JP2017134529A - エラストマー材料の有限要素モデルの作成方法 - Google Patents

エラストマー材料の有限要素モデルの作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 エラストマー材料の有限要素モデルを、短時間で作成する。
【解決手段】 ゴムを含むエラストマー材料の有限要素モデルを作成するための方法である。本発明の作成方法は、コンピュータが、エラストマー材料を、平面要素又はソリッド要素からなる第1要素F(i)を用いて離散化した第1モデル6を定義する第1工程と、コンピュータが、第1モデル6の少なくとも一部に、第1要素F(i)と節点11を共有するように線要素L(i)を追加する第2工程とを含んでいる。
【選択図】図6

Description

本発明は、ゴムを含むエラストマー材料の有限要素モデルを作成するための方法に関する。
近年、有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションが種々行われている。これらのシミュレーションでは、解析対象物がコンピュータで取り扱い可能な有限個の要素に離散化されることにより、有限要素モデルが作成される。有限要素モデルの各要素には、その弾性や粘性を示す特性が入力される。そして、シミュレーションでは、予め定めた変形条件等に基づいて、各要素の節点の変位が計算される。
有限要素を用いたシミュレーションは、機械的な構造物のみならず、ゴム材料等の開発にも用いられている。このようなシミュレーションでは、例えば、エラストマー材料を、有限個の要素で離散化した有限要素モデルが定義される。
特許第5186015号公報
実際のエラストマー材料は、不均一な加硫密度やフィラー等の添加により、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とをそれぞれ含んでいる。このような弾性率が大きい部分、及び、弾性率が小さい部分を、エラストマー材料の有限要素モデルに定義するには、例えば、弾性率が大きい部分のみをモデル化したものを別途用意したり、弾性率が大きい部分に該当する要素に、大きな弾性率をそれぞれ定義したりする必要がある。このため、エラストマー材料の有限要素モデルの定義には、多くの時間を要するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、エラストマー材料の有限要素モデルを、短時間で作成できる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ゴムを含むエラストマー材料の有限要素モデルを作成するための方法であって、コンピュータが、前記エラストマー材料を、平面要素又はソリッド要素からなる第1要素を用いて離散化した第1モデルを定義する第1工程と、前記コンピュータが、前記第1モデルの少なくとも一部に、前記第1要素と節点を共有するように線要素を追加する第2工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記エラストマー材料の有限要素モデルの作成方法において、前記エラストマー材料は、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とを含み、前記第2工程は、少なくとも1本の前記線要素を、前記弾性率が大きい部分の前記第1要素に追加するのが望ましい。
本発明に係る前記エラストマー材料の有限要素モデルの作成方法において、前記エラストマー材料は、加硫ゴムであり、前記弾性率が大きい部分は、加硫密度が高い部分であるのが望ましい。
本発明に係る前記エラストマー材料の有限要素モデルの作成方法において、前記エラストマー材料は、添加材を含み、前記弾性率が大きい部分は、前記添加材の密度が高い部分であるのが望ましい。
本発明に係る前記エラストマー材料の有限要素モデルの作成方法において、前記エラストマー材料は、マトリックス部と、フィラーとを含み、前記第2工程は、少なくとも1本の前記線要素を、前記フィラーの部分の前記第1要素に追加するのが望ましい。
本発明のエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法は、コンピュータが、エラストマー材料を、平面要素又はソリッド要素からなる第1要素を用いて離散化した第1モデルを定義する第1工程と、コンピュータが、第1モデルの少なくとも一部に、第1要素と節点を共有するように線要素を追加する第2工程とを含んでいる。
本発明では、第1要素及び線要素に、例えば、弾性率等の物性値がそれぞれ定義される場合、線要素が追加された第1要素の弾性率を、線要素が追加されていない第1要素の弾性率よりも大きくできる。従って、本発明では、第1要素に線要素を追加するだけで、例えば、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とを定義できるため、有限要素モデルを短時間で作成できる。
本発明のエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法を実行するコンピュータの斜視図である。 エラストマー材料の部分断面図である。 本実施形態の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の第1モデルの一例を示す平面図である。 (a)は、第1要素の対角線上に配置された節点間をつなぐ線要素を示す部分平面図、(b)は、第1要素の隣り合う節点間をつなぐ線要素を示す部分平面図、(c)は、2つの第1要素の節点を跨ぐ線要素を示す部分平面図である。 図4に示した第1モデルに線要素が追加された有限要素モデルを示す平面図である。 図6の有限要素モデルをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。 本発明の他の実施形態のエラストマー材料を示す部分断面図である。 図4に示した第1モデルに線要素が追加された有限要素モデルを示す平面図である。 図9に示した有限要素モデルをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。 三次元の第1モデルを示す斜視図である。 (a)は、第1要素の対角線上に配置された節点間をつなぐ線要素を示す部分斜視図、(b)は、2つの第1要素の節点を跨ぐ線要素を示す部分斜視図である。 図11に示した第1モデルに線要素が追加された有限要素モデルを示す斜視図である。 実施例の有限要素モデルをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。 比較例の有限要素モデルをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本発明は、エラストマー材料の有限要素モデルを作成するための方法(以下、単に「作成方法」ということがある)である。有限要素モデルは、メッシュモデル等とも呼ばれる。このような有限要素モデルは、例えば、予め定められた条件に基づいて、変位や応力といった物理量を計算する数値シミュレーションに用いられる。
図1は、本発明のエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法(以下、単に「作成方法」ということがある)を実行するコンピュータの斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態の作成方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
図2は、エラストマー材料の部分断面図である。本実施形態のエラストマー材料2は、未加硫ゴム(図示省略)が加硫された加硫ゴム(マトリックス部)3のみで構成されている。なお、エラストマー材料2は、加硫ゴムのみで構成される態様に限定されるわけではなく、例えば、未加硫ゴムのみで構成されてもよい。未加硫ゴムは、例えば、図示しない原料ゴム(例えば、天然ゴム又は合成ゴム)と、添加材(例えば、硫黄、加硫促進剤、又は、レジン等)とが混練されることによって製造される。
また、エラストマー材料2は、例えば、不均一な加硫密度やフィラー等の添加により、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とをそれぞれ含んでいる。従って、エラストマー材料の有限要素モデル(以下、単に「有限要素モデル」ということがある。)の作成には、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とを、精度よく定義することが重要である。
図3は、本実施形態の作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図4は、本実施形態の第1モデル6の一例を示す平面図である。
本実施形態の作成方法は、先ず、コンピュータ1が、エラストマー材料2を、第1要素F(i)(i=1、2、…)を用いて離散化した第1モデル6を定義する(第1工程S1)。本実施形態の第1モデル6は、X方向及びY方向の二次元の座標系に従って作成された二次元モデルとして定義される。
第1工程S1では、エラストマー材料2の解析対象部分の二次元の空間が、複数の第1要素F(i)で分割(離散化)される。これにより、エラストマー材料2をモデル化した第1モデル6が定義される。このような第1要素F(i)を用いた分割は、例えば、メッシュ化ソフトウェアを用いることによって行うことができる。本実施形態の第1モデル6は、矩形の輪郭形状を有しているが、このような態様に限定されるわけではない。
本実施形態の第1要素F(i)は、平面要素として設定される。平面要素としては、例えば、四辺形要素又は三角形要素等の多角形要素が好適に用いられる。上述したように、本実施形態の第1モデル6は、矩形の輪郭形状を有している。このため、第1要素F(i)は、単純な四辺形要素のみが用いられる。
本実施形態では、全ての第1要素F(i)の大きさが、同一に設定されている。なお、第1要素F(i)の大きさが、それぞれ異なるものでもよい。また、本実施形態の第1要素F(i)は、X方向の長さ及びY方向の長さが同一に設定されているが、それぞれ異なるものでもよい。
第1要素F(i)は、有限要素法により取り扱い可能なものである。第1要素F(i)には、節点11の番号、及び、節点11の座標値が設定される。さらに、第1要素F(i)は、エラストマー材料2の弾性率等の各物性値が定義される。本実施形態では、各第1要素F(i)に、同一の物性値が設定される。物性値としては、エラストマー材料2の全体での物性値の平均が設定されるが、このような態様に限定されるわけではない。第1モデル6は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の作成方法は、コンピュータ1が、第1モデル6の少なくとも一部に、線要素L(i)(i=1、2、…)を追加する(第2工程S2)。図5(a)、(b)、(c)は、第1モデル6に追加される線要素L(i)の一例を示す部分平面図である。
線要素L(i)は、一次元の直線からなる要素であり、ビーム要素とも呼ばれる。線要素L(i)は、両端に2つの節点12、12を有し、この節点12、12間を直線でつなぐものである。
本実施形態では、第1要素F(i)と節点11、12を共有するように、線要素L(i)が追加される。図5(a)に示されるように、線要素L(i)は、一つの第1要素F(i)の対角線上に配置された節点11、11間をつなぐように追加されてもよい。図5(b)に示されるように、線要素L(i)は、一つの第1要素F(i)の隣り合う節点11、11間をつなぐように追加されてもよい。図5(c)に示されるように、線要素L(i)は、2つ以上の第1要素F(i)の各節点11、11間を跨ぐように追加されてもよい。
線要素L(i)は、有限要素法により取り扱い可能なものである。第1要素F(i)には、節点12の番号、及び、節点12の座標値が設定される。さらに、本実施形態の線要素L(i)には、弾性率等の各物性値が設定される。
図6は、図4に示した第1モデル6に線要素L(i)が追加された有限要素モデルMを示す平面図である。図6では、線要素L(i)が追加された第1要素F(i)を着色して表示している。第1モデル6において、線要素L(i)が追加された第1要素F(i)の弾性率は、線要素L(i)が追加されていない第1要素F(i)の弾性率よりも相対的に大きくなる。これにより、本実施形態の作成方法では、第1モデル6の少なくとも一部に、線要素L(i)が追加されることにより、弾性率が大きい部分、及び、弾性率が小さい部分を有するエラストマー材料の有限要素モデルMを設定できる。有限要素モデルMは、コンピュータ1に入力される。
このように、本実施形態の作成方法では、第1要素F(i)に線要素L(i)を追加するだけで、第1モデル6に、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とを定義できる。これにより、本実施形態の作成方法では、従来の作成方法のように、例えば、弾性率が大きい部分のみをモデル化したもの(図示省略)を別途用意したり、弾性率が大きい部分に該当する第1要素F(i)に、大きな弾性率をそれぞれ定義したりする必要がない。従って、本実施形態の作成方法は、有限要素モデルMを短時間で作成できる。
図7は、図6に示した有限要素モデルMをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。上述したように、有限要素モデルMは、弾性率が大きい部分、及び、弾性率が小さい部分が定義されている。弾性率が大きい部分は、弾性率が小さい部分に比べて伸長しにくい。これにより、有限要素モデルMは、弾性率が大きい部分、及び、弾性率が小さい部分を有するエラストマー材料2(図2に示す)の変形状態を、精度よく再現できる。
図5(a)及び図6に示されるように、線要素L(i)は、一つの第1要素F(i)に、2つ以上追加されてもよい。また、一つの第1要素F(i)に2つ以上の線要素L(i)が追加される場合、線要素L(i)が交差するように追加されるのが望ましい。これにより、線要素L(i)が追加された第1要素F(i)の弾性率を、X方向及びY方向で均一に大きくできる。さらに、第1要素F(i)には、同一方向に向く線要素L(i)を、重ねて配置してもよい。これにより、第1要素F(i)の弾性率の大きさを、多段階に設定できる。
線要素L(i)に設定される弾性率としては、適宜設定されうる。線要素L(i)の弾性率は、例えば、第1要素F(i)の弾性率の0.01%〜10000%に設定されるのが望ましい。これにより、エラストマー材料2の弾性率が大きい部分及び弾性率が小さい部分を、有限要素モデルMに精度よく定義することができる。
ところで、エラストマー材料2(図2に示す)は、例えば、未加硫ゴムの加硫時において、加熱のムラが生じることがある。このような加熱のムラは、エラストマー材料2に、加硫密度(架橋密度)が高い部分と、加硫密度が低い部分とを形成する。ここで、加硫密度とは、加硫ゴム全体の構造単位に対して、架橋点(架橋を起こした構造単位)の数の割合を示す指標である。このような加硫密度の測定には、例えば、修正Flory−Rehnerの式を用いたトルエン膨潤法等、従来の方法が用いられる。
エラストマー材料2(図2に示す)において、加硫密度が高い部分は、弾性率が大きくなる。他方、加硫密度が低い部分は、弾性率が小さくなる。従って、第2工程S2では、加硫密度が高い部分(即ち、弾性率が大きい部分)の第1要素F(i)に、線要素L(i)が追加されるのが望ましい。これにより、第2工程S2では、エラストマー材料2の弾性率が大きい部分(即ち、加硫密度が高い部分)、及び、弾性率が小さい部分(即ち、加硫密度が低い部分)を、有限要素モデルMに精度よく定義することができる。
なお、測定された加硫密度に基づいて、第1モデル6の各第1要素F(i)から、弾性率が大きい部分(即ち、加硫密度が高い部分)の位置を具体的に特定することが難しい。このため、第2工程S2では、測定された加硫密度の大きさに基づいて、弾性率が大きい部分の第1要素F(i)が、第1モデル6の各第1要素F(i)からランダムに選択されるのが望ましい。
本実施形態の第2工程S2では、加硫密度が高い部分の第1要素F(i)に、線要素L(i)が追加されたが、このような態様に限定されるわけではない。
一般に、エラストマー材料2(図2に示す)は、混練機による未加硫ゴムの部分的な練りムラにより、添加材の密度が高い部分と、添加剤の密度の低い部分とが含まれている。添加材の密度が高い部分は、添加剤の密度の低い部分に比べて、弾性率が大きくなる。従って、第2工程S2では、第1モデル6を構成する第1要素F(i)のうち、添加材の密度が高い部分(即ち、弾性率が大きい部分)の第1要素F(i)に、線要素L(i)が追加されてもよい。これにより、第2工程S2では、弾性率が大きい部分(即ち、添加材の密度が高い部分)、及び、弾性率が小さい部分(即ち、添加材の密度が低い部分)を、有限要素モデルMに精度よく定義することができる。
添加材の密度は、例えば、元素固有の特性X線を検出する蛍光X線分析( XRF : X-ray fluorescence analysis)によって測定されうる。また、添加材の密度の高い部分(弾性率が大きい部分)、及び、添加材の密度の低い部分(弾性率が小さい部分)の特定は、例えば、電子顕微鏡等で撮像された電子線透過画像に基づいて特定されるのが望ましい。
図8は、本発明の他の実施形態のエラストマー材料2を示す部分断面図である。この実施形態のエラストマー材料2は、マトリックス部3と、フィラー4とを含んでいる。マトリックス部3は、エラストマー材料2の主要部分を構成している。フィラー4は、エラストマー材料2の中に配置された略円形の粒子として構成されている。フィラー4の一例としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、又は、その他の充填剤である。従って、フィラー4は、マトリックス部3に比べて、弾性率が大きい。
この実施形態の第1工程S1では、図8に示したマトリックス部3とフィラー4とを含むエラストマー材料2の解析対象部分の輪郭内の全範囲が、複数の第1要素F(i)(i=1、2、…)で分割(離散化)される。これにより、図4に示されるように、エラストマー材料2をモデル化した第1モデル6が設定される。第1モデル6は、コンピュータ1に記憶される。
図9は、図4に示した第1モデル6に線要素L(i)が追加された有限要素モデルMを示す平面図である。図9では、線要素L(i)が追加された第1要素F(i)を着色して表示している。この実施形態の第2工程S2では、少なくとも1本の線要素L(i)を、フィラー4(図8に示す)の部分の第1要素F(i)に追加する。上述したように、線要素L(i)が追加された第1要素F(i)の弾性率は、線要素L(i)が追加されていない第1要素F(i)の弾性率よりも大きくなる。従って、第2工程S2では、線要素L(i)が追加された第1要素F(i)により、マトリックス部3よりも弾性率が大きいフィラー4をモデル化したフィラーモデル16を定義できる。また、線要素L(i)が追加されていない第1要素F(i)により、フィラー4よりも弾性率が小さいマトリックス部3(図8に示す)をモデル化したマトリックスモデル17を定義できる。
第1要素F(i)には、マトリックス部3(図8に示す)の弾性率等の各物性値が定義されるのが望ましい。これにより、マトリックスモデル17に、マトリックス部3の弾性率を定義することができる。また、線要素L(i)には、フィラー4(図8に示す)の弾性率等の物性値が定義されるのが望ましい。これにより、フィラーモデル16に、フィラー4の弾性率を定義することができる。
この実施形態の作成方法では、第1要素F(i)に線要素L(i)を追加するだけで、フィラーモデル16(即ち、弾性率が大きい部分)と、マトリックスモデル17(即ち、弾性率が小さい部分)とを定義した有限要素モデルMを設定できる。従って、本実施形態の作成方法は、図8に示したフィラー4を含むエラストマー材料2の有限要素モデルMを短時間で作成できる。
図10は、図9に示した有限要素モデルMをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。上述したように、有限要素モデルMは、フィラーモデル16(即ち、弾性率が大きい部分)及びマトリックスモデル17(即ち、弾性率が小さい部分)が定義されている。フィラーモデル16は、マトリックスモデル17に比べて伸長しにくい。これにより、有限要素モデルMは、図8に示したフィラー4を有するエラストマー材料2(図8に示す)の変形状態を、精度よく再現できる。
これまでの実施形態では、図6及び図10に示されるように、加硫密度、添加材の密度、又は、フィラー4(図8に示す)の配置に基づいて、第1モデル6の少なくとも一部に、線要素L(i)を追加する態様が例示されたが、これらの態様に限定されるわけではない。例えば、加硫密度、添加材の密度、及び、フィラー4の配置に基づいて、線要素L(i)が追加されてもよい。これにより、加硫密度、添加材の密度、及び、フィラー4の配置を考慮した精度の高い有限要素モデルMを作成できる。
これまでの実施形態の第1モデル6及び有限要素モデルMは、X方向及びY方向の二次元の座標系に従って作成された二次元モデルとして定義されるものが例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。第1モデル6及び有限要素モデルMは、例えば、X方向、Y方向及びZ方向の三次元の座標系に従って作成された三次元モデルとして定義されてもよい。図11は、三次元の第1モデル6を示す斜視図である。
この実施形態の第1工程S1では、図2に示したエラストマー材料2の解析対象部分の三次元の空間が、複数の第1要素F(i)で分割(離散化)される。これにより、エラストマー材料2をモデル化した第1モデル6が定義される。
この実施形態の第1要素F(i)は、ソリッド要素として定義される。ソリッド要素としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素等が適宜採用される。本実施形態の第1モデル6は、立方体の輪郭形状を有している。このため、第1要素F(i)は、X方向の長さ、Y方向の長さ、及び、Z方向の長さが同一の4面体ソリッド要素のみが用いられている。なお、必要に応じて、第1要素F(i)は、第1要素F(i)のX方向の長さ、Y方向の長さ、又は、Z方向の長さがそれぞれ異なるものでもよい。
第1要素F(i)には、これまでの実施形態と同様に、節点11の番号、節点11の座標値、及び、エラストマー材料2(図2に示す)の弾性率等の各物性値が定義される。第1モデル6は、コンピュータ1に入力される。
この実施形態の第2工程S2では、これまでの実施形態と同様に、コンピュータ1が、第1モデル6の少なくとも一部に、線要素L(i)を追加する。線要素L(i)としては、これまでの実施形態の線要素L(i)と同一のものが用いられる。線要素L(i)は、例えば、図5(a)〜(c)に示した線要素L(i)と同様の方法に基づいて追加できる。
図12(a)、(b)は、三次元の第1モデル6に追加される線要素L(i)の一例を示す部分斜視図である。図12(a)に示されるように、線要素L(i)は、一つの第1要素F(i)の対角線上に配置された節点11、11間をつなぐよう追加されてもよい。図12(b)に示されるように、線要素L(i)は、2つ以上の第1要素F(i)の節点11、11間を跨ぐように追加されてもよい。また、この実施形態の第2工程S2では、これまでの実施形態と同様に、第1要素F(i)の同一の節点11、11を共有するように、2つ以上の線要素L(i)が重ねて追加されてもよい。
図13は、図11に示した第1モデル6に線要素L(i)が追加された有限要素モデルMを示す斜視図である。この実施形態の第2工程S2は、弾性率が大きい部分の第1要素F(i)に、少なくとも1本の線要素L(i)を追加している。弾性率が大きい部分は、これまでの実施形態と同様に、例えば、加硫密度が高い部分、添加材の密度が高い部分、又は、フィラー4(図8に示す)の部分である。従って、本実施形態では、第1要素F(i)に線要素L(i)を追加するだけで、例えば、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とを定義できるため、三次元の有限要素モデルMを短時間で作成できる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3に示した処理手順に従って、図8に示したマトリックス部とフィラーとを含むエラストマー材料の有限要素モデルが作成された(実施例)。実施例の第2工程では、フィラーの部分の第1要素に、線要素が追加された。
また、比較のために、従来の作成方法に基づいて、図8に示したマトリックス部とフィラーとを含むエラストマー材料の有限要素モデルが作成された(比較例)。比較例では、先ず、フィラーを有限個の平面要素でモデル化したフィラーモデルと、マトリックス部を有限個の平面要素でモデル化したマトリックスモデルとがそれぞれ定義された。そして、フィラーモデルと、マトリックスモデルとが互いに重ねられて、移動不能に固定された。これにより、比較例の有限要素モデルが定義された。
そして、実施例の有限要素モデル、及び、比較例の有限要素モデルを、Y軸方向に10%伸長させて、それぞれの歪分布が求められた。図14は、実施例の有限要素モデルをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。図15は、比較例の有限要素モデルをY方向に伸長したときの歪分布を示す平面図である。
テストの結果、図14及び図15に示されるように、実施例の有限要素モデルの歪分布と、比較例の有限要素モデルの歪分布とを近似させることができた。また、実施例の有限要素モデルの作成時間は、比較例の有限要素モデルの作成時間の75%であった。従って、実施例の作成方法は、弾性率が大きい部分(実施例では、フィラー)と、弾性率が小さい部分(実施例では、マトリックス部)と精度良く定義しつつ、有限要素モデルを短時間で作成することができた。
6 第1モデル
11 節点
F(i) 第1要素
L(i) 線要素

Claims (5)

  1. ゴムを含むエラストマー材料の有限要素モデルを作成するための方法であって、
    コンピュータが、前記エラストマー材料を、平面要素又はソリッド要素からなる第1要素を用いて離散化した第1モデルを定義する第1工程と、
    前記コンピュータが、前記第1モデルの少なくとも一部に、前記第1要素と節点を共有するように線要素を追加する第2工程とを含むことを特徴とするエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法。
  2. 前記エラストマー材料は、弾性率が大きい部分と、弾性率が小さい部分とを含み、
    前記第2工程は、少なくとも1本の前記線要素を、前記弾性率が大きい部分の前記第1要素に追加する請求項1記載のエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法。
  3. 前記エラストマー材料は、加硫ゴムであり、
    前記弾性率が大きい部分は、加硫密度が高い部分である請求項2記載のエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法。
  4. 前記エラストマー材料は、添加材を含み、
    前記弾性率が大きい部分は、前記添加材の密度が高い部分である請求項2記載の有限要素モデルの作成方法。
  5. 前記エラストマー材料は、マトリックス部と、フィラーとを含み、
    前記第2工程は、少なくとも1本の前記線要素を、前記フィラーの部分の前記第1要素に追加する請求項1記載のエラストマー材料の有限要素モデルの作成方法。
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