JP2015162236A - フィラー配合ゴムモデルの作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面形状が複雑なフィラー配合ゴムモデルの作成時間を短縮する。【解決手段】マトリックスゴム中に、複数の一次粒子が凝集して形成されたフィラーが配置されたフィラー配合ゴムの有限要素モデルを、コンピュータを用いて作成する方法であり、マトリックスゴムをモデル化したマトリックスゴムモデル3Mを設定する工程と、フィラーをモデル化したフィラーモデル4Mを設定するフィラーモデル定義工程と、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとを互いに関連付けることにより、フィラー配合ゴムモデル2Mを設定する工程とを含んでいる。フィラーモデル定義工程は、フィラーの一次粒子を有限個の要素9を用いて離散化した一次粒子モデル7Mを、マトリックスゴムモデル3Mとは独立して定義する工程と、複数の一次粒子モデル7Mを、互いの要素9、9の節点10、10の共有を考慮することなく部分的に重ねる配置工程とを含む。【選択図】図7

Description

本発明は、マトリックスゴム中にフィラーが配置されたフィラー配合ゴムの有限要素モデルを、コンピュータを用いて作成するための方法に関する。
近年、有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションが種々行われている。これらのシミュレーションでは、解析対象物がコンピュータで取り扱い可能な有限個の要素に離散化され、有限要素モデルが作成される。有限要素モデルには、その剛性や粘性を示す特性が入力される。コンピュータシミュレーションでは、予め定めた変形条件等に基づいて、各要素の節点の変位が計算される。
近年、機械的な構造物のみならず、ゴム材料等の開発にもシミュレーションが用いられている。例えば、下記特許文献1及び2では、マトリックスゴム中にフィラーが配置されたフィラー配合ゴムモデルを、コンピュータを用いて作成するための方法が提案されている。
特許文献1及び2では、例えば、フィラー配合ゴムの顕微鏡断面写真等に基づいて、マトリックスゴム及びフィラーが占めているそれぞれの部分が特定される。各部分は、例えば、有限個の要素を用いて離散化され、マトリックスゴムモデル及びフィラーモデルにそれぞれモデル化される。
特開2012−185733号公報 特開2012−198654号公報
上記方法では、マトリックスゴムモデルとフィラーモデルとの境界部において、各々の要素の節点が共有されていた。このため、凝集する一次粒子によりフィラーの表面形状が複雑な場合には、その表面形状に沿って容易に離散化することができず、フィラー配合ゴムモデルの作成に、多くの時間を要するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、フィラーモデルの表面形状が複雑なフィラー配合ゴムモデルの作成時間を短縮しうる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、マトリックスゴム中に、複数の一次粒子が凝集して形成されたフィラーが配置されたフィラー配合ゴムの有限要素モデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、前記マトリックスゴムをモデル化したマトリックスゴムモデルを設定するマトリックスゴムモデル定義工程と、前記フィラーをモデル化したフィラーモデルを設定するフィラーモデル定義工程と、前記マトリックスゴムモデルと前記フィラーモデルとを互いに関連付けることにより、フィラー配合ゴムモデルを設定するフィラー配合ゴムモデル定義工程とを含み、前記フィラーモデル定義工程は、前記フィラーの前記一次粒子を有限個の要素を用いて離散化した一次粒子モデルを、前記マトリックスゴムモデルとは独立して定義する工程と、複数の前記一次粒子モデルを、互いの前記要素の節点の共有を考慮することなく部分的に重ねる配置工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記マトリックスゴムモデル定義工程は、前記フィラー配合ゴム中の少なくとも前記マトリックスゴムが占めている空間が、有限個の要素を用いて離散化され、前記配置工程は、互いの前記要素の節点の共有を考慮することなく、前記一次粒子モデルを前記マトリックスゴムモデルに配置するのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記フィラー配合ゴムモデルは、三次元モデルからなり、前記空間は、三次元の前記要素で離散化され、前記一次粒子は、その表面のみが二次元の前記要素で離散化されるのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記フィラー配合ゴムモデル定義工程は、前記一次粒子モデルと前記マトリックスゴムモデルとの境界部に、前記一次粒子モデルと前記マトリックスゴムモデルとの拘束条件が定義されるのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記フィラー配合ゴムモデルは、三次元モデルからなり、前記一次粒子及び前記空間は、三次元の前記要素で離散化されるのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記マトリックスゴムモデルは、前記一次粒子モデルが占めている第1領域を有し、前記フィラー配合ゴムモデル定義工程は、前記第1領域に、前記一次粒子モデルと前記マトリックスゴムモデルとの拘束条件が定義されるのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記フィラーの回りを取り囲む少なくとも1層の界面層をモデル化した界面層モデルを、前記マトリックスゴムモデル及び前記一次粒子モデルとは独立して設定する界面層モデル定義工程を含み、前記界面層モデル定義工程は、前記界面層が有限個の要素を用いて離散化され、前記界面層モデルは、前記マトリックスゴムモデルに、互いの前記要素の節点の共有を考慮することなく配置されるのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記界面層は、三次元の前記要素で離散化されるのが望ましい。
本発明に係る前記フィラー配合ゴムモデルの作成方法において、前記マトリックスゴムモデルは、前記界面層モデルが占めている第2領域を有し、前記フィラー配合ゴムモデル定義工程は、前記第2領域に、前記界面層モデルと前記マトリックスゴムモデルとの拘束条件が定義されるのが望ましい。
本発明のフィラー配合ゴムモデルの作成方法は、マトリックスゴムをモデル化したマトリックスゴムモデルを設定するマトリックスゴムモデル定義工程と、フィラーをモデル化したフィラーモデルを設定するフィラーモデル定義工程と、マトリックスゴムモデルとフィラーモデルとを互いに関連付けることにより、フィラー配合ゴムモデルを設定するフィラー配合ゴムモデル定義工程とを含んでいる。
フィラーモデル定義工程は、フィラーの一次粒子を有限個の要素を用いて離散化した一次粒子モデルを、マトリックスゴムモデルとは独立して定義する工程と、複数の一次粒子モデルを、互いの要素の節点の共有を考慮することなく部分的に重ねる配置工程とを含んでいる。
このように、本発明のフィラー配合ゴムモデルの作成方法では、凝集する一次粒子によりフィラーの表面形状が複雑であっても、複数の一次粒子モデルを部分的に重ねるだけで、フィラーモデルを容易に定義することができる。従って、本発明は、フィラーモデルの表面形状が複雑なフィラー配合ゴムモデルの作成時間を短縮することができる。
本発明の作成方法を実行するコンピュータの斜視図である。 (a)は、本実施形態のフィラー配合ゴムの一例を示す部分斜視図である。(b)は、図2(a)のA−A断面図である。 本発明の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 マトリックスゴムモデルを視覚化して示す斜視図である。 フィラーモデル定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)は、本実施形態の一次粒子モデルを視覚化して示す斜視図、(b)は、図6(a)のB部拡大図である。 視覚化されたフィラー配合ゴムモデルの一例を示す斜視図である。 図7のC−C断面図である。 フィラー配合ゴムモデルの部分拡大図である。 本発明の他の実施形態の一次粒子モデルを示す斜視図である。 本発明の他の実施形態のフィラー配合ゴムモデルを示す断面図である。 本発明の他の実施形態のフィラー配合ゴムの部分拡大断面図である。 本発明の他の実施形態の作成方法の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態のフィラー配合ゴムモデルを示す断面図である。 界面層モデル定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 界面層モデルの一例を示す断面図である。 実施例1のフィラー配合ゴムモデルの変形後の歪分布を示す図である。 比較例1のフィラー配合ゴムモデルの変形後の歪分布を示す図である。 実施例2のフィラー配合ゴムモデルの変形後の歪分布を示す図である。 比較例2のフィラー配合ゴムモデルの変形後の歪分布を示す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のフィラー配合ゴムモデルの作成方法(以下、単に「作成方法」ということがある。)は、フィラー配合ゴムの有限要素モデル(以下、単に「フィラー配合ゴムモデル」ということがある。)を、コンピュータを用いて作成するための方法である。
図1は、本発明の作成方法を実行するコンピュータの斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態の作成方法を実行するためのソフトウェア(汎用のメッシュ化ソフトウェア(例えば、ANSYS社の「ICEM CFD」))等が予め記憶されている。
図2(a)は、本実施形態のフィラー配合ゴム2の一例を示す部分斜視図、図2(b)は、(a)のA−A断面図である。フィラー配合ゴム2は、ゴムの主要部分を構成しているマトリックスゴム3と、その中に配されたフィラー4とを含んでいる。フィラー4は、複数の一次粒子7が凝集して形成されている。本実施形態のフィラー4としては、カーボンブラックである場合が例示されているが、シリカやその他の充填剤が単独で、又は、組み合わされたものでも良い。
本実施形態の作成方法では、上記のようなフィラー配合ゴム2に基づいて、有限要素モデルが作成される。有限要素モデルは、メッシュモデル等とも呼ばれている。このような有限要素モデルは、コンピュータ1を用いて作成され、数値シミュレーション等に利用される。数値シミュレーションでは、有限要素モデルに各種の条件に基づいて、有限要素モデルの変位や応力といった物理量が、コンピュータ1により計算される。
有限要素モデルは、三次元又は二次元の座標系に従って作成される。以下の実施形態では、有限要素モデルが三次元モデルとして、x−y−zの三次元座標系に定義される。
図3は、本実施形態の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図4は、マトリックスゴムモデル3Mを視覚化して示す斜視図である。本実施形態の作成方法では、先ず、コンピュータ1に、マトリックスゴム3をモデル化したマトリックスゴムモデル3Mが設定される(マトリックスゴムモデル定義工程S1)。
マトリックスゴムモデル3Mは、フィラー配合ゴム2中の少なくともマトリックスゴム3が占めている空間を、有限個の要素9を用いて離散化することで定義されている。好ましい態様では、図2(b)に示したフィラー配合ゴム2のうち、マトリックスゴム3が占めている第1空間T1と、フィラー4が占めている第2空間T2とを合わせた合計空間が、マトリックスゴムモデル3Mとして、要素9で離散化される。即ち、この実施形態によれば、フィラー配合ゴム2の解析対象部分の輪郭内の全範囲が、要素9で離散化されている。これにより、マトリックスゴムモデル3Mを容易にモデル化することができるため、作成時間を短縮することができる。
マトリックスゴムモデル3Mの要素9としては、本実施形態のような三次元モデルの場合、三次元の要素が用いられる。三次元の要素9としては、例えば、六面体要素又は四面体要素が好適に用いられる。本実施形態のマトリックスゴムモデル3Mは、矩形の輪郭形状を有している。このため、マトリックスゴムモデル3Mには、単純な六面体要素9aだけが使用されている。また、各要素9は、全て同じ大きさに設定されている。なお、各要素9は、後述する一次粒子モデル7Mの要素11(図6に示す)と同じかそれよりも大きいのが望ましい。これにより、マトリックスゴムモデル定義工程S1では、少ない要素数で、マトリックスゴムモデル3Mを容易に作成することができる。
また、マトリックスゴムモデル3Mでは、要素9のx軸方向、y軸方向、又は、z軸方向の長さを、必要に応じて変えることができる。例えば、解析対象領域がx軸方向に大きな変形をなすことが経験則から判明している場合は、要素9のx軸方向の長さを、y軸方向の長さよりも小さくするのが望ましい。このようなマトリックスゴムモデル3Mでは、x軸方向の要素9の個数を相対的に増やすことができるため、x軸方向の変形を精度よく計算することができる。
マトリックスゴムモデル3Mの各要素9の番号や節点10の位置座標などは、コンピュータ1に記憶される。さらに、各要素9には、マトリックスゴム3の物性値に基づいた弾性率や減衰係数などの物理量が入力される。これらの物理量は、後述するフィラー配合ゴムモデル2Mを用いた変形シミュレーションにおいて利用される。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1に、フィラー4をモデル化したフィラーモデルが設定される(フィラーモデル定義工程S2)。図5は、本実施形態のフィラーモデル定義工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6は、(a)は、本実施形態の一次粒子モデル7を視覚化して示す斜視図、(b)は、図6(a)のB部拡大図である。
本実施形態のフィラーモデル定義工程S2では、先ず、図2に示したフィラー4の一次粒子7を、有限個の要素を用いて離散化した一次粒子モデル7Mが定義される(工程S21)。本実施形態の一次粒子モデル7Mは、図2に示した一次粒子7の表面7sのみが、有限個の要素11で分割(離散化)されたものである。このため、一次粒子モデル7Mは、内部に空間7Miを有する中空状に定義される。
要素11としては、本実施形態のような三次元モデルの場合、二次元の要素(面要素)が用いられる。二次元の要素11としては、例えば、四辺形要素又は三角形要素が好適に用いられる。工程S21では、一次粒子7の表面7s(図2に示す)に沿って、複数の要素11で離散化される。このような一次粒子モデル7Mは、例えば、一次粒子7の表面7sから内部まで離散化された中実状のモデルに比べて、要素11の数を少なくすることができるため、後述するフィラー配合ゴムモデル2M(図7に示す)を用いた変形シミュレーションにおいて、計算コストを抑えることができる。
また、工程S21では、二次元の要素11が用いられるため、一次粒子7の表面7s(図2に示す)に形成されている凸部や凹部に沿って、容易に離散化することができる。これにより、一次粒子モデル7Mは、一次粒子7の表面7sの形状を忠実に再現することができる。従って、工程S21では、一次粒子モデル7Mの作成時間を短縮しつつ、計算精度(シミュレーション精度)を維持しうる。なお、一次粒子7の表面7sの凹凸が大きい場合には、小さな要素11が用いられるのが望ましい。
一次粒子モデル7Mの各要素11の番号や節点12の位置座標などは、コンピュータ1に記憶される。さらに、各要素11には、一次粒子7(図2に示す)の物性値に基づいた弾性率や減衰係数などの物理量が入力される。これらの物理量は、フィラー配合ゴムモデル2M(図7に示す)を用いた変形シミュレーションにおいて利用される。
上述したように、一次粒子モデル7Mは、その内部に空間7Miを有する中空状に定義されるため、中実状のモデルに比べて、その剛性が小さく定義される傾向がある。このため、各要素11に入力される物理量には、一次粒子7の物性値に基づいた物理量(即ち、中実状のモデルに設定される物理量)よりも大きな値が設定されるのが望ましい。これにより、一次粒子モデル7Mの全体の剛性を、一次粒子7の物性値に近づけることができるため、計算精度を向上しうる。
工程S21において、一次粒子モデル7Mは、図4に示したマトリックスゴムモデル3Mとは独立して定義される。ここで、「独立して定義される」とは、一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとが互いに関連付けられることなく、それぞれ独自に定義されることを意味している。これにより、一次粒子モデル7Mの節点12は、マトリックスゴムモデル3Mの節点10(図4に示す)と共有する必要がないため、任意の位置に定義することができる。従って、一次粒子モデル7Mは、フィラー4の表面形状を精度よく表現することができる。
一次粒子モデル7Mの要素11のx軸方向、y軸方向、及び、z軸方向の各長さは、必要に応じて変えることができる。例えば、一次粒子モデル7Mの要素11の各方向の長さは、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の各方向の長さよりも小に設定されるのが望ましい。これにより、一次粒子モデル7Mは、図2に示した一次粒子7の表面7sの凹凸が大きくても、その表面7sの形状を精度よく再現することができるため、計算精度を維持しうる。
次に、本実施形態のフィラーモデル定義工程S2では、複数の一次粒子モデル7Mが、部分的に重ねられる(配置工程S22)。図7は、視覚化されたフィラー配合ゴムモデル2Mの一例を示す斜視図である。図7では、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の一部を省略して表示している。図8は、図7のC−C断面図である。なお、図8では、図7に示したマトリックスゴムモデル3Mの要素9、及び、一次粒子モデル7Mの要素11を省略して示している。
本実施形態の配置工程S22では、マトリックスゴムモデル3Mに、複数の一次粒子モデル7Mが配置される。本実施形態では、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10と、一次粒子モデル7Mの要素11の節点12との共有を考慮することなく、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、複数の一次粒子モデル7Mが配置される。即ち、配置工程S22では、2以上のモデルの相互の重なりが許容されている。なお、マトリックスゴムモデル3Mに対する一次粒子モデル7Mの位置は、図2に示したフィラー配合ゴム2に基づいて設定される。また、一次粒子モデル7Mの個数は、一次粒子7(図2に示す)の個数と同一である。
さらに、配置工程S22では、複数の一次粒子モデル7Mが、互いの要素11、11の節点12、12の共有を考慮することなく、部分的に重ねて配置される。これにより、配置工程S22では、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、複数の一次粒子モデル7Mが凝集したフィラーモデル4Mを設定することができる。
このように、配置工程S22では、複数の一次粒子モデル7Mを部分的に重ねるだけで、図2(b)に示したフィラー4の表面形状に忠実なフィラーモデル4Mを容易に定義することができる。従って、本実施形態の配置工程S22では、フィラー配合ゴムモデル2Mの作成時間を短縮するのに役立つ。なお、マトリックスゴムモデル3Mに対する一次粒子モデル7Mの位置情報は、コンピュータ1に記憶される。
本実施形態の配置工程S22では、マトリックスゴムモデル3Mの内部に一次粒子モデル7Mを直接配置して、フィラーモデル4Mが設定される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、マトリックスゴムモデル3Mの内部に配置する前に、一次粒子モデル7Mを部分的に重ねたフィラーモデル4Mを予め作成しておいてもよい。また、本実施形態では、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、一つのフィラーモデル4Mが配置されるものが例示されているが、これに限定されるわけではない。例えば、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、複数のフィラーモデル4Mが分散して配置されてもよい。
次に、本実施形態の作成方法では、コンピュータ1に、フィラー配合ゴムモデル2Mが設定される(フィラー配合ゴムモデル定義工程S3)。このフィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとを互いに関連付けることによって、フィラー配合ゴムモデル2Mを定義している。図9は、フィラー配合ゴムモデル2Mの部分拡大図である。
本実施形態では、一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの拘束条件を定義することにより、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとを互いに関連付けている。本実施形態の拘束条件は、一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの境界部13に定義されている。本実施形態の拘束条件は、一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの節点10、12の並進自由度を拘束する条件である。このような拘束条件は、コンピュータ1によって計算される。
図9では、マトリックスゴムモデル3Mとして、二つの要素9、9が示されている。各要素9の節点10としては、節点10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g及び10hが含まれている。また、図9では、マトリックスゴムモデル3Mの要素9に、一次粒子モデル7Mの要素11を重ねて示している。要素11の節点12としては、節点12a、12b、12c及び12dが含まれている。これらの節点12a〜12dは、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の内部に位置している。
フィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、先ず、コンピュータ1が、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の領域内に、一次粒子モデル7Mの要素11の各節点12a〜12dが存在しているか否かの判定を行う。この判定は、マトリックスゴムモデル3Mの全ての要素9について行われる。
次に、コンピュータ1は、一次粒子モデル7Mの要素11の各節点12a〜12dが、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の中に存在していると判断した場合、マトリックスゴムモデル3Mの要素9に対する一次粒子モデル7Mの要素11の各節点12a〜12dの幾何学的な位置に基づいて、各節点12a〜12dの重み係数を決定する。
重み係数は、一次粒子モデル7Mの要素11の各節点12a〜12dから、その周囲のマトリックスゴムモデル3Mの要素9の各節点10a〜10fまでの距離と反比例の関係がある。一次粒子モデル7Mの要素11の節点12a〜12dは、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の各節点10a〜10fに近いほど強く拘束される。例えば、一次粒子モデル7Mの要素11の節点12bは、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10dに最も強く拘束される。このように、重み係数を用いることにより、一次粒子モデル7Mの各要素11において、全ての節点12a〜12dの自由度(並進自由度)を拘束することができる。
このように、フィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとの間に拘束条件が定義されることにより、フィラー配合ゴムモデル2Mを設定することができる。
このようなフィラー配合ゴムモデル2Mは、マトリックスゴムモデル3Mと一次粒子モデル7Mとの境界部13に拘束条件が与えられているため、各要素9の節点10と、各要素11の節点12とが共有されていなくても、境界部13で力や変位が正確に伝達される。従って、本実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mは、変形シミュレーションにおいて、計算精度を低下させることもない。このようなフィラー配合ゴムモデル2Mは、コンピュータ1に記憶される。
重み係数は、一次粒子モデル7M、7Mが互いに重なる領域16(図8に示す)に配置される要素11の節点12を含め、一次粒子モデル7Mの各要素11の全ての節点12a〜12dについて計算されるのが望ましい。これにより、各一次粒子モデル7Mは、他の一次粒子モデル7Mの存在を考慮することなく、全ての要素11に拘束条件が設定されるため、各一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの間の相対的な動きを強固に拘束することができる。従って、フィラー配合ゴムモデル2Mは、フィラーモデル4Mの表面の形状を維持することができるため、計算精度を高めることができる。
本実施形態の作成方法では、図2(b)に示したマトリックスゴム3が占めている第1空間T1と、フィラー4が占めている第2空間T2とを合わせた合計空間が、マトリックスゴムモデル3Mとして離散化されるものが例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、第1空間T1と、一次粒子7の表面7sが重なる一部の第2空間T2とを合わせた合計空間が、マトリックスゴムモデル3Mとして離散化されてもよい。このようなマトリックスゴムモデル3Mは、第1空間T1と第2空間T2とを合わせた合計空間が離散化されたマトリックスゴムモデル3Mに比べて、要素9の個数を少なくすることができるため、計算コストを低減することができる。
また、本実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mは、三次元モデルである場合が例示されたが、二次元モデルとして定義されてもよい。この場合、フィラーモデル4Mは、一次元の線要素(図示省略)を用いて、フィラー4の表面4sのみが離散化されるのが望ましい。また、マトリックスゴムモデル3Mは、四辺形要素又は三角形要素(図示省略)を用いて離散化されるのが望ましい。
本実施形態では、一次粒子7の表面7sのみが二次元の要素11で離散化されて、一次粒子モデル7Mが設定されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、一次粒子モデル7Mは、一次粒子7の表面7sから内部まで離散化された中実状のモデルでもよい。図10は、本発明の他の実施形態の一次粒子モデル7Mの一例を示す斜視図である。
一次粒子モデル7Mは、マトリックスゴムモデル3Mと同様に、一次粒子7が三次元の要素19で離散化されるものでもよい。三次元の要素19は、マトリックスゴムモデル3Mの要素9と同様に、例えば、六面体要素又は四面体要素が好適に用いられる。
このような中実状の一次粒子モデル7Mは、図6に示した中空状の一次粒子モデル7Mに比べて、大きな剛性を設定することができる。従って、中実状の一次粒子モデル7Mは、図2に示した一次粒子7の物性値に近づけることができるため、計算精度を向上しうる。
図11は、本発明の他の実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mの一例を示す断面図である。この実施形態の配置工程S22では、前実施形態と同様に、図2に示した解析対象のフィラー配合ゴム2に基づいて、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、複数の一次粒子モデル7Mが配置されている。この実施形態の一次粒子モデル7Mも、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10と、一次粒子モデル7Mの要素19の節点20との共有を考慮することなく、マトリックスゴムモデル3Mの内部に配置されている。
さらに、この実施形態の配置工程S22では、複数の一次粒子モデル7Mが、互いの要素19、19の節点20、20の共有を考慮することなく、部分的に重ねて配置されている。これにより、配置工程S22では、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、複数の一次粒子モデル7Mが凝集したフィラーモデル4Mを設定することができる。従って、この実施形態の作成方法でも、フィラー4の表面形状に忠実なフィラーモデル4Mを、容易に定義することができる。
この実施形態のフィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、一次粒子モデル7Mが占めているマトリックスゴムモデル3Mの第1領域26に、一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの拘束条件が定義される。
この実施形態の拘束条件は、図9に示した前実施形態の拘束条件と同様に、コンピュータ1によって、一次粒子モデル7Mの要素19の各節点20が、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の中に存在していると判断された場合、マトリックスゴムモデル3Mの要素9に対する一次粒子モデル7Mの要素19の各節点20の幾何学的な位置に基づいて、各節点20の重み係数が決定される。このような重み係数を用いることにより、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとの間に拘束条件を定義することができ、フィラー配合ゴムモデル2Mを設定することができる。
このようなフィラー配合ゴムモデル2Mも、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10と、一次粒子モデル7Mの要素19の節点20とが共有されていなくても、一次粒子モデル7Mが占めているマトリックスゴムモデル3Mの第1領域26に拘束条件が設定されているため、第1領域26での力や変位が正確に伝達される。従って、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mも、変形シミュレーションにおいて、計算精度を低下させることもない。
しかも、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mは、各一次粒子モデル7Mの全域が占めているマトリックスゴムモデル3Mの第1領域26に拘束条件が定義されるため、図7に示した境界部13にのみに拘束条件が定義される前実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mに比べて、各一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの間の相対的な動きを強固に拘束することができる。この実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mは、計算精度を高めるのに役立つ。
また、重み係数は、一次粒子モデル7M、7Mが互いに重なる領域27を含め、一次粒子モデル7Mの各要素19の全ての節点20について計算されるのが望ましい。これにより、各一次粒子モデル7Mは、他の一次粒子モデル7Mの存在を考慮することなく、全ての要素11に拘束条件が設定されるため、各一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの間の相対的な動きを強固に拘束することができる。従って、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mは、フィラーモデル4Mの表面の形状を維持することができるため、計算精度を高めることができる。
この実施形態のフィラー配合ゴムモデル2Mも、三次元モデルである場合が例示されたが、2次元モデルとして定義されてもよい。この場合、マトリックスゴムモデル3M及び一次粒子モデル7Mは、四辺形要素又は三角形要素(図示省略)を用いて離散化されるのが望ましい。
これまでの実施形態の作成方法では、マトリックスゴム3とフィラー4とを含むフィラー配合ゴム2(図2に示す)に基づいて、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとを含むフィラー配合ゴムモデル2Mが設定されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。図12は、この実施形態の作成方法が対象とするフィラー配合ゴム15の部分拡大断面図である。
この実施形態のフィラー配合ゴム15は、図2のフィラー配合ゴム2よりもさらに詳細な構成で表現されている。このフィラー配合ゴム15は、マトリックスゴム3、フィラー4、及び、フィラー4の回りを取り囲む少なくとも一層の界面層5を含んで構成されている。本実施形態では、一層の界面層5である場合が例示される。
種々の実験の結果、フィラー4の周囲には、マトリックスゴム3のバルク部分とは異なる力学的性質を示す薄い界面層(ガラス層と呼ばれることもある)5が形成されていることが知られている。この実施形態の作成方法では、界面層5を含むフィラー配合ゴム15をモデル化するのに適している。
図13は、この実施形態の作成方法の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、図12に示したフィラー配合ゴム15の有限要素モデル(フィラー配合ゴムモデル)を、コンピュータ1を用いて作成するためのものである。図14は、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル15Mを示す断面図である。
この実施形態の作成方法では、前実施形態と同様に、マトリックスゴムモデル定義工程S1と、フィラーモデル定義工程S2とを含んでいる。これらの工程S1及び工程S2の処理手順は、前実施形態で説明されたとおりである。
この実施形態のマトリックスゴムモデル3Mは、図12に示されるように、マトリックスゴム3が占めている第1空間T1と、フィラー4が占めている第2空間T2と、界面層5が占めている第3空間T3とを合わせた合計空間が、マトリックスゴムモデル3Mとして、要素9で離散化されるのが望ましい。即ち、この実施形態においても、図4及び図14に示されるように、フィラー配合ゴム15の解析対象部分の輪郭内の全範囲が要素9で離散化されている。
この実施形態の一次粒子モデル7Mは、図10及び図14に示されるように、複数の三次元の要素19で離散化されている。なお、一次粒子モデル7Mは、図6に示したように、一次粒子7の表面7sのみが、複数の二次元の要素11で離散化されるものでもよい。
次に、この実施形態の作成方法では、コンピュータ1に、図12に示した界面層5をモデル化した界面層モデル5Mが設定される(界面層モデル定義工程S4)。図15は、界面層モデル定義工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。図16は、この実施形態の界面層モデル5Mを示す断面図である。
界面層モデル定義工程S4では、先ず、少なくとも一層、本実施形態では1層の界面層5が、有限個の要素21を用いて離散化される(工程S41)。工程S41では、図12に示したフィラー配合ゴム15の中で界面層5が占めている三次元空間(第3空間)にほぼ等しい空間が、複数の要素21で分割(離散化)される。これにより、工程S41では、内部に空間5Miを有する中空状の界面層モデル5Mが設定される。空間5Miは、フィラー4(図12に示す)が占めている第2空間T2にほぼ等しい大きさを有している。
界面層モデル5Mの要素21としては、本実施形態のような三次元モデルの場合、例えば、三次元の要素が用いられる。三次元の要素21としては、例えば、六面体要素又は四面体要素が好適に用いられる。この実施形態では、六面体要素及び四面体要素の双方が使用されている。このため、工程S41では、滑らかな外形を有した界面層モデル5Mを定義することができる。
界面層モデル5Mの各要素21の番号や節点22の位置座標などは、コンピュータ1に記憶される。さらに、各要素21には、界面層5(図12に示す)の物性値(例えば、マトリックスゴムよりも大であり、かつ、フィラーよりも小の物性値等)に基づいた弾性率や減衰係数などの物理量が入力される。これらの物理量は、フィラー配合ゴムモデル2Mを用いた変形シミュレーションにおいて利用される。
また、界面層モデル5Mは、後述する工程S42において、マトリックスゴムモデル3Mに重複して配置される。これにより、界面層モデル5Mの物性値は、フィラー配合ゴムモデル15Mにおいて、工程S41で設定された物性値と、マトリックスゴムモデル3Mの物性値との和で定義される。従って、本実施形態の工程S41では、界面層モデル5Mに設定される物性値が、界面層5(図12に示す)の実際の物性値から、マトリックスゴムモデル3Mに設定された物性値を減じた値が設定されるのが望ましい。これにより、フィラー配合ゴムモデルでの界面層モデル5Mの物性値を、実際の界面層5に近似させることができる。
界面層モデル5Mは、マトリックスゴムモデル3M及び一次粒子モデル7Mとは独立して設定される。工程S41において、「独立して定義される」とは、界面層モデル5Mは、図14に示したマトリックスゴムモデル3M及び一次粒子モデル7Mと、互いに関連付けられることなく、独自に定義されることを意味している。従って、界面層モデル5Mの各節点22は、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10及び一次粒子モデル7Mの要素19の節点20のいずれとも共有される必要がないため、任意の位置に定義され得る。従って、工程S41では、界面層モデル5Mの作成自由度を向上させることができる。
次に、界面層モデル定義工程S4では、図14に示されるように、界面層モデル5Mが、マトリックスゴムモデル3Mに配置される(工程S42)。
工程S42では、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10と、界面層モデル5Mの要素21の節点22との共有を考慮することなく、マトリックスゴムモデル3Mの内部に、界面層モデル5Mが配置されている。なお、マトリックスゴムモデル3Mに対する界面層モデル5Mの位置は、図12に示した解析対象のフィラー配合ゴム15に基づいて設定される。なお、マトリックスゴムモデル3Mに対する界面層モデル5Mの位置情報は、コンピュータ1に記憶される。
次に、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとを互いに関連付けるとともに、マトリックスゴムモデル3Mと界面層モデル5Mとを互いに関連付けることにより、フィラー配合ゴムモデル15Mが設定される。
フィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、先ず、図9に示した前実施形態と同様に、一次粒子モデル7Mが占めているマトリックスゴムモデル3Mの第1領域26に、一次粒子モデル7Mとマトリックスゴムモデル3Mとの拘束条件が定義される。
次に、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル定義工程S3では、界面層モデル5Mが占めているマトリックスゴムモデル3Mの第2領域27に、界面層モデル5Mとマトリックスゴムモデル3Mとの拘束条件が定義される。
この実施形態の拘束条件は、前実施形態の拘束条件と同様に、コンピュータ1によって、界面層モデル5Mの要素21の各節点22が、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の中に存在していると判断された場合、マトリックスゴムモデル3Mの要素9に対する界面層モデル5Mの要素21の各節点22の幾何学的な位置に基づいて、各節点22の重み係数が決定される。このような重み係数を用いることにより、マトリックスゴムモデル3Mと界面層モデル5Mとの間に拘束条件を定義することができ、フィラー配合ゴムモデル15Mを設定することができる。
このようなフィラー配合ゴムモデル15Mも、マトリックスゴムモデル3Mの要素9の節点10と、界面層モデル5Mの要素21の各節点22とが共有されていなくても、界面層モデル5Mが占めているマトリックスゴムモデル3Mの第2領域27に拘束条件が設定されているため、第2領域27での力や変位が正確に伝達される。従って、この実施形態のフィラー配合ゴムモデル15Mも、変形シミュレーションにおいて、計算精度を低下させることもない。
本実施形態の界面層モデル5Mの物性値には、マトリックスゴムモデル3Mの物性値よりも大、かつ、一次粒子モデル7Mの物性値よりも小に設定されている。このため、界面層モデル5Mの要素21の各節点22の重み係数と、一次粒子モデル7Mの要素11の各節点12の重み係数とを同一にしても、界面層モデル5Mのマトリックスゴムモデル3Mに対する相対的な動きを一部許容でき、界面層5の挙動を効果的に再現することができる。
また、界面層モデル5Mの要素21の各節点22の重み係数は、一次粒子モデル7Mの要素19の各節点20の重み係数よりも小さく設定してもよい。これにより、界面層モデル5Mのマトリックスゴムモデル3Mに対する相対的な動きをさらに許容することができる。なお、界面層モデル5Mの各節点22の重み係数が小さすぎると、マトリックスゴムモデル3Mと界面層モデル5Mとを十分に拘束できなくなり、フィラー配合ゴムモデル15Mの大変形時に、マトリックスゴムモデル3Mと界面層モデル5Mとの重複部分が、界面層モデル5Mからはみ出る(マトリックスゴムモデル3Mが増加する)おそれがある。
この実施形態の作成方法では、マトリックスゴムモデル3M、フィラーモデル4M及び界面層モデル5Mが互いに独立して定義されているため、節点を共有させる等の手間が削減される。この実施形態の作成方法では、要素数の増加を防ぎながら、フィラーモデル4Mや界面層モデル5Mの表面形状等を精度よく再現することができる。さらに、独立してそれぞれ定義されたマトリックスゴムモデル3M、フィラーモデル4M及び界面層モデル5Mの第1領域26及び第2領域27には、拘束条件が与えられているため、節点が共有されていなくても、力や変位の伝達が確実に行われ、計算精度を損ねることもない。
この実施形態のフィラー配合ゴムモデル15Mも、三次元モデルである場合が例示されたが、2次元モデルとして定義されてもよい。この場合、マトリックスゴムモデル3M、一次粒子モデル7M及び界面層モデル5Mは、四辺形要素又は三角形要素(図示省略)を用いて離散化されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
[実施例1]
図3及び図5に示した手順に従って、フィラー配合ゴム(図2に示す)をモデル化したフィラー配合ゴムモデル(図7に示す)が定義された(実施例1)。実施例1の一次粒子モデルは、フィラーの一次粒子の表面のみが、二次元の要素で離散化されている。そして、シミュレーションソフトLS−DYNAを用いて、実施例1のフィラー配合ゴムモデルの変形計算(y軸方向に4%伸張)が実施された。実施例1のフィラー配合ゴムモデルの歪分布を、図17に示す。
また、比較のために、従来の方法に基づいて、一次粒子が凝集したフィラー(図2に示す)の表面に沿って、二次元の要素で離散化されたフィラーモデルを設定し、該フィラーモデルを含むフィラー配合ゴムモデルが定義された(比較例1)。そして、実施例1と同様に、比較例1のフィラー配合ゴムモデルの変形計算が実施された。比較例1のフィラー配合ゴムモデルの歪分布を、図18に示す。
テストの結果、実施例1のフィラー配合ゴムモデルをモデル化するのに要した時間は、比較例1のフィラー配合ゴムモデルをモデル化するのに要した時間の83%であった。従って、実施例1の作成方法では、比較例1の作成方法に比べて、フィラー配合ゴムモデルを短時間で作成できることが確認できた。
また、図17及び図18に示されるように、実施例1のフィラー配合ゴムモデルの歪分布は、比較例1のフィラー配合ゴムモデルの歪分布と、ほぼ同一であることが確認できた。従って、実施例のフィラー配合ゴムモデルは、計算精度を維持しうることが確認できた。
[実施例2]
図3及び図5に示した手順に従って、フィラー配合ゴム(図2に示す)をモデル化したフィラー配合ゴムモデル(図11に示す)が定義された(実施例2)。実施例2の一次粒子モデルは、三次元の要素で離散化されている。そして、上記シミュレーションソフトを用いて、実施例2のフィラー配合ゴムモデルの変形計算(y軸方向に50%伸張)が実施された。実施例2のフィラー配合ゴムモデルの歪分布を、図19に示す。
また、比較のために、従来の方法に基づいて、一次粒子が凝集したフィラー(図2に示す)の表面に沿って、三次元の要素で離散化されたフィラーモデルを設定し、該フィラーモデルを含むフィラー配合ゴムモデルが定義された(比較例2)。そして、実施例2と同様に、比較例2のフィラー配合ゴムモデルの変形計算が実施された。比較例2のフィラー配合ゴムモデルの歪分布を、図20に示す。
テストの結果、実施例2のフィラー配合ゴムモデルをモデル化するのに要した時間は、比較例2のフィラー配合ゴムモデルをモデル化するのに要した時間の55%であった。従って、実施例2の作成方法では、比較例2の作成方法に比べて、フィラー配合ゴムモデルを短時間で作成できることが確認できた。
また、図19及び図20に示されるように、実施例2のフィラー配合ゴムモデルの歪分布は、比較例2のフィラー配合ゴムモデルの歪分布と、ほぼ同一であることが確認できた。従って、実施例2のフィラー配合ゴムモデルは、計算精度を維持しうることが確認できた。
2 フィラー配合ゴム
3 マトリックスゴム
4 フィラー
7 一次粒子
2M フィラー配合ゴム
3M マトリックスゴムモデル
4M フィラーモデル

Claims (9)

  1. マトリックスゴム中に、複数の一次粒子が凝集して形成されたフィラーが配置されたフィラー配合ゴムの有限要素モデルを、コンピュータを用いて作成するための方法であって、
    前記マトリックスゴムをモデル化したマトリックスゴムモデルを設定するマトリックスゴムモデル定義工程と、
    前記フィラーをモデル化したフィラーモデルを設定するフィラーモデル定義工程と、
    前記マトリックスゴムモデルと前記フィラーモデルとを互いに関連付けることにより、フィラー配合ゴムモデルを設定するフィラー配合ゴムモデル定義工程とを含み、
    前記フィラーモデル定義工程は、前記フィラーの前記一次粒子を有限個の要素を用いて離散化した一次粒子モデルを、前記マトリックスゴムモデルとは独立して定義する工程と、
    複数の前記一次粒子モデルを、互いの前記要素の節点の共有を考慮することなく部分的に重ねる配置工程とを含むことを特徴とするフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  2. 前記マトリックスゴムモデル定義工程は、前記フィラー配合ゴム中の少なくとも前記マトリックスゴムが占めている空間が、有限個の要素を用いて離散化され、
    前記配置工程は、互いの前記要素の節点の共有を考慮することなく、前記一次粒子モデルを前記マトリックスゴムモデルに配置する請求項1記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  3. 前記フィラー配合ゴムモデルは、三次元モデルからなり、
    前記空間は、三次元の前記要素で離散化され、
    前記一次粒子は、その表面のみが二次元の前記要素で離散化される請求項2記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  4. 前記フィラー配合ゴムモデル定義工程は、前記一次粒子モデルと前記マトリックスゴムモデルとの境界部に、前記一次粒子モデルと前記マトリックスゴムモデルとの拘束条件が定義される請求項3記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  5. 前記フィラー配合ゴムモデルは、三次元モデルからなり、
    前記一次粒子及び前記空間は、三次元の前記要素で離散化される請求項2記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  6. 前記マトリックスゴムモデルは、前記一次粒子モデルが占めている第1領域を有し、
    前記フィラー配合ゴムモデル定義工程は、前記第1領域に、前記一次粒子モデルと前記マトリックスゴムモデルとの拘束条件が定義される請求項5記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  7. 前記フィラーの回りを取り囲む少なくとも1層の界面層をモデル化した界面層モデルを、前記マトリックスゴムモデル及び前記一次粒子モデルとは独立して設定する界面層モデル定義工程を含み、
    前記界面層モデル定義工程は、前記界面層が有限個の要素を用いて離散化され、
    前記界面層モデルは、前記マトリックスゴムモデルに、互いの前記要素の節点の共有を考慮することなく配置される請求項2乃至6のいずれかに記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  8. 前記界面層は、三次元の前記要素で離散化される請求項7記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
  9. 前記マトリックスゴムモデルは、前記界面層モデルが占めている第2領域を有し、
    前記フィラー配合ゴムモデル定義工程は、前記第2領域に、前記界面層モデルと前記マトリックスゴムモデルとの拘束条件が定義される請求項8記載のフィラー配合ゴムモデルの作成方法。
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