JP2015161864A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
懸濁製法は、全て若しくは大部分のトナー組成物を水系媒体中に一気に投入して造粒し、その造粒過程で一般的なトナー粒子径であるミクロンオーダー粒子を得る方法である。一方、乳化凝集法は、トナー組成物をサブミクロンからナノオーダーサイズに乳化して、この乳化粒子を凝集させてトナーサイズのミクロンオーダー粒子を得る方法である。
得られるトナー粒子の粒度分布は、懸濁製法ではトナー組成物を水系媒体中に投入して造粒する工程が大きく影響し、乳化凝集法は乳化粒子を凝集する工程が非常に重要である。よって、懸濁製法と乳化凝集法とでは、粒度分布をシャープにする方法はそれぞれで大きく異なる。
まず、懸濁製法の特徴として、容易に球形粒子を得やすく、また、離型剤をトナー粒子中に内包させることも比較的容易であることが挙げられる。そのため、溶解懸濁法や懸濁重合法は、転写性や現像特性に優れたトナー粒子を得やすい製造方法と言える。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法は、粒子の原料として、重合性単量体、着色剤、離型剤、重合開始剤などを均一に溶解又は分散して重合性単量体組成物とし、水系媒体中に前記組成物を投入して液滴化することが一般的である。
溶解懸濁法によるトナー粒子の製造方法は、粒子の原料として、結着樹脂、着色剤、離型剤などを溶剤に溶解又は分散してトナー組成物とし、水系媒体中に前記組成物を投入して液滴化することが一般的である。
また、上記水系媒体中には、水系媒体中に形成されるトナー組成物液滴を安定させるために、無機微粒子を含有させる方法が知られている。この無機微粒子が液滴の表面に付着するため、水系媒体中での粒子同士の凝集や粒子の分裂を防ぎ、ミクロンオーダー粒子として安定化させる。
懸濁重合法の場合、トナーサイズの粒径を有する液滴が造粒段階で形成されているため、液滴中に含まれる重合性単量体の重合反応が進行すると、ほぼその粒径のまま固体化して、トナー粒子の懸濁液が得られる。
溶解懸濁法の場合も同様、トナーサイズの粒径を有する液滴を造粒時に形成させ、その後液滴中に含まれる溶剤を揮発させると、固体化してトナー粒子の懸濁液として得られる。
懸濁重合法や溶解懸濁法では、油層としてのトナー組成物液滴を水系媒体中で造粒して得るため、高剪断撹拌機を備えた造粒容器中で、回分式操作により行うことが多い。この方法では、剪断力を付与しつつ、液全体の循環を良好に保つ必要があるため、水系媒体全てに等しい剪断力を及ぼすことが難しく、同じ理由で油層液滴全てに等しい剪断力を与えることが難しい。そのため、造粒で得られる油層液滴は粒度分布がブロードになってしまう場合がある。懸濁製法の場合、造粒で得られた分布をほぼ維持したままで固形化することになるため、造粒時の粒度分布が広いと、得られるトナー粒子も粒度分布が広くなってしまう。粒度分布が所望よりも広くなると、分級操作の煩雑化、分級による収率の悪化、あるいは各トナー粒子それぞれの組成が不均一になって性能が不安定になるなどの弊害が出てくる。そのため、懸濁製法の場合、粒度分布をシャープに保つ何らかの工夫が必要な場合が多い。
前記問題を解決するためには、装置面からのアプローチと材料面からのアプローチが考
えられる。いずれのアプローチも種々開示されているが、製造装置を複雑化しないでトナー粒子の粒度分布をシャープにする方法があれば、経済的であり、操作も簡便になり、スケールアップも容易になるなどの利点がある。そこで本発明者らは、極力装置に頼らず、材料面からの粒度分布改善手段を検討した。
材料面での改善方法としては、例えば、分散安定剤として水系媒体に含まれる無機微粒子の物性を改良する試みが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1では、分散安定剤としての無機微粒子を水性媒体中で調整する分散剤調製工程において、リン酸イオン含有水溶液にカルシウムイオン含有水溶液を添加する速度が規定されている。すなわち、該リン酸イオン含有水溶液中のリン酸イオンのモル数に対して、カルシウムイオンのモル数の比が0.005〜0.5sec−1となる速度に規定することで、分散安定剤の粒径を制御できることが示されている。これによって分散安定剤の粒径を最適に制御することで、得られるトナー粒子の粒度分布をよりシャープにすることが可能となる。簡便でなおかつ適用範囲も広い方法ではあるが、万能ではなく、例えば水系媒体中に投入する際のトナー組成物粘度が高い場合は、所望の粒度分布を得るためには製造装置に工夫が必要な場合があるなど、制約も存在することがわかった。トナー組成物粘度が高い一例としては、着色剤を多量に入れる、あるいは樹脂を多量に入れる等が挙げられる。
上記以外にも、懸濁製法においてトナーを製造する場合における、粒度分布をシャープにする方法は、種々多くの提案がなされている。これは、生産性やトナー性能を鑑みれば、粒度分布がシャープであればあるほどよい場合が多いことが一因であり、常に進化させたいからであると考えられる。
すなわち、本発明は、
i)重合性単量体を含有するトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び前記造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合してトナー粒子を製造する重合工程を有するトナーの製造方法、又は、
ii)結着樹脂を有機溶媒に溶解又は分散して得られるトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び前記造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去してトナー粒子を製造する脱溶媒工程を有するトナーの製造方法であって、
前記トナー組成物が、下記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として含む樹脂Aを、1.0質量%以上90.0質量%以下含有し、
前記樹脂Aが、下記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上20.00mol%以下含有し、
前記水系媒体が、無機微粒子を含有することを特徴とする、
トナーの製造方法。
i)重合性単量体を含有するトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び前記造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合してトナー粒子を製造する重合工程を有するトナーの製造方法、又は、
ii)結着樹脂を有機溶媒に溶解又は分散して得られるトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び前記造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去してトナー粒子を製造する脱溶媒工程を有するトナーの製造方法であって、
前記トナー組成物が、下記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として含む樹脂Aを、1.0質量%以上90.0質量%以下含有し、
前記樹脂Aが、下記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上20.00mol%以下含有し、
前記水系媒体が、無機微粒子を含有することを特徴とする。
まず、該イソソルビドユニットは、2つのエーテル結合性酸素原子と、両端のエステル結合性酸素又はエーテル結合性酸素を有しており、しかもそれぞれの酸素原子は距離が近い。そのためにこのユニットは、一定程度の強い極性があると考えられ、水との親和性を少なからず持っていると推定される。
このことを間接的に調べるため、ポリエステルの構成単位として本ユニットを組み込んだポリエステル樹脂と、組み込んでいないそれとを比較検討した。具体的には、各樹脂を温度30℃/相対湿度80%の環境に3日間放置し、樹脂に含まれる水分量を測定した。その結果、上記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として含むポリエステル樹脂の水分量は、そうでないものと比べ30%〜50%程度高い値だった。よって、この樹脂は水との親和性があるといえる。
トナー組成物中には、樹脂A以外に、重合性単量体、あるいは結着樹脂などが入っている。トナー組成物は疎水性が強い材料がほとんどのため、比較的親水性の高いイソソルビドユニットを含む樹脂Aは、少なからず最表面に存在すると考えられる。
ここで、上記トナーの製造工程における造粒工程を考える。
撹拌操作による剪断力の付与によって、トナー組成物は液滴になるわけだが、造粒工程で何が起こっているか、特にトナー組成物が剪断される瞬間のメカニズムについては、詳細にはわからない点も多い。しかしながら、以下の点は確かだろうと言われている。
すなわち、剪断により、大きな液滴は分裂する傾向があり、小さな液滴は合一する傾向があること、それら分裂と合一は組成物の各種物性と撹拌条件に左右されるが、最終的に得られる液滴粒子の平均粒子径は、分散安定剤の濃度で広範に制御が可能であることが、経験的にわかっている。
基本的には、油層液滴は、水との接触面積が小さい方がエネルギー的に安定になる。つまり、液滴は合一した方が、表面積が減るため、何らかの操作をしないと小さい粒子径では安定的に存在し得ない。具体的には、液滴表面を水との親和性を何らかの手段で持たせなければならない。その手段の一つが分散安定剤である。そして、分散安定剤の存在量により、安定化できる油層の総表面積の広さが決まる。これが、油層を構成するトナー組成物総量に対する分散安定剤の総量の比率、すなわち分散安定剤の濃度で粒子径を広範に制御できる理由である。例えば、分散安定剤の濃度が高いと、より多くの液滴表面を安定させることになるため、より粒子径の小さい液滴が形成される。ただし、ここでいう粒子径とは平均粒子径であり、粒子径の広がりである粒度分布を制御することは別問題である。そこで、分布を決定づける主要過程と考えられる、油層が剪断される瞬間を考察する。
油層のトナー組成物が水系媒体中に投入された直後は、油層が剪断されて分裂し、液滴が形成される。液滴が形成された瞬間に起こることは、水系媒体中に含まれる分散安定剤が液滴表面に付着することであると考えられる。一定時間が経つと、すべての油層が剪断場を経験し、表面に分散安定剤が付着した液滴が形成される。次の段階は、表面に分散安定剤が付着した液滴が剪断された場合に起こる、分裂と合一である。
水系媒体には液滴が形成されており、この液滴に剪断力が与えられると、水と液滴の界面状態のバランスから、分裂、合一あるいは維持されるか、いずれかの現象が起きる。このバランスを、所望の粒子径よりも大きいものは分裂し、小さいものは合一するように設定できれば、粒度分布はシャープになると考えられる。
果については、推測を交えて考察する。前述の通り、本発明者らは、無機微粒子とイソソルビドユニットとが、液滴表面で何らかの相乗的な結びつきにより粒度分布をシャープにする効果が発揮されていると推定している。この相乗的な効果にかかる推測を以下に述べる。
まず、分散安定剤が表面に付着した液滴が剪断された場合の液滴挙動を考察する。剪断により、液滴同士が衝突するか衝突しないか、いずれかの過程を経る。衝突した場合を考えると、過程は次の3つであると推定される。
(1)分散安定剤が表面に付着している安定状態に打ち勝つエネルギーが液滴に与えられ、かつ、その後合一した方がエネルギー的に安定な場合には、合一する。
(2)分散安定剤が表面に付着している安定状態に打ち勝つエネルギーが液滴に与えられるが、合一せずに分裂した方がエネルギー的に安定な場合には、分裂する。この場合、一度液滴同士が接触して全部あるいは部分的に合一しているので、元の液滴径であるとは限らない。
(3)分散安定剤が表面に付着している安定状態に打ち勝つエネルギーが液滴に与えられない。液滴は元の径のまま通過する。
(4)分散安定剤が表面に付着している安定状態に打ち勝つエネルギーが液滴に与えられ、分裂した方がエネルギー的に安定な場合には、分裂する。
(5)分散安定剤が表面に付着している安定状態に打ち勝つエネルギーが液滴に与えられるが、そのままの径を維持した方がエネルギー的に安定な場合には、液滴は元の径のまま通過する。
(6)分散安定剤が表面に付着している安定状態に打ち勝つエネルギーが液滴に与えられない。液滴は元の径のまま通過する。
無機微粒子とイソソルビドユニットの作用で粒度分布をシャープにする効果が発揮されることに関して、狙いの液滴粒子径に近しいものは(3)、(5)あるいは(6)、粒子径が小さいものは(1)、さらには粒子径が大きいものは(2)又は(4)の作用が効果的に起きやすい、という推測ができる。
大きな粒子が剪断された瞬間は、分裂により分散安定剤が付着していない液滴表面がでてくると考えられる。剪断エネルギーの一部はこの液滴表面を水中にむき出しにするためのエネルギーとして消費される。このとき、上記式(1)で表されるイソソルビドユニットが適切な極性を持つため、分裂のためのエネルギー障壁も低下し、また、短時間なら水中むき出しとなっても安定して存在し得る。その時間内に分散安定剤である無機微粒子が液滴表面に適切量付着して、分裂した液滴を安定化させる。液滴表面にイソソルビドユニットが無いと、分裂による液滴のむき出し面が分散安定剤で覆われる前に分裂液滴が再度合一する方が速度的に速く起こる場合があると推定される。これは、分散安定剤である無機微粒子の付着エネルギーが適正でないか、液滴表面が水にたいして不安定過ぎる場合に生じると考えられる。分散安定剤である無機微粒子の付着エネルギーが高すぎる場合、所望よりも大きな液滴粒子が分裂しない場合もある。
一方、所望よりも小さな液滴が衝突した場合、合一するためには、衝突面において分散安定剤が液滴表面から脱離しなければならないはずである。そうでないと、合一せずに元の液滴径が維持されると考えられる。本発明では、分散安定剤の付着エネルギーが適切なため、剪断時の脱離と再付着の平衡と速度のバランスがマッチしているのであろう。無機微粒子の液滴表面への付着エネルギーが高すぎると、液滴からの脱離が起こらず、小さな液滴がその粒子径のまま維持されやすくなると思われる。あるいは、液滴表面の極性が強
すぎると、分散安定剤の力を借りてより小さな液滴径でも安定して存在できるようになるため、この場合でも合一が起き難くなる。また、付着エネルギーが弱すぎると、所望よりも大きな液滴も合一側に平衡がシフトして、より肥大化してしまう場合がある。
すなわち、上記式(1)で表されるイソソルビドユニットの適切な極性と、式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として含む樹脂Aを含有するトナー組成物に対する無機微粒子の適切な付着エネルギーによって、上記考察の液滴粒子形成メカニズムが粒度分布シャープ化の方向にドライブをかけているものと推測する。
好ましくは、該樹脂Aを、2.0質量%以上75.0質量%以下含有する。
トナー組成物における樹脂Aの含有量が1.0質量%未満の場合、粒度分布をシャープにする効果が薄れる。一方、含有量が90.0質量%を越える場合、ある程度小さい液滴粒子でも安定して存在できるため、所望の粒子径で粒度分布をシャープにする別の手段を講じる必要が生じる。
本発明において、トナー組成物における樹脂Aの含有量とは、トナー組成物においてトナー粒子が形成されたときに該トナー粒子の構成成分となる成分の総量に対する樹脂Aの質量基準の含有量である。
該樹脂Aの構成成分における式(1)で表されるイソソルビドユニットの含有量は、1.00mol%以上15.00mol%以下であることが好ましい。
樹脂Aは、上記式(1)で表されるイソソルビドユニットを樹脂の構成成分として、0.10mol%以上20.00mol%以下含有するが、80.00mol%以上は、上記イソソルビドユニットではない構造を有している。その構造部分を利用して、樹脂Aの酸価を上記範囲に設定することで、水へ露出する液滴表面がさらに適切になって、剪断による分裂と合一がより最適化され、粒度分布をよりシャープにする。
以下、樹脂Aにおけるイソソルビドユニットではない部分の構造が、ポリエステルの場合、すなわち、樹脂Aがポリエステル樹脂である場合について、説明するが、これに限定されるわけではない。
本発明に用いられる、イソソルビドユニットを樹脂の構成成分として含有するポリエステル樹脂(樹脂A)は、二塩基酸又はその無水物と、下記式(2)で表されるイソソルビド及び二価のアルコールとを、カルボキシル基が残存する組成比率で、窒素雰囲気中、180〜260℃の反応温度で脱水縮合する方法により調製することができる。また、必要に応じて三官能以上の多塩基酸又はその無水物、一塩基酸、三官能以上のアルコール、一
価のアルコールなどを用いることも可能である。
上記二塩基酸又はその無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸又はその無水物、ヘキサヒドロフタル酸又はその無水物、テトラブロムフタル酸又はその無水物、テトラクロルフタル酸又はその無水物、ヘット酸又はその無水物、ハイミック酸又はその無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族又は脂環式の二塩基酸などが挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール類;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコールなどのアラルキレングリコール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式のジオール類などが挙げられる。
上記三官能以上の多塩基酸やその無水物としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
本発明において、上記水系媒体は、分散安定剤として無機微粒子を含有する。
一方で、分散安定剤として従来知られている有機系の高分子や界面活性剤のみを用いた場合では、粒度分布をシャープにするという本発明の効果が出にくいことが分かった。
無機微粒子自身は、イオン結合あるいは共有結合による強い力で原子同士が結びついており、一定程度の大きさを構成している。また、上記造粒工程においては水に完全に溶解せずに粒子形状を保っている。よって、剪断程度では形を崩すことは無い。そのため、安定した分散安定効果が得られると考えられる。
一方、分散安定剤として有機系の高分子を用いた場合、液滴の粒子径が安定しにくい傾向が認められた。種々の原因が考えられるが、剪断によって分子の伸縮が起きるため、液滴表面への付着エネルギーや付着速度が不均一になることが因子の一つと推定される。この因子は、剪断条件で回避することも可能な場合があるが、本発明においては剪断条件で調整することも難しいことがわかった。トナー組成物中の樹脂Aもまた有機系の高分子であり、この高分子が水系媒体中の高分子と何らかの作用をして、例えば絡み合ってしまう
ものが存在し、液滴の安定状態を崩してしまう可能性が推定された。また、界面活性剤は、1分子がそれぞれで液滴に作用するため、液滴表面への吸着エネルギーが高く、かつ吸着速度は非常に速いと推定される。よって、表面に界面活性剤が付着した液滴が形成されると、広い液滴の粒径範囲で液滴が安定化する。界面活性剤の濃度で平均粒子径自体はある程度コントロールできるが、粒度分布は非常に広いものとなる。
なお、本発明では水系媒体中に含有させる個体として、無機微粒子を必須成分に挙げているが、補助的に有機系の高分子や界面活性剤を水系媒体中に添加することも、実施可能である。無機微粒子のみで分散安定させることが、簡便で最も好ましい方法であるが、補助的に上記物質を添加する場合、目安は、液滴表面積の50%以上を無機微粒子で覆うような実施形態である。
リン酸カルシウム塩類の具体例としては、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損型アパタイト、炭酸アパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム及びそれら複数の混合物が好適に用いられる。また、本発明に用いられるリン酸カルシウム塩類にはヒドロキシアパタイトを含有することがさらに好ましい。ヒドロキシアパタイトを含有することによって無機微粒子の正帯電性がさらに良好となり、トナー組成物との吸着バランスをより高めることができる。ヒドロキシアパタイトを含有することによって、より一層粒度分布のシャープなトナー粒子を得ることが可能となる。
さらに、これらの無機微粒子は市販のものをそのまま用いてもよいが、無機微粒子の粒径制御を考慮すると、水系媒体中にて無機微粒子を生成させることがよい。例えば、ヒドロキシアパタイトの場合、高撹拌下においてリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム溶液とを混合することにより得るとよい。
また、これら分散安定剤に対して、界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが好ましく用いられる。
本発明において、無機微粒子は、上記造粒工程におけるゼータ電位の平均値をζt、体積平均粒径をMVとしたときに、−5.0mV≦ζt≦20.0mV、10.0nm≦MV≦30.0nm、の関係を満たすことが好ましい。該関係を満たすことで、より好ましい効果を得ることができる。上記関係を満たすことで、トナー組成物の液滴表面への付着エネルギーや付着速度がより適正になると考えられる。
なお、上記ζt及びMVは、3.0mV≦ζt≦15.0mV、13.0nm≦MV≦25.0nm、の関係を満たすことがより好ましい。
上記ζtは、水系媒体のpHなどによって制御可能である。また、上記MVは、無機微粒子の各種製法で制御可能であり、特に水系媒体で無機微粒子を直接製造する場合は、撹拌条件やpHなどによって制御可能である。
組成物を投入した時点に存在する無機微粒子を、その時点での水系媒体のpH±1.0に設定された水に1時間さらされた場合でも、90%以上の粒子径を維持していることである。すなわち、難水溶性の無機微粒子である。
CaやMgは、水中ではイオンを形成するが、該無機微粒子の条件を満たしてそれら元素を使用するため、CaやMgのイオンの量はごくわずかである。また、ごくわずかなそれらイオン化元素は、また元の固体粒子の結合状態に戻る、平衡状態にある。Ca元素又はMg元素を構成成分として含有することで、粒度分布がよりいっそうシャープになることから、液滴表面の樹脂A由来の式(1)で表されるイソソルビドユニットに対する無機微粒子の付着状態の最適化に貢献していると思われる。あるいは、CaやMgのイオンそのものが、剪断の瞬間にむき出しになる液滴表面に作用して、分裂と合一の過程を助ける作用があるとも考えられる。いずれにしても、現時点では効果を生じさせるメカニズムの詳細は不明である。
これは、式(1)で表されるイソソルビドユニットに対する無機微粒子の付着エネルギーと付着速度がある程度pHによってコントロールできることを示唆し、その適正値がpH4.0以上8.0以下であると思われる。
なお、該撹拌手段の周速は、20m/s以上40m/s以下であることがより好ましい。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル
、ギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明においては、上記単官能性重合性単量体を単独あるいは、2種以上組み合わせて、又は、上記単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組合せて使用するとよい。
上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独若しくは混合して、又はそれらとほかの単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
さらに、本発明において、上記i)の懸濁重合法を採用し、重合性単量体としてスチレンを含める製造方法が、より好ましい。樹脂Aに対してスチレンは極性が低いため、式(1)で表されるイソソルビドユニットが効果的に造粒された粒子表面に露出し、本発明の効果がより一層引き立つからである。このとき、重合性単量体におけるスチレンの含有量は、50質量%以上85質量%以下であることが好ましい。
本発明において、懸濁重合法で製造する際に架橋性モノマーを用いてもよい。
該架橋性モノマーとしては、以下の2官能の架橋性モノマーが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
また、架橋性モノマーとして以下の多官能の架橋性モノマーが挙げられる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデートなど。
架橋性モノマーの好ましい添加量としては、通常、重合性単量体に対して0.001質量%以上15質量%以下である。
懸濁重合法の場合には、上記重合性単量体を含有するトナー組成物に極性樹脂としてのポリエステル樹脂を添加することにより、必要に応じて添加された離型剤の内包化の促進を図ることができる。また、該ポリエステル樹脂は、式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として含む樹脂Aの造粒補助材としても用いることができる。
上記ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸のような酸成分単量体と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、などのアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのような多価アルコール単量体と、を縮合重合したものを挙げることができる。
上記ii)の溶解懸濁法に用いられる有機溶媒は、使用する結着樹脂を溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、公知の溶媒を用いることができる。また、造粒された粒子中に含有される有機溶媒を除去する脱溶媒工程の条件についても、公知の条件を用いるとよい。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150
、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト。上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。これら着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中での分散性の点から選択される。
該着色剤の含有量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本発明において、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う場合、重合阻害のない物質による疎水化処理を着色剤に施すとよい。特に、染料系着色剤やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので疎水化処理を施すとよい。
また、カーボンブラックについては、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、ポリオルガノシロキサンなど)で処理を行ってもよい。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂が挙げられる。上記誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物が含まれる。
該ワックスの含有量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
もよい。該外添工程では、トナーへの各種特性付与を目的とした添加剤(外添剤ともいうことがある)を使用する。該添加剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナーの重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。該添加剤の粒径とは、電子顕微鏡による観察から求めた個数平均粒径を意味する。
本発明において、添加剤としては、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛など)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)、カーボンブラック、シリカなどが挙げられる。
これら添加剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、より好ましくは、0.05質量部以上5質量部以下である。該添加剤は、単独で用いても、また、複数種を併用してもよいが、それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
たとえば、造粒工程における撹拌装置としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、アンカー翼、フルゾーン(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド(住友重機社製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業社製)、Hi−Fミキサー(綜研化学社製)などの、剪断力を生じる撹拌手段(攪拌翼)を備えた攪拌装置を用いるとよい。
また、高剪断力の付与が可能であり、均一な循環を達成できる攪拌装置を用いることがより好ましい。高剪断力の付与が可能な、高剪断撹拌装置としては、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられたスクリーンとによって形成される撹拌室を備えているものが挙げられる。具体的には、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)などが例示できる。
<無機微粒子のゼータ電位の測定>
無機微粒子のゼータ電位の平均値(ζt)及びゼータ電位の平均値に対する標準偏差(σt)の測定及び算出には、Zetasizer Nano ZS(MALVERN社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「Dispersion Technology software 4.20」(MALVERN社製)を用いた。具体的な測定方法は下記の通りである。
(1)無機微粒子を含有する水系媒体の製造が完了した後、ただちにトナー組成物の造粒を行う温度(通常は60℃)まで昇温した。その後、ただちに調製容器内から水系媒体を一部抜き取り、容積10mlのシリンジに移した。次に、シリンジ先端を、イオン交換水で2回とも洗いしたゼータ電位測定用キャピラリーセル(DTS1060−Clear disposable zeta cell)の片方のサンプルポートに挿入し、気泡が発生しないよう水系媒体をゆっくりと注いだ。液がキャピラリ部分に隙間なく注入されたことを確認した後、二つのサンプルポートに栓をした。
(2)セルを測定装置のセルホルダーに差し込み、検出部の蓋を閉じた。そして、下記の測定条件で測定を行った。
F(ka)selection Model:Smoluchowski
Dispersant:Water
Temperature:造粒時温度(通常は50℃〜70℃)
Result Calculation:General Purpose
(3)測定終了後、表示される測定結果のレポート画面において、「Zeta Potential」の値をゼータ電位の平均値(ζt)とし、「Zeta Deviation」の値をゼータ電位の平均値に対する標準偏差(σt)とした。
動的光散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置[UPA−150](日機装株式会社)を用い、水系媒体中の無機微粒子の粒度分布を算出する。測定に用いる水系媒体と測定セル温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行う。粒径測定は、60℃で行う。
(1)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行う。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認する。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行なう。Set Zeroの条件は、時間:60sで行う。
(3)以下の条件を入力する。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.333
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに無機微粒子を含有する水系媒体:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、体積平均粒径(MV)を算出する。
水系媒体にトナー組成物を投入する1分前に、水系媒体を1.0リットル採取し、30
秒以内にpH計を浸す。そして、水系媒体にpH計を浸してから60秒後の値を記録する。採取時点の水系媒体温度よりも測定時の温度が2℃以上下がっていないことも併せて確認する。なお、pH計は横河電機社製HA406を使用する。また、pH計は、マニュアルに従って事前に温度とpH値の校正を行っておく。
トナー(粒子)の平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−III型(コールター社製)を用い、個数分布及び重量分布を算出する。トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールターカウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
理想値であり、分布がブロードになるほど1.00よりも大きくなり、分布がシャープに
なるほど1.00に近づく。本発明において、トナー粒子の「D4/D1」が1.30よりも大きい場合は、分級収率やトナー品質の悪化の観点から、好ましくないと判断した。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。樹脂Aの酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
樹脂A2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
無水トリメリット酸以外の原材料モノマーを表1に示した仕込み量で混合した混合物100質量部と、触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52質量部を、窒素導入ライン、脱水ライン、攪拌機を装備した重合タンクに入れ、窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて重縮合反応を行った。さらに、210℃に昇温し、無水トリメリット酸を添加して、40kPaの減圧下にて縮合反応を行った。得られた樹脂の酸価、水酸基価、分子量は表1のようになった。この樹脂を樹脂A−1とする。
なお、表中のイソソルビド(isosorbide)とは、下記式(2)の構造を持つ化合物である。
表1の原材料モノマー仕込み量及び重縮合反応の温度条件にて、樹脂A−1と同様の操作を行い、樹脂A−2〜樹脂A−9を製造した。得られた樹脂の物性を表1に示す。
(無機微粒子1及び水系媒体1の製造)
タンクBにて、水22.2部に対して塩化カルシウムを3.2部添加して、500kgの塩化カルシウム水溶液を調製した。一方、造粒タンクにて、水200部、リン酸ナトリウム5.0部、10%塩酸2.0部の割合で添加して1,000リットルとした液を、撹拌機であるクレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、周速33m/sで撹拌しながら、60℃に加温した。次に、造粒タンク内を窒素置換すると共に、タンクBにて調製した塩化カルシウム水溶液を投入した。この後、30分間撹拌を継続し、無機微粒子1を含む水系媒体1を得た。
得られた水系媒体1の60℃におけるゼータ電位の平均値を測定したところ、ζt=13.0mV、σt=11.8mVであった。また、得られた水系媒体1の60℃における体積平均粒径を測定したところ、MV=20.4nmであった。また、水系媒体1の60℃におけるpHは5.5であった。得られた無機微粒子1の物性と、水系媒体1のpHを表2に示す。
(トナー粒子1及びトナー1の製造)
溶解タンク内に下記の材料を投入し、FZ翼式撹拌装置(フルゾーン、(株)神鋼環境ソリューション製)にて40回/分で10分間撹拌し、重合性単量体組成物を調製した。・スチレン :45.0部
・n−ブチルアクリレート :25.0部
・樹脂A−1 : 8.0部
また、下記の材料を、メディア分散機を備えた分散タンクに投入し、着色剤である顔料を砕いて分散し、着色剤含有単量体を得た。
・スチレン :30.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) :12.0部
・帯電制御剤LR−147(日本カーリット社製) : 0.3部
次に、前記着色剤含有単量体組成物を前記重合性単量体組成物が入っている溶解タンクに投入した後、これを60℃に加温し、30分間保持した。次に、前記溶解タンクにワックス(フィッシャートロプシュワックス:融点78.0℃)10部と重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8部を投入し、60℃で5分間保持することで、トナー組成物を調製した。
重合開始剤を投入してから5分後、前記水系媒体1が入っている造粒タンクに前記トナー組成物を投入し、造粒タンクの撹拌機である、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、回転周速33m/sで撹拌して造粒を開始した。トナー組成物の投入量は、水系媒体の水に対して45質量%である。また、造粒タンクにトナー組成物を投入するタイミングは、タンクBにて調製した塩化カルシウム水溶液を造粒タンクに投入し、30分間撹拌を継続し、無機微粒子1を含む水系媒体1を得た直後の、5分以内である。次いで、回転周速33m/sでの撹拌を15分間継続する(造粒時間)ことで、トナー組成物の液滴の造粒を行い、トナー液滴表面に分散安定剤が付着したトナー組成物液滴分散液を得た。
その後、重合タンクに移して、FZ翼式撹拌装置(フルゾーン、(株)神鋼環境ソリューション製)により、30回/分で撹拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、85℃まで昇温し、さらに4時間重合反応を行った。重合反応終了後、加熱減圧下で残存モノマーを除去し、次いで、冷却後に塩酸を添加してpHを2.0以下まで低下させ、無機微粒子を溶解させた。さらに水洗浄を数回繰り返した後、乾燥機を用いて40℃にて72時間乾燥し、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表4に示す。
得られたトナー粒子1を分級し、分級後のトナー粒子100部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ1.0部とBET法による比表面積が100m2/gである酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて外添を行ない、トナー1を得た。トナー1の物性を表4に示す。この得られたトナー1を、下記に示す画像濃度の評価方法に従い、評価を行った。結果を表4に示す。
キヤノン製レーザービームプリンタLBP9510Cを改造し、シアンステーションだけでプリント可能とした。このLBP9510C用トナーカートリッジを用い、トナー1を300g充填した。そして、常温常湿N/N(25℃/50%RH)、に24時間以上放置した。その後、1.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で15,000枚までプリントアウトして、初期と15,000枚出力時の画像濃度の評価を行った。用紙は、XEROX BUSINESS 4200(XEROX社製、75g/m2)を用いて、ベタ画像を出力し、その濃度を測定することにより評価した。なお、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。本発明の評価においては、初期の画像濃度に対して、15,000枚の耐久後の画像濃度が、0.20よりも低下した場合は、何らかその他の対策が必要になるため、好ましくないと判断した。
(無機微粒子2、5〜19、22〜30及び水系媒体2、5〜19、22〜30の製造)
実施例1の無機微粒子1及び水系媒体1の製造に対し、表2又は表3の原材料条件にて製造した。得られた無機微粒子2、5〜19、22〜30の物性と、水系媒体2、5〜19、22〜30のpHを表2又は表3に示す。
(トナー粒子2、5〜19、22〜30及びトナー2、5〜19、22〜30の製造)
実施例1のトナー粒子及びトナーの製造に対し、表4又は表5の造粒条件及び原材料条件にて製造した。得られたトナー粒子2、5〜19、22〜30の物性を表4又は表5に示す。また、実施例1と同様の外添処理を行った。得られたトナー2、5〜19、22〜30に対し実施例1と同様の画像濃度評価を実施した。画像濃度評価の結果は表4又は表5に示す。
(無機微粒子3及び水系媒体3の製造)
実施例1の無機微粒子1及び水系媒体1の製造に対し、表2の原材料条件にて製造した。得られた無機微粒子3の物性と、水系媒体3のpHを表2に示す。
(トナー粒子3及びトナー3の製造)
溶解タンク内に下記の材料を投入し、FZ翼式撹拌装置(フルゾーン、(株)神鋼環境ソリューション製)にて40回/分で10分間撹拌し、その後63℃まで昇温して30分間保持し、トナー組成物を調製した。
・トルエン 120.0部
・樹脂A−1 85.0部
・ポリエステル1 5.0部
(テレフタル酸/イソフタル酸/プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)/エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)=14/14/10/62(質量基準)の重縮合物、Mw=7,000、Mn=3,200、Tg=57℃)・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5部
・荷電性制御剤LR−147(日本カーリット社製) 0.3部
・ワックス 10.0部
(フィッシャートロプシュワックス:融点78.0℃)
上記トナー組成物に対し、造粒条件において実施例1に記載の造粒時間を30分に変更すること以外は、実施例1と同様の工程を適用した。なお、加熱減圧下では、残存モノマーの除去ではなく、溶剤であるトルエンの除去を実施した。この操作によりトナー粒子3及びトナー3を得た。それらの物性を表4に示す。また、実施例1と同様の画像濃度評価を実施し、結果を表4に示す。
(無機微粒子4及び水系媒体4の製造)
実施例1の無機微粒子1及び水系媒体1の製造に対し、表2の原材料条件にて製造した。得られた無機微粒子4の物性と、水系媒体4のpHを表2に示す。
(トナー粒子4及びトナー4の製造)
溶解タンク内に下記の材料を投入し、FZ翼式撹拌装置(フルゾーン、(株)神鋼環境ソリューション製)にて40回/分で撹拌し、その後63℃まで昇温して30分間保持し、均一に溶解混合してトナー組成物を調製した。
・トルエン 140.0部
・樹脂A−2 120.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 9.5部
・荷電性制御剤LR−147(日本カーリット社製) 0.3部
・ワックス 10.0部
(フィッシャートロプシュワックス:融点78.0℃)
上記トナー組成物に対し、実施例3と同様の工程を適用し、トナー粒子4及びトナー4を得た。それらの物性を表4に示す。また、実施例1と同様の画像濃度評価を実施し、結果を表4に示す。
(無機微粒子20及び水系媒体20の製造)
造粒タンクに水を張り、シリカ微粒子(AEROSIL380、日本アエロジル社製)を投入した。水に対するシリカ微粒子の投入量は、シリカ微粒子が0.81質量%含有された1,000リットルの媒体になる量である。この媒体を、撹拌機であるクレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、周速5m/sで撹拌しながら、60℃に加温した。次に、造粒タンク内を窒素置換すると共に、この後、30分間撹拌を継続し、無機微粒子20を含む水系媒体20を得た。得られた無機微粒子20の物性と、水系媒体20のpHを表3に示す。
(トナー粒子20及びトナー20の製造)
実施例1のトナー粒子及びトナーの製造に対し、表5の造粒条件及び原材料条件にて製造した。また、実施例1と同様の外添処理を行った。得られたトナー粒子20の物性を表5に示す。また、得られたトナー20に対し実施例1と同様の画像濃度評価を実施した。画像濃度評価の結果を表5に示す。
(無機微粒子21及び水系媒体21の製造)
造粒タンクに水を張り、アルミナ微粒子(AHP200、日本軽金属社製)を投入した。水に対するアルミナ微粒子の投入量は、アルミナ微粒子が0.81質量%含有された1,000リットルの媒体になる量である。この媒体を、撹拌機であるクレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、周速5m/sで撹拌しながら、60℃に加温した。次に、造粒タンク内を窒素置換すると共に、この後、30分間撹拌を継続し、無機微粒子21を含む水系媒体21を得た。得られた無機微粒子21の物性と、水系媒体21のpHを表3に示す。
(トナー粒子21及びトナー21の製造)
実施例1のトナー粒子及びトナーの製造に対し、表5の造粒条件及び原材料条件にて製造した。また、実施例1と同様の外添処理を行った。得られたトナー粒子21の物性を表5に示す。また、得られたトナー21に対し実施例1と同様の画像濃度評価を実施した。画像濃度評価の結果を表5に示す。
(無機微粒子31、33及び34、水系媒体31、33及び34の製造)
実施例1の無機微粒子1及び水系媒体1の製造に対し、表3の原材料条件にて製造した
。得られた無機微粒子31、33及び34の物性と、水系媒体31、33及び34のpHを表3に示す。
(トナー粒子31、33及び34、並びにトナー31、33及び34の製造)
実施例1のトナー粒子及びトナーの製造に対し、表6の造粒条件及び原材料条件にて製造した。また、実施例1と同様の外添処理を行った。得られたトナー粒子31、33及び34の物性を表6に示す。また、得られたトナー31、33及び34に対し実施例1と同様の画像濃度評価を実施した。画像濃度評価の結果を表6に示す。
(無機微粒子32及び水系媒体32の製造)
実施例1の無機微粒子1及び水系媒体1の製造に対し、表3の原材料条件にて製造した。得られた無機微粒子32の物性と、水系媒体32のpHを表3に示す。
(トナー粒子32及びトナー32の製造)
溶解タンク内に下記の材料を投入し、FZ翼式撹拌装置(フルゾーン、(株)神鋼環境ソリューション製)にて40回/分で撹拌し、その後63℃まで昇温して30分間保持し、均一に溶解混合してトナー組成物を調製した。
・トルエン 190.0部
・樹脂A−5 190.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 9.5部
・荷電性制御剤LR−147(日本カーリット社製) 0.3部
・ワックス 10.0部
(フィッシャートロプシュワックス:融点78.0℃)
上記トナー組成物に対し、実施例3と同様の工程を適用し、トナー粒子32及びトナー32を得た。それらの物性を表6に示す。画像濃度の評価結果を表6に示す。
(水系媒体35の製造)
造粒タンクに水を張り、分散安定剤としてポリビニルアルコール樹脂粒子(JP−18、日本酢ビ・ポバール社製)を投入した。水に対するポリビニルアルコール樹脂粒子の投入量は、樹脂分が0.72質量%含有された1,000リットルの媒体になる量である。
この媒体を、撹拌機であるクレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、周速5m/sで撹拌しながら、60℃に加温した。次に、造粒タンク内を窒素置換すると共に、この後、30分間撹拌を継続し、ポリビニルアルコール樹脂粒子35を含む水系媒体35を得た。得られた水系媒体35のpHを表3に示す。なお、水系媒体35に関しては、ζt、σt及びMVの測定値を出すことができなかった。
(トナー粒子35及びトナー35の製造)
実施例1において、冷却後に塩酸を添加する部分において、塩酸ではなくメタノールをトナー組成物100部に対して40部添加した。冷却後の工程は実施例1と同様にして、トナー粒子35及びトナー35を得た。得られたトナー粒子35の物性を表6に示す。また、得られたトナー35に対し実施例1と同様の画像濃度評価を実施した。画像濃度評価の結果を表6に示す。
なお、比較例のトナー粒子は、粒度分布がブロードであるため、各トナー粒子それぞれの組成が実施例トナーに比べて不均一になっている。従って、分級操作によって粒度分布をシャープにした上でトナーを作製しても、画像濃度が不安定になった。
※モノマー組成の表記はアルコール成分のトータルモル数を100とした時のモル比を示す。
表中の略号はそれぞれ、TPA;テレフタル酸、IPA;イソフタル酸、TMA;トリメリット酸、BPA(PO);ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、BPA(EO);ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、isosorbide;イソソルビド、Mw;重量平均分子量、Mn;数平均分子量を表す。
Claims (7)
- i)重合性単量体を含有するトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び該造粒された粒子中に含有される該重合性単量体を重合してトナー粒子を製造する重合工程を有するトナーの製造方法、又は、
ii)結着樹脂を有機溶媒に溶解又は分散して得られるトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び該造粒された粒子中に含有される該有機溶媒を除去してトナー粒子を製造する脱溶媒工程を有するトナーの製造方法であって、
該トナー組成物が、下記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として含む樹脂Aを、1.0質量%以上90.0質量%以下含有し、
該樹脂Aが、下記式(1)で表されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上20.00mol%以下含有し、
該水系媒体が、無機微粒子を含有することを特徴とする、
トナーの製造方法。
- 前記樹脂Aは、酸価が0.5mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記無機微粒子は、前記造粒工程におけるゼータ電位の平均値をζt、体積平均粒径をMVとしたときに、−5.0mV≦ζt≦20.0mV、10.0nm≦MV≦30.0nm、の関係を満たす請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
- 前記造粒工程が、剪断力を生じる撹拌手段を用いて、前記トナー組成物を懸濁して造粒する工程であり、該撹拌手段の周速が、10m/s以上50m/s以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 前記無機微粒子が、Ca元素又はMg元素を構成成分として含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 前記水系媒体は、pHが4.0以上8.0以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 前記トナーの製造方法が、重合性単量体を含有するトナー組成物を、水系媒体中にて懸濁して造粒する造粒工程、及び該造粒された粒子中に含有される該重合性単量体を重合してトナー粒子を製造する重合工程を有するトナーの製造方法であり、該重合性単量体が、スチレンを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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