JP3602044B2 - 樹脂被覆金属板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂のフイルム製膜から金属板への被覆までをすべて一工程で行い、しかも少ない樹脂損失で均一な膜厚分布を有す経済性の優れた樹脂被覆金属板の製造方法に関する。より詳細には、熱可塑性樹脂を押し出し機より溶融押し出しした後、該樹脂を金属板に被覆する前に二軸方向に延伸した樹脂フイルムを金属板に被覆し、樹脂層の膜厚分布が幅方向及び長手方向に均一な樹脂被覆金属板を得る方法に関する。さらには、必要特性に応じて延伸温度や金属板の表面処理皮膜組成を考慮することによって優れた加工性及び密着性を有す樹脂被覆金属板を得る方法に関し、該方法により得られた樹脂被覆金属板はその優れた経済性、均一被覆性、及び特性により缶用材料、建材及び弱電分野に適用可能なプレコート材料としても広く用いることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
食缶あるいは飲料缶に用いられる金属缶用素材であるテインフリースチール(以下、TFSと略す)およびアルミニウムなどの金属板には一回あるいは複数回の塗装が施されていた。この塗装を施すことは、塗料の焼き付け工程が煩雑であるばかりでなく、多大な焼き付け時間を必要とし、さらに多量の溶剤を排出するため、公害面からも排出溶剤を特別の焼却炉に導き焼却しなければならないという問題を有していた。これらの問題を解決するため、熱可塑性樹脂フイルムを加熱した金属板に積層することが検討されてきた。例えば、ポリエステル樹脂フイルムを接着剤を用いることなく金属板に積層する方法(特公昭60−47103号公報)、金属板にポリエステル樹脂を被覆後、急冷して、樹脂層の結晶化度を30%以内にした被覆金属構造物(特公昭57−23584号公報)が開示されている。しかしながら、これらの方法ではいずれも被覆金属板を得るまでにフイルムを製膜する工程と製膜したフイルムを金属板に被覆する工程の二工程を要するため、従来の塗料を金属板に塗装する方式に比し、環境問題はさることながら、経済性の観点からでは、充分な優位性が見いだせていないのが実状であった。一方、こう言った背景から、 最近では従来からコーテイング紙や複合フイルムを製造する時に実施されている押し出し機より押し出された溶融樹脂を直接基材に被覆する方法(以下、押し出しラミネート法と略す)を金属板の樹脂被覆に応用しようとする試みがなされてきた。例えば、Tダイより溶融した熱可塑性樹脂を予熱してある金属板に流下しニップロールで圧接して樹脂被覆金属板を得る製造方法(特開平2−241737号公報)、Tダイより押し出された溶融した熱可塑性樹脂の幅方向の両端部の膜厚が異常に厚いため、鋼板より幅の広い溶融熱可塑性樹脂を鋼板に被覆すると共に、鋼板の他の面に該溶融熱可塑性樹脂よりもさらに幅の広い固体熱可塑性樹脂フイルムを被覆することにより、溶融熱可塑性樹脂の鋼板巻き付け側圧着ロールへの付着がなく、膜厚分布が均一な両面樹脂被覆鋼板を得る製造方法(特開平4ー294142号)などが開示されている。
【0003】
前記、特開平2−241737号公報及び特開平4−294142号公報記載の製造方法は確かにフイルム製膜工程の一部、あるいは全部を省くことが可能な方法ではあるが、特開平4−294142号公報の記述にもあるように両端部の膜厚が異常に厚くなるので、被覆可能な部分は中央部近辺に限られるため、溶融押し出しした樹脂の内、実際の鋼板の被覆には使用されない樹脂が多く、大幅な樹脂損失が起こるという問題が新たに生じる。また、実際の鋼板の被覆に使用されなかった端部の樹脂を再使用しようとしても樹脂の熱劣化及び異物や他の樹脂の混入が生じるため安定した被覆材としての特性が発揮できなくなることや、再使用のための工程を新たに設けなければならなくなることから樹脂を再使用するという方法も特性及び経済性の観点から問題が残る。このように、押し出しラミネート法による鋼板への被覆は、一見フイルム製膜工程が省略でき、経済性を有す製造方法のように思えるが、適用については問題点も多く、現実には期待した経済効果が得られていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明にて解決しようとする課題は樹脂の押し出しから金属板への被覆までを一工程で行い被覆金属板を製造する押し出しラミネート法において、該ラミネート法の特長とも言える経済効果を著しく損なわさせている被覆時の樹脂の損失を大幅に減少させることである。さらには、二軸配向構造を樹脂フイルムに付与すると共に被覆後も二軸配向構造を残存させることにより、樹脂フイルムの加工特性を大幅に向上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため種々検討した結果、被膜の長さ及び幅方向における膜厚の変動が少ない樹脂被覆金属板を経済的に得るには被覆前の樹脂を長さ方向に延伸(以下、縦延伸と略す)するだけでなく、幅方向にも延伸(以下、横延伸と略す)する、すなわち二軸延伸することにより、従来法の大きな問題であったフイルムの幅方向の膜厚変動、特に端部の大幅な厚膜化を防止することが、押し出しラミネート法においてもできることを見い出したものである。この膜厚変動減少は基本的には二軸延伸する前に存在する膜厚差(D1) は二軸延伸することにより、縦延伸倍率と横延伸倍率の積、すなわち面積倍率(M)に逆比例して全体の膜厚が減少し、従って二軸延伸後の膜厚差(D2)はD1/Mになるために達成されると考えられる。さらに、本発明において、見い出したことは金属板の表面処理皮膜の構成と樹脂の選択及び樹脂に付与された配向構造の少なくとも一部は被覆後も残存させることにより、樹脂損失の低減及び金属板被覆層の均一膜厚化が可能となるばかりでなく、加工性及び密着性の良好な被覆金属板を樹脂の溶融から金属板への被覆までをすべて一工程で行う経済的な方法にて製造が可能となることである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。本発明に用いられる高分子樹脂は、特に二軸延伸により被覆金属板の樹脂層の膜厚の均一化を達成するだけでなく、樹脂フイルムに適正な配向構造を付与して樹脂フイルムの加工特性向上をも目的とする場合は、後記するように樹脂被覆金属板にした時の樹脂フイルム特性にとって樹脂の配向効果が高い樹脂を選択することが必要である。
【0007】
次に、本発明において用いられる金属板としては、シート状および帯状の鋼板およびアルミニウム板が挙げられ、鋼板表面に錫、ニッケル 、亜鉛 などの1種あるいは2種以上の複層めっき、合金めっきを施し、その上層にクロム酸処理を施し、表層にクロム水和酸化物皮膜を形成させたたもの、あるいはアルミニウム板に電解クロム酸処理、浸漬クロム酸処理を施し、表層にクロム水和酸化物皮膜を形成させたものなどが用いられる。熱可塑性樹脂との密着性の観点からは、該鋼板およびアルミニウム板の表層にクロムとして3〜30mg/m2 のクロム水和酸化物皮膜を有することがより好ましい。クロム水和酸化物皮膜の量が該範囲外では密着性が劣ってくるようになる。
【0008】
次に、本発明において最も重要な要件である熱可塑性樹脂を押し出しラミネート法により金属板に被覆する方法について説明する。本発明は熱可塑性樹脂を押し出し機で溶融押し出しした樹脂の二軸延伸、及び二軸延伸した樹脂フイルムの金属板への被覆をすべて同一工程にて行い、積層される樹脂層の膜厚の変動が少なく、経済性の優れた樹脂被覆金属板を製造することを特徴としており、その製造方法は大きくは下記1)、2)に分けられ、いずれの方法を採用するかは経済性及び樹脂被覆金属板に要求される特性を総合的に考慮して決定すべきで特に限定するものではない。
【0009】
1)押し出し機の狭いスリットより押し出された熱可塑性樹脂を該樹脂のガラス転移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)−20℃の延伸温度範囲内の温度で横延伸及び縦延伸し、該樹脂のTm〜Tm+150℃の温度に加熱された金属板の片面あるいは両面に一対のラミネートロールにより、被覆し冷却することを一工程にて行う製造方法。
2)押し出し機の狭いスリットより押し出された熱可塑性樹脂を該樹脂のガラス転移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)−20℃の延伸温度範囲内の温度で横延伸したたフイルムを、該樹脂のTm〜Tm+150℃の温度に加熱された金属板の片面あるいは両面に一対のラミネートロールにより、該樹脂のガラス転移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)ー20℃の範囲内の温度で縦延伸すると同時に被覆し冷却することを一工程にて行う製造方法。
なお、前記1)、2)の製造方法において樹脂被覆金属板に要求される樹脂フイルム膜厚の範囲外となる被覆前あるいは被覆後のフイルムの端部の除去は工程上都合の良い所で行って良い。また、ここで言うガラス転移温度とは樹脂の状態がガラスあるいはゴム状態になる境界の温度であり、各温度による樹脂の比容積を測定し、該比容積−温度曲線が折れ曲がりを開始する温度を示す。また、融点とは示差走査熱量計(SS10,セイコー電子工業(株)製)により10℃/分の昇温速度で昇温したとき、1あるいは2以上の吸熱ピークが認められるが、基本的にはそれらの吸熱ピークの最大深さを示す温度の中で最高の温度を言う。また、樹脂を延伸する時の温度は幅方向の中央部の樹脂温度を示すが、該延伸時、樹脂の幅方向の温度の変動が大きいと良好な膜厚分布が得られなくなる恐れがあるので、極力温度の変動は少なくすべきである。
【0010】
前記1)、2)の方法は熱可塑性樹脂を押し出し後、樹脂を固化状態で二軸延伸し、樹脂の膜厚の変動を低減化することが目的の一つであるが、さらには適用する樹脂を選択し、樹脂を金属板に被覆後も二軸延伸により樹脂に付与された配向構造を残存させることにより、配向構造が残存してない時よりも大幅な特性向上を果たすことも目的の一つである。上記1)、2)の方法においての延伸温度は重要な要件であり、該延伸温度外では、均一な二軸延伸が不可能で部分的な片伸びが生じるため樹脂フイルムの膜厚の変動が大きくなるので好ましくなく、また、樹脂を選択して樹脂フイルムに適正な配向構造を、付与させる場合にも同様に該延伸温度外では均一な二軸延伸が不可能なため配向構造が部分的に大きく異なってくるようになり好ましくない。一方、良好な特性を有す樹脂被覆金属板を得るには前記被覆前の樹脂の製膜条件も重要であるが、製膜されたフイルムを金属板に被覆する時の金属板の温度も、また重要な要件である。上記1)、2)の被覆する時の金属板の温度がTm 未満では樹脂が金属板に充分に濡れないため樹脂と金属板間の良好な密着力の確保が困難で好ましくなく、 Tm+150℃を超えると樹脂の熱劣化が生じ樹脂の加工特性が大幅に低下したり、樹脂と金属板間の良好な密着力の確保が困難となる傾向があるので好ましくない。また、樹脂被覆金属板の特性は被覆時の金属板の温度だけでなく、生産速度、ラミネートロールのニップ幅及び被覆後の冷却条件等にも影響されるが、これらの条件は生産性と設備費等の経済性を考慮して決定すべきでここでは特に限定しない。
【0011】
さらに、被覆金属板の樹脂に配向構造を残存させて特性向上を行う場合、重要なのは二軸延伸により特性向上に寄与する二軸配向構造を形成する樹脂の選択と樹脂の配向構造を被覆後に残存させる割合(以下、残存二軸配向度%と略す)である。該樹脂の選択については、樹脂に付与した配向構造が特性に大きく寄与する、即ち配向効果の高い樹脂を選択することが必要であり、該配向効果が期待出来る樹脂は、以下の一般式を有すホモポリエステルやコポリエステルの単体、あるいはブレンド物である。
一般式
【0012】
【化1】
あるいは
【0013】
【化2】
式中R1は炭素数2〜6のアルキレン基、R2は炭素数2〜24のアルキレン基またはアリーレン基である。例えば、エチレンテレフタレート単位、あるいはブチレンテレフタレート単位を主体としたホモポリエステル樹脂、共重合ポリエステル樹脂、あるいはこれらのブレンド樹脂は配向効果も高く、また樹脂被覆金属板にした時の密着性、加工性、及びバリアー性能等の総合的な樹脂特性が優れており、該方法に適した樹脂と言える。樹脂の配向構造により充分な特性向上を果たすには、選択された樹脂を用いて二軸延伸するだけでは達成できなく、金属板に被覆後の樹脂層の残存二軸配向度%を5〜85%にすることが必要である。該残存二軸配向度%が5%未満では配向による樹脂の加工性向上が認められなくなり、85%を超えると密着性が劣ってくるようになる。 なお、 ここで言う残存二軸配向度%とはX線回折法により求められた値であり、下記式により定義される。
▲1▼ラミネート前の二軸配向ポリエステルフイルム及びラミネート後の該フイルムについてX線回折強度を2θ=20〜30゜の範囲で測定する。
▲2▼2θ=20゜、2θ=30゜におけるX線回折強度曲線を直線で結びベースラインとする。
▲3▼2θ=22〜28゜近辺にあらわれる最も高いピークの高さをベースラインより測定する。
▲4▼ラミネート前のフイルムの最も高いピークの高さをP1、 ラミネート後のフイルムの最も高いピークの高さをP2とした時、 P2/P1×100を残存二軸配向度%とする。
【0014】
溶融樹脂の押し出し方法は溶融樹脂を押し出し機の先端に付けたTダイ(フラットフイルムダイ)により押し出す方法(Tダイ法)でも環状スリットを有するダイにより押し出す方法(インフレーション法)でも良い。インフレーション法の場合は筒状のフイルムが製膜されるが、両端をスリットして得られた二枚のフイルムの一方を金属板の片面にもう一方を金属板の他の面に被覆しても良いし、両端をスリットしないでフラットにして金属板の片面に被覆しても良い。また二軸延伸は縦延伸と横延伸を同時に行っても良いし、縦延伸と横延伸を別々に行っても良いが、該二軸延伸法については前記1)、2)のいずれの製造方法によって樹脂被覆金属板を製造するか、Tダイ法とインフレーション法のいずれの方法で押し出すか、あるいは樹脂被覆金属板に要求される経済性及び特性等を充分考慮して決定すべきである。また、二軸延伸時の延伸倍率はフイルムの膜厚分布および配向構造に大きく影響するが、該延伸倍率についても被覆金属板の必要特性及び経済性を考慮して決定すべきでここでは特に限定しないが、一般的には、最終的には両方向とも延伸直前の樹脂の幅、 あるいは長さの1.5倍以上延伸しないと膜厚の変動に対して充分な低減効果が得られない。一方、金属板に被覆された後のフイルムの膜厚分布は、被覆金属板の中央部の樹脂膜厚に対する中央部と端部の樹脂膜厚の差の百分率(以下、膜厚分布%と略す)により評価できるが、該膜厚分布%は一般的には25%以内であることが好ましいが、樹脂被覆金属板に要求される膜厚分布および生産性を含めた経済性を考慮して決定すべきでここでは特に限定しない。また、前記2)の製造方法においては、一対のラミネートロールにより縦延伸する前に横延伸だけでなく補助的に縦延伸しても良いし、被覆前のフイルムを該フイルムのTm以下の温度で熱固定処理を行っても良い。
【0015】
また、本発明の樹脂被覆金属板の樹脂層の厚さは、必要特性および経済性を考慮して決定すべきで、特に限定するものではないが、一般的には樹脂層の厚さは3〜40μmである。一方、該樹脂に、必要に応じ、他の特性をあまり損なわない範囲内で安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、滑剤、腐食防止剤などのような添加剤を加えてもよい。
本発明の金属板を加熱する方法には、公知の熱風循環伝熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式、ヒートロール方式などがあり、 これらの方式を単独で用いても、あるいは併用してもよい。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
【0017】
実施例1ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(重合時のイソフタル酸のモル%=12モル%、Tm=226℃、Tg=76℃)をTダイ押し出し機により押し出し(押し出し直後の樹脂温度=265℃、樹脂の押し出し量=206g/分)、冷却ロールにて、85℃の樹脂温度まで冷却してフイルムとし、続いて該フイルムを予熱して100℃の温度を有す樹脂を縦延伸(延伸時の樹脂温度=100℃、延伸倍率=2.5倍)後、 横延伸(延伸時の樹脂温度=115℃、延伸倍率=2.5倍) したフイルムを200℃の温度で3秒間熱固定した後、該フイルムの幅方向の両端から各7mmをスリットして除去したフイルム(幅=260mm)を、誘導加熱ロールにより246℃に加熱した帯状のTFS(金属クロム量:95mg/m2、クロム水和酸化物量:クロムとして20mg/m2、板厚:0.21mm、板幅:250mm、テンパー度:T−5)の片面に、一対の90℃の表面温度を有すシリコンロールを用いて25m/分の被覆速度で連続的に被覆し、5秒後に水中に浸漬冷却後、金属板の幅よりはみ出しているフイルムをスリットして除去した。被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量は金属板の被覆に用いられた樹脂重量の15%であった。さらに、得られたポリエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜厚は20μm、膜厚分布%は10%、また、残存二軸配向度%は23%であった。
【0019】
実施例3金属板の被覆に用いた樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を重量比で1:1 の割合で配合したポリエステル樹脂(Tm=244℃,Tg=48℃)、 押し出し直後の樹脂温度が275℃、樹脂の押し出し量が223g/分、及び254℃に加熱したTFSに被覆した他は、実施例1と同様な金属板及び方法にてポリエステル樹脂被覆TFSを得た。被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量は金属板の被覆に用いられた樹脂重量の16%であった。さらに、得られたポリエステル樹脂被覆TFS中央部の樹脂層の膜厚は20μm、膜厚分布%は15%、また、残存二軸配向度%は42%であった。
【0020】
実施例4、5TFSのクロム水和酸化物量がクロムとして5mg/m2、あるいは28mg/m2である他は実施例1と同様の共重合ポリエステル樹脂及び方法にて被覆金属板を得た。被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量、得られたポリエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜厚、膜厚分布、また、残存二軸配向度はクロム水和酸化物量にかかわらず、いずれも実施例1と同様であった。
【0021】
比較例1実施例1と同様の共重合ポリエステル樹脂をTダイ押し出し機により押し出し(押し出し直後の樹脂温度=260℃、樹脂の押し出し量=340g/分)、冷却ロールにて85℃の樹脂温度まで冷却し、続いて該フイルムの幅方向の両端から20mmをスリットして除去したフイルム(幅=260mm)を実施例1と同様の帯状のTFS及び方法にて被覆金属板を得た。被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量は金属板の被覆に用いられた樹脂重量の49%であった。さらに、得られたポリエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜厚は20μm、膜厚分布%は75%であった。
【0022】
比較例2、3TFSのクロム水和酸化物量がクロムとして2mg/m2、あるいは34mg/m2である他は比較例1と同様の共重合ポリエステル樹脂及び方法にて被覆金属板を得た。被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂重量、得られたポリエステル樹脂被覆TFSの中央部の樹脂層の膜厚、及び膜厚分布はいずれも比較例1と同様であった。
【0023】
実施例1〜5 および比較例1〜3 で得られた樹脂被覆金属板の中央部を採取し下記にて加工性及び密着性を評価し、その結果を表1および表2に示した。
(1)密着性樹脂被覆金属板より、ブランク径が80mmの円板を打ち抜き、試験面を外面にして深絞り加工(絞り比=1.6) して得たカップを110℃の温度で30分間レトルト処理し、深絞りカップの側面の樹脂層の剥離程度を肉眼で評価し、剥離無しを5、ほぼ全面剥離を1とし、5段階で表示した。
(2)加工性5℃の温度を有している被覆金属板を試験面を下にして、先端の直径が1/2インチの鋼球を有している棒(重さ1kg)を高さ40mmより落下させ、試験面の凸部に3%食塩水を含浸させたスポンジをあて、 試料に6.3Vの直流電圧を印加し、流れる電流値を測定し、樹脂層の加工性を評価した。(流れる電流値が少ないほど加工性良好)
【0024】
【表1】
(注)
1)上記記載のPETIはポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂を、E//Bはポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を重量比で1:1 の割合で配合したポリエステル樹脂を示す。
2)上記記載の除去量%は被覆前及び被覆後にスリットして除去された樹脂の金属板の被覆に用いられた樹脂に対する重量百分率である。
3)上記記載のBO%は残存二軸配向度%を示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】
本発明の樹脂被覆金属板の製造方法により、フイルムの製膜から該フイルムの金属板への被覆までをすべて一工程で行う押し出しラミネート法において、従来技術の大きな問題であった大幅な樹脂損失を起こすことなく製造することが可能となり、経済性の優れた被覆金属板を得ることができる。さらに、樹脂及び金属板の表面処理皮膜を選択し、二軸延伸によりフイルムに付与した二軸配向構造を金属板に被覆後も残存させることにより、経済性ばかりでなく加工性及び密着性に優れた被覆金属板を得ることができる。
Claims (1)
- 押し出し機により熱溶融させた下記の一般式を有するホモポリエステルやコポリエステルの単体あるいはブレンド物である熱可塑性樹脂を、狭いスリットより押し出し、冷却ロールにて冷却して後記する延伸温度よりも低い温度のフィルムとし、続いて該フィルムを予熱して該樹脂のガラス転移温度(Tg)+10℃〜融点(Tm)−20℃の延伸温度の範囲内の温度で、延伸直前の樹脂の幅、長さのそれぞれ1.5倍以上に横延伸及び縦延伸して、該樹脂のTm〜Tm+150℃の温度に加熱された金属板の片面あるいは両面に一対のラミネートロールにより被覆し冷却することをすべて一連の工程にて行い、
被覆して形成された樹脂層の残存二軸配向度を5〜85%にすると共に、
金属板に被覆して形成された後の樹脂層の膜厚分布を25%以内にすることを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法。
一般式は
式中R1は炭素数2〜6のアルキレン基、R2は炭素数2〜24のアルキレン基またはアリーレン基であり、
残存二軸配向度とは、ラミネート前の二軸配向ポリエステルフイルム及びラミネート後の該フイルムについてX線回折強度を2θ=20〜30゜の範囲で測定し、
2θ=20゜、2θ=30゜におけるX線回折強度曲線を直線で結びベースラインとし、
2θ=22〜28゜近辺にあらわれる最も高いピークの高さをベースラインより測定し、
ラミネート前のフイルムの最も高いピークの高さをP1、ラミネート後のフイルムの最も高いピークの高さをP2とした時、P2/P1×100の値をいう。
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