JP6766581B2 - ゴム材料のシミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム材料の変形現象を、コンピュータを用いてシミュレーションするための方法に関する。
近年、有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションが種々行われている。このシミュレーションでは、解析対象物を、コンピュータで取り扱い可能な有限個の要素で離散化した有限要素モデルが用いられている。解析対象物としては、機械的な構造物のみならず、ゴム材料等が挙げられる。
下記特許文献1は、ゴム材料をモデル化したゴム材料モデルを用いて、ゴム材料の変形現象をシミュレーションする方法を提案している。ゴム材料モデルは、マトリックスゴムを有限個の要素を用いて離散化したマトリックスゴムモデルと、フィラーを有限個の要素を用いて離散化したフィラーモデルとを含んでいる。
特開2006−138810号公報
上記特許文献1のゴム材料モデルを構成する各要素は、隣接する要素との間で離間不能に定義されている。このため、上記特許文献1のシミュレーション方法は、例えば、マトリックスゴムの内部亀裂が空隙へと成長する現象を再現できないという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ゴム材料の変形過程において、内部に空隙が形成される現象を再現しうるゴム材料のシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、マトリックスゴムと、前記マトリックスゴム中に配合されるフィラーとを含むゴム材料の変形現象を、コンピュータを用いてシミュレーションするための方法であって、前記コンピュータに、前記ゴム材料をモデル化したゴム材料モデルを入力するモデル作成工程と、前記コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、前記ゴム材料モデルの変形計算を行う変形工程とを含み、前記モデル作成工程は、前記マトリックスゴムを有限個の第1要素を用いて離散化したマトリックスゴムモデルを入力する工程と、前記フィラーを有限個の第2要素を用いて離散化したフィラーモデルを入力する工程とを含み、前記変形工程は、少なくとも前記各第1要素の第1物理量を計算する工程と、前記第1物理量を予め定められた閾値と比較する工程と、前記第1要素のうち、前記第1物理量が前記閾値よりも大きい要素を削除してその部分に空隙を生成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記ゴム材料のシミュレーション方法において、前記第1物理量は、応力又は歪みを含むのが望ましい。
本発明に係る前記ゴム材料のシミュレーション方法において、前記閾値は、隣接する前記第1要素と前記第2要素との間に前記空隙を生成するための第1閾値を含むのが望ましい。
本発明に係る前記ゴム材料のシミュレーション方法において、前記閾値は、隣接する前記第1要素間に、前記空隙を生成するための第2閾値を含むのが望ましい。
本発明のゴム材料のシミュレーション方法は、マトリックスゴムモデルを構成する第1要素のうち、第1物理量が閾値よりも大きい要素を削除して、その部分に空隙を生成する工程を含んでいる。従って、本発明は、ゴム材料の変形過程において、空隙が形成される現象を再現することができる。
本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 ゴム材料の一例を示す部分断面図である。 ゴム材料のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 モデル作成工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ゴム材料モデルを視覚化して示す平面図である。 図5のゴム材料モデルの部分拡大図である。 変形工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)は、空隙が生成されたゴム材料モデルの部分平面図、(b)は、(a)の空隙が成長した状態を示す部分平面図である。 隣接する第1要素間に空隙が生成されたゴム材料モデルを示す平面図である。 実施例1の変形計算後のゴム材料モデルを示す平面図である。 実施例2の変形計算後のゴム材料モデルを示す平面図である。 比較例2の変形計算後のゴム材料モデルを示す平面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のゴム材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、ゴム材料の変形現象を、コンピュータを用いてシミュレーションするための方法である。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェアが予め記憶されている。
図2は、ゴム材料2の一例を示す部分断面図である。ゴム材料2は、マトリックスゴム3と、マトリックスゴム3中に配合されるフィラー4とを含んでいる。マトリックスゴム3としては、例えば、天然ゴムやブタジエンゴム等である。フィラー4としては、例えば、シリカ又はカーボンブラック等の充填剤であり、本実施形態では、シリカである場合が例示される。
図3は、シミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、ゴム材料2(図2に示す)をモデル化したゴム材料モデルが入力される(モデル作成工程S1)。図4は、モデル作成工程S1の一例を示すフローチャートである。図5は、ゴム材料モデル2Mを視覚化して示す平面図である。図6は、図5のゴム材料モデルの部分拡大図である。
ゴム材料モデル2Mは、ゴム材料2(図2に示す)の有限要素モデルとして設定される。有限要素モデルは、メッシュモデル等とも呼ばれている。有限要素モデルは、二次元又は三次元の座標系に従って作成される。本実施形態では、有限要素モデルのニ次元モデルとして、X方向及びY方向の二次元座標系に定義される。本実施形態のモデル作成工程S1では、例えば、汎用のメッシュ化ソフトウェア(例えば、ANSYS社の「ICEM CFD」)等が用いられる。
本実施形態のモデル作成工程S1では、先ず、コンピュータ1に、マトリックスゴム3(図2に示す)をモデル化したマトリックスゴムモデル3Mが入力される(工程S11)。工程S11では、例えば、図2に示したゴム材料2中のマトリックスゴム3が占めている空間を、有限個の第1要素F(i)(i=1、2、…)を用いて離散化している。これにより、マトリックスゴムモデル3Mが定義される。マトリックスゴム3が占める空間は、例えば、実際のゴム材料2(図2に示す)の顕微鏡画像などに、公知の画像処理を施すことで特定することができる。
図6に示されるように、第1要素F(i)は、有限要素法により取り扱い可能なものである。また、第1要素F(i)は、平面要素又はソリッド要素として設定される。平面要素としては、例えば、四辺形要素又は三角形要素等の多角形要素が好適に用いられる。ソリッド要素としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素が好適に用いられる。本実施形態のゴム材料モデル2Mは、ニ次元モデルとして定義されるため、平面要素として第1要素F(i)が設定される。
第1要素F(i)は、複数の節点7と、節点7、7間を接続する辺8とを有している。第1要素F(i)には、節点7の番号、及び、節点7の座標値が設定される。さらに、各第1要素F(i)には、図2に示したマトリックスゴム3の物性値に基づいた弾性率や減衰係数などの物理量が入力される。これらの物理量は、後述するゴム材料モデル2Mを用いたシミュレーションにおいて利用される。マトリックスゴムモデル3Mは、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のモデル作成工程S1では、コンピュータ1に、フィラー4(図2に示す)をモデル化したフィラーモデル4Mが入力される(工程S12)。工程S12では、例えば、図2に示したゴム材料2中のフィラー4が占めている空間を、有限個の第2要素G(i)(i=1、2、…)を用いて離散化している。これにより、フィラーモデル4Mが定義される。フィラー4の空間の特定には、マトリックスゴム3(図2に示す)の空間を特定する方法と同一の方法が採用される。
図6に示されるように、第2要素G(i)は、第1要素F(i)と同様に、有限要素法により取り扱い可能なものである。また、第2要素G(i)は、平面要素又はソリッド要素として設定される。本実施形態の第2要素G(i)は、平面要素として設定されている。
第2要素G(i)は、複数の節点17と、節点17、17間を接続する辺18とを有している。第2要素G(i)には、節点17の番号、及び、節点17の座標値が設定される。さらに、各第2要素G(i)には、フィラー4(図2に示す)の物性値に基づいた弾性率や減衰係数などの物理量が入力される。フィラーモデル4Mは、コンピュータ1に入力される。
モデル作成工程S1では、マトリックスゴムモデル3Mとフィラーモデル4Mとが入力されることにより、ゴム材料2(図2に示す)をモデル化したゴム材料モデル2Mが定義される。本実施形態のゴム材料モデル2Mは、隣接する第1要素F(i)と第2要素G(i)との間で、節点7、17が共有されている。これにより、フィラーモデル4Mと、マトリックスゴムモデル3Mとは離間不能に定義される。また、モデル作成工程S1では、マトリックスゴムモデル3Mを入力する工程S11、及び、フィラーモデル4Mを入力する工程S12が同時に行われてもよい。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、予め定められた条件に基づいて、ゴム材料モデル2Mの変形計算を行う(変形工程S2)。本実施形態の変形工程S2では、ゴム材料2の変形過程において、空隙(図示省略)が形成される現象を再現している。図7は、変形工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の変形工程S2では、先ず、コンピュータ1に、ゴム材料モデル2Mの変形シミュレーションを行うための変形条件が設定される(工程S21)。本実施形態の変形条件としては、例えば、図5に示されるように、ゴム材料モデル2Mに与えられる歪み(例えば、Y方向への任意の歪み速度V)、ゴム材料モデル2MのX軸方向の端面6の変位を拘束する条件、及び、ゴム材料モデル2Mの伸長長さを含んでいる。歪み速度Vは、例えば10−1〜10に設定される。また、伸長長さは、変形前のゴム材料モデル2MのY軸方向の長さに対する割合であり、例えば、1%〜5%に設定される。変形条件は、コンピュータ1に記憶される。なお、変形条件は、このような態様に限定されるわけではない。
次に、本実施形態の変形工程S2では、コンピュータ1が、前記変形条件に基づいて、ゴム材料モデル2Mの変形計算を開始する(工程S22)。工程S22では、ゴム材料モデル2MのX軸方向の端面6の変位を拘束した状態で、ゴム材料モデル2MにY方向への歪み速度Vが定義される。これにより、工程S22では、Y方向に引張されたゴム材料モデル2Mが計算される。
ゴム材料モデル2Mの変形計算は、従来の有限要素法に基づく変形計算と同様に、市販の有限要素解析アプリケーションソフト(例えば、ANSYS社の「LS-DYNA」)を用いて、単位時間Tx(x=0、1、…)ごと(例えば、1μ秒ごと)に行われる。
次に、本実施形態の変形工程S2では、コンピュータ1が、少なくとも各第1要素F(i)の第1物理量を計算する(工程S23)。第1物理量は、上記の有限要素解析アプリケーションソフトによるゴム材料モデル2Mの変形計算によって、第1要素F(i)毎に計算される。第1物理量としては、例えば、応力又は歪みの少なくとも一方が含まれている。本実施形態では、応力及び歪みの双方が計算される。このような第1物理量は、コンピュータ1に記憶される。
工程S23では、各第1要素F(i)の第1物理量だけでなく、各第2要素G(i)の第2物理量も計算されるのが望ましい。第2物理量としては、第1物理量と同一のものを含んでいる。これにより、変形工程S2では、フィラーモデル4Mで計算される応力の影響を考慮できるため、シミュレーション精度を向上させることができる。第2物理量は、コンピュータ1に記憶される。
なお、フィラーモデル4Mを変形しない完全な剛体とみなして、第2要素G(i)の第2物理量の計算を省略してもよい。この場合、第2要素G(i)での変形計算を省略できるため、計算時間を短縮することができる。
次に、本実施形態の変形工程S2では、コンピュータ1が、第1物理量を、予め定められた閾値と比較する(工程S24)。閾値は、隣接する第1要素F(i)と第2要素G(i)との間に空隙11(図8(a)に示す)を生成するための第1閾値を含んでいる。
第1閾値は、例えば、図2に示したマトリックスゴム3とフィラー4とを剥離させる(即ち、マトリックスゴム3とフィラー4との間に空隙が形成される)のに要する物理量(例えば、応力又は歪み)に基づいて定義される。本実施形態の第1閾値としては、応力(例えば、引張応力等)の閾値として定義されている。このような第1閾値は、例えば、ゴム材料2を使用した破壊実験等に基づいて定義される。本実施形態の第1閾値は、例えば、引張応力の場合、0.1〜100MPa程度に設定される。なお、閾値は、工程S24に先立って、コンピュータ1に入力されているのが望ましい。
本実施形態の工程S24では、第2要素G(i)に隣接する第1要素F(i)の第1物理量と、第1閾値との大小関係が比較される。比較の結果は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の変形工程S2では、コンピュータ1が、第1要素F(i)のうち、第1物理量が閾値よりも大きい要素を削除する(工程S25)。図8(a)は、空隙11が生成されたゴム材料モデル2Mの部分平面図である。図8(b)は、図8(a)の空隙11が成長した状態を示す部分平面図である。図8(a)、(b)において、削除された第1要素F(i)を、二点鎖線で示している。
本実施形態の工程S25では、第2要素G(i)に隣接する全ての第1要素F(i)のうち、第1物理量が第1閾値よりも大きい第1要素F(i)を削除している。これにより、図8(a)に示されるように、ゴム材料モデル2Mには、隣接する第1要素F(i)と第2要素G(i)との間(即ち、第1要素F(i)を削除した部分)に、空隙11が生成される。
このように、本実施形態のシミュレーション方法は、図2に示したゴム材料2の変形過程において、空隙が形成される現象を再現することができる。また、本実施形態の閾値は、図2に示したマトリックスゴム3とフィラー4とを剥離させる(即ち、マトリックスゴム3とフィラー4との間に空隙が形成される)のに要する物理量に基づいて設定されるため、空隙11が形成される現象を、精度よく再現することができる。ゴム材料モデル2Mの第1要素F(i)及び第2要素G(i)の座標データ及び変形データは、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の変形工程S2では、コンピュータ1によって、ゴム材料モデル2Mの変形計算の終了条件を満たしたか否かが判断される(工程S26)。工程S26では、ゴム材料モデル2Mが、予め定められた伸長長さに達したか否かが判断される。
工程S26において、ゴム材料モデル2Mが、終了条件を満たしたと判断された場合(工程S26で、「Y」)、ゴム材料モデル2Mの変形計算を終了させて、次の工程S3が実施される。他方、工程S26において、ゴム材料モデル2Mが、終了条件を満たしていないと判断された場合(工程S26で、「N」)、単位時間Txを一つ進めて(工程S27)、工程S23〜工程S26が再度実施される。これにより、図8(b)に示されるように、変形工程S2では、実際のゴム材料2と同様に、ゴム材料モデル2Mを伸長させることで、空隙11を大きく成長させる(即ち、第1要素F(i)と第2要素G(i)との間の距離を大きくする)ことができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、ゴム材料モデル2Mの変形計算の結果が良好であるか否かを判断する(工程S3)。工程S3では、例えば、空隙11の大きさや形状、及び、変形計算で計算された物理量に基づいて、ゴム材料モデル2Mの強度が良好か否かが判断される。工程S3において、変形計算が良好であると判断された場合(工程S3で、「Y」)、ゴム材料モデル2Mに基づいて、ゴム材料2が製造される(工程S4)。他方、工程S3において、変形計算が良好でないと判断された場合(工程S3で、「N」)、ゴム材料の構造や条件等を変更して(工程S5)、工程S1〜工程S3が再度実施される。このように、本実施形態のシミュレーション方法は、所望の性能を有する未知のゴム材料2を開発することができる。
前実施形態の閾値は、隣接する第1要素F(i)と第2要素G(i)との間に空隙11を生成するための第1閾値を含むものが例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、閾値は、隣接する第1要素F(i)、F(i)間に、空隙11を生成するための第2閾値をさらに含むものでもよい。この実施形態において、前実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
第2閾値は、例えば、図2に示したマトリックスゴム3の内部で空隙が形成されるのに要する第1物理量(例えば、応力又は歪み)に基づいて定義される。この実施形態の第2閾値としては、応力(例えば、引張応力等)の閾値として定義されている。このような第2閾値は、例えば、ゴム材料2を使用した破壊実験等に基づいて定義される。本実施形態の第2閾値は、第1閾値とは異なる値が設定され、例えば、引張応力の場合、0.5〜1000MPa程度に設定される。
図7に示した変形工程S2において、この実施形態の工程S24では、前実施形態と同様に、第2要素G(i)に隣接する第1要素F(i)の第1物理量と、第1閾値との大小関係が比較される。さらに、この実施形態の工程S24は、第2要素G(i)に隣接しない第1要素F(i)の第1物理量と、第2閾値との大小関係が比較される。このような比較結果は、コンピュータ1に記憶される。
図9は、隣接する第1要素F(i)、F(i)間に、空隙11が生成されたゴム材料モデル2Mを示す平面図である。図9において、削除された第1要素F(i)を二点鎖線で示している。この実施形態の工程S25では、前実施形態と同様に、第2要素G(i)に隣接する全ての第1要素F(i)のうち、第1物理量が第1閾値よりも大きい第1要素F(i)が削除される。さらに、この実施形態の工程S25では、第2要素G(i)に隣接しない全ての第1要素F(i)のうち、第1物理量が第2閾値よりも大きい第1要素F(i)が削除される。これにより、ゴム材料モデル2Mには、隣接する第1要素F(i)と第2要素G(i)との間、及び、隣接する第1要素F(i)、F(i)間に、空隙11が生成される。
このように、この実施形態のシミュレーション方法は、図2に示したゴム材料2の変形過程において、マトリックスゴム3とフィラー4との間に形成される空隙だけでなく、マトリックスゴム3の内部に形成される空隙を再現することができるため、ゴム材料2の変形現象を高い精度で表現することができる。ゴム材料モデル2Mの第1要素F(i)及び第2要素G(i)の座標データ及び変形データは、コンピュータ1に記憶される。
これまでの実施形態において、第2要素G(i)に隣接する第1要素F(i)の第1物理量は、同一の第1閾値と比較されたが、このような態様に限定されない。例えば、マトリックスゴム3とフィラー4との間で剥離しやすい位置、又は、剥離し難い位置等に応じて、第1物理量を、異なる第1閾値と比較してもよい。これにより、シミュレーション方法では、マトリックスゴム3とフィラー4との間に空隙(図示省略)が形成される現象を、より精度よく再現することができる。
同様に、第2要素G(i)に隣接しない第1要素F(i)の第1物理量は、同一の第2閾値と比較されたが、このような態様に限定されない。例えば、マトリックスゴム3の内部に空隙が形成されやすい位置、又は、空隙が形成されにくい位置に応じて、第1物理量を、異なる第2閾値と比較してもよい。これにより、シミュレーション方法では、マトリックスゴム3の内部に空隙(図示省略)が形成される現象を、より精度よく再現することができる。
この実施形態の閾値は、第1閾値及び第2閾値を含むものが例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、マトリックスゴム3とフィラー4との間に形成される空隙(図示省略)を考慮しない場合、閾値は、例えば、第2閾値のみを含むものでもよい。
これまでの実施形態の閾値は、応力の閾値として定義されるものが例示されたが、このような態様に限定されない。閾値は、例えば、第1物理量として計算される歪み(例えば、引張歪み等)の閾値として定義されてもよい。この場合、第1閾値は、例えば、引張歪みの場合、0.5〜3.0程度に設定される。第2閾値は、例えば、引張歪みの場合、1〜10程度に設定される。さらに、閾値は、応力の閾値、及び、歪みの閾値がそれぞれ定義されてもよい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3に示した処理手順に従って、マトリックスゴムモデルとフィラーモデルとを含むゴム材料モデルの変形計算が実施された(実施例1、実施例2、比較例1、比較例2)。実施例1及び実施例2の変形工程では、マトリックスゴムモデルモデルの第1要素のうち、第1物理量が閾値よりも大きい要素を削除して、空隙が生成された。
実施例1の閾値は、隣接する第1要素と第2要素との間に空隙を生成するための第1閾値を含んでいる。実施例2の閾値は、第1閾値だけでなく、隣接する第1要素間に空隙を生成するための第2閾値を含んでいる。図10は、実施例1の変形計算後のゴム材料モデルを示す平面図である。図11は、実施例2の変形計算後のゴム材料モデルを示す平面図である。
比較例1では、第1要素を削除することなく、ゴム材料モデルの変形計算のみが実施された。このため、比較例1の変形計算後のゴム材料モデルは、従来のシミュレーション方法と同様に、空隙が生成されなかった。比較例2のゴム材料モデルは、マトリックスゴムモデルの第1要素と、フィラーモデルの第2要素との間に、離間可能に連結された粘着要素が定義された。比較例2の変形工程では、予め定められた破断距離よりも伸びた粘着要素を削除して、空隙が生成された。図12は、比較例2の変形計算後のゴム材料モデルを示す平面図である。共通仕様は、次のとおりである。
ゴム材料モデルの伸長長さ:2%(Y軸方向)
第1閾値(引張応力):0.15MPa
第2閾値(引張応力):0.60MPa
粘着要素:
弾性係数Em:1.0
損傷発生条件Toeff:0.1
損傷発展条件Gc:1.0
要素削除条件D’:0.99
実施例1、実施例2、比較例1、及び、比較例2のモデル作成時間、及び、計算時間を表1に示す。モデル作成時間、及び、計算時間は、実施例1を100とする指数で示している。数値が小さいほど、短時間であることを示している。
テストの結果、実施例1及び実施例2は、図10及び図11に示されるように、マトリックスゴムモデルと、フィラーモデルとの間の空隙を生成できた。従って、実施例1及び実施例2は、ゴム材料の変形過程において、空隙が形成される現象を再現することができた。さらに、実施例2では、実施例1及び比較例2とは異なり、マトリックスゴムモデルの内部にも、空隙を生成することができた。また、実施例1及び実施例2は、粘着要素のモデル化及び粘着要素の変形計算が必要な比較例2に比べて、モデル作成時間及び計算時間を大幅に短縮することができた。
2M ゴム材料モデル
3M マトリックスゴムモデル
4M フィラーモデル
11 空隙

Claims (4)

  1. マトリックスゴムと、前記マトリックスゴム中に配合されるフィラーとを含むゴム材料の変形現象を、コンピュータを用いてシミュレーションするための方法であって、
    前記コンピュータに、前記ゴム材料をモデル化したゴム材料モデルを入力するモデル作成工程と、
    前記コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、前記ゴム材料モデルの変形計算を行う変形工程とを含み、
    前記モデル作成工程は、
    前記マトリックスゴムを有限個の第1要素を用いて離散化したマトリックスゴムモデルを入力する工程と、
    前記フィラーを有限個の第2要素を用いて離散化したフィラーモデルを入力する工程とを含み、
    前記変形工程は、
    少なくとも前記各第1要素の第1物理量を計算する工程と、
    前記第1物理量を予め定められた閾値と比較する工程と、
    前記第1要素のうち、前記第1物理量が前記閾値よりも大きい要素を削除してその部分に空隙を生成する工程とを含むゴム材料のシミュレーション方法。
  2. 前記第1物理量は、応力又は歪みを含む請求項1記載のゴム材料のシミュレーション方法。
  3. 前記閾値は、隣接する前記第1要素と前記第2要素との間に前記空隙を生成するための第1閾値を含む請求項1又は2記載のゴム材料のシミュレーション方法。
  4. 前記閾値は、隣接する前記第1要素間に、前記空隙を生成するための第2閾値を含む請求項1乃至3のいずれかに記載のゴム材料のシミュレーション方法。
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