数を表し;T2は活性水素含有有機化合物から1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のT2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、T2とT1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Yは3価以上の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、Yの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず;eは1以上の整数を表し、fは0以上の整数を表し、かつ、2≦e+f≦h−2を満たし;hは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。]
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の磁気記録媒体用バインダーを含有してなる磁性塗料。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の磁気記録媒体用バインダーを含有してなる磁性層を有する磁気記録媒体。
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