JP2020087030A - 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法 - Google Patents

粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020087030A
JP2020087030A JP2018221510A JP2018221510A JP2020087030A JP 2020087030 A JP2020087030 A JP 2020087030A JP 2018221510 A JP2018221510 A JP 2018221510A JP 2018221510 A JP2018221510 A JP 2018221510A JP 2020087030 A JP2020087030 A JP 2020087030A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
viscoelastic material
model
deformation
physical properties
elastic modulus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018221510A
Other languages
English (en)
Inventor
正登 内藤
Masato Naito
正登 内藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2018221510A priority Critical patent/JP2020087030A/ja
Publication of JP2020087030A publication Critical patent/JP2020087030A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】 物性の急変を考慮した粘弾性材料の変形現象を再現する。【解決手段】 粘弾性材料の変形を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法である、このシミュレーション方法は、コンピュータに、粘弾性材料を有限個の要素で離散化した粘弾性材料モデルを入力する工程と、コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、粘弾性材料モデルの変形計算を行うシミュレーション工程とを含んでいる。シミュレーション工程は、粘弾性材料の予め定められた物性に基づいて、変形を計算する第1変形工程S32と、粘弾性材料モデルの変形に関する物理量が予め定められた閾値以上になったときに、物性を急変させて、急変後の物性に基づいて、変形を計算する第2変形工程S33とを含んでいる。【選択図】図7

Description

本発明は、粘弾性材料の変形現象を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法などに関する。
下記特許文献1は、ゴム材料の変形現象を、コンピュータを用いて計算するシミュレーション方法を提案している。この種のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータに、ゴム材料を有限個の要素を用いて離散化したゴム材料モデルが定義される。各要素には、実際のゴム材料の弾性率等が定義される。
次に、シミュレーション方法では、コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、ゴム材料モデルの変形計算を行う。この変形計算では、ゴム材料モデルに歪が与えられて、前記弾性率に基づく各要素の変形が計算される。
特開2018−66580号公報
ところで、粘弾性材料は、その変形が大きくなると、物性が急変することがあると考えられている。しかしながら、これまでのシミュレーション方法では、ゴム材料モデルの変形の大きさに拘らず、一定の物性に基づいた変形計算が行われていたため、物性の急変を考慮した変形計算ができないという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、物性の急変を考慮した粘弾性材料の変形現象を再現しうるシミュレーション方法などを提供することを主たる目的としている。
本発明は、粘弾性材料の変形を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、前記コンピュータに、前記粘弾性材料を有限個の要素で離散化した粘弾性材料モデルを入力する工程と、前記コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、前記粘弾性材料モデルの変形計算を行うシミュレーション工程とを含み、前記シミュレーション工程は、前記粘弾性材料の予め定められた物性に基づいて、前記変形を計算する第1変形工程と、前記粘弾性材料モデルの前記変形に関する物理量が予め定められた閾値以上になったときに、前記物性を急変させて、急変後の前記物性に基づいて、前記変形を計算する第2変形工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記シミュレーション工程は、前記閾値以上に大きくなっていた前記物理量が、前記閾値未満に小さくなったときに、急変前の前記物性に基づいて、前記第1変形工程を実行させる工程をさらに含んでもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記物性は、弾性率であり、前記第2変形工程は、急変後の弾性率を、急変前の弾性率の1%以下にする工程を含んでもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記物理量は、前記粘弾性材料モデルの歪又は応力であってもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記粘弾性材料は、マトリックスゴムと、前記マトリックスゴムに配合される添加剤とを含み、前記粘弾性材料モデルは、前記添加剤の有限要素モデルである第1モデルを含み、前記第1変形工程は、急変前の前記物性に基づいて、前記第1モデルの変形を計算する工程を含み、前記第2変形工程は、急変後の前記物性に基づいて、前記第1モデルの変形を計算する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記粘弾性材料モデルは、前記第1モデルとは独立して定義され、かつ、前記マトリックスゴムの有限要素モデルである第2モデルを含み、前記シミュレーション工程は、前記物理量の大きさに拘らず、前記マトリックスゴムの物性に基づいて、前記第2モデルの変形を計算する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記物性は、弾性率であり、前記第2モデルの弾性率は、前記第1モデルの急変前の弾性率よりも小さく、かつ、前記第1モデルの急変後の弾性率よりも大きくてもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記粘弾性材料は、前記マトリックスゴムに配合されるフィラーをさらに含み、前記粘弾性材料モデルは、前記第1モデル及び前記第2モデルとは独立して定義され、かつ、前記フィラーの有限要素モデルである第3モデルを含み、前記シミュレーション工程は、前記物理量の大きさに拘らず、前記フィラーの物性に基づいて、前記第3モデルの変形を計算する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記物性は、弾性率であり、前記第3モデルの弾性率は、前記第1モデルの急変前の弾性率より大きくてもよい。
本発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の前記粘弾性材料モデルの変形状態に基づいて、前記粘弾性材料の性能を評価する工程と、前記性能が良好であると評価された前記粘弾性材料を製造する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の粘弾性材料のシミュレーション方法は、コンピュータに、粘弾性材料を有限個の要素で離散化した粘弾性材料モデルを入力する工程と、前記コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、前記粘弾性材料モデルの変形計算を行うシミュレーション工程とを含んでいる。
前記シミュレーション工程は、前記粘弾性材料の予め定められた物性に基づいて、前記変形を計算する第1変形工程と、前記粘弾性材料モデルの前記変形に関する物理量が予め定められた閾値以上になったときに、前記物性を急変させて、急変後の前記物性に基づいて、前記変形を計算する第2変形工程とを含んでいる。
本発明のシミュレーション方法では、前記物理量の増大によって急変した前記物性に基づいて、前記変形を計算することができる。したがって、本発明のシミュレーション方法は、前記物性の急変を考慮した前記粘弾性材料の変形現象を再現することができる。
本実施形態の粘弾性材料のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 粘弾性材料の一例を示す部分断面図である。 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 粘弾性材料モデルの一例を示す平面図である。 シミュレーション工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)は、第1分子鎖及び第2分子鎖が互いに近接した状態を示す概念図である。(b)は、第1分子鎖及び第2分子鎖が互いに離間した状態を示す概念図である。 変形工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第1モデル、第2モデル及び第3モデルの弾性率の一例を示すグラフである。 (a)は、第1変形工程で計算された粘弾性材料モデル(歪5%)の一例を示す平面図である。(b)は、第2変形工程で計算された粘弾性材料モデル(歪10%)の一例を示す平面図である。 (a)は、歪5%に回復した粘弾性材料モデルの一例を示す平面図である。(b)は、歪0%に回復した粘弾性材料モデルの一例を示す平面図である。 (a)は、実施例の粘弾性材料モデル(歪10%)の歪分布を示す図である。(b)は、実施例の粘弾性材料モデル(歪5%に回復)の歪分布を示す図である。 (a)は、比較例の粘弾性材料モデル(歪5%)の平面図である。(b)は、比較例の粘弾性材料モデル(歪10%)の平面図である。 (a)は、歪5%に回復した比較例の粘弾性材料モデルの平面図である。(b)は、歪0%に回復した比較例の粘弾性材料モデルの平面図である。 (a)は、比較例の粘弾性材料モデル(歪10%)の歪分布を示す図である。(b)は、比較例の粘弾性材料モデル(歪5%に回復)の歪分布を示す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の粘弾性材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)は、粘弾性材料の変形現象を、コンピュータを用いて計算するためのものである。
図1は、粘弾性材料のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェアが予め記憶されている。
図2は、粘弾性材料2の一例を示す部分断面図である。本実施形態の粘弾性材料2は、マトリックスゴム3と、マトリックスゴム3に配合される添加剤4とを含んで構成されている。マトリックスゴム3の一例としては、天然ゴムやブタジエンゴム等である。本実施形態のマトリックスゴム3には、スチレンブタジエンゴムが採用されている。また、添加剤4の一例としては、例えば、レジンやオイル等である。本実施形態の添加剤4には、レジンが採用されている。
本実施形態の粘弾性材料2は、マトリックスゴム3に配合されるフィラー5をさらに含んでいる。フィラー5の一例としては、シリカやカーボンブラック等の充填剤である。本実施形態のフィラー5には、シリカが採用されている。
図3は、シミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、粘弾性材料2を有限個の要素で離散化した粘弾性材料モデルが入力される(工程S1)。図4は、粘弾性材料モデル6の一例を示す平面図である。
粘弾性材料モデル6は、粘弾性材料2(図2に示す)の有限要素モデルとして設定される。有限要素モデルは、メッシュモデル等とも呼ばれている。有限要素モデルは、二次元又は三次元の座標系に従って作成される。本実施形態では、有限要素モデルのニ次元モデルとして、X方向及びY方向の二次元座標系に定義される。本実施形態の工程S1では、例えば、汎用のメッシュ化ソフトウェア(例えば、ANSYS社の「ICEM CFD」)等が用いられる。
本実施形態の粘弾性材料モデル6は、第1モデルM1、第2モデルM2、及び、第3モデルM3を含んで構成されている。
第1モデルM1は、添加剤4(図2に示す)の有限要素モデルである。第1モデルM1は、例えば、図2に示した粘弾性材料2に含まれる添加剤4が占めている空間を、有限個の第1要素F(i)(i=1、2、…)を用いて離散化したものである。添加剤4が占めている空間は、例えば、実際の粘弾性材料2(図2に示す)の顕微鏡画像などに、公知の画像処理を施すことで特定することができる。
第1要素F(i)は、有限要素法により取り扱い可能なものである。第1要素F(i)は、平面要素又はソリッド要素として設定することができる。平面要素としては、例えば、四辺形要素又は三角形要素等の多角形要素が好適に用いられる。ソリッド要素としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素が好適に用いられる。本実施形態では、粘弾性材料モデル6がニ次元モデルとして定義されるため、第1要素F(i)は、平面要素として設定される。
第1要素F(i)は、複数の節点11を有している。第1要素F(i)には、節点11の番号、及び、節点11の座標値が設定される。さらに、第1要素F(i)には、添加剤4(図2に示す)に基づいた物性(例えば、弾性率や減衰係数など)が定義される。これにより、第1モデルM1は、添加剤4を再現することができる。
第2モデルM2は、マトリックスゴム3(図2に示す)の有限要素モデルである。第2モデルM2は、第1モデルM1とは独立して定義されている。第2モデルM2は、例えば、図2に示した粘弾性材料2に含まれるマトリックスゴム3が占めている空間を、有限個の第2要素G(i)(i=1、2、…)を用いて離散化したものである。マトリックスゴム3が占めている空間は、例えば、実際の粘弾性材料2(図2に示す)の顕微鏡画像などに、公知の画像処理を施すことで特定することができる。
第2要素G(i)は、第1要素F(i)と同様に、有限要素法により取り扱い可能なものである。第2要素G(i)は、平面要素又はソリッド要素として設定することができるが、本実施形態では、第1要素F(i)と同様に、平面要素として設定される。
第2要素G(i)は、複数の節点13を有している。第2要素G(i)には、節点13の番号、及び、節点13の座標値が設定される。さらに、各第2要素G(i)には、図2に示したマトリックスゴム3に基づいた物性(例えば、弾性率や減衰係数など)が入力される。本実施形態の第2モデルM2(第2要素G(i))の弾性率は、第1モデルM1(第1要素F(i))の弾性率よりも小さく設定されている。これにより、第2モデルM2は、図2に示した添加剤4に比べて低い剛性を有するマトリックスゴム3を再現することができる。
第3モデルM3は、フィラー5(図2に示す)の有限要素モデルである。第3モデルM3は、第1モデルM1及び第2モデルM2とは独立して定義されている。第3モデルM3は、例えば、図2に示した粘弾性材料2に含まれるフィラー5が占めている空間を、有限個の第3要素H(i)(i=1、2、…)を用いて離散化したものである。フィラー5が占めている空間は、例えば、実際の粘弾性材料2(図2に示す)の顕微鏡画像などに、公知の画像処理を施すことで特定することができる。
第3要素H(i)は、第1要素F(i)や第2要素G(i)と同様に、有限要素法により取り扱い可能なものである。第3要素H(i)は、平面要素又はソリッド要素として設定することができるが、本実施形態では、第1要素F(i)及び第2要素G(i)と同様に、平面要素として設定される。
第3要素H(i)は、複数の節点15を有している。第3要素H(i)には、節点15の番号、及び、節点15の座標値が設定される。さらに、各第3要素H(i)には、図2に示したフィラー5に基づいた物性(例えば、弾性率や減衰係数など)が入力される。本実施形態の第3モデルM3(第3要素H(i))の弾性率は、第1モデルM1(第1要素F(i))の弾性率よりも大きく定義されている。さらに、第3モデルM3の弾性率は、第2モデルM2(第2要素G(i))の弾性率より大きく定義されている。これにより、第3モデルM3は、図2に示した添加剤4及びマトリックスゴム3に比べて、高い剛性を有するフィラー5を再現することができる。
工程S1では、第1モデルM1、第2モデルM2、及び、第3モデルM3がそれぞれ入力されることにより、図2に示した粘弾性材料2を、有限個の要素(本例では、第1要素F(i)、第2要素G(i)、及び、第3要素H(i))で離散化した粘弾性材料モデル6が定義される。隣接する第1要素F(i)、第2要素G(i)、及び、第3要素H(i)の界面部では、節点11、13及び15が共有されている。これにより、第1モデルM1、第2モデルM2、及び、第3モデルM3が離間不能に定義される。粘弾性材料モデル6は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、予め定められた条件に基づいて、粘弾性材料モデル6の変形計算を行う(シミュレーション工程S2)。粘弾性材料モデル6の変形計算については、適宜行うことができる。本実施形態のシミュレーション工程S2では、任意の方向(本例では、X軸方向)に粘弾性材料モデル6を引張変形させる計算と、及び、引張変形した粘弾性材料モデル6を回復させる計算とが実施される。図5は、シミュレーション工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション工程S2では、先ず、コンピュータ1に、粘弾性材料モデル6の変形計算を行うための変形条件が設定される(工程S21)。本実施形態の変形条件としては、例えば、図4に示されるように、粘弾性材料モデル6に与えられる歪み(例えば、X方向への任意の歪速度V(S-1))、粘弾性材料モデル6の歪みの回復(例えば、X方向への任意の歪速度−V(S-1))、粘弾性材料モデル6のY軸方向に沿ってのびる端面10、10の変位を拘束する条件、及び、粘弾性材料モデル6の歪の最大値を含んでいる。
歪速度Vについては、適宜設定することができる。本実施形態の歪速度Vは、例えば10-1〜106に設定される。歪の最大値は、粘弾性材料モデル6の引張変形の終了条件である。歪の最大値については、例えば、評価したい粘弾性材料2の性能に応じて、適宜設定することができる。歪の最大値は、5%〜15%に設定される。変形条件は、コンピュータ1に記憶される。なお、変形条件は、このような態様に限定されるわけではない。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、粘弾性材料モデル6に、歪速度Vを定義する(工程S22)。工程S22では、粘弾性材料モデル6のY軸方向に沿ってのびる端面10、10の変位を拘束した状態で、粘弾性材料モデル6にX方向への歪速度Vが定義される。これにより、本実施形態のシミュレーション方法では、粘弾性材料モデル6の引張変形の計算を開始することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、変形条件に基づいて、粘弾性材料モデル6の変形を計算する(変形工程S23)。
図6(a)は、マトリックスゴム3を構成する第1分子鎖17、及び、添加剤4を構成する第2分子鎖18が互いに近接した状態を示す概念図である。図6(a)に示されるように、添加剤4が配合された粘弾性材料2では、互いに近接する第1分子鎖17と第2分子鎖18との間に、物理的な相互作用20(例えば、ファンデルワールス力)が働いている。この相互作用20により、粘弾性材料2の物性(本例では、弾性率)が高められている。
図6(b)は、第1分子鎖17及び第2分子鎖18が互いに離間した状態を示す概念図である。図6(b)に示されるように、粘弾性材料2に荷重を負荷して、粘弾性材料2の変形(引張変形)を大きくすると、第1分子鎖17と第2分子鎖18とが互いに離間し、相互作用20が働かなくなる。これにより、粘弾性材料2の物性が、変形前に比べて急変(本例では、弾性率が低下)することがある。
粘弾性材料2から荷重を取り除いて、引張変形した粘弾性材料2を回復させると、図6(a)に示されるように、離間していた第1分子鎖17及び第2分子鎖18が再び近接し、第1分子鎖17と第2分子鎖18との間の相互作用20が働くようになる。これにより、粘弾性材料2の物性(本例では、弾性率)が元に戻ることがある。このように、粘弾性材料2の物性は、可逆的に変化することがある。
これまでのシミュレーション方法では、粘弾性材料モデル6(図4に示す)の変形の大きさに拘らず、一定の物性に基づいた変形計算が行われていたため、上述のような物性の急変を考慮した変形計算ができなかった。
本実施形態のシミュレーション方法では、物性の急変を考慮した粘弾性材料2の変形現象を再現している。急変させる物性については、適宜設定することができる。図6(a)及び(b)に示したように、本実施形態の粘弾性材料2では、添加剤4の第2分子鎖18との相互作用20によって、粘弾性材料2の物性(本例では、弾性率)が急変している。このため、本実施形態のシミュレーション方法では、図4に示した粘弾性材料モデル6のうち、添加剤4(図2に示す)の第1モデルM1(第1要素F(i))に定義された物性(本例では、弾性率)のみを急変させている。図7は、変形工程S23の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の変形工程S23では、先ず、コンピュータ1が、図4に示した粘弾性材料モデル6の変形に関する物理量(以下、単に「変形に関する物理量」ということがある。)が、予め定められた閾値未満か否かを判断する(工程S31)。
変形に関する物理量については、適宜設定することができる。本実施形態の変形に関する物理量としては、第1モデルM1の歪である場合が例示される。なお、変形に関する物理量は、第1モデルM1の応力であってもよい。
変形に関する物理量(本例では、第1モデルM1の歪)の閾値は、急変後の物性(本例では、第1モデルM1の弾性率)に基づいて、粘弾性材料モデル6の変形を計算するか否かを判断するための基準に用いられる。図8は、第1モデルM1、第2モデルM2及び第3モデルM3の弾性率の一例を示すグラフである。
本実施形態では、変形に関する物理量が閾値以上になったときに、急変後の物性(本例では、第1モデルM1の急変後の弾性率)に基づいて、粘弾性材料モデル6(図4に示す)の変形が計算される。変形に関する物理量(本例では、第1モデルM1の歪)の閾値については、例えば、添加剤4(図2に示す)の種類に応じて適宜設定することができる。本実施形態の添加剤がレジンである場合、1%〜200%(本例では、10%)に設定される。
工程S31において、変形に関する物理量(本例では、第1モデルM1の歪)が閾値未満であると判断された場合(工程S31において、「Y」)、粘弾性材料2(図2に示す)の予め定められた物性に基づいて、図4に示した粘弾性材料モデル6の変形を計算する第1変形工程S32が実施される。一方、変形に関する物理量が、閾値以上であると判断された場合(工程S31において、「N」)、急変後の物性に基づいて、粘弾性材料モデル6の変形を計算する第2変形工程S33が実施される。なお、工程S31では、図4に示した第1モデルM1が複数存在する場合、それぞれの第1モデルM1について、変形に関する物理量が閾値未満であるか否かが判断される。そして、複数の第1モデルM1のうち、少なくとも1つの第1モデルM1の歪が閾値以上であると判断された場合、第2変形工程S33が実施される。
本実施形態の第1変形工程S32では、添加剤4(図2に示す)の物性(本例では、急変前の物性)に基づいて、第1モデルM1の変形を計算する工程が実施される。また、第1変形工程S32では、マトリックスゴム3(図2に示す)の物性に基づいて、第2モデルM2の変形を計算する工程が実施される。さらに、第1変形工程S32では、フィラー5(図2に示す)の物性に基づいて、第3モデルM3の変形を計算する工程が実施される。本実施形態では、第1モデルM1、第2モデルM2、及び、第3モデルM3の変形計算が同時に行われる。
粘弾性材料モデル6の変形計算は、従来の有限要素法に基づく変形計算と同様に、市販の有限要素解析アプリケーションソフト(例えば、ANSYS社の「LS-DYNA」)を用いて、単位時間Tx(x=0、1、…)ごと(例えば、1μ秒ごと)に行われる。
粘弾性材料モデル6の変形計算では、第1モデルM1、第2モデルM2、及び、第3モデルM3の間に作用する力や変位が、それらの界面部で共有する節点11、13及び15を介して伝達される。そして、粘弾性材料モデル6の変形計算では、粘弾性材料モデル6の応力や歪等を含む物理量が計算される。粘弾性材料モデル6の物理量は、コンピュータ1に記憶される。
第1変形工程S32では、粘弾性材料2(図2に示す)の予め定められた物性(即ち、急変前の物性)に基づいて、粘弾性材料モデル6の変形を計算することができる。したがって、第1変形工程S32では、物性が急変する前の粘弾性材料2の変形現象を再現することができる。図9(a)は、第1変形工程で計算された歪5%の粘弾性材料モデル6の一例を示す平面図である。図9(a)では、第1要素F(i)、第2要素G(i)及び第3要素H(i)を省略して示している。
次に、第2変形工程S33では、急変後の物性に基づいて、図4に示した粘弾性材料モデル6の変形を計算する。本実施形態の第2変形工程S33では、先ず、粘弾性材料の物性を急変させる工程が実施される。
上述したように、本実施形態では、第1モデルM1(第1要素F(i))に定義された弾性率のみを急変させている。急変後の弾性率については、適宜設定することができる。図6(a)及び(b)に示したように、粘弾性材料2の変形が大きくなると、マトリックスゴム3の第1分子鎖17と、添加剤4の第2分子鎖18との間の相互作用が働かなくなり、粘弾性材料2の弾性率が低下する。このため、図8に示されるように、本実施形態の第1モデルM1(第1要素F(i))の急変後の弾性率は、第1モデルM1の急変前の弾性率よりも小さく定義される。なお、第2変形工程S33では、図4に示した第1モデルM1が複数存在する場合、変形に関する物理量が閾値以上になった第1モデルM1(第1要素F(i))に、急変後の物性が定義される。これにより、本実施形態では、第1モデルM1の変形に関する物理量に応じて、第1モデルM1ごとに、物性を急変させることができる。
第2変形工程S33では、急変後の物性(弾性率)に基づいて、第1モデルM1の変形を計算する工程が実施される。なお、変形に関する物理量が閾値未満の第1モデルM1については、急変前の物性に基づいて、変形が計算される。また、第2変形工程S33では、マトリックスゴム3の物性に基づいて、第2モデルM2の変形を計算する工程が実施される。さらに、第2変形工程S33では、フィラー5の物性に基づいて、第3モデルM3の変形を計算する工程が実施される。
本実施形態では、第1モデルM1、第2モデルM2、及び、第3モデルM3の変形計算が同時に行われる。これらの変形計算では、第1変形工程S32と同様に、粘弾性材料モデル6の応力や歪等を含む物理量が計算される。粘弾性材料モデル6の物理量は、コンピュータ1に記憶される。図9(b)は、第2変形工程で計算された歪10%の粘弾性材料モデル6の一例を示す平面図である。図9(b)では、第1要素F(i)、第2要素G(i)及び第3要素H(i)を省略して示している。また、図9(b)において、剛性が低下した部分21を白く表示している。
第2変形工程S33で計算された歪10%の粘弾性材料モデル6は、上記特許文献1のように空隙(破壊)を設定しなくても、図9(a)に示した第1変形工程での歪5%の粘弾性材料モデル6に比べて、第1モデルM1の剛性を低下させることができる。
このように、第2変形工程S33では、粘弾性材料モデル6の変形に関する物理量(歪)が閾値以上になったときに、急変後の物性に基づいて、粘弾性材料モデル6の変形を計算することができる。したがって、第2変形工程S33では、物性の急変を考慮した粘弾性材料2の変形現象を再現することができる。
本実施形態のシミュレーション工程S2では、粘弾性材料モデル6の変形に関する物理量の大きさに拘らず、マトリックスゴムの物性に基づく第2モデルM2の変形計算、及び、フィラーの物性に基づく第3モデルM3の変形計算が実施される。一方、シミュレーション工程S2では、粘弾性材料モデル6の変形に関する物理量の大きさに応じて、急変前の物性に基づく第1モデルM1の変形計算(第1変形工程S32)、及び、急変後の物性に基づく第1モデルM1の変形計算(第2変形工程S33)が実施される。これにより、本実施形態のシミュレーション工程S2では、添加剤4の相互作用の変化(物性の急変)を考慮した粘弾性材料2の変形現象を再現することができる。
図8に示されるように、第2変形工程S33において、第2モデルM2(第2要素G(i))の弾性率は、第1モデルM1(第1要素F(i))の急変後の弾性率よりも大きく定義されているのが望ましい。これにより、第2変形工程S33では、添加剤4の相互作用のみが小さくなった粘弾性材料2の変形現象を再現しうる。
第1モデルM1(第1要素F(i))の急変後の弾性率は、急変前の弾性率の1%以下に定義されるのが望ましい。これにより、添加剤4の相互作用が小さくなって急変した粘弾性材料2の物性を考慮して、粘弾性材料2の変形現象を再現することができる。このような観点より、急変後の弾性率は、より好ましくは、急変前の弾性率の0.5%以下である。なお、急変後の弾性率は、0でも良いが、急変後の弾性率に0が定義されると、上記有限要素解析アプリケーションソフトにおいて、第1要素F(i)が存在しない状態と見なされるおそれがある。このため、本実施形態では、急変後の弾性率として、0よりも大きく(例えば、急変前の弾性率の0.1%以上に)定義されるのが望ましい。
次に、本実施形態のシミュレーション工程S2では、コンピュータ1が、粘弾性材料モデル6の歪が、最大値(本例では、10%)に達したか否かを判断する(工程S24)。本実施形態の工程S24において、粘弾性材料モデル6の歪は、粘弾性材料モデル6を構成する全ての要素(本例では、第1要素F(i)、第2要素G(i)及び第3要素H(i))の歪の平均値として計算される。工程S24において、粘弾性材料モデル6の歪が最大値に達したと判断された場合(工程S24において、「Y」)、粘弾性材料モデル6に歪の回復条件(本例では、歪速度−V(図10(a)に示す))を定義して(工程S25)、次の変形工程S26が実施される。本実施形態のシミュレーション工程S2では、粘弾性材料モデル6の歪が最大値に達した後に、歪速度−Vを定義することで、粘弾性材料モデル6を元の形状に回復させることができる。
一方、工程S24において、粘弾性材料モデル6の歪が最大値に達していないと判断された場合(工程S24において、「N」)、単位時間Txを一つ進めて(工程S27)、変形工程S23及び工程S24が実施される。これにより、シミュレーション工程S2では、粘弾性材料モデル6の歪が最大値に達するまで、粘弾性材料モデル6の引張を計算することができる。
変形工程S26の処理手順は、図7に示した変形工程S23の処理手順と同一である。本実施形態の変形工程S26では、図7に示した処理手順において、閾値以上に大きくなっていた粘弾性材料モデル6の変形に関する物理量(本例では、全ての第1モデルM1の歪)が、閾値未満に小さくなったときに(工程S31において、「Y」)、第1変形工程S32が実行される。第1変形工程S32の処理手順については、上述のとおりである。
図10(a)は、歪5%に回復した粘弾性材料モデル6の一例を示す平面図である。図10(b)は、歪0%に回復した粘弾性材料モデル6の一例を示す平面図である。図10(a)及び図10(b)は、第1要素F(i)、第2要素G(i)及び第3要素H(i)を省略して示している。
図10(a)及び(b)に示されるように、第1モデルM1には、剛性が低下した部分21(図9(b)に示す)が無くなっている。これは、第1モデルM1(第1要素F(i))に、急変前の物性(弾性率)が定義されていることを示している。これにより、変形工程S26の第1変形工程S32では、急変前の物性に基づいて、粘弾性材料モデル6の形状を回復させることができる。したがって、本実施形態のシミュレーション方法では、粘弾性材料2(図2に示す)の物性を可逆的に変化させて、粘弾性材料モデル6の変形を計算することができる。
なお、第2変形工程S33では、図4に示した第1モデルM1が複数存在する場合、変形に関する物理量が閾値未満になった第1モデルM1(第1要素F(i))に、急変前の物性が定義される。これにより、本実施形態では、第1モデルM1の変形に関する物理量に応じて、第1モデルM1ごとに、急変前の物性に戻すことができる。
次に、本実施形態のシミュレーション工程S2では、コンピュータ1が、粘弾性材料モデル6の歪が無くなったか否かを判断する(工程S28)。工程S28において、粘弾性材料モデル6の歪が無くなったと判断された場合(工程S28において、「Y」)、シミュレーション工程S2の一連の処理が終了する。
一方、工程S28において、粘弾性材料モデル6の歪が無くなっていないと判断された場合(工程S28において、「N」)、単位時間Txを一つ進めて(工程S29)、変形工程S26及び工程S28が実施される。これにより、これにより、シミュレーション工程S2では、粘弾性材料モデル6の歪がなくなるまで、粘弾性材料モデル6の形状を回復させる計算することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、粘弾性材料モデル6の変形状態に基づいて、粘弾性材料2の性能が評価される(工程S3)。粘弾性材料2の性能の評価は、適宜設定することができる。本実施形態の工程S3では、例えば、粘弾性材料モデル6の変形計算で求められた物理量(例えば、応力)に基づいて、粘弾性材料2の強度(性能)が評価される。本実施形態のシミュレーション方法では、物性の急変を考慮した粘弾性材料の変形現象を再現することができるため、粘弾性材料2の性能を正確に評価することができる。
工程S3において、粘弾性材料2の性能が良好であると評価された場合(工程S3において、「Y」)、粘弾性材料モデル6に基づいて、粘弾性材料が製造される(工程S4)。一方、工程S3において、粘弾性材料2の性能が良好でないと判断された場合(工程S3において、「N」)、粘弾性材料2の構造や条件等を変更して(工程S5)、工程S1〜工程S3が再度実施される。このように、本実施形態の製造方法は、所望の性能を有する未知の粘弾性材料2を開発、及び、製造することができる。
本実施形態では、各第1モデルM1において、その第1モデルM1を構成する全ての第1要素F(i)に定義された物性(本例では、弾性率)を急変させたが、このような態様に限定されるわけではない。第1モデルM1の第1要素F(i)の一部(例えば、第2モデルM2との界面部に隣接する第1要素F(i))の物性のみを急変させてもよい。
これまでの実施形態では、第1モデルM1(第1要素F(i))に定義された物性(本例では、弾性率)のみを急変させたが、このような態様に限定されるわけではない。粘弾性材料2の物性の変化に応じて、例えば、第2モデルM2(第2要素G(i))の物性を急変させてもよいし、第3モデルM3(第3要素H(i))の物性を変化させてもよい。さらに、粘弾性材料2に配合される他の材料の有限要素モデル(図示省略)の物性を変化させてもよい。
これまでの実施形態では、急変させる物性として、弾性率である場合が例示されたが、このような態様に限定されない。粘弾性材料2が急変する物性に応じて、例えば、減衰係数等を急変させてもよい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3に示した処理手順に従って、粘弾性材料の変形が、コンピュータを用いて計算された(実施例)。実施例では、図5及び図7に示した処理手順に従って、第1変形工程及び第2変形工程が実施された。第1変形工程では、粘弾性材料の予め定められた物性に基づいて、粘弾性材料モデルの変形が計算された。第2変形工程では、粘弾性材料モデルの変形に関する物理量が予め定められた閾値以上になったときに、粘弾性材料の物性を急変させて、急変後の物性に基づいて、粘弾性材料モデルの変形が計算された。
比較のために、上記特許文献1と同様の手順で、粘弾性材料モデルの変形に関する物理量の大きさに拘らず、粘弾性材料の予め定められた物性に基づいて、粘弾性材料モデルの変形が計算された(比較例)。
実施例及び比較例の変形計算では、任意の方向(本例では、X軸方向)に粘弾性材料モデルを引張変形させる計算と、及び、引張変形した粘弾性材料モデルを回復させる計算とが実施された。そして、実施例及び比較例について、粘弾性材料モデルの変形状態、及び、歪分布が比較された。共通仕様、及び、実施例の仕様等は、次のとおりである。
歪速度V:0.017S-1
歪速度−V:−0.017S-1
歪の最大値:10%
第2モデルの弾性率:1MPa
第3モデルの弾性率:1500MPa
実施例:
第1モデルの急変前の弾性率:2.5MPa
第1モデルの急変後の弾性率:0.0125MPa
粘弾性材料モデルの変形に関する物理量:第1モデルの歪
物理量の閾値:10%
図9(a)は、第1変形工程で計算された実施例の粘弾性材料モデル(歪5%)の一例を示す平面図である。図9(b)は、第2変形工程で計算された実施例の粘弾性材料モデル(歪10%)の一例を示す平面図である。図10(a)は、歪5%に回復した粘弾性材料モデルの一例を示す平面図である。図10(b)は、歪0%に回復した粘弾性材料モデルの一例を示す平面図である。図11(a)は、実施例の粘弾性材料モデル(歪10%)の歪分布を示す図である。図11(b)は、実施例の粘弾性材料モデル(歪5%に回復)の歪分布を示す図である。
図9(b)及び図11(a)に示した粘弾性材料モデル(歪10%)は、剛性が低下した部分21が形成されており、図9(a)に示した粘弾性材料モデル(歪5%)に比べて、第1モデルM1の剛性が低下した。これにより、実施例では、粘弾性材料モデルの変形に関する物理量(歪)が閾値以上になったときに、急変後の物性に基づいて、粘弾性材料モデルの変形を計算することができた。したがって、実施例では、物性の急変を考慮した粘弾性材料2の変形現象を再現することができた。
図10(a)及び図11(b)に示されるように、第1モデル(歪5%に回復)には、剛性が低下した部分21(図9(b)及び図11(a)に示す)が無くなっており、第1モデル(第1要素)に、急変前の物性が定義された。これにより、実施例では、急変前の物性に基づいて、粘弾性材料モデルの形状を回復させることができた。したがって、実施例では、粘弾性材料の物性を可逆的に変化させて、粘弾性材料モデルの変形を計算することができた。
図12(a)は、比較例の歪5%の粘弾性材料モデルの平面図である。図12(b)は、比較例の歪10%粘弾性材料モデルの平面図である。図13(a)は、歪5%に回復した比較例の粘弾性材料モデルの平面図である。図13(b)は、歪0%に回復した比較例の粘弾性材料モデルの平面図である。図14(a)は、比較例の歪10%の粘弾性材料モデルの歪分布を示す図である。図14(b)は、歪5%に回復した比較例の粘弾性材料モデルの歪分布を示す図である。
図12(b)に示した粘弾性材料モデル(歪10%)は、第1モデルM1及び第2モデルM2の歪の増加に伴って要素が削除され、要素の削除に伴う破壊部分(空隙)22が形成された。このような変形計算は、マトリックスゴムの内部亀裂を再現しており、物性の急変を考慮した粘弾性材料の変形現象を再現することができなかった。
図13(a)及び図14(b)に示されるように、比較例の第1モデル(歪5%に回復)には、破壊部分22が形成されたままであった。さらに、図13(b)に示されるように、比較例の第1モデル(歪0%に回復)にも、破壊部分22が形成されたままであった。したがって、比較例では、可逆的に変化する物性を考慮した粘弾性材料モデルの変形を計算することができなかった。
このように、実施例は、比較例とは異なり、物性の急変を考慮した粘弾性材料の変形現象を再現することができた。さらに、実施例は、粘弾性材料の物性を可逆的に変化させて、粘弾性材料モデルの変形を計算することができた。
S32 第1変形工程
S33 第2変形工程

Claims (10)

  1. 粘弾性材料の変形を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、
    前記コンピュータに、前記粘弾性材料を有限個の要素で離散化した粘弾性材料モデルを入力する工程と、
    前記コンピュータが、予め定められた条件に基づいて、前記粘弾性材料モデルの変形計算を行うシミュレーション工程とを含み、
    前記シミュレーション工程は、前記粘弾性材料の予め定められた物性に基づいて、前記変形を計算する第1変形工程と、
    前記粘弾性材料モデルの前記変形に関する物理量が予め定められた閾値以上になったときに、前記物性を急変させて、急変後の前記物性に基づいて、前記変形を計算する第2変形工程とを含む、
    粘弾性材料のシミュレーション方法。
  2. 前記シミュレーション工程は、前記閾値以上に大きくなっていた前記物理量が、前記閾値未満に小さくなったときに、急変前の前記物性に基づいて、前記第1変形工程を実行させる工程をさらに含む、請求項1記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  3. 前記物性は、弾性率であり、
    前記第2変形工程は、急変後の弾性率を、急変前の弾性率の1%以下にする工程を含む、請求項1又は2記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  4. 前記物理量は、前記粘弾性材料モデルの歪又は応力である、請求項1乃至3のいずれかに記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  5. 前記粘弾性材料は、マトリックスゴムと、前記マトリックスゴムに配合される添加剤とを含み、
    前記粘弾性材料モデルは、前記添加剤の有限要素モデルである第1モデルを含み、
    前記第1変形工程は、急変前の前記物性に基づいて、前記第1モデルの変形を計算する工程を含み、
    前記第2変形工程は、急変後の前記物性に基づいて、前記第1モデルの変形を計算する工程を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  6. 前記粘弾性材料モデルは、前記第1モデルとは独立して定義され、かつ、前記マトリックスゴムの有限要素モデルである第2モデルを含み、
    前記シミュレーション工程は、前記物理量の大きさに拘らず、前記マトリックスゴムの物性に基づいて、前記第2モデルの変形を計算する工程を含む、請求項5記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  7. 前記物性は、弾性率であり、
    前記第2モデルの弾性率は、前記第1モデルの急変前の弾性率よりも小さく、かつ、前記第1モデルの急変後の弾性率よりも大きい、請求項6記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  8. 前記粘弾性材料は、前記マトリックスゴムに配合されるフィラーをさらに含み、
    前記粘弾性材料モデルは、前記第1モデル及び前記第2モデルとは独立して定義され、かつ、前記フィラーの有限要素モデルである第3モデルを含み、
    前記シミュレーション工程は、前記物理量の大きさに拘らず、前記フィラーの物性に基づいて、前記第3モデルの変形を計算する工程を含む、請求項6又は7記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  9. 前記物性は、弾性率であり、
    前記第3モデルの弾性率は、前記第1モデルの急変前の弾性率より大きい、請求項8記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の前記粘弾性材料モデルの変形状態に基づいて、前記粘弾性材料の性能を評価する工程と、
    前記性能が良好であると評価された前記粘弾性材料を製造する工程とを含む、
    粘弾性材料の製造方法。
JP2018221510A 2018-11-27 2018-11-27 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法 Pending JP2020087030A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018221510A JP2020087030A (ja) 2018-11-27 2018-11-27 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018221510A JP2020087030A (ja) 2018-11-27 2018-11-27 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020087030A true JP2020087030A (ja) 2020-06-04

Family

ID=70908296

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018221510A Pending JP2020087030A (ja) 2018-11-27 2018-11-27 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020087030A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5923069B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP6408856B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP5003303B2 (ja) 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法およびシミュレーション方法
JP4685747B2 (ja) ゴム材料解析モデルの作成方法
JP5186015B2 (ja) フィラー配合ゴムの有限要素モデルの作成方法
KR20160008980A (ko) 모달 동적 분석에서 라그랑지 승수들을 복원하는 시스템 및 방법
JP6254325B1 (ja) 高分子材料の粗視化分子動力学シミュレーション方法
US20150302180A1 (en) Simulation method for high-polymer material
JP5432549B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JP5324820B2 (ja) 解析モデルの作成方法
EP2500868B1 (en) Method for creating finite element model of rubber composite
JP5221603B2 (ja) 地盤変形解析装置、地盤変形解析方法、プログラム
JP2020087030A (ja) 粘弾性材料のシミュレーション方法、及び、粘弾性材料の製造方法
KR102262622B1 (ko) 필러 배합 고무의 유한 요소 모델의 작성 방법
JP5503618B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JP2009259043A (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JP2010205253A (ja) 複合材料の力学的材料定数を算出する方法、複合材料中の材料の体積分率を算出する方法および記録メディア
JP6766581B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JP2019109696A (ja) ゴム材料モデルの作成方法及びシミュレーション方法
JP5180735B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JP2014203242A (ja) シミュレーションモデルの作成方法およびシミュレーション方法
JP2019008538A (ja) 複合材料のシミュレーション方法
JP2018004604A (ja) フィラーモデルの作成方法
JP2002007487A (ja) 最適形状の設計方法及びこれを用いた最適形状の設計システム
JP6837804B2 (ja) 架橋ゴムの分子モデルにおけるモデル間の再現性を向上させる分子モデル作成方法、及び同方法を実行する装置