JP2015157482A - 金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】厳しい加工が要求される缶に使用された場合でも、下地の金属板に対して優れた隠蔽性を有し、金属板に貼合せた後に缶へ成形加工する際にフィルムが削れたり疵付いたり剥がれたりすることのない優れた成形加工性を発現し、さらにインキの密着性も良好な金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】固有粘度が0.66〜0.85、融点が215〜230℃の共重合ポリエステルからなり、着色顔料の含有量が10重量%以下である表層(A層)と、固有粘度が0.46〜0.66、融点が235〜245℃の共重合ポリエステルからなり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である裏層(B層)の2層からなる着色2軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記A層およびB層の共重合ポリエステルの融点および固有粘度が下記(1)〜(2)式を満足し、かつポリエステルフィルムの破断強度が100Mpa以上であり、B層が金属板面に貼り合される、しごき加工を行う金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム。
TmB−TmA≦20℃ −−−(1)
IVA−IVB≧0.15 −−−(2)
ただし、TmA、IVAはそれぞれA層の共重合ポリエステルの融点、固有粘度を示し、TmB、IVBはそれぞれB層の共重合ポリエステルの融点、固有粘度を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属貼板合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。さらに詳しくは、隠蔽性に優れ、金属板に貼合せた後に缶へ成形加工する際に優れた成形加工性を発現し、さらにインキの密着性も良好な金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
金属缶には内外面の腐食防止として、一般に塗装が施されている。近年、工程簡素化、衛生性向上、公害防止等の目的で有機溶剤を使用せずに防錆性を付与する方法としてポリエステルフィルムのような熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が行われている。即ち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り缶や薄肉化絞り缶のなどのような厳しい成形加工が施される食缶および飲料缶用途へ使用されている。これらの用途に用いられる缶は、コスト低減の観点からさらに加工条件を厳しくした薄肉化絞り加工やしごき加工を施して製造されるようになってきている。
このような厳しい成形加工を施す場合、金属板の薄肉化にともなって樹脂フィルムも薄肉化する。食缶や飲料缶の外面は意匠性を高めるために一般に印刷が施されるが、樹脂フィルム被覆金属板から成形された缶においては、その印刷下地として金属板の色を隠蔽するために、白色または様々な色の顔料を含んだ樹脂フィルムを金属板にラミネートしたものが使用されている。このようなラミネート金属板に厳しい加工を施した場合、樹脂の厚さは大幅に薄くなり、添加した顔料の厚さ方向の絶対量が減少するため、下地の十分な隠蔽性を得られないという問題が発生する。またこのような厳しい薄肉化加工による樹脂厚さの低減を見越して顔料を予め多量に樹脂フィルム中に添加した場合には、樹脂フィルムの強度が低下し、加工時に樹脂フィルムが削れたり傷付きやすくなり、さらには樹脂フィルムが割れて剥げ落ちたりする現象が発生し、隠蔽性を向上させ、なおかつ被覆した樹脂フィルムの強度を高く保つことはきわめて困難である。
例えば、2軸延伸ポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用いる方法(特開平11−342577号公報、特開2000−37836号公報)が提案されているが、より厳しい加工を施して成形する際に樹脂フィルムが削れたり傷付ついたり、極端な場合には破断が発生する。また、未延伸ポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用いる方法(特開平11−348218号公報)が提案されているが、未延伸フィルムは非常に脆いため、製膜する際や取扱う際に切断し易く、生産性が悪いという問題がある。
特開平11−342577号公報 特開2000−37836号公報 特開平11−348218号公報
本発明は上記を鑑みなされたもので、その目的は、上記のように厳しい加工が要求される缶に使用された場合でも、下地の金属板に対して優れた隠蔽性を有し、金属板に貼合せた後に缶へ成形加工する際にフィルムが削れたり、疵付いたり、剥がれたりすることのない優れた成形加工性を発現し、さらにインキの密着性も良好な金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らの研究によれば、上記課題は、固有粘度が0.66〜0.85、融点が215〜230℃の共重合ポリエステルからなり、着色顔料の含有量が10重量%以下である表層(A層)と、固有粘度が0.46〜0.66、融点が235〜245℃の共重合ポリエステルからなり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である裏層(B層)の2層からなる着色2軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記A層およびB層の共重合ポリエステルの融点および固有粘度が下記(1)〜(2)式を満足し、かつポリエステルフィルムの破断強度が100MPa以上であり、B層が金属板面に貼り合されることを特徴とする、しごき加工を行う金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム(項1)により達成されることが見出された。
TmB−TmA≦20℃ −−−(1)
IVA−IVB≧0.15 −−−(2)
ただし、TmA、IVAはそれぞれA層の共重合ポリエステルの融点、固有粘度を示し、TmB、IVBはそれぞれB層の共重合ポリエステルの融点、固有粘度を示す。
また、本発明の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムは、好ましい態様として以下の項2の態様を包含する。
2. A層およびB層を構成する共重合ポリエステルが、いずれもイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートである、項1に記載の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム。
本発明の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムは、隠蔽性に優れ、金属板に貼合せた後に缶へ成形加工する際に缶壁部のフィルムに削れ、傷付き、剥がれが生じることのない優れた成形加工性を発現し、さらには成形後の缶へのインキ密着性も良好である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明におけるA層およびB層を構成する共重合ポリエステルは、後述する融点の要件を満たしていれば、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリエチレン−2,6−ナフタレート共重合体のいずれでもよいが、なかでもポリエチレンテレフタレート共重合体が好ましい。
かかる共重合ポリエステルの共重合成分は、酸成分でもアルコール成分でも良い。酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き主たる酸成分以外の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができ、アルコール成分としては1,6−ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、1,4−ヘキサメチレンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらは単独または2種以上を使用することができる。これらの中、本発明の効果の点から、イソフタル酸、セバシン酸が好ましく、特にイソフタル酸が好ましい。
かかる共重合成分の共重合割合は、A層の場合は共重合ポリエステルの融点が215〜230℃、好ましくは220〜230℃の範囲となる割合にする必要がある。この融点が215℃未満では耐熱性が劣るため、製缶後の印刷における加熱に耐えられなくなるので好ましくない。一方、230℃を超えると製缶後に印刷を施す際のインキとの密着性が悪くなるため好ましくない。
B層の場合は共重合ポリエステルの融点が235〜245℃の範囲となる割合にする必要がある。この融点が235℃未満では耐熱性が劣るため、成形加工時の発熱によって削れが発生するため好ましくない。一方、融点が245℃を超えると、共重合ポリエステルの結晶性が高くなり、成形加工性が損なわれるため好ましくない。なおB層は、着色2軸延伸ポリエステルフィルムを金属板に貼合せる際に金属板に接着されるため、印刷されることがないので融点が230℃を超えていても問題はない。
A層またはB層を構成する上述の共重合ポリエステルは、それぞれの樹脂原料として共重合ポリエステルのみであってもよいし、共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドからなる樹脂原料であってもよい。これらの中でも缶へ成形加工する際の成形加工性の観点より、A層には樹脂原料として共重合ポリエステルのみを用い、B層には共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドからなる樹脂原料を用いる態様が好ましい。
樹脂原料として共重合ポリエステルのみを用いる場合には、上述の融点を有する共重合ポリエステル1種類を用いてもよいし、共重合成分の種類または共重合量の異なる共重合ポリエステルを2種類以上用いてフィルム形成後の融点がかかる範囲となるよう調整してもよい。
また、樹脂原料として共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドからなる樹脂原料を用いることにより、フィルム形成後の融点がかかる範囲となるよう調整してもよい。樹脂原料の1つとしてホモポリエステルを用いることにより、層を構成する共重合ポリエステルがランダム共重合の状態ではなくブロック共重合の状態に制御することができ、金属板に貼合せた後に缶へ成形加工する際、該層の配向性が高まることにより、成形加工性を高めやすい。
樹脂原料として共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドからなる樹脂原料を用いる場合、該層を構成するポリエステル全量を基準としてホモポリエステルの含有量は15重量%以上35重量%以下の範囲であることが好ましい。また、ホモポリエステルはホモポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
A層またはB層を構成する共重合ポリエステルの原料が2種類以上の共重合ポリエステルである場合、あるいは共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドからなる場合、各層の融点ピークは1つであることが好ましい。
さらに本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、厳しい条件で成形加工を施しても缶壁部に削れ、傷つき、剥がれなどが生じることのない良好な加工性を実現するために、金属板に貼合せる際に結晶成分が全溶融する条件で貼り合せる必要がある。このため、A層とB層の融点差の上限は20℃以下である必要があり、好ましくは15℃以下である。
融点差が20℃を超えると、フィルムの結晶成分が全溶融する温度条件で金属板と貼り合せる際にA層がラミネートロールに融着してしまうので好ましくない。
ここで共重合ポリエステルの融点測定はフィルムの各層それぞれについて行ったものであり、サンプル約20mgを採取し、TA Instruments Q100 DSCを用い、昇温速度20℃/分で昇温しながら融解ピークを求める方法による。
次に、本発明におけるA層を構成する共重合ポリエステル(ポリマー部分)の固有粘度は0.66〜0.85の範囲である必要があり、好ましくは0.70〜0.85の範囲である。本発明において、A層を構成するポリエステルが上述の融点を有する共重合ポリエステルであるため、固有粘度の高い共重合ポリエステルでないと、金属板に貼合せた後に缶へ成形加工する際に厳しい加工条件で成形加工を行うことが難しい。この固有粘度が0.66に満たない場合には、厳しい加工条件で缶に成形加工する際に傷付きやすく、表面欠陥が生じやすい。一方0.85を超えるものは過剰品質であるだけでなく、原料共重合ポリエステルの生産性も落ちるので不経済である。
ここで、A層の共重合ポリエステルの固有粘度は、製膜に用いられる共重合ポリエステル組成物をo−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により着色顔料等を取り除き35℃溶液にて測定して得られる値である。また、A層を構成する共重合ポリエステルの原料が2種類以上の共重合ポリエステルであるか、共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドである場合には、ブレンドするそれぞれの原料の固有粘度を測定し、その重量平均がかかる範囲であればよい。
また、本発明におけるB層を構成する共重合ポリエステル(ポリマー部分)の固有粘度は0.46〜0.66の範囲である必要があり、好ましくは0.48〜0.64の範囲である。この固有粘度が0.46に満たない場合には、フィルム延伸時の破断が起き易くなるだけでなく、得られたフィルムを金属板に貼合せ後、缶に成形加工する際に破断を生じやすい。一方、該固有粘度が0.66を超える場合、着色顔料を高濃度含有するので顔料の凝集が生じやすく、さらに過剰品質であるだけでなく、原料共重合ポリエステルの生産性も落ちる。
ここで、B層の共重合ポリエステルの固有粘度は、製膜に用いられる共重合ポリエステル組成物をo−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により着色顔料等を取り除き35℃溶液にて測定して得られる値である。また、B層を構成する共重合ポリエステルの原料が2種類以上の共重合ポリエステルであるか、共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドである場合には、ブレンドするそれぞれの原料の固有粘度を測定し、その重量平均がかかる範囲であればよい。
さらに本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、厳しい条件で成形加工を施しても缶壁部に削れ、傷つき、剥がれなどが生じることのない良好な成形加工性を実現するために、A層の固有粘度はB層の固有粘度よりも0.15以上、好ましくは0.18以上大きいことが必要である。
次に本発明におけるA層の着色顔料の含有量は10重量%以下である必要がある。着色顔料の含有量が10重量%を超える場合には、得られたフィルムを金属板に貼合せ後、缶に成形加工する際に缶壁部に傷付きが生じやすくなり、表面欠陥が多くなるので好ましくない。一方B層の着色顔料の含有量は10重量%を超え50重量%以下である必要があり、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜50重量%の範囲である。着色顔料の含有量が下限に満たない場合には、隠蔽性に劣るため好ましくない。一方、着色顔料の含有量が上限を超える場合には、隠蔽性の向上効果が飽和するだけでなく、フィルムが脆くなってフィルム延伸時にフィルム破断が生じやすくなり、かつ得られたフィルムを金属板に貼合せた後、缶に成形加工する際に破断が生じやすい。A層およびB層に含有させる着色顔料としては無機、有機系のいずれであってもよいが、無機系の方が好ましい。無機系顔料としては、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が好ましく例示され、なかでも二酸化チタンが好ましい。
なお、A層およびB層を構成する共重合ポリエステルには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、必要に応じて他の添加物、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。特に白度を向上させる場合には、蛍光増白剤が有効である。
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向(縦方向またはMD方向と言うことがある)、幅方向(横方向またはTD方向ということがある)のいずれも破断強度が100MPa以上である必要があり、特に120MPa以上であることが好ましい。破断強度が100MPa未満である場合には、フィルムを製造する際に切断が発生しやすくなり、生産性が低下するので好ましくない。
ここで2軸延伸ポリエステルフィルムの破断強度は、引張試験機(東洋ボールドウィン社製の商品名「テンシロン」)を用い、得られた2軸延伸ポリエステルフィルムからそれぞれ長手方向150mm×幅方向10mm、および幅方向150mm×長手方向10mmのサンプルを採取し、常温雰囲気下で間隔を100mmにセットしたチャックに挟んで固定した後、100mm/分の速度で引張試験機に装着されたロードセルで荷重を測定した。そして、破断時の荷重を読み取り、引張前サンプル断面積で割って破断強度(MPa)を計算した。
次に本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、必要に応じて適宜変更できるが全体の厚みで6〜75μmの範囲が好適であり、なかでも10〜75μm、特に15〜50μmの範囲が好ましい。厚みが6μm未満では成形加工時に削れ等が生じやすくなり、一方75μmを超えるものは過剰品質であって不経済である。
本発明の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムは、上述の表層(A層)と上述の裏層(B層)の2層のみからなり、裏層(B層)が金属板面に貼り合される。
さらにA層とB層の厚み比(X/X:但し、XはA層の厚み、XとはB層の厚み)は、成形加工性と隠蔽性の点から1/7〜1/3の範囲が適当である。
以上に説明した本発明の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来公知の製膜方法により先ず未延伸積層シートを作成し、次いで二方向に延伸すればよい。
例えばA層用に調整した共重合ポリエステルを十分に乾燥させた後、融点〜(融点+70)℃の温度で押出機内で溶融する。同時にB層用に調整した共重合ポリエステルを十分に乾燥させた後、他の押出機に供給し、融点〜(融点+70)℃の温度で溶融する。続いて、両方の溶融樹脂をダイ内部で積層する方法、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出法により、積層された未延伸積層シートが製造される。かかる同時積層押出法によると、一つの層を形成する樹脂の溶融物と別の層を形成する樹脂の溶融物はダイ内部で積層され、積層形態を維持した状態でダイよりシート状に成形される。
次いで該未延伸フィルムを逐次または同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。逐次二軸延伸により製膜する場合、未延伸積層シートをロール加熱、赤外線加熱等で加熱して先ず縦方向に延伸し、次いでステンターにて横延伸する。この時、延伸温度を共重合ポリエステルのガラス転移点(Tg)より20〜50℃高い温度とし、縦延伸倍率を2.5〜3.6倍、横延伸倍率を2.6〜3.7倍の範囲とすることが好ましい。熱固定の温度は、150〜230℃の範囲で共重合ポリエステルの融点に応じて、フィルム品質を調整するべく選択するのが好ましい。
本発明の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムが貼合される金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板への貼合せは、例えば下記の方法で行うことができる。
金属板をB層の共重合ポリエステル融点以上に加熱し、フィルムの全層が非晶状態となるように、B層側を金属板面に配置してフィルムを貼合せ、フィルム全層の非晶状態を維持するように冷却して密着させる。この時、フィルムの非晶化が部分的である場合には、成形加工する際に缶壁部に削れ等が発生しやすくなる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(融点)
フィルム各層についてサンプル約20mgを採取し、TA Instruments Q100 DSCを用い、昇温速度20℃/分で昇温しながら融解ピークを求める方法により、共重合ポリエステルの融点測定を行った。
(固有粘度)
製膜に用いられる共重合ポリエステル組成物をo−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により着色顔料等を取り除き35℃溶液にて測定した。単位はdl/gである。
(破断強度)
フィルム破断強度は、引張試験機(東洋ボールドウィン社製の商品名「テンシロン」)を用い、得られた共重合ポリエステルフィルムからそれぞれ長手方向150mm×幅方向10mm、および幅方向150mm×長手方向10mmのサンプルを採取し、常温雰囲気下で間隔を100mmにセットしたチャックに挟んで固定した後、100mm/分の速度で引張試験機に装着されたロードセルで荷重を測定した。そして、破断時の荷重を読み取り、引張前サンプル断面積で割って、フィルム長手方向、フィルム幅方向それぞれの破断強度(MPa)を計算した。
(成形加工性)
板厚0.18mm、幅1mのティンフリースチール(金属クロム量:120mg/m、クロム水酸化物量:クロムとして15mg/m)の片面に熱融着によりポリエステルフィルムサンプルをラミネートした。かかるラミネートの際、ポリエステルフィルムの裏層(B層)が金属板側になるよう配置した。
得られたフィルム貼合せ金属板を直径160mmのブランクに打ち抜いた後、フィルム被覆面が缶外面側となるようにして、缶底径100mmの絞り缶とした。ついで再絞り加工により缶底径80mmの再絞り缶とした。さらにこの再絞り缶をストレッチ加工と同時にしごき加工を行う複合加工により、缶底径65mmの絞りしごき缶とした。この複合加工において、缶の上端部となる再絞り加工部としごき加工部間の間隔は20mm、再絞りダイスの肩アールは板厚の1.5倍、再絞りダイスとポンチのクリアランスは板厚の1.0倍、しごき加工部のクリアランスは元板厚の50%となるように加工条件を設定した。
このようにして得られた缶体30缶の缶壁におけるポリエステルフィルム層の削れおよび疵付きの発生状況により、以下の基準で成形加工性を評価した。
◎:削れや傷付きの発生は認められない。
○:一部の缶に削れや傷付きの発生が認められるが実用上の問題なし。
△:一部の缶に実用上問題となる削れや傷付きが認められる。
×:かなりの数の缶に実用上問題となる削れ、傷付きおよび剥がれが認められる。
(隠蔽性)
フィルムサンプルのCIE1976(L*、a*、b*)色空間の定義による白さを表すL*値を、日本電色製のSE6000分光色差計を用いて、フィルムの下に何も置かずに測定し、以下の基準で隠蔽性を評価した。
◎:L*値:85以上 優れた隠蔽性を示す。
○:L*値:80以上85未満 良好な隠蔽性を示す。
△:L*値:75以上80未満 隠蔽性がやや劣る。
×:L*値:75未満 隠蔽性が劣る。
(製膜安定性)
フィルムを製膜したときの製膜性を観察し、下記の基準で評価した。
○:破断は起こらず、きわめて安定に製膜が可能。4日間以上無切断。
△:時々切断が起こり、製膜が不安定。
切断頻度(1回/4日間)以上,(1回/1日)未満
×:破断が多発し、実質的に安定な製膜が不可能。切断頻度(1回/1日)以上
(インキ密着性)
インキ密着性をデュポン衝撃試験で評価した。
2軸延伸フィルムサンプルを貼合せた金属板からなる缶に、公知の熱硬化性インキ、熱硬化性仕上げニスを缶胴に塗布した後、焼付けオーブンにて焼付け硬化した。得られた缶を切り開き、缶胴部を平らに伸ばして試験片とした。得られた試験片を、側壁内面側を上にして接地部から90mmの位置部分に撃芯があたるよう、デュポン衝撃試験機にセットした。撃芯は重さ300gで先端球の直径が3/8インチであり、試験片をセットした位置を基準として高さ50mmから落下させて缶外面側が凸になるように加工した。
加工後の缶外面側に、凸部の頂点を中心として、18mm×40mmの面積のセロハンテープ(ニチバン株式会社製,商品名)を接着させて、180°で引き剥がす作業を行った。得られた缶5缶について各缶当たり2箇所でこの測定を行った。インキの剥離した合計の面積を次の基準で評価した。○、△が許容範囲である。
○:剥離面積が20%未満
△:剥離面積が20%以上40%未満
×:剥離面積が40%以上
[実施例1〜10、比較例1〜8]
着色顔料としてルチル型酸化チタンを用いた、表1に示すA層用共重合ポリエステルおよびB層用共重合ポリエステルをそれぞれ独立に乾燥・溶融後、隣接したダイより共押出し、急冷固化して未延伸積層フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを100℃で3倍に縦延伸した後、120℃で3倍に横延伸し、続いて180℃で熱固定して2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。フィルムの全厚みは17μmであり、A層およびB層の厚みはそれぞれ4μm、13μmであった。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。
[比較例9]
未延伸フィルムの全厚みを17μmとする以外は実施例1と同様にして未延伸積層フィルムを得た。A層およびB層の厚みはそれぞれ4μm、13μmであった。得られた未延伸積層フィルムの評価結果を表2に示す。
[比較例10]
B層用のポリエステルとして表1に示す共重合ポリエステルとポリブチレンテレフタレートの70/30(重量比)のブレンドを用いる以外は、実施例1と同様に行った。その評価結果を表2に示す。B層は融点が2つ観察され、そのうちの1つの融点が235℃に満たないため、成形加工性が十分ではなかった。
Figure 2015157482
Figure 2015157482
[実施例11〜13]
着色顔料としてルチル型酸化チタンを用い、表3に示すA層用共重合ポリエステル、およびB層にはイソフタル酸12モル%共重合ポリエチレンテレフタレートとホモポリエチレンテレフタレートを表3に示す共重合モル比となるようにブレンドしたポリエステルを、それぞれ独立に乾燥・溶融後、隣接したダイより共押出し、急冷固化して未延伸積層フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを100℃で3倍に縦延伸した後、120℃で3倍に横延伸し、続いて180℃で熱固定して2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。フィルムの全厚みは17μmであり、A層およびB層の厚みはそれぞれ4μm、13μmであった。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表4に示す。
[実施例14]
B層の着色顔料濃度と、2軸延伸後のポリエステルフィルムの全厚みが17μmで、A層およびB層の厚みがそれぞれ2.5μm、14.5μmとなるよう変更した以外は実施例13と同様にして2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの評価結果を表4に示す。
Figure 2015157482
Figure 2015157482
本発明の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルムは、隠蔽性に優れ、金属板に貼合せた後に厳しい条件で例えば缶へ成形加工しても、缶壁部のフィルムに削れ、傷付き、剥がれが生じることのない優れた成形加工性を発現し、さらには成形後の缶へのインキ密着性も良好であるので、例えば飲料缶、食品缶等の金属缶用として好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 固有粘度が0.66〜0.85、融点が215〜230℃の共重合ポリエステルからなり、着色顔料の含有量が10重量%以下である表層(A層)と、固有粘度が0.46〜0.66、融点が235〜245℃の共重合ポリエステルからなり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である裏層(B層)の2層からなる着色2軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記A層およびB層の共重合ポリエステルの融点および固有粘度が下記(1)〜(2)式を満足し、かつポリエステルフィルムの破断強度が100MPa以上であり、B層が金属板面に貼り合されることを特徴とする、しごき加工を行う金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム。
    TmB−TmA≦20℃ −−−(1)
    IVA−IVB≧0.15 −−−(2)
    ただし、TmA、IVAはそれぞれA層の共重合ポリエステルの融点、固有粘度を示し、TmB、IVBはそれぞれB層の共重合ポリエステルの融点、固有粘度を示す。
  2. A層およびB層を構成する共重合ポリエステルが、いずれもイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載の金属板貼合せ成形加工用着色2軸延伸ポリエステルフィルム。
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